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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】排ガス処理装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/78 20060101AFI20241217BHJP
   B01D 53/38 20060101ALI20241217BHJP
   B01D 53/18 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
B01D53/78
B01D53/38 ZAB
B01D53/18 150
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020167333
(22)【出願日】2020-10-01
(65)【公開番号】P2022059518
(43)【公開日】2022-04-13
【審査請求日】2023-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 邦幸
【審査官】山崎 直也
(56)【参考文献】
【文献】特許第6747552(JP,B1)
【文献】特開2017-013005(JP,A)
【文献】特開2014-117685(JP,A)
【文献】国際公開第2017/159102(WO,A1)
【文献】特開2000-210532(JP,A)
【文献】中国実用新案第206198867(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/34-53/73
B01D 53/74-53/85
B01D 53/92,53/96
B01D 53/14-53/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排ガスが導入される排ガス導入口と、前記排ガスが排出される排ガス排出口とを有し、前記排ガスを処理する液体が供給される反応塔を備え、
前記反応塔は、前記液体を前記反応塔の内部に噴出する一または複数の第1噴出部をさらに有し、
前記排ガスは、前記反応塔の内部を予め定められた旋回方向に旋回しながら、前記排ガス導入口から前記排ガス排出口への方向に進行し、
前記第1噴出部により噴出される前記液体は、前記第1噴出部の噴射軸に交差する断面において、長軸および短軸を有する形状に分布し、
前記第1噴出部の噴射軸と前記長軸とを含む噴射面の第1端部であって前記旋回方向における上流側の第1端部は、前記噴射面の第2端部であって前記旋回方向において前記第1端部よりも下流側の第2端部よりも、前記排ガス導入口から前記排ガス排出口への方向における前記排ガス排出口側に配置されている、
排ガス処理装置。
【請求項2】
前記第1噴出部の噴射軸は、前記排ガス導入口から前記排ガス排出口への方向に直交する方向と予め定められた角度をなす、請求項1に記載の排ガス処理装置。
【請求項3】
前記噴射面は、前記旋回方向において、前記第1端部から前記第2端部にわたり、前記排ガス導入口から前記排ガス排出口への方向に対して同じ方向に傾いている、請求項1または2に記載の排ガス処理装置。
【請求項4】
前記反応塔は、前記排ガス導入口から前記排ガス排出口への方向において前記第1噴出部よりも前記排ガス排出口側に設けられた旋回部であって、前記排ガスを旋回させる旋回部をさらに有し、
前記旋回部は、前記排ガスが導入される導入端と、前記排ガスが導出される導出端とを有し、
前記排ガスは、前記旋回部の内部を予め定められた旋回方向に旋回しながら、前記導入端から前記導出端への方向に進行し、
前記旋回部は、羽部を含み、
前記羽部の前記導入端側の面は、前記旋回部における前記導入端から前記導出端への方向と交差し、
前記羽部の前記導入端側の面と、前記旋回部における前記導入端から前記導出端への方向とのなす第1角度が、可変である、
請求項1から3のいずれか一項に記載の排ガス処理装置。
【請求項5】
前記排ガスを排出する動力装置の出力を制御する出力制御部と、
前記出力制御部により制御された前記動力装置の出力に基づいて、前記第1角度を制御する角度制御部と、
をさらに備える、請求項4に記載の排ガス処理装置。
【請求項6】
前記旋回部は、前記導出端から前記導入端への方向に見た場合において、前記反応塔の内部の全体を覆うように設けられている、請求項5に記載の排ガス処理装置。
【請求項7】
前記反応塔は、前記排ガス導入口から前記排ガス排出口への方向において前記第1噴出部よりも前記排ガス導入口側に設けられた液体噴霧部と、前記液体噴霧部において前記液体を前記反応塔の内部に噴出する第2噴出部と、をさらに有し、
前記第2噴出部により噴出される前記液体は、前記第2噴出部の噴射軸に交差する断面において、円状に分布している、
請求項5または6に記載の排ガス処理装置。
【請求項8】
前記第1噴出部により噴出される前記液体の粒径は、前記第2噴出部により噴出される前記液体の粒径以上である、請求項7に記載の排ガス処理装置。
【請求項9】
前記第1噴出部に供給される前記液体の流量である第1液体流量、および、前記第2噴出部に供給される前記液体の流量である第2液体流量の少なくとも一方を制御する流量制御部と、
前記反応塔の内部における前記排ガスの流量を測定する排ガス流量測定部と、
をさらに備え、
前記流量制御部は、前記排ガス流量測定部により測定された、前記排ガスの流量に基づいて、前記第1液体流量および前記第2液体流量の少なくとも一方を制御する、
請求項7または8に記載の排ガス処理装置。
【請求項10】
前記流量制御部は、前記排ガス流量測定部により測定された前記排ガスの流量に基づいて、前記第1噴出部への前記液体の供給を停止する、請求項9に記載の排ガス処理装置。
【請求項11】
前記流量制御部は、前記角度制御部により制御された前記第1角度に基づいて、前記第1液体流量および前記第2液体流量の少なくとも一方を制御する、請求項9または10に記載の排ガス処理装置。
【請求項12】
前記角度制御部は、前記排ガス流量測定部により測定された前記排ガスの流量に基づいて、前記第1角度を制御する、請求項9から11のいずれか一項に記載の排ガス処理装置。
【請求項13】
前記角度制御部は、前記流量制御部により制御された前記第1液体流量および前記第2液体流量の少なくとも一方に基づいて、前記第1角度を制御する、請求項9から12のいずれか一項に記載の排ガス処理装置。
【請求項14】
前記第1噴出部に供給される前記液体の流量である第1液体流量、および、前記第2噴出部に供給される前記液体の流量である第2液体流量の少なくとも一方を制御する流量制御部をさらに備え、
前記流量制御部は、前記出力制御部により制御された前記動力装置の出力に基づいて、前記第1液体流量および前記第2液体流量の少なくとも一方を制御する、
請求項7または8に記載の排ガス処理装置。
【請求項15】
前記排ガスを導出する排ガス導出管と、
前記排ガス導出管における前記液体を検知する液体検知部と、
前記第1噴出部に供給される前記液体の流量である第1液体流量を制御する流量制御部と、
をさらに備え、
前記排ガス導出管は、前記排ガスを旋回させる旋回部を有し、
前記排ガス導出管は、前記反応塔に接続され、且つ、前記反応塔において前記液体により処理された前記排ガスを導出し、
前記排ガス導出管における前記排ガスの進行方向に交差する方向における前記排ガス導出管の幅は、前記反応塔における前記排ガスの進行方向に交差する方向における前記反応塔の幅よりも小さく、
前記液体検知部は、前記排ガス導出管における前記排ガスの進行方向において、前記旋回部よりも下流側の前記液体の有無を検知し、
前記流量制御部は、一の前記第1噴出部に供給される前記第1液体流量と、前記一の前記第1噴出部よりも前記排ガス排出口側に配置される他の前記第1噴出部に供給される前記第1液体流量とを制御し、
前記流量制御部は、前記液体検知部により検知された前記液体の有無に基づいて、前記一の前記第1噴出部に供給される前記第1液体流量、および、前記他の前記第1噴出部に供給される前記第1液体流量の少なくとも一方を制御する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の排ガス処理装置。
【請求項16】
前記反応塔は、前記排ガス導入口から前記排ガス排出口への方向において前記第1噴出部よりも前記排ガス導入口側に設けられた液体噴霧部と、前記液体噴霧部において前記液体を前記反応塔の内部に噴出する第2噴出部と、をさらに有し、
前記第2噴出部により噴出される前記液体は、前記第2噴出部の噴射軸に交差する断面において、円状に分布し、
前記流量制御部は、前記液体検知部により検知された前記液体の有無に基づいて、前記第2噴出部に供給される前記液体の流量である第2液体流量をさらに制御する、
請求項15に記載の排ガス処理装置。
【請求項17】
角度制御部をさらに備え、
前記旋回部は、前記排ガスが導入される導入端と、前記排ガスが導出される導出端とを有し、
前記排ガスは、前記旋回部の内部を予め定められた旋回方向に旋回しながら、前記導入端から前記導出端への方向に進行し、
前記旋回部は、羽部を含み、
前記羽部の前記導入端側の面は、前記旋回部における前記導入端から前記導出端への方向と交差し、
前記羽部の前記導入端側の面と、前記導入端から前記導出端への方向とのなす第1角度が、可変であり、
前記角度制御部は、前記液体検知部により測定された前記液体の有無に基づいて、前記第1角度を制御する、
請求項15または16に記載の排ガス処理装置。
【請求項18】
角度制御部をさらに備え、
前記旋回部は、前記排ガスが導入される導入端と、前記排ガスが導出される導出端とを有し、
前記排ガスは、前記旋回部の内部を予め定められた旋回方向に旋回しながら、前記導入端から前記導出端への方向に進行し、
前記旋回部は、羽部を含み、
前記羽部の前記導入端側の面は、前記旋回部における前記導入端から前記導出端への方向と交差し、
前記羽部の前記導入端側の面と、前記導入端から前記導出端への方向とのなす第1角度が、可変であり、
前記液体検知部は、前記排ガス導出管の第1の位置における前記液体の有無、および、前記排ガス導出管の第2の位置であって、前記排ガス導出管における前記排ガスの進行方向において前記第1の位置よりも下流側の第2の位置における前記液体の有無を検知し、
前記第1の位置において前記液体が検知された場合、前記角度制御部は、前記第1角度を増加させ、
前記第2の位置において前記液体が検知された場合、前記角度制御部は、前記第1角度を最大に制御する、
請求項16に記載の排ガス処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排ガス処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、「スプレーノズル4を上向きに取り付けることによって、スプレーノズル4から噴霧された吸収液滴が従来のように水平方向からやや上方に噴霧される」と記載されている(要約書)。
特許文献2および3には、「吸収塔3の上部内面に、上昇する排ガスに旋回力を与えるためのガイド翼6を配設し」と記載されている(要約書)。
特許文献4には、「複数のノズルが、それらノズルから噴射される捕集剤が内壁面に沿った流れを作るようにして配置される」と記載されている(要約書)。
特許文献5には、「ノズル6の噴射方向を水平より上向きにする」と記載されている(要約書)。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1] 特開2000-210532号公報
[特許文献2] 特開平11-151425号公報
[特許文献3] 特開平11-151426号公報
[特許文献4] 特開2007-289793号公報
[特許文献5] 特開平10-225615号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
排ガス処理装置においては、反応塔において排ガスを処理した液体が、排ガス処理装置の外部に排出されることを抑制することが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の態様においては、排ガス処理装置を提供する。排ガス処理装置は、排ガスが導入される排ガス導入口と、排ガスが排出される排ガス排出口とを有し、排ガスを処理する液体が供給される反応塔を備える。反応塔は、液体を反応塔の内部に噴出する一または複数の第1噴出部をさらに有する。排ガスは、反応塔の内部を予め定められた旋回方向に旋回しながら、排ガス導入口から排ガス排出口への方向に進行する。第1噴出部により噴出される液体は、第1噴出部の噴射軸に交差する断面において、長軸および短軸を有する形状に分布する。第1噴出部の噴射軸と長軸とを含む噴射面の第1端部であって旋回方向における上流側の第1端部は、噴射面の第2端部であって旋回方向において第1端部よりも下流側の第2端部よりも、排ガス導入口から排ガス排出口への方向における排ガス排出口側に配置されている。
排ガス処理装置。
【0005】
第1噴出部の噴射軸は、排ガス導入口から排ガス排出口への方向に直交する方向と予め定められた角度をなしてよい。
【0006】
噴射面は、旋回方向において、第1端部から第2端部にわたり、排ガス導入口から排ガス排出口への方向に対して同じ方向に傾いていてよい。
【0007】
反応塔は、排ガス導入口から排ガス排出口への方向において第1噴出部よりも排ガス排出口側に設けられた旋回部であって、排ガスを旋回させる旋回部をさらに有してよい。旋回部は、排ガスが導入される導入端と、排ガスが導出される導出端とを有してよい。排ガスは、旋回部の内部を予め定められた旋回方向に旋回しながら、導入端から導出端への方向に進行してよい。旋回部は、羽部を含んでよい。羽部の導入端側の面は、旋回部における導入端から導出端への方向と交差してよい。羽部の導入端側の面と、旋回部における導入端から導出端への方向とのなす第1角度は、可変であってよい。
【0008】
排ガス処理装置は、排ガスを排出する動力装置の出力を制御する出力制御部と、出力制御部により制御された動力装置の出力に基づいて、第1角度を制御する角度制御部と、をさらに備えてよい。
【0009】
旋回部は、導出端から導入端への方向に見た場合において、反応塔の内部の全体を覆うように設けられていてよい。
【0010】
反応塔は、排ガス導入口から排ガス排出口への方向において第1噴出部よりも排ガス導入口側に設けられた液体噴霧部と、液体噴霧部において液体を反応塔の内部に噴出する第2噴出部と、をさらに有してよい。第2噴出部により噴出される液体は、第2噴出部の噴射軸に交差する断面において、円状に分布していてよい。
【0011】
第1噴出部により噴出される液体の粒径は、第2噴出部により噴出される液体の粒径以上であってよい。
【0012】
排ガス処理装置は、第1噴出部に供給される液体の流量である第1液体流量、および、第2噴出部に供給される液体の流量である第2液体流量の少なくとも一方を制御する流量制御部と、反応塔の内部における排ガスの流量を測定する排ガス流量測定部と、をさらに備えてよい。流量制御部は、排ガス流量測定部により測定された、排ガスの流量に基づいて、第1液体流量および第2液体流量の少なくとも一方を制御してよい。
【0013】
流量制御部は、排ガス流量測定部により測定された排ガスの流量に基づいて、第1噴出部への液体の供給を停止してよい。
【0014】
流量制御部は、角度制御部により制御された第1角度に基づいて、第1液体流量および第2液体流量の少なくとも一方を制御してよい。
【0015】
角度制御部は、排ガス流量測定部により測定された排ガスの流量に基づいて、第1角度を制御してよい。
【0016】
角度制御部は、流量制御部により制御された第1液体流量および第2液体流量の少なくとも一方に基づいて、第1角度を制御してよい。
【0017】
排ガス処理装置は、第1噴出部に供給される液体の流量である第1液体流量、および、第2噴出部に供給される液体の流量である第2液体流量の少なくとも一方を制御する流量制御部をさらに備えてよい。流量制御部は、出力制御部により制御された動力装置の出力に基づいて、第1液体流量および第2液体流量の少なくとも一方を制御してよい。
【0018】
排ガス処理装置は、排ガスを導出する排ガス導出管と、排ガス導出管における液体を検知する液体検知部と、第1噴出部に供給される液体の流量である第1液体流量を制御する流量制御部と、をさらに備えてよい。排ガス導出管は、排ガスを旋回させる旋回部を有してよい。排ガス導出管は、反応塔に接続され、且つ、反応塔において液体により処理された排ガスを導出してよい。排ガス導出管における排ガスの進行方向に交差する方向における排ガス導出管の幅は、反応塔における排ガスの進行方向に交差する方向における反応塔の幅よりも小さくてよい。液体検知部は、排ガス導出管における排ガスの進行方向において、旋回部よりも下流側の液体の有無を検知してよい。流量制御部は、一の第1噴出部に供給される第1液体流量と、一の第1噴出部よりも排ガス排出口側に配置される他の第1噴出部に供給される第1液体流量とを制御してよい。流量制御部は、液体検知部により検知された液体の有無に基づいて、一の第1噴出部に供給される第1液体流量、および、他の第1噴出部に供給される第1液体流量の少なくとも一方を制御してよい。
【0019】
反応塔は、排ガス導入口から排ガス排出口への方向において第1噴出部よりも排ガス導入口側に設けられた液体噴霧部と、液体噴霧部において液体を反応塔の内部に噴出する第2噴出部と、をさらに有してよい。第2噴出部により噴出される液体は、第2噴出部の噴射軸に交差する断面において、円状に分布してよい。流量制御部は、液体検知部により検知された液体の有無に基づいて、第2噴出部に供給される液体の流量である第2液体流量をさらに制御してよい。
【0020】
排ガス処理装置は、角度制御部をさらに備えてよい。旋回部は、排ガスが導入される導入端と、排ガスが導出される導出端とを有してよい。排ガスは、旋回部の内部を予め定められた旋回方向に旋回しながら、導入端から導出端への方向に進行してよい。旋回部は、羽部を含んでよい。羽部の導入端側の面は、旋回部における導入端から導出端への方向と交差してよい。羽部の導入端側の面と、導入端から導出端への方向とのなす第1角度は、可変であってよい。角度制御部は、液体検知部により測定された液体の有無に基づいて、第1角度を制御してよい。
【0021】
排ガス処理装置は、角度制御部をさらに備えてよい。旋回部は、排ガスが導入される導入端と、排ガスが導出される導出端とを有してよい。排ガスは、旋回部の内部を予め定められた旋回方向に旋回しながら、導入端から導出端への方向に進行してよい。旋回部は、羽部を含んでよい。羽部の導入端側の面は、旋回部における導入端から導出端への方向と交差してよい。羽部の導入端側の面と、導入端から導出端への方向とのなす第1角度は、可変であってよい。液体検知部は、排ガス導出管の第1の位置における液体の有無、および、排ガス導出管の第2の位置であって、排ガス導出管における排ガスの進行方向において第1の位置よりも下流側の第2の位置における液体の有無を検知してよい。第1の位置において液体が検知された場合、角度制御部は、第1角度を増加させてよい。第2の位置において液体が検知された場合、角度制御部は、第1角度を最大に制御してよい。
【0022】
排ガス処理装置は、排ガスを導出する排ガス導出管と、排ガス導出管における液体を検知する液体検知部と、第1噴出部に供給される液体の流量である第1液体流量を制御する流量制御部と、をさらに備えてよい。排ガス導出管は、排ガスを旋回させる旋回部を有してよい。排ガス導出管は、反応塔に接続されてよい。排ガス導出管は、反応塔において液体により処理された排ガスを導出してよい。排ガス導出管における排ガスの進行方向に交差する方向における排ガス導出管の幅は、反応塔における排ガスの進行方向に交差する方向における反応塔の幅よりも小さくてよい。液体検知部は、排ガス導出管における排ガスの進行方向において、旋回部よりも下流側の液体の量を測定してよい。流量制御部は、液体検知部により測定された液体の量に基づいて、第1液体流量を制御してよい。
【0023】
反応塔は、排ガス導入口から排ガス排出口への方向において第1噴出部よりも排ガス導入口側に設けられた液体噴霧部と、液体噴霧部において液体を反応塔の内部に噴出する第2噴出部と、をさらに有してよい。第2噴出部により噴出される液体は、第2噴出部の噴射軸に交差する断面において、円状に分布してよい。流量制御部は、液体検知部により測定された液体の量に基づいて、第2噴出部に供給される液体の流量である第2液体流量をさらに制御してよい。
【0024】
排ガス処理装置は、角度制御部をさらに備えてよい。旋回部は、排ガスが導入される導入端と、排ガスが導出される導出端とを有してよい。排ガスは、旋回部の内部を予め定められた旋回方向に旋回しながら、導入端から導出端への方向に進行してよい。旋回部は、羽部を含んでよい。羽部の導入端側の面は、旋回部における排ガスの進行方向と交差してよい。羽部の導入端側の面と、導入端から導出端への方向とのなす第1角度は、可変であってよい。角度制御部は、液体検知部により測定された液体の量に基づいて、第1角度を制御してよい。
【0025】
排ガス処理装置は、角度制御部をさらに備えてよい。旋回部は、排ガスが導入される導入端と、排ガスが導出される導出端とを有してよい。排ガスは、旋回部の内部を予め定められた旋回方向に旋回しながら、導入端から導出端への方向に進行してよい。旋回部は、羽部を含んでよい。羽部の導入端側の面は、旋回部における導入端から導出端への方向と交差してよい。羽部の導入端側の面と、導入端から導出端への方向とのなす第1角度は、可変であってよい。液体検知部は、排ガス導出管の第1の位置における液体の第1の量、および、排ガス導出管の第2の位置であって、排ガス導出管における排ガスの進行方向において第1の位置よりも下流側の第2の位置における液体の第2の量を測定してよい。液体の第1の量が予め定められた第1閾値量未満である場合、流量制御部は、第1液体流量および第2液体流量の少なくとも一方を増加させてよい。液体の第2の量が予め定められた第2閾値量以上である場合、角度制御部は第1角度を増加させてよい。
【0026】
流量制御部は、排ガス流量測定部により測定された排ガスの流量に基づいて、第1液体流量および第2液体流量の少なくとも一方を減少させてよい。
【0027】
反応塔は、排ガスが排出される排ガス排出口を有してよい。流量制御部は、排ガス排出口から排出される液体の量が予め定められた液量未満になるように、第1液体流量を減少させてよい。
【0028】
流量制御部は、液体検知部により測定された液体の量に基づいて、第1液体流量および第2液体流量の少なくとも一方を減少させてよい。
【0029】
流量制御部は、液体検知部により測定された液体の量に基づいて、第1噴出部および第2噴出部の少なくとも一方への液体の供給を停止させてよい。
【0030】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明の一つの実施形態に係る排ガス処理装置100の一例を示す図である。
図2図1における第1噴出部14および第2噴出部24を含む領域の拡大図である。
図3図1および図2に示される排ガス処理装置100を進行方向E1から見た場合の一例を示す図である。
図4】第1噴出部14が液体40を噴出する領域Wの一例を示す図である。
図5】第1噴出部14の噴射軸の延伸方向から見た場合における第1噴出部14の一例を示す図である。
図6】U軸方向から見た場合における第1噴出部14の一例を示す図である。
図7】T軸方向から見た場合における第1噴出部14の一例を示す図である。
図8A】枝管13に接続された第1噴出部14の一例を示す図である。
図8B図8Aにおける枝管13-7Aおよび第1噴出部14-7Aを、枝管13-7Aの延伸方向に平行、且つ、幹管12から端部ENへの方向に見た場合の一例を示す図である。
図8C図8Aにおける枝管13-7Aおよび第1噴出部14-7Aを、枝管13-7Aの延伸方向に平行、且つ、幹管12から端部ENへの方向に見た場合の他の一例を示す図である。
図9】方向Dから見た場合における第1噴出部14の他の一例を示す図である。
図10】枝管13に接続された第1噴出部14の他の一例を示す図である。
図11】第2噴出部24の噴射軸の延伸方向から見た場合における第2噴出部24の一例を示す図である。
図12】T軸方向から見た場合における第2噴出部24の一例を示す図である。
図13図1における旋回部80の一例を示す斜視図である。
図14図1および図13に示される旋回部80を、進行方向E2から見た場合における一例を示す図である。
図15図14に示されるG1-G2線を、G1からG2への方向に見た側面図の一例である。
図16】本発明の一つの実施形態に係る排ガス処理装置100のブロック図の一例を示す図である。
図17】動力装置50の出力と第1角度η1(図15参照)との関係の一例を示す図である。
図18】動力装置50の出力と第1液体流量FL1との関係の一例を示す図である。
図19】動力装置50の出力と第2液体流量FL2との関係の一例を示す図である。
図20】本発明の一つの実施形態に係る排ガス処理装置100の他の一例を示す図である。
図21図20に示される回収部51の詳細の一例を示す図である。
図22図21に示される回収部51の一部におけるXZ断面の一例を示す図である。
図23図20に示される排ガス処理装置100における、第1噴出部114、第2噴出部124および第1角度η1(図15参照)の制御方法の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0033】
図1は、本発明の一つの実施形態に係る排ガス処理装置100の一例を示す図である。排ガス処理装置100は、反応塔10を備える。排ガス処理装置100は、排ガス導入管32、動力装置50および排水管20を備えてよい。
【0034】
動力装置50は、例えばエンジン、ボイラー等である。動力装置50は、排ガス30を排出する。排ガス導入管32は、動力装置50と反応塔10とを接続する。反応塔10には、排ガス30が導入される。本例において、動力装置50から排出された排ガス30は、排ガス導入管32を通った後、反応塔10に導入される。
【0035】
反応塔10には、排ガス30が導入される。反応塔10には、排ガス30を処理する液体40が供給される。反応塔10に供給された液体40は、反応塔10の内部において排ガス30を処理する。液体40は、例えば海水またはアルカリ性の液体である。排ガス30を処理するとは、排ガス30に含まれる有害物質を除去することを指す。液体40は、排ガス30を処理した後、排液46となる。反応塔10からは、液体40により処理された排ガス30が排出される。反応塔10は、排ガス30が導入される排ガス導入口11と、排ガス30が排出される排ガス排出口17と、を有してよい。
【0036】
本例の反応塔10は、側壁15、底面16、ガス処理部18および液体排出口19を有する。本例の反応塔10は、円柱状である。本例において、排ガス排出口17は、円柱状の反応塔10の中心軸と平行な方向において底面16と対向する位置に配置されている。本例において、側壁15および底面16は、それぞれ円柱状の反応塔10の内側面および底面である。排ガス導入口11は、側壁15に設けられてよい。本例において、排ガス30は排ガス導入管32から排ガス導入口11を通った後、ガス処理部18に導入される。
【0037】
ガス処理部18は、側壁15、底面16および排ガス排出口17に囲まれた空間である。ガス処理部18は、側壁15、底面16および排ガス排出口17に接する。ガス処理部18は、反応塔10の内部において排ガス30を処理する空間である。底面16は、排液46が落下する面である。排液46は、液体排出口19を通った後、排水管20に排出される。
【0038】
側壁15および底面16は、排ガス30、並びに液体40および排液46に対して耐久性を有する材料で形成される。当該材料は、SS400、S-TEN(登録商標)等の鉄材とコーティング剤および塗装剤の少なくとも一方との組合せ、ネバール黄銅等の銅合金、アルミニウムブラス等のアルミニウム合金、キュープロニッケル等のニッケル合金、ハステロイ(登録商標)、SUS316L、SUS329J4LまたはSUS312等のステンレスであってよい。
【0039】
本明細書においては、X軸、Y軸およびZ軸の直交座標軸を用いて技術的事項を説明する場合がある。本明細書においては、反応塔10の底面16と平行な面をXY面とする。本明細書において、底面16と排ガス排出口17とを結ぶ方向(底面16に垂直な方向)をZ軸方向とする。本明細書において、XY面内における所定の方向をX軸方向とし、XY面内においてX軸に直交する方向をY軸方向とする。
【0040】
本明細書において、X軸方向とは、X軸に平行な方向における一方から他方への方向、および、他方から一方への方向を指す。即ち、本明細書において、X軸方向とは、X軸に平行な2つの方向のいずれか一方を指さず、X軸に平行な方向を指す。本明細書において、Y軸方向およびZ軸方向も同様である。
【0041】
本明細書において側面視とは、排ガス処理装置100をZ軸に垂直な方向(XY面内における所定の方向)から見た場合を指す。本明細書において側面図とは、側面視における図を指す。
【0042】
Z軸方向は重力方向に平行であってよい。Z軸方向が重力方向に平行である場合、XY面は水平面であってよい。Z軸方向は水平方向に平行であってもよい。Z軸方向が水平方向に平行である場合、XY面は重力方向に平行であってよい。
【0043】
反応塔10は、第1噴出部14を有する。反応塔10は、複数の第1噴出部14を有してよい。第1噴出部14は、液体40を反応塔10の内部(ガス処理部18)に噴出する。反応塔10は、複数の幹管12および複数の枝管13を有してよい。幹管12および枝管13には、液体40が供給される。本例において、第1噴出部14は枝管13に接続され、枝管13は幹管12に接続されている。
【0044】
反応塔10は、第2噴出部24を有してよい。反応塔10は、複数の第2噴出部24を有してよい。第2噴出部24は、液体40を反応塔10の内部(ガス処理部18)に噴出する。反応塔10は、複数の幹管22および複数の枝管23を有してよい。幹管22および枝管23には、液体40が供給される。本例において、第2噴出部24は枝管23に接続され、枝管23は幹管22に接続されている。
【0045】
第1噴出部14による噴出される液体40は、第1噴出部14の噴射軸に交差する断面において、長軸および短軸を有する形状に分布する。第2噴出部24により噴出される液体40は、第2噴出部24の噴射軸に交差する断面において、円状に分布していてよい。第1噴出部14により噴出される液体40の分布形状、および、第2噴出部24により噴出される液体40の分布形状については、後述する。
【0046】
排ガス処理装置100は、例えば船舶向けサイクロン式スクラバである。サイクロン式スクラバにおいては、反応塔10に導入された排ガス30は、反応塔10の内部を予め定められた旋回方向に旋回しながら、予め定められた進行方向に進行する。本例においては、排ガス30は、反応塔10の内部を旋回方向F1(後述)に旋回しながら、進行方向E1に進行する。本例において、進行方向E1は、排ガス導入口11から排ガス排出口17への方向(Z軸方向)である。本例においては、排ガス30は、排ガス排出口17から底面16への方向に見た場合において、XY面内を旋回する。
【0047】
本明細書において、排ガス30の進行方向E1における排ガス導入口11側を、進行方向E1における上流側と称する。本明細書において、進行方向E1における排ガス排出口17側を、進行方向E1における下流側と称する。
【0048】
反応塔10は、旋回部80を有してよい。旋回部80は、排ガス30を旋回させる。旋回部80は、いわゆるスワラであってよい。本例においては、旋回部80は排ガス30を旋回方向F2(後述)に旋回させる。旋回部80は、排ガス30が導入される導入端102と、排ガス30が導出される導出端104と、を有してよい。
【0049】
排ガス30は、旋回部80の内部を予め定められた旋回方向に旋回しながら、予め定められた進行方向に進行する。本例においては、排ガス30は、旋回部80の内部を旋回方向F2(後述)に旋回しながら、進行方向E2に進行する。本例において、進行方向E2は、導入端102から導出端104への方向(Z軸方向)である。旋回部80は、進行方向E1において第1噴出部14よりも下流側に設けられてよい。
【0050】
導入端102は、進行方向E2において、排ガス30の最も上流側の端部である。導入端102は、旋回部80における排ガス30の入口側の端部である。導入端102は、排ガス30の最も上流側の端部を含む面状の領域であってよい。当該面状の領域は、進行方向E2に交差してよい。排ガス30は、当該面状の領域を通過してよい。
【0051】
導出端104は、進行方向E2において、排ガス30の最も下流側の端部である。導出端104は、旋回部80における排ガス30の出口側の端部である。導出端104は、排ガス30の最も下流側の端部を含む面状の領域であってよい。当該面状の領域は、進行方向E2に交差してよい。排ガス30は、当該面状の領域を通過してよい。
【0052】
反応塔10における排ガス30の進行方向E1と、旋回部80における排ガス30の進行方向E2とは、平行であってよく、平行でなくてもよい。本例においては、進行方向E1と進行方向E2とは、平行である。
【0053】
排ガス処理装置100は、排ガス流量測定部98を備えてよい。排ガス流量測定部98は、反応塔10の内部(ガス処理部18)における排ガス30の流量を測定する。排ガス処理装置100は、ガス処理部18における排ガス30の流量を検知するガス流量センサ99を備えてよい。ガス流量センサ99は、排ガス導入管32に設けられてよい。本例においては、排ガス流量測定部98は、ガス流量センサ99により、反応塔10の内部における排ガス30の流量を測定する。排ガス流量測定部98については、後述する。
【0054】
排ガス処理装置100は、出力制御部54を備えてよい。出力制御部54は、動力装置50の出力を制御する。出力制御部54については、後述する。
【0055】
図2は、図1における第1噴出部14および第2噴出部24を含む領域の拡大図である。反応塔10は、液体噴霧部90を有してよい。液体噴霧部90は、第1噴出部14よりも、排ガス導入口11から排ガス排出口17への方向(進行方向E1)における排ガス導入口11側(上流側)に設けられてよい。第2噴出部24は、液体噴霧部90において液体40を噴出する。
【0056】
本例の反応塔10は、2つの幹管12(幹管12-1および幹管12-2)を有する。本例において、幹管12-1は、進行方向E1において排ガス導入口11側に設けられている幹管12である。幹管12-2は、進行方向E1において排ガス排出口17側に設けられている幹管12である。
【0057】
本例の反応塔10は、枝管13-1~枝管13-8を備える。本例において、枝管13-1および枝管13-8は、進行方向E1において、それぞれ最も排ガス導入口11側および最も排ガス排出口17側に設けられている枝管13である。本例において、枝管13-1、枝管13-3、枝管13-5および枝管13-7はY軸方向に延伸し、枝管13-2、枝管13-4、枝管13-6および枝管13-8はX軸方向に延伸している。
【0058】
本例において、枝管13-1~枝管13-4は幹管12-1に接続され、枝管13-5~枝管13-8は幹管12-2に接続されている。枝管13-1、枝管13-3、枝管13-5および枝管13-7は、Y軸に平行な方向において、幹管12の両側に配置されてよい。枝管13-2、枝管13-4、枝管13-6および枝管13-8は、X軸に平行な方向において、幹管12の両側に配置されてよい。
【0059】
枝管13-1を例に説明すると、枝管13-1Aおよび枝管13-1Bは、Y軸に平行な方向において、それぞれ幹管12-1の一方側および他方側に配置される枝管13-1である。Y軸に平行な方向において、枝管13-1Aおよび枝管13-1Bは、幹管12-1を挟むように設けられてよい。なお、図2において枝管13-1Aおよび枝管13-3Aは、幹管12-1と重なる位置に配置されているので図示されていない。
【0060】
枝管13-2を例に説明すると、枝管13-2Aおよび枝管13-2Bは、X軸に平行な方向において、それぞれ幹管12-1の一方側および他方側に配置される枝管13-2である。X軸に平行な方向において、枝管13-2Aおよび枝管13-2Bは、幹管12-1を挟むように設けられてよい。
【0061】
本例の反応塔10は、第1噴出部14-1~第1噴出部14-8を備える。本例において、第1噴出部14-1および第1噴出部14-8は、進行方向E1において、それぞれ最も排ガス導入口11側および最も排ガス排出口17側に設けられている第1噴出部14である。本例の第1噴出部14-1~第1噴出部14-8は、それぞれ枝管13-1~枝管13-8に接続されている。
【0062】
第1噴出部14-1を例に説明すると、第1噴出部14-1Aおよび第1噴出部14-1Bは、Y軸に平行な方向において、それぞれ幹管12-1の一方側および他方側に配置される第1噴出部14-1である。Y軸に平行な方向において、第1噴出部14-1Aおよび第1噴出部14-1Bは、幹管12-1を挟むように設けられてよい。
【0063】
なお、図2において、第1噴出部14-1Aおよび第1噴出部14-3Aは、幹管12-1と重なる位置に配置されているので図示されていない。図2において、第1噴出部14-5Aおよび第1噴出部14-7Aは、幹管12-1と重なる位置に配置されているので図示されていない。
【0064】
第1噴出部14-2を例に説明すると、第1噴出部14-2Aおよび第1噴出部14-2Bは、X軸に平行な方向において、それぞれ幹管12-1の一方側および他方側に配置される第1噴出部14-2である。X軸に平行な方向において、第1噴出部14-2Aおよび第1噴出部14-2Bは、幹管12-1を挟むように設けられてよい。
【0065】
第1噴出部14は、液体40を噴出する開口面を有する。図2において、当該開口面は「×」印にて示されている。1つの枝管13において、幹管12の一方側および他方側に配置される第1噴出部14のそれぞれの開口面は、枝管13の延伸方向と所定の角度θ(後述)をなす一方の方向および他方の方向を指してよい。当該角度θは、30度以上90度以下であってよい。当該開口面が指す方向とは、第1噴出部14の噴射軸(後述)の方向を指す。
【0066】
本例の反応塔10は、枝管23-1~枝管23-nを備える。ここで、nは2以上の整数である。本例において、枝管23-1および枝管23-nは、進行方向E1において、それぞれ最も排ガス導入口11側および最も排ガス排出口17側に設けられている枝管23である。本例において、枝管23-n(nは奇数)はY軸方向に延伸し、枝管23-n(nは偶数)はX軸方向に延伸している。
【0067】
枝管23-1を例に説明すると、枝管23-1Aおよび枝管23-1Bは、Y軸に平行な方向において、それぞれ幹管22の一方側および他方側に配置される枝管23-1である。Y軸に平行な方向において、枝管23-1Aおよび枝管23-1Bは、幹管22を挟むように設けられてよい。なお、図2において枝管23-1Aおよび枝管23-3Aは、幹管22と重なる位置に配置されているので図示されていない。
【0068】
枝管23-2を例に説明すると、枝管23-2Aおよび枝管23-2Bは、X軸に平行な方向において、それぞれ幹管22の一方側および他方側に配置される枝管23-2である。X軸に平行な方向において、枝管23-2Aおよび枝管23-2Bは、幹管22を挟むように設けられてよい。
【0069】
本例の反応塔10は、第2噴出部24-1~第2噴出部24-nを備える。ここで、nは2以上の整数である。本例において、第2噴出部24-2および第2噴出部24-nは、進行方向E1において、それぞれ最も排ガス導入口11側および最も排ガス排出口17側に設けられている第2噴出部24である。本例の第2噴出部24-1~第2噴出部24-nは、それぞれ枝管23-1~枝管23-nに接続されている。
【0070】
第2噴出部24-1を例に説明すると、第2噴出部24-1Aおよび第2噴出部24-1Bは、Y軸に平行な方向において、それぞれ幹管22の一方側および他方側に配置される第2噴出部24-1である。Y軸に平行な方向において、第2噴出部24-1Aおよび第2噴出部24-1Bは、幹管22を挟むように設けられてよい。なお、図2において、第2噴出部24-1A~第2噴出部24-(n-1)Aは、幹管22と重なる位置に配置されているので図示されていない。
【0071】
第2噴出部24-2を例に説明すると、第2噴出部24-2Aおよび第2噴出部24-2Bは、X軸に平行な方向において、それぞれ幹管22の一方側および他方側に配置される第2噴出部24-2である。X軸に平行な方向において、第2噴出部24-2Aおよび第2噴出部24-2Bは、幹管22を挟むように設けられてよい。
【0072】
第2噴出部24は、液体40を噴出する開口面を有する。図2において、当該開口面は「×」印にて示されている。1つの枝管23において、幹管22の一方側および他方側に配置される第2噴出部24のそれぞれの開口面は、枝管23の延伸方向と所定の角度θ(後述)をなす一方の方向および他方の方向を指してよい。当該角度θは、30°以上70°以下であってよい。当該開口面が指す方向とは、第2噴出部24の噴射軸(後述)の方向を指す。
【0073】
排ガス処理装置100は、ポンプ60および流量制御部70を備えてよい。ポンプ60は、液体40を反応塔10に供給する。流量制御部70は、反応塔10に供給される液体40の流量を制御する。流量制御部70は、バルブ72を有してよい。
【0074】
第1噴出部14に供給される液体40の流量を、第1液体流量FL1とする。第2噴出部24に供給される液体40の流量を、第2液体流量FL2とする。第1液体流量FL1は、単位時間当たりに第1噴出部14に供給される液体40の質量または体積であってよい。第2液体流量FL2は、単位時間当たりに第2噴出部24に供給される液体40の質量または体積であってよい。
【0075】
流量制御部70は、第1液体流量FL1および第2液体流量FL2の少なくとも一方を制御してよい。本例においては、流量制御部70は、バルブ72により、第1液体流量FL1および第2液体流量FL2の少なくとも一方を制御する。本例の流量制御部70は、3つのバルブ72(バルブ72-1、バルブ72-2およびバルブ72-3)を備える。
【0076】
本例の流量制御部70は、バルブ72-2およびバルブ72-3により、それぞれ幹管12-1および幹管12-2に供給される液体40の流量を制御する。幹管12に供給された液体40は、枝管13を通過した後、第1噴出部14から反応塔10の内部(ガス処理部18)に噴出される。本例においては、流量制御部70は、幹管12に供給される液体40の流量を制御することにより、第1液体流量FL1を制御する。
【0077】
本例の流量制御部70は、バルブ72-1により、幹管22に供給される液体40の流量を制御する。幹管22に供給された液体40は、枝管23を通過した後、第2噴出部24から反応塔10の内部(ガス処理部18)に噴出される。本例においては、流量制御部70は、幹管22に供給される液体40の流量を制御することにより、第2液体流量FL2を制御する。
【0078】
上述したとおり、液体40は例えば海水またはアルカリ性の液体である。液体40がアルカリ性の液体である場合、液体40は水酸化ナトリウム(NaOH)および炭酸ナトリウム(NaCO)、炭酸水素ナトリウム(NaHCO)、酸化マグネシウム(MgO)、水酸化マグネシウム(Mg(OH))の少なくとも一つを添加したアルカリ性の液体であってよい。
【0079】
排ガス30には硫黄酸化物(SO)等の有害物質が含まれる。硫黄酸化物(SO)は、例えば亜硫酸ガス(SO)である。液体40が水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液の場合、排ガス30に含まれる亜硫酸ガス(SO)と水酸化ナトリウム(NaOH)との反応は、下記の化学式1で示される。
[化学式1]
SO+Na+OH→Na+HSO
【0080】
化学式1に示されるように、亜硫酸ガス(SO)は化学反応により亜硫酸水素イオン(HSO )となる。液体40は、この化学反応により亜硫酸水素イオン(HSO )を含む排液46となる。排液46は、排水管20から排ガス処理装置100の外部に排出されてよい。
【0081】
流量制御部70は、排ガス流量測定部98により測定された、旋回部80における排ガス30の流量、および、液体噴霧部90における排ガス30の流量の少なくとも一方に基づいて、第1液体流量FL1を制御してよい。排ガス30の流量に基づく第1液体流量FL1の制御については、後述する。
【0082】
図3は、図1および図2に示される排ガス処理装置100を進行方向E1から見た場合の一例を示す図である。図3において、動力装置50、ポンプ60、流量制御部70、旋回部80および排ガス排出口17は省略されている。
【0083】
反応塔10の内部には、幹管12-1、幹管12-2および幹管22が設けられている。幹管12-1、幹管12-2および幹管22は、Z軸に平行な中心軸を有する円柱状であってよい。XY面内において、幹管12-1、幹管12-2および幹管22の中心軸の位置は、反応塔10の中心軸の位置と一致してよい。即ち、幹管12-1、幹管12-2、幹管22および反応塔10は、進行方向E1から見て同心円状に配置されてよい。図3において、反応塔10の中心軸の位置が位置C1で示されている。進行方向E1は、反応塔10の中心軸と平行であってよい。本例において、幹管12-1は幹管12-2の下方に配置され、幹管22は幹管12-1の下方に配置されている。
【0084】
XY面内において、排ガス導入口11側(図1参照)における幹管12の断面積は、排ガス排出口17側(図1参照)における幹管12の断面積よりも大きくてよい。XY面内において、幹管22の断面積は、幹管12の断面積よりも大きくてよい。
【0085】
第1噴出部14および第2噴出部24は、反応塔10の内部に液体40を噴出する。ただし、図3において、第2噴出部24は第1噴出部14と重なる位置に配置されているので、図示されていない。
【0086】
第1噴出部14は、液体40を枝管13の延伸方向と予め定められた角度θをなす方向に噴出してよい。第2噴出部24は、液体40を枝管23の延伸方向と予め定められた角度θをなす方向に噴出してよい。角度θは、第1噴出部14の噴射軸(後述)と枝管13の延伸方向とのなす角度であり、第2噴出部24の噴射軸(後述)と枝管23の延伸方向とのなす角度である。図3において、第1噴出部14-7および第1噴出部14-8からガス処理部18に噴出される液体40の向きが破線矢印にて示されている。
【0087】
本例において、第1噴出部14-7Aから噴出される液体40の向きは、枝管13-17の延伸方向と角度θをなす方向における一方の方向であり、第1噴出部14-7Bから噴出される液体40の向きは、枝管13-7の延伸方向と角度θをなす方向における他方の方向である。第1噴出部14-1A、第1噴出部14-3A、第1噴出部14-5Aおよび第2噴出部24-1A~第2噴出部24-(n-1)Aから噴出される液体40の向きも、当該一方の方向であってよい。第1噴出部14-1B、第1噴出部14-3B、第1噴出部14-5Bおよび第2噴出部24-1B~第2噴出部24-(n-1)Bから噴出される液体40の向きも、当該他方の方向であってよい。
【0088】
本例において、第1噴出部14-8Aから噴出される液体40の向きは、枝管13-8の延伸方向と角度θをなす方向における一方の方向であり、第1噴出部14-8Bから噴出される液体40の向きは、枝管13-8の延伸方向と角度θをなす方向における他方の方向である。第1噴出部14-2A、第1噴出部14-4A、第1噴出部14-6Aおよび第2噴出部24-2A~第2噴出部24-nAから噴出される液体40の向きも、当該一方の方向であってよい。第1噴出部14-2B、第1噴出部14-4B、第1噴出部14-6Bおよび第2噴出部24-2B~第2噴出部24-nBから噴出される液体40の向きも、当該他方の方向であってよい。
【0089】
進行方向E1から見て、排ガス導入管32は、排ガス導入管32の延伸方向における延長線が反応塔10の中心の位置C1と重ならない位置に設けられてよい。排ガス導入管32の延伸方向とは、排ガス導入口11を通る排ガス30の進行方向を指す。排ガス導入管32が上述の位置に設けられることで、排ガス30はガス処理部18を螺旋状(サイクロン状)に旋回しながら、排ガス導入口11から排ガス排出口17に向けて進行する。本例においては、排ガス30は、進行方向E1から見てガス処理部18を時計回りに旋回する。排ガス30の当該旋回の向きを、旋回方向F1とする。
【0090】
図4は、第1噴出部14が液体40を噴出する領域Wの一例を示す図である。図4は、領域Wを進行方向E1から見た場合における図である。図4において、領域Wがハッチングにて示されている。図4において、図3に示される枝管13-8、第1噴出部14-8、幹管12-1および幹管22は省略されている。
【0091】
図4において、第1噴出部14-7Aの噴射面Sf(後述)の第1端部EW1および第2端部EW2が示されている。第1端部EW1は、旋回方向F1(図3参照)における上流側の端部である。第2端部EW2は、旋回方向F1における、第1端部EW1よりも下流側の端部である。図4において、第1端部EW1および第2端部EW2は、領域Wにおける反応塔10の内部の外縁(図4における太い直線部)と、側壁15との交点であってよい。
【0092】
図5は、第1噴出部14の噴射軸の延伸方向から見た場合における第1噴出部14の一例を示す図である。第1噴出部14の噴射軸の延伸方向を、方向Dとする。本例の第1噴出部14は、進行方向E1から見た場合において、方向Dと角度θをなす範囲に液体40を噴出する。
【0093】
本例の第1噴出部14は、噴出面36および溝34を有する。本例において、噴出面36には噴出開口38が設けられている。第1噴出部14は、噴出開口38から液体40を噴出する。噴出開口38の中心軸を、噴射軸aとする。方向Dは、噴射軸aの延伸方向である。
【0094】
本明細書においては、S軸、T軸およびU軸の直交座標軸を用いて技術的事項を説明する場合がある。本明細書において、噴射軸aの延伸方向且つ噴出面36から液体40が噴出される方向をS軸とし、S軸に垂直な面をUT面とする。噴出面36は、UT面に平行である。UT面内において互いに直交する2つの軸を、U軸およびT軸とする。
【0095】
図5において、領域Wの外縁が粗い破線部にて示されている。当該破線部は、噴出面36からS軸方向に予め定められた距離、離間した位置における、領域Wの外縁である。領域Wの形状は、長軸A1および短軸A2を有する。図5の例においては、長軸A1はT軸に平行な方向に延伸し、短軸A2はU軸に平行な方向に延伸している。
第1噴出部14により噴出される液体40は、第1噴出部14の噴射軸に交差する断面において、長軸および短軸を有する形状に分布する。本例においては、当該液体40は、噴射軸aに直交するUT断面において、長軸A1および短軸A2を有する形状に分布する。
【0096】
長軸A1および短軸A2のUT面内における方向は、溝34により可変であってよい。溝34を、噴射軸aを中心軸としてUT面内において予め定められた角度回転させることにより、長軸A1および短軸A2のUT面内における方向は、予め定められた方向に設定されてよい。
【0097】
図5に示される液体40の分布は、第1噴出部14により噴出される液体40の噴霧圧が0.05MPa以上0.5MPa以下の範囲において、測定されてよい。図5に示される液体40の分布は、図4における方向Dにおいて、噴出部14-7Aから側壁15までの距離の中点にて、測定されてよい。噴出部14-7Aから当該中点までの距離は、例えば1.0mである。
【0098】
図6は、U軸方向から見た場合における第1噴出部14の一例を示す図である。図6において、領域Wの範囲が両矢印にて示されている。本例の第1噴出部14は、U軸方向から見た場合において、方向Dと角度θをなす範囲に液体40を噴出する。
【0099】
第1噴出部14は、裏面37を有してよい。裏面37は、噴出面36と平行であってよい。液体40は、裏面37に交差する方向(本例においてはS軸方向)から、第1噴出部14に供給されてよい。
【0100】
図7は、T軸方向から見た場合における第1噴出部14の一例を示す図である。図7において、領域Wの範囲が両矢印にて示されている。本例の第1噴出部14は、T軸方向から見た場合において、方向Dと角度θ'をなす範囲に液体40を噴出する。角度θ'は、角度θよりも小さい。
【0101】
図8Aは、枝管13に接続された第1噴出部14の一例を示す図である。図8Aにおいては、図4における第1噴出部14-7Aおよび枝管13-7Aを例に説明する。図8Aには、S軸方向において図5と同じ側から見た場合の第1噴出部14が示されている。本例においては、第1噴出部14-7Aの裏面37が、枝管13-7Aに接続されている。
【0102】
枝管13-7Aは、XY面内に延伸している。図8Aにおいて、枝管13-7Aの延伸方向が一点鎖線にて示されている。枝管13-7Aの延伸方向における、幹管12とは反対側の端部を、端部ENとする。
【0103】
第1噴出部14の噴射軸aと長軸A1とを含む噴射面を、噴射面Sfとする。本例において、噴射軸aは、排ガス導入口11から排ガス排出口17への方向(本例においてはZ軸方向)に直交する方向(本例においてはXY面内(図1および図2参照)の方向)に延伸している。噴射面Sfは、ST面に平行である。本例において、第1噴出部14-7Aは、枝管13-7Aの延伸方向と予め定められた角度φをなしている。本例の第1噴出部14-7Aは、噴射面Sfと枝管13-7Aの延伸方向とが平行な状態から、噴射軸aを中心に、角度φ回転した状態で、枝管13-7Aに接続されている。角度φは、溝34により設定されてよい。
【0104】
排ガス30の旋回方向F1における、噴射面Sfの上流側の端部を、第1端部EW1とする。旋回方向F1における噴射面Sfの端部であって第1端部EW1よりも下流側の端部を、第2端部EW2とする。第1端部EW1は、第2端部EW2よりも、排ガス導入口11から排ガス排出口17への方向(排ガス30の進行方向E1)における排ガス排出口17側(下流側)に配置されている。このため、第1噴出部14により噴出された液体40は、進行方向E1から見て、排ガス30が幹管12側よりも側壁15側に流れることを促進しやすくなる。なお、反応塔10の中心軸が鉛直方向に平行に配置されている場合、第1端部EW1は第2端部EW2よりも上方に配置される。
【0105】
液体40と排ガス30との接触面積は、液体40の粒径が小さいほど増加しやすい。このため、排ガス30に含まれる硫黄酸化物(SO)等の有害物質を除去するためには、第1噴出部14から噴出される液体40は、霧状(ミスト状)であることが望ましい。液体40が霧状である場合、排ガス30に噴出された液体40は、排ガス30に同伴されることにより、旋回方向F1に旋回しながら進行方向E1に進行しやすくなる。このため、当該液体40は、排ガス排出口17への方向に進行しやすくなる。
【0106】
液体40の一部が排ガス排出口17への方向に進行した場合、当該液体40は、排ガス30に同伴されて排ガス処理装置100の外部に排出される場合がある。当該液体40は、排ガス30との接触により亜硫酸水素イオン(HSO )を含む場合がある。このため、亜硫酸水素イオン(HSO )を含む液体40が排ガス処理装置100の外部に排出された場合、当該液体40は、排ガス処理装置100の外部の鋼材等を腐食させる場合がある。
【0107】
本例の排ガス処理装置100においては、第1噴出部14により噴出された液体40は、進行方向E1から見て、排ガス30が側壁15側に流れることを促進しやすくなる。進行方向E1から見て、側壁15側を流れる霧状の液体40に印加される遠心力は、幹管12側を流れる霧状の液体40に印加される遠心力よりも、大きくなりやすい。このため、排ガス30に同伴された液体40は、進行方向E1における第1噴出部14よりも下流側において、遠心力により、側壁15(図1および図2参照)に集積しやすくなる。このため、当該液体40は、側壁15において液膜化しやすくなる。このため、当該液体40が、排ガス処理装置100の外部に排出されることが抑制されやすくなる。
【0108】
排ガス30に含まれる硫黄酸化物(SO)等の有害物質を除去するためには、第2噴出部24(図1および図2参照)から噴出される液体40も、霧状(ミスト状)であることが望ましい。第1噴出部14により噴出される液体40の粒径を、粒径R1とする。第2噴出部24により噴出される液体40の粒径を、粒径R2とする。粒径R1は、粒径R2以上であってよい。
【0109】
液体40の粒形が大きいほど、液体40が、旋回方向F1に旋回する排ガス30に同伴された場合に、当該液体40に印加される遠心力が大きくなる。このため、液体40の粒形が大きいほど、当該液体40は、排ガス30と共に排ガス処理装置100の外部に排出されにくくなる。第1噴出部14は、第2噴出部24よりも排ガス排出口17に近接しているので、粒径R1が粒径R2以上であることにより、粒径R1が粒径R2未満である場合よりも、排ガス30に同伴された液体40は、排ガス30と共に排ガス処理装置100の外部に排出されにくくなる。
【0110】
粒径R1は、1000μm以上2000μm以下であってよい。粒径R1は、例えば1500μmである。粒径R2は、500μm以上1500μm以下であってよい。粒径R2は、例えば1000μmである。
【0111】
噴射面Sfは、旋回方向F1において、第1端部EW1から第2端部EW2にわたり、進行方向E1に対して同じ方向に傾いていてよい。噴射面Sfの方向を、方向Shとする。噴射面Sfの方向Shとは、噴射面Sfの法線方向を指す。図8Aにおいて、方向Shが太い矢印にて示されている。噴射面Sfが、第1端部EW1から第2端部EW2にわたり、進行方向E1に対して同じ方向に傾いているとは、方向Shが進行方向E1に対して、第1端部EW1から第2端部EW2にわたり、第1端部EW1および第2端部EW2の一方の側に傾いている状態を指す。本例においては、方向Shが進行方向E1に対して、第1端部EW1から第2端部EW2にわたり、第2端部EW2の側に傾いている。噴射面Sfが、旋回方向F1において、第1端部EW1から第2端部EW2にわたり、進行方向E1に対して同じ方向に傾いていることにより、第1噴出部14により噴出された液体40は、第1端部EW1から第2端部EW2の全体にわたり、排ガス30の旋回方向F1への旋回を促進しやすくなる。
【0112】
方向Shと進行方向E1とのなす角度を、角度φ'とする。本例の噴射面Sfは、平面であるので、角度φ'は、第1端部EW1から第2端部EW2にわたり、一定である。なお、本例においては、角度φ'は角度φと等しい。
【0113】
噴射面Sfは、曲面であってもよい。噴射面Sfは、旋回方向F1において、第1端部EW1から第2端部EW2にわたり、進行方向E1に対して同じ方向に傾いている曲面であってもよい。噴射面Sfは、S軸方向から見た場合において、U軸方向に凸形状の曲面であってもよい。
【0114】
図8Bは、図8Aにおける枝管13-7Aおよび第1噴出部14-7Aを、枝管13-7Aの延伸方向に平行、且つ、幹管12から端部ENへの方向に見た場合の一例を示す図である。図8Bにおいて、XY面内(図1および図2参照)の方向が粗い破線にて示されている。本例において、XY面内の方向とS軸方向とは、平行である。本例においては、第1噴出部14-7Aの噴射軸a(図8A参照)は、排ガス導入口11から排ガス排出口17への方向(進行方向E1)に直交する方向(XY面内の方向)に平行である。
【0115】
図8Cは、図8Aにおける枝管13-7Aおよび第1噴出部14-7Aを、枝管13-7Aの延伸方向に平行、且つ、幹管12から端部ENへの方向に見た場合の他の一例を示す図である。図8Cにおいて、XY面内(図1および図2参照)の方向が粗い破線にて示され、方向Dに平行な方向が一点鎖線にて示されている。本例は、図8Bの例を、枝管13-7Aの延伸方向における中心軸を中心に、枝管13-7Aおよび第1噴出部14-7Aを角度α、反時計まわりに回転させた場合の例である。
【0116】
本例においては、第1噴出部14-7Aの噴射軸a(図8A参照)は、排ガス導入口11から排ガス排出口17への方向(進行方向E1)に直交する方向(XY面内の方向)と、予め定められた角度αをなす。噴射軸aは、XY面内の方向から排ガス排出口17側に、角度αをなしてよい。本例においては、方向Dは、排ガス30の進行方向E1に平行な成分を有する。
【0117】
角度αは鋭角であってよい。角度αは、0°より大きく60°より小さくてよい。角度αは、15°以上45°以下であってもよい。角度αは、例えば30°である。
【0118】
本例の第1噴出部14においては、第1端部EW1は、第2端部EW2よりも排ガス導入口11から排ガス排出口17への方向(排ガス30の進行方向E1)における排ガス排出口17側(下流側)に配置され、且つ、方向Dが排ガス30の進行方向E1に平行な成分を有する。このため、第1噴出部14により噴出された液体40は、進行方向E1から見て、排ガス30が幹管12側よりも側壁15側に流れることを促進しつつ、進行方向E1に直交する方向から見て、排ガス30が排ガス導入口11から排ガス排出口17への方向に流れることを促進しやすくなる。
【0119】
図9は、方向Dから見た場合における第1噴出部14の他の一例を示す図である。本例の第1噴出部14においては、噴出開口38の形状が図5に示される例と異なる。本例の噴出開口38は、円状である。
【0120】
本例の第1噴出部14は、上面39および下面31を有する。液体40は、下面31に交差する方向(本例においてはU軸方向)から、第1噴出部14に供給されてよい。
【0121】
本例の第1噴出部14には、噴出開口38-1と噴出開口38-2とが設けられている。図9において、噴出開口38-1がハッチングにて示されている。噴出開口38-1は、塞がれていてよい。噴出面36には、噴出開口38-1の位置に、液体40の噴出を妨げる蓋が設けられていてよい。本例の第1噴出部14においては、液体40は噴出開口38-2から噴出され、噴出開口38-1から噴出されない。
【0122】
噴出面36に平行な方向における、噴出開口38-2の中心角を、角度ψとする。角度ψは、90°以下であってよい。噴出開口38-2は、噴射軸aよりも上面39側に配置されてよい。図9において、領域Wの外縁が粗い破線部にて示されている。一点鎖線により示される領域W'は、第1噴出部14が液体40を噴出しない領域である。
【0123】
図10は、枝管13に接続された第1噴出部14の他の一例を示す図である。図10においても、図8Aと同様に、図4における第1噴出部14-7Aおよび枝管13-7Aを例に説明する。図10には、S軸方向において図9と同じ側から見た場合の第1噴出部14が示されている。本例においては、第1噴出部14-7Aの下面31が、枝管13-7Aに接続されている。
【0124】
第1噴出部14により噴出される液体40は、第1噴出部14の噴射軸aに交差する断面において、中心角が90°以下の扇形に分布する。本例においては、当該液体40は、噴射軸aに直交するUT断面において、中心角が90°の扇形形状に分布する。
【0125】
本例においても、第1端部EW1は、第2端部EW2よりも、排ガス導入口11から排ガス排出口17への方向(排ガス30の進行方向E1)における排ガス排出口17側(下流側)に配置されている。このため、第1噴出部14により噴出された液体40は、進行方向E1から見て、排ガス30が幹管12側よりも側壁15側に流れることを促進しやすくなる。本例においても、噴射面Sfは、旋回方向F1において、第1端部EW1から第2端部EW2にわたり、進行方向E1に対して同じ方向に傾いている。このため、第1噴出部14により噴出された液体40は、第1端部EW1から第2端部EW2の全体にわたり、排ガス30の旋回方向F1への旋回を促進しやすくなる。
【0126】
図11は、第2噴出部24の噴射軸の延伸方向から見た場合における第2噴出部24の一例を示す図である。第2噴出部24の噴射軸の延伸方向を、方向Gとする。本例の第2噴出部24は、進行方向E1から見た場合において、方向Gと角度θをなす範囲に液体40を噴出する。
【0127】
本例の第2噴出部24は、上面139、下面131および噴出面136を有する。液体40は、下面131に交差する方向(本例においてはU軸方向)から、第2噴出部24に供給されてよい。下面131は、枝管13に接続されてよい。
【0128】
本例において、噴出面136には噴出開口138が設けられている。第2噴出部24は、噴出開口138から液体40を噴出する。噴出開口138の中心軸を、噴射軸bとする。方向Gは、噴射軸bの延伸方向である。なお、方向Gと方向Dとは、同じ方向を向いていてよく、異なった方向を向いていてもよい。
【0129】
第2噴出部24が液体40を噴出する領域を、領域Vとする。図11において、領域Vの外縁が粗い破線部にて示されている。当該破線部は、噴出面136からS軸方向に予め定められた距離、離間した位置における、領域Vの外縁である。
【0130】
第2噴出部24により噴出される液体40は、第2噴出部24の噴射軸に交差する断面において、円状に分布してよい。本例においては、当該液体40は、噴射軸bに直交するUT断面において、円状に分布する。
【0131】
図12は、T軸方向から見た場合における第2噴出部24の一例を示す図である。図12において、領域Vの範囲が両矢印にて示されている。本例の第2噴出部24は、T軸方向から見た場合において、方向Gと角度θをなす範囲に液体40を噴出する。なお、U軸方向から見た場合における第2噴出部24の形状は、図6における第1噴出部14の形状と同じであってよい。
【0132】
図13は、図1における旋回部80の一例を示す斜視図である。本例の旋回部80は、反応塔10の内部における排ガス30の進行方向E1において、第1噴出部14(図1参照)よりも下流側に設けられている。本例の旋回部80は、進行方向E1において、第1噴出部14(図1参照)と排ガス排出口17との間に設けられている。
【0133】
旋回部80は、導出端104から導入端102への方向に見た場合(排ガス30の進行方向E2から見た場合)に、排ガス30を予め定められた旋回方向(後述する旋回方向F2)に旋回させる。旋回部80により旋回される排ガス30は、予め定められた中心軸106の周囲を旋回してよい。図13において、この中心軸106が一点鎖線にて示されている。
【0134】
進行方向E2から見た場合において、中心軸106は、円柱状の反応塔10の中心軸と平行であってよく、平行でなくてもよい。本例においては、中心軸106は反応塔10の中心軸と平行である。進行方向E2は、中心軸106と平行であってよい。
【0135】
進行方向E2から見た場合における中心軸106の位置は、進行方向E1(図1参照)から見た場合における反応塔10の中心軸の位置(位置C1)と一致していてよく、一致していなくてもよい。本例においては、進行方向E2から見た場合における中心軸106の位置と、進行方向E1から見た場合における反応塔の中心軸の位置C1とは、一致している。
【0136】
本例の旋回部80は、支柱81および羽部82を含む。支柱81は、進行方向E2から見た場合における中心軸106の位置に配置されてよい。支柱81は、中心軸106と平行な中心軸を有する円柱状であってよい。進行方向E2から見た場合における、円柱状の支柱81の中心軸の位置は、中心軸106の位置と一致していてよい。
【0137】
羽部82は、支柱81に接続されてよい。旋回部80は、複数の羽部82を有してよい。本例の旋回部80は、8つの羽部82(羽部82-1~羽部82-8)を有する。
【0138】
羽部82は、おもて面83および裏面84を有する板状であってよい。本例において、羽部82のおもて面83は、進行方向E1から見た場合において視認可能な面であり、羽部82の裏面84は、進行方向E1とは反対方向から見た場合において視認可能な面である。本例において、おもて面83は羽部82における導出端104側の面であり、裏面84は羽部82における導入端102側の面である。本例の羽部82-1~羽部82-8は、それぞれおもて面83-1~おもて面83-8を有する。本例の羽部82-1~羽部82-8は、それぞれ裏面84-1~裏面84-8を有する。
【0139】
旋回部80に導入された排ガス30は、旋回部80の内部を通過した後、旋回部80から導出される。本例においては、当該排ガス30は一の羽部82の裏面84と、当該一の羽部82に隣り合う他の羽部82のおもて面83との間を通過する。羽部82-3と羽部82-4を例に説明すると、排ガス30は、羽部82-4の裏面84-4と、羽部82-3のおもて面83-3との間を通過する。図13において、この排ガス30の流路が太い矢印で示されている。
【0140】
旋回部80は、旋回部80に導入される排ガス30の速度を増加させてよい。旋回部80に導入される前の排ガス30の速度を、速度V1とする。旋回部80から導出された後の排ガス30の速度を、速度V2とする。速度V2は速度V1よりも大きくてよい。旋回部80は、当該排ガス30の進行方向を制御してよい。旋回部80は、当該速度を増加させ、且つ、当該進行方向を制御してもよい。図13に示される太い矢印は、旋回部80を通過する排ガス30の流路の方向の一例である。
【0141】
本例においては、進行方向E2から見て、排ガス30は支柱81の周囲を旋回しながら、導入端102から導出端104に進行する。排ガス30の速度とは、進行方向E2から見た場合における排ガス30の流れにおいて、XY面内の任意の位置における、排ガス30の流路の接線方向の速度を指す。
【0142】
本例において、反応塔10は、進行方向E1において第1噴出部14よりも下流側に設けられた旋回部80を有する。本例の旋回部80は、第1噴出部14により速度が増加させられた排ガス30の速度を、さらに増加させる。このため、排ガス30に同伴されて排ガス排出口17へ進行する霧状の液体40は、旋回部80よりも排ガス30の下流側において、側壁15に集積しやすくなる。霧状の液体40が側壁15に集積した場合、当該液体40は液膜化しやすくなる。このため、反応塔10が旋回部80を有する場合、反応塔10が旋回部80を有さない場合よりも、排ガス30に同伴された液体40は、排ガス処理装置100の外部に、さらに排出されにくくなる。
【0143】
標準温度0℃且つ標準圧力1気圧の標準状態において、速度V1は5m/s以上25m/s以下であってよく、10m/s以上20m/s以下であってもよい。速度V2は5m/s以上50m/s以下であってよく、35m/s以上45m/s以下であってもよい。
【0144】
旋回部80は、旋回部80から導出される排ガス30の進行方向を、予め定められた方向に誘導してもよい。予め定められた方向とは、例えば、進行方向E2から見て中心軸106から側壁15への方向である。
【0145】
排ガス処理装置100は、角度制御部56を備えてよい。角度制御部56は、羽部82の角度を制御する。角度制御部56については、後述する。
【0146】
図14は、図1および図13に示される旋回部80を、進行方向E2から見た場合における一例を示す図である。本例において、旋回部80は支柱81を有する。本例において、支柱81は中心軸106の位置に設けられている。本例の支柱81は、Z軸に平行な中心軸を有する円柱状である。円柱状の支柱81の中心軸の位置は、中心軸106の位置と一致していてよい。円柱状の支柱81の中心軸の位置は、位置C1(図3参照)であってよい。複数の羽部82は、進行方向E2から見て、支柱81の周囲を囲うように設けられてよい。
【0147】
本例の羽部82は、一端85および他端86を含む。一端85は、進行方向E2から見て中心軸106側に配置される、羽部82の端部である。他端86は、進行方向E2から見て中心軸106側よりも旋回方向F2(後述)における外周側に配置される、羽部82の端部である。進行方向E2から見て、他端86の少なくとも一部は、反応塔10の側壁15に固定されていてよい。
【0148】
旋回部80は、進行方向E2から見て、反応塔10の内部の少なくとも一部を覆うように設けられていてよい。本例においては、旋回部80は、進行方向E2から見て、反応塔10の内部の全体を覆うように設けられている。上述したとおり、本例の旋回部80は羽部82-1~羽部82-8を有する。図14において、羽部82-1、羽部82-3、羽部82-5および羽部82-7の外縁が、太線で示されている。本例においては、進行方向E2から見た場合において、反応塔10の内部の全てが複数の羽部82により覆われている。即ち、本例においては、進行方向E2から見た場合における8つの羽部82の他端86の位置(外縁の位置)は、反応塔10の側壁15の位置と同じである。
【0149】
本例において、排ガス30は、進行方向E2から見て旋回部80を時計回りに旋回する。排ガス30の当該旋回の向きを、旋回方向F2とする。旋回方向F2と、旋回方向F1(図3参照)とは、同じであってよい。
【0150】
複数の羽部82は、旋回部80の内部において、進行方向E2から見て排ガス30が中心軸106の位置を通過しないように配置されてよい。本例においては、旋回部80の内部において排ガス30が中心軸106の位置を通過しないように、中心軸106の位置に支柱81が配置されている。排ガス30が中心軸106の位置を通過しないように複数の羽部82が配置されることにより、排ガス30に同伴される霧状の液体40も、中心軸106の位置を通過しない。
【0151】
側壁15よりも中心軸106側を通過する排ガス30の速度は、中心軸106よりも側壁15側を通過する排ガス30の速度よりも、小さくなりやすい。このため、側壁15よりも中心軸106側を通過する排ガス30に含まれる霧状の液体40に印加される遠心力は、中心軸106よりも側壁15側を通過する排ガス30に含まれる霧状の液体40に印加される遠心力よりも、小さくなりやすい。このため、排ガス30に含まれる霧状の液体40を側壁15に集積するためには、排ガス30は、中心軸106の位置を通過しないことが好ましい。
【0152】
羽部82-1の他端86における一方の端部を端部P1とし、他方の端部を端部P2とする。本例において、他端86は端部P1から端部P2まで円弧状に延伸している。円弧状の他端86において、端部P1と端部P2との間の中点を中点P3とする。中点P3と、支柱81の中心の位置C1とを通る直線を、G1-G2線とする。図14において、G1-G2線が一点鎖線で示されている。
【0153】
図15は、図14に示されるG1-G2線を、G1からG2への方向に見た側面図の一例である。図15において、羽部82-2~羽部82-8は省略されている。図15において、中心軸106(支柱81の中心の位置C1)を通る、進行方向E2に平行な方向が細かい破線で示されている。図15の側面視において、中点P3を通る、XY面に平行な方向が粗い破線で示されている。図15の側面視において、羽部82の一端85は他端86と重なる位置に配置されている。
【0154】
図15の側面視において、進行方向E2における導入端102の位置および導出端104の位置が、一点鎖線にて示されている。本例において、導入端102および導出端104は、XY面に平行である。本例において、進行方向E2における導入端102および導出端104の位置は、羽部82における、排ガス導入口11側の端部位置および排ガス排出口17側の端部位置と、それぞれ一致している。
【0155】
裏面84は、導入端102から導出端104への方向(進行方向E2)と交差してよい。裏面84は、導入端102から導出端104への方向(進行方向E2)と予め定められた第1角度η1をなしてよい。本例においては、羽部82-1は、G1-G2線を中心軸として、進行方向E2と第1角度η1をなす方向に傾いている。裏面84-1およびおもて面83-1は、進行方向E2とそれぞれ角度η1および角度η2をなしていてよい。角度φ1と角度φ2とは、等しくてよく、異なっていてもよい。
【0156】
旋回部80において、導入端102から導出端104へ向かう排ガス30の進行方向は、羽部82の裏面84により変更される。裏面84により進行方向を変更された排ガス30は、導出端104から旋回部80の外部へ進行する。図15において、排ガス30のこの進行方向が、太い矢印にて示されている。
【0157】
第1角度η1は、可変であってよい。角度制御部56は、第1角度η1を制御してよい。羽部82には、中点P3の位置にG1-G2線(図14参照)に平行な回転軸87が設けられていてよい。羽部82は、回転軸87を中心軸として回転してよい。
【0158】
図16は、本発明の一つの実施形態に係る排ガス処理装置100のブロック図の一例を示す図である。図16においては、図2に示される第1噴出部14-1~第1噴出部14-8が、第1噴出部114と示されている。第1噴出部114-1は、第1噴出部14-1~第1噴出部14-4に対応する。第1噴出部114-2は、第1噴出部14-5~第1噴出部14-8に対応する。本例において、第1噴出部114-1は、第1噴出部114-2よりも、排ガス30の進行方向E1において上流側に配置されている。本例において、第1噴出部114-1は、第1噴出部114-2よりも排ガス導入口11(図1参照)側に配置されている。図16においては、図2に示される第2噴出部24-1~第2噴出部24-Nが、第2噴出部124と示されている。
【0159】
反応塔10の内部における排ガス30の流量を、排ガス流量FGとする。排ガス流量測定部98は、排ガス流量FGを測定する。本例においては、排ガス流量測定部98は、ガス流量センサ99により排ガス流量FGを測定する。
【0160】
流量制御部70は、排ガス流量FGに基づいて、第1液体流量FL1および第2液体流量FL2の少なくとも一方を制御してよい。第1液体流量FL1および第2液体流量FL2は、上述したとおり、それぞれ第1噴出部114および第2噴出部124に供給される液体40の流量である。
【0161】
流量制御部70は、排ガス流量FGに基づいて、第1液体流量FL1および第2液体流量FL2の少なくとも一方を減少させてもよい。排ガス流量FGが予め定められた流量FG1であり、且つ、排ガス排出口17から排出される霧状の液体40の量が予め定められた液量Mを超えている場合、流量制御部70は、排ガス排出口17から排出される霧状の液体40の量が液量M未満になるように、第1液体流量FL1および第2液体流量FLの少なくとも一方を減少させてよい。
【0162】
流量制御部70は、排ガス排出口17から排出される霧状の液体40の量が液量M未満になるように、第1液体流量FL1を減少させてよい。第1噴出部114は、第2噴出部124よりも、排ガス排出口17に近接した位置において液体40を噴出する。このため、第2噴出部124により噴出される液体40よりも、第1噴出部114により噴出される液体40の方が、排ガス排出口17から排出されやすい。このため、排ガス排出口17から排出される霧状の液体40の量が、予め定められた液量Mを超えている場合、流量制御部70は、第1液体流量FL1を減少させることが好ましい。
【0163】
流量制御部70は、排ガス流量FGに基づいて、第1噴出部114への液体40の供給を停止させてもよい。排ガス流量FGが予め定められた流量FG1であり、且つ、排ガス排出口17から排出される霧状の液体40の量が予め定められた液量Mを超えている場合、流量制御部70は、第1噴出部114への液体40の供給を停止させることが、さらに好ましい。
【0164】
角度制御部56は、排ガス流量測定部98により測定された排ガス流量FGに基づいて、第1角度η1(図15参照)を制御してよい。排ガス流量FGが、予め定められた流量FG1を超えた場合に、排ガス排出口17から排出される霧状の液体40の量が、予め定められた液量Mを超えるとする。角度制御部56は、排ガス流量FGが流量FG1を超えた場合、第1角度η1を増加させてよい。排ガス流量FGが流量FG1を超えた場合、当該排ガス30に同伴される液体40の量も、排ガス流量FGが流量FG1未満である場合よりも、増加しやすい。角度制御部56が第1角度η1を増加させた場合、旋回部80よりも排ガス排出口17側において側壁15(図1参照)に集積する液体40の量は、角度制御部56が第1角度η1を増加させる前よりも、増加しやすい。このため、排ガス排出口17から排出される霧状の液体40の量が減少しやすくなる。なお、排ガス流量FGに基づいて、人間が第1角度η1を制御してもよい。
【0165】
角度制御部56は、排ガス流量FGが流量FG1以下である場合、第1角度η1を減少させてよい。角度制御部56は、排ガス流量FGが流量FG1以下である場合、排ガス排出口17から排出される霧状の液体40の量が、予め定められた液量Mを超えない範囲で、第1角度η1を減少させてよい。角度制御部56が第1角度η1を減少させることにより、旋回部80における排ガス30の圧力損失は、小さくなりやすい。
【0166】
流量制御部70は、角度制御部56により制御された第1角度η1に基づいて、第1液体流量FL1および第2液体流量FL2の少なくとも一方を制御してよい。流量制御部70は、第1角度η1に基づいて、第1液体流量FL1および第2液体流量FL2の少なくとも一方を減少させてもよい。第1角度η1が予め定められた角度Aであり、且つ、排ガス排出口17から排出される霧状の液体40の量が予め定められた液量Mを超えている場合、流量制御部70は、排ガス排出口17から排出される霧状の液体40の量が液量M未満になるように、第1液体流量FL1および第2液体流量FLの少なくとも一方を減少させてよい。流量制御部70は、第1角度η1に基づいて、第1噴出部114への液体40の供給を停止してもよい。
【0167】
角度制御部56は、流量制御部70により制御された第1液体流量FL1および第2液体流量FL2の少なくとも一方に基づいて、第1角度η1を制御してよい。第1液体流量FL1および第2液体流量FL2の合計が、予め定められた流量Faを超えた場合に、排ガス排出口17から排出される霧状の液体40の量が、予め定められた液量Mを超えるとする。角度制御部56は、液体40の流量が流量Mを超えた場合、第1角度η1を増加させてよい。角度制御部56は、液体40の流量が流量M以下である場合、第1角度η1を減少させてよい。
【0168】
図17は、動力装置50の出力と第1角度η1(図15参照)との関係の一例を示す図である。角度制御部56は、出力制御部54により制御された動力装置50の出力に基づいて、第1角度η1を制御してよい。動力装置50の出力が、予め定められた出力P1を超えた場合に、排ガス排出口17から排出される霧状の液体40の量が、予め定められた液量Mを超えるとする。角度制御部56は、動力装置50の出力が出力P1を超えた場合、第1角度η1を増加させてよい。図17は、動力装置50の出力が出力P1を超えた場合に、角度制御部56が第1角度η1を増加させるように制御する一例である。
【0169】
角度制御部56が第1角度η1を増加させた場合、旋回部80において加速する排ガス30の加速度が大きくなりやすい。このため、排ガス30に同伴された液体40は、旋回部80よりも排ガス排出口17側において、側壁15(図1参照)に集積しやすくなる。このため、排ガス排出口17から排出される霧状の液体40の量が減少しやすくなる。
【0170】
予め定められた出力P1は、動力装置50の最大出力の30%以上70%以下であってよく、40%以上60%以下であってもよい。予め定められた出力P1は、例えば、動力装置50の最大出力の50%である。
【0171】
動力装置50の出力が出力P1未満である場合、角度制御部56は、第1角度η1を予め定められた角度ηaに維持してよい。角度ηaは、5°以上15°以下であってよい。角度ηaは、例えば10°である。
【0172】
角度制御部56は、動力装置50の出力が出力P1以下である場合、第1角度η1を減少させてもよい。第1角度η1を減少させた場合、旋回部80における排ガス30の圧力損失が小さくなりやすい。
【0173】
動力装置50の出力が最大出力(出力100%)である場合、角度制御部は、第1角度η1を予め定められた角度ηbに制御してよい。角度ηbは、55°以上85°以下であってよく、60°以上80°以下であってもよい。角度ηaは、例えば70°である。
【0174】
角度制御部56は、動力装置50の出力が出力P1以上最大出力以下の範囲において、動力装置50の出力の変化に応じて、第1角度η1を変化させてよい。角度制御部56は、動力装置50の出力が出力P1以上最大出力以下の範囲において、動力装置50の出力の変化に比例するように、第1角度η1を変化させてよい。
【0175】
図18は、動力装置50の出力と第1液体流量FL1との関係の一例を示す図である。図19は、動力装置50の出力と第2液体流量FL2との関係の一例を示す図である。動力装置50の予め定められた第1出力、第2出力および第3出力を、それぞれ第1出力P1、第2出力P2および第3出力P3とする。第2出力P2は、第1出力P1よりも大きい。第3出力P3は、第2出力P2よりも大きい。
【0176】
液体40の予め定められた第1液体流量FL1を、流量f1-1および流量f1-2とする。流量f1-2は、流量f1-1よりも大きい。液体40の予め定められた第2液体流量FL2を、流量f2-1および流量f2-2とする。流量f2-2は、流量f2-1よりも大きい。
【0177】
流量制御部70は、出力制御部54により制御された動力装置50の出力に基づいて、第1液体流量FL1および第2液体流量FL2の少なくとも一方を制御してよい。動力装置50の出力が第2出力P2から第3出力P3へ変化する場合、流量制御部70は、第1液体流量FL1を流量f1-1に維持してよい。動力装置50の出力が第2出力P2から第3出力P3になった場合、流量制御部70は、第1液体流量FL1を流量f1-1から流量f1-2に変化させてよい。
【0178】
動力装置50の出力が第3出力P3から第2出力P2へ変化する場合、流量制御部70は、第1液体流量FL1を流量f1-2に維持してよい。動力装置50の出力が第3出力P3から第2出力P2になった場合、流量制御部70は、第1液体流量FL1を流量f1-2から流量f1-1に変化させてよい。
【0179】
流量制御部70は、動力装置50の出力にかかわらず、第2液体流量FL2を流量f2-2に維持してよい。流量制御部70は、動力装置50の出力に基づいて、第2液体流量FL2を変化させてもよい。本例においては、流量制御部70は、動力装置50の出力にかかわらず、第2液体流量FL2を流量f2-2に維持している。
【0180】
図18に示されるように、動力装置50の第2出力P2と第3出力P3との間において、第1液体流量FL1にはヒステリシスが設けられることが好ましい。第1液体流量FL1にヒステリシスが設けられることにより、排ガス30は、第1噴出部14により噴出される液体40により確実に処理されやすくなる。第1噴出部14は、第2噴出部24よりも排ガス排出口17に近接しているので、排ガス30が当該液体40により確実に処理されやすくなることにより、液体40により処理されない排ガス30が排ガス排出口17から排出されることが、抑制されやすくなる。
【0181】
流量f1-1は、第1液体流量FL1の最小値であってよい。当該最小値は、ゼロであってもよい。流量f1-2は、第1液体流量FL1の最大値であってよい。当該最大値は、第1噴出部14が噴出可能な液体40の最大量であってよい。流量制御部70は、第1液体流量FL1を、最小値または最大値のいずれか一方に制御してよい。
【0182】
流量f2-1は、第2液体流量FL2の最小値であってよい。当該最小値は、ゼロであってもよい。流量f2-2は、第2液体流量FL2の最大値であってよい。当該最大値は、第2噴出部24が噴出可能な液体40の最大量であってよい。流量制御部70は、第2液体流量FL2を、最小値または最大値のいずれか一方に制御してよい。
【0183】
図20は、本発明の一つの実施形態に係る排ガス処理装置100の他の一例を示す図である。本例の排ガス処理装置100は、排ガス導出管61および液体検知部77をさらに備える点で、図1に示される排ガス処理装置100と異なる。排ガス導出管61は、排ガス30を導出する。液体検知部77は、排ガス導出管61における液体40の有無を検知する。
【0184】
排ガス導出管61は、反応塔10に接続される。本例においては、排ガス導出管61は、反応塔10の排ガス排出口17に接続されている。上述したとおり、反応塔10においては、液体40により排ガス30が処理される。排ガス導出管61は、当該排ガス30を導出する。
【0185】
排ガス導出管61は、側壁62を有する。側壁62は、排ガス導出管61において排ガス30が通過する空間に接する内側面である。
【0186】
排ガス導出管61における排ガス30の進行方向を、進行方向E1'とする。進行方向E1'は、反応塔10における排ガス30の進行方向E1に平行であってよい。進行方向E1'に交差する方向における排ガス導出管61の幅を、幅Wgとする。幅Wgは、図20の側面視において、一方の側壁62から他方の側壁62までの幅である。幅Wgは、進行方向E1'に交差する方向における排ガス導出管61の幅であってよい。
【0187】
進行方向E1に交差する方向における反応塔10の幅を、幅Wrとする。幅Wrは、図20の側面視において、一方の側壁15から他方の側壁15までの幅である。幅Wrは、進行方向E1に直交する方向における反応塔10の幅であってよい。
【0188】
幅Wgは、幅Wrよりも小さくてよい。幅Wgが幅Wrよりも小さいことにより、排ガス導出管61において旋回方向F1に旋回する排ガス30の旋回速度は、反応塔10において旋回方向F1に旋回する排ガス30の旋回速度よりも、大きくなりやすい。
【0189】
排ガス導出管61は、旋回部80を有してよい。本例においては、旋回部80は、排ガス導出管61に設けられている。旋回部80は、排ガス30を旋回させる。このため、排ガス30に同伴された液体40は、排ガス導出管61における旋回部80より下流側において、側壁62に集積しやすくなる。このため、当該液体40は、側壁62において液膜化しやすくなる。このため、当該液体40が、排ガス処理装置100の外部に排出されることが抑制されやすくなる。
【0190】
液体検知部77は、進行方向1'において、旋回部80よりも下流側の液体40の有無を検知する。排ガス処理装置100は、排ガス導出管61における液体40を検知する液体センサ97を備えてよい。本例においては、液体検知部77は、液体センサ97により、排ガス導出管61の内部における液体40の有無を検知する。液体検知部77は、旋回部80よりも下流側における液体40の量を測定してもよい。
【0191】
排ガス導出管61における液体40の量とは、進行方向E1'に交差する排ガス導出管61の断面を、単位時間当たり通過する液体40の質量または体積であってよい。液体40の当該量とは、排ガス導出管61の側壁62において単位時間当たり液膜化する液体40の質量または体積であってもよい。
【0192】
本例において、一の第1噴出部114を第1噴出部114-1とし、他の第1噴出部114を第1噴出部114-2とする。流量制御部70は、第1噴出部114-1に供給される第1液体流量FL1と、第1噴出部114-2に供給される第1液体流量FL1'とを制御してよい。流量制御部70は、液体検知部77により検知された液体40の有無に基づいて、第1液体流量FL1および第1液体流量FL1'の少なくとも一方を制御してよい。流量制御部70は、液体検知部77により検知された液体40の有無に基づいて、第2液体流量FL2を制御してよい。
【0193】
液体検知部77が液体センサ97-1により液体40を検知した場合、流量制御部70は、第1噴出部114-2への液体40の供給量を減少させてよい。液体40の供給量とは、単位時間当たりの第1噴出部114-2に供給される液体40の質量または体積であってよい。流量制御部70は、液体検知部77が液体センサ97-1により液体40を検知した場合、第1噴出部114-2への液体40の供給を停止させてもよい。
【0194】
角度制御部56は、液体検知部77により検知された液体40の有無に基づいて、第1角度η1(図15参照)を制御してよい。液体検知部77が液体センサ97-1により液体40を検知した場合、角度制御部56は、第1角度η1を増加させてよい。液体検知部77が液体センサ97-2により液体40を検知した場合、角度制御部56は、第1角度η1を最大に制御してよい。
【0195】
流量制御部70は、液体検知部77により測定された液体40の量に基づいて、第1液体流量FL1を制御してもよい。流量制御部70は、液体検知部77により測定された液体40の量に基づいて、第2液体流量FL2を制御してもよい。第1液体流量FL1および第2液体流量FL2は、上述したとおり、それぞれ第1噴出部114および第2噴出部124に供給される液体40の流量である。
【0196】
流量制御部70は、液体検知部77により測定された液体40の量に基づいて、第1液体流量FL1および第2液体流量FL2の少なくとも一方を減少させてもよい。液体検知部77により測定された液体40の量が予め定められた液量M'を超えている場合、流量制御部70は、排ガス導出管61における液体40の量が液量M'未満になるように、第1液体流量FL1および第2液体流量FLの少なくとも一方を減少させてよい。
【0197】
流量制御部70は、液体検知部77により測定された液体40の量に基づいて、第1噴出部114および第2噴出部124の少なくとも一方への液体40の供給を停止させてもよい。排ガス導出管61における液体40の量が予め定められた液量M'を超えている場合、流量制御部70は、第1噴出部114および第2噴出部124への液体40の供給を停止させることが、さらに好ましい。
【0198】
角度制御部56は、液体検知部77により測定された液体40の量に基づいて、第1角度η1(図15参照)を制御してもよい。角度制御部56は、液体検知部77により測定された液体40の量が液量M'を超えている場合、第1角度η1を増加させてよい。角度制御部56が第1角度η1を増加させた場合、進行方向E1'における旋回部80よりも下流側において側壁62に集積する液体40の量は、角度制御部56が第1角度η1を増加させる前よりも、増加しやすい。このため、排ガス処理装置100の外部に排出される液体40の量が減少しやすくなる。
【0199】
角度制御部56は、液体検知部77により測定された液体40の量が液量M'以下である場合、第1角度η1(図15参照)を減少させてよい。角度制御部56は、液体検知部77により測定された液体40の量が液量M'以下である場合、液体40の当該量が液量M'を超えない範囲で、第1角度η1を減少させてよい。角度制御部56が第1角度η1を減少させることにより、旋回部80における排ガス30の圧力損失は、小さくなりやすい。
【0200】
流量制御部70は、角度制御部56により制御された第1角度η1(図15参照)に基づいて、第1液体流量FL1および第2液体流量FL2の少なくとも一方を制御してよい。角度制御部56は、流量制御部70により制御された第1液体流量FL1および第2液体流量FL2の少なくとも一方に基づいて、第1角度η1を制御してよい。
【0201】
進行方向E1'における、排ガス導出管61の第1の位置および第2の位置を、それぞれ第1の位置P1および第2の位置P2とする。液体検知部77は、第1の位置P1における液体40の第1の量、および、第2の位置P2における液体40の第2の量を測定してよい。進行方向E1'において、第2の位置P2は、第1の位置P1と異なる。第2の位置P2は、第1の位置P1よりも進行方向E1'における下流側である。本例においては、第1の位置P1に液体センサ97-1が設けられ、第2の位置P2に液体センサ97-2が設けられている。
【0202】
第1の位置P1における、液体40の予め定められた第1閾値量を、第1閾値量M1とする。第2の位置P2における、液体40の予め定められた第2閾値量を、第2閾値量M2とする。第2閾値量M2は、排ガス導出管61から排出される、亜硫酸水素イオン(HSO )を含む液体40の量が、予め定められた規制値以上になる、液体40の量であってよい。第1閾値量M1は、第2閾値量M2よりも小さくてよい。
【0203】
第1の位置P1における液体40の第1の量が第1閾値量M1未満である場合、流量制御部70は、第1液体流量FL1および第2液体流量FL2の少なくとも一方を増加させてよい。第1の位置P1における液体40の第1の量が第1閾値量M1未満である場合、流量制御部70は、第2の位置P2における液体40の第2の量が第2閾値量M2未満である範囲で、第1液体流量FL1および第2液体流量FL2の少なくとも一方を増加させてよい。
【0204】
第2の位置P2における液体40の第2の量が第2閾値量M2以上である場合、角度制御部56は、第1角度η1(図15参照)を増加させてよい。角度制御部56が第1角度η1を増加させた場合、進行方向E1'における旋回部80よりも下流側において側壁62に集積する液体40の量は、角度制御部56が第1角度η1を増加させる前よりも、増加しやすい。このため、排ガス処理装置100の外部に排出される液体40の量が減少しやすくなる。
【0205】
排ガス導出管61は、回収部51を有してよい。回収部51は、進行方向E1'において、旋回部80よりも下流側に設けられてよい。回収部51は、排ガス導出管61における液体40の少なくとも一部を回収する。
【0206】
図21は、図20に示される回収部51の詳細の一例を示す図である。回収部51は、側壁62の周方向に周回状に設けられてよい。本例において、回収部51は、排ガス30を処理した液体40を回収する回収室55を含む。
【0207】
図22は、図21に示される回収部51の一部におけるXZ断面の一例を示す図である。本例において、回収部51は、導入部59、回収室55および排水部53を有する。導入部59および回収室55は、それぞ排ガス導出管61の内部および外部に設けられてよい。図22において、導入部59および回収室55のXZ断面における範囲が両矢印にて示されている。排水部53は、回収室55の底面57に設けられていてよい。
【0208】
本例において、回収部51には開口52および開口58が設けられている。開口52には、排ガス30を処理した液体40が導入される。本例において、開口52は反応塔10の内部に設けられている。本例において、排ガス導出管61の内部と導入部59とは、開口52により連通している。開口52は、導入部59における、旋回部80側の端部に設けられていてよい。本例において、導入部59と回収室55とは、開口58により連通している。
【0209】
旋回部80により旋回された排ガス30に同伴している液体40を、液滴42とする。液滴42は、側壁62において液膜化しやすい。側壁62において液膜化した当該液滴42を、液膜44とする。
【0210】
本例の排ガス処理装置100は、回収部51をさらに備える。このため、本例の排ガス処理装置100においては、回収部51が液膜44を回収できる。このため、排ガス処理装置100が回収部51を備えない場合と比較して、液体40は、排ガス30に同伴されて排ガス処理装置100の外部に排出されにくくなる。
【0211】
なお、図20に示される、排ガス処理装置100が排ガス導出管61および液体検知部77を備える場合において、反応塔10が旋回部80を有していてもよい。反応塔10が旋回部80を有する場合、回収部51は反応塔10が有していてよく、排ガス導出管61が有していてもよい。旋回部80を通過する排ガス30には、圧力損失が生じ得る。図20の例においては、幅Wrは幅Wgよりも大きいので、反応塔10が旋回部80を有する場合における当該圧力損失は、排ガス導出管61が旋回部80を有する場合における当該圧力損失よりも、小さくなりやすい。
【0212】
図23は、図20に示される排ガス処理装置100における、第1噴出部114、第2噴出部124および第1角度η1(図15参照)の制御方法の一例を示すフローチャートである。ステップS100は、第2噴出部124により液体40を噴出するステップである。ステップ100においては、流量制御部70(図20参照)が、第2噴出部124による液体40の噴出を制御してよい。
【0213】
ステップS102は、第1の位置P1における液体40を検知するステップである。ステップS102においては、液体検知部77(図20参照)が、第1の位置P1における液体40を検知してよい。ステップS102において第1の位置P1における液体40が検知された場合、制御方法はステップS104に進む。
【0214】
ステップS104は、第1噴出部114により液体40を噴出するステップである。ステップ104においては、流量制御部70(図20参照)が、第1噴出部114による液体40の噴出を制御してよい。
【0215】
上述したとおり、第1噴出部114により噴出された液体40は、排ガス30の旋回方向F1(図3参照)への旋回を促進しやすくなる。第1噴出部114により噴出された液体40は、排ガス30の速度を増加させやすくなる。このため、排ガス30に同伴された液体40は、進行方向E1'における第1噴出部14よりも下流側において、遠心力により、側壁15(図1および図2参照)に集積しやすくなる。このため、当該液体40は、側壁15において液膜化しやすくなる。このため、ステップS104における、第1の位置P1における液体40の量は、ステップS102における、第1の位置P1における液体40の量よりも、減少しやすくなる。
【0216】
ステップS106は、第2の位置P2における液体40を検知するステップである。ステップS106においては、液体検知部77(図20参照)が、第2の位置P2における液体40を検知してよい。ステップS106において第2の位置P2における液体40が検知された場合、制御方法はステップS108に進む。
【0217】
ステップS108は、第1角度η1(図15参照)を制御する段階である。ステップS108において、角度制御部56が、第1角度η1を制御してよい。ステップS108において、角度制御部56は、第1角度η1を増加させてよい。
【0218】
角度制御部56が第1角度η1(図15参照)を増加させた場合、進行方向E1'における旋回部80よりも下流側において側壁62に集積する液体40の量は、角度制御部56が第1角度η1を増加させる前よりも、増加しやすい。このため、排ガス処理装置100の外部に排出される液体40の量が減少しやすくなる。
【0219】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0220】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
[項目1]
上記流量制御部は、上記排ガス流量測定部により測定された、上記排ガスの流量に基づいて、上記第1液体流量および上記第2液体流量の少なくとも一方を減少させる、排ガス処理装置。
[項目2]
上記反応塔は、上記排ガスが排出される排ガス排出口を有し、
上記流量制御部は、上記排ガス排出口から排出される上記液体の量が予め定められた液量未満になるように、上記第1液体流量を減少させる、排ガス処理装置。
[項目3]
上記流量制御部は、上記液体検知部により測定された上記液体の量に基づいて、上記第1液体流量および上記第2液体流量の少なくとも一方を減少させる、排ガス処理装置。
[項目4]
上記流量制御部は、上記液体検知部により測定された上記液体の量に基づいて、上記第1噴出部および上記第2噴出部の少なくとも一方への上記液体の供給を停止させる、排ガス処理装置。
[項目5]
上記排ガスを導出する排ガス導出管と、
上記排ガス導出管における上記液体を検知する液体検知部と、
上記第1噴出部に供給される上記液体の流量である第1液体流量を制御する流量制御部と、
をさらに備え、
上記排ガス導出管は、上記排ガスを旋回させる旋回部を有し、
上記排ガス導出管は、上記反応塔に接続され、且つ、上記反応塔において上記液体により処理された上記排ガスを導出し、
上記排ガス導出管における上記排ガスの進行方向に交差する方向における上記排ガス導出管の幅は、上記反応塔における上記排ガスの進行方向に交差する方向における上記反応塔の幅よりも小さく、
上記液体検知部は、上記排ガス導出管における上記排ガスの進行方向において、上記旋回部よりも下流側の上記液体の量を測定し、
上記流量制御部は、上記液体検知部により測定された上記液体の量に基づいて、上記第1液体流量を制御する、
排ガス処理装置。
[項目6]
上記反応塔は、上記排ガス導入口から上記排ガス排出口への方向において上記第1噴出部よりも上記排ガス導入口側に設けられた液体噴霧部と、上記液体噴霧部において上記液体を上記反応塔の内部に噴出する第2噴出部と、をさらに有し、
上記第2噴出部により噴出される上記液体は、上記第2噴出部の噴射軸に交差する断面において、円状に分布し、
上記流量制御部は、上記液体検知部により測定された上記液体の量に基づいて、上記第2噴出部に供給される上記液体の流量である第2液体流量をさらに制御する、
項目5に記載の排ガス処理装置。
[項目7]
角度制御部をさらに備え、
上記旋回部は、上記排ガスが導入される導入端と、上記排ガスが導出される導出端とを有し、
上記排ガスは、上記旋回部の内部を予め定められた旋回方向に旋回しながら、上記導入端から上記導出端への方向に進行し、
上記旋回部は、羽部を含み、
上記羽部の上記導入端側の面は、上記旋回部における上記導入端から上記導出端への方向と交差し、
上記羽部の上記導入端側の面と、上記導入端から上記導出端への方向とのなす第1角度が、可変であり、
上記角度制御部は、上記液体検知部により測定された上記液体の量に基づいて、上記第1角度を制御する、
項目5または6に記載の排ガス処理装置。
[項目8]
角度制御部をさらに備え、
上記旋回部は、上記排ガスが導入される導入端と、上記排ガスが導出される導出端とを有し、
上記排ガスは、上記旋回部の内部を予め定められた旋回方向に旋回しながら、上記導入端から上記導出端への方向に進行し、
上記旋回部は、羽部を含み、
上記羽部の上記導入端側の面は、上記旋回部における上記導入端から上記導出端への方向と交差し、
上記羽部の上記導入端側の面と、上記導入端から上記導出端への方向とのなす第1角度が、可変であり、
上記液体検知部は、上記排ガス導出管の第1の位置における上記液体の第1の量、および、上記排ガス導出管の第2の位置であって、上記排ガス導出管における上記排ガスの進行方向において上記第1の位置よりも下流側の第2の位置における上記液体の第2の量を測定し、
上記液体の第1の量が予め定められた第1閾値量未満である場合、上記流量制御部は、上記第1液体流量および上記第2液体流量の少なくとも一方を増加させ、
上記液体の第2の量が予め定められた第2閾値量以上である場合、上記角度制御部は上記第1角度を増加させる、
項目6に記載の排ガス処理装置。
【符号の説明】
【0221】
10・・・反応塔、11・・・排ガス導入口、12・・・幹管、13・・・枝管、14・・・第1噴出部、15・・・側壁、16・・・底面、17・・・排ガス排出口、18・・・ガス処理部、19・・・液体排出口、20・・・排水管、22・・・幹管、23・・・枝管、24・・・第2噴出部、30・・・排ガス、31・・・下面、32・・・排ガス導入管、34・・・溝、36・・・噴出面、37…裏面、38・・・噴出開口、39・・・上面、40・・・液体、42・・・液滴、44・・・液膜、46・・・排液、50・・・動力装置、51・・・回収部、52・・・開口、53・・・排水部、54・・・出力制御部、55・・・回収室、56・・・角度制御部、57・・・底面、58・・・開口、59・・・導入部、60・・・ポンプ、61・・・排ガス導出管、62・・・側壁、70・・・流量制御部、72・・・バルブ、77・・・液体検知部、80・・・旋回部、81・・・支柱、82・・・羽部、83・・・おもて面、84・・・裏面、85・・・一端、86・・・他端、87・・・回転軸、90・・・液体噴霧部、97・・・液体センサ、98・・・排ガス流量測定部、99・・・ガス流量センサ、100・・・排ガス処理装置、102・・・導入端、104・・・導出端、106・・・中心軸、114・・・第1噴出部、124・・・第2噴出部、131・・・下面、136・・・噴出面、138・・・噴出開口、139・・・上面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図9
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図23