(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】冷却装置
(51)【国際特許分類】
B60K 11/06 20060101AFI20241217BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20241217BHJP
H01M 10/6556 20140101ALI20241217BHJP
H01M 10/6563 20140101ALI20241217BHJP
H01M 10/625 20140101ALN20241217BHJP
【FI】
B60K11/06
H01M10/613
H01M10/6556
H01M10/6563
H01M10/625
(21)【出願番号】P 2021004046
(22)【出願日】2021-01-14
【審査請求日】2023-10-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】馬場 謙治
【審査官】宇佐美 琴
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-141322(JP,A)
【文献】特開2017-105275(JP,A)
【文献】特開2018-030514(JP,A)
【文献】特開2017-077787(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0008060(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第102019201155(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 11/06
H01M 10/613, 10/625,
10/6556,10/6563
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸気口と
、排気口とを有するダクトと、
前記排気口に接続された
吸入口と、前記吸入口に平行な吐出口とを有する送風機と、を備え、
前記送風機は、前記吸気口から
前記ダクト内に吸い込んだ空気を、
前記吐出口から蓄電装置に向けて送風
し、
前記ダクトは、
前記送風機の
直上に位置し、かつ
、前記空気の流れの向きが水平方向の第1の向きになるように前記空気の流路が
内部に形成された
第1の経路と、
前記第1の経路の下流側に位置し、かつ、前記排気口付近における空気の流れの向きが前記第1の向きと反対の第2の向きになるように前記空気の流路が内部に形成された第2の経路と、を含み、
前記
第1の経路における前記流路の底部は、前記吸気口よりも高い位置にあり、
前記送風機は、前記吐出口から前記第2の向きに前記空気を吐き出し、
前記吐出口は、前記ダクトの直下に位置する、冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両に搭載される蓄電装置の冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、蓄電装置と、当該蓄電装置を冷却する冷却装置とを備える車両が知られている。たとえば、特開2017-77787号公報(特許文献1)には、このような車両として、車室内の空気を調和する空調装置と、バッテリユニットと、空調装置を通過した空気を吸入してバッテリユニットに送る冷却ファンと、冷却ファンの吸気口に接続され、空調装置を通過した空気を冷却ファンに導く吸気ダクトとを備えた車両が開示されている。冷却ファンの吸気口は、斜め上方を向いて開口するとともに、吸気口の最下位置が吸気ダクトのダクト流路の底面よりも上側に位置する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
吸気ダクトを設置するスペースは、車両のフレームおよび他の部品等によって制限される。それゆえ、特許文献1においても、冷却ファンの吸込口に対して吸気ダクトを十分に低い位置まで下げることはできない。したがって、特許文献1においては、吸気ダクトに流れ込んできた水の量が多いときには、水が冷却ファンに浸入するおそれがある。
【0005】
本開示は、上記の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、水が送風機に浸水することを防止可能な冷却装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のある局面に従うと、冷却装置は、吸気口を有するダクトと、吸気口から空気を吸い込み、かつダクトを介して空気を蓄電装置に向けて送風するための送風機とを備える。ダクトは、送風機の上方に位置し、かつ内部に空気の流路が形成された上方側経路を含む。上方側経路における流路の底部は、吸気口よりも高い位置にある。
【発明の効果】
【0007】
上記の開示によれば、流路の底部がダクトの吸気口よりも高い位置にあるため、吸気口から浸入した水が底部に到達することはない。それゆえ、上記の開示によれば、吸気口から浸入した水が送風機に浸入することを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図3】吐出口の向きが異なる他の冷却装置を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ、本開示の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部材には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。また、以下に説明する実施の形態において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本開示の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。
【0010】
本実施の形態の冷却装置は、蓄電装置が搭載された車両に搭載される。具体的には、本実施の形態の冷却装置は、モータとエンジンとの少なくとも一方の動力を用いて走行可能なハイブリッド車両、または、電気エネルギによって得られた駆動力で走行する電動車両等の車両に搭載される。
【0011】
図1は、冷却装置1の斜視図である。
図1を参照して、冷却装置1は、ダクト10と、送風機20とを備える。ダクト10は、送風機20に接続される。ダクト10は、送風機20の上流側に位置している。
【0012】
ダクト10は、本体部11と、本体部11に取り付けられたクッション材12とを含む。本体部11は、上流側経路111と、中流側経路(上方側経路)112と、下流側経路113とを有する。各経路111~113は、内壁180を有する。各経路111~113では、内壁180によって規定された内部空間(すなわち流路)を空気が流れる。
【0013】
上流側経路111は、吸気口114を有する。クッション材12は、吸気口114の周囲を囲むように取り付けられている。
【0014】
送風機20は、ファン(図示せず)と、当該ファンを駆動するためのファンモータ(図示せず)とを有する。送風機20は、ダクト10の吸気口114から空気を吸い込み、かつダクト10を介して、吸い込んだ空気を蓄電装置に向けて送風する。
【0015】
図2は、
図1のII-II線矢視断面図である。
図2では、冷却装置1が車両100に取り付けられた状態を示している。
【0016】
図2を参照して、車両100は、フロアパネル90と、内装トリム80と、冷却装置1とを備える。冷却装置1は、典型的には、シート(図示せず)の下部に設置される。
【0017】
内装トリム80は、開口部81を有する。開口部81は、典型的には、水平方向に並んで配置されたスリット状の複数の開口を有する。内装トリム80は、フロアパネル90の上部に設けられている。内装トリム80の少なくとも一部は、シート(図示せず)の下部に設置される。開口部81は、シートの下部に設けられている。開口部81は、フロアパネル90の上方に形成されている。
【0018】
送風機20は、吸込口21と、吐出口22とを有する。送風機20は、吸込口21から空気を吸い込む。送風機20は、吐出口22から空気を吐き出す。吐出口22は、吸込口21と平行に設けられている。吐出口22は、送風機20内のファンに対して吸込口21とは反対側に設けられている。ダクト10は、吸気口114とは反対側の端部に排気口115を有する。吸気口114と排気口115とは、略平行である。
【0019】
ダクト10の排気口115は、送風機の吸込口21に接続される。ダクト10の本体部11は、クッション材12を介して、内装トリム80の裏面(車室とは反対側)に接続される。ダクト10の吸気口114は、内装トリム80の開口部81に対向している。これにより、ダクト10内と車室内とが連通する。
【0020】
ダクト10の上流側経路111は、内部に空気の流路201が形成されている。上流側経路111は、吸気口114から入った空気が下方から上方に流れるように、内壁180の底部の一部が斜め上方向に傾斜している。
【0021】
中流側経路112は、送風機20の上方に位置している。中流側経路112は、内部に空気の流路202が形成されている。中流側経路112における流路202の底部190は、ダクト10の吸気口114よりも高い位置にある。流路202の底部190を規定するダクト10の内壁180は、ダクト10の吸気口114よりも高い位置にある。
図2の例では、流路202の底部190を規定するダクト10の内壁180が、吸気口114の最上部よりも距離Dだけ高い状態を示している。本例では、流路202の底部190を規定するダクト10の内壁180は、水平面である。
【0022】
下流側経路113は、内部に空気の流路203が形成されている。下流側経路113では、排気口115付近における空気の流れの向きが中流側経路112における空気の流れの向きと反対になるように、流路203が形成されている。詳しくは、ダクト10は、下流側経路113の上流側(中流側経路112側)において略90°下方に曲がっている。また、ダクト10は、下流側経路113の下流側(送風機20側)において略90°送風機20側方向に曲がっている。
【0023】
送風機20は、上述したように、排気口115に接続された吸込口21から空気を吸い込み、かつ、吸い込んだ空気を吐出口22から吐き出す。吐出口22には、ダクト(図示せず)が接続されており、当該ダクトを介して蓄電装置に空気が送られる。これにより、車室内の空気によって蓄電装置が冷却される。
【0024】
以上のように、冷却装置1は、吸気口114を有するダクト10と、吸気口114から空気を吸い込み、かつダクト10を介して空気を蓄電装置に向けて送風するための送風機20とを備える。ダクト10は、送風機20の上方に位置し、かつ内部に空気の流路202が形成された中流側経路112を含む。中流側経路112における流路202の底部190は、吸気口114よりも高い位置にある。
【0025】
このような構成によれば、流路202の底部190がダクト10の吸気口114よりも高い位置にあるため、吸気口114から浸入した水が底部190に到達することはない。また、ダクト10に車室内から流れ込んだ水の量が多くても、底部190と吸気口114との高低差によって、当該水が中流側経路112よりも先(下流側)に流れることはない。
【0026】
それゆえ、冷却装置1によれば、吸気口114から浸入した水が送風機20に浸入することを防ぐことができる。これにより、吸気口114から浸入した水が、送風機20によって蓄電装置に浸入することも防ぐことができる。
【0027】
また、ダクト10の中流側経路112が送風機20の上方にあるため、中流側経路112が送風機20の覆いとなる。それゆえ、冷却装置1によれば、送風機20に上方から水がかかることを防止できる。
図1に示したように、中流側経路112が送風機20の直上にあることが好ましい。
【0028】
(変形例)
(1)上記においては、ダクト10の排気口115に送風機20の吸込口21が直接接続された構成を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。ダクト10の排気口115が蓄電装置の吸気口(図示せず)に接続され、かつ蓄電装置の排気口(図示せず)が送風機20の吸込口21に接続される構成であってもよい。すなわち、送風機20による空気の吸引力によって、車室内の空気が、ダクト10、蓄電装置、送風機の順で流れる構成としてもよい。
【0029】
(2)内装トリム80の開口部81が、送風機20の吸込口21の最下部よりも低い位置にあってもよい。
【0030】
(3)上記においては、送風機20の吐出口22の向きがY軸方向の負の向きである場合を例に挙げて説明した。詳しくは、吐出口22の向きと吸込口21の向きとが、平行となる場合を例に挙げて説明した。しかしながら、吐出口22の向きは、これに限定されるものではない。以下、ダクト10を有し、かつ吐出口22の向きが冷却装置1と異なる冷却装置を説明する。
【0031】
図3は、吐出口22の向きが冷却装置1とは異なる冷却装置1Aを説明するための図である。
図3を参照して、冷却装置1Aは、ダクト10と、送風機20Aとを備える。送風機20Aと、冷却装置1Aの冷却対象である蓄電装置300とは、X軸方向において並んで配置されている。送風機20Aの位置から見てX軸方向の負の向きに、蓄電装置300が設置されている。
【0032】
送風機20Aは、ダクト10の吸気口114から空気を吸い込み、かつダクト10を介して、吸い込んだ空気を蓄電装置300に向けて送風する。送風機20Aの吐出口22の向きは、X軸方向の負の向きである。送風機20Aの吐出口22は、蓄電装置300側に向いている。吐出口22の向きは、吸込口21(
図2参照)の向きに対して垂直である。このような向きに設けられた吐出口22を有する冷却装置1Aであっても、冷却装置1と同様の効果を得ることができる。
【0033】
また、送風機20Aの吐出口22の向きは、ダクト10の吸気口114の向きに対して垂直であってもよい。この場合も、冷却装置1と同様の効果を得ることができる。
【0034】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0035】
1,1A 冷却装置、10 ダクト、11 本体部、12 クッション材、20,20A 送風機、21 吸込口、22 吐出口、80 内装トリム、81 開口部、90 フロアパネル、100 車両、111 上流側経路、112 中流側経路、113 下流側経路、114 吸気口、115 排気口、180 内壁、190 底部、201,202,203 流路、300 蓄電装置。