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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】ターンバックル用緩み防止具
(51)【国際特許分類】
   F16B 7/06 20060101AFI20241217BHJP
   F16B 39/24 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
F16B7/06 A
F16B39/24 D
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021104021
(22)【出願日】2021-06-23
(65)【公開番号】P2023003075
(43)【公開日】2023-01-11
【審査請求日】2024-04-23
(73)【特許権者】
【識別番号】505389695
【氏名又は名称】首都高速道路株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】502310162
【氏名又は名称】株式会社ヤマザキ
(73)【特許権者】
【識別番号】317019029
【氏名又は名称】株式会社東京衡機エンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】100162396
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 泰之
(74)【代理人】
【識別番号】100194803
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 理弘
(72)【発明者】
【氏名】中村 充
(72)【発明者】
【氏名】井田 達郎
(72)【発明者】
【氏名】福島 大貴
(72)【発明者】
【氏名】菊池 慎治
(72)【発明者】
【氏名】蔵岡 京介
(72)【発明者】
【氏名】藤澤 康之
【審査官】大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】実開昭52-055819(JP,U)
【文献】特開平5-202990(JP,A)
【文献】特開2019-203516(JP,A)
【文献】特開2017-057940(JP,A)
【文献】米国特許第6908268(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 7/06
F16B 39/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターンバックルのねじ棒の緩みを防止するターンバックル用緩み防止具であって、
所定の方向に巻回したコイル素線で構成され、ねじ棒の谷部に嵌合するコイルバネ部と、
前記コイルバネ部のねじ棒先端側の端部から外方に伸び、ターンバックル枠体と干渉可能な締め部と、
を有し、
前記ねじ棒が後退するように回転した際に、前記締め部がターンバックル枠体と干渉して、前記コイルバネ部がねじ棒を締め付けることを特徴とするターンバックル用緩み防止具。
【請求項2】
前記コイルバネ部のねじ棒後端側の端部から外方に伸びる緩め部を有し、
前記コイルバネ部が、前記ねじ棒後端側の端部からの少なくとも1/4巻が、嵌め込まれたねじ棒と接触しない大径部を備え、
前記ねじ棒が前進するように回転し、前記締め部と前記緩め部がともにターンバックル枠体と干渉した際に、前記コイルバネ部のねじ棒後端側の端部が、前記ねじ棒と接触しないことを特徴とする請求項1に記載のターンバックル用緩み防止具。
【請求項3】
前記コイルバネ部が、1巻以上7巻以下に巻回されていることを特徴とする請求項1または2に記載のターンバックル用緩み防止具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ターンバックルの緩みを防止するターンバックル用緩み防止具に関する。
【背景技術】
【0002】
ワイヤー、ロープ等の張力調整等のために、「ターンバックル」という金具が用いられている。ターンバックルは、その長手方向の一端に左ねじ孔、他端に右ねじ孔が形成された枠体と、左右のねじ孔のそれぞれに螺合する左ねじ棒と右ねじ棒を有する。ターンバックルは、枠体の左右のねじ孔に各ねじ棒を螺合した状態で使用され、枠体を一方向に回転することにより、左ねじ棒と右ねじ棒の両方が、ともが締まる、またはともに緩むことにより、張力を調整することができる。
ターンバックルは、部材を吊り下げたり固定したりするために広く用いられているが、振動等により徐々に回転して、ワイヤーが緩んでしまう場合がある。ターンバックルが回転してワイヤーが緩むと、部材の落下等の重大事故につながる恐れがあるため、定期的にターンバックルを締め直す必要があり、メンテナンスの負担が大きい。
【0003】
ターンバックルの緩みを防止するために、特許文献1、2には、ターンバックルに螺合されたねじ棒の端部側に固定する金具が提案されている。これらの金具は、ターンバックルの枠体内で回転不能な形状であり、この金具をねじ棒に対して回転しないように強固に固定することにより、ねじ棒とターンバックル枠体との回転を防止するものである。これらの金具により、ターンバックルの緩みは防止できるが、この金具はねじ棒に対して強固に固定されているため、ターンバックルを緩めたいときには金具を簡単に取り外すことができない。また、これらの金具は、強度が必要であるため重く、複数箇所に取り付けるために大量に持ち運びながら作業するには作業員の負担が大きい。さらに、金具そのものも複雑な形状をしているため、例えば、高速道路や高架鉄道等の数十万個のターンバックルが用いられている現場において、すべてのターンバックルに取り付けるには、莫大な手間とコストがかかる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開昭63-107636号公報
【文献】特開2010-101435号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
新規なターンバックルの緩み防止具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の課題を解決するための手段は、以下の通りである。
1.ターンバックルのねじ棒の緩みを防止するターンバックル用緩み防止具であって、
所定の方向に巻回したコイル素線で構成され、ねじ棒の谷部に嵌合するコイルバネ部と、
前記コイルバネ部のねじ棒先端側の端部から外方に伸び、ターンバックル枠体と干渉可能な締め部と、
を有し、
前記ねじ棒が後退するように回転した際に、前記締め部がターンバックル枠体と干渉して、前記コイルバネ部がねじ棒を締め付けることを特徴とするターンバックル用緩み防止具。
2.前記コイルバネ部のねじ棒後端側の端部から外方に伸びる緩め部を有し、
前記コイルバネ部が、前記ねじ棒後端側の端部からの少なくとも1/4巻が、嵌め込まれたねじ棒と接触しない大径部を備え、
前記ねじ棒が前進するように回転し、前記締め部と前記緩め部がともにターンバックル枠体と干渉した際に、前記コイルバネ部のねじ棒後端側の端部が、前記ねじ棒と接触しないことを特徴とする1.に記載のターンバックル用緩み防止具。
3.前記コイルバネ部が、1巻以上7巻以下に巻回されていることを特徴とする1.または2.に記載のターンバックル用緩み防止具。
【発明の効果】
【0007】
本発明のターンバックル用緩み防止具(以下、緩み防止具ともいう)は、ねじ棒が後退するように回転すると、締め部がターンバックル枠体と干渉してコイルバネ部が締まる方向に力が加わる。そして、コイルバネ部がねじ棒を締め付けることにより、コイルバネ部とねじ棒との摩擦が大きくなり、ターンバックルが緩む方向に回転することを防止することができる。本発明のターンバックル用緩み防止具は、コイル素線から形成されているため軽量であり、従来のものと比較して安価である。本発明の緩み防止具は、ターンバックルが緩む方向への回転は防止することができるが、ターンバックルが締まる方向への回転を妨げないため、点検作業の妨げとならない。
緩め部を有する本発明の緩み防止具は、緩め部にコイルバネ部がねじ棒から離れる方向に力を加えながらねじ棒を回転することにより、緩み防止効果を発揮しなくなるため、ターンバックル簡単に緩めることができ、また、緩み防止具を簡単に取り外すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】緩み防止具の締め部側からの斜視図(a)と緩め部側からの斜視図(b)。
図2】ターンバックルのねじ棒に緩み防止具を嵌め込んだ状態を示す図。
図3】右ねじ棒に緩み防止具を嵌め込んだ状態の二方向からの拡大図。
図4】ターンバックルのねじ棒に緩み防止具を嵌め込んだ状態における右ねじ棒部分の拡大図。
図5】ねじ棒に嵌め込んだ緩み防止具が、ねじ棒が後退する方向の回転を妨げることを説明する図。
図6】ねじ棒に嵌め込んだ緩み防止具が、ねじ棒が後退する方向の回転を妨げることを説明する図。
図7】ねじ棒に嵌め込んだ緩み防止具が、ねじ棒が前進する方向の回転を妨げないことを説明する図。
図8】ねじ棒に嵌め込んだ緩み防止具が、ねじ棒が前進する方向の回転を妨げないことを説明する図。
図9】ねじ棒に嵌め込んだ緩み防止具が、ねじ棒が前進する方向の回転を妨げないことを説明する図。
図10】ねじ棒に緩み防止具を嵌め込んだ状態でも、ねじ棒が後退する方向に回転させられることを説明する図。
図11】ねじ棒に緩み防止具を嵌め込んだ状態でも、ねじ棒が後退する方向に回転させられることを説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書において、ターンバックル枠体に螺合したねじ棒のターンバックル内部に位置する端部を先端、他端を後端ともいい、ねじ棒がターンバックル枠体内へ移動することを前進、ターンバックル枠体から外れるように移動することを後退ともいう。
【0010】
本発明の緩み防止具について図面を参照しながら説明する。
本発明の一実施態様である緩み防止具100について、2方向からの斜視図を図1に示す。
なお、一実施態様である緩み防止具100は右ねじ用であり、左ねじ用は右ねじ用である緩み防止具100と巻回し方向が逆となる。左ねじ用は、右ねじ用と左右対称とすることができ、右ねじ用と容易に区別できるように、異なる色に着色する、異なる断面形状のコイル素線で形成する、締め部/緩め部のいずれかまたは両方の形状を異ならせる等をすることもできる。
【0011】
一実施態様である緩み防止具100は、所定の方向に巻回したコイル素線で構成され、右ねじ棒(以下、単にねじ棒ともいう)の谷部に嵌合するコイルバネ部1と、コイルバネ部1のねじ棒先端側の端部12(以下、締め部側端部ともいう)から外方に伸びるターンバックル枠体と干渉可能な締め部2と、ねじ棒後端側の端部13(以下、緩め部側端部ともいう)から外方に伸びるターンバックル枠体と干渉可能な緩め部3を有する。
緩み防止具100は、右ねじ棒に対してねじ棒後端側の端部13(緩め部側端部)から嵌め込まれ、右ねじ棒の谷部に嵌合する。コイルバネ部1は、ねじ棒後端側の端部13からの約1/2巻部分に、嵌め込まれたねじ棒と接触しない大径部11を備える。
【0012】
コイル素線の断面形状は制限されず、例えば、略円形や略四角形の鋼線を用いることができるが、コイル素線がねじ溝に嵌まりやすく、摩耗しにくいため、断面形状が略円形の鋼線や丸鋼を用いることが好ましい。コイル素線の断面形状は真円に限定されず、楕円形、卵型であってもよい。コイル素線の外径は、ねじ棒のねじ溝に嵌ることができる大きさであればよい。
【0013】
コイルバネ部1は、大径部11を除く部分の内径が、ねじ棒の外径よりも小さく、かつ、ねじ溝の底部が形成する円の径よりも大きくなるように形成される。コイルバネ部1は約2巻で形成されており、その緩め部側端部13からの約1/2巻が大径部11であるため、コイルバネ部1の約3/2巻部分がねじ棒と接触する。コイルバネ部1とねじ棒とが接触する長さが長くなるほど接触面積が大きくなって摩擦力が大きくなり、緩み防止効果が向上するが、巻数が多すぎると嵩張るとともにねじ棒へ着脱しにくくなる。そのため、コイルバネ部1は、1巻以上7巻以下であることが好ましい。
【0014】
大径部11は、コイルバネ部1にねじ棒を嵌め込んだ際に、ねじ棒と接触しない部分であり、緩め部側端部13からの約1/2巻分に形成されている。大径部11は、緩め部側端部13から少なくとも1/4巻に形成されていればよく、3/4巻以下であることが好ましい。
緩み防止具100は、コイルバネ部1の緩め部側端部13からねじ棒に嵌め込まれるが、コイルバネ部11の緩め部側端部13は大径部11となっている。緩み防止具100は、ねじ棒が最初に嵌め込まれる部分が大径部11と径が大きいため、ねじ棒に最初に嵌め込む際に大きな力が不要で嵌め込みやすく、施工性に優れている。また、緩み防止具100は、大径部11を備えることにより、ねじ棒先端のねじ溝と嵌りやすいため、ねじ棒の加工寸法に多少の誤差があったとしても、嵌め込むことができる。
【0015】
締め部2の形状は特に制限されないが、一実施態様例に示すように、ねじ棒先端側の端部12(締め部側端部12)から順に、外方に伸びる伸長部21、コイルバネ部1の巻回方向と逆方向に折り返す折返部22、ねじ棒が後退するように回転した際にターンバックルの枠体と干渉する接触部23を備えることが好ましい。この形状の締め部2は、接触部23が折返部22を起点として変形することができるため、バネ弾性を備える。そして、接触部23とターンバックル枠体とが干渉(接触)した状態において、接触部23にターンバックル枠体から伝わる振動や衝撃を、このバネ弾性により吸収・減衰することができるため、金属疲労が起きにくく、特に、コイルバネ部1と締め部2との接続箇所である締め部側端部12での破断を防止することができる。
【0016】
緩め部3の形状は特に限定されないが、一実施態様例における締め部2と同じ理由により、ねじ棒後端側の端部13(緩め部側端部13)から順に、外方に伸びる伸長部31、コイルバネ部1の巻回方向と逆方向に折り返される折返部32、ねじ棒が前進するように回転した際にターンバックルの枠体と干渉する接触部33を備えることが好ましい。
緩め部3は、ねじ棒300と接触しない大径部11に繋がっているため、ねじ棒の周方向に移動することができる。緩め部3は、ねじ棒が前進するように回転した際に、締め部2よりも先にターンバックルの枠体と干渉(接触)する位置に、かつ、ねじ棒が前進するように回転し、周方向に動いた締め部3と緩め部2がともにターンバックル枠体と干渉した際に、緩め部側端部13がねじ棒と接触しないように形成されている。
【0017】
以下、図面を用いながら、本発明の緩み防止具の機能を説明する。なお、右ねじ棒を例に説明するが、左ねじ棒においても同様に機能する。
ターンバックル枠体200に、(右)ねじ棒300と(左)ねじ棒310が螺合しており、各ねじ棒の先端部分に緩み防止具100、110が嵌め込まれる(図2~4)。
コイルバネ部1は、ねじ棒300に嵌め込まれることにより径が広がるため、ねじ棒に装着前(図1)と比較して、緩め部3と締め部2との位置関係は変化する(図3)。
緩み防止具100は、ねじ棒300が緩み防止具100に対して後退するように回転しても、緩み防止具100が外れないように、緩み防止具100の締め部側端部12からねじ山2周以上露出するように嵌め込むことが好ましい。
【0018】
図4において、ねじ棒300は、符号Aで示す方向に回された場合にターンバックル枠体200に対して後退し、符号Bで示す方向に回された場合にターンバックル枠体200に対して前進する。
ねじ棒300が後退する方向(A方向)に回転すると、締め部2の接触部23がターンバックル枠体200と接触する(図5、6)。この状態において、さらにねじ棒300が後退する方向(A方向)に回転しようとすると、接触部23(締め部2)にねじ棒回転方向と逆方向(B方向)の応力が発生する。この応力は、締め部側端部12に伝わり、コイルバネ部1の径を小さくするように、すなわち、ねじ棒300締め付けるように作用する(図6)。
そして、コイルバネ部1が、ねじ棒300を締め付けることにより、緩み防止具100とねじ棒300間の摩擦が大きくなるため、緩み防止具100は、ねじ棒300が後退する方向(A方向)への回転を防止することができる。緩め防止具100は、ねじ棒300を後退する方向に回転させようとする力が大きくなるほど、締め部側端部12がより強くねじ棒を締め付けて緩め防止具100とねじ棒300との間の摩擦が大きくなるため、ねじ棒300が後退する方向へ回転してターンバックルが緩むことを、効果的に防止することができる。
【0019】
緩み防止具100は、接触部23が折返部22を起点として変形することができるため、締め部2がバネ弾性を備えている。緩み防止具100の接触部23がターンバックル200と干渉(接触)している状態において、ターンバックル枠体200から振動や衝撃が締め部2に伝わるが、これらは締め部2のバネ弾性により吸収・減衰される。そのため、緩み防止具100は、金属疲労が起きにくく、特に、締め部側端部12での破断を防止することができる。
【0020】
逆に、ねじ棒300が前進する方向(B方向)に回転すると、まず、緩め部3の接触部33がターンバックル枠体200と接触する(図7図9(a))。
緩め部3は、ねじ棒300と接触しない大径部11に繋がっているため、ねじ棒の周方向に移動することができる。そのため、さらにねじ棒300が前進する方向(B方向)に回転すると、緩め部3は周方向に移動し、緩め部3とともに締め部2の伸長部21もターンバックル枠体200と接触する(図8図9(b))。そして、この状態でも、緩め部側端部13と大径部11は、ねじ棒300と接触しない。
【0021】
そして、この状態において、さらにねじ棒300が前進する方向(B方向)に回転すると、緩め部3と締め部2とにねじ棒回転方向と逆方向(A方向)の応力が発生する。緩め部側端部13に伝わる応力は、コイルバネ部1の径を小さくするように作用するが、この応力は締め部2にも分散されているため小さく、これ以上コイルバネ部1を変形させることはできず、緩め部側端部13と大径部11とはねじ棒300に接触しない。そのため、コイルバネ部緩め部側端部13は、ねじ棒300を締め付けない。
また、締め部側端部12に伝わる応力は、コイルバネ部1の径を大きくするように作用するため、ねじ棒300の締め付けは弱くなる。
すなわち、ねじ棒300が前進する方向(B方向)に回転すると、緩め部側端部13はねじ棒300をほとんど締め付けず、締め部側端部ではねじ棒300の締め付けが弱くなるため、緩め防止具100とねじ棒300との摩擦は、単に嵌め込んだ状態よりも小さくなる。そして、緩め防止具100は、ねじ棒300に嵌め込んだ状態において、ねじ棒300が前進する方向(B方向)への回転をほとんど妨げないため、ターンバックルを締め付けるメンテナンス作業の妨げとならない。
【0022】
さらに、緩め防止具100は、ねじ棒300から簡単に取り外すことができる。
緩め防止具100を、ねじ棒300からに取り外すには、締め部2には触れずに緩め部3のみを押さえて、ねじ棒300を後退する方向(A方向)に回転させる(図10、11)。
そうすると、緩め部側端部13が広がり、大径部11と繋がる部分の締め付けが弱くなり、かつ、締め部2を起点とするねじ棒300を締め付ける力は発生しない。そのため、緩め防止具100とねじ棒300との摩擦が小さくなり、ねじ棒300を容易に後退する方向(A方向)に回転することができる。そして、ねじ棒300が後退する方向(A方向)に回転すると、ねじ棒300は緩め防止具100に対して後退するので、緩め防止具100をねじ棒300から容易に取り外すことができる。
【0023】
本発明の緩め防止具は、上記一実施態様に限定されることなく、本発明の範囲内において、かつ本発明の技術的思想に基づいて、各開示要素(請求の範囲、明細書及び図面に記載の要素を含む)に対し種々の変形、変更及び改良を含むことができる。また、本発明の請求の範囲の範囲内において、各開示要素の多様な組み合わせ・置換ないし選択が可能である。
【符号の説明】
【0024】
100 (右ねじ用)緩め防止具
1 コイルバネ部
11 大径部
12 先端側端部(締め部側端部)
13 後端側端部(緩め部側端部)
2 締め部
21 伸長部
22 折返部
23 接触部
3 緩め部
31 伸長部
32 折返部
33 接触部

200 ターンバックル枠体
300 (右)ねじ棒

110 (左ねじ用)緩め防止具
310 (左)ねじ棒

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11