(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】照射システム及び方法
(51)【国際特許分類】
G21K 5/00 20060101AFI20241217BHJP
G21K 5/02 20060101ALI20241217BHJP
G21K 1/10 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
G21K5/00 Z
G21K5/02 X
G21K1/10 S
(21)【出願番号】P 2023523229
(86)(22)【出願日】2022-04-19
(86)【国際出願番号】 US2022025381
(87)【国際公開番号】W WO2022225956
(87)【国際公開日】2022-10-27
【審査請求日】2023-05-19
(32)【優先日】2021-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517023736
【氏名又は名称】ヴァレックス イメージング コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シェドロック、ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ニシウス、デヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュース、グレゴリー
(72)【発明者】
【氏名】アダムス、ジェフ
【審査官】坂上 大貴
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第104984422(CN,A)
【文献】特公昭45-010680(JP,B2)
【文献】特開2003-227803(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0108925(US,A1)
【文献】国際公開第2002/026270(WO,A2)
【文献】特開平11-281339(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0098740(US,A1)
【文献】米国特許第04983849(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21K 1/00-3/00
5/00-7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的物質を受容するように構成された筐体と、
前記筐体内で一次放射線を放出するように構成された線源であって、前記一次放射線は前記標的物質の少なくとも第一部分を照射するように構成されたX線放射を含む、前記線源と、
前記筐体内に
取り外し可能に配置された散乱媒体であって、前記散乱媒体は前記一次放射線に応答して散乱相互作用によって二次放射線を生成するように構成され、前記二次放射線は前記標的物質の少なくとも第二部分を照射するように構成され、前記散乱媒体は少なくとも3ミリメートル(mm)の厚さを有
し、
前記散乱媒体は、前記線源の照射特性に対応する、前記散乱媒体と、
を含む、照射装置。
【請求項2】
前記筐体内に前記標的物質の少なくとも一部分を保持するように構成されたレセプタクルをさらに含み、
前記散乱媒体は、前記レセプタクル及び前記標的物質の表面間に配置され、
前記散乱媒体の厚さは、前記レセプタクルの厚さよりも大きい、請求項1に記載の照射装置。
【請求項3】
前記標的物質の少なくとも一部分を保持するように構成されたレセプタクルをさらに含み、
前記散乱媒体は、前記レセプタクルの基部、前記レセプタクルの側壁部、及び前記レセプタクルの円筒壁部のうちの1つ以上の少なくとも一部分を形成するように構成される、請求項1に記載の照射装置。
【請求項4】
前記筐体内に前記標的物質の少なくとも一部分を保持するように構成されたレセプタクルをさらに含み、
前記散乱媒体は、前記レセプタクルの少なくとも一部分を形成する、請求項1に記載の照射装置。
【請求項5】
前記線源は、前記一次放射線を照射ゾーン内に放出するように構成され、
前記照射装置は、前記照射ゾーンを通して前記標的物質を移動させるように構成されたコンベヤをさらに含む、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の照射装置。
【請求項6】
前記線源は、指定されたエネルギーレベルで前記一次放射線を放出するように構成され、
前記散乱媒体は、コンプトン散乱(σ)が前記指定されたエネルギーレベルで光電吸収(τ)及び対生成(k)を上回り優勢である原子番号を有する物質を含むように構成される、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の照射装置。
【請求項7】
前記散乱媒体の前記厚さは、前記散乱媒体の散乱断面積が前記散乱媒体の吸収断面積を少なくとも閾値だけ上回る点に設定される、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の照射装置。
【請求項8】
前記散乱媒体の前記厚さは、少なくとも6ミリメートルである、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の照射装置。
【請求項9】
前記散乱媒体は、20以下、または13以下のうちの1つである原子番号を有する物質を含む、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の照射装置。
【請求項10】
前記散乱媒体は、炭素系材料、ポリマー、有機ポリマー、プラスチック、可塑性ポリマー、合成ポリマー、サーモプラスチック、熱可塑性ポリマー、ナイロン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリオキシメチレン、アセタール、アセタール樹脂、アセタールプラスチック、ポリアセタール、ポリホルムアルデヒド、高密度ポリエチレン、アルミニウム及びアルミニウム合金のうちの1つ以上を含む、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の照射装置。
【請求項11】
前記標的物質は生体物質を含む、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の照射装置。
【請求項12】
前記筐体内に、前記筐体から離れて配置され、前記標的物質を受容するように構成され、前記散乱媒体を含むレセプタクルをさらに有し、前記レセプタクルは、前記一次放射線の少なくとも一部が、前記散乱媒体から散乱する前に前記標的物質を通過するように構成されている、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の照射装置。
【請求項13】
照射装置の内部容積内に標的物質を封入するように構成された筐体を提供することと、
前記照射装置のX線源によって生成された一次放射線に応答して、前記照射装置の前記内部容積内に二次放射線を放出するように構成された
取り外し可能な散乱媒体を生成することであって、前記二次放射線は前記散乱媒体内の散乱相互作用によって生成される、前記生成することと、
前記一次放射線に対する前記散乱媒体の厚さを3ミリメートル以上であるように構成することと、
散乱媒体構成を決定することと、
一次放射線構成を、少なくとも部分的に、前記散乱媒体構成に基づいて決定することと、
を含む、照射方法。
【請求項14】
前記散乱媒体の深さ軸を前記一次放射線の伝播方向とアライメントするように構成することをさらに含む、請求項13に記載の照射方法。
【請求項15】
前記散乱媒体は、前記標的物質の最大曝露領域と前記標的物質の最小曝露領域との間の放射線量差を約10%未満まで減少させるように構成される、請求項13または請求項14に記載の照射方法。
【請求項16】
前記散乱媒体の散乱断面積及び前記散乱媒体の吸収断面積に基づいて前記一次放射線に対する前記散乱媒体の前記厚さを決定することをさらに含み、
前記決定された厚さは少なくとも6ミリメートルである、請求項13または請求項14に記載の照射方法。
【請求項17】
筐体の内部容積内で照射される標的物質を受容するための手段と、
前記筐体内で一次放射線を放出するための手段であって、前記一次放射線は前記標的物質の少なくとも第一部分を照射するように構成されたX線放射を含む、前記手段と、
取り外し可能な散乱媒体内の散乱相互作用によって二次放射線を生成するための手段であって、前記二次放射線は前記標的物質の少なくとも第二部分を照射するように構成される、前記手段と、
散乱媒体構成を決定する手段と、
一次放射線構成を、少なくとも部分的に、前記散乱媒体構成に基づいて決定する手段と、を含む、照射システム。
【請求項18】
前記標的物質を前記内部容積内に保持するように構成されたレセプタクル手段をさらに含み、
前記散乱媒体の少なくとも一部分は、前記レセプタクル手段の上に配置される、請求項17に記載の照射システム。
【請求項19】
前記標的物質の少なくとも一部分を前記内部容積内に保持するように構成されたレセプタクル手段をさらに含み、
前記レセプタクル手段の少なくとも一部分は、前記散乱媒体から形成される、請求項17に記載の照射システム。
【請求項20】
前記一次放射線の伝播方向に対する前記散乱媒体の厚さは、少なくとも6ミリメートルである、請求項17から請求項19のいずれか一項に記載の照射システム。
【請求項21】
前記散乱媒体は、原子番号の決定された範囲から選択された原子番号を有する物質を含み、前記範囲は、コンプトン散乱が前記一次放射線のエネルギーで光電吸収を上回る原子番号を含む、請求項17から請求項19のいずれか一項に記載の照射システム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本明細書で別段の指示がない限り、このセクションで説明するアプローチは、この開示における特許請求の範囲に対する従来技術ではなく、このセクションに含めることで従来技術であると認められるものではない。
【0002】
電磁放射線の透過は、撮像、X線撮影、写真撮影、スキャン、センシング、テスト、診断、医学的診断、医学的処置及び治療、材料分析、滅菌など、幅広い用途に適用されることができる。これらの用途の多くは、標的の照射を伴う。状況によっては、放射線源(複数可)に対する標的の物理的な構成及び/または位置によって、照射が不均一になる場合がある。例えば、放射線源に近い標的の部分は、遠く離れた部分よりも(例えば、放射線が標的を透過する際の減衰及び/または吸収により)高い線量を受ける可能性がある。
【0003】
標的の不均一性は、多くの用途に悪影響を与えることがある。例えば、滅菌操作は、閾値放射線量を標的に送達することを含み得る。ただし、標的の不均一性により、標的の一部の部分が他の部分よりもかなり前に閾値に達する場合がある。これらの問題に対処するために、標的物質を過剰に照射し得ると、照射時間の増加、スループットの低下、消費電力の増加、標的物質の過剰照射部分への損傷、製品品質の低下などが起こる可能性がある。あるいは、標的物質は、照射中に線源に対してシフトすることができる。これらのアプローチには、複雑さ及び消費電力の増加、照射保証の低下(物理操作中のランダム性または不具合の可能性による)、物理操作中の損傷など、重大な欠点を有することもある。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図1B】取り外し可能及び/または交換可能な散乱媒体の例を示す。
【
図2A】散乱媒体を含む照射装置のもう1つの例を示す。
【
図2B】一次放射線に対して第一物理配置を有する標的物質のそれぞれの曝露領域に送達される放射線量を示すグラフである。
【
図3A】散乱媒体を含む照射装置のもう1つの例を示す。
【
図3B】一次放射線に対して第二物理配置を有する標的物質のそれぞれの曝露領域に送達される放射線量を示すグラフである。
【
図4A】散乱媒体を含む照射装置のもう1つの例を示す。
【
図4B】標的を透過する間の一次放射線の減衰及び/または吸収を示すグラフである。
【
図4E】適切に構成された散乱媒体を組み込むことによってもたらされる照射性能の改善を示すグラフである。
【
図5A】物質の原子番号及び放射線エネルギーの関数としての放射線散乱相互作用分布の例を示す。
【
図5B】物質の原子番号及び放射線エネルギーの関数としての放射線散乱相互作用分布の例を示す。
【
図5C】物質の原子番号及び放射線エネルギーの関数としての放射線散乱相互作用分布の例を示す。
【
図5D】物質の原子番号及び放射線エネルギーの関数としての放射線散乱相互作用分布の例を示す。
【
図6A】散乱媒体の適切な(または最適な)物理構成を決定するための基準の例を示すグラフである。
【
図6B】放射線エネルギー範囲に対する散乱角度断面図を示す極座標グラフである。
【
図7】散乱媒体を含む照射装置のもう1つの例を示す。
【
図8A】散乱媒体と標的物質を保持するように構成されたレセプタクルとを含む照射装置のもう1つの例を示す。
【
図8B】本明細書に開示されるような、照射装置のレセプタクルの例を示す。
【
図8C】本明細書に開示されるような、照射装置のレセプタクルの例を示す。
【
図8D】本明細書に開示されるような、照射装置のレセプタクルの例を示す。
【
図8E】本明細書に開示されるような、照射装置のレセプタクルの例を示す。
【
図8F】本明細書に開示されるような、照射装置のレセプタクルの例を示す。
【
図8G】本明細書に開示されるような、照射装置のレセプタクルの例を示す。
【
図8H】本明細書に開示されるような、照射装置のレセプタクルの例を示す。
【
図10】散乱媒体を含む照射装置の追加の例を示す。
【
図11A】散乱媒体を含む照射装置のもう1つの例を示す。
【
図11D】散乱媒体を含む照射装置のもう1つの例を示す。
【
図11F】散乱媒体を含む照射装置のもう1つの例を示す。
【
図12A】連続供給照射操作を実施するように構成された照射装置の例を示す。
【
図12B】連続供給照射操作を実施するように構成された照射装置の例を示す。
【
図13】照射装置を構成するためのシステムの一例を示す。
【
図14】照射装置の散乱媒体の構成を決定するための技法の例を示すフローチャートである。
【
図15A】照射アプリケーションの構成を決定するための技法の例を示すフローチャートである。
【
図15B】照射アプリケーションの構成を決定するための技法のさらなる例を示すフローチャートである。
【
図16A】標的を照射するための技法の例を示すフロー図である。
【
図16B】標的を照射するための技法の例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本発明の任意の例示的な実装を説明する前に、本発明が、その出願において、以下の説明に記載されるか、または以下の図面に示される、構成の詳細及び構成要素の配置に限定されないことを理解されたい。本発明は、任意の適切な実装で実現可能であり、様々な方式で実施または実行することが可能である。フローチャート及びプロセスにおいて提供される番号は、ステップ及び操作の説明を分かりやすくするために提供されるものであり、必ずしも特定の順序またはシーケンスを示すものではない。特に定義されていない限り、「または」という用語は、選択肢の選択(例えば、論理和演算子もしくは排他的OR)、または選択肢の組み合わせ(例えば、論理積演算子、及び/または(and/or)、論理ORもしくはブールOR)を指すことができる。
【0006】
本明細書に記載の技術(システム、デバイス、方法、及び非一時的なコンピュータ可読記憶媒体)は、過剰照射を回避し、物理操作を不要にしながら、標的を均一に照射する解決策を提供する。したがって、開示された技術は、効率の向上、照射時間の短縮、スループットの向上、複雑さの軽減、コストの削減、照射保証の向上、標的摂動の低減などを含むが、これらに限定されない、照射システム及び方法に対する技術的改善をもたらし得る。
【0007】
図1Aは、照射装置またはデバイス100の一例を示す。照射装置100は、一次放射線120を生成するように構成された線源110を含むことができる。一次放射線120は、指定された放射線量を標的130に送達するように構成され得る。
【0008】
図1Aに示されるように、一次放射線120は、標的130を透過する間に減衰されてもよく、及び/または吸収されてもよい。結果として、標的130は、一次放射線120の不均一な線量を受けることがある。換言すれば、標的130の異なる部分は、一次放射線120の異なる線量を受けることがある。
図1Aの例では、一次放射線120は、標的130を頂部から底部に透過するので、標的130の頂部(線源110に最も近い部分)は、底部(線源110から最も遠い部分)よりも強い線量の一次放射線120を受け、標的130の頂部は、底部よりも先に指定された放射線量に達する可能性がある。さらに、指定された放射線量を標的130の底部に送達すると、頂部が過剰照射される可能性がある。
【0009】
照射装置100は、過剰照射または物理操作を必要とせずに、標的130が受ける放射線量のバランスを取るように構成されることができる。放射線量は、筐体102の内部容積112内に配置された散乱媒体140によってバランスが取られることができる。
図1Aの例では、散乱媒体140は、標的130の下側(例えば、一次放射線120の反対側)に位置決めされる。散乱媒体140は、一次放射線120に応答して二次放射線160を放出するように構成され得る。二次放射線160は、標的130を底部から頂部に(一次放射線120のような頂部から底部とは反対に)透過することができる。散乱媒体140によって生成された二次放射線160は、標的130の少なくとも一部分を(底部から頂部に)照射することができることにより、標的130が受ける放射線量のバランスを取ることができる。換言すれば、二次放射線160は、標的130の頂部及び底部に送達される放射線量の差を低減させることができる。
【0010】
本明細書でさらに詳細に開示されるように、二次放射線160は、散乱媒体140内の散乱相互作用によって生成され得る。散乱媒体140は、荷電粒子が一次放射線120によって生成されることに応答して、二次放射線160を生成するように構成された物質から形成されることができる。散乱媒体140を構成する物質は、一次放射線120のエネルギーに基づいて選択されることができる。より具体的には、散乱媒体140の物質組成142は、一次放射線120のエネルギーレベル(複数可)(及び/またはエネルギー範囲内)で散乱相互作用を引き起こすと決定された原子番号(複数可)(Z)を有する物質(複数可)を含むように構成され得る。いくつかの実施形態では、散乱媒体140の物質組成142は、20以下、10以下、8以下など、指定された範囲内の原子番号(Z)を有する物質を含むことができる。散乱媒体140は、サーモプラスチック、熱可塑性ポリマー、高密度ポリエチレン(HDPE)、アルミニウム、アルミニウム合金などを含むことができる。
【0011】
本明細書に開示されるように、二次放射線160は、荷電粒子が散乱媒体140を透過する間に生成され得る。したがって、散乱媒体140によって生成された二次放射線160の量は、一次放射線120に対する散乱媒体140の(例えば、
図1Aの例に示されるように、頂部から底部までの)厚さ146など、散乱媒体140の物理構成144(例えば、形状)に依存し得る。散乱媒体140の厚さ146は、散乱相互作用が散乱媒体140の光電吸収を少なくとも閾値だけ上回る点に設定されることができる。いくつかの実施形態では、散乱媒体140の厚さ146は、少なくとも3ミリメートル(mm)または0.3センチメートル(cm);約0.25インチ(in)であってもよい。あるいは、散乱媒体140の厚さ146は、少なくとも6mmまたは0.6cm(約0.25in)であってもよい。散乱媒体140の厚さ146は、1cm、5cm、10cm、またはそれ以上であってもよい。本明細書でさらに詳細に開示されるように、散乱媒体140の厚さ146は、散乱媒体140によって生成される二次放射線160の量及び/または強度を増加させるように構成され得る。3ミリメートル以下の厚さ146では、散乱媒体140は、照射性能を向上させることができる二次放射線160を生成することができない場合がある。
【0012】
本明細書でさらに詳細に開示されるように、散乱媒体140は、照射性能の態様を改善するように構成されることができる。散乱媒体140は、a)標的130の放射線量の差を10%以下に減少させる(例えば、標的130の頂部及び底部に送達される放射線量間の差を10%以下に減少させる)、b)標的130の放射線量率を10%以上増加させる、c)指定された放射線量を標的130に送達するのに必要な照射時間を10%以上減少させる、及び/またはそのように構成され得る。
【0013】
いくつかの実施形態では、照射装置100の散乱媒体140は、筐体102の内部の内に固定されてもよく、及び/または固着されてもよい。あるいは、散乱媒体140は、取り外し可能及び/または交換可能であってもよい。
図1Bは、交換可能な散乱媒体140の例を示す。散乱媒体140-1及び140-2は、照射装置100の内部容積112から選択的に展開されてもよく、取り外されてもよい。第一散乱媒体140-1は、第一エネルギー(及び/または第一タイプの標的130)での一次放射線120に応答して照射性能を改善するように適応され得、第二散乱媒体140-2は、第一エネルギーとは異なる第二エネルギー(及び/または第一タイプとは異なる第二タイプの標的130)での一次放射線120に応答して照射性能を改善するように適応され得る。したがって、本明細書でさらに詳細に開示されるように、散乱媒体140-1及び140-2の物質組成142-1及び142-2及び/または物理構成144-1及び144-2(厚さ146-1及び146-2)は、互いに異なる場合がある。
【0014】
図2Aは、照射装置100Aのもう1つの例を示す。線源110Aは、一次放射線120及び/または放射線ビームを、実質的に平行な伝播方向(複数可)124内に放出するように構成され得る。本明細書に使用される場合、一次放射線120の伝播方向124は、一次放射線120、及び/または一次放射線120のビームが線源110から放出される方向、角度、及び/またはベクトルを指すことができる。例えば、伝播方向124は、一次放射線120の中心ビームの伝播に対応し得る。
図2Aは、照射装置100Aの断面図を示し、この断面図は、一次放射線120の伝播方向(複数可)124に実質的に平行である。
【0015】
図2Aの例では、照射装置100Aは、内部容積112を少なくとも部分的に囲むように構成された筐体102を備える。筐体102は、内部容積112からの放射線漏れを防止する(または低減させる)ように構成された遮蔽材料204を組み込んでもよく、及び/または含んでもよい。照射装置100Aは、制御ロジック201をさらに含んでもよく、及び/またはそれに結合されてもよい。いくつかの実装では、制御ロジック201は、プロセッサ202-1、メモリ202-2、不揮発性(NV)ストレージ202-3、データインタフェース202-4、ヒューマンマシンインタフェース(HMI)202-5などを含み得るがこれらに限定されない、コンピューティングリソース202を含んでもよく、及び/またはそれらによって具現化されてもよい。
【0016】
プロセッサ202-1は、コントローラ、制御ロジック、プログラマブルコントローラ、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)、論理回路、処理回路、計算回路、処理ユニット、中央処理装置(CPU)、プロセッサコア、算術論理演算装置(ALU)、汎用プロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブル処理素子、プログラマブルロジック、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、システムオンチップ(SoC)など、任意の適切な処理リソースを含んでもよい。メモリ202-2は、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、ランダムアクセスメモリ(RAM)、動的RAM(DRAM)、同期DRAM(SDRAM)、静的RAM(SRAM)、キャッシュメモリなど、任意の適切なメモリリソースを含んでもよい。NVストレージ202-3は、非一時的なストレージデバイス、永続的なストレージデバイス、内部ストレージデバイス、外部ストレージデバイス、リモートストレージデバイス、ネットワークアタッチドストレージ(NAS)リソース、磁気ディスクドライブ、ハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートストレージデバイス(SSD)、フラッシュメモリデバイスなどを含むがこれらに限定されない、任意の適切で非一時的な、永続的な、及び/またはNVストレージリソースを含むことができる。NVストレージは、本明細書に開示されるように、プロセッサに照射方法を実装させるように構成されたコンピュータ可読命令を格納することができる。データインタフェース202-4は、入出力(I/O)インタフェース、I/Oポート、通信インタフェース、ネットワークインタフェース、ユニバーサルシリアルバス(USB)インタフェースなど、任意の適切なデータ及び/または通信リソースを含むことができる。HMI202-5は、入力デバイス、キーボード、ポインティングデバイス、オーディオ入力デバイス、タッチ入力デバイス、出力デバイス、オーディオ出力デバイス、表示装置、タッチスクリーンデバイス、フィードバックデバイス、ハプティックフィードバックデバイスなどを含むが、これらに限定されない、任意の適切なHMIコンポーネントを含むことができる。
【0017】
制御ロジック201には、外部インタフェース、例えば、アドレス及びデータバスインタフェース、割込みインタフェースなどが含まれていてもよい。制御ロジック201には、制御ロジック201を内部及び外部コンポーネントに接続するための他のインタフェースデバイス、例えば、ロジックチップセット、ハブ、メモリコントローラ、通信インタフェースなどが含まれていてもよい。制御ロジック201は、本明細書で説明する種々の動作を制御するように構成してもよい。制御ロジック201は、筐体102、線源110A、及び/または線源110Aに電圧を印加する、及び/または電流を供給するための接続部を含む、照射装置100Aの他のコンポーネントへの接続部を含むことができる。制御ロジック201は、滅菌操作など、照射操作を実装するように構成され得る。照射操作の実装は、本明細書に開示されるように、決定された強度及び/または決定された照射時間で一次放射線120を放出するように線源110Aを構成することを含み得る。
【0018】
筐体102は、開構成及び閉構成を有することができる。いくつかの実装では、筐体102は、開構成と閉構成との間で移行するように構成されたアクセス機構206を備えてもよい。制御ロジック201は、筐体102が閉構成にあるかどうかを決定するように構成されたセンサを備えてもよく、及び/またはセンサに結合されてもよい。制御ロジック201は、筐体102が閉構成にないと決定することに応答して、線源110Bが一次放射線120を放出するのを防止することができる。アクセス機構206は、ドア、機械的ドア、アイリスドア、ダイアフラム、機械的ダイアフラム、ラッチ、シール、ハッチ、ロック、キャップ、パネル、遮蔽材料204などを含むが、これらに限定されない、内部容積112に選択的にアクセスすることに、及び/またはその内部容積を封入することに適切な任意の手段を備えることができる。アクセス機構206の例が本明細書に記載されているが、本開示は、この点に関して限定されず、任意の適切な構成を有する任意の適切なタイプのアクセス機構206を組み込むように適応され得る(例えば、アクセス機構(複数可)206は筐体102の任意の適切な位置及び/またはその上に配置される)。
【0019】
照射装置100Aは、標的130Aを照射するように構成される。標的130(例えば、標的130A)は、消耗品、医療機器、血液または組織などの生体物質、食品、農産物、農業資材、作物、被測定物、アッセイ、分析対象物、分析サンプルなどを含むが、これらに限定されない、1つ以上の物体、物質、及び/または材料を含んでもよい。
図2Aの例では、標的130Aは農産物(標的物質130A)を含む。標的物質130Aはカンナビスを含み得、カンナビスは(第一標的特性135Aに従って)一次放射線120の伝播方向124に対して約4インチ(または10.2cm)の深さを有するパイルまたはスタック内に配置された約0.1グラム/立方センチメートル(g/cc)の密度を有し得る。
【0020】
いくつかの実装では、標的130の物理特性(標的特性135)は、標的130によって示される照射不均一性の程度を決定することができる。本明細書に使用される場合、標的特性135は、標的130の組成(例えば、標的130を構成する物質(複数可))、標的130の密度、標的130の光電吸収及び/または減衰特性、照射装置100の線源110に対する標的130の位置及び/または一次放射線120の伝播方向124、線源110に対する標的130の向き及び/または一次放射線120の伝播方向124、一次放射線120の伝播方向124に対する標的130の深さまたは厚さなどを含むが、これらに限定されない、標的130に関する任意の情報を指すことができる。
図2Aの例では、標的特性135Aは、標的物質130Aによって示される不均一性の程度を決定することができる。
【0021】
図2Aでは、標的物質130Aの不均一性は、層230AからDによって表されることができ、各層230は、一次放射線120の伝播方向124に対してそれぞれの深さで標的物質130Bを含むことができる。
図2Aから2Bでは、層230AからDのそれぞれは、標的物質130A上への照射の不均一性を示すために指定された厚さであるが、標的物質130Aは、障壁または異なる材料が層230AからDを分離することなく、連続していてもよい。線源110Aに最も近い層230Aは最高線量の一次放射線120を受け得(標的物質130Aの最大曝露(MAX)領域131を含んでもよく、及び/またはその領域に対応してもよく)、線源110Aから最も遠い層230Dは最低線量の一次放射線を受け得る(最小曝露(MIN)領域139を含んでもよく、及び/またはその領域に対応してもよい)。
【0022】
照射装置100Aは、散乱媒体140Aを備えることができる。
図2Aに示されるように、散乱媒体140Aは、散乱媒体140Aの物理構成144Aに従って、一次放射線120の伝播方向124に対して標的物質130Aより下(例えば、層230Dより下)に配置され得る。散乱媒体140Aは、一次放射線120の伝播方向124に対して決定された厚さ146Aを有し得る。以下の
図2Bで示されるように、散乱媒体140Aは、照射性能の態様を改善するように構成されることができる。
【0023】
図2Bは、それぞれの層230AからD内に配置された標的物質130Aの部分間の放射線量差(ΔRD)を示すグラフ200を含む。
図2Bの例では、照射装置100Aは、約180keVのエネルギーでx線放射を標的物質130Aに照射するように構成されることができる。縦軸はRDを示し、横軸はそれぞれの散乱媒体構成145-1から145-7を有する散乱媒体140Aに対応する。散乱媒体構成145は、散乱媒体140の物質組成142、散乱媒体140の物理構成144(例えば、散乱媒体140の形状)、散乱媒体140の厚さ146などを含むが、これらに限定されない、散乱媒体140(例えば、散乱媒体140A)の任意の特性または特徴に関係することができる。性能の改善、例えば、不均一性の低減(ΔRDR)、放射線量率の増加(ΔRD)、及び照射時間の短縮(ΔIRT)は、散乱媒体構成145-1から145-7(Mtrl&Thck145)がそれぞれの物質組成142(Mtrl142)及び厚さ146を指定することによってもたらされ、以下の表1にリストされる。
【表1】
【0024】
適切に構成された散乱媒体140Aの利点がなければ、標的物質130AのMAX領域131(層230A)とMIN領域139(層230D)との間のΔRDRは、約15%(またはそれ以上)になり得る。
図2Bでは、プロットライン510は各散乱媒体構成145-1から145-7に対応する散乱媒体140AのMAX領域131(層230A)に送達されたRDを示し、プロットライン512は層230Bに送達されたRDを示し、プロットライン214は層230Cに送達されたRDを示し、プロットライン216はMIN領域139(層230D)に送達されたRDを示す。
【0025】
図2Bに示されるように、散乱媒体構成145-7(2in/5.08cmの厚さ146を有するHDPE)は、ΔRDRを(適切に構成された散乱媒体140を含まない実装について約15%のΔRDRから)約2.5%に減少させる。そのうえ散乱媒体構成145-7は、層230AからDに送達された合計RD(表1でΔRDとして表される)を増加させる可能性がある。散乱媒体構成145-7は、約10%のΔRDを生成すると、過剰照射と比較して約22.5%(ΔRDRの減少により12.5%、及びΔRDにより10%)の照射時間(ΔIRT)が短縮する。照射装置100Aの散乱媒体140Aの散乱媒体構成145-1から145-6によってもたらされる性能の改善は、
図2B及び表1に示されている。
【0026】
図3Aは、照射装置100Bのもう1つの例を示す。
図3Aの例では、標的物質130Bは、第一標的特性135Aとは異なる第二標的特性135Bを有することができ、標的物質130Bは、
図2Aの例でのものの約半分の深さ(例えば、4インチの深さではなく約2インチの深さ)のパイル内に配置されることができる。標的130Bの不均一性は、層330AからDによって表されることができ、各層330は、一次放射線120の伝播方向124でのそれぞれの深さに対応することができる。照射装置100Bは、物理構成144B及び/または厚さ146Bを有する散乱媒体140Bを備えることができる。
【0027】
図3Bのグラフ300は、散乱媒体140Bがそれぞれの散乱媒体構成145-1から145-7を有することによってもたらされる改善を示す。プロットライン310は層330A(MAX領域131)に送達されたRDを示し、プロットライン312は層330Bに送達されたRDを示し、プロットライン314は層330Cに送達されたRDを示し、プロットライン316は層330D(MIN領域139)に送達されたRDを示す。照射装置100Bの散乱媒体140Bのそれぞれの散乱媒体構成145-1から145-7によってもたらされる性能の改善は、以下の表2にリストされている。
【表2】
【0028】
図示のように、散乱媒体構成145-7(2in/5.08cmの厚さ146を有するHDPE)を有する散乱媒体140Bは、適切に構成された散乱媒体140のない照射装置100と比較して、ΔRDRを約15%からわずか約1%に減少させ、標的物質130に送達された合計RDを約14%改善する。したがって、散乱媒体構成145-7に従って構成された散乱媒体140Bは、標的特性135Bを有する標的物質130Bの照射時間を、過剰放射と比較して約28%(ΔRDRの減少により15%、及びΔRDにより14%)短縮させ得る。標的物質130Bの構成が浅くなるほど、照射時間が短縮されるが、第二標的特性135Bにより、
図2Aの例と比較して、照射装置100Bが各照射操作またはバッチ中に標的物質130Bの約半分の量しか処理しないため、スループットも低下する可能性がある。
【0029】
本明細書で使用されるように、適切な散乱媒体構成145は、散乱媒体140が照射性能の態様を改善すること、例えば、a)標的130のΔRDRを10%以下まで減少させること、b)標的130のRDRを10%以上増加させること、c)照射時間を10%以上(ΔIRTの10%以上)減少させることなどを可能にする物理特性を指し得る。上記の表1及び2に示されるように、散乱媒体構成145-2から145-7は、照射装置100A及び100Bに適している可能性がある。より具体的には、散乱媒体構成145-2から145-7は、照射装置100Aによる標的130Aの照射を改善することができる散乱媒体140A、及び/または照射装置100Bによる標的130Bの照射を改善することができる散乱媒体140Bを生成することができる。
【0030】
約40keV以上の一次放射線120を伴う実装では、散乱媒体140A及び/または140Bの物質組成142は、アルミニウム(AL)及び高密度ポリエチレン(HDPE)のうちの1つ以上を、少なくとも3mm(0.3cm)または0.25in(約0.62cm)の厚さ146内で含むことができる。約225keVの高エネルギー範囲を有する一次放射線120を伴う実装では、散乱媒体140A及び/または140Bの厚さ146は、約2インチから約4インチの間(約5cmから10cmの間)であってもよい。より高いエネルギーの一次放射線120を伴う実装では、散乱媒体140A及び/または140Bの厚さ146は(透過の増加により)増加する可能性がある。例えば、最大600keV以上の放射線エネルギーを伴う実装では、増加した厚さ146の収穫逓減点は、約2から4インチよりも大きくなる場合がある(例えば、約2.5から4.5インチ、3から5インチ、4から6インチなどである場合がある)。
【0031】
図4Aは、照射装置100Cのもう1つの例を示す。標的130Cは、一次放射線120の不均一な線量を(標的特性135Cに従って)受けることがある。
図4Bのグラフ401に示されるように、一次放射線120の強度は、標的130Cを透過する間に(例えば、減衰、吸収などにより)低下することがある。グラフ401では、縦軸は一次放射線120の強度(I
P)(例えば、カウント毎秒(CPS)、単位面積あたりの電磁放射線などに換算)に対応し、横軸は標的130Cの透過に対応する。図示のように、一次放射線120の強度(I
P)は、最大値(MAX)から最小値(MIN)まで減衰することができ、例えば、ΔI
Pだけ減衰することができる。標的130Cの不均一な照射は、本明細書で開示されるように、MAX領域131及びMIN領域139によって表されてもよく、及び/またはモデル化されてもよい。
【0032】
標的の不均一性は、照射操作に悪影響を与える可能性がある。
図4Cのグラフ403Aでは、照射装置100による標的130Cの照射は、この照射装置が適切な散乱媒体構成145を有する散乱媒体140を含まないため、不均一になるという好ましくない影響が示されている。縦軸は、グレイ(Gy)または別の適切な尺度(例えば、1キログラムの標的物質130Cあたり1ジュールの放射線エネルギーの吸収)で表した放射線量(RD)に対応し、横軸は時間(T)(例えば、照射時間)に対応する。照射時間の関数として、プロットラインL31Aは標的130AのMAX領域131に送達されたRDを示し、プロットラインL39AはMIN領域139に送達されたRDを示す。
【0033】
グラフ403Aに示されるように、RDが一次放射線120によって送達される比率は、MAX領域131とMIN領域139との間で異なる。より具体的には、MAX領域131の放射線量率(RDR、ここではRDR=ΔRD/ΔT)は、MIN領域139のRDRよりΔRDR
Aだけ大きい。標的130のΔRDRは、標的130Aによって(その標的特性135Aに従って)示される不均一性の程度を定量化することができ、ΔRDRの値が高いほど不均一性の程度が高くなるという特性であり、それらの値が低いほど不均一性の程度が低くなるという特性である。
図4Cの例では、標的130AのΔRDR
Aは、20%以上であってもよく、ここでは、RDR
MAX=ΔRD
MAX/ΔTまたはΔRD
L31A/ΔT、RDR
MIN=ΔRD
MIN/ΔTまたはΔRD
L39A/ΔT、及び
【数1】
である。ただし、本開示は、これに関して限定されず、任意の適切な標的特性135を有する標的130によって利用され、任意の程度の不均一性を示し得る。
【0034】
強度減衰、RD、及びRDRの例は、実質的に直線であると説明されているが(例えば、RDRMAX及びRDRMINはそれぞれL31A及びL39Aの勾配としてモデル化されるが)、本開示は、この点に関して限定されず、指数モデリング、多項式モデリング、スプラインモデリング、三次スプラインモデリング、数値解析、補間などの任意の適切なメカニズムまたは技法を使用して、標的の不均一性(例えば、IP減衰、RD、RDRなど)を表す、及び/またはモデル化するように適応され得る。いくつかの実装では、IP減衰、RD、及び/またはRDRは、テスト、経験、シミュレーション、モデリング、及び/または同様のものを通じて決定され得る。
【0035】
本明細書に開示されるような、標的の不均一性は、照射操作に悪影響を与える可能性がある。例えば、照射操作は、閾値放射線量を標的130Cに送達することを含み得る。グラフ403Aに示されるように、標的130CのMAX領域131は、時間t
1Aで閾値放射線量に達し得る。対照的に、MIN領域139は、t
2Aまで閾値放射線量に達しない場合があり、例えば、照射時間(IRT
A)をΔT
Aだけ増加させる場合があり、ここではΔT
A=t
1A-t
2Aである。ただし、照射時間が長くなると、MAX領域131など、標的130の一部の部分が過剰照射される場合があり、a)標的130Cの一部が損傷すること、b)標的130Cの一部が劣化すること(例えば、標的130Cの一部が破壊されること、標的130Cの一部が分解することなど)、c)全体の照射時間が長くなること、d)スループットが低減すること、e)線源110Cの摩耗が増加すること、f)消費電力が増加することなどがある。あるいは、照射装置100は、物理操作によって標的130に送達されるRDを正規化することを試みてもよい。例えば、照射装置100は、一次放射線120に対する標的130の向きを回転させる手段、循環させる手段、揺動する手段、またはその他の変更する手段を有することができる(物理操作手段は図示された例の詳細を不明瞭にすることを避けるために
図4Aには示されていない)。物理操作には、a)機械的複雑さの増加、b)製造及び保守コストの増加、c)消費電力の増加、d)保証の低下(物理操作でのランダム性による)、e)標的130Cへの損傷など、重大な欠点も含まれることがある。
【0036】
本明細書に開示されるように、照射装置100Cの散乱媒体140Cは、照射性能の態様を改善するように構成されることができる。散乱媒体140Cは、一次放射線120に応答して二次放射線160を生成するように構成され得る。二次放射線160は、散乱媒体140C、一次放射線120、二次蛍光、標的130Cの荷電粒子などを含む相互作用によって生成され得る。いくつかの実施形態では、二次放射線160は、散乱媒体140C内での一次放射線120による及び/または標的130Cの荷電粒子による光子の散乱である、コンプトン効果及び/またはコンプトン散乱によって生成され得る。それらのような散乱相互作用に関与するエネルギーの少なくとも一部を反跳粒子に伝達することができると、二次放射線160を放出することができる。二次放射線160は、一次放射線120と同じ(または同様の)エネルギーで放出され得る。いくつかの実施形態では、二次放射線160は、本明細書でさらに詳細に開示されるように、より低い強度を有し得る。したがって、一次放射線120は、第一、線源、能動、または生成された放射線を含んでもよく、及び/またはそのように称されてもよく、二次放射線160は、第二、応答性、受動、または散乱放射線を含んでもよく、及び/またはそのように称されてもよい。
【0037】
図4Aに示されるように、いくつかの実装では、散乱媒体140Cの適切な(または最適な)構成は、照射装置100Cの照射特性405Cに基づいて決定され得る。本明細書で使用される場合、照射特性405は、照射装置100及び/または照射装置100によって実装される照射操作に関する任意の情報を指し得る。この情報には、照射装置100の線源110の特性(例えば、線源110の放出スペクトル及び/または放出範囲)、線源110によって放出された一次放射線120の伝播方向(複数可)124、線源110によって生成された一次放射線120の特性(例えば、エネルギー、エネルギー範囲、放射線スペクトルなど)、照射装置100によって実装されたそれぞれの照射操作で利用された一次放射線120の特性、及び/または同類のものが含まれ得るが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、照射特性405は、照射装置100によって照射される標的(複数可)130(及び/または標的物質130)に関する情報をさらに含んでもよい。例えば、照射特性405は、本明細書に開示されるように、1つ以上の標的特性135を含むことができる。
【0038】
散乱媒体140に適した(または最適な)散乱媒体構成145は、照射特性405が指定する条件に少なくとも部分的に基づいて決定され得、これらの条件の下で、散乱媒体140が使用される必要がある。いくつかの実施形態では、適切な(または最適な)散乱媒体構成145は、
図4Dに示されるように、構成ロジック410によって決定され得る。構成ロジック410は、照射特性405から散乱媒体構成145を導出することに適した任意の手段を有することができ、これらの手段には、所定のルール、所定の基準、コンピュータ実装ルール、非一時的な記憶媒体に格納されたコンピュータ実行可能命令、ロジック、論理回路、プログラマブルロジック、プログラマブル論理回路、及び/または同類のものが含まれ得るが、これらに限定されない。本明細書でさらに詳細に開示されるように、構成ロジック410は、指定された照射特性405から散乱媒体構成145を導出するように適応され得、散乱媒体構成145は、物質組成142、物理構成144、厚さ146、及び/または散乱媒体140の他の特性を決定し得る。
【0039】
図4Aの例では、散乱媒体140Cに適切な(または最適な)散乱媒体構成145Cは、照射装置100Cの照射特性405Cに基づいて決定され得る。したがって、散乱媒体140Cは、照射装置100C、またはより具体的には、照射装置100Cの線源110Cによって放出される一次放射線120の特性の標的になることができる。あるいは、またはさらに、散乱媒体140Cは、照射装置100Cによって実装される指定の照射操作(例えば、指定の特性を有する一次放射線120を伴う照射操作)の標的になることができる。
【0040】
本明細書に開示されるように、散乱媒体140の物質組成142は、散乱媒体140を構成する1つ以上の物質(複数可)の原子番号(Z)を指すことができる。原子番号(Z)は、コンプトン散乱相互作用分布に少なくとも部分的に基づいて選択されることができる。散乱媒体140を構成する物質(複数可)は、一次放射線120に耐性がある(例えば、一次放射線120のエネルギーレベル(複数可)での放射線及び/またはエネルギー範囲内の放射線に耐性がある)ようにさらに構成されてもよい。
【0041】
図5Aから5Fは、コンプトン散乱相互作用分布の例を示す。
図5Aのグラフ500Aは、指定された放射線エネルギーレベル(複数可)521及び/または指定された放射線エネルギー範囲(複数可)522に適した(または最適な)物質組成142を決定するための所定のコンピュータ及び/またはロジック実装ルールを含む、コンプトン散乱相互作用分布の一例を示す。グラフ500Aでは、縦軸は原子番号(Z)に対応し、横軸は放射線エネルギー(対数スケールのメガエレクトロンボルト(MeV)単位のhv)に対応する。
【0042】
プロットライン510は、コンプトン散乱(σ)及び光電吸収(τ)が実質的に等価である条件に対応する。換言すれば、プロットライン510は、それぞれのエネルギーでの一次放射線120に応答して実質的に等価のコンプトン散乱(σ)及び光電吸収(τ)を示す物質の原子番号(Z)、例えば、σ=τ、または|σ-τ|<散乱吸収閾値の場合のZ及びhvを識別する。したがって、プロットライン510は、光電吸収プロットライン510(または吸収プロットライン510)と称されることができる。
【0043】
プロットライン512は、コンプトン散乱(σ)及び対生成(k)が実質的に等価である(例えば、σ=k、または|σ-k|<閾値、例えば散乱対生成閾値)条件を示す。対生成は、光子が二次放射線160ではなく電子-陽電子対を生成する相互作用、例えば、一次放射線120(及び/または二次蛍光)の光子と原子番号(Z)の物質の原子核との間の相互作用を指す。したがって、プロットライン512は、対生成プロットライン512と称されてもよい。
【0044】
図5Aに示されるように、プロットライン510及び512は、コンプトン散乱(σ)が光電吸収(τ)及び対生成(k)よりも優勢である散乱領域540を画定し得る。散乱領域540は、光電吸収(τ)が優勢な領域541及び対生成(k)が優勢な領域543から区別されることができる。いくつかの実施形態では、構成ロジック410は、それぞれの物質の原子番号(複数可)(Z)と放射線エネルギーとの間の相関関係、コンプトン散乱(σ)、光電吸収(τ)、及び/または対生成(k)に基づいて、散乱媒体140に適した(または最適な)物質組成142を決定するように構成され得る。より具体的には、指定のエネルギーレベル521及び/またはエネルギー範囲522での一次放射線120によって利用される散乱媒体140の物質組成142に適した(または最適な)原子番号(Z)は、指定されたエネルギーレベル521及び/またはエネルギー範囲522の散乱領域540内に入る原子番号(複数可)(Z)から選択され得る。指定のエネルギーレベル521に適した(または最適な)物質組成142を決定することは、指定のエネルギーレベル521で散乱領域540内に入る原子番号(複数可)(Z)を選択することを含み得、指定のエネルギー範囲522に適切な(または最適な)物質組成142を決定することは、指定のエネルギー範囲522内のエネルギーの散乱領域540内に入る原子番号(複数可)(Z)を選択することを含み得、以下同様である。
図5Aに示されるように、コンプトン散乱(σ)は、エネルギーが低い(すなわち、1MeV以下である)ときに光電吸収(τ)によって制限され得、コンプトン散乱(σ)は、さまざまな散乱媒体140のエネルギーが高い(すなわち、1MeVを上回る)ときに対生成(k)によって制限され得る。
【0045】
図5Bを参照すると、いくつかの実施形態では、照射装置100の散乱媒体140についての物質組成142は、照射装置100の線源110によって生成される(照射装置100の照射特性405によって指定されるような)一次放射線120のエネルギー組成520に基づいて決定されることができる。本明細書で使用される場合、エネルギー組成520は、一次放射線120及び/または線源110の任意の適切なエネルギー関連特性を指し得、これら任意の適切なエネルギー関連特性には、一次放射線120のエネルギー、エネルギーレベル521、エネルギー範囲522、放射線スペクトル、放出スペクトル、制動放射x線スペクトルなどが含まれ得るが、これらに限定されない。
図5Bに示されるように、エネルギー組成520によって決定される物質組成142-1は、一次放射線120のエネルギー組成520の少なくとも一部について散乱領域540内に入る原子番号(複数可)(Z)を有する物質(複数可)を含むことができる。
【0046】
図5Bは、散乱媒体140に適した(または最適な)物質組成142を決定するためのメカニズムのさらなる例を示す。
図5Bのグラフ501は、制動放射x線スペクトルなど、照射装置100の線源110によって放出される一次放射線120のエネルギー組成520を示す。グラフ501では、縦軸は、対数スケール(例えば、CPSなどで表した)単位のそれぞれのエネルギーでの相対放射線強度に対応する。横軸は、キロエレクトロンボルト(keV)単位の放射線エネルギーに対応する。
図2Bの例では、線源110は、40keVから600keVまでのエネルギー範囲522-1にわたる600kVのx線管を備え得る。図示のように、線源110は、タングステンなど、線源110によって利用される標的物質に対応することができる特性放射線530を放出することができる。
【0047】
図5Bに示されるように、エネルギー組成520に適した(または最適な)物質組成142-1は、グラフ500Bに示されるコンプトン散乱相互作用分布の指定されたエネルギー範囲522-1とプロットライン510及び/または512との間の交点に基づいて決定され得る。より具体的には、物質組成142-1は、エネルギー範囲522-1(40keVから600keVまで)にわたるコンプトン散乱相互作用分布の散乱領域540内に入る原子番号(複数可)(Z)を有する物質(複数可)を含み得る。グラフ500Bでは、40keVはおおよそZ=12でプロットライン510と交差し、600keVはおおよそZ=83でプロットライン510と交差する(約1MeVを超えるエネルギーは、図示された例の詳細が不明瞭になるのを避けるためにグラフ500Bから省略されている)。適切な(または最適な)物質組成142-1を決定することは、a)コンプトン散乱(σ)がエネルギー範囲522-1の下端(40keV)で光電吸収(τ)と等価である第一原子番号(Z=12)、及びb)コンプトン散乱(σ)がエネルギー範囲522-1の上端(600keV)での光電吸収(τ)と等価である第二原子番号(Z=83)を識別することを含み得る。物質組成142-1の上限は、第一及び第二Z値の下限であってもよく、または散乱領域540内の第一及び第二Z値の下限よりも低く設定されてもよい(例えば、Z=82ではなくZ=11)。したがって、物質組成142-1は、原子番号(複数可)(Z)、ここでは1≦Z≦11(例えば、Zはエネルギー範囲522-1の下端によって制限され得る)を有する物質(複数可)を含むことができる。
【0048】
同様のロジック(例えば、構成ロジック410)を使用して、他のエネルギー範囲522に適切な(または最適な)物質組成142を決定することができる。例えば、物質組成142-2は、80keVから225keVなどのエネルギー範囲522-1のサブセットを標的にすることができるため、物質組成142-2は、20でZの上限(光電吸収プロットライン510上の80keVでの約21のZ値に基づいたもの)を有する。別の例では、物質組成142-3は、エネルギー組成520の特性放射線530(50keVから約70keVまで)にわたるように構成され得るため、14でZの上限(プロットライン510上の50keVでの約15のZ値に基づいたもの)になり得、以下同様である。
【0049】
いくつかの実装では、指定されたエネルギーレベル521に適切な(または最適な)物質組成142を(構成ロジック410または他のメカニズムによって)決定し得る。例えば、20keVでの一次放射線120に適応した物質組成142-4は1≦Z≦8を含み得(Zは20keVでの光電吸収プロットライン510上で約9であるため)、140keVでの一次放射線120のために構成された物質組成142-5は1≦Z≦30を含み得、180keVでの一次放射線120に適応した物質組成142-6は1≦Z≦35を含み得、500keVでの一次放射線120に適応した物質組成142-7は1≦Z≦76を含み得、以下同様である。
【0050】
図5Cは、散乱媒体140に適した(または最適な)物質組成142を決定するための技法のさらなる例を示す(例えば、構成ロジック410の例について)。
図5Cの例では、物質組成142-8は、エネルギー範囲522-8の下端(40keV、グラフ500Cに示されるように、プロットライン510上のおおよそZ=11に対応する)のために構成され得る。エネルギー範囲522-8の上端は、例えば、コンプトン散乱(σ)が対生成(k)と等価である場合、Z=11と対生成プロットライン512との間の交点によって制限され得る。Z=11とプロットライン512との間の交点は約10.9MeVにあるため、物質組成142-8は、40keVから10.9MeVまで、または[40keV,10.9MeV]までのエネルギーを含む一次放射線120に適切であり得る(または最適であり得る)。10.9MeV以上のエネルギーでは、物質組成142は、対生成プロットライン512及び原子番号(Z)によって制限され得る。別の例では、適切な(または最適な)物質組成142-9は、エネルギー範囲522-9の下端(80keV、プロットライン510上のおおよそZ=21に対応する)のために構成され得る。エネルギー範囲522-9の上端は、グラフ500Cに示されるように、約10.9MeVである、Z=21とプロットライン512との間の交点によって制限され得る。したがって、物質組成142-9は、80keVから10.1MeVまで、または[40keV,10.1MeV]までのエネルギーを含む一次放射線120に適切であり得る(または最適であり得る)。10.9MeVを上回るエネルギーでは、原子番号(Z)は、対生成プロットライン512との交点によって制限され得る。
【0051】
図5Dでは、適切な(または最適な)物質組成142を決定するための技法のさらなる例(例えば、構成ロジック410のさらなる例)が示されている。
図5Dの例では、物質組成142-10は、エネルギー範囲522-10の上端(11.8MeV、対生成プロットライン512上のおおよそZ=11に対応する)のために構成され得る。エネルギー範囲522-10の下端は、グラフ500Dに示されるように、約20keVである、Z=9と光電吸収プロットライン510との間の交点によって制限され得る。したがって、物質組成142-10は、11.8MeVから下の20keVまで、または[20keV,11.8MeV]までのエネルギーを含む一次放射線120に適切であり得る(または最適であり得る)。20keV以下のエネルギーでは、Zは、光電吸収プロットライン510によって制限され得る。別の例では、適切な(または最適な)物質組成142-11は、対生成プロットライン512とおおよそZ=45で交差し得る、エネルギー範囲522-11の上端(7MeV)を標的にすることができる。図示のように、エネルギー範囲522-11の下端は、約240keVで、Z=45と光電吸収プロットライン510との間の交点によって制限され得る。したがって、物質組成142-11は、7MeVから下の240keVまでのエネルギーを含む一次放射線120に適切であり得る(または最適であり得る)。
【0052】
表3は、
図5Aから5Dに示されるように、指定のエネルギーレベル(複数可)521で、及び/または指定のエネルギー範囲522内で一次放射線120によって利用される散乱媒体140に適した(または最適な)物質組成142の例をリストにする。
【表3】
【0053】
原子番号(複数可)Z≦8を含む物質組成142は、炭素系材料、ポリマー、有機ポリマー、プラスチック、可塑性ポリマー、合成ポリマー、サーモプラスチック、熱可塑性ポリマー、ナイロン、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン、ポリオキシメチレン(POM)、アセタール、アセタール樹脂、アセタールプラスチック、ポリアセタール、ポリホルムアルデヒド、HDPEなどのうちの1つ以上を含み得る。原子番号(複数可)Z≦13を含む物質組成142は、アルミニウム、アルミニウム合金などのうちの1つ以上をさらに含んでもよい。いくつかの実装では、散乱媒体140のために決定された物質組成142は、選択された物質を指定することができる(例えば、散乱媒体140はHDPEなどの選択された物質の種類から実質的に構成されることができる)。あるいは、物質組成142は、複数の物質を含んでもよい。それぞれのタイプの一次放射線120によって使用されるように適応された散乱媒体140のために選択された物質(複数可)は、それぞれのタイプの一次放射線120に耐性があるようにさらに構成され得る。
【0054】
図5AからD及び表3は、指定のエネルギー組成520、エネルギーレベル521及び/またはエネルギー範囲522に適した(または最適な)物質組成142の特異的な例を説明しているが、本開示は、この点に関して限定されず、任意の適切なエネルギー組成520、エネルギーレベル521、及び/またはエネルギー範囲522を有する一次放射線120によって利用される散乱媒体140に適切な(または最適な)物質組成142を決定するように適応され得る。さらに、いくつかの実装では、物質組成142は、光電プロットライン510及び/または対生成プロットライン512の閾値または閾値内の原子番号(Z)を有する物質(複数可)を含み得る。換言すれば、エネルギー範囲522について決定された物質組成142は、エネルギー範囲522の少なくとも一部について領域241または243内に入る(及び/またはエネルギー範囲522にわたる散乱領域540から閾値距離内にある)原子番号(複数可)(Z)を有する物質(複数可)を含むことができる。閾値(物質の閾値など)は、テスト及び経験に従って設定されることができる。
【0055】
いくつかの実施形態では、散乱媒体140がそれぞれの照射装置100内に展開されるために適切な(または最適な)物理構成144は、それぞれの照射装置100の照射特性405に少なくとも部分的に基づいて決定され得る。
図4Aの例では、散乱媒体140Cの物理構成144Cは、照射装置100Cの照射特性405Cに基づいて決定され得る。散乱媒体140の物理構成144は、散乱媒体140の形状、散乱媒体の体積、散乱媒体の寸法、照射装置100内の散乱媒体140の向きまたは位置、照射装置の線源110に対する散乱媒体140の向きまたは位置、線源110によって放出される一次放射線120に対する散乱媒体140の向きまたは位置、一次放射線120の放出方向(複数可)124に対する散乱媒体140の向きまたは位置、照射装置100の標的130に対する散乱媒体140の向きまたは位置、散乱媒体140の厚さ146などのうちの1つ以上を指し得る。本明細書に使用される場合、散乱媒体140の厚さ146は、指定された尺度または軸に沿った散乱媒体140の厚さまたは深さの尺度(例えば、深さの軸または尺度、厚さの軸または尺度など)を指し得る。いくつかの実装では、散乱媒体140の物理構成144は、散乱媒体140の深さ軸を一次放射線120の伝播方向(複数可)124とアライメントするように構成され得る(例えば、散乱媒体140の厚さ146はそれぞれの伝播方向(複数可)124に沿った尺度に対応することができる)。例えば、物理構成144は、散乱媒体140の深さ軸を一次放射線120の中心ビームの伝播方向124とアライメントするように構成され得る。あるいは、またはさらに、物理構成144は、標的130に対する一次放射線120の伝播方向(複数可)124に対応し得る、一次放射線120によって生成された荷電粒子が散乱媒体140を透過する方向(複数可)と散乱媒体140の深さ軸をアライメントするように(例えば、コンプトン散乱相互作用及び対応する二次放射線160を生成するように)構成されることができる。
【0056】
いくつかの実施形態では、散乱媒体140の厚さ146は、増加した厚さ146からの利益が閾値(例えば、収穫逓減点)を下回る透過深さまたは距離(pd)に設定され得る。例えば、厚さ146は、散乱媒体140の散乱断面積(σCS)が散乱媒体140の吸収断面積(τCS)と等価である、及び/またはその吸収断面積を少なくとも閾値(例えば、散乱吸収閾値または比率)だけ上回ると予測される透過距離(pd)に設定され得る。本明細書でさらに詳細に開示されるように、散乱媒体140の散乱または散乱中の断面積(σCS)は、散乱媒体140を介した(例えば、散乱媒体140の厚さ146を介した)標的130の一次放射線120、二次蛍光、及び/または対応する荷電粒子の透過中に、散乱相互作用によって生成された二次放射線160の合計または累積量を指し得る。吸収断面積(τCS)は、散乱媒体140内への(及びそこからの)透過中の一次放射線120、二次蛍光、荷電粒子、及び/または結果として生じる二次放射線160の合計または累積光電吸収を指し得る。散乱媒体140の厚さ146は、散乱媒体140の散乱断面積(σCS)、及び散乱媒体140の吸収断面積(τCS)に少なくとも部分的に基づいて設定され得る。散乱媒体140の散乱断面積(σCS)が散乱媒体140の吸収断面積(τCS)を少なくとも閾値だけ上回る点に設定されることができる。
【0057】
散乱媒体140内のコンプトン散乱相互作用の確率は、透過距離(pd)の関数として増加し得る。したがって、散乱媒体140によって生成される二次放射線160の量は、厚さ146が増加するにつれて増加し得る。例えば、散乱媒体140内のそれぞれの透過距離(pd)で生成される二次放射線160の強度または量は、f
σ(pd)として表されることができる。それぞれの透過距離(pd)での合計または累積コンプトン散乱(σ)、散乱断面積(σ
CS)は、f
σ(pd)で表されることができ、ここでは
【数2】
であるため、散乱断面積(σ
CS)は、厚さ146の増加など、伝播距離(pd)が増加するにつれて増加する。
【0058】
散乱媒体140内で生成される二次放射線160の強度は、散乱媒体140の光電吸収(τ)の関数でもあり得る。光電吸収(τ)は、透過距離(pd)の関数として増加する場合もある。ただし、コンプトン散乱(σ)とは対照的に、光電吸収(τ)は、散乱媒体140によって放出される二次放射線160の量及び/または強度を低減させるように作用する可能性がある。いくつかの実装では、散乱媒体140内のそれぞれの伝播距離(pd)での光電吸収(τ)はf
τ(pd)として表されることができ、散乱媒体140の合計または累積光電吸収(τ)、吸収断面積(τ
CS)は、
【数3】
として表されることができる。したがって、散乱媒体140の吸収断面積(τ
CS)は、厚さ146が増加するにつれて増加する場合もある(その結果、対応して、散乱媒体140によって生成される二次放射線160の量または強度が低減する)。
【0059】
上記に示されるように、散乱媒体140の散乱断面積(σCS)及び吸収断面積(τCS)の両方は、厚さ146が増加するにつれて増加し得る。散乱媒体140の散乱断面積(σCS)の増加により、散乱媒体140が生成した二次放射線160の量及び/または強度が増加する場合がある。ただし、散乱媒体140の吸収断面積(τCS)は、厚さ146が増加するにつれて増加する場合もある。散乱媒体140の吸収断面積(τCS)は、厚さ146が増加することの利点を減少させる(そして最終的には無効にする)場合があり、例えば、散乱媒体140内で透過距離(pd)を増加させるときに生成される二次放射線160の量及び/または強度を低減させる場合がある。
【0060】
図6Aのグラフ600に示されるように、厚さ146が増加することの利点は、厚さ146が増加するにつれて減少する可能性がある。グラフ600では、縦軸は散乱媒体140によって生成される二次放射線160の増加する強度(I
S)を表し、横軸は散乱媒体140の増加する厚さ146を表す。図示のように、二次放射140の量及び/または強度(I
S)は、散乱断面積(σ
CS)が吸収断面積(τ
CS)よりも優勢である薄い厚さ146で急速に増加し得る。厚さ146がさらに増加することの利点は、減少する可能性があり、散乱断面積(σ
CS)が増加することによって得られる利点を散乱媒体140の吸収断面積(τ
CS)が無効にするより厚い厚さ146では、最終的に無視できるようになる可能性がある。換言すれば、それぞれの厚さ146を有する散乱媒体140によって生成される二次放射線160の量及び/または強度は、それぞれの厚さ146での散乱媒体140の散乱断面積(σ
CS)及び吸収断面積(τ
CS)の関数、例えば、I
S(pd)=σ
CS(pd)-τ
CS(pd)、I
S(pd)=f
σ(pd)-f
τ(pd)、
【数4】
などであり得る。
【0061】
いくつかの実施形態では、散乱媒体140の厚さ146は、本明細書に開示されるように、σCS(pd)=τCS(pd)またはσCS(pd)-τCS(pd)>TSAである、伝播距離(pd)に設定されてもよく、式中TSAは所定の散乱吸収閾値である。代替に、またはさらに、散乱媒体140の厚さ146は、ISまで増加して(存在する場合)閾値を下回る伝播距離(pd)、例えば、fσ(pd)=fτ(pd)またはfσ(pd)-fτ(pd)<TSRであるpdに設定されてもよく、式中TSRは所定の散乱増加率の閾値である。換言すれば、厚さ146は、コンプトン散乱(σ)が光電吸収(τ)と等価である、及び/またはその光電吸収を散乱増加率の閾値(TSR)だけ上回る伝播距離(pd)に設定され得る。
【0062】
いくつかの実装では、散乱媒体140の厚さ146は、予測された二次放射線160の強度(IS)に基づいて設定されることができる。グラフ600に示されるように、散乱媒体140の厚さ146は、伝播距離(pd)に設定されることができ、この伝播距離では、散乱媒体140によって生成される二次放射線160の量及び/または強度は、最大強度値(IS_MAX)の閾値(IT)内であると予測される。最大強度値(IS_MAX)は、一次放射線120の強度に比例する場合がある。いくつかの実装では、最大強度値(IS_MAX)は、テスト、経験、シミュレーション、モデリング、及び/または同様のものによって決定され得る。
【0063】
本明細書に開示されるように、いくつかの実施形態では、散乱媒体の厚さ146は、収穫逓減点に設定され得る。収穫逓減点は、本明細書に開示されるように、散乱増加閾値(T
SI)などの閾値を下回る厚さ146までさらに増加することによって得られるI
Sまで増加する、伝播距離(pd)または厚さ146に対応し得る。
図6Aの例では、I
Sが厚さ146によって増加する比率は、散乱増加率または厚さ有用性メトリック(TKU)、TKU=ΔI
S/ΔpdまたはΔI
S/Δ厚さ146として表されることができる。それぞれの伝播深さ(pd)での散乱増加率(またはTKU)は、厚さ146をさらに増加させることの有用性を定量化することができる。
図6Aに示されるように、散乱増加率(TKU)は、当初は高い場合があるが、吸収断面積(τ
CS)が増加することが原因で、低くなり、最終的にはゼロに収束する場合がある。散乱媒体140の厚さ146は、本明細書で開示されるように、散乱増加率(またはTKU)が散乱増加閾値(T
SI)などの閾値を下回る点に設定され得る。
【0064】
二次放射線160は、一次放射線120に応答して散乱媒体140によって生成されると、一次放射線120に対して(例えば、一次放射線120の伝播方向124に対して)それぞれの散乱角度で放出され得る。二次放射線160の散乱角度分布は、一次放射線120のエネルギー組成520の関数であり得る。
図6Bは、2.75エレクトロンボルト(eV)(プロットライン610)、60keV(プロットライン612)、511keV(プロットライン614)、1.46MeV(プロットライン616)、及び10MeV(プロットライン618)を含む、それぞれのエネルギーレベルでの一次放射線120に応答して散乱媒体140によって生成されたKlein-Nishina散乱角度分布(または散乱角度断面図)の例を示すプロット601を含む。
【0065】
図示のように、散乱媒体140は、散乱角度分布のサブセットを含むことができる、後方散乱分布620で、及び/またはその内で二次放射線160を生成することができる。後方散乱分布620は、一次放射線120の伝播方向124から90°以上オフセットにある散乱角度(例えば、約90°から約270°までの散乱角度)を含むことができる。
図6Bは、二次放射線160を標的130に向けるように構成された散乱角度を含み得る照射分布624の例をさらに示す。照射分布624は後方散乱分布620のサブセットを含むことができ、照射分布624は、一次放射線120の伝播方向124から約120°以上オフセットされた散乱角度(例えば、約120°から約240°までの散乱角度)を含むことができる。照射分布624内で放出される二次放射線160の強度は、一次放射線120の強度に比例し得る。例えば、標的130の少なくとも一部を照射することができる二次放射線160の最大強度(I
S_MAX)は、I
S_MAX=P
eI
PまたはI
S_MAX=P
eE
Pとして表されることができ、式中、I
Pは一次放射線120の強度を表し、E
Pは一次放射線120によって生成される荷電粒子のエネルギーを表し、P
eは一次放射線120のエネルギーレベルに基づいていることができるスケーリング係数(または比)である。
図6Bに示されるように、P
eは放射線エネルギーに反比例し得、P
eは、2.75eV(410)から60keV(412)などの低エネルギーで1/2より大きくなり得、約511eV(414)で1/6より大きくなるように減少し得、約1.46MeV(416)で1/12より大きいものになり得、10MeV(418)以上では無視できる値に近づき得る。
【0066】
いくつかの実施形態では、散乱媒体140のために決定された物理構成144は、散乱媒体140の深さ軸(または厚さ146)を一次放射線120の伝播方向124とアライメントするように構成され得る。深さ軸と一次放射線120との間のアライメントは、照射分布624内で放出される二次放射線160をもたらし得る。いくつかの実装では、散乱媒体140の深さ軸と一次放射線120の伝播方向124との間のアライメントは、標的130の少なくとも一部を照射することができる二次放射線160の量を最大化するように適応され得る。
【0067】
図4Aに戻り参照すると、照射装置100Cの散乱媒体140Cは、散乱媒体構成145Cに従って構成されることができる。散乱媒体構成145Cは、本明細書に開示されるように、照射装置100Cの照射特性405Cに基づいて決定され得る。したがって、散乱媒体140Cは、本明細書に開示されるように、態様または照射性能を改善する(例えば、ΔRDRを10%以下に減少させる、RDRを10%以上増加させる、照射時間を10%以上減少させるなど)ように構成され得る。
【0068】
図4Eのグラフ103Bは、照射装置100Cの照射特性405Cに従って決定された適切な(または最適な)散乱媒体構成145Cを有する散乱媒体140Cによってもたらされる照射性能の改善の例を示す。プロットラインL31B及びL39Bは、標的130CのMAX領域131及びMIN領域139にそれぞれ送達されたRDを示す。図示のように、散乱媒体140Cは、標的の不均一性をΔRDR
A(約20%)から下げて約3%のΔRDR
SMまで減少させ得る(ΔRDRを約17%減少させ得る)。散乱媒体140Cによる二次放射線160の放出が原因で、MAX領域131とMIN領域139との両方のRDRは、グラフ103Aと比較して増加する可能性があり、MAX領域131が閾値放射線量に達する時間t
1SMは、時間t
1Aよりも約15%短くなり得る。さらに、MIN領域139の照射時間(t
2SMまたはIRT
SM)は、散乱媒体140Cを使用しない場合の照射時間(IRT
A)よりも約32%(例えば、ΔRDRが減少することが原因で17%、及びRDRが増加することが原因で15%)短くなり得る。
【0069】
上記に示されるように、散乱媒体140Cは、標的130のΔRDRを約17%減少させ、照射時間を約32%減少させることができる。したがって、散乱媒体140は、適切なまたは適切に構成された散乱媒体140C(例えば、ΔRDRを10%以下に減少させる、照射時間を10%以上減少させる、RDRを10%以上増加させる、RDを10%以上増加させる、及び/または同様の散乱媒体140)を含むことができる。
【0070】
図7は、照射装置100Dのもう1つの例を示す。
図7の例では、照射装置100Dの線源110Dは、一次放射線120を放出するように構成され得る。一次放射線120は、標的特性135Dを有する標的130Dの少なくとも一部を照射するように構成され得る。
図7の例では、標的130Dの向き及び/または位置により、一次放射線120は、平行でない伝播方向124(例えば、伝播方向124Aから124N)で標的130Dを透過することがある。あるいは、線源110Dは、一次放射線120のビームを広角パターンで(伝播方向124AからNで)放出するように構成されることができる。
図7は、伝播方向124AからNに実質的に平行である平面に沿った照射装置100Dの断面図を示す。標的物質130Dは、本明細書に開示されるように(例えば、MAX領域131及びMIN領域139によって表されるように)、一次放射線120の不均一な線量を受けることがある。
【0071】
図7の実装では、照射装置100Dは、本明細書に開示されるような(決定された散乱媒体構成145Dによる)、照射装置100Dの照射特性405Dに従って構成され得る、散乱媒体140Dを含む。散乱媒体140Dのために決定された物理構成144Dは、散乱媒体140Dの深さ軸744を、一次放射線120の平行でなく広角の伝播方向124とアライメントするように構成され得る。より具体的には、物理構成144Dは、散乱媒体140Dのそれぞれの深さ軸744-Nを、一次放射線120のそれぞれの伝播方向124AからNとアライメントする(例えば、深さ軸744A、744J、及び744Nを伝播方向124A、124J、及び124Nとアライメントするなどの)ように構成されることができる。いくつかの実施形態では、物理構成144Dは、
図7に示されるように、凸、凹、及び/または半球の形状に対応し得る。
【0072】
図8Aは、照射装置100Eのもう1つの例を示す。照射装置100Eは、標的130及び/または標的物質130を保持するように構成されたレセプタクル810(レセプタクル810A)を備えてもよい。レセプタクル810Aは、パレット、トレイ、平面部材、プランク、箱、キャニスタ、缶、入れ物、ケース、容器、ボウルなどを含むが、これらに限定されない、標的130及び/または標的物質130の支持、保持、固定、及び/またはその他の維持を行うのに適切な任意の手段を含み得る。レセプタクル810Aは、照射装置100Eの線源110Eによって生成される放射線に耐性のある材料を含む、任意の適切な材料(複数可)から形成され得る。
図8Aの例では、レセプタクル810Aは、基部及び複数の側壁部材(例えば、図示された例の詳細を不明瞭にすることを避けるために示されていない4つの側壁部材、前側及び後側の側壁部材)を含むトレイ状の物理構成を有することができる。
図8Aの例では、レセプタクル810Aは、標的特性135Eを有する標的物質130Eを保持する。
【0073】
散乱媒体140Eは、レセプタクル810A内(例えば、レセプタクル810Aの基部上)に配置されることができる。散乱媒体140Eは、本明細書に開示されるような(散乱媒体構成145Eによる)、照射装置100Eの照射特性405Eに適応され得る。
図8Aに示されるように、散乱媒体140Eの厚さ146Eは、レセプタクル810A(及び/またはその基部)の厚さ及び/または深さとは異なり得る。散乱媒体140Eは、レセプタクル810Aよりも著しく厚くなってもよく、及び/または深くなってもよい。散乱媒体140Eの比較的大きい厚さ及び/または深さは、本明細書に開示されるように、散乱媒体140E内のコンプトン散乱相互作用を促進するように適応され得る。したがって、レセプタクル810Aが散乱媒体140Eと同じまたは類似の物質組成142Eを有するとしても、レセプタクル810Aは、照射性能に有意な改善をもたらさない(散乱媒体140または適切な散乱媒体140を含まない)。
【0074】
図8BからHは、照射装置100内に標的130及び/または標的物質130を維持するように構成されたレセプタクル810の追加の例を示す。
図8Bの例では、散乱媒体140E-1は、レセプタクル810Bの基部の少なくとも一部を形成することができる。
図8Cの例では、レセプタクル810Cの基部及び1つ以上の側壁部材の少なくとも一部は、散乱媒体140E-2から形成されることができる。
図8Dの例では、レセプタクル810Dの側壁部材を含む散乱媒体140E-3は、切欠部、溝部815などの適切な機構によって基部に取り外し可能に取り付けられてもよく、またはインターロックされてもよい。
図8Eの例では、レセプタクル810Eは、実質的に平坦または平面構成を有するように形成され得る。散乱媒体140E-4は、レセプタクル810Eの基部の少なくとも一部を構成する及び/または実装する。
【0075】
図8FからHに示される例では、レセプタクル810は、凸状または半球状の物理構成(例えば、ボウル形状)を有するように構成され得る。
図8Fに示されるように、散乱媒体140E-5は、レセプタクル810Fの内面と標的物質130との間に配置され得る。
図8Gの例では、散乱媒体140E-6は、レセプタクル810Gの半球部分を形成することができる。
図8Hの例では、散乱媒体140E-7は、レセプタクル810Hの半球部分及び基部を形成することができる。
【0076】
図9は、照射装置100(照射装置100F)のもう1つの例を示す。
図9の例では、一次放射線120は、標的物質130Fを(例えば、標的特性135F、線源110Dの特性などが原因で)平行でない伝播方向124AからNで照射することができる。散乱媒体140Fは、レセプタクル810Iの内面に沿って配置されることができる。散乱媒体140Fは、本明細書に開示されるような(決定された散乱媒体構成145Fによる)、照射装置100Fの照射特性405Fに従って構成され得る。散乱媒体140Fの物理構成144Fは、散乱媒体140Fの深さ軸を、一次放射線120の伝播方向(複数可)124とアライメントするように適応され得る。いくつかの実施形態では、散乱媒体140Fの部分は、本明細書に開示されるように、取り外し可能及び/または交換可能であってもよい。
【0077】
図10は、線源110Dを有する照射装置100Dのもう1つの例を示す。照射装置100Dは、標的特性135Gを有する標的物質130Gを照射するように構成され得る。
図10の例では、照射装置100Gは、散乱媒体140Gを備えることができる。散乱媒体140Gは、照射装置100Fの照射特性405Fに少なくとも部分的に基づいて構成され得る。図示のように、散乱媒体140Gは、照射装置100Gの筐体102の1つ以上(または2つ以上)の内面の上に配置されることができる。散乱媒体140Gは、筐体102の側面、前面、背面、及び/または底面の上に配置され得る。いくつかの実装では、散乱媒体140Gは、筐体102の上部内面、アクセス機構206の内面、及び/または同様のものの上に配置されることができる。
【0078】
図11Aは、照射装置100Hの別の例を示す。図示のように、照射装置100Hの筐体102は、1つ以上のレセプタクル810を保持するように構成され得る。レセプタクル810は、容器1110を含み得る。容器1110は、それぞれの標的130、及び/またはそれぞれの量の標的物質130を保持するように構成され得る。
図11Aの例では、標的特性135Hを有する標的物質130Hは、それぞれの容器1110内に配置される。照射装置100Hは、容器1110を筐体102内に配置すること、筐体102から取り外すこと及び/または同様のことができるアクセス機構を含むことができる(図示された例の詳細を不明瞭にすることを避けるために、アクセス機構は
図11Aには示されていない)。
【0079】
容器1110は、筐体102内で垂直方向、水平方向などの任意の適切な向きに固定されることができる。いくつかの実装では、
図11Bに示されるように、容器蓋1112または他の機構は、容器1110内に標的物質130を固定して維持するように構成されることができる。いくつかの実施形態では、容器1110は円筒形状を有してもよい。ただし、本開示は、これに関して限定されず、任意の適切な物理構成を有する容器1110を使用するように適応され得る。
【0080】
図11Aに示されるように、1つ以上の容器1110を照射装置100Hの線源110Hの周りに配置することができる。いくつかの実施形態では、線源110Hは、実質的に放射状または円形状のパターンで(例えば、伝播方向(複数可)124の360°の範囲内で)一次放射線120を放出するように構成され得る。代替として、線源110Hは、より狭い角度範囲、または少なくとも部分的に放射状または円形状パターン内で一次放射線120を放出するように構成されることができ、容器1110が線源110Hを中心に回転することができることで、各容器1110が線源を周期的に通過する(
図11Fの例に示されるように)。
【0081】
容器1110内の標的物質130Hは、一次放射線120の不均一な線量を受けることがある。
図11Cに示されるように、容器1110は、線源110Hに最も近い標的物質130Hを含むMAX領域131と、線源110Hから最も遠い標的物質130Hを含むMIN領域139とを有することができる。
【0082】
いくつかの実装では、標的の不均一性の影響を改善する試みの中で、物理操作を使用することができる。例えば、容器1110は、
図11Cに示されるように、照射中に方向1132に回転することができる。そのような物理操作は、照射装置100Hの複雑さ(及びコスト)を大幅に増加させる可能性がある。さらに、そのような物理操作が実施されたとしても、容器1110の内側領域1139(例えば、MIN領域139)内に配置された標的物質130の部分と外側領域1131(例えば、MAX領域131)内に配置された部分との間に有意なΔRDRが残る可能性がある。
【0083】
図11Aの実装では、照射装置100Hは、本明細書に開示されるように照射性能の態様を改善するように構成されることができる、散乱媒体140Hを含み得る。散乱媒体構成145Hは、照射装置100Hの照射特性405Hに従って適応されることができる。
図11Aの例では、散乱媒体140Hは、筐体102の1つ以上(または2つ以上)の内面(複数可)の上に配置され得る。いくつかの実施形態では、散乱媒体140Hは、筐体102の前部及び後部(または頂部及び底部)の内面の上にも配置され得る(図示された例の詳細を不明瞭にすることを避けるために、
図11Aには示されていない)。
【0084】
図11Dは、照射装置100Iのもう1つの例を示す。照射装置100Iの散乱媒体140Iは(
図11Eにさらに示されるように)実質的に円筒形状に形成されてもよい。散乱媒体構成145Iは、本明細書に開示されるように、照射装置100Iの照射特性405Iに従って決定され得る。
図11Dの例では、散乱媒体140Iの物理構成144Iは、本明細書に開示されるように、散乱媒体140Iの深さ軸を、一次放射線120の伝播方向(複数可)124とアライメントするように適応され得る。いくつかの実装では、散乱媒体140Iの内面は、本明細書に開示されるように、容器1110内の標的物質130Iに向かい戻る二次放射線160の生成を容易にし得るように、一次放射線120に実質的に直交するように構成されることができる。
【0085】
図11Fは、照射装置100Jの別の例を示す。
図11Fの例では、照射装置100Jの容器1110Jは、それぞれの散乱媒体140Jを含んでもよく、及び/またはそれらに結合されてもよい(各容器1110Jはそれぞれの標的物質130Jを保持するように構成される)。散乱媒体140Jのために決定された散乱媒体構成145Jは、本明細書に開示されるように、照射装置100Jの照射特性405Jに少なくとも部分的に基づいていることができる。いくつかの実施形態では、散乱媒体140Jは、それぞれの容器1110Jの円筒壁部の一部を形成することができる。例えば、散乱媒体140Jは、線源110Hから最も遠い(例えば、円筒壁部の外側部分の約200°から315°の間に)円筒壁部の部分を形成することができる。
図11Fでは、図示された例の詳細が不明瞭になるのを避けるために、線源110Hによって放出される一次放射線120(及び散乱媒体140Jによって放出される対応する二次放射線160)の一部のみが示される。
【0086】
図11Gから11Iは、照射装置100H、100I、または100Jなどの照射装置100の筐体102内に標的物質130を保持するように構成された容器1110のさらなる例を示す。
図11Gの例では、散乱媒体140J-1は、容器1110Kの円筒壁部の外面の上に配置されることができる。
図11Hの例では、散乱媒体140J-2は、容器1110Lの円筒壁部の内面の上に配置されることができる。
図11Iの例では、容器1110Mの円筒壁部は、散乱媒体140J-3から形成されることができる。
【0087】
バッチタイプの操作を実施するように構成された照射装置100の例が本明細書に記載されているが、本開示は、これに関して限定されず、連続供給照射操作などの他のタイプの照射操作を実施するように構成された照射装置100による使用に適応され得る。
図12Aは、連続供給照射操作を実施するように構成された照射装置100Kの一例を示す。照射装置100Kは、標的特性135Kを有する標的物質130Kを処理するように構成され得る。標的物質130Kは、それぞれのレセプタクル810K(またはそれぞれの容器1110)上に、及び/またはそれらの内に保持され得る。照射装置100Kの線源110Kは、筐体102の内部容積112中に、及び/またはその内に一次放射線120を放出するように構成され得る。一次放射線120は、筐体102内の照射ゾーン1222中に向けられ得る。
【0088】
さらに照射装置100Kは、コンベヤ1210を含み得、このコンベヤは、標的物質130Kが筐体102の入口1212に(第一アクセス機構206Aによって)入り、照射ゾーン1222を通り、筐体102の出口1214を(第二アクセス機構206Bによって)出て、移送されるように構成され得る。標的物質130Kは、それぞれのレセプタクル810K内に配置されると、それぞれのレセプタクル810Kがコンベヤ1210によって移送されて照射ゾーン1222を通るときに照射されてもよい。標的物質130が照射ゾーン1222内に維持される時間は、照射時間及び/または標的物質130に送達されるRDを決定し得る。
図12Aの例では、レセプタクル810K-1内の標的物質130K-1は、第一アクセス機構206Aによって筐体102に入っており、部分的に照射ゾーン1222内にあり、レセプタクル810K-2内の標的物質130K-2は、部分的に照射ゾーン1222内にあり(照射ゾーン1222を出て行きつつあり)、レセプタクル810K-3内の標的物質130K-3は、照射ゾーン1222を通過する間に照射された後、第二アクセス機構206Bによって筐体102を出た。レセプタクル810Kは、散乱媒体140K(例えば、散乱媒体140K-1から140K-3)を含むことができる。散乱媒体140Kの散乱媒体構成145Kは、本明細書に開示されるように、照射装置100Kの照射特性405Kに従って照射性能の態様を改善するように適応され得る。
【0089】
図12Bは、連続供給照射操作を実施するように構成された照射装置100Lの別の例を示す。
図12Bの例では、標的特性135Lを有する標的物質130Lは、コンベヤ1210上に受け取られることができる。標的物質130は、実質的に連続方式で受け取られることができる。アクセス機構206Aは、標的物質130Lを筐体102の内部容積112内に受容し、放射線がそこから漏れるのを防止するように構成されることができる。
【0090】
制御ロジック201は、コンベヤ1210が照射ゾーン1222を通して標的物質130Lを移動させるときに、一次放射線120を放出するように線源110Lを構成することができる。制御ロジック201は、標的物質130Lが指定されたRDを受けるように(及び/または指定された照射時間、照射ゾーン1222内にとどまるように)、標的物質130が照射ゾーン1222を通って移動するようにコンベヤ1210を構成することができる。標的物質130Lの照射部分(複数可)1232は、照射装置100の出口1214で(例えば、第二アクセス機構206Bによって)回収され得る。
【0091】
照射装置100Lは、散乱媒体140Lをさらに含んでもよい。散乱媒体140Lの散乱媒体構成145Lは、本明細書に開示されるように、照射装置100Lの照射特性405Lに適応され得る。
図12Bの例では、散乱媒体140Lをコンベヤ1210上に配置することができる。散乱媒体140Lは、コンベヤ1210のベルトまたは他の構成要素を含んでもよい。あるいは、またはさらに、散乱媒体140Lは、コンベヤ1210上に、及び/またはその内に配置されてもよい。
図12Bに示されるように、散乱媒体140Lは、コンベヤ1210のベルトまたは他の構成要素上に配置されるように構成され得る、複数のパネルまたはセグメントを含んでもよい。散乱媒体140Lの散乱媒体構成145Lは、照射装置100Lの照射特性405Lに少なくとも部分的に基づいた構成ロジック410によって決定されることができる。
【0092】
図13は、照射アプリケーションを実装するように照射装置100を構成するための、及び/または照射アプリケーションを実装するように構成された照射装置100を使用するためのシステム1300の一例を示す。システム1300は、コンピューティングデバイス1301のコンピューティングリソース1302上で動作するように構成され得る構成エンジン1310を含み得る。コンピューティングリソース1302は、プロセッサ1302-1、メモリ1302-2、NVストレージ1302-3、データインタフェース1302-4、HMI1302-5などを含むことができるが、これらに限定されない。構成エンジン1310は、コンピューティングデバイス1301のNVストレージ(及び/または他の非一時的な記憶媒体)に格納されたコンピュータ可読命令を含んでもよく、及び/またはそれらによって具現化されてもよい。あるいは、またはさらに、構成エンジン1310の部分は、論理回路、処理回路、ASIC、FPGAなどのハードウェアコンポーネントによって実装されてもよく、及び/または具現化されてもよい。
【0093】
構成エンジン1310は、指定された照射特性405を有する照射装置100によって実装される照射アプリケーションに関する仕様データ1305を受信することができる。仕様データ1305は、非一時的な記憶媒体での格納、電子通信ネットワークでの通信、及び/またはコンピューティングデバイス1301の処理リソースによる解釈のために構成された電子的にエンコードされた情報を含んでもよく、及び/またはそれによって具現化されてもよい。構成エンジン1310は、指定された照射アプリケーションのための照射構成1312を生成することができる。本明細書でさらに詳細に開示されるように、照射構成1312は、一次放射線構成1322及び/または散乱媒体構成145を含み得る。一次放射線構成1322は、指定の標的特性135を有する標的物質130に指定の閾値放射線量を送達する(本明細書に開示されるように、一次放射線120を放出する)ように照射装置100の線源110を構成することができる。散乱媒体構成145は、本明細書で開示されるように、物質組成142、物理構成144、厚さ146、及び/または照射性能の態様を改善するように適応された他の特性を指定することができる。照射構成1312は、コンピューティングデバイス1301のNVストレージ1302-3上に、及び/またはその中に維持され得る。あるいは、またはさらに、照射構成1312は、電子通信ネットワークで、システム1300の他のコンポーネント(複数可)、他のコンピューティングデバイス(複数可)及び/またはシステム、照射装置100の制御ロジック201などに伝送されてもよい。
【0094】
仕様データ1305は、照射装置100の照射特性405と、照射アプリケーションで照射される標的物質130に関する標的特性135とを含むことができる。さらに仕様データ1305は、標的物質に送達される放射線量(例えば、閾値放射線量)を指定することができる、放射線量データ1325を含んでもよい。例えば、仕様データ1305は、2キログレイ(KGy)の放射線量によって指定された標的特性135を有するカンナビスの滅菌を含み得る。
【0095】
構成エンジン1310は、照射アプリケーションのための一次放射線構成1322を決定するように構成され得る線量モデリングモジュール1320をさらに含み得る。一次放射線構成1322は、指定された標的物質130に対して指定された放射線量を照射装置100に送達させるように構成されることができる。線量モデリングモジュール1320は、一次放射線120の照射時間及びエネルギー組成520(例えば、エネルギーレベル521、エネルギー範囲522など)を決定するように構成され得る。カンナビス滅菌アプリケーションでは、一次放射線構成1322は、約0.1g/ccの密度及び約2インチの深さを有するカンナビスに対して約140keVのエネルギーレベル、約0.1g/ccの密度及び約4インチの深さを有するカンナビスに対して約180keVのエネルギーレベルなどを指定することができる。いくつかの実装では、適切な(または最適な)一次放射線構成1322は、テスト及び/または経験を通して(例えば、イオンチャンバ、放射線センサ、自動曝露コントロール(AEC)などの内で異なる標的特性135を有する標的物質130のサンプルを照射することによって)決定されることができる。
【0096】
構成エンジン1310は、照射装置100の散乱媒体140に適した(または最適な)散乱媒体構成145を決定するように構成され得る、散乱モデリングモジュール1330をさらに含み得る。散乱モデリングモジュール1330は、本明細書で開示されるように、構成ロジック410を含んでもよく、及び/または実装してもよい。いくつかの実装では、散乱モデリングモジュール1330は、決定された散乱媒体構成145の散乱メトリクスを決定するようにさらに構成され得る。散乱メトリクスは、決定された散乱媒体構成145の照射性能の改善を推定するように構成され得る。散乱メトリクスは、例えば、本明細書で開示されるように、ΔRDRの減少の推定、RD率(ΔRD)の増加の推定、照射時間の減少の推定、及び/または同様のものを指定することができる。
【0097】
いくつかの実装では、構成エンジン1310は、適応モジュール1340をさらに含み得る。適応モジュール1340は、照射装置100による照射アプリケーションのテスト及び/または実装に関する異なる条件及び/またはフィードバックに照射構成1312を変更する、洗練する、及び/またはその他の方法で適応させるように構成され得る。例えば、適応モジュール1340は、散乱媒体構成145のために決定された散乱メトリクスに少なくとも部分的に基づいて、一次放射線構成1322を変更する、及び/または洗練するように構成され得る。より具体的には、適応モジュール1340は、指定の構成145を有する散乱媒体140を組み込むことによって実現されると予測される照射性能の改善に従って、一次放射線構成1322を変更するように構成され得る。これらの変更は、一次放射線120のエネルギーレベル521を低減させること、照射時間を減少させること、標的物質130が照射ゾーン1222を通過する速度を上げること、照射装置100のスループットを向上させること、及び/または同様のことを含むことができる。
【0098】
いくつかの実装では、構成エンジン1310は、照射マネージャ(またはマネージャ1350)をさらに含んでもよく、及び/またはそれに結合されてもよい。マネージャ1350は、構成エンジン1310によって決定された照射構成1312を実装するように照射装置100を構成するように適応され得る。マネージャ1350は、散乱モデリングモジュール1330によって決定された散乱媒体構成145に従って構成された散乱媒体140を照射装置100に組み込ませるように構成され得る。さらにマネージャ1350は、一次放射線構成1322によって指定されるような、照射アプリケーションを実装するように照射装置100を構成するように適応され得る。照射アプリケーションを実装することは、a)標的データ1315(例えば、標的特性135)によって指定された物理構成で、照射装置100の内部容積112内に標的物質130を受け取ることと、b)照射装置100の線源110に、一次放射線構成1322に従って一次放射線120を放出させることであって、一次放射線120は標的物質130の少なくとも第一部分を照射するように構成される、放出させることとを含み得る。照射装置100の制御ロジック201は、一次放射線構成1322によって指定された照射時間、エネルギーレベル(複数可)521で、及び/またはエネルギー範囲(複数可)522内で線源110に一次放射線120を放出させるように構成され得る。本明細書に開示されるように、散乱媒体140は、一次放射線120に応答して二次放射線160を生成するように構成されることができ、この二次放射線は、標的物質130の少なくとも第二部分を照射するように構成されることができる。
【0099】
いくつかの実装では、マネージャ1350は、決定された照射構成1312のテスト及び/または実装に関するフィードバックデータを取得するようにさらに構成され得る。フィードバックデータは、標的物質130(及び/または標的物質130のそれぞれの部分または領域)に送達された実際の測定RD、指定された放射線量を標的物質130に送達した実際の照射時間などを含むが、これらに限定されない、任意の適切な情報を含むことができる。フィードバックデータは、イオンチャンバ、放射線センサ、AECユニットなどのテスト及び/または監視装置(図示された実施形態の詳細を不明瞭にすることを避けるために
図13には示されていない)を使用して取得されることができる。
【0100】
いくつかの実装では、適応モジュール1340は、それぞれの照射構成1312に関連するフィードバックデータを利用して、それぞれの照射構成1312を変更する、洗練する、及び/またはその他の方法で適応させることができる。照射構成1312の変更は、コンピューティングデバイス1301のNVストレージ1302-3など、非一時的なストレージ内に維持され得る。
【0101】
適応モジュール1340は、フィードバックデータを利用して、指定された照射アプリケーション(例えば、それぞれの仕様データ1305)のための照射構成1312を決定する、及び/または開発するために使用されるルール及び/またはメトリクスを洗練するようにさらに構成され得る。例えば、適応モジュール1340は、指定された照射構成1312に従って標的物質130に送達された実際のRDに関するフィードバックを利用して、標的物質130の標的特性135(例えば、光電吸収)、散乱媒体構成145のために決定された散乱メトリクスなどを洗練することができる。したがって、フィードバックデータは、特異的な照射アプリケーションのための照射構成1312を洗練するために使用され得るだけでなく、他の照射アプリケーションのための他の照射構成(複数可)1312を洗練するためにも使用され得る。
【0102】
いくつかの実装では、適応モジュール1340は、フィードバックデータを利用して、仕様データ1305及び/または対応する照射構成1312の特性及び/またはパラメータ間の関係を学習する、及び/または洗練するようにさらに構成され得る。例えば、適応モジュール1340は、フィードバックデータを利用して、標的特性135(例えば、密度、光電吸収及び/または減衰、物理構成など)と、照射性能(例えば、標的物質130に送達されたRD、それぞれの領域に送達されたRD、RDR率、ΔRDRなど)との間の関係を学習することができる。さらに適応モジュール1340は、散乱媒体140の特性(例えば、散乱媒体140のために決定された散乱媒体構成145によって定義されるようなもの)を含む関係を学習する、及び/または洗練するように構成され得る。これらの関係は、
図5B及び
図6Bに示されるように、指定の条件下で散乱媒体140がそれぞれの散乱媒体構成145を有することによってもたらされる照射性能の改善(例えば、標的130が指定の標的特性135を有する、一次放射線120が指定のエネルギー組成520を有するなどのためにもたらされる改善)に対応し得る。適応モジュール1340は、任意の適切なメカニズムまたは技法を使用して、それらのような関係を学習する、及び/または洗練するように構成され得る。例えば、適応モジュール1340は、機械学習中の、または機械学習済みの照射モデルなどを含んでもよく、及び/またはそれらに結合されてもよい。適応モジュール1340は、本明細書で開示されるように、指定された照射アプリケーションのための照射構成1312を生成するために、学習済みの相関関係を利用するように線量モデリングモジュール1320及び/または散乱モデリングモジュール1330を構成するようにさらに適応され得る。
【0103】
図14は、照射装置100の散乱媒体140に適した(または最適な)特性を決定するための技法の例を示すフローチャート1400である。フローチャート1400は、1つ以上のステップまたは操作(1つの方法)を含む機能に対応することができる。いくつかの実装では、
図14に(及び/または本明細書で開示される他のフローチャートに)関連して説明される機能の一部は、回路、ロジック、論理回路、プロセッサ、ASIC、FPGA、コンピューティングデバイスなどのハードウェアコンポーネントによって実装されてもよく、及び/または具現化されてもよい。代替に、またはさらに、開示された機能の一部は、NVまたは非一時的な記憶媒体に格納されたコンピュータ可読命令によって実装されてもよく、及び/または具現化されてもよい。コンピュータ可読命令は、コンピューティングデバイス1301のプロセッサ及び/または照射装置100の制御ロジック201などのロジックに、開示された機能の一部を実装させるように構成され得る。
【0104】
1410では、照射装置100によって実装される照射アプリケーションを定義するように構成された仕様データ1305を受信することができる。1420では、本明細書で開示するように、仕様データ1305の一次放射線構成1322を決定し得る。1430では、本明細書で開示するように(例えば、一次放射線構成1322によって指定されたエネルギー組成520、エネルギーレベル521、及び/またはエネルギー範囲522に基づいて)、散乱媒体140に適した(または最適な)物質組成142を決定し得る。1434では、本明細書で開示するように、散乱媒体140に適した(または最適な)物理構成144を決定し得る。散乱媒体構成145は、照射性能を少なくとも閾値だけ改善するように構成されることができる。散乱媒体構成145は、標的の不均一性(例えば、ΔRDR)を10%以下(または2.5%以下など)まで減少させる、照射時間を10%以上減少させる、RDRを10%以上増加させる、放射線量を10%以上増加させる、及び/または同様のように構成されることができる。いくつかの実装では、1420で決定された一次放射線構成1322は、本明細書で開示されるように、散乱媒体140(及び/または散乱媒体構成145)のために決定された有用性メトリクスに基づいて変更されてもよく、及び/または洗練されてもよい。いくつかの実装では、1430から1434の態様は、本明細書で開示されるように、コンピューティングデバイス1301上で動作する構成ロジック410、散乱モデリングモジュール1330及び/または適応モジュール1340によって実装され得る。
【0105】
1450では、仕様データ1305によって定義された照射アプリケーションは、照射装置100によって実装され得る。照射アプリケーションを実装することは、本明細書に開示されるように、a)決定された散乱媒体構成145に従って構成された散乱媒体140を照射装置100内に展開することと、b)1420で決定された一次放射線構成1322によって規定されるような一次放射線120で(指定された標的特性135を有する)標的130を照射するように照射装置100を構成することとを含むことができる。
【0106】
図15Aは、照射アプリケーションに適した(または最適な)構成を決定するための技法の例を示すフローチャート1500Aである。1510では、照射アプリケーションに関する仕様データ1305を受信することができる。1512では、照射要件によって指定された標的物質130の標的特性135を決定することができる。いくつかの実装では、標的特性135は、テスト及び/または経験を通じて決定され得る。あるいは、または加えて、1つ以上の標的特性135は、既知であってもよく、サプライヤによって指定されてもよく、1510で受信した標的データ1315に含まれてもよく、及び/または同様であってもよい。
【0107】
1514では、照射中の標的物質130の物理構成を決定し得る。物理構成は、照射装置100によって実装された各バッチまたは照射操作で処理される標的物質130の範囲及び/または量に対応し得る。あるいは、1514では、連続供給照射操作で処理される標的物質130の物理構成を決定することができる。標的物質130の物理構成は、照射装置100の線源110及び/またはそれによって生成される一次放射線120に対する標的物質130の位置及び/または向きに対応することができる。標的物質130の物理構成は、一次放射線120が放出される方向(複数可)に対する標的物質130の深さまたは厚さ(例えば、2インチ、4インチなど)を決定することができる。
【0108】
1520では、本明細書に開示されるように、標的物質130(指定の標的特性135を有するもの)に指定の放射線量を送達するための一次放射線構成1322を決定することができる。
【0109】
1530から1534では、本明細書で開示するように、適した(または最適な)散乱媒体構成145を決定し得る。1538では、1520で決定された一次放射線構成1322は、1530から1534で決定された散乱媒体構成145を有する散乱媒体140の組み込みによってもたらされる予測された改善に少なくとも部分的に基づいて洗練され得る。一次放射線構成1322及び/または散乱媒体構成145は、コンピューティングデバイス1301のNVストレージ1302-3及び/または他の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体に存続し得る、照射構成1312に含まれ得る。
【0110】
1540から1542では、決定された照射構成1312を評価する、変更する、及び/または洗練することができる。1540では、1514から1538で決定された照射構成1312の有用性を決定し得る。1540では、照射構成1312の適応性または有用性は、有用性または適応性メトリック、例えば、照射構成有用性(IRCU)メトリックとして定量化されてもよく、及び/または表されてもよい。IRCUメトリックは、結果のΔRD、反復またはバッチあたりの照射時間、量の関数としての照射時間、スループット(例えば、単位時間あたりに処理される標的物質130の量)、放射線エネルギーレベル(及び/またはエネルギー範囲)、消費電力、電力消費率(例えば、処理される標的物質130の量あたりの消費電力)、コスト、散乱媒体140のコスト、及び/または同様のものなどを含み得るが、これらに限定されない、任意の適切な要因(複数可)に基づいている場合がある。いくつかの実装では、本明細書で開示されるように、IRCUメトリックはフィードバックデータに基づいている場合がある。代替に、または追加で、IRCUメトリックは、照射構成1312の推定された、またはシミュレートされた実装を通じて決定され得る。いくつかの実装では、それぞれの要因に重みを割り当てることができることで、結果として生じる照射アプリケーションのIRCUメトリックに対する要因の相対的な重要性が示されることができる(例えば、消費電力及び/またはΔRDよりもスループットを強調するなど)。重みは、ユーザ、ユーザプリファレンスなどによって割り当てられることができる。要因及び/または重みのうちの1つ以上は、1510で受信した仕様データ1305に含まれ得る。一部の実装では、IRCUメトリックは、最適化プロセスの目的関数として定式化されることができる。
【0111】
1542では、IRCUメトリックを評価して、1514から1538で決定された照射構成1312を変更する、及び/または洗練する必要があるかどうかを決定し得る。この決定は、IRCUメトリックが閾値を満たすかどうかに基づいていることができる。あるいは、またはさらに、この決定は、照射構成1312のために決定されたIRCUメトリックと、他の照射構成1312(例えば、1514から1538の前の反復で決定された照射構成1312)のIRCUメトリクスとの間の比較に基づいていることができる。いくつかの実装では、1514から1542は最適化問題として定式化されることができ、1542における決定は、照射アプリケーションに最適な照射構成1312が識別されたかどうかに基づいていることができる。照射構成1312が変更される必要がある場合、フローは1514から1534に戻り続くことができる。そうでない場合、フローは1550に続くことができる。1550では、本明細書に開示されるように、照射アプリケーションの決定された構成を照射装置100が実装し得る。
【0112】
図15Bは、照射アプリケーションに適した(または最適な)構成を決定するための技法のさらなる例を示すフローチャート1500Bである。図示のように、1510では、本明細書に開示されるように、照射アプリケーションに関する仕様データ1305を受信することができ、1512では、標的物質130の特性を決定することができ、1514では、照射中の標的物質130の物理構成を決定することができ、1520では、照射アプリケーションのための一次放射線構成1322を決定することができる。1536では、本明細書に開示されるように、照射装置100の散乱媒体140のための散乱媒体構成145を決定することができる。1538では、1520で決定された一次放射線構成1322を、決定された散乱媒体構成145に少なくとも部分的に基づいて(例えば、予測された散乱メトリクスに基づいて)洗練することができる。照射構成1312では、一次放射線構成1322及び散乱媒体構成145を含み得る。
【0113】
いくつかの実装では、照射構成1312は、1514から1544で反復して変更されてもよく、及び/または洗練されてもよい。1540では、照射構成1312のIRCUメトリックを決定することができ、1544では、照射構成1312を受諾する必要があるかどうかの決定は、決定されたIRCUメトリックに少なくとも部分的に基づいていることができる。照射構成1312が1544で受諾されない場合、フローは1514に続くことができる。そうでない場合、フローは1550に続くことができる。1550では、本明細書に開示されるように、照射装置100を使用することによって、照射構成1312を実装し得る。
【0114】
1560では、照射装置100による照射アプリケーションの実装に関するフィードバックデータを取得することができる。フィードバックデータは、照射装置100、試験機器、試験環境(例えば、イオンチャンバ)、放射線センサ、AECなどから取得されることができる。フィードバックデータを使用して、照射構成1312を決定するために使用されるモデル、例えば、一次放射線構成1322を決定するために使用される線量モデリングモジュール1320、散乱媒体構成145を決定するために使用される散乱モデリングモジュール1330などを洗練することができる。本明細書に開示するように、フィードバックデータを利用して、標的物質130の深さと一次放射線120の透過との間の相関関係、指定の散乱媒体構成145を有する散乱媒体140によって実現される照射性能の改善など、モデルを含む相関関係を学習してもよく、及び/または洗練してもよい。
【0115】
1562では、照射構成1312を適応させる必要があるかどうかの決定が行われ得る。1562における決定は、照射構成1312の所期または推定の照射性能と、1550での照射構成1312の実装中に観察された実際の照射性能との間の差(例えば、照射誤差)に基づいていることができる。1562では、照射誤差が閾値を超えると決定することに応答して、照射構成1562を変更し得る。
【0116】
図16Aは、照射装置100によって標的130を照射するための技法の例を示すフローチャート1600Aである。1610では、標的130を照射装置100内に封入し得、これには、照射装置100の筐体102の内部容積112内に標的130(及び/または標的物質130)を封入することが含まれ得る。いくつかの実施形態では、照射装置100の制御ロジック201は、筐体102を開いて、標的130を内部容積112内に受容することを可能にするように構成され得る。内部容積112は、本明細書に開示されるように、散乱媒体140を含み得る。いくつかの実装では、散乱媒体140は、照射装置の筐体102の1つ以上の内面の上に配置されることができる。いくつかの実装では、標的130は、散乱媒体140上に配置されてもよい(例えば、散乱媒体140を含む及び/またはそれに結合されているレセプタクル810または容器1100の上及び/または内部に配置されてもよい)。散乱媒体140の散乱媒体構成145は、本明細書に開示されるように、照射性能の態様を改善するように適応されることができる。より具体的には、散乱媒体構成145は、本明細書に開示されるような、a)照射装置100の線源110によって放出される一次放射線120のエネルギー組成520、b)標的130の標的特性135、c)一次放射線120(及び/または一次放射線120の伝播方向(複数可)124)に対する標的130の位置及び/または向きなどのうちの1つ以上に基づいて決定されることができる。
【0117】
1620では、照射装置100の線源110は、筐体102の内部容積112内に一次放射線120を放出するように構成され得る。線源110は、本明細書に開示されるように、制御ロジック201によって一次放射線120を放出するように構成され得る。一次放射線120は、指定されたエネルギー組成520、エネルギーレベル521、及び/またはエネルギー範囲522を有し得る。さらに線源110は、指定された照射時間に(及び/または指定された照射パターンに従って)一次放射線120を放出するように構成され得る。
【0118】
1630では、照射装置100内に配置された散乱媒体140の散乱媒体構成145は、一次放射線120に応答して、二次放射線160を照射装置100の内部容積112内に放出させ得る。二次放射線160は、本明細書に開示されるように、散乱媒体140内のコンプトン散乱相互作用によって生成され得る。二次放射線160は、標的130の少なくとも一部を照射することができる。
【0119】
図16Bは、照射装置100によって標的130を照射するための技法の例を示すフローチャート1600Bである。ステップ1640は、照射装置100の内部容積112内に標的物質130を封入するように構成された筐体102を提供することを含み得る。ステップ1650は、照射装置100の散乱媒体140を生成することを含むことができる。ステップ1650は、照射装置100の照射特性405に少なくとも部分的に基づいて、散乱媒体140の散乱媒体構成145を決定することを含むことができる。ステップ1650は、照射装置の線源110によって生成された一次放射線120に応答して、二次放射線160を照射装置100の内部容積112内に放出するように散乱媒体140を構成することを含み得る。散乱媒体140は、本明細書に開示されるように、二次放射線160を散乱相互作用によって生成するように構成され得る。ステップ1660は、一次放射線120に対する散乱媒体140の厚さ(146)が3mm以上であるように構成することを含むことができる。ステップ1660は、本明細書に開示されるように、散乱媒体140の散乱断面積及び/または吸収断面積に少なくとも部分的に基づいて、適切な(または最適な)厚さ(146)を決定することを含み得る。
【0120】
図17は、照射システム1700の一例を示す。照射システム1700は、本明細書に開示されるように、照射装置100を備えることができる。照射システム1700の照射装置100の非限定的な例は、
図1A、2A、3A、4A、7、8A、9、10、11A、11D、11F、及び12AからBに示されている。照射システム1700は、標的物質130を受容する、及び/または封入するための手段(受容手段1702)、一次放射線120を放出するための手段(放出手段1710)、及び一次放射線120に応答して二次放射線160を生成するための手段(散乱手段1740)を含み得る。
【0121】
受容手段1702は、照射システム1700の内部容積112を画定するように構成された筐体102を含んでもよい。筐体102は、内部容積112からの放射線漏れを防止するように構成され得る、遮蔽材料204を含んでもよく、及び/または組み込んでもよい。受容手段1702の筐体102及び/または遮蔽材料204は、鉛、鉛シート、鉛クラッディング、鉛ケーシング、鉛複合材料、鉛エポキシ、鉛ブロック、スズ、アンチモン、タングステン、ビスマス、シート(タングステン、ビスマスまたはバリウムの硫酸塩の粉末を含むもの)、セメント、x線ガラス、x線合わせガラスなどを含むが、これらに限定されない任意の適切な構造及び/または材料を含むことができる。筐体102の非限定的な例は、
図1A、2A、3A、4A、7、8A、9、10、11A、11D、11F、及び12AからBに示されている。
【0122】
受容手段1702は、標的物質130が内部容積112内に受容され得る開構成と、標的物質130が内部容積112内に封入される閉構成との間で筐体102を移行させるための手段をさらに含み得る。いくつかの実装では、受容手段1702は、本明細書に開示されるように、1つ以上のアクセス機構206を備えることができる。
【0123】
放出手段1710は、一次放射線120を筐体102中に、及び/またはその内に放出するように構成され得る。一次放射線120は、内部容積112内の標的物質130の少なくとも第一部分を照射するように構成され得る。放出手段1710は、放射線源(例えば、本明細書に開示されるような線源110)、x線源、x線エミッタ、x線レーザ、真空管、x線管、冷陰極x線管、熱陰極x線管、回転陽極x線管、マイクロフォーカスx線管、マルチ線源x線管、エミッタ、x線エミッタ、ナノチューブ(NT)エミッタなどを含むが、これらに限定されない、一次放射線120を生成すること、制御すること、放出すること、及び/または指向させることに適した任意の手段を含むことができる。
【0124】
散乱手段1740は、一次放射線120に応答して二次放射線160を生成するように構成され得る。二次放射線160は、本明細書に開示されるように、コンプトン散乱相互作用によって生成され得る。二次放射線160は、標的物質130の少なくとも第二部分を照射するように構成されることができる。散乱手段1740は、適切な(または最適な)散乱媒体構成145を有する散乱媒体140を含んでもよい。散乱媒体構成145は、一次放射線120のエネルギー組成520、標的物質130の標的特性135など、照射システム1700の照射特性405に少なくとも部分的に基づいて決定されてもよい。散乱媒体140がそれぞれの散乱媒体構成145を有するという非限定的な例は、
図1A、1B、2A、3A、4A、5A、6A、7、8AからH、9、10、11AからH、及び12AからBに示されている。散乱媒体140は、少なくとも0.3cm(または少なくとも0.6cm)の厚さ146を有することができる。散乱媒体140の深さ軸は、一次放射線120の1つの伝播方向124(または伝播方向(複数可)124)とアライメントされ得る。散乱媒体140の物質組成142は、炭素系材料、ポリマー、有機ポリマー、プラスチック、可塑性ポリマー、合成ポリマー、サーモプラスチック、熱可塑性ポリマー、ナイロン、PVC、ポリスチレン、POM、アセタール、アセタール樹脂、アセタールプラスチック、ポリアセタール、ポリホルムアルデヒド、HDPE、アルミニウム、アルミニウム合金などのうちの1つ以上を含む。
【0125】
いくつかの実装では、照射システム1700は、受容手段1702内に標的物質130を保持するように構成されたレセプタクル手段1770をさらに備えてもよい。いくつかの実施形態では、散乱手段1740の少なくとも一部は、レセプタクル手段1770上に配置されてもよい。あるいは、またはさらに、レセプタクル手段1770の少なくとも一部は、散乱手段1740の少なくとも一部(例えば、散乱媒体140の一部)を含んでもよく、及び/またはその少なくとも一部によって実装されてもよい。いくつかの実装では、レセプタクル手段1770の一部は、本明細書に開示されるように、レセプタクル810及び/または容器1110を含んでもよく、及び/またはそれらによって実装されてもよい。レセプタクル手段1770の非限定的な例は、
図7、8AからH、9、10、11AからH、及び12Aに示されている。
【0126】
本明細書に開示されているのは、物理操作及び/または過剰放射を必要とすることなく、照射性能を改善するためのシステム、デバイス、方法、及び非一時的なコンピュータ可読記憶媒体の例である。
【0127】
いくつかの実施形態は、照射装置(100)を含み、この照射装置は、標的物質(130)を受容するように構成された筐体(102)と、筐体(102)内で一次放射線(120)を放出するように構成された線源(110)であって、一次放射線(120)は標的物質(130)の少なくとも第一部分を照射するように構成される、線源と、筐体(102)内に配置された散乱媒体(140)であって、散乱媒体(140)は一次放射線(120)に応答して散乱相互作用によって二次放射線(160)を生成するように構成され、二次放射線(160)は標的物質(130)の少なくとも第二部分を照射するように構成され、散乱媒体(140)は少なくとも3ミリメートル(mm)の厚さ(146)を有する、散乱媒体とを含む。
【0128】
いくつかの実施形態では、散乱媒体(140)は、少なくとも6ミリメートルの厚さ(146)を有する。
【0129】
いくつかの実施形態では、一次放射線(120)に対する散乱媒体(140)の厚さ(146)は、0.25インチ及び0.6センチメートルのうちの少なくとも1つである。
【0130】
いくつかの実施形態では、線源(110)は、指定されたエネルギーレベル(521)で一次放射線(120)を放出するように構成され、散乱媒体(140)は、コンプトン散乱が指定されたエネルギーレベル(521)で光電吸収及び対生成よりも優勢である原子番号を有する物質を含むように構成される。
【0131】
いくつかの実施形態では、散乱媒体(140)は、20以下の原子番号を有する物質を含む。
【0132】
いくつかの実施形態では、散乱媒体(140)は、13以下の原子番号を有する物質を含む。
【0133】
いくつかの実施形態では、散乱媒体(140)は、アルミニウム及びアルミニウム合金のうちの1つ以上を含む。
【0134】
いくつかの実施形態では、散乱媒体(140)は、炭素系材料、ポリマー、有機ポリマー、プラスチック、可塑性ポリマー、合成ポリマー、サーモプラスチック、熱可塑性ポリマー、ナイロン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリオキシメチレン、アセタール、アセタール樹脂、アセタールプラスチック、ポリアセタール、ポリホルムアルデヒド、及び高密度ポリエチレンのうちの1つ以上を含む。
【0135】
いくつかの実施形態では、散乱媒体(140)は、炭素系材料、ポリマー、有機ポリマー、プラスチック、可塑性ポリマー、合成ポリマー、サーモプラスチック、熱可塑性ポリマー、ナイロン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリオキシメチレン、アセタール、アセタール樹脂、アセタールプラスチック、ポリアセタール、ポリホルムアルデヒド、高密度ポリエチレン、アルミニウム、及びアルミニウム合金のうちの1つ以上を含む。
【0136】
いくつかの実施形態では、散乱媒体(140)の厚さ(146)は、散乱媒体(140)の散乱断面積が散乱媒体(140)の吸収断面積を少なくとも閾値だけ上回る点に設定される。
【0137】
いくつかの実施形態では、標的物質(130)はカンナビスを含み、一次放射線(120)は40キロエレクトロンボルトから600キロエレクトロンボルトの間のx線放射を含む。いくつかの実施形態では、一次放射線(120)は、140キロエレクトロンボルト及び180キロエレクトロンボルトのうちの1つ以上である。
【0138】
いくつかの実施形態では、散乱媒体(140)の深さ軸(744)は、一次放射線(120)の伝播方向(124)とアライメントされる。
【0139】
いくつかの実施形態では、照射装置(100)は、筐体(102)内に標的物質(130)の少なくとも一部を保持するように構成されたレセプタクル(810)をさらに備え、散乱媒体(140)は、レセプタクル(810)及び標的物質(130)の表面の間に配置され、散乱媒体(140)の厚さ(146)は、レセプタクル(810)の厚さよりも大きい。
【0140】
いくつかの実施形態では、照射装置(100)は、筐体(102)内に標的物質(130)の少なくとも一部を保持するように構成されたレセプタクル(810)をさらに備え、散乱媒体(140)は、レセプタクル(810)の少なくとも一部を形成する。
【0141】
いくつかの実施形態では、照射装置(100)は、標的物質(130)の少なくとも一部を保持するように構成されたレセプタクル(810)をさらに含み、散乱媒体(140)は、レセプタクル(810)の基部、レセプタクル(810)の側壁部、及びレセプタクル(810)の円筒壁部のうちの1つ以上の少なくとも一部を形成するように構成される。
【0142】
いくつかの実施形態では、照射装置(100)の線源(110)は、一次放射線(120)を照射ゾーン(1222)内に放出するように構成され、照射装置(100)は、照射ゾーン(1222)を通して標的物質(130)を移動させるように構成されたコンベヤ(1210)をさらに含む。
【0143】
本明細書に開示されているのは、改善された照射装置(100)を提供する方法の実施形態である。開示された方法のいくつかの実施形態は、照射装置(100)の内部容積(112)内に標的物質(130)を封入するように構成された筐体(102)を提供することと、照射装置(100)の線源(110)によって生成された一次放射線(120)に応答して、照射装置(100)の内部容積(112)内に二次放射線(160)を放出するように構成された散乱媒体(140)を生成することであって、二次放射線(160)は散乱媒体(140)内の散乱相互作用によって生成される、生成することと、一次放射線(120)に対する散乱媒体(140)の厚さ(146)を3ミリメートル以上であるように構成することとを含む。
【0144】
いくつかの実施形態では、散乱媒体(140)の深さ軸(744)を、一次放射線(120)の伝播方向(124)とアライメントするように構成することをさらに含む。
【0145】
いくつかの実施形態では、散乱媒体(140)は、標的物質(130)の最大曝露領域(131)と、標的物質(130)の最小曝露領域(139)との間の放射線量の差を約10%未満まで低減させるように構成され得る。
【0146】
いくつかの実施形態では、方法は、散乱媒体(140)の散乱断面積及び散乱媒体(140)の吸収断面積に基づいて、一次放射線(120)に対する散乱媒体(140)の厚さ(146)を決定することをさらに含み、決定された厚さ(146)は少なくとも6ミリメートルである。
【0147】
本明細書に開示されているのは、改善された照射方法であり、この方法は、筐体(102)の内部容積(112)内に標的物質(130)を封入することと、筐体(102)の内部容積(112)内に一次放射線(120)を放出することと、一次放射線(120)に応答して筐体(102)の内部容積(112)内に二次放射線(160)を放出させることであって、二次放射線(160)は筐体内に配置された散乱媒体(140)内の散乱相互作用によって生成され、散乱媒体(140)は少なくとも3ミリメートルの厚さ(146)を有する、放出させることとを含む。いくつかの実装では、散乱媒体(140)は、6ミリメートル以上の厚さを有し得る。厚さ(146)は、散乱媒体(140)の散乱断面積及び吸収断面積に少なくとも部分的に基づいて決定され得る。
【0148】
方法の実施形態は、散乱媒体(140)の深さ軸(744)を、一次放射線(120)の伝播方向(124)とアライメントするように構成することをさらに含み得る。散乱媒体(140)は、標的物質(130)の放射線量の差を約10%未満まで減少させるように構成されることができる。
【0149】
いくつかの実施形態は、システムを含み、このシステムは、筐体(102)の内部容積(112)内に照射される標的物質(130)を受容するための手段と、筐体(102)内に一次放射線(120)を放出するための手段であって、一次放射線(120)は標的物質(130)の少なくとも第一部分を照射するように構成される、手段と、散乱媒体(140)内に散乱相互作用によって二次放射線(160)を生成するための手段であって、二次放射線(160)は標的物質(130)の少なくとも第二部分を照射するように構成される、手段とを含む。
【0150】
いくつかの実施形態では、システムは、内部容積(112)内に標的物質(130)の少なくとも一部を保持するように構成されたレセプタクル手段(1770)をさらに備え、散乱媒体(140)の少なくとも一部は、レセプタクル手段(1770)の上に配置される。
【0151】
いくつかの実施形態では、システムは、内部容積(112)内に標的物質(130)の少なくとも一部を保持するように構成されたレセプタクル手段(1770)をさらに備え、レセプタクル手段(1770)の少なくとも一部は、散乱媒体(140)から形成される。
【0152】
いくつかの実施形態では、一次放射線(120)に対する散乱媒体(140)の厚さ(146)は、少なくとも6ミリメートルである。
【0153】
いくつかの実施形態では、散乱媒体(140)は、原子番号の決定された範囲から選択された原子番号を有する物質を含み、その範囲は、コンプトン散乱が一次放射線(120)のエネルギーで光電吸収を上回る原子番号を含む。
【0154】
開示されているのは、照射装置(100)及び/または照射装置(100)用の散乱媒体(140)を構成する方法の実施形態である。また開示されているのは、開示された方法の態様をデバイスのプロセッサに実装させるように構成された命令を含む非一時的なコンピュータ可読記憶媒体の実施形態であり、これらの命令は、照射装置(100)の線源(110)によって生成された一次放射線(120)の第一照射時間を決定することであって、第一照射時間は標的(130)に閾値放射線量を送達するように構成される、決定することと、照射装置(100)の線源(110)によって生成された一次放射線(120)のエネルギーに少なくとも部分的に基づいて照射装置(100)の散乱媒体(140)を構成することであって、散乱媒体(140)は一次放射線(120)に応答して二次放射線(160)を放出するように構成され、二次放射線(160)は標的(130)の少なくとも一部を照射するように構成される、構成することと、散乱媒体(140)の構成に少なくとも部分的に基づいて、一次放射線(120)の第二照射時間を決定することと、第二照射時間に標的(130)を照射するように照射装置(100)を構成することとを含み得る。
【0155】
いくつかの実施形態では、散乱媒体(140)を構成することは、コンプトン散乱が指定のエネルギー範囲(522)内の光電吸収及び対生成のうちの1つ以上と等価である原子番号を識別することを含み、散乱媒体(120)は、識別された原子番号よりも小さい原子番号を有する物質を含むように構成される。指定されたエネルギー範囲(522)は、一次放射線(120)のエネルギースペクトルの少なくとも一部に対応する。
【0156】
いくつかの実施形態では、散乱媒体(140)を構成することは、コンプトン散乱が一次放射線(120)の指定されたエネルギー範囲(522)の下端での光電吸収及び対生成のうちの1つ以上と等価である第一原子番号を識別することと、コンプトン散乱が指定のエネルギー範囲(522)の上端での光電吸収及び対生成のうちの1つ以上と等価である第二原子番号を識別することとを含む。散乱媒体(140)は、第一原子番号及び第二原子番号の両方よりも小さい原子番号を有する物質を含むように構成され得る。
【0157】
いくつかの実施形態では、散乱媒体(140)は、一次放射線(120)の伝播方向(124)に対する散乱媒体(140)の厚さ(146)を決定することを含み、散乱媒体(140)の累積散乱が散乱媒体(140)の累積光電吸収を少なくとも閾値だけ上回る伝播深さを識別することを含む。
【0158】
いくつかの実施形態では、散乱媒体(140)を構成することは、一次放射線(120)の伝播方向(124)に対する散乱媒体(140)の厚さ(146)を決定することを含み、二次放射線(160)の強度の増加率が閾値を下回る伝播深さを識別することを含む。
【0159】
開示された方法のいくつかの実施形態は、標的(130)の1つ以上の特性に基づいて一次放射線(120)のエネルギーレベル(521)を決定することをさらに含む。
【0160】
開示された方法のいくつかの実施形態は、散乱媒体(140)によって生成された標的(130)の放射線量率の増加を推定することと、推定された放射線量率の増加に少なくとも部分的に基づいて、一次放射線(120)の第二照射時間を決定することとをさらに含む。
【0161】
いくつかの実装では、方法は、散乱媒体(140)によって生成された標的(130)の領域間の放射線量率の差の減少を推定することと、推定された放射線量率の差の減少に少なくとも部分的に基づいて、一次放射線(120)の第二照射時間を決定することとをさらに含む。
【0162】
開示された方法のいくつかの実施形態は、第二照射時間にわたり標的に送達された実際の放射線量を示すフィードバックデータを取得することと、取得されたフィードバックデータに少なくとも部分的に基づいて、散乱媒体の1つ以上の特性と照射性能の1つ以上の態様との間の関係をモデル化することとをさらに含むことができる。
【0163】
いくつかの実装では、開示された方法は、照射構成(1312)を決定することであって、照射構成(1312)は一次放射線(120)のエネルギー、第二照射時間、散乱媒体(140)の構成、及び標的(130)の1つ以上の特性を指定する、決定することと、照射構成(1312)の有用性を計算することと、照射構成(1312)の有用性が閾値を満たすことができないと決定することに応答して、照射構成(1312)を変更することと、照射構成(1312)の有用性が閾値を満たすと決定することに応答して、照射構成(1312)を実装することと、をさらに含み得る。
【0164】
構造、デバイス、方法、及びシステムを特定の実施形態に従って説明しているが、当業者は、特定の実施形態に対する多くの変形が可能であることを容易に認識し、したがって、任意の変形は、本明細書で開示した趣旨及び範囲内にあると考えられるべきである。したがって、添付の特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、当業者によって多くの変更が行われ得る。
【0165】
この書面での開示に続く特許請求の範囲は、ここで本書面での開示に明確に組み込まれ、各請求項はそれ自体で個別の実施形態として成立する。本開示には、独立請求項とそれらの従属請求項とのすべての組み合わせが含まれる。さらに、以下の独立請求項及び従属請求項から派生することが可能である追加の実施形態も、本書面での説明に明示的に組み込まれる。これらの追加の実施形態は、所与の従属請求項の依存関係を語句「請求項[x]で始まり、この請求項の直前の請求項で終わる請求項のいずれか」に置き換えることによって決定され、ここで、括弧付きの用語「[x]」は、直近に記載した独立請求項の番号に置き換えられる。例えば、独立請求項1で始まる第1の請求項の組について、請求項4は請求項1及び3のいずれかに従属し、これらの別々の従属関係によって2つの異なる実施形態を得ることができ、請求項5は請求項1、3または4のいずれか1項に従属し、これらの別々の従属関係によって3つの異なる実施形態を得ることができ、請求項6は請求項1、3、4または5のいずれか1項に従属し、これらの別々の従属関係によって4つの異なる実施形態を得ることができ、以下同様である。
【0166】
特徴または要素に関する用語「第一」の請求項における記載は、第二または追加のそのような特徴または要素の存在を必ずしも黙示するものではない。排他的な所有または特権が請求される本発明の実施形態は、以下のように定められる。
(項目1)
標的物質を受容するように構成された筐体と、
上記筐体内で一次放射線を放出するように構成された線源であって、上記一次放射線は上記標的物質の少なくとも第一部分を照射するように構成される、上記線源と、
上記筐体内に配置された散乱媒体であって、上記散乱媒体は上記一次放射線に応答して散乱相互作用によって二次放射線を生成するように構成され、上記二次放射線は上記標的物質の少なくとも第二部分を照射するように構成され、上記散乱媒体は少なくとも3ミリメートル(mm)の厚さを有する、上記散乱媒体と、
を含む、照射装置。
(項目2)
上記筐体内に上記標的物質の少なくとも一部分を保持するように構成されたレセプタクルをさらに含み、
上記散乱媒体は、上記レセプタクル及び上記標的物質の表面間に配置され、
上記散乱媒体の厚さは、上記レセプタクルの厚さよりも大きい、項目1に記載の照射装置。
(項目3)
上記標的物質の少なくとも一部分を保持するように構成されたレセプタクルをさらに含み、
上記散乱媒体は、上記レセプタクルの基部、上記レセプタクルの側壁部、及び上記レセプタクルの円筒壁部のうちの1つ以上の少なくとも一部分を形成するように構成される、項目1に記載の照射装置。
(項目4)
上記筐体内に上記標的物質の少なくとも一部分を保持するように構成されたレセプタクルをさらに含み、
上記散乱媒体は、上記レセプタクルの少なくとも一部分を形成する、項目1に記載の照射装置。
(項目5)
上記線源は、指定されたエネルギーレベルで上記一次放射線を放出するように構成され、
上記散乱媒体は、コンプトン散乱(σ)が上記指定されたエネルギーレベルで光電吸収(τ)及び対生成(k)を上回り優勢である原子番号を有する物質を含むように構成される、項目1に記載の照射装置。
(項目6)
上記散乱媒体の上記厚さは、上記散乱媒体の散乱断面積が上記散乱媒体の吸収断面積を少なくとも閾値だけ上回る点に設定される、項目1に記載の照射装置。
(項目7)
上記散乱媒体の上記厚さは、少なくとも6ミリメートルである、項目1に記載の照射装置。
(項目8)
上記散乱媒体は、20以下、または13以下のうちの1つである原子番号を有する物質を含む、項目1に記載の照射装置。
(項目9)
上記散乱媒体は、炭素系材料、ポリマー、有機ポリマー、プラスチック、可塑性ポリマー、合成ポリマー、サーモプラスチック、熱可塑性ポリマー、ナイロン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリオキシメチレン、アセタール、アセタール樹脂、アセタールプラスチック、ポリアセタール、ポリホルムアルデヒド、高密度ポリエチレン、アルミニウム及びアルミニウム合金のうちの1つ以上を含む、項目1に記載の照射装置。
(項目10)
上記標的物質はカンナビスを含み、
上記一次放射線は、40キロエレクトロンボルトから600キロエレクトロンボルトの間のx線放射を含む、項目1に記載の照射装置。
(項目11)
上記散乱媒体の深さ軸は、上記一次放射線の伝播方向とアライメントされる、項目1に記載の照射装置。
(項目12)
上記線源は、上記一次放射線を照射ゾーン内に放出するように構成され、
上記照射装置は、上記照射ゾーンを通して上記標的物質を移動させるように構成されたコンベヤをさらに含む、項目1に記載の照射装置。
(項目13)
照射装置の内部容積内に標的物質を封入するように構成された筐体を提供することと、
上記照射装置の線源によって生成された一次放射線に応答して、上記照射装置の上記内部容積内に二次放射線を放出するように構成された散乱媒体を生成することであって、上記二次放射線は上記散乱媒体内の散乱相互作用によって生成される、上記生成することと、
上記一次放射線に対する上記散乱媒体の厚さを3ミリメートル以上であるように構成することと、
を含む、照射方法。
(項目14)
上記散乱媒体の深さ軸を上記一次放射線の伝播方向とアライメントするように構成することをさらに含む、項目13に記載の照射方法。
(項目15)
上記散乱媒体は、上記標的物質の最大曝露領域と上記標的物質の最小曝露領域との間の放射線量差を約10%未満まで減少させるように構成される、項目13に記載の照射方法。
(項目16)
上記散乱媒体の散乱断面積及び上記散乱媒体の吸収断面積に基づいて上記一次放射線に対する上記散乱媒体の上記厚さを決定することをさらに含み、
上記決定された厚さは少なくとも6ミリメートルである、項目13に記載の照射方法。
(項目17)
筐体の内部容積内で照射される標的物質を受容するための手段と、
上記筐体内で一次放射線を放出するための手段であって、上記一次放射線は上記標的物質の少なくとも第一部分を照射するように構成される、上記手段と、
散乱媒体内の散乱相互作用によって二次放射線を生成するための手段であって、上記二次放射線は上記標的物質の少なくとも第二部分を照射するように構成される、上記手段と、
を含む、照射システム。
(項目18)
上記標的物質を上記内部容積内に保持するように構成されたレセプタクル手段をさらに含み、
上記散乱媒体の少なくとも一部分は、上記レセプタクル手段の上に配置される、項目17に記載の照射システム。
(項目19)
上記標的物質の少なくとも一部分を上記内部容積内に保持するように構成されたレセプタクル手段をさらに含み、
上記レセプタクル手段の少なくとも一部分は、上記散乱媒体から形成される、項目17に記載の照射システム。
(項目20)
上記散乱媒体は、原子番号の決定された範囲から選択された原子番号を有する物質を含み、上記範囲は、コンプトン散乱が上記一次放射線のエネルギーで光電吸収を上回る原子番号を含む、項目17に記載の照射システム。