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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】香気を増強する方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/64 20060101AFI20241217BHJP
   A61Q 13/00 20060101ALI20241217BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20241217BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20241217BHJP
   A61Q 5/00 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
A61K8/64
A61Q13/00 102
A61Q19/10
A61Q19/00
A61Q5/00
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020060119
(22)【出願日】2020-03-30
(65)【公開番号】P2021153559
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000000066
【氏名又は名称】味の素株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河嶋 奈央
【審査官】吉岡 沙織
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-048786(JP,A)
【文献】特開2013-158302(JP,A)
【文献】特開2020-005639(JP,A)
【文献】国際公開第2017/171016(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
A61K
A61Q
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分(A)を含有する、香気増強用組成物:
(A)高甘味度甘味料
であって、
香気組成物に配合して用いられ、
前記香気組成物は、トイレタリー用品または化粧品であり、
前記成分(A)が、アドバンテームおよび/またはアスパルテームである、組成物。
【請求項2】
下記成分(A)および(B)を含有する、香気組成物:
(A)高甘味度甘味料;
(B)香気成分
であって、
前記香気組成物は、トイレタリー用品または化粧品であり、
前記成分(A)が、アドバンテームおよび/またはアスパルテームである、組成物。
【請求項3】
前記香気組成物が、入浴剤、スキンケア製品、ヘアケア製品、洗剤、柔軟剤、芳香剤、または消臭剤である、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記成分(A)の含有量が、0.001ppm(w/w)~50%(w/w)である、請求項1~のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
前記成分(A)を、該成分(A)の使用濃度が0.001~2000ppm(w/w)となるように含有する、請求項1~のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
前記成分(A)が、アドバンテームを含み、
アドバンテームの含有量が、0.001ppm(w/w)~50%(w/w)である、請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
前記成分(A)が、アスパルテームを含み、
アスパルテームの含有量が、0.02ppm(w/w)~50%(w/w)である、請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
前記成分(A)が、アドバンテームを含み、
前記成分(A)を、アドバンテームの使用濃度が0.001~2000ppm(w/w)となるように含有する、請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
前記成分(A)が、アスパルテームを含み、
前記成分(A)を、アスパルテームの使用濃度が0.02~2000ppm(w/w)となるように含有する、請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
下記成分(A)を香気組成物に配合することを含む、香気を増強する方法:
(A)高甘味度甘味料
であって、
前記香気組成物が、トイレタリー用品または化粧品であり、
前記成分(A)が、アドバンテームおよび/またはアスパルテームである、方法。
【請求項11】
下記成分(A)を配合して香気組成物を製造することを含む、香気組成物を製造する方法:
(A)高甘味度甘味料
であって、
前記香気組成物が、トイレタリー用品または化粧品であり、
前記成分(A)が、アドバンテームおよび/またはアスパルテームである、方法。
【請求項12】
前記香気組成物が、入浴剤、スキンケア製品、ヘアケア製品、洗剤、柔軟剤、芳香剤、または消臭剤である、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
前記成分(A)を、前記香気組成物における該成分(A)の含有量が0.001ppm(w/w)~50%(w/w)となるように配合する、請求項1~1のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記成分(A)を、該成分(A)の使用濃度が0.001~2000ppm(w/w)となるように配合する、請求項1~1のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記成分(A)が、アドバンテームを含み、
前記成分(A)を、前記香気組成物におけるアドバンテームの含有量が0.001ppm(w/w)~50%(w/w)となるように配合する、請求項1~1のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記成分(A)が、アスパルテームを含み、
前記成分(A)を、前記香気組成物におけるアスパルテームの含有量が0.02ppm(w/w)~50%(w/w)となるように配合する、請求項1~1のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記成分(A)が、アドバンテームを含み、
前記成分(A)を、アドバンテームの使用濃度が0.001~2000ppm(w/w)となるように配合する、請求項116のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記成分(A)が、アスパルテームを含み、
前記成分(A)を、アスパルテームの使用濃度が0.02~2000ppm(w/w)となるように配合する、請求項117のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、香気を増強する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
アドバンテーム等の高甘味度甘味料をタバコに配合することによりタバコの風味を改善する技術が報告されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-15925
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、香気を増強する技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、入浴剤等の香気組成物にアドバンテーム等の高甘味度甘味料を配合することにより香気組成物の香気を増強できることを見出し、本発明を完成させた。
【0006】
すなわち、本発明は以下の通り例示できる。
[1]
下記成分(A)を含有する、香気増強用組成物:
(A)高甘味度甘味料
であって、
ただし、前記組成物がタバコである場合およびタバコに用いられる場合は除く、組成物。
[2]
香気組成物に配合して用いられる、前記組成物。
[3]
下記成分(A)および(B)を含有する、香気組成物:
(A)高甘味度甘味料;
(B)香気成分
であって、
ただし、前記組成物がタバコである場合およびタバコに用いられる場合は除く、組成物。
[4]
前記成分(A)が、アドバンテーム、アスパルテーム、アセスルファムK、スクラロース、ネオテーム、サッカリン、ステビア、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、前記組成物。
[5]
前記成分(A)が、アドバンテームおよび/またはアスパルテームである、前記組成物。
[6]
前記香気組成物が、トイレタリー用品または化粧品である、前記組成物。
[7]
前記香気組成物が、入浴剤、スキンケア製品、ヘアケア製品、洗剤、柔軟剤、芳香剤、または消臭剤である、前記組成物。
[8]
前記成分(A)の含有量が、0.001ppm(w/w)~50%(w/w)である、前記組成物。
[9]
前記成分(A)を、該成分(A)の使用濃度が0.001~2000ppm(w/w)となるように含有する、前記組成物。
[10]
前記成分(A)が、アドバンテームを含み、
アドバンテームの含有量が、0.001ppm(w/w)~50%(w/w)である、前記組成物。
[11]
前記成分(A)が、アスパルテームを含み、
アスパルテームの含有量が、0.02ppm(w/w)~50%(w/w)である、前記組成物。
[12]
前記成分(A)が、アドバンテームを含み、
前記成分(A)を、アドバンテームの使用濃度が0.001~2000ppm(w/w)となるように含有する、前記組成物。
[13]
前記成分(A)が、アスパルテームを含み、
前記成分(A)を、アスパルテームの使用濃度が0.02~2000ppm(w/w)となるように含有する、前記組成物。
[14]
下記成分(A)を香気組成物に配合することを含む、香気を増強する方法:
(A)高甘味度甘味料
であって、
ただし、前記香気組成物がタバコである場合およびタバコに用いられる場合は除く、方法。
[15]
下記成分(A)を配合して香気組成物を製造することを含む、香気組成物を製造する方法:
(A)高甘味度甘味料
であって、
ただし、前記香気組成物がタバコである場合およびタバコに用いられる場合は除く、方法。
[16]
前記成分(A)が、アドバンテーム、アスパルテーム、アセスルファムK、スクラロース、ネオテーム、サッカリン、ステビア、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、前記方法。
[17]
前記成分(A)が、アドバンテームおよび/またはアスパルテームである、前記方法。[18]
前記香気組成物が、トイレタリー用品または化粧品である、前記方法。
[19]
前記香気組成物が、入浴剤、スキンケア製品、ヘアケア製品、洗剤、柔軟剤、芳香剤、または消臭剤である、前記方法。
[20]
前記成分(A)を、前記香気組成物における該成分(A)の含有量が0.001ppm(w/w)~50%(w/w)となるように配合する、前記方法。
[21]
前記成分(A)を、該成分(A)の使用濃度が0.001~2000ppm(w/w)となるように配合する、前記方法。
[22]
前記成分(A)が、アドバンテームを含み、
前記成分(A)を、前記香気組成物におけるアドバンテームの含有量が0.001ppm(w/w)~50%(w/w)となるように配合する、前記方法。
[23]
前記成分(A)が、アスパルテームを含み、
前記成分(A)を、前記香気組成物におけるアスパルテームの含有量が0.02ppm(w/w)~50%(w/w)となるように配合する、前記方法。
[24]
前記成分(A)が、アドバンテームを含み、
前記成分(A)を、アドバンテームの使用濃度が0.001~2000ppm(w/w)となるように配合する、前記方法。
[25]
前記成分(A)が、アスパルテームを含み、
前記成分(A)を、アスパルテームの使用濃度が0.02~2000ppm(w/w)となるように配合する、前記方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、香気を増強することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<1>有効成分
本発明においては、下記成分(A)を有効成分として利用する:
(A)高甘味度甘味料。
【0009】
上記成分(A)を、「有効成分」ともいう。
【0010】
有効成分を利用することにより、香気を増強することができる、すなわち、香気を増強する効果が得られる。同効果を「香気増強効果」ともいう。すなわち、有効成分を利用することにより、有効成分を利用しない場合と比較して、香気を増強することができる。よって、有効成分は、香気の増強に利用されてよい。具体的には、有効成分を香気成分と併用することにより、香気成分を単独で利用する場合と比較して、香気を増強することができる。よって、有効成分は、具体的には、香気成分と併用されてよく、すなわち、香気成分と併用することにより香気の増強に利用されてよい。有効成分は、より具体的には、香気成分を含有する対象物に配合して利用されてよく、すなわち、香気成分を含有する対象物に配合することにより香気の増強に利用されてよい。香気成分を含有する対象物としては、香気組成物が挙げられる。有効成分を香気組成物等の対象物に配合して利用する場合、香気増強効果は、有効成分が配合された対象物の使用の際に得られればよい。
【0011】
有効成分は、例えば、本発明の組成物(例えば、本発明の香気増強用組成物や本発明の香気組成物)の製造に利用されてよい。また、有効成分は、例えば、後述する本発明の方法に記載の態様で香気の増強に利用されてよい。
【0012】
香気の増強としては、香気の強度の増大や香気の本格感の増大が挙げられる。「香気の本格感の増大」とは、香気の質が当該香気を呈する本物の物質の香気の質に近付くことを意味してよい。香気の増強は、例えば、専門パネルによる官能評価により実施できる。
【0013】
高甘味度甘味料の種類は、香気増強効果が得られる限り、特に制限されない。高甘味度
甘味料としては、アドバンテーム(ADV)、アスパルテーム(APM)、アセスルファムK(Ace-K)、スクラロース、ネオテーム、サッカリン、ステビアが挙げられる。高甘味度甘味料としては、特に、アドバンテームやアスパルテームが挙げられる。高甘味度甘味料として、さらに特には、アドバンテームが挙げられる。高甘味度甘味料としては、1種の成分を用いてもよく、2種またはそれ以上の成分を組み合わせて用いてもよい。
【0014】
有効成分としては、市販品を用いてもよく、適宜製造して取得したものを用いてもよい。有効成分の製造方法は特に制限されず、例えば、公知の方法を利用できる。有効成分は、例えば、化学合成、抽出、またはその組み合わせにより製造することができる。有効成分は、所望の程度に精製されていてもよく、そうでなくてもよい。すなわち、有効成分としては、精製品を用いてもよく、有効成分を含有する素材を用いてもよい。
【0015】
有効成分を含有する素材を用いる場合、有効成分の量(例えば、含有量(濃度)や配合量)は、当該素材中の有効成分そのものの量に基づいて算出されるものとする。
【0016】
有効成分は、香気成分と併用されてよい。
【0017】
「香気成分」とは、香気を呈する成分を意味する。香気成分の種類は、香気増強効果が得られる限り、特に制限されない。香気成分としては、トイレタリー用品や化粧品等の香気組成物に配合して利用されるものが挙げられる。香気成分として、具体的には、ケトン類、アルデヒド類、エステル類、アルコール類、エーテル類、テルペン類、天然精油、合成ムスクが挙げられる。香気成分としては、1種の成分を用いてもよく、2種またはそれ以上の成分を組み合わせて用いてもよい。
【0018】
香気成分としては、市販品を用いてもよく、適宜製造して取得したものを用いてもよい。香気成分の製造方法は特に制限されず、例えば、公知の方法を利用できる。香気成分は、例えば、化学合成、抽出、またはその組み合わせにより製造することができる。香気成分は、所望の程度に精製されていてもよく、そうでなくてもよい。すなわち、香気成分としては、精製品を用いてもよく、香気成分を含有する素材を用いてもよい。
【0019】
香気成分を含有する素材を用いる場合、香気成分の量(例えば、含有量(濃度)や配合量)は、当該素材中の香気成分そのものの量に基づいて算出されるものとする。
【0020】
有効成分は、具体的には、香気組成物に配合して利用されてよい。
【0021】
「香気組成物」とは、香気を呈する組成物を意味する。香気組成物は、香気成分を含有する。香気成分からなるものであってもよく、香気成分に加えて香気成分以外の成分を含有していてもよい。香気組成物の種類は、特に制限されない。香気組成物は、喫食以外の用途で利用されるものであってよい。香気組成物は、例えば、粉末、フレーク、錠剤、ペースト、液体等の任意の形状で提供または使用されるものであってよい。香気組成物としては、トイレタリー用品や化粧品が挙げられる。香気組成物として、具体的には、入浴剤、スキンケア製品、ヘアケア製品、洗剤、柔軟剤、芳香剤、消臭剤が挙げられる。これらは、いずれも、トイレタリー用品または化粧品であり得る。スキンケア製品としては、ボディソープ、ハンドソープ、洗顔料、メイク落とし、美容液、乳液、クリーム、エッセンス、ローションが挙げられる。ヘアケア製品としては、シャンプー、コンディショナー(リンスまたはトリートメントともいう)、整髪剤が挙げられる。洗剤としては、洗濯用洗剤、食器用洗剤、トイレ用洗剤が挙げられる。
【0022】
本発明は、上記例示した用途での有効成分の使用を開示する。すなわち、本発明は、例えば、香気を増強するための有効成分の使用や、本発明の組成物の製造における有効成分
の使用を開示する。
【0023】
また、本発明は、上記例示した用途に用いるための有効成分を開示する。すなわち、本発明は、例えば、香気の増強に用いるための有効成分や、本発明の組成物の製造に用いるための有効成分を開示する。
【0024】
また、本発明は、香気成分と併用するための有効成分の使用を開示する。
【0025】
<2>本発明の組成物
本発明の組成物は、有効成分を含有する組成物である。
【0026】
すなわち、本発明の組成物は、下記成分(A)を含有する組成物である:
(A)高甘味度甘味料。
【0027】
本発明の組成物を利用することにより、香気を増強することができる、すなわち、香気増強効果が得られる。よって、本発明の組成物は、香気の増強に利用されてよい。すなわち、本発明の組成物は、例えば、香気増強用組成物であってよい。香気増強用組成物である本発明の組成物を、「本発明の香気増強用組成物」ともいう。本発明の香気増強用組成物は、具体的には、香気成分と併用されてよく、すなわち、香気成分と併用することにより香気の増強に利用されてよい。本発明の香気増強用組成物は、より具体的には、香気成分を含有する対象物に配合して利用されてよく、すなわち、香気成分を含有する対象物に配合することにより香気の増強に利用されてよい。香気成分を含有する対象物としては、香気組成物が挙げられる。有効成分を配合する対象物としての香気組成物についての説明は、本発明の香気増強用組成物を配合する対象物としての香気組成物にも準用できる。本発明の香気増強用組成物を香気組成物等の対象物に配合して利用する場合、香気増強効果は、本発明の香気増強用組成物が配合された対象物の使用の際に得られればよい。
【0028】
本発明の組成物は、後述する本発明の方法に記載の態様で香気の増強に利用されてよい。
【0029】
本発明の組成物は、有効成分からなるものであってもよく、有効成分に加えて有効成分以外の成分を含有していてもよい。
【0030】
有効成分以外の成分は、香気増強効果を損なわない限り、特に制限されない。有効成分以外の成分は、例えば、本発明の組成物の種類や本発明の組成物の使用態様の種類等の諸条件に応じて適宜選択できる。有効成分以外の成分としては、香気組成物に配合される成分が挙げられる。有効成分以外の成分として、具体的には、香気成分、無機塩、生薬、酵素、有機酸、ビタミン、冷感物質、保湿剤、着色剤、pH調整剤、界面活性剤、溶剤、その他の添加剤が挙げられる。その他の添加剤としては、製剤化に利用できる添加剤が挙げられる。有効成分以外の成分としては、1種の成分を用いてもよく、2種またはそれ以上の成分を組み合わせて用いてもよい。
【0031】
有効成分以外の成分としては、特に、香気成分が挙げられる。すなわち、本発明の組成物の一態様は、下記成分(A)および(B)を含有する組成物であってよい:
(A)高甘味度甘味料;
(B)香気成分。
【0032】
本発明の組成物が香気成分を含有する場合、本発明の組成物が香気を呈してよく、具体的には、本発明の組成物が増強された香気を呈してよい。すなわち、本発明の組成物は、例えば、香気組成物であってもよい。香気組成物である本発明の組成物を、「本発明の香
気組成物」ともいう。有効成分を配合する対象物としての香気組成物についての説明は、本発明の香気組成物が有効成分および香気成分を含有すること以外は、本発明の香気組成物にも準用できる。本発明の組成物が香気組成物である場合、香気増強効果は、本発明の組成物の使用の際に得られればよい。
【0033】
なお、本発明の組成物がタバコである場合およびタバコに用いられる場合は、本発明の組成物から除かれてもよい。「組成物がタバコに用いられる」とは、タバコの製造または使用の際に当該組成物がタバコに配合されることを意味してよい。
【0034】
本発明の組成物は、例えば、有効成分および任意でその他の成分を適宜混合することにより製造することができる。なお、本発明の組成物が香気組成物である場合、本発明の組成物についての「有効成分および任意でその他の成分」とは、「有効成分、香気成分、および任意でその他の成分」と読み替えてよい。
【0035】
本発明の組成物は、例えば、適宜製剤化されていてよい。製剤化にあたっては、添加剤を適宜使用してよい。添加剤としては、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、安定剤、矯味矯臭剤、希釈剤、界面活性剤、溶剤が挙げられる。添加剤は、例えば、本発明の組成物の形状等の諸条件に応じて、適宜選択できる。
【0036】
本発明の組成物の形状は、特に、制限されない。本発明の組成物は、例えば、粉末、フレーク、錠剤、ペースト、液体等の任意の形状であってよい。本発明の組成物は、例えば、上記例示したような形状で提供されてよい。また、本発明の組成物は、例えば、上記例示したような形状で使用されてよい。
【0037】
本発明の組成物における各成分(すなわち、有効成分および任意でその他の成分)の含有量は、香気増強効果が得られる限り、特に制限されない。本発明の組成物における各成分の含有量は、例えば、各成分の種類、各成分の使用濃度、本発明の組成物の種類、本発明の組成物の使用態様等の諸条件に応じて、適宜設定できる。
【0038】
本発明の組成物における有効成分の含有量は、0%(w/w)より多く、且つ、100%(w/w)以下である。本発明の組成物における有効成分の含有量は、例えば、0.001ppm(w/w)以上、0.002ppm(w/w)以上、0.005ppm(w/w)以上、0.01ppm(w/w)以上、0.02ppm(w/w)以上、0.05ppm(w/w)以上、0.1ppm(w/w)以上、0.2ppm(w/w)以上、0.5ppm(w/w)以上、1ppm(w/w)以上、2ppm(w/w)以上、5ppm(w/w)以上、10ppm(w/w)以上、15ppm(w/w)以上、20ppm(w/w)以上、50ppm(w/w)以上、100ppm(w/w)以上、200ppm(w/w)以上、500ppm(w/w)以上、1000ppm(w/w)以上、2000ppm(w/w)以上、5000ppm(w/w)以上、1%(w/w)以上、2%(w/w)以上、5%(w/w)以上、または10%(w/w)以上であってもよく、100%(w/w)以下、99.9%(w/w)以下、50%(w/w)以下、20%(w/w)以下、10%(w/w)以下、5%(w/w)以下、2%(w/w)以下、1%(w/w)以下、5000ppm(w/w)以下、2000ppm(w/w)以下、1000ppm(w/w)以下、500ppm(w/w)以下、200ppm(w/w)以下、100ppm(w/w)以下、50ppm(w/w)以下、20ppm(w/w)以下、15ppm(w/w)以下、10ppm(w/w)以下、5ppm(w/w)以下、2ppm(w/w)以下、1ppm(w/w)以下、0.5ppm(w/w)以下、0.2ppm(w/w)以下、または0.1ppm(w/w)以下であってもよく、それらの矛盾しない組み合わせであってもよい。本発明の組成物における有効成分の含有量は、具体的には、例えば、0.001ppm(w/w)~50%(w/w)、0.002ppm(w/
w)~20%(w/w)、0.02ppm(w/w)~10%(w/w)、0.1ppm(w/w)~5%(w/w)、または0.2ppm(w/w)~2%(w/w)であってもよい。また、本発明の組成物における有効成分の含有量は、具体的には、例えば、0.02ppm(w/w)~50%(w/w)、0.05ppm(w/w)~20%(w/w)、0.5ppm(w/w)~10%(w/w)、5ppm(w/w)~5%(w/w)、または15ppm(w/w)~2%(w/w)であってもよい。
【0039】
有効成分として少なくともアドバンテームが選択される場合、本発明の組成物におけるアドバンテームの含有量は、例えば、本発明の組成物における有効成分の含有量の範囲であってよい。本発明の組成物におけるアドバンテームの含有量は、具体的には、例えば、0.001ppm(w/w)~50%(w/w)、0.002ppm(w/w)~20%(w/w)、0.02ppm(w/w)~10%(w/w)、0.1ppm(w/w)~5%(w/w)、または0.2ppm(w/w)~2%(w/w)であってもよい。
【0040】
有効成分として少なくともアスパルテームが選択される場合、本発明の組成物におけるアスパルテームの含有量は、例えば、本発明の組成物における有効成分の含有量の範囲であってよい。本発明の組成物におけるアスパルテームの含有量は、特に、0.02ppm(w/w)以上であってもよい。本発明の組成物におけるアスパルテームの含有量は、具体的には、例えば、0.02ppm(w/w)~50%(w/w)、0.05ppm(w/w)~20%(w/w)、0.5ppm(w/w)~10%(w/w)、5ppm(w/w)~5%(w/w)、または15ppm(w/w)~2%(w/w)であってもよい。
【0041】
本発明の組成物が香気成分を含有する場合、本発明の組成物における香気成分の含有量は、例えば、1ppm(w/w)以上、10ppm(w/w)以上、100ppm(w/w)以上、1000ppm(w/w)以上、1%(w/w)以上、2%(w/w)以上、または5%(w/w)以上であってもよく、50%(w/w)以下、20%(w/w)以下、10%(w/w)以下、5%(w/w)以下、2%(w/w)以下、または1%(w/w)以下であってもよく、それらの矛盾しない組み合わせであってもよい。本発明の組成物における香気成分の含有量は、具体的には、例えば、1ppm(w/w)~50%(w/w)、100ppm(w/w)~20%(w/w)、または1%(w/w)~10%(w/w)であってもよい。
【0042】
また、本発明の組成物における各成分の含有量は、例えば、各成分の使用濃度が所定の範囲となるように設定することができる。「成分の使用濃度」とは、本発明の組成物を使用する場合には、本発明の組成物の使用時の当該成分の濃度を意味する。なお、「成分の使用濃度」とは、本発明の香気増強用組成物を使用する場合には、本発明の香気増強用組成物を配合した対象物の使用時の当該成分の濃度を意味する。すなわち、例えば、本発明の香気増強用組成物を入浴剤に配合して利用する場合、「成分の使用濃度」とは、本発明の香気増強用組成物が配合された入浴剤の使用時の当該成分の濃度を意味する。
【0043】
有効成分の使用濃度は、例えば、0.001ppm(w/w)以上、0.002ppm(w/w)以上、0.005ppm(w/w)以上、0.01ppm(w/w)以上、0.02ppm(w/w)以上、0.05ppm(w/w)以上、0.1ppm(w/w)以上、0.2ppm(w/w)以上、0.5ppm(w/w)以上、1ppm(w/w)以上、2ppm(w/w)以上、5ppm(w/w)以上、10ppm(w/w)以上、15ppm(w/w)以上、20ppm(w/w)以上、50ppm(w/w)以上、100ppm(w/w)以上、または200ppm(w/w)以上であってもよく、2000ppm(w/w)以下、1000ppm(w/w)以下、500ppm(w/w)以下、200ppm(w/w)以下、100ppm(w/w)以下、50ppm(w/w)以
下、20ppm(w/w)以下、15ppm(w/w)以下、10ppm(w/w)以下、5ppm(w/w)以下、2ppm(w/w)以下、1ppm(w/w)以下、0.5ppm(w/w)以下、0.2ppm(w/w)以下、または0.1ppm(w/w)以下であってもよく、それらの矛盾しない組み合わせであってもよい。有効成分の使用濃度は、具体的には、例えば、0.001~2000ppm(w/w)、0.002~1000ppm(w/w)、0.02~500ppm(w/w)、0.1~200ppm(w/w)、または0.2~100ppm(w/w)であってもよい。また、有効成分の使用濃度は、具体的には、例えば、0.02~2000ppm(w/w)、0.05~1000ppm(w/w)、0.5~500ppm(w/w)、5~200ppm(w/w)、または15~100ppm(w/w)であってもよい。
【0044】
有効成分として少なくともアドバンテームが選択される場合、アドバンテームの使用濃度は、例えば、上記例示した有効成分の使用濃度の範囲であってよい。アドバンテームの使用濃度は、具体的には、例えば、0.001~2000ppm(w/w)、0.002~1000ppm(w/w)、0.02~500ppm(w/w)、0.1~200ppm(w/w)、または0.2~100ppm(w/w)であってもよい。
【0045】
有効成分として少なくともアスパルテームが選択される場合、アスパルテームの使用濃度は、例えば、上記例示した有効成分の使用濃度の範囲であってよい。アスパルテームの使用濃度は、例えば、特に、0.02ppm(w/w)以上であってもよい。アスパルテームの使用濃度は、具体的には、例えば、0.02~2000ppm(w/w)、0.05~1000ppm(w/w)、0.5~500ppm(w/w)、5~200ppm(w/w)、または15~100ppm(w/w)であってもよい。
【0046】
本発明の組成物における有効成分の含有量は、例えば、本発明の組成物がそのままの濃度で使用される(すなわち、希釈または濃縮されずに使用される)組成物である場合に、上記例示した有効成分の使用濃度の範囲であってよい。
【0047】
本発明の組成物における有効成分の含有量は、例えば、本発明の組成物が希釈して使用される組成物である場合に、上記例示した有効成分の使用濃度に希釈倍率を掛けた範囲であってよい。すなわち、例えば、本発明の組成物が10倍希釈して使用される組成物である場合、本発明の組成物における有効成分の含有量は、上記例示した有効成分の使用濃度の10倍の範囲であってよい。
【0048】
本発明の組成物が入浴剤である場合、本発明の組成物における有効成分の含有量は、例えば、10ppm(w/w)以上、20ppm(w/w)以上、50ppm(w/w)以上、100ppm(w/w)以上、200ppm(w/w)以上、500ppm(w/w)以上、1000ppm(w/w)以上、2000ppm(w/w)以上、5000ppm(w/w)以上、1%(w/w)以上、2%(w/w)以上、5%(w/w)以上、10%(w/w)以上、または15%(w/w)以上であってもよく、50%(w/w)以下、20%(w/w)以下、10%(w/w)以下、5%(w/w)以下、2%(w/w)以下、1%(w/w)以下、5000ppm(w/w)以下、2000ppm(w/w)以下、1000ppm(w/w)以下、500ppm(w/w)以下、200ppm(w/w)以下、または100ppm(w/w)以下であってもよく、それらの矛盾しない組み合わせであってもよい。本発明の組成物が入浴剤である場合、本発明の組成物における有効成分の含有量は、具体的には、例えば、10ppm(w/w)~50%(w/w)、20ppm(w/w)~50%(w/w)、200ppm(w/w)~50%(w/w)、1000ppm(w/w)~20%(w/w)、または2000ppm(w/w)~20%(w/w)であってもよい。また、本発明の組成物が入浴剤である場合、本発明の組成物における有効成分の含有量は、具体的には、例えば、200ppm(w/w)~5
0%(w/w)、500ppm(w/w)~50%(w/w)、5000ppm(w/w)~50%(w/w)、5%(w/w)~20%(w/w)、または15%(w/w)~20%(w/w)であってもよい。
【0049】
有効成分として少なくともアドバンテームが選択され、且つ本発明の組成物が入浴剤である場合、本発明の組成物におけるアドバンテームの含有量は、例えば、上記例示した本発明の組成物における有効成分の含有量の範囲であってよい。本発明の組成物が入浴剤である場合、本発明の組成物におけるアドバンテームの含有量は、具体的には、例えば、10ppm(w/w)~50%(w/w)、20ppm(w/w)~50%(w/w)、200ppm(w/w)~50%(w/w)、1000ppm(w/w)~20%(w/w)、または2000ppm(w/w)~20%(w/w)であってもよい。
【0050】
有効成分として少なくともアスパルテームが選択され、且つ本発明の組成物が入浴剤である場合、本発明の組成物におけるアスパルテームの含有量は、例えば、上記例示した本発明の組成物における有効成分の含有量の範囲であってよい。本発明の組成物におけるアスパルテームの含有量は、特に、200ppm(w/w)以上であってもよい。本発明の組成物が入浴剤である場合、本発明の組成物におけるアスパルテームの含有量は、具体的には、例えば、200ppm(w/w)~50%(w/w)、500ppm(w/w)~50%(w/w)、5000ppm(w/w)~50%(w/w)、5%(w/w)~20%(w/w)、または15%(w/w)~20%(w/w)であってもよい。
【0051】
本発明の組成物に含有される各成分(すなわち、有効成分および任意でその他の成分)は、互いに混合されて本発明の組成物に含有されていてもよく、それぞれ別個に、あるいは、任意の組み合わせで別個に、本発明の組成物に含有されていてもよい。例えば、本発明の組成物は、それぞれ別個にパッケージングされた各成分のセットとして提供されてもよい。このような場合、セットに含まれる成分は使用時に適宜併用することができる。
【0052】
<3>本発明の方法
本発明の方法は、有効成分を利用する工程を含む方法である。
【0053】
すなわち、本発明の方法は、下記成分(A)を利用する工程を含む方法である:
(A)高甘味度甘味料。
【0054】
本発明の方法により、具体的には有効成分を利用することにより、香気を増強することができる、すなわち、香気増強効果が得られる。よって、本発明の方法は、香気の増強のために実施されてよい。すなわち、本発明の方法は、例えば、香気を増強する方法であってよい。同方法を「本発明の香気増強方法」ともいう。香気の増強は、有効成分と香気成分を併用することにより実施できる。香気の増強は、具体的には、香気成分を含有する対象物に有効成分を配合することにより実施できる。すなわち、有効成分の利用としては、香気成分を含有する対象物に有効成分を配合することが挙げられる。香気成分を含有する対象物としては、香気組成物が挙げられる。すなわち、本発明の方法(具体的には本発明の香気増強方法)は、例えば、下記成分(A)を香気組成物に配合することを含んでいてよい:
(A)高甘味度甘味料。
【0055】
また、本発明の方法により、具体的には有効成分を利用することにより、香気が増強された香気組成物を製造することができる。よって、本発明の方法は、香気組成物の製造(具体的には、香気が増強された香気組成物の製造)のために実施されてよい。すなわち、本発明の方法は、例えば、香気組成物を製造する(具体的には、香気が増強された香気組成物を製造する)方法であってよい。同方法を「本発明の製造方法」ともいう。香気組成
物の製造は、有効成分を配合して香気組成物を製造することにより実施できる。すなわち、有効成分の利用としては、有効成分を配合して香気組成物を製造することが挙げられる。すなわち、本発明の方法(具体的には本発明の製造方法)は、例えば、下記成分(A)を配合して香気組成物を製造することを含んでいてよい:
(A)高甘味度甘味料。
【0056】
「有効成分を香気組成物に配合すること」および「有効成分を配合して香気組成物を製造すること」は、代替可能に用いられてもよい。本発明の方法により得られる香気組成物(すなわち、有効成分が配合された香気組成物)は、例えば、本発明の香気組成物であってよい。
【0057】
香気増強効果は、有効成分が配合された対象物(例えば香気組成物)の使用の際に得られればよい。
【0058】
なお、香気成分を含有する対象物(例えば、香気組成物)がタバコである場合およびタバコに用いられる場合は、本発明の方法から除かれてもよい。「対象物がタバコに用いられる」とは、タバコの製造または使用の際に当該対象物がタバコに配合されることを意味してよい。
【0059】
香気組成物の製造は、例えば、有効成分を利用すること以外は、通常の香気組成物の製造と同様に実施してよい。すなわち、香気組成物の製造は、例えば、有効成分を利用すること以外は、通常の香気組成物と同様の原料を用いて同様の製造条件で実施してよい。香気組成物の製造については、上述した本発明の組成物の製造についての記載を準用できる。
【0060】
有効成分の配合は、香気組成物の製造のいずれの段階で実施されてもよい。すなわち、「有効成分を香気組成物に配合すること」または「有効成分を配合して香気組成物を製造すること」には、例えば、製造中の香気組成物(例えば、香気組成物の原料)に有効成分を配合することや、予め製造した香気組成物に有効成分を配合することのいずれもが包含される。有効成分は、そのまま、あるいは適宜溶液等の所望の形態に調製して、配合することができる。有効成分は、例えば、本発明の組成物(具体的には、本発明の香気増強用組成物)の形態で配合することができる。すなわち、「有効成分の配合」には、本発明の組成物(具体的には、本発明の香気増強用組成物)の配合も包含されてよい。
【0061】
各成分(すなわち、有効成分、香気成分、および任意でその他の成分)の配合量は、香気増強効果が得られる限り、特に制限されない。各成分の配合量は、例えば、各成分の種類、各成分の使用濃度、香気組成物の種類、香気組成物の使用態様等の諸条件に応じて、適宜設定できる。
【0062】
各成分(すなわち、有効成分、香気成分、および任意でその他の成分)の配合量は、例えば、本発明の方法により得られる香気組成物における各成分の含有量が所定の範囲となるように設定することができる。本発明の方法により得られる香気組成物における各成分の含有量については、上述した本発明の組成物における各成分の含有量についての記載を準用できる。
【0063】
各成分(すなわち、有効成分、香気成分、および任意でその他の成分)の配合量は、例えば、各成分の使用濃度が所定の範囲となるように設定することができる。「成分の使用濃度」とは、本発明の方法においては、本発明の方法により得られる香気組成物の使用時の当該成分の濃度を意味する。本発明の方法における各成分の使用濃度については、上述した本発明の組成物における各成分の使用濃度についての記載を準用できる。
【実施例
【0064】
以下、非限定的な実施例を参照して、本発明をさらに具体的に説明する。
【0065】
実施例1:アドバンテーム(ADV)の添加による香気増強化効果の評価
アドバンテーム5重量部とデキストリン95重量部を混合し、ADV粉末製剤を得た。各種フレーバーの入浴剤「バスクリン」(株式会社バスクリン)100重量部にADV粉末製剤10重量部を混合し、ADV添加サンプルを得た。ADV粉末製剤を添加していない各入浴剤をコントロールとした。ADV添加サンプルについて、コントロールとの香りの違いを評価した。
【0066】
評価基準は、×:コントロールと差がない、△:コントロールとやや差がある、〇:コントロールと差がある、◎:コントロールと明確に差がある、とした。
【0067】
結果を表1に示す。いずれのフレーバーのサンプルについても、ADVの添加により本格感(濃厚感)が増大した。特に、食品系のフレーバーのサンプルについては、ADVの添加により本物の食品のようなフレーバーが得られた。以上より、ADVの添加により香気増強効果が得られることが明らかとなった。なお、いずれのフレーバーのサンプルについても、ADVの添加による甘味フレーバーの付与は認められなかった。
【0068】
【表1】
【0069】
各種フレーバーの入浴剤「バスクリン」(株式会社バスクリン)100重量部にデキストリン9.5重量部を混合し、デキストリン添加サンプルを得た。デキストリンを添加していない各入浴剤をコントロールとした。デキストリン添加サンプルについて、コントロールとの香りの違いを評価した。
【0070】
評価基準は、×:コントロールと差がない、△:コントロールとやや差がある、〇:コントロールと差がある、◎:コントロールと明確に差がある、とした。
【0071】
結果を表2に示す。いずれのフレーバーのサンプルについても、デキストリンの添加によるフレーバーの変化は認められなかった。
【0072】
【表2】
【0073】
実施例2:アドバンテーム(ADV)の添加濃度の検討
アドバンテームを水に希釈して0.02%(w/w) ADV水溶液を得た。入浴剤「ゆずの香り」(株式会社バスクリン)0.1gを40~45℃の湯1Lに溶解し、コントロールとした。コントロールに0.02%(w/w) ADV水溶液を表3に示すADV濃度となるよう添加し、ADV添加サンプルを得た。ADV添加サンプルについて、コントロールとの香りの違いを評価した。
【0074】
評価基準は、×:コントロールと差がない、△:コントロールとやや差がある、〇:コントロールと差がある、◎:コントロールと明確に差がある、とした。
【0075】
結果を表3に示す。表中、「ppm」は「ppm(w/w)」を示す。ADV濃度0.002 ppm以上で香気増強効果が認められた。特に、ADV濃度0.2 ppm以上で顕著な香気増強効果が認められた。さらに特には、ADV濃度10 ppm以上でさらに顕著な香気増強効果が認められた。
【0076】
【表3】
【0077】
実施例3:アスパルテーム(APM)の添加による香気増強化効果の評価と添加濃度の検討
アスパルテームを水に希釈して0.5%(w/w) APM水溶液を得た。入浴剤「ゆずの香り」(株式会社バスクリン)0.1gを40~45℃の湯1Lに溶解し、コントロールとした。コントロールに0.5%(w/w) APM水溶液を表4に示すAPM濃度となるよう添加し、APM添加サンプルを得た。APM添加サンプルについて、コントロールとの香りの違いを評価した。
【0078】
評価基準は、×:コントロールと差がない、△:コントロールとやや差がある、〇:コントロールと差がある、◎:コントロールと明確に差がある、とした。
【0079】
結果を表4に示す。表中、「ppm」は「ppm(w/w)」を示す。APMの添加により香気増強効果が得られることが明らかとなった。APM濃度0.05 ppm以上で香気増強効果が認められた。特に、APM濃度15 ppm以上で顕著な香気増強効果が認められた。
【0080】
【表4】
【0081】
実施例4:入浴剤以外の系におけるアドバンテーム(ADV)の添加による香気増強化効果の評価
アドバンテームを水に希釈して0.02%(w/w) ADV水溶液を得た。表5に示す製品に0.02%(w/w) ADV水溶液をADV濃度が0.1 ppm(w/w)となるよう添加し、ADV添加サンプルを得た。ADV水溶液を添加していない各製品をコントロールとした。ADV添加サンプルについて、コントロールとの香りの違いを評価した。
【0082】
評価基準は、×:コントロールと差がない、△:コントロールとやや差がある、〇:コントロールと差がある、◎:コントロールと明確に差がある、とした。
【0083】
結果を表5に示す。いずれの製品を用いた場合でも、ADVの添加による香気増強効果が認められた。すなわち、対象物の種類によらず、ADVの添加により香気増強効果が得られることが明らかとなった。
【0084】
【表5】