(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】多方向入力装置
(51)【国際特許分類】
H01H 25/04 20060101AFI20241217BHJP
H01H 36/00 20060101ALI20241217BHJP
H01H 35/00 20060101ALI20241217BHJP
G05G 9/047 20060101ALI20241217BHJP
G05G 25/00 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
H01H25/04 E
H01H25/04 D
H01H25/04 C
H01H36/00 M
H01H35/00 Z
H01H35/00 A
G05G9/047
G05G25/00 C
(21)【出願番号】P 2023557940
(86)(22)【出願日】2022-10-20
(86)【国際出願番号】 JP2022039041
(87)【国際公開番号】W WO2023079967
(87)【国際公開日】2023-05-11
【審査請求日】2024-03-01
(31)【優先権主張番号】P 2021179502
(32)【優先日】2021-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】二宮 伸之
【審査官】関 信之
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-119729(JP,A)
【文献】特開2021-128404(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 25/04
H01H 36/00
H01H 35/00
G05G 9/047
G05G 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
傾倒操作可能な操作部材と、
第1回動軸を有し、前記操作部材の傾倒操作に連動して前記第1回動軸の軸周りに回動する第1連動部材と、
前記第1回動軸と直交する第2回動軸を有し、前記操作部材の傾倒操作に連動して前記第2回動軸の軸周りに回動する第2連動部材と、
前記第1連動部材の回動によって第1水平方向に移動する第1スライダと、
前記第2連動部材の回動によって前記第1水平方向と直交する第2水平方向に移動する第2スライダと、
前記第1スライダに保持され、
第1磁気を発する第1
磁石と、
前記第2スライダに保持され、
第2磁気を発する第2
磁石と、
前記第1
磁石の発する前記
第1磁気を検出することにより、前記第1
磁石の移動量を検出する第1
磁気センサと、
前記第2
磁石の発する前記
第2磁気を検出することにより、前記第2
磁石の移動量を検出する第2
磁気センサと
を備え、
平面視において、前記第1
磁石および前記第2
磁石のいずれか一方は、当該
磁石の移動時に回動する回動軸よりも、他方の
磁石から離れる位置に配置されている
ことを特徴とする多方向入力装置。
【請求項2】
平面視において、前記第1
磁石および前記第2
磁石の双方は、当該
磁石の移動時に回動する回動軸よりも、他方の
磁石から離れる位置に配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の多方向入力装置。
【請求項3】
前記第1スライダは、内側から前記第1
磁石を配置可能な開口部を有し、
前記第2スライダは、内側から前記第2
磁石を配置可能な開口部を有し、
前記多方向入力装置は、
前記第1スライダの外側を覆い、前記第1スライダに保持された前記第1
磁石を吸引可能な第1壁部と、
前記第2スライダの外側を覆い、前記第2スライダに保持された前記第2
磁石を吸引可能な第2壁部と
を備えることを特徴とする請求項
1または2に記載の多方向入力装置。
【請求項4】
前記第1連動部材は、
前記操作部材の傾倒操作に連動して回動したときに、当該第1連動部材が有する円弧状の押圧部により、前記第1スライダが有する円弧状の被押圧部を押圧することにより、前記第1スライダを前記第1水平方向に移動させ、
前記第2連動部材は、
前記操作部材の傾倒操作に連動して回動したときに、当該第2連動部材が有する円弧状の押圧部により、前記第2スライダが有する円弧状の被押圧部を押圧することにより、前記第2スライダを前記第2水平方向に移動させる
ことを特徴とする請求項1に記載の多方向入力装置。
【請求項5】
前記押圧部および前記被押圧部は、サイクロイド曲線に沿った円弧状を有する
ことを特徴とする請求項
4に記載の多方向入力装置。
【請求項6】
前記第1連動部材および前記第2連動部材は、
一対の脚部を有し、一対の脚部の各々の内側の縁部が、前記押圧部であり、
前記第1スライダおよび前記第2スライダは、
前記一対の脚部の間に配置される第1ギヤ歯を有し、当該第1ギヤ歯の側面が、前記被押圧部である
ことを特徴とする請求項
4または
5に記載の多方向入力装置。
【請求項7】
前記第1連動部材および前記第2連動部材は、
前記一対の脚部の各々の外側の縁部が、平面状である
ことを特徴とする請求項
6に記載の多方向入力装置。
【請求項8】
前記第1スライダおよび前記第2スライダは、
前記一対の脚部の両外側に配置される一対の第2ギヤ歯を有し、
前記第1連動部材は、
前記操作部材が傾倒状態から中立状態へ戻るとき、当該第1連動部材が有する前記一対の脚部のうちの前記操作部材が傾倒した側の脚部の前記外側の縁部が、前記第1スライダが有する前記第2ギヤ歯の側面を復帰方向に押圧することにより、前記第1スライダを復帰方向に移動させ、
前記第2連動部材は、
前記操作部材が傾倒状態から中立状態へ戻るとき、当該第2連動部材が有する前記一対の脚部のうちの前記操作部材が傾倒した側の脚部の前記外側の縁部が、前記第2スライダが有する前記第2ギヤ歯の側面を復帰方向に押圧することにより、前記第2スライダを復帰方向に移動させる
ことを特徴とする請求項
7に記載の多方向入力装置。
【請求項9】
前記第1
磁気センサおよび前記第2
磁気センサは、
同一の底面基板に配置される
ことを特徴とする請求項1に記載の多方向入力装置。
【請求項10】
前記第1スライダおよび前記第2スライダは、互いに同一形状を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の多方向入力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多方向入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ゲーム機のコントローラ等に用いられる多方向入力装置において、可変抵抗器を用いて操作軸(レバー)の傾きを検出する技術が利用されている。このような多方向入力装置に関し、操作部材の傾倒に伴ってスライダが移動して、スライダに保持された接触子が基板上の抵抗回路上を摺動することにより、操作部材の操作量に応じた抵抗値が得られる技術が考案されている(例えば、下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の多方向入力装置は、抵抗回路における接触子の摺動による摩耗粉が発生する虞がある。そこで、代わりに、スライダに保持された磁石と、基板上に実装された磁気センサとを用いて、スライダの移動量を検出する構成が考えられる。この場合、摩耗粉が発生することは無いが、装置全体を小型化したときに、操作部材の第1方向の傾倒操作に伴って第1方向にスライドする第1の磁石と、操作部材の第2方向の傾倒操作に伴って第2方向にスライドする第2の磁石とが近接してしまい、2つの磁石が相互に干渉し合う虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態に係る多方向入力装置は、傾倒操作可能な操作部材と、第1回動軸を有し、操作部材の傾倒操作に連動して第1回動軸の軸周りに回動する第1連動部材と、第1回動軸と直交する第2回動軸を有し、操作部材の傾倒操作に連動して第2回動軸の軸周りに回動する第2連動部材と、第1連動部材の回動によって第1水平方向に移動する第1スライダと、第2連動部材の回動によって第1水平方向と直交する第2水平方向に移動する第2スライダと、第1スライダに保持され、被検出媒体を発する第1発生部材と、第2スライダに保持され、被検出媒体を発する第2発生部材と、第1発生部材の発する被検出媒体を検出することにより、第1発生部材の移動量を検出する第1検出部と、第2発生部材の発する被検出媒体を検出することにより、第2発生部材の移動量を検出する第2検出部と、を備え、平面視において、第1発生部材および第2発生部材のいずれか一方は、当該発生部材の移動時に回動する回動軸よりも、他方の発生部材から離れる位置に配置されている。
【発明の効果】
【0006】
一実施形態に係る多方向入力装置によれば、2つの発生部材が相互に干渉し合うことを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】一実施形態に係る多方向入力装置の外観斜視図
【
図2】一実施形態に係る多方向入力装置(フレームが取り外された状態)の外観斜視図
【
図3】一実施形態に係る多方向入力装置の分解斜視図
【
図4】一実施形態に係る多方向入力装置のA-A断面線による断面図
【
図5】一実施形態に係る多方向入力装置のB-B断面線による断面図
【
図6】一実施形態に係る多方向入力装置一部の構成を示す外観斜視図
【
図7】一実施形態に係る多方向入力装置におけるアクチュエータの係合部の構成を示す断面図
【
図8】一実施形態に係る多方向入力装置におけるアクチュエータの係合部の構成を示す断面図
【
図9A】一実施形態に係る多方向入力装置におけるレバーのX軸方向への傾倒時の動作を説明するための図
【
図9B】一実施形態に係る多方向入力装置におけるレバーのX軸方向への傾倒時の動作を説明するための図
【
図10A】一実施形態に係る多方向入力装置におけるレバーのX軸方向への傾倒時の動作を説明するための図
【
図10B】一実施形態に係る多方向入力装置におけるレバーのX軸方向への傾倒時の動作を説明するための図
【
図10C】一実施形態に係る多方向入力装置におけるレバーのX軸方向への傾倒時の動作を説明するための図
【
図11A】一実施形態に係る多方向入力装置におけるレバーのY軸方向への傾倒時の動作を説明するための図
【
図11B】一実施形態に係る多方向入力装置におけるレバーのY軸方向への傾倒時の動作を説明するための図
【
図12A】一実施形態に係る多方向入力装置におけるレバーのY軸方向への傾倒時の動作を説明するための図
【
図12B】一実施形態に係る多方向入力装置におけるレバーのY軸方向への傾倒時の動作を説明するための図
【
図12C】一実施形態に係る多方向入力装置におけるレバーのY軸方向への傾倒時の動作を説明するための図
【
図13】一実施形態に係る多方向入力装置における磁気センサの配置を示す平面図
【
図14】一実施形態に係る多方向入力装置における第1スライダの配置を示す一部断面拡大図
【
図15】一実施形態に係る多方向入力装置における第2スライダの配置を示す一部断面拡大図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、一実施形態について説明する。
【0009】
(多方向入力装置100の概要)
図1は、一実施形態に係る多方向入力装置100の外観斜視図である。
図1に示す多方向入力装置100は、ゲーム機等のコントローラ等に用いられる。
図1に示すように、多方向入力装置100は、フレーム102の開口部102Bから上方(Z軸正方向)に向って延在する柱状の、傾倒操作可能なレバー120を有する。多方向入力装置100は、レバー120によるX軸方向およびY軸方向のみならず、これらの方向の間の全方向への傾倒操作が可能である。また、多方向入力装置100は、レバー120の傾倒操作(傾倒方向および傾倒角度)に応じた操作信号を、複数の金属端子133を介して外部へ出力することができる。
【0010】
(多方向入力装置100の構成)
図2は、一実施形態に係る多方向入力装置100(フレーム102が取り外された状態)の外観斜視図である。
図3は、一実施形態に係る多方向入力装置100の分解斜視図である。
図4は、一実施形態に係る多方向入力装置100のA-A断面線による断面図である。
図5は、一実施形態に係る多方向入力装置100のB-B断面線による断面図である。
【0011】
図2~
図5に示すように、多方向入力装置100は、フレーム102、レバー120、ホルダ101、第1アクチュエータ104、第2アクチュエータ105、第1スライダ106、第2スライダ107、第1磁石MG1、第2磁石MG2、アクチュエータ103、スプリング108、スイッチ109、ケース110、底面基板130、およびフレーム140を備える。
【0012】
フレーム102は、各構成部品を囲う箱状の部材である。フレーム102は、1枚の金属板(軟磁性材料板)が加工されることにより、底面部分が開口した箱状(概ね立方体形状)に形成される。フレーム102の上面102Aには、上方からの平面視において円形状をなす開口部102Bが形成されている。
【0013】
フレーム102は、第1スライダ106の外側(Y軸正側)を覆う第1壁部102Eと、第2スライダ107の外側(X軸負側)を覆う第2壁部102Fとを有する。フレーム102は、第1壁部102Eにより、第1スライダ106の開口部106A(
図3参照)に保持された第1磁石MG1を吸引することができ、第1スライダ106の開口部106Aから第1磁石MG1が内側(Y軸負側)に落下することを抑制することができる。また、フレーム102は、第2壁部102Fにより、第2スライダ107の開口部107Bに保持された第2磁石MG2を吸引することができ、第2スライダ107の開口部107B(
図3参照)から第2磁石MG2が内側(X軸正側)に落下することを抑制することができる。
【0014】
レバー120は、「操作部材」の一例であり、中心軸AX上に配置され、操作者によって傾倒操作がなされる部材である。レバー120は、軸部120Aおよび基部120Bを有する。軸部120Aは、フレーム102の開口部102Bから上方に向って延在する概ね円柱状の部分であって、操作者によって直接、または他の部材を介して間接的に傾倒操作がなされる部分である。基部120Bは、軸部120Aの下端部から下方に延在する、概ね円柱状の部分である。基部120Bは、フレーム102の内部において軸部120Aの下端部を支持し、軸部120Aの傾倒操作に伴って回動する。
【0015】
ホルダ101は、フレーム102のY軸負側の壁面に形成されている切り欠き部102Dに、下側(Z軸負側)から挿し込まれて配置される樹脂製の部材である。ホルダ101は、ケース110の第2部分111Bに配置されたスイッチ109を上方から押さえ付けるとともに、支持溝101Aの半円状の上端部により、第1アクチュエータ104のY軸負側の回動軸部104Bを上方から押さえ付ける。
【0016】
第1アクチュエータ104は、「第1連動部材」の一例であり、上方からの平面視において概ね矩形枠状を有する樹脂製の部材である。第1アクチュエータ104は、矩形枠状の内側部分が開口部104Aとなっている。第1アクチュエータ104は、Y軸方向における両端部の各々に外側に突出した一対の回動軸部104Bを有しており、Y軸正側の回動軸部104Bが、フレーム102の支持溝102Cの半円状の上端部とケース110の支持壁111Cの半円状の上端面とによって上下から挟持され、Y軸負側の回動軸部104Bが、ホルダ101の支持溝101Aの半円状の上端部とスイッチ109の上面とによって上下から挟持されることにより、当該一対の回動軸部104Bを回転中心として、X軸方向に回動可能に設けられる。開口部104Aには、レバー120の基部120Bが挿通して配置される。これにより、第1アクチュエータ104は、レバー120のX軸方向への回動に伴って、レバー120の基部120BとともにX軸方向に回動する。また、第1アクチュエータ104は、X軸方向に一対の支持孔104Dを有する。一対の支持孔104Dの各々には、レバー120の基部120BからX軸方向に突出して設けられている、一対の凸部120Cの各々が嵌め込まれる(
図5参照)。これにより、第1アクチュエータ104は、レバー120の基部120Bを、Y軸方向に回動可能に保持する。
【0017】
第2アクチュエータ105は、「第2連動部材」の一例であり、上方に凸状に湾曲したドーム形状を有する樹脂製の部材である。第2アクチュエータ105は、第1アクチュエータ104の上側に配置される。第2アクチュエータ105は、湾曲形状に沿ってX軸方向に延在する長穴形状の開口部105Aを有する。また、第2アクチュエータ105は、X軸方向における両端部の各々に外側に突出した一対の回動軸部105Bを有しており、当該一対の回動軸部105Bの各々が、フレーム102の支持溝102Cの半円状の上端部とケース110の支持壁111Cの半円状の上端面とによって上下から挟持されることにより、当該一対の回動軸部105Bを回転中心として、Y軸方向に回動可能に設けられる。開口部105Aには、レバー120の軸部120Aが挿通して配置される。これにより、第2アクチュエータ105は、レバー120のY軸方向への回動に伴って、レバー120の軸部120AとともにY軸方向に回動する。
【0018】
図2~
図5に示すように、第1アクチュエータ104および第2アクチュエータ105は、開口部104Aおよび開口部105Aが互いに交差するように、互いに接触しない程度に離間して重なり合う。第1アクチュエータ104および第2アクチュエータ105は、互いに重なり合った状態で、開口部104Aおよび開口部105Aをレバー120の軸部120Aが貫通し、レバー120の基部120Bが内側に組み込まれた状態で、基部120Bとともにフレーム102内に組み込まれる。
【0019】
第1スライダ106は、第1磁石MG1を保持する。第1スライダ106は、X軸方向に延在する長手形状を有する。第1スライダ106は、第1アクチュエータ104の回動に伴ってX軸方向(「第1水平方向」の一例)にスライドすることにより、第1磁石MG1をX軸方向に移動させることができる。第1磁石MG1は、「第1発生部材」の一例であり、X軸方向に延びる角棒状を有し、磁気(「被検出媒体」の一例)を発する。第1磁石MG1は、X軸方向における中間位置を境界として、一方側がN極に着磁されており、他方側がS極に着磁されている。
【0020】
第2スライダ107は、第2磁石MG2を保持する。第2スライダ107は、Y軸方向に延在する長手形状を有する。第2スライダ107は、第2アクチュエータ105の回動に伴ってY軸方向(「第2水平方向」の一例)にスライドすることにより、第2磁石MG2をY軸方向に移動させることができる。第2磁石MG2は、「第2発生部材」の一例であり、Y軸方向に延びる角棒状を有し、磁気(「被検出媒体」の一例)を発する。第2磁石MG2は、Y軸方向における中間位置を境界として、一方側がN極に着磁されており、他方側がS極に着磁されている。
【0021】
アクチュエータ103は、軸部103Aおよび底板部103Bを有する樹脂製の部材である。軸部103Aは、中心軸AX上に配置され、上下方向(Z軸方向)に延在する丸棒状の部分である。軸部103Aは、レバー120の底面側(Z軸負側)の開口部120D(
図4および
図5参照)内に挿通される。底板部103Bは、軸部103Aの下端部に一体的に設けられた、円盤状の部分である。
【0022】
スプリング108は、アクチュエータ103の軸部103Aが挿通された状態で、アクチュエータ103の軸部103Aとともに、レバー120の底面側(Z軸負側)の開口部120D(
図4および
図5参照)内に組み込まれる。スプリング108は、レバー120を上方に付勢するとともに、アクチュエータ103の底板部103Bを下方に付勢する。これにより、スプリング108は、操作者によるレバー120の傾倒操作が解除されたときに、アクチュエータ103の底板部103Bをケース110の上面且つ中央部に押し当てて、当該底板部103Bを水平状態に戻すことで、レバー120を中立状態に復帰させる。
【0023】
スイッチ109は、ケース110の第2部分111Bの上面、且つ、第1アクチュエータ104のY軸負側の回動軸部104Bの下側に配置されている。スイッチ109は、レバー120が下方に押し下げられたときに、第1アクチュエータ104のY軸負側の回動軸部104Bによって下方に押し下げられることにより、スイッチオン状態に切り替わる。
【0024】
ケース110は、フレーム102の底面部分に組み込まれることにより、フレーム102の底面部分を閉塞する、樹脂製且つ概ね平板状の部材である。ケース110における中心軸AXを中心とする第1部分111Aの上面には、底面基板130が配置される。ケース110における第1部分111AよりもY軸負側の第2部分111Bの上面には、スイッチ109が配置される。
【0025】
底面基板130は、ケース110の第1部分111Aの上面に配置される、樹脂製且つ平板状の部材である。底面基板130の上面には、磁気センサ131,132が実装されている。第1磁気センサ131は、第1磁石MG1と対向して配置されている。第1磁気センサ131は、「第1検出部」の一例であり、第1磁石MG1のスライド位置(すなわち、レバー120のX軸方向の傾倒角度)に応じた磁力を検出する。第2磁気センサ132は、第2磁石MG2と対向して配置されている。第2磁気センサ132は、「第2検出部」の一例であり、第2磁石MG2のスライド位置(すなわち、レバー120のY軸方向の傾倒角度)に応じた磁力を検出する。また、底面基板130の中央部には、中心軸AXを中心とする円形状の開口部130Aが形成されている。開口部130Aには、アクチュエータ103の底板部103Bが配置される。また、底面基板130の底面には、レバー120の傾倒操作(傾倒方向および傾倒角度)に応じた操作信号を外部へ出力するための複数の金属端子133が、下方(Z軸負方向)に突出して設けられている。
【0026】
フレーム140は、第1スライダ106および第2スライダ107の上側に設けられており、第1スライダ106および第2スライダ107の上側を覆う。このため、フレーム140は、上方からの平面視において、L字状を有する。フレーム140は、1枚の金属板(非磁性材料板)が加工されることによって形成される。フレーム140は、両端部とL字の角部付近とにフック部141を有し、これらのフック部141がケース110に係合することにより、ケース110に固定される。
【0027】
(第1磁石MG1および第2磁石MG2の保持構成)
図6は、一実施形態に係る多方向入力装置100の一部の構成を示す外観斜視図である。
図6に示すように、第1スライダ106は、X軸正側の開口部106Aと、X軸負側の開口部106Bとを有する。開口部106Aおよび開口部106Bは、第1スライダ106をY軸方向に貫通するものであり、Y軸方向からの平面視において矩形状を有しており、略同形状の第1磁石MG1を嵌め込むことができる。但し、本実施形態では、第1磁石MG1は、第2磁気センサ132からの離間距離を大きくとるために、第2磁気センサ132から遠い側の開口部106Aに嵌め込まれる。これにより、第1磁石MG1は、第2磁気センサ132への影響を抑制しつつ、第1スライダ106とともにX軸方向にスライドするように、第1スライダ106によって保持される。また、底面基板130の上面において、第1磁石MG1と対向する位置には、第1磁気センサ131が実装されている。第1磁気センサ131は、第1磁石MG1のX軸方向のスライドを磁気的に検出する。
【0028】
また、
図6に示すように、第2スライダ107は、Y軸正側の開口部107Aと、Y軸負側の開口部107Bとを有する。開口部107Aおよび開口部107Bは、第2スライダ107をX軸方向に貫通するものであり、X軸方向からの平面視において矩形状を有しており、略同形状の第2磁石MG2を嵌め込むことができる。但し、本実施形態では、第2磁石MG2は、第1磁気センサ131からの離間距離を大きくとるために、第1磁気センサ131から遠い側の開口部107Bに嵌め込まれる。これにより、第2磁石MG2は、第1磁気センサ131への影響を抑制しつつ、第2スライダ107とともにY軸方向にスライドするように、第2スライダ107によって保持される。また、底面基板130の上面において、第2磁石MG2と対向する位置には、第2磁気センサ132が実装されている。第2磁気センサ132は、第2磁石MG2のY軸方向のスライドを磁気的に検出する。
【0029】
なお、第1スライダ106および第2スライダ107は、互いに同一形状を有する。こののため、第1スライダ106および第2スライダ107は、共通の部品を用いることができるため、製造が容易であり、且つ、製造コストを削減することができる。
【0030】
(第1アクチュエータ104の係合部の構成)
図7は、一実施形態に係る多方向入力装置100における第1アクチュエータ104の係合部の構成を示す断面図である。
図7に示すように、X軸方向にスライド可能に設けられた第1スライダ106の外側の側面には、3つのギヤ歯106CがX軸方向に並べて設けられている。3つのギヤ歯106Cの各々は、上方に向かって凸状を有する。3つのギヤ歯106Cの各々は、X軸正側の側面106CaとX軸負側の側面106Caとの各々が、外側に向かって凸状の円弧状を有する。一方、第1アクチュエータ104は、Y軸正側の回動軸部104B(
図3参照)から下方に突出した係合部104Cを有する。係合部104Cは、
図7に示すようにY軸正側から平面視したときに、互いに対称形状を有するX軸方向に一対の脚部104Caを有し、一対の脚部104Caの間に、溝部104Cbを有する。一対の脚部104Caの各々の溝部104Cb側の内縁部104Cdは、溝部104Cb側に向かって凸状の円弧状を有する。第1アクチュエータ104は、一対の脚部104Caの間で、第1スライダ106の3つのギヤ歯106Cのうちの、中央のギヤ歯106C(「第1ギヤ歯」の一例)と係合する。これにより、第1アクチュエータ104は、レバー120によるX軸方向への傾倒操作がなされたときに、レバー120の基部120Bとともに、第1回動軸AX1を中心としてX軸方向へ回動し、一対の脚部104Caの間で中央のギヤ歯106CをX軸方向に押圧することで、第1スライダ106をX軸方向にスライドさせることができる。
【0031】
(第2アクチュエータ105の係合部の構成)
図8は、一実施形態に係る多方向入力装置100における第2アクチュエータ105の係合部の構成を示す断面図である。
図8に示すように、Y軸方向にスライド可能に設けられた第2スライダ107の外側の側面には、3つのギヤ歯107CがY軸方向に並べて設けられている。3つのギヤ歯107Cの各々は、上方に向かって凸状を有する。3つのギヤ歯107Cの各々は、Y軸正側の側面107CaとY軸正側の側面107Caとの各々が、外側に向かって凸状の円弧状を有する。一方、第2アクチュエータ105は、X軸負側の回動軸部105B(
図3参照)から下方に突出した係合部105Cを有する。係合部105Cは、
図8に示すようにX軸負側から平面視したときに、互いに対称形状を有するY軸方向に一対の脚部105Caを有し、一対の脚部105Caの間に、溝部105Cbを有する。一対の脚部105Caの各々の溝部105Cb側の縁部は、溝部105Cb側に向かって凸状の円弧状を有する。係合部105Cは、一対の脚部105Caの間で、第2スライダ107の3つのギヤ歯107Cのうちの、中央のギヤ歯107C(「第1ギヤ歯」の一例)と係合する。これにより、第2アクチュエータ105は、レバー120によるY軸方向への傾倒操作がなされたときに、レバー120の基部120Bとともに、第2回動軸AX2を中心としてY軸方向へ回動し、一対の脚部105Caの間で中央のギヤ歯107CをY軸方向に押圧することで、第2スライダ107をY軸方向にスライドさせることができる。
【0032】
(レバー120のX軸方向への傾倒時の動作)
図9A~
図9Bおよび
図10A~
図10Cは、一実施形態に係る多方向入力装置100におけるレバー120のX軸方向への傾倒時の動作を説明するための図である。
【0033】
図9A~
図9Bおよび
図10A~
図10Cに示すように、一実施形態に係る多方向入力装置100は、レバー120がX軸方向に傾倒したとき、第1アクチュエータ104の回動に伴って、第1アクチュエータ104の係合部104Cと係合する第1スライダ106がX軸方向にスライドすることにより、第1スライダ106によって保持されている第1磁石MG1がX軸方向に移動する。この際、底面基板130において第1磁石MG1と対向して配置されている第1磁気センサ131が、第1磁石MG1のスライド位置(すなわち、レバー120のX軸方向の傾倒角度)に応じた磁力を検出する。そして、第1磁気センサ131が、検出された磁力に応じた信号を、レバー120のX軸方向の傾倒角度を示す信号として外部に出力する。
【0034】
ここで、一実施形態に係る多方向入力装置100は、第1磁石MG1と対向且つ離間して配置されている第1磁気センサ131によってレバー120のX軸方向の傾倒角度を非接触に検出するため、抵抗回路における接触子の摺動による摩耗粉が発生することはない。
【0035】
また、第1アクチュエータ104は、一対の脚部104Caの間で、第1スライダ106の3つのギヤ歯106Cのうちの、中央のギヤ歯106Cと係合する。そして、第1アクチュエータ104は、レバー120がX軸方向に傾倒したとき、一対の脚部104Caのうち、レバー120の傾倒した側の脚部104Caが有する円弧状の内縁部104Cd(「押圧部」の一例)により、中央のギヤ歯106Cの円弧状の側面106Ca(「被押圧部」の一例)を、レバー120の傾倒した側とは反対側に押圧する。これにより、第1アクチュエータ104は、第1スライダ106を、レバー120の傾倒した側とは反対側にスライドさせることができる。この際、互いに当接する脚部104Caの内縁部104Cdと、中央のギヤ歯106Cの側面106Caとが、いずれも円弧状であるため、両者の間の摩擦抵抗の発生を抑制することができる。特に、本実施形態では、互いに当接する脚部104Caの内縁部104Cdと、中央のギヤ歯106Cの側面106Caとが、いずれもサイクロイド曲線に沿った円弧状を有するため、両者の間の摩擦抵抗の発生をさらに抑制することができる。
【0036】
また、第1アクチュエータ104の一対の脚部104Caの各々の外側の縁部である外縁部104Ceの各々は、上下方向に直線状に延びる平面状である。これにより、第1アクチュエータ104の係合部104Cは、製造時に金型を下方に引き抜くことが可能となり、容易に製造可能である。
【0037】
なお、レバー120がX軸方向の傾倒状態から中立状態に戻るとき、第1アクチュエータ104が有する一対の脚部104Caのうちの、レバー120が傾倒した側の脚部104Caの外縁部104Ceが、第1スライダ106が有する3つのギヤ歯106Cのうちのレバー120が傾倒した側のギヤ歯106C(「第2ギヤ歯」の一例)の側面106Caを復帰方向に押圧することにより、第1スライダ106を復帰方向にスライドさせて、第1スライダ106を初期位置に復帰させることができる。
【0038】
例えば、レバー120がX軸正方向の傾倒状態から中立状態に戻るとき、第1アクチュエータ104が有するX軸正側の脚部104Caの外縁部104Ceが、第1スライダ106が有するX軸正側のギヤ歯106Cの側面106CaをX軸正方向に押圧することにより、第1スライダ106をX軸正方向にスライドさせて、第1スライダ106を初期位置に復帰させることができる。
【0039】
反対に、レバー120がX軸負方向の傾倒状態から中立状態に戻るとき、第1アクチュエータ104が有するX軸負側の脚部104Caの外縁部104Ceが、第1スライダ106が有するX軸負側のギヤ歯106Cの側面106CaをX軸負方向に押圧することにより、第1スライダ106をX軸負方向にスライドさせて、第1スライダ106を初期位置に復帰させることができる。
【0040】
また、第1アクチュエータ104が有する一対の脚部104Caと、第1スライダ106が有する3つのギヤ歯106Cとは、いわゆる「ラック&ピニオン機構」を構成する。これにより、一実施形態に係る多方向入力装置100は、レバー120のX軸方向の傾倒動作を、第1スライダ106のX軸方向のスライド動作に変換することができ、この際、レバー120のX軸方向の傾倒角度と、第1スライダ106のX軸方向の移動距離との関係を、線形(正比例)にすることができる。
【0041】
(レバー120のY軸方向への傾倒時の動作)
図11A~
図11Bおよび
図12A~
図12Cは、一実施形態に係る多方向入力装置100におけるレバー120のY軸方向への傾倒時の動作を説明するための図である。
【0042】
図11A~
図11Bおよび
図12A~
図12Cに示すように、一実施形態に係る多方向入力装置100は、レバー120がY軸方向に傾倒したとき、第2アクチュエータ105の回動に伴って、第2アクチュエータ105の係合部105Cと係合する第2スライダ107がY軸方向にスライドすることにより、第2スライダ107によって保持されている第2磁石MG2がY軸方向に移動する。この際、底面基板130において第2磁石MG2と対向して配置されている第2磁気センサ132が、第2磁石MG2のスライド位置(すなわち、レバー120のY軸方向の傾倒角度)に応じた磁力を検出する。そして、第2磁気センサ132が、検出された磁力に応じた信号を、レバー120のY軸方向の傾倒角度を示す信号として外部に出力する。
【0043】
ここで、一実施形態に係る多方向入力装置100は、第2磁石MG2と対向且つ離間して配置されている第2磁気センサ132によってレバー120のY軸方向の傾倒角度を非接触に検出するため、抵抗回路における接触子の摺動による摩耗粉が発生することはない。
【0044】
また、第2アクチュエータ105は、一対の脚部105Caの間で、第2スライダ107の3つのギヤ歯107Cのうちの、中央のギヤ歯107Cと係合する。そして、第2アクチュエータ105は、レバー120がY軸方向に傾倒したとき、一対の脚部105Caのうち、レバー120の傾倒した側の脚部105Caが有する円弧状の内縁部105Cd(「押圧部」の一例)により、中央のギヤ歯107Cの円弧状の側面107Ca(「被押圧部」の一例)を、レバー120の傾倒した側とは反対側に押圧する。これにより、第2アクチュエータ105は、第2スライダ107を、レバー120の傾倒した側とは反対側にスライドさせることができる。この際、互いに当接する脚部105Caの内縁部105Cdと、中央のギヤ歯107Cの側面107Caとが、いずれも円弧状であるため、両者が転がり合うことにより、両者の間の摩擦抵抗の発生を抑制することができる。特に、本実施形態では、互いに当接する脚部105Caの内縁部105Cdと、中央のギヤ歯107Cの側面107Caとが、いずれもサイクロイド曲線に沿った円弧状を有するため、両者が転がり合うことにより、両者の間の摩擦抵抗の発生をさらに抑制することができる。
【0045】
また、第2アクチュエータ105の一対の脚部105Caの各々の外側の縁部である外縁部105Ceの各々は、上下方向に直線状に延びる平面状である。これにより、第2アクチュエータ105の係合部105Cは、製造時に金型を下方に引き抜くことが可能となり、容易に製造可能である。
【0046】
なお、レバー120がY軸方向の傾倒状態から中立状態に戻るとき、第2アクチュエータ105が有する一対の脚部105Caのうちの、レバー120が傾倒した側の脚部105Caの外縁部105Ceが、第2スライダ107が有する3つのギヤ歯107Cのうちのレバー120が傾倒した側のギヤ歯107C(「第2ギヤ歯」の一例)の側面107Caを復帰方向に押圧することにより、第2スライダ107を復帰方向にスライドさせて、第2スライダ107を初期位置に復帰させることができる。
【0047】
例えば、レバー120がY軸正方向の傾倒状態から中立状態に戻るとき、第2アクチュエータ105が有するY軸正側の脚部105Caの外縁部105Ceが、第2スライダ107が有するY軸正側のギヤ歯107Cの側面107CaをY軸正方向に押圧することにより、第2スライダ107をY軸正方向にスライドさせて、第2スライダ107を初期位置に復帰させることができる。
【0048】
反対に、レバー120がY軸負方向の傾倒状態から中立状態に戻るとき、第2アクチュエータ105が有するY軸負側の脚部105Caの外縁部105Ceが、第2スライダ107が有するY軸負側のギヤ歯107Cの側面107CaをY軸負方向に押圧することにより、第2スライダ107をY軸負方向にスライドさせて、第2スライダ107を初期位置に復帰させることができる。
【0049】
また、第2アクチュエータ105が有する一対の脚部105Caと、第2スライダ107が有する3つのギヤ歯107Cとは、いわゆる「ラック&ピニオン機構」を構成する。これにより、一実施形態に係る多方向入力装置100は、レバー120のY軸方向の傾倒動作を、第2スライダ107のY軸方向のスライド動作に変換することができ、この際、レバー120のY軸方向の傾倒角度と、第2スライダ107のY軸方向の移動距離との関係を、線形(正比例)にすることができる。
【0050】
(磁気センサ131,132の配置)
図13は、一実施形態に係る多方向入力装置100における磁気センサ131,132の配置を示す平面図である。
【0051】
図13に示すように、第1アクチュエータ104は、Y軸方向に延在する第1回動軸AX1を有し、レバー120のX軸方向の傾倒に伴って、第1回動軸AX1の軸周りに回動する。また、第2アクチュエータ105は、X軸方向に延在し、且つ第1回動軸AX1と直交する第2回動軸AX2を有し、レバー120のY軸方向の傾倒に伴って、第2回動軸AX2の軸周りに回動する。
【0052】
図6に示したように、第1磁石MG1は、第1スライダ106のX軸正側の開口部106Aに嵌め込まれる。これにより、第1磁石MG1は、
図13に示すように、第1回動軸AX1よりもX軸正側にシフトした位置で、第1スライダ106によって保持される。これに合わせて、第1磁気センサ131は、底面基板130の上面において、第1アクチュエータ104の第1回動軸AX1よりもX軸正側にシフトした位置に配置されている。すなわち、第1磁気センサ131および第1磁石MG1は、第1回動軸AX1よりもX軸正側にシフトした位置で、互いに対向して配置されており、第2磁石MG2から第1磁気センサ131までの距離が、より大きく離間する位置に配置されている。
【0053】
また、
図6に示したように、第2磁石MG2は、第2スライダ107のY軸負側の開口部107Bに嵌め込まれる。これにより、第2磁石MG2は、
図13に示すように、第2回動軸AX2よりもY軸負側にシフトした位置で、第2スライダ107によって保持される。これに合わせて、第2磁気センサ132は、底面基板130の上面において、第2アクチュエータ105の第2回動軸AX2よりもY軸負側にシフトした位置に配置されている。すなわち、第2磁気センサ132および第2磁石MG2は、第2回動軸AX2よりもY軸負側にシフトした位置で、互いに対向して配置されており、第1磁石MG1から第2磁気センサ132までの距離が、より大きく離間する位置に配置されている。
【0054】
このため、一実施形態に係る多方向入力装置100は、第1磁気センサ131および第1磁石MG1が回転軸AX1上に配置され、且つ、第2磁気センサ132および第2磁石MG2が回転軸AX2上に配置される構成と比較して、第1磁気センサ131および第1磁石MG1と、第2磁気センサ132および第2磁石MG2との離間距離が大きくなっている。
【0055】
これにより、一実施形態に係る多方向入力装置100は、第2磁石MG2による第1磁気センサ131への影響と、第1磁石MG1による第2磁気センサ132への影響が抑制されたものとなっている。
【0056】
(第1スライダ106の配置)
図14は、一実施形態に係る多方向入力装置100における第1スライダ106の配置を示す一部断面拡大図である。
図14に示すように、第1スライダ106は、上側に設けられたフレーム140と、下側に設けられたケース110との間で、X軸方向にスライド可能に配置されている。第1スライダ106は、フレーム140およびケース110の各々に対し、若干の隙間を有するため、第1スライダ106の上面および下面が、フレーム140およびケース110の各々に対して直接的に当接しないようになっている。これにより、一実施形態に係る多方向入力装置100は、第1スライダ106のスライドに係る摺動抵抗を抑制することができる。また、
図14に示すように、第1スライダ106は、上面に設けられた一対の突起106Dがフレーム140に対してわずかな隙間を隔てて設けられ、下面に設けられた一対の突起106Eがケース110に部分的に当接することにより、フレーム140とケース110との間でのガタツキが抑制される。
【0057】
(第2スライダ107の配置)
図15は、一実施形態に係る多方向入力装置100における第2スライダ107の配置を示す一部断面拡大図である。
図15に示すように、第2スライダ107は、上側に設けられたフレーム140と、下側に設けられたケース110との間で、Y軸方向にスライド可能に配置されている。第2スライダ107は、フレーム140およびケース110の各々に対し、若干の隙間を有するため、第2スライダ107の上面および下面が、フレーム140およびケース110の各々に対して直接的に当接しないようになっている。これにより、一実施形態に係る多方向入力装置100は、第2スライダ107のスライドに係る摺動抵抗を抑制することができる。また、
図15に示すように、第2スライダ107は、上面に設けられた一対の突起107Dがフレーム140に対してわずかな隙間を隔てて設けられ、下面に設けられた一対の突起107Eがケース110に部分的に当接することにより、フレーム140とケース110との間でのガタツキが抑制される。
【0058】
以上、本発明の一実施形態について詳述したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形又は変更が可能である。
【0059】
例えば、一実施形態では、「被検出媒体」は、磁気であるが、これに限らない。例えば、「被検出媒体」は、光または音といった送受信可能な媒体、要素、信号、エネルギ、力、波であってもよい。
【0060】
本国際出願は、2021年11月2日に出願した日本国特許出願第2021-179502号に基づく優先権を主張するものであり、当該出願の全内容を本国際出願に援用する。
【符号の説明】
【0061】
100 多方向入力装置
101 ホルダ
101A 支持溝
102 フレーム
102A 上面
102B 開口部
102C 支持溝
102D 切り欠き部
102E 第1壁部
102F 第2壁部
103 アクチュエータ
103A 軸部
103B 底板部
104 第1アクチュエータ(第1連動部材)
104A 開口部
104B 回動軸部
104C 係合部
104Ca 脚部
104Cb 溝部
104Cd 内縁部(押圧部)
104Ce 外縁部
104D 支持孔
105 第2アクチュエータ(第2連動部材)
105A 開口部
105B 回動軸部
105C 係合部
105Ca 脚部
105Cb 溝部
105Cd 内縁部(押圧部)
105Ce 外縁部
106 第1スライダ
106A,106B 開口部
106C ギヤ歯(第1ギヤ歯、第2ギヤ歯)
106Ca 側面(被押圧部、第2の被押圧部)
106D,106E 突起
107 第2スライダ
107A,107B 開口部
107C ギヤ歯(第1ギヤ歯、第2ギヤ歯)
107Ca 側面(被押圧部、第2の被押圧部)
107D,107E 突起
108 スプリング
109 スイッチ
110 ケース
111A 第1部分
111B 第2部分
111C 支持壁
120 レバー(操作部材)
120A 軸部
120B 基部
120C 凸部
130 底面基板
130A 開口部
131 第1磁気センサ(第1検出部)
132 第2磁気センサ(第2検出部)
133 金属端子
140 フレーム
141 フック部
AX 中心軸
AX1 第1回動軸
AX2 第2回動軸
MG1 第1磁石(第1発生部材)
MG2 第2磁石(第2発生部材)