(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】ブロー成形金型輸送システム及び輸送方法
(51)【国際特許分類】
B29C 49/48 20060101AFI20241217BHJP
B29C 49/42 20060101ALI20241217BHJP
B65G 1/00 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
B29C49/48
B29C49/42
B65G1/00 501C
(21)【出願番号】P 2020216646
(22)【出願日】2020-12-25
【審査請求日】2023-10-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000958
【氏名又は名称】弁理士法人インテクト国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100120237
【氏名又は名称】石橋 良規
(72)【発明者】
【氏名】廣岡 高明
【審査官】田村 佳孝
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-093305(JP,A)
【文献】特開平11-199013(JP,A)
【文献】特開平10-156670(JP,A)
【文献】特開平11-105114(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 49/48
B29C 49/42
B65G 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリフォームを供給し、
供給された前記プリフォームをボトルにブロー成形するブロー成形機に組み込むブロー成形金型を収納する金型収納具と、
前記金型収納具を自動的に保管及び搬出を行う自動倉庫と、
前記自動倉庫から搬出される前記金型収納具を乗せて輸送する台車と
前記台車を前記ブロー成形機近傍まで無人走行させ、無人走行させた前記台車を前記ブロー成形機近傍から前記自動倉庫まで無人走行させる台車無人走行装置を備えることを特徴とするブロー成形金型輸送システム。
【請求項2】
請求項1に記載のブロー成形金型輸送システムにおいて、
前記台車無人走行装置は、前記自動倉庫と前記プリフォームを多数収容し前記ブロー成形機に前記プリフォームを供給するプリフォーム供給コンテナを搬送するプリフォーム供給コンテナ搬送装置の前記プリフォーム供給コンテナを受け入れるプリフォーム供給コンテナ受け入れ部までを往復して前記台車を無人走行するプリフォーム供給コンテナ受け入れ部台車無人走行装置を備えることを特徴とするブロー成形金型輸送システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のブロー成形金型輸送システムにおいて、
前記自動倉庫は、前記金型収納具を保管する多段かつ多列の棚と、
前記棚に沿って前記金型収納具を搬送し、昇降させる自動倉庫搬送装置及び
前記金型収納具を前記自動倉庫への搬入および前記自動倉庫からの搬出を自動的に行う自動倉庫制御装置を備えることを特徴とするブロー成形金型輸送システム。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のブロー成形金型輸送システムにおいて、
前記金型収納具は、回転する棚を備えることを特徴とするブロー成形金型輸送システム。
【請求項5】
プリフォームを供給し、
供給された前記プリフォームをボトルにブロー成形するブロー成形機に組み込むブロー成形金型を金型収納具に収納し、
前記ブロー成形金型が収納された前記金型収納具を自動的に搬入及び搬出を行う自動倉庫に前記金型収納具を保管し、
前記金型収納具を前記自動倉庫から搬出し、
前記自動倉庫から搬出される前記金型収納具を台車に載置し、
前記金型収納具が載置された前記台車を前記ブロー成形機近傍まで無人走行させ、
前記ブロー成形機に取り付けられていたブロー成形金型を前記ブロー成形機から取り外して前記金型収納具に収納し、前記金型収納具に収納されていた前記ブロー成形金型を前記ブロー成形機に取り付け、
前記ブロー成形機に取り付けられていた前記ブロー成形金型が収納された前記金型収納具が載置される前記台車を前記ブロー成形機近傍から前記自動倉庫まで無人走行させ、
前記自動倉庫に前記金型収納具を保管することを特徴とするブロー成形金型輸送方法。
【請求項6】
請求項5に記載のブロー成形金型の輸送方法において、
前記自動倉庫から搬出された前記金型収納具を載置した前記台車を、前記自動倉庫から前記プリフォームを多数収容して前記ブロー成形機に前記プリフォームを供給するプリフォーム供給コンテナを搬送するプリフォーム供給コンテナ搬送装置の前記プリフォーム供給コンテナを受け入れるプリフォーム供給コンテナ受け入れ部まで前記台車を無人走行さ
せ、
前記台車に載置された前記金型収納具を前記プリフォーム供給コンテナ搬送装置に移動し、前記金型収納具を前記プリフォーム供給コンテナ搬送装置により前記プリフォーム供給コンテナ搬送装置の終点近傍であるプリフォーム供給コンテナ終点近傍まで搬送し、
前記プリフォーム供給コンテナ終点近傍で前記金型収納具を前記台車に載置し、前記金型収納具が載置された前記台車を前記プリフォーム供給コンテナ終点近傍から前記ブロー成形機近傍まで走行させ、
前記台車を前記ブロー成形機の近傍から前記プリフォーム供給コンテナ搬送装置の終点近傍まで走行させ、
前記金型収納具を前記プリフォーム供給コンテナ搬送装置に移動させ、
前記金型収納具を前記プリフォーム供給コンテナ終点近傍から前記プリフォーム供給コンテナ受け入れ部まで、前記プリフォーム供給コンテナ搬送装置により搬送し、
前記プリフォーム供給コンテナ受け入れ部で前記金型収納具を前記台車に載置し、
前記台車を前記自動倉庫まで無人走行させ、前記自動倉庫に前記金型収納具を保管することを特徴とするブロー成形金型輸送方法。
【請求項7】
請求項5又は請求項6に記載のブロー成形金型輸送方法において、
前記台車を前記自動倉庫まで無人走行させた後、前記台車に載置される前記金型収納具を前記自動倉庫内に搬送する自動倉庫搬送装置に載置し、多段かつ多列の棚
に沿って走行及び昇降する前記自動倉庫搬送装置により、前記棚の所定の箇所に前記金型収納具を自動的に搬入することをすることを特徴とするブロー成形金型輸送方法。
【請求項8】
請求項5乃至請求項7のいずれか1項に記載のブロー成形金型輸送方法において、
前記金型収納具は回転し、前記金型収納具を回転させながら前記金型収納具への前記ブロー成形金型の出し入れを行うことを特徴とするブロー成形金型輸送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリフォームからボトルをブロー成形するときに使用する金型を輸送するための、ブロー成形金型の輸送システム及び輸送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチックを射出成形して得られるプリフォームを供給し、供給されたプリフォームを成形可能な温度に加熱し、加熱されたプリフォームをボトルにブロー成形し、成形されたボトルに飲料を充填し、飲料が充填されたボトルを密封して得られる飲料製品が広く販売されている。このような製品は、プリフォームを加熱する加熱装置、加熱されたプリフォームをボトルに成形するブロー成形装置、成形されたボトルに飲料を充填する充填装置及び飲料が充填されたボトルを密封する密封装置を備える飲料を充填する充填機により製造される。プリフォーム及び/又はボトルを殺菌する殺菌装置を備え、殺菌された飲料を充填する無菌充填機による無菌化された飲料製品も広く販売されている。
【0003】
飲料製品は、充填される飲料の種類、容量によって様々な形状のボトルにより製品化されている。飲料の種類を変更するときは供給する飲料の種類を変更し、充填する飲料の容量を変更するときは充填装置の充填量を変更する。飲料の種類を変更するとき、充填機の装置を変更する必要はない。しかし、容量を変更するとき、及びボトルの形状を変更するときは、ボトルの形状を賦形する金型を交換しなければならない。
【0004】
ブロー成形機はブロー成形ステーションを多数備えており、全てのブロー成形ステーションに配置される金型を交換することは、作業者にとって長時間を要する作業である。また、1種類の形状の金型は数多くの点数の金型から構成され、ブロー成形ステーションと同数の金型セットを保管しなければならない。ボトルの1形状に対する多数の金型の保管、保管される金型の搬送及びボトル形状変更時の金型交換作業時間の短縮について様々な提案がされている。
【0005】
金型を載置する台車を成形機まで搬送レール上を移動させ、金型交換を効率的に行う金型交換装置が提案されている(特許文献1)。立体的に設けられた金型収納スライドラックに、金型を収納する駆動可能なスタッカークレーン及び金型押引装置を備える台車から成る金型保管システムが提案されている(特許文献2)。さらに、回転する金型保持装置に金型を収納し、ブロー成形装置近くにこの金型保持装置を移動させ、金型保持装置を回転させながら、ブロー成形ステーションから取り外す金型を金型保持装置に収納し、金型保持装置に収納されている新たな金型をブロー成形ステーションに取り付けることで、金型交換作業時間を大幅に短縮させることも提案されている(特許文献3、特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】実開平5-16275号公報
【文献】特開平11-278603号公報
【文献】特開2011-93305号公報
【文献】特開2017-185784号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
プリフォームを供給し、ボトルをブロー成形する飲料を充填する充填機では、ブロー成形ステーションが10~32と多数に及び、1セットのブロー成形金型は点数が多く、通常は1~2台の台車に1セット収納する方法により管理されている。金型交換を迅速に行うためには、ブロー成形機の近くにブロー成形金型を収納する台車を保管することが有利であり、そのようにされてきた。飲料製造終了後、空の台車と次に製造する飲料用のブロー成形金型を収納する台車を人手により台車保管スペースから引き出し、成形機近くまでこれらを移動させる。ブロー成形ステーションから取り外したブロー成形金型を移動させた空の台車に収納し、次に製造する飲料用のブロー成形金型をブロー成形ステーションに取り付ける。従来、このようにしてブロー成形機のブロー成形金型の交換が行われている。
【0008】
市場の要求により、1台の飲料を充填する充填機により、多くの種類の飲料の生産や、充填容量の変更があり、ブロー成形金型の種類も多数となってきている。そのため、ブロー成形金型を収納する台車の数も多数となっている。台車の保管場所からの移動は人手により行われている。そのため、ブロー成形機の近くに台車の保管スペースを確保する必要がある。しかし、台車の数が多くなることで、広い保管スペースを必要とし、作業動線及び装置のメンテナンススペースを考慮すると、台車を保管するための広いスペースの確保が困難となっている。
【0009】
プリフォームを供給し、供給されたプリフォームをボトルにブロー成形し、成形されたボトルに飲料を充填する充填機において、ブロー成形機の近くにブロー成形金型を収納する台車の保管スペースを確保することが困難である。ブロー成形機から離れた場所に台車を保管することとなり、保管場所から台車を容易にブロー成形機の近くに移動できることが求められている。
【0010】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、ブロー成形機から離れた場所に保管されたブロー成形金型を収納する台車を、容易にブロー成形機の近くに移動できるブロー成形金型輸送システム及び輸送方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るブロー成形金型輸送システムは、プリフォームを供給し、供給された前記プリフォームをボトルにブロー成形するブロー成形機に組み込むブロー成形金型を収納する金型収納具と、前記金型収納具を自動的に保管及び搬出を行う自動倉庫と、前記自動倉庫から搬出される前記金型収納具を乗せて輸送する台車と、前記台車を前記ブロー成形機近傍まで無人走行させ、無人走行させた前記台車を前記ブロー成形機近傍から前記自動倉庫まで無人走行させる台車無人走行装置を備えることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係るブロー成形金型輸送システムにおいて、前記台車無人走行装置は、前記自動倉庫と前記プリフォームを多数収容し前記ブロー成形機に前記プリフォームを供給するプリフォーム供給コンテナを搬送するプリフォーム供給コンテナ搬送装置の前記プリフォーム供給コンテナを受け入れるプリフォーム供給コンテナ受け入れ部までを往復して前記台車を無人走行するプリフォーム供給コンテナ受け入れ部台車無人走行装置を備えると好適である。
【0013】
また、本発明に係るブロー成形金型輸送システムにおいて、前記自動倉庫は、前記金型収納具を保管する多段かつ多列の棚と、前記棚に沿って前記金型収納具を搬送し、昇降させる自動倉庫搬送装置及び前記金型収納具を前記自動倉庫への搬入および前記自動倉庫からの搬出を自動的に行う自動倉庫制御装置を備えると好適である。
【0014】
また、本発明に係るブロー成形金型輸送システムにおいて、前記金型収納具は、回転する棚を備えると好適である。
【0015】
本発明に係るブロー成形金型輸送方法は、プリフォームを供給し、供給された前記プリフォームをボトルにブロー成形するブロー成形機に組み込むブロー成形金型を金型収納具に収納し、前記ブロー成形金型が収納された前記金型収納具を自動的に搬入及び搬出を行う自動倉庫に前記金型収納具を保管し、前記金型収納具を前記自動倉庫から搬出し、前記自動倉庫から搬出される前記金型収納具を台車に載置し、前記金型収納具が載置された前記台車を前記ブロー成形機近傍まで無人走行させ、前記ブロー成形機に取り付けられていたブロー成形金型を前記ブロー成形機から取り外して前記金型収納具に収納し、前記金型収納具に収納されていた前記ブロー成形金型を前記ブロー成形機に取り付け、前記ブロー成形機に取り付けられていた前記ブロー成形金型が収納された前記金型収納具が載置される前記台車を前記ブロー成形機近傍から前記自動倉庫まで無人走行させ、前記自動倉庫に前記金型収納具を保管することを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係るブロー成形金型輸送方法において、前記自動倉庫から搬出された前記金型収納具を載置した前記台車を、前記自動倉庫から前記プリフォームを多数収容して前記ブロー成形機に前記プリフォームを供給するプリフォーム供給コンテナを搬送するプリフォーム供給コンテナ搬送装置の前記プリフォーム供給コンテナを受け入れるプリフォーム供給コンテナ受け入れ部まで前記台車を無人走行させ、前記台車に載置された前記金型収納具を前記プリフォーム供給コンテナ搬送装置に移動し、前記金型収納具を前記プリフォーム供給コンテナ搬送装置により前記プリフォーム供給コンテナ搬送装置の終点近傍であるプリフォーム供給コンテナ終点近傍まで搬送し、前記プリフォーム供給コンテナ終点近傍で前記金型収納具を前記台車に載置し、前記金型収納具が載置された前記台車を前記プリフォーム供給コンテナ終点近傍から前記ブロー成形機近傍まで走行させ、前記台車を前記ブロー成形機近傍から前記プリフォーム供給コンテナ終点近傍まで走行させ、前記金型収納具を前記プリフォーム供給コンテナ搬送装置に移動させ、前記金型収納具を前記プリフォーム供給コンテナ終点近傍から前記プリフォーム供給コンテナ受け入れ部まで、前記プリフォーム供給コンテナ搬送装置により搬送し、前記プリフォーム供給コンテナの受け入れ部で前記金型収納具を前記台車に載置し、前記台車を前記自動倉庫まで無人走行させ、前記自動倉庫に前記金型収納具を保管すると好適である。
【0017】
また、本発明に係るブロー成形金型輸送方法において、前記台車を前記自動倉庫まで無人走行させた後、前記台車に載置される前記金型収納具を前記自動倉庫内に搬送する自動倉庫搬送装置に載置し、多段かつ多列の棚に沿って走行及び昇降する前記自動倉庫搬送装置により、前記棚の所定の箇所に前記金型収納具を自動的に搬入すると好適である。
【0018】
また、本発明に係るブロー成形金型輸送方法において、前記金型収納具は回転し、前記金型収納具を回転させながら前記金型収納具への前記ブロー成形金型の出し入れを行うと好適である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、プリフォームを供給し、供給されたプリフォームをボトルにブロー成形し、成形されたボトルに飲料を充填する充填機において、ボトルをブロー成形するブロー成形機に組み込むブロー成形金型をブロー成形機から離れた場所に保管しても容易にブロー成形機の近くに移動することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施の形態に係るブロー成形金型輸送システムにおいて、輸送されるブロー成形金型、ブロー成形金型で成形される前のプリフォーム及び成形されるボトルを示し、(A)はプリフォームとブロー成形金型を、(B)は成形されるボトルを示す。
【
図2】本発明の実施の形態に係るブロー成形金型輸送システムにおいて、ブロー成形金型が自動倉庫からブロー成形機近傍まで輸送される経路を示す。
【
図3】本発明の実施の形態に係るブロー成形金型輸送システムにおいて、ブロー成形金型が自動倉庫からプリフォーム供給コンテナ搬送装置によりブロー成形機近傍まで輸送される経路を示す。
【
図4】本発明の実施の形態に係るブロー成形金型輸送システムにおいて、輸送されるブロー成形金型をブロー成形機のブローステーションに組み込む工程を示す。
【
図5】本発明の実施の形態に係るブロー成形金型輸送システムにおいて、自動倉庫内に設けられる棚の側面を示す。
【
図6】本発明の実施の形態に係るブロー成形金型輸送システムにおいて、自動倉庫内に設けられる棚及び自動倉庫搬送装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、プリフォームを供給し、供給されたプリフォームをボトルにブロー成形し、成形されたボトルに飲料を充填する充填機において、ボトルをブロー成形するブロー成形機に組み込むブロー成形金型の輸送システム及び輸送方法を提供する。以下に本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。
【0022】
図1は、本発明の実施の形態に係るブロー成形金型輸送システムにおいて、輸送されるブロー成形金型3、ブロー成形金型3で成形される前のプリフォーム1及び成形されるボトル2を示す。プリフォーム1をブロー成形金型3によりプリフォーム1の口部下端を挟み込み、プリフォーム1の内部に圧空エアを吹込み、プリフォーム1をブロー成形金型の形状のボトル2に成形する。
【0023】
プリフォーム1は試験管状の有底筒状体であり、ボトル2と同様な口部1aがその成形当初に付与される。この口部1aにはプリフォーム1の成形と同時に雄ネジが形成される。また、プリフォーム1には口部1aの下部に搬送のためのサポートリング1bが形成される。プリフォーム1又はボトル2はこのサポートリング1bを介してグリッパにより把持され、飲料を充填する充填機内を走行する。飲料を充填する充填機にはプリフォーム1及びボトル2を搬送する搬送路が設けられる。
【0024】
プリフォーム1は射出成形、圧縮成形等によって成形される。プリフォーム1の材質はポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂からなり、これらの樹脂単体又は混合物であっても構わないし、リサイクルされた熱可塑性樹脂を含んでも構わない。また、バリア性を付与するために、エチレン-ビニルアルコール共重合体、メタキシリレンジアミンのような芳香族アミンをモノマーとするポリアミド等の熱可塑性樹脂を層として、又は混合物として含んでも構わない。
【0025】
プリフォーム1が、
図3に示すプリフォーム供給装置4から、プリフォーム供給コンベヤ5により所望の速度で連続的にプリフォーム加熱装置6に供給される。
【0026】
プリフォーム加熱装置6に供給されたプリフォーム1は、一定ピッチで多数のグリッパが設けられたホイール7により搬送され、加熱装置搬送ホイール8に達する。ここでグリッパから解放され、プリフォーム1の口部1aにスピンドルが挿入されてプリフォーム1は搬送される。プリフォーム1は、プリフォーム加熱装置6内で赤外線ヒータ9又はその他の加熱手段によって、後のブロー成形に適した温度まで加熱される。この温度は90℃から130℃であると好適である。プリフォーム1の口部1aの温度は、変形等を防止するため70℃以下の温度に抑えられる。
【0027】
プリフォーム1は、口部1aにスピンドルが挿入され、赤外線ヒータ9により加熱され、回転しながら無端チェーン10により搬送される。スピンドルは無端チェーン10に一定間隔で設けられている。無端チェーン10はプーリにより回転する。スピンドルに代えてマンドレルをプリフォーム1に挿入することにより、プリフォーム1を倒立状態で回転させつつ搬送することも可能である。
【0028】
加熱されたプリフォーム1は、スピンドルから解放され、グリッパに把持されて、ホイール11を経て、ブロー成形機12の成形ホイール13に搬送される。成形ホイール13の周辺には多数のブロー成形ステーション14が備えられ、ブロー成形ステーション14に組み込まれたブロー成形金型3より、プリフォーム1はボトル2にブロー成形される。ブロー成形金型3及びプリフォーム1にエアを吹き込むブローノズルは、ブロー成形ステーション14に配置される。ブロー成形ステーション14は、ブロー成形ホイール13の回転とともに一定速度で旋回する。
【0029】
加熱されたプリフォーム1が到来すると、ブロー成形ステーション14に組み込まれたブロー成形金型3はプリフォーム1を挟み込む。続いてブローノズルがプリフォーム1に接合され、延伸ロッドがブローノズルに設けられた孔に導かれ、プリフォーム1内に挿入される。挿入される延伸ロッドがプリフォーム1の底部を伸ばすことによりプリフォーム1は縦延伸され、同時にブローノズルからプリフォーム1内にエアが吹きこまれ横延伸される。プリフォーム1はブロー成形金型3内で縦延伸及び横延伸され、ボトル2が成形される。成形されたボトル2はブロー成形金型3から取り出され、ホイール15に設けられたグリッパによりサポートリング1bを把持され、次工程に搬送される。
【0030】
ブロー成形機12に設けられるブロー成形ステーション14は通常10~32という多数に及び、ブロー成形ステーション14に組み込まれるブロー成形金型3は一式としてブロー成形ステーション14と同数必要となる。ブロー成形金型3は
図1(A)に示すように、ボトル2のネック部を成形するネック部金型3a、胴部を成形する胴部金型3b及び底部を成形する底部金型3cから成る。ネック部金型3a及び胴部金型3bは割型となっており、1対となる。ネック部金型3aを設けず、胴部金型3bによりネック部を成形しても構わない。ブロー成形金型3はブロー成形ステーション14と同数必要であり、ブロー成形金型3は点数3~5に及ぶ。これらのブロー成形金型3は一式をセットとして金型収納具16に収納される。一式とは、ブロー成形金型3の点数3~5がブロー成形ステーション14の10~32倍の金型数となる。
【0031】
金型収納具16に収納されるブロー成形金型3は各部を成形するブロー成形金型3を分解した状態で収納しても、ブロー成形ステーション14に組み込む状態に組み上げて収納しても構わない。また、ブロー成形金型3以外に延伸ロッド、ブローノズル等のブロー成形金型3と同時に使用する部品を一緒に収納しても構わない。
【0032】
金型収納具16は方形又は円形であって、ブロー成形金型3を収納する金型保持体を備える。金型保持体はブロー成形金型3を置く棚、組み上げたブロー成形金型3を挿入して保持できる穴を設けた棚等であり、ブロー成形金型3を保持できるものであればどのような形状でも構わない。棚はスライドできるようにしておくと金型交換作業時に好都合である。また、円形の金型収納具16の棚を回転可能とすることで金型交換作業を効率的に行うことができる。回転させながら金型交換を行うことで、金型収納具16を移動させることなく、ブロー成形金型3の出し入れを行うことができる。回転させるために駆動装置を設けても構わない。
【0033】
金型収納具16はブロー成形金型3を収納する部分を遮蔽することが好ましい。金型収納具16の側面の遮蔽は、開閉可能な板状の部材又は開閉可能なカーテン状の部材により行う。また、金型収納具16の天面及び底面は板状部材により遮蔽する。金型収納具16の底面は、フォークリフトの爪を挿入して搬送可能とするために、少なくとも金型収納具16の底面の4箇所の角の一部を凸状とすることが好ましい。
【0034】
金型収納具16は自動倉庫17に保管される。自動倉庫17は上方からフィルタを通して塵埃を除去したエアを供給することが好ましい。
【0035】
図5に示すように、自動倉庫17内には、金型収納具16を保管するための多段かつ多列の棚18を備える。自動倉庫17内には、棚18に金型収納具16を載置して搬送する自動倉庫搬送装置19を備える。自動倉庫搬送装置19は
図6に示すように両側に設けられる棚18の間を走行し、自動倉庫搬送装置19の走行方向に対して並行に走行方向の両側に設けられる棚18に金型収納具16を搬送する。自動倉庫搬送装置19は多段の棚18に金型収納具16を搬送するために昇降することもできる。棚は自動倉庫搬送装置19の片側だけに設けられても構わない。
【0036】
自動倉庫搬送装置19は自動倉庫制御装置により金型収納具16の棚18の所定の箇所に搬送し、また、必要に応じて搬出する。自動倉庫搬送装置19は、金型収納具16を載置又は棚18の所定の箇所への搬入及び搬出を行う金型収納具16を移動する装置を備える。自動倉庫搬送制御装置へは、金型収納具16を搬送するプリフォーム供給コンテナ搬送装置23又は所定の箇所に設けられる操作盤より搬送する金型情報の信号が送られ、送られる信号により自動倉庫搬送装置19より適切な金型が収納される金型収納具16が搬入または搬出される。
【0037】
自動倉庫17の棚18に保管されるブロー成形機12で使用されるブロー成形金型3を収納する金型収納具16を搬出する。棚18の所定の箇所に保管される金型収納具16は自動倉庫制御装置の指示により自動倉庫搬送装置19により搬出される。搬出される金型収納具16は台車20に載置される。金型収納具16が載置された台車20は、金型収納具16を乗せて金型収納具16を輸送する。自動倉庫搬送装置19から台車20への載置又は、台車20から自動倉庫搬送装置19への移動は、自動倉庫搬送装置19及び台車20に設けられるコンベヤ、回転ロール、又は自動走行フォークリフト、吊り下げ搬送装置等による。
【0038】
金型収納具16が載置された台車20は
図2に示すように、自動倉庫17から出庫し、ブロー成形機12の近傍まで無人走行する。台車20は自動倉庫17から金型収納具16を搬出し、ブロー成形機12の近傍に輸送する。ブロー成形機12の開閉扉21を開放し、台車20を成形ホイール13に隣接させて停止させる。台車20が自動倉庫17からブロー成形機近傍まで無人走行する台車無人走行装置が設けられる。台車20は金型収納具16を乗せて輸送するが、フォークリフトであっても構わない。フォークリフト無人走行装置により無人走行させる。
【0039】
図4に示すように、作業員22は成形ホイール13に備えられるブロー成形ステーション14を開き、使用を終了したブロー成形金型3をブロー成形ステーション14から取り外し、取り外したブロー成形金型3を金型収納具16の事前に空けてあるスペースに収納する。作業員22は金型収納具16に収納される今回使用するブロー成形金型3を取り出し、使用を終了したブロー成形金型3を取り外したブロー成形ステーション14に組み込む。作業員22は次のブロー成形ステーション14のブロー成形金型3を取り外し、ブロー成形ステーション14に組み込むことで空いたスペースに取り外したブロー成形金型を収納する。この作業を繰り返し、全てのブロー成形金型3を交換する。
図4は、作業員22によりブロー成形金型3の交換を行うが、ロボットにより行っても構わない。成形ホイール13は、ブロー成形ステーション14の1箇所の金型交換が終了した段階で、360度をブロー成形ステーション14の数で割った角度を間欠的に回転される。
【0040】
ブロー成形金型3の全てを交換した後、台車20はブロー成形機12の近傍から自動倉庫17まで無人走行装置により無人走行する。台車20により輸送される金型収納具16は、自動倉庫17内の自動倉庫搬送装置19に移動され、棚18の所定の箇所に保管される。
【0041】
飲料を充填する充填機に供給されるプリフォーム1は成形工場で射出成形等により作成され、プリフォーム供給コンテナに多数収容されて飲料充填工場には運ばれる。飲料充填工場に運ばれたプリフォーム供給コンテナは、
図3に示すようなプリフォーム供給コンテナ搬送装置23により搬送された後、プリフォーム供給装置4の上で反転されることにより、プリフォーム1をプリフォーム供給装置4に供給する。自動倉庫17がブロー成形機12の近くに設けられず、プリフォーム供給コンテナが供給される側に設けられる場合、金型収納具16はプリフォーム供給コンテナ搬送装置23により搬送しても構わない。
【0042】
図3に示すように、プリフォーム供給コンテナ搬送装置23の近くに設けられる自動倉庫17から金型収納具16が載置された台車20が出庫し、プリフォーム供給コンテナ搬送装置23のプリフォーム供給コンテナを受け入れるプリフォーム供給コンテナ受け入れ部24まで、無人走行する。自動倉庫17からプリフォーム供給コンテナ搬送装置23の前記プリフォーム供給コンテナ受け入れ部24までを往復して台車20を無人走行させるプリフォーム供給コンテナ受け入れ部台車無人走行装置を備える。
【0043】
プリフォーム供給コンテナ受け入れ部24まで、無人走行した台車20に載置された金型収納具16はプリフォーム供給コンテナ搬送装置23に移動され、移動された金型収納具16はプリフォーム供給コンテナ搬送装置23によりプリフォーム供給コンテナ搬送装置23の終点近傍であるプリフォーム供給コンテナ終点近傍25まで搬送される。
【0044】
プリフォーム供給コンテナ終点近傍25まで搬送された金型収納具16は、プリフォーム供給コンテナ終点近傍25で台車20に載置される。金型収納具16が載置された台車20はプリフォーム供給コンテナ終点近傍25からブロー成形機12の近傍まで無人走行する。プリフォーム供給コンテナ終点近傍25からブロー成形機12までを往復して台車20を無人走行させるプリフォーム供給コンテナ終点近傍台車無人走行装置を備える。プリフォーム供給コンテナ終点近傍25で金型収納具16が載置された台車20は、ブロー成形機12の近傍まで人手により搬送されても構わない。復路も人手により搬送されても構わない。
【0045】
ブロー成形機12の近傍に輸送された金型収納具16は、輸送したブロー成形金型3が金型交換によりブロー成形ステーション14に組み込まれ、使用を終了したブロー成形金型3が収納される。使用を終了したブロー成形金型3が収納される金型収納具16が載置される台車20は、ブロー成形機12近傍からプリフォーム供給コンテナ終点近傍25まで無人走行する。
【0046】
ブロー成形機12近傍からプリフォーム供給コンテナ終点近傍25まで無人走行した台車20から金型収納具16はプリフォーム供給コンテナ搬送装置23に移動され、プリフォーム供給コンテナ終点近傍25からプリフォーム供給コンテナ受け入れ部24まで、プリフォーム供給コンテナ搬送装置23により搬送される。
図3に示すように、金型収納具16はプリフォーム供給コンテナ搬送装置23の空コンテナの搬送路によりプリフォーム供給コンテナを排出するプリフォームコンテナ排出部26に搬送されても構わない。
【0047】
プリフォーム供給コンテナ受け入れ部24又はプリフォーム供給コンテナ排出部26に搬送された金型収納具16は台車20に載置される。金型収納具16が載置された台車20は自動倉庫17まで無人走行する。台車20により輸送される金型収納具16は、自動倉庫17内の自動倉庫搬送装置19に移動され、棚18の所定の箇所に保管される。
【0048】
プリフォーム供給コンテナ搬送装置23は、チェーンコンベヤによりプリフォーム供給コンテナ又は金型収納具16を搬送する。
【0049】
本発明は以上説明したように構成されるが、上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨内において種々変更可能である。
【符号の説明】
【0050】
3…ブロー成形金型
12…ブロー成形機
13…成形ホイール
14…ブロー成形ステーション
16…金型収納具
17…自動倉庫
18…棚
19…自動倉庫搬送装置
20…台車
23…プリフォーム供給コンテナ搬送装置