IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 沖電気工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-媒体取扱装置 図1
  • 特許-媒体取扱装置 図2
  • 特許-媒体取扱装置 図3
  • 特許-媒体取扱装置 図4
  • 特許-媒体取扱装置 図5
  • 特許-媒体取扱装置 図6
  • 特許-媒体取扱装置 図7
  • 特許-媒体取扱装置 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】媒体取扱装置
(51)【国際特許分類】
   G07G 1/12 20060101AFI20241217BHJP
   G07G 1/00 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
G07G1/12 321A
G07G1/00 331A
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021003477
(22)【出願日】2021-01-13
(65)【公開番号】P2022108465
(43)【公開日】2022-07-26
【審査請求日】2023-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140958
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137888
【弁理士】
【氏名又は名称】大山 夏子
(74)【代理人】
【識別番号】100190942
【弁理士】
【氏名又は名称】風間 竜司
(72)【発明者】
【氏名】楢原 正伸
【審査官】小島 哲次
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-119453(JP,A)
【文献】実開昭61-120977(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07G 1/00- 1/14
G07D 1/00- 3/16
G07D 9/00-13/00
G07F 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
現金が投入される投入部と、
前記投入部に投入された現金を鑑別する鑑別部と、
現金を収納する収納部と、
現金を排出する排出部と、
前記鑑別部によって鑑別された第1の現金の金額を取得し、前記鑑別部によって前記第1の現金の前に鑑別されて前記収納部に収納される第2の現金の金額である計数金額が支払金額以上であることに基づいて、前記第1の現金の金額と前記計数金額とを合わせた合算金額と、前記計数金額との間において、所定の位の値同士を逐次比較し、前記合算金額のほうが前記計数金額よりも前記所定の位の値の少なくともいずれか一つが大きい場合に、前記第1の現金を前記排出部に返却する制御部と、
を備える、媒体取扱装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記計数金額が前記支払金額以上であることに基づいて、前記計数金額に応じた位を前記所定の位として決定する、
請求項1に記載の媒体取扱装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記計数金額が前記支払金額以上であることに基づいて、前記計数金額の非零の位のうち最下位を非零最下位として特定し、前記非零最下位よりも上位の1または複数の位を前記所定の位として決定する、
請求項2に記載の媒体取扱装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記計数金額が前記支払金額以上であることに基づいて、前記計数金額の非零の位のうち最上位を非零最上位として特定し、前記非零最上位よりも上位の1または複数の位を前記所定の位として決定する、
請求項2に記載の媒体取扱装置。
【請求項5】
前記所定の位は、あらかじめ決められた1または複数の位である、
請求項1に記載の媒体取扱装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記第1の現金を前記排出部に返却した後、前記投入部に現金がなくなった場合に、前記計数金額から前記支払金額が減算されて得られた釣銭金額に相当する現金を釣銭として前記収納部から出金口に出金させる、
請求項1~5のいずれか一項に記載の媒体取扱装置。
【請求項7】
現金が投入される投入部と、
前記投入部に投入された現金を鑑別する鑑別部と、
現金を収納する収納部と、
現金を排出する排出部と、
前記鑑別部によって鑑別された第1の現金の金額を取得し、前記収納部における現金の収納枚数が閾値以上である場合、かつ、前記鑑別部によって前記第1の現金の前に鑑別されて前記収納部に収納される第2の現金の金額である計数金額が支払金額以上である場合に、前記第1の現金の金額と前記計数金額とを合わせた合算金額と、前記計数金額との間において、所定の位の値同士を逐次比較し、前記合算金額のほうが前記計数金額よりも前記所定の位の値の少なくともいずれか一つが大きい場合に、前記第1の現金を前記排出部に返却する制御部と、
を備える、媒体取扱装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記収納部における現金の収納枚数が前記閾値未満である場合に、前記第1の現金を前記収納部に収納させる、
請求項に記載の媒体取扱装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記第1の現金の金種に対応する収納部における現金の収納枚数が前記閾値以上である場合、かつ、前記計数金額が前記支払金額以上である場合に、前記合算金額と前記計数金額との間において前記所定の位の値同士を比較する、
請求項に記載の媒体取扱装置。
【請求項10】
前記収納部は、紙幣収納部を備え、
前記排出部は、紙幣出金口を備え、
前記制御部は、前記第1の現金が紙幣である場合には、前記第1の現金を前記排出部に返却するに際して、前記紙幣収納部へ前記第1の現金を収納させるとともに、返却紙幣情報を更新し、前記投入部に現金がなくなった場合に、更新後の返却紙幣情報に基づいて、前記第1の現金を前記紙幣収納部から繰り出させて前記紙幣出金口に返却する、
請求項1~のいずれか一項に記載の媒体取扱装置。
【請求項11】
前記排出部は、硬貨出金口またはリジェクト口を備え、
前記制御部は、前記第1の現金が硬貨である場合には、前記第1の現金を前記排出部に返却するに際して、前記第1の現金を前記硬貨出金口または前記リジェクト口に返却する、
請求項1~のいずれか一項に記載の媒体取扱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体取扱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、各種の媒体取扱装置が知られている。媒体取扱装置の例として自動釣銭機が開示されている(例えば、特許文献1参照)。かかる自動釣銭機は、投入口に投入された現金の計数を行い、計数に応じた計数金額をレジスタに送信する。そして、かかる自動釣銭機は、計数金額から支払金額を減算した金額である釣銭金額をレジスタから受信すると、釣銭金額に相当する現金を釣銭として出金する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-150608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような一般的な自動釣銭機においては、計数金額に上限が設けられていない上に、高額金種の現金が優先的に釣銭として出金される。そのため、支払金額に相当する現金を既に投入し終わった後も意図的に低額金種の現金を投入し続け、計数金額が高額金種の金額に達してから高額金種の現金を釣銭として出金させる逆両替が操作者によって行われてしまう可能性がある。
【0005】
そこで、逆両替が行われる可能性を低減することが可能な技術が提供されることが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題を解決するために、本発明のある観点によれば、現金が投入される投入部と、前記投入部に投入された現金を鑑別する鑑別部と、現金を収納する収納部と、現金を排出する排出部と、前記鑑別部によって鑑別された第1の現金の金額を取得し、前記鑑別部によって前記第1の現金の前に鑑別されて前記収納部に収納される第2の現金の金額である計数金額が支払金額以上であることに基づいて、前記第1の現金の金額と前記計数金額とを合わせた合算金額と、前記計数金額との間において、所定の位の値同士を逐次比較し、前記合算金額のほうが前記計数金額よりも前記所定の位の値の少なくともいずれか一つが大きい場合に、前記第1の現金を前記排出部に返却する制御部と、を備える、媒体取扱装置が提供される。
【0007】
前記制御部は、前記計数金額が前記支払金額以上であることに基づいて、前記計数金額に応じた位を前記所定の位として決定してもよい。
【0008】
前記制御部は、前記計数金額が前記支払金額以上であることに基づいて、前記計数金額の非零の位のうち最下位を非零最下位として特定し、前記非零最下位よりも上位の1または複数の位を前記所定の位として決定してもよい。
【0009】
前記制御部は、前記計数金額が前記支払金額以上であることに基づいて、前記計数金額の非零の位のうち最上位を非零最上位として特定し、前記非零最上位よりも上位の1または複数の位を前記所定の位として決定してもよい。
【0010】
前記所定の位は、あらかじめ決められた1または複数の位であってもよい。
【0011】
前記制御部は、前記第1の現金を前記排出部に返却した後、前記投入部に現金がなくなった場合に、前記計数金額から前記支払金額が減算されて得られた釣銭金額に相当する現金を釣銭として前記収納部から出金口に出金させてもよい。
【0014】
また、本発明の別の観点によれば、現金が投入される投入部と、前記投入部に投入された現金を鑑別する鑑別部と、現金を収納する収納部と、現金を排出する排出部と、前記鑑別部によって鑑別された第1の現金の金額を取得し、前記収納部における現金の収納枚数が閾値以上である場合、かつ、前記鑑別部によって前記第1の現金の前に鑑別されて前記収納部に収納される第2の現金の金額である計数金額が支払金額以上である場合に、前記第1の現金の金額と前記計数金額とを合わせた合算金額と、前記計数金額との間において、所定の位の値同士を逐次比較し、前記合算金額のほうが前記計数金額よりも前記所定の位の値の少なくともいずれか一つが大きい場合に、前記第1の現金を前記排出部に返却する制御部と、を備える、媒体取扱装置が提供される。
【0015】
前記制御部は、前記収納部における現金の収納枚数が前記閾値未満である場合に、前記第1の現金を前記収納部に収納させてもよい。
【0016】
前記制御部は、前記第1の現金の金種に対応する収納部における現金の収納枚数が前記閾値以上である場合、かつ、前記計数金額が前記支払金額以上である場合に、前記合算金額と前記計数金額との間において前記所定の位の値同士を比較してもよい。
【0017】
前記収納部は、紙幣収納部を備え、前記排出部は、紙幣出金口を備え、前記制御部は、前記第1の現金が紙幣である場合には、前記第1の現金を前記排出部に返却するに際して、前記紙幣収納部へ前記第1の現金を収納させるとともに、返却紙幣情報を更新し、前記投入部に現金がなくなった場合に、更新後の返却紙幣情報に基づいて、前記第1の現金を前記紙幣収納部から繰り出させて前記紙幣出金口に返却してもよい。
【0018】
前記排出部は、硬貨出金口またはリジェクト口を備え、前記制御部は、前記第1の現金が硬貨である場合には、前記第1の現金を前記排出部に返却するに際して、前記第1の現金を前記硬貨出金口または前記リジェクト口に返却してもよい。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように本発明によれば、逆両替が行われる可能性を低減することが可能な技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の第1の実施形態に係る媒体取扱システムの構成例を示す図である。
図2】同実施形態に係る媒体取扱システムの機能構成例を示すブロック図である。
図3】同実施形態に係る媒体取扱装置の例としての釣銭機の動作例を説明するための図である。
図4】同実施形態に係る媒体取扱装置の例としての釣銭機の動作例を説明するための図である。
図5】同実施形態に係る媒体取扱システムの動作の具体例を説明するための図である。
図6】本発明の第2の実施形態に係る媒体取扱装置の例としての釣銭機の動作例を説明するための図である。
図7】本発明の第3の実施形態に係る媒体取扱装置の例としての釣銭機の動作例を説明するための図である。
図8】本発明の第4の実施形態に係る媒体取扱装置の例としての釣銭機の動作例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0022】
また、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素を、同一の符号の後に異なる数字を付して区別する場合がある。ただし、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素等の各々を特に区別する必要がない場合、同一符号のみを付する。また、異なる実施形態の類似する構成要素については、同一の符号の後に異なるアルファベットを付して区別する場合がある。ただし、異なる実施形態の類似する構成要素等の各々を特に区別する必要がない場合、同一符号のみを付する。
【0023】
<1.第1の実施形態>
続いて、本発明の第1の実施形態について説明する。
【0024】
<1-1.媒体取扱システムの構成>
続いて、本発明の第1の実施形態に係る媒体取扱システムの構成例について説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る媒体取扱システムの構成例を示す図である。図1に示したように、本発明の第1の実施形態に係る媒体取扱システムは、媒体取扱装置の例としての釣銭機1と、レジスタ15とを備える。媒体取扱システムは、典型的には、百貨店、スーパーマーケット、コンビニエンスストアなどといった小売業の店舗に主に設置されてよいが、媒体取扱システムが設置される場所は限定されない。
【0025】
以下では、媒体取扱システムによって取り扱われる媒体として、現金を例に挙げて説明する。しかし、媒体取扱システムによって取り扱われる媒体は、現金に限定されない。また、媒体の例としての現金は、紙幣および硬貨の少なくともいずれか一方を含んでよい。
【0026】
また、以下では、店舗に訪れた顧客自身が媒体取扱システムの操作者である場合を主に想定する。すなわち、以下では、媒体取扱システムがフルセルフレジに適用される場合を主に想定する。媒体取扱システムがフルセルフレジに適用される場合には、バーコードの読み取りから会計までの操作全部が顧客によって行われる。しかし、後に説明するように、媒体取扱システムは、フルセルフレジ以外のレジにも適用され得る。
【0027】
釣銭機1は、現金の入出金処理を行う。釣銭機1は、レジスタ(上位装置)15と相互に通信可能に接続されている。釣銭機1による現金の入出金は、レジスタ15によって管理される。また、釣銭機1は、硬貨の入出金を行うための硬貨入出金部2と、紙幣の入出金を行うための紙幣入出金部3とを含んで構成される。硬貨入出金部2は、硬貨入金口4、硬貨出金口5および硬貨リジェクト口6を含んで構成される。紙幣入出金部3は、紙幣入出金口8および紙幣回収カセット9を含んで構成される。
【0028】
硬貨入金口4は、硬貨が投入される入金口である。硬貨入金口4に硬貨が投入されると、硬貨入金口4に投入された硬貨は、硬貨入出金部2の内部に引き込まれて金種ごとに振り分けられ、金種ごとの硬貨収納部13(図2参照)に収納される。
【0029】
硬貨出金口5は、出金する硬貨が蓄積される出金口である。硬貨の釣銭が必要なときには、硬貨収納部13(図2参照)に収納された硬貨が硬貨出金口5に払い出される。
【0030】
硬貨リジェクト口6は、硬貨入金口4に投入された硬貨が、硬貨入出金部2の内部に引き込まれ、鑑別された結果、釣銭機1の運用において取り扱わない硬貨(すなわち、日本国における通常の運用の場合、1円、5円、10円、50円、100円、500円硬貨のいずれでもない硬貨)をリジェクト硬貨として返却する返却口である。また、硬貨リジェクト口6は、釣銭機1の運用において取り扱う硬貨ではあるが、破損または磨損などにより受け入れることができないと判断された硬貨などを、リジェクト硬貨として返却する。また、硬貨リジェクト口6は、硬貨入金口4に投入されたクリップなどの硬貨以外の異物を返却してもよい。
【0031】
紙幣入出金口8は、紙幣が投入される紙幣投入口、および、釣銭として出金する紙幣を集積する紙幣出金口として機能する。紙幣入出金口8に投入された紙幣は、紙幣入出金部3の内部に引き込まれて金種ごとに振り分けられ、金種ごとの紙幣収納部14(図2参照)に収納される。さらに、紙幣入出金口8は、紙幣の精査が行われるときに、紙幣収納部14(図2参照)内の紙幣を一時的に収納する一時収納部として機能する。また、紙幣入出金口8は、図示しないシャッタを備えている。
【0032】
紙幣回収カセット9は、紙幣入出金部3の内部の紙幣収納部14(図2参照)に収納された紙幣が回収されるときに、回収される紙幣を収納するカセットである。さらに、紙幣回収カセット9は、入金取引において投入された紙幣のうち、欠損などで釣銭として再利用できない紙幣(入金リジェクト紙幣)を収納するカセットである。
【0033】
表示操作部10は、顧客による操作を受け付ける操作部と、顧客に対して情報を表示する表示部とを含んで構成される。表示部は、液晶ディスプレイなどによって構成されるが、表示部の形態は、液晶ディスプレイに限定されない。操作部は、表示部上に配されたタッチパネルなどによって構成されてよいが、操作部の形態もタッチパネルに限定されない。
【0034】
以下の説明では、硬貨入金口4および紙幣入出金口8の総称を投入部とする。すなわち、釣銭機1に投入される現金は、硬貨入金口4および紙幣入出金口8の少なくともいずれか一方から投入される。また、硬貨リジェクト口6および紙幣入出金口8の総称を排出部とする。すなわち、釣銭機1が排出する現金は、硬貨リジェクト口6と紙幣入出金口8の少なくともいずれか一つから排出される。硬貨出金口5と紙幣入出金口8の総称を出金口とする。すなわち、釣銭機1が出金する現金は、硬貨出金口5と紙幣入出金口8の少なくともいずれか一つから出金される。
【0035】
レジスタ15は、図示しないバーコード読取部、レジスタ表示操作部16およびレシート印字部17を備える。レジスタ15は、顧客が支払う金額を支払金額として算出したり、釣銭機1に投入されて釣銭機1内の紙幣収納部14(図2参照)および硬貨収納部13(図2参照)に収納される現金の金額(計数金額)から支払金額を減算して釣銭金額を算出したりする演算機能を有する。
【0036】
レジスタ15は、図示しないPOS(Point Of Sales)システムに接続される。図示しないPOSシステムは、バーコードに紐づけられた商品の金額および商品名に関するデータベースを備える。図示しないバーコード読取部は、商品に付されているバーコードを読み取る。
【0037】
レジスタ表示操作部16は、顧客による操作を受け付けるレジスタ操作部と、顧客に対して情報を表示するレジスタ表示部とを含んで構成される。レジスタ表示部は、液晶ディスプレイなどによって構成されるが、レジスタ表示部の形態は、液晶ディスプレイに限定されない。レジスタ操作部は、レジスタ表示部上に配されたタッチパネルなどによって構成されてよいが、レジスタ操作部の形態もタッチパネルに限定されない。
【0038】
例えば、レジスタ表示部は、バーコードの付されていない商品の金額などを入力するためのテンキーなどの入力キーを表示する。これによって、顧客は、入力キーをタッチパネル上から押下することによって、入力キーに対応して定義された情報を入力することが可能にされている。
【0039】
レシート印字部17は、支払金額、計数金額、釣銭金額などを印字したレシートを発行する。
【0040】
図2は、本発明の第1の実施形態に係る媒体取扱システムの機能構成例を示すブロック図である。図2に示すように、釣銭機1は、上記した硬貨入出金部2、紙幣入出金部3および表示操作部10の他、制御部30、記憶部31、通信部33、硬貨鑑別部11、紙幣鑑別部12、硬貨収納部13および紙幣収納部14を備える。一方、レジスタ15は、上記したレジスタ表示操作部16およびレシート印字部17の他、レジスタ制御部35、レジスタ記憶部36、および、図示しない通信部を備える。
【0041】
硬貨鑑別部11は、硬貨入金口4から繰り出されて図示しない硬貨搬送路によって搬送された硬貨を鑑別する。硬貨鑑別部11は、硬貨の鑑別結果を制御部30に出力する。なお、硬貨の鑑別には、少なくとも硬貨の金種などの鑑別が含まれる。
【0042】
紙幣鑑別部12は、紙幣入出金口8から繰り出されて図示しない紙幣搬送路によって搬送された紙幣を鑑別する。紙幣鑑別部12は、紙幣の鑑別結果を制御部30に出力する。なお、紙幣の鑑別には、少なくとも紙幣の金種の鑑別などが含まれる。
【0043】
以下の説明では、硬貨鑑別部11および紙幣鑑別部12の総称を鑑別部とする。すなわち、投入部に投入された現金は、硬貨鑑別部11および紙幣鑑別部12の少なくともいずれか一方によって鑑別される。
【0044】
硬貨収納部13は、硬貨鑑別部11によってリジェクト硬貨ではないと判定された硬貨を、硬貨鑑別部11によって鑑別された金種ごとに収納する収納庫である。
【0045】
紙幣収納部14は、紙幣鑑別部12によって鑑別された紙幣を、紙幣鑑別部12によって鑑別された金種ごとに収納する収納庫である。
【0046】
各収納部(硬貨収納部13および紙幣収納部14)には、現金の収納状態を検出するセンサが設けられており、センサによって検出された収納状態は、制御部30に通知される。かかるセンサは、フルセンサ、ニアフルセンサ、エンドセンサおよびニアエンドセンサの少なくともいずれか一つを含んでもよい。
【0047】
フルセンサは、収納状態としてフル状態を検出する。フル状態は、収納部に現金が容量いっぱいまで収納されており、現金を新たに収納できない状態である。ニアフルセンサは、収納状態としてニアフル状態を検出する。ニアフル状態は、フル状態に近い状態まで現金が収納されている状態である。一例として、ニアフル状態は、閾値以上の現金が収納されている状態であってもよく、より詳細には、収納割合が所定の割合以上(例えば、収納枚数が収納容量の80%以上)の状態であってもよい。
【0048】
エンドセンサは、収納状態としてエンド状態を検出する。エンド状態は、収納部に現金が無い状態である。ニアエンドセンサは、収納状態としてニアエンド状態を検出する。ニアエンド状態は、エンド状態に近い状態まで現金が収納されている状態である。一例として、ニアエンド状態は、閾値未満の現金が収納されている状態であってもよく、より詳細には、収納割合が所定の割合以上(例えば、収納枚数が収納容量の20%未満)の状態であってもよい。
【0049】
以下の説明では、硬貨収納部13および紙幣収納部14の総称を収納部とする。すなわち、釣銭機1が収納する現金は、硬貨収納部13および紙幣収納部14の少なくともいずれか一方に収納される。
【0050】
制御部30は、プロセッサにより構成されており、記憶部31に格納された制御プログラムに従って釣銭機1の各部を制御して各種処理を遂行する。
【0051】
制御部30は、図示しない硬貨搬送路による硬貨の搬送を制御したり、図示しない紙幣搬送路による紙幣の搬送を制御したりする。また、制御部30は、記憶部31によって記憶されている硬貨収納部13の金種ごとの収納部それぞれにおける硬貨の収納枚数を適宜更新することによって、金種ごとの硬貨の収納枚数を管理している。また、制御部30は、記憶部31によって記憶されている紙幣収納部14の金種ごとの収納部それぞれにおける紙幣の収納枚数を適宜更新することによって、金種ごとの紙幣の収納枚数を管理している。
【0052】
記憶部31は、メモリによって構成されており、制御プログラムを記憶している。また、記憶部31は、制御部30による処理結果を記憶する。例えば、記憶部31は、硬貨収納部13の金種ごとの収納部それぞれにおける硬貨の収納枚数を記憶しており、紙幣収納部14の金種ごとの収納部それぞれにおける紙幣の収納枚数を記憶している。
【0053】
通信部33は、通信インタフェースにより構成されており、レジスタ15と通信可能に接続されている。
【0054】
レジスタ制御部35は、プロセッサにより構成されており、レジスタ記憶部36に格納された入出金管理の制御プログラムに従ってレジスタ15の各部を制御して顧客が購入する商品の会計処理を遂行する。レジスタ記憶部36は、メモリによって構成されており、入出金管理の制御プログラムを記憶している。また、レジスタ記憶部36は、レジスタ制御部35による処理結果を記憶する。
【0055】
以上、本発明の第1の実施形態に係る媒体取扱システムの構成例について説明した。
【0056】
<1-2.媒体取扱システムの動作>
続いて、本発明の第1の実施形態に係る媒体取扱システムの動作例について説明する。図3および図4は、本発明の第1の実施形態に係る媒体取扱装置の例としての釣銭機1の動作例を説明するための図である。図3および図4を参照しながら(適宜図1および図2も参照しながら)、本発明の第1の実施形態に係る媒体取扱システムの動作例について説明する。
【0057】
まず、顧客は、購入したい商品を決定すると、商品に付されたバーコードをレジスタ15の図示しないバーコード読取部に近づける。図示しないバーコード読取部は、バーコードを読み取り、レジスタ制御部35に出力する。レジスタ制御部35は、バーコードに紐づけられた商品の金額および商品名を図示しないPOSシステムのデータベースから読み出す。
【0058】
また、商品の販売の代わりに、顧客への役務(例えば、飲食物の提供など)が行われる場合には、役務の提供に掛かる金額および役務名が伝票などに付されたバーコードから読み取られてもよい。
【0059】
また、商品または役務の金額に対して割り増される金額または割り引かれる金額があれば、その金額もレジスタ制御部35に出力される。例えば、顧客が商品または役務の金額に対して割引を可能とするクーポン券を保持している場合には、クーポン券から読み取られた割引金額(あるいは、顧客によって入力された割引金額)もレジスタ制御部35に出力される。また、例えば、商品または役務の金額に対して割増金額(例えば、税金およびサービス料など)がある場合には、当該割増金額もレジスタ制御部35に出力される。
【0060】
レジスタ制御部35は、支払金額を算出する。支払金額は、商品または役務の金額の合計自体であってもよいし、商品または役務の金額の合計に対して割増金額を割り増した金額であってもよいし、商品または役務の金額の合計から割引金額を割り引いた金額などであってもよい。レジスタ制御部35は、支払金額を表示するようにレジスタ表示操作部16を制御する。レジスタ制御部35は、支払金額を図示しない通信部を介して釣銭機1に送信する。
【0061】
釣銭機1において、計数金額には初期値として「0」が設定されている。制御部30は、通信部33を介して支払金額をレジスタ15から取得する(S11)。顧客によって、投入部(硬貨入金口4または紙幣入出金口8)に現金が投入されると、鑑別部(硬貨鑑別部11または紙幣鑑別部12)は、投入部に投入された現金を鑑別する(S12)。鑑別部は、鑑別した現金の金額(すなわち、鑑別した現金の金種)を制御部30に出力する。
【0062】
制御部30は、鑑別部(硬貨鑑別部11または紙幣鑑別部12)から出力された鑑別された現金の金額を取得する。制御部30は、計数金額が「0」であるか否かを判定する(S13)。制御部30は、計数金額が「0」である場合には(S13において「YES」)、S18に動作を移行させる。ここでは、計数金額が「0」であるため、S18の収納決定処理に動作が移行される。
【0063】
続いて、制御部30は、計数金額に鑑別された現金の金額を足して計数金額を更新し、鑑別された現金をその現金の金種に対応する収納部(硬貨収納部13または紙幣収納部14)へ収納させる(S18)。制御部30は、投入部(硬貨入金口4または紙幣入出金口8)に現金がない場合には(S20において「NO」)、S21に動作を移行させる。一方、制御部30は、投入部に現金がある場合には(S20において「YES」)、S12に動作を移行させる。
【0064】
制御部30は、S12に動作を移行させた場合には、投入部(硬貨入金口4または紙幣入出金口8)にある現金が鑑別部(硬貨鑑別部11または紙幣鑑別部12)によって鑑別され(S12)、鑑別された現金の金額が制御部30に出力される。制御部30は、鑑別部から出力された鑑別された現金(第1の現金)の金額を取得する。制御部30は、計数金額が「0」であるか否かを判定する(S13)。制御部30は、計数金額が「0」でない場合には(S13において「NO」)、S14に動作を移行させる。ここでは、計数金額が「0」よりも大きいため、S14に動作が移行される。
【0065】
続いて、制御部30は、計数金額が支払金額未満であるか否かを判定する(S14)。制御部30は、計数金額が支払金額未満である場合には(S14において「YES」)、S18を実行し、S20に動作を移行させる。
【0066】
一方、制御部30は、計数金額が支払金額以上である場合には(S14において「NO」)、計数金額が支払金額以上であることに基づいて、計数金額と鑑別された現金(第1の現金)の金額とを足して合算金額を算出し(S15)、合算金額と計数金額との間において、所定の位の値同士を比較する。このとき、計数金額は、鑑別部によって鑑別された現金(第1の現金)の前に鑑別されて収納部に収納される現金(第2の現金)の金額である。
【0067】
ここで、所定の位が具体的にどの位であるかは限定されない。本発明の第1の実施形態では、制御部30が、計数金額が支払金額以上であることに基づいて、計数金額に応じた位を所定の位として決定する場合を主に想定する。より詳細に、本発明の第1の実施形態では、制御部30は、計数金額が支払金額以上であることに基づいて、計数金額の非零の位のうち最下位を非零最下位として特定し、非零最下位よりも上位の1または複数の位を所定の位として決定する場合を想定する。
【0068】
一例として、計数金額が「5,510円」である場合には、計数金額の非零の位は、十の位、百の位、千の位であり、計数金額の非零の位のうち最下位(非零最下位)は、十の位である。そして、非零最下位よりも上位の1または複数の位(所定の位)は、百の位および百の位よりも上位の位である。しかし、所定の位は、後にも説明するように、非零最下位よりも上位の位に限定されない。
【0069】
ここで、合算金額のほうが計数金額よりも、非零最下位よりも上位の位の値の少なくともいずれか一つが大きい場合が想定される(S17において「YES」)。かかる場合には、制御部30は、鑑別された現金(第1の現金)に対しリジェクト決定処理を行う。即ち、制御部30は、鑑別された現金が紙幣である場合には、紙幣を返却紙幣として記憶部31に記憶させ、図示しない紙幣搬送路に紙幣を搬送させて、紙幣収納部14のうち紙幣の金種に対応する収納部に紙幣を収納させる。一方、制御部30は、鑑別された現金が硬貨である場合には、図示しない硬貨搬送路に硬貨を搬送させ、硬貨を硬貨リジェクト口6に返却する(S19)。
【0070】
なお、紙幣を返却紙幣として記憶部31に記憶させることは、記憶部31に記憶されている返却紙幣情報を更新することであってよい。一例として、返却紙幣情報は、取引において紙幣収納部14に収納させた返却紙幣の金種ごとの枚数であってよい。このとき、制御部30は、返却紙幣情報のうち紙幣の金種に対応する返却紙幣の枚数を更新すればよい(例えば、返却紙幣の枚数を1増加させればよい)。制御部30は、S20に動作を移行させる。
【0071】
一方、合算金額が計数金額と比較して、非零最下位よりも上位の位の値のいずれも同じである場合が想定される(S17において「NO」)。かかる場合には、S18を実行し、S20に動作を移行させる。制御部30は、投入部(硬貨入金口4または紙幣入出金口8)に現金がある場合には(S20において「YES」)、S12に動作を移行させる。一方、制御部30は、投入部に現金がない場合には(S20において「NO」)、S21に動作を移行させる。
【0072】
制御部30は、S21に動作を移行させた場合、記憶部31によって記憶された返却紙幣を紙幣収納部14から繰り出させ、図示しない紙幣搬送路に紙幣を搬送させて紙幣入出金口8に返却する(S21)。より詳細に、制御部30は、記憶部31によって記憶された更新後の返却紙幣情報に基づいて、取引において紙幣収納部14に収納させた返却紙幣の枚数分の紙幣を、金種ごとに紙幣収納部14から繰り出させて紙幣入出金口8に返却する。
【0073】
制御部30は、通信部33を介して計数金額をレジスタ15に通知し(S22)、レジスタ15においては、レジスタ制御部35は、図示しない通信部を介して計数金額を取得する。レジスタ表示操作部16は、計数金額を表示する。また、レジスタ制御部35は、計数金額から支払金額を減算することによって釣銭金額を算出する。
【0074】
レジスタ制御部35は、釣銭金額が0以上である場合、レジスタ表示操作部16に確定ボタンを表示させる。制御部30は、確定ボタンが顧客によって押下されたことがレジスタ表示操作部16によって検出された場合、図示しない通信部を介して釣銭金額を釣銭機1に通知する。また、レシート印字部17によって、支払金額、計数金額(投入金額)および釣銭金額などが印字されたレシートが排出され、排出されたレシートが顧客によって受け取られる。
【0075】
釣銭機1において、制御部30は、通信部33を介して釣銭金額を取得し、釣銭金額に相当する現金を釣銭として収納部から繰り出させて、出金口に出金させる(S23)。このとき、高額金種の現金が優先的に釣銭として出金されてもよい。
【0076】
より詳細に、制御部30は、釣銭に硬貨が含まれる場合には、釣銭に含まれる硬貨を硬貨収納部13から繰り出させて、硬貨出金口5に出金させ、釣銭に紙幣が含まれる場合には、釣銭に含まれる紙幣を紙幣収納部14から繰り出させて、紙幣入出金口8に出金させる。釣銭が出金されると、会計処理が終了する。
【0077】
なお、レジスタ制御部35は、釣銭金額が0未満である場合、図示しない通信部を介して追加入金指示を釣銭機1に通知してもよい。このとき、釣銭機1において、鑑別部(硬貨鑑別部11または紙幣鑑別部12)は、追加入金指示に基づいて、投入部(硬貨入金口4または紙幣入出金口8)に投入された現金の鑑別(S12)を再び行ってもよい。また、レジスタ制御部35は、釣銭金額に関わらず返却ボタンを表示させてもよい。制御部30は、返却ボタンが顧客によって押下されたことがレジスタ表示操作部16によって検出された場合、その取引において投入部に投入された現金を返却させる返却処理を釣銭機1に実行させてもよい。
【0078】
(動作の具体例)
続いて、本発明の第1の実施形態に係る媒体取扱システムの動作の具体例について説明する。図5は、本発明の第1の実施形態に係る媒体取扱システムの動作の具体例を説明するための図である。図3および図4を参照しながら(適宜図1および図2も参照しながら)、本発明の第1の実施形態に係る媒体取扱システムの動作の具体例について説明する。
【0079】
図5に示された例では、支払金額が「1,550円」である場合が想定されている。図5を参照すると、顧客による現金の「投入順」が示されている。また、投入順において投入された現金の「金種」、その取引における現金の「金種別投入枚数」が示されている。さらに、図3のS17に到達した時点における「合算金額」、「計数金額」および「計数金額の非零最下位」が示されている。
【0080】
また、図5を参照すると、「状態」および「扱い」が示されている。「状態」は、図3のS14およびS17の判定結果を示し、「超過」は、S14におけるNOを示す。「扱い」は、判定結果に基づいて、収納決定処理(S18)が実行されるか、RJ(リジェクト)決定処理(S19)が実行されるかを示す。「推移」は、S13~S19のうち、通過するルートを示す。「推移」において、「Y」は、YESを示し、「N」は、NOを示す。
【0081】
投入順「1」においては、金種「5,000」円の現金が投入されており、計数金額は初期値の「0」であるため、「推移」に示されるように、S13においてYESと判断され、「扱い」および「推移」に示されるように、収納決定処理(S18)が実行される。なお、「合算金額」は、「5,000」円となるため、次の投入順「2」における「計数金額」も「5,000」円となる。
【0082】
投入順「2」においては、金種「500」円の現金が投入されており、計数金額は「5,000」円であるため、「推移」に示されるように、S13においてNOと判断される。また、合算金額は「5,500」円であり、計数金額「5,000」円以上であるため、「状態」および「推移」に示されるように、S14においてNOとなる(すなわち、「状態」は「超過」となる)。
【0083】
「計数金額の非零最下位」は、千の位であり、この千の位よりも上位の各位の中に、合算金額の値のほうが計数金額の値よりも大きい位がないため、「推移」に示されるように、S17においてNOと判断され、「扱い」および「推移」に示されるように、収納決定処理(S18)が実行される。なお、「合算金額」は、「5,500」円であるため、次の投入順「3」における「計数金額」も「5,500」円となる。
【0084】
投入順「3」においては、金種「10」円の現金が投入されており、計数金額は「5,500」円であり、合算金額は「5,510」円である。「計数金額の非零最下位」は、百の位である。投入順「3」における「状態」、「扱い」および「推移」は、前の投入順「2」における「状態」、「扱い」および「推移」と変化がない。なお、「合算金額」は、「5,510」円であるため、次の投入順「4」における「計数金額」も「5,510」円となる。
【0085】
投入順「4」においては、金種「10」円の現金が投入されており、計数金額は「5,510」円であり、合算金額は「5,520」円である。「計数金額の非零最下位」は、十の位である。投入順「4」における「状態」、「扱い」および「推移」は、前の投入順「3」における「状態」、「扱い」および「推移」と変化がない。なお、「合算金額」は、「5,520」円であるため、次の投入順「5」における「計数金額」も「5,520」円となる。
【0086】
投入順「5」~「11」それぞれにおいては、投入順「4」と同様に、金種「10」円の現金が投入される。投入順「5」~「11」それぞれにおける「計数金額の非零最下位」、「状態」、「扱い」および「推移」は、投入順「4」における「計数金額の非零最下位」、「状態」、「扱い」および「推移」と同様である。
【0087】
投入順「12」においては、金種「10」円の現金が投入されており、計数金額は「5,590」円であるため、「推移」に示されるように、S13においてNOと判断される。また、合算金額は「5,600」円であり、計数金額「5,590」円以上であるため、「状態」および「推移」に示されるように、S14においてNOとなる(すなわち、「状態」は「超過」となる)。
【0088】
「計数金額の非零最下位」は、十の位であり、「状態」に示されるように、この十の位よりも上位の位である百の位において、合算金額の値のほうが計数金額の値よりも大きいため、「推移」に示されるように、S17においてYESと判断され、「扱い」および「推移」に示されるように、RJ決定(S19)が実行される。その後は、S20においてNOと判断された場合に、S21~S23が実行され、レシート印字部17によって印字されたレシートが顧客によって受け取られ、会計が終了する。
【0089】
以上、本発明の第1の実施形態に係る媒体取扱システムの動作例について説明した。
【0090】
<1-3.第1の実施形態の効果>
本発明の第1の実施形態に係る媒体取扱装置の例としての釣銭機1において、制御部30は、鑑別部(硬貨鑑別部11または紙幣鑑別部12)によって鑑別された第1の現金の金額を取得し、鑑別部によって第1の現金の前に鑑別されて収納部に収納される第2の現金の金額である計数金額が支払金額以上であることに基づいて、第1の現金の金額と計数金額とを合わせた合算金額と、計数金額との間において、所定の位の値同士を比較し、合算金額のほうが計数金額よりも所定の位の値の少なくともいずれか一つが大きい場合に、第1の現金を排出部に返却する。
【0091】
かかる構成によれば、計数金額が支払金額以上となった場合、かつ、合算金額のほうが計数金額よりも所定の位の値の少なくともいずれか一つが大きくなった場合に、鑑別された現金が収納部に収納されずに排出部から排出されるため、計数金額が増加しなくなる。これに伴って、計数金額から支払金額が減算された釣銭金額も増加しなくなるため、逆両替が行われる可能性が低減され得る。さらに、収納部への現金の収納が制限されることによって、収納部が現金で満杯(フル)となることに起因する釣銭機1の運用停止の可能性も低減され得る。
【0092】
特に上記では、制御部30が、計数金額が支払金額以上であることに基づいて、計数金額に応じた位を所定の位として決定する例について主に説明した。一例として、本発明の第1の実施形態においては、制御部30が、計数金額が支払金額以上であることに基づいて、計数金額の非零の位のうち最下位を非零最下位として特定し、非零最下位よりも上位の1または複数の位を所定の位として決定する例について説明した。これによって、早いタイミングで現金の返却を開始することが可能となるため、逆両替が行われる可能性がより大きく低減され得る。
【0093】
以上、本発明の第1の実施形態について説明した。
【0094】
<1-4.第1の実施形態の変形例>
例えば、逆両替が行われる可能性を低減したいという要求以外にも、現金の投入順序により生じる違いを軽減したいという要求がある。より詳細に、現金の投入順序により生じる違いを軽減したいという要求は、低額金種の現金を高額金種の現金よりも先に投入した場合と、高額金種の現金を低額金種の現金よりも先に投入した場合とにおいて、現金の返却が開始されるタイミングの違いを小さくしたいという要求であり得る。
【0095】
そこで、制御部30は、計数金額が支払金額以上であることに基づいて、計数金額の非零の位のうち最上位を非零最上位として特定し、非零最上位よりも上位の1または複数の位を所定の位として決定してもよい。
【0096】
一例として、計数金額が「5,510円」である場合には、計数金額の非零の位は、十の位、百の位、千の位であり、計数金額の非零の位のうち最上位(非零最上位)は、千の位である。そして、非零最上位よりも上位の1または複数の位(所定の位)は、万の位および万の位よりも上位の位である。これによって、逆両替が行われる可能性を低減しつつ、現金の投入順序の違いを吸収することが可能となる。
【0097】
あるいは、所定の位は、計数金額に応じた位でなくてもよい。一例として、所定の位は、あらかじめ決められた1または複数の位であってもよい。所定の位は、釣銭機1の製造時にあらかじめ設定されていてもよいし、釣銭機1の運用時に設定可能であってもよい。
【0098】
以上、本発明の第1の実施形態の変形例について説明した。
【0099】
<2.第2の実施形態>
続いて、本発明の第2の実施形態について説明する。
【0100】
<2-1.媒体取扱システムの構成>
以下では、本発明の第2の実施形態に係る媒体取扱システムのうち、本発明の第1の実施形態に係る媒体取扱システムとの差分について主に説明し、本発明の第1の実施形態に係る媒体取扱システムと共通する部分についての詳細な説明は省略する。
【0101】
より詳細に、本発明の第2の実施形態と本発明の第1の実施形態とは、釣銭機1が備える制御部30の機能が主に異なる。したがって、以下では、本発明の第2の実施形態に係る制御部30について主に説明する。なお、本発明の第2の実施形態の説明においても、媒体取扱システムの構成例を示す図(図1)および媒体取扱システムの機能構成例を示すブロック図(図2)を参照する。
【0102】
<2-2.媒体取扱システムの動作>
続いて、本発明の第2の実施形態に係る媒体取扱システムの動作例について説明する。図6は、本発明の第2の実施形態に係る媒体取扱装置の例としての釣銭機1の動作例を説明するための図である。
【0103】
まず、本発明の第2の実施形態においても、本発明の第1の実施形態と同様に、顧客が購入したい商品を決定する行為から、レジスタ制御部35が支払金額を表示するようにレジスタ表示操作部16を制御する処理までが行われる。本発明の第2の実施形態においては、釣銭機1において支払金額が用いられないため、レジスタ制御部35は、支払金額を釣銭機1に送信しなくてよい。
【0104】
釣銭機1において、計数金額には初期値として「0」が設定されている。また、本発明の第2の実施形態において、制御部30は、金種ごとの現金の計数枚数を管理している。金種ごとの現金の計数枚数それぞれには、初期値として「0」が設定されている。
【0105】
また、本発明の第2の実施形態において、制御部30は、その取引における計数枚数の第1の上限値(第1の枚数)を管理している。以下では、第1の上限値が20枚である場合について主に説明する。しかし、第1の上限値は、20枚に限定されず、1以上の整数であればよい。また、以下では、第1の上限値として全部の金種に共通した一つの値が設けられている場合について主に想定する。しかし、第1の上限値は、金種ごとに設けられていてもよい。また、第1の上限値は、釣銭機1の製造時にあらかじめ設定されていてもよいし、釣銭機1の運用時に設定可能であってもよい。
【0106】
顧客によって、投入部(硬貨入金口4または紙幣入出金口8)に現金が投入されると、鑑別部(硬貨鑑別部11または紙幣鑑別部12)は、投入部に投入された現金を鑑別する(S31)。鑑別部は、鑑別した現金の金額(すなわち、鑑別した現金の金種)を制御部30に出力する。制御部30は、鑑別部(硬貨鑑別部11または紙幣鑑別部12)から出力された鑑別された現金の金額を取得する。制御部30は、鑑別された現金の金種に対応する計数枚数が20枚未満であるか否かを判定する(S32)。
【0107】
制御部30は、鑑別された現金の金種に対応する計数枚数が20枚未満であると判定した場合(S32において「YES」)、その金種の計数枚数に1を加算することによってその金種の計数枚数を算出し、計数金額と鑑別された現金の金額とを足して新たな計数金額を算出し、鑑別された現金をその現金の金種に対応する収納部(硬貨収納部13または紙幣収納部14)へ収納させる(S33)。制御部30は、S35に動作を移行させる。ここでは、鑑別された現金の金種に対応する計数枚数が20枚未満であるため、S33が実行された後、S35に動作が移行される。
【0108】
制御部30は、投入部(硬貨入金口4または紙幣入出金口8)に現金がない場合には(S35において「NO」)、S21に動作を移行させる。一方、制御部30は、投入部に現金がある限り(S35において「YES」)、S31に動作を移行させる。ここでは、S31に動作が移行し、S32:YES、S33、S35:YES、S31が繰り返し実行される場合を想定する。かかる場合には、鑑別された現金に対応する計数枚数が20枚以上となり得る。
【0109】
制御部30は、鑑別された現金に対応する計数枚数が20枚以上である場合(S32において「NO」)、鑑別された現金(第1の現金)が紙幣である場合には、その紙幣を返却紙幣として記憶部31に記憶させ、図示しない紙幣搬送路に紙幣を搬送させて、紙幣収納部14のうち紙幣の金種に対応する収納部に紙幣を収納させる。このとき、鑑別された現金(第1の現金)に対応する計数枚数は、鑑別部によって鑑別された現金(第1の現金)の前に鑑別されて収納部に収納される現金(第2の現金)のうち、鑑別部によって鑑別された現金(第1の現金)の金種と同じ金種の現金の枚数である。
【0110】
一方、制御部30は、鑑別された現金が硬貨である場合には、図示しない硬貨搬送路に硬貨を搬送させ、硬貨を硬貨リジェクト口6に返却する(S34)。制御部30は、S35に動作を移行させる。制御部30は、投入部(硬貨入金口4または紙幣入出金口8)に現金がある場合には(S35において「YES」)、S31に動作を移行させる。一方、制御部30は、投入部に現金がない場合には(S35において「NO」)、本発明の第1の実施形態と同様に、S21~S23が実行され、会計処理が終了する。
【0111】
以上、本発明の第2の実施形態に係る媒体取扱システムの動作例について説明した。
【0112】
<2-3.第2の実施形態の効果>
本発明の第2の実施形態に係る媒体取扱装置の例としての釣銭機1において、制御部30は、鑑別部(硬貨鑑別部11または紙幣鑑別部12)によって鑑別された第1の現金の金額を取得し、鑑別部によって第1の現金の前に鑑別されて収納部に収納される第2の現金のうち、第1の現金の金種と同じ金種の現金の枚数である計数枚数が第1の枚数以上であるかを判定し、計数枚数が第1の上限値(第1の枚数)以上であると判定した場合に、第1の現金を排出部に返却する。
【0113】
かかる構成によれば、鑑別された現金の金種に対応する計数枚数が第1の上限値以上となった場合に、鑑別された現金が収納部に収納されずに排出部から排出されるため、鑑別された現金の金種に対応する計数枚数が増加しなくなる。これに伴って、計数金額から支払金額が減算された釣銭金額の増加が抑えられるため、逆両替が行われる可能性が低減され得る。さらに、収納部への現金の収納が制限されることによって、収納部が現金で満杯(フル)となることに起因する釣銭機1の運用停止の可能性も低減され得る。
【0114】
以上、本発明の第2の実施形態について説明した。
【0115】
<3.第3の実施形態>
続いて、本発明の第3の実施形態について説明する。
【0116】
<3-1.媒体取扱システムの構成>
以下では、本発明の第3の実施形態に係る媒体取扱システムのうち、本発明の第1の実施形態に係る媒体取扱システムとの差分について主に説明し、本発明の第1の実施形態に係る媒体取扱システムと共通する部分についての詳細な説明は省略する。
【0117】
より詳細に、本発明の第3の実施形態と本発明の第1の実施形態とは、釣銭機1が備える制御部30の機能が主に異なる。したがって、以下では、本発明の第3の実施形態に係る制御部30について主に説明する。なお、本発明の第3の実施形態の説明においても、媒体取扱システムの構成例を示す図(図1)および媒体取扱システムの機能構成例を示すブロック図(図2)を参照する。
【0118】
<3-2.媒体取扱システムの動作>
続いて、本発明の第3の実施形態に係る媒体取扱システムの動作例について説明する。図7は、本発明の第3の実施形態に係る媒体取扱装置の例としての釣銭機1の動作例を説明するための図である。
【0119】
まず、本発明の第3の実施形態においても、本発明の第1の実施形態と同様に、顧客が購入したい商品を決定する行為から、レジスタ制御部35が支払金額を表示するようにレジスタ表示操作部16を制御する処理までが行われる。また、本発明の第3の実施形態においても、本発明の第1の実施形態と同様に、レジスタ制御部35は、支払金額を図示しない通信部を介して釣銭機1に送信する。
【0120】
釣銭機1において、計数金額には初期値として「0」が設定されている。また、本発明の第3の実施形態において、制御部30は、計数金額が支払金額以上となった時点を基準とした金種ごとの現金の計数枚数を管理している。金種ごとの現金の計数枚数それぞれには、初期値として「0」が設定されている。
【0121】
また、本発明の第3の実施形態において、制御部30は、その取引において計数金額が支払金額以上となった時点を基準とした計数枚数の第2の上限値(第2の枚数)を管理している。以下では、第2の上限値が4枚である場合について主に説明する。しかし、第2の上限値は、4枚に限定されず、1以上の整数であればよい。また、以下では、第2の上限値として全部の金種に共通した一つの値が設けられている場合について主に想定する。しかし、第2の上限値は、金種ごとに設けられていてもよい。また、第2の上限値は、釣銭機1の製造時にあらかじめ設定されていてもよいし、釣銭機1の運用時に設定可能であってもよい。
【0122】
制御部30は、通信部33を介して支払金額をレジスタ15から取得する(S51)。顧客によって、投入部(硬貨入金口4または紙幣入出金口8)に現金が投入されると、鑑別部(硬貨鑑別部11または紙幣鑑別部12)は、投入部に投入された現金を鑑別する(S52)。鑑別部は、鑑別した現金の金額(すなわち、鑑別した現金の金種)を制御部30に出力する。制御部30は、鑑別部から出力された鑑別された現金の金額を取得する。制御部30は、計数金額が「0」であるか否かを判定する(S53)。制御部30は、計数金額が「0」である場合には(S53において「YES」)、S58に動作を移行させる。ここでは、計数金額が「0」であるため、S58に動作が移行される。
【0123】
続いて、制御部30は、計数金額と鑑別された現金の金額とを足して計数金額を算出し、鑑別された現金をその現金の金種に対応する収納部(硬貨収納部13または紙幣収納部14)へ収納させる(S58)。制御部30は、投入部(硬貨入金口4または紙幣入出金口8)に現金がない場合には(S59において「NO」)、S21に動作を移行させる。一方、制御部30は、投入部に現金がある場合には(S59において「YES」)、S52に動作を移行させる。
【0124】
制御部30は、S12に動作を移行させた場合には、投入部(硬貨入金口4または紙幣入出金口8)にある現金が鑑別部(硬貨鑑別部11または紙幣鑑別部12)によって鑑別され(S52)、鑑別された現金の金額が制御部30に出力される。制御部30は、鑑別部から出力された鑑別された現金(第1の現金)の金額を取得する。制御部30は、計数金額が「0」であるか否かを判定する(S53)。制御部30は、計数金額が「0」でない場合には(S53において「NO」)、S54に動作を移行させる。ここでは、計数金額が「0」よりも大きいため、S54に動作が移行される。
【0125】
続いて、制御部30は、計数金額が支払金額未満であるか否かを判定する(S54)。制御部30は、計数金額が支払金額未満である場合には(S54において「YES」)、S58を実行し、S59に動作を移行させる。一方、制御部30は、計数金額が支払金額以上である場合には(S54において「NO」)、鑑別された現金の金種に対応する計数枚数が4枚未満であるか否かを判定する(S55)。
【0126】
制御部30は、鑑別された現金の金種に対応する計数枚数が4枚未満であると判定した場合(S55において「YES」)、その金種の計数枚数に1を加算することによってその金種の計数枚数を算出し(S56)、計数金額と鑑別された現金の金額とを足して新たな計数金額を算出し、鑑別された現金をその現金の金種に対応する収納部(硬貨収納部13または紙幣収納部14)へ収納させる(S58)。制御部30は、S59に動作を移行させる。ここでは、鑑別された現金の金種に対応する計数枚数が4枚未満であるため、S56およびS56が実行された後、S59に動作が移行される。
【0127】
制御部30は、投入部(硬貨入金口4または紙幣入出金口8)に現金がない場合には(S59において「NO」)、S21に動作を移行させる。一方、制御部30は、投入部に現金がある限り(S59において「YES」)、S52に動作を移行させる。ここでは、S52に動作が移行し、S53:NO、S54:NO、S55:YES、S56、S58、S59:YES、S52が繰り返し実行される場合を想定する。かかる場合には、鑑別された現金に対応する計数枚数が4枚以上となり得る。
【0128】
制御部30は、鑑別された現金に対応する計数枚数が4枚以上である場合(S55において「NO」)、鑑別された現金(第1の現金)が紙幣である場合には、その紙幣を返却紙幣として記憶部31に記憶させ、図示しない紙幣搬送路に紙幣を搬送させて、紙幣収納部14のうち紙幣の金種に対応する収納部に紙幣を収納させる。このとき、計数枚数は、鑑別部によって鑑別された現金(第1の現金)の前、かつ、鑑別部によって鑑別されて収納部に収納される現金(第2の現金)の金額である計数金額が支払金額以上となった後に、収納部に収納される現金(第3の現金)のうち、鑑別部によって鑑別された現金(第1の現金)の金種と同じ金種の現金の枚数である。
【0129】
一方、制御部30は、鑑別された現金が硬貨である場合には、図示しない硬貨搬送路に硬貨を搬送させ、硬貨を硬貨リジェクト口6に返却する(S57)。制御部30は、S59に動作を移行させる。制御部30は、投入部(硬貨入金口4または紙幣入出金口8)に現金がある場合には(S59において「YES」)、S52に動作を移行させる。一方、制御部30は、投入部に現金がない場合には(S59において「NO」)、本発明の第1の実施形態と同様に、S21~S23が実行され、会計処理が終了する。
【0130】
以上、本発明の第3の実施形態に係る媒体取扱システムの動作例について説明した。
【0131】
<3-3.第3の実施形態の効果>
本発明の第3の実施形態に係る媒体取扱装置の例としての釣銭機1において、制御部30は、鑑別部(硬貨鑑別部11または紙幣鑑別部12)によって鑑別された第1の現金の金額を取得し、第1の現金が鑑別される前、かつ、鑑別部によって鑑別されて収納部に収納される第2の現金の金額である計数金額が支払金額以上となった後に、収納部に収納される第3の現金のうち、第1の現金の金種と同じ金種の現金の枚数が第2の上限値(第2の枚数)以上であるかを判定し、枚数が第2の枚数以上であると判定した場合に、第1の現金を排出部に返却する。
【0132】
かかる構成によれば、計数枚数が支払金額以上となった場合、かつ、鑑別された現金の金種に対応する計数枚数が第2の上限値以上となった場合に、鑑別された現金が収納部に収納されずに排出部から排出されるため、鑑別された現金の金種に対応する計数枚数が増加しなくなる。これに伴って、計数金額から支払金額が減算された釣銭金額の増加が抑えられるため、逆両替が行われる可能性が低減され得る。さらに、収納部への現金の収納が制限されることによって、収納部が現金で満杯(フル)となることに起因する釣銭機1の運用停止の可能性も低減され得る。
【0133】
以上、本発明の第3の実施形態について説明した。
【0134】
<4.第4の実施形態>
続いて、本発明の第4の実施形態について説明する。
【0135】
<4-1.媒体取扱システムの構成>
以下では、本発明の第4の実施形態に係る媒体取扱システムのうち、本発明の第1の実施形態に係る媒体取扱システムとの差分について主に説明し、本発明の第1の実施形態に係る媒体取扱システムと共通する部分についての詳細な説明は省略する。
【0136】
より詳細に、本発明の第4の実施形態と本発明の第1の実施形態とは、釣銭機1が備える制御部30の機能が主に異なる。したがって、以下では、本発明の第4の実施形態に係る制御部30について主に説明する。なお、本発明の第4の実施形態の説明においても、媒体取扱システムの構成例を示す図(図1)および媒体取扱システムの機能構成例を示すブロック図(図2)を参照する。
【0137】
<4-2.媒体取扱システムの動作>
続いて、本発明の第4の実施形態に係る媒体取扱システムの動作例について説明する。図8は、本発明の第4の実施形態に係る媒体取扱装置の例としての釣銭機1の動作例を説明するための図である。
【0138】
まず、本発明の第4の実施形態においても、本発明の第1の実施形態と同様に、顧客が購入したい商品を決定する行為から、レジスタ制御部35が支払金額を表示するようにレジスタ表示操作部16を制御する処理までが行われる。また、本発明の第4の実施形態においても、本発明の第1の実施形態と同様に、レジスタ制御部35は、支払金額を図示しない通信部を介して釣銭機1に送信する。
【0139】
釣銭機1において、計数金額には初期値として「0」が設定されている。そして、S71~S72が実行される。S71~S72は、本発明の第1の実施形態のS11~S12(図3)と同様である。制御部30は、計数金額が「0」であるか否かを判定する(S73)。制御部30は、計数金額が「0」である場合には(S73において「YES」)、S80に動作を移行させる。ここでは、計数金額が「0」であるため、S80が実行される。S80は、本発明の第1の実施形態のS18(図3)と同様である。
【0140】
制御部30は、投入部(硬貨入金口4または紙幣入出金口8)に現金がない場合には(S82において「NO」)、S21に動作を移行させる。一方、制御部30は、投入部に現金がある場合には(S82において「YES」)、S72に動作を移行させる。制御部30は、S72に動作を移行させた場合には、S72を実行した後、計数金額が「0」であるか否かを判定する(S73)。制御部30は、計数金額が「0」でない場合には(S73において「NO」)、S74に動作を移行させる。ここでは、計数金額が「0」よりも大きいため、S74に動作が移行される。
【0141】
続いて、制御部30は、計数金額が支払金額未満であるか否かを判定する(S74)。制御部30は、計数金額が支払金額未満である場合には(S74において「YES」)、S80を実行し、S82に動作を移行させる。一方、制御部30は、計数金額が支払金額以上である場合には(S74において「NO」)、収納部における現金の収納枚数が閾値以上であるか否かを判定する(S76)。より詳細に、制御部30は、収納部(硬貨収納部13および紙幣収納部14)のうち、鑑別された現金の金種に対応する収納部における現金の収納枚数が閾値以上であるか否かを判定する。
【0142】
なお、収納枚数が閾値以上であるか否かを判定する手法は限定されない。例えば、制御部30は、収納部に設けられたセンサから取得される収納状態に基づいて、収納枚数が閾値以上であるか否かを判定してもよい。例えば、制御部30は、ニアフルセンサからニアフル状態が通知された場合には、収納枚数が閾値以上であると判定してもよい。あるいは、制御部30は、ニアエンドセンサからニアエンド状態が通知された場合には、収納枚数が閾値未満であると判定してもよい。
【0143】
あるいは、制御部30は、自身が管理している収納枚数が閾値を超えているか否かを判定してもよい。このとき、一例として閾値は、収納容量の60%に該当する枚数などであってもよいが、閾値の具体的な値は特に限定されない。ここでは、閾値として、全部の金種に共通した一つの値が設けられている場合について主に想定する。しかし、閾値は、金種ごとに設けられていてもよい。また、閾値は、釣銭機1の製造時にあらかじめ設定されていてもよいし、釣銭機1の運用時に設定可能であってもよい。
【0144】
制御部30は、鑑別された現金の金種に対応する収納部における現金の収納枚数が閾値未満である場合(S76において「NO」)、S80に動作を移行させる。一方、制御部30は、鑑別された現金の金種に対応する収納部における現金の収納枚数が閾値以上である場合(S76において「YES」)、S77に動作を移行させる。S77~S82は、本発明の第1の実施形態のS15~S20と同様である。
【0145】
以上、本発明の第4の実施形態に係る媒体取扱システムの動作例について説明した。
【0146】
<3-3.第4の実施形態の効果>
本発明の第4の実施形態に係る媒体取扱装置の例としての釣銭機1において、制御部30は、鑑別部(硬貨鑑別部11または紙幣鑑別部12)によって鑑別された第1の現金の金額を取得し、収納部における現金の収納枚数が閾値以上である場合、かつ、鑑別部によって第1の現金の前に鑑別されて収納部に収納される第2の現金の金額である計数金額が支払金額以上であることに基づいて、第1の現金の金額と計数金額とを合わせた合算金額と、計数金額との間において、所定の位の値同士を比較し、合算金額のほうが計数金額よりも所定の位の値の少なくともいずれか一つが大きい場合に、第1の現金を排出部に返却する。
【0147】
かかる構成によれば、現金の収納枚数が閾値以上である場合、かつ、計数金額が支払金額以上となった場合、かつ、合算金額のほうが計数金額よりも所定の位の値の少なくともいずれか一つが大きくなった場合に、鑑別された現金が収納部に収納されずに排出部から排出されるため、計数金額が増加しなくなる。これに伴って、計数金額から支払金額が減算された釣銭金額も増加しなくなるため、逆両替が行われる可能性が低減され得る。さらに、収納部への現金の収納が制限されることによって、収納部が現金で満杯(フル)となることに起因する釣銭機1の運用停止の可能性も低減され得る。
【0148】
以上、本発明の第4の実施形態について説明した。
【0149】
<4-4.第4の実施形態の変形例>
本発明の第1の実施形態と同様の変形例が想定され得る。すなわち、制御部30は、計数金額が支払金額以上であることに基づいて、計数金額の非零の位のうち最上位を非零最上位として特定し、非零最上位よりも上位の1または複数の位を所定の位として決定してもよい。
【0150】
あるいは、所定の位は、計数金額に応じた位でなくてもよい。一例として、所定の位は、あらかじめ決められた1または複数の位であってもよい。
【0151】
以上、本発明の第4の実施形態の変形例について説明した。
【0152】
<5.変形例>
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0153】
例えば、上記では、各種操作を入力可能な操作部としてタッチパネルが用いられる場合を主に説明した。しかし、各種操作を入力可能な操作部は、タッチパネルに限定されない。例えば、各種操作を入力可能な操作部として、タッチパネルの代わりに物理ボタンが用いられてもよい。このとき、物理ボタンは、釣銭機1に設けられてもよいし、レジスタ15に設けられてもよい。
【0154】
また、上記では、返却される現金が硬貨である場合に、硬貨が硬貨リジェクト口6に返却される例について説明した(例えば、S19、S34、S57およびS81など)。しかし、制御部30は、硬貨を硬貨出金口5に返却してもよい。より詳細に、制御部30は、返却される硬貨を返却硬貨として記憶部31に記憶させ、図示しない硬貨搬送路に硬貨を搬送させて、硬貨収納部13のうち硬貨の金種に対応する収納部における搬送経路の上流側に硬貨を収納させる。
【0155】
なお、硬貨を返却硬貨として記憶部31に記憶させることは、記憶部31に記憶されている返却硬貨情報を更新することであってよい。一例として、返却硬貨情報は、取引において硬貨収納部13に収納させた返却硬貨の金種ごとの枚数であってよい。このとき、制御部30は、返却硬貨情報のうち硬貨の金種に対応する返却硬貨の枚数を更新すればよい(例えば、返却硬貨の枚数を1増加させればよい)。
【0156】
そして、制御部30は、投入部に現金がなくなった場合に、記憶部31によって記憶された返却硬貨を硬貨収納部13から繰り出させ、図示しない硬貨搬送路に硬貨を搬送させて硬貨出金口5に返却すればよい。より詳細に、制御部30は、記憶部31によって記憶された更新後の返却硬貨情報に基づいて、取引において硬貨収納部13に収納させた返却硬貨の枚数分の硬貨を、搬送経路の下流側から順に金種ごとに硬貨収納部13から繰り出させて硬貨出金口5に返却すればよい。
【0157】
また、上記では、媒体取扱システム(釣銭機およびレジスタ)が、バーコードの読み取りから会計までの操作全部が顧客によって行われるフルセルフレジに適用される例について主に説明した。しかし、本発明の実施形態に係る媒体取扱システムは、フルセルフレジ以外のレジに適用されてもよい。例えば、本発明の実施形態に係る媒体取扱システムは、バーコードの読み取りの操作は店員によって行われ、会計の操作を顧客が行うセミセルフレジに適用されてもよい。
【0158】
あるいは、本発明の実施形態に係る媒体取扱システムは、顧客によって商品または役務が選択され、顧客によって現金が入金されると、選択された商品または役務の金額と入金された現金とに基づいて自動的に商品または役務の購入が行われ、出金された釣銭を顧客が受け取る発売機に適用されてもよい。
【0159】
また、本発明の実施形態に係る媒体取扱システムの処理における各ステップは、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はない。例えば、本発明の実施形態に係る媒体取扱システムの処理における各ステップは、フローチャートとして記載した順序と異なる順序で処理されても、並列的に処理されてもよい。
【符号の説明】
【0160】
1 釣銭機
2 硬貨入出金部
3 紙幣入出金部
4 硬貨入金口
5 硬貨出金口
6 硬貨リジェクト口
8 紙幣受入部
9 紙幣回収カセット
10 表示操作部
11 硬貨鑑別部
12 紙幣鑑別部
13 硬貨収納部
14 紙幣収納部
15 レジスタ
16 レジスタ表示操作部
17 レシート印字部
30 制御部
31 記憶部
33 通信部
35 レジスタ制御部
36 レジスタ記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8