(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】テスト支援装置、テスト支援方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 11/36 20060101AFI20241217BHJP
G06F 8/10 20180101ALI20241217BHJP
G06F 11/263 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
G06F11/36 184
G06F8/10
G06F11/263
(21)【出願番号】P 2020212748
(22)【出願日】2020-12-22
【審査請求日】2023-11-07
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和元~2年度、総務省研究開発委託、「革新的AIネットワーク統合基盤技術の研究開発」、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100181135
【氏名又は名称】橋本 隆史
(72)【発明者】
【氏名】田辺 和輝
(72)【発明者】
【氏名】黒田 貴之
【審査官】西間木 祐紀
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第109933535(CN,A)
【文献】特開2007-334630(JP,A)
【文献】特表2013-507675(JP,A)
【文献】特開2006-221447(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 11/36
G06F 8/10
G06F 11/263
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
テスト対象に応じて定められるテストの要件
として、パラメータを含んで示すテスト対象関連情報に基づいて、前記テスト対象関連情報の前記パラメータの値が決定されたテストパターンを1つ以上生成するテストパターン生成手段と、
前記テストパターンが示す前記テストの要件を満たすシステムのシステム要件を生成するシステム要件生成手段と、
を備えるテスト支援装置。
【請求項2】
前記テスト対象関連情報は、前記テストにおけるテスト環境の要件を、パラメータを含んで選択可能に示す評価軸群と、前記テストにおける評価対象の項目を示す評価項目群とを含む
請求項1に記載のテスト支援装置。
【請求項3】
前記システム要件生成手段は、前記システム要件における前記システム要件の一部が前記パラメータで示されるシステム要件テンプレートの前記パラメータの値を決定することで前記システム要件を1つ以上生成する
請求項1または請求項2に記載のテスト支援装置。
【請求項4】
前記システム要件を具体化することで、そのシステム要件を満たすシステム構成を生成するテスト環境具体化手段
をさらに備える、請求項1から3の何れか一項に記載のテスト支援装置。
【請求項5】
前記テスト環境具体化手段は、前記システム要件に対して部分的な具体化を繰り返すことで、前記システム構成を生成する、
請求項4に記載のテスト支援装置。
【請求項6】
テスト対象に応じて定められるテストの要件
として、パラメータを含んで示すテスト対象関連情報に基づいて、前記テスト対象関連情報の前記パラメータの値が決定されたテストパターンを1つ以上生成することと、
前記テストパターンが示す前記テストの要件を満たすシステムのシステム要件を生成することと、
を含むテスト支援方法。
【請求項7】
コンピュータに、
テスト対象に応じて定められるテストの要件
として、パラメータを含んで示すテスト対象関連情報に基づいて、前記テスト対象関連情報の前記パラメータの値が決定されたテストパターンを1つ以上生成することと、
前記テストパターンが示す前記テストの要件を満たすシステムのシステム要件を生成することと、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テスト支援装置、テスト支援方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
非特許文献1には、システムを自動設計するための技術が記載されている。非特許文献1に記載の技術では、システムの要件の入力を受けて、入力された要件を満足するシステム構成を生成して出力する。入力されるシステムの要件は、複数の基礎的な要件の組み合わせによって記述され、それら複数の要件を満たすシステム構成を生成するように設計が行われる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】T. Kuroda, T. Kuwahara, T. Maruyama, K. Satoda, H. Shimonishi, T. Osaki, and K. Matsuda、“Weaver: A Novel Configuration Designer for IT/NW Services in Heterogeneous Environments”、in Proceedings of IEEE GLOBECOM 2019、pp. 1-6、2019年12月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
システム上で動作するアプリケーションプログラムの性能評価テストなどに際して、テスト環境としてシステム(評価テスト用のシステム)が用いられる場合がある。この場合、テストの要件を満たすシステムを、なるべく容易に生成できることが好ましい。
【0005】
本発明は、上述の課題を解決することのできるテスト支援装置、テスト支援方法およびプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様によれば、テスト支援装置は、テスト対象に応じて定められるテストの要件として、パラメータを含んで示すテスト対象関連情報に基づいて、前記テスト対象関連情報の前記パラメータの値が決定されたテストパターンを1つ以上生成するテストパターン生成手段と、前記テストパターンが示す前記テストの要件を満たすシステムのシステム要件を生成するシステム要件生成手段と、を備える。
【0007】
本発明の第2の態様によれば、テスト支援方法は、テスト対象に応じて定められるテストの要件として、パラメータを含んで示すテスト対象関連情報に基づいて、前記テスト対象関連情報の前記パラメータの値が決定されたテストパターンを1つ以上生成することと、前記テストパターンが示す前記テストの要件を満たすシステムのシステム要件を生成することと、を含む。
【0008】
本発明の第3の態様によれば、プログラムは、コンピュータに、テスト対象に応じて定められるテストの要件として、パラメータを含んで示すテスト対象関連情報に基づいて、前記テスト対象関連情報の前記パラメータの値が決定されたテストパターンを1つ以上生成することと、前記テストパターンが示す前記テストの要件を満たすシステムのシステム要件を生成することと、を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、テストの要件を満たすシステムを比較的容易に生成できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第一実施形態に係るテスト支援装置の機能構成を示す概略ブロック図である。
【
図2】第一実施形態に係るテスト支援装置におけるデータの入出力の例を示す図である。
【
図3】第一実施形態に係るテスト対象関連情報の例を示す図である。
【
図4】第一実施形態に係るテストパターン群の例を示す図である。
【
図5】第一実施形態に係るテストパターン群の表示例を示す図である。
【
図6】第一実施形態に係るシステム要件の例を示す図である。
【
図7】第一実施形態に係るテスト支援装置が行う処理の手順の例を示すフローチャートである。
【
図8】第二実施形態に係るテスト支援装置の構成例を示す概略ブロック図である。
【
図9】第二実施形態に係るテスト支援装置におけるデータの入出力の例を示す図である。
【
図10】第二実施形態に係るシステム要件テンプレートの例を示す図である。
【
図11】第二実施形態に係る具体化テンプレートの例を示す図である。
【
図12】第二実施形態に係るテスト環境の例を示す図である。
【
図13】第二実施形態に係るテスト支援装置が行う処理の手順の例を示すフローチャートである。
【
図14】第三実施形態に係るテスト支援システムの構成例を示す概略ブロック図である。
【
図15】第三実施形態に係るテスト支援システムにおけるデータの入出力の例を示す図である。
【
図16】第三実施形態に係るテスト結果群の例を示す図である。
【
図17】第三実施形態に係るテスト支援システムが行う処理の手順の例を示すフローチャートである。
【
図18】第四実施形態に係るテスト支援装置の構成例を示す図である。
【
図19】第五実施形態に係るテスト支援方法における処理の手順の例を示すフローチャートである。
【
図20】少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を説明するが、以下の実施形態は請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0012】
<第一実施形態>
(構成の説明)
図1は、第一実施形態に係るテスト支援装置の機能構成を示す概略ブロック図である。
図1に示す構成でテスト支援装置100は、通信部110と、表示部120と、操作入力部130と、記憶部180と、制御部190とを備える。制御部190は、テストパターン生成部191と、システム要件生成部192とを備える。
【0013】
テスト支援装置100は、テスト対象のテスト環境の構築を支援する。
ここでいうテスト対象は、テスト環境としてのシステムにおいてテストされるいろいろなものとすることができ、特定のものに限定されない。例えば、テスト対象は、システムまたは装置であってもよい。あるいは、テスト対象は、システムまたは装置に用いられる、ハードウェア、ソフトウェア、または、ハードウェアとソフトウェアとの組み合わせであってもよい。
【0014】
ここでいうテスト環境は、テスト対象の動作環境である。テスト環境は、テスト対象を含むシステムであってもよい。あるいは、テスト環境は、テスト対象を含むシステムと、その周囲環境との組み合わせであってもよい。ここでいうシステムの周囲環境は、システムが設置される部屋の室温または湿度など、システムの動作時の条件であってもよい。
テスト環境として用いられるシステムは、特定の種類のシステムに限定されない。例えば、テスト環境としてICT(Information Communication Technology)システムが用いられてもよいが、これに限定されない。
【0015】
テスト支援装置100は、例えばパソコン(Personal Computer;PC)またはワークステーション(Workstation)等のコンピュータを用いて構成されてもよい。
テスト支援装置100による支援の対象となるテストは、システムを構築して行ういろいろなテストとすることができ、特定のものに限定されない。例えば、テスト支援装置100による支援の対象となるテストは、性能テストであってもよいし、動作確認テストであってもよい。
以下では、テスト支援装置100による支援の対象となるテストを、単にテストとも称する。
【0016】
テスト支援装置100は、テスト対象関連情報の入力を受けて、システム要件群を出力する。
テスト対象関連情報は、テスト対象に応じて定められるテストの要件を示す情報である。テスト対象関連情報は、テスト対象の評価に必要となる情報を抽象的な形式で示す。
システム要件群は、1つ以上のシステム要件を含む情報である。システム要件は、テスト環境として用いられるシステムの要件、またはその要件を示す情報である。ここでいうシステムの要件には、例えばCPU使用率の測定など、試験のために行われる測定または判定等の処理が含まれる。
【0017】
テスト対象がシステム上で動作するアプリケーションプログラムである場合など、テスト環境としていろいろなシステムを用いて網羅的にテストを行う場合がある。この場合、テスト支援装置100が、複数のシステムそれぞれのシステム要件を含むシステム要件群を出力することで、複数のシステムそれぞれをテスト環境として用いて網羅的にテストを行うことができる。
以下では、テスト対象が顔認証のアプリケーションプログラムであり、テスト環境として顔認証システムが構築される場合を例に説明する。ただし、上記のように、テスト支援装置100が扱うテスト対象およびテスト環境は特定のものに限定されない。
アプリケーションプログラムを、単にアプリケーションとも称する。
【0018】
通信部110は、他の装置との通信を行う。例えば、通信部110が、テスト支援装置100が生成するシステム要件群を、システム要件の入力を受けてシステムの自動設計を行うシステム設計装置に送信するようにしてもよい。
表示部120は、例えば液晶パネルまたはLED(Light Emitting Diode、発光ダイオード)パネル等の表示画面を備え、各種画像を表示する。例えば、表示部120が、テスト支援装置100が生成するシステム要件群などの各種情報をユーザ操作に応じて表示するようにしてもよい。
【0019】
操作入力部130は、例えばキーボードおよびマウス等の入力デバイスを備え、ユーザ操作を受け付ける。例えば、ユーザがテスト対象関連情報を作成する場合、操作入力部130が、テスト対象関連情報を作成するユーザ操作を受け付けるようにしてもよい。
ただし、テスト支援装置100が、テスト対象関連情報を取得する方法は、ユーザの作成による方法に限定されない。例えば、テスト対象の設計者がテスト対象に応じたテスト対象関連情報を作成してデータベースに登録しておき、通信部110が、そのデータベースからテスト対象関連情報を受信するようにしてもよい。
【0020】
記憶部180は、各種情報を記憶する。記憶部180は、テスト支援装置100が備える記憶デバイスを用いて構成される。
制御部190は、テスト支援装置100の各部を制御して各種処理を行う。テスト支援装置100の機能は、例えば、テスト支援装置100が備えるCPU(Central Processing Unit、中央処理装置)が記憶部180からプログラムを読み出して実行することで実行される。
【0021】
図2は、テスト支援装置100におけるデータの入出力の例を示す図である。
テストパターン生成部191は、テスト対象関連情報の入力を受けて、テストパターン群を出力する。テストパターン群は、1つ以上のテストパターンを含む情報である。テストパターンは、個々のテスト環境で行うテストの要件を示す情報である。
【0022】
具体的には、テストパターン生成部191は、テスト対象に応じて定められるテストの要件を、パラメータを含んで示すテスト対象関連情報を取得する。そして、テストパターン生成部191は、テスト対象関連情報のパラメータの値を決定することで、個々のテストパターンを生成する。
ここでいうパラメータは、テスト対象のテストに際して採用される要件がとり得る変数と捉えることができる。以下の実施形態においても同様である。
例えば、テストパターン生成部191は、テスト対象関連情報のパラメータの値の選択肢のうち何れかの値を選択する。テストパターン生成部191は、テストパターン生成手段の例に該当する。
【0023】
システム要件生成部192は、テストパターン群の入力を受けてシステム要件群を出力する。具体的には、システム要件生成部192は、テストパターン生成部191が生成するテストパターン群の入力を受けて、テストパターン群に含まれるテストパターンごとにシステム要件を生成する。システム要件生成部192は、生成したシステム要件を纏めたシステム要件群を生成し、出力する。
【0024】
システム要件生成部192が、例えばシステム要件群の初期データとしてシステム要件群のヘッダのデータのみを含むデータを生成しておくようにしてもよい。そして、システム要件生成部192が、システム要件を生成するごとに、そのシステム要件をシステム要件群に追加することで、システム要件を纏めたシステム要件群を生成するようにしてもよい。
システム要件生成部192は、システム要件生成手段の例に該当する。
【0025】
図3は、テスト対象関連情報の例を示す図である。
図3の例では、テスト対象である顔認証アプリケーション製品「app-face」の製品データがテスト対象関連情報として示されている。
図3の例で、テスト対象関連情報は、テスト対象ID(Identifier、識別子)と、1つ以上の評価軸と、1つ以上の評価項目とを含む。
【0026】
(テスト対象ID)
テスト対象IDは、テスト対象を識別する識別情報である。
図3の例で、テスト対象ID「app-face」は、テスト対象である顔認証アプリケーション製品「app-face」を識別する。
例えば、記憶部180が、複数のテスト対象それぞれのテスト対象関連情報を記憶していてもよい。この場合、テストパターン生成部191は、テスト対象IDを用いて、テスト対象に応じたテスト対象関連情報を記憶部180から読み出すことができる。
【0027】
(評価軸)
評価軸は、テストにおけるバリエーション(選択肢)を示す情報である。
図3の例で、テスト対象関連情報は、「FPS」、「解像度」および「カメラ台数」の3つの評価軸を含む。それぞれの評価軸が、テストにおけるバリエーションを示す。
評価軸「FPS」は、カメラのフレームレート(FPS:Frame per Second)を示す。評価軸「FPS」で、ラベル「target:」で示されるターゲット項目「camera」は、「FPS」の対象がカメラであることを示す。ラベル「value:」で示される値「5」、「10」および「15」は、フレームレートの選択肢を示す。
【0028】
評価軸「解像度」は、カメラに投影するテスト動画を示す。評価軸「解像度」のターゲット項目「video」は、「解像度」の対象が動画であることを示す。評価軸「解像度」の値「VGA: file: people_vga.mp4」、「FHD: file: people_fhd.mp4」および「4K:file: people_4k.mp4」は、動画の形式(解像度など)およびそのファイル名の選択肢を示す。
【0029】
評価軸「カメラ台数」は、カメラの台数の選択肢、および、その台数に応じて追加配備が必要となるカメラおよび映像ファイルと、これら要素の接続構成に関する情報とを示す。評価軸「カメラ台数」のターゲット項目「camera」は、「カメラ台数」の対象がカメラであることを示す。評価軸「カメラ台数」の値「1」、・・・、「5」は、カメラの台数の選択肢を示す。
【0030】
ラベル「redundancy:」で示される冗長性情報は、ラベル「nodes:」で示されるカメラと動画との関係の選択肢を示す。
このように、評価軸は、ラベル「value:」で示される値のリスト、および、ラベル「target:」で示される、値の対象となるテスト環境中の要素の情報に加えて、ファイルの構成またはネットワーク構成など、値によりテスト環境に影響を与える範囲の情報を含んでもよい。
【0031】
評価軸の集合を評価軸群とも称する。評価軸群は、テストのバリエーションを構成するパラメータ群といえる。
図3の例では、「FPS」、「解像度」および「カメラ台数」の3つの評価軸の集合が評価軸群の例に該当する。
【0032】
(評価項目)
評価項目は、テストで評価すべき項目、またはその項目を示す情報である。ここでいう評価は、例えば測定、計算または判定等によって定量的または定性的な評価値を決定することであってもよい。
図3の例では、テスト対象であるアプリケーションプログラムが動作するOS(Operation System)がコンピュータに与える負荷を表す、CPU使用率およびメモリ使用率の2つの評価項目「CPU使用率」および「メモリ使用率」が示されている。
【0033】
評価項目の集合を評価項目群とも称する。
図3の例では、「CPU使用率」および「メモリ使用率」の2つの評価項目の集合が評価項目群の例に該当する。それぞれの評価項目におけるターゲット項目「OS」は、評価対象がOSであることを示す。ラベル「unit:」で示される単位「percent」は、評価値をパーセントで表すことを示す。
なお、テスト対象関連情報の具体的な内容は、
図3に示す例に限定されない。
【0034】
図4は、テストパターン群の例を示す図である。テストパターン群は、1つ以上のテストパターンを含む。
図4の例では、ラベル「1:」、「2:」、・・・で個々のテストパターンが示されている。
1つのテストパターンは、テスト環境としての1つのシステムの要件を示す評価軸群の値と、そのテスト環境を用いたテストでの評価項目群とを含む。評価軸群に含まれる各評価軸の値が決定されていることで、テストパターンは、1つのシステムの要件を示す。上述したように、テストパターン生成部191は、テスト対象関連情報における各評価軸の値を決定することで、1つのテストパターンを生成する。
値が一意に決まっていない評価軸をパラメータと見做すことができる。評価軸の値を決定することは、パラメータの値を決定することと見做すことができる。
【0035】
例えば、
図4の例でラベル「1:」で示されるテストパターンは、
図3のテスト対象関連情報で、評価軸「FPS」の値を「5」に決定し、評価軸「解像度」の値を「VGA: file: people_vga.mp4」に決定し、評価軸「カメラ台数」の値を「1」に決定することで得られる。
このテストパターンの評価軸「解像度」は、動画ファイルとして「people_vga.mp4」をアップロードし、再生する必要があることを示している。また、評価軸「カメラ台数」は、カメラおよび動画ファイルをそれぞれ1個ずつ設け、動画ファイルをカメラに投影すること、および、カメラの映像をアプリケーション「app-face」へ送信することを示している。
【0036】
テストパターン生成部191が、テスト対象関連情報における評価軸の値を決定する方法は、特定の方法に限定されない。例えば、テストパターン生成部191が、評価軸の値の可能な組み合わせごとにテストパターンを生成するようにしてもよい。あるいは、テストパターン生成部191が、評価軸の値の選択肢からランダムに値を選択するようにしてもよい。あるいは、テストパターン生成部191が、評価軸の値の選択肢または範囲を表示部120に表示させ、値を指定するユーザ操作に従って、評価軸の値を決定するようにしてもよい。
【0037】
図5は、テストパターン群の表示例を示す図である。
図5は、表示部120が、
図4に例示されるテストパターン群を表形式で表示する例を示している。
図5の表示形式では、簡便のため、各評価軸に付随する評価要件構築のための抽象的な情報と、各評価項目の評価対象の情報および値形式(単位)の情報が省略されている。
なお、テストパターン群の具体的な内容および表示形式は、
図4および
図5に示す例に限定されない。
【0038】
図6は、システム要件の例を示す図である。
図6は、表示部120が、システム要件の一例を、グラフ形式で表示する例を示している。具体的には、システムの要素をノードで表し、要素間の接続関係をエッジで表すグラフ構造でテストパターンが示されている。
システム要件は、テスト環境としてのシステムの構築に必要となる要素を抽象的に示す。例えば、システム要件を要素単位で具体化することで、配備(Deployment)可能なレベルに具体化されたシステム構成を設計することができる。
【0039】
また、
図6の例で、一部のノードおよびエッジに属性値の情報が付加されている。
例えば、アプリケーション「app-face」がUbuntu Linux(Ubuntu、Linuxは、それぞれ登録商標)をOSとするサーバ上で動作することが、ノードおよびエッジの属性値の情報で示されている。具体的には、「OS」ノードの属性値にて、OSの種類が示されている。そして、「app-face」ノードからOS1ノードへの接続関係が「wire:OS」エッジで表され、OS1ノードから「machine1」ノードへの接続関係が、「wire:Machine」エッジで表されている。「wire:OS」エッジは、アプリケーションとOSとの間の接続を示す。「wire:Machine」エッジは、OSとサーバとの間の接続を示す。
【0040】
また、カメラを表すノードである「camera1」ノードおよび「camera2」ノードには、動画ファイルを表すvideo型ノードから、同ノードが映像の投影元であることを表すhasSourceエッジが接続されている。video型ノードとして、「video1」ノード、および「video2」ノードが設けられている。
【0041】
図6の例で「camera1」ノードおよび「camera2」ノードのそれぞれを「sendVideo」エッジで「app-face」ノードに接続する接続関係は、
図4に例示されるテストパターンの評価軸「カメラ台数」の記載によって示される。
具体的には、テストパターンの「カメラ台数」の「edges:」の「(Video,Camera,hasSource)」の記載によって、「Video」ノードと「Camera」ノードとを「hasSource」エッジで接続することが示されている。また、冗長度「redundancy」の値「value:」の記載によって、「app-face」ノードに接続するカメラの台数が示されている。
【0042】
図6は、冗長度「redundancy」の値「value:」が「2」である場合の例を示している。システム要件生成部192は、この値に基づいて、2つの「Camera」ノードである「Camera1」ノードおよび「Camera2」ノードを設け、それぞれのノードを「sendVideo」エッジで「app-fece」ノードに接続している。
【0043】
評価項目であるCPU使用率およびメモリ使用率の取得方法に関しては、評価用プログラムの実行主体となる「Agent1」ノードから「OS1」ノードへの「wire:OSエッジ」に、これら2つの評価項目が付加されている。これにより、「Agent1」ノードにより「OS1」ノードを対象として評価用プログラムを実行することが表現されている。
なお、実線の矢印は具体的な接続関係のエッジを表す。破線の矢印は抽象的な接続関係のエッジを表す。なお、評価要件の具体的な内容および表示形式は、
図6に示す例に限定されない。
【0044】
(動作の説明)
図7は、テスト支援装置100が行う処理の手順の例を示すフローチャートである。
図7の処理で、テストパターン生成部191は、テスト対象関連情報を取得する(ステップS1)。
そして、テストパターン生成部191は、取得したテスト対象関連情報に含まれる評価軸群の情報および評価項目群の情報に基づいてテストパターン群を生成する(ステップS2)。具体的には、テストパターン生成部191は、テスト対象関連情報に含まれる評価軸群の各評価軸の値を決定することで、1つのテストパターンを生成する。例えば、テストパターン生成部191は、評価軸群の値の全ての組み合わせについてテストパターンの生成を繰り返し、得られたテストパターンをテストパターン群に纏める。
【0045】
テストパターン生成部191が、例えばテストパターン群の初期データとしてテストパターン群のヘッダのデータのみを含むデータを生成しておくようにしてもよい。そして、テストパターン生成部191が、テストパターンを生成するごとに、そのテストパターンをテストパターン群に追加することで、テストパターンを纏めたテストパターン群を生成するようにしてもよい。
【0046】
次に、システム要件生成部192は、ステップS2でテストパターン生成部191が生成したテストパターン群に基づいてシステム要件群を生成する(ステップS3)。具体的には、システム要件生成部192は、テストパターン群に含まれるテストパターンごとに、システム要件を生成し、得られシステム要件をシステム要件群に纏める。
【0047】
そして、システム要件生成部192は、ステップS3で生成したシステム要件群を出力する(ステップS4)。例えば、システム要件生成部192が、生成したシステム要件群を、通信部110を介してシステム自動設計装置へ送信するようにしてもよい。
ステップS4の後、テスト支援装置100は、
図7の処理を終了する。
【0048】
このように、テスト支援装置100では、テストパターン生成部191が、テスト対象関連情報に示される評価軸群の情報および評価項目群の情報に基づいて、テストパターン群を生成する。そして、システム要件生成部192が、テストパターン群に対応するシステム要件群を生成し、出力する。
【0049】
(効果の説明)
以上のように、テストパターン生成部191は、テスト対象に応じて定められるテストの要件を、パラメータを含んで示すテスト対象関連情報に基づいて、テスト対象関連情報のパラメータの値が決定されたテストパターンを1つ以上生成する。システム要件生成部192は、テストパターン生成部191が生成したテストパターンが示すテストの要件を満たすシステムのシステム要件を生成する。
【0050】
このように、テスト支援装置100は、入力されたテスト対象関連情報に示される評価軸群および評価項目群の情報から、テストパターン群およびこれに対応したシステム要件群を生成する。これにより、テスト支援装置100では、製品などテスト対象のテスト工程で必要となる網羅的なテスト環境群(1つ以上のテスト環境)としての1つ以上のシステム要件の決定(要件定義)を、自動的に、あるいは、半自動的に行うことができる。テスト支援装置100によればこの点で、テストの要件を満たすシステムを比較的容易に生成できる。
【0051】
また、テスト対象関連情報は、テストにおけるテスト環境の要件を、パラメータを含んで選択可能に示す評価軸群と、テストにおける評価項目群とを含む。
これにより、テストパターン生成部191は、テスト対象関連情報に含まれるパラメータの値を決定することで、テストパターンを生成することができる。
【0052】
ここで、テスト対象によって複数のテスト環境の各々でテストを行う場合がある。例えば、ICTシステムを構成する要素であるアプリケーションまたはハードウェア等の製品の開発において、製品がユーザの利用する環境において機能要件および非機能要件を充足することを検証するために、さまざまな構成のシステム環境において網羅的に評価試験を行う必要がある。このような試験の例として、アプリケーション製品における、アプリケーションが動作するコンピュータの負荷試験や、ネットワーク機器製品における、実効スループット等の性能測定試験などが挙げられる。
【0053】
このように、複数のテスト環境の各々でテストを行う場合、テスト環境ごとにシステムの設計および構築を行う必要があり、担当者の工数的負担が大きい。特に、テスト環境としてのシステムの要素のうち、ネットワークやファイル等の具体的な構成はテストごとに異なる。各テストで用いるシステムの構成情報の詳細を人手で予め決定しておく場合、あるテストで用いるシステムの構成情報を、他のテストに流用できず記述量が莫大となってしまう。一方、システムの構成情報を抽象的に決定しておく場合、テストごとに抽象的要素の具体化および要件定義が必要となる。このように、何れの場合も、人手による作業が必要となり、担当者の負担が大きい。
【0054】
これに対し、テスト支援装置100によれば、上記のように要件定義を自動的に、あるいは、半自動的に行うことができ、担当者の負担を軽減できる。特に、テストパターン生成部191が、テスト対象関連情報に含まれる評価軸群の値の全ての組み合わせについてテストパターンを生成することで、システム要件生成部192は、テスト環境としてのシステムの要件を示すシステム要件を網羅的かつ自動的に生成することができる。
【0055】
<第二実施形態>
(構成の説明)
図8は、第二実施形態に係るテスト支援装置の構成例を示す概略ブロック図である。
図8に示す構成で、テスト支援装置200は、記憶部280と、制御部290とを備える。記憶部280は、システム要件テンプレート記憶部281と、具体化テンプレート記憶部282とを備える。制御部290は、テスト環境具体化部293を備える。
図8に示す各部のうち、
図1に示す各部に対応して同様の機能を有する部分には同一の符号(110、120、130、191、192)を付し、ここでは詳細な説明を省略する。
【0056】
図8に示されるテスト支援装置200の構成は、記憶部280がシステム要件テンプレート記憶部281および具体化テンプレート記憶部282を備える点、および、制御部290がテスト環境具体化部293を備える点で、
図1に示されるテスト支援装置100の構成と異なる。また、第二実施形態におけるシステム要件生成部192の処理は、第一実施形態で説明した処理の具体例に該当する。
それ以外の点では、テスト支援装置200はテスト支援装置100と同様である。
システム要件テンプレート記憶部281は、システム要件テンプレートを製品ごとに記憶する。システム要件テンプレートは、テストパターンの入力に対するシステム要件の生成方法を示す情報である。システム要件テンプレートでは、システム要件において、テスト対象関連情報の評価軸に相当する情報がパラメータで示される。システム要件生成部192は、このパラメータの値をテストパターンに示される値に決定することで、システム要件を生成する。
【0057】
具体化テンプレート記憶部282は、具体化テンプレートを記憶する。具体化テンプレートは、システム要件など抽象的な部分を含むシステム構成を、部分的かつ段階的に具体的な構成に置換するための具体化方法を示す情報である。この具体化方法を示す個々の情報を具体化ルールと称する。少なくとも1つのシステムの設計(具体化)に用いられる全ての具体化ルールを含む情報を具体化テンプレートと称する。
【0058】
テスト環境具体化部293は、システム要件生成部192が生成するシステム要件ごとに、そのシステム要件を満たすシステム構成を設計する。具体的には、テスト環境具体化部293は、システム要件に対して具体化ルールを用いた具体化を繰り返す。これにより、テスト環境具体化部293は、システム要件を、配備可能なレベルに具体化されたシステム構成に変換する。
テスト環境具体化部293は、テスト環境具体化手段の例に該当する。
【0059】
ここでいうシステム構成は、システム環境として用いられるシステムの構成、またはその構成を示す情報である。システム構成とシステム要件とは、システムの要件ないし構成の具体化の程度において異なる。システム要件生成部192が生成する情報をシステム要件と称し、システム要件よりも要件または構成が具体化されたシステムを示す情報をシステム構成と称する。
システム構成群は、1つ以上のシステム構成を含む情報である。
【0060】
図9は、テスト支援装置200におけるデータの入出力の例を示す図である。
テストパターン生成部191におけるデータの入出力は、
図2の場合と同様である。
システム要件生成部192は、テストパターン群の入力を受けてシステム要件群を出力する。
図9の例では、システム要件生成部192は、システム要件テンプレート記憶部281からテスト対象に応じたシステム要件テンプレートを読み出す。そして、システム要件生成部192は、システム要件テンプレートに含まれるパラメータの値を、テストパターンに示される値に決定することで、テストパターンごとにシステム要件を生成する。システム要件生成部192は、テストパターン群に含まれる全てのテストパターンについてシステム要件を生成し、得られたシステム要件をシステム要件群に纏める。
上述したように、システム要件生成部192が、システム要件群の初期データを生成しておき、システム要件を生成するごとにシステム要件群に加えることで、システム要件をシステム要件群に纏めるようにしてもよい。
【0061】
テスト環境具体化部293は、システム要件群の入力を受けてシステム構成群を出力する。具体的には、テスト環境具体化部293は、システム要件生成部192が生成するシステム要件ごとに、システム要件、または、システム要件に具体化ルールを適用したシステム構成のうち、具体化ルールを適用可能な部分を検出する。具体化ルールを適用可能な部分とは、マッチする具体化ルールがある部分である。そして、テスト環境具体化部293は、検出した部分に具体化ルールを適用して部分的な具体化を行う。テスト環境具体化部293は、配備可能なレベルのシステム構成を得られるまで具体化ルールを用いた具体化を繰り返す。
【0062】
図10は、システム要件テンプレートの例を示す図である。
図10は、表示部120が、システム要件テンプレートの一例をグラフ形式で表示する例を示している。
図10は、
図2のテスト対象関連情報に対応するシステム要件テンプレートを示している。
図10のシステム要件テンプレートによって、
図4に例示されるテストパターンなど、
図2のテスト対象関連情報から得られるテストパターンに応じたシステム要件の生成方法が示されている。具体的には、システム要件生成部192は、システム要件テンプレートに含まれるパラメータの値を、テストパターンに示される値に決定することで、システム要件を生成する。
【0063】
システム要件テンプレートは、
図6に例示されるシステム要件と同様のグラフ形式で表現される。システム要件の場合と同様、システム要件テンプレートの一部のノードおよびエッジに属性値の情報が付加され得る。また、システム要件の場合とは異なり、システム要件テンプレートのノードには、評価軸のパラメータが属性値の情報として更に付加され得る。
【0064】
また、システム要件テンプレートでは、各評価軸の値に応じたグラフの部分的な置換方法が示される。例えば、
図10に示すアプリケーション製品「app-face」のシステム要件テンプレートでは、カメラに投影する映像を表す「video」ノードの置換方法として、評価軸「解像度」の各値に対応するファイル名が示されている。
【0065】
例えば、システム要件生成部192は、評価軸「解像度」のパラメータの値を「VGA」に決定した場合、ファイル「vga.mp4」をアップロードするように、その「video」ノードの属性値の情報を設定する。あるいは、システム要件生成部192は、評価軸「解像度」のパラメータの値を「FHD」に決定した場合、ファイル「fhd.mp4」をアップロードするように、その「video」ノードの属性値の情報を設定する。あるいは、システム要件生成部192は、評価軸「解像度」のパラメータの値を「4K」に決定した場合、ファイル「4k.mp4」をアップロードするように、その「video」ノードの属性値の情報を設定する。
【0066】
「video」ノードの属性値の情報を設定した後、システム要件生成部192は、評価軸「カメラ台数」の値に応じた個数だけ、A11の部分のサブグラフを設ける。A11の部分のサブグラフは、「camera」ノード、「video」ノード、これらのノードを接続する「hasSource」エッジ、および、「camera」ノードと「app-face」ノードとを接続する「sendVideo」エッジによるサブグラフである。
【0067】
評価項目群「CPU使用率」および「メモリ使用率」については、「agent1」ノードから「os1」ノードに対して評価を実行させることが、これらのノードを接続する「wire:OS」エッジに付加された属性値に示されている。
【0068】
図11は、具体化テンプレートの例を示す図である。
図11は、表示部120が、具体化テンプレートの一例をグラフ形式で表示する例を示している。
具体化ルールT11では、アプリケーション間のHTTP(Hyper Text Transfer Protocol)通信を表す抽象的なHTTP型エッジを具体化するための方法が示されている。この具体化ルールでは、テスト環境具体化部293は、HTTP型エッジの両端点となるアプリケーション型ノード「app1」、「app2」を、OS型ノード「os1」、「os2」にそれぞれホストさせ、wire:OS型エッジで接続させる。そして、テスト環境具体化部293は、2つのOS型ノード「os1」と「os2」とを、TCP(Transmission Control Protocol)接続を表すTCP型エッジで接続する。
【0069】
具体化ルールT12では、OS型ノード「os1」を具体化するための方法が示されている。この具体化ルールでは、テスト環境具体化部293は、OSを起動するためのサーバを表すmachine型ノードを追加し、「os1」ノードと追加したノードとを、wire:OS型エッジで接続する。
具体化ルールT13では、machine型ノード「machine1」を具体化するための方法が示されている。この具体化ルールでは、テスト環境具体化部293は、ルータを表すrouter形ノード「router」を追加し、「machine1」ノードと「router」ノードとを「wire:router」エッジで接続する。
テスト環境具体化部293は、具体化ルールを用いたシステム要件の具体化を、対象となるグラフ構造中に抽象的な要素を含まなくなるまで逐次的に繰り返す。すなわち、テスト環境具体化部293は、配備可能なレベルに具体化されたシステム構成を得られるまで、システム要件またはシステム構成の具体化を繰り返す。
【0070】
図12は、テスト環境の例を示す図である。
図10は、表示部120が、テスト環境として配備可能なレベルに具体化されたシステム構成の一例をグラフ形式で表示する例を示している。このように、ここでいうテスト環境は、製品などのテスト対象に対するテストを実施するために必要となるシステムの具体的な構成を表す情報である。ここでいうテスト環境は、サーバおよびルータ等の接続関係を含むネットワーク構成に加え、サーバ上で動作するOSおよびアプリケーション、および、ファイル配置等の詳細な情報を含む。
【0071】
図12に例示されるテスト環境では、
図5に示すシステム要件で抽象的な要素であった、「sendVideo」エッジおよび「hasSource」エッジが具体化されている。また、サーバである「machine1」ノードおよび2台のカメラノードが同一のルータである「router」ノードに接続されている。さらに、動画ファイル「video1」および「video2」を再生するためのOSである「os2」ノードおよび、そのOSが起動するサーバである「machine2」ノードが追加配備され、「wire:GW」エッジで「router」ノードへ接続されている。
【0072】
さらに、
図12の例では、テスト環境において実行すべき評価試験の種類と、評価試験の実行主体および試験対象が規定されている。
図12の例では、評価項目群「CPU使用率」「メモリ使用率」について、「agent1」ノードから「os1」ノードに対して評価を実行させることが、エッジの属性値にて示されている。
なお、テスト環境を示すシステム構成の具体的な内容および表示形式は、
図12に示す例に限定されない。
【0073】
(動作の説明)
図13は、テスト支援装置200が行う処理の手順の例を示すフローチャートである。
図13における処理ステップのうち、
図7における処理ステップと同様のものについては、同一の符号(S1、S2)を付し、ここでは詳細な説明を省略する。
【0074】
図13のステップS1およびS2は、
図7の場合と同様である。ステップS2の後、システム要件生成部192は、システム要件テンプレート記憶部281を参照し、テスト対象に対応するシステム要件テンプレートを取得する(ステップS11)。
そして、システム要件生成部192は、ステップS2で生成されたテストパターン群およびステップS11で取得したシステム要件テンプレートに基づいて、システム要件群を生成する(ステップS12)。具体的には、システム要件生成部192は、テストパターン群に含まれるテストパターンごとに、そのテストパターンに対応するシステム要件を生成し、生成したシステム要件をシステム要件群に纏める。
【0075】
次に、テスト環境具体化部293は、具体化テンプレート記憶部282を参照し、製品などのテスト対象に対応する具体化テンプレートを取得する(ステップS13)。
そして、テスト環境具体化部293は、ステップS12で生成されたシステム要件群およびステップS13で取得した具体化テンプレートを用いてシステム構成群を生成する(ステップS14)。具体的には、テスト環境具体化部293は、システム要件群に含まれるシステム要件ごとに、具体化ルールを用いた具体化を行ってシステム構成を生成する。そして、テスト環境具体化部293は、生成したシステム構成をシステム構成群に纏める。
そして、テスト環境具体化部293は、生成したシステム構成群を出力する(ステップS15)。
ステップS15の後、テスト支援装置200は
図13の処理を終了する。
【0076】
このように、テスト支援装置200では、テストパターン生成部191が、テスト対象関連情報に示される評価軸群の情報および評価項目群の情報に基づいて、テストパターン群を生成する。そして、システム要件生成部192が、システム要件テンプレート記憶部281から取得するシステム要件テンプレートに基づいて、テストパターン群に対応するシステム要件群を生成する。テスト環境具体化部293は、具体化テンプレート記憶部282から具体化テンプレートを読み出し、システム要件群に含まれる各システム要件を、具体化ルールを用いて具体化する。これにより、テスト環境具体化部293は、システム要件群に対応した、テスト環境群としてのシステム構成群を生成し出力する。
【0077】
(効果の説明)
以上のように、システム要件生成部192は、システム要件におけるシステム要件の一部がパラメータで示されるシステム要件テンプレートのパラメータの値を決定することで、システム要件を1つ以上生成する。
これにより、システム要件生成部192は、システム要件テンプレートのパラメータの値をテストパターンに基づいて決定するという比較的簡単な処理でシステム要件テンプレートを生成することができる。また、テスト支援装置200では、製品などテスト対象のテスト工程で必要となる網羅的なテスト環境群としての1つ以上のシステム要件の決定(要件定義)を、自動的に、あるいは、半自動的に行うことができる。テスト支援装置200によればこの点で、テストの要件を満たすシステムを比較的容易に生成できる。
【0078】
また、テスト環境具体化部293は、システム要件を具体化することで、そのシステム要件を満たすシステム構成を生成する。
これにより、テスト環境具体化部293は、システム要件に基づいて、テスト環境としての具体的なシステム構成を自動的に設計することができる。テスト環境具体化部293によれば、この点で、担当者の負荷を軽減することができる。
【0079】
また、テスト環境具体化部293は、システム要件に対して部分的な具体化を繰り返すことで、システム構成を生成する。
このように、テスト環境具体化部293は、システム要件に対する具体化を繰り返すことで、テスト環境としての具体的なシステム構成を自動的に設計することができる。テスト環境具体化部293によれば、この点で、担当者の負荷を軽減することができる。
【0080】
このように、テスト支援装置200によれば、テスト支援装置100について説明した効果に加えて、テスト環境具体化部293において各システム要件を具体化することで、人手による作業を伴うことなく、網羅的なテスト環境群を自動で生成することができる。
さらに、テスト支援装置200では、テスト対象関連情報からテスト環境を自動的に生成する際に、テスト対象関連情報に基づくシステム要件群の生成方法がシステム要件テンプレートとして示されている。また、テスト支援装置200では、システム要件からテスト環境への具体化に用いる方法が具体化テンプレートとして示されているため、テスト支援装置200のユーザ等の技術者が、テスト支援装置200を用いて新たな製品など新たなテスト対象のテスト環境を構築する場合に、既存の具体化テンプレートを参照して比較的容易に、新たなテスト対象用の具体化テンプレートを生成できる。
なお、テスト支援装置100が具体化テンプレート記憶部282およびテスト環境具体化部293を備えるようにしてもよい。これにより、テスト支援装置200の場合と同様、テスト環境具体化部293は、システム要件群から、テスト環境群としてのシステム構成群を自動生成することができる。
【0081】
<第三実施形態>
(構成の説明)
図14は、第三実施形態に係るテスト支援システムの構成例を示す概略ブロック図である。
図14に示す構成で、テスト支援システム300は、テスト支援装置310と、テスト実行装置320と、テスト結果記録装置330とを備える。テスト結果記録装置330は、テスト結果記憶部331を備える。
【0082】
テスト支援装置310とテスト実行装置320とは通信可能である。テスト実行装置320とテスト結果記録装置330とは通信可能である。テスト支援装置310として、テスト支援装置200を用いるようにしてもよい。あるいは、テスト支援装置310として、具体化テンプレート記憶部282およびテスト環境具体化部293を備えるテスト支援装置100を用いるようにしてもよい。
【0083】
テスト支援装置310、テスト実行装置320、および、テスト結果記録装置330が、1つの装置として構成されていてもよい。例えば、テスト支援装置310、テスト実行装置320、および、テスト結果記録装置330の各機能が、同一のコンピュータによって実行されてもよい。あるいは、テスト支援装置310、テスト実行装置320、および、テスト結果記録装置330のうち何れか2つが、1つの装置として構成されていてもよい。
【0084】
図15は、テスト支援システム300におけるデータの入出力の例を示す図である。
テスト支援装置310は、テスト対象関連情報の入力を受けて、システム構成群を出力する。
テスト実行装置320は、システム構成群の入力を受けてテスト結果群を出力する。具体的には、テスト実行装置320は、システム構成群に含まれるシステム構成ごとに、そのシステム構成によるシステムをテスト環境として用いてテストを行う。テスト実行装置320は、テスト結果をテスト結果群に纏める。
【0085】
ここでいうテスト結果は、個々のテスト環境でのテストの結果を示す情報である。具体的には、テスト結果は、個々のテスト環境でのテストにおける評価項目の値を示す情報である。
テスト結果群は、1つ以上のテスト結果を含む情報である。
テスト結果記録装置330は、テスト実行装置320が出力するテスト結果群をテスト結果記憶部331に記憶する。
【0086】
図16は、テスト結果群の例を示す図である。
図16は、テスト実行装置320が、テスト結果群の一例を表形式で表示する例を示している。あるいは、テスト支援装置310またはテスト結果記録装置330が、テスト結果群を表示するようにしてもよい。
評価結果群情報は、テスト実行装置320がテストを行って得られた各評価項目の値をテストパターンごとに示す情報である。
【0087】
図16に示すテスト結果群の表示例は、
図5のテストパターン群の表示例に、テスト実行装置320によるテスト結果における、テストパターンごとのCPU使用率の値およびメモリ使用率の値を埋めて表示する例に該当する。したがって、
図16の例では、アプリケーション「app-face」の評価テストで測定された、このアプリケーションが動作するサーバのCPU使用率およびメモリ使用率の値が、各評価パターンと対応した評価結果として示されている。
なお、評価結果の具体的な内容および表示形式は、
図16に示す例に限定されない。
【0088】
(動作の説明)
図17は、テスト支援システム300が行う処理の手順の例を示すフローチャートである。
図17は、テスト支援装置310としてテスト支援装置200を用いる場合の処理の例を示している。
図17における処理ステップのうち、
図13における処理ステップと同様のものについては、同一の符号(S1、S2、S11、S12、S13、S14、S15)を付し、ここでは詳細な説明を省略する。
【0089】
図17のステップS1からS15までは、
図13の場合と同様である。ステップS15の後、テスト実行装置320は、テスト支援装置310が生成し出力したシステム構成群の入力を受け、システム構成ごとにテストを実行して評価結果群を出力する(ステップS21)。テスト実行装置320が、システム構成に基づいてテスト環境としてシステムを自動的に構築するようにしてもよい。あるいは、テスト実行装置320が、システム構成を表示し、ユーザがシステム構成にしたがってシステムを構築するなど、テスト環境としてシステムを人手で構築するようにしてもよい。
【0090】
テスト実行装置320は、システム構成ごとにテストを行い、テスト結果をテスト結果群に纏めて出力する。
そして、テスト実行装置320が出力するテスト結果群をテスト結果記録装置330が取得し、テスト結果記憶部331に記憶する(ステップS22)。
ステップS22の後、テスト支援システム300は
図17の処理を終了する。
【0091】
このように、テスト支援システム300では、テスト支援装置310が、評価軸群および評価項目群を示すテスト対象関連情報に基づいてシステム構成群を出力する。そして、テスト実行装置320が、システム構成群に含まれるシステム構成ごとにテストを行い、テスト結果を評価結果群として出力する。テスト結果記録装置330は、テスト実行装置320が出力する評価結果群を取得して、テスト結果記憶部331に記憶する。
【0092】
(効果の説明)
このように、テスト支援システム300では、テスト支援装置100について説明した効果、および、テスト支援装置200について説明した効果に加えて、テスト実行装置320によって自動的にあるいは半自動的にテストを行うことができ、テスト結果記録装置330によって評価結果を自動的に記憶することができる。この点で、担当者の負荷をさらに軽減することができる。
【0093】
<第四実施形態>
図18は、第四実施形態に係るテスト支援装置の構成例を示す図である。
図18に示す構成で、テスト支援装置600は、テストパターン生成部601と、システム要件生成部602とを備える。
【0094】
かかる構成で、テストパターン生成部601は、テスト対象に応じて定められるテストの要件を、パラメータを含んで示すテスト対象関連情報に基づいて、テスト対象関連情報のパラメータの値が決定されたテストパターンを1つ以上生成する。システム要件生成部602は、テストパターンが示すテストの要件を満たすシステムのシステム要件を生成する。
テストパターン生成部601は、テストパターン生成手段の例に該当する。システム要件生成部602は、システム要件生成手段の例に該当する。
【0095】
このように、テスト支援装置600は、入力されたテスト対象関連情報に示される評価軸群および評価項目群の情報から、テストパターン群およびこれに対応したシステム要件群を生成する。これにより、テスト支援装置600では、製品などテスト対象のテスト工程で必要となる網羅的なテスト環境群としての1つ以上のシステム要件の決定(要件定義)を、自動的に、あるいは、半自動的に行うことができる。テスト支援装置600によればこの点で、テストの要件を満たすシステムを比較的容易に生成できる。
【0096】
<第五実施形態>
図19は、第五実施形態に係るテスト支援方法における処理の手順の例を示すフローチャートである。
図19に示す処理は、テストパターンを生成すること(ステップS601)と、システム要件を生成すること(ステップS602)とを含む。
【0097】
テストパターンを生成すること(ステップS601)では、テスト対象に応じて定められるテストの要件を、パラメータを含んで示すテスト対象関連情報に基づいて、テスト対象関連情報のパラメータの値が決定されたテストパターンを1つ以上生成する。システム要件を生成すること(ステップS602)では、テストパターンが示すテストの要件を満たすシステムのシステム要件を生成する。
【0098】
図19に示す処理では、入力されたテスト対象関連情報に示される評価軸群および評価項目群の情報から、テストパターン群およびこれに対応したシステム要件群を生成する。これにより、
図19に示す処理では、製品などテスト対象のテスト工程で必要となる網羅的なテスト環境群としての1つ以上のシステム要件の決定(要件定義)を、自動的に、あるいは、半自動的に行うことができる。
図19に示す処理によればこの点で、テストの要件を満たすシステムを比較的容易に生成できる。
【0099】
図20は、少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
図20に示す構成で、コンピュータ700は、CPU710と、主記憶装置720と、補助記憶装置730と、インタフェース740とを備える。
【0100】
上記のテスト支援装置100、テスト支援装置200、および、テスト支援装置600のうち何れか1つ以上が、コンピュータ700に実装されてもよい。その場合、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式で補助記憶装置730に記憶されている。CPU710は、プログラムを補助記憶装置730から読み出して主記憶装置720に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、CPU710は、プログラムに従って、上述した各記憶部に対応する記憶領域を主記憶装置720に確保する。
【0101】
テスト支援装置100がコンピュータ700に実装される場合、制御部190およびその各部の動作は、プログラムの形式で補助記憶装置730に記憶されている。CPU710は、プログラムを補助記憶装置730から読み出して主記憶装置720に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。
また、CPU710は、プログラムに従って、記憶部180に対応する記憶領域を主記憶装置720に確保する。
通信部110による通信は、インタフェース740が通信機能を有し、CPU710の制御に従って通信を行うことで実行される。
表示部120による表示は、インタフェース740が表示画面を備え、CPU710の制御に従って各種画像を表示することで実行される。操作入力部130によるユーザ操作の受け付けは、インタフェース740が入力デバイスを備えてユーザ操作を受け付け、受け付けたユーザ操作を示す信号をCPU710に出力することで実行される。
【0102】
テスト支援装置200がコンピュータ700に実装される場合、制御部290およびその各部の動作は、プログラムの形式で補助記憶装置730に記憶されている。CPU710は、プログラムを補助記憶装置730から読み出して主記憶装置720に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。
また、CPU710は、プログラムに従って、記憶部280およびその各部に対応する記憶領域を主記憶装置720に確保する。
通信部110による通信は、インタフェース740が通信機能を有し、CPU710の制御に従って通信を行うことで実行される。
表示部120による表示は、インタフェース740が表示画面を備え、CPU710の制御に従って各種画像を表示することで実行される。操作入力部130によるユーザ操作の受け付けは、インタフェース740が入力デバイスを備えてユーザ操作を受け付け、受け付けたユーザ操作を示す信号をCPU710に出力することで実行される。
【0103】
テスト支援装置600がコンピュータ700に実装される場合、テストパターン生成部601と、システム要件生成部602との動作は、プログラムの形式で補助記憶装置730に記憶されている。CPU710は、プログラムを補助記憶装置730から読み出して主記憶装置720に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。
【0104】
なお、テスト支援装置100、テスト支援装置200、および、テスト支援装置600の全部または一部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより各部の処理を行ってもよい。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OS(オペレーティングシステム)や周辺機器等のハードウェアを含む。
「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM(Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
【0105】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【符号の説明】
【0106】
100、200、310、600 テスト支援装置
110 通信部
120 表示部
130 操作入力部
180、280 記憶部
190、290 制御部
191、601 テストパターン生成部
192、602 システム要件生成部
281 システム要件テンプレート記憶部
282 具体化テンプレート記憶部
293 テスト環境具体化部
300 テスト支援システム
320 テスト実行装置
330 テスト結果記録装置
331 テスト結果記憶部