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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】オゾン発生制御装置
(51)【国際特許分類】
   A61L 9/015 20060101AFI20241217BHJP
   C01B 13/10 20060101ALI20241217BHJP
   C01B 13/11 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
A61L9/015
C01B13/10 D
C01B13/11 K
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021038703
(22)【出願日】2021-03-10
(65)【公開番号】P2022138684
(43)【公開日】2022-09-26
【審査請求日】2023-12-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】蛇口 広行
(72)【発明者】
【氏名】古山 義幸
【審査官】関口 貴夫
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-523775(JP,A)
【文献】実開平05-037245(JP,U)
【文献】特開2012-034771(JP,A)
【文献】国際公開第97/042981(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 9/00
C01B 13/10、13/11
A61L 2/00- 2/28
B60H 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象空間内にオゾンを供給するオゾン供給部と、
前記対象空間内のオゾンを検出してオゾン濃度値を出力するオゾン検出部と、
前記オゾン濃度値に基づいて前記オゾン供給部を駆動制御する制御部と、
を備えたオゾン発生制御装置であって、
前記制御部は、前記オゾン供給部の駆動を停止した後の前記オゾン濃度値の減少速度が大きい時に前記対象空間内の対象物の処理が完了していないと判断し、減少速度が小さい時に前記対象空間内の前記対象物の処理が完了したと判断するオゾン発生制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記オゾン濃度値が開始用閾値以下になった時に前記オゾン供給部の駆動を開始し、前記オゾン濃度値が前記開始用閾値よりも大きい停止用閾値以上になった時に前記オゾン供給部の駆動を停止する請求項1記載のオゾン発生制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記オゾン供給部の駆動を停止してから再開するまでのオフ時間が短い時に前記対象物の処理が完了していないと判断し、前記オフ時間が長い時に前記対象物の処理が完了したと判断する請求項2記載のオゾン発生制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記オゾン供給部の駆動を再開してから停止するまでのオン時間と前記オフ時間からなる周期が短い時に前記対象空間内の前記対象物の処理が完了していないと判断し、前記周期が長い時に前記対象空間内の前記対象物の処理が完了したと判断する請求項3記載のオゾン発生制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記オン時間に対する前記オフ時間の比が小さい時に前記対象空間内の前記対象物の処理が完了していないと判断し、前記オン時間に対する前記オフ時間の比が大きい時に前記対象空間内の前記対象物の処理が完了したと判断する請求項4に記載のオゾン発生制御装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記対象物の処理が完了したと判断した後に、前記オゾン供給部を駆動して、他の対象物を処理を行う請求項1~5の何れか一項に記載のオゾン発生制御装置。
【請求項7】
対象空間内にオゾンを供給するオゾン供給部と、
前記対象空間内のオゾンを検出してオゾン濃度値を出力するオゾン検出部と、
前記オゾン濃度値に基づいて前記オゾン供給部を駆動制御する制御部と、
を備えたオゾン発生制御装置であって、
前記制御部は、前記オゾン供給部の駆動を停止した後の前記オゾン濃度値の減少速度が大きい時に前記対象空間内の対象物の処理が所定のレベルまで進んでいないと判断し、前記減少速度が小さい時に前記対象空間内の前記対象物の処理が所定のレベルまで進んだと判断するオゾン発生制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オゾン発生制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
オゾンは、強い酸化力を有するため、脱臭、有機物除去、有害物質除去、殺菌等を目的として、被処理物である対象物の濃度に応じてオゾンの発生量を制御して、オゾンにより対象物の除去(脱臭)及び殺菌を行うオゾン発生制御装置が様々な分野で使用されている。
【0003】
オゾン発生制御装置として、例えば、オゾンを発生させて空間内の空気中に含まれる臭気成分を分解して除去する清浄部と、オゾンを発生させる浄化物質発生部と、空気中のオゾン濃度を検知する浄化物質濃度センサと、浄化物質濃度センサが検知したオゾン濃度に応じてオゾンの発生量を制御する制御部とを備える空気清浄装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。この空気清浄装置では、空間内の単位時間当たりのオゾン濃度が所定の割合で増加している場合には、浄化物質発生部の運転を停止してオゾンの発生を停止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2019-150735号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術では、オゾン濃度の増加速度と臭気成分等の対象物の処理状況とが対応しない場合があるため、対象物の処理の完了を正確に判断することが困難である、という問題があった。
【0006】
オゾン濃度の増加速度と対象物の処理状況が対応しない場合として、例えば、オゾンの供給速度が対象物によるオゾンの消費速度に比べて非常に大きかったり、対象物のオゾンによる酸化反応が遅いため、オゾン濃度の増加速度の変化が小さい場合がある。また、他に、オゾン濃度が一定値になるようにオゾンの発生をオンオフ制御する際にオゾンの供給量を多くすることで、オゾン濃度の増加速度の変化が小さくなる場合がある。
【0007】
本発明の一態様は、対象物の処理の完了を高精度に判断することができるオゾン発生制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るオゾン発生制御装置の一態様は、対象空間内にオゾンを供給するオゾン供給部と、前記対象空間内のオゾンを検出してオゾン濃度値を出力するオゾン検出部と、前記オゾン濃度値に基づいて前記オゾン供給部を駆動制御する制御部と、を備えたオゾン発生制御装置であって、前記制御部は、前記オゾン供給部の駆動を停止した後の前記オゾン濃度値の減少速度が大きい時に前記対象空間内の対象物の処理が完了していないと判断し、減少速度が小さい時に前記対象空間内の前記対象物の処理が完了したと判断する。
【0009】
本発明に係るオゾン発生制御装置の他の態様は、対象空間内にオゾンを供給するオゾン供給部と、前記対象空間内のオゾンを検出してオゾン濃度値を出力するオゾン検出部と、前記オゾン濃度値に基づいて前記オゾン供給部を駆動制御する制御部と、を備えたオゾン発生制御装置であって、前記制御部は、前記オゾン供給部の駆動を停止した後の前記オゾン濃度値の減少速度が大きい時に前記対象空間内の対象物の処理が所定のレベルまで進んでいないと判断し、前記減少速度が小さい時に前記対象空間内の前記対象物の処理が所定のレベルまで進んだと判断する。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るオゾン発生制御装置の一態様は、対象物の処理の完了を高精度に判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1の実施形態に係るオゾン発生制御装置を示す概略構成図である。
図2】時間とオゾン濃度との関係を示す説明図である。
図3】オゾン処理方法を説明するフローチャートである。
図4図3のオゾン処理工程(ステップS11)の動作を示すフローチャートである。
図5】第2の実施形態に係るオゾン発生制御装置を示す概略構成図である。
図6】オゾン処理方法を説明するフローチャートである。
図7】第3の実施形態に係るオゾン発生制御装置を示す概略構成図である。
図8】オゾン処理方法を説明するフローチャートである。
図9】第4の本実施形態に係るオゾン発生制御装置を示す概略構成図である。
図10】オゾン処理方法を説明するフローチャートである。
図11】第5の本実施形態に係るオゾン発生制御装置を示す概略構成図である。
図12】オゾン処理方法を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。なお、説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては同一の符号を付して、重複する説明は省略する。また、図面における各部材の縮尺は実際とは異なる場合がある。本明細書において数値範囲を示す「~」は、別段の断わりがない限り、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含むことを意味する。
【0013】
[第1の実施形態]
<オゾン発生制御装置>
本発明の第1の実施形態に係るオゾン発生制御装置について説明する。なお、オゾン発生制御装置が設置される対象空間内には、対象物が含まれているものとする。
【0014】
なお、本実施形態において、対象空間とは、家、ビル、病院、福祉施設等の建物、自動車、電車等の車両、飛行機等の室内空間等のように、閉鎖された空間であって空気が存在する雰囲気をいう。閉鎖された空間は、実質密閉とみなせる空間を含み、空気が循環していてもよいし、循環していなくてもよい。
【0015】
対象物とは、揮発性有機化合物(VOC)、臭気成分、細菌、ウィルス等をいう。なお、臭気成分とは、悪臭物質や揮発性有機化合物等をいい、トリメチルアミン、メチルメルカプタン、NH3、H2S等が挙げられる。
【0016】
図1は、本実施形態に係るオゾン発生制御装置を示す概略構成図である。図1に示すように、オゾン発生制御装置1Aは、オゾン供給部10と、オゾン検出部であるオゾン濃度センサ20と、制御部30Aとを備え、温度センサ40、湿度センサ50、CO2センサ60及び報知部70を備えてもよい。オゾン発生制御装置1Aは、対象空間S内に設置されている。オゾン発生制御装置1Aは、対象空間S内に存在する対象物をオゾン(O3)と接触させ、対象物をオゾンにより酸化分解して除去することで、対象物の濃度が許容される値以下まで低下するように処理して、対称空間S内の空気を清浄にしている。
【0017】
オゾン発生制御装置1Aは、対象空間S内に存在する対象物を除去する際に、対象空間S内のオゾン濃度が所定の範囲内に維持されるようにオゾン供給部10の運転にフィードバック制御する。オゾン発生制御装置1Aは、オゾン供給部10の運転を停止した時のオゾン濃度の減少速度の大きさに基づいて、対象空間S内の対象物の除去が完了していることを判断するものである。
【0018】
一般に、従来の技術は、空間内のオゾン濃度を所定の範囲内に制御することはできるが、オゾン発生中に、悪臭の脱臭割合、細菌及びウィルス等の殺菌割合等のような、対象物の処理具合を把握することは困難である。そのため、従来の技術では、対象物の除去(脱臭、殺菌等)が十分完了していても、オゾンの発生及び空間内におけるオゾン濃度の制御を続けることが多い。また、有人環境下で対象物の除去(脱臭、殺菌等)を行う場合、オゾン濃度が安全濃度であっても、空間内にいる人が不要なオゾンに晒されることになるため、不快なオゾン臭を感じることも考えられる。
【0019】
オゾン発生制御装置1Aは、オゾン濃度の減少速度に基づいてオゾン消費量を推定することで、対象空間Sの対象物の除去(脱臭、殺菌等)が所定の目的濃度以下になるまで行うことができ、対象空間S内の空気が清浄化されていることをリアルタイムで把握することができる。
【0020】
オゾン発生制御装置1Aの各構成について説明する。
【0021】
オゾン供給部10は、対象空間S内の空気中の酸素を原料として、対象空間S内にオゾンを発生させて、対象空間S内にオゾンを供給する。オゾン供給部10は、制御部30Aと電気的に接続され、制御部30Aによって制御される。オゾン供給部10は、制御部30Aから送られる駆動信号に基づいてオゾンを発生させることができる。
【0022】
オゾン供給部10は、オゾンを発生できるものであれば、どのような方式のものでも用いることができる。オゾン供給部10として、例えば、放電電極と対向電極とを互いに向かい合った状態で交互に配置してなる放電式を利用してオゾンを生成する装置、紫外線を用いた光化学反応方式を利用してオゾンを生成する装置等を用いることができる。
【0023】
放電式を利用してオゾンを生成する装置では、両電極に電圧を印加することで、両電極間で放電を生じさせる。放電を生じている電極間に空気を通過させることにより、空気中に含まれる酸素が活性化され、解離又は励起された酸素の一部がオゾン(O3)に変化する。これにより、空気中にオゾンが発生する。そして、発生したオゾンは、対象空間Sの空気中に含まれる対象物と反応して、対象物を分解し、除去する。オゾン供給部10でのオゾンの発生量(オゾン発生量)は、制御部30Aより出力される駆動信号を調整して放電量を調整することにより、増減、稼働、停止等を制御することができる。
【0024】
紫外線を用いた光化学反応方式を利用してオゾンを生成する装置としては、紫外線を放出する紫外線ランプを備えた紫外線照射装置を用いることができる。紫外線ランプとしては、例えば、低圧水銀ランプやエキシマランプ等を用いることができるが、オゾン分解波長を含まない光を放出することのできるエキシマランプを用いることが好ましい。
【0025】
オゾン濃度センサ20は、対象空間S内のオゾン濃度を測定する。オゾン濃度センサ20は、測定したオゾン濃度に応じた検出値(オゾン濃度値)を出力する。オゾン濃度センサ20は、制御部30Aと電気的に接続され、オゾン濃度値に対応するオゾン濃度検出信号(濃度信号)を制御部30Aに送信する。
【0026】
オゾン濃度センサ20は、特に限定されるものでなく、適宜選択することができる。オゾン濃度センサ20として、例えば、金属酸化物半導体材料よりなる感ガス部として半導体素子を備える半導体式センサ等を用いることができる。半導体式センサでは、オゾンが半導体素子の表面に接触することによって生ずる半導体素子の抵抗値の変化量を検出することにより、オゾン濃度が測定され、オゾン濃度に応じた電圧信号をオゾン濃度値として出力するものである。
【0027】
制御部30Aは、オゾン供給部10等のオゾン発生制御装置1Aを構成する各部材を制御可能にこれらと接続されている。制御部30Aは、制御プログラムや各種記憶情報を格納する記憶手段と、制御プログラムに基づいて動作する演算手段とを有している。制御部30Aは、演算手段が記憶手段に格納されている制御プログラム等を読み出して実行することで実現される。
【0028】
制御部30Aは、オゾン濃度センサ20で測定されたオゾン濃度値に基づいてオゾン供給部10の駆動制御を行い、オゾン供給部10で発生させるオゾンの発生量を制御する。具体的には、制御部30Aは、オゾン濃度センサ20で測定されたオゾン濃度の測定結果であるオゾン濃度値に対応する濃度信号を受信する。制御部30Aは、オゾン濃度センサ20から受信した濃度信号に基づいて、対象空間S中のオゾン濃度を算出する。制御部30Aは、算出したオゾン濃度に基づいて、オゾン供給部10にオゾンを発生させる駆動出力値を算出する。制御部30Aは、算出した駆動出力値に対応する駆動信号をオゾン供給部10に送信し、オゾン供給部10で発生させるオゾンの発生量を制御する。また、制御部30Aは、オゾン供給部10を制御することで、オゾン供給部10から所定濃度のオゾンを発生させてもよい。
【0029】
オゾン濃度は、人体に安全な基準値以下の範囲の濃度であればよく、対称空間Sの大きさ、対象物の種類、数、濃度等に応じ適宜設定できる。オゾン濃度としては、例えば、0.1ppm以下が好ましい。
【0030】
制御部30Aは、オゾン供給部10の駆動を停止した後のオゾン濃度値の減少速度が大きい時に対象空間S内の対象物の処理が完了していないと判断し、減少速度が小さい時に対象空間S内の対象物の処理が完了していると判断する。即ち、制御部30Aは、オゾン供給部10の駆動停止から駆動再開までの単位時間当たりにおけるオゾン濃度値の減少速度の変化量に基づいて判断する。制御部30Aは、オゾン供給部10の駆動停止後のオゾン濃度値の減少速度が所定の基準値を超える場合には、対象空間S内の対象物の処理が完了していないと判断し、オゾン濃度値の減少速度が所定の基準値以下である時には、対象空間S内の対象物の処理が完了していると判断する。
【0031】
なお、基準値とは、特に限定されず、対象物の種類等に応じて適宜設定される。
【0032】
制御部30Aは、オゾン濃度値が開始用閾値以下になった時にオゾン供給部10の駆動を開始し、オゾン濃度値が停止用閾値以上になった時にオゾン供給部10の駆動を停止できる。
【0033】
開始用閾値は、対象物の種類等に応じて、適宜任意のオゾン濃度値に設定可能である。停止用閾値は、開始用閾値よりも高いオゾン濃度値であり、対象物の種類等に応じて、適宜任意のオゾン濃度値に設定可能である。開始用閾値及び停止用閾値は、対象空間S内のオゾン濃度を安全濃度に維持する濃度値であればよく、開始用閾値は、例えば0.08ppmとし、停止用閾値は、例えば0.1ppmとしてもよい。
【0034】
オゾン濃度センサ20の測定時間と、対象空間S内のオゾン濃度との関係の一例を図2に示す。図2に示すように、処理空間S内に対象物等が存在し、処理空間S内の空気が汚染されている状態の時に、オゾン供給部10の駆動が停止しているオフ時間Toffを時間t1とし、オゾン供給部10の駆動しているオン時間Tonを時間t11とする。処理空間S内に対象物等が殆ど存在せず清浄化されている状態の時に、オフ時間Toffを時間t0とし、オン時間Tonを時間t10とする。オゾン濃度が開始用閾値である時のオゾン濃度値をC11とし、オゾン濃度が停止用閾値である時のオゾン濃度値をC12とする。対象空間S内のオゾン濃度は、開始用閾値及び停止用閾値の間で安全濃度(例えば、0.08ppm~0.1ppm)に維持されている。
【0035】
処理空間S内の空気が汚染されている状態である時のオフ時間Toff(時間t1)のオゾンの減少速度(オゾン濃度が開始用閾値C11から停止用閾値C12までの時間のオゾンの減少速度)は、処理空間S内が清浄化されている状態である時のオフ時間Toff(時間t0)のオゾンの減少速度(オゾン濃度値が開始用閾値C11から停止用閾値C12までの時間のオゾンの減少速度)よりも大きい。
【0036】
即ち、オフ時間Toffは、オゾンは処理対象物と反応して消費され、新たにオゾン供給部10より供給されるオゾンがないため、オゾン濃度は減少する。そして、対象空間S内に対象物が残っていると、対象空間S内のオゾン濃度は更に減少するため、対象空間S内の対象物の濃度によって、オフ時間Toffでのオゾン濃度の減少速度は更に大きくなる。そのため、制御部30Aは、オゾン供給部10からのオゾンの供給停止後、オゾン濃度値の減少速度が大きく、所定速度を超えていれば、対象空間S内の対象物はオゾンで所定の濃度以下になるまで処理が完了していないと判断できる。オゾン濃度値の減少速度が小さく、所定速度以下であれば、対象空間S内の対象物はオゾンで所定の濃度以下になるまで処理が完了していると判断できる。
【0037】
本実施形態において、所定速度とは、対象物の種類、対象物の初期濃度、温度、湿度等に応じて適宜選択される。
【0038】
オフ時間Toff(時間t0、t1)は、オゾン濃度のみにより一義的に決まるものではなく、温度センサ40及び湿度センサ50で測定される、処理空間S内の空気の温度、湿度等を考慮して適宜補正して調整することが好ましい。オゾンの自然分解による半減期は、温度及び湿度に依存する傾向があるため、対象空間S内の温度及び湿度も考慮することで、オフ時間Toff(時間t0、t1)はより適切に算出できる。
【0039】
制御部30Aは、オゾン濃度の減少速度を算出する際、例えば、下記式(1)のように、停止用閾値C12と開始用閾値C11との時間との差に対する、停止用閾値C12と開始用閾値C11とのオゾン濃度値の差等を用いることができる。
(停止用閾値C12-開始用閾値C11)/(停止用閾値C12の時刻-開始用閾値C11の時刻) ・・・(1)
【0040】
また、制御部30Aは、オフ時間Toff内の任意の2点間の時間の差に対するオゾン濃度値の差の比等を用いることができる。
【0041】
制御部30Aは、時間とオゾン濃度との関係を、予め記憶手段に記憶させておいてもよい。この場合、制御部30Aは、記憶手段に記憶されている記憶値と、オゾン濃度センサ20で測定された実測値及びオゾン供給部10の稼働時間とを比較して、対象空間S内に存在する対象物の酸化が完了しているか否か判断することができる。
【0042】
また、制御部30Aは、オゾン供給部10の駆動を停止した後のオゾン濃度値の減少速度が大きい時に対象空間S内の対象物の処理が所定の処理まで進んでいないと判断し、減少速度が小さい時に対象空間S内の対象物の処理が所定の処理まで進んだと判断してもよい。
【0043】
なお、所定の処理とは、例えば、安全レベル、普通レベル、要注意レベル、危険レベル等の、対象空間S内の対象物の処理の進行具合の指標である。
【0044】
温度センサ40は、処理空間S内の温度を測定する。温度センサ40は、特に限定されず、一般的な温度計等を用いることができる。
【0045】
湿度センサ50は、処理空間S内の湿度を測定する。湿度センサ50は、特に限定されず、一般的な湿度計等を用いることができる。
【0046】
CO2センサ60は、処理空間S内のCO2濃度を測定する。CO2センサ60は、特に限定されず、一般的なCO2測度計等を用いることができる。
【0047】
報知部70は、制御部30Aの算出結果を報知する機能を有する。報知部70は、目的処理の完了を、表示、音声の出力、振動の発生等により報知することができる。報知部6
0としては、モニター、警報、振動等を用いることができる。
【0048】
例えば、図2に示すように、オフ時間Toffが時間t1を超え時間t0以下の間(t1<Toff≦t0)であるとする。この場合、オフ時間Toffでのオゾン濃度の減少速度は、時間t1を超え時間t0以下の間(t1<Toff≦t0)でのオゾン濃度の減少速度となり、対象空間S内は、少なくとも通常レベル以上に清浄化されている状態であるといえる。この場合には、報知部70は、普通レベル以上であることの表示(例えば、レベル1の表示)、白色ランプの点灯等を行ってもよい。
【0049】
オフ時間Toffが時間t1以下(Toff≦t1)であるとする。この場合、オフ時間Toffでのオゾン濃度の減少速度は、時間t1以下(Toff≦t1)でのオゾン濃度の減少速度となり、対象空間S内は、少なくとも清浄化が必要な状態であるといえる。この場合には、報知部70は、清浄化が必要な状態であることの表示(例えば、レベル2や換気マークの表示)、赤色ランプの点灯等を行ってもよい。
【0050】
また、対象空間S内の清浄化を行うために、対象空間S内の換気を行う場合、対象空間S内のオゾンも対象空間Sから排出され、オフ時間Toffが時間t0以下と略同等になってしまう。そのため、制御部30Aは、清浄化が必要な状態、特に、オゾン消費が非常に大きい危険レベルの状態の場合であるか清浄化が不要な状態の場合であるかを区別できなくなる。この場合、制御部30は、CO2の濃度が減少する場合には、対称空間S内を換気していると判断し、CO2濃度が減少しない場合は、換気を行っておらず、対象空間Sは、オゾンによる処理能力(例えば、脱臭及び殺菌能力)が不足している状態(危険レベル)であると判断してよい。
【0051】
また、報知部70は、制御部30Aがオゾン供給部10の駆動停止後におけるオゾン濃度値の減少速度の大小に応じて対象空間S内の対象物の処理の進行具合を判断する場合には、対象物の処理の進行具合を、表示、音声の出力、振動の発生等により報知してもよい。
【0052】
例えば、図2に示すように、対象空間S内が清浄化されている場合、オフ時間Toffが時間toであるとする。この場合、オフ時間Toffでのオゾン濃度の減少速度は、時間toでのオゾン濃度の減少速度となり、オゾンが自然分解されている状態であり、清浄化が完了しており、オゾン供給部10の運転を停止してもよいといえる。この場合には、報知部70は、安全レベルであることの表示(例えば、レベル0の表示)、白色ランプの点灯等を行ってもよい。
【0053】
オフ時間Toffが時間t1以上時間t0未満の間(t1≦Toff<t0)であるとする。この場合、オフ時間Toffでのオゾン濃度の減少速度は、時間t1以上時間t0未満の間(t1≦Toff<t0)でのオゾン濃度の減少速度となり、対象空間S内は、通常レベルに清浄化されている状態であり、オゾン供給部10への供給電力を最小にして、オゾン供給部10の運転継続してもよいといえる。この場合には、報知部70は、普通レベルであることの表示(例えば、レベル1の表示)、青色ランプの点灯等を行ってもよい。
【0054】
オフ時間Toffが時間t2以上時間t1未満(t2≦Toff<t1)であるとする。この場合、オフ時間Toffでのオゾン濃度の減少速度は、時間t2以上時間t1未満(t2≦Toff<t1)でのオゾン濃度の減少速度となり、対象空間S内は、要注意レベルの状態であり、オゾン供給部10への供給電力を最大にして、オゾン供給部10の運転を継続してもよいといえる。この場合には、報知部70は、要注意レベルであることの表示(例えば、レベル2の表示)、黄色ランプの点灯等を行ってもよい。
【0055】
オフ時間Toffが0時間を超え時間t2未満(0<Toff≦t2)であるとする。この場合、オフ時間Toffでのオゾン濃度の減少速度は、時間t2以下でのオゾン濃度の減少速度となり、対象空間S内は、オゾンによる脱臭及び殺菌能力が不足しており、危険レベルの状態であるといえる。この場合には、報知部70は、危険レベルであることの表示(例えば、レベル3の表示)、赤色ランプの点灯、換気推奨マークの表示等を行ってもよい。
【0056】
なお、オフ時間Toffが0時間である時、オゾン供給部10よりオゾンを供給しても、所定空間S内のオゾン濃度が所定値(例えば、10ppm)に到達しない。そのため、この場合には、制御部30Aは、報知部70により、換気推奨マーク等の表示のみを表示し、換気等の手段の併用を促すように報知してもよい。
【0057】
また、対象空間S内がオゾン消費が非常に大きい危険レベルの状態であるため、対象空間S内の換気を行う場合、上述の通り、対象空間S内のオゾンも対象空間Sから排出され、オフ時間Toffが時間t以下と略同等になってしまう。そのため、制御部30Aは、対象空間S内が危険レベルの状態の場合であるか清浄化が不要な状態の場合であるかを区別できなくなる。この場合、制御部30は、CO2の濃度が減少する場合には、対称空間S内を換気していると判断し、CO2濃度が減少しない場合は、換気を行っておらず、対象空間Sは危険レベルであると判断してよい。
【0058】
<オゾン処理方法>
次に、上記構成を有するオゾン発生制御装置1Aを用いて対象空間S内に存在する対象物を除去するオゾン処理方法の一例について説明する。図3は、オゾン処理方法を説明するフローチャートである。図3に示すように、制御部30Aは、オゾン供給部10の運転を制御して、オゾンにより対象空間S内に存在する対象物を処理する(オゾン処理工程:ステップS11)。
【0059】
オゾン処理工程(ステップS11)における、対象物のオゾン処理方法について説明する。図4は、図3のオゾン処理工程(ステップS11)の動作を示すフローチャートである。図4に示すように、オゾン処理工程(ステップS11)では、オゾン供給部10を運転させて、オゾン供給部10で対象空間S内にオゾンを発生させる(ステップS111)。オゾンを発生させると、対象空間S内の空気中に存在する対象物がオゾンと反応して、酸化分解される。
【0060】
続いて、オゾン濃度センサ20は、対象空間S内のオゾン濃度を測定し、オゾン濃度に応じたオゾン濃度値を出力し、制御部30Aに送る。制御部30Aは、オゾン濃度センサ20から出力されたオゾン濃度値に基づいて、対象空間S内のオゾン濃度を算出する(ステップS112)。
【0061】
オゾン濃度センサ20は、オゾン濃度値を制御部30Aに連続して継続的に送信してもよいし、所定時間毎に送信してもよい。
【0062】
続いて、制御部30Aは、算出したオゾン濃度が停止用閾値以上か否か判定する(ステップS113)。
【0063】
ステップS113において、オゾン濃度が停止用閾値未満である場合(ステップS113:No)には、オゾンがオゾン供給部10より供給されつつ対象物と反応して消費されている状態にあり、対象空間S内のオゾン濃度は人体に安全な基準の範囲内にある。制御部30Aは、対象空間S内のオゾン濃度は人体に安全な基準の範囲内であると判断し、再度、オゾン濃度センサ20で対象空間S内のオゾン濃度を測定する(ステップS112)。
【0064】
ステップS113において、オゾン濃度が停止用閾値以上である場合(ステップS113:Yes)には、オゾン供給部10より供給されて残存するオゾン量が過多の状態であるといえる。制御部30Aは、対象空間S内のオゾン濃度が人体に安全な基準の範囲を超えていると判断し、オゾン供給部10の運転を停止する(ステップS114)。
【0065】
オゾン供給部10の運転が停止すると、オゾン供給部10からオゾンが対象空間Sに供給されることが停止されるので、対象空間Sに新たに供給されるオゾンはなくなる。また、対象空間S内に対象物が存在していると、対象物にオゾンが反応して消費される。さらに、対象空間S内のオゾンは自然に分解する。そのため、オゾン供給部10の運転が停止すると、時間の経過と共に対象空間S内のオゾン濃度は低下していく。
【0066】
続いて、制御部30Aは、オゾン濃度センサ20から出力されるオゾン濃度値に基づいて、対象空間S内のオゾン濃度を測定し(ステップS115)、算出したオゾン濃度が開始用閾値以下か否か判定する(ステップS116)。
【0067】
ステップS116において、オゾン濃度が開始用閾値よりも高い場合(ステップS116:No)には、制御部30Aは、対象空間S内にはオゾンが存在しているが、対象空間S内のオゾン濃度は人体に安全な基準の範囲内であると判断し、再度、オゾン濃度センサ20で対象空間S内のオゾン濃度を測定する(ステップS115)。
【0068】
ステップS116において、オゾン濃度が開始用閾値以下である場合(ステップS116:Yes)には、制御部30Aは、対象空間S内には対象物を処理するのに十分なオゾンが存在しておらず、対象物が酸化完了と判断できる濃度を超えて存在している可能性が高いと判断する。
【0069】
図3に示すように、オゾン処理工程(ステップS11)後、制御部30Aは、オフ時間Toff後の対象空間S内のオゾン濃度の減少速度を算出し(ステップS12)、算出したオゾン濃度の減少速度が所定速度以下か否か判定する(ステップS13)。
【0070】
オゾン濃度の減少速度は、上記式(1)等のように算出できる。
【0071】
本実施形態において、所定速度とは、対象物の種類、対象物の初期濃度等に応じて適宜選択される。
【0072】
ステップS13において、時間Toffでのオゾン濃度の減少速度が所定速度以下である場合(ステップS13:Yes)、制御部30Aは、対処空間S内の対象物の処理が完了したと判断し、処理を終了する。
【0073】
例えば、オフ時間Toffでのオゾン濃度の減少速度が、図2に示す時間toでのオゾン濃度の減少速度のように、対象空間S内のオゾンが自然分解されている状態であり、対象空間Sの清浄化が完了している場合には、制御部30Aは、オゾン供給部10の運転を停止したまま、全体の処理を終了する。
【0074】
また、制御部30Aは、オゾン発生制御装置1Aの運転を停止してもよい。
【0075】
また、ステップS13において、オゾン濃度の減少速度が所定速度以下である場合(ステップS13:Yes)には、制御部30Aは、算出結果を報知部70によって使用者に報知させるようにしてもよい。
【0076】
報知部70は、ステップS13の判定結果に基づいて、対称空間S内の清浄化されている状態に対応する表示(例えば、レベル0、1及び2、換気マーク等の表示)、ランプ(例えば、白色ランプ、青色ランプ、黄色ランプ、赤色ランプ等)の点灯、警報、振動等を行ってもよい。
【0077】
ステップS13において、オフ時間Toffでのオゾン濃度の減少速度が所定速度を超える場合(ステップS13:No)には、対処空間S内の対象物の処理が完了していないと判断する。そして、制御部30Aは、オゾン供給部10を再度駆動させてオゾンを発生させ、オゾンにより対象空間S内に存在する対象物を処理する(オゾン処理工程:ステップS11)。
【0078】
例えば、オフ時間Toffでのオゾン濃度の減少速度が、図2に示す時間t1以上時間t0未満の間(t1≦Toff<t0)でのオゾン濃度の減少速度である場合のように、対象空間S内は通常レベルに清浄されている状態である場合には、制御部30Aは、オゾン供給部10への供給電力は最小にしつつ運転させてもよい。
【0079】
また、オフ時間Toffでのオゾン濃度の減少速度が、図2に示す時間t1以下(Toff≦t1)でのオゾン濃度の減少速度である場合のように、対象空間S内は清浄が要注意レベルの状態である場合には、制御部30Aは、オゾン供給部10への供給電力は最大にしつつ運転させてもよい。
【0080】
このように、本実施形態に係るオゾン処理方法によれば、処理空間S内におけるオゾンの発生及び停止を最適なタイミングで行うことができる。そのため、本実施形態に係るオゾン処理方法を用いれば、対象空間S内のオゾン濃度を安全濃度(例えば、0.08ppm~0.1ppm)に維持しながら、対象空間S内の対象物を分解しつつ、オゾン供給部10で余分なオゾンを発生させることを抑えることができる。
【0081】
なお、図3及び図4に示すオゾン処理方法では、オゾン供給部10を停止してオゾンの発生を行わないようにすることで、対象空間S中のオゾン濃度を徐々に下げているが、対象空間S中のオゾン濃度を低下させられればよいため、オゾン供給部10を停止せずに、発生させるオゾン量を徐々に低くする制御にしてもよい。
【0082】
また、図3及び4に示すオゾン処理方法は、制御部30Aがオゾン供給部10の駆動停止後におけるオゾン濃度値の減少速度の大小に応じて対象空間S内の対象物の処理の進行具合を判断する場合でも同様に行うことができる。この場合、図3に示すステップS13において、オフ時間Toffでのオゾン濃度の減少速度が所定速度以下である場合(ステップS13:Yes)には、対処空間S内の対象物の処理が所定のレベルに達したと判断し、処理を終了する。
【0083】
単位時間当たりのオゾン濃度の減少速度が所定速度を超える場合(ステップS13:No)、対処空間S内の対象物の処理が所定のレベルに達していないと判断し、オゾン供給部10を再度駆動させてオゾンを発生させ、オゾンにより対象空間S内に存在する対象物を処理する(オゾン処理工程:ステップS11)。
【0084】
この場合でも、本実施形態に係るオゾン処理方法は、処理空間S内におけるオゾンの発生及び停止を最適なタイミングで行うことができるため、対象空間S内のオゾン濃度を安全濃度(例えば、0.08ppm~0.1ppm)に維持しながら、対象空間S内の対象物を分解しつつ、オゾン供給部10で余分なオゾンを発生させることを抑えることができる。
【0085】
以上のように、オゾン発生制御装置1Aは、オゾン供給部10と、オゾン濃度センサ20と、制御部30Aとを備えている。制御部30Aは、オゾン供給部10の駆動を停止した後のオゾン濃度値の減少速度が大きい時には対象空間S内の対象物の処理が完了していないと判断し、減少速度が小さい時には対象空間S内の対象物の処理が完了したと判断する。オゾン濃度値の減少速度は、オゾン供給部10のオフ時間Toffにおけるオゾン濃度の減少量から求められ、対処空間S内の対象物の処理状況に対応して変動する。対象空間S内に対象物が多く存在し、対称空間S内が対象物で汚染されているほど、その分だけオゾンが早く消費されるため、オゾン濃度値の減少速度は大きくなる。一方、対象空間S内に存在する対象物の量が少なく、対処空間S内が清浄化されているほど、オゾンの消費量は少ないため、オゾン濃度値の減少速度は小さくなる。オゾン発生制御装置1Aは、制御部30Aで算出されるオゾン濃度値の減少速度に基づいて、オゾン供給部10の運転を制御することで、対処空間S内の対象物を殆どオゾン消費がない状態にまで確実に分解して許容可能な濃度以下にまで低減できるため、対処空間S内の対象物の処理が完了したことを高精度に判断することができる。
【0086】
また、オゾン発生制御装置1Aは、オゾン濃度の減少速度の低下具合に基づいて、対象空間S内に存在する対象物の処理の完了を判断しているため、対象空間S内の対象物を分解しつつ、オゾン供給部10で余分なオゾンを発生させることを抑えることができる。さらに、オゾン発生制御装置1Aは、オゾン濃度の減少速度の低下具合に基づいて、オゾンを再度発生させることができるため、オゾン供給部10でオゾンの発生を最適なタイミングで開始することができる。よって、オゾン発生制御装置1Aは、オゾンの発生に要するエネルギーの消費を低減することができる。
【0087】
オゾン発生制御装置1Aは、制御部30Aが、オゾン濃度値が開始用閾値以下になった時にオゾン供給部10の駆動を開始し、オゾン濃度値が停止用閾値以上になった時にオゾン供給部10の駆動を停止できる。オゾン発生制御装置1Aは、オゾン濃度値が停止用閾値以下であり、かつ開始用閾値以上である時には、対象空間S内にはオゾンが存在しており、対象空間S内のオゾン濃度は人体に安全な基準の範囲内であることを容易に判断できる。よって、オゾン発生制御装置1Aは、停止用閾値及び開始用閾値に基づいて、オゾン供給部10をより適切に運転させることができるため、対象物の処理をより高精度かつ簡易に行うことができる。
【0088】
オゾン発生制御装置1Aは、制御部30Aで、オゾン供給部10の駆動を停止した後のオゾン濃度値の減少速度が大きい時には、対象空間S内の対象物の処理が所定の処理まで進んでいないと判断し、減少速度が小さい時には、対象空間S内の対象物の処理が所定の処理まで進んだと判断してよい。この場合には、オゾン発生制御装置1Aは、オゾン濃度値の減少速度の低下具合に基づいて、対象空間S内の対象物の処理の進行具合を把握できる。そのため、オゾン発生制御装置1Aは、制制御部30Aで算出されるオゾン濃度値の減少速度に基づいて、オゾン供給部10の運転を長めに行い、オゾンの発生量を多めにすることで、対処空間S内の対象物を殆どオゾン消費がない状態かその近傍まで確実に分解して許容可能な濃度以下にまで低減できる。よって、この場合でも、オゾン発生制御装置1Aは、対処空間S内の対象物の処理が完了したことを高精度に判断することができる。
【0089】
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態に係るオゾン発生制御装置について説明する。図5は、本実施形態に係るオゾン発生制御装置を示す概略構成図である。図5に示すように、本実施形態に係るオゾン発生制御装置1Bは、上記の第1の実施形態に係るオゾン発生制御装置1Aの制御部30Aを制御部30Bに変更したものである。本実施形態では、制御部30Bの構成以外、第1の実施形態に係るオゾン発生制御装置1Aと同様であるため、制御部30Bの構成についてのみ説明する。
【0090】
オゾン発生制御装置1Bは、対象空間S内に存在する対象物を除去する際、対象空間S内のオゾン濃度を所定の範囲内に維持するようにオゾン供給部10の運転にフィードバック制御してオゾン供給部10の運転を停止する。オゾン発生制御装置1Bは、その時のオゾン供給部10の運転のオフ時間Toffに基づいてオゾン消費量を推定することで、対象空間Sの対象物の除去が所定の目的濃度以下になるまで行うことができ、対象空間S内の対象物の除去が完了していることを正確に判断できる。
【0091】
制御部30Bは、制御部30Aにおいて、オゾン濃度値の減少速度の大きさを、オゾン供給部10の駆動を停止してから再開するまでのオフ時間Toffの長さで判断するものである。
【0092】
図2に示すように、オフ時間Toffは時間t1の場合の方が時間t0の場合よりも短く、オゾン濃度値の減少速度が大きくなる。処理空間S内に対象物等で汚染されている状態の時の方が処理空間S内が清浄化されている状態の時よりも、オゾン濃度値の減少速度が大きくなるため、オフ時間Toffは短くなる。よって、オゾン濃度値の減少速度は、オフ時間Toffの長さに対応しており、オゾン濃度値の減少速度が大きくなるほどオフ時間Toffは短くなり、オゾン濃度値の減少速度が小さくなるほどオフ時間Toffは長くなる。
【0093】
制御部30Bは、オゾン供給部10のオフ時間Toffが短い時には対象物の処理が完了していないと判断し、オフ時間Toffが長い時には対象物の処理が完了したと判断する。即ち、制御部30Bは、オフ時間Toffが所定時間未満である場合には、対象空間S内の対象物の処理が完了していないと判断し、オフ時間Toffが所定時間以上である時には、対象空間S内の対象物の処理が完了したと判断する。
【0094】
なお、所定時間とは、特に限定されず、対象物の種類等に応じて適宜設定される。所定時間は、例えば、対称空間S内の対象物を処理するのに十分なオゾンが存在し、対象物が酸化完了と判断できる濃度以下で存在し得る時間である。
【0095】
上記構成を有するオゾン発生制御装置1Bを用いて対象空間S内に存在する対象物を除去するオゾン処理方法の一例について説明する。
【0096】
図6は、オゾン処理方法を説明するフローチャートである。図6に示すように、制御部30Bは、オゾン供給部10の運転を制御して、オゾンにより対象空間S内に存在する対象物を処理する(オゾン処理工程:ステップS21)。オゾン処理工程(ステップS21)は、図3に示すオゾン処理方法のオゾン処理工程(ステップS11)と同様であるため、詳細は省略する。
【0097】
オゾン処理工程(ステップS21)後、制御部30Bは、オフ時間Toffを算出し(ステップS22)、オフ時間Toffが所定時間以上か否か判定する(ステップS23)。
【0098】
ステップS23において、オフ時間Toffが所定時間以上である場合(ステップS23:Yes)、制御部30Bは、対処空間S内の対象物の処理が完了したと判断し、処理を終了する。
【0099】
ステップS23において、オフ時間Toffが所定時間に満たない場合(ステップS23:No)には、制御部30Bは、対処空間S内の対象物の処理が完了していないと判断する。そして、制御部30Bは、オゾン供給部10を再度駆動させてオゾンを発生させ、オゾンにより対象空間S内に存在する対象物を処理する(オゾン処理工程:ステップS21)。
【0100】
本実施形態に係るオゾン処理方法によれば、第1の実施形態に係るオゾン処理方法と同様、処理空間S内におけるオゾンの発生及び停止を最適なタイミングで行うことができる。そのため、本実施形態に係るオゾン処理方法を用いれば、対象空間S内のオゾン濃度を安全濃度(例えば、0.08ppm~0.1ppm)に維持しながら、対象空間S内の対象物を分解しつつ、オゾン供給部10で余分なオゾンを発生させることを抑えることができる。
【0101】
オゾン発生制御装置1Bは、制御部30Bで、オゾン供給部10のオフ時間Toffが短い時には対象物の処理が完了していないと判断し、オフ時間Toffが長い時には対象物の処理が完了したと判断する。これにより、オゾン発生制御装置1Bは、オゾン供給部10のオフ時間Toffの長さに基づいて、オゾン供給部10の運転を制御することで、対処空間S内の対象物を殆どオゾン消費がない状態にまで確実に分解して許容可能な濃度以下にまで低減し、対象物の処理の完了の有無を簡易に判断できる。よって、オゾン発生制御装置1Bは、対処空間S内の対象物の処理が完了したことを簡易かつ高精度に判断することができる。
【0102】
また、オゾン発生制御装置1Bは、オフ時間Toffの長さの延長具合に基づいて、対象空間S内に存在する対象物の処理の完了を判断しているため、対象空間S内の対象物を分解しつつ、オゾン供給部10で余分なオゾンを発生させることを容易に抑えることができる。さらに、オゾン発生制御装置1Bは、オフ時間Toffの長さの延長具合に基づいて、オゾンを再度発生させることができるため、オゾン供給部10でオゾンの発生を最適なタイミングで開始することができる。よって、オゾン発生制御装置1Bは、オゾンの発生に要するエネルギーの消費を低減することができる。
【0103】
[第3の実施形態]
本発明の第3の実施形態に係るオゾン発生制御装置について説明する。図7は、本実施形態に係るオゾン発生制御装置を示す概略構成図である。図7に示すように、本実施形態に係るオゾン発生制御装置1Cは、上記の第2の実施形態に係るオゾン発生制御装置1Bの制御部30Bを制御部30Cに変更したものである。本実施形態では、制御部30Cの構成以外、第2の実施形態に係るオゾン発生制御装置1Bと同様であるため、制御部30Cの構成についてのみ説明する。
【0104】
制御部30Cは、制御部30Bにおいて、オゾン濃度値の減少速度の大きさを、オゾン供給部10のオフ時間Toffの長さにオゾン供給部10の駆動を再開してから停止するまでのオン時間Tonの長さも含めた累積時間で判断する。
【0105】
図2に示すように、オン時間Tonは時間t11の場合及び時間t10の場合の両方とも略同じ長さであり、オゾン濃度値の増加速度も略同じ大きさである。また、オン時間Ton(時間t11及び時間t10)は、いずれもオフ時間Toff(時間t1、時間t0)よりも短い。そのため、オフ時間Toffの違いを判断する際、オフ時間Toffとオン時間Tonとの累積時間からなる周期で判断すれば、オフ時間Toffの違いを実質的に同等に判断できる。
【0106】
制御部30Cは、オン時間Tonとオフ時間Toffからなる累積時間を1周期として、周期が短い時に対象空間S内の対象物の処理が完了していないと判断し、周期が長い時に対象空間S内の対象物の処理が完了したと判断する。即ち、制御部30Cは、オン時間Tonとオフ時間Toffとからなる周期が所定時間未満である場合には、対象空間S内の対象物の処理が完了していないと判断し、周期が所定時間以上である時には、対象空間S内の対象物の処理が完了したと判断する。
【0107】
なお、所定時間とは、特に限定されず、対象物の種類等に応じて適宜設定される。所定時間は、例えば、対称空間S内の対象物を処理するのに十分なオゾンが存在し、対象物が酸化完了と判断できる濃度以下で存在し得る時間にオン時間Tonを合わせた時間である。
【0108】
上記構成を有するオゾン発生制御装置1Cを用いて対象空間S内に存在する対象物を除去するオゾン処理方法の一例について説明する。
【0109】
図8は、オゾン処理方法を説明するフローチャートである。図8に示すように、制御部30Cは、オゾン供給部10の運転を制御して、オゾンにより対象空間S内に存在する対象物を処理する(オゾン処理工程:ステップS31)。オゾン処理工程(ステップS31)は、図3に示すオゾン処理方法のオゾン処理工程(ステップS11)と同様であるため、詳細は省略する。
【0110】
オゾン処理工程(ステップS31)後、制御部30Cは、オフ時間Toff及びオン時間Tonをそれぞれ算出し(ステップS32)、オフ時間Toffとオン時間Tonからなる周期を算出する(ステップS33)。
【0111】
続いて、制御部30Cは、算出した周期が所定時間以上か否か判定する(ステップS34)。
【0112】
ステップS34において、オフ時間Toffとオン時間Tonの周期が所定時間以上である場合(ステップS34:Yes)、制御部30Cは、対処空間S内の対象物の処理が完了したと判断し、処理を終了する。
【0113】
ステップS34において、周期が所定時間に満たない場合(ステップS34:No)には、制御部30Cは、対処空間S内の対象物の処理が完了していないと判断する。そして、制御部30Cは、オゾン供給部10を再度駆動させてオゾンを発生させ、オゾンにより対象空間S内に存在する対象物を処理する(オゾン処理工程:ステップS31)。
【0114】
本実施形態に係るオゾン処理方法によれば、第1の実施形態に係るオゾン処理方法と同様、処理空間S内におけるオゾンの発生及び停止を最適なタイミングで行うことができる。そのため、本実施形態に係るオゾン処理方法を用いれば、対象空間S内のオゾン濃度を安全濃度(例えば、0.08ppm~0.1ppm)に維持しながら、対象空間S内の対象物を分解しつつ、オゾン供給部10で余分なオゾンを発生させることを抑えることができる。
【0115】
オゾン発生制御装置1Cは、制御部30Cで、オン時間Tonとオフ時間Toffからなる周期が短い時に対象空間S内の対象物の処理が完了していないと判断し、周期が長い時に対象空間S内の対象物の処理が完了したと判断する。オゾン発生制御装置1Cは、オゾン供給部10のオフ時間Toff及びオン時間Tonからなる周期の長さに基づいて、オゾン供給部10の運転を制御することで、対処空間S内の対象物をその濃度が許容可能な濃度以下にまで低減でき、対象物の処理の完了の有無を簡易に判断できる。オン時間Tonは対処空間S内に存在する対象物の量に関わらず殆ど変化しないので、周期に基づいて判断してもオフ時間Toffに基づいて判断した場合と略同じ結果を得ることができる。よって、オゾン発生制御装置1Cは、オゾン発生制御装置1Bと同様、対処空間S内の対象物の処理が完了したことを簡易かつ高精度に判断することができる。
【0116】
また、オゾン発生制御装置1Cは、オン時間Ton及びオフ時間Toffの長さの延長具合に基づいて、対象空間S内に存在する対象物の処理の完了を判断しているため、対象空間S内の対象物を分解しつつ、オゾン供給部10で余分なオゾンを発生させることを容易に抑えることができる。さらに、オゾン発生制御装置1Cは、オフ時間Toffの長さの延長具合に基づいて、オゾンを再度発生させることができるため、オゾン供給部10でオゾンの発生を最適なタイミングで開始することができる。よって、オゾン発生制御装置1Bは、オゾン発生制御装置1Aと同様、オゾンの発生に要するエネルギーの消費を低減することができる。
【0117】
[第4の実施形態]
本発明の第4の実施形態に係るオゾン発生制御装置について説明する。図9は、本実施形態に係るオゾン発生制御装置を示す概略構成図である。図9に示すように、本実施形態に係るオゾン発生制御装置1Dは、上記の第3の実施形態に係るオゾン発生制御装置1Cの制御部30Cを制御部30Dに変更したものである。本実施形態では、制御部30Dの構成以外、第3の実施形態に係るオゾン発生制御装置1Cと同様であるため、制御部30Dの構成についてのみ説明する。
【0118】
制御部30Dは、制御部30Cにおいて、オゾン濃度値の減少速度の大きさを、オゾン供給部10のオフ時間Toffの長さの、オゾン供給部10の駆動を再開してから停止するまでのオン時間Tonの長さに対する比(オフ時間Toff/オン時間Ton(以下、「オフ時間の相対比(Toff/Ton)」という。))で判断するものである。
【0119】
図2に示すように、オン時間Tonは時間t11の場合及び時間t10の場合の両方とも略同じ長さであり、オゾン濃度値の増加速度も略同じ大きさである。また、オン時間Ton(時間t11、時間t10)は、いずれもオフ時間Toff(時間t1、時間t0)よりも短い。そのため、オフ時間Toffの違いを判断する際、オフ時間の相対比(Toff/Ton)で判断しても、オフ時間Toffの違いを実質的に同等に判断できる。
【0120】
制御部30Dは、オフ時間の相対比(Toff/Ton)が小さい時に、対象空間S内の対象物の処理が完了していないと判断し、オフ時間の相対比(Toff/Ton)が大きい時に対象空間S内の対象物の処理が完了したと判断する。即ち、制御部30Dは、オフ時間の相対比(Toff/Ton)が所定値未満である場合には、対象空間S内の対象物の処理が完了していないと判断し、オフ時間の相対比(Toff/Ton)が所定値以上である時には、対象空間S内の対象物の処理が完了したと判断する。
【0121】
なお、所定値とは、特に限定されず、対象物の種類等に応じて適宜設定される。所定値は、例えば、対称空間S内の対象物を処理するのに十分なオゾンが存在し、対象物が酸化完了と判断できる濃度以下で存在し得る時の、オフ時間の相対比(Toff/Ton)である。
【0122】
上記構成を有するオゾン発生制御装置1Dを用いて対象空間S内に存在する対象物を除去するオゾン処理方法の一例について説明する。
【0123】
図10は、オゾン処理方法を説明するフローチャートである。図10に示すように、制御部30Dは、オゾン供給部10の運転を制御して、オゾンにより対象空間S内に存在する対象物を処理する(オゾン処理工程:ステップS41)。オゾン処理工程(ステップS41)は、図3に示すオゾン処理方法のオゾン処理工程(ステップS11)と同様であるため、詳細は省略する。
【0124】
オゾン処理工程(ステップS41)後、制御部30Dは、オフ時間Toff及びオン時間Tonを算出し(ステップS42)し、オフ時間の相対比(Toff/Ton)を算出する(ステップS43)。
【0125】
続いて、制御部30Dは、算出したオフ時間の相対比(Toff/Ton)が所定値以上か否か判定する(ステップS44)。
【0126】
ステップS44において、オフ時間の相対比(Toff/Ton)が所定値以上である場合(ステップS44:Yes)には、対処空間S内の対象物の処理が完了したと判断し、処理を終了する。
【0127】
ステップS44において、オフ時間の相対比(Toff/Ton)が所定値に満たない場合(ステップS44:No)、対処空間S内の対象物の処理が完了していないと判断する。そして、制御部30Dは、オゾン供給部10を再度駆動させてオゾンを発生させ、オゾンにより対象空間S内に存在する対象物を処理する(オゾン処理工程:ステップS41)。
【0128】
本実施形態に係るオゾン処理方法によれば、第1の実施形態に係るオゾン処理方法と同様、処理空間S内におけるオゾンの発生及び停止を最適なタイミングで行うことができる。そのため、本実施形態に係るオゾン処理方法を用いれば、対象空間S内のオゾン濃度を安全濃度(例えば、0.08ppm~0.1ppm)に維持しながら、対象空間S内の対象物を分解しつつ、オゾン供給部10で余分なオゾンを発生させることを抑えることができる。
【0129】
オゾン発生制御装置1Dは、制御部30Dで、オフ時間の相対比(Toff/Ton)が小さい時には、対象空間S内の対象物の処理が完了していないと判断し、オフ時間の相対比(Toff/Ton)が大きい時には、対象空間S内の対象物の処理が完了したと判断する。オゾン発生制御装置1Dは、オゾン供給部10のオフ時間の相対比(Toff/Ton)の大きさに基づいて、オゾン供給部10の運転を制御することで、対処空間S内の対象物をその濃度が許容可能な濃度以下にまで低減し、対象物の処理の完了の有無を簡易に判断できる。オン時間Tonは対処空間S内に存在する対象物の量に関わらず殆ど変化しないので、(オフ時間Toff/オン時間Ton)に基づいて判断してもオフ時間に基づいて判断した場合と略同じ結果を得ることができる。よって、オゾン発生制御装置1Dは、オゾン発生制御装置1Cと同様、対処空間S内の対象物の処理が完了したことを簡易かつ高精度に判断することができる。
【0130】
[第5の実施形態]
本発明の第5の実施形態に係るオゾン発生制御装置について説明する。図11は、本実施形態に係るオゾン発生制御装置を示す概略構成図である。図11に示すように、本実施形態に係るオゾン発生制御装置1Eは、上記の第1の実施形態に係るオゾン発生制御装置1Aの制御部30Aを制御部30Eに変更したものである。本実施形態では、制御部30Eの構成以外、第1の実施形態に係るオゾン発生制御装置1Aと同様であるため、制御部30Eの構成についてのみ説明する。
【0131】
制御部30Eは、制御部30Aにおいて、対象物の処理が完了したと判断した後、オゾン供給部10を所定時間駆動させて、対象空間S内に存在する、特定の対象物(第1対象物)以外の、第1対象物とは異なる種類の他の対象物(第2対象物)の処理を行うものである。
【0132】
対象空間S内には、分解対象となる対象物が複数存在することが多い。対象物がオゾンによって分解されて除去される割合は、対象物の種類、濃度等によって異なる。そのため、特定の対象物を除去しても、残りの他の対象物は残っている場合がある。
【0133】
制御部30Eは、対象物の処理が完了したと判断した後に、オゾン供給部10を所定時間駆動させ、対象空間S内に存在する、対象物以外の他の対象物の処理を行い、他の対象物を所定の基準値以下の濃度にまで除去する。
【0134】
所定時間とは、特に限定されず、他の対象物の種類、濃度等に応じて、他の対象物の処理が完了できる時間であればよい。例えば、オゾンは残存する対象物の他に他の対象物と反応して消費されつつ、新たにオゾン供給部10よりオゾンが対象空間S内に供給されるため、単位時間当たりのオゾン濃度が変動する傾向は見られないが、他の対象物の濃度がオゾンと反応しない程度にまで低下するかほぼ全て分解されると、オゾン濃度が急激に上昇する。そのため、所定時間は、他の対象物との反応によりオゾン濃度の増加速度が上昇した時点までとしてもよい。
【0135】
上記構成を有するオゾン発生制御装置1Eを用いて対象空間S内に存在する対象物を除去するオゾン処理方法の一例について説明する。
【0136】
図12は、オゾン処理方法を説明するフローチャートである。図12に示すように、制御部30Eは、オゾン供給部10の運転を制御して、オゾンにより対象空間S内に存在する対象物を処理(オゾン処理工程:ステップS51)した後、オフ時間Toff後の対象空間S内のオゾン濃度の減少速度を算出し(ステップS52)、算出したオゾン濃度の減少速度が所定速度以下か否か判定する(ステップS53)。なお、本実施形態に係るオゾン処理方法のステップS51)~ステップS53は、上述の図3に示す第1の実施形態に係るオゾン発生制御装置1Aのオゾン処理方法のステップS11~ステップS13と同様であるため、詳細は省略する。
【0137】
ステップS53において、時間Toffでのオゾン濃度の減少速度が所定速度以下である場合(ステップS53:Yes)、制御部30Eは、オゾン供給部10を駆動させ、対象空間S内に存在する、所定の対象物以外の他の対象物の処理を行い、他の対象物を所定の基準値以下の濃度にまで除去する(ステップS54)。
【0138】
ステップS54では、制御部30Eは、オゾン処理工程(ステップS51)と同様の工程を1回以上繰り返してもよいし、所定時間継続してもよい。
【0139】
また、制御部30Eは、ステップS54において、オゾン処理工程(ステップS51)と同様の工程を、対象空間S内のオゾン濃度Cと、オゾン供給部10によるオゾン発生時間Tとの積算値(CT値)が所定値になるまで繰り返してもよい。この場合の所定値は、他の対象物の殺菌又は不活化に必要なCT値であり、他の対象物の種類(例えば、菌、ウイルスの種類等)に応じて適宜設定される。
【0140】
制御部30Eは、対処空間S内の他の対象物を所定の基準値以下の濃度にまで除去したと判断したら、処理を終了する。
【0141】
本実施形態に係るオゾン処理方法によれば、オゾン濃度が停止用閾値以上であった場合でも、ステップS24において、オゾン供給部10を駆動して、対象空間S内にオゾンを供給している。これにより、対象空間S内の特定の対象物は、その濃度がより低くなるか、全て分解して除去される。対象空間S内に存在する、対象物以外の他の対象物は、オゾン供給部10から供給されるオゾンによりオゾン消費が殆どない状態まで分解して除去されることで、その濃度を許容される所定値以下にまで低減できる。
【0142】
また、本実施形態に係るオゾン処理方法によれば、第1の実施形態に係るオゾン処理方法と同様、処理空間S内におけるオゾンの発生を最適なタイミングで行うことができる。そのため、本実施形態に係るオゾン処理方法を用いれば、対象空間S内のオゾン濃度を安全濃度(例えば、0.08ppm~0.1ppm)に維持しながら、対象空間S内の特定の対象物と、それ以外の他の対象物を分解しつつ、オゾン供給部10で余分なオゾンを発生させることを抑えることができる。
【0143】
オゾン発生制御装置1Eは、制御部30Eで、対象物の処理が完了したと判断した後に、オゾン供給部10を駆動させる。これにより、オゾン発生制御装置1Eは、オゾン供給部10よりオゾンを発生させることで、対象空間S内の特定の対象物をより確実に除去しつつ、対象空間S内に存在する、特定の対象物以外の、他の異なる種類の対象物をオゾン消費が殆どない状態まで分解して、対象物の濃度を許容される所定値以下にまで低減することができる。よって、オゾン発生制御装置1Eは、対処空間S内に複数の異なる種類の対象物が存在している場合でも、対処空間S内の複数の対象物の濃度を所定値以下にまで下げて、対処空間S内の複数の対象物の処理が完了したことを高精度に判断することができる。
【0144】
これにより、オゾン発生制御装置1Eは、例えば、特定の対象物として臭気ガス等を対象とし、他の対象物としてウィルス等を対象とし、これらをまとめて処理することが必要な場合でも、これらの異なる種類の対象物の処理の完了を同時に判断することができる。
【0145】
以上のように、上記の各実施形態に係るオゾン発生制御装置1A~1Eは、上記特性を有することにより、対象空間S内の対象物を最適な時間でオゾンを必要以上に発生させることなく簡易な構成で除去が完了したことを高精度に判断できる。そのため、オゾン発生制御装置1A~1Eは、家、ビル、ホテル、病院、福祉施設等の建物の室内、車、電車等の車内、飛行機の機内等に設置して、それらの空間内に存在する対象物を除去して空気を清浄する装置として好適に用いることができる。特に、オゾン発生制御装置1A~1Eは、オゾンによる対象物の処理に要する時間及び無駄なオゾンの発生量を減らすことができる。そのため、建物、車両等のエネルギー消費の低減を図りつつ、これらの各部屋、車室内の対象物の除去を確実に行うことができる。よって、オゾン発生制御装置1A~1Eは、建物内の部屋、車両の車室内等の脱臭、有機物除去、有害物質除去、殺菌等に好適に用いることができる。
【0146】
以上の通り、実施形態を説明したが、上記実施形態は、例として提示したものであり、上記実施形態により本発明が限定されるものではない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の組み合わせ、省略、置き換え、変更等を行うことが可能である。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0147】
1A、1B、1C、1D、1E オゾン発生制御装置
10 オゾン供給部
20 オゾン検出部(オゾン濃度センサ)
30A、30B、30C、30D、30E 制御部
S 対象空間
図1
図2
図3
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図11
図12