(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】燃焼器用ノズル、燃焼器およびこれを含むガスタービン
(51)【国際特許分類】
F23R 3/28 20060101AFI20241217BHJP
F23R 3/30 20060101ALI20241217BHJP
F23R 3/14 20060101ALI20241217BHJP
F02C 7/232 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
F23R3/28 D
F23R3/30
F23R3/14
F02C7/232 B
(21)【出願番号】P 2022179361
(22)【出願日】2022-11-09
【審査請求日】2022-11-09
(31)【優先権主張番号】10-2022-0007493
(32)【優先日】2022-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】507002918
【氏名又は名称】ドゥサン エナービリティー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シェルシニョフ、ボリス
【審査官】佐々木 淳
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0346140(US,A1)
【文献】特開2012-145077(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0180490(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23R 3/28
F23R 3/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前方から後方に空気の移動する空気流路が内部に形成され、後端部に開口ホールが形成された中心管と、
前記中心管の少なくとも一部が内部に挿入され、前記中心管との間に空気および噴射された燃料の移動する混合流路が形成され、前端に空気流入口が形成されたシュラウドと、
前記空気流路と連通する入口から前記混合流路と連通する出口まで後方に延び、前記中心管の側壁部の内部を貫通して形成される複数の冷却チャネルとを含むノズルモジュールを有し、
前記空気流路には、
前記空気の流動を旋回させるエアスワラが配置され、
前記エアスワラは、
前記中心管の後端部と離隔して配置される、燃焼器用ノズル。
【請求項2】
前記冷却チャネルは、
前記出口が前記中心管の前記後端部に形成される、請求項1に記載の燃焼器用ノズル。
【請求項3】
前記中心管の前記側壁部の内部には、
前記複数の冷却チャネルをすべて連通させる第1環状流路が形成される、請求項1に記載の燃焼器用ノズル。
【請求項4】
前記第1環状流路は、
前記冷却チャネルの前記入口および前記出口の間に配置される、請求項3に記載の燃焼器用ノズル。
【請求項5】
前記エアスワラは、
前記冷却チャネルの前記入口より後方に配置される、請求項1に記載の燃焼器用ノズル。
【請求項6】
前方から後方に空気の移動する空気流路が内部に形成され、後端部に開口ホールが形成された中心管と、
前記中心管の少なくとも一部が内部に挿入され、前記中心管との間に空気および噴射された燃料の移動する混合流路が形成され、前端に空気流入口が形成されたシュラウドと、
前記空気流路と連通する入口から前記混合流路と連通する出口まで後方に延び、前記中心管の側壁部の内部を貫通して形成される複数の冷却チャネルとを含むノズルモジュールを有し、
前記空気流路には、
前記空気の流動に乱流を形成させる乱流形成部材が配置される、燃焼器用ノズル。
【請求項7】
前記乱流形成部材は、
前記中心管の後端部と離隔して配置される、請求項
6に記載の燃焼器用ノズル。
【請求項8】
前記乱流形成部材は、
前記冷却チャネルの前記入口より後方に配置される、請求項
6に記載の燃焼器用ノズル。
【請求項9】
前記複数の冷却チャネルは、
前記中心管の前記側壁部の内部で互いに並んで配置される、請求項1に記載の燃焼器用ノズル。
【請求項10】
前記複数の冷却チャネルは、
前記中心管の前記側壁部の内部で螺旋状に配置される、請求項1に記載の燃焼器用ノズル。
【請求項11】
前記中心管の前記開口ホールには、
後方へいくほど流動断面積の増加する拡張部が形成される、請求項1に記載の燃焼器用ノズル。
【請求項12】
前記冷却チャネルの前記出口は、
前記中心管の前記後端部に形成され、前記拡張部の周辺から軸方向および半径方向に向かって傾斜して形成される、請求項
11に記載の燃焼器用ノズル。
【請求項13】
前記中心管の前記後端部および前記拡張部の周辺には、
一端が前記冷却チャネルの前記出口とすべて連通し、他端が前記混合流路と連通する第2環状流路が形成される、請求項
11に記載の燃焼器用ノズル。
【請求項14】
請求項1から
13のいずれか一項に記載の燃焼器用ノズルと、前記燃焼器用ノズルの一側に結合され、燃料と空気とが内部で燃焼され、燃焼されたガスをタービンに伝達するダクト組立体とを含む燃焼器。
【請求項15】
外部から流入した空気を圧縮する圧縮機と、前記圧縮機で圧縮された圧縮空気と燃料とを混合して燃焼する燃焼器と、前記燃焼器で燃焼された燃焼ガスによって回転する複数のタービンブレードを含むタービンとを含むガスタービンにおいて、
前記燃焼器は、請求項1から
13のいずれか一項に記載の燃焼器用ノズルと、前記燃焼器用ノズルの一側に結合され、前記圧縮空気と燃料とが内部で燃焼され、燃焼された前記燃焼ガスを前記タービンに伝達するダクト組立体とを含む、
ガスタービン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼器用ノズル、燃焼器およびこれを含むガスタービンに関し、より詳しくは、冷却チャネルを含む燃焼器用ノズル、燃焼器およびこれを含むガスタービンに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンは、圧縮機で圧縮された圧縮空気と燃料とを混合して燃焼させ、燃焼で発生した高温のガスでタービンを回転させる動力機関である。ガスタービンは、発電機、航空機、船舶、列車などを駆動するのに用いられる。
【0003】
一般的に、ガスタービンは、圧縮機と、燃焼器と、タービンとを含む。圧縮機は、外部空気を吸入して圧縮した後、燃焼器に伝達する。圧縮機で圧縮された空気は高圧および高温の状態になる。燃焼器は、圧縮機から流入した圧縮空気と燃料とを混合して燃焼させる。燃焼によって発生した燃焼ガスはタービンに排出される。燃焼ガスによってタービン内部のタービンブレードが回転し、これにより動力が発生する。発生した動力は発電、機械装置の駆動などの多様な分野に使用される。
【0004】
燃料は各燃焼器内に設けられたノズルを介して噴射され、ノズルは気体燃料および液体燃料を噴射することができる。近年は、二酸化炭素の排出を抑制するために、水素燃料または水素を含む燃料の使用が推奨されている。
【0005】
しかし、水素は燃焼速度が速いため、ガスタービン燃焼器でこれらの燃料を燃焼させた場合に、ガスタービン燃焼器内で形成される火炎がガスタービン燃焼器の構造物に近づいて加熱し、ガスタービン燃焼器の信頼性から問題を引き起こす可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の技術的背景に基づき、本発明は、中心管を効果的に冷却させ、中心管に火炎が付着したり、および火炎が逆火することを最小化できる燃焼器用ノズル、燃焼器およびこれを含むガスタービンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態に係る燃焼器用ノズルは、中心管と、シュラウドと、複数の冷却チャネルとを含む。中心管は、前方から後方に空気の移動する空気流路が内部に形成され、後端部に開口ホールが形成される。シュラウドは、中心管の少なくとも一部が内部に挿入され、中心管との間に空気および噴射された燃料の移動する混合流路が形成され、前端に空気流入口が形成される。冷却チャネルは、空気流路と連通する入口から混合流路と連通する出口まで後方に延び、中心管の側壁部の内部を貫通して形成される。
【0008】
本発明の一実施形態に係る燃焼器用ノズルにおいて、冷却チャネルは、出口が中心管の後端部に形成される。
【0009】
本発明の一実施形態に係る燃焼器用ノズルは、中心管の側壁部の内部には、複数の冷却チャネルをすべて連通させる第1環状流路が形成される。
【0010】
本発明の一実施形態に係る燃焼器用ノズルにおいて、第1環状流路は、冷却チャネルの入口および出口の間に配置される。
【0011】
本発明の一実施形態に係る燃焼器用ノズルにおいて、空気流路には、空気の流動を旋回させるエアスワラが配置される。
【0012】
本発明の一実施形態に係る燃焼器用ノズルにおいて、エアスワラは、中心管の後端部と離隔して配置される。
【0013】
本発明の一実施形態に係る燃焼器用ノズルにおいて、エアスワラは、冷却チャネルの入口より後方に配置される。
【0014】
本発明の一実施形態に係る燃焼器用ノズルにおいて、空気流路には、空気の流動に乱流を形成させる乱流形成部材が配置される。
【0015】
本発明の一実施形態に係る燃焼器用ノズルにおいて、乱流形成部材は、中心管の後端部と離隔して配置される。
【0016】
本発明の一実施形態に係る燃焼器用ノズルにおいて、乱流形成部材は、冷却チャネルの入口より後方に配置される。
【0017】
本発明の一実施形態に係る燃焼器用ノズルにおいて、複数の冷却チャネルは、中心管の側壁部の内部で互いに並んで配置される。
【0018】
本発明の一実施形態に係る燃焼器用ノズルにおいて、複数の冷却チャネルは、中心管の側壁部の内部で螺旋状に配置される。
【0019】
本発明の一実施形態に係る燃焼器用ノズルにおいて、中心管の開口ホールには、後方へいくほど流動断面積の増加する拡張部が形成される。
【0020】
本発明の一実施形態に係る燃焼器用ノズルにおいて、冷却チャネルの出口は、中心管の後端部に形成され、拡張部の周辺から軸方向および半径方向に向かって傾斜して形成される。
【0021】
本発明の一実施形態に係る燃焼器用ノズルにおいて、中心管の後端部および拡張部の周辺には、一端が冷却チャネルの複数の出口とすべて連通し、他端が混合流路と連通する第2環状流路が形成される。
【0022】
本発明の実施形態に係る燃焼器は、燃焼器用ノズルと、ダクト組立体とを含む。ダクト組立体は、ノズルの一側に結合され、燃料と空気とが内部で燃焼され、燃焼されたガスをタービンに伝達する。ノズルは、中心管と、シュラウドと、複数の冷却チャネルとを含む。中心管は、前方から後方に空気の移動する空気流路が内部に形成され、後端部に開口ホールが形成される。シュラウドは、中心管の少なくとも一部が内部に挿入され、中心管との間に空気および噴射された燃料の移動する混合流路が形成され、前端に空気流入口が形成される。冷却チャネルは、空気流路と連通する入口から混合流路と連通する出口まで後方に延び、中心管の側壁部の内部を貫通して形成される。
【0023】
本発明の一実施形態に係る燃焼器は、空気流路に燃料の流動に乱流を形成させる乱流形成部材が配置される。
【0024】
本発明の一実施形態に係る燃焼器は、複数の冷却チャネルが中心管の側壁部の内部で螺旋状に配置される。
【0025】
本発明の一実施形態に係る燃焼器は、中心管の開口ホールには、後方へいくほど流動断面積の増加する拡張部が形成される。
【0026】
本発明の実施形態に係るガスタービンは、圧縮機と、燃焼器と、タービンとを含む。圧縮機は、外部から流入した空気を圧縮する。燃焼器は、圧縮機で圧縮された圧縮空気と燃料とを混合して燃焼する。タービンは、燃焼器で燃焼された燃焼ガスによって回転する複数のタービンブレードを含む。燃焼器は、燃焼器用ノズルと、ダクト組立体とを含む。ダクト組立体は、ノズルの一側に結合され、圧縮空気と燃料とが内部で燃焼され、燃焼された燃焼ガスをタービンに伝達する。ノズルは、中心管と、シュラウドと、複数の冷却チャネルとを含む。中心管は、前方から後方に空気の移動する空気流路が内部に形成され、後端部に開口ホールが形成される。シュラウドは、中心管の少なくとも一部が内部に挿入され、中心管との間に空気および噴射された燃料の移動する混合流路が形成され、前端に空気流入口が形成される。空気流路と連通する入口から混合流路と連通する出口まで後方に延び、中心管の側壁部の内部を貫通して形成される。
【発明の効果】
【0027】
本発明による燃焼器用ノズル、燃焼器およびこれを含むガスタービンは、中心管に冷却チャネルが形成されて、中心管を効果的に冷却させることができ、中心管に火炎が付着したり、および火炎が逆火することを最小化できるというメリットがある。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るガスタービンの内部が示される図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係るノズルモジュールの全体的な様子を示す縦断面図である。
【
図4】
図3における冷却チャネル部分を別途に拡大して示す図である。
【
図5】本発明の第1実施形態に係るノズルモジュールの中心管の後端部における流速と温度分布を示す図である。
【
図6】本発明の第2実施形態に係るノズルモジュールの冷却チャネルを拡大して示す図である。
【
図7】本発明の第3実施形態に係るノズルモジュールの冷却チャネルを拡大して示す図である。
【
図8】本発明の第4実施形態に係るノズルモジュールの冷却チャネルを拡大して示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明は多様な変換が加えられて様々な実施例を有することができるが、特定の実施例を例示して詳細な説明に詳しく説明する。しかし、これは本発明を特定の実施形態に対して限定しようとするのではなく、本発明の思想および技術範囲に含まれるあらゆる変換、均等物または代替物を含むことが理解されなければならない。
【0030】
本発明で使った用語は単に特定の実施例を説明するために使われたものであり、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は文脈上明らかに異なって意味しない限り、複数の表現を含む。本発明において、「含む」または「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであって、1つまたはそれ以上の他の特徴や、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものの存在または付加の可能性を予め排除しないことが理解されなければならない。
【0031】
以下、添付した図面を参照して、本発明の好ましい実施形態を詳しく説明する。この時、添付した図面において、同一の構成要素はできるだけ同一の符号で表していることに留意する。また、本発明の要旨をあいまいにしうる公知の機能および構成に関する詳細な説明は省略する。同様の理由から、添付図面において一部の構成要素は誇張または省略されるか、概略的に示された。
【0032】
以下、本発明による燃焼器用ノズル、燃焼器およびこれを含むガスタービンについて説明する。
【0033】
図1は、本発明の第1実施形態に係るガスタービンの内部が示される図であり、
図2は、
図1の燃焼器を示す図である。
【0034】
以下、
図1および
図2を参照して、本発明の第1実施形態に係るガスタービンについて説明する。本実施形態に係るガスタービン1000の熱力学的サイクルは、理想的にはブレイトンサイクル(Brayton cycle)によることができる。ブレイトンサイクルは、等エントロピー圧縮(断熱圧縮)、定圧給熱、等エントロピー膨張(断熱膨張)、定圧放熱につながる4つの過程からなる。すなわち、大気の空気を吸入して高圧に圧縮した後、定圧環境で燃料を燃焼して熱エネルギーを放出し、この高温の燃焼ガスを膨張させて運動エネルギーに変換させた後に、残留エネルギーを含む排気ガスを大気中に放出することができる。すなわち、圧縮、加熱、膨張、放熱の4過程でサイクルが行われる。
【0035】
このようなブレイトンサイクルを実現するガスタービン1000は、
図1に示されるように、圧縮機1100と、燃焼器1200と、タービン1300とを含むことができる。以下の説明は
図1を参照するが、本発明の説明は、
図1に例示として示されたガスタービン1000と同等の構成を有するタービン機関に対しても幅広く適用可能である。
【0036】
図1を参照すれば、ガスタービン1000の圧縮機1100は、外部から空気を吸入して圧縮することができる。圧縮機1100は、圧縮機ブレード1130によって圧縮された圧縮空気を燃焼器1200に供給し、また、ガスタービン1000で冷却が必要な高温領域に冷却用空気を供給することができる。この時、吸入された空気は圧縮機1100で断熱圧縮過程を経るので、圧縮機1100を通過した空気の圧力と温度は上昇する。
【0037】
圧縮機1100は、遠心圧縮機(centrifugal compressors)や軸流圧縮機(axial compressor)で設計されるが、小型ガスタービンでは遠心圧縮機が適用されるのに対し、
図1に示されるような大型ガスタービン1000は、大量の空気を圧縮しなければならないため、多段軸流圧縮機が適用されることが一般的である。この時、多段軸流圧縮機において、圧縮機1100の圧縮機ブレード1130は、ロータディスクの回転に伴って回転して、流入した空気を圧縮しながら圧縮された空気を後段の圧縮機ベーン1140に移動させる。空気は、多段に形成された圧縮機ブレード1130を通過しながら次第により高圧に圧縮される。
【0038】
圧縮機ベーン1140は、ハウジング1150の内部に装着され、複数の圧縮機ベーン1140が段を形成して装着される。圧縮機ベーン1140は、前段の圧縮機ブレード1130から移動した圧縮空気を後段の圧縮機ブレード1130側に案内する。一実施形態において、複数の圧縮機ベーン1140の少なくとも一部は、空気の流入量の調節などのために、定められた範囲内で回転可能に装着される。
【0039】
圧縮機1100は、タービン1300から出力される動力の一部を用いて駆動できる。このために、
図1に示されるように、圧縮機1100の回転軸と、タービン1300の回転軸とは直結可能である。大型ガスタービン1000の場合、タービン1300で生産される出力のほぼ半分程度が圧縮機1100を駆動するのに消耗しうる。したがって、圧縮機1100の効率を向上させることは、ガスタービン1000の全体効率を向上させるのに直接的な影響を及ぼす。
【0040】
タービン1300は、ロータディスク1310と、ロータディスク1310に放射状に配置される複数のタービンブレードおよびタービンベーンとを含む。ロータディスク1310は、略円板形状を有しており、その外周部には複数の溝が形成されている。溝は屈曲面を有するように形成され、溝にタービンブレードとタービンベーンが挿入される。タービンベーンは、回転しないように固定され、タービンブレードを通過した燃焼ガスの流れ方向を案内する。タービンブレードは、燃焼ガスによって回転しながら回転力を生成する。
【0041】
一方、燃焼器1200は、圧縮機1100の出口から供給される圧縮空気を燃料と混合して、等圧燃焼させて、高いエネルギーの燃焼ガスを作ることができる。
図2は、ガスタービン1000に適用される燃焼器1200の一例を示す。燃焼器1200は、燃焼器ケーシング1210と、ノズル1220と、ダクト組立体1240とを含むことができる。
【0042】
燃焼器ケーシング1210は、ノズル1220を取り囲み、略円形シリンダ形状からなってもよい。ノズル1220は、圧縮機1100の下流に配置され、環状をなす燃焼器ケーシング1210に沿って配置される。ノズル1220には少なくとも1つ以上のノズルモジュール1400が備えられ、このノズルモジュール1400では、燃料と空気とが適切な比率で混合された後、噴射されて、燃焼に適した状態をなす。
【0043】
ガスタービン1000にはガス燃料が使用可能であり、特に、水素を含む燃料が使用可能である。燃料は、水素燃料単独、または水素と天然ガスとを含む燃料からなってもよい。
【0044】
ダクト組立体1240は、ノズル1220とタービン1300との間を連結して高温の燃焼ガスが流動し、ダクト組立体1240の外面からは圧縮空気が流れてノズル1220側に供給され、この過程で高温の燃焼ガスによって加熱されたダクト組立体1240が適切に冷却される。
【0045】
ダクト組立体1240は、ライナー1241と、トランジションピース1242と、流動スリーブ1243とを含むことができる。ダクト組立体1240は、ライナー1241とトランジションピース1242の外を流動スリーブ1243が取り囲む二重構造からなっており、圧縮空気は、流動スリーブ1243の内側の環状空間内に侵入してライナー1241とトランジションピース1242を冷却させる。
【0046】
ライナー1241は、燃焼器1200のノズル1220に連結される管部材であって、ライナー1241の内部の空間が燃焼室1230を形成する。ライナー1241の長手方向の一側端部はノズル1220に結合され、ライナー1241の長手方向の他側端部はトランジションピース1242に結合される。
【0047】
そして、トランジションピース1242は、タービン1300の入口と連結されて、高温の燃焼ガスをタービン1300に誘導する役割を果たす。トランジションピース1242の長手方向の一側端部はライナー1241と結合され、トランジションピース1242の長手方向の他側端部はタービン1300と結合される。流動スリーブ1243は、ライナー1241とトランジションピース1242を保護する一方、高温の熱気が外部に直接放出されることを防ぐ役割を果たす。
【0048】
図3は、本発明の第1実施形態に係るノズルモジュールの全体的な様子を示す縦断面図であり、
図4は、
図3における冷却チャネル部分を別途に拡大して示す図であり、
図5は、本発明の第1実施形態に係るノズルモジュールの中心管の後端部における流速と温度分布を示す図である。
【0049】
以下、
図3~
図5を参照して、本発明の第1実施形態に係る燃焼器用ノズル1220について詳しく説明する。本発明の第1実施形態に係る燃焼器用ノズル1220は、少なくとも1つのノズルモジュール1400を含み、ノズルモジュール1400は、中心管1420と、シュラウド1430と、冷却チャネル1450とを含む。
【0050】
中心管1420は、管状部材である。中心管1420は、所定の厚さを有する側壁部1421を含むことができる。中心管1420の前端部にはフランジ1410が配置される。フランジ1410には燃料が供給できる。中心管1420の内部または側壁部1421の内部には、前方から後方に空気の移動する空気流路1423が形成される。そして、中心管1420の後端部1422には開口した開口ホール1424が形成される。したがって、空気流路1423の空気は、開口ホール1424を介して外部に吐出される。中心管1420には空気流入ポート1425が形成される。空気流入ポート1425は、中心管1420を貫通して中心管1420の内外部を連通させることができる。空気流入ポート1425は、中心管1420においてフランジ1410のすぐ後ろまたはフランジ1410とやや離隔した位置に形成される。空気流入ポート1425を介して流入した空気は、中心管1420の空気流路1423で流動する。
【0051】
シュラウド1430の内部には、中心管1420の少なくとも一部が挿入される。中心管1420は、フランジ1410を除いた部分がシュラウド1430に挿入される。この時、空気流入ポート1425が形成された部分はシュラウド1430に挿入されず、空気流入ポート1425がシュラウド1430の前方に配置される。
【0052】
シュラウド1430の前端には空気流入口1451、1432が形成される。空気流入口1451、1432からは空気が流入する。シュラウド1430の前端には、空気の流入を案内し、流動抵抗を低減できるようにベルマウス1431が形成される。シュラウド1430は、中心管1420を取り囲みかつ、中心管1420と離隔して配置される。これによって、シュラウド1430と中心管1420との間には空間が形成される。前記空間では、空気流入口1451、1432から流入した空気と、別途に噴射された燃料とが共に流動する。したがって、前記空間を混合流路1433と称する。
【0053】
中心管1420には燃料ポート1428が形成される。燃料ポート1428は、混合流路1433に燃料を噴射する構成である。フランジ1410側からは燃料が流入し、燃料ポート1428はフランジ1410側と連通可能である。中心管1420の側壁部1421には、燃料が満たされる燃料プレナム1427が形成される。燃料プレナム1427は、側壁部1421から円周方向に延びて環状の空間を形成することができる。燃料プレナム1427はフランジ1410側と連通し、燃料プレナム1427は燃料ポート1428と連通することができる。これによって、フランジ1410側から流入した燃料が、燃料プレナム1427を経て燃料ポート1428から外部に噴射される。
【0054】
中心管1420とシュラウド1430との間にはスワラ1440が配置される。スワラ1440は、シュラウド1430の内周面に形成されるか、中心管1420の外周面に形成されてもよく、別途に備えられてシュラウド1430と中心管1420との間にそれぞれ結合されて配置されてもよい。スワラ1440は、空気または、空気および燃料を旋回させるための構成である。スワラ1440は、好ましくは、シュラウド1430の前端部近傍またはベルマウス1431のすぐ後方に配置される。そして、燃料ポート1428は、スワラ1440に配置される。もし、スワラ1440が中心管1420と一体に形成される場合、燃料ポート1428は、中心管1420およびスワラ1440をすべて貫通して形成される。燃料ポート1428がスワラ1440に配置される場合、旋回され始める空気に直に燃料を噴射可能で空気および燃料の混合度が改善でき、燃料ポート1428が燃焼室と遠くなって逆火を最小化できる。
【0055】
中心管1420には冷却チャネル1450が形成される。冷却チャネル1450は、複数個備えられる。冷却チャネル1450は、入口1451および出口1452を含む。冷却チャネル1450の入口1451は空気流路1423と連通し、出口1452は混合流路1433と連通する。冷却チャネル1450は、側壁部の内部を貫通して形成され、後方に延びて形成される。すなわち、縦断面からみると、冷却チャネル1450は、左右に延びて形成されかつ、上下が側壁部1421に取り囲まれるように形成される。複数の冷却チャネル1450は、側壁部1421の一部を挟んで空気流路1423を取り囲むように配置される。この時、複数の冷却チャネル1450は、側壁部1421で互いに並んで配置される。冷却チャネル1450では空気が流動する。空気流路1423の空気が冷却チャネル1450に流入して混合流路1433に吐出される。この過程で中心管1420が冷却される。
【0056】
冷却チャネル1450は、中心管1420の後端部1422に形成される。中心管1420の後端部1422は、燃焼室と近いため、高熱に露出しうる。中心管1420の後端部1422では、燃焼室の火炎が逆火して火炎が付着することがあり、そうでないとしても、燃焼室と近いため、比較的高い熱に露出してしまう。したがって、冷却チャネル1450は、中心管1420の後端部1422に形成されることが好ましい。
【0057】
側壁部1421には第1環状流路1453が形成される。第1環状流路1453は、側壁部1421の内部で中心管1420の円周方向に沿って延びて環状に形成される。すなわち、第1環状流路1453において側壁部1421は二重壁の構造であり、第1環状流路1453と空気流路1423との間に側壁部1421が配置され、第1環状流路1453と混合流路1433との間に側壁部1421が配置される。第1環状流路1453は、複数の冷却チャネル1450とすべて連通する。複数の冷却チャネル1450で流動していた空気は、第1環状流路1453に流入して流動する。第1環状流路1453は、冷却チャネル1450の入口1451および出口1452の間に形成される。この場合、入口1451に流入した空気が第1環状流路1453に流入した後、側壁部1421で円周方向に循環した後、再度それぞれの出口1452に吐出される。第1環状流路1453が側壁部1421に形成されることにより、複数の冷却チャネル1450で空気の流動が均一に形成できる。
【0058】
空気流路1423にはエアスワラ1460が配置される。エアスワラ1460は、中心管1420の空気流路1423で空気の流動を旋回させるための構成である。エアスワラ1460は、複数の旋回羽根(図示せず)を備えることができる。エアスワラ1460を経た空気の流動は旋回し、旋回された空気の流動は、遠心力によって中心管1420の側壁部1421の内周面に密着することができる。これによって、中心管1420の冷却性能がさらに向上できる。
【0059】
エアスワラ1460は、中心管1420の後端部1422と離隔して配置される。エアスワラ1460が中心管1420の後端部1422の端に位置すれば、中心管1420の内部に旋回された空気の流動がほとんどないため、冷却性能が低下することがあり、これによって、エアスワラ1460の位置は、中心管1420の後端部1422とは離隔して配置されることが好ましい。
【0060】
しかし、エアスワラ1460が中心管1420の後端部1422と過度に離隔する場合、エアスワラ1460による冷却性能が低下しうる。旋回された空気は、流動の進行に伴って徐々に直進性が高くなり、これによって、エアスワラ1460が過度に離隔すれば、中心管1420の後端部1422では空気の旋回流動がほとんど及ばず、冷却性能が低下しうるのである。したがって、エアスワラ1460は、中心管1420の後端部1422近傍に配置されることが好ましい。
【0061】
しかし、この場合にも、エアスワラ1460が冷却チャネル1450の入口1451より前方に配置される場合、冷却チャネル1450に空気が円滑に流入しないことがあるので、エアスワラ1460は、冷却チャネル1450の入口1451よりは後方に配置されることが好ましい。
【0062】
図6は、本発明の第2実施形態に係るノズルモジュールの冷却チャネルを拡大して示す図である。
【0063】
以下、
図6を参照して、本発明の第2実施形態に係る燃焼器用ノズル1220について詳しく説明する。本発明の第2実施形態に係る燃焼器用ノズル1220は、エアスワラ1460および乱流形成部材1470を除けば、本発明の第1実施形態に係る燃焼器用ノズル1220と同一であるので、これと重複する説明は省略する。
【0064】
本発明の第2実施形態に係る燃焼器用ノズル1220は、エアスワラ1460が乱流形成部材1470に代替可能である。乱流形成部材1470は、中心管1420の空気流路で空気流動に乱流を形成するための構成である。乱流形成部材1470は、側壁部1421の内周面で突起の形状に形成され、複数の突起で構成されてもよい。空気が乱流形成部材1470を経ると空気の流動に乱流が形成され、これにより、側壁部1421の内周面に供給される空気の流量が増加できる。これによって、中心管1420の冷却性能がさらに向上できる。
【0065】
乱流形成部材1470は、中心管1420の後端部1422と離隔して配置される。乱流形成部材1470が中心管1420の後端部1422の端に位置すれば、中心管1420の内部で空気の乱流流動がほとんど形成されないため、冷却性能が低下することがあり、これによって、乱流形成部材1470の位置は、中心管1420の後端部1422とは離隔して配置されることが好ましい。
【0066】
しかし、乱流形成部材1470が中心管1420の後端部1422と過度に離隔する場合、乱流形成部材1470による冷却性能がむしろ減少しうる。乱流で形成された空気の流動は、流動の進行に伴って徐々に層流に変化できる。したがって、乱流形成部材1470が中心管1420の後端部1422と過度に離隔した場合、中心管1420の後端部1422では層流の空気流動が流れるので、冷却性能が低下しうる。したがって、乱流形成部材1470は、中心管1420の後端部1422近傍に配置されることが好ましい。
【0067】
しかし、この場合にも、乱流形成部材1470が冷却チャネル1450の入口1451より前方に配置される場合、冷却チャネル1450に空気が円滑に流入しないことがあるため、乱流形成部材1470は、冷却チャネル1450の入口1451よりは後方に配置されることが好ましい。
【0068】
図7は、本発明の第3実施形態に係るノズルモジュールの冷却チャネルを拡大して示す図である。
【0069】
以下、
図7を参照して、本発明の第3実施形態に係る燃焼器用ノズル1220について詳しく説明する。本発明の第3実施形態に係る燃焼器用ノズル1220は、冷却チャネル1450を除けば、本発明の第1実施形態に係る燃焼器用ノズル1220と同一であるので、これと重複する説明は省略する。
【0070】
本発明の第3実施形態に係る燃焼器用ノズル1220は、複数の冷却チャネル1450が螺旋状に形成される。複数の冷却チャネル1450は、中心管1420の側壁部1421の内部で、入口1451から出口1452に向かって螺旋状に形成される。すなわち、複数の冷却チャネル1450は、多重螺旋状の形状に形成される。
【0071】
この場合、冷却チャネル1450は、側壁部1421から側壁部1421の円周方向および軸方向に沿って延びて形成される。螺旋状構造の冷却チャネル1450では、冷却に用いられる空気が側壁部1421でより均一に流動するため、中心管1420の冷却性能がさらに増加できるというメリットがある。
【0072】
図8は、本発明の第4実施形態に係るノズルモジュールの冷却チャネルを拡大して示す図であり、
図9は、
図8の変形例を示す図である。
【0073】
以下、
図8および9を参照して、本発明の第4実施形態に係る燃焼器用ノズル1220について詳しく説明する。本発明の第4実施形態に係る燃焼器用ノズル1220は、拡張部1426を除けば、本発明の第1実施形態に係る燃焼器用ノズル1220と同一であるので、これと重複する説明は省略する。
【0074】
本発明の第4実施形態に係る燃焼器用ノズル1220は、拡張部1426をさらに含む。拡張部1426は、中心管1420の後端部1422に形成され、拡張部1426は、中心管1420の開口ホール1424に形成される。拡張部1426は、後方へいくほど、または上流から下流へいくほど流動断面積が増加する部分である。中心管1420の後端に位置した開口ホール1424に拡張部1426が形成される場合、中心管1420から空気が吐出されながら、空気が半径方向に広がっていくことが可能で、中心管1420の冷却性能がさらに改善できる。
【0075】
中心管1420に拡張部1426が形成される場合、冷却チャネル1450の出口1452は、拡張部1426の周辺から中心管1420の軸方向および半径方向に沿って傾斜して形成される。具体的には、冷却チャネル1450の出口1452は、拡張部1426の拡張された流路の形状に対応して、拡張部1426の断面と並んで延びて形成される。この場合、冷却チャネル1450から吐出される空気が、軸方向だけでなく、半径方向にも延びていくようになるので、冷却性能がさらに改善できる。
【0076】
中心管1420に拡張部1426が形成される場合、拡張部1426の周辺には第2環状流路1454が形成される。第2環状流路1454は、中心管1420の側壁部1421から円周方向に沿って環状につながった流路である。第2環状流路1454は、断面が拡張部1426の断面に対応して形成される。これによって、第2環状流路1454が形成された側壁部1421の部分は、二重壁の構造に形成される。第2環状流路1454には、複数の冷却チャネル1450の出口1452がすべて連通する。これにより、冷却チャネル1450の出口1452から吐出された空気は、すべて第2環状流路1454に流入して、循環した後、中心管1420の後端部1422から外部に吐出される。第2環状流路1454が形成されることにより、冷却チャネル1450から吐出される空気の流動がさらに均一に形成可能であり、中心管1420でのより高い冷却性能を期待できるというメリットがある。
【0077】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、当該技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された本発明の思想を逸脱しない範囲内で、構成要素の付加、変更、削除または追加などによって本発明を多様に修正および変更可能であり、これも本発明の権利範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0078】
1000:ガスタービン
1100:圧縮機
1200:燃焼器
1210:燃焼器ケーシング
1220:ノズル
1230:燃焼室
1240:ダクト組立体
1300:タービン
1310:ロータディスク
1400:ノズルモジュール
1410:フランジ
1420:中心管
1421:側壁部
1422:後端部
1423:空気流路
1424:開口ホール
1425:空気流入ポート
1426:拡張部
1427:燃料プレナム
1428:燃料ポート
1430:シュラウド
1431:ベルマウス
1432:空気流入口
1433:混合流路
1440:スワラ
1450:冷却チャネル
1451:冷却チャネルの入口
1452:冷却チャネルの出口
1453:第1環状流路
1454:第2環状流路
1460:エアスワラ
1470:乱流形成部材