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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】印刷装置、印刷方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 3/36 20060101AFI20241217BHJP
   B41J 2/355 20060101ALI20241217BHJP
   B41J 2/32 20060101ALI20241217BHJP
   B41J 11/42 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
B41J3/36 T
B41J2/355 D
B41J2/32 Z
B41J11/42
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020152925
(22)【出願日】2020-09-11
(65)【公開番号】P2022047166
(43)【公開日】2022-03-24
【審査請求日】2023-09-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100182936
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 直樹
(72)【発明者】
【氏名】橋本 隆
【審査官】大浜 登世子
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-025673(JP,A)
【文献】米国特許第06149325(US,A)
【文献】米国特許第06234695(US,B1)
【文献】特開平11-314393(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 3/36
B41J 2/355
B41J 2/32
B41J 11/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被印刷媒体を搬送する搬送部と、
前記被印刷媒体の搬送方向に直交する主走査方向に沿って配列された複数の発熱素子を有し、前記被印刷媒体に印刷を行う印刷部と、
前記搬送部と前記印刷部とを制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記複数の発熱素子を、前記主走査方向に沿ってN等分(Nは2以上の自然数)することで複数のN個のグループに分割し、
前記被印刷媒体を順方向に搬送しながら前記被印刷媒体に印刷を行う順搬送印刷と、前記被印刷媒体を逆方向に搬送しながら前記被印刷媒体に印刷を行う逆搬送印刷とを交互に行うようにして、
前記Nが奇数である場合に、前記順搬送印刷を合計で(N+1)/2回、前記逆搬送印刷を合計で(N-1)/2回行い、且つ、各搬送印刷では異なる1つのグループの発熱素子を用いて印刷を行い、
前記Nが偶数である場合に、前記順搬送印刷を合計でN/2回、前記逆搬送印刷を合計でN/2回行い、且つ、各搬送印刷では異なる1つのグループの発熱素子を用いて印刷を行うように、前記搬送部と前記印刷部とを制御する、
という分割印刷制御を行う
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記N個のグループの各々に対応するマスクデータを記憶した記憶部を更に備え、
各搬送印刷では、対応するマスクデータを用いて算出された印刷有効データに応じて前記印刷部が印刷を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記印刷部の温度に応じて、前記Nを決定する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記被印刷媒体の媒体幅が閾値以上である場合に、前記分割印刷制御を行う、
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一つに記載の印刷装置。
【請求項5】
前記順搬送印刷時と前記逆搬送印刷時とでは、前記被印刷媒体の押圧及び搬送経路が同条件である
ことを特徴とする請求項1乃至4の何れか一つに記載の印刷装置。
【請求項6】
印刷部が有する複数の発熱素子であって、被印刷媒体の搬送方向に直交する主走査方向に沿って配列された前記複数の発熱素子を、前記主走査方向に沿ってN等分(Nは2以上の自然数)することで複数のN個のグループに分割し、
搬送部が被印刷媒体を順方向に搬送しながら前記印刷部が前記被印刷媒体に印刷を行う順搬送印刷と、前記搬送部が前記被印刷媒体を逆方向に搬送しながら前記印刷部が前記被印刷媒体に印刷を行う逆搬送印刷とを交互に行うようにして、
前記Nが奇数である場合に、前記順搬送印刷を合計で(N+1)/2回、前記逆搬送印刷を合計で(N-1)/2回行い、且つ、各搬送印刷では前記印刷部が異なる1つのグループの発熱素子を用いて印刷を行い、
前記Nが偶数である場合に、前記順搬送印刷を合計でN/2回、前記逆搬送印刷を合計でN/2回行い、且つ、各搬送印刷では異なる1つのグループの発熱素子を用いて印刷を行
ことを特徴とする印刷方法。
【請求項7】
印刷部が有する複数の発熱素子であって、被印刷媒体の搬送方向に直交する主走査方向に沿って配列された前記複数の発熱素子を、前記主走査方向に沿ってN等分(Nは2以上の自然数)することで複数のN個のグループに分割し、
搬送部が被印刷媒体を順方向に搬送しながら前記印刷部が前記被印刷媒体に印刷を行う順搬送印刷と、前記搬送部が前記被印刷媒体を逆方向に搬送しながら前記印刷部が前記被印刷媒体に印刷を行う逆搬送印刷とを交互に行うようにして、
前記Nが奇数である場合に、前記順搬送印刷を合計で(N+1)/2、前記逆搬送印刷を合計で(N-1)/2回行い、且つ、各搬送印刷では前記印刷部が異なる1つのグループの発熱素子を用いて印刷を行い、
前記Nが偶数である場合に、前記順搬送印刷を合計でN/2回、前記逆搬送印刷を合計でN/2回行い、且つ、各搬送印刷では異なる1つのグループの発熱素子を用いて印刷を行うように制御する
処理をプロセッサに実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書の開示は、印刷装置、印刷方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、サーマルヘッドにより被印刷媒体に文字や図形等を印刷する印刷装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この種の装置の印刷方式には、感熱テープを使用する感熱方式や、インクリボンを使用する熱転写方式等が採用されている。
【0003】
熱転写方式の印刷装置として、例えば、特許文献2に記載のプリンタが知られている。このプリンタでは、印画を複数回に分割して行うことにより、消費電力を低減することが可能とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-028448号公報
【文献】特開平07-276735号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しなしながら、特許文献2に記載のプリンタが行う分割印刷(分割印画)では、インクリボンを使用していることにより分割の回数が数回程度に限られることに加え、印刷(印画)とインクリボンの巻き戻しとを繰り返し行っていることにより全体としての印刷時間(印画時間)が増加してしまうことが、問題点として挙げられる。
【0006】
以上のような実情を踏まえ、本発明の一側面に係る目的は、分割印刷に係る消費電力及び印刷時間を抑制する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る印刷装置は、被印刷媒体を搬送する搬送部と、前記被印刷媒体の搬送方向に直交する主走査方向に沿って配列された複数の発熱素子を有し、前記被印刷媒体に印刷を行う印刷部と、前記搬送部と前記印刷部とを制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記複数の発熱素子を、前記主走査方向に沿ってN等分(Nは2以上の自然数)することで複数のN個のグループに分割し、前記被印刷媒体を順方向に搬送しながら前記被印刷媒体に印刷を行う順搬送印刷と、前記被印刷媒体を逆方向に搬送しながら前記被印刷媒体に印刷を行う逆搬送印刷とを交互に行うようにして、前記Nが奇数である場合に、前記順搬送印刷を合計で(N+1)/2回、前記逆搬送印刷を合計で(N-1)/2回行い、且つ、各搬送印刷では異なる1つのグループの発熱素子を用いて印刷を行い、前記Nが偶数である場合に、前記順搬送印刷を合計でN/2回、前記逆搬送印刷を合計でN/2回行い、且つ、各搬送印刷では異なる1つのグループの発熱素子を用いて印刷を行うように、前記搬送部と前記印刷部とを制御する。
【0008】
本発明の一態様に係る印刷方法は、印刷部が有する複数の発熱素子であって、被印刷媒体の搬送方向に直交する主走査方向に沿って配列された前記複数の発熱素子を、前記主走査方向に沿ってN等分(Nは2以上の自然数)することで複数のN個のグループに分割し、搬送部が被印刷媒体を順方向に搬送しながら前記印刷部が前記被印刷媒体に印刷を行う順搬送印刷と、前記搬送部が前記被印刷媒体を逆方向に搬送しながら前記印刷部が前記被印刷媒体に印刷を行う逆搬送印刷とを交互に行うようにして、前記Nが奇数である場合に、前記順搬送印刷を合計で(N+1)/2回、前記逆搬送印刷を合計で(N-1)/2回行い、且つ、各搬送印刷では前記印刷部が異なる1つのグループの発熱素子を用いて印刷を行い、前記Nが偶数である場合に、前記順搬送印刷を合計でN/2回、前記逆搬送印刷を合計でN/2回行い、且つ、各搬送印刷では異なる1つのグループの発熱素子を用いて印刷を行う。
【0009】
本発明の一態様に係るプログラムは、印刷部が有する複数の発熱素子であって、被印刷媒体の搬送方向に直交する主走査方向に沿って配列された前記複数の発熱素子を、前記主走査方向に沿ってN等分(Nは2以上の自然数)することで複数のN個のグループに分割し、搬送部が被印刷媒体を順方向に搬送しながら前記印刷部が前記被印刷媒体に印刷を行う順搬送印刷と、前記搬送部が前記被印刷媒体を逆方向に搬送しながら前記印刷部が前記被印刷媒体に印刷を行う逆搬送印刷とを交互に行うようにして、前記Nが奇数である場合に、前記順搬送印刷を合計で(N+1)/2、前記逆搬送印刷を合計で(N-1)/2回行い、且つ、各搬送印刷では前記印刷部が異なる1つのグループの発熱素子を用いて印刷を行い、前記Nが偶数である場合に、前記順搬送印刷を合計でN/2回、前記逆搬送印刷を合計でN/2回行い、且つ、各搬送印刷では異なる1つのグループの発熱素子を用いて印刷を行うように制御する処理をプロセッサに実行させる。
【発明の効果】
【0010】
上記の態様によれば、分割印刷に係る消費電力及び印刷時間を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】蓋4を閉じた状態における印刷装置1の平面図である。
図2】蓋4を開けた状態における印刷装置1の平面図である。
図3】印刷装置1のハードウェア構造を示すブロック図である。
図4】プラテンローラ7とサーマルヘッド8との間に挟持された感熱テープ21を模式的に示す図である。
図5】分割印刷の例を模式的に示す図である。
図6】分割印刷制御処理を示すフローチャートである。
図7】分割印刷制御処理を示すフローチャートである。
図8】印刷前処理(サブルーチン1)を示すフローチャートである。
図9】印刷終了処理(サブルーチン2)を示すフローチャートである。
図10】1ライン印刷処理(サブルーチン3)を示すフローチャートである。
図11】マスクデータテーブルを示す図である。
図12】テープ順搬送処理(サブルーチン4)を示すフローチャートである。
図13】テープ逆搬送処理(サブルーチン5)を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、蓋4を閉じた状態における印刷装置1の平面図である。図2は、蓋4を開けた状態における印刷装置1の平面図である。以下、図1及び図2を参照しながら、印刷装置1の構成について説明する。
【0013】
印刷装置1は、被印刷媒体である感熱テープ21に印刷を行うラベルプリンタである。以降では、感熱テープ21を使用する感熱方式のラベルプリンタを例にして説明するが、印刷方式は特に限定しない。印刷装置1は、インクリボンを使用する熱転写方式のラベルプリンタであってもよい。
【0014】
印刷装置1は、図1に示すように、装置筐体2と、入力部3と、開閉自在な蓋4と、窓5と、表示部6と、を備えている。また、図示しないが、装置筐体2には、電源コード接続端子、外部機器接続端子、記憶媒体挿入口等が設けられている。
【0015】
入力部3は、装置筐体2の上面に設けられている。入力部3は、入力キー、十字キー、変換キー、決定キー等の種々のキーを備える。蓋4は、装置筐体2上に配置されている。利用者は、ボタン4aを押下してロック機構を解除することで、図2に示すように、蓋4を開けることができる。蓋4には、蓋4が閉じた状態でも印刷装置1に感熱テープ21が収容されているか否かを目視で確認可能とするために、窓5が形成されている。また、蓋4は、表示部6を有している。
【0016】
表示部6は、例えば、液晶ディスプレイ、有機EL(electro-luminescence)ディスプレイ等である。表示部6は、入力部3からの入力に対応する文字等、各種設定のための選択メニュー、各種処理に関するメッセージ等、を表示する。なお、表示部6はタッチパネル付きのディスプレイであってもよく、入力部3の一部として機能しても良い。
【0017】
装置筐体2は、図2に示すように、蓋4の下方に、媒体アダプタ収容部2aと、プラテンローラ7と、サーマルヘッド8を備えている。媒体アダプタ収容部2aには、媒体アダプタ20が収容される。また、装置筐体2は、さらに、感熱テープ21が排出される排出口2bとサーマルヘッド8の間に、フルカッター9と、ハーフカッター10と、フォトセンサ11を備えている。ハーフカッター10、フルカッター9、フォトセンサ11は、排出口2b側から、この順番で配設されている。
【0018】
媒体アダプタ20は、感熱テープ21を収容する。媒体アダプタ20に収容される感熱テープ21は、例えば、長手方向に巻かれて円筒形状を有した状態で収容される。媒体アダプタ20は、感熱テープ21のテープ幅(幅方向長さ)に合わせて設計されている。この例では、媒体アダプタ20は、テープ幅6mmのテープ用の媒体アダプタである。
【0019】
印刷装置1では、感熱テープ21を収容した媒体アダプタ20が印刷装置1に収容されることで、感熱テープ21が印刷装置1に収容される。なお、印刷装置1は、異なるテープ幅に対応した媒体アダプタを収容することができる。印刷装置1は、具体的には、例えば、図2に示す6mmのテープ用の媒体アダプタ20の他に、12mmのテープ用の媒体アダプタ、18mmのテープ用の媒体アダプタ等を収容することができる。
【0020】
感熱テープ21は、例えば、下層から順にセパレータと、粘着層と、基材と、発色層と、保護層とが積層された5層構造を有している。セパレータは粘着層を覆うように剥離可能に基材に貼り付けられている。セパレータの材料は、例えば、紙であるが、紙に限らず、PET(ポリエチレンテレフタレート)であってもよい。粘着層は、基材に塗布された粘着材である。基材の材料は、例えば、有色のPETである。発色層は、熱エネルギーの加熱により発色する感熱発色層である。保護層の材料は、例えば、透明なPETである。感熱テープ21の構成は、このような5層構造の構成に限らない。例えば、感熱テープ21は、保護層を有さず、発色層が露出したものであってもよい。
【0021】
プラテンローラ7は、感熱テープ21を搬送する搬送部である。プラテンローラ7は、搬送用モータ32(図3参照)の回転により回転する。搬送用モータ32は、例えば、ステッピングモータ、直流(DC)モータ等である。プラテンローラ7は、媒体アダプタ20から繰り出された感熱テープ21をサーマルヘッド8との間に狭持しながら回転することで、感熱テープ21を搬送方向に搬送する。
【0022】
サーマルヘッド8は、感熱テープ21に印刷を行う印刷部である。サーマルヘッド8は、感熱テープ21の搬送方向に直交する主走査方向に沿って配列された複数の発熱素子8a(図3参照)を有し、発熱素子8aで感熱テープ21を加熱することにより印刷を行う。
【0023】
フルカッター9は、フルカットを行う切断装置であり、感熱テープ21を切断してテープ片を作成する。なお、フルカットとは、感熱テープ21を構成する層の全てを感熱テープ21の幅方向に沿って切断する動作のことである。
【0024】
ハーフカッター10は、ハーフカットを行う切断装置であり、感熱テープ21に切れ目を入れる。なお、ハーフカットとは、感熱テープ21のうちのセパレータ以外の層を幅方向に沿って切断する動作のことである。
【0025】
フォトセンサ11は、感熱テープ21の先端を検出するために、感熱テープ21の搬送路上に配置されたセンサである。フォトセンサ11は、例えば、発光素子と受光素子を備えている。発光素子は、例えば、発光ダイオードであり、受光素子は、例えば、フォトダイオードである。フォトセンサ11は、発光素子から出射した光の反射光を受光素子で検出し、後述する制御回路12(図3参照)へ信号を出力する。制御回路12は、例えば、受光素子で検出した反射光量の変化に基づいて、感熱テープ21の先端を検出する。なお、フォトセンサ11は発光素子から出射した光の反射光を検出するフォトリフレクタに限らない。フォトセンサ11は、発光素子と受光素子が対向して配置されたフォトインタラプタであってもよい。
【0026】
図3は、印刷装置1のハードウェア構造を示すブロック図である。印刷装置1は、上述した構成要素に加えて、図3に示すように、制御回路12、ROM(Read Only Memory)13、RAM(Random Access Memory)14、表示駆動回路15、ヘッド駆動回路16、サーミスタ17、搬送用モータ駆動回路31、搬送用モータ32、エンコーダ33、カッターモータ駆動回路34、カッターモータ35、テープ幅検出スイッチ36を備える。
【0027】
制御回路12は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサを含む制御部である。制御回路12は、ROM13に格納されているプログラムをRAM14に展開し実行することで、印刷装置1の各部(例えば、プラテンローラ7、サーマルヘッド8)を制御する。
【0028】
ROM13には、プログラム(後述の図6及び図7に示す分割印刷制御処理を行うためのプログラムを含む)、プログラムの実行に必要な各種データ(例えば、フォントや後述のマスクデータテーブル等)が格納されている。RAM14は、プログラムの実行に用いられるワークメモリである。RAM14の一部は、例えば、印刷データが格納される印刷バッファとして用いられる。なお、印刷装置1での処理に用いられるプログラム及びデータを格納するコンピュータ読み取り可能な記録媒体には、ROM13、RAM14のような、物理的な(非一時的な)記録媒体が含まれる。
【0029】
表示駆動回路15は、液晶表示ドライバ回路、有機EL表示ドライバ回路である。表示駆動回路15は、制御回路12の制御下において、RAM14に格納されている表示データに基づいて表示部6を制御する。
【0030】
ヘッド駆動回路16は、制御回路12の制御下において、印刷データと制御信号に基づいてサーマルヘッド8が有する発熱素子8aへの通電を制御する。サーマルヘッド8は、主走査方向に沿って配列された複数の発熱素子8aを有し、当該発熱素子8aで感熱テープ21を加熱することにより印刷を行う。つまり、印刷装置1において、制御回路12は、ヘッド駆動回路16を介して発熱素子8aへの通電を制御することで、サーマルヘッド8を制御する制御部である。サーミスタ17は、サーマルヘッド8に埋め込まれている。サーミスタ17は、サーマルヘッド8の温度を測定する。
【0031】
搬送用モータ駆動回路31は、制御回路12の制御下で、搬送用モータ32を駆動する。搬送用モータ32は、例えばステッピングモータであってもよく、直流(DC)モータであってもよい。搬送用モータ32は、プラテンローラ7を回転させる。なお、搬送用モータ32は、搬送用モータ駆動回路31の制御下で、感熱テープ21を繰り出す方向である順方向だけではなく、感熱テープ21を巻戻す方向である逆方向にも回転する。
【0032】
プラテンローラ7は、搬送用モータ32の駆動力によって回転し、感熱テープ21の長手方向(副走査方向、搬送方向)に沿って、感熱テープ21を搬送する搬送部である。プラテンローラ7は、搬送用モータ32が順方向に回転しているときには、媒体アダプタ20から感熱テープ21を繰り出し(感熱テープ21の順搬送)、搬送用モータ32が逆方向に回転しているときには、媒体アダプタ20から繰り出されている感熱テープ21を巻戻す(感熱テープ21の逆搬送)。つまり、印刷装置1において、制御回路12は、搬送用モータ駆動回路31を介して搬送用モータ32を制御することで、プラテンローラ7を制御する制御部である。
【0033】
エンコーダ33は、搬送用モータ32又はプラテンローラ7の駆動量(回転量)に応じた信号を制御回路12へ出力する。エンコーダ33は、搬送用モータ32の回転軸に設けられていてもよく、プラテンローラ7の回転軸に設けられていてもよい。制御回路12は、エンコーダ33からの信号に基づいて感熱テープ21の搬送量を特定することができるし、感熱テープ21の搬送速度を測定することもできる。
【0034】
カッターモータ駆動回路34は、制御回路12の制御下において、カッターモータ35を駆動する。フルカッター9は、カッターモータ35の動力によって動作し、感熱テープ21を切断し、テープ片を作成する。ハーフカッター10は、カッターモータ35の動力によって動作し、感熱テープ21のうちのセパレータ以外の層を切断する。
【0035】
テープ幅検出スイッチ36は、媒体アダプタ20の形状に基づいて媒体アダプタ20に収容されている感熱テープ21の幅を検出するためのスイッチであり、媒体アダプタ収容部2aに設けられている。テープ幅検出スイッチ36は、媒体アダプタ収容部2aに複数設けられている。異なるテープ幅に対応する媒体アダプタ20は、複数のテープ幅検出スイッチ36をそれぞれ異なる組み合わせで押下するように構成されている。これにより、制御回路12が、押下されたテープ幅検出スイッチ36の組み合わせから、媒体アダプタ20の種類を特定し、媒体アダプタ20に収容されている感熱テープ21の幅(テープ幅)を検出する。
【0036】
以上のように構成された印刷装置1では、感熱テープ21を順方向に搬送しながら印刷を行う通常印刷の他、感熱テープ21を順方向と逆方向に交互に搬送しながら印刷を複数回に分割して行う分割印刷を行うこともできる。分割印刷では、制御回路12が、次のような分割印刷制御を行う。制御回路12は、サーマルヘッド8が有する複数の発熱素子8aを、複数のN個のグループに分割し、Nが2k(kは自然数)の場合は、感熱テープ21を順方向に搬送しながら感熱テープ21に印刷を行う順搬送印刷と、感熱テープ21を逆方向に搬送しながら感熱テープ21に印刷を行う逆搬送印刷とを交互に行うようにして、順搬送印刷を合計でN/2回、逆搬送印刷を合計でN/2回行い、且つ、各搬送印刷では、異なる1つのグループの発熱素子8aを用いて印刷を行うように、プラテンローラ7とサーマルヘッド8とを制御し、Nが2k-1(kは自然数)の場合は、順搬送印刷と逆搬送印刷とを交互に行うようにして、順搬送印刷を合計で(N+1)/2回、逆搬送印刷を合計で(N-1)/2回行い、且つ、各搬送印刷では、異なる1つのグループの発熱素子8aを用いて印刷を行うように、プラテンローラ7とサーマルヘッド8とを制御する、という分割印刷制御を行う。これにより、分割印刷では、順搬送時だけでなく逆搬送時にも感熱テープ21に印刷が行われるようになるので、例えば、印刷が順搬送時にだけ行われて逆搬送時には行われないような方式のものに比べて、分割印刷が効率的に行われ、結果として、分割印刷に係る消費電力及び印刷時間を抑制することができる。このような印刷装置1が行う分割印刷に関し、図4から図13を参照しながら、具体的に説明する。なお、本明細書において、自然数とは正の整数を表すものとする。
【0037】
図4は、プラテンローラ7とサーマルヘッド8との間に挟持された感熱テープ21を模式的に示す図である。印刷装置1では、通常印刷の他、分割印刷を行うこともできることから、図4に示すように、少なくとも、順搬送印刷時に感熱テープ21の被印刷領域が移動する範囲の搬送経路と、逆搬送印刷時に感熱テープ21の被印刷領域が移動する範囲の搬送経路は、対称とされている。即ち、順搬送印刷時と逆搬送印刷時とでは、感熱テープ21の搬送経路が同条件とれている。また、順搬送印刷時と逆搬送印刷時とでは、プラテンローラ7とサーマルヘッド8による感熱テープ21の押圧も同条件とされている。これにより、分割印刷において、順搬送印刷時と逆搬送印刷時とで感熱テープ21の搬送経路及び押圧が同条件とされていないために発生し得る印刷品位の低下を防止することができる。
【0038】
図5は、分割印刷の例を模式的に示す図である。この例は、サーマルヘッド8が有する複数の発熱素子8aを主走査方向に沿って4等分することで第1から第4の4個のグループに分割して分割印刷を行う例を示している。この例では、複数の発熱素子8aを4個のグループに分割するので、順搬送印刷と逆搬送印刷とを交互に行うようにして、順搬送印刷を合計で2(=4/2)回、逆搬送印刷を合計2(=4/2)回行い、且つ、各搬送印刷では、異なる1つのグループの発熱素子8aを用いて印刷を行うように、プラテンローラ7とサーマルヘッド8とが制御される。
【0039】
詳しくは、まず、図5の(A)に示すように、感熱テープ21を順方向に搬送しながら、第1のグループの発熱素子8aを用いて1ライン目からLライン目までの印刷を行う(1回目の1/4印刷)。なお、ここでは、搬送方向の総印刷ライン数をLとする。次に、図5の(B)に示すように、感熱テープ21を逆方向に搬送しながら、第2のグループの発熱素子8aを用いてLライン目から1ライン目までの印刷を行う(2回目の1/4印刷)。次に、図5の(C)に示すように、感熱テープ21を順方向に搬送しながら、第3のグループの発熱素子8aを用いて1ライン目からLライン目までの印刷を行う(3回目の1/4印刷)。次に、図5の(D)に示すように、感熱テープ21を逆方向に搬送しながら、第4のグループの発熱素子8aを用いてLライン目から1ライン目までの印刷を行う(4回目の1/4印刷)。これにより、感熱テープ21への印刷は完了であるが、最後に感熱テープ21を適正な位置でカットするために、図5の(E)に示すように、感熱テープ21を順方向に搬送する。なお、以下では、図5の(A)に示す順搬送印刷を分割番号1の搬送印刷ともいい、図5の(B)に示す逆搬送印刷を分割番号2の搬送印刷ともいい、図5の(C)に示す順搬送印刷を分割番号3の搬送印刷ともいい、図5の(D)に示す逆搬送印刷を分割番号4の搬送印刷ともいう。
【0040】
このような図5に示す分割印刷は、制御回路12が分割印刷制御を行うことによって実現される。この分割印刷制御について、図6から図13を参照しながら、具体的に説明する。
【0041】
図6及び図7は、分割印刷制御処理を示すフローチャートであり、印刷方法を示すものでもある。図8は、印刷前処理(サブルーチン1)を示すフローチャートである。図9は、印刷終了処理(サブルーチン2)を示すフローチャートである。図10は、1ライン印刷処理(サブルーチン3)を示すフローチャートである。図11は、マスクデータテーブルを示す図である。図12は、テープ順搬送処理(サブルーチン4)を示すフローチャートである。図13は、テープ逆搬送処理(サブルーチン5)を示すフローチャートである。なお、図6及び図7に示す分割印刷制御処理は、ROM13に格納されたプログラムをプロセッサが実行することで制御回路12が行う処理である。この分割印刷制御処理は、例えば、印刷装置1が入力部3からの印刷指示入力を取得すると開始する処理である。
【0042】
分割印刷制御処理が開始すると、図6に示すように、制御回路12は、まず、印刷前処理(サブルーチン1)を行う(ステップS11)。この印刷前処理(サブルーチン1)では、図8に示すように、制御回路12は、まず、感熱テープ21の先端がフルカッター9の位置に到達するまで感熱テープ21を順方向に搬送する(ステップS101)。この搬送は、例えば、感熱テープ21を順方向に搬送して、フォトセンサ11が感熱テープ21の先端を検出したら、感熱テープ21を、フォトセンサ11とフルカッター9との間の距離分、更に順方向に搬送することによって行われる。次に、制御回路12は、感熱テープ21をフルカッター9によりフルカットする(ステップS102)。これにより、感熱テープ21の余分な部分がカットされる。ステップS102が終了すると、処理がリターンする。
【0043】
次に、制御回路12は、図6に示すように、分割数を示す変数Dに4を設定し(D=4)、分割数を設定する(ステップS12)。なお、Dの値は、サーマルヘッド8が有する複数の発熱素子8aの分割数でもある。ここでは、サーマルヘッド8が主走査方向に沿って一列に配列された144個の発熱素子を有するものとし、その144個の発熱素子8aを主走査方向に沿って4等分することで、4個のグループに分割するものとする。具体的には、1個目から36個目までの36個の発熱素子8aを第1グループの発熱素子とし、37個目から72個目までの36個の発熱素子を第2グループの発熱素子とし、73個目から108個目までの36個の発熱素子を第3グループの発熱素子とし、109個目から144個目までの36個の発熱素子8aを第4グループの発熱素子として、4個のグループに分割するものとする。
【0044】
次に、制御回路12は、分割番号を示す変数DNに1を設定し(DN=1)、DNを初期化する(ステップS13)。次に、制御回路12は、予め設定されているテープ長さに応じて決定される印刷長から、総印刷ライン数Lを算出する(ステップS14)。ここで、テープ長さは、例えば、入力部3からの入力に応じて設定されたものであり、作成されるテープ片の長さに対応する。次に、制御回路12は、処理対象印刷ラインを示す変数Pに1を設定し(P=1)、Pを初期化する(ステップS15)。
【0045】
次に、制御回路12は、1ライン印刷処理(サブルーチン3)を行う(ステップS16)。この1ライン印刷処理(サブルーチン3)では、図10に示すように、制御回路12は、まず、印刷データが格納されている印刷バッファ(RAM14の一部)から、Pライン目のラインデータを読み出す(ステップS301)。次に、制御回路12は、マスクデータを指定する変数MにDNの値を設定し(M=DN)、マスクデータを設定する(ステップS302)。
【0046】
次に、制御回路12は、ROM13に記憶されている図11に示すマスクデータテーブルから、Mの値に対応するマスクデータを読み出し、ステップS301で読み出したPライン目のラインデータと、読み出したMの値に対応するマスクデータとの論理和を、印刷有効データとして、算出する(ステップS303)。なお、図11に示すマスクデータテーブルにおいて、M=1に対応するマスクデータは、第1のグループの発熱素子8aのみを用いて印刷を行うためのマスクデータであり、M=2に対応するマスクデータは、第2のグループの発熱素子8aのみを用いて印刷を行うためのマスクデータであり、M=3に対応するマスクデータは、第3のグループの発熱素子8aのみを用いて印刷を行うためのマスクデータであり、M=4に対応するマスクデータは、第4のグループの発熱素子8aのみを用いて印刷を行うためのマスクデータである。
【0047】
次に、制御回路12は、ステップS303で算出された印刷有効データに応じて、サーマルヘッド8(144個の発熱素子8a)の通電制御を行う(ステップS304)。ステップS304が終了すると、処理がリターンする。
【0048】
次に、制御回路12は、図6に示すように、DNの値が偶数であるか否かを判定する(ステップS17)。ステップS17の判定結果がNOの場合、制御回路12は、Pの値がLの値よりも小(P<L)であるか否かを判定する(ステップS18)。ステップS18の判定結果がYESの場合、制御回路12は、Pの値をインクリメントし(P=P+1)(ステップS19)、テープ順搬送処理(サブルーチン4)を行う(ステップS20)。このテープ順搬送処理(サブルーチン4)では、図12に示すように、制御回路12は、まず、変数STPに4を設定し(STP=4)、変数STPを初期化する(ステップS401)。このSTPの値は、感熱テープ21を順方向に1ライン分搬送するために必要な搬送用モータ32の残りステップ数を示す。なお、感熱テープ21を順方向に1ライン分搬送するために必要な搬送用モータ32のステップ数は4であるとする。
【0049】
次に、制御回路12は、搬送用モータ32に対して1ステップ分の正転励磁を行い(ステップS402)、STPの値をデクリメントする(STP=STP-1)(ステップS403)。次に、制御回路12は、STPの値が0より大(STP>0)であるか否かを判定し(ステップS404)、その判定結果がYESの場合は、処理がステップS402に戻り、その判定結果がNOの場合は、処理がリターンする。
【0050】
一方、図6に示すように、ステップS17の判定結果がYESの場合、制御回路12は、Pの値が1よりも大(P>1)であるか否かを判定する(ステップS21)。ステップS21の判定結果がYESの場合、制御回路12は、Pの値をデクリメントし(P=P-1)(ステップS22)、テープ逆搬送処理(サブルーチン5)を行う(ステップS23)。このテープ逆搬送処理(サブルーチン5)では、図13に示すように、制御回路12は、まず、変数STPに4を設定し(STP=4)、変数STPを初期化する(ステップS501)。このSTPの値は、感熱テープ21を逆方向に1ライン分搬送するために必要な搬送用モータ32の残りステップ数を示す。なお、感熱テープ21を逆方向に1ライン分搬送するために必要な搬送用モータ32のステップ数は、順方向の場合と同様であり、4である。
【0051】
次に、制御回路12は、搬送用モータ32に対して1ステップ分の逆転励磁を行い(ステップS502)、STPの値をデクリメントする(STP=STP-1)(ステップS503)。次に、制御回路12は、STPの値が0より大(STP>0)であるか否かを判定し(ステップS504)、その判定結果がYESの場合は、処理がステップS502に戻り、その判定結果がNOの場合は、処理がリターンする。
【0052】
一方、図6に示すように、ステップS18の判定結果がNOの場合、又は、ステップS21の判定結果がNOの場合、制御回路12は、DNの値をインクリメントし(DN=DN+1)(ステップS24)、DNの値がDの値より大(DN>D)であるか否かを判定する(ステップS25)。
【0053】
ステップS25の判定結果がNOの場合、制御回路12は、搬送正転逆転補正処理を行う(ステップS26)。この搬送正転逆転補正処理は、感熱テープ21の搬送方向を順方向から逆方向へ又は逆方向から順方向へ切り替えた際の搬送用モータ32の回転開始時において、搬送機構のバックラッシュやロストモーションにより搬送用モータ32の動力がプラテンローラ7に伝わらなくなるのを防止するために行われる処理であって、例えば、そのバックラッシュ等を吸収するために余分に搬送用モータ32を回転させる、といった処理を行う。ステップS26の後は、処理がステップS16に戻る。
【0054】
一方、ステップS25の判定結果がYESの場合、制御回路12は、図7に示すように、ステップS26と同様の搬送正転逆転補正処理を行う(ステップS27)。次に、制御回路12は、搬送ライン数を示す変数Cに1を設定し(C=1)、Cを初期化する(ステップS28)。次に、制御回路12は、テープ順搬送処理(サブルーチン4)を行う(ステップS29)。このテープ順搬送処理(サブルーチン4)は、図12を用いて説明したとおりである。
【0055】
次に、制御回路12は、Cをインクリメントし(C=C+1)(ステップS30)、Cの値がLの値以下(C≦L)であるか否かを判定し(ステップS31)、その判定結果がYESの場合は、処理がステップS29に戻る。
【0056】
一方、ステップS31の判定結果がNOの場合、制御回路12は、印刷終了処理(サブルーチン2)を行う(ステップS32)。この印刷終了処理(サブルーチン2)では、図9に示すように、制御回路12は、サーマルヘッド8(発熱素子8a)とフルカッター9との間の距離の2倍分、感熱テープ21を順搬送する(ステップS201)。次に、制御回路12は、感熱テープ21をフルカッター9によりフルカットする(ステップS202)。これにより、印刷データに応じた印刷パターンが印刷されたテープ片が作成される。ステップS202の後は、処理がリターンし、図7に示すように、分割印刷制御処理が終了する。
【0057】
なお、図6から図13を用いて説明した分割印刷制御処理では、分割数を4とした例を説明したが、分割数が4以外の複数の場合にも同様にして分割印刷制御処理が行われる。但し、この場合には、その分割数に応じたマスクデータを有するマスクデータテーブルを予めROM13に記憶しておき、そのマスクデータを使用して処理が行われる。また、分割数が2k-1(kは自然数)の場合は、更に、図7のステップS27からステップS31がスキップされる。このように分割数を2k-1(kは自然数)とした場合には、これらのステップがスキップされる分、分割印刷に係る消費電力及び印刷時間を更に抑制することができる。
【0058】
以上に説明した印刷装置1によれば、分割印刷の際に、順搬送時だけでなく逆搬送時にも感熱テープ21に印刷が行われるようになるので、例えば、印刷が順搬送時にだけ行われて逆搬送時には行われないような方式のものに比べて、分割印刷が効率的に行われ、結果として、分割印刷に係る消費電力及び印刷時間を抑制することができる。
【0059】
上述した実施形態は、発明の理解を容易にするために具体例を示したものであり、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。印刷装置、印刷方法、及び、プログラムは、特許請求の範囲の記載を逸脱しない範囲において、さまざまな変形、変更が可能である。
【0060】
例えば、制御回路12は、分割印刷する際の分割数を、サーマルヘッド8の温度に応じて決定するようにしてもよい。この場合は、サーマルヘッド8の温度が高いときほど大きな分割数を設定するように、その決定を行ってもよい。これにより、分割印刷の際の印刷中のサーマルヘッド8の温度上昇を抑制することができ、サーマルヘッド8の高温化により発生し得る印刷品位の低下を防止することができる。なお、サーマルヘッドの温度は、サーミスタ17により測定することができる。
【0061】
また、制御回路12は、通常印刷を行うか、又は、分割印刷を行うかを、感熱テープ21のテープ幅に応じて決定するようにしてもよい。例えば、感熱テープ21のテープ幅が閾値未満である場合は通常印刷を行い、閾値以上である場合は分割印刷を行うようにしてもよい。この場合、その閾値を、例えば、サーマルヘッド8が有する複数の発熱素子8aの主走査方向長さの半分としてもよい。これにより、通常印刷では印刷中の消費電力が比較的に大きくなってしまうテープ幅が大きい感熱テープに対して分割印刷が行われるようになるので、そのようなテープ幅が大きい感熱テープに対する印刷中の消費電力を抑制することができる。なお、感熱テープ21のテープ幅は、テープ幅検出スイッチ36により検出することができる。
【0062】
また、制御回路12がサーマルヘッド8の複数の発熱素子8aを複数のグループに分割する際、その分割は、隣接する複数の発熱素子8a毎に(例えば、上述の隣接する36個の発熱素子8a毎に)分割することに限らない。例えば、サーマルヘッド8の複数の発熱素子8aを2個のグループに分割する際は、奇数番目の発熱素子8aからなるグループと、偶数番目の発熱素子8aからなるグループとに分割してもよい。
【0063】
また、制御回路12がサーマルヘッド8の複数の発熱素子8aを複数のグループに分割する際、その分割は、各グループの発熱素子8aの数が同一になるように分割することに限らない。例えば、分割数によっては、サーマルヘッド8の複数の発熱素子8aを等分に分割することができない場合があり、この場合は、各グループの発熱素子8aの数が略同一になるように分割してもよい。
【0064】
また、上述した実施形態では、印刷装置1が入力部3と表示部6を有する具体例を示したが、印刷装置1は、入力部3や表示部6を有しなくてもよく、印刷データや印刷指示等を印刷装置とは別の電子機器から受信してもよい。
【0065】
以下、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[付記1]
被印刷媒体を搬送する搬送部と、
複数の発熱素子を有し、前記被印刷媒体に印刷を行う印刷部と、
前記搬送部と前記印刷部とを制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記複数の発熱素子を、複数のN個のグループに分割し、
前記Nが2k(kは自然数)の場合は、前記被印刷媒体を順方向に搬送しながら前記被印刷媒体に印刷を行う順搬送印刷と、前記被印刷媒体を逆方向に搬送しながら前記被印刷媒体に印刷を行う逆搬送印刷とを交互に行うようにして、前記順搬送印刷を合計でN/2回、前記逆搬送印刷を合計でN/2回行い、且つ、各搬送印刷では異なる1つのグループの発熱素子を用いて印刷を行うように、前記搬送部と前記印刷部とを制御する、
という分割印刷制御を行う
ことを特徴とする印刷装置。
[付記2]
被印刷媒体を搬送する搬送部と、
複数の発熱素子を有し、前記被印刷媒体に印刷を行う印刷部と、
前記搬送部と前記印刷部とを制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記複数の発熱素子を、複数のN個のグループに分割し、
前記Nが2k-1(kは自然数)の場合は、前記被印刷媒体を順方向に搬送しながら前記被印刷媒体に印刷を行う順搬送印刷と、前記被印刷媒体を逆方向に搬送しながら前記被印刷媒体に印刷を行う逆搬送印刷とを交互に行うようにして、前記順搬送印刷を合計で(N+1)/2回、前記逆搬送印刷を合計で(N-1)/2回行い、且つ、各搬送印刷では異なる1つのグループの発熱素子を用いて印刷を行うように、前記搬送部と前記印刷部とを制御する、
という分割印刷制御を行う
ことを特徴とする印刷装置。
[付記3]
前記制御部は、
前記Nが2k-1(kは自然数)の場合は、前記順搬送印刷と前記逆搬送印刷とを交互に行うようにして、前記順搬送印刷を合計で(N+1)/2回、前記逆搬送印刷を合計で(N-1)/2回行い、且つ、各搬送印刷では異なる1つのグループの発熱素子を用いて印刷を行うように、前記搬送部と前記印刷部とを制御する、
という分割印刷制御を行う
ことを特徴とする付記1記載の印刷装置。
[付記4]
前記N個のグループの各々に対応するマスクデータを記憶した記憶部を更に備え、
各搬送印刷では、対応するマスクデータを用いて算出された印刷有効データに応じて前記印刷部が印刷を行う
ことを特徴とする付記1乃至3の何れか一つに記載の印刷装置。
[付記5]
前記制御部は、前記印刷部の温度に応じて、前記Nを決定する
ことを特徴とする付記1乃至4の何れか一つに記載の印刷装置。
[付記6]
前記制御部は、前記被印刷媒体の媒体幅が閾値以上である場合に、前記分割印刷制御を行う、
ことを特徴とする付記1乃至5の何れか一つに記載の印刷装置。
[付記7]
前記順搬送印刷時と前記逆搬送印刷時とでは、前記被印刷媒体の押圧及び搬送経路が同条件である
ことを特徴とする付記1乃至6の何れか一つに記載の印刷装置。
[付記8]
印刷部が有する複数の発熱素子を、複数のN個のグループに分割し、
前記Nが2k(kは自然数)の場合は、搬送部が被印刷媒体を順方向に搬送しながら前記印刷部が前記被印刷媒体に印刷を行う順搬送印刷と、前記搬送部が前記被印刷媒体を逆方向に搬送しながら前記印刷部が前記被印刷媒体に印刷を行う逆搬送印刷とを交互に行うようにして、前記順搬送印刷を合計でN/2回、前記逆搬送印刷を合計でN/2回行い、且つ、各搬送印刷では前記印刷部が異なる1つのグループの発熱素子を用いて印刷を行う
ことを特徴とする印刷方法。
[付記9]
印刷部が有する複数の発熱素子を、複数のN個のグループに分割し、
前記Nが2k-1(kは自然数)の場合は、搬送部が被印刷媒体を順方向に搬送しながら前記印刷部が前記被印刷媒体に印刷を行う順搬送印刷と、前記搬送部が前記被印刷媒体を逆方向に搬送しながら前記印刷部が前記被印刷媒体に印刷を行う逆搬送印刷とを交互に行うようにして、前記順搬送印刷を合計で(N+1)/2回、前記逆搬送印刷を合計で(N-1)/2回行い、且つ、各搬送印刷では前記印刷部が異なる1つのグループの発熱素子を用いて印刷を行う
ことを特徴とする印刷方法。
[付記10]
印刷部が有する複数の発熱素子を、複数のN個のグループに分割し、
前記Nが2k(kは自然数)の場合は、搬送部が被印刷媒体を順方向に搬送しながら前記印刷部が前記被印刷媒体に印刷を行う順搬送印刷と、前記搬送部が前記被印刷媒体を逆方向に搬送しながら前記印刷部が前記被印刷媒体に印刷を行う逆搬送印刷とを交互に行うようにして、前記順搬送印刷を合計でN/2回、前記逆搬送印刷を合計でN/2回行い、且つ、各搬送印刷では前記印刷部が異なる1つのグループの発熱素子を用いて印刷を行うように制御する
処理をプロセッサに実行させることを特徴とするプログラム。
[付記11]
印刷部が有する複数の発熱素子を、複数のN個のグループに分割し、
前記Nが2k-1(kは自然数)の場合は、搬送部が被印刷媒体を順方向に搬送しながら前記印刷部が前記被印刷媒体に印刷を行う順搬送印刷と、前記搬送部が前記被印刷媒体を逆方向に搬送しながら前記印刷部が前記被印刷媒体に印刷を行う逆搬送印刷とを交互に行うようにして、前記順搬送印刷を合計で(N+1)/2回、前記逆搬送印刷を合計で(N-1)/2回行い、且つ、各搬送印刷では前記印刷部が異なる1つのグループの発熱素子を用いて印刷を行うように制御する
処理をプロセッサに実行させることを特徴とするプログラム。
【符号の説明】
【0066】
1 印刷装置
2 装置筐体
2a 媒体アダプタ収容部
2b 排出口
3 入力部
4 蓋
4a ボタン
5 窓
6 表示部
7 プラテンローラ
8 サーマルヘッド
8a 発熱素子
9 フルカッター
10 ハーフカッター
11 フォトセンサ
12 制御回路
13 ROM
14 RAM
15 表示駆動回路
16 ヘッド駆動回路
17 サーミスタ
20 媒体アダプタ
21 感熱テープ
31 搬送用モータ駆動回路
32 搬送用モータ
33 エンコーダ
34 カッターモータ駆動回路
35 カッターモータ
36 テープ幅検出スイッチ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13