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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】定着装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/20 20060101AFI20241217BHJP
【FI】
G03G15/20 515
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020202301
(22)【出願日】2020-12-04
(65)【公開番号】P2022089694
(43)【公開日】2022-06-16
【審査請求日】2023-11-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103517
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 寛之
(72)【発明者】
【氏名】池野 雄一
【審査官】内藤 万紀子
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-071284(JP,A)
【文献】特開2015-099327(JP,A)
【文献】特開2015-176085(JP,A)
【文献】特開2020-129078(JP,A)
【文献】特開2022-054951(JP,A)
【文献】特開平11-084919(JP,A)
【文献】特開2019-158916(JP,A)
【文献】特開平5-289555(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状のベルトと
前記ベルトの内周面に接触し、前記ベルトを加熱するヒータであって、前記ベルトの回転軸方向と平行な第1方向に延びる板状の基板と、前記基板に位置する発熱体と、を有するヒータと、
前記ベルトの内側に位置し、前記ヒータを支持するホルダと、
前記ヒータと前記ホルダとの間に位置し、熱伝導率が前記基板よりも高い熱伝導部材と、
を備え、
前記熱伝導部材は、
前記第1方向において前記発熱体の一端部と前記発熱体の他端部との間に位置し、前記ヒータと接触する接触部と、
前記基板において前記発熱体の一端部がある領域に対向し、前記ヒータと接触しない第1非接触部と、
前記基板において前記発熱体の他端部がある領域に対向し、前記ヒータと接触しない第2非接触部と、を有し、
前記第1非接触部および前記第2非接触部のそれぞれは、前記基板との間に隙間を有して前記基板と対向する、定着装置。
【請求項2】
前記第1非接触部の前記接触部側の端部、および、前記第2非接触部の前記接触部側の端部は、前記第1方向において、画像形成装置が印刷可能な最大のシートが通る領域内に位置する、請求項1に記載の定着装置。
【請求項3】
前記発熱体は、
前記第1方向の中央部である第1部分と、
前記第1方向において前記第1部分の一端部側に位置し、単位長さ当たりの抵抗値が前記第1部分よりも低い第2部分と、
前記第1方向において前記第1部分の他端部側に位置し、単位長さ当たりの抵抗値が前記第1部分よりも低い第3部分と、
を有し、
前記第1非接触部の前記接触部側の端部は、前記発熱体の前記第1部分の前記一端部と対向し、
前記第2非接触部の前記接触部側の端部は、前記発熱体の前記第1部分の前記他端部と対向する、請求項1または請求項2に記載の定着装置。
【請求項4】
前記ヒータは、
前記第1方向において前記ヒータの一端部と前記発熱体との間に位置し、配線によって前記発熱体と電気的に接続される端子を、さらに有し、
前記熱伝導部材は、前記第1方向において、前記端子と前記発熱体との間の位置から前記ヒータの他端部まで延びる請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の定着装置。
【請求項5】
前記熱伝導部材は、前記第1方向において、前記ヒータの一端部から前記ヒータの他端部まで延びる、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の定着装置。
【請求項6】
前記熱伝導部材は、
前記第1方向における前記熱伝導部材の一端部に位置し、前記ヒータと接触する第2接触部と、
前記第1方向における前記熱伝導部材の他端部に位置し、前記ヒータと接触する第3接触部と、
をさらに有し、
前記第1非接触部は、前記第1方向において、前記接触部と前記第2接触部との間に位置し、
前記第2非接触部は、前記第1方向において、前記接触部と前記第3接触部との間に位置する、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の定着装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、定着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、定着フィルムと、定着フィルムを加熱する加熱用ヒータとを備える加熱装置が知られている。加熱装置は、断熱支持部材と加熱用ヒータとの間に、高熱伝導性部材である金属板を有する(下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平11-84919号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した特許文献1に記載の加熱装置では、加熱用ヒータの全域にわたって、金属板が設けられているため、加熱用ヒータからの熱が、画像形成装置が印刷可能な最大のシートが通る領域の外側まで伝わってしまう。
【0005】
そのため、画像形成装置が印刷可能な最大のシートが通る領域の端部において、定着温度が低下してしまう場合がある。
【0006】
そこで、本開示の目的は、画像形成装置が印刷可能な最大のシートが通る領域の端部において、定着温度の低下を抑制できる定着装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本開示の定着装置は、筒状のベルトと、ヒータと、ホルダと、熱伝導部材とを備える。ヒータは、ベルトの内周面に接触する。ヒータは、ベルトを加熱する。ヒータは、板状の基板と、発熱体とを有する。基板は、第1方向に延びる。第1方向は、ベルトの回転軸方向と平行である。発熱体は、基板に位置する。ホルダは、ベルトの内側に位置する。ホルダは、ヒータを支持する。熱伝導部材は、ヒータとホルダとの間に位置する。熱伝導部材の熱伝導率は、基板の熱伝導率よりも高い。
【0008】
熱伝導部材は、接触部と、第1非接触部と、第2非接触部とを有する。接触部は、第1方向において、発熱体の一端部と、発熱体の他端部との間に位置する。接触部は、ヒータと接触する。第1非接触部は、基板において発熱体の一端部がある領域に対向する。第1非接触部は、ヒータと接触しない。第2非接触部は、基板において発熱体の他端部がある領域に対向する。第2非接触部は、ヒータと接触しない。
【0009】
このような構成によれば、熱伝導部材において、第1非接触部、および、第2非接触部は、ヒータと接触しない。
【0010】
そのため、熱伝導部材において、ヒータと第1非接触部との間での熱伝導、および、ヒータと第2非接触部との間での熱伝導は、ヒータと接触部との間での熱伝導と比べて、抑制される。
【0011】
そして、熱伝導部材の第1非接触部は、基板において発熱体の一端部がある領域に対向し、熱伝導部材の第2非接触部は、基板において発熱体の他端部がある領域に対向する。
【0012】
これにより、ヒータの熱が発熱体の一端部よりも一方側に伝わることを、第1非接触部によって抑制でき、ヒータの熱が発熱体の他端部よりも他方側に伝わることを、第2非接触部によって抑制できる。
【0013】
そのため、発熱体の一端部の近く、および、発熱体の他端部の近くにおいて、定着温度の低下を抑制できる。
【0014】
その結果、画像形成装置が印刷可能な最大のシートが通る領域の一端部および他端部において、定着温度の低下を抑制できる。
【0015】
(2)第1非接触部および第2非接触部のそれぞれは、基板との間に隙間を有して基板と対向してもよい。
【0016】
このような構成によれば、熱伝導部材において、第1非接触部および第2非接触部のそれぞれは、基板との間に隙間を有することで、ヒータと接触しないようにすることができる。
【0017】
(3)第1非接触部の接触部側の端部、および、第2非接触部の接触部側の端部は、第1方向において、画像形成装置が印刷可能な最大のシートが通る領域内に位置してもよい。
【0018】
このような構成によれば、ヒータの熱が、画像形成装置が印刷可能な最大のシートが通る領域よりも一方側に伝わることを、第1非接触部によって、より抑制できる。
【0019】
また、ヒータの熱が、画像形成装置が印刷可能な最大のシートが通る領域よりも他方側に伝わることを、第2非接触部によって、より抑制できる。
【0020】
その結果、画像形成装置が印刷可能な最大のシートが通る領域の一端部および他端部において、定着温度の低下を、より抑制できる。
【0021】
(4)発熱体は、第1部分と、第2部分と、第3部分とを有する。第1部分は、第1方向における発熱体の中央部である。第2部分は、第1方向において、第1部分の一端部側に位置する。第2部分の単位長さ当たりの抵抗値は、第1部分の単位長さ当たりの抵抗値よりも低い。第3部分は、第1方向において第1部分の他端部側に位置する。第3部分の単位長さ当たりの抵抗値は、第1部分の単位長さ当たりの抵抗値よりも低い。第1非接触部の接触部側の端部は、発熱体の第1部分の一端部と対向する。第2非接触部の接触部側の端部は、発熱体の第1部分の他端部と対向する。
【0022】
このような構成によれば、第1非接触部の接触部側の端部、および、第2非接触部の接触部側の端部は、発熱体の第1部分の中央部と対向しない。
【0023】
これにより、第1非接触部および第2非接触部が、発熱体の第1部分からの熱の伝導を阻害することを、抑制できる。
【0024】
そのため、画像形成装置が印刷可能な最大のシートが通る領域において、定着温度の均一化を図ることができる。
【0025】
(5)ヒータは、端子を、さらに有する。端子は、第1方向において、ヒータの一端部と発熱体との間に位置する。端子は、配線によって発熱体と電気的に接続される。熱伝導部材は、第1方向において、端子と発熱体との間の位置からヒータの他端部まで延びてもよい。
【0026】
(6)熱伝導部材は、第1方向において、ヒータの一端部からヒータの他端部まで延びてもよい。
【0027】
(7)熱伝導部材は、第2接触部と第3接触部とをさらに有してもよい。第2接触部は、第1方向における熱伝導部材の一端部に位置する。第2接触部は、ヒータと接触する。第3接触部は、第1方向における熱伝導部材の他端部に位置する。第3接触部は、ヒータと接触する。第1非接触部は、第1方向において、接触部と第2接触部との間に位置する。第2非接触部は、第1方向において、接触部と第3接触部との間に位置する。
【0028】
このような構成によれば、画像形成装置がシートを連続して印刷するときに、第2接触部と第3接触部とによって、シートが通らない領域のベルトの温度が高温になることを、防ぐことができる。
【発明の効果】
【0029】
本開示の定着装置によれば、画像形成装置が印刷可能な最大のシートが通る領域の端部において、定着温度の低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1図1は、画像形成装置の概略構成図である。
図2図2は、定着装置の断面図である。
図3図3は、ヒータと熱伝導部材との位置関係を説明するための説明図である。
図4図4は、ヒータと熱伝導部材との接触を説明するための説明図である。
図5図5は、変形例を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
1.画像形成装置1の概略
図1を参照して、画像形成装置1の概略について説明する。
【0032】
画像形成装置1は、本体筐体2と、シート収容部3と、感光ドラム4と、帯電装置5と、露光装置6と、現像装置7と、転写装置8と、定着装置9とを備える。
【0033】
1.1 本体筐体2
本体筐体2は、シート収容部3と、感光ドラム4と、帯電装置5と、露光装置6と、現像装置7と、転写装置8と、定着装置9とを収容する。
【0034】
1.2 シート収容部3
シート収容部3は、シートSを収容可能である。シートSは、例えば、印刷用紙である。シートSは、シート収容部3から感光ドラム4に向かって搬送される。
【0035】
1.3 感光ドラム4
感光ドラム4は、ドラム軸A1について回転可能である。ドラム軸A1は、第1方向に延びる。感光ドラム4は、第1方向に延びる。
【0036】
1.4 帯電装置5
帯電装置5は、感光ドラム4の表面を帯電させる。本実施形態では、帯電装置5は、帯電ローラである。帯電装置5は、スコロトロン型帯電器であってもよい。
【0037】
1.5 露光装置6
露光装置6は、帯電装置5によって帯電された感光ドラム4の表面を露光する。露光装置6は、具体的には、レーザースキャンユニットである。露光装置6は、LEDアレイであってもよい。
【0038】
1.6 現像装置7
現像装置7は、感光ドラム4上にトナーを供給する。詳しくは、現像装置7は、露光装置6によって露光された感光ドラム4の表面上にトナーを供給する。現像装置7は、現像筐体71と、現像ローラ72とを有する。
【0039】
1.6.1 現像筐体71
現像筐体71は、トナーを収容可能である。
【0040】
1.6.2 現像ローラ72
現像ローラ72は、現像筐体71内のトナーを感光ドラム4の表面に供給可能である。本実施形態では、現像ローラ72は、感光ドラム4と接触する。現像ローラ72は、所定の間隔をあけて感光ドラム4から離れていてもよい。現像ローラ72は、現像軸A2について回転可能である。現像軸A2は、第1方向に延びる。現像ローラ72は、第1方向に延びる。
【0041】
1.7 転写装置8
転写装置8は、感光ドラム4上のトナーをシートSに転写する。本実施形態では、転写装置8は、転写ローラ81を有する。転写ローラ81は、感光ドラム4と接触する。転写ローラ81は、所定の間隔をあけて感光ドラム4から離れていてもよい。シート収容部3内のシートSは、感光ドラム4と転写ローラ81との間を通って、定着装置9へ搬送される。転写ローラ81は、感光ドラム4上のトナーを、感光ドラム4と転写ローラ81との間を通るシートSに転写する。転写ローラ81は、転写軸A3について回転可能である。転写軸A3は、第1方向に延びる。転写ローラ81は、第1方向に延びる。転写装置8は、転写ベルトを有してもよい。
【0042】
1.8 定着装置9
定着装置9は、トナーが転写されたシートSを加熱および加圧して、シートSにトナーを定着させる。定着装置9を通過したシートSは、本体筐体2の上面に排紙される。
【0043】
2.定着装置9の詳細
次に、図2および図3を参照して、定着装置9の詳細について説明する。
【0044】
図2に示すように、定着装置9は、加熱ユニット11と、加圧ローラ12とを備える。
【0045】
2.1 加熱ユニット
加熱ユニット11は、トナーが転写されたシートSを加熱する。加熱ユニット11は、ベルト111と、ヒータ112と、ホルダ113と、熱伝導部材114とを備える。言い換えると、定着装置9は、ベルト111と、ヒータ112と、ホルダ113と、熱伝導部材114とを備える。
【0046】
2.1.1 ベルト111
ベルト111は、トナーが転写されたシートSを加熱する。ベルト111は、筒状である。言い換えると、ベルト111は、エンドレスベルトである。ベルト111は、第1方向に延びる。ベルト111は回転軸A4について回転可能である。回転軸A4は、第1方向に延びる。つまり、第1方向は、ベルト111の回転軸方向と平行である。ベルト111は、内周面S1と外周面S2とを有する。
【0047】
2.1.2 ヒータ112
ヒータ112は、ベルト111を加熱する。ヒータ112は、ベルト111の内側に位置する。ヒータ112は、ベルト111の内周面S1に接触する。ヒータ112は、第1方向に延びる。ヒータ112は、細長い平板状である。
【0048】
図3に示すように、ヒータ112は、基板1121と、発熱体1122と、端子1123と、配線1124とを有する。
【0049】
2.1.2.1 基板1121
基板1121は、細長い平板状である。基板1121は、第1方向に延びる。基板1121は、例えば、ステンレスなどの金属からなる。基板1121の表面は、絶縁層で覆われている。基板1121は、セラミックなどの耐熱性絶縁材からなる。
【0050】
2.1.2.2 発熱体1122
発熱体1122は、基板1121に位置する。詳しくは、発熱体1122は、基板1121の絶縁層の上にパターン形成される。発熱体1122は、銀・パラジウム合金等で形成される抵抗発熱体である。発熱体1122は、通電により発熱する。発熱体1122は、第1方向に延びる。発熱体1122は、板状である。発熱体1122は、第1方向において、ヒータ112の一端部E1と、ヒータ112の他端部E2との間に位置する。発熱体1122の一端部E21は、第1方向において、画像形成装置1が印刷可能な最大のシートSが通る領域Aの一端部に位置する。発熱体1122の他端部E22は、第1方向において、領域Aの他端部に位置する。発熱体1122は、第1部分1122Aと、第2部分1122Bと、第3部分1122Cとを有する。
【0051】
第1部分1122Aは、第1方向における発熱体1122の中央部である。第1部分1122Aは、第1方向に延びる。
【0052】
第2部分1122Bは、第1方向において、第1部分1122Aの一端部側に位置する。第2部分1122Bは、第1方向において、発熱体1122の一端部に位置する。第2部分1122Bの幅方向の大きさは、第1部分1122Aの幅方向の大きさよりも広い。言い換えると、第2部分1122Bの断面積は、第1部分1122Aの断面積よりも大きい。そのため、第2部分1122Bの単位長さ当たりの抵抗値は、第1部分1122Aの単位長さ当たりの抵抗値よりも低い。そのため、第2部分1122Bの発熱量は、第1部分1122Aの発熱量よりも低い。
【0053】
第3部分1122Cは、第1方向において、第1部分1122Aの他端部側に位置する。第3部分1122Cは、第1方向において、発熱体1122の他端部に位置する。第3部分1122Cの幅方向の大きさは、第1部分1122Aの幅方向の大きさよりも広い。言い換えると、第3部分1122Cの断面積は、第1部分1122Aの断面積よりも大きい。そのため、第3部分1122Cの単位長さ当たりの抵抗値は、第1部分1122Aの単位長さ当たりの抵抗値よりも低い。そのため、第3部分1122Cの発熱量は、第1部分1122Aの発熱量よりも低い。
【0054】
2.1.2.3 端子1123
端子1123は、第1方向において、ヒータ112の一端部E1と発熱体1122との間に位置する。端子1123は、第1方向において、発熱体1122から離れて位置する。端子1123は、発熱体1122に電気を供給するための端子であり、図示しないコネクタを介して本体筐体2内の電源に接続される。
【0055】
2.1.2.4 配線1124
配線1124は、第1方向において、端子1123と発熱体1122との間に位置する。配線1124の一端は、端子1123と接続される。配線1124の他端は、発熱体1122と接続される。配線1124は、銀等で形成される。配線1124は、端子1123と発熱体1122とを電気的に接続する。言い換えると、端子1123は、配線1124によって、発熱体1122と電気的に接続される。
【0056】
2.1.3 ホルダ113
図2に示すように、ホルダ113は、ヒータ112を支持する。ホルダ113は、ベルト111の内側に位置する。ホルダ113は、第1方向に延びる。ホルダ113は、樹脂からなる。ホルダ113は、支持部1131と、2つのベルトガイド1132A、1132Bとを有する。
【0057】
2.1.3.1 支持部1131
支持部1131は、ヒータ112と熱伝導部材114とを支持する。支持部1131は、ヒータ112の幅方向において、ホルダ113の中央部に位置する。なお、ヒータ112の幅方向は、第1方向、および、ヒータ112の厚み方向と交差する。好ましくは、ヒータ112の幅方向は、第1方向、および、ヒータ112の厚み方向と直交する。支持部1131は、ヒータ112の幅方向において、ベルトガイド1132Aとベルトガイド1132Bとの間に位置する。支持部1131は、支持面1131Aと、側面1131B、1131Cとを有する。
【0058】
支持面1131Aは、ヒータ112の厚み方向において、ヒータ112に対して、加圧ローラ12の反対側に位置する。支持面1131Aは、ヒータ112および熱伝導部材114を支持する。支持面1131Aは、ヒータ112の幅方向、および、第1方向に延びる。
【0059】
側面1131Bは、ヒータ112の幅方向において、支持部1131の一端部に位置する。側面1131Bは、ヒータ112の幅方向において、ヒータ112の一方のエッジE11に対向する。側面1131Bは、ヒータ112の厚み方向、および、第1方向に延びる。
【0060】
側面1131Cは、ヒータ112の幅方向において、支持部1131の他端部に位置する。側面1131Cは、ヒータ112の幅方向において、側面1131Bから離れて位置する。側面1131Cは、ヒータ112の幅方向において、ヒータ112に対して、側面1131Bの反対側に位置する。側面1131Cは、ヒータ112の幅方向において、ヒータ112の他方のエッジE12に対向する。側面1131Cは、ヒータ112の厚み方向、および、第1方向に延びる。
【0061】
2.1.3.2 ベルトガイド1132A、1132B
ベルトガイド1132Aは、ヒータ112の幅方向において、ホルダ113の一端部に位置する。ベルトガイド1132Aは、ベルト111の内周面S1に接触する。ベルトガイド1132Aは、ベルト111の回転をガイドする。
【0062】
ベルトガイド1132Bは、ヒータ112の幅方向において、ホルダ113の他端部に位置する。ベルトガイド1132Bは、ヒータ112の幅方向において、ヒータ112に対して、ベルトガイド1132Aの反対側に位置する。ベルトガイド1132Bは、ベルト111の内周面S1に接触する。ベルトガイド1132Bは、ベルト111の回転をガイドする。
【0063】
2.1.4 熱伝導部材114
熱伝導部材114は、ヒータ112からの熱を第1方向に伝える。熱伝導部材114は、ヒータ112とホルダ113との間に位置する。詳しくは、熱伝導部材114は、ヒータ112の裏面と、ホルダ113の支持面1131Aとの間に位置する。熱伝導部材114の熱伝導率は、ヒータ112の基板1121(図3参照)の熱伝導率よりも高い。熱伝導部材114は、アルミニウムなどの金属からなる。
【0064】
図3に示すように、熱伝導部材114は、第1方向に延びる。熱伝導部材114は、第1方向において、端子1123と発熱体1122との間の位置から、ヒータ112の他端部E2まで延びる。熱伝導部材114の一端部E31は、第1方向において、端子1123と発熱体1122との間に位置する。熱伝導部材114の他端部E32は、第1方向において、ヒータ112の他端部E2近傍に位置する。熱伝導部材114は、接触部1141と、第1非接触部1142Aと、第2非接触部1142Bと、第2接触部1143Aと、第3接触部1143Bとを有する。
【0065】
2.1.4.1 接触部1141
接触部1141は、第1方向における熱伝導部材114の中央部である。接触部1141は、第1方向において、発熱体1122の一端部E21と、発熱体1122の他端部E22との間に位置する。接触部1141は、第1方向に延びる。図4に示すように、接触部1141は、ヒータ112と接触する。
【0066】
2.1.4.2 第1非接触部1142A
第1非接触部1142Aは、第1方向において、熱伝導部材114の一端部E31と、接触部1141との間に位置する。第1非接触部1142Aは、第1方向において、接触部1141と第2接触部1143Aとの間に位置する。
【0067】
図4に示すように、第1非接触部1142Aは、ヒータ112と接触しない。第1非接触部1142Aは、ヒータ112の厚み方向において、ヒータ112の基板1121との間に隙間を有する。そのため、第1非接触部1142Aとヒータ112との間での熱伝導は、接触部1141とヒータとの間での熱伝導と比べて、抑制される。
【0068】
図3に示すように、第1非接触部1142Aは、第1方向に延びる。第1非接触部1142Aは、第1方向において、外側端部E41と、内側端部E42とを有する。外側端部E41は、第1非接触部1142Aの、接触部1141と反対側の端部である。外側端部E41は、第1方向において、接触部1141から離れて位置する。内側端部E42は、第1非接触部1142Aの接触部1141側の端部である。内側端部E42は、第1方向において、外側端部E41と接触部1141との間に位置する。
【0069】
第1非接触部1142Aは、基板1121において発熱体1122の一端部E21がある領域に対向する。これにより、ヒータ112の熱が発熱体1122の一端部E21よりも一方側に伝わることを、第1非接触部1142Aによって抑制できる。その結果、発熱体1122の一端部E21の近くにおいて、定着温度の低下を抑制できる。第1非接触部1142Aの内側端部E42は、第1方向において、画像形成装置1が印刷可能な最大のシートSが通る領域A内に位置する。これにより、ヒータ112の熱が領域Aよりも一方側に伝わることを、第1非接触部1142Aによって、より抑制できる。その結果、領域Aの一端部において、定着温度の低下を、より抑制できる。第1非接触部1142Aの内側端部E42は、発熱体1122の第1部分1122Aの一端部と対向する。言い換えると、第1非接触部1142Aの内側端部E42は、発熱体1122の第1部分1122Aの中央部と対向しない。これにより、第1非接触部1142Aが発熱体1122の第1部分1122Aからの熱の伝導を阻害することを、抑制できる。そのため、領域A内において、第1方向における定着温度の均一化を図ることができる。
【0070】
なお、第1非接触部1142Aの外側端部E41は、第1方向において、端子1123と発熱体1122との間に位置する。第1非接触部1142Aの外側端部E41は、第1方向において、領域Aよりも一方側に位置する。
【0071】
2.1.4.3 第2非接触部1142B
第2非接触部1142Bは、第1方向において、熱伝導部材114の他端部E32と、接触部1141との間に位置する。第2非接触部1142Bは、第1方向において、接触部1141と第3接触部1143Bとの間に位置する。
【0072】
図4に示すように、第2非接触部1142Bは、ヒータ112と接触しない。第2非接触部1142Bは、ヒータ112の厚み方向において、ヒータ112の基板1121との間に隙間を有する。そのため、第2非接触部1142Bとヒータ112との間での熱伝導は、接触部1141とヒータ112との間での熱伝導と比べて、抑制される。
【0073】
図3に示すように、第2非接触部1142Bは、第1方向に延びる。第2非接触部1142Bは、第1方向において、外側端部E51と、内側端部E52とを有する。外側端部E51は、第2非接触部1142Bの、接触部1141と反対側の端部である。外側端部E51は、第1方向において、接触部1141から離れて位置する。内側端部E52は、第2非接触部1142Bの接触部1141側の端部である。内側端部E52は、第1方向において、外側端部E51と接触部1141との間に位置する。
【0074】
第2非接触部1142Bは、基板1121において発熱体1122の他端部E22がある領域に対向する。これにより、ヒータ112の熱が発熱体1122の他端部E22よりも他方側に伝わることを、第2非接触部1142Bによって抑制できる。その結果、発熱体1122の他端部E22の近くにおいて、定着温度の低下を抑制できる。第2非接触部1142Bの内側端部E52は、第1方向において、領域A内に位置する。これにより、ヒータ112の熱が領域Aよりも他方側に伝わることを、第2非接触部1142Bによって、より抑制できる。その結果、領域Aの他端部において、定着温度の低下を、より抑制できる。第2非接触部1142Bの内側端部E52は、発熱体1122の第1部分1122Aの他端部と対向する。言い換えると、第2非接触部1142Bの内側端部E52は、発熱体1122の第1部分1122Aの中央部と対向しない。これにより、第2非接触部1142Bが発熱体1122の第1部分1122Aからの熱の伝導を阻害することを、抑制できる。そのため、領域A内において、第1方向における定着温度の均一化を図ることができる。
【0075】
なお、第2非接触部1142Bの外側端部E51は、第1方向において、ヒータ112の他端部E2と発熱体1122との間に位置する。第2非接触部1142Bの外側端部E51は、第1方向において、領域Aよりも他方側に位置する。
【0076】
2.1.4.4 第2接触部1143A
図4に示すように、第2接触部1143Aは、第1方向における熱伝導部材114の一端部E31に位置する。第2接触部1143Aは、ヒータ112と接触する。第2接触部1143Aは、第1方向において、領域Aよりも一方側に位置する。領域Aよりも一方側において、印刷時にシートSは通らない。そのため、画像形成装置1が連続してシートSを印刷するときに、ベルト111の領域Aよりも一方側は、ヒータ112の熱で高温になりやすい。本実施形態では、第2接触部1143Aによって、領域Aよりも一方側におけるヒータ112の熱を、第1方向における他方側に伝導する。これにより、シートSが通らない領域のベルト111の温度が高温になることを、防ぐことができる。
【0077】
2.1.4.5 第3接触部1143B
第3接触部1143Bは、第1方向における熱伝導部材114の他端部E32に位置する。第3接触部1143Bは、ヒータ112と接触する。第3接触部1143Bは、第1方向において、領域Aよりも他方側に位置する。領域Aよりも他方側において、印刷時にシートSは通らない。そのため、画像形成装置1が連続してシートSを印刷するときに、ベルト111の領域Aよりも他方側は、ヒータ112の熱で高温になりやすい。本実施形態では、第3接触部1143Bによって、領域Aよりも他方側におけるヒータ112の熱を、第1方向における一方側に伝導する。これにより、シートSが通らない領域のベルト111の温度が高温になることを、防ぐことができる。
【0078】
2.2 加圧ローラ
図2に示すように、加圧ローラ12は、ベルト111の外周面S2に接触する。加圧ローラ12は、ヒータ112との間にベルト111を挟むことで、トナーが転写されたシートSを加熱および加圧するためのニップ部を形成する。
【0079】
3.作用効果
(1)定着装置9によれば、図4に示すように、熱伝導部材114において、第1非接触部1142A、および、第2非接触部1142Bは、ヒータ112と接触しない。
【0080】
そのため、熱伝導部材114において、第1非接触部1142Aとヒータ112との間での熱伝導、および、第2非接触部1142Bとヒータ112との間での熱伝導は、接触部1141とヒータとの間での熱伝導と比べて、抑制される。
【0081】
そして、図3に示すように、熱伝導部材114の第1非接触部1142Aは、発熱体1122の一端部E21に対向し、熱伝導部材114の第2非接触部1142Bは、発熱体1122の他端部E22に対向する。
【0082】
これにより、ヒータ112の熱が発熱体1122の一端部E21よりも一方側に伝わることを、第1非接触部1142Aによって抑制でき、ヒータ112の熱が発熱体1122の他端部E22よりも他方側に伝わることを、第2非接触部1142Bによって抑制できる。
【0083】
そのため、発熱体1122の一端部E21の近く、および、発熱体1122の他端部E22の近くにおいて、定着温度の低下を抑制できる。
【0084】
その結果、画像形成装置1が印刷可能な最大のシートSが通る領域Aの一端部および他端部において、定着温度の低下を抑制できる。
【0085】
(2)定着装置9によれば、図4に示すように、第1非接触部1142Aおよび第2非接触部1142Bのそれぞれは、基板1121との間に隙間を有し、基板1121と対向している。
【0086】
そのため、熱伝導部材114において、第1非接触部1142Aおよび第2非接触部1142Bのそれぞれは、基板1121との間に隙間を有することで、ヒータ112と接触しないようにすることができる。
【0087】
(3)定着装置9によれば、図3に示すように、第1非接触部1142Aの内側端部E42、および、第2非接触部1142Bの内側端部E52は、第1方向において、画像形成装置1が印刷可能な最大のシートSが通る領域A内に位置する。
【0088】
そのため、ヒータ112の熱が、画像形成装置1が印刷可能な最大のシートSが通る領域Aよりも一方側に伝わることを、第1非接触部1142Aによって、より抑制できる。
【0089】
また、ヒータ112の熱が、画像形成装置1が印刷可能な最大のシートSが通る領域Aよりも他方側に伝わることを、第2非接触部1142Bによって、より抑制できる。
【0090】
その結果、画像形成装置1が印刷可能な最大のシートSが通る領域Aの一端部および他端部において、定着温度の低下を、より抑制できる。
【0091】
(4)定着装置9によれば、図3に示すように、第1非接触部1142Aの内側端部E42は、発熱体1122の第1部分1122Aの一端部と対向する。第2非接触部1142Bの内側端部E52は、発熱体1122の第1部分1122Aの他端部と対向する。
【0092】
言い換えると、第1非接触部1142Aの内側端部E42、および、第2非接触部1142Bの内側端部E52は、発熱体1122の第1部分1122Aの中央部と対向しない。
【0093】
これにより、第1非接触部1142Aおよび第2非接触部1142Bが、発熱体1122の第1部分1122Aからの熱の伝導を阻害することを、抑制できる。
【0094】
そのため、画像形成装置1が印刷可能な最大のシートSが通る領域Aにおいて、定着温度の均一化を図ることができる。
【0095】
(5)定着装置9によれば、図4に示すように、第2接触部1143Aおよび第3接触部1143Bは、ヒータ112と接触する。
【0096】
そのため、画像形成装置1がシートSを連続して印刷するときに、第2接触部1143Aと第3接触部1143Bとによって、シートSが通らない領域のベルト111の温度が高温になることを、防ぐことができる。
【0097】
4.変形例
次に、図5を参照して、変形例について説明する。変形例において、上記した実施形態と同様の部材には同じ符号を付し、説明を省略する。
【0098】
図5に示すように、熱伝導部材114は、第1方向において、ヒータ112の一端部E1からヒータ112の他端部E2まで延びてもよい。
【符号の説明】
【0099】
9 定着装置
111 ベルト
112 ヒータ
113 ホルダ
114 熱伝導部材
1121 基板
1122 発熱体
1122A 第1部分
1122B 第2部分
1122C 第3部分
1123 端子
1124 配線
1141 接触部
1142A 第1非接触部
1142B 第2非接触部
1143A 第2接触部
1143B 第3接触部
A 領域
A4 回転軸
S シート
S1 内周面
図1
図2
図3
図4
図5