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特許7604856情報処理装置、電力供給システムの運用方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】情報処理装置、電力供給システムの運用方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/06 20240101AFI20241217BHJP
【FI】
G06Q50/06
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020198087
(22)【出願日】2020-11-30
(65)【公開番号】P2022086199
(43)【公開日】2022-06-09
【審査請求日】2023-09-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】江原 宏和
【審査官】木村 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-005340(JP,A)
【文献】特開2015-056044(JP,A)
【文献】特開2007-304839(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電力供給先を含む複合施設に電力を供給する電力供給システムと共に用いられる情報処理装置であって、
前記電力供給先毎の電気料金の過去の滞納の回数に係る支払い履歴の情報を取得する、支払履歴情報取得部と、
前記支払い履歴に応じて、前記電力供給先毎の前記電気料金に対する割引率を決定する、割引率決定部と、
前記電力供給先毎の電力使用量の情報を取得する、電力使用量取得部と、
少なくとも、前記割引率と、前記電力使用量と、を用いて、前記電力供給先毎に、請求すべき電気料金を算出する、電気料金算出部と、
を備えており、
前記割引率には、前記複合施設に前記電力供給先が新たに入居する際に、前記複合施設の所有者によって初期値が設定され、
前記割引率決定部は、前記初期値を基準として前記支払い履歴に応じた前記割引率を決定するものであって、前記支払い履歴において過去1年間の滞納が1回以内である場合には前記割引率を減少させない、
ことを特徴とする、情報処理装置。
【請求項2】
前記割引率決定部は、前記支払い履歴において、過去1年間の間に滞納がない場合には、前記割引率を増加させる、
ことを特徴とする、請求項に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記割引率決定部は、前記支払い履歴において、過去1年間の滞納が2回以上である場合には、その回数に応じて前記割引率を、最小で0の値まで減少させる、
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記割引率決定部が決定する前記割引率には、前記複合施設の所有者によって、上限値および/または下限値が設けられる、
ことを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
複数の電力供給先を含む複合施設に電力を供給する電力供給システムの運用方法であって、
前記電力供給システムとともに用いられる情報処理装置において、前記電力供給先毎の電気料金の過去の滞納の回数に係る支払い履歴の情報を取得する、支払履歴情報取得ステップ、
前記情報処理装置において、前記支払い履歴に応じて、前記電力供給先毎の前記電気料金に対する割引率を決定する、割引率決定ステップと、
前記情報処理装置において、前記電力供給先毎の電力使用量の情報を取得する、電力使用量取得ステップと、
前記情報処理装置において、少なくとも、前記割引率と、前記電力使用量と、を用いて、前記電力供給先毎に、請求すべき電気料金を算出する、電気料金算出ステップと、
を有しており、
前記割引率は、前記複合施設に前記電力供給先が新たに入居する際に、前記複合施設の所有者によって初期値が設定されており、
前記割引率決定ステップでは、前記初期値を基準として前記支払い履歴に応じた前記割引率を決定し、前記支払い履歴において過去1年間の滞納が1回以内である場合には前記割引率を減少させない、
ことを特徴とする、電力供給システムの運用方法。
【請求項6】
前記割引率決定ステップでは、前記支払い履歴において、過去1年間の間に滞納がない場合には、前記割引率を増加させる、
ことを特徴とする、請求項に記載の電力供給システムの運用方法。
【請求項7】
前記割引率決定ステップでは、前記支払い履歴において、過去1年間の滞納が2回以上である場合には、その回数に応じて前記割引率を、最小で0の値まで減少させる、
ことを特徴とする、請求項5又は6に記載の電力供給システムの運用方法。
【請求項8】
前記割引率決定ステップで決定する前記割引率には、前記複合施設の所有者によって、上限値および/または下限値が設けられている、
ことを特徴とする、請求項からのいずれか一項に記載の電力供給システムの運用方法。
【請求項9】
請求項からのいずれか一項に記載の電力供給システムの運用方法の各ステップを、情報処理装置に実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の電力供給先を含む複合施設に電力を供給する電力供給システムとともに用いられる情報処理装置、電力供給システムの運用方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数の電力供給先を含む複合施設に電力を供給する電力供給システムにおいて、電力会社から高圧一括受電契約により低価格で電力を一括して調達し、施設内の各電力供給先に対して電力を分配することにより、複合施設全体での電気料金を低減することが知られている(例えば特許文献1)。また、近年、低圧一括受電契約による電力調達によっても、電気料金の低減を実現するための電力供給システムが提案されている(例えば特許文献2)。
【0003】
ところで、このような電力供給システムを導入し運用していくうえでは、施設内の各電力供給先(以下、入居者ともいう)からの電気料金の回収が滞ると、一括受電事業者(即ち、施設の所有者)の収益が減少してしまうため、入居者の電気料金支払い率を高く維持することが重要になる。このために、従来から、電気料金が継続して滞納された場合には、当該入居者への電力の供給を停止することによって、電気料金の支払いを促すことが一般的に行われている。
【0004】
しかしながら、上記のような方法では電気料金を滞納する入居者に対する督促、電力供給の停止といった作業が発生してしまう。また、「電力供給が止まってから対応するのでもよい」と考える入居者の存在も考えられ、このような者には電力供給が停止される前に積極的に電気料金の支払いを促すような効果は充分ではないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2002-118961号公報
【文献】特開2017-17779号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記のような実情に鑑みてなされたものであり、複数の電力供給先を含む複合施設に電力を供給する電力供給システムにおいて、前記電力供給先による電気料金の滞納を抑止する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するために、本発明は以下の構成を採用する。すなわち、複数の電力供給先を含む複合施設に電力を供給する電力供給システムと共に用いられる情報処理装置であって、
前記電力供給先毎の電気料金の支払い履歴の情報を取得する、支払履歴情報取得部と、
前記電気料金の支払い履歴に応じて、前記電力供給先毎の前記電気料金に対する割引率を決定する、割引率決定部と、
前記電力供給先毎の電力使用量の情報を取得する、電力使用量取得部と、
少なくとも、前記割引率と、前記電力使用量と、を用いて、前記電力供給先毎に、請求すべき電気料金を算出する、電気料金算出部と、
を備えることを特徴とする、情報処理装置である。
【0008】
ここでいう複合施設は商業施設などに限られず、住居、オフィスなどの同一種類の施設のみで構成される建築物、さらに当該建築物が複数集合した施設なども広く含まれる。これによれば、入居者の支払い履歴(即ち、過去の滞納の有無、回数)に応じて変動する割引率により、電気料金の割引を受けることができる。このため、電気料金の割引率の維持・増加をインセンティブとして、入居者に自発的な電気料金の支払いを促すことができ、これによって電気料金の支払い率の向上を図ることが可能になる。
【0009】
また、前記割引率は、前記複合施設に前記電力供給先が新たに入居する際に、前記複合施設の所有者によって初期値が設定され、
前記割引率決定部は、前記初期値を基準として、前記電気料金の支払い履歴に応じた前記割引率を決定するものであってもよい。
【0010】
これによれば、個々の入居者の属性や信用情報などに応じて施設の所有者(以下、オーナーともいう)が任意に割引率の初期値を設定することができる。電気料金の割引の原資となるのは、一般的にはオーナーの収益であるため、オーナーがこれを定めることができるようにしておくことが好ましい。
【0011】
また、前記割引率決定部は、前記電気料金の支払い履歴において、過去1年間の滞納が1回以内である場合には、前記割引率を減少させないものであってもよい。一般論として、意図せずに(単に忘れるなどして)、電気料金の支払いを遅延してしまうことも想定される。そのような意図しない電気料金の滞納が1回でもあれば直ちに割引率が減少してしまうようでは、却って割引率を増加させようとする入居者の意欲を低減させる虞もあることから、このようにしておくことが好ましい。
【0012】
また、前記割引率決定部は、前記電気料金の支払い履歴において、過去1年間の間に滞納がない場合には、前記割引率を増加させるものであってもよい。これによれば、滞納をしないことによって電気料金の割引率を増加させることができるため、電気料金支払いのためのインセンティブとして好ましい。
【0013】
また、前記割引率決定部は、前記電気料金の支払い履歴において、過去1年間の滞納が2回以上である場合には、その回数に応じて前記割引率を、最小で0の値まで減少させるものであってもよい。これによれば、滞納回数が増えるほど電気料金の割引率が減少してしまうため、割引率の減少を避けようとする心理的効果により、電気料金の滞納が抑止されることが期待できる。
【0014】
また、前記割引率決定部が決定する前記割引率には、前記複合施設の所有者によって、上限値および/または下限値が設けられるものであってもよい。これによれば、無制限に割引率が増加又は減少してしまうことを防止することができる。
【0015】
また、本発明は、以下の方法としても捉えることが可能である。即ち、複数の電力供給先を含む複合施設に電力を供給する電力供給システムの運用方法であって、
前記電力供給システムとともに用いられる情報処理装置において、前記電力供給先毎の電気料金の支払い履歴の情報を取得する、支払履歴情報取得ステップ、
前記情報処理装置において、前記電気料金の支払い履歴に応じて、前記電力供給先毎の前記電気料金に対する割引率を決定する、割引率決定ステップと、
前記情報処理装置において、前記電力供給先毎の電力使用量の情報を取得する、電力使用量取得ステップと、
前記情報処理装置において、少なくとも、前記割引率と、前記電力使用量と、を用いて、前記電力供給先毎に、請求すべき電気料金を算出する、電気料金算出ステップと、
を有することを特徴とする、電力供給システムの運用方法である。
【0016】
また、前記割引率は、前記複合施設に前記電力供給先が新たに入居する際に、前記複合施設の所有者によって初期値が設定されており、
前記割引率決定ステップでは、前記初期値を基準として、前記電気料金の支払い履歴に応じた前記割引率を決定するのであってもよい。
【0017】
また、前記割引率決定ステップでは、前記電気料金の支払い履歴において、過去1年間の滞納が1回以内である場合には、前記割引率を減少させないようにしてもよい。
【0018】
また、前記割引率決定ステップでは、前記電気料金の支払い履歴において、過去1年間の間に滞納がない場合には、前記割引率を増加させるようにしてもよい。
【0019】
また、前記割引率決定ステップでは、前記電気料金の支払い履歴において、過去1年間の滞納2回以上である場合には、その回数に応じて前記割引率を、最小で0の値まで減少させるようにしてもよい。
【0020】
また、前記割引率決定ステップで決定する前記割引率には、前記複合施設の所有者によって、上限値および/または下限値が設けられているようにしてもよい。
【0021】
また、本発明は、上記の方法をコンピュータに実行させるためのプログラム、そのようなプログラムを非一時的に記録したコンピュータ読取可能な記録媒体として捉えることもできる。
【0022】
なお、上記構成及び処理の各々は技術的な矛盾が生じない限り互いに組み合わせて本発明を構成することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、複数の電力供給先を含む複合施設に電力を供給する電力供給システムにおいて、前記電力供給先による電気料金の滞納を抑止する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の適用例における電力供給システムの概略構成を示すブロック図である。
図2】本発明の適用例における電気料金決定装置の概略構成を示すブロック図である。
図3】実施形態1における電力供給システムの概略構成を示すブロック図である。
図4】実施形態1における電力供給システムを用いて行われる役務と料金の流れを示すブロック図である。
図5】実施形態1における管理装置の概略構成を示すブロック図である。
図6】実施形態1における管理装置の処理の流れを示すフローチャートである。
図7】実施形態1における割引率決定処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
<適用例>
以下、図面を参照して、本発明の適用例について説明する。図1は、本発明が適用可能な電力供給システム90のブロック図を示す。図1において、各ブロックを連結する実線は電力線を示しており、各ブロックを連結する破線は通信線(無線通信も含む)を示している。本適用例に係る電力供給システム90は、集合住宅91に対して適用されることを
前提としている。この場合、集合住宅91は複数の電力供給先を含む複合施設の一例である。
【0026】
図1において、電力供給システム90は電力系統98と電気的に繋がっている。電力系統98は、いわゆる小売電気事業者であってもよいし、一般電気事業者であってもよい。また、電力供給システム90と電力系統98の接続には施設メータ94が設けられており、電力系統98から電力供給システム90に対して供給される電力を測定可能となっている。
【0027】
また、電力供給システム90の複数の電力供給先としては、専有部96a、96b、96c・・・が想定されている。この専有部96a、96b、96c・・・は、例えば、集合住宅91における各部屋(以下、入居者ともいう。)である。より具体的には、専有部96a、96b、96c・・・における負荷は、集合住宅91の各部屋における電気製品等(不図示)である。また、集合住宅91には、専有部96a、96b、96c・・・の他に共用部97が存在する。この共用部97は、集合住宅91における共用部分であり、共用部97の負荷としては、例えば廊下や玄関の照明等が考えられる。専有部96a、96b、96c・・・及び共用部97には、各々個別メータ95a、95b、95c・・・、95dが備えられており、専有部96a、96b、96c・・・及び共用部97において消費される電力を測定可能となっている。
【0028】
また、電力供給システム90は、集合住宅91の外部において、集合住宅91内のシステムと通信可能に構成された管理装置92を有している。この管理装置92は、より具体的には、電力供給システム90の運営主体である管理会社によってクラウド上に備えられたサーバ装置であってもよい。しかしながら、管理装置92は、電力供給システム90において、集合住宅91内のシステムとの間で情報の授受が可能とされていればよく、有線通信で繋がっていてもよく、必ずしもクラウド上に備えられたものでなくともよい。
【0029】
また、電力供給システム90は管理装置92と通信可能に構成された電気料金決定装置93を備えている。図2は、電気料金決定装置93の概略構成を示すブロック図である。電気料金決定装置93は、例えば汎用のコンピュータなどによって構成されることができ、支払履歴情報取得部931、割引率決定部932、電力使用量取得部933、電気料金算出部934の各機能モジュールを備えている。その他、図示しないが、マウスやキーボードなどの各種入力手段、ディスプレイなどの出力手段、RAM、HDDなどの記憶手段、通信手段などを備えていてもよい。なお、電気料金決定装置93は、本発明における情報処理装置に該当する。
【0030】
支払履歴情報取得部931は、集合住宅91の各入居者の電気料金の支払い履歴の情報を取得及び保持する機能モジュールである。支払履歴情報は通信手段を介して図示しない他のデータベースなどから取得するのであってもよいし、入出力部を介しユーザーに情報の入力を促すことで取得するのであってもよい。
【0031】
割引率決定部932は、入居者毎の電気料金の支払い履歴に応じて、該入居者の電気料金に対する割引率を決定する機能モジュールである。割引率は、集合住宅91に入居者が新たに入居する際に、オーナーによって初期値が設定され、当該初期値を基準として、電気料金の支払い履歴に応じて増減されるものであってもよい。
【0032】
より具体的には、例えば、入居から1年間滞納することなく電気料金の支払いを行った場合には、初期値として設定された割引率に、0.001を加算するようにしてもよい。逆に、過去一年間で2回電気料金を滞納したような場合には、割引率を0.001減少させるようにしてもよい。さらに、連続して複数回電気料金が滞納された場合には、割引率
の減少度合いを大きくして、0.005減少させるようにしてもよい。
【0033】
電力使用量取得部933は、入居者毎の電力使用量の情報を取得する機能モジュールである。また、電気料金算出部934は、上述の割引率と電力使用量と別途設定される電力単価とを用いて、各入居者に請求すべき電気料金を算出する機能モジュールである。
【0034】
本適用例では、電気料金決定装置93を用いることで、入居者毎に電気料金の過去の支払い履歴に応じた割引率が適用された電気料金を算出し、各入居者に当該割引率が適用された電気料金で請求を行うことができる。そして、割引率は過去の電気料金の支払い履歴(即ち、滞納の有無・回数)によって決定されるため、電気料金の割引率の維持・増加をインセンティブとして、入居者に自発的な電気料金の支払いを促すことができ、これによって電気料金の支払い率の向上を図ることが可能になる。
【0035】
また、各入居者に対して発行する電気料金の請求書等に、現在の割引率、割引率増加までの残り月数、等を記載するようにしてもよい。
【0036】
なお、上述の適用例では、電力供給システム90は、集合住宅91で使用する電力を電力系統98のみから調達する構成であったが、例えば分散型電源などのその他の電力調達手段を備える電力供給システムにおいても本発明を適用することは可能である。
【0037】
<実施形態1>
(システム構成)
以下、図面を参照して、本発明の実施形態についてより詳細に説明する。図3は、本実施例に係る電力供給システム1のブロック図を示す。図3において、各ブロックを連結する実線は電力線を示しており、各ブロックを連結する破線は通信線(無線通信も含む)を示している。本適用例に係る電力供給システム1は、集合住宅1aに対して適用されることを前提としている。この場合、集合住宅1aは、複数の電力供給先を含む複合施設の一例である。また、太陽電池、風力発電機、所謂V2H(Vehicle to Home)に係る電源や蓄電池等の分散型電源を備えることを前提としている。
【0038】
図3において、電力供給システム1は、系統3a、3bと電気的に繋がっている。そして、分散型電源による供給電力が、複数の電力供給先における消費電力より少なく、電力が不足する場合には、例えば系統3aから買電することが可能となっている。また、分散型電源による供給電力が、複数の電力供給先における消費電力より多い場合には、余剰の電力を例えば系統3bに余剰売電することが可能となっている。系統3a、3bは、所謂小売電気事業者であってもよいし、一般電気事業者であってもよい。また、系統3aと系統3bは異なる電気事業者であってもよいし、同一の電気事業者であってもよい。
【0039】
また、電力供給システム1は、集合住宅1aの外部において、集合住宅1a内のシステムと通信可能に構成された管理装置2を有している。本適用例では、集合住宅1a内のシステムと管理装置2とは、LTEルータ6を介した無線通信が可能となっている。この管理装置2は、より具体的には、電力供給システム1の運営主体である管理会社によってクラウド上に備えられたサーバ装置であってもよい。しかしながら、管理装置2は、電力供給システム1において、集合住宅1a内のシステムとの間で情報の授受が可能とされていればよく、有線通信で繋がっていてもよく、必ずしもクラウド上に備えられたものでなくともよい。
【0040】
また、電力供給システム1の複数の電力供給先としては、専有部12a、12b、12c・・・が想定されている。この専有部12a、12b、12c・・・は、例えば、集合住宅1aにおける各部屋(以下、入居者ともいう。)である。より具体的には、専有部1
2a、12b、12c・・・における負荷は、集合住宅1aの各部屋における電気製品等(不図示)である。また、集合住宅1aには、専有部12a、12b、12c・・・の他に共用部13が存在する。この共用部13は、集合住宅1aにおける共用部分であり、共用部13の負荷としては、例えば廊下や玄関の照明13aや、停電時等に予め接続しておいた電気製品へ自動で電力を供給可能にする特定負荷分電盤13b等が考えられる。専有部12a、12b、12c・・・及び共用部13には、各々スマートメータ11a、11b、11c・・・、11dが備えられており、専有部12a、12b、12c・・・及び共用部13において消費される電力を測定可能となっている。
【0041】
また、電力供給システム1には、分散型電源として、蓄電池14と太陽電池15が備えられている。蓄電池14には充放電電圧を昇降させる双方向のDC/DCコンバータ及び、蓄電池の充放電に係る電圧の直流/交流を変換するDC/ACコンバータを含む蓄電池パワコン16が接続されている。蓄電池パワコン16から出力される電力は、スマートメータ11eによって測定される。一方、太陽電池15には太陽電池15の発電電圧を調整するDC/DCコンバータ、山登り法によるMPPT制御を行うための制御回路、太陽電池15の出力電圧の直流/交流を変換するDC/ACコンバータを含む太陽電池パワコン17が接続されている。太陽電池パワコン17は、蓄電池パワコン16とも電気的に繋がれており、太陽電池15で発電した電力を直接、蓄電池14に充電することが可能となっている。なお、本実施形態において、蓄電池14と太陽電池15とが一体化した分散型電源を使用しても構わない。
【0042】
図4に、実施形態1における電力供給システム1を用いて行われる役務と料金の流れを示すブロック図を示す。図4は、電力供給システム1の運用の形態を示すブロック図である。図中、白矢印は、役務の流れを示し、ハッチングが施された矢印は、金の流れを示している。先ず、役務の流れについて説明する。図4のブロック図における前提として、集合住宅1aのオーナーである設備所有者23は、図3における管理装置2の運営主体である管理会社21に対して、一括受電委託(電力取引制御委託)をする。すなわち、設備所有者23は、集合住宅1aの入居者22や共有部分についての電力供給の管理と電気料金の徴収を一括して管理会社21に依頼する。
【0043】
管理会社21は、各入居者22に対して分散型電源による電力を用いて電力供給を行う。各入居者22は、自ら消費した電力に応じた電気料金を管理会社21に支払う。そして、分散型電源から供給された電力が入居者22における消費電力より少ない場合には、管理会社21は電気事業者20から不足分の電力を調達する。その場合、管理会社21は、電気事業者20に対して買電に係る買電料金を支払う。すなわち、管理会社21は、各入居者22に対して、電気事業者から調達した電力と分散型電源による電力とを組み合わせて電力供給を行う。
【0044】
ここで、上述のように、入居者22は、管理会社21に対して電力供給量に応じた電気料金を支払う。その際の電気料金単価(円/kWh)は、管理会社21により自由に定められるが、従前、入居者22が電気事業者20に支払っていた一般電気料金の単価(円/kWh)より低い額としてもよい。また、管理会社21は、設備所有者23には、自家消費還元として、入居者22から支払われる電気料金の合計(電気料金合計)から、電気事業者20から電力調達した電力についての買電料金と、管理装置2の稼働費用を含んだ、電力供給システム1の運用手数料を差し引いた額を支払う。
【0045】
ここで、図3の説明に戻る。図3に示す電力供給システム1において、蓄電池パワコン16と太陽電池パワコン17とは、分散型電源用の第二分電盤10に接続されている。そして、第二分電盤10は各専有部12a、12b、12c・・・及び共用部13に電力を分電する第一分電盤9に接続されている。第一分電盤9は、親スマートメータ4a、4b
を介して系統3a、3bと接続されている。また、第一分電盤9は、スマートメータ11a、11b、11c・・・11d、11eを介して、各専有部12a、12b、12c・・・及び共用部13(のコンセント)に接続されている。
【0046】
これにより、太陽電池15で発電された電力及び、蓄電池14から放電された電力は、各専有部12a、12b、12c・・・及び共用部13に供給可能となっている。その際、各専有部12a、12b、12c・・・及び共用部13における負荷による消費電力が、蓄電池14、太陽電池15の分散型電源による供給電力より多い場合には、系統3aから買電されることで不足分が補充される。また、各専有部12a、12b、12c・・・及び共用部13における負荷による消費電力が、蓄電池14、太陽電池15の分散型電源による供給電力より少ない場合には、余剰分を系統3bへ余剰売電すること可能になっている。
【0047】
スマートメータ11a、11b、11c・・・11d、11eによって測定された専有部12a、12b、12c・・・及び、共用部13における消費電力及び、スマートメータ11eで測定された蓄電池パワコン16の入出力電力の情報は、ゲートウェイ8c、ハブ7を介して制御装置としてのVPP(Virtual Power Plant)コントローラ5に提供される。また、太陽電池パワコン17の出力電力の情報は、ゲートウェイ8a、ハブ7を介してVPPコントローラ5に提供される。また、親スマートメータ4a、4bで測定された系統3aからの買電量、系統3bへの余剰売電量もVPPコントローラ5に提供される。また、太陽電池パワコン17におけるMPPT制御の状態、太陽電池15の端末電流値、電圧値等の情報、蓄電池14における蓄電量等の情報も、ゲートウェイ8a及び8b、ハブ7を介してVPPコントローラ5に提供される。
【0048】
VPPコントローラ5では、オーナーによる電力マネジメントの方針、電力取引市場価格と、各専有部12a、12b、12c・・・及び共用部13における消費電力、太陽電池15における発電量、蓄電池14における蓄電量等に基づいて、蓄電池パワコン16の入出力電力、系統3aからの買電量、系統3bへの余剰売電量等を制御する。
【0049】
同様に、スマートメータ11a、11b、11c・・・11d、11eによって測定された専有部12a、12b、12c・・・及び共用部13における消費電力及び、蓄電池パワコン16からの入出力電力の情報は、ゲートウェイ8c、ハブ7、LTEルータ6を介して管理装置2にも提供される。同様に、親スマートメータ4a、4bで測定された系統3aからの買電量、系統3bへの余剰売電量も管理装置2にも提供される。さらに、太陽電池パワコン17におけるMPPT制御の状態、太陽電池15の端末電流、電圧値等の情報や、蓄電池14における蓄電量等の情報も、ゲートウェイ8a及び8b、ハブ7、LTEルータ6を介して管理装置2に提供される。なお、実施形態において、系統3aからの買電量、系統3bへの余剰売電量の情報は、スマートメータから管理装置2に提供されるのではなく、電力事業者からの請求情報より取得されるようにしてもよい。
【0050】
図5には、管理装置2の機能の詳細を示すブロック図を示す。図5に示すように、管理装置2は、電気料金算出部201、還元料金算出部202、買電料金算出部203、支払履歴情報取得部204、割引率決定部205、電力使用量取得部206の各機能モジュールを備えている。なお、管理装置2のハード構成は一般的なサーバ装置と同一であることから、ここでは説明は省略する。
【0051】
電気料金算出部201は、専有部12a、12b、12c・・・及び、共用部13における消費電力の情報から、専有部12a、12b、12c・・・に課する電気料金を算出する機能モジュールである。より具体的には、予め定まっている基本料金と、電力使用量取得部206によって取得された専有部12a、12b、12c・・・毎の電力使用量と
上述の電気料金単価とを乗算した従量料金と、割引率決定部205によって決定された割引率を用いて、以下のような式で電気料金を算出するようにしてもよい。
電気料金=(基本料金+従量料金)×
(1-割引率)+燃料調整費+再生可能エネルギー発電促進賦課金・・・・・・・(1)
【0052】
或いは、割引率決定部205が算出するものとは別に、入居者全員に一律に適用されるような割引が設定されている場合には、
電気料金=(基本料金+従量料金)×(1-従来割引率-優遇割引率)+
燃料調整費+再生可能エネルギー発電促進賦課金・・・・・・・・・・・・・・・(2)
とするのであってもよい。
【0053】
還元料金算出部202は、管理装置2の運営主体である管理会社が、オーナーに還元する還元料金を演算する機能モジュールである。また、買電料金算出部203は、系統3aからの買電量に基づいて、系統3aに係る電気事業者に支払う買電料金を算出し、あるいは電気事業者からの買電料金の請求額を記憶する機能モジュールである。
【0054】
なお、支払履歴情報取得部204、割引率決定部205、電力使用量取得部206、の各機能モジュールは、上述の適用例における支払履歴情報取得部931、割引率決定部932、電力使用量取得部933の各機能モジュールと同様の機能を果たすものであるため、ここでは説明は省略する。即ち、本実施形態においては、管理装置2が、適用例における電気料金決定装置93を兼ねる構成となっており、本発明における情報処理装置に該当するということができる。
【0055】
(管理装置の処理)
次に、図6及び図7に基づいて、本実施形態において、管理装置2で行われる入居者22への電気料金の請求、及び、設備所有者23への返還額支払い処理の流れについて説明する。なお、当該処理の一連の流れは、管理装置2によって実行される、電気料金決定に係る電力供給システムの運用方法を含むものとして捉えることもできる。
【0056】
図6は管理装置2において行われる処理の流れを説明するフローチャートである。管理装置2では、毎月の電気料金請求の際に、入居者22毎に、以下で説明するループL1の処理が繰り返し実行される。ループL1では、支払履歴情報取得部204により、入居者の過去の電料金の支払い履歴情報が取得される(S101)。そして、当該支払い履歴情報に基づいて、割引率決定部205により、電気料金の割引率が算出される(S102)。
【0057】
ここで、図7に基づいて割引率決定処理のサブルーチンについて説明する。図7は、割引率決定処理におけるサブルーチンを示すフローチャートである。図7に示すように、割引率決定部205はまず、入居者が過去12カ月連続で電気料金を支払っているか否かを判定する(S201)。ここで、12カ月連続で支払っていると判断された場合には、割引率が0.001加算されて(S202)サブルーチンを終了する。
【0058】
一方、ステップS201で、Noと判断された場合には、過去一年間で2回以上の滞納があったか否かを判定する処理を行う(S203)。ここで、過去一年間で2回以上の滞納が無かったと判断された場合には、割引率を維持させて(S204)、サブルーチンを終了する。
【0059】
一方、ステップS203で、過去一年間で2回以上の滞納があったと判断された場合には、複数回連続で滞納したか否かを判定する処理を行う(S205)。ここで、複数回連続での滞納が無かったと判断された場合には、割引率が0.001減算されて(S206
)サブルーチンを終了する。そして、ステップS205において複数回連続で滞納があったと判断された場合には、割引率が0.005減算されて(S207)サブルーチンを終了する。
【0060】
図6の処理の流れに説明を戻すと、ステップS102で割引率が決定されると、電力使用量取得部206により、電力使用量が取得される(S103)。続けて電気料金算出部201において、入居者22の電気料金が算出される(S104)。具体的な計算方法は上述したため、ここでは改めて説明しない。そして、入居者22に対して請求処理が行われ(S105)、一のループL1の処理が終了する。
【0061】
ループL1の一連の処理を全ての入居者22の分行った後に、管理装置2において収入管理が行われる(S106)。より具体的には、各入居者22からの該当月についての電気料金の支払いが完了したか否かが確認され、未収金の場合には、督促処理が行われる。また、管理装置2の買電料金算出部203により、買電料金の情報が取得される(S107)。より具体的には、買電料金算出部203に記憶された電気事業者20からの請求額を参照してもよいし、電気事業者20から買電した電力の量から買電料金を算出してもよい。そして、ステップS106において算出された収入額と、ステップS107において算出された買電料金とから、設備所有者23への還元額が計算され(S108)、当該還元額を設備所有者23に支払う処理が行われて(S109)、一連の処理が終了する。
【0062】
以上のような本実施形態によれば分散型電源を備えるような電力供給システムを用いることにより、柔軟にオーナーが得る収益と入居者に対する割引を設定することができる。これにより、入居者は電気料金を支払い続けることで割引率を増加させていくことが可能であるため、これがインセンティブとなり、電気料金の支払い率向上のみならず、入居率の向上を図ることもできる。
【0063】
(その他)
なお、本実施形態においては、系統から調達する電力量を減少させ、自家消費率(%)を上昇させて電気料金を低廉にすることが望ましい。この為に、以下の施策が考えられる。
(1)安価な深夜電力で充電し、昼間の買電量を減少させる
安価な深夜電力を利用して、可能な限り蓄電池14の充電率を高めておくことで、専有部12a、12b、12c・・・、共用部13における消費電力に対して分散型電源からの電力供給の不足が生じることを抑制できる。
(2)太陽光発電による蓄電池の充電と夜間充電電力を組み合わせて、調達電力料金を減少させる
太陽電池15の発電電力が余剰となる場合には、可能な限り蓄電池14に充電し、可能な限り、蓄電池14の充電率を高める
(3)太陽光発電と需要予測と蓄電池制御で売電電力のピークカット
日付や、曜日、日の出時刻、日の入り時刻、温度、湿度などのデータ、および、サーバから取得される天気予報に基づいて、現在の時点から所定の時刻ごとに、専有部12a、12b、12c・・・、共用部13における消費電力を予測する。この予測消費電力に対して分散型電源による供給電力の不足を最小にするように、蓄電池14の充電率を制御し、買電電力の最大値を低減しピークカットする。これにより、電気事業者20との間の基本契約における最大消費電力を低く設定し、電気事業者20に支払う基本料金を削減する。
【0064】
また、本実施形態においては、自家消費電力量を増やすことが望ましい。この為には、以下の施策が考えられる。
(1)家電の制御を利用した低消費電力化
例えば、共用部13のエアコンの駆動制御や、自然冷媒ヒートポンプ給湯機を用いた低消費電力の給湯システムを用いることで、専有部12a、12b、12c・・・、共用部13における消費電力を抑制する。
(2)太陽光発電、風力発電機、所謂V2Hに係る電源、蓄電池等を組み合わせて自家消費電力量を増やす
上記に加えて、太陽電池15等の発電電力が余剰となる場合には、可能な限り蓄電池14に充電し、可能な限り、蓄電池14の充電率を高める。系統3bへの売電を低減し、自家消費電力量を増やすことで、収益性は向上する。
【0065】
また、本実施形態においては、自家消費電力量の低下を防止することが望ましい。この為には、以下の施策が考えられる。
(1)遠隔モニタリングシステムで故障を検出・予測
管理会社21において、遠隔モニタリングシステムで電力供給システム1における故障を検出する。または、各スマートメータ11a、11b、11c・・・11d、11eの検出値の変化から故障を予測する。これにより、分散型電源からの供給電力が低下し、自家消費電力量が低下することを防止する。
【0066】
また、本実施形態においては、電気事業者20との基本契約料金を低下させることが重要である。この為には、以下の施策が考えられる。
(1)太陽光発電と需要予測と蓄電池制御でピークカット
日付や、曜日、日の出時刻、日の入り時刻、温度、湿度などのデータ、および、サーバから取得される天気予報に基づいて、現在の時点から所定の時刻ごとに、専有部12a、12b、12c・・・、共用部13における消費電力を予測する。この予測消費電力に対して分散型電源による発電電力の不足を最小にするように、蓄電池14の充電率を制御することで、買電電力の最大値を低減しピークカットする。これにより、電気事業者との間の基本契約における最大消費電力を低く設定し、基本料金を削減する。
(2)時間によって、スマートメータの容量を変動させる
スマートメータ11a、11b、11c・・・11d、11eにおける設定を変更することで、柔軟に契約容量を変更することができる。従って、電力の需要予測を行い、調達電力量を予測し、時間によってスマートメータ11a、11b、11c・・・11d、11eの各々の容量を変動させる。これにより、常に必要最低限の容量で電気事業者20との契約を行うことができ、基本料金を削減することが可能となる。
【0067】
その他、電力供給システム1の運用について以下のようなバリエーションが考えられる。
(1)機器寿命を延ばす
複数の蓄電池14を使用する。これにより、各蓄電池14の充放電回数、充放電レートを減らす。
(2)親スマートメータ4a、4bとスマートメータ11a、11b、・・11eの遮断情報を検知し、故障個所(過電流、漏電)を判定する
(3)停電時、スマートメータ11a、11b、・・11eの容量を自動的に変更し、各入居者22が自立電源を使用する
(4)入居者22のスケジュール情報を取得し、当該情報から需要予測を行い、自家消費量を向上させる制御を行う
(5)消費電力の異常変化(不連続的な変化)から機器故障や入居者22の変化を推定する
【0068】
なお、上記の実施形態においては、複数の電力供給先を有する複合施設として、集合住宅1aを例示したが、本発明の対象となる複合施設は集合住宅には限られない。例えば、共同オフィス、工業団地等も対象となる。また、上記の実施形態においては分散型電源の
例として、太陽電池を例示したが、本発明の対象となる分散型電源は太陽電池に限られない、風力発電装置、地熱発電装置、バイオマス発電装置等の他の電源装置も含まれる。
【0069】
また、上記の実施形態においては、入居者への電気料金の請求を毎月行うものとして、当該請求の度に割引率も都度決定される例を示したが、割引率の決定は、電気料金の請求の度に行うのでなくともよい。入居者への電気料金の請求及び、割引率の決定は、所望のタイミングで行うことができる。例えば、割引率の決定を3カ月に一度行うこととし、その後2カ月は、当該決定した割引率を使用して電気料金の計算を行うのであってもよい。また、入居者への電気料金の請求も月次で行う必要はなく、数か月分を一度に請求するようにしてもよい。
【0070】
なお、以下には本発明の構成要件と実施形態の構成とを対比可能とするために、本発明の構成要件を図面の符号付きで記載しておく。
<発明1>
複数の電力供給先(12;96)を含む複合施設(1a;91)に電力を供給する電力供給システム(1;90)と共に用いられる情報処理装置(2;93)であって、
前記電力供給先毎の電気料金の支払い履歴の情報を取得する、支払履歴情報取得部(204;931)と、
前記電気料金の支払い履歴に応じて、前記電力供給先毎の前記電気料金に対する割引率を決定する、割引率決定部(205;932)と、
前記電力供給先毎の電力使用量の情報を取得する、電力使用量取得部(206;933)と、
少なくとも、前記割引率と、前記電力使用量と、を用いて、前記電力供給先毎に、請求すべき電気料金を算出する、電気料金算出部(201;934)と、
を備えることを特徴とする、情報処理装置。
<発明2>
複数の電力供給先を含む複合施設に電力を供給する電力供給システムの運用方法であって、
前記電力供給システムとともに用いられる情報処理装置において、前記電力供給先毎の電気料金の支払い履歴の情報を取得する、支払履歴情報取得ステップ(S101)、
前記情報処理装置において、前記電気料金の支払い履歴に応じて、前記電力供給先毎の前記電気料金に対する割引率を決定する、割引率決定ステップ(S102)と、
前記情報処理装置において、前記電力供給先毎の電力使用量の情報を取得する、電力使用量取得ステップ(S103)と、
前記情報処理装置において、少なくとも、前記割引率と、前記電力使用量と、を用いて、前記電力供給先毎に、請求すべき電気料金を算出する、電気料金算出ステップ(S104)と、
を有することを特徴とする、電力供給システムの運用方法。
【符号の説明】
【0071】
1・・・電力供給システム
1a・・・集合住宅
2・・・管理装置
3a、3b・・・系統
4a、4b・・・親スマートメータ
5・・・VPPコントローラ
6・・・LTEルータ
7・・・ハブ
8a、8b、8c・・・ゲートウェイ
9・・・第一分電盤
10・・・第二分電盤
11a、11b、11c、11d、11e・・・スマートメータ
12a、12b、12c・・・専有部
13・・・共用部
14・・・蓄電池
15・・・太陽電池
16・・・蓄電池パワコン
17・・・太陽電池パワコン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7