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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20241217BHJP
   G03G 15/08 20060101ALI20241217BHJP
   G03G 15/06 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
G03G21/00 510
G03G21/00 318
G03G15/08 235
G03G15/06 101
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020152060
(22)【出願日】2020-09-10
(65)【公開番号】P2022046150
(43)【公開日】2022-03-23
【審査請求日】2023-08-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(74)【代理人】
【識別番号】100141298
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 文典
(74)【代理人】
【識別番号】100187492
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 元啓
(74)【代理人】
【識別番号】100181869
【弁理士】
【氏名又は名称】大久保 雄一
(74)【代理人】
【識別番号】100167830
【弁理士】
【氏名又は名称】仲石 晴樹
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】兼古 志郎
(72)【発明者】
【氏名】猪谷 広佳
【審査官】河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-189883(JP,A)
【文献】特開2013-061471(JP,A)
【文献】特開平09-244413(JP,A)
【文献】特開昭60-112076(JP,A)
【文献】特開2007-094282(JP,A)
【文献】特開2020-115166(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0318025(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第110320779(CN,A)
【文献】特開2019-174694(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/00
G03G 15/08
G03G 15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電潜像を担持する像担持体と、
少なくともトナーを含む現像剤を担持する現像剤担持体を有する現像装置と、
前記現像剤担持体から前記像担持体へ前記トナーを移動させるように直流バイアスと交流バイアスとを含むバイアス電圧を前記現像剤担持体に印加する電圧印加部と、
前記現像剤担持体と前記像担持体との間に流れる現像電流を測定する測定部と、
トナー像の転写後の前記像担持体の上の残留トナーを除去するように前記像担持体に当接するクリーニングブレードと、
前記直流バイアスを前記像担持体の露光後の表面電位との電位差が正負のいずれか一方となる第1の値及び前記電位差が正負のいずれか他方となる第2の値にそれぞれ変化させ、前記第1の値に対する前記現像電流の第1の大きさと、前記第2の値に対する前記現像電流の第2の大きさとの比率を示す電流比率を算出し、前記電流比率の値に応じて前記クリーニングブレードの劣化状態を推定する推定部と
を備えた画像形成装置。
【請求項2】
前記推定部は、前記第1の値及び前記第2の値を維持しつつ前記交流バイアスの値を変化させて前記電流比率が最大となる前記交流バイアスの特定値を取得し、前記劣化状態の推定に用いる前記交流バイアスを前記特定値に設定する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記推定部は、前記電流比率の値の経時変化の予測を示す予測曲線を生成し、前記予測曲線に基づいて前記クリーニングブレードの次の状態推定タイミングを決定する、請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記推定部は、前記予測曲線を生成した後に得られた前記電流比率の値が前記予測曲線から乖離している場合に前記予測曲線を更新する、請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記推定部は、前記電流比率の値と第1閾値とを比較し、前記電流比率の値が前記第1閾値よりも大きくない場合には、前記像担持体を分割した複数の区間の各々について前記電流比率を算出し、前記複数の区間の各々の前記電流比率の値と前記第1閾値よりも小さい第2閾値とを比較し、前記複数の区間の全てにおいて前記電流比率の値が前記第2閾値よりも大きい場合には、前記クリーニングブレードの寿命を警告する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記推定部は、前記電流比率の値と第1閾値とを比較し、前記電流比率の値が前記第1閾値よりも大きくない場合には、前記像担持体を分割した複数の区間の各々について前記電流比率を算出し、前記複数の区間の各々の前記電流比率の値と前記第1閾値よりも小さい第2閾値とを比較し、前記複数の区間の中に前記電流比率の値が前記第2閾値よりも大きくない区間がある場合には、前記クリーニングブレードの交換を推奨する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の画像形成装置は、感光体ドラムと、クリーニングブレードと、制御部とを備える。制御部は、感光体ドラムの表面から残留物をクリーニングブレードで除去する際の感光体ドラムの駆動に係る負荷変動に基づいて、感光体ドラムの軸方向におけるクリーニングブレードの滑り性の分布を推定する。推定結果に応じて滑り性の悪い位置に現像トナーが供給されて、滑り性の分布が均一化される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-26122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の画像形成装置では、クリーニングブレード全体の滑り性の低下を検知できなかった。また、クリーニングブレードの滑り性の低下箇所が増えると、トナー消費量が増大するという課題があった。
【0005】
本発明は、クリーニングブレードの劣化状態を推定することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の画像形成装置は、像担持体と、現像装置と、電圧印加部と、測定部と、クリーニングブレードと、推定部とを備える。前記像担持体は、静電潜像を担持する。前記現像装置は、少なくともトナーを含む現像剤を担持する現像剤担持体を有する。前記電圧印加部は、前記現像剤担持体から前記像担持体へ前記トナーを移動させるように直流バイアスと交流バイアスとを含むバイアス電圧を前記現像剤担持体に印加する。前記測定部は、前記現像剤担持体と前記像担持体との間に流れる現像電流を測定する。前記クリーニングブレードは、トナー像の転写後の前記像担持体の上の残留トナーを除去するように前記像担持体に当接する。前記推定部は、前記直流バイアスを第1の値及び第2の値にそれぞれ変化させ、前記第1の値に対する前記現像電流の第1の大きさと、前記第2の値に対する前記現像電流の第2の大きさとの比率を示す電流比率を算出し、前記電流比率の値に応じて前記クリーニングブレードの劣化状態を推定する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、クリーニングブレードの劣化状態を推定することができる画像形成装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略断面図である。
図2】現像装置の詳細構成の一例を示す拡大断面図である。
図3】画像形成装置の回路構成の一例を示すブロック図である。
図4】制御部の処理の一例を示すフローチャートである。
図5】制御部の処理の一例を示すフローチャートである。
図6】制御部の処理の一例を示すフローチャートである。
図7】制御部の処理の一例を示すフローチャートである。
図8】制御部の処理の一例を示すフローチャートである。
図9】直流バイアスと現像電流との相関の例を示す図である。
図10】電流比率の値の予測曲線の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0010】
図1を参照して、実施形態に係る画像形成装置100について説明する。図1は、画像形成装置100の一例を示す概略断面図である。画像形成装置100は、例えばカラープリンターである。図1において、便宜上、左から右への向きをX軸の正の向き、手前から奥への向きをY軸の正の向き、下から上への向きをZ軸の正の向きとする。
【0011】
図1に示されるように、画像形成装置100は、操作部2、給紙部3、搬送部4、トナー補給部5、画像形成部6、転写部7、定着部8、及び排出部9を備える。
【0012】
操作部2は、ユーザーからの指示を受け付ける。操作部2は、液晶ディスプレー21と、複数の操作キー22とを含む。液晶ディスプレー21は、例えば、各種処理結果を表示する。操作キー22は、例えば、テンキー、及びスタートキーを含む。
【0013】
給紙部3は、給紙カセット31と、給紙ローラー群32とを有する。給紙カセット31は、複数枚の用紙Pを収容可能である。給紙ローラー群32は、給紙カセット31に収容された用紙Pを1枚ずつ搬送部4へ給紙する。
【0014】
搬送部4は、ローラー及びガイド部材を備える。搬送部4は、給紙部3から排出部9まで延在する。搬送部4は、画像形成部6及び定着部8を経由するように、給紙部3から排出部9まで用紙Pを搬送する。
【0015】
トナー補給部5は、画像形成部6にトナーを補給する。トナー補給部5は、第1装着部51Y、第2装着部51C、第3装着部51M、及び第4装着部51Kを備える。
【0016】
第1装着部51Yには、第1トナーコンテナ52Yが装着される。同様に、第2装着部51Cには第2トナーコンテナ52Cが、第3装着部51Mには第3トナーコンテナ52Mが、第4装着部51Kには第4トナーコンテナ52Kが装着される。第1装着部51Y~第4装着部51Kの構成は、装着されるトナーコンテナの種類が異なるのみで他の構成は同様である。
【0017】
第1トナーコンテナ52Y、第2トナーコンテナ52C、第3トナーコンテナ52M、及び第4トナーコンテナ52Kには、トナーがそれぞれ収容される。本実施形態において、第1トナーコンテナ52Yには、イエロートナーが収容される。第2トナーコンテナ52Cには、シアントナーが収容される。第3トナーコンテナ52Mには、マゼンタトナーが収容される。第4トナーコンテナ52Kには、ブラックトナーが収容される。
【0018】
画像形成部6は、露光装置61、第1画像形成ユニット62Y、第2画像形成ユニット62C、第3画像形成ユニット62M、及び第4画像形成ユニット62Kを備える。
【0019】
第1画像形成ユニット62Y~第4画像形成ユニット62Kの各々は、帯電装置63、現像装置64、感光体ドラム65、及びクリーニング装置66を有する。感光体ドラム65は、「像担持体」の一例に相当する。
【0020】
帯電装置63、現像装置64、及びクリーニング装置66は、感光体ドラム65の周面に沿って配置される。本実施形態において、感光体ドラム65は、図1の矢印R1で示す方向(時計回り)に回転する。
【0021】
帯電装置63は、放電によって感光体ドラム65を所定の極性に均一に帯電させる。本実施形態において、帯電装置63は、感光体ドラム65を正の極性に帯電させる。露光装置61は、帯電した感光体ドラム65にレーザー光を照射する。これにより、感光体ドラム65の表面に静電潜像が形成される。
【0022】
現像装置64は、感光体ドラム65の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する。現像装置64には、トナー補給部5からトナーが補給される。現像装置64は、トナー補給部5から補給されたトナーを感光体ドラム65の表面に供給する。この結果、感光体ドラム65の表面にトナー像が形成される。
【0023】
本実施形態において、第1画像形成ユニット62Yが有する現像装置64は、第1装着部51Yと接続する。したがって、第1画像形成ユニット62Yが有する現像装置64には、イエロートナーが補給される。第1画像形成ユニット62Yが有する感光体ドラム65の表面には、イエロートナー像が形成される。
【0024】
第2画像形成ユニット62Cが有する現像装置64は、第2装着部51Cと接続する。したがって、第2画像形成ユニット62Cが有する現像装置64には、シアントナーが補給される。第2画像形成ユニット62Cが有する感光体ドラム65の表面には、シアントナー像が形成される。
【0025】
第3画像形成ユニット62Mが有する現像装置64は、第3装着部51Mと接続する。したがって、第3画像形成ユニット62Mが有する現像装置64には、マゼンタトナーが補給される。第3画像形成ユニット62Mが有する感光体ドラム65の表面には、マゼンタトナー像が形成される。
【0026】
第4画像形成ユニット62Kが有する現像装置64は、第4装着部51Kと接続する。したがって、第4画像形成ユニット62Kが有する現像装置64には、ブラックトナーが補給される。第4画像形成ユニット62Kが有する感光体ドラム65の表面には、ブラックトナー像が形成される。
【0027】
転写部7は、第1画像形成ユニット62Y~第4画像形成ユニット62Kが有する各感光体ドラム65の表面に形成された各トナー像を用紙Pに重ねて転写する。本実施形態において、転写部7は、二次転写方式によって各トナー像を用紙Pに重ねて転写する。詳しくは、転写部7は、4つの一次転写ローラー71、中間転写ベルト72、駆動ローラー73、従動ローラー74、及び二次転写ローラー75を有する。
【0028】
中間転写ベルト72は、4つの一次転写ローラー71、駆動ローラー73、及び、従動ローラー74に張架された無端ベルトである。中間転写ベルト72は、駆動ローラー73の回転に応じて駆動する。図1において、中間転写ベルト72は、反時計回りに周回する。従動ローラー74は、中間転写ベルト72の駆動に応じて回転駆動する。
【0029】
第1画像形成ユニット62Y~第4画像形成ユニット62Kは、中間転写ベルト72の下面の駆動方向Dに沿って、中間転写ベルト72の下面と対向して配置される。本実施形態において、第1画像形成ユニット62Y~第4画像形成ユニット62Kは、中間転写ベルト72の下面の駆動方向Dの上流側から下流側に向けて第1画像形成ユニット62Y~第4画像形成ユニット62Kの順で配置される。
【0030】
各一次転写ローラー71は、中間転写ベルト72を介して各感光体ドラム65に対向して配置され、各感光体ドラム65に向けて押圧されている。このため、各感光体ドラム65の表面に形成されたトナー像が中間転写ベルト72に順次転写される。本実施形態において、中間転写ベルト72には、イエロートナー像、シアントナー像、マゼンタトナー像、及びブラックトナー像がこの順で重ねて転写される。
【0031】
第1画像形成ユニット62Y~第4画像形成ユニット62Kが有する各クリーニング装置66は、中間転写ベルト72へのトナー像の転写後の感光体ドラム65の上の残留トナーを除去する。
【0032】
二次転写ローラー75は、中間転写ベルト72を介して駆動ローラー73に対向して配置される。二次転写ローラー75は、駆動ローラー73に向けて押圧されている。これにより、二次転写ローラー75と駆動ローラー73との間に転写ニップが形成される。用紙Pが転写ニップを通過すると、中間転写ベルト72上の積層されたトナー像が用紙Pに転写される。トナー像が転写された用紙Pは、搬送部4によって定着部8へ向けて搬送される。
【0033】
定着部8は、加熱部材81と、加圧部材82とを備える。加熱部材81及び加圧部材82は、互いに対向して配置され、定着ニップを形成する。画像形成部6から搬送された用紙Pは、定着ニップを通過することにより所定の定着温度で加熱されながら、加圧される。この結果、トナー像が用紙Pに定着する。用紙Pは、搬送部4によって定着部8から排出部9へ向けて搬送される。
【0034】
排出部9は、排出ローラー対91及び排出トレイ93を有する。排出ローラー対91は、排出口92を介して排出トレイ93へ用紙Pを搬送する。排出口92は、画像形成装置100の上部に形成される。
【0035】
次に、図1及び図2を参照して、現像装置64の詳細構成について説明する。図2は、現像装置64の詳細構成の一例を示す拡大断面図である。なお、図2では、帯電装置63の図示が省略されている。
【0036】
図2に示されるように、本実施形態において、現像装置64は、二成分現像剤を収容する現像容器640を有する。現像装置64は、現像容器640の内部に現像ローラー641、第1攪拌スクリュー643、第2攪拌スクリュー644、及びブレード645を有する。詳しくは、現像ローラー641は、第2攪拌スクリュー644と対向して配置される。ブレード645は、現像ローラー641と対向して配置される。
【0037】
現像容器640は、仕切壁640cによって第1攪拌室640aと第2攪拌室640bとに区画される。仕切壁640cは、現像ローラー641の軸方向(Y軸方向)に延びる。第1攪拌室640aと第2攪拌室640bとは、仕切壁640cの長手方向の両端の外方において連通している。
【0038】
第1攪拌室640aには、第1攪拌スクリュー643が配置される。第1攪拌室640aには、磁性体キャリアが収容されている。第1攪拌室640aには、非磁性体のトナーがトナー補給口640hを介して補給される。
【0039】
第2攪拌室640bには、第2攪拌スクリュー644が配置される。第2攪拌室640bには、磁性体のキャリアが収容されている。
【0040】
トナーは、第1攪拌スクリュー643及び第2攪拌スクリュー644によって攪拌されてキャリアと混合される。この結果、キャリア及びトナーからなる二成分現像剤が構成される。二成分現像剤は、「現像剤」の一例に相当する。
【0041】
第1攪拌スクリュー643及び第2攪拌スクリュー644は、第1攪拌室640aと第2攪拌室640bとの間で現像剤を循環させて攪拌する。この結果、トナーが所定の極性に帯電する。本実施形態において、トナーは、正の極性に帯電する。
【0042】
現像ローラー641は、非磁性の回転スリーブ641aと、マグネット体641bとによって構成される。マグネット体641bは、回転スリーブ641aの内部に固定して配置される。マグネット体641bは、複数の磁極を含む。現像剤は、マグネット体641bの磁力によって、現像ローラー641に吸着する。この結果、現像ローラー641の表面に磁気ブラシが形成される。
【0043】
本実施形態において、現像ローラー641は、図2の矢印R(反時計回り)で示す方向に回転する。現像ローラー641は、回転することによって磁気ブラシをブレード645と対向する位置まで搬送する。ブレード645は、現像ローラー641との間にギャップ(隙間)が形成されるように配置されている。したがって、磁気ブラシの厚さがブレード645によって規定される。ブレード645は、現像ローラー641と感光体ドラム65とが対向する位置よりも現像ローラー641の回転方向の上流側に配置される。
【0044】
現像ローラー641には、所定の電圧が印加される。これにより、表面に形成された現像剤層が感光体ドラム65と対向する位置まで搬送され、現像剤中のトナーが感光体ドラム65に付着する。
【0045】
クリーニング装置66は、感光体ドラム65に当接するクリーニングブレード661を有する。クリーニング装置66は、例えばゴム製である。クリーニングブレード661は、一次転写ローラー71と感光体ドラム65とが対向する位置よりも感光体ドラム65の回転方向の下流側に配置される。
【0046】
次に、図1図3を参照して、画像形成装置100の回路構成について説明する。図3は、画像形成装置100の回路構成の一例を示すブロック図である。
【0047】
図3に示されるように、画像形成装置100は、感光体ドラム65及び現像ローラー641に加えて、制御部10、記憶部11、及び高電圧印加基板12を備える。
【0048】
記憶部11は、記憶装置を含み、データ及びコンピュータープログラムを記憶する。記憶部11は、半導体メモリーのような主記憶装置と、ハードディスクドライブのような補助記憶装置とを含む。
【0049】
制御部10は、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサーを含み、記憶部11に記憶されたコンピュータープログラムを実行することにより、画像形成装置100の各構成を制御する。具体的には、制御部10は、記憶部11に記憶されたコンピューターを実行することにより、測定部101及び推定部102として機能する。
【0050】
高電圧印加基板12は、電圧印加部121と、電流検知部122とを有する。電圧印加部121は、現像ローラー641から感光体ドラム65へトナーを移動させるように現像ローラー641にバイアス電圧を印加する。バイアス電圧は、DC(直流)バイアスにAC(交流)バイアスを重畳した電圧である。電流検知部122は、現像ローラー641と感光体ドラム65との間に流れる現像電流Idを測定するための電流計である。
【0051】
測定部101は、電圧印加部121及び電流検知部122の動作を制御して、現像電流Idを測定する。制御部10は、現像電流Idの測定モードにおいて、所定の面積を有する矩形のパッチパターンを表す静電潜像が感光体ドラム65の上に形成されるように露光装置61を制御する。
【0052】
推定部102は、DCバイアスVdcを第1の値Vdc1及び第2の値Vdc2にそれぞれ変化させる。そして、推定部102は、第1の値Vdc1に対する現像電流Idの第1の大きさId1と、第2の値Vdc2に対する現像電流Idの第2の大きさId2との比率を示す電流比率Rを算出する。更に、推定部102は、算出した電流比率Rの値に応じてクリーニングブレード661の劣化状態を推定する。
【0053】
更に、推定部102は、第1の値Vdc1及び第2の値Vdc2を維持しつつ交流バイアスVacの値を変化させて、電流比率Rが最大となる交流バイアスVacの特定値Vxを取得する。そして、推定部102は、クリーニングブレード661の劣化状態の推定に用いる交流バイアスVacを特定値Vxに設定する。
【0054】
更に、推定部102は、電流比率Rの値の経時変化の予測を示す予測曲線Cを生成し、予測曲線Cに基づいてクリーニングブレード661の次の状態推定タイミングを決定する。
【0055】
更に、推定部102は、予測曲線Cを生成した後に得られた電流比率Rの値が予測曲線Cから乖離している場合に予測曲線Cを更新する。
【0056】
更に、推定部102は、電流比率Rの値と第1閾値X1とを比較し、電流比率Rの値が第1閾値X1よりも大きくない場合には、感光体ドラム65を分割した複数の区間の各々について電流比率Rを算出する。そして、推定部102は、複数の区間の各々の電流比率Rの値と第1閾値X1よりも小さい第2閾値X2とを比較し、複数の区間の全てにおいて電流比率Rの値が第2閾値X2よりも大きい場合には、クリーニングブレード661の寿命を警告する。
【0057】
更に、推定部102は、電流比率Rの値と第1閾値X1とを比較し、電流比率Rの値が第1閾値X1よりも大きくない場合には、感光体ドラム65を分割した複数の区間の各々について電流比率Rを算出する。そして、推定部102は、複数の区間の各々の電流比率Rの値と第1閾値X1よりも小さい第2閾値X2とを比較し、複数の区間の中に電流比率Rの値が第2閾値X2よりも大きくない区間がある場合には、クリーニングブレード661の交換を推奨する。
【0058】
例えば、現像ローラー641から感光体ドラム65へ流れる現像電流Idの向きが、現像電流Idの正の向きと定義される。現像ローラー641のDCバイアスVdcと感光体ドラム65の露光後の表面電位V0との電位差(Vdc-V0)が正の値である場合に、現像ローラー641と感光体ドラム65との間に順方向バイアスが与えられる。電位差(Vdc-V0)が負の値である場合に、現像ローラー641と感光体ドラム65との間に逆方向バイアスが与えられる。
【0059】
DCバイアスVdcの第1の値Vdc1は、例えば、電位差(Vdc-V0)が正の値となるように設定される。したがって、現像電流Idの第1の大きさId1は正の値である。DCバイアスVdcの第2の値Vdc2は、例えば、電位差(Vdc-V0)が負の値となるように設定される。したがって、現像電流Idの第2の大きさId2は負の値である。電流比率Rは、例えば、Id1/Id2の絶対値である。
【0060】
クリーニングブレード661が劣化して感光体ドラム65の表面上の残留トナーの除去性能が低下すると、DCバイアスVdcの第1の値Vdc1が不変であっても、現像電流Idの第1の大きさId1が減少する。現像ローラー641から感光体ドラム65への正極性のトナーの飛翔が、正極性の残留トナーによって阻害されるからである。また、クリーニングブレード661が劣化して感光体ドラム65の表面上の残留トナーの除去性能が低下すると、DCバイアスVdcの第2の値Vdc2が不変であっても、現像電流Idの第2の大きさId2の絶対値が増加する。感光体ドラム65の表面上の正極性の残留トナーが逆方向バイアスによって現像ローラー641へ戻されるからである。したがって、クリーニングブレード661が劣化すると、電流比率Rが減少することが予想される。
【0061】
次に、図1図5を参照して、制御部10の処理について説明する。図4及び図5は、制御部10の処理の一例である初期化処理を示すフローチャートである。初期化処理は、例えば、画像形成装置100の工場出荷時に一度だけ実行される。
【0062】
ステップS101:図4に示されるように、制御部10は、DCバイアスVdcを第1の値Vdc1及び第2の値Vdc2に設定する。ステップS101の処理が完了すると、制御部10の処理がステップS103へ進む。
【0063】
ステップS103:制御部10は、繰り返し処理を制御するための変数nを1に初期化する。ステップS103の処理が完了すると、制御部10の処理がステップS105へ進む。
【0064】
ステップS105:制御部10は、ACバイアスVacを特定値Vac_nに設定する。特定値Vac_nは、変数nの値に応じて異なる。ステップS105の処理が完了すると、制御部10の処理がステップS107へ進む。
【0065】
ステップS107:制御部10は、現像ローラー641へのバイアス印加を電圧印加部121に実行させて、バイアスVdc1+Vac_nで現像電流Idの第1の大きさId1を取得する。ステップS107の処理が完了すると、制御部10の処理がステップS109へ進む。
【0066】
ステップS109:制御部10は、現像ローラー641へのバイアス印加を電圧印加部121に実行させて、バイアスVdc2+Vac_nで現像電流Idの第2の大きさId2を取得する。ステップS109の処理が完了すると、制御部10の処理がステップS111へ進む。
【0067】
ステップS111:制御部10は、現像電流Idの第1の大きさId1及び第2の大きさId2に基づいて電流比率Rの値を算出する。なお、ステップS105及びステップS107では、所定の面積を有する矩形のパッチパターンを表す静電潜像が感光体ドラム65の軸方向の全体に形成されるように、露光装置61が制御される。ステップS111の処理が完了すると、制御部10の処理が図5に示されたステップS113へ進む。
【0068】
ステップS113:図5に示されるように、制御部10は、変数nの値が1に等しいか否かを判定する。変数nの値が1に等しいと制御部10が判定した場合(ステップS113でYes)には、制御部10の処理がステップS115へ進む。変数nの値が1に等しくないと制御部10が判定した場合(ステップS113でNo)には、制御部10の処理がステップS119へ進む。
【0069】
ステップS115:制御部10は、ステップS111で算出した電流比率Rの値を最大値Rxとして記憶する。また、制御部10は、ステップS107及びステップS109で使用したACバイアスVacの特定値Vac_nを最適値Vxとして記憶する。ステップS115の処理が完了すると、制御部10の処理がステップS117へ進む。
【0070】
ステップS117:制御部10は、変数nの値を1だけ加算するように更新する。ステップS117の処理が完了すると、制御部10の処理がステップS121へ進む。
【0071】
ステップS119:制御部10は、ステップS111で算出した電流比率Rの値が最大値Rxより大きいか否かを判定する。電流比率Rの値が最大値Rxより大きいと制御部10が判定した場合(ステップS119でYes)には、最大値Rxが更新されるように、制御部10の処理がステップS115へ進む。電流比率Rの値が最大値Rxより大きくないと制御部10が判定した場合(ステップS119でNo)には、制御部10の処理がステップS117へ進む。
【0072】
ステップS121:制御部10は、変数nの値が閾値nx以上であるか否かを判定する。変数nの値が閾値nx以上であると制御部10が判定した場合(ステップS121でYes)には、制御部10の処理がステップS123へ進む。変数nの値が閾値nx以上でないと制御部10が判定した場合(ステップS121でNo)には、制御部10の処理がステップS105へ戻る。
【0073】
ステップS123:制御部10は、クリーニングブレード661の劣化状態の推定に用いるACバイアスVacの値を、最適値Vxに設定する。最適値Vxは、ステップS103からステップS121までの処理が示すように、電流比率Rの値を最大化するACバイアスVacの特定値Vac_nである。最適値Vxの探索の間、DCバイアスVdcの第1の値Vdc1及び第2の値Vdc2は維持される。ステップS123の処理が完了すると、制御部10の処理がステップS125へ進む。
【0074】
ステップS125:制御部10は、ステップS115で記憶した電流比率Rの最大値Rxを初期値X0として保存する。ステップS125の処理が完了すると、制御部10の処理がステップS127へ進む。
【0075】
ステップS127:制御部10は、電流比率Rの値の経時変化の予測を示す予測曲線Cを生成する。ステップS127の処理が完了すると、制御部10の処理がステップS129へ進む。
【0076】
ステップS129:制御部10は、状態推定の実行間隔Tpの値を初期値T0に設定する。ステップS129の処理が完了すると、制御部10の初期化処理が終了する。
【0077】
次に、図1図8を参照して、制御部10の処理について更に説明する。図6図7、及び図8は、制御部10の処理の一例である状態推定処理を示すフローチャートである。
【0078】
ステップS201:図6に示されるように、制御部10は、状態推定の実行間隔Tpが経過したか否かを判定する。状態推定の実行間隔Tpが経過したと制御部10が判定した場合(ステップS201でYes)には、制御部10の処理がステップS203へ進む。状態推定の実行間隔Tpが未だ経過していないと制御部10が判定した場合(ステップS201でNo)には、制御部10の状態推定処理が終了する。
【0079】
ステップS203:制御部10は、現像ローラー641へのバイアス印加を電圧印加部121に実行させて、バイアスVdc1+Vxで現像電流Idの第1の大きさId1を取得する。ステップS203の処理が完了すると、制御部10の処理がステップS205へ進む。
【0080】
ステップS205:制御部10は、現像ローラー641へのバイアス印加を電圧印加部121に実行させて、バイアスVdc2+Vxで現像電流Idの第2の大きさId2を取得する。ステップS205の処理が完了すると、制御部10の処理がステップS207へ進む。
【0081】
ステップS207:制御部10は、現像電流Idの第1の大きさId1及び第2の大きさId2に基づいて電流比率Rの値を算出する。なお、ステップS203及びステップS205では、所定の面積を有する矩形のパッチパターンを表す静電潜像が感光体ドラム65の軸方向の全体に形成されるように、露光装置61が制御される。ステップS207の処理が完了すると、制御部10の処理がステップS209へ進む。
【0082】
ステップS209:制御部10は、ステップS207で算出した電流比率Rの値が第1閾値X1より大きいか否かを判定する。電流比率Rの値が第1閾値X1より大きいと制御部10が判定した場合(ステップS209でYes)には、制御部10の処理がステップS211へ進む。電流比率Rの値が第1閾値X1より大きくないと制御部10が判定した場合(ステップS209でNo)には、制御部10の処理がステップS215へ進む。
【0083】
ステップS211:制御部10は、ステップS207で算出した電流比率Rの値が予測曲線Cから乖離しているか否かを判定する。電流比率Rの値が予測曲線Cから乖離していると制御部10が判定した場合(ステップS211でYes)には、制御部10の処理がステップS213へ進む。電流比率Rの値が予測曲線Cから乖離していないと制御部10が判定した場合(ステップS211でNo)には、制御部10の状態推定処理が終了する。
【0084】
ステップS213:制御部10は、ステップS207で算出した電流比率Rの値に適合するように予測曲線Cを更新する。ステップS213の処理が完了すると、制御部10の状態推定処理が終了する。
【0085】
ステップS215:制御部10は、ステップS207で算出した電流比率Rの値が第2閾値X2(<X1)より大きいか否かを判定する。電流比率Rの値が第2閾値X2より大きいと制御部10が判定した場合(ステップS215でYes)には、制御部10の処理が図7に示されたステップS219へ進む。制御部10の処理がステップS219へ進む場合は、電流比率Rの値が不等式X2<R≦X1を満たす場合である。電流比率Rの値が第2閾値X2より大きくないと制御部10が判定した場合(ステップS215でNo)には、制御部10の処理がステップS217へ進む。
【0086】
ステップS217:制御部10は、液晶ディスプレー21を用いて、クリーニングブレード661を含むユニットの交換を推奨する旨のアラートをユーザーに提供する。ステップS217の処理が完了すると、制御部10の状態推定処理が終了する。
【0087】
ステップS219:図7に示されるように、制御部10は、繰り返し処理を制御するための変数mを1に初期化する。ステップS219の処理が完了すると、制御部10の処理がステップS221へ進む。
【0088】
ステップS221:制御部10は、所定の面積を有する矩形のパッチパターンを表す静電潜像が感光体ドラム65の軸方向の区間mのみに形成されるように露光装置61を制御する。クリーニングブレード661の部分的な欠損の有無を調べるため、Y軸の方向において感光体ドラム65が仮想的に例えば8個の区間に分割される。ステップS221の処理が完了すると、制御部10の処理がステップS223へ進む。
【0089】
ステップS223:制御部10は、現像ローラー641へのバイアス印加を電圧印加部121に実行させて、バイアスVdc1+Vxで現像電流Idの第1の大きさId1を取得する。ステップS223の処理が完了すると、制御部10の処理がステップS225へ進む。
【0090】
ステップS225:制御部10は、現像ローラー641へのバイアス印加を電圧印加部121に実行させて、バイアスVdc2+Vxで現像電流Idの第2の大きさId2を取得する。ステップS225の処理が完了すると、制御部10の処理がステップS227へ進む。
【0091】
ステップS227:制御部10は、現像電流Idの第1の大きさId1及び第2の大きさId2に基づいて電流比率Rの値を算出する。ステップS227の処理が完了すると、制御部10の処理がステップS229へ進む。
【0092】
ステップS229:制御部10は、変数mの値を1だけ加算するように更新する。ステップS229の処理が完了すると、制御部10の処理がステップS231へ進む。
【0093】
ステップS231:制御部10は、変数mの値が閾値mx以上であるか否かを判定する。変数mの値が閾値mx以上であると制御部10が判定した場合(ステップS231でYes)には、制御部10の処理が図8に示されたステップS233へ進む。変数mの値が閾値mx以上でないと制御部10が判定した場合(ステップS231でNo)には、制御部10の処理がステップS221へ戻る。例えば、感光体ドラム65がY軸の方向において8分割される場合には、閾値mxが9に設定される。
【0094】
ステップS233:図8に示されるように、制御部10は、ステップS227で繰り返し算出した電流比率Rの値が感光体ドラム65の全区間で第2閾値X2より大きいか否かを判定する。電流比率Rの値が全区間で第2閾値X2より大きいと制御部10が判定した場合(ステップS233でYes)には、制御部10の処理がステップS235へ進む。電流比率Rの値がいずれかの区間で第2閾値X2より大きくないと制御部10が判定した場合(ステップS233でNo)には、制御部10の処理がステップS243へ進む。なお、ステップS215における第2閾値X2と、ステップS233における第2閾値X2とは、互いに異なる値であってもよい。
【0095】
ステップS235:制御部10は、クリーニングブレード661の機能低下を補償するような転写部7の転写条件の変更が可能であるか否かを判定する。転写条件の変更が可能であると制御部10が判定した場合(ステップS235でYes)には、制御部10の処理がステップS237へ進む。転写条件の変更が不可能であると制御部10が判定した場合(ステップS235でNo)には、制御部10の処理がステップS239へ進む。
【0096】
ステップS237:制御部10は、転写部7の転写条件を変更する。ステップS237の処理が完了すると、制御部10の状態推定処理が終了する。
【0097】
ステップS239:制御部10は、液晶ディスプレー21を用いて、クリーニングブレード661の寿命警告を含む表示をユーザーに提供する。ステップS239の処理が完了すると、制御部10の処理がステップS241へ進む。
【0098】
ステップS241:制御部10は、状態推定の実行間隔Tpの値を所定値T1(T1<T0)に変更する。つまり、予測曲線Cに基づいてクリーニングブレード661の次の状態推定タイミングが決定される。ステップS241の処理が完了すると、制御部10の状態推定処理が終了する。
【0099】
ステップS243:制御部10は、液晶ディスプレー21を用いて、クリーニングブレード661を含むユニットの交換を推奨する旨のアラートをユーザーに提供する。ステップS243の処理が完了すると、制御部10の状態推定処理が終了する。
【0100】
図6図8の状態推定処理によれば、制御部10は、感光体ドラム65の全体について算出した電流比率Rの値が第1閾値X1よりも大きくない場合には、感光体ドラム65を分割した複数の区間の各々について電流比率Rを算出する。そして、制御部10は、複数の区間の各々の電流比率Rの値と第1閾値X1よりも小さい第2閾値X2とを比較する。制御部10は、複数の区間の全てにおいて電流比率Rの値が第2閾値X2よりも大きい場合には、クリーニングブレード661の寿命を警告する。逆に、複数の区間の中に電流比率Rの値が第2閾値X2よりも大きくない区間がある場合には、制御部10は、クリーニングブレード661の交換を推奨する。つまり、電流比率Rの値に応じて、クリーニングブレード661の寿命警告表示又はユニット交換推奨アラートがユーザーに提供される。
【実施例
【0101】
続いて、本発明の実施例について説明する。実施例の駆動条件、バイアス条件、及びトナー条件は、以下の通りである。なお、本発明は実施例の範囲に限定されない。
【0102】
[駆動条件]
印字速度:60枚/分
感光体周速:280mm/秒
現像剤担持体線速:504mm/秒
[バイアス条件]
現像DCバイアス:-110V~130V
現像ACバイアス:1000Vpp/1200Vpp
現像AC周波数:8000Hz
現像ACデューティー比:50%
感光体・現像剤担持体間の電位差(Vdc-V0):-130V~110V
[トナー条件]
トナー粒径:6.8μm
トナー極性:正帯電性
【0103】
次に、図9を参照して、実施例における直流バイアスVdcと現像電流Idとの相関について説明する。図9は、直流バイアスVdcと現像電流Idとの相関の例を示す図である。図9において、横軸は現像ローラー641と感光体ドラム65との間の電位差(Vdc-V0)[V]を、縦軸は現像電流Id[μA]をそれぞれ示す。
【0104】
図9は、クリーニングブレード661の劣化がない状態における測定結果を示す。順方向バイアス(Vdc-V0>0)を示す直流バイアスVdcの範囲では、直流バイアスVdcが増加するにつれて現像ローラー641から感光体ドラム65へ飛翔する正極性トナーが増加するので、正の現像電流Idが増加する。一方、逆方向バイアス(Vdc-V0<0)を示す直流バイアスVdcの範囲では、逆極性に帯電したトナー又はキャリアが現像ローラー641から感光体ドラム65へ飛翔するので、負の現像電流Idが発生する。ただし、逆方向バイアスの場合の現像電流Idの絶対値は、順方向バイアスの場合の現像電流Idの絶対値より小さい。
【0105】
図9の例によれば、初期化処理において、Vdc1-V0=110V、Vdc2-V0=-130Vと設定される。V0=20Vであれば、Vdc1=130V、Vdc2=-110Vである。これらの直流バイアス条件下で交流バイアスVacの値が1000Vppである場合、電流比率Rの値が3.57であった。同じ直流バイアス条件下で交流バイアスVacの値が1200Vppである場合、電流比率Rの値が3.89であった。したがって、交流バイアスVacの最適値Vxは、1200Vppとされる。電流比率Rの初期値X0は3.89である。
【0106】
最後に、図10を参照して、予測曲線Cについて説明する。図10は、電流比率Rの値の予測曲線Cの一例を示す図である。図10において、横軸は画像形成装置100の駆動時間を、縦軸は電流比率Rの値をそれぞれ示す。
【0107】
図10に示されるように、駆動時間「0」における電流比率Rの値は、初期値X0である。電流比率Rの値が予測曲線Cから乖離しない限り、状態推定の実行間隔Tpの初期値T0毎に図6図8の状態推定処理が実行される。以後、電流比率Rの値が不等式X2<R≦X1を満たすほどクリーニングブレード661が劣化した場合には、寿命警告表示がユーザーに提供される。更に、電流比率Rの値が不等式R≦X2を満たすほどクリーニングブレード661が更に劣化した場合には、ユニット交換推奨アラートがユーザーに提供される。第1閾値X1及び第2閾値X2は、例えば、電流比率Rの初期値X0を基準として、X1=0.5X0、X2=0.3X0を満たすように設定され得る。
【0108】
実施形態によれば、クリーニングブレード661の劣化状態を推定することができる画像形成装置100が提供される。
【0109】
以上、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明した。ただし、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。また、上記の実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明の形成が可能である。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の個数等は、図面作成の都合から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0110】
実施形態では、画像形成装置100がカラープリンターであったが、これに限られない。画像形成装置100は、電子写真方式で画像を形成する装置であればよい。
【0111】
また、実施形態では、現像剤が二成分現像剤であったが、これに限られない。現像剤は、一成分現像剤であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0112】
本発明は、画像形成装置の分野に利用可能である。
【符号の説明】
【0113】
64 現像装置
65 感光体ドラム(像担持体)
100 画像形成装置
101 測定部
102 推定部
121 電圧印加部
122 電流検知部
641 現像ローラー(現像剤担持体)
661 クリーニングブレード
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10