(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】積層型キャパシタ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01G 4/30 20060101AFI20241217BHJP
【FI】
H01G4/30 201A
H01G4/30 201C
H01G4/30 201K
H01G4/30 311F
H01G4/30 511
H01G4/30 512
H01G4/30 513
H01G4/30 517
(21)【出願番号】P 2019145648
(22)【出願日】2019-08-07
【審査請求日】2021-11-04
【審判番号】
【審判請求日】2023-09-28
(31)【優先権主張番号】10-2019-0019696
(32)【優先日】2019-02-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0047167
(32)【優先日】2019-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クォン、ヨン イル
(72)【発明者】
【氏名】パク、ジュン タエ
(72)【発明者】
【氏名】ジョー、ジン キュン
(72)【発明者】
【氏名】ソン、ハ ジュン
【合議体】
【審判長】岩間 直純
【審判官】山本 章裕
【審判官】畑中 博幸
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 4/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の誘電体層、及び前記誘電体層を挟んで交互に配置される複数の第1及び第2内部電極を含む2つ以上の積層ユニットが誘電体層の積層方向に沿って一列に配置されてなるキャパシタ本体であり、
前記2つ以上の積層ユニットは、前記誘電体層が積層される方向に互いに向かい合う第1及び第2面を有し、前記第1面から前記第2面に向けて密度が徐々に減少するように形成される、キャパシタ本体と、
前記第1及び第2内部電極とそれぞれ電気的に連結されるように前記キャパシタ本体に配置される第1及び第2外部電極と、を含み、
前記2つ以上の積層ユニットのそれぞれが有する誘電体層の数は同一であり、
前記キャパシタ本体において、互いに隣接する積層ユニットは、前記第1面に該当する面同士が互いに向かい合うか、または前記第2面に該当する面同士が互いに向かい合うように配置される、積層型キャパシタ。
【請求項2】
前記キャパシタ本体は、互いに隣接する積層ユニットの間に配置されるバッファ層をさらに含む、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項3】
前記キャパシタ本体は、前記
第2面が上部に位置する第1積層ユニットと、前記第1積層ユニットの下側に配置され、前記
第1面が上部に位置する第2積層ユニットと、を含む、請求項1又は2に記載の積層型キャパシタ。
【請求項4】
前記キャパシタ本体は、前記
第2面が上部に位置する第1積層ユニットと、前記第1積層ユニットの下側に配置され、前記
第1面が上部に位置する第2積層ユニットと、を含み、
前記第1積層ユニットと前記第2積層ユニット
が一回ずつ交互に積層されてなる、請求項1又は2に記載の積層型キャパシタ。
【請求項5】
それぞれの前記積層ユニットは、前記第1及び第2内部電極の幅が前記積層ユニットの中間部分から上下に向かうほど徐々に狭くなるように形成される、請求項1から4のいずれか一項に記載の積層型キャパシタ。
【請求項6】
前記積層ユニットは、第1または第2内部電極の最大幅をW1、前記第1または第2内部電極の最小幅をW2と規定したときに、W2/W1≧0.96を満たす、請求項5に記載の積層型キャパシタ。
【請求項7】
複数のセラミックシート、及び前記セラミックシートを挟んで交互に配置される複数の第1及び第2内部電極を含む積層バー(Bar)を設ける段階であり、前記積層バー(Bar)は、
前記複数のセラミックシートが積層される方向に互いに向かい合う第1及び第2面を有し、前記第1面は、最初のセラミックシートが積層されて形成される外側面であり、前記第2面は、最後のセラミックシートが積層されて形成される外側面であり、前記第1面から前記第2面に向けて密度が徐々に減少するように形成される、積層バー(Bar)と、
2つ以上の積層バーにおいて前記
第1面同士が互いに向かい合うか、または前記
第2面同士が互いに向かい合うように、前記2つ以上の積層バーを一列に配置して積層体を設ける段階と、
前記積層体を圧着する段階と、
圧着された積層体の第1及び第2内部電極が露出するように、前記積層体を切断し、焼成してキャパシタ本体を設ける段階と、
第1及び第2内部電極の露出する部分とそれぞれ電気的に連結されるように前記キャパシタ本体に第1及び第2外部電極を形成する段階と、を含
み、
前記2つ以上の積層バーのそれぞれが有する誘電体層の数は同一である、積層型キャパシタの製造方法。
【請求項8】
前記積層体を設ける段階において、
前記積層体は、互いに隣接する積層バーの間にバッファ層を配置して形成する、請求項7に記載の積層型キャパシタの製造方法。
【請求項9】
前記積層体を設ける段階において、
前記積層体は、前記
第1面が上部に位置する第2積層バーを配置し、前記第2積層バーの上に、前記
第2面が上部に位置する第1積層バーを積層して形成する、請求項7又は8に記載の積層型キャパシタの製造方法。
【請求項10】
前記積層体は、複数の第1及び第2積層バーを含み、前記第1積層バーと前記第2積層バー
を一回ずつ交互に配置されるように積層して形成する、請求項9に記載の積層型キャパシタの製造方法。
【請求項11】
前記積層体を設ける段階において、
前記積層バーのアライメント(alignment)は、各積層バーにレーザードリル(laser drill)でホール(hole)加工を行った後、整合積層機を用いて行われる、請求項7~10の何れか一項に記載の積層型キャパシタの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層型キャパシタ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
積層型キャパシタ(MLCC:Multi-Layer Ceramic Capacitor)は、受動素子部品の一つであり、回路上で電気信号を制御する役割を果たす。
【0003】
積層型キャパシタの主な役割は、電極内に電荷を蓄積し、直流(DC)信号を遮断して交流(AC)信号を通過させるフィルタとしての役割を果たす。
【0004】
即ち、積層型キャパシタは、電源ラインのACノイズ(noise)をバイパスさせて除去することで、ICの動作を安定化させる役割を果たすといえる。
【0005】
最近、5G、電装用製品、サーバなどの技術がさらに発展するにつれて、このような分野における積層型キャパシタの需要も大きく増加している。
【0006】
一例として、5G用携帯電話機の場合、現在使用している4G用携帯電話機に比べて積層型キャパシタの使用量が約2~3倍増加することが見込まれている。
【0007】
かかる積層型キャパシタの特性の中には破壊電圧(BDV:Break Down Voltage)という特性がある。
【0008】
BDVとは、積層型キャパシタに印加される電圧を増加させたときにセラミックの絶縁破壊が発生する電圧を意味し、かかる絶縁破壊は、誘電体の厚さが局部的に薄い部分の温度が漏洩電流によって急激に上昇することにより発生することで知られている。
【0009】
特に、誘電体層と内部電極の層間段差によって、キャパシタ本体内に積層された内部電極の端の層厚さや形状が一定せず、不規則な形態に変形されると、絶縁破壊に脆弱となりえる。
【0010】
一方、このような変形は、誘電体層と内部電極の層間段差の和が大きい高積層の積層型キャパシタであるほどより大きくなる。
【0011】
最近、サーバー向け製品の場合には、高容量を実現するために、800~1500層の高積層内部電極を用いるため、このような変形が深刻な問題となり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】韓国公開特許第2015-0053424号公報
【文献】特開2009-71106号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、キャパシタ本体の全体において内部電極と誘電体層の厚さの偏差と、内部電極の端部曲げを低減することができる積層型キャパシタ及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一側面は、複数の誘電体層、及び上記誘電体層を挟んで交互に配置される複数の第1及び第2内部電極を含む2つ以上の積層ユニットが誘電体層の積層方向に沿って一列に配置されてなるキャパシタ本体と、上記第1及び第2内部電極とそれぞれ電気的に連結されるように上記キャパシタ本体に配置される第1及び第2外部電極と、を含み、上記キャパシタ本体において、互いに隣接する積層ユニットは、高密度部分に該当する面同士が互いに向かい合うか、または低密度部分に該当する面同士が互いに向かい合うように配置される積層型キャパシタを提供する。
【0015】
本発明の一実施形態において、上記キャパシタ本体は、互いに隣接する積層ユニットの間に配置されるバッファ層をさらに含むことができる。
【0016】
本発明の一実施形態において、上記キャパシタ本体は、低密度部分が上部に位置する第1積層ユニットと、上記第1積層ユニットの下側に配置され、高密度部分が上部に位置する第2積層ユニットと、を含むことができる。
【0017】
本発明の一実施形態において、上記キャパシタ本体は、低密度部分が上部に位置する第1積層ユニットと、上記第1積層ユニットの下側に配置され、高密度部分が上部に位置する第2積層ユニットと、を含み、上記第1積層ユニットと上記第2積層ユニットが一回ずつ交互に積層されてなることができる。
【0018】
本発明の他の側面は、複数の誘電体層、及び上記誘電体層を挟んで交互に配置される複数の第1及び第2内部電極を含む2つ以上の積層ユニットが誘電体層の積層方向に沿って一列に配置されてなるキャパシタ本体と、上記第1及び第2内部電極とそれぞれ電気的に連結されるように上記キャパシタ本体に配置される第1及び第2外部電極と、を含み、それぞれの上記積層ユニットは、上記第1及び第2内部電極の幅が上記積層ユニットの中間部分から上下に向かうほど徐々に狭くなるように形成される積層型キャパシタを提供する。
【0019】
本発明の一実施形態において、上記積層ユニットは、第1または第2内部電極の最大幅をW1、上記第1または第2内部電極の最小幅をW2と規定したときに、W2/W1≧0.96を満たすことができる。
【0020】
本発明のさらに他の側面は、複数のセラミックシートと、上記セラミックシートを挟んで交互に配置される複数の第1及び第2内部電極を含む積層バー(Bar)を設ける段階と、2つ以上の積層バーにおいて高密度部分に該当する面同士が互いに向かい合うか、または低密度部分に該当する面同士が互いに向かい合うように、上記2つ以上の積層バーを一列に配置して積層体を設ける段階と、上記積層体を圧着する段階と、圧着された積層体の第1及び第2内部電極が露出するように、上記積層体を切断し、焼成してキャパシタ本体を設ける段階と、第1及び第2内部電極の露出する部分とそれぞれ電気的に連結されるように上記キャパシタ本体に第1及び第2外部電極を形成する段階と、を含む、積層型キャパシタの製造方法を提供する。
【0021】
本発明の一実施形態における上記積層体を設ける段階において、上記積層体は、互いに隣接する積層バーの間にバッファ層を配置して形成することができる。
【0022】
本発明の一実施形態における上記積層体を設ける段階において、上記積層体は、高密度部分が上部に位置する第2積層バーを配置し、上記第2積層バーの上に、低密度部分が上部に位置する第1積層バーを積層して形成することができる。
【0023】
本発明の一実施形態において、上記積層体は、複数の第1及び第2積層バーを含み、上記第1積層バーと上記第2積層バーを一回ずつ交互に配置されるように積層して形成することができる。
【0024】
本発明の一実施形態における上記積層体を設ける段階において、上記積層バーのアライメント(alignment)は、各積層バーにレーザードリル(laser drill)でホール(hole)加工を行った後、整合積層機を用いて行われることができる。
【0025】
本発明の他の側面は、複数のセラミックシート、及び上記セラミックシートを挟んで交互に配置される複数の第1及び第2内部電極を含む積層バー(Bar)を設ける段階と、2つ以上の積層バーにおいて最初にセラミックシートが積層された面同士が互いに向かい合うか、または最後にセラミックシートが積層された面同士が互いに向かい合うように、上記2つ以上の積層バーを一列に配置して積層体を設ける段階と、上記積層体を圧着する段階と、圧着された積層体の第1及び第2内部電極が露出するように、上記積層体を切断し、焼成してキャパシタ本体を設ける段階と、第1及び第2内部電極の露出する部分とそれぞれ電気的に連結されるように上記キャパシタ本体に第1及び第2外部電極を形成する段階と、を含む、積層型キャパシタの製造方法を提供する。
【0026】
本発明の一実施形態における上記積層体を設ける段階において、上記積層体は、最初にセラミックシートが積層された面が上部に位置する第2積層バーを配置し、上記第2積層バーの上に、最後にセラミックシートが積層された面が上部に位置する第1積層バーを積層して形成することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明の実施形態によると、2つ以上のセラミック積層ユニットを製造し、 2つ以上のセラミック積層ユニットにおいて最初に積層された面同士が互いに向かい合うか、または最後に積層された面同士が互いに向かい合うように、上記セラミック積層ユニットを一列に配置した後に圧着してキャパシタ本体を形成することにより、キャパシタ本体の全体において内部電極と誘電体層の厚さの偏差を減らし、内部電極の端部曲げを低減することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の第1実施形態による積層型キャパシタを概略的に示す斜視図である。
【
図2】
図1の第1積層ユニットに含まれる内部電極を示す平面図である。
【
図3】
図1の第2積層ユニットに含まれる内部電極を示す平面図である。
【
図5】
図1のII-II'線に沿った断面図である。
【
図6】本発明の第2実施形態による積層型キャパシタにおいて、
図1のII-II'線に沿った断面図である。
【
図7】本発明の第3実施形態による積層型キャパシタにおいて、
図1のII-II'線に該当する断面を示す断面図である。
【
図8】本発明の第3実施形態による積層型キャパシタにおいて、
図1のI-I'線に該当する断面を示す断面図である。
【
図9】本発明の第4実施形態による積層型キャパシタにおいて、
図1のII-II'線に該当する断面を示す断面図である。
【
図10】本発明の第5実施形態による積層型キャパシタにおいて、
図1のI-I'線に該当する断面を示す断面図である。
【
図11】本発明の第5実施形態による積層型キャパシタにおいて、
図1のII-II'線に該当する断面を示す断面図である。
【
図12】本発明の第6実施形態による積層型キャパシタにおいて、
図1のII-II'線に該当する断面を示す断面図である。
【
図13】従来の積層型キャパシタにおける内部電極の幅の範囲と、本発明の第1実施形態による積層型キャパシタにおける内部電極の幅の範囲とを比較して示したグラフである。
【
図14】従来の積層型キャパシタにおける内部電極の最大幅と最小幅の割合の範囲と、本発明の第2実施形態による積層型キャパシタにおいて1つの積層ユニット内における内部電極の最大幅と最小幅の割合の範囲とを比較して示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下では、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(または強調表示や簡略化表示)がされることがあり、同一思想の範囲内において機能が同一である構成要素に対しては同一の参照符号を用いて説明する。
【0030】
さらに、明細書全体において、ある構成要素を「含む」とするとき、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除外する意味ではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0031】
以下、本発明の実施形態を明確に説明するために、キャパシタ本体101の方向を定義すると、図面に示されているX、Y、Zはそれぞれ、キャパシタ本体101の長さ方向、幅方向、及び厚さ方向を示す。
【0032】
また、本実施形態においてZ方向は、誘電体層が積層される積層方向と同一の概念として用いられることができる。
【0033】
また、本実施形態では、説明の便宜のために、キャパシタ本体101のZ方向に互いに対向する両面を第1及び第2面1、2、第1及び第2面1、2と連結され、X方向に互いに対向する両面を第3及び第4面3、4、第1及び第2面1、2と連結され、第3及び第4面3、4と連結され、且つY方向に互いに対向する両面を第5及び第6面5、6と定義する。
【0034】
また、本実施形態において、積層型キャパシタ100の実装面は、キャパシタ本体101の第1面1であることができる。
【0035】
なお、以下に説明する積層ユニットにおいても、積層ユニットのX方向に互いに対向する両面は第3及び第4面3、4、Y方向に互いに対向する両面は第5及び第6面5、6と定義して説明することができる。
【0036】
図1は本発明の第1実施形態による積層型キャパシタを概略的に示す斜視図であり、
図2は
図1の第1積層ユニットに含まれる内部電極を示す平面図であり、
図3は
図1の第2積層ユニットに含まれる内部電極を示す平面図であり、
図4は
図1のI-I'線に沿った断面図であり、
図5は
図1のII-II'線に沿った断面図である。
【0037】
図1~
図5を参照すると、本実施形態による積層型キャパシタ100は、キャパシタ本体101と、第1及び第2外部電極131、132と、を含む。
【0038】
そして、キャパシタ本体101は、複数の誘電体層111、211と、誘電体層111、211を挟んで交互に配置される複数の第1内部電極121、221と、第2内部電極122、222と、を含む2つ以上の積層ユニット110、210が誘電体層111、211の積層方向であるZ方向に沿って一列に配置されてなる。
【0039】
以下、本実施形態では、積層ユニットが上側の第1積層ユニットと下側の第2積層ユニットとからなることを示して説明しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、必要に応じて、3個以上の積層ユニットがZ方向に沿って一列に積層されてキャパシタ本体を構成することができる。
【0040】
また、本実施形態において、第2積層ユニットは第1積層ユニットをZ方向に180°裏返したものである。以下で説明する積層ユニットの構造は、第1積層ユニットを基準として説明し、第2積層ユニットにおいて第1積層ユニットと重複する説明は省略するが、これは第2積層ユニットに関する説明を含むものとみなす。
【0041】
図中、第2積層ユニットに関する説明において、図面符号211は誘電体層を示し、図面符号221と222は第1及び第2内部電極をそれぞれ示し、図面符号212及び213はカバーを示す。
【0042】
第1積層ユニット110は、複数の誘電体層111をZ方向に積層した後に焼成したものであり、第1積層ユニット110の互いに隣接する誘電体層111の間の境界は、走査電子顕微鏡(SEM: Scanning Electron Microscope)を利用せずには確認し難いほど一体化することができる。
【0043】
このとき、第1積層ユニット110は、ほぼ六面体状であることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。また、第1積層ユニット110の形状、寸法、及び誘電体層111の積層数が、本実施形態の図面に示されたものに限定されるものではない。
【0044】
誘電体層111は、高誘電率のセラミック材料を含むことができ、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO3)系またはチタン酸ストロンチウム(SrTiO3)系セラミック粉末などを含むことができるが、十分な静電容量を得ることができる限り、本発明はこれに限定されるものではない。
【0045】
また、誘電体層111には、上記セラミック粉末と共に、セラミック添加剤、有機溶剤、可塑剤、結合剤、及び分散剤などがさらに添加されることができる。
【0046】
上記セラミック添加剤としては、例えば、遷移金属酸化物または遷移金属炭化物、希土類元素、マグネシウム(Mg)またはアルミニウム(Al)などが用いられることができる。
【0047】
かかる第1積層ユニット110は、キャパシタの容量形成に寄与する部分としての活性領域と、上下マージン部として、Z方向に上記活性領域の上下部にそれぞれ形成されるカバー112、113と、を含むことができる。
【0048】
カバー112、113は、内部電極を含まないことを除いては、誘電体層111と同一の材料及び構成を有することができる。
【0049】
かかるカバー112、113は、単一の誘電体層または2つ以上の誘電体層を上記活性領域の上下面にそれぞれZ方向に積層して形成することができ、基本的には物理的または化学的ストレスによる第1及び第2内部電極121、122の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0050】
このとき、カバー112、113、212、213の厚さは、第1及び第2積層ユニット110、210によってキャパシタ本体101が構成されるときに、外部からの衝撃などによってキャパシタ本体101が損傷することを防止することができるように一定レベル以上であることが好ましい。
【0051】
特に、積層ユニットの一方面は他の積層ユニットと接する面となるため、隣接する内部電極の間隔を一定に維持するためには、このように他の積層ユニットと接する面となる側のカバーの厚さを、反対側のカバーの厚さよりも薄く形成することが好ましい。
【0052】
例えば、本実施形態では、第1積層ユニット110の場合、上部カバー112は2層以上の誘電体層を積層して形成し、第2積層ユニット210の場合、下部カバー212は2層以上の誘電体層を積層して形成することが好ましい。
【0053】
第1及び第2内部電極121、122は、互いに異なる極性が印加される電極であって、誘電体層111を挟んでZ方向に沿って交互に配置され、一端が第1積層ユニット110の第3及び第4面3、4を介してそれぞれ露出することができる。
【0054】
このとき、第1及び第2内部電極121、122は、中間に配置された誘電体層111によって互いに電気的に絶縁されることができる。
【0055】
このように、第1積層ユニット110の第3及び第4面3、4を介して交互に露出する第1及び第2内部電極121、122の端部は、後述するキャパシタ本体101の第3及び第4面3、4に配置される第1及び第2外部電極131、132とそれぞれ接続されて電気的に連結されることができる。
【0056】
上述の構成により、第1及び第2外部電極131、132に所定の電圧が印加されると、第1及び第2内部電極121、122の間に電荷が蓄積される。
【0057】
このとき、積層型キャパシタ100の静電容量は、キャパシタ本体101の活性領域においてZ方向に沿って互いに重なる第1及び第2内部電極121、122の重なり面積と比例する。
【0058】
また、第1及び第2内部電極121、122を形成する材料は、特に制限されず、例えば、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、パラジウム-銀(Pd-Ag)合金などの貴金属材料及びニッケル(Ni)、銅(Cu)のうち1つ以上の物質からなる導電性ペーストを用いて形成されることができる。
【0059】
このとき、上記導電性ペーストの印刷方法は、スクリーン印刷法またはグラビア印刷法などを用いることができるが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0060】
本実施形態におけるキャパシタ本体101において、第1及び第2積層ユニット110、210は、高密度部分に該当する面同士が互いに向かい合うように配置されることができる。
【0061】
このとき、図示してはいないが、必要に応じて、第1及び第2積層ユニット110、210は、低密度部分に該当する面同士が互いに向かい合うように配置されることもできる。
【0062】
一方、キャパシタ本体において、第1及び第2積層ユニット110、210は、最初に積層された部分に該当する面同士が互いに向かい合うように配置されることができる。
【0063】
このとき、必要に応じて、第1及び第2積層ユニット110、210は、最後に積層された部分に該当する面同士が互いに向かい合うように配置されることもできる。
【0064】
第1及び第2外部電極131、132には、互いに異なる極性の電圧が提供され、キャパシタ本体101の第3及び第4面3、4に配置され、第1及び第2積層ユニット110、210において第1及び第2内部電極121、122の露出する部分とそれぞれ接続されて電気的に連結されることができる。
【0065】
このとき、第1及び第2外部電極131、132は、必要に応じて、キャパシタ本体101の第3及び第4面3、4に形成される導電層と、上記導電層上に形成されるめっき層と、を含むことができる。
【0066】
上記めっき層は、導電層上に形成されるニッケル(Ni)めっき層と、上記ニッケル(Ni)めっき層上に形成されるスズ(Sn)めっき層と、を含むことができる。
【0067】
第1外部電極131は、第1接続部131aと、第1バンド部131bと、を含むことができる。
【0068】
第1接続部131aは、キャパシタ本体101の第3面3に形成され、第1内部電極121、221の露出する部分と接続される部分であり、第1バンド部131bは、第1接続部131aからキャパシタ本体101の第1面1の一部まで延長される部分である。
【0069】
このとき、第1バンド部131bは、固着強度の向上などのために、キャパシタ本体101の第5及び第6面5、6の一部及び第2面2の一部までさらに延長されることができる。
【0070】
第2外部電極132は、第2接続部132aと、第2バンド部132bと、を含むことができる。
【0071】
第2接続部132aは、キャパシタ本体101の第4面4に形成され、第2内部電極122、222の露出する部分と接続される部分であり、第2バンド部132bは、第2接続部132aからキャパシタ本体101の第1面1の一部まで延長される部分である。
【0072】
このとき、第2バンド部132bは、固着強度の向上などのためにキャパシタ本体101の第5及び第6面5、6の一部及び第2面2の一部までさらに延長されることができる。
【0073】
本実施形態では、第1積層ユニット110の場合、上部が低密度部分となり、下部が高密度部分となることができる。
【0074】
このとき、第1積層ユニット110の場合、積層ユニットを製造する際に、上部が最後に積層される部分となるようにすることができ、下部が最初に積層される部分となるようにすることができる。
【0075】
また、本実施形態において、第2積層ユニット210は、第1積層ユニット110の下側に配置されることができる。
【0076】
かかる第2積層ユニット210は、上部が高密度部分となり、下部が低密度部分となることができる。
【0077】
このとき、第2積層ユニット210の場合、積層ユニットを製造する際に、上部が最初に積層される部分となるようにすることができ、下部が最後に積層される部分となるようにすることができる。
【0078】
一方、
図6を参照すると、第1及び第2積層ユニット110'、210'は、第1または第2内部電極の幅が積層ユニットの中間部分からZ方向に沿って上下に向かうほど徐々に狭くなるように形成されることができる。
【0079】
即ち、第1積層ユニット110'の第3面から見たときに、第1内部電極121'は、Z方向に中間に配置された第1内部電極121'のY方向における幅が最も長く、Z方向に沿って上下に向かうほど、第1内部電極121'のY方向における幅が徐々に短くなるように形成されることができる。
【0080】
また、図示してはいないが、第1積層ユニット110'の第4面から見たときに、第2内部電極の場合も、第1内部電極121'とほぼ類似の形状及び構造を有することができる。
【0081】
また、第2積層ユニット210'の第3面から見たときに、第1内部電極221'は、Z方向に中間に配置された第1内部電極221'のY方向における幅が最も長く、Z方向に沿って上下に向かうほど、第1内部電極221'のY方向における幅が徐々に短くなるように形成されることができる。
【0082】
また、図示してはいないが、第2積層ユニット210'の第4面から見たときに、第2内部電極の場合も、第1内部電極221'とほぼ類似の形状及び構造を有することができる。
【0083】
したがって、キャパシタ本体101'の第3及び第4面からそれぞれ見たときに、Z方向における内部電極の露出形状が、Z方向に沿って全体的に雪だるまのような形状をなすことができる。
【0084】
また、第1及び第2積層ユニット110'、210'は、第1または第2内部電極の最大幅をW1、第1または第2内部電極の最小幅をW2と規定したときに、W2/W1≧0.96を満たすことができる。かかる割合が1に近いほど内部電極の幅が均一となる。したがって、本実施形態によると、内部電極の厚さも全体的に均一となって、積層型キャパシタの破壊電圧特性が向上することができる。
【0085】
図14を参照すると、比較例は、積層ユニットを上下に配置したものではなく、内部電極を下端から上側に積層して単一体に構成したキャパシタ本体を含む積層型キャパシタである。実施例は、本発明の第2実施形態であって、第1及び第2積層ユニット110'、210'を上下に積層してなるキャパシタ本体101'を含む積層型キャパシタである。
図6においてW1は、幅が最も長い内部電極の幅を示し、W2は幅が最も短い内部電極の幅を示す。
【0086】
比較例の場合、W2/W1の上限値は0.953、下限値は0.947、平均値は0.950であって、すべての範囲で0.960よりも低く示された。しかし、実施例の場合、上限値は0.976、下限値は0.965、平均値は0.970であって、W2/W1の平均値が0.960よりも高く示された。
【0087】
即ち、本発明の実施形態によると、キャパシタ本体の全体から見たときの内部電極の幅の偏差も減少するが、各積層ユニットから見たときの内部電極の幅の偏差も、比較例に比べて著しく減少することが確認できる。上述のように、本実施形態によると、内部電極の幅と厚さの偏差を減少させて破壊電圧特性を向上させることで、絶縁破壊に強い高信頼性の積層型キャパシタを提供することができる。
【0088】
一方、本発明の他の実施形態によると、
図7及び
図8に示すように、第1積層ユニット110と第2積層ユニット210との間にバッファ層300が配置されることができる。
【0089】
かかるバッファ層300は、誘電体層のみで構成されるため、誘電体層と内部電極の層間段差による影響を低減させて、内部電極の不規則な変形をさらに抑制する役割を果たすことができる。
【0090】
図9を参照すると、第1積層ユニット110'と第2積層ユニット210'との間にバッファ層300が配置され、第1及び第2積層ユニット110'、210'は、第1または第2内部電極の幅が積層ユニットの中間部分からZ方向に沿って上下に向かうほど徐々に狭くなるように形成されることができる。
【0091】
即ち、第1積層ユニット110'の第3面から見たときに、第1内部電極121'は、Z方向に中間に配置された第1内部電極121'のY方向における幅が最も長く、Z方向に沿って上下に向かうほど、第1内部電極121'のY方向における幅が徐々に短くなるように形成されることができる。
【0092】
また、図示してはいないが、第1積層ユニット110'の第4面から見たときに、第2内部電極の場合も、第1内部電極121'とほぼ類似の形状及び構造を有することができる。
【0093】
また、第2積層ユニット210'の第3面から見たときに、第1内部電極221'は、Z方向に中間に配置された第1内部電極221'のY方向への幅が最も長く、Z方向に沿って上下に向かうほど、第1内部電極221'のY方向への幅が徐々に短くなるように形成されることができる。
【0094】
また、図示してはいないが、第2積層ユニット210'の第4面から見たときに、第2内部電極の場合も、第1内部電極221'とほぼ類似の形状及び構造を有することができる。
【0095】
したがって、キャパシタ本体の第3及び第4面からそれぞれ見たときに、Z方向における内部電極の露出形状が、Z方向に沿って全体的に雪だるまのような形状をなすことができる。
【0096】
図10は本発明の他の実施形態による積層型キャパシタにおいて、
図1のI-I'線に該当する断面を示す断面図であり、
図11は本発明の他の実施形態による積層型キャパシタにおいて、
図1のII-II'線に該当する断面を示す断面図である。
【0097】
図10及び
図11を参照すると、本実施形態の積層型キャパシタ100'は、キャパシタ本体101''が複数の第1積層ユニット110'と、複数の第2積層ユニット210'と、を含むことができる。
【0098】
ここで、第1積層ユニット110'は、低密度部分が上部に位置する構造を有することができる。
【0099】
このとき、第1積層ユニット110'は、最後に積層された部分が上部に位置する構造を有することができる。
【0100】
また、第2積層ユニット210'は、高密度部分が上部に位置する構造を有することができる。
【0101】
このとき、第2積層ユニット210'は、最初に積層された部分が上部に位置する構造を有することができる。
【0102】
本実施形態のキャパシタ本体101''は、第2積層ユニット210'が最下層に位置した状態で、第1積層ユニット110'と第2積層ユニット210'がZ方向に一回ずつ交互に積層されてなることができる。
【0103】
このとき、積層型キャパシタの全体サイズを、上述の
図4に示す実施形態の積層型キャパシタのサイズと類似するように製作するためには、各積層ユニットに含まれる誘電体層と内部電極の個数を適切に調整すればよい。
【0104】
一方、
図12に示すように、キャパシタ本体101'''が複数の第1及び第2積層ユニット110'、210'を含む場合、第1積層ユニット110'は、第1または第2内部電極の幅が積層ユニットの中間部分からZ方向に沿って上下に向かうほど徐々に狭くなるように形成されることができる。
【0105】
また、第2積層ユニット210'は、第1または第2内部電極の幅が積層ユニットの中間部分からZ方向に沿って上下に向かうほど徐々に狭くなるように形成されることができる。
【0106】
以下、本発明の一実施形態による積層型キャパシタの製造方法について説明する。
【0107】
まず、複数のセラミックシートを準備する。
【0108】
セラミックシートは、積層ユニットの誘電体層を形成するためのものである。
【0109】
セラミックシートは、セラミック粉末、ポリマー及び溶剤を混合してスラリーを製造し、このスラリーをドクターブレードなどの工法を用いて数μmの厚さのシート状に製造することができる。
【0110】
その後、セラミックシートに導電性ペーストを所定の厚さに印刷して内部電極を形成した後に複数のセラミックシートを積層することで、複数の誘電体層と、誘電体層を挟んで交互に配置される複数の第1及び第2内部電極と、を含む積層バー(Bar)を設ける。
【0111】
次に、2つの積層バーにおいて高密度部分に該当する面同士が互いに向かい合うか、または低密度部分に該当する面同士が互いに向かい合うように、上記2つの積層バーを一列に配置して積層体を設ける。
【0112】
このとき、セラミックシートが受ける積層圧は累積されるため、最初に積層される面は密度が最も高く、最後に積層される面は密度が最も低くなる。
【0113】
したがって、積層体を設ける際に、2つの積層バーを、最初にセラミックシートが積層された面同士が互いに向かい合うように一列に配置するか、または最後にセラミックシートが積層された面同士が互いに向かい合うように一列に配置することができる。
【0114】
本実施形態では、高密度部分が上部に位置する第2積層バーを配置した後、第2積層バーの上に、低密度部分が上部に位置する第1積層バーを積層して積層体を形成することができる。
【0115】
即ち、最初にセラミックシートが積層された面が上部に位置する第2積層バーを配置した後、第2積層バーの上に、最後にセラミックシートが積層された面が上部に位置する第1積層バーを積層して積層体を設けることができる。
【0116】
このとき、上下に配置された積層バーのアライメント(alignment)のためには、各積層バーにレーザードリル(laser drill)でホール(hole)加工を行い、整合積層機などを用いて行うことができる。
【0117】
一方、上記積層体は、必要に応じて、上下に隣接する積層バーの間にバッファ層をさらに配置して形成することができる。
【0118】
そのためには、下側の第2積層バーの上面に一つ以上のセラミックシートを積層してバッファ層を形成した後、バッファ層の上に第1積層バーを積層することができる。
【0119】
そして、他の実施形態として、上記積層体を設ける段階において、上記積層体は、複数の第1及び第2積層バーを含み、上記第1積層バーと上記第2積層バーを一回ずつ交互に配置されるようにZ方向に積層して形成することができる。
【0120】
次に、上記積層体を圧着する。
【0121】
上記積層体は、第1または第2内部電極の幅が第1及び第2積層バーの中間部分から上下に向かうほど徐々に狭くなる形態に形成されることができる。
【0122】
次に、圧着された積層体の第1及び第2内部電極が両端面を介して交互に露出するように、上記積層体を1つのキャパシタと対応する領域ごとに切断した後、高温で焼成してキャパシタ本体を設ける。
【0123】
次に、第1及び第2内部電極の露出する部分とそれぞれ電気的に連結されるように上記キャパシタ本体に導電性ペーストを塗布して第1及び第2外部電極を形成する。
【0124】
通常の積層型キャパシタは、下部カバーの上に活性領域を形成し、活性領域の上に上部カバーを積層した後に圧着して製造する。
【0125】
最近では、誘電体層が薄層化し、積層数が増加するにつれて、キャパシタ本体内において内部電極が形成される活性領域と、内部電極が形成されていないマージン部の厚さの差が大きくなってきている。
【0126】
このような厚さの差は、積層型キャパシタの長さ方向よりも幅方向においてさらに著しく生じる。
【0127】
そのため、積層型キャパシタを製造する際に積層及び加圧工程で層の一部が崩れる。これにより、マージン部では層間剥離(Delamination)またはクラック(crack)が発生し、湿気、めっき液及び異物などがキャパシタ本体の内部に浸透することによってキャパシタ本体の信頼性が低下し得る。
【0128】
また、従来の積層型キャパシタの場合、圧着後のキャパシタ本体は、活性領域の中間部分が活性領域の上下部に比べて突出する太鼓腹(potbelly)状を有する。
【0129】
それは、上述の誘電体層と内部電極の層間段差及び上下マージン部の密度差によって発生する。
【0130】
即ち、積層体を圧着する際に、活性領域における上下部は横方向への伸びが制限されるが、活性領域の中間部分は、横方向により多く伸びる。
【0131】
したがって、キャパシタ本体において、活性領域の下側に向かうほど内部電極の厚さが増加し、マージン部側に向かうほど内部電極の厚さが増加する。
【0132】
このとき、誘電体層の厚さは、内部電極とは反対の傾向を示すことで、キャパシタ本体の活性領域が全体的に太鼓腹状となる。
【0133】
このように、キャパシタ本体の活性領域が全体的に太鼓腹状となると、積層型キャパシタは絶縁破壊及びショート(short)不良に脆弱となる。
【0134】
つまり、従来の積層型キャパシタは、積層体を圧着する際に下部に位置する誘電体層の密度が高くなるが、この場合、密度が高い下部に隣接する内部電極は大きく伸びず、密度が低い上部に隣接する内部電極は、圧着副資材及び上部カバーが下側に押し下げられるため、大きく伸びない。
【0135】
しかし、キャパシタ本体における中間部分の場合は、マージンの密度が相対的に低いため、内部電極が自由に伸びることができる。したがって、キャパシタ本体の内部電極は、全体的に太鼓腹(potbelly)状に変形する。
【0136】
また、誘電体層が薄くなると、誘電体層の単位厚さ当たりの電圧が高くなる。
【0137】
したがって、積層型キャパシタに低い電圧が印加されても誘電体層の絶縁破壊が発生する可能性が高くなる。
【0138】
特に、積層型キャパシタの幅方向及び厚さ方向の断面から見たときに、内部電極の幅方向における両端部は、圧着過程で内部電極が伸びて楔状を有するようになり、ノッチ(notch)効果によって電界強度がさらに高くなる。
【0139】
したがって、積層方向に隣接する内部電極の端部に高い電界強度が重なることにより、誘電体層の絶縁破壊がより簡単に発生するという問題点がある。
【0140】
しかし、本実施形態の積層型キャパシタは、キャパシタ本体を2つの積層ユニットで構成し、且つ高密度に該当する面が対称に向かい合うように2つの積層ユニットを一列に配置した後に圧着して製造する。
【0141】
これにより、キャパシタ本体における活性領域の中間部分はマージンの密度が高いため、内部電極が大きく伸びず、活性領域の上下部はマージンの密度が低いが、カバーによって内部電極の伸びが制限されるため、キャパシタ本体に含まれる内部電極は、全体的に均一に変形されることができる。
【0142】
このように内部電極の変形を上下に対称でありながら均一な構造にすると、キャパシタ本体内における誘電体層と内部電極の厚さの偏差を減らすことができ、内部電極の端部が曲がる現象も低減させることができる。
【0143】
したがって、積層型キャパシタの幅方向における活性領域とマージン部の厚さの差による影響を低減させることで、積層型キャパシタの小型化及び高容量化を実現することができ、積層及び加圧工程で層の一部が崩れることによってマージン部に主に発生する層間剥離やクラックを防止することができる。
【0144】
また、積層型キャパシタの信頼性を向上させることができ、高電圧下での絶縁破壊を防止することができる。
【0145】
一方、本発明において、キャパシタ本体を構成する積層ユニットの個数は2個に限定されるものではなく、積層ユニットの個数は3個以上であることができ、好ましくは、積層ユニットの個数は2の倍数であることができる。
【0146】
例えば、
図10及び
図11に示すように、積層ユニットの総個数が、上述の実施形態に比べて2倍増加して4個となると、内部電極が全体的により均一に変形されることができる。これにより、キャパシタ本体内における誘電体層と内部電極の厚さの偏差をさらに減らすことができ、内部電極の端部が曲がる現象もさらに低減させることができる。
【0147】
これにより、積層型キャパシタ100'の絶縁破壊、ショート(short)不良、容量低下などの問題をより効果的に改善することができ、積層型キャパシタの信頼性をより向上させることができる。
【0148】
図13は従来の積層型キャパシタにおける内部電極の幅の範囲と、本発明の
図1~
図5に示す実施形態による積層型キャパシタにおける内部電極の幅の範囲とを比較して示したグラフである。ここで、積層型キャパシタは長さと幅がそれぞれ2.0mm、1.2mmであり、内部電極の積層数は総900層である。
【0149】
図13において、#1は、キャパシタ本体が単一の積層体からなる従来の積層型キャパシタにおいて内部電極の幅を示したものであり、#2は、
図1~
図5に示す積層型キャパシタにおいて第2積層ユニットに含まれる内部電極の幅を示したものであり、#3は、
図1~
図5に示す積層型キャパシタにおいて第1積層ユニットに含まれる内部電極の幅を示したものである。
【0150】
図13を参照すると、#2と#3における内部電極の平均幅の最大値と最小値がいずれも、#1における内部電極の平均幅の最大値と最小値よりも小さいことが分かる。
【0151】
また、#1の場合、キャパシタ本体の上部と下部における平均電極幅が最も小さく、中間地点における幅が最も大きいのに対し、#2と#3を含む本発明の一実施形態の場合は、キャパシタ本体の上、中、下における幅がほぼ類似し、上~中及び中~下における幅もほぼ類似していることが分かる。
【0152】
即ち、本実施形態によると、キャパシタ本体の活性領域における内部電極の厚さの偏差を減らすことができ、従来の積層型キャパシタにおいてキャパシタ本体の内部電極の形状である太鼓腹(potbelly)状が数値的に改善されることが確認できる。
【0153】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的事項を逸脱しない範囲内で様々な修正及び変形が可能であることは、当技術分野における通常の知識を有する者には自明である。
【符号の説明】
【0154】
100、100' 積層型キャパシタ
101、101'、101''、101''' キャパシタ本体
110、110' 第1積層ユニット
111、211 誘電体層
112、113、212、213 カバー
121、121'、221、221' 第1内部電極
122、222 第2内部電極
131、132 第1及び第2外部電極
210、210' 第2積層ユニット
300 バッファ層