(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】音響パッケージ構造及びカバー構造
(51)【国際特許分類】
H04R 1/24 20060101AFI20241217BHJP
【FI】
H04R1/24 A
(21)【出願番号】P 2023111048
(22)【出願日】2023-07-05
【審査請求日】2023-07-05
(32)【優先日】2023-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2023-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521287935
【氏名又は名称】エクスメムス ラブズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】陳 昭瑜
(72)【発明者】
【氏名】陳 文健
(72)【発明者】
【氏名】羅 烱成
(72)【発明者】
【氏名】▲温▼ 海宏
【審査官】▲徳▼田 賢二
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-187186(JP,A)
【文献】特開2018-124342(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
音響パッケージ構造であって、
基板と、
前記基板上に配置されるカバー構造であって、該カバー構造は複数の第1の開口を有する、カバー構造と、
前記基板と前記カバー構造との間に配置される音響チップで、該音響チップは膜を含む、音響チップと、
を含み、
前記音響パッケージ構造に配置される前の前記音響チップの膜の第1の周波数応答において、第1の周波数は前記膜の最小共振周波数であり、
前記音響パッケージ構造に配置された後の前記音響チップの膜の第2の周波数応答において、第2の周波数は前記膜の最小共振周波数であり、
前記音響パッケージ構造に配置する前の前記音響チップの膜の第1の周波数応答において、第1のピーク値は前記膜の最小共振ピークのピーク値であり、
前記音響パッケージ構造に配置した後の前記音響チップの膜の第2の周波数応答において、第2のピーク値は前記膜の最小共振ピークのピーク値であり、
前記第1の周波数は前記第2の周波数よりも大きく、前記第1のピーク値は前記第2のピーク値よりも大きく、
前記膜の最小共振周波数及び最小共振ピークのピーク値は、前記第1の開口の総面積が小さくなるについて小さくなる、
音響パッケージ構造。
【請求項2】
前記第1の周波数と前記第2の周波数との差は1000Hz以上である、請求項
1に記載の音響パッケージ構造。
【請求項3】
前記複数の第1の開口のうちの1つは上から見た場合に前記カバー構造の中心に位置する、請求項1に記載の音響パッケージ構造。
【請求項4】
前記複数の第1の開口のうちの1つは、前記基板の法線方向における前記膜の中心に対応する、請求項1に記載の音響パッケージ構造。
【請求項5】
前記複数の第1の開口のうちの1つの上から見た場合のパターンは六角形又は円である、請求項1に記載の音響パッケージ構造。
【請求項6】
前記カバー構造は上部と、該上部に接続される少なくとも1つの側壁部とを含み、該上部は前記複数の第1の開口を有する、請求項1に記載の音響パッケージ構造。
【請求項7】
前記音響チップの膜に関連する音響波は、前記カバー構造の複数の第1の開口を通過する、請求項1に記載の音響パッケージ構造。
【請求項8】
前記膜は音響変換を行うように構成されている、請求項1に記載の音響パッケージ構造。
【請求項9】
前記膜は音響波を生成する、請求項
8に記載の音響パッケージ構造。
【請求項10】
前記音響チップはMEMSチップである、請求項1に記載の音響パッケージ構造。
【請求項11】
音響パッケージ構造の基板上に配置されるカバー構造であって、当該カバー構造は、
当該カバー構造に形成される複数の第1の開口を含
み、
前記音響パッケージ構造は、前記基板上に配置される音響チップを含み、該音響チップは膜を含み、
前記音響パッケージ構造に配置される前の前記音響チップの膜の第1の周波数応答において、第1の周波数は前記膜の最小共振周波数であり、
前記音響パッケージ構造に配置された後の前記音響チップの膜の第2の周波数応答において、第2の周波数は前記膜の最小共振周波数であり、
前記音響パッケージ構造に配置する前の前記音響チップの膜の第1の周波数応答において、第1のピーク値は前記膜の最小共振ピークのピーク値であり、
前記音響パッケージ構造に配置した後の前記音響チップの膜の第2の周波数応答において、第2のピーク値は前記膜の最小共振ピークのピーク値であり、
前記第1の周波数は前記第2の周波数よりも大きく、前記第1のピーク値は前記第2のピーク値よりも大きく、
前記膜の最小共振周波数及び最小共振ピークのピーク値は、前記第1の開口の総面積が小さくなるについて小さくなる、カバー構造。
【請求項12】
前記音響チップはMEMSチップである、請求項
11に記載のカバー構造。
【請求項13】
前記複数の第1の開口のうちの1つは、前記基板の法線方向における前記膜の中心に対応する、請求項
11に記載のカバー構造。
【請求項14】
前記複数の第1の開口のうちの1つは上から見た場合に前記カバー構造の中心に位置する、請求項
11に記載のカバー構造。
【請求項15】
前記複数の第1の開口のうちの1つの上から見たパターンは六角形又は円である、請求項
11に記載のカバー構造。
【請求項16】
前記カバー構造は、上部と、該上部に接続される少なくとも1つの側壁部とを含み、該上部は前記複数の第1の開口を有する、請求項
11に記載のカバー構造。
【請求項17】
音響チップの膜に関連する音響波は、前記カバー構造の複数の第1の開口を通過する、請求項11に記載のカバー構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、音響パッケージ構造及びカバー構造に関し、より具体的には保護効果が高く、音響抵抗が低い音響パッケージ構造及び被覆構造に関する。
【背景技術】
【0002】
音響MEMS(微小電気機械システム)構造等の音響部品は、それらの小型であることから様々な電子機器に幅広く利用できるため、近年急速に発展している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許出願公開第2020/0100033号明細書
【文献】米国特許第11350217号明細書
【文献】米国特許出願公開第2013/0018218号明細書
【文献】米国特許出願公開第2014/0121449号明細書
【文献】米国特許出願公開第2014/0121450号明細書
【0004】
しかしながら、音響部品はそれらが小型であり、構造が脆弱なため保護する必要である。したがって、音響部品を保護するためのパッケージ構造を提供する必要がある。
【発明の概要】
【0005】
したがって、本発明の主たる目的は、複数の第1の開口を有するカバー構造を含む音響パッケージ構造を提供し、音響チップに対する保護効果を高め、カバー構造の音響抵抗を低減することである。本発明は関連するカバー構造も提供する。
【0006】
本発明の一実施形態は、基板、カバー構造及び音響チップを含む音響パッケージ構造を提供する。カバー構造は基板上に配置され、複数の第1の開口を有する。音響チップは基板とカバー構造との間に配置され、音響チップは膜を含む。
【0007】
本発明の別の実施形態は、音響パッケージ構造の基板上に配置されるか又は配置されるべきカバー構造を提供する。カバー構造は、カバー構造に形成された複数の第1の開口を含む。
【0008】
本発明のこれらの及び他の目的は、様々な図及び図面に示される好ましい実施形態の以下の詳細な説明を読んだ後に、当業者にとって間違いなく明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る音響パッケージ構造を示す概略図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態に係る音響パッケージ構造を示す断面図の概略図である。
【
図3】
図3は、本発明の一実施形態に係る、音響パッケージ構造における音響チップの膜の2つの周波数応答を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
当業者に本発明をよりよく理解できるように、好ましい実施形態及び主要な構成要素の典型的な材料又は範囲パラメータを以下で詳細に説明する。本発明のこれらの好ましい実施形態は、実現すべき内容及び効果を詳しく説明するために、番号付きの要素を用いて添付の図面に図示されている。なお、図面は、簡略化された概略図であり、主要な構成要素の材料及びパラメータ範囲は、現在の技術に基づいて例示されているため、本発明に関連する構成要素及び組み合わせのみを示し、本発明の基本構造、実施又は動作方法についてのより明確な説明を提供する。構成要素は実際にはより複雑であることがあり、用いられるパラメータの範囲又は材料は、将来の技術の進歩に応じて進化し得る。加えて、説明を容易にするために、図面に示す構成要素は、実際の数、形状及び寸法を表していない場合があり、詳細は設計要件にしたがって調整され得る。
【0011】
以下の説明及び特許請求の範囲において、「含む」、「含まれる」及び「有する」という用語は、オープンエンドな意味で用いられているため、「限定されないが含む」を意味すると解釈すべきである。そのため、本発明の説明で「含む」、「含まれる」及び/又は「有する」という用語が用いられている場合、対応する特徴、領域、ステップ、動作及び/又は構成要素が存在することを示すが、対応する特徴、領域、ステップ、動作及び/又は構成要素が1つ又は複数存在することに限定されない。
【0012】
以下の説明及び特許請求の範囲において、構成要素又は層が別の構成要素又は層に「接続されている」と言及されている場合、この別の構成要素又は層に直接接続することができるか又は介在する構成要素又は層が存在してもよい。対照的に、構成要素が別の構成要素又は層に「直接接続されている」と言及されている場合、介在する構成要素又は層は存在しない。
【0013】
以下の説明及び特許請求の範囲において、「構成要素A1がB1により/から形成される」場合、構成要素A1の形成にB1が存在するか又は構成要素A1の形成にB1が用いられ、構成要素A1の形成には1つ又は複数の他の特徴、領域、ステップ、動作及び/又は構成要素の存在及び使用は除外されない。
【0014】
以下の説明及び特許請求の範囲において、「実質的に」という用語は概して小さな偏差が存在し得るか又は存在しないことを意味する。例えば、「実質的に平行」及び「実質的に沿って」という用語は、2つの構成要素の間の角度が特定の角度閾値以下であることを意味し、例えば、10度、5度、3度又は1度である。例えば、「実質的に整列している」という用語は、2つの構成要素の間の偏差が特定の差異閾値以下であることを意味し、例えば、2μm又は1μmである。例えば、「実質的に同じ」という用語は、偏差が所与の値又は範囲の例えば10%以内であるか又は所与の値又は範囲の5%、3%、2%、1%又は0.5%以内であることを意味する。
【0015】
以下の説明及び特許請求の範囲において、「水平方向」という用語は水平面に平行な方向を概して意味し、「水平面」という用語は、図面において方向X及び方向Y(すなわち、本発明の方向X及び方向Yを水平方向とみなしてもよい)に平行な面を意味し、「垂直方向」という用語は方向Zに平行で且つ図面における水平方向に垂直な方向を概して意味し、方向X、方向Y及び方向Zは互いに垂直である。以下の説明及び請求請求の範囲において、「上面図」という用語は、1つの垂直方向に沿って見た視聴結果を概して意味し、「断面図」という用語は、水平方向に沿って垂直方向に切断された構造を見た視聴結果を概して意味する。
【0016】
第1、第2、第3等の用語は、多様な構成要素を説明するために用いられ得るが、そのような構成要素は用語によって限定されない。用語は、本明細書においてある構成要素を他の構成要素から区別するためにのみに用いられ、本明細書に記載がない場合、該用語は製造の順序には関係しない。特許請求の範囲では同じ用語を用いないかもしれないが、要素がクレームされている順序に関して、第1、第2、第3等の用語が用いられ得る。したがって、以下の説明では、第1の構成要素は特許請求の範囲における第2の構成要素であり得る。
【0017】
なお、以下で説明する異なる実施形態における技術的特徴は、本発明の精神を逸脱することなく、他の実施形態を構成するために互いに置換、再結合又は混合することができる。
【0018】
図1及び
図2を参照して、
図1は本発明の実施形態に係る音響パッケージ構造を示す概略図であり、
図2は本発明の実施形態に係る音響パッケージ構造を示す断面図の概略図である。
図1及び
図2に示すように、音響パッケージ構造100は音響チップ120を含む。音響チップ120は、音響波(例えば、音響チップ120は音響波を生成若しくは音響波を受信するか又は音響チップ120は音響波が通過する経路であり得る)に関連し得る及び/又は音響チップ120は、音響チップ120を含む音響デバイスを用いるユーザの体験を高め、音波は音波又は超音波であり得る。音響チップ120は信号によって制御され得るか又は音響波に従って信号を生成し、その信号は電気信号又は他の適切な種類の信号であり得る。
【0019】
一部の実施形態では、音響チップ120は音響変換を行うように構成された音響変換器を含んでもよく、その音響変換は、信号(例えば、電気信号)を音響波に変換し得るか又は音響波を他の適切な種類の信号(例えば電気信号)に変換し得る。例えば、音響変換器は、電気信号を音波に変換するために、限定されないが音を発生させる部品、スピーカ、マイクロスピーカ又は他の適切なデバイスであり得る。例えば、音響変換器は、音響波を電気信号に変換するために、限定されないが、音響測定装置、音圧感知装置、マイクロフォン又は他の適切なデバイスであり得る。
【0020】
一部の実施形態では、音響チップ120は電気信号によって制御され得る。例えば、音響チップ120はベント装置を含み、ベント装置のベント開口のサイズは電気信号によって制御され得る。例えば、ベント装置は、音響装置(例えば、インイヤーイヤホン、オンイヤーイヤホン又はオーバーイヤーホン等)の動作の間に閉塞効果を抑制するように構成され得る。閉塞効果は、外耳道の容積が密閉され、ユーザ(すなわち、リスナー)に大きな音圧を知覚させることによるものである。場合によっては、ユーザが骨伝導音を生じさせる特定の動作(例えば、徒歩、ジョギング、会話、食事、音響トランスデューサへの接触等)を行い、外耳道に充填された音響装置を用いる間に閉塞効果が起こり、閉塞効果によってユーザには閉塞ノイズが聞こえるため、ユーザの聴取品質が低下する。そのため、ベント装置の存在により、ベント装置のベント開口を開いている場合に外耳道の容積が密閉されないため、閉塞効果が抑制され、音響装置の性能及び音響装置のユーザの体験を高められる。
【0021】
一部の実施形態では、音響チップ120は、限定されないがMEMS(微小電気機械システム)チップであり得る。すなわち、音響チップ120における上記の構成要素(例えば、音響トランスデューサ、ベント装置又は音響に関連する他の適切な構成部品)は、限定されないが、半導体プロセスによって形成されるMEMS構造であり得る。
【0022】
以下では、例えば、音響チップ120は、限定されないが、電気信号を音響波に変換するように構成された音響トランスデューサを含み得る(すなわち、音響チップ120は音響波を生成させるために音響変換を行い得る)。
【0023】
図2に示すように、音響チップ120は、アンカー構造126と、アンカー構造126によって固定された膜122とを含む。膜122及びアンカー構造126は、任意の適切な材料で作られ得る。例えば、膜122及びアンカー構造126は、限定されないが、シリコン(例えば、単結晶シリコン又は多結晶シリコン)、シリコン化合物(例えば、炭化ケイ素、酸化ケイ素)、ゲルマニウム、ゲルマニウム化合物、ガリウム、ガリウム化合物(例えば、窒化ガリウム又はヒ化ガリウム)又はそれらの組み合わせを個別に含み得る。一部の実施形態では、膜122及びアンカー構造126は同じ材料を有し得る。
【0024】
音響チップ120は例えば音響変換器を含むため、膜122は音響変換器に属し、膜122が音響波を生成するよう音響変換を行うために作動され得る。
【0025】
音響チップ120の動作では、膜122は動くように作動され、アンカー構造126は固定され得る。すなわち、アンカー構造126は、音響チップ120の動作の間に膜122に対する固定端(又は固定縁)であり得る。一部の実施形態では、膜122は、限定されないが上下に動かされ得る。本発明において、「上に動く」及び「下に動く」という用語は、膜122が実質的に方向Zに沿って動くことを表す。
【0026】
膜122は要件に基づいて設計され得る。
図2では、膜122は、少なくとも1つのスリットSLによって分割された複数のフラップ122fを有し、フラップ122fは方向Zに動くように作動され得る。例えば、
図2に示す膜122では、限定されないが、2つのフラップ122fが1つのスリットSLによって分割され得る。
【0027】
各音響チップ120によって生成される音響波の周波数範囲は、要求に基づいて設計され得る。例えば、音響チップ120の一実施形態は、限定されないが、人間の可聴周波数範囲(例えば、20Hz~20kHz)をカバーする周波数範囲の音響波を生成し得る。例えば、音響チップ120の別の実施形態は、限定されないが、音響チップ120が高周波音響ユニット(ツイータ)であり得るように、特定の周波数よりも高い周波数の音響波を生成し得る。例えば、音響チップ120の別の実施形態は、限定されないが、音響チップ120が低周波音響ユニット(ウーファ)であり得るように、特定の周波数よりも低い周波数の音響波を生成し得る。なお、特定の周波数は、限定されないが、800Hz~4kHzの範囲の値(例えば、1.44kHz)であり得る。高周波サウンドユニット及び低周波サウンドユニットの詳細については、ここでは簡潔性のために説明しないため、出願人によって出願された米国出願番号第17/153849号を参照されたい。
【0028】
音響チップ120の数は要件に基づいて設計され得る。例えば、
図2では、音響パッケージ構造100は、限定されないが、2つの音響チップ120を有し、2つの音響チップ120によって生成される音響波の周波数範囲は同じであっても異なっていてもよい。
【0029】
音響チップ120は任意の適切な構成要素を含み得る。
図2に示すように、音響チップ120は、膜122に音響波を生成させるために膜122を作動させるように構成されたアクチュエータ124を含み得る。例えば、アクチュエータ124は、限定されないが、膜122上に配置され得る。
【0030】
膜122は任意の適切な作動方法により作動され得る。本発明では、アクチュエータ124は、方向(例えば、方向Z)に沿った膜122の動きに対して単調な電気機械変換機能を有する。一部の実施形態では、アクチュエータ124は、限定されないが、圧電アクチュエータ、静電アクチュエータ、ナノスケール静電駆動(NED)アクチュエータ、電磁アクチュエータ又は他の適切なアクチュエータを含み得る。例えば、一実施形態では、アクチュエータ124は圧電アクチュエータを含んでもよく、圧電アクチュエータは、2つの電極と、電極間に配置された圧電材料層(例えば、チタン酸ジルコン酸鉛、PZT)を含み、圧電材料層は、限定されないが、電極によって受信された駆動信号(例えば、2つの電極間の駆動電圧差及び/又は駆動電圧)に基づいて膜122を作動させ得る。例えば、別の実施形態では、アクチュエータ124は電磁アクチュエータ(平面コイル等)を含み、電磁アクチュエータは、限定されないが、受信した駆動信号(例えば、駆動電流)及び磁場に基づいて膜122を作動させ得る(すなわち、膜122は電磁力によって作動され得る)。例えば、さらに別の実施形態では、アクチュエータ124は、静電アクチュエータ(導電プレート等)又はNEDアクチュエータを含み、静電アクチュエータ又はNEDアクチュエータは、限定されないが、受信した駆動信号(例えば駆動電圧)及び静電場に基づいて膜122を作動させ得る(すなわち、膜122は静電気力によって作動され得る)。
【0031】
図1及び
図2に示すように、音響パッケージ構造100は、基板110と、基板110上に配置されたカバー構造130とを含み、音響チップ120は、基板110とカバー構造130との間に配置されている。
図2では、カバー構造130と音響チップ120との間に第1の空洞CB1が存在し、基板110と音響チップ120との間に第2の空洞CB2が存在する。例えば、音響パッケージ構造100は
図2で2つの音響チップ120を含むため、音響パッケージ構造100は第1の空洞CB1及び第2の空洞CB2を有し、第1の空洞CB1はカバー構造130と2つの音響チップ120との間に存在し、第2の空洞CB2のうちの1つは基板110と一方の音響チップ120との間に存在し、第2の空洞CB2のうちの他方は基板110と他方の音響チップ120との間に存在する。
【0032】
基板110は要求に基づいて設計され得る。一部の実施形態では、基板110は、硬質であっても柔軟であってもよく、基板110は、シリコン、ゲルマニウム、ガラス、プラスチック、石英、サファイア、金属、ポリマー(例えば、ポリイミド(PI)、ポリエチレンテレフタレート(PET))、任意の他の適切な材料又はそれらの組み合わせを含み得る。一例として、基板110は、限定されないが、ラミネート(例えば、銅張積層板、CCL)を含む回路基板、ランドグリッドアレイ(LGA)基板又は導電性材料を含む任意の他の適切な基板であり得る。
図1及び
図2に示すように、基板110の法線方向は、限定されないが、方向Zに対して平行であり得る。
【0033】
カバー構造130は要件に基づいて設計することができる。本発明では、カバー構造130は、(
図2に示すように)一重構造であり得るか又は複数のサブ構造で(例えば、カバー構造130は複数のボードで構成され得る)構成され得る。カバー構造130は、限定されないが、金属、ガラス、シリコン、ゲルマニウム、プラスチック、ポリマー又はそれらの組み合わせ等の任意の適切な材料を含み得る。
【0034】
図1及び
図2に示すように、カバー構造130は、カバー構造130の断面図がU字状になり得る(例えば、
図2)ように上部132と、上部132に接続された少なくとも1つの側壁部134を含み得る。
図1及び
図2では、限定されないが、上部132の法線方向は方向Zと平行であり、側壁部134の法線方向は方向Zに対して垂直であり得る。
【0035】
音響パッケージ構造100は、第1の空洞CB1及び/又は第2の空洞CB2が音響パッケージ構造100の外部に接続されるように、少なくとも1つの開口を含む。
図1及び
図2に示すように、カバー構造130は、音響チップ120の膜122に関連する音響波がカバー構造130の第1の開口130aを通過するように、第1の空洞CB1に接続された複数の第1の開口130aを有する。
【0036】
本発明では、第1の開口130aは、カバー構造130の上部132及び/又は側壁部134に形成され得る。例えば、
図1及び
図2に示すように、上部132は、限定されないが、全ての第1の開口130aを有し得る。
【0037】
本発明では、第1の開口130aは要件に基づいて設計され得る。例えば、第1の開口130aは、限定されないが、方向Xに沿って延びる複数の列及び/又は方向Yに沿って延びる複数の行に配置され得る。例えば、第1の開口130aは、限定されないが、アレイ状に配置され得る。例えば、第1の開口130aの上から見たパターンは、六角形、円又は他の適切な形状であり得る。
【0038】
一部の実施形態では、第1の開口130aのうちの1つは、音響効果が最も大きい音響パッケージ構造100の領域に対応し得る。例えば、この領域は、限定されないが、音圧レベル(SPL)が最も高い音響波を生成し得るか又は音響波の感度が最も高いか又は最大の気流がこの領域を通過し得る。一実施形態では、
図1及び
図2に示すように、第1の開口130aのうちの1つは、限定されないが、上面図においてカバー構造130の中心に位置し得る。別の実施形態では(図示せず)、第1の開口130aのうちの1つは、限定されないが、基板110の法線方向(すなわち、方向Z)において膜122の中心に対応し得る。
【0039】
本発明では、第1の開口130aのサイズは、要件に基づいて設計され得る。一部の実施形態では、第1の開口130aは、小さいか又は著しく小さい。一部の実施形態では、第1の開口130aのサイズは、限定されないが、カバー構造130の上部132の10%、5%、3%又は1%未満であり得る。
【0040】
本発明では、カバー構造130は複数の第1の開口130aを有するため、本発明のカバー構造130は、1つの大きな開口を有する従来のカバー構造よりも、音響チップ120に対して高い物理的保護効果を提供し得る(例えば、従来の大きない開口のサイズは従来のカバー構造の上部の半分より大きく、本発明の第1の開口130aは従来の大きな開口よりもはるかに小さい)。例えば、本発明のカバー構造130は、限定されないが、音響パッケージ構造100をその後に使用(例えば、音響チップ120の動作、音響装置に音響パッケージ構造100を配置するプロセス及び/又は他の適切な用途)の間に音響チップ120を保護して、音響パッケージ構造100の歩留まり率及び音響デバイスの歩留まり率を高めることができる。さらに、外部の物体(例えば、塵、粒子、鋭利な物体等)は、複数の第1の開口130aを有するカバー構造130の存在により、音響パッケージ構造100に入りにくい。
【0041】
さらに、カバー構造130の音響抵抗は、第1の開口130aの総面積に関係する(すなわち、第1の開口130aの総面積が大きくなるほど音響抵抗が小さくなる)。そのため、カバー構造130の音響抵抗は、第1の開口130aの数を増やすことにより及び/又は第1の開口130aのサイズを大きくすることにより減らされ得る。その結果、カバー構造130は音響チップ120に対する高い保護効果及び低い音響抵抗を提供し得る。
【0042】
図2に示すように、基板110は少なくとも1つの第2の開口110aを有する。
図2では、第2の開口110aは1つの第2の空洞CB2に接続され得る。例えば、基板110は、限定されないが、2つの第2の空洞CB2にそれぞれ接続された2つの第2の開口110aを有する。
【0043】
図3を参照して、
図3は、本発明の実施形態に係る音響パッケージ構造における音響チップの膜の2つの周波数応答を示す概略図である。
図3において、第1の周波数応答は、第1の音響パッケージ構造における音響チップ120の膜122の周波数応答であり、第2の周波数応答は、第2の音響パッケージ構造における音響チップ120の膜122の周波数応答であり、第1の音響パッケージ構造の第1のカバー構造の第1の開口130aの総面積は、第2の音響パッケージ構造の第2のカバー構造の第1の開口130aの総面積よりも大きい。例えば、
図3では、第2の音響パッケージ構造の第1の開口130aの総面積に対する第1の音響パッケージ構造の第1の開口130aの総面積の比は、限定されないが、150~170の範囲であり得る。
【0044】
図3に示すように、第1の周波数応答では、第1の音響パッケージ構造の膜122の最小共振ピークP1は、第1の周波数RF1(すなわち、第1の周波数RF1は、第1の音響パッケージ構造における膜122の最小共振周波数)で発生し、第1のピーク値(すなわち、SPL)を有する。
図3に示すように、第2の周波数応答では、第2の音響パッケージ構造の膜122の最小共振ピークP2は、第2の周波数RF2(すなわち、第2の周波数RF2は、第2の音響パッケージ構造における膜122の最小共振周波数)で発生し、第2のピーク値(すなわち、SPL)を有する。
【0045】
図3において、第1の周波数RF1は第2の周波数RF2より大きく、第1のピーク値は第2のピーク値より大きい。すなわち、音響パッケージ構造100では、第1の開口130aの総面積が小さくなるにつれて、膜122の最小共振周波数及び膜122の最小共振ピークのピーク値が小さくなる。一部の実施形態では、第1の周波数RF1と第2の周波数RF2との差は、1000Hz、2000Hz、5000Hz又は他の適切な値以上であり得る。例えば、
図3では、第1の周波数RF1と第2の周波数RF2との差は、限定されないが、約6000Hzであり得る。そのため、音響パッケージ構造100では、第1の開口130aの総面積を調整することにより、膜122の最小共振周波数及び膜122の最小共振ピークのピーク値が変更され得る。
【0046】
一部の実施形態では、第1の音響パッケージ構造において、第1の開口130aの総面積は、音響チップ120の膜122の総面積よりも大きいか、等しいか又は同様であり得る。したがって、音響パッケージ構造100に配置する前の音響チップ120の膜122の最小共振周波数及び最小共振ピークのピーク値は、それぞれ第1の周波数RF1及び第1の周波数応答における第1のピーク値と等しいか又は同様であり得る。したがって、一部の実施形態では、音響パッケージ構造100に配置する前の音響チップ120の膜122の最小共振周波数は、音響パッケージ構造100に配置した後の音響チップ120の膜122の最小共振周波数よりも大きくてもよい(例えば、この差は、1000Hz、2000Hz、5000Hz又はカバー構造130の第1の開口130aの総面積に基づく他の適切な値以上であり得る)。一部の実施形態では、音響パッケージ構造100に配置される前の音響チップ120の膜122の最小共振ピークのピーク値は、音響パッケージ構造100に配置された後の音響チップ120の膜122の最小共振ピークのピーク値よりも大きくてよい(例えば、この差は、カバー構造130の第1の開口130aの総面積に関連する)。
【0047】
要約すると、本発明のカバー構造は複数の第1の開口を有するため、カバー構造は音響チップに対する高い保護効果及び低い音響抵抗を提供し、音響パッケージ構造における音響チップの膜の最小共振周波数及び最小共振ピークのピーク値は要求に基づいて調整され得る。
【0048】
当業者であれば、本発明の教示を保持しながら、装置及び方法に多くの修正及び変更がなされ得ることを容易に理解するであろう。したがって、上記の開示は、添付の請求請求の範囲の内容及び範囲によってのみ制限されるものと解釈すべきである。