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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-13
(45)【発行日】2024-12-23
(54)【発明の名称】化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/891 20060101AFI20241216BHJP
   A61K 8/19 20060101ALI20241216BHJP
   A61K 8/29 20060101ALI20241216BHJP
   A61K 8/28 20060101ALI20241216BHJP
   A61K 8/27 20060101ALI20241216BHJP
   A61Q 1/00 20060101ALI20241216BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20241216BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALI20241216BHJP
【FI】
A61K8/891
A61K8/19
A61K8/29
A61K8/28
A61K8/27
A61Q1/00
A61Q19/00
A61Q17/04
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2024513982
(86)(22)【出願日】2023-12-08
(86)【国際出願番号】 JP2023044036
(87)【国際公開番号】W WO2024122637
(87)【国際公開日】2024-06-13
【審査請求日】2024-06-07
(31)【優先権主張番号】P 2022196466
(32)【優先日】2022-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000221111
【氏名又は名称】モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(72)【発明者】
【氏名】堀江 豊
(72)【発明者】
【氏名】李 慶華
【審査官】田中 雅之
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-234993(JP,A)
【文献】特開平11-315009(JP,A)
【文献】特開平03-264510(JP,A)
【文献】Mercadona, Spain,Hydra-Vital Concealer,Mintel GNPD [online],2021年06月,Internet<URL:https://portal.mintel.com>,ID#8808919, [検索日:2024.07.10], 表題部分及び成分
【文献】Topshop, UK,The Foundation,Mintel GNPD [online],2014年10月,Internet<URL:https://portal.mintel.com>,ID#2604655, [検索日:2024.07.10], 表題部分及び成分
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/KOSMET(STN)
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の(A)成分、(B)成分、(C)成分を含有する化粧料。
(A)1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチル-3-アルキル(C10-14)トリシロキサンから選ばれる1または2以上であって、少なくとも(A-1)1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチル-3-デシルトリシロキサン及び(A-2)1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチル-3-ドデシルトリシロキサンのいずれかを含む(A)成分
(B)金属酸化物微粒子
(C)ポリジメチルシロキサン、ポリジメチルシロキサン-ポリジフェニルシロキサン共重合体、ポリメチルトリメチルシリルシロキサン-ポリジフェニルシロキサン共重合体、トリメチルシリル末端モノまたはポリトリメチルシリルフェニルシロキサン、ポリエーテル変性オイル、またはこれらの組み合わせから選ばれる、数平均分子量400以上、30,000未満のシリコーンオイル((A)成分は除く)
【請求項2】
(A)成分が、(A-1)1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチル-3-デシルトリシロキサン、(A-2)1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチル-3-ドデシルトリシロキサンおよび(A-3)1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチル-3-テトラデシルトリシロキサンから選ばれる、(A-1)成分と(A-2)成分、(A-1)成分と(A-3)成分および(A-2)成分と(A-3)成分のいずれかである、請求項1記載の化粧料。
【請求項3】
(A)成分が、(A-1)1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチル-3-デシルトリシロキサン、(A-2)1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチル-3-ドデシルトリシロキサンおよび(A-3)1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチル-3-テトラデシルトリシロキサンの3成分である、請求項1記載の化粧料。
【請求項4】
(B)成分の金属酸化物微粒子が、微粒子酸化鉄、微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛、微粒子酸化ジルコニウム、微粒子酸化セリウムまたはこれらの組み合わせから選ばれる、請求項1記載の化粧料。
【請求項5】
(B)成分の金属酸化物微粒子が、微粒子酸化鉄、微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛、微粒子酸化ジルコニウム、微粒子酸化セリウムまたはこれらの組み合わせから選ばれ、親水化処理または疎水化処理がされたものである、請求項1記載の化粧料。
【請求項6】
(C)成分のシリコーンオイルが次の組成式で示される、請求項1記載の化粧料。
RaSiO(4-a)/2
(ここでRは、置換または非置換の1価炭化水素基であり、前記1価炭化水素基は同一でもよく、異なるものでもよく、aは4未満の正の数を示す)
【請求項7】
(C)成分のシリコーンオイルが、表面張力が30mN/m以下である、請求項1記載の化粧料。
【請求項8】
(A)成分の含有量と(C)成分の含有量の質量比((A)/(C))が0.1~5の範囲である、請求項1記載の化粧料。
【請求項9】
(A)成分、(B)成分、(C)成分を合計で3~85質量%含有する、請求項1記載の化粧料。
【請求項10】
液状、粉末状、固形、乳化型のいずれかの剤型である、請求項1~のいずれか1項記載の化粧料。
【請求項11】
ファンデーション、化粧下地、日焼け止め、口紅、アイシャドー、ネイル、おしろい、コンシーラー、マスカラ、及びボディクリームから選ばれる皮膚化粧料である、請求項1~のいずれか1項記載の化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファンデーション、化粧下地、サンスクリーン、口紅、ネイル、おしろいなどとして使用できる化粧料に関する。
背景技術
【0002】
近年、化粧料に対する需要は多様化の一途をたどり、これを受ける形でその製品形態も、ファンデーション、サンスクリーン、口紅、ネイル、おしろいなどの品目構成面のみならず、これをより細分化する形で液状、粉末状、固形、乳化型などの形態面の要素が加わって多岐にわたるものとなっている。
【0003】
これら化粧料には、顔料や酸化金属サンスクリーン剤粉体が必須となる化粧料が多いが、そうした粉体の多岐にわたる形態の化粧料への分散性改良が課題である。そこで、表面処理粉体の使用や、親油性の界面活性剤を使用することで粉の分散性向上を図る技術が知られている。
【0004】
特開2013-139400号公報、特開2004-182729号公報、特開2015-124220号公報、特開2016-210744号公報には、粉体の分散性向上や感触調整のために、種々の表面処理剤を用いた表面処理粉体が検討されている。
【0005】
特開平3-264510号公報、特開2003-012466号公報、特開2003-146833号公報、特開2003-226631号公報には、親油性界面活性剤として1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチル-3-ドデシルトリシロキサンを含むアルキル変性トリシロキサンを使用することで粉の分散性向上を図る検討がされている。
発明の概要
【0006】
本発明は、金属酸化物微粒子の分散性に優れ、配合しやすく、経時安定性に優れる化粧料に関するものである。
【0007】
上記した従来技術では、化粧料成分としての粉体の分散性向上は、表面処理粉体の使用や親油性の界面活性剤を使用することでは解決できなかった。本発明者らは、1,1,1,
3,5,5,5-ヘプタメチル-3-アルキル(C10-14)トリシロキサンと前記1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチル-3-アルキル(C10-14)トリシロキサンを除く
、数平均分子量400以上、30,000未満のシリコーンオイルを併用することで、金
属酸化物微粒子の分散性の向上効果が高められることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち本発明は、下記の(A)成分、(B)成分、(C)成分を含有する化粧料である。
(A)1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチル-3-アルキル(C10-14)トリシロキサンから選ばれる1または2以上
(B)金属酸化物微粒子
(C)数平均分子量400以上、30,000未満のシリコーンオイル((A)成分は除く)
【0009】
本発明の化粧料は、(A)成分と(C)成分の併用により(B)成分の分散性が向上されているため、化粧料の経時安定性が優れており、含有成分が分離することが抑制される。さらに(B)成分の分散性が向上されることで、(B)成分を含有することによる効果の1つである紫外線防止効果も高められるので好ましい。
【0010】
また、本発明の化粧料は、(B)成分の分散性が向上されるため、(B)成分の含有量を調整することで紫外線防止効果を調整させることができる。また本発明の化粧料は、(B)成分の含有量に応じて(A)成分と(C)成分の含有量を調整することで、使用時において滑らかさや伸び感が良く、美しい外観を与えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(A)成分は、1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチル-3-アルキル(C10-14)トリシロキサンから選ばれる1または2以上であってよい。また(A)成分は、常温でオイル状であってよい。
【0012】
(A)成分は(C)成分と併用することで、化粧料中の(B)成分の分散性を高めるように作用する成分であると考えられる。
【0013】
(A)成分の非限定的な例としては、(A-1)1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチル-3-デシルトリシロキサン、(A-2)1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチル-3-ドデシルトリシロキサン、(A-3)1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチル-3-テトラデシルトリシロキサンを挙げることができる。
【0014】
上記した(A-1)成分、(A-2)成分および(A-3)成分は、それぞれ(A)成分として単独で使用することができる。(A)成分を単独成分として使用する場合には(A-2)成分を用いることが好ましい。
【0015】
(A)成分としては、(A-1)成分と(A-2)成分の混合物、(A-1)成分と(A-3)成分の混合物、(A-2)成分と(A-3)成分の混合物、(A-1)成分、(A-2)成分および(A-3)成分の混合物を使用することができる。
【0016】
(A)成分を(A-1)成分と(A-2)成分の混合物または(A-2)成分と(A-3)成分の混合物として使用する場合には、混合物100質量%中に含まれる(A-2)成分の含有量は50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることがさらに好ましい。
【0017】
(A)成分を(A-1)成分と(A-3)成分の混合物として使用する場合には、(A-1)成分と(A-3)成分の合計量100質量%中、(A-1)成分は20~80質量%が好ましく、30~70質量%がより好ましく、40~60質量%がさらに好ましい。またこの場合、(A-3)成分は(A-1)成分と(A-3)成分の合計量100質量%中80~20質量%が好ましく、70~30質量%がより好ましく、60~40質量%がさらに好ましい。
【0018】
(A)成分を(A-1)成分、(A-2)成分、(A-3)成分の混合物として使用する場合には、(A-1)成分、(A-2)成分、(A-3)成分の合計100質量%中、(A-1)成分は5~80質量%が好ましく、10~70質量%がより好ましく、20~60質量%がさらに好ましい。またこの場合、(A-2)成分は(A-1)成分、(A-2)成分、(A-3)成分の合計100質量%中10~70質量%が好ましく、15~60質量%がより好ましく、20~50質量%がさらに好ましい。またこの場合、(A-3)成分は(A-1)成分、(A-2)成分、(A-3)成分の合計100質量%中10~70質量%が好ましく、15~60質量%がより好ましく、20~50質量%がさらに好ましい。
【0019】
(B)成分の金属酸化物微粒子の非限定的な例としては、微粒子酸化鉄、微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛、微粒子酸化ジルコニウム、微粒子酸化セリウムまたはこれらの組み合わせなどを挙げることができる。
【0020】
(B)成分の金属酸化物微粒子の形状は特に限定されず、例えば球状や板状、規則形状または不規則形状であることができる。また(B)成分の金属酸化物微粒子は親水化処理または疎水化処理されたものであってもよい。
【0021】
(B)成分の金属酸化物微粒子は、通常の金属酸化物微粒子含有化粧料に用いられるものであれば特に制限されずに使用することができる。また、(B)成分の金属酸化物微粒子の粒子径は、例えば、レーザー回折・散乱法によって測定して、その平均粒子径が10μm以下であってよい。(B)成分の金属酸化物微粒子の平均粒子径の下限は特に限定されないが、通常は0.1μm程度であってよい。
【0022】
(B)成分の金属酸化物微粒子は、紫外線防止効果を付与するように機能する成分であってよい。紫外線防止効果を付与する機能を有する成分である場合、化粧料中の(B)成分の含有量を調整する(増減する)ことで、紫外線防止効果のレベル(例えば、SPF値で評価される紫外線防止レベル)を調整することができる。
【0023】
微粒子酸化鉄としては、限定するものではないが、ベンガラ、オーカー、マグネタイトまたはこれらの組み合わせなどの顔料を使用してよい。またそれらを表面疎水化処理したものを用いることができる。
【0024】
微粒子酸化チタンは、硫酸法や塩素法などの方法により製造することができ、市販品を用いることもできる。市販の微粒子酸化チタンの非限定的な例としては、SIVシリーズ、TTO-55シリーズ、TTO-Sシリーズ(以上、石原産業株式会社製)、MT-100TV、MT-500V、MT-01(以上、テイカ株式会社製)などを挙げることができる。
【0025】
微粒子酸化チタンは、必要に応じて表面を親水化処理または疎水化処理したものを用いることができる。親水化処理手段としては、グリセリンなどの多価アルコール処理、ヒアルロン酸処理などの表面処理を挙げることができる。疎水化処理手段としては、フッ素化合物処理、シリコーン処理、アルキル処理、アルキルシラン処理、金属石鹸処理、水溶性高分子処理、アミノ酸処理、N-アシルアミノ酸処理、レシチン処理、有機チタネート処理、ポリオール処理、アクリル樹脂処理、メタクリル樹脂処理、ウレタン樹脂処理などの表面処理を挙げることができる。
【0026】
微粒子酸化チタンや表面処理微粒子酸化チタンは、そのまま粉体含有化粧料に配合することができる。必要に応じて、タルク、マイカ、セリサイトなどの板状粉体、シリカ、球状粉体などの他の粉体の表面に被覆したものを用いることができる。
【0027】
板状粉体や球状粉体に微粒子酸化チタンを被覆することにより、微粒子酸化チタンの凝集が減少し、高い紫外線防御効果が得られるので好ましい。また、板状粉体や球状粉体に微粒子酸化チタンを被覆することにより、微粒子酸化チタン特有の使用感上の軋みが減少し、良好な使用感の化粧料を得ることができるので好ましい。
【0028】
微粒子酸化亜鉛の形状は特に限定されない。微粒子酸化亜鉛としては市販品を使用することができる。市販品の非限定的な例としては、FINEX-25、FINEX-30、FINEX-50(以上、堺化学工業株式会社製)、MZ-300、MZ-500(以上、テイカ株式会社製)などを挙げることができる。
【0029】
微粒子酸化亜鉛は、必要に応じて表面を親水化処理または疎水化処理したものを用いることができる。親水化処理手段としては、グリセリンなどの多価アルコール処理、ヒアルロン酸処理などの表面処理を挙げることができる。疎水化処理手段としては、フッ素化合物処理、シリコーン処理、アルキル処理、アルキルシラン処理、金属石鹸処理、水溶性高分子処理、アミノ酸処理、N-アシルアミノ酸処理、レシチン処理、有機チタネート処理、ポリオール処理、アクリル樹脂処理、メタクリル樹脂処理、ウレタン樹脂処理などの表面処理を挙げることができる。
【0030】
微粒子酸化亜鉛や表面処理微粒子酸化亜鉛は、そのまま粉体含有化粧料に配合することができる。また必要に応じて、タルク、マイカ、セリサイトなどの板状粉体、シリカ、球状粉体など他の粉体の表面に被覆したものを用いることができる。
【0031】
板状粉体や球状粉体に微粒子酸化亜鉛を被覆することにより、微粒子酸化亜鉛の凝集が減少し、高い紫外線防御効果を得ることができるので好ましい。また、板状粉体や球状粉体に微粒子酸化亜鉛を被覆することにより、微粒子酸化亜鉛特有の使用感上の軋みが減少し、良好な使用感の化粧料を得ることができるので好ましい。
【0032】
(C)成分は、数平均分子量400以上、30,000未満のシリコーンオイルであり
、(A)成分に相当する成分は含まれない。
【0033】
(C)成分の数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフ法、液体クロマトグラフ法、ガスクロマトグラフ法、静的光散乱法など公知の測定法で測定されたものであってよい。一般的にはゲル浸透クロマトグラフ法で測定してよく、溶媒としてトルエン、標準としてポリスチレンを使用してよい。分子量が1000を下回るような場合にはガスクロマトグラフ法を使用してよい。
【0034】
シリコーンオイルは数平均分子量が400未満の場合、比較的高い揮発性を有するものが多く、使用時に揮発して粉体分散性が低下する場合がある。、また、数平均分子量が30,000以上の場合、粘度が高くて、おのおの粉体の分散性が低下する場合がある。そ
のため(C)成分としては、数平均分子量400以上、30,000未満のシリコーンオ
イルが必要とされる。粉体の良好な分散性を考えた場合、(C)成分は数平均分子量400以上25,000未満のシリコーンオイルであることが好ましく、数平均分子量400
以上20,000未満のシリコーンオイルであることがさらに好ましい。
【0035】
(C)成分は(A)成分と併用することで、化粧料中の(B)成分の分散性を高めるように作用する成分である。化粧料中の(B)成分の分散性が向上されることで、(B)成分を含有することによる効果の1つである紫外線防止効果も高められるので好ましい。
【0036】
1つの非限定的な実施形態において、(C)成分のシリコーンオイルは、220℃以上の沸点または熱分解温度を有していてよい。(C)成分の沸点または熱分解温度は大気圧下で測定されてよい。
【0037】
(C)成分のシリコーンオイルとしては、次の平均組成式で示されるものが好ましい。
RaSiO(4-a)/2
(ここでRは、置換または非置換の1価炭化水素基であり、前記1価炭化水素基は同一でもよく、異なるものでもよく、aは4未満の正の数を示す)
【0038】
Rの置換または非置換の1価炭化水素基としては、例えば置換基を除いた部分で炭素数1~12、特に1~8のものを挙げることができる。Rの置換または非置換の1価炭化水素基の非限定的な例としては、メチル基、エチル基、ヘキシル基、デシル基などのアルキル基、フェニル基などのアリール基、2-メチルフェニルエチル基などのアラルキル基、3-アミノプロピル基、2-アミノエチル-3-アミノプロピル基などのアミノ含有基、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレン基などのポリオキシアルキレン基などを挙げることができる。
【0039】
(C)成分は(A)成分と共に(B)成分の金属酸化物微粒子の分散性を向上させる点から、表面張力が30mN/m以下であること好ましい。(C)成分の表面張力は、例えばプレート法(ウィルヘルミー法)、またはリング法(デュヌイ法)で測定して30mN/m以下であることが好ましく、25mN/m以下であることが特に好ましい。
【0040】
(C)成分のシリコーンオイルとしては、ポリジメチルシロキサン、ポリジメチルシロキサン-ポリジフェニルシロキサン共重合体、ポリメチルトリメチルシリルシロキサン-ポリジフェニルシロキサン共重合体、トリメチルシリル末端モノあるいはポリトリメチルシリルフェニルシロキサン、ポリエーテル変性オイル、またはこれらの組み合わせなどがより好ましい。
【0041】
ポリエーテル変性オイルの非限定的な例としては、ポリオキシエチレン変性シリコーンオイル、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレン変性シリコーンオイル、ポリオキシプロピレン変性シリコーンオイル、またはこれらの組み合わせを挙げることができる。
【0042】
(A)成分の含有量と(C)成分の含有量の質量比((A)/(C))は、化粧料中の(B)成分の分散性を高める観点から、0.1~5の範囲であることが好ましく、0.15~3、さらには0.15~2の範囲であることがより好ましい。
【0043】
本発明の化粧料は、(A)成分、(B)成分、(C)成分を合計で3~85質量%含有することが好ましく、5~80質量%含有することがより好ましく、20~70質量%含有することがさらに好ましい。
【0044】
本発明の化粧料は、(A)成分と(C)成分を併用することで(B)成分の分散性を向上させるものであることから、(B)成分の含有量を基準値として(A)成分と(C)成分の含有量を調整することができる。
【0045】
(B)成分を基準としたときの(A)成分と(C)成分の含有量は、求められる化粧料の物理的性質および化学的性質、化粧料の種類(例えば皮膚化粧料)などの複数の要素によって変動しうる。例えば(B)成分の含有量が100質量部であるとき、(A)成分の含有量は20~800質量部が好ましく、20~700質量部がより好ましく、20~600質量部がさらに好ましい。(B)成分の含有量が100質量部であるとき、(C)成分の含有量は20~1500質量部が好ましく、20~1300質量部がより好ましく、20~1200質量部がさらに好ましい。
【0046】
本発明の化粧料には、(A)成分、(B)成分、(C)成分に加えて、通常化粧料に使用される各種原料を化粧料の種類や剤型に応じて添加してよい。例えば本発明の化粧料は、以下の各成分を適宜選択して含有することができる。
【0047】
本発明の化粧料は、油性成分として、限定するものではないが、例えば固体パラフィン、セレシン、ミツロウ、カルナバロウ、木ロウ、キャンデリラロウ、ステアリン酸、セタノール、コレステロール、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン、ラノリン、部分硬化油、スクワレン、流動パラフィン、ひまし油、ジグリセライド、トリグリセライド、高級脂肪酸、高級アルコール、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロデカリン、パーフルオロオクタン、エステル油、ミリスチン酸オクチルドデシル、オレイン酸オクチルドデシル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、またはこれらの組み合わせなどを含有することができる。
【0048】
本発明の化粧料は、水性成分として、限定するものではないが、例えばグリセリン、ソルビトール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ポリエチレングリコ
ール、カルボキシビニルポリマー、セルロース誘導体、アルギン酸ナトリウム、エタノールまたはこれらの組み合わせなどを含有することができる。
【0049】
本発明の化粧料は、界面活性剤として、限定するものではないが、例えば下記の群から選ばれる1つまたは2つ以上の組み合わせを含有することができる。
【0050】
ヘキシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、オクチルベンゼンスルホン酸ナトリウム、デシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、セチルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ミリスチルベンゼンスルホン酸ナトリウムのようなアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム;ブチルナフチルスルホン酸ナトリウムのようなアルキルナフチルスルホン酸ナトリウム;ポリオキシエチレンオクチルエーテル硫酸エステルナトリウム、ポリオキシエチレンデシルエーテル硫酸エステルナトリウム、ポリオキシエチレンイコシルエーテル硫酸エステルナトリウムのようなポリオキシエチレンモノアルキルエーテル硫酸エステルナトリウム塩;ポリオキシエチレンデシルフェニルエーテル硫酸エステルナトリウムのようなポリオキシエチレンモノ(アルキルフェニル)エーテル硫酸エステルナトリウム塩またはこれらの組み合わせなどのアニオン乳化剤。
【0051】
オクチルトリメチルアンモニウムクロリド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド、牛脂トリメチルアンモニウムクロリド、ヤシ油トリメチルアンモニウムクロリド、オクチルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、デシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ジオクタデシルジメチルアンモニウムクロリドのような第四級アンモニウム塩またはこれらの組み合わせなどのカチオン乳化剤。
【0052】
モノラウリン酸グリセリル、モノミリスチン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、モノオレイン酸グリセリルのようなグリセリン脂肪酸エステル;同様の脂肪酸残基を有するポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルおよびポリオキシエチレン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテルのようなポリオキシエチレンアルキルエーテルまたはこれらの組み合わせなどのノニオン乳化剤。
【0053】
本発明の化粧料は、その他、限定するものではないが、例えば有機顔料、有機染料などの色剤、防腐剤、酸化防止剤、色素、増粘剤、pH調整剤、香料、紫外線吸収剤、保湿剤、血行促進剤、冷感剤、制汗剤、殺菌剤、皮膚賦活剤などを、本発明の課題、効果を阻害しない範囲で含有することができる。
【0054】
また本発明の化粧料は、化粧料の種類や剤型に応じて、水も所望量を含有することができる。
【0055】
本発明の化粧料は、ファンデーション、化粧下地、日焼け止め、口紅、ネイル、アイシャドー、おしろいから選ばれる皮膚化粧料であるものが好ましい。
【0056】
本発明の化粧料は、以下の各発明を含んでいる。
【0057】
(1)下記の(A)成分、(B)成分、(C)成分を含有する化粧料。
(A)1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチル-3-アルキル(C10-14)トリシロキサンから選ばれる1または2以上
(B)金属酸化物微粒子
(C)数平均分子量400以上、30,000未満のシリコーンオイル((A)成分は除く)
【0058】
(2)(A)成分が、(A-1)1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチル-3-デシルトリシロキサン、(A-2)1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチル-3-ドデシルトリシロキサン、および(A-3)1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチル-3-テトラデシルトリシロキサンからなる群より選ばれる1または2以上である、(1)記載の化粧料。
【0059】
(3)(A)成分が、(A-1)1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチル-3-デシルトリシロキサン、(A-2)1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチル-3-ドデシルトリシロキサン、および(A-3)1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチル-3-テトラデシルトリシロキサンからなる群より選ばれる1つの成分である、(1)または(2)記載の化粧料。
【0060】
(4)(A)成分が、(A-1)1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチル-3-デシルトリシロキサン、(A-2)1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチル-3-ドデシルトリシロキサン、および(A-3)1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチル-3-テトラデシルトリシロキサンからなる群より選ばれる2つの成分である、(1)または(2)記載の化粧料。
【0061】
(5)(A)成分が、(A-1)1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチル-3-デシルトリシロキサン、(A-2)1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチル-3-ドデシルトリシロキサン、および(A-3)1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチル-3-テトラデシルトリシロキサンの3つの成分を含む、(1)または(2)記載の化粧料。
【0062】
(6)(A)成分が、(A-1)1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチル-3-デシルトリシロキサン、(A-2)1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチル-3-ドデシルトリシロキサン、および(A-3)1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチル-3-テトラデシルトリシロキサンからなる群より選ばれる2つの成分であり、前記2つの成分が前記(A-1)成分と前記(A-2)成分または前記(A-2)成分と前記(A-3)成分であるとき、前記(A-2)成分の含有量が(A)成分の50質量%以上である、(1)または(2)記載の化粧料。
【0063】
(7)(A)成分が、(A-1)1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチル-3-デシルトリシロキサン、(A-2)1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチル-3-ドデシルトリシロキサン、および(A-3)1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチル-3-テトラデシルトリシロキサンから選ばれる2つの成分であり、前記2つの成分が前記(A-1)成分と前記(A-2)成分または前記(A-2)成分と前記(A-3)成分であるとき、前記(A-2)成分の含有量が(A)成分の60質量%以上である、(1)または(2)記載の化粧料。
【0064】
(8)(A)成分が、(A-1)1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチル-3-デシルトリシロキサン、(A-2)1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチル-3-ドデシルトリシロキサン、および(A-3)1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチル-3-テトラデシルトリシロキサンから選ばれる2つの成分であり、前記2つの成分が前記(A-1)成分と前記(A-2)成分または前記(A-2)成分と前記(A-3)成分であるとき、前記(A-2)成分の含有量が(A)成分の70質量%以上である、(1)または(2)記載の化粧料。
【0065】
(9)(A)成分が(A-1)成分と(A-3)成分の混合物として使用され、(A-1)成分と(A-3)成分の合計量100質量%中、(A-1)成分が20~80質量%、(A-3)成分が80~20質量%である、(2)記載の化粧料。
【0066】
(10)(A)成分が(A-1)成分と(A-3)成分の混合物として使用され、(A-1)成分と(A-3)成分の合計量100質量%中、(A-1)成分が30~70質量%、(A-3)成分が70~30質量%である、(2)記載の化粧料。
【0067】
(11)(A)成分が(A-1)成分と(A-3)成分の混合物として使用され、(A-1)成分と(A-3)成分の合計量100質量%中、(A-1)成分が40~60質量%、(A-3)成分が60~40質量%である、(2)記載の化粧料。
【0068】
(12)(A)成分が(A-1)成分、(A-2)成分、および(A-3)成分の混合物として使用され、(A-1)成分、(A-2)成分、および(A-3)成分の合計100質量%中、(A-1)成分が5~80質量%、(A-2)成分が10~70質量%、(A-3)成分が10~70質量%である、(2)記載の化粧料。
【0069】
(13)(A)成分が(A-1)成分、(A-2)成分、および(A-3)成分の混合物として使用され、(A-1)成分、(A-2)成分、および(A-3)成分の合計100質量%中、(A-1)成分が10~70質量%、(A-2)成分が15~60質量%、(A-3)成分が15~60質量%である、(2)記載の化粧料。
【0070】
(14)(A)成分が(A-1)成分、(A-2)成分、および(A-3)成分の混合物として使用され、(A-1)成分、(A-2)成分、および(A-3)成分の合計100質量%中、(A-1)成分が20~60質量%、(A-2)成分が20~50質量%、(A-3)成分が20~50質量%である、(2)記載の化粧料。
【0071】
(15)(B)成分の金属酸化物微粒子が、微粒子酸化鉄、微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛、微粒子酸化ジルコニウム、微粒子酸化セリウムまたはこれらの組み合わせから選ばれる、(1)から(14)のいずれか1の化粧料。
【0072】
(16)(B)成分の金属酸化物微粒子が、微粒子酸化鉄、微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛、微粒子酸化ジルコニウム、微粒子酸化セリウムまたはこれらの組み合わせから選ばれ、親水化処理または疎水化処理がされたものである、(1)から(14)のいずれか1の化粧料。
【0073】
(17)(B)成分の金属酸化物微粒子が、一次粒子の平均粒子径が100nm以下、さらには80nm以下で、平均粒子径の下限が30nmである、(1)から(16)のいずれか1の化粧料。
【0074】
(18)(B)成分の金属酸化物微粒子が微粒子酸化鉄である、(1)から(17)のいずれか1記載の化粧料。
【0075】
(19)(B)成分の金属酸化物微粒子が微粒子酸化鉄であり、前記微粒子酸化鉄がベンガラ、オーカー、マグネタイトまたはこれらの組み合わせから選ばれる顔料である、(1)から(17)のいずれか1記載の化粧料。
【0076】
(20)(B)成分の金属酸化物微粒子が微粒子酸化鉄であり、前記微粒子酸化鉄が疎水化処理されたものである、(1)から(17)のいずれか1の化粧料。
【0077】
(21)(B)成分の金属酸化物微粒子が微粒子酸化チタンである、(1)から(17)のいずれか1の化粧料。
【0078】
(22)(B)成分の金属酸化物微粒子が微粒子酸化チタンであり、前記微粒子酸化チタンが、タルク、マイカ、セリサイトを含む板状粉体、シリカ、球状粉体から選ばれる他の粉体の表面に被覆されたものである、(1)から(17)のいずれか1の化粧料。
【0079】
(23)(B)成分の金属酸化物微粒子が微粒子酸化チタンであり、前記微粒子酸化チタンの表面が親水化処理または疎水化処理されたものである、(1)から(17)のいずれか1の化粧料。
【0080】
(24)(B)成分の金属酸化物微粒子が微粒子酸化チタンであり、前記微粒子酸化チタンが、グリセリンを含む多価アルコール処理またはヒアルロン酸処理により表面が親水化処理されたもの、またはフッ素化合物処理、シリコーン処理、アルキル処理、アルキルシラン処理、金属石鹸処理、水溶性高分子処理、アミノ酸処理、N-アシルアミノ酸処理、レシチン処理、有機チタネート処理、ポリオール処理、アクリル樹脂処理、メタクリル樹脂処理、ウレタン樹脂処理から選ばれる処理により表面が疎水化処理されたものである、(1)から(17)のいずれか1の化粧料。
【0081】
(25)(B)成分の金属酸化物微粒子が微粒子酸化亜鉛である、(1)から(17)のいずれか1の化粧料。
【0082】
(26)(B)成分の金属酸化物微粒子が微粒子酸化亜鉛であり、前記微粒子酸化亜鉛が、タルク、マイカ、セリサイトを含む板状粉体、シリカ、球状粉体から選ばれる他の粉体の表面に被覆されたものである、(1)から(17)のいずれか1の化粧料。
【0083】
(27)(B)成分の金属酸化物微粒子が微粒子酸化亜鉛であり、前記微粒子酸化亜鉛の表面が親水化処理または疎水化処理されたものである、(1)から(17)のいずれか1の化粧料。
【0084】
(28)(B)成分の金属酸化物微粒子が微粒子酸化亜鉛であり、前記微粒子酸化亜鉛が、グリセリンを含む多価アルコール処理またはヒアルロン酸処理により表面が親水化処理されたもの、またはフッ素化合物処理、シリコーン処理、アルキル処理、アルキルシラン処理、金属石鹸処理、水溶性高分子処理、アミノ酸処理、N-アシルアミノ酸処理、レシチン処理、有機チタネート処理、ポリオール処理、アクリル樹脂処理、メタクリル樹脂処理、ウレタン樹脂処理から選ばれる処理により表面が疎水化処理されたものである、(1)から(17)のいずれか1の化粧料。
【0085】
(29)(C)成分のシリコーンオイルが次の組成式で示されるものである、(1)から(28)のいずれか1の化粧料。
RaSiO(4-a)/2
(ここでRは、置換または非置換の1価炭化水素基であり、前記1価炭化水素基は同一でもよく、異なるものでもよく、aは4未満の正の数を示す)
【0086】
(30)(C)成分のシリコーンオイルが、表面張力が30mN/m以下である、(1)から(29)のいずれか1の化粧料。
【0087】
(31)(C)成分のシリコーンオイルが、ポリジメチルシロキサン、ポリジメチルシロキサン-ポリジフェニルシロキサン共重合体、ポリメチルトリメチルシリルシロキサン-ポリジフェニルシロキサン共重合体、トリメチルシリル末端モノまたはポリトリメチルシリルフェニルシロキサン、ポリオキシエチレン変性シリコーンオイル、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレン変性シリコーンオイル、ポリオキシプロピレン変性シリコーンオイルから選ばれるポリエーテル変性オイル、またはこれらの組み合わせから選ばれるものである、(1)から(29)のいずれか1の化粧料。
【0088】
(32)(A)成分の含有量と(C)成分の含有量の質量比((A)/(C))が0.
1~5の範囲である、(1)から(31)のいずれか1の化粧料。
【0089】
(33)(A)成分の含有量と(C)成分の含有量の質量比((A)/(C))が0.
15~3の範囲である、(1)から(31)のいずれか1の化粧料。
【0090】
(3432)(A)成分、(B)成分、および(C)成分を合計で3~85質量%含有する、(1)から(31)のいずれか1記載の化粧料。
【0091】
(35)(A)成分、(B)成分、(C)成分の合計で5~80質量%である、(1)から(31)のいずれか1記載の化粧料。
【0092】
(36)(B)成分の含有量が100質量部であるとき、(A)成分の含有量が20~800質量部、(C)成分の含有量が20~1500質量部である、(1)から(31)のいずれか1記載の化粧料。
【0093】
(37)(B)成分の含有量が100質量部であるとき、(A)成分の含有量が20~700質量部、(C)成分の含有量が20~1300質量部である、(1)から(31)のいずれか1記載の化粧料。
【0094】
(38)(B)成分の含有量が100質量部であるとき、(A)成分の含有量が20~600質量部、(C)成分の含有量が20~1200質量部である、(1)から(31)のいずれか1記載の化粧料。
【0095】
(39)(A)成分、(B)成分、および(C)成分に加えて油性成分として、固体パラフィン、セレシン、ミツロウ、カルナバロウ、木ロウ、キャンデリラロウ、ステアリン酸、セタノール、コレステロール、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン、ラノリン、部分硬化油、スクワレン、流動パラフィン、ひまし油、ジグリセライド、トリグリセライド、高級脂肪酸、高級アルコール、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロデカリン、パーフルオロオクタン、エステル油、ミリスチン酸オクチルドデシル、オレイン酸オクチルドデシル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、またはこれらの組み合わせから選ばれるものを含有する、(1)から(38)のいずれか1の化粧料。
【0096】
(40)(A)成分、(B)成分、および(C)成分に加えて水性成分として、グリセリン、ソルビトール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ポリエチレ
ングリコール、カルボキシビニルポリマー、セルロース誘導体、アルギン酸ナトリウム、エタノール、またはこれらの組み合わせから選ばれるものを含有する、(1)から(38)のいずれか1の化粧料。
【0097】
(41)(A)成分、(B)成分、および(C)成分に加えて界面活性剤として下記の群から選ばれる1つ、または2つ以上の組み合わせを含有する、(1)から(40)のいずれか1の化粧料。
【0098】
ヘキシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、オクチルベンゼンスルホン酸ナトリウム、デシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、セチルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ミリスチルベンゼンスルホン酸ナトリウムのようなアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム;ブチルナフチルスルホン酸ナトリウムのようなアルキルナフチルスルホン酸ナトリウム;ポリオキシエチレンオクチルエーテル硫酸エステルナトリウム、ポリオキシエチレンデシルエーテル硫酸エステルナトリウム、ポリオキシエチレンイコシルエーテル硫酸エステルナトリウムのようなポリオキシエチレンモノアルキルエーテル硫酸エステルナトリウム塩;ポリオキシエチレンデシルフェニルエーテル硫酸エステルナトリウムのようなポリオキシエチレンモノ(アルキルフェニル)エーテル硫酸エステルナトリウム塩、またはこれらの組み合わせから選ばれるアニオン乳化剤。
【0099】
オクチルトリメチルアンモニウムクロリド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド、牛脂トリメチルアンモニウムクロリド、ヤシ油トリメチルアンモニウムクロリド、オクチルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、デシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ジオクタデシルジメチルアンモニウムクロリドのような第四級アンモニウム塩、またはこれらの組み合わせから選ばれるカチオン乳化剤。
【0100】
モノラウリン酸グリセリル、モノミリスチン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、モノオレイン酸グリセリルのようなグリセリン脂肪酸エステル;同様の脂肪酸残基を有するポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルおよびポリオキシエチレン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエ40ーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテルのようなポリオキシエチレンアルキルエーテル、またはこれらの組み合わせから選ばれるノニオン乳化剤。
【0101】
(42)(A)成分、(B)成分、および(C)成分に加えて、有機顔料および有機染料を含む色剤、防腐剤、酸化防止剤、色素、増粘剤、pH調整剤、香料、紫外線吸収剤、保湿剤、血行促進剤、冷感剤、制汗剤、殺菌剤、皮膚賦活剤、水、またはこれらの組み合わせから選ばれるものを含有する、(1)から(41)のいずれか1の化粧料。
【0102】
(43)液状、粉末状、固形状、乳化型のいずれかの剤型である、(1)~(42)のいずれか1記載の化粧料。
【0103】
(44)ファンデーション、化粧下地、日焼け止め、口紅、アイシャドー、ネイル、おしろいから選ばれる皮膚化粧料である、(1)~(42)のいずれか1記載の化粧料。
【実施例
【0104】
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0105】
実施例および比較例で使用した成分は以下のとおりである。以下において合成品とは発明者による合成品であることを示している。
(A)成分
1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチル-3-ドデシルトリシロキサン:合成品
1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチル-3-デシルトリシロキサン:合成品
1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチル-3-テトラデシルトリシロキサン:合成品
(A)成分の比較成分
1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチル-3-オクチルトリシロキサン:モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製:Silsoft034
【0106】
(B)成分
表面疎水化処理酸化チタン/水酸化アルミニウム:大東化成工業社製:SI01-2 TiO CR-50
表面疎水化処理酸化亜鉛:大東化成工業社製:SI01-4 ZnO-300
表面疎水化処理酸化鉄(黄色):大東化成工業社製:SI-2 YELLOW LL-100P
表面疎水化処理酸化鉄(赤色):大東化成工業社製:SI-2 RED R-516P
表面疎水化処理酸化鉄(黒色):大東化成工業社製:SI-2 BLACK BL-100P
【0107】
(C)成分
ポリジメチルシロキサン(粘度5mm/s、分子量680(構造からの計算値)、表面張力19.7mN/m):モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製:Ele
ment14 PDMS5-JC
【0108】
(その他の成分)
メトキシ桂皮酸エチルへキシル:BASF社製:Uvinul MC80N
トリメチルシロキシケイ酸:モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製:SR1000
シクロペンタシロキサン、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー:モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製:SFE839 gel
ステアリン酸ソルビタン:日光ケミカルズ社製:NIKKOL SS-10V
セスキイソステアリン酸ソルビタン:日清オイリオグループ社製:Cosmol 182V
グリセリン:試薬
ポリソルベート20:日油社製:NONIONLT-20
塩化ナトリウム:試薬
フェノキシエタノール:試薬
【0109】
実施例1~5、比較例1~3
表1に示すI相の成分、II相の成分、III相の成分のそれぞれを均一になるまで攪拌した後、70℃で30分攪拌し各相の混合物を調製した。次に、I相の混合物にII相の混合物を加え均一になるまで攪拌し、次いでIII相の混合物を加え均一になるまで攪拌し、その後ホモジナイザーで2,000rpm、5分攪拌し化粧下地を得た。
【0110】
次の各評価試験を実施した。結果を表1に示す。表1中の成分に関する数値は質量%を示している。
【0111】
(肌への塗布感)
実施例および比較例の化粧料のそれぞれ適量(約1g)を手に取った後、顔に塗布して指で伸ばしたときの感触を評価した。評価は10名のパネル員により比較例1を3点とした5点満点(5点:優れる、4点:やや優れる、3点:同等、2点:やや劣る、1点:劣る)で行い、その平均点を表1に示した。
【0112】
(塗布後の外観)
肌への塗布感の試験後の状態を目視で観察し、10名のパネル員により比較例1を3点とした5点満点(5点:優れる、4点:やや優れる、3点:同等、2点:やや劣る、1点:劣る)で行い、その平均点を表1に示した。
【0113】
(50℃、1か月保存後の外観)
実施例および比較例の化粧料を製造後、ガラス容器に入れて50℃で1か月保存した後の外観を目視で観察した。
【0114】
【表1】
【0115】
肌への塗布感および塗布後の外観の評価は、実施例1~5は評価平均点が3.8点以上
、ほぼ4点以上であり、比較例1~3は3.2点以下、ほぼ3点以下であった。また、5
0℃、1か月後の外観は、実施例1~5は分離なく均一な外観であったが、比較例1~3の外観は、分離が認められた。
【0116】
実施例1~5と比較例1~3の対比から、(A)成分と(C)成分を併用することにより(B)成分の分散性が良くなったことが確認できた。
【0117】
各数値は質量%で、合計で100質量%である。(A)、(B)および(C)の表示はそれぞれ、(A)成分、(B)成分および(C)成分に相当する成分であることを示している。例えば(7)は、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレン変性シリコーンオイルを含んでいる。
【0118】
(製法)
上記の(1)~(7)成分および(8)~(13)成分を各々均一になるまで混合した後、(1)~(7)成分の均一混合物と(8)~(13)成分の均一混合物を70℃で30分混合し、(1)~(13)成分の均一混合物を得た。次いで(14)~(16)成分を70℃で均一溶解させたものを、(1)~(13)成分の均一混合物に加え混合し、その後ホモジナイザーで2,000rpm、5分攪拌しリキッドファンデーションを得た。
【0119】
(評価)
得られたリキッドファンデーションはダマなどのない均一分散液で、肌への塗布時、滑らかで伸びが良く、乾燥後は柔らかで滑らかな触感であった。また、このリキッドファンデーションは50℃で1か月後も安定であった。
【0120】
【0121】
(製法)
上記の(1)~(8)成分を均一になるまで90-95℃で混合した後(9)成分および(10)成分を加え、均一になるまで混合し、容器に流し込み冷却後、コンシーラーを得た。
【0122】
(評価)
得られたコンシーラーはダマなどがなく均一で、肌への塗布時、滑らかで伸びが良く、薄付きで色ムラは無く、高いカバー力を感じるものであった。
【0123】
【0124】
(製法)
上記の(1)~(5)成分および(6)~(16)成分を各々均一になるまで混合し、80℃まで加熱した。(1)~(5)成分の混合液に(6)~(16)成分の混合液を攪拌下加え、トリエタノールアミンでpH 6~7にした後、攪拌を続け、均一液を得た。40℃まで冷却後、(17)成分と(18)成分を加え攪拌し、水中油型日焼け止めを得た。
【0125】
(評価)
得られた日焼け止めはダマなどがなく均一で、肌への塗布時、滑らかで伸びが良く、塗り斑のないものであった。
【0126】
【0127】
(製法)
上記の(1)~(3)成分を良く攪拌し、均一液とした後、82-85℃に加温し、(4)~(9)成分を加え均一になるまで攪拌した。87℃で(10)~(17)成分を均一になるまで攪拌し、(1)~(9)成分の混合液に加え、均一になるまで攪拌し、60℃まで冷却し、(18)成分を加え均一になるまで攪拌し、室温まで冷却し、マスカラを得た。
【0128】
(評価)
得られたマスカラはダマなどがなく均一で、肌への塗布時、滑らかで伸びが良く、塗り斑のないものであった。
【0129】
【0130】
(製法)
上記の(1)~(3)成分および(4)~(7)成分を各々80℃で、均一になるまで攪拌し、(4)~(9)成分の混合液を(1)~(3)成分の混合液に加え、均一になるまで攪拌し、室温まで冷却し水中油型ボディークリームを得た。
【0131】
(評価)
得られたボディークリームは、肌への塗布時、滑らかで伸びが良く、塗り斑のないものであった。
【産業上の利用可能性】
【0132】
本発明の化粧料は、液状、粉末状、固形、乳化型のいずれの剤型にもすることができ、ファンデーション、化粧下地、サンスクリーン、口紅、アイシャドー、ネイル、おしろいから選ばれる皮膚化粧料として利用することができる。