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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-13
(45)【発行日】2024-12-23
(54)【発明の名称】流量制御弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/124 20060101AFI20241216BHJP
【FI】
F16K31/124
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2024512244
(86)(22)【出願日】2023-03-23
(86)【国際出願番号】 JP2023011361
(87)【国際公開番号】W WO2023189986
(87)【国際公開日】2023-10-05
【審査請求日】2024-03-04
(31)【優先権主張番号】P 2022051841
(32)【優先日】2022-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002457
【氏名又は名称】弁理士法人広和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川澄 翔平
【審査官】北村 一
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-050779(JP,A)
【文献】特開2006-017273(JP,A)
【文献】特開2012-163156(JP,A)
【文献】特開2001-141108(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 31/124
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
前記ハウジングに設けられた主弁室と、
前記主弁室に摺動可能に設けられ、弁部を有する主弁と、
前記主弁室の一端側に設けられ、前記主弁の弁部が離着座することで作動流体を連通、遮断する主弁座と、
前記主弁に対して前記主弁座から離れる方向の圧力を与えると共に、前記主弁室の外部から前記主弁室の内部に作動流体を導入する入口側流路と、
前記主弁が前記主弁座から離れたときに前記主弁室の内部から前記主弁室の外部に作動流体を導出すると共に、前記主弁に対して前記主弁座から離れる方向の圧力を与える出口側流路と、
前記主弁室の他端側に設けられ、前記主弁に対して前記主弁座に近付く方向の圧力を与える背圧室と、
前記主弁に設けられ、前記入口側流路と前記背圧室とを連通するフィードバック流路と、
前記ハウジングに設けられ、前記背圧室と前記出口側流路とを連通するパイロット流路と、
前記主弁に設けられ、前記主弁の前記主弁座から離れる方向の変位に伴って前記入口側流路と前記出口側流路との間の開口量を増大させる主弁絞りと、
前記フィードバック流路と前記背圧室との間に設けられ、前記主弁の前記主弁座から離れる方向の変位に伴って前記フィードバック流路と前記背圧室との間の開口量を増大させるフィードバック絞りと、
前記ハウジングに摺動可能に設けられたパイロット弁と、
前記パイロット弁に設けられ、前記パイロット弁の変位に伴って前記パイロット流路の開口量を減少または増大させるパイロット絞りと、を備え、
前記パイロット絞りの開口量に応じて前記主弁の変位量を制御することにより、前記入口側流路から前記出口側流路への流量を可変に制御する流量制御機能を有する流量制御弁において、
前記フィードバック絞りは、前記主弁の前記主弁座に近付く方向の変位に対する前記フィードバック絞りの開口量の変化率が小さい側に変化するように前記フィードバック絞りの開口量の変化区間を分ける境界部を少なくとも1つ以上有し、
前記境界部のうち少なくとも1つは、前記主弁の前記主弁座に近付く方向の変位に対して、前記主弁絞りの開口部が遮断される位置に対応する前記主弁の変位領域内に存在するか、またはこれよりも前記主弁の前記主弁座に近い変位区間に存在する
ことを特徴とする流量制御弁。
【請求項2】
請求項1に記載の流量制御弁において、
前記フィードバック絞りは、前記主弁の変位に対する前記フィードバック絞りの開口量の変化率が小さい小変化区間と開口量の変化率が大きい大変化区間を有し、
前記小変化区間は、前記主弁絞りの開口部の開口・遮断が切換わる位置に対応する前記主弁の変位領域を境界として前記主弁の前記主弁座に近付く方向の区間に存在し、
前記大変化区間は、前記主弁絞りの開口部の開口・遮断が切換わる位置に対応する前記主弁の変位領域を境界として前記主弁の前記主弁座から離れる方向の区間に存在する
ことを特徴とする流量制御弁。
【請求項3】
請求項1に記載の流量制御弁において、
前記フィードバック絞りは、前記主弁の変位に対して開口する位置が異なる少なくとも2種類以上の切欠きから構成されている
ことを特徴とする流量制御弁。
【請求項4】
請求項1に記載の流量制御弁において、
前記フィードバック絞りは、幅または深さが少なくとも1つ以上異なる組合せで構成された少なくとも1種類以上の互いに連通する切欠きから構成されている
ことを特徴とする流量制御弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、例えば、建設機械の油圧回路に設けられ、油圧ポンプからアクチュエータに供給される作動油の流量を制御する流量制御弁に関する。
【背景技術】
【0002】
油圧ショベル、油圧クレーン、ホイールローダ等の建設機械の油圧回路には、流量制御機能を有するシート弁型の流量制御弁が設けられている。例えば、特許文献1には、チェック弁(主弁)を備えたスプール弁が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-017273号公報(特許第4463028号公報)
【発明の概要】
【0004】
ところで、図24は、比較例による流量制御弁101を示している。この比較例による流量制御弁101は、例えば、後述の図2に示すような制御弁装置21に組込まれる。なお、後述の図2に示す制御弁装置21は、第1の実施の形態の流量制御弁33(主弁43)が組込まれている。ここでは、図2の制御弁装置21に、図2中の第1の実施の形態の流量制御弁33(主弁43)ではなく、図24中の比較例による流量制御弁101(主弁102)が組込まれている場合を、比較例として説明する。比較例による流量制御弁101は、パイロット弁55(図2参照)に設けられたパイロット絞り56(図2参照)の開口量を可変に制御することで、主弁102に設けられたフィードバック絞り103の開口量がパイロット絞り56(図2参照)の開口量と対応するように主弁102の変位量が制御される。これにより、主弁102に設けられた主弁絞り104の開口量が可変に制御され、入口側流路105から出口側流路106への流量を所望の値に制御することができる。
【0005】
例えば、パイロット絞り56(図2参照)の開口量が小さくなる側にパイロット弁55(図2参照)が変化した場合、主弁102の背圧室107の圧力(背圧)は、入口側流路105の圧力に近づく。このため、背圧の上昇によって主弁102には閉弁方向の力が与えられ、主弁102は閉弁方向に変位する。一方、主弁102の閉弁方向の変位に伴って、フィードバック絞り103の開口量は減少するため、背圧室107の圧力(背圧)は出口側流路106の圧力に近づき、背圧の減少によって主弁102には開弁方向の力が与えられる。この位置フィードバック作用の結果、主弁102は、「入口側流路105と出口側流路106の圧力による開弁方向の力」と「背圧とばね108による閉弁方向の力」とが釣合う位置にて停止する。
【0006】
図25は、「パイロット弁55の変位量」と「フィードバック絞り103の開口量、パイロット絞り56の開口量、主弁102の変位量および主弁絞り104の開口量」との関係の一例を示す特性線図である。図25に示すように、パイロット弁55の変位量が「0」から「変位A」まで変化すると、パイロット絞り56の開口量は減少し、それに伴って主弁102の変位量も主弁絞り104の開口量も減少し、主弁絞り104の開口量は「0」に達する。次いで、パイロット弁55の変位量が「変位A」から「変位B」まで変化すると、パイロット絞り56の開口量はさらに減少し、それに伴って主弁102の変位量も減少して「0」に達する。図24は、パイロット弁55の変位量が「変位B」における主弁102の状態を示している。
【0007】
ここで、入口側流路105から出口側流路106への流量を0にするまで、即ち、入口側流路105と出口側流路106とが主弁102によって遮断される(主弁絞り104の開口量が0になる)まで制御できる構成とする場合、2つの問題が生じていた。以下、この点について説明する。
【0008】
先ず、第1の問題は、パイロット絞り56の開口量の比例制御範囲に、主弁絞り104の開口量を比例制御できない範囲(図25の「変位A」と「変位B」との間)が含まれていることである。この範囲は、主弁絞り104の開口量の比例制御範囲を拡大して比例制御性を向上させることに活用することができない。即ち、主弁102には、シート部102Aと円筒部102Bとが設けられているが、その間には工具逃げ溝102Cが設けられている。これは、シート部102Aと円筒部102Bの寸法精度および表面粗さを確保するために、ものづくり上必要な部位である。しかし、この範囲は、主弁102の変位を比例制御しても主弁絞り104の開口部104Aは遮断されているため、開口制御に対しては無駄な制御範囲となっている。これに対して、比例制御範囲を拡大すべく、開弁方向の最大変位量を増加させることが考えられる。しかし、この場合は、部品の大型化およびコスト増加を招いてしまう。
【0009】
次に、第2の問題は、主弁絞り104の開口部104Aの開口・遮断が切換わる主弁102の変位近傍において、流体力により主弁102の変位が振動的な挙動となることである。即ち、主弁絞り104の開口量が「0」に近付くにつれて、主弁絞り104を通過する噴流の向きは主弁102の軸方向に近付く。これにより、主弁絞り104の開口量が「0」に近付くにつれて、主弁102の軸方向に作用する流体力が増大し、振動的な挙動を引き起こし易くなる。これに対して、振動的な挙動を抑制すべく、主弁102を大型化し、主弁102に作用する圧力に対する流体力の大きさを相対的に小さくすることが考えられる。しかし、この場合も、部品の大型化およびコスト増加を招いてしまう。
【0010】
本発明の目的は、パイロット絞りの開口量の比例制御範囲に対して主弁絞りの開口量を比例制御できる範囲を拡大し、かつ、主弁絞りの開口部の開口・遮断が切換わる主弁の変位近傍において流体力による主弁の変位の振動的な挙動を抑制し、高精度な流量制御を実現する流量制御弁を提供することにある。
【0011】
本発明は、ハウジングと、前記ハウジングに設けられた主弁室と、前記主弁室に摺動可能に設けられ、弁部を有する主弁と、前記主弁室の一端側に設けられ、前記主弁の弁部が離着座することで作動流体を連通、遮断する主弁座と、前記主弁に対して前記主弁座から離れる方向の圧力を与えると共に、前記主弁室の外部から前記主弁室の内部に作動流体を導入する入口側流路と、前記主弁が前記主弁座から離れたときに前記主弁室の内部から前記主弁室の外部に作動流体を導出すると共に、前記主弁に対して前記主弁座から離れる方向の圧力を与える出口側流路と、前記主弁室の他端側に設けられ、前記主弁に対して前記主弁座に近付く方向の圧力を与える背圧室と、前記主弁に設けられ、前記入口側流路と前記背圧室とを連通するフィードバック流路と、前記ハウジングに設けられ、前記背圧室と前記出口側流路とを連通するパイロット流路と、前記主弁に設けられ、前記主弁の前記主弁座から離れる方向の変位に伴って前記入口側流路と前記出口側流路との間の開口量を増大させる主弁絞りと、前記フィードバック流路と前記背圧室との間に設けられ、前記主弁の前記主弁座から離れる方向の変位に伴って前記フィードバック流路と前記背圧室との間の開口量を増大させるフィードバック絞りと、前記ハウジングに摺動可能に設けられたパイロット弁と、前記パイロット弁に設けられ、前記パイロット弁の変位に伴って前記パイロット流路の開口量を減少または増大させるパイロット絞りと、を備え、前記パイロット絞りの開口量に応じて前記主弁の変位量を制御することにより、前記入口側流路から前記出口側流路への流量を可変に制御する流量制御機能を有する流量制御弁において、前記フィードバック絞りは、前記主弁の前記主弁座に近付く方向の変位に対する前記フィードバック絞りの開口量の変化率が小さい側に変化するように前記フィードバック絞りの開口量の変化区間を分ける境界部を少なくとも1つ以上有し、前記境界部のうち少なくとも1つは、前記主弁の前記主弁座に近付く方向の変位に対して、前記主弁絞りの開口部が遮断される位置に対応する前記主弁の変位領域内に存在するか、またはこれよりも前記主弁の前記主弁座に近い変位区間に存在する。
【0012】
本発明によれば、パイロット絞りの開口量の比例制御範囲に対して主弁絞りの開口量を比例制御できる範囲を拡大し、かつ、主弁絞りの開口部の開口・遮断が切換わる主弁の変位近傍において流体力による主弁の変位の振動的な挙動を抑制し、高精度な流量制御を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1の実施の形態による流量制御弁を油圧ショベルの油圧回路に適用した場合を示す全体構成図である。
図2図1中の流量制御弁および方向制御弁を示す縦断面図である。
図3図2中の(III)部を拡大して示す縦断面図である。
図4】フィードバック絞りの開口量の変化率が変化する境界部まで開弁した状態の主弁を示す図3と同様位置の縦断面図である。
図5】最大開弁位置の主弁を示す図3と同様位置の縦断面図である。
図6】主弁(弁部材)を示す斜視図である。
図7】主弁(弁部材)を示す平面図である。
図8図7の状態から周方向に90度回転させた状態の主弁(弁部材)を示す平面図である。
図9図7中の矢示IX-IX方向から見た主弁(弁部材)の縦断面図である。
図10図8中の矢示X-X方向から見た主弁(弁部材)の縦断面図である。
図11図10中の矢示XI-XI方向から見た主弁(弁部材)の横断面図である。
図12】第1の実施の形態によるパイロット弁変位量とフィードバック絞り開口量とパイロット絞り開口量と主弁変位量と主弁絞り開口量との関係の一例を示す特性線図である。
図13】主弁変位量と主弁絞り開口量とフィードバック絞り開口量との関係の一例を示す特性線図である。
図14】第2の実施の形態による主弁(弁部材)を示す斜視図である。
図15】第2の実施の形態による主弁(弁部材)を示す平面図である。
図16図15中の矢示XVI-XVI方向から見た主弁(弁部材)の縦断面図である。
図17】第2の実施の形態によるフィードバック絞りを切断して示す斜視図である。
図18】第1の変形例による主弁(弁部材)を示す斜視図である。
図19】第1の変形例による主弁(弁部材)を示す平面図である。
図20図19中の矢示XX-XX方向から見た主弁(弁部材)の縦断面図である。
図21】第2の変形例による主弁(弁部材)を示す斜視図である。
図22】第2の変形例による主弁(弁部材)を示す平面図である。
図23図22中の矢示XXIII-XXIII方向から見た主弁(弁部材)の縦断面図である。
図24】比較例による流量制御弁を示す縦断面図である。
図25】比較例によるパイロット弁変位量とフィードバック絞り開口量とパイロット絞り開口量と主弁変位量と主弁絞り開口量との関係の一例を示す特性線図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、実施の形態による流量制御弁を、油圧ショベルの油圧回路に適用した場合を例に挙げ、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0015】
図1ないし図13は、第1の実施の形態を示している。図1において、建設機械の代表例である油圧ショベル1は、自走可能なクローラ式の下部走行体2と、下部走行体2上に旋回可能に搭載された上部旋回体3と、上部旋回体3の前部側に俯仰の動作が可能に設けられ掘削作業等を行う多関節構造の作業装置4とを含んで構成されている。この場合、下部走行体2と上部旋回体3は、油圧ショベル1の車体を構成している。
【0016】
作業機またはフロントとも呼ばれる作業装置4は、例えば、ブーム5、アーム6、作業具としてのバケット7を含んで構成されている。また、作業装置4は、ブーム5を駆動する油圧アクチュエータ(液圧アクチュエータ)としてのブームシリンダ8、アーム6を駆動する油圧アクチュエータとしてのアームシリンダ9、バケット7を駆動する油圧アクチュエータとしてのバケットシリンダ10(作業具シリンダ)を含んで構成されている。作業装置4は、油圧ポンプ11からの圧油の供給に基づいて、油圧シリンダであるシリンダ8,9,10が伸長または縮小することにより、俯仰の動作をする。なお、図1では、図面が複雑になることを避けるために、主としてブームシリンダ8とアームシリンダ9に関する油圧回路を示している。
【0017】
油圧ショベル1の上部旋回体3に搭載されたメインの油圧ポンプ11は、タンク12と共に油圧源を構成している。油圧ポンプ11は、例えば、ディーゼルエンジン等の原動機(図示せず)により回転駆動される。油圧ポンプ11は、タンク12内の作動油を吸込んでポンプ管路13およびセンタバイパス管路14に向けて圧油を吐出(供給)する。ポンプ管路13およびセンタバイパス管路14に吐出した圧油は、ブーム用方向制御弁16を介してブームシリンダ8に供給され、アーム用方向制御弁18を介してアームシリンダ9に供給される。また、ブーム用方向制御弁16およびアーム用方向制御弁18とタンク12との間には、例えばブームシリンダ8およびアームシリンダ9からの戻り油をタンク12側に還流させるためのタンク管路15が設けられている。
【0018】
ここで、ポンプ管路13の途中には、分岐管路13A,13Bが設けられている。一方の分岐管路13Aは、後述の流量制御弁33を介してアーム用方向制御弁18の高圧側ポート(即ち、図2中に示す後述の出口側流路27)に接続されている。他方の分岐管路13Bは、後述するブーム用方向制御弁16の高圧側ポートに接続されている。なお、ポンプ管路13とタンク管路15は、別の分岐管路、別の方向制御弁(いずれも図示せず)等を介してバケットシリンダ10等にも接続されている。
【0019】
ブームシリンダ8用の方向制御弁であるブーム用方向制御弁16(以下、ブーム用制御弁16という)は、左,右の油圧パイロット部16A,16Bを有しており、常時は中立位置(イ)に保持される。ブーム用制御弁16は、左,右の油圧パイロット部16A,16Bに対して、例えば油圧パイロット式の操作弁であるブーム用レバー操作装置(図示せず)からパイロット圧が供給されることにより、中立位置(イ)から切換位置(ロ),(ハ)に切換えられる。
【0020】
一対のアクチュエータ管路17A,17Bは、ブームシリンダ8とブーム用制御弁16との間に設けられている。一方のアクチュエータ管路17Aは、ブームシリンダ8のボトム側油室(図示せず)をブーム用制御弁16の一方の圧油流出入ポートに接続する。他方のアクチュエータ管路17Bは、ブームシリンダ8のロッド側油室(図示せず)をブーム用制御弁16の他方の圧油流出入ポートに接続する。
【0021】
アームシリンダ9用の方向制御弁であるアーム用方向制御弁18(以下、アーム用制御弁18という)は、左,右の油圧パイロット部18A,18Bを有しており、常時は中立位置(イ)に保持される。アーム用制御弁18は、左,右の油圧パイロット部18A,18Bに対して、例えば油圧パイロット式の操作弁であるアーム用レバー操作装置(図示せず)からパイロット圧が供給されることにより、中立位置(イ)から切換位置(ロ),(ハ)に切換えられる。
【0022】
一対のアクチュエータ管路19A,19Bは、アームシリンダ9とアーム用制御弁18との間に設けられている。一方のアクチュエータ管路19Aは、アームシリンダ9のボトム側油室(図示せず)をアーム用制御弁18の一方の圧油流出入ポート(即ち、図2中に示す流出入通路28B)に接続する。他方のアクチュエータ管路19Bは、アームシリンダ9のロッド側油室(図示せず)をアーム用制御弁18の他方の圧油流出入ポート(即ち、図2中に示す流出入通路28A)に接続する。
【0023】
アーム用制御弁18が中立位置(イ)から切換位置(ロ)に切換えられたときには、油圧ポンプ11からの圧油が分岐管路13A、後述の流量制御弁33、アーム用制御弁18、アクチュエータ管路19Aを介してアームシリンダ9のボトム側油室に供給される。ロッド側油室内の圧油は、アクチュエータ管路19B、アーム用制御弁18、タンク管路15を介してタンク12に排出される。これにより、アームシリンダ9は、ボトム側油室に供給された圧油により伸長し、アーム6を下向きに回動する。
【0024】
アーム用制御弁18が中立位置(イ)から切換位置(ハ)に切換えられたときには、油圧ポンプ11からの圧油が分岐管路13A、流量制御弁33、アーム用制御弁18、アクチュエータ管路19Bを介してアームシリンダ9のロッド側油室に供給される。ボトム側油室内の圧油は、アクチュエータ管路19A、アーム用制御弁18、タンク管路15を介してタンク12に排出される。これにより、アームシリンダ9は、ロッド側油室に供給された圧油により縮小し、アーム6を上向きに回動する。
【0025】
リリーフ弁20は、設定圧可変式のリリーフ弁である。リリーフ弁20は、ポンプ管路13およびセンタバイパス管路14とタンク管路15との間に設けられている。リリーフ弁20は、例えば、ポンプ管路13内の圧力が設定圧以上に上昇すると開弁し、このときの過剰圧をタンク管路15側にリリーフする。リリーフ弁20は、圧力設定用ばね20Aおよびパイロット油室20B等を有しており、外部からパイロット油室20Bに供給されるパイロット圧に従って圧力設定用ばね20Aの設定圧力が変化する。これにより、リリーフ弁20は、リリーフ設定圧が低圧設定と高圧設定との間で2段階または3段以上の多段階に調整可能な構成となっている。
【0026】
制御弁装置21は、アーム用制御弁18と後述の流量制御弁33とを含んで構成されている。図2に示すように、制御弁装置21は、アーム用制御弁18と流量制御弁33とに共通したハウジング22を有している。この場合、ハウジング22は、アーム用制御弁18のスプール29および流量制御弁33の主弁43を収容するメインハウジング23と、流量制御弁33の主弁43およびパイロット弁55を収容するパイロットハウジング36とを含んで構成されている。これらメインハウジング23とパイロットハウジング36は、それぞれ別部品として別々に形成されている。そして、メインハウジング23にパイロットハウジング36を取付けることにより、一つのハウジング22を構成している。
【0027】
次に、制御弁装置21のアーム用制御弁18について説明する。なお、図2では、中立位置(イ)の状態のアーム用制御弁18を示している。
【0028】
アーム用制御弁18は、油圧ポンプ11からアームシリンダ9に供給される圧油の方向を制御するスプール弁装置である。アーム用制御弁18は、メインハウジング23と、スプール摺動穴24と、入口側流路25と、出口側流路27と、一対の流出入通路28A,28Bと、スプール29と、左,右の蓋体30A,30Bと、ストッパ31と、ばね32とを含んで構成されている。メインハウジング23は、パイロットハウジング36と共に制御弁装置21のハウジング22を構成している。メインハウジング23には、スプール摺動穴24、入口側流路25、出口側流路27、一対の流出入通路28A,28Bが形成されている。
【0029】
スプール摺動穴24は、メインハウジング23の左,右方向(図2の左,右方向、後述のスプール29が摺動する軸方向)に貫通して直線上に延びている。スプール摺動穴24の周壁側には、第1の環状油溝24A,24B、第2の環状油溝24C,24D、および、第3の環状油溝24E,24Fが形成されている。第1の環状油溝24A,24Bは、スプール摺動穴24の軸方向の中央側に、互いに左,右方向に離間して設けられている。第2の環状油溝24C,24Dは、第1の環状油溝24A,24Bよりもスプール摺動穴24の軸方向外側の位置に、互いに左,右方向に離間して設けられている。第3の環状油溝24E,24Fは、第2の環状油溝24C,24Dよりもスプール摺動穴24の軸方向外側の位置に、互いに左,右方向に離間して設けられている。
【0030】
第1の環状油溝24A,24Bは、全体として逆U字状に形成された出口側流路27により互いに連通している。第1の環状油溝24A,24Bは、スプール29が図2に示す中立位置から左,右方向に変位したときに、第2の環状油溝24C,24Dに対して連通、遮断される。第2の環状油溝24C,24Dは、左,右の流出入通路28A,28Bを介して一対のアクチュエータ管路19A,19Bに常時連通している。第3の環状油溝24E,24Fは、各タンク管路15を介してタンク12に常時連通している。第3の環状油溝24E,24Fは、スプール29が図2に示す中立位置から左,右方向に変位したときに、第2の環状油溝24C,24Dに対して連通、遮断される。
【0031】
入口側流路25は、スプール摺動穴24から径方向に離間した位置に設けられている。この場合、入口側流路25は、スプール摺動穴24と直交する方向(図2の表,裏方向)に沿って延びている。入口側流路25は、ポンプ管路13(より具体的には、分岐管路13A)を介して油圧ポンプ11と接続されている。出口側流路27は、入口側流路25と連通穴26の位置で交差しており、全体として逆U字状に延びている。出口側流路27は、互いに離間して設けられた第1の環状油溝24A,24Bを連通している。
【0032】
連通穴26は、出口側流路27を挟んで後述の弁体摺動穴34と対向する位置に配置されている。連通穴26は、入口側流路25を出口側流路27に対して交差するように連通させる。連通穴26は、弁体摺動穴34およびパイロットハウジング36の凹部37と共に主弁室42を構成している。そして、出口側流路27と連通穴26との交差部位には、後述の主弁43が離着座する環状弁座としてのテーパ状の主弁座46が設けられている。
【0033】
一対の流出入通路28A,28Bは、出口側流路27および弁体摺動穴34を挟むように、メインハウジング23の左,右方向に離間して設けられている。一対の流出入通路28A,28Bは、アーム用制御弁18の圧油流出入ポートを構成している。即ち、一対の流出入通路28A,28Bは、アクチュエータ管路19A,19Bを介してアームシリンダ9(のロッド側油室、ボトム側油室)に接続されている。
【0034】
スプール29は、メインハウジング23のスプール摺動穴24内に挿嵌されている。スプール29は、外部から油圧パイロット部18A,18Bに供給されたパイロット圧に従ってスプール摺動穴24内を左,右方向に摺動変位する。これにより、図1に示すアーム用制御弁18は、中立位置(イ)から左,右の切換位置(ロ),(ハ)に切換わる。
【0035】
図2に示すように、スプール29は、第2の環状油溝24C,24Dを第1の環状油溝24A,24Bと第3の環状油溝24E,24Fとのいずれか一方に選択的に連通、遮断させる切換ランド29A,29Bを有している。切換ランド29A,29Bには、圧油の流量を微調整するためのノッチ29A1,29B1がそれぞれ複数個、周方向に離間して形成されている。
【0036】
ここで、スプール29が図2の左方向に摺動変位したときは、スプール29の切換ランド29Aが第1の環状油溝24Aを第2の環状油溝24Cに連通させる。これと共に、スプール29の切換ランド29Bは、第1の環状油溝24Bを第2の環状油溝24Dに対して遮断すると共に、第2の環状油溝24Dを第3の環状油溝24Fに連通させる。これにより、アーム用制御弁18は、図1に示す中立位置(イ)から右側の切換位置(ハ)に切換わる。
【0037】
一方、スプール29が図2中の右方向に摺動変位したときは、スプール29の切換ランド29Bが第1の環状油溝24Bを第2の環状油溝24Dに連通させる。これと共に、スプール29の切換ランド29Aは、第1の環状油溝24Aを第2の環状油溝24Cに対して遮断すると共に、第2の環状油溝24Cを第3の環状油溝24Eに連通させる。これにより、アーム用制御弁18は、図1に示す中立位置(イ)から左側の切換位置(ロ)に切換わる。
【0038】
左,右の蓋体30A,30Bは、スプール29と共にアーム用制御弁18を構成している。蓋体30A,30Bは、スプール摺動穴24の軸方向(左,右方向)両側に位置してメインハウジング23に取付けられている。蓋体30A,30Bは、スプール摺動穴24の両端側を閉塞する。右側の蓋体30Bは、左側の蓋体30Aよりも長尺に形成され、この右側の蓋体30B内には、センタリング用のばね32が設けられている。蓋体30A,30Bの内側には油圧パイロット部18A,18Bが設けられている。油圧パイロット部18A,18Bには、操作弁(レバー操作装置)からパイロット圧が供給される。アーム用制御弁18のスプール29は、このときのパイロット圧に従って、スプール摺動穴24内を図2の左,右方向に摺動変位される。
【0039】
ストッパ31は、スプール29の右側にこのスプール29と一体的に設けられている。ストッパ31は、蓋体30B内に変位可能に配置され、蓋体30B内を軸方向に延びる軸部31Aを有している。ストッパ31は、スプール29が図2の右方向に変位したときに、スプール29のストロークエンドを規制する。
【0040】
ばね32は、スプール29を中立位置に保持するためのセンタリング用のばねである。ばね32は、ストッパ31の軸部31Aの外周側に位置してスプール29の端面とストッパ31との間に予め初期荷重を与えた状態で配設されている。ばね32は、油圧パイロット部18A,18Bからのパイロット圧がタンク圧レベルまで低下したときに、スプール29を中立位置に保持する。
【0041】
次に、制御弁装置21の流量制御弁33について説明する。なお、図2および図3は、主弁43が閉弁した状態を示しており、図4および図5は、主弁43が開弁した状態を示している。また、図5は、主弁43が最も開弁した最大流量の状態を示している。
【0042】
流量制御弁33は、アームシリンダ9に供給される圧油の流量の調整を行うポペット弁装置である。第1の実施の形態の流量制御弁33は、シート弁型流量制御弁である。流量制御弁33は、ハウジング22と、主弁室42と、主弁43と、主弁座46と、入口側流路25と、出口側流路27と、背圧室47と、フィードバック流路49と、パイロット流路50と、主弁絞り53と、フィードバック絞り54と、パイロット弁55と、パイロット絞り56とを備えている。
【0043】
ハウジング22は、メインハウジング23とパイロットハウジング36とにより構成されている。即ち、メインハウジング23は、パイロットハウジング36と共に、流量制御弁33のハウジング22を構成している。メインハウジング23には、入口側流路25、連通穴26、出口側流路27に加えて、弁体摺動穴34、分岐通路35が形成されている。
【0044】
弁体摺動穴34は、連通穴26および出口側流路27を挟んで入口側流路25とは反対側に配置されており、段付穴として形成されている。弁体摺動穴34は、パイロットハウジング36と出口側流路27との間を、スプール摺動穴24と直交する方向(図2の上,下方向)に延びている。弁体摺動穴34は、連通穴26およびパイロットハウジング36の凹部37と共に、主弁室42を構成している。そして、主弁室42内には、主弁43が変位可能に挿嵌(嵌合)されている。
【0045】
分岐通路35は、出口側流路27の途中から分岐した油路である。分岐通路35は、パイロットハウジング36側の第2の通路40と常時連通している。分岐通路35は、第2の通路40、および、パイロットハウジング36に設けられた別の通路である第1の通路39と共に、パイロット流路50を構成している。
【0046】
パイロットハウジング36は、メインハウジング23と共に、流量制御弁33のハウジング22を構成している。パイロットハウジング36は、メインハウジング23の弁体摺動穴34を外側から閉塞するようにメインハウジング23の外側面に設けられている。パイロットハウジング36には、後述の主弁43および弁ばね48が収容される凹部37と、後述のパイロット弁55等が収容される弁収容穴38と、この弁収容穴38と凹部37との間を連通する第1の通路39と、メインハウジング23の分岐通路35と弁収容穴38との間を斜めに傾斜して延びパイロット弁55により第1の通路39に対して連通、遮断される第2の通路40と、パイロット圧の給排ポート41とが設けられている。給排ポート41は、弁収容穴38の内面とパイロット弁55とにより画成された後述のパイロット室57に接続されている。
【0047】
主弁室42は、ハウジング22に設けられている。即ち、主弁室42は、メインハウジング23の弁体摺動穴34および連通穴26とパイロットハウジング36の凹部37とにより構成され、内部に主弁43を収容している。これにより、主弁室42は、メインハウジング23とパイロットハウジング36との両方にわたって設けられている。
【0048】
主弁43は、主弁室42に摺動可能に設けられている。主弁43は、流量制御弁33の弁体であり、弁部としてのシート部44Dを有している。この場合、主弁43は、弁体摺動穴34内に挿嵌された段付の弁部材44と、弁部材44の軸方向一側に螺合して設けられ後述のチェック弁62を弁部材44との間で変位可能に保持する弁保持部材45とを含んで構成されている。弁保持部材45は、弁ばね48をパイロットハウジング36の凹部37(の底部)との間で縮装状態に支持するばね受部45Aと、有底筒状に形成され弁部材44(後述の段付穴部44Gの上部側)内に螺入した状態で内側にチェック弁62を変位可能に保持する保持筒部45Bとを含んで構成されている。保持筒部45Bの内側には、チェック弁62とばね63とが収納されている。弁保持部材45は、チェック弁62とばね63を収納した状態で、主弁43の弁部材44に螺合により取付けられている。
【0049】
弁部材44は、弁体摺動穴34内に摺動可能に挿嵌された大径部44Aと、該大径部44Aの軸方向一側に設けられた小径筒部44Bと、大径部44Aの軸方向他側に小径な縮径部44Cを介して一体に形成され外周側がメインハウジング23の主弁座46に離着座するシート部44Dと、該シート部44Dの他側(先端側)から入口側流路25に向けて軸方向に突出した円筒部44Eとを含んで構成されている。この場合、弁部であるシート部44Dは、主弁43(弁部材44)に設けられている。シート部44Dは、主弁座46に接触(着座)することで、入口側流路25と出口側流路27との間の作動流体の流れを遮断する。
【0050】
また、弁部材44には、円筒部44Eの内周側から縮径部44C、大径部44A、小径筒部44B内へと軸方向一側(上側)に向けて延び途中部位にチェック弁62用の弁座44Fが形成された段付穴部44Gと、該段付穴部44Gの径方向に延びた径方向穴44Hと、後述のフィードバック絞り54とが設けられている。段付穴部44Gは、円筒部44Eの内周側を介して入口側流路25と連通している。径方向穴44Hは、フィードバック絞り54を介して後述の背圧室47と連通する。これにより、段付穴部44Gおよび径方向穴44Hは、フィードバック流路49を構成している。また、弁部材44の円筒部44Eには、後述する主弁絞り53が設けられている。
【0051】
主弁座46は、主弁室42の一端側(入口側流路25側)に設けられている。即ち、主弁座46は、メインハウジング23のうち出口側流路27と連通穴26との交差部位に設けられており、テーパ状の環状弁座として構成されている。主弁座46は、主弁43のシート部44Dが離着座することで作動流体を連通、遮断する。
【0052】
入口側流路25は、メインハウジング23に設けられており、油圧ポンプ11の吐出側と接続されている。入口側流路25は、油圧ポンプ11から供給される圧油(作動流体)に基づいて、主弁43に対して主弁座46から離れる方向(開弁方向)の圧力を与える。これと共に、入口側流路25は、主弁室42の外部(油圧ポンプ11側)から主弁室42の内部に作動流体を導入する。入口側流路25は、主弁座46に面している。
【0053】
出口側流路27は、メインハウジング23に設けられており、アーム用制御弁18のスプール摺動穴24に接続されている。出口側流路27は、主弁43が主弁座46から離れたときに主弁室42の内部(連通穴26側)から主弁室42の外部(アーム用制御弁18のスプール摺動穴24側、より詳しくは、アームシリンダ9側)に作動流体を導出する。これと共に、出口側流路27は、主弁43に対して主弁座46から離れる方向(開弁方向)の圧力を与える。出口側流路27も、主弁座46に面している。入口側流路25と出口側流路27は、主弁43に対して開弁方向の圧力を与えている。
【0054】
背圧室47は、主弁室42の他端側(入口側流路25とは反対側)に設けられている。背圧室47は、主弁43に対して主弁座46に近付く方向(閉弁方向)の圧力を与える。即ち、背圧室47は、主弁43の変位量(リフト量)を可変に制御する制御圧室であり、パイロットハウジング36の凹部37と主弁43との間に形成されている。そして、背圧室47は、パイロットハウジング36の第1の通路39に常時連通している。
【0055】
弁ばね48は、背圧室47内に設けられている。即ち、弁ばね48は、背圧室47内に位置して主弁43(の弁保持部材45)とパイロットハウジング36の凹部37(の底部)との間に配設されている。弁ばね48は、コイルスプリング等を用いて構成され、弁保持部材45を介して弁部材44を閉弁方向に付勢する。即ち、弁ばね48は、主弁43(弁保持部材45)を常時閉弁方向に付勢している。主弁43は、背圧室47内に発生する背圧(制御圧)によっても閉弁方向に押圧される。
【0056】
フィードバック流路49は、主弁43の内部に設けられている。即ち、フィードバック流路49は、主弁43(弁部材44)の段付穴部44Gと径方向穴44Hとにより構成されている。この場合、径方向穴44Hは、フィードバック絞り54を介して背圧室47と連通している。これにより、フィードバック流路49は、入口側流路25と背圧室47とを連通している。
【0057】
パイロット流路50は、ハウジング22(メインハウジング23およびパイロットハウジング36)に設けられている。即ち、パイロット流路50は、メインハウジング23の分岐通路35と、パイロットハウジング36の第1の通路39および第2の通路40とにより構成されている。これにより、パイロット流路50は、背圧室47と出口側流路27とを連通している。この場合、第1の通路39は、パイロット絞り56の上流側の管路となるパイロット絞り上流管路51を構成している。第2の通路40および分岐通路35は、パイロット絞り56の下流側の管路となるパイロット絞り下流管路52を構成している。
【0058】
主弁絞り53は、主弁43(より具体的には、弁部材44)の先端側(入口側流路25側)に設けられている。後述するように、主弁絞り53は、横穴53Aと、固定絞り53Bとにより構成されている。主弁絞り53は、主弁43の主弁座46から離れる方向の変位(図2ないし図5の上,下方向の上側への変位)に伴って、入口側流路25と出口側流路27との間の開口量を増大させる。
【0059】
フィードバック絞り54は、フィードバック流路49と背圧室47との間に設けられている。フィードバック絞り54は、主弁43(弁部材44の大径部44A)の外周面側に可変絞りとして設けられている。フィードバック絞り54は、主弁43の主弁座46から離れる方向(開弁方向)の変位に伴って、フィードバック流路49と背圧室47との間の開口量を増大させる。
【0060】
図2に示すように、パイロット弁55は、ハウジング22(パイロットハウジング36)に摺動可能に設けられている。即ち、パイロット弁55は、パイロットハウジング36の弁収容穴38内に摺動可能に挿嵌(嵌合)して設けられている。パイロット弁55は、パイロット絞り56を有するスプール弁体として構成されている。パイロット弁55は、パイロット室57に作動流体を導入して加圧することで変位する。また、パイロット弁55の変位に伴って、後述のドレン室59の内部の作動流体は、ドレンポート59Aより排出される。パイロット室57およびドレン室59は、パイロットハウジング36に設けられている。
【0061】
パイロット絞り56は、パイロット弁55に設けられている。即ち、パイロット絞り56は、パイロット弁55の外周面側に可変絞りとして設けられている。パイロット絞り56は、パイロット弁55の変位に伴って、パイロット流路50の開口量を減少させる。即ち、パイロット絞り56は、パイロット室57への圧油(パイロット圧)の供給に伴って、パイロット弁55が軸方向の一側(図2の左,右方向の右側に)に進む程、パイロット流路50の開口量を減少させる。この場合、パイロット絞り56は、軸方向の一側に進む程(パイロット室57から離れる程)、深さが深くなる切欠きとして構成されている。なお、パイロット絞りは、例えば、深さが一定の切欠きとして構成してもよい。
【0062】
蓋体58は、弁収容穴38の軸方向の一側に位置してパイロットハウジング36に螺合により取付けられている。蓋体58は、弁収容穴38の一側を閉塞することにより、パイロット弁55の一側にドレン室(ばね室)59を画成している。そして、蓋体58とパイロット弁55との間には、縮装状態でスプリング60が設けられている。スプリング60は、ワッシャ61を介してパイロット弁55を開弁方向に付勢する。即ち、ドレン室59には、パイロット弁55と接触するワッシャ61と、ワッシャ61を介してパイロット弁55を開弁方向に付勢するスプリング60とが設けられている。パイロットハウジング36に螺合する蓋体58は、スプリング60を付勢するように構成されている。
【0063】
パイロット弁55は、スプリング60により図1中に示す連通位置(a)に配置されるときに、パイロット流路50である第1,第2の通路39,40間をパイロット絞り56を介して連通させる。このとき、主弁43の背圧室47は、第1,第2の通路39,40およびメインハウジング23側の分岐通路35を介して出口側流路27と連通し、出口側流路27と等しい圧力に保たれる。これにより、主弁43は、全開位置まで開弁される。
【0064】
一方、パイロット弁55は、外部指令用の遠隔操作弁(図示せず)から給排ポート41を介してパイロット室57に供給される外部指令圧としてのパイロット圧が予め決められた所定の圧力値以上まで上昇したときに、スプリング60に抗して摺動変位し、第1,第2の通路39,40間を遮断する。これにより、パイロット弁55は、図1中に示す連通位置(a)から遮断位置(b)にスプリング60に抗して切換わる。このとき、主弁43の背圧室47は、第2の通路40(出口側流路27)に対して最小の開口量で連通される。これにより、主弁43は、最小開口位置となる。
【0065】
チェック弁62は、フィードバック流路49に設けられている。即ち、チェック弁62は、弁部材44と弁保持部材45との間に収容されている。チェック弁62は、弁保持部材45の保持筒部45B内に摺動可能に挿嵌され、常時は弁部材44の弁座44Fに着座するようにばね63により付勢されている。即ち、チェック弁用のばね63は、チェック弁62を閉弁方向に付勢する。チェック弁62は、入口側流路25から背圧室47への作動流体の流れを許容し、これとは逆の流れを阻止(遮断)する。即ち、チェック弁62は、弁部材44の円筒部44E側から入口側流路25内の圧力が作用すると、ばね63に抗して弁座44Fから離座するように開弁する。
【0066】
これにより、入口側流路25内の圧油は、弁部材44の段付穴部44Gおよび径方向穴44H、フィードバック絞り54を介して背圧室47に供給される。このように、チェック弁62は、主弁43内を入口側流路25から背圧室47に向けて圧油が流通するのを許し、逆向きの流れを阻止する。即ち、チェック弁62は、背圧室47内の油液が弁部材44の径方向穴44H等を介して段付穴部44G、入口側流路25に向け流通するのを阻止する。チェック弁62は、出口側流路27から入口側流路25への逆流を主弁43のシート部44Dと共に遮断する。
【0067】
このように構成される流量制御弁33は、流量制御機能とロードチェック機能とを有している。即ち、流量制御弁33は、パイロット絞り56の開口量に応じて主弁43の変位量(リフト量、即ち、開口面積)を制御することにより、入口側流路25から出口側流路27への流量(アーム用制御弁18を流通する圧油の流量)を可変に制御する流量制御機能を有している。これと共に、流量制御弁33は、出口側流路27の圧力に対して入口側流路25の圧力が低いときに、出口側流路27から入口側流路25への作動流体(油液)の流れを主弁43とチェック弁62とにより阻止するロードチェック機能を有している。
【0068】
次に、主弁43の円筒部44Eについて説明する。
【0069】
即ち、主弁43には、先端側となる入口側流路25側に位置して円筒部44Eが設けられている。換言すれば、主弁43の弁部材44は、先端側が円筒部44Eとなっている。円筒部44Eには、主弁絞り53が設けられている。また、円筒部44Eの基端側(シート部44D側)には、工具逃げ溝44Jが設けられている。即ち、円筒部44Eとシート部44Dとの接続部、換言すれば、シート部44Dと円筒部44Eとの間には、工具逃げ溝44Jが設けられている。工具逃げ溝44Jは、シート部44Dと円筒部44Eとの寸法精度および表面粗さを確保するために必要な加工工具の逃げ溝として機能している。
【0070】
主弁絞り53は、主弁43の軸方向の変位(図2ないし図5の上,下方向の変位)に伴って、入口側流路25から連通穴26を介して出口側流路27へと流れる圧油の流量(出口側流路27に対する連通穴26の開口面積)を調整する。主弁絞り53は、複数(例えば8個)の横穴53Aと、複数(例えば4個)の固定絞り53Bとにより構成されている。
【0071】
横穴53Aは、主弁43の円筒部44Eに設けられている。横穴53Aは、主弁43の径方向(主弁43の中心軸線に対して直交する方向)に延びている。即ち、横穴53Aは、円筒部44Eの外周側と内周側との間を貫通する貫通孔として円筒部44Eに形成されている。固定絞り53Bは、横穴53Aよりもシート部44D側に位置して主弁43の円筒部44Eに設けられている。固定絞り53Bは、主弁43の径方向(主弁43の中心軸線に対して直交する方向)に延びており、横穴53Aよりも小径の絞り孔として円筒部44Eに形成されている。
【0072】
即ち、固定絞り53Bも、横穴53Aと同様に、円筒部44Eの外周側と内周側との間を貫通している。固定絞り53Bは、工具逃げ溝44Jと対応する位置に設けられている。これにより、固定絞り53Bは、工具逃げ溝44Jに開口している。横穴53Aおよび固定絞り53Bは、主弁43の内部(より具体的には、円筒部44Eの内部)を介して入口側流路25と出口側流路27とを連通する。
【0073】
次に、フィードバック絞り54について説明する。
【0074】
フィードバック絞り54は、主弁43の弁部材44に設けられている。ここで、第1の実施の形態では、パイロット絞り56の開口量の比例制御範囲に対して主弁絞り53の開口量を比例制御できる範囲を拡大し、かつ、主弁絞り53の開口部(横穴53A)の開口・遮断が切換わる主弁43の変位近傍において流体力による主弁43の変位の振動的な挙動を抑制できるように構成している。このために、図2ないし図11に示すように、フィードバック絞り54は、主弁43の変位量に対する開口量の変化率が小さい小変化絞り54Aと、開口量の変化率が大きい大変化絞り54Bとにより構成されている。フィードバック絞り54の詳しい構成については、後述する。
【0075】
第1の実施の形態による流量制御弁33を備えた制御弁装置21は、上述の如き構成を有するもので、次に、その作動について説明する。
【0076】
まず、油圧ポンプ11から吐出された圧油は、ポンプ管路13の分岐管路13Aからメインハウジング23の入口側流路25、流量制御弁33の主弁43と連通穴26との間(主弁絞り53)を流通して出口側流路27に流れる。出口側流路27に流れた圧油は、アーム用制御弁18を中立位置(イ)から切換位置(ロ)または(ハ)に切換えることにより、一対のアクチュエータ管路19A,19Bを介してアームシリンダ9に給排される。
【0077】
アームシリンダ9に供給される圧油の流量は、流量制御弁33の主弁43における開口面積と、アーム用制御弁18のスプール29(切換ランド29A,29B)による開口面積とによって決められる。また、メインハウジング23の入口側流路25から出口側流路27に向けた圧油の流れを遮断する場合に、流量制御弁33の主弁43は、シート部44Dをメインハウジング23の主弁座46に着座させることにより、両流路25,27間を遮断する。
【0078】
ここで、入口側流路25から出口側流路27への流量を可変に制御する場合、パイロット弁55のパイロット室57にパイロット圧が供給されることによりパイロット室57が加圧され、パイロット弁55が図2の右方に向けて変位する。これにより、パイロット弁55のパイロット絞り56の開口量が可変に制御される。そして、例えば、出口側流路27に対して入口側流路25の圧力が高い場合、入口側流路25から出口側流路27に流れが生じる。このとき、入口側流路25からチェック弁62、フィードバック絞り54、背圧室47に流れが生じると共に、背圧室47からパイロット絞り上流管路51、パイロット絞り56、パイロット絞り下流管路52、出口側流路27にも流れが生じる。
【0079】
ここで、背圧室47と出口側流路27との間の開口量であるパイロット絞り56の開口量に対して、主弁43の開弁方向の変位量が大きい場合は、フィードバック絞り54の開口量が大きいため、背圧室47の圧力は入口側流路25の圧力に近付く。これにより、主弁43は、背圧室47の圧力による閉弁方向の力を受けて閉弁方向に変位する。この結果、主弁43の変位に伴って、フィードバック絞り54の開口量が減少するため、背圧室47の圧力は減圧され、主弁43に作用する背圧室47の圧力による閉弁方向の力が減少する。
【0080】
この位置フィードバック作用の結果、主弁43は、「入口側流路25と出口側流路27の圧力による開弁方向の力」と「背圧室47の圧力と弁ばね48による閉弁方向の力」とが釣り合う位置にて停止する。これにより、可変に制御されるパイロット絞り56の開口量に、フィードバック絞り54の開口量が対応するよう主弁43の変位量が制御される。そして、これに伴って、主弁絞り53の開口量が制御されることで、入口側流路25から出口側流路27への流量を可変に制御することができる。
【0081】
一方、入口側流路25から出口側流路27への流量を最小に制御する場合、パイロット室57は最大圧力に加圧され、パイロット弁55が最大変位量まで変位し、パイロット絞り56の開口量が最小に制御される。ここで、例えば、出口側流路27に対して入口側流路25の圧力が高い場合、入口側流路25から出口側流路27に流れが生じる。このとき、入口側流路25からチェック弁62、フィードバック絞り54、背圧室47に流れが生じると共に、背圧室47からパイロット絞り上流管路51、パイロット絞り56、パイロット絞り下流管路52、出口側流路27にも流れが生じる。
【0082】
上述した位置フィードバック作用により、パイロット絞り56の開口量にフィードバック絞り54の開口量が対応するよう主弁43の変位量が最小に制御される。そして、これに伴って、主弁絞り53の開口量が最小に制御されることで、入口側流路25から出口側流路27への流量を最小に制御することができる。
【0083】
また、ロードチェック機能に関して、出口側流路27に対して入口側流路25の圧力が低い場合、出口側流路27から入口側流路25に逆流が生じる傾向となる。このとき、出口側流路27からパイロット絞り下流管路52、パイロット絞り56、パイロット絞り上流管路51、背圧室47、フィードバック絞り54、チェック弁62、入口側流路25に流れが生じるが、この流れは、チェック弁62によって遮断される。これにより、背圧室47と出口側流路27の圧力が等しくなるため、主弁43には背圧室47の圧力による閉弁方向の力が生じて主弁43が閉弁方向に変位する。これにより、主弁43のシート部44Dが主弁座46に着座し、出口側流路27から主弁絞り53、入口側流路25への流れが遮断される。この結果、出口側流路27から入口側流路25への逆流が防止され、ロードチェック機能を果たすことができる。
【0084】
ここで、図2ないし図11に示すように、フィードバック絞り54は、主弁43の変位量に対する開口量の変化率が小さい小変化絞り54Aと、開口量の変化率が大きい大変化絞り54Bとにより構成されている。小変化絞り54Aと大変化絞り54Bは、主弁43(弁部材44)の外周面に別々に設けられている。この場合、小変化絞り54Aと大変化絞り54Bは、主弁43(弁部材44)の周方向にそれぞれ90度ずつ離間して交互に設けられている。即ち、小変化絞り54Aは、弁部材44の外周面に周方向に180度離間して2つ設けられている。大変化絞り54Bは、弁部材44の外周面に周方向に180度離間して2つ設けられている。小変化絞り54Aは、大変化絞り54Bに対して周方向に90度ずれている。
【0085】
小変化絞り54Aは、少なくとも主弁絞り53の開口部(横穴53A)が遮断されている主弁43の変位範囲(図6中の区間L1に相当)において、開口するように構成されている。この場合、図9に示すように、小変化絞り54Aは、主弁43の軸方向に延び、かつ、深さが一定の切欠き(溝)として主弁43(弁部材44)に形成されている。また、小変化絞り54Aは、「主弁絞り53の開口部(横穴53A)が遮断されている主弁43の変位範囲(図6中の区間L1に相当)」と「主弁絞り53の開口部(横穴53A)が開口している主弁43の変位範囲(図6中の区間L2に相当)」との両方にわたって主弁43(弁部材44)の軸方向に延びている。
【0086】
一方、大変化絞り54Bは、大変化絞り54Bの開口部の開口・遮断が切換わる主弁43の変位量が、主弁絞り53の開口部(横穴53A)の開口・遮断が切換わる主弁43の変位量と一致するよう構成されている。即ち、大変化絞り54Bは、主弁絞り53の開口部(横穴53A)が開口している主弁43の変位範囲(図6中の区間L2に相当)において、開口するように構成されている。この場合、図10に示すように、大変化絞り54Bは、主弁43の軸方向に延び、かつ、深さが主弁43の先端側に進む程深くなる溝(切欠き)として主弁43(弁部材44)に形成されている。また、大変化絞り54Bは、「主弁絞り53の開口部(横穴53A)が開口している主弁43の変位範囲(図6中の区間L2に相当)」にわたって主弁43(弁部材44)の軸方向に延びている。
【0087】
これにより、第1の実施の形態では、フィードバック絞り54は、主弁43の主弁座46に近付く方向の変位に対するフィードバック絞り54の開口量の変化率が小さい側に変化するようにフィードバック絞り54の開口量の変化区間を分ける境界部Kを有している。境界部Kは、変化率が異なる区間を分ける部分(変化部)に対応する。そして、境界部Kは、主弁43の主弁座46に近付く方向の変位に対して、主弁絞り53の開口部(横穴53A)が遮断される位置に対応する主弁43の変位領域内に存在している。換言すれば、境界部Kは、主弁絞り53の開口部(横穴53A)が遮断される位置に対応する主弁43の変位(変位領域)と一致する位置に存在している。この場合、フィードバック絞り54は、主弁43の変位に対するフィードバック絞り54の開口量の変化率が小さい小変化区間L1と開口量の変化率が大きい大変化区間L2とを有している。
【0088】
小変化区間L1は、小変化絞り54Aに対応する。小変化区間L1は、主弁絞り53の開口部(横穴53A)の開口・遮断が切換わる位置に対応する主弁43の変位(変位領域)を境界として主弁43の主弁座46に近付く方向の区間に存在する。大変化区間L2は、大変化絞り54Bおよび小変化絞り54Aに対応する。大変化区間L2は、主弁絞り53の開口部(横穴53A)の開口・遮断が切換わる位置に対応する主弁43の変位(変位領域)を境界として主弁43の主弁座46から離れる方向の区間に存在する。第1の実施の形態では、フィードバック絞り54は、主弁43の変位に対して開口する位置(変位位置、変位領域)が異なる2種類の切欠き、即ち、小変化絞り54Aと大変化絞り54Bとから構成されている。
【0089】
なお、第1の実施の形態では、フィードバック絞り54の開口量の変化率が変化する境界部K(即ち、大変化絞り54Bの開口・遮断が切換わる境界部K)は、主弁43の主弁座46に近付く方向の変位に対して、主弁絞り53の開口部(横穴53A)が遮断される位置に対応する主弁43の変位領域内に存在させている。換言すれば、境界部Kは、主弁絞り53の開口部(横穴53A)が遮断される位置に対応する主弁43の変位(変位領域)と一致する位置に存在している。この場合に、「一致」は、「完全に一致」する場合だけでなく、例えば、製造誤差等に伴う不可避的なずれにより、完全に一致しない場合(実質的に一致する場合)も含む。また、例えば、主弁絞り53の開口量を比例制御できる範囲を拡大でき、かつ、流体力による主弁43の変位の振動的な挙動を抑制できる範囲でずれる場合も、「一致」に含む。例えば、主弁43の変位量(最大開弁位置から最大閉弁位置までの軸方向の変位量)をHとする。この場合、境界部Kは、主弁絞り53の開口部(横穴53A)が遮断される位置に対応する主弁43の変位(変位領域)と「完全に一致」する位置から、例えば「±(1/35~1/70)H」程度ずれる場合も、「一致」に含む。即ち、「一致」は、「完全に一致」しない場合も許容される。
【0090】
図12および図13は、第1の実施の形態の流量制御弁33の特性を示している。図12および図13を用いてパイロット弁55の変位量に応じた主弁43の状態を説明する。パイロット弁55の変位量が「0」の場合、パイロット絞り56の開口量は最大となり、開弁方向の主弁43の変位量も主弁絞り53の開口量も最大となる。このときの主弁43の状態は図5に対応する。
【0091】
次に、図12において、パイロット弁55の変位量が「0」から「変位A」まで変化すると、パイロット絞り56の開口量は減少し、それに伴って主弁43の変位量も主弁絞り53の開口量も減少し、主弁絞り53の開口量は「0」に達する。このとき、フィードバック絞り54の開口量は、図13に示すように、小変化絞り54Aと大変化絞り54Bの開口量の合計値から構成される。また、パイロット弁55の「変位A」における主弁43の状態は、図4に対応する。
【0092】
次に、図12において、パイロット弁55の変位量が「変位A」から「変位B」まで変化すると、パイロット絞り56の開口量は減少し、それに伴って主弁43の変位量も減少して「0」に達する。このとき、フィードバック絞り54の開口量は、図13に示すように、小変化絞り54Aの開口量のみで構成される。また、パイロット弁55の「変位B」における主弁43の状態は、図3に対応する。
【0093】
このような第1の実施の形態では、パイロット絞り56の開口量の比例制御範囲に対して主弁絞り53の開口量を比例制御できる範囲を拡大できる。また、主弁絞り53の開口部(横穴53A)の開口・遮断が切換わる主弁43の変位(変位領域)近傍において、流体力による主弁43の変位の振動的な挙動を抑制でき、高精度な流量制御を行うことができる。この点について、第1の実施の形態の流量制御弁33の特性と比較例の流量制御弁101(図24)の特性とを比較しつつ説明する。
【0094】
図12および図13は、第1の実施の形態の流量制御弁33の特性を示している。これに対して、図13中の破線(特性線100)および図25は、比較例の流量制御弁101(図24)の特性を示している。第1の実施の形態では、図13に示すように、比較例のフィードバック絞り103の最小開口量および最大開口量と一致させつつも、主弁絞り53が開口している主弁43の変位範囲(図6中の区間L2に相当)において、フィードバック絞り54の開口量を小変化絞り54Aと大変化絞り54Bの開口量の合計値から構成している。
【0095】
このため、比較例のフィードバック絞り103の開口量の変化率に対して、第1の実施の形態のフィードバック絞り54の開口量の変化率を大きくすることができる。これにより、図12および図25に示すように、第1の実施の形態の場合のパイロット弁の変位量「0」から「変位A」の範囲を、比較例の場合のパイロット弁の変位量「0」から「変位A」の範囲に対して広くすることができる。この結果、主弁絞り53の開口量の比例制御範囲を拡大して比例制御性を向上させることができる。
【0096】
また、図13に示すように、主弁絞り53の開口部(横穴53A)が遮断されている主弁43の変位範囲(図6中の区間L1に相当)において、フィードバック絞り54の開口量を小変化絞り54Aのみから構成している。このため、比較例のフィードバック絞り103の開口量の変化率に対して、第1の実施の形態のフィードバック絞り54の開口量の変化率を小さくすることができる。
【0097】
これにより、図12および図25に示すように、第1の実施の形態の場合のパイロット弁の「変位A」から「変位B」までの範囲を、比較例の場合のパイロット弁の「変位A」から「変位B」までの範囲に対して狭くすることができる。このため、主弁43の変位に対して位置フィードバック作用として機能する圧力による力を大きくすることができる。この結果、相対的に流体力が主弁43の変位に与える影響を抑制することができ、流体力による主弁43の変位の振動的な挙動を抑制することができる。
【0098】
以上のように、第1の実施の形態によれば、フィードバック絞り54は、主弁43の主弁座46に近付く方向の変位に対するフィードバック絞り54の開口量の変化率が小さい側に変化するようにフィードバック絞り54の開口量の変化区間を分ける境界部Kを有している。そして、境界部Kは、主弁43の主弁座46に近付く方向の変位に対して、主弁絞り53の開口部(横穴53A)が遮断される位置に対応する主弁43の変位領域内に存在する。このため、パイロット絞り56の開口量を徐々に減少させると、主弁43は、フィードバック絞り54の開口量が境界部Kに到達するまで変位し、この区間、即ち、「区間L2」において主弁絞り53の開口量を比例制御することができる。
【0099】
さらに、パイロット絞り56の開口量が減少すると、主弁43は、フィードバック絞り54の開口量が対応する値になるまで変位するが、境界部Kを通過後は、フィードバック絞り54の開口量の変化が小さくなる。このため、境界部Kの通過前と比較して、主弁43の変位の変化率は大きくなり、主弁43が主弁座46に着座する。この区間、即ち、「区間L1」は、主弁絞り53の開口部(横穴53A)が遮断されており、かつ、主弁43の変位の変化率が大きい。従って、パイロット絞り56の開口量の比例制御範囲に対して主弁絞り53の開口部(横穴53A)が遮断されている範囲を縮小し、主弁絞り53が開口している範囲を拡大することができる。即ち、前述した第1の問題を解決することができる。
【0100】
また、境界部Kを通過後の区間、即ち、「区間L1」において、主弁43の変位の変化率が大きいということは、主弁43の変位に対して位置フィードバック作用として機能する圧力による力が大きいということである。このため、相対的に流体力が主弁43の変位に与える影響を抑制することができる。従って、流体力による主弁43の変位の振動的な挙動を抑制することができる。即ち、前述した第2の問題も解決することができる。
【0101】
第1の実施の形態によれば、フィードバック絞り54は、小変化区間L1と大変化区間L2とを有している。そして、小変化区間L1は、主弁絞り53の開口部(横穴53A)の開口・遮断が切換わる主弁43の位置に対応する変位位置(変位領域)を境界として主弁43の主弁座46に近付く方向の区間に存在する。また、大変化区間L2は、主弁絞り53の開口部(横穴53A)の開口・遮断が切換わる位置に対応する主弁43の変位位置(変位領域)を境界として主弁43の主弁座46から離れる方向の区間に存在する。このため、小変化区間L1と大変化区間L2との境界を、フィードバック絞り54の開口量の変化率が変化する境界部Kとすることができる。
【0102】
第1の実施の形態によれば、フィードバック絞り54は、主弁43の変位に対して開口する変位位置(変位領域)が異なる2種類の切欠き、即ち、小変化絞り54Aと大変化絞り54Bとから構成されている。このため、2種類の切欠きのうちの「一方の切欠き(小変化絞り54A)」と「他方の切欠き(大変化絞り54B)」との境界を、フィードバック絞りの開口量の変化率が変化する境界部Kとすることができる。
【0103】
次に、図14ないし図17は、第2の実施の形態を示している。第2の実施の形態の特徴は、フィードバック絞りを途中で幅および深さが異なる1種類の切欠きにより構成したことにある。なお、第2の実施の形態では、上述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0104】
第2の実施の形態のフィードバック絞り71は、主弁43の変位量に対する開口量の変化率が小さい小変化絞り71Aと、開口量の変化率が大きい大変化絞り71Bとが互いに連通するように構成されている。即ち、フィードバック絞り71は、小変化絞り71Aと大変化絞り71Bとが連通する1種類の絞りとして構成されている。フィードバック絞り71は、主弁43(弁部材44)の周方向に180度離間して2つ設けられている。
【0105】
小変化絞り71Aは、主弁絞り53の開口部(横穴53A)が遮断されている主弁43の変位範囲(図14中の区間L1に相当)において、開口するように構成されている。この場合、図16および図17に示すように、小変化絞り71Aは、主弁43の軸方向に延び、かつ、深さが一定の切欠き(溝)として主弁43(弁部材44)に形成されている。
【0106】
一方、大変化絞り71Bは、小変化絞り71Aと接続されており、小変化絞り71Aから大変化絞り71Bに切換わる主弁43の変位量が、主弁絞り53の開口部(横穴53A)の開口・遮断が切換わる主弁43の変位量と一致するよう構成されている。即ち、大変化絞り71Bは、主弁絞り53の開口部(横穴53A)が開口している主弁43の変位範囲(図14中の区間L2に相当)において、開口するように構成されている。この場合、図16および図17に示すように、大変化絞り71Bは、主弁43の軸方向に延び、かつ、深さが主弁43の先端側に進む程深くなる溝(切欠き)として主弁43(弁部材44)に形成されている。大変化絞り71Bは、小変化絞り71Aよりも幅が大きく、かつ、深さも深い。
【0107】
これにより、第2の実施の形態も、第1の実施の形態と同様に、フィードバック絞り71は、主弁43の主弁座46に近付く方向の変位に対するフィードバック絞り71の開口量の変化率が小さい側に変化するようにフィードバック絞り71の開口量の変化区間を分ける境界部Kを有している。そして、境界部Kは、主弁43の主弁座46に近付く方向の変位に対して、主弁絞り53の開口部(横穴53A)が遮断される位置に対応する主弁43の変位領域内に存在している。この場合、フィードバック絞り71は、主弁43の変位に対するフィードバック絞り71の開口量の変化率が小さい小変化区間L1と開口量の変化率が大きい大変化区間L2とを有している。
【0108】
小変化区間L1は、小変化絞り71Aに対応する。小変化区間L1は、主弁絞り53の開口部(横穴53A)の開口・遮断が切換わる位置に対応する主弁43の変位(変位位置、変位領域)を境界として主弁43の主弁座46に近付く方向の区間に存在する。大変化区間L2は、大変化絞り71Bに対応する。大変化区間はL2、主弁絞り53の開口部(横穴53A)の開口・遮断が切換わる主弁43の変位(変位位置、変位領域)を境界として主弁43の主弁座46から離れる方向の区間に存在する。第2の実施の形態では、フィードバック絞り71は、幅と深さとが異なる組合せで構成された1種類の互いに連通する切欠き、即ち、小変化絞り71Aと大変化絞り71Bとを互いに連通させた1種類の切欠き(溝)から構成されている。
【0109】
第2の実施の形態は、上述の如き小変化絞り71Aと大変化絞り71Bとによりフィードバック絞り71を構成したもので、その基本的作用については、上述した第1の実施の形態によるものと格別差異はない。即ち、第2の実施の形態のフィードバック絞り71も、図13に示す開口特性を実現することができる。このため、第2の実施の形態も、第1の実施の形態と同様の効果を発揮することができる。特に、第2の実施の形態によれば、フィードバック絞り71は、幅および深さが異なる組合せで構成された1種類の互いに連通する切欠き、即ち、小変化絞り71Aと大変化絞り71Bとを互いに連通させた切欠きにより構成されている。このため、切欠きのうち幅および深さの異なる部位、即ち、小変化絞り71Aと大変化絞り71Bとの接続部(境界)を、フィードバック絞り71の開口量の変化率が変化する境界部Kとすることができる。
【0110】
なお、上述した第2の実施の形態では、フィードバック絞り71を、幅と深さとが異なる組合せで構成された1種類の互いに連通する切欠き、即ち、小変化絞り71Aと大変化絞り71Bとを互いに連通させた切欠き(溝)により構成した場合を例に挙げて説明した。しかし、これに限らず、例えば、図18ないし図20に示す第1の変形例のように、フィードバック絞り72を幅が同じで深さが異なる組合せで構成された1種類の互いに連通する切欠き、即ち、小変化絞り72Aと大変化絞り72Bとを互いに連通させた切欠き(溝)により構成してもよい。
【0111】
また、例えば、図21ないし図23に示す第2の変形例のように、フィードバック絞り73を深さが同じで幅が異なる組合せで構成された1種類の互いに連通する切欠き、即ち、小変化絞り73Aと大変化絞り73Bとを互いに連通させた切欠き(溝)により構成してもよい。また、図示は省略するが、フィードバック絞りは、幅または深さが異なる組合せで構成された2種類以上の互いに連通する切欠きにより構成してもよい。即ち、フィードバック絞りは、幅または深さが少なくとも1つ以上異なる組合せで構成された少なくとも1種類以上の互いに連通する切欠きから構成することができる。
【0112】
上述した第1の実施の形態では、フィードバック絞り54を主弁43の変位に対して開口する位置(変位位置、変位領域)が異なる2種類の切欠き、即ち、小変化絞り54Aと大変化絞り54Bとから構成した場合を例に挙げて説明した。しかし、これに限らず、例えば、主弁の変位に対して開口する位置(変位位置、変位領域)が異なる3種またはこれ以上の切欠きから構成してもよい。即ち、フィードバック絞りは、主弁の変位に対して開口する位置(変位位置、変位領域)が異なる少なくとも2種類以上の切欠きから構成することができる。
【0113】
第1の実施の形態では、フィードバック絞り54の開口量の変化率が変化する境界部Kを、主弁43の主弁座46に近付く方向の変位に対して、主弁絞り53の開口部(横穴53A)が遮断される位置に対応する主弁43の変位領域内に存在する場合を例に挙げて説明した。しかし、これに限らず、例えば、図13中に二点鎖線の特性線81で示すように、フィードバック絞りの開口量の変化率が変化する境界部K′を、主弁の主弁座に近付く方向の変位に対して、主弁絞りの開口部が遮断される位置に対応する主弁の変位領域内よりも主弁の主弁座に近い変位区間内(例えば、図6の区間L1内)に存在するようにしてもよい。
【0114】
この場合、境界部K′は、図13中の点P1と点P2と点P3とにより囲まれた三角形の範囲内に位置させることができる。これにより、図13中に破線で示す比較例の特性線100よりも、主弁絞りの開口量を比例制御できる範囲を拡大し、かつ、主弁の振動的な挙動を抑制することができる。即ち、境界部は、主弁の主弁座に近付く方向の変位に対して、主弁絞りの開口部が遮断される位置に対応する主弁の変位領域内に存在するか、または、これよりも主弁の主弁座に近い変位区間に存在する構成とすることができる。
【0115】
換言すれば、境界部は、「主弁絞りの開口部が遮断される位置に対応する主弁の変位領域」と「主弁の変位量が0となる位置(主弁が主弁座に着座する位置)」との間に設けることができる。この場合、境界部は、「主弁絞りの開口部が遮断される位置に対応する主弁の変位領域」に存在することが最も好ましい。また、境界部は、「主弁絞りの開口部が遮断される位置に対応する主弁の変位領域」に近い程より好ましい。このことは、第2の実施の形態、第1の変形例、第2の変形例についても同様である。
【0116】
第1の実施の形態では、フィードバック絞り54の開口量の変化率が変化する境界部Kを1つ有する構成とした場合を例に挙げて説明した。しかし、これに限らず、境界部は、2つ、3つ、さらにそれ以上等、複数有する構成としてもよい。この場合に、例えば、図13中の直線P1-P2と直線P2-P3とに沿うように複数の境界部を連続させてもよい。即ち、フィードバック絞りは、主弁の主弁座に近付く方向の変位に対するフィードバック絞りの開口量の変化率が小さい側に変化するようにフィードバック絞りの開口量の変化区間を分ける境界部を少なくとも1つ以上有する構成とすることができる。そして、境界部のうち少なくとも1つは、主弁の主弁座に近付く方向の変位に対して、主弁絞りの開口部が遮断される位置に対応する主弁の変位領域内に存在するか、または、これよりも主弁の主弁座に近い変位区間に存在する構成とすることができる。このことは、第2の実施の形態、第1の変形例、第2の変形例についても同様である。
【0117】
第1の実施の形態では、メインハウジング23とパイロットハウジング36とにより一つの(一体または共通)ケーシングを構成した場合を例に挙げて説明した。しかし、これに限らず、例えば、メインハウジングとパイロットハウジングとを分離して配置すると共に、これらメインハウジングとパイロットハウジングとの間に接続管路を設ける構成としてもよい。この場合、主弁室は、メインハウジングに設けられる。即ち、主弁室は、上述した実施の形態のようにメインハウジングとパイロットハウジングとにわたって設ける構成を採用することができる他、メインハウジングに設ける構成を採用することができる。要するに、主弁室は、ハウジング(より具体的には、メインハウジングとパイロットハウジングとのうちの少なくともメインハウジング)に設けられる。このことは、第2の実施の形態、第1の変形例、第2の変形例についても同様である。
【0118】
第1の実施の形態では、パイロット弁55のパイロット絞り56を、パイロット弁55の変位に伴ってパイロット流路50の開口量を減少させる構成とした場合を例に挙げて説明した。しかし、これに限らず、例えば、パイロット弁のパイロット絞りを、パイロット弁の変位に伴ってパイロット流路の開口量を増大させる構成としてもよい。このことは、第2の実施の形態、第1の変形例、第2の変形例についても同様である。
【0119】
第1の実施の形態では、アーム用制御弁18からアームシリンダ9に向けて給排される圧油の流量を調整する流量制御弁33を例に挙げて説明した。しかし、これに限らず、例えば、ブーム用制御弁16からブームシリンダ8に給排する圧油の流量調整を行う場合の流量制御弁に適用してもよく、バケットシリンダまたはこれ以外の油圧アクチュエータに方向制御弁を通じて圧油を給排する場合の流量制御弁にも適用することができる。このことは、第2の実施の形態、第1の変形例、第2の変形例についても同様である。
【0120】
上述した各実施の形態および各変形例では、建設機械として、油圧ショベル1を例に挙げて説明した。しかし、これに限らず、例えば、ホイールローダ、油圧クレーン、ブルドーザ等、各種の建設機械に広く適用することができる。また、流量制御弁33は、主弁43の変位量(リフト量)に応じて作動流体の流量を小流量から大流量へと可変に制御する構成であればよく、各種の産業機器、機械機器に用いる流量制御弁として広く適用することができる。
【0121】
さらに、各実施の形態および各変形例は例示であり、各実施の形態および各変形例で示した構成の部分的な置換または組合せが可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0122】
1:油圧ショベル(建設機械)
21:制御弁装置
22:ハウジング
25:入口側流路
27:出口側流路
33:流量制御弁
36:パイロットハウジング
42:主弁室
43:主弁
44D:シート部(弁部)
46:主弁座
47:背圧室
49:フィードバック流路
50:パイロット流路
53:主弁絞り
54,71,72,73:フィードバック絞り
54A:小変化絞り(切欠き、小変化区間、大変化区間)
54B:大変化絞り(切欠き、大変化区間)
55:パイロット弁
56:パイロット絞り
71A,72A,73A:小変化絞り(切欠き、小変化区間)
71B,72B,73B:大変化絞り(切欠き、大変化区間)
K,K′:境界部
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