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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】情報処理装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/46 20060101AFI20241217BHJP
   G06F 3/12 20060101ALI20241217BHJP
   H04L 12/66 20060101ALI20241217BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
H04L12/46 V
H04L12/46 200
G06F3/12 322
G06F3/12 338
H04L12/66
H04N1/00 127Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020156542
(22)【出願日】2020-09-17
(65)【公開番号】P2022050124
(43)【公開日】2022-03-30
【審査請求日】2023-08-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 隆志
【審査官】羽岡 さやか
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-293813(JP,A)
【文献】特開2007-235455(JP,A)
【文献】特開2017-010317(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/46
H04L 12/66
G06F 3/12
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを有し、
前記プロセッサは、
第1仮想ネットワークを形成し、
特定の機能が実行される場合に、前記第1仮想ネットワークと、他の装置によって形成される第2仮想ネットワークとを接続し、
前記特定の機能が実行された後、前記第1仮想ネットワークと前記第2仮想ネットワークとの接続を解除する、
情報処理装置であって、
前記特定の機能は、前記情報処理装置と前記他の装置とにより実行される機能であり、
仮想ネットワークを形成した装置を識別するための装置識別情報、グループを識別するためのグループ識別情報、及び、仮想ネットワークを識別するためのネットワーク識別情報が紐付けられて登録され、
前記プロセッサは、
前記特定の機能が実行される場合において、前記第1仮想ネットワークと同じグループに属し、前記第1仮想ネットワークと同じネットワーク識別情報を有する前記第2仮想ネットワークが前記他の装置によって形成されて登録されている場合、前記第1仮想ネットワークと前記第2仮想ネットワークとを接続する、
ことを特徴とする情報処理装置
【請求項2】
前記プロセッサは、更に、
前記特定の機能が実行された場合、互いに紐付けられている、自装置の装置識別情報、前記特定の機能を利用したユーザが属するグループのグループ識別情報、及び、自装置によって形成されて前記ユーザによって利用された仮想ネットワークのネットワーク識別情報を登録から削除する処理を実行する、
ことを特徴とする請求項に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、更に、
自装置にユーザがログインした場合、自装置の装置識別情報、前記ユーザが属するグループのグループ識別情報、及び、前記ユーザが利用する仮想ネットワークのネットワーク識別情報を紐付けて登録し、
前記ユーザが自装置からログアウトした場合、互いに紐付けられている、自装置の装置識別情報、前記ユーザが属するグループのグループ識別情報、及び、前記ユーザが利用する仮想ネットワークのネットワーク識別情報を登録から削除する処理を実行する、
ことを特徴とする請求項に記載の情報処理装置。
【請求項4】
コンピュータが、
第1仮想ネットワークを形成し、
特定の機能が実行される場合に、前記第1仮想ネットワークと、他の装置によって形成される第2仮想ネットワークとを接続し、
前記特定の機能が実行された後、前記第1仮想ネットワークと前記第2仮想ネットワークとの接続を解除する、
ように動作させるためのプログラムであって、
前記特定の機能は、前記コンピュータと前記他の装置とにより実行される機能であり、
仮想ネットワークを形成した装置を識別するための装置識別情報、グループを識別するためのグループ識別情報、及び、仮想ネットワークを識別するためのネットワーク識別情報が紐付けられて登録され、
前記コンピュータは、
前記特定の機能が実行される場合において、前記第1仮想ネットワークと同じグループに属し、前記第1仮想ネットワークと同じネットワーク識別情報を有する前記第2仮想ネットワークが前記他の装置によって形成されて登録されている場合、前記第1仮想ネットワークと前記第2仮想ネットワークとを接続する、
ことを特徴とするプログラム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の仮想ネットワーク同士を接続する技術が知られている。
【0003】
特許文献1には、複数のサイトから送出される第1仮想LAN構成用フレームをレイヤ2スイッチでモニタし、モニタした第1仮想LAN構成用フレームに基づいてネットワーク用仮想LAN識別子を割り当て、第1仮想LAN構成用フレームをモニタしたレイヤ2スイッチで、割り当てられたネットワーク用仮想LAN識別子に基づいて第2仮想LAN構成用フレームを生成してネットワーク内の複数のレイヤ2スイッチに伝搬させ、複数のサイトに分散した仮想LANを構成する方法が記載されている。
【0004】
特許文献2には、仮想LANにおいて、エッジノードのトラフィックを測定することでトラフィックの大きいイングレスノードとエングレスノードを予測し、イングレスノードとエングレスノード間の帯域を光パスの設定によって増加する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第3794496号公報
【文献】特許第3746282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特定の機能を利用するために、複数の仮想ネットワークを接続することが考えられる。この場合、複数の仮想ネットワークを常に接続すると、当該複数の仮想ネットワーク間のセキュリティが低下することがある。
【0007】
本発明の目的は、複数の仮想ネットワークを常に接続する場合と比べて、当該複数の仮想ネットワーク間のセキュリティを向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、プロセッサを有し、前記プロセッサは、第1仮想ネットワークを形成し、特定の機能が実行される場合に、前記第1仮想ネットワークと、他の装置によって形成される第2仮想ネットワークとを接続し、前記特定の機能が実行された後、前記第1仮想ネットワークと前記第2仮想ネットワークとの接続を解除する、情報処理装置であって、前記特定の機能は、前記情報処理装置と前記他の装置とにより実行される機能であり、仮想ネットワークを形成した装置を識別するための装置識別情報、グループを識別するためのグループ識別情報、及び、仮想ネットワークを識別するためのネットワーク識別情報が紐付けられて登録され、前記プロセッサは、前記特定の機能が実行される場合において、前記第1仮想ネットワークと同じグループに属し、前記第1仮想ネットワークと同じネットワーク識別情報を有する前記第2仮想ネットワークが前記他の装置によって形成されて登録されている場合、前記第1仮想ネットワークと前記第2仮想ネットワークとを接続する、ことを特徴とする情報処理装置である。
【0011】
請求項に係る発明は、前記プロセッサは、更に、前記特定の機能が実行された場合、互いに紐付けられている、自装置の装置識別情報、前記特定の機能を利用したユーザが属するグループのグループ識別情報、及び、自装置によって形成されて前記ユーザによって利用された仮想ネットワークのネットワーク識別情報を登録から削除する処理を実行する、ことを特徴とする請求項に記載の情報処理装置である。
【0012】
請求項に係る発明は、前記プロセッサは、更に、自装置にユーザがログインした場合、自装置の装置識別情報、前記ユーザが属するグループのグループ識別情報、及び、前記ユーザが利用する仮想ネットワークのネットワーク識別情報を紐付けて登録し、前記ユーザが自装置からログアウトした場合、互いに紐付けられている、自装置の装置識別情報、前記ユーザが属するグループのグループ識別情報、及び、前記ユーザが利用する仮想ネットワークのネットワーク識別情報を登録から削除する処理を実行する、ことを特徴とする請求項に記載の情報処理装置である。
【0013】
請求項に係る発明は、コンピュータが、第1仮想ネットワークを形成し、特定の機能が実行される場合に、前記第1仮想ネットワークと、他の装置によって形成される第2仮想ネットワークとを接続し、前記特定の機能が実行された後、前記第1仮想ネットワークと前記第2仮想ネットワークとの接続を解除する、ように動作させるためのプログラムであって、前記特定の機能は、前記コンピュータと前記他の装置とにより実行される機能であり、仮想ネットワークを形成した装置を識別するための装置識別情報、グループを識別するためのグループ識別情報、及び、仮想ネットワークを識別するためのネットワーク識別情報が紐付けられて登録され、前記コンピュータは、前記特定の機能が実行される場合において、前記第1仮想ネットワークと同じグループに属し、前記第1仮想ネットワークと同じネットワーク識別情報を有する前記第2仮想ネットワークが前記他の装置によって形成されて登録されている場合、前記第1仮想ネットワークと前記第2仮想ネットワークとを接続する、ことを特徴とするプログラムである。
【発明の効果】
【0014】
請求項1,に係る発明によれば、複数の仮想ネットワークを常に接続する場合と比べて、当該複数の仮想ネットワーク間のセキュリティを向上させることにある。
【0015】
更に、異なるグループに属する複数の仮想ネットワークを接続する場合と比べて、当該複数の仮想ネットワーク間のセキュリティを向上させることができる。
【0016】
請求項に係る発明によれば、特定の機能が実行された後も、装置識別情報とグループ識別情報とネットワーク識別情報が削除されずに登録されている場合と比べて、仮想ネットワークのセキュリティを向上させることができる。
【0017】
請求項に係る発明によれば、ユーザがログアウトした後も、装置識別情報とグループ識別情報とネットワーク識別情報が削除されずに登録されている場合と比べて、仮想ネットワークのセキュリティを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本実施形態に係る情報処理システムの構成を示すブロック図である。
図2】複合機の構成を示すブロック図である。
図3】管理データベースを示す図である。
図4】変形例に係る情報処理システムの構成を示すブロック図である。
図5】機器リストを示す図である。
図6】機器リストを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1を参照して、本実施形態に係る情報処理システムについて説明する。
【0020】
本実施形態に係る情報処理システムにおいては、複数のサイトのそれぞれにて1又は複数の仮想ネットワークが形成され、複数のサイト間で複数の仮想ネットワークが接続される。例えば、サイトに設けられている情報処理装置によって仮想ネットワークが形成される。本実施形態では、特定の条件が満たされる場合に、複数の仮想ネットワークが接続される。特定の条件は、例えば、ユーザが情報処理装置にログインした場合、情報処理装置の電源がオンになった場合、又は、情報処理装置にて特定の機能が実行される場合等である。
【0021】
図1には、本実施形態に係る情報処理システムの構成の一例が示されている。情報処理システムは、例えば、複合機10A,10Bとサーバ12とを含む。複合機10A,10B及びサーバ12は、通信経路Nを介して他の装置と通信することができる。通信経路Nは、例えば、インターネットやその他のネットワークである。
【0022】
複合機10A,10Bは、本実施形態に係る情報処理装置の一例である。複合機10A,10Bは、例えば、プリンタ及びスキャナを含み、画像形成装置として機能する。例えば、複合機10A,10Bは、プリント機能、スキャン機能及びコピー機能等を有する。複合機10A,10Bは、ファクシミリ機能を有してもよい。複合機10A,10Bのそれぞれによって1又は複数の仮想ネットワークが形成される。
【0023】
複合機10A,10Bは、本実施形態に係る情報処理装置の一例に過ぎない。複合機が情報処理システムに含まれず、又は、複合機が情報処理システムに含まれると共に、仮想ネットワークを形成する機能を有する、複合機以外の装置が、情報処理装置の一例として情報処理システムに含まれてもよい。そのような装置は、仮想ネットワークを形成する機能を有していれば、どのような装置であってもよい。例えば、画像処理の機能を有する装置(例えばスキャナ等の画像処理装置)、パーソナルコンピュータ(以下、「PC」と称する)、又は、画像処理や画像形成の機能を有していない装置等が、情報処理装置の一例として情報処理システムに含まれてもよい。
【0024】
複合機10A,10Bは、例えばゲートウェイ(GW)及び通信経路Nを介して、他の装置と通信することができる。
【0025】
例えば、複合機10A、PC(A)、PC(B)、PC(C)及びPC(D)が、同一のネットワーク(例えばLAN(Local Area Network))に接続されている。また、PC(A)、PC(B)及びPC(C)が、グループAに属しており、PC(D)が、グループBに属している。グループは、例えば、企業、企業内の部署、又は、その他の組織(例えばサークルやクラブ等)である。
【0026】
複合機10Aは、自装置が存在するLAN内に仮想ネットワークの一例であるVLAN(Virtual Local Area Network)を形成する。より詳しく説明すると、VLANに対応した複合機10Aと、VLANに対応したスイッチやルータが連携することでVLANを形成する。図1に示す例では、グループAに対して提供されるVLANであるVLAN-001と、グループBに対して提供されるVLANであるVLAN-002とが形成されている。グループAに属するPCは、複合機10Aが提供するVLAN-001を利用することができる。グループBに属するPCは、複合機10Bが提供するVLAN-002を利用することができる。
【0027】
例えば、ユーザは、複合機10AにてVLAN-001を選択し、複合機10Aによるスキャンによって生成された画像データを、VLAN-001に接続しているPCに送信することができる。また、ユーザは、複合機10AにてVLAN-001を選択し、VLAN-001に接続しているPCから複合機10Aに画像データを送信し、複合機10Aにて当該画像データをプリントすることができる。複合機10Bを利用するときや、他の仮想ネットワークを利用するときも同様である。
【0028】
また、複合機10B、PC(E)、PC(F)、PC(G)及びPC(H)が、同一のネットワーク(例えばLAN)に接続されている。また、PC(E)が、グループAに属しており、PC(F)、PC(G)及びPC(H)が、グループBに属している。
【0029】
複合機10Bは、複合機10Aと同様に、自装置が存在するLAN内に仮想ネットワークの一例であるVLANを形成する。図1に示す例では、グループAに対して提供されるVLAN-001と、グループBに対して提供されるVLAN-002とが形成されている。グループAに属するPCは、複合機10Bが提供するVLAN-001を利用することができる。グループBに属するPCは、複合機10Bが提供するVLAN-002を利用することができる。
【0030】
以下、図2を参照して、複合機10A,10Bの構成について説明する。以下、複合機10A,10Bを区別する必要がない場合は、「複合機10」と称することとする。図2には、複合機10の構成の一例が示されている。
【0031】
複合機10は、例えば、プリンタ14、スキャナ16、通信装置18、UI20、メモリ22及びプロセッサ24を含む。
【0032】
プリンタ14は、画像を用紙等の記録媒体に印刷する装置である。スキャナ16は、用紙等の記録媒体を読み取ることで画像データを生成する装置である。
【0033】
通信装置18は、通信チップや通信回路等を有する通信インターフェースであり、他の装置に情報を送信する機能、及び、他の装置から送信されてきた情報を受信する機能を有する。通信装置18による通信は、有線通信であってもよいし、無線通信であってもよい。
【0034】
UI20はユーザインターフェースであり、ディスプレイと操作装置とを含む。ディスプレイは、液晶ディスプレイやELディスプレイ等である。操作装置は、キーボードや入力キーや操作パネル等である。UI20は、ディスプレイと操作装置とを兼ね備えたタッチパネル等のUIであってもよい。
【0035】
メモリ22は、各種の情報を記憶する1又は複数の記憶領域を構成する装置である。メモリ22は、例えば、ハードディスクドライブ、各種のメモリ(例えばRAMやDRAMやROM等)、その他の記憶装置(例えば光ディスク等)、又は、それらの組み合わせである。1又は複数のメモリ22が複合機10に含まれている。
【0036】
プロセッサ24は、複合機10の各部の動作を制御するように構成されている。プロセッサ24は、メモリを有してもよい。例えば、プロセッサ24は、VLAN等の仮想ネットワークを形成する。また、プロセッサ24は、自装置によって形成された仮想ネットワークと、他の装置によって形成された仮想ネットワークとを接続する。例えば、プロセッサ24は、特定の条件が満たされる場合に、複数の仮想ネットワークを接続する。
【0037】
サーバ12は、通信装置、UI、メモリ、及び、プロセッサを含む。サーバ12のメモリには、仮想ネットワークを管理するための管理データベースが形成されている。管理データベースには、例えば、形成された仮想ネットワークを識別するためのネットワーク識別情報(例えばVLAN-ID)と、当該仮想ネットワークを形成した装置を識別するための装置識別情報(例えばIPアドレスやMACアドレス)と、グループを識別するためのグループ識別情報(例えばグループID)とが、互いに紐付けられて登録されており、これらの情報が、サーバ12のメモリに記憶されている。
【0038】
図3には、管理データベースの一例が示されている。例えば、複合機10Aによって、グループAに提供されるVLANが形成されており、複合機10Aの装置識別情報(例えば、MFP-A IP-Adr(複合機10AのIPアドレス)等)と、グループAを示すグループIDと、複合機10Aによって形成されたVLANのVLAN-IDとが、互いに紐付けられて登録されている。
【0039】
同様に、複合機10Bによって、グループAに提供されるVLANが形成されており、複合機10Bの装置識別情報(例えば、MFP-B IP-Adr(複合機10BのIPアドレス)等)と、グループAを示すグループIDと、複合機10Bによって形成されたVLANのVLAN-IDとが、互いに紐付けられて登録されている。
【0040】
以下、各実施例について説明する。
【0041】
(実施例1)
以下、実施例1について説明する。実施例1では、ユーザが複合機10にログインすると、当該複合機10によって形成された仮想ネットワークと、他の装置によって形成された仮想ネットワークとが接続される。以下、実施例1に係る処理の流れについて詳しく説明する。
【0042】
まず、ユーザは、ある装置(ここでは一例として複合機10A)にログインする。例えば、当該ユーザに対する認証が、複合機10A又は認証サーバ等の装置によって行われ、その認証が成功すると、当該ユーザは複合機10Aにログインすることが許可される。以下、複合機10にログインしたユーザを「ログインユーザ」と称することとする。
【0043】
ユーザが複合機10Aにログインすると、当該ユーザによって利用されるVLANが確定する。
【0044】
例えば、複合機10Aによって形成されたVALNのVLAN-IDの一覧が複合機10Aのディスプレイに表示され、ログインユーザは、その一覧の中から当該ログインユーザが利用するVLANのVLAN-IDを選択してもよい。別の例として、ログインユーザは、当該ログインユーザが利用するVLANのVLAN-IDを複合機10Aに入力してもよい。
【0045】
別の例として、ユーザ毎に、ユーザが利用することができるVLANが予め定められて、ユーザの識別情報と、当該ユーザが利用することができるVLANのVLAN-IDとが予め紐付けられて、複合機10やサーバ12等に記憶されてもよい。この場合、複合機10Aのプロセッサ24は、ログインユーザに紐付けられているVLAN-IDを有するVLANを、当該ログインユーザによって利用されるVLANであると特定する。
【0046】
更に別の例として、ユーザがグループに属しており、グループにVLANが予め紐付けられており、複合機10Aのプロセッサ24は、ログインユーザが属するグループに紐付けられているVLANを、当該ログインユーザによって利用されるVLANであると特定してもよい。
【0047】
複合機10Aのプロセッサ24は、ユーザが複合機10Aにログインすると、仮想ネットワーク情報をサーバ12に送信する。仮想ネットワーク情報は、ユーザがログインした自装置である複合機10Aの装置識別情報(例えば複合機10AのIPアドレス等)と、ログインユーザが属するグループのグループ識別情報(例えばグループID)と、ログインユーザが利用するVLANのVLAN-IDとを含む。ここでは一例として、ログインユーザはグループAに属しており、ログインユーザが利用するVLANは、グループAに属するVLAN-001であるものとする。
【0048】
仮想ネットワーク情報は、サーバ12に登録される。図3に示すように、複合機10Aの装置識別情報(MFP-A IP-Adr等)と、ログインユーザが属するグループAのグループIDと、ログインユーザが利用するVLANのVLAN-ID(例えばVLAN-001)とが、サーバ12に登録される。
【0049】
ユーザが複合機10Bにログインした場合も、ユーザが複合機10Aにログインしたときと同様に、仮想ネットワーク情報がサーバ12に登録される。ここでは一例として、図3に示すように、複合機10Aの装置識別情報(MFP-B IP-Adr等)と、ログインユーザが属するグループAのグループIDと、ログインユーザが利用するVLANのVLAN-ID(例えばVLAN-001)とが、サーバ12に登録される。
【0050】
複合機10のプロセッサ24は、ユーザが当該複合機10にログインしたときに、サーバ12に登録されている、同じグループIDに紐付けられているVLANを検索する。例えば、複合機10のプロセッサ24は、ユーザが当該複合機10にログインしたときにサーバ12に登録されたVLANと同じグループIDに紐付けられているVLANを検索する。同じグループIDに紐付けられているVLANがサーバ12に登録されている場合、複合機10のプロセッサ24は、同じグループIDに紐付けられている複数のVLANを接続する。より詳しく説明すると、複合機10のプロセッサ24は、同じグループIDに紐付けられて、同じネットワーク識別情報を有する複数のVLANを接続する。プロセッサ24は、VLANの接続の有無をユーザに問い合わせ、ユーザが接続を指示した場合、複数のVLANを接続してもよい。
【0051】
例えば、プロセッサ24は、複数のVLANを同一のネットワーク(例えばレイヤ2のブリッジ接続)に構成してもよいし、VLAN間のIPパケットをルーティングしてもよい。これにより、接続された複数のVLAN間でIP通信が可能となる。例えば、VLANに接続されている機器(例えばPC等)へのアクセスが可能となり、ディスカバリプロトコルやプリントプロトコル等の実行が可能となる。
【0052】
サーバ12は、例えば、ユーザが複合機10にログインしている間、そのログイン時に登録された仮想ネットワーク情報を保持し、ユーザが当該複合機10からログアウトしたときに当該仮想ネットワーク情報を削除してもよい。別の例として、サーバ12は、ユーザが当該複合機10からログアウトした時点から予め定められた時間が経過した後に、当該仮想ネットワーク情報を削除してもよい。例えば、複合機10のプロセッサ24は、ユーザが当該複合機10からログアウトしたことを示す情報をサーバ12に送信し、当該複合機10へのログイン時に登録された仮想ネットワーク情報の削除をサーバ12に指示する。サーバ12は、当該指示に従って仮想ネットワーク情報を削除する。
【0053】
以下、実施例1について具体例を挙げて説明する。
【0054】
例えば、グループAに属するユーザが複合機10Aにログインし、その後、複合機10Bにログインしたものとする。これにより、図3に示されている仮想ネットワーク情報がサーバ12に登録される。
【0055】
図3に示すように、グループAに属するVLAN-001が、複合機10A,10Bによって形成されてサーバ12に登録されている。つまり、同じグループIDに紐付けられた、同じVLAN-IDを有するVLANが、複合機10A,10Bによって形成されてサーバ12に登録されている。この場合、複合機10Bのプロセッサ24は、同じグループAに属する、同じVLAN-IDを有するVLAN-001同士を接続する。つまり、複合機10Bのプロセッサ24は、自装置である複合機10Bによって形成された、グループAに属するVLAN-001と、他の装置である複合機10Aによって形成された、同じグループAに属するVLAN-001とを接続する。ここでは、複合機10Bによって形成されたVLAN-001が第1仮想ネットワークの一例であり、複合機10Aによって形成されたVLAN-001が第2仮想ネットワークの一例である。
【0056】
複合機10Aは、複合機10Bによって形成されたVLAN-001に接続されているPC(E)にアクセスすることが可能となる。複合機10Bは、複合機10Aによって形成されたVLAN-001に接続されているPC(A)、PC(B)及びPC(C)にアクセスすることが可能となる。
【0057】
サーバ12は、ユーザが複合機10Aからログアウトしたとき、又は、そのログアウトの時点から予め定められた時間が経過した後に、複合機10Aにログインした時に登録された仮想ネットワーク情報を削除する。図3に示す例を挙げて説明すると、複合機10Aの装置識別情報を含む仮想ネットワーク情報が削除される。ユーザが複合機10Bからログアウトしたときも同様に、複合機10Bの装置識別情報を含む仮想ネットワーク情報が削除される。
【0058】
(実施例2)
以下、実施例2について説明する。実施例2では、複合機10にて特定の機能が実行される場合に、当該複合機10によって形成された仮想ネットワークと、他の装置によって形成された仮想ネットワークとが接続される。以下、実施例2に係る処理の流れについて詳しく説明する。
【0059】
例えば図3に示すように、複合機10Aによって形成されたVLANの仮想ネットワーク情報と、複合機10Bによって形成されたVLANの仮想ネットワーク情報が、サーバ12に登録されているものとする。例えば実施例1と同様に、ユーザが複合機10にログインしたときに、仮想ネットワーク情報が当該複合機10からサーバ12に送信されてサーバ12に登録される。
【0060】
例えば、ユーザが複合機10Bにログインし、複合機10Bにて特定の機能を利用する場合、複合機10Bのプロセッサ24は、サーバ12に登録されている、同じグループIDに紐付けられているVLANを検索する。
【0061】
同じグループIDに紐付けられているVLANがサーバ12に登録されている場合、複合機10Bのプロセッサ24は、同じグループIDに紐付けられている複数のVLANを接続する。より詳しく説明すると、複合機10Bのプロセッサ24は、同じグループIDに紐付けられて、同じネットワーク識別情報を有する複数のVLANを接続する。プロセッサ24は、VLANの接続の有無をユーザに問い合わせ、ユーザが接続を指示した場合、複数のVLANを接続してもよい。複合機10Bのプロセッサ24は、特定の機能の利用条件が合致する場合、複数のVLANを接続してもよい。また、プロセッサ24は、当該複数のVLAN間では、特定の機能の実行に必要なパケットのみの通信を許可し、特定の機能の実行が完了した後、当該複数のVLANの接続を解除してもよい。
【0062】
特定の機能は、例えば、ある複合機10に記憶されている画像データを、別の複合機10にてプリントするという機能である。この機能を利用することで、例えば、複合機10Aに記憶されている画像データを、複合機10Bにて印刷することが考えられる。以下、この特定の機能が実行される場合について更に詳しく説明する。
【0063】
例えば、グループAに属するユーザが複合機10Aにログインし、プリント対象の画像データを複合機10Aに記憶させたものとする。上述した実施例1と同様に、複合機10Aの装置識別情報(例えばMFP-A IP-Adr)と、グループAのグループIDと、当該ユーザによって利用されるVLANのVLAN-ID(例えばVLAN-001)とを含む仮想ネットワーク情報が、複合機10Aからサーバ12に送信されてサーバ12に登録される。
【0064】
次に、グループAに属するユーザが複合機10Bにログインする。上述した実施例1と同様に、複合機10Bの装置識別情報(例えばMFP-B IP-Adr)と、グループAのグループIDと、当該ユーザによって利用されるVLANのVLAN-ID(例えばVLAN-001)とを含む仮想ネットワーク情報が、複合機10Bからサーバ12に送信されてサーバ12に登録される。
【0065】
次に、複合機10Bにログインしたユーザが、上記の特定の機能の実行を複合機10Bに指示すると、複合機10Bのプロセッサ24は、サーバ12に登録されている、同じグループAに紐付けられているVLANを検索する。
【0066】
図3に示すように、同じグループAに属し、同じVLAN-IDを有するVLAN(例えばVLAN-001)が、複合機10A,10Bによって形成されてサーバ12に登録されている。この場合、複合機10Bのプロセッサ24は、VLAN-001同士を接続する。つまり、複合機10Bのプロセッサ24は、自装置である複合機10Bによって形成された、グループAに属するVLAN-001と、他の装置である複合機10Aによって形成された、同じグループAに属するVLAN-001とを接続する。ここでは、複合機10Bによって形成されたVLAN-001が第1仮想ネットワークの一例であり、複合機10Aによって形成されたVLAN-001が第2仮想ネットワークの一例である。
【0067】
複合機10Bのプロセッサ24は、プリント対象の画像データが複合機10Aに記憶されている場合に、複合機10Bによって形成された、グループAに属するVLAN-001と、複合機10Aによって形成された、同じグループAに属するVLAN-001とを接続してもよい。
【0068】
複合機10Bのプロセッサ24は、VLAN-001を介して、複合機10Aに記憶されているプリント対象の画像データを複合機10Aから取得し、当該画像データをプリントすることができる。実施例2では、VLAN-001間では、当該画像データのプリントに必要なパケットのみの通信が許可されてもよい。例えば、印刷対象の画像データや印刷ジョブの送受信のみが許可されてもよい。
【0069】
複合機10Bのプロセッサ24は、複合機10Bにて当該画像データのプリントが完了した場合、VLAN-001同士の接続を解除してもよい。
【0070】
また、複合機10Bのプロセッサ24は、複合機10Bにて当該画像データのプリントが完了した場合、複合機10Bへのログイン時に登録された仮想ネットワーク情報の削除をサーバ12に指示する。サーバ12は、当該指示に従って仮想ネットワーク情報を削除する。これにより、複合機10Bの装置識別情報(MFP-B IP-Adr)と、グループAのグループIDと、VLAN-001のVLAN-IDとを含む仮想ネットワーク情報が、サーバ12から削除される。
【0071】
別の例として、実施例1と同様に、複合機10Bのプロセッサ24は、ユーザが複合機10Bからログアウトした場合、複合機10Bへのログイン時に登録された仮想ネットワーク情報の削除をサーバ12に指示してもよい。サーバ12は、当該指示に従って仮想ネットワーク情報を削除する。
【0072】
(実施例3)
以下、実施例3について説明する。図4には、実施例3に係る情報処理システムの構成が示されている。実施例3では、サーバ12が用いられず、複数の仮想ネットワークが接続される。
【0073】
実施例3では、ユーザが複合機10にログインすると、仮想ネットワーク情報が当該複合機10のメモリ22に記憶される。例えば、ユーザが複合機10Aにログインすると、複合機10Aのプロセッサ24は、仮想ネットワーク情報を複合機10Aのメモリに記憶させる。仮想ネットワーク情報は、ログインユーザが属するグループのグループ識別情報(例えばグループID)と、複合機10Aが形成しログインユーザが利用するVLANのVLAN-IDとを含む。ユーザが複合機10Bにログインした場合も同様に、そのログインユーザが属するグループのグループ識別情報と、複合機10Bが形成しログインユーザが利用するVLANのVLAN-IDとを含む仮想ネットワーク情報が、複合機10Bのメモリ22に記憶される。
【0074】
また、実施例3では、各複合機10のメモリ22に、仮想ネットワークを構築する相手先となり得る機器のリストが予め記憶されている。図5には、複合機10Aのメモリ22に記憶されている機器リストが示されており、図6には、複合機10Bのメモリ22に記憶されている機器リストが示されている。
【0075】
例えば、複合機10Aのメモリ22に記憶されている機器リストには、複合機10Bの装置識別情報(例えばIPアドレス等)と、複合機10Cの装置識別情報(例えばIPアドレス等)が登録されている。
【0076】
複合機10Bのメモリ22に記憶されている機器リストには、複合機10Aの装置識別情報(例えばIPアドレス等)と、複合機10Cの装置識別情報(例えばIPアドレス等)が登録されている。
【0077】
例えば、グループAに属するユーザが複合機10Aにログインし、その後、複合機10Bにログインしたものとする。これにより、複合機10A,10Bのそれぞれのメモリ22に、仮想ネットワーク情報が記憶される。例えば、複合機10Aのメモリ22に、グループAのグループIDとVLAN-001のVLAN-IDとを含む仮想ネットワーク情報が記憶される。また、複合機10Bのメモリ22に、グループAのグループIDとVLAN-001のVLAN-IDとを含む仮想ネットワーク情報が記憶される。
【0078】
複合機10Bのプロセッサ24は、複合機10Bのメモリ22に記憶されている機器リストに登録されている他の機器に対して、同じグループに属する同じVLAN-IDを有するVLANが他の機器によって形成されているか否かを問い合わせる情報を送信する。図6に示す例では、複合機10Bのプロセッサ24は、複合機10A,10Bに対して問い合わせの情報を送信する。
【0079】
そして、複合機10Bのプロセッサ24は、同じグループに属する同じVLAN-ICを有するVLAN同士を接続する。例えば、複合機10Bによって、グループAに属するVLAN-001が形成されており、複合機10Aによって、グループAに属するVLAN-001が形成されている。この場合、複合機10Bのプロセッサ24は、グループAに属するVLAN-001同士を接続する。ここでは、複合機10Bによって形成されたVLAN-001が第1仮想ネットワークの一例であり、複合機10Aによって形成されたVLAN-001が第2仮想ネットワークの一例である。
【0080】
上記各実施形態において、プロセッサとは広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU: Central Processing Unit、等)や、専用のプロセッサ(例えばGPU: Graphics Processing Unit、ASIC: Application Specific Integrated Circuit、FPGA: Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス、等)を含むものである。また上記各実施形態におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は上記各実施形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【符号の説明】
【0081】
10A,10B 複合機、12 サーバ、22 メモリ、24 プロセッサ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6