(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】水中油型クレンジング化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/06 20060101AFI20241217BHJP
A61K 8/86 20060101ALI20241217BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20241217BHJP
A61Q 1/14 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
A61K8/06
A61K8/86
A61K8/34
A61Q1/14
(21)【出願番号】P 2020085759
(22)【出願日】2020-05-15
【審査請求日】2023-01-13
(73)【特許権者】
【識別番号】593106918
【氏名又は名称】株式会社ファンケル
(74)【代理人】
【識別番号】100162396
【氏名又は名称】山田 泰之
(74)【代理人】
【識別番号】100194803
【氏名又は名称】中村 理弘
(72)【発明者】
【氏名】井岡 千紘
【審査官】宮部 裕一
(56)【参考文献】
【文献】特許第6234533(JP,B1)
【文献】国際公開第2020/016949(WO,A1)
【文献】特開2013-177383(JP,A)
【文献】特開2007-153754(JP,A)
【文献】特開2016-124866(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ポリグリセリン脂肪酸エステル
(B)グリセレス-12、グリセレス-20及びグリセレス-26から選ばれる1以上を含むポリオキシアルキレングリセリルエーテル
(C)高分子乳化剤
(D)グリセリン
を含有し、
水中油型クレンジング化粧料100質量部に対して、
(A)ポリグリセリン脂肪酸エステルを、2質量部以上10質量部以下
(B)ポリオキシアルキレングリセリルエーテルを、2質量部以上10質量部以下
(C)高分子乳化剤を、0.1質量部以上1.5質量部以下
(D)グリセリンを
、25質量部以上60質量部以下
含有することを特徴とする水中油型クレンジング化粧料。
【請求項2】
(A)ポリグリセリン脂肪酸エステルが、ポリグリセリンの平均重合度が15以上30以下であるポリグリセリン脂肪酸エステルを含有することを特徴とする請求項
1に記載の水中油型クレンジング化粧料。
【請求項3】
(B)ポリオキシアルキレングリセリルエーテルが、オキシアルキレン単位の繰り返し数が2以上40以下であることを特徴とする請求項1
または2に記載の水中油型クレンジング化粧料。
【請求項4】
(A)ポリグリセリン脂肪酸エステルが、テトラ(カプリル酸/カプリン酸)ポリグリセリル-20、ペンタ(カプリル酸/カプリン酸)ポリグリセリル-20、ヘキサ(カプリル酸/カプリン酸)ポリグリセリル-20のいずれか1種以上を含有することを特徴とする請求項1~
3のいずれかに記載の水中油型クレンジング化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中油型クレンジング化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
洗顔料として、皮膚の皮脂汚れや油性の化粧料を落とす目的で、クレンジング化粧料が用いられている。クレンジング化粧料には、油性クレンジング化粧料、水性クレンジング化粧料、油中水型クレンジング化粧料、水中油型クレンジング化粧料がある。
【0003】
油性クレンジング化粧料は、クレンジングするときに肌への負担が少ないことから多くの顧客に受け入れられている。油性クレンジング化粧料は、メイクなじみに優れており、化粧料の洗い流し性に優れているが、洗い流したあとに残油感が強く感じられる場合がある。また、残油感が残る場合は、残油感を取り除くために再度洗顔料で洗浄しなければならず、皮膚の過度の脱脂のため、肌荒れ等の原因となる場合がある。
【0004】
水性クレンジング化粧料は、油性成分を含まないか、もしくは油性成分の配合量が少ないためさっぱりとした使用感である。しかし、水性クレンジング化粧料は、メイクなじみが油性クレンジング化粧料と比較すると劣る。例えば、化粧料中の、融点の高いワックスや固体脂は、水性クレンジング化粧料で洗い落とすことは難しい。そのため、ウォータープルーフマスカラのような油性マスカラを落とすには、油性クレンジング化粧料を用いる必要があると指摘されている(非特許文献1)。
【0005】
油中水型クレンジング化粧料、水中油型クレンジング化粧料は、油性成分と水性成分をバランス良く配合することにより、油層によるメイクなじみと、水層によるさっぱり感とを両立させている。しかし、これらはどうしても主成分である連続層に由来する性質が強くなり、油中水型(W/O)クレンジング化粧料は残油感、水中油型(O/W)クレンジング化粧料はメイクなじみに劣ってしまう。また、これらは、温度変化や長期間の静置により、2層に分離してしまう場合がある。また、これらのクレンジング化粧料は、乳化しており白濁しているが、透明感のある外観のものが求められている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【文献】Fragrance Journal、36(7)、p59-66、(2008)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
メイクなじみ、洗い流し性、安定性に優れ、透明感のある水中油型クレンジング化粧料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の課題を解決するための手段は、以下のとおりである。
1.(A)ポリグリセリン脂肪酸エステル
(B)ポリオキシアルキレングリセリルエーテル
(C)高分子乳化剤
(D)グリセリン
を含有し、
水中油型クレンジング化粧料100質量部に対して、(D)グリセリンを25質量部以上60質量部以下含有することを特徴とする水中油型クレンジング化粧料。
2.水中油型クレンジング化粧料100質量部に対して、
(A)ポリグリセリン脂肪酸エステルを、2質量部以上10質量部以下
(B)ポリオキシアルキレングリセリルエーテルを、2質量部以上10質量部以下
(C)高分子乳化剤を、0.1質量部以上1.5質量部以下
含有することを特徴とする1.に記載の水中油型クレンジング化粧料。
3.(A)ポリグリセリン脂肪酸エステルが、ポリグリセリンの平均重合度が15以上30以下であるポリグリセリン脂肪酸エステルを含有することを特徴とする1.または2.に記載の水中油型クレンジング化粧料。
4.(B)ポリオキシアルキレングリセリルエーテルが、オキシアルキレン単位の繰り返し数が2以上40以下であることを特徴とする1.~3.のいずれかに記載の水中油型クレンジング化粧料。
5.(A)ポリグリセリン脂肪酸エステルが、テトラ(カプリル酸/カプリン酸)ポリグリセリル-20、ペンタ(カプリル酸/カプリン酸)ポリグリセリル-20、ヘキサ(カプリル酸/カプリン酸)ポリグリセリル-20のいずれか1種以上を含有することを特徴とする1.~4.のいずれかに記載の水中油型クレンジング化粧料。
【発明の効果】
【0009】
本発明の水中油型クレンジング化粧料は、メイクなじみに優れ、ウォータープルーフマスカラのような油性マスカラも落とすことができる。本発明の水中油型クレンジング化粧料は、幅広い剤形の化粧料に対して、優れたクレンジング効果を示す。本発明の水中油型クレンジング化粧料は、透明感があり、クレンジング時に、メイクの化粧料と混ざって着色したり濁ったりするため、化粧が落ちたことを見た目で実感することができる。また、本発明の水中油型クレンジング化粧料は、洗い流し性に優れており、さっぱりとした使用感を備えている。本発明の水中油型クレンジング化粧料は、安定性に優れ、2層に分離しにくい。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の水中油型クレンジング化粧料は、
(A)ポリグリセリン脂肪酸エステル
(B)ポリオキシアルキレングリセリルエーテル
(C)高分子乳化剤
(D)グリセリン
を含有し、
水中油型クレンジング化粧料100質量部に対して、(D)グリセリンを25質量部以上60質量部以下含有することを特徴とする。
【0011】
(A)ポリグリセリン脂肪酸エステル
ポリグリセリン脂肪酸エステルは、本発明の水中油型クレンジング化粧料において、主にクレンジング性に寄与する。
ポリグリセリン脂肪酸エステルは、ポリグリセリンと、脂肪酸とがエステル結合した化合物である。ポリグリセリンは、平均重合度が15以上30以下であることが、細胞毒性が低く、皮膚や目に対して非常に低刺激性であるため好ましい。ポリグリセリンの平均重合度は、16以上28以下であることがより好ましく、18以上24以下であることが更に好ましい。
【0012】
ポリグリセリンの平均重合度の算出方法は、特に限定されないが、例えば、水酸基価から算出する方法、ガスクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフ質量分析法又は液体クロマトグラフ質量分析法等からポリグリセリンの組成を決定し、平均重合度を算出する方法などが挙げられる。例えば、以下の式に基づいて水酸基価より決定することできるが、この算出方法に限定されるものではない。
OHV=56110(n+2)/(74n+18)
OHV:ポリグリセリンの水酸基価
n :ポリグリセリンの平均重合度
【0013】
本発明で使用するポリグリセリン脂肪酸エステルにおいて、脂肪酸は、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸等の1種または2種以上を使用することができる。これらの中で、カプリル酸とカプリン酸とを併用することが好ましい。脂肪酸としてカプリル酸とカプリン酸とを使用する場合、カプリル酸とカプリン酸の比率は、質量比で5:95~90:10の範囲内が好ましく、10:90~50:50の範囲内がより好ましい。
【0014】
このようなポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、例えば、ヘキサ(カプリル酸/カプリン酸)ポリグリセリル-20(HLB 11.4)、ペンタ(カプリル酸/カプリン酸)ポリグリセリル-20(HLB 12.2)、テトラ(カプリル酸/カプリン酸)ポリグリセリル-20(HLB 13.1)、オクタイソノナン酸ポリグリセリル-20、ヘキサイソノナン酸ポリグリセリル-20、ヘプタイソノナン酸ポリグリセリル-20、ヘキサカプリル酸ポリグリセリル-20、オクタカプリル酸ポリグリセリル-20、デカカプリル酸ポリグリセリル-20、ペンタデカカプリル酸ポリグリセリル-20、ヘキサカプリン酸ポリグリセリル-20、オクタカプリン酸ポリグリセリル-20、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-10、イソステアリン酸ポリグリセリル-10、トリイソステアリン酸ポリグリセリル-10、イソステアリン酸ポリグリセリル-2、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-2、トリイソステアリン酸ポリグリセリル-2、テトライソステアリン酸ポリグリセリル-2、カプリン酸ポリグリセリル-10、ラウリン酸ポリグリセリル-5、カプリン酸ポリグリセリル-2、カプリル酸ポリグリセリル-6、カプリル酸ポリグリセリル-10、カプリル酸ポリグリセリル-2等が挙げられる。これらの中で、ヘキサ(カプリル酸/カプリン酸)ポリグリセリル-20、ペンタ(カプリル酸/カプリン酸)ポリグリセリル-20、テトラ(カプリル酸/カプリン酸)ポリグリセリル-20のいずれか1種以上を含むことが好ましい。
【0015】
本発明のポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、HLB値が11~14であるポリグリセリン脂肪酸エステルを1種以上含有することが好ましく、HLB値が12~13であるポリグリセリン脂肪酸エステルを1種以上含有することがより好ましい。HLB値は、エステル化度により調整することができる。例えば、平均重合度20のポリグリセリン1モルに対して、脂肪酸を4~7モルとなるようにエステル結合させると、およそHLB値が11~14の範囲のポリグリセリン脂肪酸エステルが得られる。
【0016】
本発明に用いるポリグリセリン脂肪酸エステルは、例えば、ポリグリセリンと脂肪酸とを常法によりエステル化して製造することができる。すなわち、ポリグリセリンと脂肪酸を、酸触媒(リン酸、p-トルエンスルホン酸等)もしくはアルカリ触媒(苛性ソーダ等)存在下、又は無触媒で水を除去しながら、好ましくは100~300℃、より好ましくは120~260℃の範囲で加熱することによりエステル化を行う。また、反応は不活性ガスの存在下で行ってもよい。このようにして得られたポリグリセリン脂肪酸エステルは目的に応じて精製しても良い。精製には減圧下での分子蒸留等の技術の他、有機溶剤による抽出、分画や合成吸着剤、ゲル濾過剤を充填したカラムによるクロマト分離も利用できる。なお、脂肪酸のエステルを用い、ポリグリセリンとエステル交換を行うことにより、本発明に用いるポリグリセリン脂肪酸エステルを得ることもできる。
本発明に用いる(A)ポリグリセリン脂肪酸エステルは、水中油型クレンジング化粧料100質量部に対して、2質量部以上10質量部以下含有することが好ましく、3質量部以上8質量部以下含有することがより好ましい。
【0017】
(B)ポリオキシアルキレングリセリルエーテル
ポリオキシアルキレングリセリルエーテルは、本発明の水中油型クレンジング化粧料において、主にポリグリセリン脂肪酸エステルと協働してクレンジング性を向上させる。
ポリオキシアルキレングリセリルエーテルは、グリセリンとポリオキシアルキレングリコールがエーテル結合した化合物である。オキシアルキレン単位としては、炭素数2~4のものが好ましく、エチレンオキシド単位、プロピレンオキシド単位がより好ましい。ポリオキシエチレン単位であることが好ましい。オキシアルキレン単位の繰り返し数は、2以上40以下が好ましく、10以上35以下がより好ましく、20以上30以下がさらに好ましい。
【0018】
このようなポリオキシアルキレングリセリルエーテルとしては、例えば、グリセレス-7(「グリセレス」の後に記載する数字は、オキシエチレン単位の繰り返し数(平均付加モル数))、グリセレス-12、グリセレス-20、グリセレス-26等が挙げられ、これらの1種または2種以上を混合して使用することができる。
本発明に用いる(B)ポリオキシアルキレングリセリルエーテルは、水中油型クレンジング化粧料100質量部に対して、2質量部以上10質量部以下含有することが好ましく、3質量部以上8質量部以下含有することがより好ましい。
さらに、本発明の水中油型クレンジング化粧料において、(A)ポリグリセリン脂肪酸エステルと(B)ポリオキシアルキレングリセリルエーテルとの質量比は、40:60~80:20であることが好ましく、50:50~70:30であることがより好ましい。
【0019】
(C)高分子乳化剤
高分子乳化剤は、本発明の効果を損なわないものであれば特に制限することなく使用することができ、例えば、親水性単位と疎水性単位との共重合体である、グラフト共重合体、ブロック共重合体等が挙げられ、1種または2種以上を混合して使用することができる。具体的には、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー、(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー等が挙げられ、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマーが好ましい。
【0020】
(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-C30))クロスポリマーは、アクリル酸と炭素数10~30の(メタ)アクリル酸アルキルの共重合体を、ショ糖のアリルエーテル又はペンタエリスリトールのアリルエーテルで架橋したポリマーであり、市販品を用いることができる。例えば市販品としては、住友精化製AQUPEC HV-701EDR、日本ルーブリゾール製Carbopol 1342polymer、Carbopol 1382polymer、Carbopol ETD 2020polymer、Carbopol Ultrez 20polymer、Carbopol Ultrez 21polymer、Pemulen TR-1 Polymeric Emulsifier、Pemulen TR-2 Polymeric Emulsifier等が挙げられる。
本発明に用いる(C)高分子乳化剤は、水中油型クレンジング化粧料100質量部に対して、0.1質量部以上1.5質量部以下含有することが好ましく、0.2質量部以上1.0質量部以下含有することがより好ましい。
【0021】
(D)グリセリン
本発明のクレンジング化粧料は、水中油型であるため、水相と油相とを有し、水相が(D)グリセリンと(E)水、油相が(F)油を有する。
本発明のクレンジング化粧料は、水中油型クレンジング化粧料100質量部に対して、グリセリンを25質量部以上60質量部以下含み、30質量部以上55質量部以下含むことが好ましい。水中油型の化粧料は、通常、乳化により乳白色となる。しかし、グリセリンを25質量部以上配合することで、化粧料に透明感を持たせることができる。これは、グリセリンの屈折率が1.473と水性溶剤の中では大きく、グリセリンを25質量部以上配合することにより、水相と油相の屈折率差を小さくすることができるためである。さらに、グリセリンの含有率が大きくなると洗い流し性が低下する傾向があるが、本発明の水中油型クレンジング化粧料は、(A)ポリグリセリン脂肪酸エステル、(B)ポリオキアルキレングリセリルエーテルを含むことにより、グリセリンを25重量部以上含む場合でも、洗い流し性の低下を抑えることができる。
【0022】
(E)水
水は、グリセリンとともに水相を形成する。水は、必要に応じてグリセリン以外の水溶性溶剤で置換することができる。水溶性溶剤としては、ポリエチレングリコール、1,2-ペンタンジオール、1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセリンなどの多価アルコールが例示でき、これらの1種または2種以上を混合して使用することができる。これらの中で、1,2-ペンタンジオール、ジプロピレングリコールが、クレンジング力が向上するため好ましい。
本発明において、(E)水およびグリセリン以外の水溶性溶剤は、合計で、水中油型クレンジング化粧料100質量部に対して、10質量部以上40質量部以下配合することが好ましい。
【0023】
(F)油
油としては、特に制限されず、シリコーン油、エステル油、エーテル油、油脂、炭化水素類等を用いることができ、1種または2種以上を混合して使用することができる。
シリコーン油としては、例えば、ジメチコン、メチルトリメチコン、カプリリルメチコン、フェニルトリメチコン、ハイドロゲンジメチコン、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン、シクロヘキサシロキサン、シクロペンタシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等が例示できる。
エステル油としては、例えば、2-エチルヘキサン酸セチル、テトラオクタン酸ペンタエリスリチル、ジイソノナン酸1,3-ブチレングリコール、ジ2-エチルヘキサン酸1,3-ブチレングリコール、ジイソノナン酸ジプロピレングリコール、ジ2-エチルヘキサン酸ジプロピレングリコール、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、トリカプリン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ネオペンタン酸イソステアリル、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル等が例示できる。
【0024】
エーテル油としては、例えば、アルキル-1,3-ジメチルブチルエーテル、ジカプリリルエーテル、ジヘキシルエーテル、セチル-1,3-ジメチルブチルエーテル等が例示できる。
油脂としては、例えば、ツバキ油、月見草油、マカデミアナッツ油、オリーブ油、ナタネ油、トウモロコシ油、ゴマ油、ホホバ油、胚芽油、小麦胚芽油等の液体油脂を例示できる。
炭化水素類としては、例えば、流動パラフィン、スクワレン、スクワラン、マイクロクリスタリンワックス等が例示できる。
本発明において、(F)油は、水中油型クレンジング化粧料100質量部に対して、合計で5質量部以上20質量部以下配合することが好ましい。
【0025】
本発明の水中油型クレンジング化粧料は、本発明の効果を損なわない範囲で、糖類、糖アルコール類、防腐剤、金属イオン封鎖剤、薬効成分、香料等を含有させることができる。
糖類、糖アルコール類としては、グルコース、ソルビトール、マンノース、マンニトール、ガラクトース、ガラクチトール、マルトース、マルチトール、トレハロース、エリスロース、エリスリトール、キシロース、キシリトール、スクロース、ラクトース、ラクチトール、ダイフラクトースアンハイドライド等が挙げられる。
【0026】
防腐剤として、メチルパラベン、エチルパラベン等を挙げることができる。
金属イオン封鎖剤として、例えばエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、エデト酸、エデト酸ナトリウム塩等のエデト酸塩を挙げることができる。
【0027】
薬効成分としては、L-アスコルビン酸、L-アスコルビン酸リン酸エステル、L-アスコルビン酸モノパルミチン酸エステル、L-アスコルビン酸ジパルミチン酸エステル、L-アスコルビン酸-2-グルコシド等のビタミンC類等、グルタチオン、ユキノシタ抽出物等の美白剤、ローヤルゼリー、ぶなの木エキス等の皮膚賦活剤、カプサイシン、ジンゲロン、カンタリスチンキ、カフェイン、タンニン酸、γ-オリザノール等の血行促進剤、グリチルリチン酸誘導体、アズレン等の消炎剤、塩化リゾチーム等を挙げることができる。
【0028】
本発明の水中油型クレンジング化粧料を調製する場合は、水相成分及び油相成分をそれぞれ調製する。これを20℃±10℃に冷却した後、水相及び油相をホモミキサーやホモディスパーなどの撹拌混合装置を用いて室温で撹拌混合することで、水中油型のエマルジョンとなる。
【実施例】
【0029】
以下に実施例、比較例を用いた試験を示し、本発明をさらに説明する。
表1に示す組成の実施例1~3、比較例1~11の水中油型クレンジング化粧料を常法により調製し、下記に示す評価を行った。なお、比較例10の化粧料は乳化せず(相分離)、比較例11の化粧料は乳化したが白濁した。それ以外の化粧料は、乳化し、透明感があった。乳化しなかった比較例10については、以下の評価を行っていない。
透明感の評価は、調製した水中油型クレンジング化粧料をそれぞれ1cm四方の石英セルに入れ、紫外可視分光光度計UV-2450(株式会社島津製作所)を用いて、660nmにおける透過率を測定し、評価した。660nmにおける透過率が0.2%以上のものを透明感があると判断した。
実施例1~3、比較例1~9のクレンジング化粧料は、全て660nmにおける透過率が0.2%以上であった。グリセリンの含有率が20%である比較例11の660nmにおける透過率は、0.095%、グリセリンの含有率が30%である実施例2の透過率は、0.262%、グリセリンの含有率が45%である実施例1の透過率は、0.569%と、グリセリンの含有率が高くなるにしたがって透過率は高くなることが確認できた。
【0030】
<安定性>
水中油型クレンジング化粧料をガラス瓶に保管し、40℃1ヶ月で分離等の異常がないか確認した。
40℃1ヶ月分離せず安定なものを〇、40℃1ヶ月以内に分離したものを×とした。
<メイクなじみ>
人工皮革にウォータープルーフマスカラを直径1cmとなるように塗布し、十分に乾燥させた後、水中油型クレンジング化粧料約50mgをのせ指で円を描くようになじませ、マスカラが浮き始めたときのなじませた回数を指標にメイクなじみを評価した。
指でなじませる回数が20回以下を〇、21回以上50回未満を△、50回以上を×とした。
【0031】
<洗い流し性>
人工皮革にウォータープルーフマスカラを直径1cmとなるように塗布し、十分に乾燥させ、水中油型クレンジング化粧料約50mgをのせマスカラをなじませた後、流水で30秒間洗い流したときの水中油型クレンジング化粧料となじんだメイクの落ちやすさから洗い流し性を評価した。
水中油型クレンジング化粧料もなじんだメイクも人工皮革からきれいに落とせた場合を〇、水中油型クレンジング化粧料、メイクの少なくとも一方がきれいに落とせない場合を×とした。
なお、メイクなじみ評価が×だったものについては、メイクがなじまないため評価対象から除外した。
【0032】
【0033】
処方例1
成分 配合量(質量%)
ペンタ(カプリル酸/カプリン酸)ポリグリセリル-20 5
ラウリン酸ポリグリセリル-10 2
イソステアリン酸ポリグリセリル-2 1
グリセレス-26 5
(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマーK 0.8
BG 5
グリセリン 30
水 残分
エチルヘキサン酸セチル 5
ジメチコン 1
メドウフォーム油 3
クエン酸 0.02
クエン酸Na 0.1
【0034】
処方例2
成分 配合量(質量%)
ペンタ(カプリル酸/カプリン酸)ポリグリセリル-20 3
ラウリン酸ポリグリセリル-10 3
イソステアリン酸ポリグリセリル-2 2
グリセレス-26 4
(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマーK 1
DPG 5
グリセリン 40
水 残分
エチルヘキサン酸セチル 3
ジカプリリルエーテル 5
クエン酸 0.05
クエン酸Na 0.2
【0035】
処方例3
成分 配合量(質量%)
テトラ(カプリル酸/カプリン酸)ポリグリセリル-20 5
オレイン酸ポリグリセリル-10 3
グリセレス-26 4
(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマーK 0.6
ペンチレングリコール 3
グリセリン 25
水 残分
イソノナン酸イソトリデシル 3
ジカプリリルエーテル 3
シクロペンタシロキサン 3
イヌリン 2
クエン酸 0.01
クエン酸Na 0.05