(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/288 20060101AFI20241217BHJP
【FI】
H01L21/288 E
(21)【出願番号】P 2020120794
(22)【出願日】2020-07-14
【審査請求日】2023-06-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104190
【氏名又は名称】酒井 昭徳
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 裕也
(72)【発明者】
【氏名】田中 俊介
(72)【発明者】
【氏名】橋本 孝一
【審査官】佐藤 靖史
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-027477(JP,A)
【文献】特開2016-058677(JP,A)
【文献】国際公開第2010/106938(WO,A1)
【文献】特開2014-086667(JP,A)
【文献】特開2018-088439(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/288
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体ウェハの第1主面側にめっき処理によってめっき層を形成する半導体装置の製造方法であって、
前記半導体ウェハの第1主面に第1電極を形成する第1工程と、
前記半導体ウェハの第2主面に第1テープを貼り付けて、前記半導体ウェハの第2主面を前記第1テープで覆う第2工程と、
前記半導体ウェハの外周部に第2テープを貼り付けて、前記半導体ウェハの端部を前記第2テープで覆う第3工程と、
前記第1テープおよび前記第2テープを貼り付けた状態の前記半導体ウェハを40℃以上
80℃以下の温度の雰囲気下での20分間以上
40分間以下の熱処理により加熱し、前記第1テープおよび前記第2テープと前記半導体ウェハとの粘着力を大きくする第4工程と、
前記第4工程の後、前記めっき処理によって前記第1電極の表面上に前記めっき層を形成する第5工程と、
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記第5工程の後、前記半導体ウェハから前記第2テープを剥離する第6工程をさらに含み、
前記第2テープは、紫外線照射により硬化して粘着力が小さくなる粘着剤層を有し、
前記第3工程では、前記半導体ウェハの第1主面から第2主面に跨って前記半導体ウェハの表面に前記粘着剤層を粘着させることで前記第2テープを貼り付けて、前記第2テープで前記半導体ウェハの端部を覆い、
前記第6工程では、前記第2テープの前記粘着剤層を前記紫外線照射により硬化してから、前記第2テープを剥離することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記第3工程では、前記半導体ウェハの第2主面において前記半導体ウェハの外周部で前記第1テープの上に重なるように、前記半導体ウェハの第1主面から第2主面に跨って前記第2テープを貼り付け、
前記第6工程では、前記半導体ウェハの第1主面からの前記紫外線照射により、前記第2テープの、前記半導体ウェハの第1主面に貼り付けられた前記粘着剤層を硬化させてから、前記第2テープを剥離することを特徴とする請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記第3工程では、前記半導体ウェハの外周を少なくとも1周するように前記第2テープを貼り付けることを特徴とする請求項1~3のいずれか一つに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記第4工程では、加熱炉に前記半導体ウェハを投入して、前記第1テープおよび前記第2テープを直接加熱することを特徴とする請求項1~4のいずれか一つに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記第4工程では、加熱手段によって加熱されたステージに前記半導体ウェハを載置して前記第1テープおよび前記第2テープを加熱することを特徴とする請求項1~4のいずれか一つに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記第4工程では、前記半導体ウェハを加熱する際の雰囲気を窒素雰囲気とすることを特徴とする請求項5または6に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記第1工程では、前記半導体ウェハの第1主面に前記第1電極を形成するとともに、前記半導体ウェハの第2主面に第2電極を形成し、
前記第2工程では、前記半導体ウェハの第2主面に前記第1テープを貼り付けて、前記第1テープで前記第2電極を覆うことを特徴とする請求項1~7のいずれか一つに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記半導体ウェハとして、中央部の厚さを薄くして外周部を所定幅で厚く残したリブ形状の半導体ウェハを用いることを特徴とする請求項1~8のいずれか一つに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記第5工程では、前記第1テープおよび前記第2テープを貼り付けた状態の前記半導体ウェハをめっき液に浸漬させて、前記第1電極の表面上に前記めっき層を形成することを特徴とする請求項1~9のいずれか一つに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記半導体ウェハの外周部において前記半導体ウェハの第1主面が露出され、
前記第3工程では、前記半導体ウェハの外周部において前記半導体ウェハの第1主面に前記第2テープを直接貼り付けることを特徴とする請求項1~10のいずれか一つに記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、両主面に表面電極(電極パッド)を有する縦型の半導体装置では、おもて面電極および裏面電極にそれぞれ異なる外部接続用端子(例えば端子ピンや銅箔板)をはんだ接合した配線構造が知られている。おもて面電極と外部接続用端子とをはんだ接合することで、おもて面電極と外部接続用端子とワイヤボンディングによって接続する場合よりも、モジュールパッケージの高密度実装化や、電流密度の向上、スイッチング速度の高速化のための配線容量低減、半導体素子の冷却効率の向上などが実現可能となる。
【0003】
おもて面電極は、通常、導電性の高いアルミニウム(Al)を含む金属を用いて形成される。アルミニウムははんだ濡れ性に劣るため、おもて面電極の表面にはんだ濡れ性のよい金属層(例えばニッケル(Ni)層)を形成し、おもて面電極の表面のはんだ濡れ性を向上させることで、おもて面電極とはんだ層との界面での接合信頼性を向上させる。おもて面電極の表面にはんだ濡れ性のよい金属層を形成する方法として、電解めっき法や無電解めっき法によるめっき処理が公知である。
【0004】
半導体ウェハの所定箇所にめっき処理を行う方法として、半導体ウェハのめっき層を形成しない箇所にテープを貼り付けた状態でめっき処理を行う方法が提案されている(例えば、下記特許文献1~4参照。)。下記特許文献1~4では、半導体ウェハのめっき層を形成しない箇所(裏面電極やウェハ外周部)をテープで覆って保護することで、めっき層を形成しない箇所へのめっき層の析出(以下、異常析出とする)や、異常析出して剥離しためっき層によるめっき浴汚染や浴組成の経時変化などを防止している。
【0005】
また、下記特許文献1,2には、中央部の厚さを薄くして外周部を所定幅で厚く残したリブ形状の半導体ウェハを用いる場合に、半導体ウェハの中央部と外周部との厚さ差によって半導体ウェハの裏面に生じた段差の傾斜面と、半導体ウェハの裏面の、段差よりも外側の平坦部と、に密着するように、半導体ウェハの裏面全体に第1テープを貼り付ける。半導体ウェハの外周部の裏面側の平坦部において第1テープ上に重なるように、半導体ウェハの外周部に第2テープを貼り付けることが開示されている。
【0006】
また、下記特許文献1,2,4では、半導体ウェハに貼り付けるテープとして、紫外線(UV:Ultraviolet)照射により硬化して粘着力が小さくなる粘着剤層を有するUVテープを用いることが開示されている。また、下記特許文献4では、半導体ウェハの裏面へのテープ貼り付け時に、薄化工程を行った半導体ウェハを40℃以上60℃以下に加熱しておもて面側に凸に反った状態で維持し、このおもて面側に凸に反った状態の半導体ウェハにめっき処理を行うことで、テープ剥離後の半導体ウェハの反りを低減させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2014-086667号公報
【文献】特開2016-152317号公報
【文献】特開2016-058677号公報
【文献】特開2011-222898号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述した従来のめっき処理方法では、半導体ウェハのめっき層を形成しない箇所(半導体ウェハの裏面および外周部)をテープで覆った状態でめっき処理を行ったとしても、次の3つの問題が生じることが発明者らの鋭意研究により判明している。1つ目の問題は、半導体ウェハの裏面とテープとの間にめっき液が浸み込んで、半導体ウェハの外周部において裏面電極に、めっき液の「しみ」による外観不良が生じる点である。発明者らは、この1つ目の問題が生じる原因について、リブ形状の半導体ウェハを用いて検証した。
【0009】
図16,17は、従来のめっき処理後の半導体ウェハを裏面側から観察した状態を模式的に示す平面図である。
図16(a)には、半導体ウェハの外周部に貼り付けた第2テープの剥離後、第1テープ101の剥離前における半導体ウェハ110の裏面の状態を示す。
図17(a)には、半導体ウェハの裏面全体に貼り付けた第1テープの剥離後における半導体ウェハ110の裏面電極114の状態を示す。
図16(b),17(b)には、それぞれ
図16(a),17(a)の枠A1,A2で囲む部分を拡大して示す。
図18,19は、それぞれ
図16,17の枠A1,A2で囲む部分における断面構造を示す断面図である。
【0010】
リブ形状の半導体ウェハ110は、裏面110b側から中央部111の厚さを薄くして、外周部112を所定幅で外周に沿って中央部111よりも厚く残した半導体ウェハである。上記特許文献1,2に記載のめっき処理方法にしたがって、半導体ウェハ110の中央部111と外周部112との厚さ差によって裏面110bに生じた段差113の傾斜面113bと、半導体ウェハ110の裏面110bの、段差113よりも外側の平坦部(以下、半導体ウェハ110の外周部112の裏面平坦部とする)112bと、に密着するように、半導体ウェハ110の裏面110b全体に第1テープ101を貼り付けた。
【0011】
第1テープ101の貼り付け後、半導体ウェハ110の外周部112の裏面平坦部112bにおいて第1テープ101上に重なるように、半導体ウェハ110の外周部112に第2テープ(不図示)を貼り付けた。そして、半導体ウェハ110のおもて面電極へのめっき処理後、第2テープを剥離した後に第1テープ101を剥離した。第1テープ101はUVテープであり、第1テープ101へのUV照射により第1テープ101の粘着剤層を硬化し当該粘着剤層の粘着力を小さくしてから、第1テープ101を半導体ウェハ110の裏面110bから剥離した。
【0012】
その結果、第1テープ101の剥離後における半導体ウェハ110の裏面電極114に、半導体ウェハ110の端部に沿って全周に広範囲に、めっき液の「しみ」による外観不良122(ハッチング部分)が生じていることが確認された(
図17(a))。この半導体ウェハ110では、第2テープの剥離後に半導体ウェハ110の外周部112において半導体ウェハ110の裏面と第1テープ101との間に、めっき液121(ハッチング部分)が部分的に侵入して溜まっていることが確認された(
図16(b))。めっき液121が溜まっていた箇所(ハッチング部分)121’にも、めっき液121による外観不良が生じていた(
図17(b))。
【0013】
半導体ウェハ110の裏面110bと第1テープ101との間にめっき液121(ハッチング部分)が溜まっていた場合(
図18)、このめっき液121が、UV照射時に第1テープ101の粘着剤層から発生するガスによって第1テープ101が半導体ウェハ110から浮いたタイミングで、半導体ウェハ110の裏面110bと第1テープ101との間を、半導体ウェハ110の外周部112の裏面平坦部112bから段差113の傾斜面(メサエッジ)113bを伝って中央部111側へ移動して裏面電極に広範囲に浸透して(吸い込まれて)(
図19)、外観不良122が生じると推測される。
【0014】
2つ目の問題は、半導体ウェハの外周部と第2テープとの間にめっき液が侵入して、半導体ウェハの外周部に浸み込み、めっき処理後の工程で、半導体ウェハの外周部に形成されているウェハID(Identification:半導体ウェハを識別するための刻印)を自動読み取りできなくなる点である。3つ目の問題は、半導体ウェハの外周部と第2テープとの間にめっき液が侵入し、半導体ウェハの外周部に必要のないめっき層が析出(異常析出)する点である。
【0015】
半導体ウェハの外周部に異常析出しためっき層は、半導体ウェハから剥離してめっき浴中に浮遊し、めっき浴汚染や浴組成の経時変化の原因となったり、半導体ウェハに再付着しておもて面電極の外観不良の原因となる。おもて面電極や裏面電極のめっき液の「しみ」による外観不良は、はんだ接合不良が起きる等、半導体装置に致命的な不良を引き起こす虞があり、歩留まり(製品生産数)が低くなる。ウェハIDの自動読み取りエラーにより製造工程のスループットが低下する。めっき浴汚染や浴組成の経時変化によって、めっき槽の洗浄頻度が増えたり、めっき液の寿命が短くなってしまう。
【0016】
この発明は、上述した従来技術による課題を解消するため、生産性を向上させることができる半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上述した課題を解決し、本発明の目的を達成するため、この発明にかかる半導体装置の製造方法は、半導体ウェハの第1主面側にめっき処理によってめっき層を形成する半導体装置の製造方法であって、次の特徴を有する。前記半導体ウェハの第1主面に第1電極を形成する第1工程を行う。前記半導体ウェハの第2主面に第1テープを貼り付けて、前記半導体ウェハの第2主面を前記第1テープで覆う第2工程を行う。前記半導体ウェハの外周部に第2テープを貼り付けて、前記半導体ウェハの端部を前記第2テープで覆う第3工程を行う。前記第1テープおよび前記第2テープを貼り付けた状態の前記半導体ウェハを40℃以上80℃以下の温度の雰囲気下での20分間以上40分間以下の熱処理により加熱し、前記第1テープおよび前記第2テープと前記半導体ウェハとの粘着力を大きくする第4工程を行う。前記第4工程の後、前記めっき処理によって前記第1電極の表面上に前記めっき層を形成する第5工程を行う。
【0020】
また、この発明にかかる半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記第5工程の後、前記半導体ウェハから前記第2テープを剥離する第6工程をさらに含む。前記第2テープは、紫外線照射により硬化して粘着力が小さくなる粘着剤層を有する。前記第3工程では、前記半導体ウェハの第1主面から第2主面に跨って前記半導体ウェハの表面に前記粘着剤層を粘着させることで前記第2テープを貼り付けて、前記第2テープで前記半導体ウェハの端部を覆う。前記第6工程では、前記第2テープの前記粘着剤層を前記紫外線照射により硬化してから、前記第2テープを剥離することを特徴とする。
【0021】
また、この発明にかかる半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記第3工程では、前記半導体ウェハの第2主面において前記半導体ウェハの外周部で前記第1テープの上に重なるように、前記半導体ウェハの第1主面から第2主面に跨って前記第2テープを貼り付ける。前記第6工程では、前記半導体ウェハの第1主面からの前記紫外線照射により、前記第2テープの、前記半導体ウェハの第1主面に貼り付けられた前記粘着剤層を硬化させてから、前記第2テープを剥離することを特徴とする。
【0022】
また、この発明にかかる半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記第3工程では、前記半導体ウェハの外周を少なくとも1周するように前記第2テープを貼り付けることを特徴とする。
【0023】
また、この発明にかかる半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記第4工程では、加熱炉に前記半導体ウェハを投入して、前記第1テープおよび前記第2テープを直接加熱することを特徴とする。
【0024】
また、この発明にかかる半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記第4工程では、加熱手段によって加熱されたステージに前記半導体ウェハを載置して前記第1テープおよび前記第2テープを加熱することを特徴とする。
【0025】
また、この発明にかかる半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記第4工程では、前記半導体ウェハを加熱する際の雰囲気を窒素雰囲気とすることを特徴とする。
【0026】
また、この発明にかかる半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記第1工程では、前記半導体ウェハの第1主面に前記第1電極を形成するとともに、前記半導体ウェハの第2主面に第2電極を形成する。前記第2工程では、前記半導体ウェハの第2主面に前記第1テープを貼り付けて、前記第1テープで前記第2電極を覆うことを特徴とする。
【0027】
また、この発明にかかる半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記半導体ウェハとして、中央部の厚さを薄くして外周部を所定幅で厚く残したリブ形状の半導体ウェハを用いることを特徴とする。また、この発明にかかる半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記第5工程では、前記第1テープおよび前記第2テープを貼り付けた状態の前記半導体ウェハをめっき液に浸漬させて、前記第1電極の表面上に前記めっき層を形成することを特徴とする。また、この発明にかかる半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記半導体ウェハの外周部において前記半導体ウェハの第1主面が露出され、前記第3工程では、前記半導体ウェハの外周部において前記半導体ウェハの第1主面に前記第2テープを直接貼り付けることを特徴とする。
【0028】
上述した発明によれば、半導体ウェハと第1,2テープとの粘着力を大きくすることができるため、半導体ウェハの裏面と第1テープとの間にめっき処理のめっき液が浸み込んで、半導体ウェハの裏面電極にめっき液による外観不良が生じることを抑制することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明にかかる半導体装置の製造方法によれば、生産性を向上させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】実施の形態にかかる半導体装置の製造方法の概要を示すフローチャートである。
【
図2】実施の形態にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。
【
図3】実施の形態にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。
【
図4】実施の形態にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す俯瞰図である。
【
図5】実施の形態にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す平面図である。
【
図6】実施の形態にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。
【
図7】実施の形態にかかる半導体装置の製造方法を適用する半導体ウェハのおもて面素子構造の一例を示す断面図である。
【
図8】実施の形態にかかる半導体装置の製造方法を適用する半導体ウェハのおもて面素子構造の一例を示す断面図である。
【
図9】実験例1の第2テープ(外周テープ)の加熱温度と剥離強度との関係を示す特性図である。
【
図10】実験例1の第2テープ(外周テープ)の加熱温度と剥離強度との関係を示す特性図である。
【
図11】実験例2の第2テープ(外周テープ)の加熱時間と剥離強度との関係を示す特性図である。
【
図12】実験例2の第2テープ(外周テープ)の加熱時間と剥離強度との関係を示す特性図である。
【
図13】実験例3の裏面電極の組成分析結果を示すグラフである。
【
図14】実験例3の裏面電極の組成分析結果を示すグラフである。
【
図15】実験例4の第2テープの剥離強度の測定方法を模式的に示す説明図である。
【
図16】従来のめっき処理後の半導体ウェハを裏面側から観察した状態を模式的に示す平面図である。
【
図17】従来のめっき処理後の半導体ウェハを裏面側から観察した状態を模式的に示す平面図である。
【
図18】
図16の枠A1で囲む部分における断面構造を示す断面図である。
【
図19】
図17の枠A2で囲む部分における断面構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる半導体装置の製造方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。なお、以下の実施の形態の説明および添付図面において、同様の構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0032】
(実施の形態)
実施の形態にかかる半導体装置の製造方法について、リブ形状の半導体ウェハにめっき処理を行う場合を例に説明する。
図1は、実施の形態にかかる半導体装置の製造方法の概要を示すフローチャートである。
図2,3,6は、実施の形態にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。
図4は、実施の形態にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す俯瞰図である。
図5は、実施の形態にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す平面図である。
【0033】
図2,3,6には、それぞれ
図1のステップS1,S2,S6の処理時の半導体ウェハ10を示す。
図4,5には、
図1のステップS5の処理時の半導体ウェハ10を示す。後述するように、リブ形状の半導体ウェハ10は、ほぼ均一な厚さの半導体ウェハ10の中央部を、半導体装置の製造途中の任意のタイミングで裏面(第2主面)10b側から研削して薄くし、外周部12を所定幅で外周に沿って中央部11よりも厚く残すことで作製される。ほぼ均一な厚さとは、プロセスばらつきによる許容誤差を含む範囲で同じ厚さであることを意味する。
【0034】
まず、一般的な方法により、ほぼ均一な厚さの半導体ウェハ10のおもて面(第1主面)10aにおいて、半導体ウェハ10の中央部11の各チップ領域(不図示)にそれぞれ所定のおもて面素子構造(不図示)を形成する。チップ領域とは、半導体ウェハ10のダイシング(切断)後に個片化されて個々の半導体チップとなる部分である。所定のおもて面素子構造は半導体装置の諸機能を得るための機能部および当該機能部同士を電気的に絶縁する絶縁層であり、半導体ウェハ10のおもて面10aの表面領域の各部と、半導体ウェハ10のおもて面10a上の表面電極や絶縁層等と、で構成される。
【0035】
半導体ウェハ10のおもて面10aの表面領域の各部とは、例えば、バイポーラトランジスタやIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor:絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor:金属-酸化膜-半導体の3層構造からなる絶縁ゲート(MOSゲート)を備えたMOS型電界効果トランジスタ)のMOSゲートの各部や、ダイオードのアノード領域である。
【0036】
半導体ウェハ10のおもて面10aの最表面には、各チップ領域にそれぞれ、アルミニウム(Al)を含むおもて面電極(表面電極:不図示)が形成される。おもて面電極は、バイポーラトランジスタやIGBTのエミッタ電極や、MOSFETのソース電極、ダイオードのアノード電極であり、外部接続用端子(例えば端子ピンや銅箔板)がはんだ接合される電極パッドとして機能する。半導体ウェハ10のおもて面10aは、おもて面電極を除いて、層間絶縁膜23やパッシベーション膜24(
図7,8参照)等の絶縁層で覆われる。
【0037】
半導体ウェハ10の外周部12において、半導体ウェハ10のおもて面10aまたは半導体ウェハ10のおもて面10a上の絶縁層に、例えば、レーザーマーカーによってウェハID(半導体ウェハ10を識別するための刻印)が形成される(不図示)。次に、半導体ウェハ10の中央部11を裏面10b側から研削(バックグラインド)していき、半導体装置として用いる製品厚さの位置まで研削して薄くする。これにより、半導体ウェハ10は、中央部11の厚さのみを薄くし、外周部12を所定の幅で外周に沿って厚く残したリブ形状となる(
図2参照)。
【0038】
以降の説明では、リブ形状の半導体ウェハ10を単に半導体ウェハ10と記載する。半導体ウェハ10の裏面10bには、中央部11と外周部12との厚さ差によって段差13が生じる。半導体ウェハ10の段差13から端部までの部分が半導体ウェハ10の外周部12である。半導体ウェハ10の外周部12は、半導体装置の製造途中において半導体ウェハ10の強度を保つための補強部材として作用する。半導体ウェハ10の外周部12には、チップ領域は形成されない。外周部12の幅は、適宜調整してよいが、例えば2mm~6mm程度である。
【0039】
半導体ウェハ10の裏面10bの、段差13よりも外側(ウェハ端部側)の部分(以下、半導体ウェハ10の外周部12の裏面平坦部とする)12bは平坦面のまま残る。半導体ウェハ10の裏面10bの、中央部11と外周部12の裏面平坦部12bとの間の部分(段差13のメサエッジ)は、内側(中央部11側)から外側へ向かうにしたがって半導体ウェハ10の外周部12の厚さが厚くなるように、半導体ウェハ10の裏面10bに対して傾斜した傾斜面13bであってもよい。半導体ウェハ10の外周部12の幅は2.5mm以上5.0mm以下程度が好ましい。
【0040】
次に、エッチングによって半導体ウェハ10の裏面全面を均一に除去することで、半導体ウェハ10の研削後の裏面に生じた損傷を除去する。例えば、混酸系エッチング液を用いて半導体ウェハ10の裏面全面を10μm以上30μm以下程度除去してもよい。次に、一般的な方法により、半導体ウェハ10を清浄化した後、半導体ウェハ10の裏面10bにおいて、半導体ウェハ10の中央部11の各チップ領域にそれぞれ所定の裏面素子構造を形成する。所定の裏面素子構造は半導体装置の諸機能を得るための機能部および当該機能部同士を電気的に絶縁する絶縁層であり、半導体ウェハ10の裏面10bの表面領域の各部と、半導体ウェハ10の裏面10b上の表面電極と、で構成される。
【0041】
半導体ウェハ10の裏面10bの表面領域の各部とは、バッファ領域や、バイポーラトランジスタやIGBTのコレクタ領域、MOSFETのドレイン領域、ダイオードのカソード領域である。半導体ウェハ10の裏面10bの最表面には、中央部11から段差13の傾斜面13bおよび外周部12の裏面平坦部12bにわたって、裏面10b全体に裏面電極(表面電極:不図示)が形成される。裏面電極は、バイポーラトランジスタやIGBTのコレクタ電極や、MOSFETのドレイン電極、ダイオードのカソード電極である。
【0042】
裏面電極は、例えばアルミニウム層、チタン(Ti)層、ニッケル(Ni)層および金(Au)層をスパッタ法により順に積層してなる。ここまでの状態は、不図示であるが、符号をつけた部位については
図2を参照。次に、半導体ウェハ10の裏面10bの最表面(裏面電極の表面)全体に第1テープ1(裏面テープ)を貼り付けて、半導体ウェハ10の裏面電極全体を第1テープ1で覆って保護する(ステップS1、
図2:第2工程)。
図1に示すステップS1から後述するステップS6までの処理は、おもて面電極の形成後、裏面電極の形成前に行ってもよい。この場合、半導体ウェハ10の裏面10bに直に第1テープ1が貼り付けられる。
【0043】
第1テープ1は、半導体ウェハ10の裏面10bの全体を覆うように、半導体ウェハ10の中央部11、段差13の傾斜面13bおよび外周部12の裏面平坦部12bに貼り付ける。第1テープ1は、例えば、半導体ウェハ10の直径と略同じ直径の円形状の平面形状を有する。半導体ウェハ10の直径と略同じ直径とは、例えば、半導体ウェハ10の裏面10bに第1テープ1を貼り付けた状態で、第1テープ1が半導体ウェハ10の端部よりも外側に飛び出さない程度でかつ半導体ウェハ10の端部よりも1.5mm以上内側(半導体ウェハの中央部11側)にならない程度の直径であり、この範囲とするのが好ましい。また、第1テープ1の端部が裏面平坦部12bの外側端部(面取り部(符号不図示))との境界に一致して重なるのが好ましいが、突出してもよい。第1テープ1の端部が裏面平坦部12bの外側端部との境界に一致して重なることにより、第1テープ1と半導体ウェハ10の粘着力を大きくすることができる。また、第1テープ1と第2テープ2との粘着力を大きくすることができる。
【0044】
第1テープ1は、紫外線(UV)の照射により硬化して粘着力が小さくなる粘着剤層を有するUV透過性のUVテープである。第1テープ1は、半導体ウェハ10の直径と略同じ直径の円形状の平面形状の基材の一方の表面全体に粘着剤層(不図示)を有し、粘着剤層側を半導体ウェハ10側にして貼り付けられる。第1テープ1には、後述するめっき処理のめっき液に対して耐薬品性や耐熱性を有する材料が用いられる。第1テープ1は、後述する第2テープ2と同じ材料で形成されていてもよい。
【0045】
次に、半導体ウェハ10の外周部12に第2テープ2を貼り付けて、半導体ウェハ10の端部全体を第2テープ2(外周テープ)で覆って保護する(ステップS2、
図3:第3工程)。第2テープ2は、半導体ウェハ10の端部を挟み込んで覆うように、半導体ウェハ10のおもて面10aから裏面10bに跨って貼り付ける。第2テープ2は、半導体ウェハ10の外周部12において、半導体ウェハ10のおもて面10a(またはおもて面10a上の絶縁層)に貼り付け、かつ裏面平坦部12b上の第1テープ1に貼り付ける。
【0046】
第2テープ2は、半導体ウェハ10の外周(円周)よりも長い略矩形帯状の平面形状を有する。第2テープ2は、短手方向の一方の端部が半導体ウェハ10のおもて面10a上に位置し、短手方向の他方の端部が半導体ウェハ10の外周部12の裏面平坦部12bにおいて第1テープ1上に位置して、半導体ウェハ10の端部や面取り部(符号不図示)を覆う。半導体ウェハ10の面取り部とは、半導体ウェハ10のおもて面10aおよび裏面10bと端部との間の略円弧状の部分である。
【0047】
第2テープ2の短手方向の端部は、半導体ウェハ10の中央部11に達しない程度に、面取り部よりも内側のおもて面10aの平坦部に位置する。第2テープ2の短手方向の他方の端部は、半導体ウェハ10の外周部12の裏面平坦部12bを完全に覆うように第1テープ1上に重なる。例えば、第2テープ2の短手方向の他方の端部は、半導体ウェハ10の外周部12の裏面平坦部12bの内側の端から中央部11側への出っ張り量が1.5mm以下であるのが好ましい。また、第2テープ2の短手方向の他方の端部が、半導体ウェハ10の外周部12の裏面平坦部12bの内側(中央部11側)の端部(裏面平坦部12bと傾斜面13bとの境界)と一致して重なるのが好ましいが、突出してもよい。第2テープ2の裏面平坦部12bの内側の端から中央部11側への出っ張り部分は傾斜面13b上の第1テープ1に貼り付いてもよい。第2テープ2の短手方向の幅は例えば6mm程度であり、第2テープ2は短手方向に半導体ウェハ10のおもて面10aおよび裏面10bにそれぞれ略半分の幅ずつ貼り付けることがよい。これにより、第2テープ2の粘着力を大きくすることができる。
【0048】
また、第2テープ2は、長手方向において半導体ウェハ10の外周を少なくとも1周するように貼り付けられる。第2テープ2の長手方向の端部同士は、所定幅で重なり合うことがよい。第2テープ2の長手方向の端部同士が重なり合う幅は、例えば1cm以上5cm以下程度が好ましい。これにより、第2テープ2の長手方向の端部同士を確実に密着させることができ、めっき処理中に第2テープ2が半導体ウェハ10から剥離しにくくなる。また、第2テープ2の長手方向の一方の端部上に重なる他方の端部(以下、出っ張り部とする:
図5参照)2aを出っ張らせて残してもよい。第2テープ2の出っ張り部2aを出っ張らせて残すことで、第2テープ2が剥離しやすくなる。
【0049】
第2テープ2は、UV照射により硬化して粘着力が小さくなる粘着剤層を有するUV透過性のUVテープである。第2テープ2は、半導体ウェハ10の外周よりも長い略矩形帯状の平面形状の基材の一方の表面全体に粘着剤層(不図示)を有し、粘着剤層側を半導体ウェハ10側にして貼り付けられる。第2テープ2の基材は、半導体ウェハ10との間に隙間ができない程度に折り曲げることができる伸縮性を有する。第2テープ2には、後述するめっき処理のめっき液に対して耐薬品性や耐熱性を有する材料が用いられる。
【0050】
次に、第1,2テープ1,2を貼り付けた状態の半導体ウェハ10を加熱(以下、テープアニールとする)する(ステップS3:第4工程)。このテープアニールにより第1,2テープ1,2の粘着剤層を加熱して、半導体ウェハ10と第1,2テープ1,2との粘着力を大きくする。テープアニールの温度が高いほど、半導体ウェハ10と第1,2テープ1,2との粘着力が大きくなる。テープアニールの温度は、例えば40℃以上80℃以下程度であり、後述するめっき前処理およびめっき処理の温度以下であることがよい。
【0051】
テープアニールの温度を上記下限値以上とすることで、半導体ウェハ10と第1,2テープ1,2との粘着力がともに、半導体ウェハ10と第1,2テープ1,2との間に後述するめっき処理のめっき液が侵入しない程度に大きくなる。テープアニールの温度が上記上限値を超えると、第1,2テープ1,2を剥離しにくくなり(剥離強度が大きくなり)、第1,2テープ1,2の粘着剤層の一部が半導体ウェハ10の表面に残りやすい。また、テープアニールの温度が高くなりすぎると、半導体装置の電気特性が変動する虞がある。
【0052】
本実施の形態では、第1,2テープ1,2を貼り付けた半導体ウェハ10をテープアニールすることで、第1,2テープ1,2の粘着力を大きくしている。テープアニールに代わる他の方法として、所定の温度に加熱している半導体ウェハ10に第1,2テープ1,2を貼り付けることで粘着力を大きくする方法も考えられる。しかし、加熱している半導体ウェハ10に第1,2テープ1,2を貼り付けるためには、製造装置が複雑になって製造コストがあがってしまう虞があり好ましくない。また、半導体ウェハ10に比べ第1,2テープ1,2は熱膨張係数が大きい。このため、加熱している半導体ウェハ10に第1,2テープ1,2を貼り付けることで、テープアニールする場合に比べ、第1,2テープ1,2を貼り付けることによる応力が大きくなってしまう虞がある。よって、半導体ウェハ10に貼り付けた第1,2テープ1,2の粘着力を大きくするには、第1,2テープ1,2を貼り付けた半導体ウェハ10をテープアニールするのが好ましい。
【0053】
所定時間のテープアニールを行なうことで、第1,2テープ1,2の粘着剤層が加熱され柔らかくなり、下地との間の微小な隙間を埋めて密着することで、下地との粘着力が向上するものと推測される。半導体ウェハ10に貼り付けた第1,2テープ1,2の粘着力を大きくするテープアニールの時間は、例えば30分間程度であることがよい。半導体ウェハ10と第1,2テープ1,2との粘着力(以下、初期粘着力とする)は、30分間程度のテープアニールで、半導体ウェハ10と第2テープ2との間に後述するめっき処理のめっき液が侵入しない程度まで大きくなる。そして、半導体ウェハ10と第1,2テープ1,2との粘着力は、3時間以下程度までのテープアニールでは初期粘着力から変化せず、3時間を超えるテープアニールでも1割弱程度の増加に留まるからである。
【0054】
テープアニールは、例えば、おもて面電極の表面が酸化されない窒素(N2)雰囲気で行うことがよい。テープアニールは、ウェハカセットに収容した複数枚の半導体ウェハ10をまとめて処理するバッチ式であってもよいし、半導体ウェハ10を1枚ずつ処理する枚葉式であってもよい。テープアニールは、赤外線ランプやランプヒーター等の加熱手段によって対象物を直接加熱するランプ加熱であってもよいし、加熱した雰囲気に対象物を晒して間接的に加熱する雰囲気熱処理であってもよい。
【0055】
テープアニールがランプ加熱である場合、例えば、加熱炉(オーブン炉:不図示)に半導体ウェハ10を投入して半導体ウェハ10および第1,2テープ1,2を直接加熱してもよい。加熱手段により加熱されたステージ(ホットプレート:不図示)上に半導体ウェハ10を載置して、半導体ウェハ10および第1,2テープ1,2を加熱してもよい。この場合も、ホットプレート周囲を覆い、内部に所定流量の窒素ガスを流すことで窒素(N2)雰囲気とすることがよい。ホットプレート上で半導体ウェハ10のみを加熱し、半導体ウェハ10を介して第1,2テープ1,2を間接的に加熱してもよい。
【0056】
次に、第1,2テープ1,2を貼り付けた状態の半導体ウェハ10に例えば80℃程度の温度で無電解めっき処理を行い、半導体ウェハ10のおもて面の表面電極(おもて面電極:不図示)の表面にめっき層(不図示)を形成する(ステップS4:第5工程)。めっき層は、はんだ層との密着性の高い例えばニッケル等の金属を含み、はんだ層との密着性の低いおもて面電極と、後の工程でおもて面電極上にはんだ接合される外部接続用端子と、の間に形成される。めっき層の厚さは、例えば5μm程度であってもよい。
【0057】
次に、半導体ウェハ10の外周部12から第2テープ2(外周テープ)を剥離する(ステップS5、
図4,5:第6工程)。具体的には、半導体ウェハ10を吸着可能なステージ(不図示)に、裏面10bをステージ側にして半導体ウェハ10を載置して固定する。そして、半導体ウェハ10のおもて面10a側から半導体ウェハ10の外周部12の第2テープ2の数点(
図4では3点)にUV光3を照射した状態でステージを回転させることで、半導体ウェハ10の外周部12の第2テープ2の全周にUV光3を照射する。
【0058】
このように第2テープ2の全周にUV光3を照射して、第2テープ2の粘着剤層の、半導体ウェハ10のおもて面10aに貼り付いている部分を硬化させ、半導体ウェハ10のおもて面10aへの粘着力(第2テープ2の剥離強度)を小さくする。
図4には、円形状の平面形状のステージを保持する柱状の保持部4を中心軸として、円周に沿って回転するステージの回転方向を矢印で示す。第2テープ2の出っ張り部2aを引っ張ることで半導体ウェハ10から第2テープ2を剥離する。
図5の矢印2bは出っ張り部2aを引っ張る方向である。
【0059】
第2テープ2にUVテープを用いることで、粘着剤層の一部が半導体ウェハ10のおもて面10aに残らないようにできる。また、第2テープ2の粘着剤層にUV光3を照射して硬化させているため、第2テープ2の粘着剤層の一部が半導体ウェハ10のおもて面10aに残ったとしても、その後の工程で、半導体ウェハ10が搬送手段に貼り付くことを防止することができる。また、第2テープ2は半導体ウェハ10の裏面10b側において第1テープ1に貼り付いており、第2テープ2の剥離後に第2テープ2の粘着剤層の一部が第1テープ1の表面に残ってもよい。このため、半導体ウェハ10の裏面10b側から第2テープ2へのUV光の照射は行わなくてよい。
【0060】
次に、半導体ウェハ10の裏面10bから第1テープ1(裏面テープ)を剥離する(ステップS6、
図6)。具体的には、半導体ウェハ10の裏面10b側から第1テープ1にUV光(不図示)を照射して、第1テープ1の粘着剤層を硬化させ、半導体ウェハ10の裏面10bの最表面への粘着力(第1テープ1の剥離強度)を小さくする。そして、例えば第1テープ1の端部近傍に別のテープ5を貼り付けて、このテープ5を持ち上げて引っ張ることで第1テープ1を剥離する。
図6の矢印5aはテープ5を引っ張る方向である。
【0061】
第1テープ1の粘着剤層にUV光3を照射して硬化させているため、粘着剤層の一部が半導体ウェハ10の裏面10bの表面に残らないようにできる。また、第1テープ1の粘着剤層の一部が半導体ウェハ10の裏面10bの最表面に残ったとしても、その後の工程で、半導体ウェハ10が搬送手段やステージに貼り付くことを防止することができる。その後、半導体ウェハ10の各チップ領域を個々のチップ状に切断(ダイシング)して半導体チップにすることで、所定の素子構造を備えた半導体装置が完成する。
【0062】
上述したステップS4において、無電解めっき法を用いてめっき処理を行う場合を例に説明しているが、これに限らず、例えば、電解めっき法を用いてもよい。また、おもて面電極の表面に形成されるめっき層は、ニッケルめっき層や金めっき層に限らず、種々変更可能である。また、1つのチップ領域に複数のおもて面電極(電極パッド)が配置されている場合に、これら複数のおもて面電極のすべてにめっき層を形成してもよい。
【0063】
図7,8は、実施の形態にかかる半導体装置の製造方法を適用する半導体ウェハのおもて面素子構造の一例を示す断面図である。
図7,8には、半導体ウェハ10の外周部12のおもて面素子構造を示す。上述した実施の形態にかかる半導体装置の製造方法は、半導体ウェハ10の中央部11(
図2参照)において、半導体ウェハ10のおもて面10aの最表面におもて面電極が露出されるおもて面素子構造(不図示)を備える半導体装置を作製(製造)する場合に適用可能である。
【0064】
半導体ウェハ10の端部において、半導体ウェハ10のおもて面10aは初期酸化膜21や層間絶縁膜23、パッシベーション膜24等の絶縁層で覆われてもよいし(
図7)、露出されてもよい(
図8)。符号22は、例えばIGBTやMOSFETのゲートランナーや、ダイオードを構成するポリシリコン層である。半導体ウェハ10の外周部12において半導体ウェハ10のおもて面10aを露出させることで、半導体ウェハ10のおもて面10aの第2テープ2(
図3参照)の粘着力を大きくすることができる。しかし、いずれの場合にも、半導体ウェハ10の裏面10bと第1テープ1との間にめっき処理の際のめっき液が浸み込んで、外観不良が生じる場合があったため、本実施の形態にかかる半導体装置の製造方法が有用である。
【0065】
以上、説明したように、実施の形態によれば、半導体ウェハの外周部に第2テープを貼り付けた後、めっき処理前に、半導体ウェハの裏面および外周部にそれぞれ貼り付けた第1,2テープを40℃以上の温度で加熱(テープアニール)する。これにより、半導体ウェハと第1,2テープとの粘着力を大きくすることができるため、半導体ウェハの裏面と第1テープとの間にめっき処理のめっき液が浸み込んで、半導体ウェハの裏面電極にめっき液による外観不良が生じることを抑制することができ、生産性が向上する。
【0066】
また、実施の形態によれば、半導体ウェハと第1,2テープとの粘着力が大きくなることで、半導体ウェハの外周部に形成されるウェハIDの自動読み取りが可能となるため、生産性が向上する。また、実施の形態によれば、半導体ウェハと第1,2テープとの粘着力が大きくなることで、半導体ウェハの端部へのめっき層の異常析出を抑制することができる。これにより、めっき浴汚染や浴組成の経時変化などを抑制することができ、半導体ウェハの外観不良を抑制することができるため、生産性が向上する。
【0067】
また、実施の形態によれば、第1,2テープをUVテープとし、第1,2テープの剥離時に、第1,2テープの粘着剤層をUV照射により硬化して粘着力を小さくする。これにより、第1,2テープの粘着剤層の一部が半導体ウェハの表面に残り難くなる。また、第1,2テープの粘着剤層の一部が半導体ウェハの表面に残ったとしても、粘着剤層がUV照射により硬化していることで、その後の工程で半導体ウェハが搬送手段等に貼り付くことを防止することができる。これにより、半導体ウェハの割れを抑制することができるため、生産性が向上する。
【0068】
テープアニールを行わない従来方法であっても、第2テープを貼り付けた状態の半導体ウェハを常温で、第2テープ貼り付け直後(=0時間)から2時間以上放置することで、半導体ウェハと第2テープとの粘着力が大きくなる。具体的には、半導体ウェハと第2テープとの粘着力は、当該常温での放置時間が長いほど高くなり、テープアニールを行わない場合でも、第2テープの貼り付け直後から例えば17時間程度の放置時間で、半導体ウェハと第2テープとの間にめっき処理のめっき液が侵入しない程度に粘着力が大きくなることが本発明者により確認されている。
【0069】
このように、従来方法においても、第1,2テープを貼り付けた状態で半導体ウェハをめっき処理前に長時間放置することで、半導体ウェハと第1,2テープとの粘着力を大きくすることができるが、放置時間が長くなるほど、半導体ウェハに不良の原因となる埃等の付着物が付着しやすくなる。また、量産時、半導体ウェハを生産ラインから一旦外して放置(保管)することとなるため、生産ラインから外した半導体ウェハの保管場所の確保や、生産ラインの時間管理が難しくなる虞がある。
【0070】
一方、実施の形態によれば、上述したように、第2テープの貼り付け後、めっき処理前に、テープアニールにより、半導体ウェハと第1,2テープとの粘着力を大きくすることができる。このため、半導体ウェハを生産ラインから外して放置する必要がなく、前工程から順次に後工程に投入することができる。このため、半導体ウェハに不良の原因となる埃等の付着物が付着することを抑制することができる。また、量産時に半導体ウェハを生産ラインから一旦外して放置することによる上記問題が生じない。
【0071】
(実験例1)
テープアニール(
図1のステップS3の処理)の温度(加熱温度)について検証した。
図9,10は、実験例1の第2テープ(外周テープ)の加熱温度と剥離強度との関係を示す特性図である。半導体ウェハの外周部に貼り付けた第2テープについて、テープアニール直後と、テープアニール後に常温(23℃)で所定時間放置した後と、に剥離強度を測定した(以下、実験例1とする)。
【0072】
実験例1として、テープアニールの温度を40℃、60℃および80℃とした3つの試料(加熱有)を作製した。実験例1のテープアニール有(加熱有)の試料のテープアニール時間は30分間とした(
図9に「30分加熱」と示す)。実験例1の「23℃常温」の試料は、テープアニール無(加熱無)の試料であり、第2テープ貼り付け後からめっき処理までの間に常温(23℃)で30分間放置したものである。
【0073】
ここで、実験例1の第1テープはUVテープとし、第2テープは通常の接着剤層を有するテープとした。通常の接着剤層とは、紫外線(UV)の照射により硬化して粘着力が小さくなる接着剤層ではない接着剤層である。なお、第2テープとして紫外線(UV)の照射により硬化して粘着力が小さくなる粘着剤層を有するUV透過性のUVテープを用いた場合にも実験例1と同様の結果となることを確認している。
【0074】
また、実験例1の各試料について、テープアニール後(テープアニール無の試料については第2テープを貼り付けてから30分間放置後)にめっき処理を行い、裏面電極の外観不良の有無、半導体ウェハの端部へのめっき層の異常析出の有無、および、ウェハIDの自動読み取りの可不可を確認した。実験例1の各試料において、第2テープの貼り付け、テープアニールおよびめっき処理の各方法は、上述した実施の形態にかかる半導体装置の製造方法(
図1~6参照)にしたがった。実際に剥離強度を評価した試料についてはめっき処理を行わなかった。
【0075】
実験例1の各試料について、第2テープの加熱温度と剥離強度との関係を
図9に示す。第2テープの加熱後、常温での放置時間(経過時間)と剥離強度との関係を
図10に示す。
図9には、比較として、実験例1の各試料の第2テープのテープアニール前の剥離強度も示す(
図9に「初期値」と示す)。実験例1のテープアニール無の試料は、第2テープの初期値の剥離強度および30分加熱(すなわち30分放置)の剥離強度ともに同じ結果である。
【0076】
図9に示す結果より、テープアニールにより第2テープは剥離強度が大きくなることが確認された。第2テープの剥離強度の測定方法については後述する。また、実験例1のテープアニール無の試料についてめっき処理を行った結果、半導体ウェハの裏面と第1,2テープとの間にめっき液の浸みが発生し、外観不良が生じることが確認された(
図16,17参照)。これに加えて、半導体ウェハの端部にめっき層が異常析出した(不図示)。ウェハIDの自動読み取りを行うことができないことが確認された。
【0077】
一方、実験例1のテープアニール有の各試料について、テープアニール後にめっき処理を行った結果、テープアニール有のいずれの試料においても、半導体ウェハの裏面と第1テープとの間にめっき液の浸み込みが生じないことが確認された。これに加えて、半導体ウェハの端部へのめっき層の異常析出も生じず、かつウェハIDの自動読み取り可能であることが確認された(不図示)。この時の剥離強度は3.0N以上となっていた。
【0078】
また、実験例1のテープアニール有の各試料では、第2テープの接着剤層の一部が半導体ウェハの表面に残ることが確認された。これは、第2テープに通常の接着剤層を用いているためである。後述するように、第2テープで紫外線(UV)の照射により硬化して粘着力が小さくなる粘着剤層を有するUV透過性のUVテープを用いることで、接着剤層の一部が半導体ウェハの表面に残ることを抑えることができる。
【0079】
また、
図10の経過時間(横軸)の内、初期の30分までは所定の温度でテープアニールして、その後は常温での放置の結果となっている。23℃常温については、テープアニール無で放置した結果である。
図10に示す結果より、実験例1のテープアニール有の各試料の第2テープは、テープアニール後には剥離強度が大きくなるが、その後常温で放置した場合、放置時間が長くなっても剥離強度はほとんど変わらないことが確認された。テープアニールの温度が80℃の場合には、第2テープの剥離強度は、当該放置時間が長くなると若干減少傾向にあることが確認された。
【0080】
また、テープアニールを行わない場合、第2テープ貼り付け後の常温での放置時間が長くなると、第2テープの剥離強度は大きくなることが確認された。なお、実験例1では、第2テープについての結果を示したが、第1テープについても加熱温度と剥離強度について同様の結果となることを確認している。
【0081】
以上の結果から、第2テープの剥離強度は、テープアニールにより大きくすることができ、かつテープアニールの温度に依存し、テープアニール後の常温での放置時間にほぼ依存しないことが確認された。したがって、テープアニールの温度を調整することで、第2テープの剥離強度を所定値に調整可能である。第2テープ貼り付け後にテープアニールを行なうことで、テープアニール後に任意のタイミングでめっき処理を行うことができ、テープアニール後からめっき処理までの時間管理の自由度が上がる。
【0082】
(実験例2)
第2テープのテープアニールの時間(加熱時間)について検証した。
図11,12は、実験例2の第2テープ(外周テープ)の加熱時間と剥離強度との関係を示す特性図である。30分間のテープアニール(以下、初期テープアニールとする)により、半導体ウェハと第1,2テープ(裏面テープおよび外周テープ)との粘着力(第1,2テープの剥離強度)を初期的に大きくし、その後さらにテープアニール(以下、追加テープアニールとする)を所定時間行った後に第2テープの剥離強度を測定した(以下、実験例2とする)。
【0083】
実験例2のテープアニール有(加熱有)の試料として、1回目の測定において、初期テープアニールのみ(経過時間=0分間)の試料と、初期テープアニール後にさらに30分間(min)、60分間および180分間の追加テープアニールを行った3つの試料と、を作製した。2回目の測定において、初期テープアニールのみの試料と、初期テープアニール後にさらに3時間(hour)および6時間の追加テープアニールを行った2つの試料と、を作製した。実験例2の各試料は、テープアニールの温度を60℃とした。
【0084】
実験例2の試料の第2テープは通常の接着剤層を有するテープとした。1,2回目の測定ともに同じ条件で2つずつ(以下、試料1,2とする)を作製した。実験例2の各試料において、第1,2テープの貼り付け、テープアニールおよびめっき処理の各方法は、上述した実施の形態にかかる半導体装置の製造方法(
図1~6参照)にしたがった。実際に剥離強度を評価した試料についてはめっき処理を行わなかった。
【0085】
図11,12に示す結果から、実験例2のテープアニール有の試料の第2テープの剥離強度は、3時間以下程度までのテープアニールでは初期剥離強度から変化せず、3時間超で6時間以下のテープアニールでも1割弱程度の増加に留まることが確認された。初期剥離強度とは、初期テープアニールのみの剥離強度である。テープアニールについて、30分以上にアニール時間を変えても顕著な剥離強度の向上は起こらなかった。この実験結果からアニール時間は、スループットを考慮すると20分~40分とするのが好ましい。
【0086】
(実験例3)
UVテープ(第1テープ:裏面テープ)で保護した表面電極(裏面電極)について、テープアニールおよびUVテープ剥離を行った後の状態について検証した。
図13,14は、実験例3の裏面電極の組成分析結果を示すグラフである。
図13には、裏面電極をESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)により測定した光電子スペクトル(ワイドスペクトル)を示す。
図14には、
図13から得られた裏面電極の組成比を示す。
【0087】
上述した実施の形態にかかる半導体装置の製造方法(
図1~6参照)にしたがって作製した試料(以下、実験例3とする)の第1テープ剥離後の裏面電極の組成分析をESCAにより測定した結果を「加熱有」として
図13,14に示す。また、
図13,14には、テープアニールしない試料を「加熱無」として示す。実験例3の試料の第1テープ(裏面テープ)はUVテープとし、テープアニール有の試料のアニール温度および時間をそれぞれ80℃および30分間とした。ここで、第1テープの剥離の際にはUV照射を行っている。
【0088】
実験例3のテープアニール無(加熱無)の試料の条件は、テープアニールを行なわない以外は実験例3のテープアニール有の試料と同様である。実験例3は、テープアニール有およびテープアニール無の各試料ともに、同じ条件で3つずつ(以下、試料1~3とする)を作製した。実験例3の裏面電極は、アルミニウム層、チタン(Ti)層、ニッケル(Ni)層および金(Au)層を順に積層した積層構造とした。実験例3のESCAの分析経(直径)を100μmとした。
【0089】
図13,14に示す結果から、実験例3のテープアニール有およびテープアニール無の各試料ともに裏面電極の組成比はほぼ同じであり、テープアニールによる裏面電極への悪影響は生じていないことが確認された。
図13の裏面電極の組成比は、裏面電極の不純物量(半定量値)の比率である。また、実験例3のテープアニール有の試料の裏面電極の炭素(C)量は、実験例3のテープアニール無の試料の裏面電極の炭素量とほぼ同じであり、テープアニールを行なっても裏面電極の表面に第1テープの粘着剤層は残っていないことが確認された。
【0090】
上記実験例2,3の結果は、上述した実施の形態にかかる半導体装置の製造方法においてテープアニール(
図1のステップS3の処理)の温度を40℃以上80℃以下程度の場合に得られる。実験例1~2の第2テープの剥離強度はシリコン(Si)に対する剥離強度であり、半導体ウェハの端部において半導体ウェハのおもて面が露出している場合(
図8参照)に相当するが、半導体ウェハの端部において半導体ウェハのおもて面が絶縁層で覆われている場合(
図7参照)においても実験例1~3と同様の結果が得られる。
【0091】
(実験例4)
実験例4として、実験例1,2の第2テープ(外周テープ)の剥離強度の測定方法について説明する。
図15は、実験例4の第2テープの剥離強度の測定方法を模式的に示す説明図である。上述した実施の形態にかかる半導体装置の製造方法(
図1のステップS1,S2、
図2,3)にしたがって第1テープ1(裏面テープ)および第2テープ2(外周テープ)を貼り付けた試料(以下、実験例4とする)について、第2テープ2の剥離強度の測定時の状態を
図15に示す。
【0092】
図15に示すように、まず、実験例4(第1,2テープ1,2を貼り付けた半導体ウェハ10)を吸着可能なステージ(不図示)に、裏面10bをステージ側にして半導体ウェハ10を載置して固定する。次に、一般的なデジタルフォースゲージ31のフック32を、第2テープ2の出っ張り部2aに巻き付ける。次に、第2テープ2を剥がす方向(
図5の矢印2b)にデジタルフォースゲージ31を引っ張る。これによって、第2テープ2が剥がれ始めたときの力33(白抜き矢印で示す)を、第2テープ2の剥離強度とする。
【0093】
図示省略するが、第1テープ1の剥離強度も、上述した第2テープ2の剥離強度の測定方法と同様に測定すればよい。具体的には、例えば、第1テープ1の端部近傍に別のテープ5(
図6参照)の一方の端部を貼り付けて、このテープ5の他方の端部にデジタルフォースゲージ31のフック32(
図15参照)を巻き付ける。その後、第1テープ1を剥がす方向(
図6の矢印5a)にデジタルフォースゲージ31を引っ張って、第1テープ1が剥がれ始めたときの力33(
図15参照)を第1テープ1の剥離強度とすればよい。
【0094】
以上において本発明は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であり、素子構造や、電極・めっき層の材料、めっき層を形成する箇所(半導体ウェハの主面)、第1、2テープの構成材料・寸法等は要求される仕様等に応じて種々設定される。例えば、半導体ウェハのおもて面および外周部をテープで保護した状態で、半導体ウェハの裏面にめっき層を形成してもよい。また、半導体ウェハの外周部に第2テープを貼り付けた後に、半導体ウェハの裏面(またはおもて面)に第1テープを貼り付けた場合においても本発明と同様の効果を奏する。また、リブ状の半導体ウェハに代えて、ほぼ均一な厚さの半導体ウェハに第1,2テープを貼り付けた場合においても本発明と同様の効果を奏する。
【産業上の利用可能性】
【0095】
以上のように、本発明にかかる半導体装置の製造方法は、半導体基板(半導体チップ)の少なくとも一方の主面の最表面に表面電極が露出する半導体装置に有用である。
【符号の説明】
【0096】
1 第1テープ(裏面テープ)
2 第2テープ(外周テープ)
2a 第2テープの出っ張り部
2b 第2テープを剥がす方向を示す矢印
3 UV光
4 テーブルの保持部
5 第1テープ剥離用のテープ
5a 第1テープ剥離用のテープを剥がす方向を示す矢印
10 半導体ウェハ
10a 半導体ウェハのおもて面
10b 半導体ウェハの裏面
11 半導体ウェハの中央部
12 半導体ウェハの外周部
12b 半導体ウェハの外周部の裏面平坦部
13 半導体ウェハの外周部の段差
13b 半導体ウェハの外周部の段差の傾斜面
21 初期酸化膜
22 ポリシリコン層
23 層間絶縁膜
24 パッシベーション膜
31 デジタルフォースゲージ
32 デジタルフォースゲージのフック
33 デジタルフォースゲージで測定する力