IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アルプス電気株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-多方向入力装置 図1
  • 特許-多方向入力装置 図2
  • 特許-多方向入力装置 図3
  • 特許-多方向入力装置 図4
  • 特許-多方向入力装置 図5
  • 特許-多方向入力装置 図6
  • 特許-多方向入力装置 図7
  • 特許-多方向入力装置 図8
  • 特許-多方向入力装置 図9
  • 特許-多方向入力装置 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】多方向入力装置
(51)【国際特許分類】
   H01H 25/04 20060101AFI20241217BHJP
   H01H 36/00 20060101ALI20241217BHJP
   G05G 9/047 20060101ALI20241217BHJP
   G05G 25/00 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
H01H25/04 E
H01H36/00 D
G05G9/047
G05G25/00 C
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023559491
(86)(22)【出願日】2022-10-11
(86)【国際出願番号】 JP2022037833
(87)【国際公開番号】W WO2023084976
(87)【国際公開日】2023-05-19
【審査請求日】2024-03-01
(31)【優先権主張番号】P 2021185853
(32)【優先日】2021-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】太田 真喜
(72)【発明者】
【氏名】沼田 哲
(72)【発明者】
【氏名】大野 真稔
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 正志
【審査官】関 信之
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-119729(JP,A)
【文献】特開2001-324397(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 25/04
H01H 36/00
G05G 9/047
G05G 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁体製の筐体と、
前記筐体に傾倒可能に支持される操作レバーと、
前記操作レバーの傾きを検出する傾倒検出センサと、
静電検出電極と周囲の物体との間で形成される静電容量を検出する静電検出回路と
を含み、
前記筐体は、ドーム状のドーム部と、前記ドーム部の頂部に設けられる開口部とを有し、
前記操作レバーは前記開口部に挿通されており、
前記静電検出電極は、前記開口部を囲むように配置される円環部を有
前記操作レバーの前記開口部から突出する一端が前記筐体に対して位置する第1側とは反対の前記筐体に対する第2側に設けられる配線基板をさらに含み、
前記傾倒検出センサは、前記配線基板に設けられる傾倒検出用の抵抗体を有し、
前記静電検出電極は、
前記円環部から前記筐体の前記ドーム部が位置する側とは反対側に延在し、前記筐体に固定される脚部と、
前記円環部から前記筐体の前記ドーム部が位置する側とは反対側に延在し、前記静電検出回路と接続される接続部とを有し、
前記静電検出回路は、前記配線基板とは離間して配置される、多方向入力装置。
【請求項2】
絶縁体製の筐体と、
前記筐体に傾倒可能に支持される操作レバーと、
前記操作レバーの傾きを検出する傾倒検出センサと、
静電検出電極と周囲の物体との間で形成される静電容量を検出する静電検出回路と
を含み、
前記筐体は、ドーム状のドーム部と、前記ドーム部の頂部に設けられる開口部とを有し、
前記操作レバーは前記開口部に挿通されており、
前記静電検出電極は、前記開口部を囲むように配置される円環部を有
前記筐体は、前記ドーム部の周囲に設けられる切り欠き部を有し、
前記静電検出電極は、前記円環部の内周側から内側に突出し、前記切り欠き部に係合する爪部を有する、多方向入力装置。
【請求項3】
絶縁体製の筐体と、
前記筐体に傾倒可能に支持される操作レバーと、
前記操作レバーの傾きを検出する傾倒検出センサと、
静電検出電極と周囲の物体との間で形成される静電容量を検出する静電検出回路と
を含み、
前記筐体は、ドーム状のドーム部と、前記ドーム部の頂部に設けられる開口部とを有し、
前記操作レバーは前記開口部に挿通されており、
前記静電検出電極は、前記開口部を囲むように配置される円環部を有
前記操作レバーに固定され、前記ドーム部を覆う導体製のノブをさらに含み、
前記ノブは、前記ドーム部に対向する内面側に、前記ドーム部の形状に対応した半球状の凹部を有する、多方向入力装置。
【請求項4】
前記静電検出電極は、前記操作レバーが中立位置にあるときには、前記ノブの前記凹部の外側に位置する、請求項に記載の多方向入力装置。
【請求項5】
前記操作レバーの前記開口部から突出する一端が前記筐体に対して位置する第1側とは反対の前記筐体に対する第2側に設けられる配線基板をさらに含み、
前記傾倒検出センサは、前記配線基板に設けられる傾倒検出用の抵抗体を有する、請求項に記載の多方向入力装置。
【請求項6】
前記操作レバーの前記開口部から突出する一端が前記筐体に対して位置する第1側とは反対の前記筐体に対する第2側に設けられる配線基板をさらに含み、
前記傾倒検出センサは、前記配線基板に設けられる傾倒検出用の抵抗体を有する、請求項に記載の多方向入力装置。
【請求項7】
前記筐体は、固定用の部材を挿通する第1固定孔を有し、
前記静電検出電極は、前記脚部に設けられ、前記第1固定孔と重ねて配置されて前記固定用の部材が挿通される第2固定孔を有する、請求項に記載の多方向入力装置。
【請求項8】
前記第1固定孔は、前記筐体の前記ドーム部が位置する側とは反対側の部分に設けられ、
前記第2固定孔は、前記脚部の先端部に設けられる、請求項に記載の多方向入力装置。
【請求項9】
前記接続部は、前記配線基板から離間している、請求項1、7、及び8のいずれか1項に記載の多方向入力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多方向入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、表面に導電部を有する筐体と、操作体による操作に基づいて移動可能に前記筐体によって支持され、前記操作体及び前記導電部の各々に対して容量結合可能な操作部と、前記導電部における静電容量の変化に基づいて、前記操作部に対する前記操作体の近接状態を検出する検出部とを備えることを特徴とする操作装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2020/031501号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の操作装置は、筐体の導体部と、操作部(操作レバー)の操作に応じて制御を行う制御部が実装される基板とが重ねて配置されているため、導電部における静電容量に影響が生じるおそれがあった。
【0005】
そこで、静電検出電極の感度が安定した多方向入力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態の多方向入力装置は、絶縁体製の筐体と、前記筐体に傾倒可能に支持される操作レバーと、前記操作レバーの傾きを検出する傾倒検出センサと、静電検出電極と周囲の物体との間で形成される静電容量を検出する静電検出回路とを含み、前記筐体は、ドーム状のドーム部と、前記ドーム部の頂部に設けられる開口部とを有し、前記操作レバーは前記開口部に挿通されており、前記静電検出電極は、前記開口部を囲むように配置される円環部を有する。
【発明の効果】
【0007】
静電検出電極の感度が安定した多方向入力装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態に係る多方向入力装置の外観斜視図
図2】多方向入力装置のノブを取り外した状態を示す分解図
図3】ノブ及び静電検出電極の断面構造を示す図
図4】一実施形態に係る多方向入力装置の外観斜視図
図5】一実施形態に係る多方向入力装置(筐体が取り外された状態)の外観斜視図
図6】一実施形態に係る多方向入力装置の分解斜視図
図7】一実施形態に係る多方向入力装置の断面図
図8】一実施形態に係る多方向入力装置が備えるFPCの平面図
図9】一実施形態に係る多方向入力装置が備える摺動子の接触状態を示す図
図10】一実施形態に係る多方向入力装置の出力特性を示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の多方向入力装置を適用した実施形態について説明する。
【0010】
<実施形態>
図1は、一実施形態に係る多方向入力装置100の外観斜視図である。図1には、多方向入力装置100のうちのノブ50、筐体102、フレーム110、FPC112、静電検出電極130、静電検出回路140、及びマザーボード150を示す。図1に示す構成要素のうち、筐体102、フレーム110、及びFPC112は、多方向入力装置100に含まれる操作装置100Aの構成要素であるため、括弧書きで符号100Aを記す。図1では、FPC112の接続部112Bは、マザーボード150と接続されていないが、実際には接続部112Bはマザーボード150の接続部と接続され、マザーボード150に実装され傾倒検出を行う制御部等に接続される。
【0011】
図2は、多方向入力装置100のノブ50を取り外した状態を示す分解図である。図2では、操作レバー120を示し、図1に示す静電検出回路140及びマザーボード150を省略する。操作レバー120は、操作装置100Aの構成要素であるため、括弧書きで符号100Aを記す。
【0012】
以下の説明では、便宜上、図中Z方向を、上下方向とし、図中X方向を、前後方向とし、図中Y方向を、左右方向とする。図1ではノブ50は中立位置にあり、図2で操作レバー120は中立位置にある。中立位置とは、ノブ50又は操作レバー120に対して、前後左右への操作を行っていないときの位置である。
【0013】
図3は、ノブ50及び静電検出電極130の断面構造を示す図である。図3は、ノブ50の中心軸Cを含むYZ平面に平行な断面を示し、多方向入力装置100に含まれる操作装置100Aの輪郭を破線で示す。図3において、ノブ50及び操作レバー120は中立位置にある。図4は、操作装置100Aを示す図である。
【0014】
<多方向入力装置100の概略>
多方向入力装置100は、一例として、ゲーム機等のコントローラ等に用いられる。多方向入力装置100は、ノブ50、操作装置100A、静電検出電極130、静電検出回路140、及びマザーボード150を備える。ここでは多方向入力装置100がノブ50を含むものとして説明するが、ノブ50を除いたものを多方向入力装置100として取り扱ってもよい。
【0015】
ノブ50は、操作レバー120の上端側に固定されている。ノブ50は、操作装置100Aの筐体102のドーム部102Aを覆う導体製のノブであり、下側に設けられる半球状の部分である半球部51と、半球部51の上側に設けられる操作部52とを有する。ノブ50は、図3に示す中心軸Cを対称軸とする回転対称な立体形状を有する。
【0016】
また、ノブ50は、図3に示すように、ドーム部102Aに対向する内面側に、ドーム部102Aの形状に対応した半球状の凹部51Aを有する。また、ノブ50は、凹部51Aの頂部から上方向に凹む凹部52Aをさらに有する。凹部52Aには、操作レバー120の上端が差し込まれて固定される。
【0017】
このようなノブ50は、多方向入力装置100がゲーム機等のコントローラ等に用いられる場合に、操作者が手等で触れて操作を行う部分である。ノブ50は、静電検出電極130と容量結合している。
【0018】
静電検出電極130は、筐体102のドーム部102Aの周囲に取り付けられている。静電検出電極130は、マザーボード150を介して静電検出回路140に接続されている。
【0019】
静電検出回路140は、静電検出電極130で検出される静電容量の変化に基づいて、ノブ50に対する操作者の手等の近接又は接触を検出することができる。近接とは、操作者の手等がノブ50に対して非接触の状態で近くにあることをいい、接触とは操作者の手等がノブ50に触れていることをいう。
【0020】
図4に示すように、多方向入力装置100は、筐体102の開口部102A1から上方に向って延在する柱状の、傾倒操作可能な操作レバー120を有する。多方向入力装置100は、筐体102に対して傾倒可能に支持され、操作レバー120による前後方向(図中矢印D1、D2方向)及び左右方向(図中矢印D3、D4方向)のみならず、これらの方向の間の全方向への傾倒操作が可能である。また、多方向入力装置100は、操作レバー120の傾倒操作(傾倒方向及び傾倒角度)に応じた操作信号を、FPC(Flexible Printed Circuits)112を介して外部へ出力することができる。
【0021】
次に、操作装置100Aの構成について説明する。操作装置100Aについては、図4に加えて図5乃至図9を用いて説明する。多方向入力装置100の静電検出電極130、静電検出回路140、及びマザーボード150の詳細については、操作装置100Aの構成を説明した後に説明する。
【0022】
<操作装置100Aの構成>
図5は、一実施形態に係る操作装置100A(筐体102が取り外された状態)の外観斜視図である。図6は、一実施形態に係る操作装置100Aの分解斜視図である。図7は、一実施形態に係る操作装置100Aの断面図である。
【0023】
図5図7に示すように、操作装置100Aは、筐体102、操作レバー120、アクチュエータ104、ホルダ105、アクチュエータ106、アクチュエータ103、スプリング108、ホルダ107、押圧部材109、フレーム110、FPC112、及びメタルシート113を備える。
【0024】
筐体102は、上側に凸状のドーム状のドーム部102Aと、ドーム部102Aの下側に設けられる基部102Bとを有している。筐体102は、絶縁体製であればよく、例えば樹脂製である。基部102Bが設けられる筐体102の下部は、筐体1102のドーム部102Aが位置する側とは反対側の部分の一例である。
【0025】
筐体102は、内部空間に各構成部品(操作レバー120、アクチュエータ103、104、106、及びホルダ105、107)が組み込まれる。筐体102は、ドーム部102Aの頂部に、上方からの平面視において円形状をなす開口部102A1が形成されている。開口部102A1には、操作レバー120が挿通される。
【0026】
また、筐体102は、基部102Bの+Y方向側と-Y方向側の端部に、固定用の部材60(図2参照)を挿通する固定孔102B1を有する。固定孔102B1は、第1固定孔の一例である。固定用の部材60は、例えばネジ等であり、多方向入力装置100をゲームコントローラ等の筐体等に固定する際に、固定孔102B1にネジを挿通して締め付けることによって、筐体102をゲームコントローラ等の筐体に固定すればよい。
【0027】
また、筐体102は、ドーム部102Aの平面視における外側の四隅の各々に設けられる切り欠き部102A2を有する。切り欠き部102A2は、静電検出電極130を固定するために設けられている。
【0028】
操作レバー120は、操作者によって傾倒操作がなされる部材である。操作レバー120は、絶縁体製であればよく、一例として樹脂製である。操作レバー120は、レバー部120A及び基部120Bを有する。レバー部120Aは、筐体102の開口部102A1から上方に向って延在する概ね円柱状の部分であって、ノブ50を介して操作者によって傾倒操作がなされる部分である。基部120Bは、筐体102の内部においてレバー部120Aの下端部を支持し、レバー部120Aの傾倒操作に伴って回動する、概ね円柱状の部分である。
【0029】
アクチュエータ104は、上側に凸状に湾曲したドーム形状を有しており、当該湾曲形状に沿って左右方向(図中Y方向)に延在する長穴形状の開口部104Aを有する。アクチュエータ104は、左右方向における両端部の各々に外側に突出した回動軸104Bを有しており、当該回動軸104Bが筐体102によって支持されることにより、当該回動軸104Bを回転中心として、前後方向(図中X方向)に回動可能に設けられる。
【0030】
アクチュエータ106は、アクチュエータ104の上側に重ねて設けられている。アクチュエータ106は、上側に凸状に湾曲した形状を有しており、当該湾曲形状に沿って前後方向(図中X方向)に延在する長穴形状の開口部106Aを有する。アクチュエータ106は、前後方向における両端部の各々に外側に突出した回動軸106Bを有しており、当該回動軸106Bが筐体102によって支持されることにより、当該回動軸106Bを回転中心として、左右方向(図中Y方向)に回動可能に設けられる。
【0031】
ホルダ105は、摺動子105Aを下側に保持する。ホルダ105は、摺動子105Aの摺動方向(X方向)に延在する長手形状を有する。ホルダ105は、摺動子105Aの摺動方向(X方向)にスライド可能に設けられる。ホルダ105の側面の中央部には、突起105Bが設けられている。
【0032】
ホルダ107は、摺動子107Aを下側に保持する。ホルダ107は、摺動子107Aの摺動方向(Y方向)に延在する長手形状を有する。ホルダ107は、摺動子107Aの摺動方向(Y方向)にスライド可能に設けられる。ホルダ107の側面の中央部には、突起107Bが設けられている。
【0033】
なお、アクチュエータ104、アクチュエータ106、ホルダ105、及びホルダ107は、絶縁体製であればよく、一例として樹脂製である。
【0034】
図5図7に示すように、アクチュエータ104及びアクチュエータ106は、開口部104A及び開口部106Aが互いに交差するように、互いに重なり合う。アクチュエータ104及びアクチュエータ106は、互いに重なり合った状態で、開口部104A及び開口部106Aを操作レバー120のレバー部120Aが貫通し、操作レバー120の基部120Bに組み合された状態で、基部120Bとともに筐体102内に組み込まれる。
【0035】
アクチュエータ104は、+Y方向側の回動軸104Bから下方に突出した係合部104Cを有する。係合部104Cは、FPC112上を前後方向(X方向)にスライド可能に設けられたホルダ105の側面の中央部に設けられた突起105Bと係合する。アクチュエータ104は、操作レバー120による前後方向(X方向)への傾倒操作がなされたときに、操作レバー120の基部120Bとともに前後方向へ回動し、ホルダ105を前後方向にスライドさせる。これにより、ホルダ105の下部に保持された摺動子105A(図9参照)とFPC112に設けられた抵抗体116、117との電気的な接続状態が変化し、FPC112の接続部112Bから、操作レバー120の前後方向への傾倒操作(傾倒方向及び傾倒角度)に応じた抵抗値による操作信号が出力されることとなる。
【0036】
アクチュエータ106は、+X方向側の回動軸106Bから下方に突出した係合部106Cを有する。係合部106Cは、FPC112上を左右方向(Y方向)にスライド可能に設けられたホルダ107の側面の中央部に設けられた突起107Bと係合する。アクチュエータ106は、操作レバー120による左右方向(Y方向)への傾倒操作がなされたときに、操作レバー120の基部120Bとともに左右方向へ回動し、ホルダ107を左右方向にスライドさせる。これにより、ホルダ107の下部に保持された摺動子107A(図9参照)とFPC112に設けられた抵抗体115、117との電気的な接続状態が変化し、FPC112の接続部112Bから、操作レバー120の左右方向への傾倒操作(傾倒方向及び傾倒角度)に応じた抵抗値による操作信号が出力されることとなる。
【0037】
摺動子105A、107A、及び、抵抗体115、116、117は、操作レバー120の前後方向及び左右方向への傾倒操作に応じた抵抗値を出力する傾倒検出センサの一例である。
【0038】
アクチュエータ103は、軸部103A及び底板部103Bを有する。軸部103Aは、操作レバー120の貫通孔120C内に挿通して配置される丸棒状の部分である。底板部103Bは、軸部103Aの下端部に一体的に設けられた、円盤状の部分である。
【0039】
スプリング108は、アクチュエータ103の軸部103Aが挿通された状態で、アクチュエータ103とともに、操作レバー120の底面側(-Z方向側)の開口部(図7参照)内に組み込まれる。スプリング108は、操作レバー120を上側に付勢するとともに、アクチュエータ103の底板部103Bを下側に付勢する。これにより、スプリング108は、操作者による操作レバー120の傾倒操作が解除されたときに、アクチュエータ103の底板部103Bをフレーム110の上面且つ中央部に押し当てて、当該底板部103Bが水平状態にすることで、操作レバー120を中立位置に復帰させる。
【0040】
押圧部材109は、操作レバー120が下側に押し下げられたときに、アクチュエータ104の-Y方向側の回動軸104Bによって下側に押し下げられることにより、FPC112上に設けられたメタルシート113を下側に押圧し、当該メタルシート113を弾性変形させることによって、FPC112上に形成されたスイッチ回路を導通状態とする。これにより、FPC112から、操作レバー120が下側へ押し下げられたことを示すスイッチオン信号が出力されることとなる。
【0041】
なお、スプリング108は、金属製である。押圧部材109は、絶縁体製であればよく、一例として樹脂製である。
【0042】
フレーム110は、筐体102の底面側の開口部を閉塞する、金属製且つ平板状の部材である。例えば、フレーム110は、金属板に対する各種加工方法(例えば、パンチング加工、折り曲げ加工等)がなされることによって形成される。フレーム110は、前側(+X方向側)の縁部及び後側(-X方向側)の縁部の各々に、一対の爪部110Aが設けられている。フレーム110は、各爪部110Aが、筐体102の縁部に係合することにより、筐体102に対して固定的に結合される。
【0043】
FPC112は、配線基板の一例であり、可撓性を有するフィルム状の配線部材である。FPC112は、筐体102の下側に配置されている。筐体102の下側は、操作レバー120の開口部102A1から突出する一端が筐体102に対して位置する上側(第1側の一例)とは反対の筐体102に対する第2側の一例である。
【0044】
FPC112は、フレーム110上面から、フレーム110の側方(-Y方向)へ延在する延在部112Aを有しており、当該延在部112Aの先端に設けられた接続部112Bにより、外部へ接続される。FPC112は、操作レバー120の操作(傾倒操作及び押圧操作)に応じた操作信号を、外部へ向けて伝送する。FPC112は、帯状の導体配線(例えば、銅箔等)の両表面を、可撓性及び絶縁性を有するフィルム状の素材(例えば、ポリイミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET:Polyethylene terephthalate)等)で覆うことによって構成される。
【0045】
<FPC112の構成>
図8は、一実施形態に係る操作装置100Aが備えるFPC112の平面図である。図8に示すように、FPC112の表面には、いずれも平面状且つ帯状の、抵抗体115、抵抗体116、及び抵抗体117が設けられている。例えば、抵抗体115、抵抗体116、及び抵抗体117の各々は、炭素繊維素材が用いられて薄膜状に印刷されることによって形成される。
【0046】
抵抗体115は、FPC112における+X方向側の縁部の近傍に設けられている。抵抗体115は、Y方向に直線状に延在する帯状を有する。
【0047】
抵抗体116は、FPC112における+Y方向側の縁部の近傍に設けられている。抵抗体116は、X方向に直線状に延在する帯状を有する。
【0048】
抵抗体117は、FPC112における+X方向側且つ+Y方向側の角部の近傍に設けられている。抵抗体117は、直線部117A及び直線部117BとからなるL字状を有する。直線部117Aは、Y方向に直線状に延在する帯状を有する。直線部117Bは、X方向に直線状に延在する帯状を有する。
【0049】
<摺動子105A、107Aの接触状態>
図9は、一実施形態に係る操作装置100Aが備える摺動子105A、107Aの接触状態を示す図である。
【0050】
図9に示すように、FPC112の表面において、抵抗体117の直線部117Aと、抵抗体115とは、互いに離間して、Y方向に一直線状に設けられている。直線部117A及び抵抗体115の表面上には、ホルダ107の下部に保持された金属製且つ板バネ状の摺動子107Aが、Y方向に摺動する。具体的には、抵抗体115の表面上には、摺動子107Aの-Y方向側の端部に設けられた接点部107Aaが摺動する。また、直線部117Aの表面上には、摺動子107Aの+Y方向側の端部に設けられた接点部107Abが摺動する。
【0051】
また、図9に示すように、FPC112の表面において、抵抗体117の直線部117Bと、抵抗体116とは、互いに離間して、X方向に一直線状に設けられている。直線部117B及び抵抗体116の表面上には、ホルダ105の下部に保持された金属製且つ板バネ状の摺動子105Aが、X方向に摺動する。具体的には、抵抗体116の表面上には、摺動子105Aの-X方向側の端部に設けられた接点部105Aaが摺動する。また、直線部117Bの表面上には、摺動子105Aの+X方向側の端部に設けられた接点部105Abが摺動する。
【0052】
本構成により、一実施形態に係る操作装置100Aは、操作レバー120のY方向への傾倒操作に伴って、直線部117A及び抵抗体115の表面上を、摺動子107AがY方向に摺動する。これにより、抵抗体117に接続された端子と、抵抗体115に接続された端子との間の抵抗値が、摺動子107Aの移動量(すなわち、操作レバー120の傾倒角度)に応じて変化する。外部の装置は、この両端子間の抵抗値の変化に基づいて、操作レバー120のY方向への傾倒操作及び傾倒角度を検出することができる。
【0053】
また、一実施形態に係る操作装置100Aは、操作レバー120のX方向への傾倒操作に伴って、直線部117B及び抵抗体116の表面上を、摺動子105AがX方向に摺動する。これにより、抵抗体117に接続された端子と、抵抗体116に接続された端子との間の抵抗値が、摺動子105Aの移動量(すなわち、操作レバー120の傾倒角度)に応じて変化する。外部の装置は、この両端子間の抵抗値の変化に基づいて、操作レバー120のX方向への傾倒操作及び傾倒角度を検出することができる。
【0054】
図8及び図9に示すように、抵抗体117の直線部117Aは、低抵抗部117Aaを有する。低抵抗部117Aaは、直線部117Aの他の部分よりも、抵抗値が低い部分である。また、低抵抗部117Aaは、図8及び図9に示すように、操作レバー120が中立位置にあるときに、摺動子107Aの接点部107Abが当接する部分である。本実施形態では、低抵抗部117Aaは、直線部117Aの他の部分よりも抵抗体117の積層数が多い(すなわち、厚さが大きい)ことにより、直線部117Aの他の部分よりも抵抗値が低められている。例えば、図8及び図9に示す例では、低抵抗部117Aaにおいては、抵抗体117が2層となっており、直線部117Aの他の部分においては、抵抗体117が1層となっている。具体的には、低抵抗部117Aaにおいては、直線部117Aにおける低抵抗部117Aaのみを範囲とする抵抗体と、直線部117Aにおける全域を範囲とする抵抗体とが重なっていることにより、抵抗体117が2層となっている。これにより、図8及び図9に示す例では、低抵抗部117Aaの抵抗値が、直線部117Aの他の部分の抵抗値の2分の1となっている。
【0055】
また、図8及び図9に示すように、抵抗体117の直線部117Bは、低抵抗部117Baを有する。低抵抗部117Baは、直線部117Bの他の部分よりも、抵抗値が低い部分である。また、低抵抗部117Baは、図8及び図9に示すように、操作レバー120が中立位置にあるときに、摺動子105Aの接点部105Abが当接する部分である。本実施形態では、低抵抗部117Baは、直線部117Bの他の部分よりも抵抗体117の積層数が多い(すなわち、厚さが大きい)ことにより、直線部117Bの他の部分よりも抵抗値が低められている。例えば、図8及び図9に示す例では、低抵抗部117Baにおいては、抵抗体117が2層となっており、直線部117Bの他の部分においては、抵抗体117が1層となっている。具体的には、低抵抗部117Baにおいては、直線部117Bにおける低抵抗部117Baのみを範囲とする抵抗体と、直線部117Bにおける全域を範囲とする抵抗体とが重なっていることにより、抵抗体117が2層となっている。これにより、図8及び図9に示す例では、低抵抗部117Baの抵抗値が、直線部117Bの他の部分の抵抗値の2分の1となっている。
【0056】
<出力特性>
図10は、一実施形態に係る操作装置100Aの出力特性を示す図である。図10に示すグラフは、抵抗体117の長さ(直線部117A、117Bの長さ)と、出力電圧値との関係を示す。なお、図10に示す例では、抵抗体117の最大長さを「5mm」とし、操作レバー120が中立位置にあるときの抵抗体117の長さを「2.5mm」としている。また、低抵抗部117Aa、117Baの長さを「1.0mm」としている。また、低抵抗部117Aa、117Baの抵抗値を、直線部117A、117Bの他の部分の抵抗値の2分の1としている。なお、図10では、低抵抗部117Aa、117Baを設けた場合の出力電圧を実線で表し、比較例として低抵抗部117Aa、117Baを設けない場合を出力電圧を破線で表す。
【0057】
図10において破線で示すように、直線部117A、117Bに低抵抗部117Aa、117Baを設けない場合、直線部117A、117Bの全域において、出力電圧値の傾きが一定である。
【0058】
一方、図10において実線で示すように、直線部117A、117Bに低抵抗部117Aa、117Baを設けた場合、直線部117A、117Bの他の部分においては、傾きが一定であるが、低抵抗部117Aa、117Baにおいては、他の部分よりも、出力電圧値の傾きが緩やかになっている。
【0059】
これにより、図10に示すように、操作レバー120が中立位置にあるときを中心とする1.0mmの範囲において、低抵抗部117Aa、117Baを設けない場合は、出力電圧値の範囲幅が「1.0V」であるのに対し、低抵抗部117Aa、117Baを設けた場合は、出力電圧値の範囲幅が「0.5V」(すなわち、低抵抗部117Aa、117Baを設けない場合の2分の1)となっている。
【0060】
このように、一実施形態に係る操作装置100Aは、低抵抗部117Aa、117Baの抵抗値を低めたことにより、操作レバー120の中立位置近傍の出力電圧値の傾きを緩やかにして、操作レバー120の中立位置近傍の出力電圧値の範囲幅を狭めることができる。これにより、一実施形態に係る操作装置100Aは、操作レバー120の物理的な復帰誤差が生じている場合であっても、出力電圧値を、操作レバー120の中立位置に対応する所定の出力電圧値により近づけることができる。したがって、一実施形態に係る操作装置100Aは、当該操作装置100Aにより出力される出力電圧値において、信号処理によらずに、操作レバー120の中立位置への復帰精度をより高めることができる。
【0061】
なお、低抵抗部117Aa、117Baにおいて、直線部117A、117Bにおける低抵抗部117Aa、117Baのみを範囲とする抵抗体の上に、直線部117A、117Bにおける全域を範囲とする抵抗体を重ねるようにしてもよい。これにより、低抵抗部117Aa、117Baと他の部分との境界における摺動子107A、105Aの引っ掛かり等を抑制することができる。
【0062】
次に、静電検出電極130、静電検出回路140、及びマザーボード150について説明する。
【0063】
<静電検出電極130>
図2に示すように、静電検出電極130は、円環部131、脚部132、及び接続部133を有する。脚部132は、一例として2つ設けられている。なお、静電検出電極130は、金属製であり、一例として銅、アルミニウム、鉄等の板金に対してパンチングや折り曲げ等の加工を施すことによって作製可能である。
【0064】
円環部131は、平面視で円環状の形状を有する部分であり、内周側から径方向の内側に突出する4つの爪部131Aを有する。4つの爪部131Aは、円環部131の周方向において等間隔で、筐体102のドーム部102Aの切り欠き部102A2の位置に合わせて配置されている。また、爪部131Aは、切り欠き部102A2の凹形状に合わせた凸形状を有する。
【0065】
また、2つの脚部132は、円環部131の外周部のうちの+Y方向側と-Y方向側の部分から下方に延在しており、接続部133は、円環部131の外周部のうちの-X方向側の部分から下方に延在している。
【0066】
+Y方向側の脚部132が円環部131に接続される位置は、+Y方向側の2つの爪部131Aの間であり、-Y方向側の脚部132が円環部131に接続される位置は、-Y方向側の2つの爪部131Aの間である。接続部133が円環部131に接続される位置は、-X方向側の2つの爪部131Aの間である。
【0067】
円環部131は、筐体102のドーム部102Aの上部の外表面において、開口部102A1を囲むように配置され、爪部131Aがドーム部102Aの切り欠き部102A2に係合した状態で、ドーム部102Aに固定されている。円環部131は、筐体102の上部に位置し、筐体102の下側に位置するFPC112からは、互いにノイズ等の影響を受けないように十分に離間して配置されている。
【0068】
円環部131は、ドーム部102Aの上部の外表面に配置されるため、図3に示すようにノブ50の内表面である凹部51Aの表面と対向しており、対向する面積が大きくなるように、径方向の幅を大きく取っている。また、円環部131は、図3に示すように、Z方向においては、操作レバー120が中立位置にある状態では、ノブ50の下端よりも下方に位置する。このため、円環部131は、操作レバー120が中立位置にある状態では、ノブ50の凹部51Aの外側にあり、凹部51Aの内側には位置しない。
【0069】
図3に示すように操作レバー120が中立位置にある状態から、操作レバー120を+Y方向側に傾倒すると、ノブ50の+Y方向側の下端が円環部131の+Y方向側の部分を覆うようになる。また、このときに、円環部131の-Y方向側の部分は、図3に示す状態よりもノブ50の-Y方向側の下端から離れる。このような円環部131とノブ50の位置関係の変化は、図3において操作レバー120を-Y方向側に傾倒した場合も同様である。また、ノブ50の立体形状の対称性から、操作レバー120を±X方向側に傾倒した場合も同様であり、±X方向と±Y方向の間の全方向に傾倒した場合も同様である。
【0070】
このため、ノブ50が前後方向、左右方向、及び、これらの方向の間の全方向に傾倒されても、静電検出電極130とノブ50との静電容量はあまり変化せず、略一定である。また、操作レバー120を傾倒させると、操作レバー120が倒れる方向では、円環部131とノブ50との静電容量が増大するが、反対側では静電容量が減少するため、操作レバー120の傾倒量の違いによる静電容量の変化は小さい。また、操作レバー120が中立位置にある状態での円環部131とノブ50との静電容量と、操作レバー120のいずれかの方向に傾倒させた状態での円環部131とノブ50との静電容量との差も小さくなるように構成されている。
【0071】
このように、操作レバー120を傾倒する方向及び傾倒量による円環部131とノブ50との静電容量や、傾倒時と中立位置での円環部131とノブ50との静電容量の変動量を小さくすることが可能な円環部131及びノブ50の構成を採用しているのは、操作レバー120がどのような状態にあっても、操作者の手等がノブ50に近接又は接触している状態と、操作者の手等がノブ50から遠ざかっている状態とを正確に検出できるようにするためである。
【0072】
脚部132は、円環部131の±Y方向の端部から下方に延在しており、YZ面視で下端側がL字型になるように折り曲げられている。L字に折り曲げる部分は、筐体102の基部102Bの側面を+Y方向側と-Y方向側とで挟むように構成されている。また、脚部132のL字に折り曲げられた先の部分(脚部132の先端)には、固定孔132Aが形成されている。固定孔132Aは、第2固定孔の一例である。
【0073】
固定孔132Aは、筐体102の基部102Bの固定孔102B1と位置を合わせて形成されており、多方向入力装置100をゲームコントローラ等の筐体等に固定する際に、固定孔102B1及び132Aに同一のネジを挿通して締め付けることによって、固定可能である。
【0074】
接続部133は、円環部131の-X方向の端部から下方に延在しており、XZ面視で下端133A側がL字型になるように折り曲げられている。図1に示すように、接続部133の下端133Aは、マザーボード150の表面にあるパッド151に接続されている。パッド151は、配線152を介して、マザーボード150の表面に実装された静電検出回路140に接続されている。
【0075】
また、接続部133の下端133Aは、X方向においてフレーム110及びFPC112から十分に離間している。十分に離間とは、接続部133がフレーム110及びFPC112からノイズを拾わない程度に距離を隔てていることをいう。
【0076】
静電検出回路140は、上述のようにマザーボード150の配線152及びパッド151を介して静電検出電極130に接続されている。静電検出回路140は、一例としてIC(Integrated Circuit)で構成され、静電検出電極130に交流電圧を印加し、静電検出電極130の静電容量の変化に応じた電流値をAD(Analog to Digital)変換する。そして、静電検出回路140は、静電検出電極130の静電容量の変化に応じたAD変換後の電流値の変化に基づいて、ノブ50に対する操作者の手等の近接状態を検出する。このようにして、静電検出回路140は、静電検出電極130と、周囲の物体であるノブ50との静電容量を検出する。
【0077】
静電検出回路140は、FPC112及びフレーム110から十分に離間して配置される。FPC112には、傾倒検出センサの一例としての摺動子105A、107A、及び、抵抗体115、116、117等が配置されており、操作レバー120の傾倒動作に伴って信号が発生する。また、フレーム110は、FPC112と重ねて配置されていて容量結合している部分があるため、フレーム110には、FPC112に生じる信号に由来する信号成分が存在する。静電検出回路140から見ると、FPC112に生じる信号やフレーム110に生じる信号成分は、ノイズである。
【0078】
このため、静電検出回路140をFPC112及びフレーム110から十分に離間して配置して、静電検出回路140がFPC112やフレーム110からノイズを受けないようにしている。ノブ50への操作者の手等の近接や接触を安定的に検出可能にするためである。
【0079】
マザーボード150は、ゲームコントローラ等の筐体等に収容されるものであり、ゲームコントローラ等の動作を制御するマイクロコンピュータやその他の電子部品が実装されている。静電検出回路140は、これらのマイクロコンピュータやその他の電子部品からもノイズ等の影響を受けない状態でマザーボード150に実装すればよい。
【0080】
以上のように、静電検出電極130の円環部131を筐体102のドーム部102Aの開口部102A1を囲むように設け、静電検出電極130とノブ50との静電容量の変化に基づいて操作者の手等のノブ50への近接又は接触を検出する。円環部131はドーム部102Aの開口部102A1を囲んでいるため、ノブ50が前後方向、左右方向、及び、これらの方向の間の全方向に傾倒されても、静電検出電極130とノブ50との静電容量はあまり変化せずに、略一定である。また、傾倒量の違いによっても静電検出電極130とノブ50との静電容量はあまり変化しない。さらに、傾倒時と中立位置での円環部131とノブ50との静電容量の変動量は小さい。
【0081】
このため、操作者の手等がノブ50に近接又は接触している状態と、操作者の手等がノブ50から遠ざかっている状態とを正確に検出でき、静電検出電極130の感度が安定する。
【0082】
したがって、静電検出電極130の感度が安定した多方向入力装置100を提供することができる。
【0083】
また、筐体102の下側に設けられるFPC112が、傾倒検出用の抵抗体115、116、117を有するので、静電検出電極130が、FPC112から傾倒検出に関する信号等の影響を受けにくい。静電検出電極130にとっては傾倒検出に関する信号等はノイズになるため、耐ノイズ性が高く、操作者の手等の近接又は接触を安定的に検出可能な多方向入力装置100を提供することができる。
【0084】
また、静電検出電極130は、円環部131から筐体102のドーム部102Aが位置する側とは反対側に延在し、筐体102に固定される脚部132と、円環部131から筐体102のドーム部102Aが位置する側とは反対側に延在し、静電検出回路140と接続される接続部133とを有し、静電検出回路140は、FPC112とは離間して配置される。円環部131が動かないように固定され、接続部133を介して静電検出電極130に接続される静電検出回路140がFPC112の信号の影響を受けにくくなるので、静電容量を高精度に検出でき、操作者の手等の近接又は接触を安定的に検出可能な多方向入力装置100を提供することができる。
【0085】
また、静電検出電極130は、筐体102の固定孔102B1と重ねて配置されて、共通の固定用の部材60が挿通される固定孔132Aを有するので、固定用の部材60を共通化できる。また、筐体102と静電検出電極130とを安定的に固定できる。
【0086】
また、固定孔102B1は、筐体102の下部に設けられ、固定孔132Aは、脚部132の先端部に設けられるので、筐体102と静電検出電極130とを筐体102の下部で安定的に固定できる。
【0087】
また、接続部133は、FPC112から離間しているので、静電検出電極130がFPC112に実装される傾倒検出センサからノイズを受けにくくなり、静電検出電極130の感度がより安定した多方向入力装置100を提供することができる。
【0088】
また、筐体102は、ドーム部102Aの周囲に設けられる切り欠き部102A2を有し、静電検出電極130は、切り欠き部102A2に係合する爪部131Aを有するので、静電検出電極130をドーム部102Aに係合させて安定させることができ、静電検出電極130の感度がより安定した多方向入力装置100を提供することができる。
【0089】
また、操作レバー120に固定され、ドーム部102Aを覆う導体製のノブ50をさらに含み、ノブ50は、ドーム部102Aに対向する内面側に、ドーム部102Aの形状に対応した半球状の凹部51Aを有するので、静電検出電極130の円環部131とノブ50との間で安定的な静電容量を得ることができ、静電検出電極130の感度がより安定した多方向入力装置100を提供することができる。
【0090】
静電検出電極130は、操作レバー120が中立位置にあるときには、ノブ50の凹部51Aの外側に位置するので、傾倒方向や傾倒量の違いによる円環部131とノブ50との静電容量の変動量を小さくでき、静電検出電極130の感度がより安定した多方向入力装置100を提供することができる。
【0091】
以上、本発明の例示的な実施形態の多方向入力装置について説明したが、本発明は、具体的に開示された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
【0092】
なお、本国際出願は、2021年11月15日に出願した日本国特許出願2021-185853に基づく優先権を主張するものであり、その全内容は本国際出願にここでの参照により援用されるものとする。
【符号の説明】
【0093】
50 ノブ
51 半球部
51A 凹部
52 操作部
52A 凹部
60 固定用の部材
100 多方向入力装置
100A 操作装置
102 筐体
102A ドーム部
102A1 開口部
102A2 切り欠き部
102B 基部
102B1 固定孔 (第1固定孔の一例)
103 アクチュエータ
103A 軸部
103B 底板部
104 アクチュエータ
104C 係合部
105 ホルダ
105A 摺動子
105B 突起
106 アクチュエータ
106C 係合部
107 ホルダ
107A 摺動子
107B 突起
108 スプリング
109 押圧部材
110 フレーム
112 FPC(配線基板の一例)
113 メタルシート
117 抵抗体
117A、117B 直線部
117Aa、117Ba 低抵抗部
120 操作レバー
120A レバー部
120B 基部
120C 貫通孔
130 静電検出電極
131 円環部
131A 爪部
132 脚部
132A 固定孔(第2固定孔の一例)
133 接続部
133A 下端
140 静電検出回路
150 マザーボード
151 パッド
152 配線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10