(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】化粧品容器及び化粧用アプリケータ
(51)【国際特許分類】
A45D 34/00 20060101AFI20241217BHJP
A45D 34/04 20060101ALI20241217BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20241217BHJP
B33Y 70/00 20200101ALI20241217BHJP
【FI】
A45D34/00 510A
A45D34/04 515Z
A45D34/04 510Z
B33Y10/00
B33Y70/00
(21)【出願番号】P 2021068605
(22)【出願日】2021-04-14
【審査請求日】2024-02-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社 資生堂
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】藤岡 智愛
(72)【発明者】
【氏名】尾花 敬和
(72)【発明者】
【氏名】馬部 健
【審査官】東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-175961(JP,A)
【文献】特開2020-182831(JP,A)
【文献】特開平08-019424(JP,A)
【文献】特開2008-061813(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 34/00 - 34/06
B33Y 10/00
B33Y 70/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧料が貯蔵される本体部と、
回転軸を中心に前記本体部に対して回して着脱される蓋部と、を備え、
前記蓋部は、単一の材料で一体に形成され、
前記蓋部は、前記回転軸を含む中心側に位置する中心部と、前記中心部を囲うように
、前記中心部から離れて設けられる外周部と、を有し、
前記外周部は、前記中心部より柔軟に形成される、
化粧品容器。
【請求項2】
前記蓋部は、曲げ弾性率が1000MPa以上である材料で一体に形成される、
請求項1に記載の化粧品容器。
【請求項3】
前記外周部は、半径7.5mmの球面で押したとき、1mm変位したときの荷重が3.5N以上7.5N以下である、
請求項1又は請求項2のいずれかに記載の化粧品容器。
【請求項4】
前記外周部は、複数の棒状部材が前記回転軸に対して周方向に配列された檻状である、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の化粧品容器。
【請求項5】
前記外周部は、交差する方向に延びる複数の棒状部材により形成される格子状である、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の化粧品容器。
【請求項6】
前記外周部は、複数の円環部材が連結されるチェインメイル状である、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の化粧品容器。
【請求項7】
単一の材料で一体に形成された持ち手と、前記持ち手に連結された塗布部を有する化粧用アプリケータであって、
前記持ち手は、中心側に位置する中心部と、前記中心部を囲うように
、前記中心部から離れて設けられる外周部と、を有し、
前記外周部は、前記中心部より柔軟に形成される、
化粧用アプリケータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、化粧品容器及び化粧用アプリケータに関する。
【背景技術】
【0002】
マスカラ液を睫毛に塗布するためのアプリケータが一体化された蓋と、マスカラ液を貯蔵する容器本体と、を備える化粧品容器が知られている。
【0003】
特許文献1には、睫毛又は眉毛に塗布される化粧用製品を収容する容器と、アプリケータとを有する塗布デバイスが開示されている。特許文献1には、アプリケータの一方の端部にアプリケータ部材が設けられ、反対側の端部には容器を閉めるようにも機能する把持部材が設けられていることが開示されている。
【0004】
特許文献2には、アプリケータが取り付けられているキャップと、ケースと、を備える化粧用品が開示されている。特許文献2には、ユーザが自分の指でキャップを保持してアプリケータを取り扱うことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特表2017-533067号公報
【文献】特表2019-530525号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
マスカラ液を睫毛に塗布する際には、アプリケータが一体化された蓋をユーザが指で摘まんで塗布する。アプリケータを用いてマスカラ液を睫毛に塗布する際には、微妙な力加減でアプリケータを保持して取り扱う必要がある。
【0007】
本開示は、アプリケータを使用する際に保持しやすい、アプリケータが一体化された蓋を備える化粧品容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の化粧品容器は、化粧料が貯蔵される本体部と、回転軸を中心に前記本体部に対して回して着脱される蓋部と、を備え、前記蓋部は、単一の材料で一体に形成され、前記蓋部は、前記回転軸を含む中心側に位置する中心部と、前記中心部を囲うように設けられる外周部と、を有し、前記外周部は、前記中心部より柔軟に形成される。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、アプリケータを使用する際に保持しやすい、アプリケータが一体化された蓋を備える化粧品容器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る化粧品容器の側面図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る化粧品容器の本体部の側面図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係る化粧品容器の蓋部の側面図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係る化粧品容器の蓋部の側面図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態に係る化粧品容器の蓋部の上面図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態に係る化粧品容器の蓋部の断面図である。
【
図7】
図7は、第1実施形態に係る化粧品容器の蓋部の断面図である。
【
図8】
図8は、第1実施形態に係る化粧品容器の蓋部における変形量について説明する図である。
【
図9】
図9は、第1実施形態に係る化粧品容器の蓋部における変形量について説明する図である。
【
図10】
図10は、第2実施形態に係る化粧品容器の蓋部の側面図である。
【
図11】
図11は、第3実施形態に係る化粧品容器の蓋部の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の各実施形態について、添付の図面を参照しながら説明する。なお、各実施形態に係る明細書及び図面の記載に関して、実質的に同一の又は対応する機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重畳した説明を省略する場合がある。また、理解を容易にするため、図面における各部の縮尺は、実際とは異なる場合がある。
【0012】
なお、図には、説明の便宜のためXYZ直交座標系が設定されている。図面の紙面に対して垂直な座標軸については、座標軸の丸の中にバツ印は紙面に対して奥の方向が正、丸の中に黒丸印は紙面に対して手前側が正であることを表している。ただし、当該座標系は、説明のために定めるものであって、本実施形態に係る化粧品容器の姿勢について限定するものではない。
【0013】
また、X軸及びY軸は、例えば、化粧品容器を水平面においたときの水平面に平行な軸である。Z軸は、例えば、化粧品容器を水平面においたときの水平面に垂直な軸である。なお、Z軸方向の+Z側を上側、-Z側を下側という場合がある。
【0014】
<<第1実施形態>>
≪化粧品容器1≫
図1は、第1実施形態に係る化粧品容器1の側面図である。第1実施形態に係る化粧品容器1は、例えば、マスカラ液を塗布するアプリケータとしても利用可能なマスカラ用化粧品容器である。
【0015】
なお、化粧品容器1は、マスカラ液を貯蔵する場合に限らず、別の化粧料を貯蔵するのに用いてよい。例えば、まつ毛用育毛剤、マスカラ下地、まつ毛コーティング剤、まつ毛エクステ用コーティング剤、アイライナー液及びマスカラとアイライナー兼用化粧料組成物等の複数用途に使用できる目元用の化粧料などに用いてもよい。更に、塗布具の形状を変化させることで、他の塗布具を介して塗布される液体化粧料、例えば、口紅用化粧料、部分用肌化粧料、マニュキュア等に用いてもよい。更にまた、化粧料以外の液体を貯蔵するのに用いてもよい。
【0016】
化粧品容器1は、本体部10と、蓋部20と、を備える。蓋部20は、本体部10に対して中心軸AXを中心に回して着脱される。
【0017】
<本体部10>
以下に、マスカラを例に、説明する。本体部10は、マスカラ液を貯蔵するための容器である。すなわち、本体部10は、化粧料を貯蔵する容器である。
【0018】
図2は、第1実施形態に係る化粧品容器1の本体部10の側面図である。本体部10は、貯蔵部11と、連結部12と、を備える。
【0019】
貯蔵部11は、化粧料を貯蔵するために、内部に空洞を有する。貯蔵部11の空洞に、化粧料が貯蔵される。
【0020】
連結部12は、本体部10と蓋部20とを連結する。貯蔵部11の上側(+Z側)に位置する。連結部12は、側面に雄ネジ12Sを有する。連結部12は、上部に開口部12Hを有する。開口部12Hは、貯蔵部11の内部の空洞とつながる。開口部12Hを通って、貯蔵部11の内部に、蓋部20の塗布部21及び支持棒22(
図3参照)が挿入される。
【0021】
連結部12の雄ネジ12Sと蓋部20の雌ネジ231S(
図6参照)とが嵌め合わされることにより、本体部10に蓋部20が連結される。本体部10と蓋部20とが嵌め合わされることにより、開口部12Hが蓋部20により封じ込まれる。開口部12Hが蓋部20により封じ込まれることにより、本体部10に蓋部20が連結された状態で、化粧品容器1の内部の気密が保たれる。
【0022】
化粧品容器1の内部の気密が保たれることにより、化粧品容器1の内部の化粧料を長期間保存できる。また、化粧品容器1の内部の気密が保たれることにより、化粧料が化粧品容器1からこぼれることを防止できる。
【0023】
また、本体部10から蓋部20を取り外すことにより、蓋部20の支持棒22及び塗布部21が開口部12Hを通過する。連結部12は、塗布部21に付着した化粧料を適度な量に調整するために絞り(ワイパー)を備える。塗布部21が絞りを通過すると、塗布部21に付着した化粧料の一部が絞りにより本体部10に戻される。塗布部21に付着した化粧料の一部(過剰な量)が絞りにより本体部10に戻されることにより、開口部12Hを通過して取り出された塗布部21に付着する化粧料は適量に調整される。
【0024】
<蓋部20>
蓋部20は、本体部10の蓋として機能するとともに、化粧料を塗布するアプリケータとしても機能する。
【0025】
図3は、第1実施形態に係る化粧品容器1の蓋部20の側面図である。蓋部20は、塗布部21と、支持棒22と、蓋23と、を有する。なお、塗布部21と、支持棒22と、蓋23とは、三次元プリンタを用いて形成される。蓋部20が三次元プリンタを用いて形成されることにより、蓋部20の塗布部21、支持棒22及び蓋23は、単一の材料で一体に形成される。
【0026】
蓋部20は、三次元プリンタで形成可能な材料で構成される。蓋部20は、例えば、エポキシ、アクリル、ポリカーボネート、ABS(acrylonitrile butadiene styrene)、ポリアミド、PP(Polypropylene)等の樹脂により形成される。蓋部20は、曲げ弾性率が1000MPa以上の材料により形成される。
【0027】
三次元プリンタは、例えば、光造形法、粉末焼結積層造形法、熱溶解積層法、シート積層法及び液滴吐出法等を用いて立体形状を造形する。
【0028】
蓋部20は、支持棒22の蓋23と反対側の先端に、化粧料を対象に塗布するために複数の毛状体が形成された塗布部21を有する。ユーザは蓋23を把持して使用する。すなわち、蓋部20の蓋23を持ち手として用いる。ユーザは塗布部21を対象(睫毛)に当てて、マスカラ液を対象(睫毛)に塗布する。
【0029】
蓋部20の蓋23の詳細について説明する。
図4は、第1実施形態に係る化粧品容器1の蓋部20の側面図である。
図5は、第1実施形態に係る化粧品容器1の蓋部20の上面図である。
図6及び
図7は、第1実施形態に係る化粧品容器1の蓋部20の断面図である。具体的には、
図6は、
図5のII-II断面図である。
図7は、
図4のI-I断面図である。
【0030】
蓋23は、第1端部231と、中心部232と、第2端部233と、第3端部234と、複数の棒状部235と、を有する。具体的には、蓋23は、16個の棒状部235を有する。なお、棒状部235の個数については、16個に限らない。棒状部235は、蓋23の握りやすさを考えると、少なくとも4個以上であればよく、8個以上であることが望ましい。
【0031】
第1端部231は、本体部10の開口部12Hを封じ込む蓋として機能する。第1端部231は、一方が開口し、他方が閉塞された円筒状である。すなわち、第1端部231の外形は円筒状である。第1端部231は、内部に雌ネジ231Sを有する。なお、第1端部231の形状は、連結部12と連結できれば、円筒状に限らず、例えば、断面が楕円である筒状でもよいし、断面が多角形である筒状でもよい。
【0032】
中心部232は、第1端部231の上側に位置する。第1端部231と中心部232とは、一体に形成される。中心部232は、断面が円である棒状の形状を有する。中心部232は、中心軸AXを含む蓋23の中心側に位置する。なお、中心部232の形状は、断面が円である棒状に限らず、例えば、断面が楕円である棒状でもよいし、断面が多角形である棒状でもよい。更には、中心部232の形状は、棒状に限らず、筒状でもよい。
【0033】
第2端部233は、中心部232の上側の端部に位置する。第2端部233は、円盤状の部材である。中心部232及び第2端部233は、一体に形成される。なお、第2端部233の形状は、第1端部231の形状に倣って適宜変更してもよい。
【0034】
複数の棒状部235のそれぞれは、第1棒状部235Aと、第2棒状部235Bと、を有する。複数の棒状部235のそれぞれの第1棒状部235Aは、第1端部231から、XY平面の垂直の方向に対して中心部232に傾いた方向に延びる。複数の棒状部235のそれぞれの第1棒状部235Aは、
図5及び
図7に示すように、中心軸AXに対して、円周方向に等間隔に設けられる。すなわち、複数の第1棒状部235Aは、中心部232を囲うように配列されて檻状に設けられる。
【0035】
複数の棒状部235のそれぞれの第2棒状部235Bは、第1棒状部235Aの上側の端部から第2端部233までXY平面に平行な方向に延びる。
【0036】
なお、複数の棒状部235のそれぞれは、断面が円である棒状の形状を有するが、断面の形状は、後述する変形量と荷重の関係を満たせば、断面が円に限らない。例えば、複数の棒状部235のそれぞれの断面は、楕円又は三角形、四角形等の多角形としてもよい。なお、複数の棒状部235のそれぞれの断面が、三角形等の角を有する場合は、面が外側を向くように配置することが望ましい。
【0037】
第1棒状部235Aと第2棒状部235Bとの接合部分には、円環状の第3端部234が形成される。なお、第2端部233の形状は、第1端部231の形状に倣って適宜変更してもよい。
【0038】
なお、複数の棒状部235が、外周部の一例である。中心軸AXは、回転軸の一例である。
【0039】
<外周部における変形量と応力の関係>
棒状部235における握りやすさ(ホールド性)を評価するために、棒状部235における応力と変形量の関係について説明する。
【0040】
図8は、第1実施形態に係る化粧品容器1の蓋部20における変形量について説明する図である。
【0041】
図8に示すように、蓋部20の蓋23の一方の側を、固定部材100により固定する。そして、蓋部20の蓋23の他方の側の棒状部235を押圧部材110により押圧する。押圧部材110は、棒状部235の中央を荷重Fで押圧する。棒状部235の長さL(変形部位長)は、例えば、30mmである。押圧部材110の先端は球面になっている。押圧部材110の先端の球面の半径は、例えば、7.5mmである。荷重Fで押圧したときの変位量dを測定する。ここでは、蓋部20の蓋23の片側に荷重を加えた場合について説明する。
【0042】
図9は、棒状部235を押圧部材110で押圧した時の、棒状部235の変形量と荷重との関係を示す図である。ここでは、棒状部235における剛性のことなるサンプルS、サンプルM及びサンプルHについて測定を行った。具体的には、サンプルS、サンプルM及びサンプルHは、同一の素材を用いて作成され、棒状部235の太さが互いに異なるサンプルである。サンプルS、サンプルM及びサンプルHは、アクリル系樹脂により形成される。
【0043】
図9の線S1はサンプルSの測定結果、線S2はサンプルMの測定結果、線S3はサンプルHの測定結果を表す。棒状部235を同じ変形量にする場合に、サンプルS、サンプルM、サンプルHの順で必要な荷重が大きくなる。例えば、変形量1mmの場合は、サンプルSの場合は3.4N、サンプルMの場合は4.9N、サンプルHの場合は7.6N、の荷重が必要である。
【0044】
サンプルS、サンプルM及びサンプルHのそれぞれについて、ホールド性向上効果と通常使用時の実用強度について評価を行った。
【0045】
ホールド性向上効果は、専門評価パネルで評価を行った。ホールド性向上効果は、蓋部が直方体状の部材で形成された従来のマスカラ容器を把持した場合に対して、サンプルS、サンプルM及びサンプルHのいずれかを把持したときのホールド性が向上したかどうかを官能評価により評価した。また、通常使用時の実用強度は、サンプルS、サンプルM及びサンプルHのそれぞれを、変形や破断がないかにより評価を行った。
【0046】
評価結果のまとめを表1に示す。ホールド性向上効果については、Aはサンプル(サンプルS、サンプルM及びサンプルHのいずれか)の方が従来の容器より握りやすい(ホールド性あり)と評価されたことを表す。また、Bは従来の容器との違いが感じにくいと判断されたことを表す。
【0047】
通常使用時の実用強度については、Aは、通常使用後、変形や破断がなかったことを表す。また、Cは、通常使用後、変形及び破断が発生したことを表す。
【0048】
【0049】
以上の結果から、ホールド性向上効果については、サンプルS、サンプルM及びサンプルHについて、従来の化粧品容器より向上している又は少なくとも同等であることが分かる。また、サンプルM及びサンプルHについては、通常使用における実用強度についても、使用に問題はなかった。
【0050】
サンプルSは、通常使用時に、変形及び破断が発生した。蓋部20を形成する曲げ弾性率が1000MPa以上の硬質の樹脂では、1mm変化させるための荷重が3.4Nが、通常使用に耐えうる実用強度を保持するためには限界と考えられる。すなわち、片側を1mm変位させるための荷重が3.5N未満の場合は、通常使用する際にかかる荷重により、変形又は破断する可能性が高くなる。
【0051】
したがって、ホールド性を向上させるためには、棒状部235において、片側を1mm変位させるための荷重が3.5N以上7.5N以下の範囲であることが望ましい。
【0052】
<作用・効果>
第1実施形態の化粧品容器1によれば、アプリケータとして使用できる塗布部21と蓋23とを一体にした蓋部20を提供できる。また、化粧品容器1の蓋部20によれば、アプリケータとして使用する際にユーザが保持しやすくできる。
【0053】
蓋部20の蓋23は、ユーザにより本体部10にネジにより締め付けて取り付けられる。したがって、蓋部20は、所定の構造を保持するために、硬質の樹脂により形成される。一方、硬質の樹脂で、ユーザが把持する部分を形成すると、把持する部分が固くて保持しにくい。
【0054】
そこで、化粧品容器1の蓋部20は、構造的に変形しやすい複数の棒状部235を有することにより、把持する部分を柔軟にしている。
【0055】
例えば、特開平08-164692号公報、特開昭60-204457号公報等に開示されているように、把持する部分に弾力性がある材料や柔軟な材料を用いることが考えられる。しかしながら、把持する部分に別の材料で形成する必要があるため、必要な材料の数が増える。また、組み立てに工程が増えて製造にかかる費用が増加する。
【0056】
本実施形態の化粧品容器1によれば、蓋部20を単一の材料で形成されることから、必要な材料を減らすことができる。また、本実施形態の化粧品容器1によれば、蓋部20を例えば、三次元プリンタを用いることにより容易に形成することができる。
【0057】
<<第2実施形態>>
<蓋部40>
図10は、第2実施形態に係る化粧品容器の蓋部40の側面図である。第2実施形態に係る化粧品容器は、第1実施形態に係る化粧品容器1の蓋部20に換えて、蓋部40を備える。蓋部40は、塗布部と、支持棒42と、蓋43と、を有する。なお、塗布部は、蓋部20の塗布部21と同様の構成であることから説明を省略する。
【0058】
蓋部40の塗布部と、支持棒42と、蓋43とは、三次元プリンタを用いて形成される。蓋部40が三次元プリンタを用いて形成されることにより、蓋部40の塗布部、支持棒42及び蓋43は、単一の材料で一体に形成される。
【0059】
蓋43は、第1端部431と、中心部432と、第2端部433と、格子部435と、を有する。なお、第1端部431及び中心部432は、それぞれ蓋23の第1端部231及び中心部232と同様の構成であることから、説明を省略する。
【0060】
第2端部433は、中心部432の上側の端部に位置する。第2端部433は、円盤状の部材である。中心部432及び第2端部433は、一体に形成される。
【0061】
格子部435は、XY平面の垂直の方向(Z軸方向)に対して、斜めに傾く棒状部材が交差して形成される格子状になっている。すなわち、格子部435は、交差する方向に延びる複数の棒状部材により形成される格子状である。格子部435は、中心軸AXに対して、所定の距離離れて設けられる。すなわち、格子部435は、中心部432を囲うように設けられる。
【0062】
なお、格子部435は、外周部の一例である。格子部435の形状について、
図10の例に限らず、格子の間隔や格子を構成する棒状部材の形状は、上述の変形量と荷重の関係を満たすように変更してもよい。
【0063】
<<第3実施形態>>
<蓋部50>
図11は、第3実施形態に係る化粧品容器の蓋部50の側面図である。第3実施形態に係る化粧品容器は、第1実施形態に係る化粧品容器1の蓋部20に換えて、蓋部50を備える。蓋部50は、塗布部と、支持棒52と、蓋53と、を有する。なお、塗布部は、蓋部20の塗布部21と同様の構成であることから説明を省略する。
【0064】
蓋部50の塗布部と、支持棒52と、蓋53とは、三次元プリンタを用いて形成される。蓋部50が三次元プリンタを用いて形成されることにより、蓋部50の塗布部、支持棒52及び蓋53は、単一の材料で一体に形成される。
【0065】
蓋53は、第1端部531と、中心部532と、第2端部533と、チェインメイル部535と、を有する。なお、第1端部531及び中心部532は、それぞれ蓋23の第1端部231及び中心部232と同様の構成であることから、説明を省略する。
【0066】
第2端部533は、中心部532の上側の端部に位置する。第2端部533は、円盤状の部材である。中心部532及び第2端部533は、一体に形成される。
【0067】
チェインメイル部535は、複数の円環部材がXY平面の垂直な方向(Z軸方向)及びZY平面に平行な方向に連結されてチェインメイル状になっている。チェインメイル部535は、中心軸AXに対して、所定の距離離れて設けられる。すなわち、チェインメイル部535は、中心部532を囲うように設けられる。
【0068】
なお、チェインメイル部535は、外周部の一例である。チェインメイル部55の形状について、
図11の例に限らず、円環部材の間隔や形状は、上述の変形量と荷重の関係を満たすように変更してもよい。
【0069】
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲及びその主旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【0070】
例えば、中心部を囲うように設けられる外周部の形状は、檻状、格子状及びチェインメイル状のいずれかに限らず、上述の変形量と荷重の関係を満たすように適宜変更してもよい。
【0071】
また、本実施形態に係る蓋部(例えば、
図3に示す蓋部20等)のみを化粧用アプリケータとして用いてもよい。例えば、蓋部20を化粧用アプリケータとして用いる場合は、
図6に示す雌ネジ213Sは形成されていてもされていなくてよい。なお、例えば、蓋部20の塗布部21が塗布部の一例である。蓋部40及び蓋部50についても同様である。
【符号の説明】
【0072】
1 化粧品容器
10 本体部
11 貯蔵部
12 連結部
12H 開口部
12S 雄ネジ
20 蓋部
21 塗布部
22 支持棒
23 蓋
231 第1端部
231S 雌ネジ
232 中心部
233 第2端部
234 第3端部
235 棒状部
235A 第1棒状部
235B 第2棒状部
100 固定部材
110 押圧部材
40 蓋部
42 支持棒
43 蓋
431 第1端部
432 中心部
433 第2端部
435 格子部
50 蓋部
52 支持棒
53 蓋
531 第1端部
532 中心部
533 第2端部
535 チェインメイル部
AX 中心軸