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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】画像処理システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20241217BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20241217BHJP
   H04L 12/46 20060101ALI20241217BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
G06F3/12 338
G06F3/12 322
G06F3/12 332
H04N1/00 127A
H04N1/00 127B
H04N1/00 838
H04L12/46 V
B41J29/38
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020202013
(22)【出願日】2020-12-04
(65)【公開番号】P2022089547
(43)【公開日】2022-06-16
【審査請求日】2023-11-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】南川 恭洋
【審査官】木村 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-048092(JP,A)
【文献】特開2008-040963(JP,A)
【文献】特開2018-200538(JP,A)
【文献】特開2017-228072(JP,A)
【文献】特表2015-537302(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/12
H04N 1/00
H04L 12/46
B41J 29/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
共用空間に設置され、同じ組織に属さない複数のユーザにより共用される画像処理装置に搭載の第1プロセッサと、
前記共用空間の外側のローカルエリアネットワークにVPN(Virtual Private Network)接続手段と共に設置される制御装置であって前記複数のユーザの中の一部のユーザが所属する組織が使用する制御装置に搭載の第2プロセッサと、
を有し、
前記第1プロセッサは、
前記VPN接続手段のアドレス情報を取得し、
取得したアドレス情報を用いて前記VPN接続手段に接続し、
前記第2プロセッサは、
前記画像処理装置の装置構成を示す装置情報を前記画像処理装置から前記VPN接続手段を介して取得し、
前記画像処理装置を使用しているユーザが属する組織に対応する前記画像処理装置の使用に関する契約情報を取得し、
前記装置情報及び前記契約情報に応じた処理を実行して前記第1プロセッサが実施する画像処理を制御する、
ことを特徴とする画像処理システム。
【請求項2】
前記第1プロセッサは、前記VPN接続手段のアドレス情報を、前記画像処理装置の利用者側から取得することを特徴とする請求項1に記載の画像処理システム。
【請求項3】
前記第1プロセッサは、前記VPN接続手段のアドレス情報を、前記画像処理装置に接続されているデータ読取手段に前記画像処理装置を使用しているユーザの携帯端末から読み取らせることで取得することを特徴とする請求項2に記載の画像処理システム。
【請求項4】
前記第1プロセッサは、前記VPN接続手段のアドレス情報を、前記共用空間の利用者を管理する管理サーバから取得することを特徴とする請求項1に記載の画像処理システム。
【請求項5】
前記第2プロセッサは、前記第1プロセッサが取得した前記契約情報を、前記第1プロセッサから前記VPN接続手段を介して取得することを特徴とする請求項1に記載の画像処理システム。
【請求項6】
前記第1プロセッサは、前記契約情報を、前記共用空間の利用者の管理に使用される管理サーバから取得することを特徴とする請求項5に記載の画像処理システム。
【請求項7】
前記第1プロセッサは、前記契約情報を、前記共用空間の外側に設置されている、当該契約情報を管理している管理業者のサーバから取得することを特徴とする請求項5に記載の画像処理システム。
【請求項8】
前記第1プロセッサは、前記契約情報を、前記画像処理装置の利用者側から取得することを特徴とする請求項5に記載の画像処理システム。
【請求項9】
前記第1プロセッサは、前記契約情報を、前記画像処理装置に接続されているデータ読取手段に前記画像処理装置を使用しているユーザの携帯端末から読み取らせることで取得することを特徴とする請求項8に記載の画像処理システム。
【請求項10】
前記第2プロセッサは、前記契約情報を、前記第1プロセッサを介することなく自ら取得することを特徴とする請求項1に記載の画像処理システム。
【請求項11】
前記第2プロセッサは、前記契約情報を、前記制御装置の内部に備える記憶手段から読み出すことで取得することを特徴とする請求項10に記載の画像処理システム。
【請求項12】
前記第2プロセッサは、前記契約情報を、当該契約情報を管理している管理業者のサーバから取得することを特徴とする請求項10に記載の画像処理システム。
【請求項13】
同じ組織に属さない複数のユーザにより共用される画像処理装置が設置されている共用空間の外側のローカルエリアネットワークにVPN接続手段と共に設置されるコンピュータであって前記複数のユーザの中の一部のユーザが所属する組織が使用するコンピュータに、
前記画像処理装置の装置構成を示す装置情報を前記画像処理装置から前記VPN接続手段を介して取得する機能、
前記画像処理装置を使用しているユーザが属する組織に対応する前記画像処理装置の使用に関する契約情報を取得する機能、
前記装置情報及び前記契約情報に応じた処理を実行して前記画像処理装置が実施する画像処理を制御する機能、
を実現させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、ローカルネットワーク内の画像処理装置とそのローカルネットワーク外側の制御装置を分離し、画像処理装置で実施される画像処理を、画像処理装置のハードウェアスペックや契約サービスに応じて制御装置側で実施する技術が提案されている。この技術を利用し、ある組織の制御装置が、複数の画像処理装置に対して同様の画像処理を実施するように制御すれば、当該組織に属するユーザは、どのローカルネットワークに設置されている画像処理装置を利用する場合でも、同じ使い勝手で各画像処理装置を利用することができる。
【0003】
ところで、近年では、働き方改革やリモートワークスの普及に伴い、コワーキングスペースやシェアオフィスなどといった企業横断のワーカ、フリーランス、学生などが利用するワークプレイスが拡大している。ワークプレイスの管理者は、画像処理装置をワークプレイスに設置して、ワークプレイスの利用者に対してサービスを提供している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-048092号公報
【文献】特開2011-040900号公報
【文献】特開2015-099552号公報
【文献】特開2016-144152号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
共用空間に設置されている画像処理装置を、同じ組織に属さない複数のユーザで共用する場合、セキュリティなどの問題は発生しうるが、特許文献1では、共用空間に設置されている画像処理装置の利用に関しては言及していない。
【0006】
本発明は、共用空間に設置され、同じ組織に属さない複数のユーザにより共用される画像処理装置が実施する画像処理を、共有環境の外側から制御できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る画像処理システムは、共用空間に設置され、同じ組織に属さない複数のユーザにより共用される画像処理装置に搭載の第1プロセッサと、前記共用空間の外側のローカルエリアネットワークにVPN(Virtual Private Network)接続手段と共に設置される制御装置であって前記複数のユーザの中の一部のユーザが所属する組織が使用する制御装置に搭載の第2プロセッサと、を有し、前記第1プロセッサは、前記VPN接続手段のアドレス情報を取得し、取得したアドレス情報を用いて前記VPN接続手段に接続し、前記第2プロセッサは、前記画像処理装置の装置構成を示す装置情報を前記画像処理装置から前記VPN接続手段を介して取得し、前記画像処理装置を使用しているユーザが属する組織に対応する前記画像処理装置の使用に関する契約情報を取得し、前記装置情報及び前記契約情報に応じた処理を実行して前記第1プロセッサが実施する画像処理を制御することを特徴とする。
【0008】
また、前記第1プロセッサは、前記VPN接続手段のアドレス情報を、前記画像処理装置の利用者側から取得することを特徴とする。
【0009】
また、前記第1プロセッサは、前記VPN接続手段のアドレス情報を、前記画像処理装置に接続されているデータ読取手段に前記画像処理装置を使用しているユーザの携帯端末から読み取らせることで取得することを特徴とする。
【0010】
また、前記第1プロセッサは、前記VPN接続手段のアドレス情報を、前記共用空間の利用者を管理する管理サーバから取得することを特徴とする。
【0011】
また、前記第2プロセッサは、前記第1プロセッサが取得した前記契約情報を、前記第1プロセッサから前記VPN接続手段を介して取得することを特徴とする。
【0012】
また、前記第1プロセッサは、前記契約情報を、前記共用空間の利用者の管理に使用される管理サーバから取得することを特徴とする。
【0013】
また、前記第1プロセッサは、前記契約情報を、前記共用空間の外側に設置されている、当該契約情報を管理している管理業者のサーバから取得することを特徴とする。
【0014】
また、前記第1プロセッサは、前記契約情報を、前記画像処理装置の利用者側から取得することを特徴とする。
【0015】
また、前記第2プロセッサは、前記契約情報を、前記画像処理装置に接続されているデータ読取手段に前記画像処理装置を使用しているユーザの携帯端末から読み取らせることで取得することを特徴とする。
【0016】
また、前記第2プロセッサは、前記契約情報を、前記第1プロセッサを介することなく自ら取得することを特徴とする。
【0017】
また、前記第2プロセッサは、前記契約情報を、前記制御装置の内部に備える記憶手段から読み出すことで取得することを特徴とする。
【0018】
また、前記第2プロセッサは、前記契約情報を、当該契約情報を管理している管理業者のサーバから取得することを特徴とする。
【0019】
本発明に係るプログラムは、同じ組織に属さない複数のユーザにより共用される画像処理装置が設置されている共用空間の外側のローカルエリアネットワークにVPN接続手段と共に設置されるコンピュータであって前記複数のユーザの中の一部のユーザが所属する組織が使用するコンピュータに、前記画像処理装置の装置構成を示す装置情報を前記画像処理装置から前記VPN接続手段を介して取得する機能、前記画像処理装置を使用しているユーザが属する組織に対応する前記画像処理装置の使用に関する契約情報を取得する機能、前記装置情報及び前記契約情報に応じた処理を実行して前記画像処理装置が実施する画像処理を制御する機能、を実現させる。
【発明の効果】
【0020】
請求項1に記載の発明によれば、共用空間に設置され、同じ組織に属さない複数のユーザにより共用される画像処理装置が実施する画像処理を、共有環境の外側から制御することができる。
【0021】
請求項2に記載の発明によれば、VPN接続手段のアドレス情報を、共有空間の管理者側に保持管理させなくて済む。
【0022】
請求項3に記載の発明によれば、VPN接続手段のアドレス情報を、画像処理装置を使用しているユーザに入力させることができる。
【0023】
請求項4に記載の発明によれば、共用空間にいるユーザに、VPN接続手段のアドレス情報を保持させなくて済む。
【0024】
請求項5に記載の発明によれば、契約情報を第1プロセッサに取得させることができる。
【0025】
請求項6に記載の発明によれば、共用空間にいるユーザに、契約情報を保持させなくて済む。
【0026】
請求項7に記載の発明によれば、契約情報の管理元から契約情報を取得することができる。
【0027】
請求項8に記載の発明によれば、契約情報を、共有空間の管理者側に保持管理させなくて済む。
【0028】
請求項9に記載の発明によれば、契約情報を、画像処理装置を使用しているユーザに入力させることができる。
【0029】
請求項10に記載の発明によれば、契約情報を主体的に動作して取得することができる。
【0030】
請求項11に記載の発明によれば、契約情報を内部に保持している記憶手段から取得することができる。
【0031】
請求項12に記載の発明によれば、契約情報の管理元から契約情報を直接取得することができる。
【0032】
請求項13に記載の発明によれば、共用空間に設置され、同じ組織に属さない複数のユーザにより共用される画像処理装置が実施する画像処理を、共有環境の外側から制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】実施の形態1における画像処理システムを示すブロック構成図である。
図2】実施の形態1におけるユーザ管理情報記憶部に記憶されるユーザ管理情報のデータ構成の一例を示す図である。
図3】実施の形態1における画像処理制御の概略的な処理を示すフローチャートである。
図4】実施の形態1においてVPN接続時に実施される処理を示すシーケンス図である。
図5】実施の形態1において画像処理制御時に実施される処理を示すシーケンス図である。
図6】実施の形態2における画像処理システムを示すブロック構成図である。
図7】実施の形態2においてVPN接続時に実施される処理を示すシーケンス図である。
図8】実施の形態3における画像処理システムを示すブロック構成図である。
図9】実施の形態3においてVPN接続時に実施される処理を示すシーケンス図である。
図10】実施の形態4においてVPN接続時に実施される処理を示すシーケンス図である。
図11】実施の形態5における画像処理システムを示すブロック構成図である。
図12】実施の形態5においてVPN接続時に実施される処理を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、図面に基づいて、本発明の好適な実施の形態について説明する。
【0035】
実施の形態1.
図1は、本発明に係る画像処理システムの一実施の形態を示すブロック構成図である。図1には、コワーキングLAN(Local Area Network)システム100及び企業LANシステム200がインターネット等で構成されるネットワーク1で接続された構成が示されている。本実施の形態における画像処理システムは、ハードウェアとしては、従前からあるコンピュータ等を組み合わせることで実現でき、後述するように、各コンピュータで動作するソフトウェアによって、本実施の形態における特徴的な画像処理の制御を実現する。
【0036】
コワーキングLANシステム100は、コワーキングスペースに設置されているLANシステムである。本実施の形態において、「共用空間」は、同じ組織に属さない複数のユーザが混在する空間であり、例えばコワーキングスペース、シェアオフィス等である。同じ組織に属さない複数のユーザは、共有空間に設置された画像処理装置を共用する。本実施の形態では、共有空間としてコワーキングスペースを例にして説明する。
【0037】
「組織」というのは、特定の目的を達成するために構成された集団のことを意味する。仮に、いずれの組織にも属さないユーザがコワーキングスペースを利用するとしたならば、コワーキングスペースは、異なる組織に属する複数のユーザというよりむしろ、同じ組織に属さない複数のユーザにより共用される空間ということができる。本実施の形態では、説明の便宜上、コワーキングスペースの利用者は、いずれかの組織に属しているものとする。また、本実施の形態では、組織として企業を例にして説明する。従って、以降の説明においては、「組織」と「企業」は同義に用いる。なお、組織としては、他にも例えば大学等の教育機関がある。
【0038】
企業LANシステム200は、企業に設置されるLANシステムである。「企業」は、前述したように、コワーキングスペースを利用する複数のユーザの中の一部のユーザが所属する組織の一例である。複数のユーザの中の一部のユーザというのは、1又は複数のユーザであって同じ組織に所属するユーザのことをいう。コワーキングLANシステム100は、複数の企業それぞれに属するユーザによって利用されるため、各ユーザが属する企業毎に企業LANシステム200が構築され、ネットワーク1に接続されている。ただ、各企業の企業LANシステム200は、図1に示す構成を有しており、後述する画像処理の制御を行うので、図1では、一企業の企業LANシステム200のみを示している。
【0039】
本実施の形態におけるコワーキングLANシステム100は、画像処理装置110及びユーザ管理サーバ120をLAN130で接続して構成される。
【0040】
画像処理装置110は、コワーキングスペースに設置され、コワーキングスペースの利用者のみに使用される。より詳細には、画像処理装置110は、コワーキングスペースの管理者との間で契約している組織に属するユーザが利用可能である。画像処理装置110は、複数の組織それぞれに属するユーザ、換言すると同じ組織に属さない複数のユーザにより共用される。
【0041】
画像処理装置110は、画像形成装置とも呼ばれ、印刷機能、コピー機能、スキャナ機能等各種画像処理を伴う機能を搭載した複合機であり、コンピュータを内蔵した装置である。画像処理装置110は、第1プロセッサとしてのCPU、ROM、RAM、HDD、用紙などの媒体上の画像を読み取る画像読取デバイスとしてのスキャナ、媒体上に画像を形成する画像形成デバイスとしてのプリントエンジン、ユーザからの指示の受け付け、情報の表示を行う操作パネル、ネットワーク1及びLAN130などの通信線を接続するネットワークインタフェースを備える。更に、画像処理装置110は、USBメモリ、フラッシュメモリ等の外部メモリ機器を接続する外部メディアインタフェース、モバイル端末との間で近距離無線通信を行うための無線通信手段を備えてもよい。
【0042】
本実施の形態において、「画像処理」というのは、画像に関して直接実施する形成、読み取り等の処理のみならず、より広義に捉え、画像の形成、読取等の画像処理を実施するための前処理(例えば、画像を取得する処理等)や後処理(例えば、画像の保存処理等)を含む。
【0043】
画像処理装置110は、画像処理部111、VPN接続部112及び情報取得部113を有している。画像処理部111は、ユーザからの要求に応じて、装置情報及び契約情報に基づく制御装置220による制御に従って画像処理を実行する。画像処理部111は、画像処理装置110が備えるハードウェア及びソフトウェアに従って各種画像処理機能を提供する。但し、コワーキングスペースの利用が許可されている各ユーザは、画像処理装置110が提供する全ての機能を利用できるとは限らず、コワーキングスペースの利用に関する契約情報に規定された範囲内で機能を利用できる。
【0044】
VPN接続部112は、ユーザからの要求に応じて、当該ユーザが属する企業の企業LANシステム200に設置されているVPNルータ210のアドレス情報(例えば、IPアドレス)を取得し、当該ユーザが属する企業LANシステム200との間でVPN接続する。本実施の形態では、二者間、すなわち本実施の形態の場合、コワーキングLANシステム100と企業LANシステム200とをVPNによって通信可能に接続することを「VPN接続」という。また、VPN接続部112は、解除要求に応じて接続されているVPNを切断する。情報取得部113は、詳細は後述するように、VPN接続及び画像処理の制御に必要な情報を取得する。
【0045】
画像処理装置110における各構成要素111~113は、画像処理装置110に搭載されるコンピュータと、コンピュータに搭載されたCPUで動作するプログラムとの協調動作により実現される。
【0046】
ユーザ管理サーバ120は、契約によりコワーキングスペースの利用が許可されているユーザを管理するために用いられるサーバである。ユーザ管理サーバ120は、ユーザ管理情報記憶部121を有している。ユーザ管理情報記憶部121は、画像処理装置110に搭載されたHDDにて実現してよい。
【0047】
図2は、本実施の形態におけるユーザ管理情報記憶部121に記憶されるユーザ管理情報のデータ構成の一例を示す図である。本実施の形態におけるユーザ管理情報は、組織ID、認証情報、接続情報、制御装置アドレス及び契約情報を含んでいる。組織IDは、コワーキングスペースの管理者と契約している組織の識別情報である。認証情報は、当該組織において画像処理装置110を利用する際に必要な情報、すなわち画像処理装置110にログインする際に必要な情報であって、画像処理装置110を利用する個人毎に設定されている。本実施の形態におけるユーザ管理サーバ120は、認証情報を保持管理することで、認証サーバとしての機能を有する。接続情報は、企業LANシステム200と接続するために必要な情報を含んでいる。接続情報に含まれるVPNルータアドレスには、当該組織の企業LANシステム200に設置されているVPNルータのIPアドレスがアドレス情報として設定される。認証データには、VPNルータとの接続を確立するために必要な認証データが設定される。認証データは、ユーザ証明書、パスコードなどVPNルータのポリシーによって定められる。接続情報には、少なくともVPNルータのアドレス情報を含めるようにしてもよい。制御装置アドレスには、制御装置220のIPアドレスが設定される。契約情報は、コワーキングスペースの管理者と企業との間でされた契約に関する情報である。契約情報には、当該組織のユーザが利用可能なサービスの内容を示すサービス情報などが含まれる。例えば、画像処理装置110がカラーモードとしてカラー印刷及び白黒印刷の機能を有していても、契約上、白黒印刷しか使用が許可されていない企業に属するユーザに対しては、白黒印刷のみ使用を許容する。
【0048】
企業LANシステム200は、VPNルータ210及び制御装置220をLAN230で接続して構成される。
【0049】
VPNルータ210は、外部のネットワークシステム、本実施の形態の場合、コワーキングLANシステム100をVPN接続する。そして、本実施の形態におけるVPNルータ210は、VPN接続されたコワーキングLANシステム100に含まれる画像処理装置110と制御装置220との間でやりとりされるデータの中継を行う。
【0050】
制御装置220は、画像処理装置110で実行される画像処理の制御を行う。制御装置220は、パーソナルコンピュータ(PC)等の従前から存在する汎用的なハードウェア構成で実現できる。すなわち、画像処理装置110は、第2プロセッサとしてのCPU、ROM、RAM、HDD、ユーザからの指示の受け付け、情報の表示を行う操作パネル等ユーザインタフェース、ネットワーク1及びLAN230などの通信線を接続するネットワークインタフェースを備える。
【0051】
制御装置220は、装置情報取得部221、契約情報取得部222、ユーザ認証部223及び画像処理制御部224を有している。装置情報取得部221は、画像処理装置110の装置構成を示す装置情報を画像処理装置110からVPNルータ210を介して取得する。装置情報は、画像処理装置110の装置構成を示す情報である。装置情報には、例えば、画像処理装置110が備えるハードウェア構成やソフトウェア構成などを示す仕様情報が含まれてもよいし、画像処理装置110が備えるハードウェア構成やソフトウェア構成によって実現される機能やサービスなどの能力を示す能力情報が装置情報に含まれてもよい。
【0052】
契約情報取得部222は、当該組織(本実施の形態においては「企業」)の、画像処理装置110の利用に関する契約情報を取得する。本実施の形態における契約情報取得部222は、画像処理装置110が取得した契約情報を、画像処理装置110からVPNルータ210を介して取得する。
【0053】
ユーザ認証部223は、画像処理装置110を利用している当該企業に属するユーザの認証を行う。画像処理制御部224は、装置情報及び契約情報に応じて画像処理装置110における画像処理の実行を制御する。
【0054】
制御装置220における各構成要素221~224は、制御装置220を形成するコンピュータと、コンピュータに搭載されたCPUで動作するプログラムとの協調動作により実現される。
【0055】
また、本実施の形態で用いるプログラムは、通信手段により提供することはもちろん、CD-ROMやUSBメモリ等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して提供することも可能である。通信手段や記録媒体から提供されたプログラムはコンピュータにインストールされ、コンピュータのCPUがプログラムを順次実行することで各種処理が実現される。
【0056】
次に、本実施の形態における動作について説明する。まず、本実施の形態において、制御装置220が画像処理装置110における画像処理を制御する概略的な処理について図3に示すフローチャートを用いて説明する。なお、処理の詳細については後述する。
【0057】
コワーキングスペースにいるユーザが画像処理装置110の利用を開始したい場合、画像処理装置110に認証情報を入力する。画像処理装置110は、ユーザ管理情報を参照し、入力された認証情報に基づいてユーザ認証を行う(ステップ110)。ここで行うユーザ認証は、画像処理装置110の利用のためのユーザ認証というよりむしろ、VPN接続先とするVPNルータ210を特定するための認証という位置付けである。なお、ここでは、認証に成功したものとして説明を続ける。
【0058】
続いて、画像処理装置110における情報取得部113は、ユーザ管理情報を参照し、認証に成功したユーザが属する組織に対応する接続情報を取得する(ステップ120)。より具体的には、画像処理装置110にログインして使用を開始するユーザが属する企業の企業LANシステム200に設置されているVPNルータ210のIPアドレスを取得する。本実施の形態においては、VPNルータアドレスを含む接続情報を、コワーキングLANシステム100に含まれるユーザ管理サーバ120に予め登録設定しておき、情報取得部113は、接続情報をユーザ管理サーバ120から取得することになる。
【0059】
続いて、VPN接続部112は、取得された接続情報を用いて、画像処理装置110とVPNルータ210との間でVPNの接続を確立する(ステップ130)。なお、VPNの接続手順は、従前と同じでよい。
【0060】
以上の処理(ステップ110~130)によって、コワーキングスペースに設置されている画像処理装置110と、画像処理装置110における画像処理を外部から制御する制御装置220とは、VPNを介してセキュアにデータ通信が可能となる。
【0061】
続いて、制御装置220は、次のようにして画像処理装置110における画像処理を制御する。
【0062】
まず、制御装置220において、装置情報取得部221は、画像処理装置110から装置情報を取得すると共に、契約情報取得部222は、契約情報を取得する(ステップ140)。契約情報の取得に関する処理の詳細については、後述する。
【0063】
そして、画像処理制御部224は、取得された装置情報及び契約情報に応じて画像処理装置110における画像処理機能を有効化する(ステップ150)。そして、画像処理制御部224は、有効化した機能の範囲内において画像処理装置110が画像処理させるよう制御する。換言すると、画像処理装置110における画像処理部111は、ユーザからの指示に応じて画像処理を実行するが(ステップ160)、その画像処理の実行は、画像処理制御部224による制御のもと実行される。そして、ユーザから画像処理の終了が指示されるまで(ステップ170でN)、画像処理は継続され、ユーザから画像処理の終了が指示されると(ステップ170でY)、処理は終了する。
【0064】
以下、VPN接続後に実行される処理(ステップ140~170)の詳細について説明する。
【0065】
図1には図示していないが、クラウド上にプログラム管理サーバが設けられている。プログラム管理サーバは、複数の画像処理プログラムを管理している。各画像処理プログラムには、当該プログラムを利用可能なユーザの識別情報(例えば、ユーザID)が対応付けられている。
【0066】
プログラム管理サーバは、画像処理装置110から認証情報を取得すると、認証情報に含まれるユーザIDに対応した画像処理プログラムへのアクセスパス(例えば、URLやIPアドレスやポート番号など)を画像処理装置110に返信する。
【0067】
なお、ここで用いる認証情報は、画像処理装置110にログインして使用するための認証情報である。ステップ110において用いる認証情報は、正しいVPN接続先を選定するために用いる認証情報である。本実施の形態では、便宜的にユーザ管理サーバ120が管理する認証情報を共通して用いるが、必ずしもVPN接続用と画像処理装置110のログイン用とで同じ認証情報を用いる必要はない。
【0068】
画像処理装置110は、ユーザID及びプログラム管理サーバから取得したアクセスパスを利用して、制御装置220に対して画像処理プログラムへの接続要求を送信する。画像処理装置110から制御装置220への接続要求には、例えばHTTPS(Hypertext Transfer Protocol Secure)が利用されてもよい。
【0069】
制御装置220は、画像処理装置110から画像処理プログラムへの接続要求を受け付けると、ユーザ認証を行い、認証に成功すると、その接続要求に対するレスポンスとして、制御装置220から画像処理装置110へ接続成功を示す情報を返信する。より詳細には、制御装置220は、取得したアクセスパスを用いてプログラム管理サーバから使用予約として取得したアクセスキーと、画像処理装置110から受け付けた接続要求に含まれるアクセスキーが一致する場合に、画像処理装置110に対して接続成功を示す情報を返信する。
【0070】
接続成功の情報が返信されると、画像処理装置110は、画像処理プログラムを実行する制御装置220に対して、ステップ140で実行する、画像処理装置110自身の装置構成を示す装置情報を送信する。
【0071】
制御装置220における画像処理制御部224は、以上のようにしてプログラム管理サーバが管理する画像処理プログラムに従って、画像処理装置110が備えるプリントエンジンやスキャナなどのデバイスを制御することにより、画像処理装置110における画像処理の実行を制御する。
【0072】
すなわち、制御装置220における画像処理制御部224は、接続された画像処理プログラムを実行することで、装置情報及び契約情報に基づいて画像処理装置110に提供する機能やサービスなどを判断し、提供する機能やサービスに応じたユーザインタフェース画像の画像データを画像処理装置110へ提供する。更に、画像処理制御部224は、提供する機能やサービスに応じて、画像処理装置110による動作を制限する。
【0073】
例えば、装置情報を参照することで、画像処理装置110が白黒の印刷機能とカラーの印刷機能の両方を備えていることが判明した場合、画像処理制御部224は、白黒印刷の操作ボタンとカラー印刷の操作ボタンを含むユーザインタフェース画像を画像処理装置110へ提供することによって、ユーザ操作に応じて白黒印刷またはカラー印刷の実行を制御する。
【0074】
また、例えば、画像処理装置110が白黒の印刷機能とカラーの印刷機能の両方を備えていても、契約情報を参照することによってユーザが白黒印刷のサービスのみを契約し、カラー印刷のサービスを契約していないことが判明した場合、白黒印刷の操作ボタンを有効とし、カラー印刷の操作ボタンを無効とするユーザインタフェース画像を画像処理装置110へ提供することによって、カラー印刷の実行が制限(禁止)されるよう制御してもよい。カラー印刷の操作ボタンを無効にするために、例えば、操作ボタンを表示させないようにしたり、選択不能を示すよう表示色を薄く表示させたりするなどの方法を用いてもよい。
【0075】
ユーザインタフェース画像が提供されると、画像処理装置110における画像処理部111は、タッチパネルなどの表示デバイス上にユーザインタフェース画像を表示させる。そして、例えばユーザインタフェース画像を介して得られるユーザからの操作に応じた処理が実行される。
【0076】
ユーザ操作があると、画像処理部111は、そのユーザ操作の操作情報を制御装置220へ送信する。操作情報には、例えば、タッチパネルに対する操作の種別(例えば、タッチ操作またはリリース操作など)を示すタッチ情報や、タッチ情報に対応した操作がなされたタッチパネル上の位置を示す座標情報などが含まれる。画像処理部111は、操作情報を例えばHTTPリクエストとして制御装置220へ送信する。
【0077】
操作情報を受信すると、制御装置220における画像処理制御部224は、その操作情報に応じた処理を実行することによって画像処理装置110における画像処理を制御する。画像処理制御部224は、例えば、画像処理装置110から得た操作情報に従って、必要に応じてユーザインタフェース画像を更新し、更新後のユーザインタフェース画像を画像処理装置110に提供する。なお、例えば、複数の操作情報が連続的に得られた場合、画像処理制御部224は、ユーザインタフェース画像に関する更新の一部を省略して描画処理の負荷を低減させてもよい。
【0078】
ユーザが所望の画像処理を終えた後に、画像処理プログラムの接続を解除する操作を行うと、画像処理装置110は、接続されている画像処理プログラムを切断する。これにより、図3に示す画像処理が終了する。
【0079】
以上が画像処理装置110と制御装置220とをVPN接続し、画像処理の実行を制御する処理の概要について説明した。次に、本実施の形態においてVPN接続時に実施される処理の詳細について、図4に示すシーケンス図を用いて説明する。図4に示す処理は、図3に示すフローチャートのステップ101~103の処理の詳細に対応する。なお、各実施の形態の説明から明らかになるように、シーケンス図で示す詳細な処理の順番は、実施の形態によってはステップ101~103に示す概略的な処理の順番と合致するとは限らない。
【0080】
コワーキングスペースにいるユーザが画像処理装置110の利用を開始したい場合、ユーザは、画像処理装置110の操作パネルを操作して表示させた所定の画面から、認証情報としてユーザID及びパスワードを入力する。画像処理装置110は、入力されたユーザID及びパスワードの組を、ユーザ管理情報に登録されている認証情報と照合することでユーザ認証を行う(ステップ111)。ここでは、認証に成功したものとして説明を続ける。
【0081】
続いて、情報取得部113は、認証に成功したユーザIDを含むアドレス取得要求をユーザ管理サーバ120へ送信する(ステップ121)。ユーザ管理サーバ120は、送信されてきたアドレス取得要求に応じて、アドレス取得要求に含まれているユーザIDに対応する接続情報をユーザ管理情報から読み出し返信する(ステップ122)。このように、本実施の形態においては、接続情報をユーザ管理サーバ120に予め登録しておき、VPN接続時にユーザ管理サーバ120から取得するよう処理する。
【0082】
情報取得部113が以上のようにして接続情報を取得すると、VPN接続部112は、取得された接続情報に含まれているIPアドレスで特定されるVPNルータ210宛に、接続情報に含まれている認証データを含むVPN接続要求を送信する(ステップ131)。
【0083】
VPNルータ210は、画像処理装置110から送信されてくると、認証データに基づきVPN接続のための認証を行う(ステップ132)。認証に成功すると、VPNルータ210は、その旨を返信する。これにより、画像処理装置110は、VPNルータ210との間でVPNの接続が確立される(ステップ133)。
【0084】
続いて、VPN接続後の画像処理制御時に実施される処理について、図5に示すシーケンス図を用いて説明する。図5に示す処理は、図3に示すフローチャートのステップ104~107の処理の詳細に該当する。
【0085】
画像処理装置110において、情報取得部113は、認証に成功したユーザIDを含む組織情報取得要求をユーザ管理サーバ120へ送信する(ステップ141)。ユーザ管理サーバ120は、送信されてきた組織情報取得要求に応じて、組織情報取得要求に含まれているユーザIDに対応する制御装置アドレス及び契約情報をユーザ管理情報から読み出し返信する(ステップ142)。
【0086】
続いて、画像処理装置110は、制御装置220による画像処理制御を受けるために実行する画像処理プログラムと接続するために、前述したようにユーザIDを含む画像処理プログラムとの接続要求を制御装置220へ送信する(ステップ143)。送信先とする制御装置220は、ステップ142で取得した制御装置アドレスで特定できる。画像処理プログラムとの接続に関する処理は、上記においてすでに説明しているので、ここでの説明は省略する。
【0087】
ユーザ認証に成功し、画像処理プログラムへの接続が成功すると、画像処理装置110は、内部に保持している自装置の装置情報と、ステップ142で取得した契約情報を制御装置220へ送信する(ステップ144)。
【0088】
制御装置220において、VPNルータ210を介して画像処理装置110から送信されてくる装置情報を装置情報取得部221が取得し、契約情報を契約情報取得部222が取得すると、画像処理制御部224は、装置情報及び契約情報に応じて、画像処理装置110にログインしたユーザに特化した画像処理機能を有効化する(ステップ151)。その後、画像処理部111は、ユーザ操作に応じて画像処理を実施することになるが(ステップ161)、画像処理制御部224は、装置情報及び契約情報に従って、ユーザ操作に応じて画像処理部111が実施する画像処理の制御を行う(ステップ162)。画像処理の制御の内容については、上記においてすでに説明しているので、ここでの説明は省略する。そして、画像処理が終了すると、画像処理装置110は、接続されている画像処理プログラムを切断する(ステップ163)。
【0089】
本実施の形態によれば、以上のようにして、画像処理装置110にログインして使用するユーザが属する企業の企業LANシステム200とVPN接続することによってセキュアな通信を確保することができる。また、ユーザが属する企業の企業LANシステム200に含まれる制御装置220に画像処理装置110における画像処理の制御を行わせる際に、コワーキングLANシステム100側で管理されている装置情報及び契約情報をコワーキングLANシステム100から取得するようにしたので、画像処理装置110の仕様及び画像処理装置110を使用するユーザが属する企業の契約情報に従った範囲で、画像処理装置110を当該ユーザに使用させることができる。
【0090】
ところで、上記説明において言及していなかったVPNの切断について、ここで説明する。VPNは、以下に説明するいずれかのタイミングで切断すればよい。
【0091】
例えば、ユーザが画像処理装置110からログアウトするタイミングでVPNを切断すると共にVPN接続に関する情報を画像処理装置110から削除する。この場合、企業LANシステム200の制御装置220にアクセスする必要がなくなったタイミングでVPNを切断すると共に情報をVPNの接続に関する情報を破棄することになるので、セキュリティ上、安全である。
【0092】
また、VPNの接続に関する情報を指定された一定時間保持するようにしてもよい。いわゆるVPNの接続に関する情報をキャッシュする。つまり、ログアウトしてから一定時間経過していない間、VPN接続に関する情報を画像処理装置110に一時保持させておく。そして、ログアウトしたユーザが一定時間、経過する前に再度ログインした場合、一時保持していた情報を活用してVPN接続する。これにより、VPNルータ210のアドレスを取得するなどの処理を省略することができる。
【0093】
あるいは、各ユーザの入退室の時刻を管理しているコワーキングスペースの場合、画像処理装置110を使用したユーザがコワーキングスペースから退室したタイミングでVPNの接続に関する情報を画像処理装置110から破棄するようにしてもよい。これにより、ユーザが退室するまでの間、画像処理装置110を使用する度にVPNルータ210のアドレスを取得するなどの処理を省略することができる。
【0094】
なお、一定時間の始期は、ユーザがログアウトした時点を想定しているが、これに限らず、例えば直前にログインした時点や画像処理を終了した時点などを始期としてもよい。
【0095】
実施の形態2.
図6は、本実施の形態における画像処理システムを示すブロック構成図である。実施の形態1における画像処理システムと同じ構成要素には、同じ符号を付け説明を省略する。本実施の形態における画像処理システムは、実施の形態1に示す画像処理装置110にリーダ140を接続した構成を有している。また、図6には、コワーキングスペースを利用するユーザが携帯するユーザ端末150が示されている。リーダ140は、NFC(Near Field Communication)に基づく近距離無線通信機能を有しており、近接したユーザ端末150に記憶されている情報を読み取るデータ読取手段として機能する。近距離無線通信機能は、NFCに限らず、その他の通信規格、例えばBluetooth(登録商標)やWi-Fi(登録商標)などで実現してもよい。また、接触型の無線通信や有線による通信を採用してもよい。画像処理装置110にリーダ140が備え付けられている場合、既設のリーダ140を利用してもよい。
【0096】
ユーザ端末150には、実施の形態1において説明した接続情報が登録されている。そのため、本実施の形態におけるユーザ管理サーバ120のユーザ管理情報記憶部121には、図2に示した接続情報を事前に登録しておく必要がない。
【0097】
本実施の形態において、制御装置220が画像処理装置110における画像処理を制御する概略的な処理(図3)及びVPN接続後に実施される処理(図5)は、実施の形態1と同じでよい。本実施の形態では、接続情報を、ユーザ管理サーバ120ではなくユーザ端末150から取得するようにしたので、VPN接続時に実施される処理が実施の形態1と若干異なる。以下、本実施の形態においてVPN接続時に実施される処理の詳細について、図7に示すシーケンス図を用いて説明する。なお、図4に示す実施の形態1と同じ処理には、同じステップ番号を付けて、説明を適宜省略する。
【0098】
コワーキングスペースにいるユーザが画像処理装置110の利用を開始したい場合、ユーザは、携帯しているユーザ端末150とリーダ140とが通信可能な位置までリーダ140に近づく。あるいは、ユーザ端末150を通信可能な位置までリーダ140に近づける。そして、ユーザ端末150に表示されている画面の所定のアプリケーションを選択するなどのタップ操作をする。その後、ユーザは、ユーザ端末150をリーダ140にかざすようにしてもよい。ユーザ端末150がこのユーザ操作を受け付けると(ステップ123)、リーダ140は、このユーザ操作に応じて、アプリケーションと連携して、ユーザ端末150の内部に記憶されているユーザID、パスワード及び接続情報を読み取る。情報取得部113は、以上のように情報をリーダ140に読み取らせることで、ユーザID、パスワード及び接続情報をユーザ端末150から取得する。
【0099】
画像処理装置110は、ユーザ端末150から取得したユーザID及びパスワードの組を、ユーザ管理情報に登録されている認証情報と照合することでユーザ認証を行う(ステップ111)。ここでは、認証に成功したものとして説明を続ける。
【0100】
情報取得部113がユーザ端末150から接続情報を取得すると、VPN接続部112は、実施の形態1と同様に、取得された接続情報に含まれているIPアドレスで特定されるVPNルータ210宛に、接続情報に含まれている認証データを含むVPN接続要求を送信する(ステップ131)。なお、この後の処理は、実施の形態1と同じなので、説明を省略する。
【0101】
実施の形態1では、ユーザが接続情報を記憶しているユーザ端末150を携帯していなくても、またコワーキングLANシステム100側にデータ読取手段を用意しなくてもVPN接続を行うことができる。換言すると、本実施の形態によれば、ユーザが携帯するユーザ端末150から接続情報を取得するようにしたので、接続情報をユーザ管理サーバ120などによってコワーキングLANシステム100側に保持管理させなくてもすむ。
【0102】
なお、本実施の形態では、コワーキングLANシステム100側ではなくコワーキングLANシステム100の利用者側に接続情報を持たせ、コワーキングLANシステム100の利用者側から接続情報を取得するようにした。その一例として、前述したように、ユーザがユーザ端末150を携帯しているのであれば、そのユーザ端末150に接続情報を記憶させるようにし、リーダ140に読み取らせるようにした。ただ、この方法に限る必要はなく、例えば、ユーザ端末150を携帯していないユーザであれば、画像処理装置110の操作パネル等のユーザインタフェースを操作して、接続情報をユーザに入力させるようにしてもよい。
【0103】
実施の形態3.
図8は、本実施の形態における画像処理システムを示すブロック構成図である。実施の形態1における画像処理システムと同じ構成要素には、同じ符号を付け説明を省略する。本実施の形態における画像処理システムは、実施の形態1に示す画像処理装置110に保守サーバ2を追加した構成を有している。
【0104】
保守サーバ2は、コワーキングLANシステム100の外部において、コワーキングスペースの管理者との契約に従って、コワーキングスペースの利用者が属する組織の契約情報を保持、管理するために用いられるサーバコンピュータである。保守サーバ2は、契約に従ってコワーキングLANシステム100からアクセス可能にネットワーク1に接続されている。
【0105】
すなわち、制御装置220は、VPNルータ210を介して契約情報を画像処理装置110から取得するが、実施の形態1では、契約情報をユーザ管理サーバ120に保持させ、画像処理装置110は、契約情報をユーザ管理サーバ120から取得するようにした。本実施の形態においては、ユーザ管理サーバ120からではなく保守サーバ2から取得するようにしたことを特徴としている。このため、本実施の形態におけるユーザ管理情報は、図2に示すユーザ管理情報から契約情報を除外したデータ構成を有している。保守サーバ2は、各組織の組織IDに契約情報を対応付けして保持管理する。
【0106】
本実施の形態において、制御装置220が画像処理装置110における画像処理を制御する概略的な処理(図3)は実施の形態1と同じでよい。また、VPN接続する処理は、実施の形態1又は実施の形態2のいずれを採用してもよい。以下、本実施の形態において、VPN接続後の画像処理制御時に実施される処理について、図9に示すシーケンス図を用いて説明する。なお、図5に示す実施の形態1と同じ処理には、同じステップ番号を付けて、説明を適宜省略する。
【0107】
画像処理装置110において、情報取得部113は、認証に成功したユーザIDを含む組織情報取得要求をユーザ管理サーバ120へ送信する(ステップ141)。本実施の形態におけるユーザ管理サーバ120は、送信されてきた組織情報取得要求に応じて、組織情報取得要求に含まれているユーザIDに対応する組織IDをユーザ管理情報から読み出し返信する(ステップ341)。
【0108】
続いて、情報取得部113は、取得した組織IDを含む契約情報取得要求を保守サーバ2へ送信する(ステップ342)。保守サーバ2は、送信されてきた契約情報取得要求に応じて、契約情報取得要求に含まれている組織IDに対応する契約情報を返信する(ステップ343)。情報取得部113は、このようにして契約情報を保守サーバ2から取得する。
【0109】
続いて、情報取得部113は、認証に成功したユーザIDを含むアドレス取得要求をユーザ管理サーバ120へ送信する(ステップ344)。本実施の形態におけるユーザ管理サーバ120は、送信されてきたアドレス取得要求に応じて、アドレス取得要求に含まれているユーザIDに対応する制御装置アドレスをユーザ管理情報から読み出し返信する(ステップ345)。これ以降の処理は、実施の形態1と同じでよいので説明を省略する。
【0110】
本実施の形態によれば、契約情報をコワーキングLANシステム100内に保持させることなく、保持管理する保守サーバ2から取得することができる。
【0111】
なお、本実施の形態では、ユーザ管理サーバ120から組織IDを取得する処理と、制御装置アドレスを取得する処理を別個にしたが、1回の取得要求で組織IDと共に制御装置アドレスを取得するように処理してもよい。
【0112】
実施の形態4.
本実施の形態における画像処理システムは、図8に示す実施の形態3における画像処理システムと同じ構成要素でよい。実施の形態3では、保守サーバ2は、コワーキングスペースの管理者との契約に従ってコワーキングLANシステム100からアクセス可能にネットワーク1に接続されているものとした。これに対し、本実施の形態における保守サーバ2は、組織側との契約により当該組織の契約情報を保持、管理している。従って、保守サーバ2は、契約に従って企業LANシステム200からアクセス可能にネットワーク1に接続されている。
【0113】
本実施の形態において、制御装置220が画像処理装置110における画像処理を制御する概略的な処理(図3)は実施の形態1と同じでよい。また、VPN接続する処理は、実施の形態1又は実施の形態2のいずれを採用してもよい。以下、本実施の形態において、VPN接続後の画像処理制御時に実施される処理について、図10に示すシーケンス図を用いて説明する。なお、図9に示す実施の形態1と同じ処理には、同じステップ番号を付けて、説明を適宜省略する。
【0114】
本実施の形態における画像処理装置10の情報取得部113は、まず認証に成功したユーザIDを含むアドレス取得要求をユーザ管理サーバ120へ送信する(ステップ344)。本実施の形態におけるユーザ管理サーバ120は、送信されてきたアドレス取得要求に応じて、アドレス取得要求に含まれているユーザIDに対応する制御装置アドレスをユーザ管理情報から読み出し返信する(ステップ345)。
【0115】
続いて、画像処理装置110は、制御装置220による画像処理制御を受けるために実行する画像処理プログラムと接続するために、ユーザIDを含む画像処理プログラムとの接続要求を制御装置220へ送信する(ステップ143)。送信先とする制御装置220は、ステップ345で取得した制御装置アドレスで特定できる。画像処理プログラムとの接続に関する処理は、実施の形態1においてすでに説明しているので、ここでの説明は省略する。
【0116】
続いて、画像処理装置110は、内部に保持している自装置の装置情報を制御装置220へ送信する(ステップ441)。
【0117】
続いて、制御装置220における契約情報取得部222は、自組織の組織IDを含む契約情報取得要求を保守サーバ2へ送信する(ステップ442)。保守サーバ2は、送信されてきた契約情報取得要求に応じて、契約情報取得要求に含まれている組織IDに対応する契約情報を返信する(ステップ343)。このようにして、契約情報取得部222は、契約情報を保守サーバ2から取得する。
【0118】
以上のようにして装置情報及び契約情報を取得すると、画像処理制御部224は、装置情報及び契約情報に応じて、画像処理装置110にログインしたユーザに特化した画像処理機能を有効化する(ステップ151)。その後、画像処理部111は、ユーザ操作に応じて画像処理を実施することになるが(ステップ161)、これ以降の処理は、実施の形態1と同じでよいので説明を省略する。
【0119】
本実施の形態によれば、制御装置220が保持管理する保守サーバ2から契約情報を取得することができる。
【0120】
実施の形態5.
図11は、本実施の形態における画像処理システムを示すブロック構成図である。実施の形態1における画像処理システムと同じ構成要素には、同じ符号を付け説明を省略する。本実施の形態における画像処理システムは、実施の形態1に示す制御装置220に契約情報記憶部225を追加した構成を有している。契約情報記憶部225には、当該企業の契約に関する情報が記憶されている。すなわち、契約情報を、実施の形態1ではコワーキングLANシステム100におけるユーザ管理サーバ120に、実施の形態3,4では保守サーバ2に持たせるようにした。そして、実施の形態1~4における契約情報取得部222は、画像処理装置110が取得した契約情報を、画像処理装置110から取得するようにした。これに対し、実施の形態5及び本実施の形態における契約情報取得部222は、契約情報を画像処理装置110に取得させるのではなく、自ら動作して取得する。そして、本実施の形態においては、契約情報を使用する制御装置220の内部に持たせ、契約情報取得部222は、制御装置220の内部から、すなわち契約情報記憶部225から読み出すことで取得するようにした。
【0121】
図12は、本実施の形態において、VPN接続後の画像処理制御時に実施される処理を示すシーケンス図である。なお、図10に示す実施の形態4と同じ処理には、同じステップ番号を付けて、説明を適宜省略する。
【0122】
本実施の形態における処理の流れは、前述した実施の形態4と同じでよい。ただ、本実施の形態では、制御装置220の内部に契約情報を保持するように構成している。従って、契約情報取得部222は、契約情報を制御装置220の外部からではなく内部にある契約情報記憶部225から読み出して取得する。このため、契約情報取得部222が契約情報を取得する処理は、図12では削除している。
【0123】
実施の形態6.
上記各実施の形態においては、契約情報を、コワーキングLANシステム100内、保守サーバ2、あるいは制御装置220に保持するようにしたが、本実施の形態では、画像処理装置110を使用するユーザが携帯するユーザ端末としたことを特徴としている。従って、本実施の形態おけるシステム構成は、ユーザ端末150を含む図6、つまり実施の形態2と同じでよい。
【0124】
また、本実施の形態におけるVPN接続時及び画像処理制御時における処理は、基本的には実施の形態2と同じでよい。但し、VPN接続時における処理を示す図7において画像処理装置110は、接続情報を、リーダ140を介してユーザ端末150から読み取り取得するが、本実施の形態においては、契約情報も合わせてユーザ端末150から読み取り取得する。更に、制御装置アドレスも取得するようにしてもよい。この場合、ユーザ端末150には、接続情報、契約情報及び制御装置アドレスが記憶されることになる。
【0125】
なお、本実施の形態では、契約情報を画像処理装置110の利用者側から取得することを特徴としている。従って、契約情報は、必ずしもユーザ端末150から取得せずに、実施の形態2における接続情報と同様に、画像処理装置110の操作パネル等からユーザに入力させるようにしてもよい。
【0126】
また、画像処理制御時における処理を示す図5において、画像処理装置110は、ユーザ管理サーバ120から制御装置アドレス及び契約情報を取得しているが(ステップ141,142)、上記の通り、本実施の形態では、ユーザ端末150から取得しているので、この処理は省略可能である。
【0127】
本実施の形態によれば、以上のように構成することで、契約情報を取得するための構成、すなわち、リーダ140を不要にするなど画像処理装置110の構成を単純化することができる。
【0128】
上記各実施の形態において、プロセッサとは広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU:Central Processing Unit等)や、専用のプロセッサ(例えばGPU:Graphics Processing Unit、ASIC:Application Specific Integrated Circuit、FPGA:Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス等)を含むものである。
【0129】
また上記実施の形態におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は上記各実施の形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【符号の説明】
【0130】
1 ネットワーク、2 保守サーバ、10 画像処理装置、100 コワーキングLANシステム、110 画像処理装置、111 画像処理部、112 VPN接続部、113 情報取得部、120 ユーザ管理サーバ、121 ユーザ管理情報記憶部、140 リーダ、150 ユーザ端末、200 企業LANシステム、210 VPNルータ、220 制御装置、221 装置情報取得部、222 契約情報取得部、223 ユーザ認証部、224 画像処理制御部、225 契約情報記憶部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12