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特許7604844修理支援装置、修理支援方法、及び修理支援プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】修理支援装置、修理支援方法、及び修理支援プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/20 20230101AFI20241217BHJP
【FI】
G06Q10/20
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020183693
(22)【出願日】2020-11-02
(65)【公開番号】P2022073600
(43)【公開日】2022-05-17
【審査請求日】2023-09-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】柄澤 和明
【審査官】加舎 理紅子
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-094576(JP,A)
【文献】特開2005-157580(JP,A)
【文献】特開2003-162665(JP,A)
【文献】特開2005-219717(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に用いられる各種部品を保有する店舗の位置及び営業時間を示す店舗情報を記憶する店舗情報記憶部と、
前記車両の位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記車両において検出された異常フラグを前記車両から取得する異常フラグ取得部と、
前記異常フラグに基づいて、既に発生している故障、及びこれから発生することが予想される故障の両方を含む前記車両の故障内容を推定する故障推定部と、
前記故障推定部で推定された前記故障内容に基づいて、前記故障内容に対応する部品情報を特定する部品特定部と、
前記店舗情報と、前記位置情報と、前記故障内容と、前記部品情報と、に基づいて、前記車両の修理が可能な店舗に関する候補店舗情報を抽出する候補店舗抽出部と、
前記車両に設けられた車載端末及び/又は前記車両の乗員の端末に、前記候補店舗情報を通知する通知部と、を備え、
前記候補店舗抽出部は、前記故障内容の重要度、故障が発生するまでの推定時間、及び故障が発生する可能性に基づいて、前記車両の修理に対する緊急度を算出し、算出した前記緊急度に基づいて前記候補店舗情報を抽出する、
修理支援装置。
【請求項2】
前記車両の修理履歴を記憶する修理履歴記憶部をさらに備え、
前記部品特定部は、複数の前記車両から取得した前記異常フラグ及び前記修理履歴に基づき、修理に必要な前記部品情報を特定する、請求項1に記載の修理支援装置。
【請求項3】
前記車両の修理履歴を記憶する修理履歴記憶部をさらに備え、
前記故障推定部は、故障を検出した前記車両に類似する車両に関する前記修理履歴に基づき、前記故障内容を推定する、請求項1に記載の修理支援装置。
【請求項4】
前記車両の前記位置情報に基づいて前記車両の走行経路を算出する走行経路算出部をさらに備え、
前記候補店舗抽出部は、前記走行経路と、前記店舗情報と、前記位置情報と、前記故障内容と、前記部品情報と、に基づいて、前記候補店舗情報を抽出する請求項1から3のいずれか一項に記載の修理支援装置。
【請求項5】
前記候補店舗抽出部は、前記故障内容に基づき、前記車両の修理に対する緊急性の有無を判断し、緊急性がないと判断した場合には、前記車両に対して利用実績のある店舗を前記候補店舗情報として抽出する、請求項1から4のいずれか一項に記載の修理支援装置。
【請求項6】
前記候補店舗抽出部は、前記異常フラグの取得の際に、前記車両の近くに位置する店舗が修理に必要な部品を保有していない場合、前記車両に対して利用実績のある店舗を前記候補店舗情報として抽出する、請求項1から5のいずれか一項に記載の修理支援装置。
【請求項7】
前記通知部は、前記候補店舗抽出部が、前記車両の修理に対する緊急性がないと判断した場合であって、修理を行う前に前記車両の使用を終了した場合に、次に前記車両を起動するタイミングにおいて前記車両の乗員に前記車両の修理の提案を通知する、請求項1から6のいずれか一項に記載の修理支援装置。
【請求項8】
コンピュータによって実行される修理支援方法であって、
車両の位置情報を取得し、
前記車両において検出された異常フラグを前記車両から取得し、
前記異常フラグに基づいて、既に発生している故障、及びこれから発生することが予想される故障の両方を含む前記車両の故障内容を推定し、
前記故障内容に基づいて、前記故障内容に対応する部品情報を特定し、
前記故障内容の重要度、故障が発生するまでの推定時間、及び故障が発生する可能性に基づいて、前記車両の修理に対する緊急度を算出し、
記憶部に記憶された前記車両に用いられる各種部品を保有する店舗の位置及び営業時間を示す店舗情報と、前記位置情報と、前記故障内容と、前記緊急度と、前記部品情報と、に基づいて、前記車両の修理が可能な店舗に関する候補店舗情報を抽出し、
前記車両に設けられた車載端末及び/又は前記車両の乗員の端末に、前記候補店舗情報を通知する修理支援方法。
【請求項9】
車両の位置情報を取得し、
前記車両において検出された異常フラグを前記車両から取得し、
前記異常フラグに基づいて、既に発生している故障、及びこれから発生することが予想される故障の両方を含む前記車両の故障内容を推定し、
前記故障内容に基づいて、前記故障内容に対応する部品情報を特定し、
前記故障内容の重要度、故障が発生するまでの推定時間、及び故障が発生する可能性に基づいて、前記車両の修理に対する緊急度を算出し、
記憶部に記憶された前記車両に用いられる各種部品を保有する店舗の位置及び営業時間を示す店舗情報と、前記位置情報と、前記故障内容と、前記緊急度と、前記部品情報と、に基づいて、前記車両の修理が可能な店舗に関する候補店舗情報を抽出し、
前記車両に設けられた車載端末及び/又は前記車両の乗員の端末に、前記候補店舗情報を通知する処理を、コンピュータに実行させるための修理支援プログラム。
【請求項10】
請求項9に記載のプログラムを記録した、コンピュータが読み取り可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、修理支援装置、修理支援方法、及び修理支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
サーバが車両の走行情報を収集し、車両の故障を検出すると、ディーラやサービス工場に対して、車両の修理予約を行うと共に、修理に必要な部品の発注を行う技術が提案されている。特許文献1には、車両の補機類及び車両運動系システムに関するデータをサーバで収集し、サーバにおいて、車両の故障診断を行う遠隔故障診断用サーバが開示されている。この遠隔故障診断用サーバは、ユーザが車両に故障があると感じたとき、その車両からの故障診断の要求により、ディーラ及び/又はサービス工場に対して、「修理の予約」等を行い、車両側に「修理の予約」等の完了を通知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-228553号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された遠隔故障診断用サーバにおいては、車両の故障検出後に、サーバが特定するディーラ等に修理の予約を行う。そのため、車両を入庫させたディーラ等に部品の在庫がない場合は、すぐには車両の修理を行うことができない。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みて成されたものであり、その目的は、故障内容に基づいて、車両に対して適切な修理店舗を提案することが可能な修理支援装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係わる修理支援装置は、店舗情報記憶部と、位置情報取得部と、異常フラグ取得部と、故障推定部と、部品特定部と、候補店舗抽出部と、通知部と、を備える。店舗情報記憶部は、車両の各種部品を保有する店舗の店舗情報を記憶する。位置情報取得部は、車両の位置情報を取得する。異常フラグ取得部は、異常フラグを車両から取得する。故障推定部は、異常フラグに基づいて故障内容を推定する。部品特定部は、故障内容に基づいて部品情報を特定する。候補店舗抽出部は、店舗情報と、位置情報と、故障内容と、部品情報と、に基づいて、車両の修理が可能な候補店舗情報を抽出する。通知部は、候補店舗情報を、車両及び/又は乗員の端末に通知する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、故障内容に基づいて、車両に対して適切な修理店舗を提案することが可能な修理支援装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1の実施形態に係る修理支援システム1の概略構成を示す図である。
図2図2は、第1の実施形態に係る電子制御ユニット200の概略構成を示すブロック図である。
図3図3は、第1の実施形態に係る異常フラグのデータの一例を示す図である。
図4図4は、第1の実施形態に係る修理支援装置100の機能を説明するための機能ブロック図である。
図5図5は、故障内容に対する緊急度を説明するための図である。
図6図6は、第1の実施形態に係る、修理のための入庫を提案する場合の通知例を示す図である。
図7図7は、第1の実施形態に係る修理支援装置100の処理を説明するためのフローチャートである。
図8図8は、第1の実施形態に係る店舗抽出の処理を説明するためのフローチャートである。
図9図9は、第2の実施形態に係る修理支援装置100の機能を説明するためのブロック図である。
図10図10は、第3の実施形態に係る学習部150の機能を説明するためのブロック図である。
図11図11は、他の実施形態に係る修理支援システム1の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図面を参照して、実施形態を説明する。図面の記載において同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0010】
(修理支援システム1の概要)
修理支援システム1は、サーバ10が、車両20で検出した異常フラグを車両20から取得し、修理に適切なディーラ又はサービス工場を候補店舗として抽出し、候補店舗に関する情報を車両20及び/又はユーザ端末50に通知するシステムである。以下にサーバ10を用いた修理支援システム1について幾つかの具体的な実施形態を参照して説明する。
【0011】
(第1の実施形態)
(修理支援システム1の構成)
図1を参照して、第1の実施形態に係る修理支援システム1の概略構成を説明する。修理支援システム1は、サーバ10と、車両20と、店舗端末30と、ネットワーク40と、ユーザ端末50とを含んで構成される。
【0012】
サーバ10は、修理支援装置100を備える。修理支援装置100は、図1に示すように、制御部110と、記憶部120と、ネットワークIF140と、を含んで構成される。サーバ10は、ネットワーク40を介して、車両20、店舗端末30及びユーザ端末50との間において相互にデータのやり取りを行う。制御部110、及び記憶部120の詳細については後述する。ネットワークIF140は、ネットワーク40を介して、車両20、店舗端末30及びユーザ端末50との通信を行うためのインタフェースである。なお、図1に示す修理支援装置100の構成例は、あくまでも一例にすぎず、本実施形態はこれに限定されない。例えば、サーバ10は、制御部110において実施される各機能を実施可能とする1台又は複数台のコンピュータに置き換えることもできる。
【0013】
車両20は、電子制御ユニット200を備える。電子制御ユニット200は、車両20の走行を制御するためのコンピュータである。また、電子制御ユニット200は、ネットワーク40を介して、サーバ10と相互に通信可能となるように接続されている。電子制御ユニット200の詳細については、後述する。
【0014】
店舗端末30は、パーソナルコンピュータやタブレットなどのコンピュータで構成され、ディーラ又はサービス工場(以下、店舗とする)に設けられた端末である。店舗は、車両20の修理に必要な各種部品を保有する。なお、図示は省略するが、店舗端末30もサーバ10と同様に、制御部、記憶部、ネットワークIFなどを備える。すなわち、店舗端末30は、ネットワーク40を介して、サーバ10と相互に通信可能である。
【0015】
ネットワーク40は、有線及び/又は無線ネットワークであり、サーバ10と、車両20、店舗端末30、及びユーザ端末50と、が相互に通信可能な通信網である。ネットワーク40は、例えば、インターネット、又は携帯電話網であるキャリア網で構成される。
【0016】
ユーザ端末50は、例えばスマートフォンで構成され、通常、車両20のユーザ(乗員)によって操作される。なお、ユーザ端末50を、タブレットやノートパソコン等のモバイル機器で構成しても良い。なお、図示は省略するが、ユーザ端末50もサーバ10と同様に、制御部、記憶部、ネットワークIFなどを備える。すなわち、ユーザ端末50は、ネットワーク40を介して、サーバ10と相互に通信可能である。
【0017】
(電子制御ユニット200の機能的構成)
図2に電子制御ユニット200のブロック図を示す。電子制御ユニット200は、車両20に設けられ、車両20の走行を制御するコンピュータである。電子制御ユニット200は、制御部210、記憶部220、ネットワークIF240を含んで構成される。また、電子制御ユニット200は、車両20に設けられたセンサー21、スイッチ22、アクチュエータ23、GPS装置24(Global Positioning System)、表示部25と、接続されている。
【0018】
制御部210は、センサー21及び/又はスイッチ22からの信号に基づいて、アクチュエータ23に指示を送り車両を制御する。具体的には、制御部210は、センサー21やスイッチ22の信号が入力され、演算、論理処理等がなされる。さらに制御部210は、演算、論理処理等の結果に基づいた適切な制御信号を、パワーデバイスを介して、モーターやソレノイドなどのアクチュエータ23に送り、アクチュエータ23を制御する。すなわち、車両20の車載システムにおいて、センサー21及びスイッチ22は、アクチュエータ23の動作を行うために車両20の状態等を正しく把握する重要な役割を担うものである。
【0019】
また、制御部210は、記憶部220に格納されたプログラム(図示なし)に基づいて動作し、後述の自己診断機能を実行する。なお、プログラムは、記憶部220に格納される形態に限定されず、例えば、電子制御ユニット200内の、ROM等(図示なし)に記憶された構成としてもよい。また、制御部210は、GPS装置24から車両の位置情報を取得する。さらに、制御部210は、表示部25に各種データを表示させる。
【0020】
また、制御部210は、車両20に異常が発生していないかどうかを自己診断する自己診断機能を有する。自己診断機能は、センサー21、スイッチ22、又はアクチュエータ23で異常が発生したか否かを診断する。センサー21、スイッチ22、又はアクチュエータ23で異常が発生した場合、制御部210は、異常の発生を記憶部220に記憶する。具体的には、制御部210は、発生した以上に対応した異常コードを取得し、記憶部220に記憶する。異常コードは、例えばDTC(Diagnostic Trouble Code)であり、異常内容にコードを割り当てたものである。図3に異常コードの一例を示す。図3に示す例では、DTCがP0131であるO2センサーの電圧低下の場合の例を示している。以下、異常コードをDTCとして説明する。
【0021】
制御部210は、異常を検出した際、DTCを記憶部220に記憶するのに合わせて、異常が発生したタイミングでの車両20の状態を取得し、DTCと合わせて記憶部220に記憶する。ここで取得する車両20の状態は、例えば、フリーズフレームデータ(以下、FFDとする)であり、DTCを記憶部220に記憶した際の、エンジン回転数、エンジン冷却温度などが含まれる。本実施形態においては、図3に示すDTC及びFFDの値を異常データとする。なお、異常データは、DTC及びFFDの両方を含む形態に限定されず、DTCのみで構成される形態であってもよい。さらに、異常データは、DTC及びFFDに加え、DTC及びFFD以外の車両20に関するセンサー情報や制御情報を含むものであってもよい。さらに、異常データは、図3に示すように、車両20を識別するための番号である車両識別番号を含んでもよい。制御部210は、記憶部220に記憶された異常データを異常フラグとして、ネットワークIF240を介して、サーバ10に送る。
【0022】
センサー21は、上述の通り、車両20の状態を測定するセンサーである。例えば、センサー21には、燃料の燃焼状態を把握するO2センサーや、吸入量を把握するためのエアフロセンサ、変速機の油圧を把握する圧力センサー、温度センサーなどが含まれる。また、スイッチ22は、例えば、スタータースイッチ、アイドルスイッチ、ヒートアップスイッチなどが含まれる。アクチュエータ23は、モーター、ソレノイド、圧電素子などが含まれる。なお、上述のセンサー21、スイッチ22及びアクチュエータ23に関する内容は、本実施形態を限定するものではく、上述の内容以外のものを含んでもよい。
【0023】
GPS装置24は、車両20の位置情報を検知し、検知した位置情報を制御部210へ送る。GPS装置24は、複数のGPS衛星からの電波をGPSアンテナ(図示なし)で受信し、所定の計算処理を行って受信信号から車両20の現在位置を表す緯度、経度の情報を取得し、車両20の位置情報として記憶部220に記憶する。また、制御部210は、記憶部220に記憶された車両20の位置情報を、所定のタイミングで、ネットワークIF240を介して、サーバ10に送る。
【0024】
表示部25は、例えば、車両20に設けられたナビゲーション装置であり、各種情報を表示させる。また、本実施形態において、表示部25はナビゲーション装置のみの構成に限定されず、例えば、表示部25は、インストルメントパネルとして車両20の走行状態(速度、ガソリン残量)、異常状態の表示する装置を含んでもよい。なお、表示部25は、車載端末に相当する。
【0025】
(修理支援装置100の機能的構成)
図4は、修理支援装置100の機能を説明するための機能ブロック図である。図4に示す機能ブロック図を用いて、修理支援装置100の機能について説明する。
【0026】
図4に示すように、制御部110は、店舗情報取得部111と、位置情報取得部112と、走行経路算出部113と、異常フラグ取得部114と、故障推定部115と、部品特定部116と、候補店舗抽出部117と、通知部118とを機能として備える。また、記憶部120は、店舗情報DB121と、位置情報DB122と、異常フラグDB123と、故障内容DB124と、候補店舗DB125とをデータベースとして備える。
【0027】
制御部110は、例えば、オペレーションシステムを動作させて、サーバ10全体を制御する。さらに制御部110は、記憶部120に格納されたプログラム(図示なし)に基づいて動作し、上述の各機能を実行する。なお、プログラムは、記憶部120に格納される形態に限定されず、例えば、修理支援装置100内の、ROM等(図示なし)に記憶された構成としてもよい。
【0028】
店舗情報取得部111は、店舗端末30から、店舗に関する情報を取得して、店舗情報DB121に格納する。具体的には、店舗情報は、店舗の位置情報、店舗の営業時間、及び店舗が備える車両20の修理に必要な部品の在庫に関する情報を含む。また、店舗情報DB121には、少なくとも一つの店舗に関する店舗情報が格納されている。店舗情報DB121は、店舗情報記憶部に相当する。
【0029】
位置情報取得部112は、車両20の電子制御ユニット200から送られてくる車両20の位置情報を取得し、位置情報DB122に格納する。車両20の位置情報は、上述の通り、車両20に備えられたGPS装置24によって取得された位置情報であり、車両20の現在位置を表す緯度、経度の情報である。
【0030】
走行経路算出部113は、位置情報取得部112で取得した位置情報に基づいて、車両20の走行経路を算出する。具体的には、あるタイミングから一定の時間が経過したタイミングにおける車両20の位置情報の差を算出し、車両20がどの方向に向かっているのかを示す大まかな走行経路や進行方向を算出する。
【0031】
異常フラグ取得部114は、車両20から送られてきた異常フラグを取得する。具体的には、車両20の電子制御ユニット200で取得した、DTC及びFFDが異常フラグとして車両20から送られ、異常フラグ取得部114は、この異常フラグを取得し、異常フラグDB123に格納する。
【0032】
故障推定部115は、異常フラグ取得部114で取得し、異常フラグDB123に格納された異常フラグに基づいて、車両20の故障内容を推定し、推定した故障内容を故障内容DB124に格納する。なお、故障内容は、既に発生している故障、及びこれから発生することが予想される故障の両方を含むものとする。第1の実施形態において、故障推定部115は、あらかじめ定められた異常フラグと故障内容との対応関係に基づいて、故障内容を推定する。この対応関係は、DTCに対して1対1で対応する故障内容でもよい。あるいは、DTC及びFFD等の車両20の状態を示す情報に対応する故障内容であってもよい。また、この異常フラグと故障内容との対応関係は、DTCを規定する際に定まる故障内容であってもよい。あるいは、異常フラグと故障内容との対応関係は、異常フラグに対する過去の検査履歴又は修理履歴に基づいて定めたものであってもよい。また、故障内容は、故障内容の重要度、発生までの推定時間、及び発生する可能性等の故障に関する情報を含んでもよい。
【0033】
部品特定部116は、故障推定部115で推定された車両20の故障内容に基づいて、故障内容に対応する部品情報を特定する。部品情報は、車両20に関する情報と、故障内容と、に対応したものであって、車両20の修理に必要となる部品である。
【0034】
候補店舗抽出部117は、部品特定部116で特定された部品が、店舗に存在するか否かを判定し、車両20を修理のために入庫させる店舗を抽出する。具体的には、候補店舗抽出部117は、故障内容DB124に格納された故障内容に応じて、車両20の修理に対する緊急の度合いを示す緊急度(緊急性の有無)を算出する。緊急度は、図5に示すように、故障内容の重要度、故障が発生するまでの推定時間、及び故障が発生する可能性に基づいて算出される。
【0035】
例えば、緊急度が5になる故障内容は、重要度が高く、早急に車両20の修理が必要と推定される故障である。また、緊急度が4及び3の故障内容は、重要度は緊急度が5の場合に比べて低いが、故障が発生するまでの推定時間が短い、あるいは既に故障が発生しているものである。すなわち、緊急度が4及び3の故障内容は、故障が発生するまでの推定時間が短い、あるいは既に故障が発生しているため、なるべく早く店舗に入庫することが好ましいとされる故障である。なお、本実施形態においては、緊急度が4及び3となる故障は、故障が発生する可能性が高い、あるいは既に故障が発生している故障内容の緊急度を4とし、一方で、故障が発生する可能性が低い故障内容の緊急度を3としている。
【0036】
また、緊急度が2及び1の故障内容は、重要度が緊急度5の場合に比べて低く、さらに故障が発生するまでの時間が長いと推定される故障内容である。この場合、故障が発生するまでの推定時間が長いため、ユーザは、自分の都合に合わせて車両20を店舗に入庫させ、故障内容に対する車両20の検査や修理を行うことができる。なお、本実施形態においては、緊急度が2及び1となる故障は、故障が発生する可能性が高い故障内容の緊急度を2とし、一方で、故障が発生する可能性が低い故障内容の緊急度を1としている。
【0037】
さらに、緊急度が0の故障内容は、そもそも故障が発生する可能性がないと推定されるものである。この場合、ユーザは、とくに車両20を店舗に入庫させる必要はないものとする。この緊急度が0の故障内容の場合には、車両20に対して定期的に行われる車両検査において、車両20に記憶されたDTC情報に基づいて検査等が実施される。
【0038】
さらに候補店舗抽出部117は、上述の緊急度、店舗情報、車両20の位置情報、に基づいて、入庫の候補となる店舗に関する候補店舗情報を抽出する。候補店舗が複数存在する場合は、複数の候補店舗を抽出する。候補店舗抽出部117は、抽出した候補店舗情報を候補店舗DB125に格納する。また、候補店舗抽出部117は、走行経路算出部113で算出された車両20の走行経路を用いて候補店舗を抽出してもよい。これにより、候補店舗抽出部117は、車両20の進行方向を認識することが可能となり、より適切な入庫の候補店舗を抽出することが可能となる。
【0039】
通知部118は、候補店舗抽出部117で抽出し、候補店舗DB125に格納された候補店舗に関する情報を、車両20及び/又はユーザ端末50に通知する。図6は、ユーザ端末50に通知された候補店舗に関する情報を故障の状況と合わせて表示させた一例を示す。すなわち、ユーザは、ユーザ端末50に表示された通知を確認し、運転状況に応じて検査可能な店舗Aに車両20を入庫させることになる。
【0040】
なお、候補店舗抽出部117は、候補店舗に関する情報に加え、緊急度を示す情報を対応づけて候補店舗DB125に格納してもよい。例えば、通知部118は、候補店舗に関する情報が、緊急性がない場合には、次に車両20を起動するタイミングにおいて、車両20に通知することで、車両20の乗員に車両の修理を提案する構成としてもよい。例えば、ユーザが修理を行う前に車両20の使用を終了した場合に、次に車両20を起動するタイミングで候補店舗に関する情報を通知することで、ユーザの入庫の認識漏れを防ぐことが可能となる。
【0041】
また、通知部118は、例えば位置情報取得部112で取得した車両20の走行状況に応じて、車両20又はユーザ端末50のどちらか一方に候補店舗の通知を行う構成としてもよい。例えば、車両20が走行していない場合には、ユーザ端末50に通知することで、ユーザは候補店舗の通知を認識することができる。一方で、車両20の走行中は、例えば、ユーザ端末50の所有者が車両20を運転している状況においては、ユーザ端末50への通知は好ましくない場合がある。このような状況においては、車両20に対してのみ通知することで、ユーザは、表示部25(車載端末)を通じて迅速に通知内容を認識することができる。
【0042】
(修理支援装置100の処理フローの概略)
次に、修理支援装置100における修理支援に係る処理(修理支援方法)について、図7のフローチャートに基づいて説明する。なお、図7に示すフローチャートは、電源オフや処理終了の割り込みによっても処理は終了する。また、以下のフローチャートの説明において、上述の修理支援装置100の説明で記載した内容と同じ内容については、省略又は簡略化して説明する。
【0043】
ステップS701において、位置情報取得部112は、車両20から送られてきた位置情報を取得し、位置情報DB122に格納する。
【0044】
ステップS702において、異常フラグ取得部114は、車両20から異常フラグが送られてきたか否かを判定する。ステップS702において、異常フラグ取得部114は、車両20から異常フラグが送られてきたと判定した場合(ステップS702:YES)には、ステップS703に進む。一方で、ステップS702において、異常フラグ取得部114は、車両20から異常フラグが送られてきていないと判定した場合(ステップS702:NO)には、ステップS701に戻り、位置情報取得部112での位置情報取得の処理が行われる。すなわち、本実施形態においては、車両20から異常フラグが送られてくるまでは、位置情報取得部112における位置情報の取得が繰り返し実施される。
【0045】
ステップS703において、異常フラグ取得部114は、車両20から異常フラグが送られてきたと判定した場合、車両20から送られてきた異常フラグを取得し、異常フラグDB123に格納する。その後、ステップS704に進む。
【0046】
ステップS704において、故障推定部115は、異常フラグDB123に格納された異常フラグに基づいて、故障を推定する。
【0047】
ステップS705において、部品特定部116は、ステップS704で推定された故障の内容に基づいて、修理に必要な部品を特定する。
【0048】
ステップS706において、候補店舗抽出部117は、店舗情報、車両20の位置情報、故障内容、及び部品情報に基づいて、修理の候補となる店舗を抽出する。ステップS706に示す「店舗抽出」の具体的な処理については、図8に示す「店舗抽出」に関するサブルーチンのフローチャートに従って説明する。
【0049】
図8に示すステップS801において、候補店舗抽出部117は、故障内容に応じて緊急度を算出する。具体的には、候補店舗抽出部117は、図5に示す故障内容の重要度、発生までの推定時間、及び発生する可能性に応じて緊急度を算出する。
【0050】
ステップS802において、候補店舗抽出部117は、ステップS801で算出した緊急度が5であるか否かを判定する。候補店舗抽出部117は、故障内容の緊急度が5であると判定した場合(ステップS802:YES)、ステップS803に進む。一方で、候補店舗抽出部117は、故障内容の緊急度が5でないと判定した場合(ステップS802:NO)、ステップS809に進む。
【0051】
ステップS803において、候補店舗抽出部117は、入庫の候補となる店舗(候補店舗)を抽出する。ステップS803においては、緊急度が5の故障内容に対するものであるため、車両20に対しては、早急に店舗に入庫させ、検査及び修理を行う必要であると想定される状況である。したがって、ステップS803における店舗抽出においては、候補店舗抽出部117は、車両20の位置情報で得られる位置から近い店舗を抽出する。また、候補店舗が複数存在する場合には、車両20の位置から近い順に候補店舗が抽出されるものとする。
【0052】
ステップS804において、候補店舗抽出部117は、ステップS803で抽出した候補店舗について対象となる候補店舗があるか否かの判定を行う。ステップS804において、候補店舗抽出部117は、候補店舗があると判定した場合(ステップS804:YES)には、ステップS806に進む。一方で、ステップS804において、候補店舗抽出部117は、候補店舗がないと判定した場合(ステップS804:NO)には、ステップS805に進む。
【0053】
ステップS805において、候補店舗抽出部117は、店舗抽出の結果として、候補店舗がない旨の結果を生成する。ただし、ステップS805においては、緊急度が5の状態であるため、早急に検査及び/又は修理が必要な状態である。したがって、ステップS805においては、候補店舗がないが、緊急状態である旨の結果を生成し、候補店舗DB125に格納する。その後、後述のステップS707において、候補店舗は示されていないが、車両20の故障内容が緊急状態である旨を示す表示内容が通知される。
【0054】
ステップS806において、候補店舗抽出部117は、抽出された候補店舗について、故障内容に対応した修理に必要な部品の在庫があるか否かを判定する。ステップS806において、候補店舗抽出部117は、ステップS803で抽出された店舗に修理に必要な在庫があると判定した場合(ステップS806:YES)には、ステップS807に進む。一方で、ステップS806において、候補店舗抽出部117は、ステップS803で抽出された店舗に修理に必要な在庫がないと判定した場合(ステップS806:NO)には、ステップS803に戻り、再度候補店舗を抽出する。
【0055】
ステップS807において、候補店舗抽出部117は、候補店舗を決定し、図7に示すフローチャートのステップS706に戻る。ステップS807においては、車両20が故障する恐れがある旨と、入庫させるのに適した候補店舗に関する情報と、を候補店舗DB125に格納する。
【0056】
ステップS808において、候補店舗抽出部117は、緊急度が4又は3であるか否かを判定する。ステップS808において、候補店舗抽出部117は、緊急度が4又は3であると判定した場合(ステップS808:YES)には、ステップS809に進む。一方で、ステップS808において、候補店舗抽出部117は、緊急度が4又は3でないと判定した場合(ステップS808:NO)には、ステップS812に進む。
【0057】
ステップS809において、候補店舗抽出部117は、候補となる店舗を抽出する。ステップS809における候補店舗の抽出は、緊急度が4又は3の故障内容に対するものであるため、車両20の検査及び/又は修理は、緊急を要するものではないものの、修理に適切な店舗がある場合には、入庫に適切な店舗を提案する。したがって、ステップS809における店舗抽出においては、候補店舗抽出部117は、車両20の位置情報で得られる位置から近い店舗を抽出する。また、候補店舗が複数存在する場合には、車両20の位置から近い順に候補店舗が抽出されるものとする。
【0058】
ステップS810において、候補店舗抽出部117は、ステップS809で抽出した候補店舗について、車両20から候補店舗までの位置が、車両20から「行きつけ」の店舗までの距離より近いか否かを判定する。ここで「行きつけ」の店舗は、例えばユーザの利用実績のある店舗である。本実施形態において、利用実績のある店舗が複数存在する場合は、利用実績が2回以上である店舗が「行きつけ」の店舗となる。さらに、利用実績が2回以上である店舗が複数存在する場合には、利用実績が2回以上である店舗のうち、直近で利用した店舗が「行きつけ」の店舗として定められる。「行きつけ」の店舗の場合は、ユーザの自宅の近くにある場合が多い。すなわち取得した車両20の位置情報には関係なく、候補店舗として自宅の近くの「行きつけ」の店舗が抽出される。
【0059】
ステップS810において、候補店舗抽出部117は、候補店舗について、車両20から候補店舗までの位置が、車両20から「行きつけ」の店舗までの距離より近いと判定した場合(ステップS810:YES)、ステップS811に進む。ステップS810において、候補店舗抽出部117は、候補店舗について、車両20から候補店舗までの位置が、車両20から「行きつけ」の店舗までの距離より遠いと判定した場合(ステップS810:NO)、ステップS813に進む。
【0060】
ステップS811において、候補店舗抽出部117は、ステップS809で抽出した店舗に修理に必要な部品の在庫があるか否かを判定する。ステップS811において、候補店舗抽出部117が、抽出した店舗に修理に必要な部品の在庫があると判定した場合(ステップS811:YES)には、ステップS807に進む。一方で、ステップS811において、候補店舗抽出部117が、抽出した店舗に修理に必要な部品の在庫がないと判定した場合(ステップS811:NO)には、ステップS809に戻り、再度候補店舗を抽出する。
【0061】
ステップS812において、候補店舗抽出部117は、緊急度が2又は1であるか否かを判定する。ステップS812において、候補店舗抽出部117は、緊急度が2又は1であると判定した場合(ステップS812:YES)には、ステップS813に進む。一方で、ステップS812において、候補店舗抽出部117は、緊急度が2又は1でないと判定した場合(ステップS812:NO)には、ステップS814に進む。
【0062】
ステップS813において、候補店舗抽出部117は、入庫させる店舗の候補として、「行きつけ」の店舗を抽出する。故障内容の緊急度が5でない場合には、故障内容に対する重要度は低いため、ユーザは、店舗に入庫できるタイミングを選ぶことができる。在庫がない場合にも、ユーザは、「行きつけ」の店舗に部品を取り寄せ、部品が入荷したタイミングで入庫させることができる。
【0063】
ステップS814において、候補店舗抽出部117は、候補店舗がないと判断し、図7に示すフローチャートのステップS706に戻る。
【0064】
図7のフローチャートに戻り説明を行う。ステップS707において、通知部118は、候補店舗抽出部117で抽出された修理の候補店舗に関する情報を候補店舗DB125から取得し、車両20及び/又はユーザ端末50に送ることで、候補店舗を通知する。車両20の表示部25及び/又はユーザ端末50には、例えば、図6に示す内容の通知が表示される。
【0065】
なお、図8に示す「店舗抽出」のフローチャートにおいて、緊急度が5、4又は3、及び2又は1の場合で行う処理が異なる例を示したが、本実施形態はこの構成に限定されない。例えば、緊急度が4の場合を、緊急性が高いケースとして扱い、ステップS802からステップS806までの処理を、緊急度が5又は4の場合の処理として規定してもよい。あるいは、故障が発生する可能性が高い、緊急度が4及び2の場合を、緊急性が高いケースとして扱い、ステップS802からステップS806までの処理を、緊急度が5、4又は2の場合の処理として規定してもよい。
【0066】
(作用効果)
以上説明したように、第1の実施形態によれば、以下の作用効果が得られる。
【0067】
修理支援装置100は、店舗情報DB121と、位置情報取得部112と、異常フラグ取得部114と、故障推定部115と、部品特定部116と、候補店舗抽出部117と、通知部118と、を備える。店舗情報DB121は、車両20の各種部品を保有する店舗の店舗情報を記憶する。位置情報取得部112は、車両20の位置情報を取得する。異常フラグ取得部114は、異常フラグを車両20から取得する。故障推定部115は、異常フラグに基づいて故障内容を推定する。部品特定部116は、故障内容に基づいて部品情報を特定する。候補店舗抽出部117は、店舗情報と、位置情報と、故障内容と、部品情報と、に基づいて、車両20の修理が可能な候補店舗情報を抽出する。通知部118は、候補店舗情報を、車両20及び/又は乗員の端末に通知する。これにより、異常フラグを検出した車両20に対して、故障内容に応じて、入庫に適切な店舗を提案することが可能となる。また、故障内容は、既に発生している故障に限定されず、発生する可能性のある故障も含まれる。したがって、例えば、発生する可能性のある故障に対して、故障内容に対応する部品をあらかじめ店舗に取り寄せ、ユーザに対して、入庫に適切な店舗と、適切な入庫のタイミングを提案することが可能となる。
【0068】
従来の修理支援においては、検出された故障が緊急を要する場合において、修理のために入庫した店舗に修理に必要な部品の在庫がない場合、車両20を入庫させたものの、修理ができないという状況に陥る恐れがある。この場合、例えば、車両20を店舗に入庫させるまでにかかるエネルギーが無駄に消費されてしまうことになる。本実施形態に係る修理支援装置100は、故障内容の緊急度に応じて、在庫のある店舗、又は利用履歴のある店舗等を修理の候補店舗として提案する。すなわち、故障内容に応じて、入庫に適切な店舗を提案することが可能となり、無駄なエネルギー消費を防ぐことができる。
【0069】
また、第1の実施形態に係る修理支援装置100は、車両20の位置情報に基づいて車両20の走行経路を算出する走行経路算出部113を備える。これにより、候補店舗抽出部117は、車両20の進行方向を認識することが可能となり、より適切な入庫の候補店舗を抽出することが可能となる。
【0070】
また、候補店舗抽出部117は、故障内容に基づき、車両20の修理に対する緊急性の有無を判断し、緊急性がないと判断した場合には、車両20に対して利用実績のある店舗を候補店舗情報として抽出する。これにより、車両20のユーザは、故障内容の状況に応じて、都合の良いタイミングで適切な店舗に車両20を入庫させることができる。そのため、ユーザは、車両20に対して不必要な入庫を行う必要がなくなるため、不必要な入庫にかかるエネルギーを削減することができる。
【0071】
さらに、候補店舗抽出部117は、異常フラグの取得の際に、車両20の近くに位置する店舗が修理に必要な部品を保有していない場合、車両20に対して利用実績のある店舗を候補店舗情報として抽出する。これにより、車両20のユーザは、故障内容の状況に応じて、在庫のある店舗に適切なタイミングで車両20を入庫させることができる。そのため、ユーザは、車両20に対して部品を保有しない店舗への不必要な入庫を行う必要がなくなるため、不必要な入庫にかかるエネルギーを削減することができる。
【0072】
通知部118は、候補店舗抽出部117が、車両20の修理に対する緊急性がないと判断した場合であって、修理を行う前に車両20の使用を終了した場合に、次に車両20を起動するタイミングにおいて車両20の乗員に車両の修理の提案を通知する。これにより、例えば、ユーザが修理を行う前に車両20の使用を終了した場合に、次に車両20を起動するタイミングで候補店舗に関する情報を通知することで、ユーザの入庫の認識漏れを防ぐことが可能となる。
【0073】
(第2の実施形態)
以上の通り、具体的な実施形態を一つ説明したが、上述した実施形態は例示であって本実施形態を限定するものではない。例えば、上述の実施形態では、故障推定部115が、異常フラグに基づいて故障内容を推定する形態を例示した。ここではさらに、修理支援装置100において、故障推定部115が、修理履歴に基づいて故障内容を推定する第2の実施形態に係る修理支援システム1について、第1の実施形態と異なる構成について説明する。
【0074】
図9は、第2の実施形態に係る修理支援装置100の一部を示すブロック図である。なお、図9に示す第2の実施形態に係る修理支援装置100において、第1の実施形態と同じ内容のブロックについては図示を省略している。図9に示すように、第2の実施形態に係る修理支援装置100は、修理履歴取得部119と、修理履歴DB129とを含む点で、第1の実施形態に係る修理支援装置100とは異なる。なお、修理履歴DB129は、修理履歴記憶部に相当する。
【0075】
修理履歴取得部119は、店舗端末30から、過去に行った修理の履歴をデータとして取得する。第2の実施形態においては、店舗端末30は、車両20の修理が終了した時点で、車両20に関する情報として、車両20の車種、走行距離、地域、異常フラグの内容、故障内容、修理に用いた部品、部品のロット番号等をサーバ10に送る。修理履歴取得部119は、店舗端末30から送られてきた上述の車両20に関する情報を取得し、修理履歴DB129に格納する。
【0076】
第2の実施形態において、故障推定部115は、異常フラグDB123に格納された異常フラグ及び車両20の状態を示す情報に加え、修理履歴DB129に格納された修理履歴に基づいて、故障内容を推定する。例えば、修理履歴DB129に修理の対象となる車両20と同一の車種の車両に関する修理履歴が格納されている場合、その車両に関する情報を用いて車両20の故障内容を推定する。なお、修理履歴DB129に格納されている情報は、修理対象となる車両20と同一の車両に関する情報に限定されず、車両20と類似する車両に関する情報を故障内容の推定に用いてもよい。
【0077】
(作用効果)
以上説明したように、第2の実施形態によれば、以下の作用効果が得られる。
【0078】
故障内容の推定において、車両20と同一又は類似する車両に関する過去の修理履歴を用いることで、より正確な故障内容の推定が可能となる。また、故障内容の推定において、車両20と同一だけでなく、車両20と類似する車両に関する過去の修理履歴を用いることで、故障内容の推定により多くの修理履歴を用いることが可能となり、故障内容の推定の精度を向上させることができる。
【0079】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。なお、以下の説明において、第1及び/又は第2の実施形態と同じ符号を用いる場合、第1及び/又は第2の実施形態と同一の構成を示し、特に説明がない限り先行する説明を参照する。以下、機械学習させた分類器を用いて故障内容を推定する第3の実施形態に係る修理支援装置100について、第1及び/又は第2の実施形態と異なる構成について説明する。
【0080】
図10は、第3の実施形態に係る修理支援装置100における、異常フラグと、修理履歴と、に基づいて異常フラグと修理履歴との対応関係を学習して作成した故障推定部155(学習済モデル)を説明するための機能ブロック図である。
【0081】
図10に示すように、第3の実施形態に係る修理支援装置100は、機械学習部152を備えた学習部150を設け、異常フラグDB123に格納された異常フラグ、及び修理履歴DB129に格納された修理履歴を用いて学習を行う構成とする。機械学習部152は、記憶部120の異常フラグDB123に格納された異常フラグと、修理履歴DB129に格納された修理履歴を用いて機械学習を行い、故障推定部155を学習済モデル(分類器)として生成する。
【0082】
第3の実施形態においては、異常フラグと、それに対応する修理履歴を教師付きデータとして機械学習部152の入力データとして用いる。ある異常フラグに対して、過去にどのような修理が行われたかを機械学習部152において学習させる。すなわち、異常フラグと、修理履歴との対応関係を学習させることで、故障内容を精度よく推定することが可能な、いわゆる分類器である故障推定部155を学習済モデルとして生成することができる。
【0083】
なお、機械学習部152にはニューラルネットワークのモデルが用いられる。機械学習部152に用いられるニューラルネットワークモデルは、DNN(ディープニューラルネットワーク)、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)又は、再帰型ニューラルネットワーク(RNN、LSTM)等のモデルが適用できる。ただし、ニューラルネットワークモデルの種類は本実施形態を限定するものではない。
【0084】
また、図10において、学習部150は、制御部110とは別の構成要素として設けられる構成例で示されているが、第3の実施形態は、この構成に限定されない。例えば、学習部150が制御部110に含まれる構成としてもよい。さらには、学習部150は、修理支援装置100内に設けられる構成に限定されない。例えば、学習部150は、記憶部120から、それぞれ異常フラグ、及び修理履歴を読み取り、これらを学習セットとして、これらの学習セットをサーバ10以外のシステムで学習させて、学習済モデルとして故障推定部155を生成する構成としてもよい。この場合、故障推定部155は、サーバ10の外部から、ネットワークIF140を介して、修理支援装置100に機能として取り込まれるものとする。
【0085】
(作用効果)
以上説明したように、第3の実施形態によれば、以下の作用効果が得られる。
【0086】
故障内容の推定において、異常フラグと、修理履歴との対応関係を学習させた学習済モデルを生成し、この生成された学習済モデルを故障推定部155として用いることで、より精度の高い、故障内容の推定が可能となる。
【0087】
(他の実施形態)
上記のように、本発明の実施形態を記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0088】
上述した修理支援方法をコンピュータに実行させるコンピュータプログラム(修理支援プログラム)及びそのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、本実施形態の範囲に含まれる。ここで、コンピュータ読み取り可能な記録媒体の種類は任意である。また、上述のコンピュータプログラムは、上述の記録媒体に記録されたものに限られず、電気通信回線、無線又は有線通信回線、インターネットを代表とするネットワーク等を経由して伝送されるものであってもよい。
【0089】
また、上述の修理支援システム1において、サーバ10は、電子制御ユニット200からネットワーク40を介して、車両20の異常フラグを取得し、異常フラグに基づいて故障内容を推定し、故障内容に対応した部品を保有する店舗を抽出する。すなわち、上述の実施形態において修理支援システム1は、いわゆるクラウドコンピューティングとしての構成例を示した。しかし、修理支援システム1の構成は、これに限定されない。例えば、修理支援システム1は、修理支援装置100を、車両20ごとに設け、電子制御ユニット200から異常フラグを受け付け、故障内容の推定、部品内容の特定、及び候補店舗を抽出してもよい。すなわち、異常フラグを取得する車両20に、修理支援装置100を備える、いわゆるエッジコンピューティングとして構成してもよい。図11に、修理支援システム1を、エッジコンピューティングとして構成した例を示す。図11において、車両20aは、車両20aに、修理支援装置100を備える。すなわち、車両20aにおける修理支援装置100は、例えば、電子制御ユニット200と、車載ネットワークで、通信可能な装置であり、図4に示した機能を車両20aにおいて実施する。なお、車載ネットワークは、CAN( Controller Area Network)、Lin(Local Interconnect Network)、FrexRayなどを用いることが可能である。車載ネットワークの種類は、本実施形態を限定するものではない。
【0090】
また、図11における車両20bにおいては、電子制御ユニット200に修理支援装置100を備える構成とした例を示している。この場合、電子制御ユニット200の制御部210が、図4に示す修理支援装置100の制御部110の各機能を実施する。さらに、電子制御ユニット200の記憶部220が、図4に示す修理支援装置100の記憶部120の各DBを備える。図11に示すように、修理支援装置100を、車両20a又は車両20b内に備えるエッジコンピューティングの構成とした場合、サーバ10とデータをやり取りする時間が短縮され、より迅速に異常フラグに対応した修理支援を行うことが可能となる。なお、修理支援装置100の機能を、ユーザ端末50で実施する構成とすることも可能である。
【符号の説明】
【0091】
1 修理支援システム
10 サーバ
20 車両
30 店舗端末
40 ネットワーク
50 ユーザ端末
100 修理支援装置
110 制御部
111 店舗情報取得部
112 位置情報取得部
113 走行経路算出部
114 異常フラグ取得部
115、155 故障推定部
116 部品特定部
117 候補店舗抽出部
118 通知部
119 修理履歴取得部
120 記憶部
121 店舗情報DB
122 位置情報DB
123 異常フラグDB
124 故障内容DB
125 候補店舗DB
129 修理履歴DB
140 ネットワークIF
152 機械学習部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11