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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】PCa部材の接続方法
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/21 20060101AFI20241217BHJP
   E04B 1/58 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
E04B1/21 C
E04B1/58 503E
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021008192
(22)【出願日】2021-01-21
(65)【公開番号】P2022112372
(43)【公開日】2022-08-02
【審査請求日】2023-09-05
(73)【特許権者】
【識別番号】302060926
【氏名又は名称】株式会社フジタ
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】シング ラヴィ
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 仁
【審査官】吉村 庄太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-239240(JP,A)
【文献】特開2006-144251(JP,A)
【文献】特開2016-89450(JP,A)
【文献】特開2005-139730(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/21
E04B 1/58
E04G 21/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレキャストコンクリート製の仕口である、PCa仕口と、プレキャストコンクリート製の下柱と上柱である、PCa柱とを接続する、PCa部材の接続方法であって、
前記下柱と前記上柱のいずれか一方の端面から複数の柱主筋が突設し、
前記PCa仕口は、複数の前記柱主筋がそれぞれ貫通する複数の主筋貫通孔を備え、
前記下柱と前記上柱のいずれか他方の端面から内部に亘って、突設する複数の前記柱主筋の端部がそれぞれ挿通される複数の継手管が埋設されており、
複数の前記柱主筋のそれぞれを対応する前記主筋貫通孔に貫通させ、前記主筋貫通孔から突設した前記柱主筋の端部を対応する前記継手管に挿通させて、前記下柱と前記PCa仕口と前記上柱を積層させ、この際に、前記下柱と前記PCa仕口の間に下横目地用隙間を形成し、前記PCa仕口と前記上柱の間に上横目地用隙間を形成する、A1工程と、
前記上横目地用隙間もしくは前記下横目地用隙間を介して、1つの前記主筋貫通孔からグラウトを注入することにより、前記グラウトを、前記下横目地用隙間と前記上横目地用隙間のいずれか一方に水平方向へ充填し、次いで、各主筋貫通孔を上昇もしくは降下させるようにして充填し、次いで、前記下横目地用隙間と前記上横目地用隙間のいずれか他方に水平方向へ充填し、次いで、各継手管に充填する、一連の連続充填を行う、B1工程と、
前記グラウトの硬化を待ち、前記下横目地用隙間に下横目地を形成し、前記上横目地用隙間に上横目地を形成して、前記PCa部材の接続を行う、C工程と、を有することを特徴とする、PCa部材の接続方法。
【請求項2】
プレキャストコンクリート製の仕口である、PCa仕口と、プレキャストコンクリート製の下柱と上柱である、PCa柱とを接続する、PCa部材の接続方法であって、
前記下柱と前記上柱のいずれか一方の端面から複数の柱主筋が突設し、
前記PCa仕口は、複数の前記柱主筋がそれぞれ貫通する複数の主筋貫通孔を備え、
前記下柱と前記上柱のいずれか他方の端面から内部に亘って、突設する複数の前記柱主筋の端部がそれぞれ挿通される複数の継手管が埋設されており、
複数の前記柱主筋のそれぞれを対応する前記主筋貫通孔に貫通させ、前記主筋貫通孔から突設した前記柱主筋の端部を対応する前記継手管に挿通させて、前記下柱と前記PCa仕口と前記上柱を積層させ、この際に、前記下柱と前記PCa仕口の間に下横目地用隙間を形成し、前記PCa仕口と前記上柱の間に上横目地用隙間を形成する、A1工程と、
前記上横目地用隙間もしくは前記下横目地用隙間を介して、1つの前記主筋貫通孔からグラウトを注入することにより、前記グラウトを、前記下横目地用隙間と前記上横目地用隙間のいずれか一方に水平方向へ充填し、次いで、各主筋貫通孔を上昇もしくは降下させるようにして充填する、一連の連続充填を行う、B2工程と、
少なくとも1つの前記継手管を注入兼用継手管とし、前記注入兼用継手管に連通する継手注入孔を介してグラウトを注入することにより、前記グラウトを、前記下横目地用隙間と前記上横目地用隙間のいずれか他方に水平方向へ充填し、次いで、各継手管に充填する、一連の連続充填を行う、B3工程と、
前記グラウトの硬化を待ち、前記下横目地用隙間に下横目地を形成し、前記上横目地用隙間に上横目地を形成して、前記PCa部材の接続を行う、C工程と、を有することを特徴とする、PCa部材の接続方法。
【請求項3】
プレキャストコンクリート製の仕口である、PCa仕口と、プレキャストコンクリート製の下柱と上柱である、PCa柱とを接続する、PCa部材の接続方法であって、
前記下柱と前記上柱のいずれか一方の端面から複数の柱主筋が突設し、
前記PCa仕口は、複数の前記柱主筋がそれぞれ貫通する複数の主筋貫通孔を備え、
前記下柱と前記上柱のいずれか他方の端面から内部に亘って、突設する複数の前記柱主筋の端部がそれぞれ挿通される複数の継手管が埋設されており、
複数の前記柱主筋のそれぞれを対応する前記主筋貫通孔に貫通させ、前記主筋貫通孔から突設した前記柱主筋の端部を対応する前記継手管に挿通させて、前記下柱と前記PCa仕口と前記上柱を積層させ、この際に、前記下柱と前記PCa仕口の間に下横目地用隙間を形成し、前記PCa仕口と前記上柱の間に上横目地用隙間を形成する、A1工程と、
それぞれの前記継手管に連通する継手注入孔を介して、グラウトを各継手管に充填する、B4工程と、
前記上横目地用隙間もしくは前記下横目地用隙間を介して、1つの前記主筋貫通孔からグラウトを注入することにより、前記グラウトを、前記下横目地用隙間と前記上横目地用隙間のいずれか一方に水平方向へ充填し、次いで、各主筋貫通孔を上昇もしくは降下させるようにして充填し、次いで、前記下横目地用隙間と前記上横目地用隙間のいずれか他方に水平方向へ充填する、一連の連続充填を行う、B5工程と、
前記グラウトの硬化を待ち、前記下横目地用隙間に下横目地を形成し、前記上横目地用隙間に上横目地を形成して、前記PCa部材の接続を行う、C工程と、を有することを特徴とする、PCa部材の接続方法。
【請求項4】
プレキャストコンクリート製の仕口である、PCa仕口と、プレキャストコンクリート製の下柱と上柱である、PCa柱とを接続する、PCa部材の接続方法であって、
前記下柱と前記上柱のいずれか一方の端面から複数の柱主筋が突設し、
前記PCa仕口は、複数の前記柱主筋がそれぞれ貫通する複数の主筋貫通孔を備え、
前記下柱と前記上柱のいずれか他方の端面から内部に亘って、突設する複数の前記柱主筋の端部がそれぞれ挿通される複数の継手管が埋設されており、
複数の前記柱主筋のそれぞれを対応する前記主筋貫通孔に貫通させ、前記主筋貫通孔から突設した前記柱主筋の端部を対応する前記継手管に挿通させて、前記下柱と前記PCa仕口と前記上柱を積層させ、この際に、前記下柱と前記PCa仕口の間に下横目地用隙間を形成し、前記PCa仕口と前記上柱の間に上横目地用隙間を形成する、A1工程と、
それぞれの前記継手管に連通する継手注入孔を介して、グラウトを各継手管に充填する、B4工程と、
前記上横目地用隙間もしくは前記下横目地用隙間を介して、1つの前記主筋貫通孔からグラウトを注入することにより、前記グラウトを、前記下横目地用隙間と前記上横目地用隙間のいずれか一方に水平方向へ充填し、次いで、各主筋貫通孔を上昇もしくは降下させるようにして充填し、次いで、前記下横目地用隙間と前記上横目地用隙間のいずれか他方に水平方向へ充填する、一連の連続充填を行う、B7工程と、
前記グラウトの硬化を待ち、前記下横目地用隙間に下横目地を形成し、前記上横目地用隙間に上横目地を形成して、前記PCa部材の接続を行う、C工程と、を有することを特徴とする、PCa部材の接続方法。
【請求項5】
3階建て以上の建築物において、
全階のうちの所定階に亘って、前記A1工程を行い、次いで、前記B1工程乃至前記B5工程と前記B7工程のいずれか一つもしくは複数と前記C工程を行い、
次に、残りの階において、前記A1工程を行い、次いで、前記B1工程乃至前記B5工程と前記B7工程のいずれか一つもしくは複数と前記C工程を行うことを特徴とする、請求項1乃至のいずれか一項に記載のPCa部材の接続方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PCa部材の接続方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、RC(Reinforced Concrete)造の柱と梁の柱梁接合部や、RC造の柱とS(Steel)造の梁のハイブリッド構造の柱梁接合部を、現場におけるコンクリート打設により施工する場合、工期の長期化が課題としてあり、高層建築物の場合はこの課題が一層顕著になる。そこで、上下の柱と双方の柱を繋ぐ仕口とをいずれもプレキャストコンクリート(以下、適宜「PCa」とする)製とし、PCa柱とPCa仕口(いずれもPCa部材に含まれる)を現場に搬送して組み付け、最小限のグラウト充填のみで一体化を図る接続方法が適用されることがある。このPCa部材の接続方法によれば、高層建築物を含め、工期を格段に短縮できるとともに、柱梁接合部がPCa部材により形成されることから、構造信頼性の高い建築物を施工することが可能になる。
【0003】
ここで、特許文献1には、PCa仕口(ここではPC仕口パネル部)が下階のPCa柱(ここではPC柱)上に位置するように配置される第1PCa部材(ここではPC部材)と、PCa梁部(ここではPC梁部)とを有し、PCa仕口の両側方に配置される第2及び第3PCa部材とにより構成され、第2PCa部材のPCa梁部の端部からは梁主筋が突出し、第3PCa部材のPCa梁部の端部には梁主筋連結用の継手が埋入され、第2PCa部材から突出する梁主筋は、貫通孔の一端から挿入され、その先端が貫通孔の他端から突出して第3PCa部材の継手に定着されている、PCa柱梁(ここではPC柱梁)の接合構造が提案されている。この接合構造において、継手は外周に凸部が設けられた鞘管により構成され、鞘管の内側に梁主筋の先端が挿入されてグラウトにより定着されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第4496023号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来のPCa部材の接続方法では、例えばPCa柱である下柱に対してPCa仕口を設置し、PCa仕口の主筋貫通孔や双方の間の目地(下横目地用隙間)にグラウトを注入する工程と、次いで、PCa仕口の上端から張り出す柱主筋をPCa柱である上柱の継手管に挿入するようにしてPCa仕口に上柱を設置し、継手管の内部や双方の間の目地(上横目地用隙間)にグラウトを注入する工程とにより柱梁接合部を施工しており、上下のグラウト注入が完全に分離された、2工程のグラウト注入を要していた。そのため、例えば建築物が3階以上になると、上記工程が階層に応じた回数だけ繰り替えされることになり、工程増となって、PCa部材を採用することによる工期の短縮が減殺されていた。尚、上記特許文献1には、この課題を解消する手段の開示はない。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、少なくともPCa柱とPCa仕口を含むPCa部材の接続方法に関し、効率的なグラウト注入により工期の短縮を図ることのできる、PCa部材の接続方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成すべく、本発明によるPCa部材の接続方法の一態様は、
プレキャストコンクリート製の仕口である、PCa仕口と、プレキャストコンクリート製の下柱と上柱である、PCa柱とを接続する、PCa部材の接続方法であって、
前記下柱と前記上柱のいずれか一方の端面から複数の柱主筋が突設し、
前記PCa仕口は、複数の前記柱主筋がそれぞれ貫通する複数の主筋貫通孔を備え、
前記下柱と前記上柱のいずれか他方の端面から内部に亘って、突設する複数の前記柱主筋の端部がそれぞれ挿通される複数の継手管が埋設されており、
複数の前記柱主筋のそれぞれを対応する前記主筋貫通孔に貫通させ、前記主筋貫通孔から突設した前記柱主筋の端部を対応する前記継手管に挿通させて、前記下柱と前記PCa仕口と前記上柱を積層させ、この際に、前記下柱と前記PCa仕口の間に下横目地用隙間を形成し、前記PCa仕口と前記上柱の間に上横目地用隙間を形成する、A1工程と、
前記上横目地用隙間もしくは前記下横目地用隙間を介して、1つの前記主筋貫通孔もしくは前記PCa仕口に設けられている注入用貫通孔に設置されている注入ホースからグラウトを注入することにより、前記グラウトを、前記下横目地用隙間と前記上横目地用隙間のいずれか一方に水平方向へ充填し、次いで、各主筋貫通孔を上昇もしくは降下させるようにして充填し、次いで、前記下横目地用隙間と前記上横目地用隙間のいずれか他方に水平方向へ充填し、次いで、各継手管に充填する、一連の連続充填を行う、B1工程と、
前記グラウトの硬化を待ち、前記下横目地用隙間に下横目地を形成し、前記上横目地用隙間に上横目地を形成して、前記PCa部材の接続を行う、C工程と、を有することを特徴とする。
【0008】
本態様によれば、B1工程において、上横目地用隙間と下横目地用隙間、各主筋貫通孔、及び各継手管に対して連続的にグラウトを充填することができるため、効率的なグラウト注入が実現されて、工期の短縮を図ることが可能になる。ここで、A1工程では、PCa柱である下柱と上柱のいずれか一方の端面から複数の柱主筋が突設していることから、柱主筋が突設していない他方の柱には、各柱主筋の端部がそれぞれ挿通される複数の継手管が埋設されている。
【0009】
尚、以下、本明細書では、下柱の端面(上端面)から柱主筋が突設し、上柱の端面(下端面)から内側に継手管が埋設されていて、この継手管に柱主筋の端部が挿通される形態を「順挿し」と称し、上柱の端面(下端面)から柱主筋が突設し、下柱の端面(上端面)から内側に継手管が埋設されていて、この継手管に柱主筋の端部が挿通される形態を「逆挿し」と称する。また、複数の主筋貫通孔を備えたPCa仕口は、「レンコンPCa仕口」と称することもできる。
【0010】
また、B1工程では、上横目地用隙間もしくは下横目地用隙間を介して、1つの主筋貫通孔もしくはPCa仕口に設けられている注入用貫通孔に設置されている注入ホースからグラウトを注入する。例えば、上横目地用隙間を介して注入用貫通孔に設置されている注入ホースからグラウトを注入する場合は、注入されたグラウトは、注入用貫通孔から下横目地用隙間に入り、下横目地用隙間において水平方向へ充填され、次いで、下横目地用隙間から各主筋貫通孔を上昇するようにして充填され、次いで、各主筋貫通孔から上横目地用隙間にグラウトが入り、上横目地用隙間にグラウトが水平方向へ充填され、最後に、上横目地用隙間から各継手管にグラウトが充填されることから、グラウトの一連の連続充填が行われることになる。
【0011】
ここで、上横目地用隙間と下横目地用隙間の隙間保持方法は、双方の隙間に所定高さのスペーサを介在させる方法や、上柱の下端面や下柱の上端面から所定高さの突起を張り出させ、PCa仕口と当接した際に自動的に所望高さの隙間が形成される方向等が挙げられる。また、形成された上横目地用隙間や下横目地用隙間の周囲には、帯状の型枠を設置し、グラウトが漏れないような措置を講じておくが、型枠の各所に空気抜き孔を設けておくのがよい。また、継手管にも、継手管からPCa柱の側面に通じる空気抜き孔を設けておくのがよい。
【0012】
また、本発明によるPCa部材の接続方法の他の態様は、
プレキャストコンクリート製の仕口である、PCa仕口と、プレキャストコンクリート製の下柱と上柱である、PCa柱とを接続する、PCa部材の接続方法であって、
前記下柱と前記上柱のいずれか一方の端面から複数の柱主筋が突設し、
前記PCa仕口は、複数の前記柱主筋がそれぞれ貫通する複数の主筋貫通孔を備え、
前記下柱と前記上柱のいずれか他方の端面から内部に亘って、突設する複数の前記柱主筋の端部がそれぞれ挿通される複数の継手管が埋設されており、
複数の前記柱主筋のそれぞれを対応する前記主筋貫通孔に貫通させ、前記主筋貫通孔から突設した前記柱主筋の端部を対応する前記継手管に挿通させて、前記下柱と前記PCa仕口と前記上柱を積層させ、この際に、前記下柱と前記PCa仕口の間に下横目地用隙間を形成し、前記PCa仕口と前記上柱の間に上横目地用隙間を形成する、A1工程と、
前記上横目地用隙間もしくは前記下横目地用隙間を介して、1つの前記主筋貫通孔もしくは前記PCa仕口に設けられている注入用貫通孔に設置されている注入ホースからグラウトを注入することにより、前記グラウトを、前記下横目地用隙間と前記上横目地用隙間のいずれか一方に水平方向へ充填し、次いで、各主筋貫通孔を上昇もしくは降下させるようにして充填する、一連の連続充填を行う、B2工程と、
少なくとも1つの前記継手管を注入兼用継手管とし、前記注入兼用継手管に連通する継手注入孔を介してグラウトを注入することにより、前記グラウトを、前記下横目地用隙間と前記上横目地用隙間のいずれか他方に水平方向へ充填し、次いで、各継手管に充填する、一連の連続充填を行う、B3工程と、
前記グラウトの硬化を待ち、前記下横目地用隙間に下横目地を形成し、前記上横目地用隙間に上横目地を形成して、前記PCa部材の接続を行う、C工程と、を有することを特徴とする。
【0013】
本態様によれば、B2工程にて、例えば、下横目地用隙間と各主筋貫通孔にグラウトを充填し、各主筋貫通孔からグラウトが上横目地用隙間に入ることを確認することにより、下横目地用隙間と各主筋貫通孔にグラウトが確実に充填されたことを保証できる。次いで、B3工程にて、例えば上柱にある1つの継手管を注入兼用継手管とし、これに連通する継手注入孔を介してグラウトを注入することにより、例えば上横目地用隙間においてグラウトが水平方向へ充填され、次いで、上横目地用隙間から各継手管にグラウトが充填されることから、下横目地用隙間と上横目地用隙間、各主筋貫通孔、及び各継手管に対して連続的にグラウトの充填を行うことができる。
【0014】
また、本発明によるPCa部材の接続方法の他の態様は、
プレキャストコンクリート製の仕口である、PCa仕口と、プレキャストコンクリート製の下柱と上柱である、PCa柱とを接続する、PCa部材の接続方法であって、
前記下柱と前記上柱のいずれか一方の端面から複数の柱主筋が突設し、
前記PCa仕口は、複数の前記柱主筋がそれぞれ貫通する複数の主筋貫通孔を備え、
前記下柱と前記上柱のいずれか他方の端面から内部に亘って、突設する複数の前記柱主筋の端部がそれぞれ挿通される複数の継手管が埋設されており、
複数の前記柱主筋のそれぞれを対応する前記主筋貫通孔に貫通させ、前記主筋貫通孔から突設した前記柱主筋の端部を対応する前記継手管に挿通させて、前記下柱と前記PCa仕口と前記上柱を積層させ、この際に、前記下柱と前記PCa仕口の間に下横目地用隙間を形成し、前記PCa仕口と前記上柱の間に上横目地用隙間を形成する、A1工程と、
それぞれの前記継手管に連通する継手注入孔を介して、グラウトを各継手管に充填する、B4工程と、
前記上横目地用隙間もしくは前記下横目地用隙間を介して、1つの前記主筋貫通孔もしくは前記PCa仕口に設けられている注入用貫通孔に設置されている注入ホースからグラウトを注入することにより、前記グラウトを、前記下横目地用隙間と前記上横目地用隙間のいずれか一方に水平方向へ充填し、次いで、各主筋貫通孔を上昇もしくは降下させるようにして充填し、次いで、前記下横目地用隙間と前記上横目地用隙間のいずれか他方に水平方向へ充填する、一連の連続充填を行う、B5工程と、
前記グラウトの硬化を待ち、前記下横目地用隙間に下横目地を形成し、前記上横目地用隙間に上横目地を形成して、前記PCa部材の接続を行う、C工程と、を有することを特徴とする。
【0015】
本態様によれば、B4工程にて、例えば、下柱に埋設されているそれぞれの継手管に連通する継手注入孔を介して、グラウトをそれぞれの継手管に充填し、各継手管からグラウトが下横目地用隙間に入ることを確認することにより、各継手管にグラウトが確実に充填されたことを保証できる。次いで、B5工程にて、例えば、上横目地用隙間を介して、注入用貫通孔に設置されている注入ホースからグラウトを注入することにより、例えば下横目地用隙間においてグラウトが水平方向へ充填され、次いで、下横目地用隙間から各主筋貫通孔をグラウトが上昇するようにして充填され、次いで、各主筋貫通孔から上横目地用隙間に水平方向へグラウトが充填されることから、連続的にグラウトの充填を行うことができる。
【0016】
また、本発明によるPCa部材の接続方法の他の態様は、
プレキャストコンクリート製の仕口である、PCa仕口と、プレキャストコンクリート製の下柱と上柱である、PCa柱とを接続する、PCa部材の接続方法であって、
前記下柱と前記上柱のいずれか一方の端面から複数の柱主筋が突設し、
前記PCa仕口は、複数の前記柱主筋がそれぞれ貫通する複数の主筋貫通孔を備え、
前記下柱と前記上柱のいずれか他方の端面から内部に亘って、突設する複数の前記柱主筋の端部がそれぞれ挿通される複数の継手管が埋設されており、
複数の前記柱主筋のそれぞれを対応する前記主筋貫通孔に貫通させ、前記主筋貫通孔から突設した前記柱主筋の端部を対応する前記継手管に挿通させて、前記下柱と前記PCa仕口と前記上柱を積層させ、この際に、前記下柱と前記PCa仕口の間に下横目地用隙間を形成し、前記PCa仕口と前記上柱の間に上横目地用隙間を形成する、A1工程と、
前記上横目地用隙間もしくは前記下横目地用隙間に対して注入ホースを設置する、もしくは、前記下柱と前記上柱のいずれか一方に注入ホースを埋設しておき、前記注入ホースからグラウトを注入することにより、前記グラウトを、各継手管に最初もしくは最後に充填し、前記注入ホースが設置されている前記下横目地用隙間もしくは前記上横目地用隙間のいずれか一方に水平方向へ充填し、次いで、各主筋貫通孔を上昇もしくは降下させるようにして充填し、次いで、前記下横目地用隙間と前記上横目地用隙間のいずれか他方に水平方向へ充填する、一連の連続充填を行う、B6工程と、
前記グラウトの硬化を待ち、前記下横目地用隙間に下横目地を形成し、前記上横目地用隙間に上横目地を形成して、前記PCa部材の接続を行う、C工程と、を有することを特徴とする。
【0017】
本態様によれば、B6工程にて、例えば下横目地用隙間に対して直接的にグラウトを注入することにより、下横目地用隙間から下柱にある各継手管にグラウトが充填され、下横目地用隙間においてグラウトが水平方向へ充填され、次いで、下横目地用隙間から各主筋貫通孔をグラウトが上昇するようにして充填され、次いで、各主筋貫通孔から上横目地用隙間にグラウトが水平方向へ充填されることから、連続的にグラウトの充填を行うことができる。この形態では、グラウトが各継手管に最初に充填される。一方、上柱に継手管があり、下横目地用隙間からグラウトを注入する場合は、グラウトが各継手管に最後に充填される。ここで、B6工程では、例えば下横目地用隙間に注入ホースが設置される形態と、例えば下横目地用隙間に連通するようにして下柱に注入ホースが予め埋設されている形態がある。
【0018】
また、本発明によるPCa部材の接続方法の他の態様は、
プレキャストコンクリート製の仕口である、PCa仕口と、プレキャストコンクリート製の下柱と上柱である、PCa柱とを接続する、PCa部材の接続方法であって、
前記下柱と前記上柱のいずれか一方の端面から複数の柱主筋が突設し、
前記PCa仕口は、複数の前記柱主筋がそれぞれ貫通する複数の主筋貫通孔を備え、
前記下柱と前記上柱のいずれか他方の端面から内部に亘って、突設する複数の前記柱主筋の端部がそれぞれ挿通される複数の継手管が埋設されており、
複数の前記柱主筋のそれぞれを対応する前記主筋貫通孔に貫通させ、前記主筋貫通孔から突設した前記柱主筋の端部を対応する前記継手管に挿通させて、前記下柱と前記PCa仕口と前記上柱を積層させ、この際に、前記下柱と前記PCa仕口の間に下横目地用隙間を形成し、前記PCa仕口と前記上柱の間に上横目地用隙間を形成する、A1工程と、
それぞれの前記継手管に連通する継手注入孔を介して、グラウトを各継手管に充填する、B4工程と、
前記上横目地用隙間もしくは前記下横目地用隙間を介して、1つの前記主筋貫通孔もしくは前記PCa仕口に設けられている注入用貫通孔に設置されている注入ホースからグラウトを注入することにより、前記グラウトを、前記下横目地用隙間と前記上横目地用隙間のいずれか一方に水平方向へ充填し、次いで、各主筋貫通孔を上昇もしくは降下させるようにして充填し、次いで、前記下横目地用隙間と前記上横目地用隙間のいずれか他方に水平方向へ充填する、一連の連続充填を行う、B7工程と、
前記グラウトの硬化を待ち、前記下横目地用隙間に下横目地を形成し、前記上横目地用隙間に上横目地を形成して、前記PCa部材の接続を行う、C工程と、を有することを特徴とする。
【0019】
本態様によれば、B4工程にて、例えば、下柱に埋設されているそれぞれの継手管に連通する継手注入孔を介して、グラウトをそれぞれの継手管に充填し、各継手管からグラウトが下横目地用隙間に入ることを確認することにより、各継手管にグラウトが確実に充填されたことを保証できる。次いで、B7工程にて、例えば、上横目地用隙間を介して注入用貫通孔に注入されたグラウトは、注入用貫通孔から下横目地用隙間に入り、下横目地用隙間において水平方向へ充填され、次いで、下横目地用隙間から各主筋貫通孔を上昇するようにして充填され、次いで、各主筋貫通孔から上横目地用隙間にグラウトが入り、上横目地用隙間にグラウトが水平方向へ充填さることから、グラウトの一連の連続充填が行われることになる。
【0020】
また、本発明によるPCa部材の接続方法の他の態様は、
プレキャストコンクリート製の仕口である、PCa仕口と、プレキャストコンクリート製の下柱と上柱である、PCa柱とを接続する、PCa部材の接続方法であって、
前記下柱と前記上柱のいずれか一方の端面から複数の柱主筋が突設し、
前記PCa仕口は、複数の前記柱主筋がそれぞれ貫通する複数の主筋貫通孔を備え、
前記下柱と前記上柱のいずれか他方の端面から内部に亘って、突設する複数の前記柱主筋の端部がそれぞれ挿通される複数の継手管が埋設されており、
複数の前記柱主筋のそれぞれを対応する前記主筋貫通孔に貫通させ、前記主筋貫通孔から突設した前記柱主筋の端部を対応する前記継手管に挿通させて、前記下柱と前記PCa仕口と前記上柱を積層させ、この際に、前記下柱と前記PCa仕口の間に下横目地用隙間を形成し、前記PCa仕口と前記上柱の間に上横目地用隙間を形成する、A1工程と、
前記上横目地用隙間もしくは前記下横目地用隙間に対して設置されている注入ホース、もしくは、前記下柱と前記上柱のいずれか一方に埋設されている注入ホースからグラウトを注入することにより、前記グラウトを、前記注入ホースが設置されている前記下横目地用隙間もしくは前記上横目地用隙間のいずれか一方に水平方向へ充填し、次いで、各主筋貫通孔を上昇もしくは降下させるようにして充填する、一連の連続充填を行う、B8工程と、
少なくとも1つの前記継手管を注入兼用継手管とし、前記注入兼用継手管に連通する継手注入孔を介してグラウトを注入することにより、前記グラウトを、前記下横目地用隙間と前記上横目地用隙間のいずれか他方に水平方向へ充填し、次いで、各継手管に充填する、一連の連続充填を行う、B3工程と、
前記グラウトの硬化を待ち、前記下横目地用隙間に下横目地を形成し、前記上横目地用隙間に上横目地を形成して、前記PCa部材の接続を行う、C工程と、を有することを特徴とする。
【0021】
本態様によれば、B8工程にて、例えば下横目地用隙間に対して直接的にグラウトを注入することにより、下横目地用隙間においてグラウトが水平方向へ充填され、次いで、下横目地用隙間からグラウトが各主筋貫通孔を上昇するようにして充填され、各主筋貫通孔からグラウトが上横目地用隙間に入ることを確認することにより、下横目地用隙間と各主筋貫通孔にグラウトが確実に充填されたことを保証できる。次いで、B3工程にて、例えば上柱にある1つの継手管を注入兼用継手管とし、これに連通する継手注入孔を介してグラウトを注入することにより、例えば上横目地用隙間においてグラウトが水平方向へ充填され、次いで、上横目地用隙間から他の継手管にグラウトが充填されることから、下横目地用隙間と上横目地用隙間、各主筋貫通孔、及び各継手管に対して連続的にグラウトの充填を行うことができる。
【0022】
また、本発明によるPCa部材の接続方法の他の態様は、
3階建て以上の建築物において、
全階のうちの所定階に亘って、前記A1工程を行い、次いで、前記B1工程乃至前記B8工程のいずれか一つもしくは複数と前記C工程を行い、
次に、残りの階において、前記A1工程を行い、次いで、前記B1工程乃至前記B8工程のいずれか一つもしくは複数と前記C工程を行うことを特徴とする。
【0023】
本態様によれば、3階建て以上の建築物において、全階のPCa部材の接続効率を格段に向上させることができる。ここで、「全階のうちの所定階に亘って」とは、例えば10階建ての建築物においては、所定階を1~5階までとし、「残りの階」を6階~10階までとすることができ、このような設定は多様に存在する。この例では、1階~5階までのA1工程を行い、次いで、1階~5階までのB1工程乃至B8工程のいずれか一つもしくは複数とC工程を行うことで、効率的に1階~5階までのPCa部材の接続が行われる。その後、同様の方法で、6階~10階までのA1工程を行い、次いで、B1工程乃至B8工程のいずれか一つもしくは複数とC工程を行うことで、効率的に6階~10階までのPCa部材の接続が行われ、結果として、1階~10階までのPCa部材の接続を効率的に行うことが可能になる。
【0024】
また、本発明によるPCa部材の接続方法の他の態様は、
プレキャストコンクリート製の仕口である、PCa仕口と、プレキャストコンクリート製の下柱と上柱である、PCa柱とを接続する、PCa部材の接続方法であって、
前記PCa仕口の上下の端面から複数の柱主筋が突設し、
前記下柱と前記上柱のそれぞれの端面から内部に亘って、突設する複数の前記柱主筋の端部がそれぞれ挿通される複数の継手管が埋設されており、
複数の前記柱主筋の端部を対応する前記継手管に挿通させて、前記下柱と前記PCa仕口と前記上柱を積層させ、この際に、前記下柱と前記PCa仕口の間に下横目地用隙間を形成し、前記PCa仕口と前記上柱の間に上横目地用隙間を形成する、A2工程と、
前記上柱と前記下柱のいずれか一方において、少なくとも一つの前記継手管を注入兼用継手管とし、前記注入兼用継手管に連通する継手注入孔を介してグラウトを注入することにより、前記グラウトを、前記下横目地用隙間と前記上横目地用隙間のいずれか一方に水平方向へ充填し、次いで、各継手管に充填する、一連の連続充填を行い、
前記上柱と前記下柱のいずれか他方において、少なくとも一つの前記継手管を注入兼用継手管とし、前記注入兼用継手管に連通する継手注入孔を介してグラウトを注入することにより、前記グラウトを、前記下横目地用隙間と前記上横目地用隙間のいずれか他方に水平方向へ充填し、次いで、各継手管に充填する、一連の連続充填を行う、B9工程と、
前記グラウトの硬化を待ち、前記下横目地用隙間に下横目地を形成し、前記上横目地用隙間に上横目地を形成して、前記PCa部材の接続を行う、C工程と、を有することを特徴とする。
【0025】
本態様によれば、A2工程にて、既述のレンコンPCa仕口に代わり、上下に複数の柱主筋が突設した別形態のPCa仕口(例えば、フルPCa仕口と称することができる)を適用し、いずれも継手管を備えている上柱と下柱を適用してPCa柱とPCa仕口を積層し、B9工程にて、上柱と下柱の双方の備える継手注入孔を介してグラウトを注入することにより、下横目地用隙間と上横目地用隙間にグラウトが水平方向へ充填され、次いで、各継手管にグラウトが充填されることから、上横目地用隙間とこれに連通する各継手管、下横目地用隙間とこれに連通する各継手管に対して連続的にグラウトの充填を行うことができる。
【0026】
また、本発明によるPCa部材の接続方法の他の態様は、
前記B9工程において、注入ホースの備える2つの分岐ホースをそれぞれ、前記上柱と前記下柱のそれぞれの前記注入兼用継手管に接続し、同時にグラウトを注入することを特徴とする。
【0027】
本態様によれば、注入ホースの備える2つの分岐ホースをそれぞれ、上柱と下柱のそれぞれの注入兼用継手管に接続することにより、上下同時にグラウトを注入することができ、より一層効率的なグラウトの充填が可能になる。
【0028】
また、本発明によるPCa部材の接続方法の他の態様は、
プレキャストコンクリート製の仕口である、PCa仕口と、プレキャストコンクリート製の下柱と上柱である、PCa柱とを接続する、PCa部材の接続方法であって、
前記PCa仕口の上下の端面から複数の柱主筋が突設し、
前記下柱と前記上柱のそれぞれの端面から内部に亘って、突設する複数の前記柱主筋の端部がそれぞれ挿通される複数の継手管が埋設されており、
複数の前記柱主筋の端部を対応する前記継手管に挿通させて、前記下柱と前記PCa仕口と前記上柱を積層させ、この際に、前記下柱と前記PCa仕口の間に下横目地用隙間を形成し、前記PCa仕口と前記上柱の間に上横目地用隙間を形成する、A2工程と、
前記下柱において、それぞれの前記継手管に連通する継手注入孔を介して、グラウトを各継手管に充填し、次いで、前記下横目地用隙間に水平方向へ充填する、B10工程と、
前記上柱において、少なくとも一つの前記継手管を注入兼用継手管とし、前記注入兼用継手管に連通する継手注入孔を介してグラウトを注入することにより、前記グラウトを、前記上横目地用隙間に水平方向へ充填し、次いで、各継手管に充填する、一連の連続充填を行う、B11工程と、
前記グラウトの硬化を待ち、前記下横目地用隙間に下横目地を形成し、前記上横目地用隙間に上横目地を形成して、前記PCa部材の接続を行う、C工程と、を有することを特徴とする。
【0029】
本態様によれば、B10工程にて、下柱における各継手管に連通する継手注入孔を介して、グラウトをそれぞれの継手管に充填することにより、各継手管からグラウトが下横目地用隙間に入ることを確認することにより、各継手管にグラウトが確実に充填されたことを確認でき、その後にグラウトが下横目地用隙間に水平方向へ充填される。
【0030】
また、本発明によるPCa部材の接続方法の他の態様は、
3階建て以上の建築物において、
全階のうちの所定階に亘って、前記A2工程を行い、次いで、前記B9工程もしくは前記B11工程のいずれか一つもしくは複数と前記C工程を行い、
次に、残りの階において、前記A2工程を行い、次いで、前記B9工程もしくは前記B11工程のいずれか一つもしくは複数と前記C工程を行うことを特徴とする。
【0031】
本態様によれば、3階建て以上の建築物において、全階のPCa部材の接続効率を格段に向上させることができる。
【発明の効果】
【0032】
以上の説明から理解できるように、本発明のPCa部材の接続方法によれば、少なくともPCa柱とPCa仕口を含むPCa部材の接続方法に関し、効率的なグラウト注入により工期の短縮を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1A】10階建ての建築物の備える、PCa仕口とPCa柱と柱梁接合部を模式的に示す図である。
図1B】実施形態に係るPCa部材の接続方法の一例を説明する図であって、レンコンPCa仕口を適用した順挿しによる組立て手順を説明する図である。
図1C図1Bの組立て手順により形成される、グラウト注入前の状態を示す図である。
図1D図1CのD-D矢視図である。
図2A】実施形態に係るPCa部材の接続方法の他の例を説明する図であって、レンコンPCa仕口を適用した逆挿しによる組立て手順を説明する図である。
図2B図2Aの組立て手順により形成される、グラウト注入前の状態を示す図である。
図3A】実施形態に係るPCa部材の接続方法のさらに他の例を説明する図であって、フルPCa仕口を適用した組立て手順を説明する図である。
図3B図3Aの組立て手順により形成される、グラウト注入前の状態を示す図である。
図3C図3BのC-C矢視図である。
図4A】第1実施形態に係るPCa部材の接続方法の一例を説明する図である。
図4B図4AのB-B矢視図である。
図5A】第2実施形態に係るPCa部材の接続方法の一例を説明する図である。
図5B図5AのB-B矢視図である。
図6A】第3実施形態に係るPCa部材の接続方法の一例を説明する図である。
図6B図6AのB-B矢視図である。
図7】第4実施形態に係るPCa部材の接続方法の一例を説明する図である。
図8】第5実施形態に係るPCa部材の接続方法の一例を説明する図である。
図9】第6実施形態に係るPCa部材の接続方法の一例を説明する図である。
図10】第7実施形態に係るPCa部材の接続方法の一例を説明する図である。
図11】第8実施形態に係るPCa部材の接続方法の一例を説明する図である。
図12】第9実施形態に係るPCa部材の接続方法の一例を説明する図である。
図13】第10実施形態に係るPCa部材の接続方法の一例を説明する図である。
図14】第11実施形態に係るPCa部材の接続方法の一例を説明する図である。
図15】第12実施形態に係るPCa部材の接続方法の一例を説明する図である。
図16】第13実施形態に係るPCa部材の接続方法の一例を説明する図である。
図17A】第14実施形態に係るPCa部材の接続方法の一例を説明する図である。
図17B図17AのB-B矢視図である。
図18】第15実施形態に係るPCa部材の接続方法の一例を説明する図である。
図19】第16実施形態に係るPCa部材の接続方法の一例を説明する図である。
図20】第17実施形態に係るPCa部材の接続方法の一例を説明する図である。
図21】第18実施形態に係るPCa部材の接続方法の一例を説明する図である。
図22】第19実施形態に係るPCa部材の接続方法の一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、各実施形態に係るPCa部材の接続方法の一例について、添付の図面を参照しながら説明する。尚、本明細書及び図面において、実質的に同一の構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く場合がある。
【0035】
[実施形態]
<PCa部材と柱梁接合部、及び、PCa部材の接続方法の概要>
はじめに、図1乃至図3を参照して、建築物を構成するPCa部材と柱梁接合部の一例と、PCa部材の接続方法の概要について説明する。ここで、図1Aは、10階建ての建築物の備える、PCa仕口とPCa柱と柱梁接合部を模式的に示す図であり、図1Bは、実施形態に係るPCa部材の接続方法の一例を説明する図であって、レンコンPCa仕口を適用した順挿しによる組立て手順を説明する図であり、図1Cは、図1Bの組立て手順により形成される、グラウト注入前の状態を示す図であり、図1Dは、図1CのD-D矢視図である。また、図2Aは、実施形態に係るPCa部材の接続方法の他の例を説明する図であって、レンコンPCa仕口を適用した逆挿しによる組立て手順を説明する図であり、図2Bは、図2Aの組立て手順により形成される、グラウト注入前の状態を示す図である。さらに、図3Aは、実施形態に係るPCa部材の接続方法のさらに他の例を説明する図であって、フルPCa仕口を適用した組立て手順を説明する図であり、図3Bは、図3Aの組立て手順により形成される、グラウト注入前の状態を示す図であり、図3Cは、図3BのC-C矢視図である。
【0036】
図1Aに示す構造体は、10階建ての建築物を構成する各階のPCa柱20と、各階の階間に設けられているPCa仕口10との積層構造体であり、各階ともに、PCa仕口10と下柱20Aと上柱20Bとにより柱梁接合部50が形成されている。ここで、PCa仕口10と、PCa柱20である下柱20A及び上柱20Bは、PCa部材に含まれる。尚、建築物の階層は10階に限定されるものではない。
【0037】
PCa仕口10は、RC造(鉄筋コンクリート造)、SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)などプレキャス製の仕口であるが、以下で詳説する実施形態に係るPCa部材の接続方法では、矩形枠状の鋼板からなる囲み板の内部にコンクリートが充填され、コンクリートの内部を鉄筋が貫通する(シース管を貫通する形態を含む)構造の仕口として説明する。
【0038】
また、例えば直方体状のPCa仕口10では、その四つの側面や三つ以下の側面から側方に鉄骨梁が張り出す形態や、鉄骨梁が張り出さない形態が含まれるが、以下で詳説する実施形態に係るPCa部材の接続方法では、四つの側面から側方に鉄骨梁が張り出す形態として説明する。尚、PCa仕口10から張り出す鉄骨梁の長さは、発生する曲げモーメント等との関係で、接続される他の鉄骨梁との接合部が構造弱部とならない長さに設定される。
【0039】
さらに、下柱20Aや上柱20Bは、基本的にはRC造のPCa柱であるが、SRC造のPCa柱であってもよい。
【0040】
PCa仕口10と下柱20Aとの間にはグラウトによる下横目地31が形成され、PCa仕口10と上柱20Bとの間にはグラウトによる上横目地32が形成されている。以下で詳説する各実施形態に係るPCa部材の接続方法はいずれも、このグラウトの効率的な充填方法に特徴をもつ接続方法である。
【0041】
グラウトの充填に先立つPCa仕口10と下柱20A及び上柱20Bの組み付け形態には、図1B乃至図1Dに示す形態、図2A及び図2Bに示す形態、さらには図3A乃至図3Cに示す形態の、大きく3種の形態がある。
【0042】
図1B乃至図1Dに示す形態は、既述するように、矩形枠状の鋼製の囲み板11を備えるPCa仕口10として、主筋貫通孔12を備えたレンコンPCa仕口が適用された上で、下柱20Aの上端面21から柱主筋23が突設し、上柱20Bの下端面22から内側に継手管25が埋設されていて、主筋貫通孔12に挿通された柱主筋23の端部が継手管25に挿通される、順挿しによる組み付け形態である。尚、囲み板11を備えていないPCa仕口が適用されてもよいし、鉄骨梁を備えていないPCa仕口が適用されてもよい。
【0043】
図1Bに示すように、下柱20Aの上端面21から複数の柱主筋23が突設し、PCa仕口10には各柱主筋23が挿通される複数の主筋貫通孔12(シース管)が埋設されている。図1Dに示すように、図示例では、9本の柱主筋23が挿通される9個の主筋貫通孔12が埋設される。また、図1Bに示す例では、主筋貫通孔12の他に、グラウト注入用の注入ホース40が設置される注入用貫通孔15がさらに埋設されている。尚、注入用貫通孔15を設けることなく、複数の主筋貫通孔12のうちの1つもしくは複数を注入用貫通孔としてもよい。
【0044】
上柱20Bの下端面22から内側には、各柱主筋23の端部が挿通される複数の継手管25が埋設されており、継手管25に当接するようにして柱主筋23が埋設されている。
【0045】
図1Bに示すように、下柱20Aに対して、上方に突設する各柱主筋23に対応する主筋貫通孔12に対して柱主筋23を挿通させながら、PCa仕口10を鉛直下方へX1方向に落とし込む。
【0046】
この際、下柱20Aの上端面21には、所定高さの別体のスペーサ(図示せず)を配設しておき、もしくは、下柱20Aの上端面21から上方へ所定高さの突起を突設させておいたり、PCa仕口10の下端面から下方へ所定高さの突起を突設させておき、これらのスペーサや突起を介してPCa仕口10を載置する。この状態で、図1Cに示すように、下柱20AとPCa仕口10の間には下横目地用隙間27が形成される。尚、注入用貫通孔15には、注入ホース40の先端が設置されている。
【0047】
次いで、図1Bに示すように、PCa仕口10に対して、上方に突設する各柱主筋23に対応する継手管25に対して柱主筋23の端部を挿通させながら、上柱20Bを鉛直下方へX2方向に落とし込む。
【0048】
この際、PCa仕口10の上端面には、所定高さの別体のスペーサ(図示せず)を配設しておき、もしくは、上柱20Bの下端面22から下方へ所定高さの突起を突設させておいたり、PCa仕口10の上端面から上方へ所定高さの突起を突設させておき、これらのスペーサや突起を介して上柱20Bを載置する。この状態で、図1Cに示すように、PCa仕口10と上柱20Bの間には上横目地用隙間28が形成される。
【0049】
図1Cに示すように、下柱20AとPCa仕口10,及び上柱20Bが組み付けられ、下横目地用隙間27と上横目地用隙間28が形成された後に、下横目地用隙間27と上横目地用隙間28を外周にて包囲するようにして帯状に型枠(図示せず)を組み、充填されたグラウトの漏洩防止を図る。ここで、型枠には、空気抜き孔が開設されているのが好ましい。
【0050】
一方、図2A及び図2Bに示す形態は、既述するように、矩形枠状の鋼製の囲み板11を備えるPCa仕口10として、主筋貫通孔12を備えたレンコンPCa仕口が適用された上で、上柱20Bの下端面22から柱主筋23が突設し、下柱20Aの上端面21から内側に継手管25が埋設されていて、主筋貫通孔12に挿通された柱主筋23の端部が継手管25に挿通される、逆挿しによる組み付け形態である。尚、囲み板11を備えていないPCa仕口が適用されてもよいし、鉄骨梁を備えていないPCa仕口が適用されてもよい。
【0051】
図2Aに示すように、上柱20Bの下端面22から複数の柱主筋23が突設し、PCa仕口10には各柱主筋23が挿通される複数の主筋貫通孔12(シース管)が埋設されている。また、図2Aに示す例では、主筋貫通孔12の他に、グラウト注入用の注入ホース40が設置される注入用貫通孔15がさらに埋設されている。
【0052】
また、下柱20Aの上端面21から内側には、各柱主筋23の端部が挿通される複数の継手管25が埋設されており、継手管25に当接するようにして柱主筋23が埋設されている。
【0053】
図2Aに示すように、下柱20Aに対して、各継手管25と対応する主筋貫通孔12を位置合わせしながらPCa仕口10を鉛直下方へX3方向に載置する。
【0054】
この際、下柱20Aの上端面21には、所定高さの別体のスペーサ(図示せず)を配設しておき、もしくは、下柱20Aの上端面21から上方へ所定高さの突起を突設させておいたり、PCa仕口10の下端面から下方へ所定高さの突起を突設させておき、これらのスペーサや突起を介して下柱20Aに対してPCa仕口10を載置する。この状態で、図2Bに示すように、下柱20AとPCa仕口10の間には下横目地用隙間27が形成される。尚、注入用貫通孔15には、注入ホース40の先端が設置されている。
【0055】
次いで、図2Aに示すように、PCa仕口10に対して、各主筋貫通孔12に対して下方に突設する各柱主筋23を挿通させ、さらに継手管25に対して各柱主筋23の端部を挿通させながら、上柱20Bを鉛直下方へX4方向に落とし込む。
【0056】
この際、PCa仕口10の上端面には、所定高さの別体のスペーサ(図示せず)を配設しておき、もしくは、上柱20Bの下端面22から下方へ所定高さの突起を突設させておいたり、PCa仕口10の上端面から上方へ所定高さの突起を突設させておき、これらのスペーサや突起を介して上柱20Bを載置する。この状態で、図2Bに示すように、PCa仕口10と上柱20Bの間には上横目地用隙間28が形成される。
【0057】
図2Bに示すように、下柱20AとPCa仕口10,及び上柱20Bが組み付けられ、下横目地用隙間27と上横目地用隙間28が形成された後に、下横目地用隙間27と上横目地用隙間28を外周にて包囲するようにして帯状に型枠(図示せず)を組み、充填されたグラウトの漏洩防止を図る。
【0058】
一方、図3A乃至図3Cに示す形態は、既述するように、矩形枠状の鋼製の囲み板11を備えるPCa仕口10Aとして、柱主筋24がその上端面と下端面からそれぞれ突設している、フルPCa仕口が適用された上で、上柱20Bの下端面22から内側に継手管25が埋設され、下柱20Aの上端面21から内側に継手管25が埋設されていて、上下に突設する柱主筋24の端部が各継手管25に挿通される、フルPCa仕口が適用された組み付け形態である。尚、囲み板11を備えていないPCa仕口が適用されてもよいし、鉄骨梁を備えていないPCa仕口が適用されてもよい。
【0059】
図3Aに示すように、PCa仕口10Aの上端面と下端面から複数の柱主筋23が突設し、下柱20Aと上柱20Bには各柱主筋23の端部が挿通される複数の継手管25が埋設されている。図3Cに示すように、図示例では、9本の柱主筋24がPCa仕口10Aの上下に突設しており、下柱20Aと上柱20Bの対応する位置には9個の継手管25が埋設される。
【0060】
図3Aに示すように、下柱20Aに対して、下方に突設する各柱主筋24に対応する継手管25に対して柱主筋24を挿通させながら、PCa仕口10Aを鉛直下方へX5方向に落とし込む。
【0061】
この際、下柱20Aの上端面21には、所定高さの別体のスペーサ(図示せず)を配設しておき、もしくは、下柱20Aの上端面21から上方へ所定高さの突起を突設させておいたり、PCa仕口10Aの下端面から下方へ所定高さの突起を突設させておき、これらのスペーサや突起を介してPCa仕口10Aを載置する。この状態で、図3Bに示すように、下柱20AとPCa仕口10Aの間には下横目地用隙間27が形成される。
【0062】
次いで、図3Aに示すように、PCa仕口10Aに対して、上方に突設する各柱主筋24の端部を対応する継手管25に挿通させながら、上柱20Bを鉛直下方へX6方向に落とし込む。
【0063】
この際、PCa仕口10Aの上端面には、所定高さの別体のスペーサ(図示せず)を配設しておき、もしくは、上柱20Bの下端面22から下方へ所定高さの突起を突設させておいたり、PCa仕口10の上端面から上方へ所定高さの突起を突設させておき、これらのスペーサや突起を介して上柱20Bを載置する。この状態で、図3Bに示すように、PCa仕口10Aと上柱20Bの間には上横目地用隙間28が形成される。
【0064】
図3Bに示すように、下柱20AとPCa仕口10A,及び上柱20Bが組み付けられ、下横目地用隙間27と上横目地用隙間28が形成された後に、下横目地用隙間27と上横目地用隙間28を外周にて包囲するようにして帯状に型枠(図示せず)を組み、充填されたグラウトの漏洩防止を図る。
【0065】
次に、以下、各組み付け形態に対して様々なグラウトの注入方法が適用される、実施形態に係るPCa部材の接続方法について説明する。
【0066】
<第1実施形態に係るPCa部材の接続方法>
次に、図4を参照して、第1実施形態に係るPCa部材の接続方法の一例について説明する。ここで、図4Aは、第1実施形態に係るPCa部材の接続方法の一例を説明する図であり、図4Bは、図4AのB-B矢視図である。尚、以下、各実施形態の接続方法の説明では、A1工程とA2工程の説明において、図1乃至図3を適宜参照する。
【0067】
図4に示す接続方法は、図1に示す順挿し形態であって、下横目地用隙間27と各主筋貫通孔12、上横目地用隙間28、及び各継手管25に連続的にグラウトの充填を行う、PCa部材の接続方法である。
【0068】
まず、図1Cに示すように、下柱20AとPCa仕口10と上柱20Bを組み付ける(A1工程)。
【0069】
次いで、注入用貫通孔15に設置されている注入ホース40からグラウトをY1方向に注入することにより、グラウトを、下横目地用隙間27においてY2方向に水平方向へ充填し、次いで、各主筋貫通孔12をY3方向に上昇させるようにして充填し、次いで、上横目地用隙間28においてY4方向に水平方向へ充填し、次いで、各継手管25にY5方向に充填する、一連の連続充填を行う(B1工程)。
【0070】
次いで、グラウトの硬化を待ち、下横目地用隙間27に下横目地31を形成し(図1A参照)、上横目地用隙間28に上横目地32を形成して(図1A参照)、PCa部材の接続を行う(C工程)。
【0071】
図示例の接続方法によれば、B1工程において、上横目地用隙間28と下横目地用隙間27、各主筋貫通孔12、及び各継手管25に対して連続的にグラウトを充填することができるため、効率的なグラウト注入が実現されて、工期の短縮を図ることが可能になる。
【0072】
尚、以下で示す他の実施形態に係るPCa部材の接続方法においても、そのBn工程(n=1~11)を備えることにより、効率的なグラウト注入が実現されて、工期の短縮を図ることが可能になるという同様の効果が奏される。
【0073】
ここで、図1Aに示すように10階建ての建築物(3階以上の建築物)においては、全階のうちの例えば1階~5階に亘って、A1工程を行い、次いで、B1工程とC工程を行い、次に、残りの6階~10階において、A1工程を行い、次いで、B1工程とC工程を行うことにより、高層階の建築物においても極めて効率的にPCa柱を施工することが可能になる。尚、以下で示す各実施形態に係るPCa部材の接続方法においても、同様の方法によりPCa柱を施工することができる。
【0074】
<第2実施形態に係るPCa部材の接続方法>
次に、図5を参照して、第2実施形態に係るPCa部材の接続方法の一例について説明する。ここで、図5Aは、第2実施形態に係るPCa部材の接続方法の一例を説明する図であり、図5Bは、図5AのB-B矢視図である。
【0075】
図5に示す接続方法は、図2に示す逆挿し形態であって、下横目地用隙間27と各主筋貫通孔12、各継手管25、及び上横目地用隙間28に連続的にグラウトの充填を行う、PCa部材の接続方法である。
【0076】
まず、図2Bに示すように、下柱20AとPCa仕口10と上柱20Bを組み付ける(A1工程)。
【0077】
次いで、注入用貫通孔15に設置されている注入ホース40からグラウトをY1方向に注入することにより、グラウトを、下横目地用隙間27においてY2方向に水平方向へ充填し、次いで、各継手管25にY3方向に充填し、次いで、各主筋貫通孔12をY4方向に上昇させるようにして充填し、次いで、上横目地用隙間28においてY5方向に水平方向へ充填する、一連の連続充填を行う(B1工程)。
【0078】
次いで、グラウトの硬化を待ち、下横目地用隙間27に下横目地31を形成し(図1A参照)、上横目地用隙間28に上横目地32を形成して(図1A参照)、PCa部材の接続を行う(C工程)。
【0079】
図示例の接続方法によっても、B1工程において、上横目地用隙間28と下横目地用隙間27、各主筋貫通孔12、及び各継手管25に対して連続的にグラウトを充填することができるため、効率的なグラウト注入が実現されて、工期の短縮を図ることが可能になる。
【0080】
<第3実施形態に係るPCa部材の接続方法>
次に、図6を参照して、第3実施形態に係るPCa部材の接続方法の一例について説明する。ここで、図6Aは、第3実施形態に係るPCa部材の接続方法の一例を説明する図であり、図6Bは、図6AのB-B矢視図である。
【0081】
図6に示す接続方法は、順挿し形態であるが、少なくとも1つの継手管25を注入兼用継手管25Aとし、注入兼用継手管25Aに連通する継手注入孔26を介してグラウトを注入する工程を含んでいる。尚、注入兼用継手管25Aには、継手注入孔26の他に空気抜き孔26aが連通している。
【0082】
まず、図1Cに示すように、下柱20AとPCa仕口10と上柱20Bを組み付ける(A1工程)。
【0083】
次いで、注入用貫通孔15に設置されている注入ホース40からグラウトをY1方向に注入することにより、グラウトを、下横目地用隙間27においてY2方向に水平方向へ充填し、次いで、各主筋貫通孔12をY3方向に上昇させるようにして充填する(B2工程)。
【0084】
次いで、注入兼用継手管25Aに連通する継手注入孔26を介してグラウトをZ1方向に注入することにより、グラウトを、上横目地用隙間28においてZ2方向に水平方向へ充填し、次いで、各継手管25に充填する(B3工程)。
【0085】
次いで、グラウトの硬化を待ち、下横目地用隙間27に下横目地31を形成し(図1A参照)、上横目地用隙間28に上横目地32を形成して(図1A参照)、PCa部材の接続を行う(C工程)。
【0086】
本実施形態によれば、B2工程にて、下横目地用隙間27と各主筋貫通孔12にグラウトを充填し、各主筋貫通孔12からグラウトが上横目地用隙間28に入ることを確認することにより、下横目地用隙間27と各主筋貫通孔12にグラウトが確実に充填されたことを保証できる。
【0087】
<第4実施形態に係るPCa部材の接続方法>
次に、図7を参照して、第4実施形態に係るPCa部材の接続方法の一例について説明する。ここで、図7は、第4実施形態に係るPCa部材の接続方法の一例を説明する図である。
【0088】
図7に示す接続方法は、順挿し形態であるが、全ての継手管25を注入兼用継手管25Aとし、注入兼用継手管25Aに連通する継手注入孔26を介して各注入兼用継手管25Aにグラウトを注入する工程を含んでいる。尚、各注入兼用継手管25Aにはいずれも、継手注入孔26の他に空気抜き孔26aが連通している。
【0089】
まず、図1Cに示すように、下柱20AとPCa仕口10と上柱20Bを組み付ける(A1工程)。
【0090】
次いで、上柱20Bに埋設されている注入ホース40AからY1方向にグラウトを注入することにより、グラウトは、上横目地用隙間28をY2方向に流れ、次いで、各主筋貫通孔12をY3方向に降下させるように流れ、次いで、下横目地用隙間27に供給される。従って、グラウトは、下横目地用隙間27においてY4方向に水平方向へ充填され、次いで、各主筋貫通孔12に上昇するように(Y3方向と逆向き)充填され、次いで、上横目地用隙間28においてY2方向に水平方向へ充填される(B5工程)。
【0091】
次いで、上柱20Bに埋設されているそれぞれの継手管25Aに連通する継手注入孔26を介して、Z1方向にグラウトを各継手管25Aに充填する(B4工程)。
【0092】
次いで、グラウトの硬化を待ち、下横目地用隙間27に下横目地31を形成し(図1A参照)、上横目地用隙間28に上横目地32を形成して(図1A参照)、PCa部材の接続を行う(C工程)。
【0093】
<第5実施形態に係るPCa部材の接続方法>
次に、図8を参照して、第5実施形態に係るPCa部材の接続方法の一例について説明する。ここで、図8は、第5実施形態に係るPCa部材の接続方法の一例を説明する図である。
【0094】
図8に示す接続方法は、逆挿し形態であるが、全ての継手管25を注入兼用継手管25Aとし、注入兼用継手管25Aに連通する継手注入孔26を介して各注入兼用継手管25Aにグラウトを注入する工程を含んでいる。尚、各注入兼用継手管25Aにはいずれも、継手注入孔26の他に空気抜き孔26aが連通している。
【0095】
まず、図2Bに示すように、下柱20AとPCa仕口10と上柱20Bを組み付ける(A1工程)。
【0096】
次いで、下柱20Aに埋設されているそれぞれの継手管25Aに連通する継手注入孔26を介して、Z1方向にグラウトを各継手管25Aに充填する(B4工程)。
【0097】
次いで、下横目地用隙間27を介して、注入ホース40からグラウトを注入することにより、グラウトを、下横目地用隙間27においてY1方向に水平方向へ充填し、次いで、各主筋貫通孔12をY2方向に上昇させるようにして充填し、次いで、上横目地用隙間28においてY3方向に水平方向へ充填する(B5工程)。
【0098】
次いで、グラウトの硬化を待ち、下横目地用隙間27に下横目地31を形成し(図1A参照)、上横目地用隙間28に上横目地32を形成して(図1A参照)、PCa部材の接続を行う(C工程)。
【0099】
本実施形態によれば、B4工程にて、各継手管25からグラウトが下横目地用隙間27に入ることを確認することにより、各継手管25にグラウトが確実に充填されたことを保証できる。
【0100】
<第6実施形態に係るPCa部材の接続方法>
次に、図9を参照して、第6実施形態に係るPCa部材の接続方法の一例について説明する。ここで、図9は、第6実施形態に係るPCa部材の接続方法の一例を説明する図である。
【0101】
まず、図2Bに示すように、下柱20AとPCa仕口10と上柱20Bを組み付ける(A1工程)。
【0102】
次いで、下柱20Aに埋設されているそれぞれの継手管25Aに連通する継手注入孔26を介して、Z1方向にグラウトを各継手管25Aに充填する(B4工程)。
【0103】
次いで、上柱20Bに埋設されている注入ホース40AからY1方向にグラウトを注入することにより、グラウトは、上横目地用隙間28をY2方向に流れ、次いで、各主筋貫通孔12をY3方向に降下させるように流れ、次いで、下横目地用隙間27に供給される。従って、グラウトは、下横目地用隙間27においてY4方向に水平方向へ充填され、次いで、各主筋貫通孔12に上昇するように(Y3方向と逆向き)充填され、次いで、上横目地用隙間28においてY2方向に水平方向へ充填される(B5工程)。
【0104】
次いで、グラウトの硬化を待ち、下横目地用隙間27に下横目地31を形成し(図1A参照)、上横目地用隙間28に上横目地32を形成して(図1A参照)、PCa部材の接続を行う(C工程)。
【0105】
本実施形態によれば、B4工程にて、各継手管25からグラウトが下横目地用隙間27に入ることを確認することにより、各継手管25にグラウトが確実に充填されたことを保証できる。
【0106】
<第7実施形態に係るPCa部材の接続方法>
次に、図10を参照して、第7実施形態に係るPCa部材の接続方法の一例について説明する。ここで、図10は、第7実施形態に係るPCa部材の接続方法の一例を説明する図である。
【0107】
まず、図2Bに示すように、下柱20AとPCa仕口10と上柱20Bを組み付ける(A1工程)。
【0108】
次いで、下柱20Aに埋設されているそれぞれの継手管25Aに連通する継手注入孔26を介して、Z1方向にグラウトを各継手管25Aに充填する(B4工程)。
【0109】
次いで、下柱20Aに埋設されている注入ホース40AからY1方向にグラウトを注入することにより、グラウトを、下横目地用隙間27においてY2方向に水平方向へ充填し、次いで、各主筋貫通孔12をY3方向に上昇させるようにして充填し、次いで、上横目地用隙間28においてY4方向に水平方向へ充填する(B5工程)。
【0110】
次いで、グラウトの硬化を待ち、下横目地用隙間27に下横目地31を形成し(図1A参照)、上横目地用隙間28に上横目地32を形成して(図1A参照)、PCa部材の接続を行う(C工程)。
【0111】
本実施形態によれば、B4工程にて、各継手管25からグラウトが下横目地用隙間27に入ることを確認することにより、各継手管25にグラウトが確実に充填されたことを保証できる。
【0112】
<第8実施形態に係るPCa部材の接続方法>
次に、図11を参照して、第8実施形態に係るPCa部材の接続方法の一例について説明する。ここで、図11は、第8実施形態に係るPCa部材の接続方法の一例を説明する図である。
【0113】
まず、図1Cに示すように、下柱20AとPCa仕口10と上柱20Bを組み付ける(A1工程)。
【0114】
次いで、下横目地用隙間27を介して、注入ホース40からグラウトを注入することにより、グラウトを、下横目地用隙間27においてY1方向に水平方向へ充填し、次いで、各主筋貫通孔12をY2方向に上昇させるようにして充填し、次いで、上横目地用隙間28においてY3方向に水平方向へ充填し、次いで、各継手管25にY4方向に充填する(B6工程)。
【0115】
尚、各継手管25には、1つ以上の空気抜き孔(図示せず)が設けられているのが好ましい。
【0116】
次いで、グラウトの硬化を待ち、下横目地用隙間27に下横目地31を形成し(図1A参照)、上横目地用隙間28に上横目地32を形成して(図1A参照)、PCa部材の接続を行う(C工程)。
【0117】
<第9実施形態に係るPCa部材の接続方法>
次に、図12を参照して、第9実施形態に係るPCa部材の接続方法の一例について説明する。ここで、図12は、第9実施形態に係るPCa部材の接続方法の一例を説明する図である。
【0118】
まず、図1Cに示すように、下柱20AとPCa仕口10と上柱20Bを組み付ける(A1工程)。
【0119】
次いで、上柱20Bに埋設されている注入ホース40AからY1方向にグラウトを注入することにより、グラウトは、上横目地用隙間28をY2方向に流れ、次いで、各主筋貫通孔12をY3方向に降下させるように流れ、次いで、下横目地用隙間27に供給される。従って、グラウトは、下横目地用隙間27においてY4方向に水平方向へ充填され、次いで、各主筋貫通孔12に上昇するように(Y3方向と逆向き)充填され、次いで、上横目地用隙間28においてY2方向に水平方向へ充填され、次いで、各継手管25においてY5方向に充填される(B6工程)。
【0120】
次いで、グラウトの硬化を待ち、下横目地用隙間27に下横目地31を形成し(図1A参照)、上横目地用隙間28に上横目地32を形成して(図1A参照)、PCa部材の接続を行う(C工程)。
【0121】
<第10実施形態に係るPCa部材の接続方法>
次に、図13を参照して、第10実施形態に係るPCa部材の接続方法の一例について説明する。ここで、図13は、第10実施形態に係るPCa部材の接続方法の一例を説明する図である。
【0122】
まず、図1Cに示すように、下柱20AとPCa仕口10と上柱20Bを組み付ける(A1工程)。
【0123】
次いで、下柱20Aに埋設されている注入ホース40AからY1方向にグラウトを注入することにより、グラウトを、下横目地用隙間27においてY2方向に水平方向へ充填し、次いで、各主筋貫通孔12をY3方向に上昇させるようにして充填し、次いで、上横目地用隙間28においてY4方向に水平方向へ充填し、次いで、各継手管25をY5方向に充填する(B6工程)。
【0124】
尚、各継手管25には、1つ以上の空気抜き孔(図示せず)が設けられているのが好ましい。
【0125】
次いで、グラウトの硬化を待ち、下横目地用隙間27に下横目地31を形成し(図1A参照)、上横目地用隙間28に上横目地32を形成して(図1A参照)、PCa部材の接続を行う(C工程)。
【0126】
<第11実施形態に係るPCa部材の接続方法>
次に、図14を参照して、第11実施形態に係るPCa部材の接続方法の一例について説明する。ここで、図14は、第11実施形態に係るPCa部材の接続方法の一例を説明する図である。
【0127】
まず、図2Bに示すように、下柱20AとPCa仕口10と上柱20Bを組み付ける(A1工程)。
【0128】
次いで、下横目地用隙間27を介して、注入ホース40からグラウトを注入することにより、グラウトを、下横目地用隙間27においてY1方向に水平方向へ充填し、次いで、各継手管25にY2方向に鉛直下方へ充填させるとともに、各主筋貫通孔12をY3方向に上昇させるようにして充填し、次いで、上横目地用隙間28においてY4方向に水平方向へ充填する(B6工程)。
【0129】
尚、各継手管25には、1つ以上の空気抜き孔(図示せず)が設けられているのが好ましい。
【0130】
次いで、グラウトの硬化を待ち、下横目地用隙間27に下横目地31を形成し(図1A参照)、上横目地用隙間28に上横目地32を形成して(図1A参照)、PCa部材の接続を行う(C工程)。
【0131】
<第12実施形態に係るPCa部材の接続方法>
次に、図15を参照して、第12実施形態に係るPCa部材の接続方法の一例について説明する。ここで、図15は、第12実施形態に係るPCa部材の接続方法の一例を説明する図である。
【0132】
まず、図2Bに示すように、下柱20AとPCa仕口10と上柱20Bを組み付ける(A1工程)。
【0133】
次いで、上柱20Bに埋設されている注入ホース40AからY1方向にグラウトを注入することにより、グラウトは、上横目地用隙間28をY2方向に流れ、次いで、各主筋貫通孔12をY3方向に降下させるように流れ、次いで、下横目地用隙間27に供給される。従って、グラウトは、下横目地用隙間27をY4方向に流れ、各継手管25に供給される。従って、グラウトは、各継手管25を上昇するように(Y5方向と逆向き)充填され、次いで、下横目地用隙間27をY4方向に水平方向へ充填され、次いで、各主筋貫通孔12に上昇するように(Y3方向と逆向き)充填され、次いで、上横目地用隙間28においてY2方向に水平方向へ充填される(B6工程)。
【0134】
尚、各継手管25には、1つ以上の空気抜き孔(図示せず)が設けられているのが好ましい。
【0135】
次いで、グラウトの硬化を待ち、下横目地用隙間27に下横目地31を形成し(図1A参照)、上横目地用隙間28に上横目地32を形成して(図1A参照)、PCa部材の接続を行う(C工程)。
【0136】
<第13実施形態に係るPCa部材の接続方法>
次に、図16を参照して、第13実施形態に係るPCa部材の接続方法の一例について説明する。ここで、図16は、第13実施形態に係るPCa部材の接続方法の一例を説明する図である。
【0137】
まず、図2Bに示すように、下柱20AとPCa仕口10と上柱20Bを組み付ける(A1工程)。
【0138】
次いで、下柱20Aに埋設されている注入ホース40AからY1方向にグラウトを注入することにより、グラウトを、下横目地用隙間27においてY2方向に水平方向へ充填し、次いで、各継手管25にY3方向に鉛直下方へ充填させるとともに、各主筋貫通孔12をY4方向に上昇させるようにして充填し、次いで、上横目地用隙間28においてY5方向に水平方向へ充填する(B6工程)。
【0139】
尚、各継手管25には、1つ以上の空気抜き孔(図示せず)が設けられているのが好ましい。
【0140】
次いで、グラウトの硬化を待ち、下横目地用隙間27に下横目地31を形成し(図1A参照)、上横目地用隙間28に上横目地32を形成して(図1A参照)、PCa部材の接続を行う(C工程)。
【0141】
<第14実施形態に係るPCa部材の接続方法>
次に、図17を参照して、第14実施形態に係るPCa部材の接続方法の一例について説明する。ここで、図17Aは、第14実施形態に係るPCa部材の接続方法の一例を説明する図であり、図17Bは、図17AのB-B矢視図である。
【0142】
まず、図2Bに示すように、下柱20AとPCa仕口10と上柱20Bを組み付ける(A1工程)。
【0143】
次いで、下柱20Aに埋設されているそれぞれの継手管25Aに連通する継手注入孔26を介して、Z1方向にグラウトを各継手管25Aに充填する(B4工程)。
【0144】
次いで、注入用貫通孔15に設置されている注入ホース40からグラウトをY1方向に注入することにより、グラウトを、下横目地用隙間27においてY2方向に水平方向へ充填し、次いで、各主筋貫通孔12をY3方向に上昇させるようにして充填し、次いで、上横目地用隙間28においてY4方向に水平方向へ充填する(B7工程)。
【0145】
次いで、グラウトの硬化を待ち、下横目地用隙間27に下横目地31を形成し(図1A参照)、上横目地用隙間28に上横目地32を形成して(図1A参照)、PCa部材の接続を行う(C工程)。
【0146】
本実施形態によれば、B4工程にて、各継手管25からグラウトが下横目地用隙間27に入ることを確認することにより、各継手管25にグラウトが確実に充填されたことを保証できる。
【0147】
<第15実施形態に係るPCa部材の接続方法>
次に、図18を参照して、第15実施形態に係るPCa部材の接続方法の一例について説明する。ここで、図18は、第15実施形態に係るPCa部材の接続方法の一例を説明する図である。
【0148】
まず、図1Cに示すように、下柱20AとPCa仕口10と上柱20Bを組み付ける(A1工程)。
【0149】
次いで、下横目地用隙間27を介して、注入ホース40からグラウトを注入することにより、グラウトを、下横目地用隙間27においてY1方向に水平方向へ充填し、次いで、各継手管25にY2方向に上昇させるようにして充填する(B8工程)。
【0150】
次いで、注入兼用継手管25Aに連通する継手注入孔26を介してグラウトをZ1方向に注入することにより、グラウトを、上横目地用隙間28においてZ2方向に水平方向へ充填し、次いで、各継手管25に充填する(B3工程)。
【0151】
次いで、グラウトの硬化を待ち、下横目地用隙間27に下横目地31を形成し(図1A参照)、上横目地用隙間28に上横目地32を形成して(図1A参照)、PCa部材の接続を行う(C工程)。
【0152】
<第16実施形態に係るPCa部材の接続方法>
次に、図19を参照して、第16実施形態に係るPCa部材の接続方法の一例について説明する。ここで、図19は、第16実施形態に係るPCa部材の接続方法の一例を説明する図である。
【0153】
まず、図1Cに示すように、下柱20AとPCa仕口10と上柱20Bを組み付ける(A1工程)。
【0154】
次いで、下柱20Aに埋設されている注入ホース40AからY1方向にグラウトを注入することにより、グラウトを、下横目地用隙間27においてY2方向に水平方向へ充填し、次いで、各主筋貫通孔12をY3方向に上昇させるようにして充填する(B8工程)。
【0155】
次いで、注入兼用継手管25Aに連通する継手注入孔26を介してグラウトをZ1方向に注入することにより、グラウトを、上横目地用隙間28においてZ2方向に水平方向へ充填し、次いで、各継手管25に充填する(B3工程)。
【0156】
次いで、グラウトの硬化を待ち、下横目地用隙間27に下横目地31を形成し(図1A参照)、上横目地用隙間28に上横目地32を形成して(図1A参照)、PCa部材の接続を行う(C工程)。
【0157】
<第17実施形態に係るPCa部材の接続方法>
次に、図20を参照して、第17実施形態に係るPCa部材の接続方法の一例について説明する。ここで、図20は、第17実施形態に係るPCa部材の接続方法の一例を説明する図である。
【0158】
図20に示す接続方法は、図3に示すフルPCa仕口を適用した組立て形態であって、下横目地用隙間27と各継手管25、及び上横目地用隙間28と各継手管25にそれぞれ連続的にグラウトの充填を行う、PCa部材の接続方法である。
【0159】
まず、図3Bに示すように、下柱20AとPCa仕口10Aと上柱20Bを組み付ける(A2工程)。
【0160】
次いで、下柱20Aにおいて、注入兼用継手管25Aに連通する継手注入孔26を介してグラウトをY1方向に注入することにより、グラウトを、下横目地用隙間27においてY2方向に水平方向へ充填し、次いで、各継手管25にY3方向に充填する。さらに、上柱20Bにおいて、注入兼用継手管25Aに連通する継手注入孔26を介してグラウトをY4方向に注入することにより、グラウトを、上横目地用隙間28においてY5方向に水平方向へ充填し、次いで、各継手管25にY6方向に充填する(B9工程)。
【0161】
次いで、グラウトの硬化を待ち、下横目地用隙間27に下横目地31を形成し(図1A参照)、上横目地用隙間28に上横目地32を形成して(図1A参照)、PCa部材の接続を行う(C工程)。
【0162】
<第18実施形態に係るPCa部材の接続方法>
次に、図21を参照して、第18実施形態に係るPCa部材の接続方法の一例について説明する。ここで、図21は、第18実施形態に係るPCa部材の接続方法の一例を説明する図である。
【0163】
本実施形態に係るPCa部材の接続方法は、図20において、下柱20Aと上柱20Bの備えるそれぞれの継手注入孔26に対して、共通の注入ホースの備える2つの分岐ホース26bを接続し、下横目地用隙間27とこれに連通する各継手管25、25Aと、上横目地用隙間28とこれに連通する各継手管25,25Aに対して、Y0方向に同時にグラウトを注入する方法である。
【0164】
この接続方法によれば、上下同時にグラウトを注入することができるため、より一層効率的なグラウトの充填が可能になる。
【0165】
<第19実施形態に係るPCa部材の接続方法>
次に、図22を参照して、第19実施形態に係るPCa部材の接続方法の一例について説明する。ここで、図22は、第19実施形態に係るPCa部材の接続方法の一例を説明する図である。
【0166】
まず、図3Bに示すように、下柱20AとPCa仕口10Aと上柱20Bを組み付ける(A2工程)。
【0167】
次いで、下柱20Aに埋設されているそれぞれの継手管25Aに連通する継手注入孔26を介して、Z1方向にグラウトを各継手管25Aに充填し、次いで、下横目地用隙間27からY1方向に水平方向へグラウトを充填する(B10工程)。
【0168】
次いで、上柱20Bにおいて、注入兼用継手管25Aに連通する継手注入孔26を介してグラウトをY2方向に注入することにより、グラウトを、上横目地用隙間28においてY3方向に水平方向へ充填し、次いで、各継手管25にY4方向に充填する(B11工程)。
【0169】
次いで、グラウトの硬化を待ち、下横目地用隙間27に下横目地31を形成し(図1A参照)、上横目地用隙間28に上横目地32を形成して(図1A参照)、PCa部材の接続を行う(C工程)。
【0170】
本実施形態によれば、B10工程にて、各継手管25からグラウトが下横目地用隙間27に入ることを確認することにより、各継手管25にグラウトが確実に充填されたことを保証できる。
【0171】
上記実施形態に挙げた構成等に対し、その他の構成要素が組み合わされるなどした他の実施形態であってもよく、ここで示した構成に本発明が何等限定されるものではない。この点に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0172】
10:PCa仕口(レンコンPCa仕口)
10A:PCa仕口(フルPCa仕口)
11:囲み板
12:主筋貫通孔(シース管)
13:鉄骨梁
15:注入用貫通孔
20:PCa柱
20A:下柱(PCa柱)
20B:上柱(PCa柱)
21:上端面
22:下端面
23,24:柱主筋
25:継手管
25A:注入兼用継手管
26:継手注入孔
26a:空気抜き孔
26b:分岐ホース
27:下横目地用隙間
28:上横目地用隙間
31:下横目地
32:上横目地
40,40A:注入ホース
50:柱梁接合部
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17A
図17B
図18
図19
図20
図21
図22