(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-13
(45)【発行日】2024-12-23
(54)【発明の名称】プロセッサによる内視鏡のリプロセス確認方法、再使用防止具および内視鏡
(51)【国際特許分類】
A61B 1/00 20060101AFI20241216BHJP
A61B 1/12 20060101ALI20241216BHJP
【FI】
A61B1/00 631
A61B1/12 510
A61B1/00 650
A61B1/00 640
(21)【出願番号】P 2024521429
(86)(22)【出願日】2022-05-17
(86)【国際出願番号】 JP2022020534
(87)【国際公開番号】W WO2023223425
(87)【国際公開日】2023-11-23
【審査請求日】2024-04-12
(73)【特許権者】
【識別番号】304050923
【氏名又は名称】オリンパスメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】粟生 夕美子
【審査官】▲高▼ 芳徳
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-160312(JP,A)
【文献】特開2011-186802(JP,A)
【文献】特開2011-104004(JP,A)
【文献】特開2009-131295(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第110993080(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00 - 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録部が、再使用防止具が装着された出荷前の内視鏡に対して、前記再使用防止具の装着状態を記録し、
対比部が、前記内視鏡の返却後、リプロセスのために前記再使用防止具が除去される前に、前記再使用防止具の装着状態を前記記録と対比し、更に対比結果を出力し、
前記記録部が、リプロセス後に新たに前記再使用防止具が装着された出荷前の前記内視鏡に対して、前記再使用防止具の装着状態を記録することを特徴とするプロセッサによる内視鏡のリプロセス確認方法。
【請求項2】
内視鏡に装着されることで内視鏡リプロセッサによるリプロセスを防ぎ、前記内視鏡が再使用されることを防止する再使用防止具であり、
外部装置に接続可能にライトガイドを露出させた状態で、内視鏡表面のうち内視鏡付属品または内視鏡本体部分の少なくとも一部を覆う被覆部と、
前記被覆部を前記内視鏡表面に固定する固定部と、
を含むことを特徴とする再使用防止具。
【請求項3】
前記被覆部は、
前記内視鏡から前記内視鏡付属品の取り外しを阻害するか、または
内視鏡リプロセッサの処理槽に対して前記内視鏡をオーバーサイズにすることによって前記内視鏡をリプロセスさせないことを特徴とする請求項2に記載の再使用防止具。
【請求項4】
前記被覆部は、内視鏡ハンドルが操作可能となるように前記内視鏡ハンドルを露出させることを特徴とする請求項2に記載の再使用防止具。
【請求項5】
前記被覆部が前記内視鏡付属品を覆う場合、前記内視鏡付属品は、吸引ボタン、送気送水ボタンまたは通気口金であることを特徴とする請求項2に記載の再使用防止具。
【請求項6】
前記被覆部が前記内視鏡本体部分の少なくとも一部を覆う場合、前記少なくとも一部はユニバーサルコードであり、
前記被覆部は、前記ユニバーサルコードよりも靭性が高く、前記ユニバーサルコードに沿って所定の長さを有するボーンを含むことを特徴とする請求項2に記載の再使用防止具。
【請求項7】
前記被覆部が前記内視鏡本体部分の少なくとも一部を覆う場合、前記少なくとも一部はスコープコネクタであり、
前記被覆部は装着されることで前記スコープコネクタの外周を太らせるバルクを含むことを特徴とする請求項2に記載の再使用防止具。
【請求項8】
前記固定部は、前記被覆部が所定部位から位置ずれすることを防止する加圧帯を含むことを特徴とする請求項2に記載の再使用防止具。
【請求項9】
前記加圧帯は、熱収縮フィルムであることを特徴とする請求項8に記載の再使用防止具。
【請求項10】
前記固定部は、隣接する領域に対してより脆弱である脆弱領域を含むことを特徴とする請求項2に記載の再使用防止具。
【請求項11】
RF-IDを含むことを特徴とする請求項2に記載の再使用防止具。
【請求項12】
内視鏡本体、
前記内視鏡付属品、および
前記内視鏡付属品の表面または前記内視鏡本体部分に配置された請求項2に記載の再使用防止具を含むことを特徴とする内視鏡。
【請求項13】
前記被覆部は、
前記内視鏡から前記内視鏡付属品の取り外しを阻害するか、または
内視鏡リプロセッサの処理槽に対して前記内視鏡をオーバーサイズにすることによって前記内視鏡をリプロセスさせないことを特徴とする請求項12に記載の内視鏡。
【請求項14】
前記被覆部は、内視鏡ハンドルが操作可能となるように前記内視鏡ハンドルを露出させることを特徴とする請求項12に記載の内視鏡。
【請求項15】
前記被覆部が前記内視鏡付属品を覆う場合、前記内視鏡付属品は、吸引ボタン、送気送水ボタンまたは通気口金であることを特徴とする請求項12に記載の内視鏡。
【請求項16】
RF-IDを含むことを特徴とする請求項12に記載の内視鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡のレンタルサービスにおける内視鏡のリプロセス確認方法、再使用防止具および内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、内視鏡を病院などに貸し出すレンタルサービスが知られている。このような内視鏡のレンタルサービスにおいては、病院などの貸出先によって内視鏡が不正に使用されることを防止する必要がある。
【0003】
例えば、日本国特開2009―160312号公報には、内視鏡とプロセッサの接続回数、接続時間などが規定の値を超えていた場合、ネットワークを通じて内視鏡の撮像の信号経路を遮断する技術が開示されている。このように、情報通信技術を利用して、内視鏡が使用できない状態にする内視鏡使用制限方法が周知である。
【0004】
ところで、内視鏡のレンタルサービスでは、貸出元の企業がリプロセス済の内視鏡を病院などに貸出す。そして、使用後の内視鏡をレンタル会社が回収してリプロセス処理する。
【0005】
特に、医療用の内視鏡は、二次感染などの医療事故発生を防止するためにリプロセス処理が重要となる。そのため、貸出元の企業は、リプロセスセンタなどに使用済みの内視鏡が戻された段階でリプロセス処理を実施する。
【0006】
しかしながら、貸出先が内視鏡を再使用するため、独自で内視鏡のリプロセス処理を行うと、貸出先と貸出元との品質管理の責任の所在を明確にするための仕組みが複雑になるという課題があった。
【0007】
そこで、本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、貸出先により内視鏡のリプロセスが行われたか否かを容易に判別できるようにし、貸出先と貸出元との品質管理の責任の所在が明確になるプロセッサによる内視鏡のリプロセス確認方法、再使用防止具および内視鏡を提供することが目的である。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様によるプロセッサによる内視鏡のリプロセス確認方法は、記録部が、再使用防止具が装着された出荷前の内視鏡に対して、前記再使用防止具の装着状態を記録し、対比部が、前記内視鏡の返却後、リプロセスのために前記再使用防止具が除去される前に、前記再使用防止具の装着状態を前記記録と対比し、更に対比結果を出力し、前記記録部が、リプロセス後に新たに前記再使用防止具が装着された出荷前の前記内視鏡に対して、前記再使用防止具の装着状態を記録する。
【0009】
本発明の一態様による再使用防止具は、内視鏡に装着されることで内視鏡リプロセッサによるリプロセスを防ぎ、前記内視鏡が再使用されることを防止する再使用防止具であり、外部装置に接続可能にライトガイドを露出させた状態で、内視鏡表面のうち内視鏡付属品または内視鏡本体部分の少なくとも一部を覆う被覆部と、前記被覆部を前記内視鏡表面に固定する固定部と、を含む。
【0010】
本発明の一態様による内視鏡は、内視鏡に装着されることで内視鏡リプロセッサによるリプロセスを防ぎ、前記内視鏡が再使用されることを防止する再使用防止具であり、外部装置に接続可能にライトガイドを露出させた状態で、内視鏡表面のうち内視鏡付属品または内視鏡本体部分の少なくとも一部を覆う被覆部と、前記被覆部を前記内視鏡表面に固定する固定部と、を含む再使用防止具が、内視鏡本体、前記内視鏡付属品、および前記内視鏡付属品の表面または前記内視鏡本体部分に配置される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】内視鏡のレンタルビジネスにおける病院とリプロセスセンタを示す図
【
図3】内視鏡の操作部から送気・送水ボタンおよび吸引ボタンが外された状態を示す図
【
図4】内視鏡に洗浄チューブが装着される前を示す図
【
図5】内視鏡に洗浄チューブが装着された状態を示す図
【
図6】スコープコネクタに洗浄チューブおよび送気チューブが装着される前の状態を示す図
【
図7】スコープコネクタに洗浄チューブおよび送気チューブが装着された状態を示す図
【
図8】内視鏡が内視鏡リプロセッサの処理槽に設置された状態を示す図
【
図9】別形態のスコープコネクタに洗浄チューブおよび送気チューブが装着される前の状態を示す図
【
図10】スコープコネクタを有する内視鏡が内視鏡リプロセッサの処理槽に設置された状態を示す図
【
図11】第1の再使用防止具が装着された内視鏡を示す斜視図
【
図12】第1の再使用防止具が装着された内視鏡を示す上面図
【
図13】第2の再使用防止具が装着されたスコープコネクタを示す側面図
【
図14】第3の再使用防止具が装着されたスコープコネクタを示す側面図
【
図15】第4の再使用防止具が装着されたスコープコネクタおよびユニバーサルコードを示す側面図
【
図16】第5の再使用防止具が装着されたユニバーサルコードおよび操作部を示す側面図
【
図17】内視鏡のリプロセス方法を説明するフローチャート
【
図18】変形例の内視鏡のリプロセス方法を説明するフローチャート
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、挿入機器としての医療用の内視鏡を例に挙げて説明する。なお、以下の説明において、各実施の形態に基づく図面は、模式的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、夫々の部分の厚みの比率などは現実のものとは異なることに留意すべきであり、図面の相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
【0013】
先ず、本実施の形態は、
図1に示すように、貸出先である病院101などにリプロセス済みの内視鏡1を貸出す貸出元の企業が使用済みの内視鏡1をリプロセスセンタ102にて回収してリプロセス処理を行い内視鏡1を再使用できるように清浄化する内視鏡レンタルビジネスに適用される技術である。
【0014】
先ず、内視鏡1の概略的な構成について説明する。内視鏡1は、
図2に示すように、挿入部2、操作部3およびユニバーサルコード4の内視鏡本体部分を有する。
【0015】
挿入部2は、被検体の内部に挿入可能な長尺部材である。操作部3は、挿入部2の基端に連設される。ユニバーサルコード4は、操作部3の側部から延出する複合ケーブルである。
【0016】
挿入部2は、先端部5と、湾曲部6と、軟性管である可撓管部7と、を有する。先端部5は、挿入部2の先端に配設される。湾曲部6は、能動的に湾曲自在である。この湾曲部6は、先端部5の基端側に連設される。可撓管部7は、湾曲部6の基端側に連設される。この可撓管部7は、操作部3の先端から延出するように接続される。
【0017】
操作部3には、処置具挿入口8と、アングルノブ9と、UDアングル固定レバー10と、リモートスイッチ11と、送気・送水ボタン21と、吸引ボタン22と、を有する。
【0018】
処置具挿入口8は、内視鏡管路である処置具挿通チャンネル(不図示)に連通する開口部である。処置具挿入口8には、鉗子口金である鉗子栓8aが設けられる。
【0019】
アングルノブ9は、湾曲部6の湾曲を操作するための操作ハンドルである。アングルノブ9は、UDアングルノブ9aと、RLアングルノブ9bと、を有する。
【0020】
UDアングルノブ9aは、湾曲部6の上下方向の湾曲を操作するための操作ハンドルである。RLアングルノブ9bは、湾曲部6の左右方向の湾曲を操作するための操作ハンドルである。なお、RLアングルノブ9bに重畳するRLアングル固定ノブ9cが配設されている。
【0021】
リモートスイッチ11は、ここでは4つ設けられている。これら4つのリモートスイッチ11は、画像の静止、記録、測光の切り替え、画像の拡大などを行うために各々が割りあてられた映像系の操作スイッチである。
【0022】
送気・送水ボタン21は、先端部5に設けられた流体送出部(不図示)からの流体の送出動作の制御する操作ボタンである。例えば、送気・送水ボタン21の中央の小孔が指で塞がれることにより送気が行える構造などを採用することができる。また、送気・送水ボタン21が押し込まれることで送水が行える構造などを採用することができる。
【0023】
吸引ボタン22は、処置具挿通チャンネル(不図示)内を陰圧に制御する操作ボタンである。吸引ボタン22が押し込まれることで、例えば、先端部5に付着した粘液などを処置具挿通チャンネルの開口部(不図示)から吸引して除去することができる。
【0024】
ユニバーサルコード4と操作部3との接続部分には、折れ止め部4aが配設されている。ユニバーサルコード4の基端側には、内視鏡本体部分のスコープコネクタ12が配設されている。スコープコネクタ12は、ユニバーサルコード4との接続部分に折れ止め部12aを有する。
【0025】
スコープコネクタ12は、光源装置を備えた外部装置のビデオプロセッサ(不図示)に接続される。スコープコネクタ12は、電気接点などの他、ライトガイドコネクタ13が延設されている。
【0026】
スコープコネクタ12が接続されたビデオプロセッサは、内部光源から発する光をユニバーサルコード4、操作部3および挿入部2に挿通された図示しないライトガイドバンドルに伝送する。そして、ライトガイドバンドルに伝送された光は、先端部5に設けられた照明窓(不図示)から照明光として出射される。
【0027】
なお、先端部5は、観察窓(不図示)を有する。先端部5は、観察窓から入光する撮影光を光電変化するイメージセンサ(不図示)を内蔵する。また、イメージセンサから延出する撮像ケーブルは、挿入部2、操作部3およびユニバーサルコード4に挿通されてスコープコネクタ12まで配設される。
【0028】
スコープコネクタ12には、内視鏡情報などが埋め込まれたICタグなどのRFID14が内蔵されている。なお、長距離の読み取りが可能なRFIDリーダを用いることにより、内視鏡ケースの外から梱包された内視鏡1の種々の情報を読み取ることができる。
【0029】
以上に記載の内視鏡1は、リプロセス処理して再利用するリユース品である。そのため、使用済みの内視鏡1は、病院101から回収後にリプロセスセンタ102に搬送される。
【0030】
そして、使用済みの内視鏡1は、リプロセスセンタ102において、再使用できるように、内視鏡リプロセッサ110(
図8参照)によりリプロセス処理が行われる。なお、内視鏡リプロセッサ110の構成は、公知であるため、詳細な説明は省略する。
【0031】
先ず、内視鏡1をリプロセス処理する際、
図3に示すように、操作部3の送気・送水ボタン21および吸引ボタン22が取り外される。これら送気・送水ボタン21および吸引ボタン22はリユース可能であってもよいし、ディスポーザブル(使い捨て)であってもよい。
【0032】
そして、操作部3は、
図4および
図5に示すように、送気・送水ボタン21および吸引ボタン22が外された送気・送水シリンダ21aおよび吸引シリンダ22aに洗浄チューブ105が接続される。
【0033】
また、スコープコネクタ12は、
図6および
図7に示すように、吸引用、副送水用などの口金23にも洗浄チューブ106が接続される。さらに、スコープコネクタ12は、漏水テスト用の通気口金24に送気チューブ107が接続される。
【0034】
内視鏡1は、
図8に示すように、内視鏡リプロセッサ110の洗浄槽の処理槽111内に配置される。このとき、内視鏡1は、例えば金属または樹脂を材質とし、処理槽111の底部に取り付けられた保持網112にセットされる。なお、処理槽111において、各洗浄チューブ105,106および送気チューブ107が内視鏡1と内視鏡リプロセッサ110とが連通するように接続される。
【0035】
このようにして、内視鏡1は、内視鏡リプロセッサ110の処理槽111内に設置され、所定のリプロセス処理が行われる。
【0036】
なお、内視鏡1は、機種によっては、
図9に示すような、異なるタイプのスコープコネクタ12を有する。このようなスコープコネクタ12においても、吸引用、副送水用などの口金23に洗浄チューブ106が接続され、漏水テスト用の通気口金24に送気チューブ107が接続される。そして、内視鏡1は、
図10に示すように、保持網112にセットされて、処理槽111内に配置される。
【0037】
このように、内視鏡リプロセッサ110によって内視鏡1をリプロセス処理する際、各洗浄チューブ105,106および送気チューブ107が内視鏡1と内視鏡リプロセッサ110とが連通するように接続される。
【0038】
本実施の形態は、病院101によって、使用済みの内視鏡1を再使用できないように防止する再使用防止具が内視鏡1に装着されている。なお、以下の説明においては、複数の再使用防止具を例示する。
【0039】
第1の再使用防止具31は、
図11および
図12に示すように、例えば、操作部3に設けられる吸引ボタン22を吸引シリンダ22aから取り外せないようにする取り外し防止具の構成となっている。
【0040】
具体的には、第1の再使用防止具31は、被覆部32と、この被覆部32を内視鏡1の表面に固定する固定部33と、を有する。被覆部32は、吸引ボタン22を被覆するように設けられる。被覆部32は吸引ボタン22が外れることを防止できればよく、吸引ボタン22全面を覆っていても良いし、吸引ボタン22を取り外しできない程度に露出させていてもよい。
【0041】
なお、被覆部32は、吸引ボタン22のボタントップの押し込み操作を阻害しないように、少なくとも吸引ボタン22の側面の少なくとも一部は可撓性を有しているか、または圧縮可能であることが好ましい。
【0042】
この被覆部32の天面および天面につながる側面の一部を硬質な材料で形成した場合は横ずれを防止することができるという利点がある。被覆部32の材質は特に限定されないが、例えば樹脂、エラストマ、または紙などが挙げられる。
【0043】
被覆部32に硬質な部位を設ける場合は所定硬度を有する樹脂、厚紙、金属またはセラミクスを前述の材質に接着または溶着してもよいし、樹脂を用いる場合は天面とその周囲のみ熱または紫外線などで架橋して硬度を上げてもよい。
【0044】
固定部33は、少なくとも操作部3の表面一部の外周を覆うように取り付けられる。これにより、被覆部32が吸引ボタン22からずれることを防止して外れないように固定される。
【0045】
なお、固定部33は、内視鏡ハンドルであるアングルノブ9が露出して操作可能となるように操作部3の表面を覆うように設けられる。固定部33は、熱収縮フィルムなどの機能性フィルム、ポリプロピレンバンドなどである。
【0046】
固定部33は、被覆部32が吸引ボタン22を覆う所定部位から位置ずれすることを防止するため、操作部3の表面を締め付けるような加圧帯を含む構成であることが好ましい。
【0047】
なお、固定部33には、リプロセスセンタ102で内視鏡1をリプロセス処理する際に、容易に吸引ボタン22から被覆部32を取り外せるように、ミシン目、スリットなどにより形成された脆弱領域33aが設けられている。
【0048】
即ち、第1の再使用防止具31は、脆弱領域33aに沿って固定部33を切り取ることによって、操作部3から剥がされる。これにより、被覆部32は、吸引ボタン22から取り外すことができるようになる。そのため、吸引ボタン22は、操作部3の吸引シリンダ22aから取り外せる状態となる。
【0049】
このように、内視鏡1は、第1の再使用防止具31を取り外さないと、吸引ボタン22を取り外すことができないようになっている。即ち、第1の再使用防止具31は、内視鏡1からの吸引ボタン22の取り外しを阻害する。
【0050】
そのため、内視鏡1を内視鏡リプロセッサ110によりリプロセス処理する際、内視鏡1から第1の再使用防止具31を取り外さないと、洗浄チューブ105を吸引シリンダ22aに取り付けることができないようになっている。
【0051】
また、シンクでの手洗いの場合には、第1の再使用防止具31を取り外さないと、洗浄ブラシを吸引シリンダ22aから挿通することができないようになっている。
【0052】
なお、第1の再使用防止具31は、被覆部32が送気・送水ボタン21を被覆する構成としてもよい。さらに、第1の再使用防止具31は、被覆部32が吸引ボタン22および送気・送水ボタン21の両方を被覆する構成としてもよい。
【0053】
第2の再使用防止具35は、
図13に示すように、例えば、スコープコネクタ12に設けられる漏水テスト用の通気口金24を覆
う再使用防止具の構成となっている。
【0054】
具体的には、第2の再使用防止具35も、被覆部36と、この被覆部36を固定する固定部37と、を有する。被覆部36は、通気口金24全体を被覆する。
【0055】
固定部37は、少なくともスコープコネクタ12の表面一部の外周を覆うように取り付けられる。これにより、被覆部36が通気口金24からのずれが防止されて外れないように固定される。被覆部36および固定部37の材質は上述の第1の再使用防止具と同様である。
【0056】
なお、固定部37も、被覆部36が通気口金24を覆う所定部位から位置ずれすることを防止するため、スコープコネクタ12の表面を締め付けるような加圧帯を含む構成であることが好ましい。
【0057】
ここでの固定部37にも、リプロセスセンタ102で内視鏡1をリプロセス処理する際に、通気口金24から被覆部36を取り外せるように、ミシン目、スリットなどにより形成された脆弱領域37aが設けられている。即ち、第2の再使用防止具35は、脆弱領域37aに沿って固定部37を切り取ることによって、スコープコネクタ12から剥がされる。
【0058】
これにより、第2の再使用防止具35の被覆部36は、通気口金24から取り外すことができるようになる。そのため、通気口金24は、スコープコネクタ12において露出した状態となる。
【0059】
このように、内視鏡1は、第2の再使用防止具35を取り外さないと、通気口金24が露出しないようになっている。即ち、内視鏡1を内視鏡リプロセッサ110によりリプロセス処理する際、第2の再使用防止具35を取り外さないと、送気チューブ107を通気口金24に取り付けることができないようになっている。
【0060】
また、自動リークテスタを備えてない内視鏡リプロセッサ110を使用する場合には、第2の再使用防止具35を取り外さないと、リプロセス処理の実施前に、手動による内視鏡1のリークテストが行えないようになっている。
【0061】
第3の再使用防止具41は、
図14に示すように、例えば、スコープコネクタ12をオーバーサイズにする処理槽111の収容防止具の構成となっている。
【0062】
具体的には、第3の再使用防止具41は、被覆部である複数のバルク42と、これら複数のバルク42を固定する固定部43と、を有する。バルク42は、スコープコネクタ12を太らせるゴム片、スポンジ、エアーパックなどである。複数のバルク42は、固定部43に取り付けられている。
【0063】
固定部43は、少なくともスコープコネクタ12の表面一部の外周を覆うように取り付けられる。なお、固定部43は、通気口金24を挟むようにスコープコネクタ12に巻回して設けられる。この固定部43も、熱収縮フィルムなどの機能性フィルム、ポリプロピレンバンドなどである。
【0064】
なお、固定部43にも、内視鏡1をリプロセスする際に、複数のバルク42を取り外せるように、ミシン目、スリットなどにより形成された脆弱領域43aが設けられている。即ち、第3の再使用防止具41は、脆弱領域43aに沿って固定部43を切り取ることによって、スコープコネクタ12から剥がされる。これにより、第3の再使用防止具41の複数のバルク42は、スコープコネクタ12から取り外すことができるようになる。
【0065】
このように、内視鏡1は、第3の再使用防止具41を取り外さないと、スコープコネクタ12が処理槽111に対してオーバーサイズとなる。即ち、内視鏡1を内視鏡リプロセッサ110によりリプロセス処理する際、第3の再使用防止具41を取り外さないと、スコープコネクタ12を処理槽111の保持網112上の定位置にセットできないようになる。
【0066】
第4の再使用防止具51は、
図15に示すように、例えば、スコープコネクタ12の折れ止め部12aからユニバーサルコード4の中途にかけて設けられる湾曲防止具の構成となっている。
【0067】
具体的には、第4の再使用防止具51も、被覆部52と、この被覆部52を固定する固定部53と、を有する。被覆部52は、少なくともユニバーサルコード4の長手方向に沿った所定の長さを覆う断面円弧状の複数のボーンである骨組である。被覆部52の複数の骨組は、ユニバーサルコード4の周方向に所定の間隔を有して設けられる。
【0068】
被覆部52は、ユニバーサルコード4上の固定部53に設けられている。この被覆部52も、ユニバーサルコード4よりも靭性が高い硬質な合成樹脂などから形成されている。なお、被覆部52は、ユニバーサルコード4の損傷を防止するための緩衝材を内面側に有していることが好ましい。
【0069】
固定部53は、折れ止め部12aからユニバーサルコード4の所定の長さ範囲を被覆する。この固定部53は、熱収縮フィルムなどの機能性フィルムなどである。
【0070】
なお、固定部53にも、内視鏡1をリプロセスする際に、被覆部52を取り外せるように、ミシン目、スリットなどにより形成された脆弱領域53aが設けられている。即ち、第4の再使用防止具51は、脆弱領域53aに沿って固定部53を切り取ることによって、折れ止め部12aおよびユニバーサルコード4から剥がされる。これにより、第4の再使用防止具51の被覆部52をユニバーサルコード4から取り外すことができるようになる。
【0071】
このように、内視鏡1は、第4の再使用防止具51を取り外さないと、被覆部52が設けられた所定の長さ範囲において、ユニバーサルコード4の湾曲ができないようになる。
【0072】
即ち、内視鏡1を内視鏡リプロセッサ110によりリプロセス処理する際、第4の再使用防止具51を取り外さないと、ユニバーサルコード4を所定の長さで湾曲させることができず、スコープコネクタ12またはユニバーサルコード4を処理槽111の保持網112上の定位置にセットできないようになる。
【0073】
第5の再使用防止具55は、
図16に示すように、例えば、ユニバーサルコード4の折れ止め部4aからユニバーサルコード4の中途にかけて設けられる湾曲防止具の構成となっている。この第5の再使用防止具55は、第4の再使用防止具51と同様な構成を有するため、簡単に説明する。
【0074】
第5の再使用防止具55も、被覆部56と、この被覆部56を固定する固定部57と、を有する。ここでの固定部57にも、内視鏡1をリプロセスする際に、被覆部56を取り外せるように、ミシン目、スリットなどの脆弱領域57aが設けられている。
【0075】
ここでの内視鏡1も、第5の再使用防止具55を取り外さないと、被覆部56が設けられた所定の長さ範囲において、ユニバーサルコード4の湾曲ができないようになる。
【0076】
即ち、内視鏡1を内視鏡リプロセッサ110によりリプロセス処理する際、第5の再使用防止具55を取り外さないと、ユニバーサルコード4を所定の形状に湾曲させることができず、操作部3またはユニバーサルコード4を処理槽111の保持網112上の定位置にセットできないようになる。
【0077】
なお、第4の再使用防止具51および第5の再使用防止具55は、ユニバーサルコード4の中途に設けてもよい。
【0078】
以上に記載したように、内視鏡1は、使用後に第1~第5の再使用防止具31,35,41,51,55を取り外さないと、リプロセス処理が行えないように構成される。そのため、内視鏡1は、病院101が使用済みの内視鏡1の第1~第5の再使用防止具31,35,41,51,55を取り外さないと、内視鏡1のリプロセス処理が行えない。これにより、内視鏡1は、第1~第5の再使用防止具31,35,41,51,55を装着することにより、病院101による再使用を抑制することができる。
【0079】
なお、第1~第5の再使用防止具31,35,41,51,55は、操作部3またはスコープコネクタ12に装着されるが、外部装置のビデオプロセッサに接続可能なスコープコネクタ12のライトガイドコネクタ13は露出した状態となっている。即ち、第1~第5の再使用防止具31,35,41,51,55が装着された内視鏡1は、スコープコネクタ12がビデオプロセッサに接続可能な状態である。
【0080】
また、内視鏡1は、第1~第5の再使用防止具31,35,41,51,55を全て装着する必要はなく、少なくとも1つ以上の第1~第5の再使用防止具31,35,41,51,55を装着していれば、病院101による再使用を抑制することができる。
【0081】
ここで、内視鏡1のレンタルサービスにおける貸出元の企業によるリプロセス方法について、
図17のフローチャートに基づいて、簡単に説明する。
【0082】
先ず、内視鏡1の貸出元の企業は、病院101から使用済みの内視鏡1を回収する(S1)。そして、企業は、使用済み内視鏡1をリプロセスセンタ102に搬送する(S2)。
【0083】
リプロセスセンタ102において、企業は、内視鏡1から再使用防止具31,35,41,51,55を取り外す(S3)。そして、企業は、再使用防止具31,35,41,51,55が取り外された内視鏡1をリプロセス処理する(S4)。
【0084】
次に、企業は、リプロセス処理された内視鏡1に清浄な再使用防止具31,35,41,51,55を装着する(S5)。そして、企業は、貸出先に再使用防止具31,35,41,51,55が装着された内視鏡1を搬送する(S6)。
【0085】
このように、内視鏡1の貸出元である企業は、病院101にレンタルした使用済みの内視鏡1のリプロセス処理を実施して、再度、リプロセス処理した内視鏡1を病院101にレンタルする。
【0086】
なお、企業は、リプロセスセンタ102での使用済み内視鏡1のリプロセス処理前に、再使用防止具31,35,41,51,55が正常に装着されているかを確認し、再使用防止具31,35,41,51,55が外されている場合には、病院101により内視鏡1が再使用された可能性があることを認識できる。
【0087】
そのため、病院101が内視鏡1を再使用した可能性を簡単に判断でき、貸出先と貸出元との品質管理の責任の所在を明確にすることができる。
【0088】
なお、内視鏡1のレンタルサービスにおける貸出元の企業によるリプロセス方法の変形例として、
図18に示すように出荷前と返却後との再使用防止具の装着状態を対比するための工程を追加してもよい。これにより、より正確に再使用防止具が位置ずれされたり、位置ずれまたは取り外し後に元に戻されたりしていないか判断することができる。
【0089】
本変形例の実現方法としては、出荷前に再使用防止具を写真または動画で記録し、返却後に人がこれらと手元の内視鏡の再使用防止具状態とを見比べて確認してもよいし、装置を用いて対比を行ってもよい。
【0090】
装置を用いる場合は、記録機能を有する記録部および対比機能を有する対比部を含むプロセッサを用い、記録部が、再使用防止具が装着された出荷前の内視鏡に対して、前記再使用防止具の装着状態を記録する(S5-1)。
【0091】
次に、対比部が、前記内視鏡の返却後、リプロセスのために前記再使用防止具が除去される前に、前記再使用防止具の装着状態を前記記録と対比(S2-1)し、更に対比結果を出力する(S2-2)。
【0092】
次に前記記録部が、リプロセス後に新たに前記再使用防止具が装着された出荷前の前記内視鏡に対して、前記再使用防止具の装着状態を記録する(S5-1)。対比方法としては公知の画像処理方法などを適宜用いることができる。前記プロセッサは内視鏡リプロセッサに搭載されていてもよいし、内視鏡リプロセッサとは別個の装置であってもよい。
【0093】
以上の説明により、本実施の形態の内視鏡1のリプロセス方法、再使用防止具31,35,41,51,55および内視鏡1は、貸出元の企業が病院101などにより内視鏡1のリプロセス処理が行われたか否かを容易に判別できるようなり、貸出先と貸出元との品質管理の責任の所在を明確にすることができる。
【0094】
以上の実施の形態および変形例に記載した発明は、それら実施の形態および変形例に限ることなく、その他、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々の変形を実施し得ることが可能である。さらに、上記実施の形態および変形例には、種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組合せにより種々の発明が抽出され得るものである。
【0095】
例えば、実施の形態および変形例に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、述べられている課題が解決でき、述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得るものである。