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特許7604906ウェアラブルデバイス、ウェアラブルデバイスの制御方法、およびウェアラブルデバイスの制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】ウェアラブルデバイス、ウェアラブルデバイスの制御方法、およびウェアラブルデバイスの制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/01 20060101AFI20241217BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
G06F3/01 510
A61B5/00 102A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021007856
(22)【出願日】2021-01-21
(65)【公開番号】P2022112163
(43)【公開日】2022-08-02
【審査請求日】2023-12-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】日高 直哉
【審査官】遠藤 孝徳
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-513489(JP,A)
【文献】特開2020-341(JP,A)
【文献】特開2016-178493(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第110584632(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0154952(US,A1)
【文献】特開2018-205195(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第110568271(CN,A)
【文献】特許第5769630(JP,B2)
【文献】特許第5515647(JP,B2)
【文献】特開2014-71117(JP,A)
【文献】特許第6544428(JP,B2)
【文献】中国特許出願公開第108663701(CN,A)
【文献】特開2017-33042(JP,A)
【文献】特開2017-182106(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01
A61B 5/00
G01S 19/00 - 19/55
G06Q 50/00 - 50/60
G08B 21/00 - 21/24
G08B 25/00 - 25/14
G16H 10/00 - 80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体または生体に着用される装具に装着される基材と、
前記基材に実装され、GPS信号を受信し、前記GPS信号の受信品質指標を取得する受信品質指標取得手段と、
前記基材に実装され、前記生体または前記装具と、自身との位置関係に依存する信号を出力するセンサと、
前記受信品質指標と前記センサの出力とを、前記受信品質指標と前記センサの出力とに基づいてウェアラブルデバイスが前記生体または前記装具に装着されているか否かを判定する装着判定手段に送信する送信手段と、
を有し、
前記センサが、湿度センサであり、
前記装着判定手段が
前記受信品質指標が所定の閾値以上に良好となった場合に、前記ウェアラブルデバイスが前記生体から離れたと判定し、
前記受信品質指標が前記所定の閾値より悪く、かつ、前記湿度センサの出力が第2の閾値以上である場合に、前記ウェアラブルデバイスが前記生体または前記装具に装着されたと判定する
ことを特徴とするウェアラブルデバイス。
【請求項2】
前記装着判定手段が、前記基材に実装されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のウェアラブルデバイス。
【請求項3】
前記センサが入射した光量に依存する信号を出力する光学センサで、前記ウェアラブルデバイスが前記装具に装着され、前記光学センサを前記装具に装着した状態では前記光学センサに入射する外光が遮られる構成であり、
前記装着判定手段が、
前記受信品質指標が前記所定の閾値以上に良好で、かつ前記光学センサの検出した光量が所定の第2の閾値以上であった場合に、前記ウェアラブルデバイスが前記生体に装着されておらず、前記装具からも外されていると判定し、
前記受信品質指標が前記所定の閾値以上に良好で、かつ前記光学センサの検出した光量が前記所定の第2の閾値未満であった場合に、前記ウェアラブルデバイスが前記生体に装着されておらず、前記装具には装着されていると判定する、
ことを特徴とする請求項に記載のウェアラブルデバイス。
【請求項4】
前記受信品質指標が前記所定の閾値より悪く、かつ前記光学センサの検出した光量が前記第2の閾値未満であった場合に、前記ウェアラブルデバイスが前記装具に装着され、かつ前記装具が前記生体に装着されていると判定する
ことを特徴とする請求項に記載のウェアラブルデバイス。
【請求項5】
生体または生体に着用される装具に装着されたウェアラブルデバイスで、
GPS信号を受信し、
前記GPS信号の受信品質指標を取得し、
前記生体または前記装具と、自身との位置関係に依存する信号をセンサから出力し、
前記受信品質指標と前記センサの出力とを、前記受信品質指標と前記センサの出力とに基づいて前記ウェアラブルデバイスが前記生体または前記装具に装着されているか否かを判定するウェアラブルデバイスの制御方法であって、
前記センサが、湿度センサであり、
前記受信品質指標が所定の閾値以上に良好となった場合に、前記ウェアラブルデバイスが前記生体から離れたと判定し、
前記受信品質指標が前記所定の閾値より悪く、かつ、前記湿度センサの出力が第2の閾値以上である場合に、前記ウェアラブルデバイスが前記生体または前記装具に装着されたと判定する
ことを特徴とするウェアラブルデバイスの制御方法。
【請求項6】
生体または生体に着用される装具に装着されたウェアラブルデバイスに、
GPS信号を受信する処理と、
前記GPS信号の受信品質指標を取得する処理と、
前記生体または前記装具と、自身との位置関係に依存する信号を出力するセンサから出力を取得する処理と、
前記受信品質指標と前記センサの出力とを、前記受信品質指標と前記センサの出力とに基づいて前記ウェアラブルデバイスが前記生体または前記装具に装着されているか否かを判定する処理と
を実行させるウェアラブルデバイスの制御プログラムであって、
前記センサが、湿度センサであり、
前記ウェアラブルデバイスが前記生体または前記装具に装着されているか否かを判定する前記処理では、
前記受信品質指標が所定の閾値以上に良好となった場合に、前記ウェアラブルデバイスが前記生体から離れたと判定する処理と、
前記受信品質指標が前記所定の閾値より悪く、かつ、前記湿度センサの出力が第2の閾値以上である場合に、前記ウェアラブルデバイスが前記生体または前記装具に装着されたと判定する処理と
を前記ウェアラブルデバイスに実行させる
ことを特徴とするウェアラブルデバイスの制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェアラブルデバイス、ウェアラブルデバイスの制御方法、およびウェアラブルデバイスの制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、人の見守りなどを目的としてウェアラブルデバイスが活用される機会が増えている。例えば、GPS(Global Positioning System)を備えたウェアラブルデバイスを見守り対象の人が着用することで、その人の位置を特定することができる。しかし、見守りたい人が、ウェアラブルデバイスを取り外してしまうと、位置が特定できないという問題が生じる。そこで、ウェアラブルデバイスに着脱検知機能を設けることが提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、GPSを用いた位置センサと、ユーザに装着されているか否かを検知する検知部を備えた装着端末が開示されている。この検知部は、加速度センサまたは温度センサを備えている。加速度センサを用いた場合は、加速度が大きい場合は装着していると判定し、加速度がゼロの場合は装着されていないと判定することができる。また温度センサを用いた場合は、例えば腕の温度を計測し、腕の温度が計測されていれば装着していると判定し、それ以外の温度であれば装着されていないと判定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-151995号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術では、誤検知が発生する恐れがあるという問題がある。例えばユーザ(見守り対象者)が静止している場合は、装着端末の加速度がゼロになり、装着していないと判定する誤りが生じる。また温度センサを用いた場合は、例えば、気温や装着端末と接触している物体の温度が体温に近いと、装着端末が取り外されていても、装着していると誤って判定する可能性がある。
【0006】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、ウェアラブルデバイスが生体または生体に着用される装具に装着されているか否かを高い確度で判定できるウェアラブルデバイスを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
生体または生体に着用される装具に装着される基材と、前記基材に実装され、GPS信号を受信し、GPS信号を受信し、前記GPS信号の受信品質指標を取得する受信品質指標取得手段と、前記基材に実装され、前記生体または前記装具と、自身との位置関係に依存する信号を出力するセンサと、前記受信品質指標と前記センサの出力とを、前記受信品質指標と前記センサの出力とに基づいて前記ウェアラブルデバイスが前記生体または前記装具に装着されているか否かを判定する装着判定手段に送信する送信手段とを有する。
【0008】
また本発明のウェアラブルデバイスの制御方法は、生体または生体に着用される装具に装着されたウェアラブルデバイスで、GPS信号を受信し、前記GPS信号の受信品質指標を取得し、前記生体または前記装具と、自身との位置関係に依存する信号をセンサから出力し、前記受信品質指標と前記センサの出力とを、前記受信品質指標と前記センサの出力とに基づいて前記ウェアラブルデバイスが前記生体または前記装具に装着されているか否かを判定する装着判定手段に送信する。
【0009】
また、本発明のウェアラブルデバイスの制御プログラムは、生体または生体に着用される装具に装着されたウェアラブルデバイスに、GPS信号を受信する処理と、前記GPS信号の受信品質指標を取得する処理と、前記生体または前記装具と、自身との位置関係に依存する信号を出力するセンサから出力を取得する処理と、前記受信品質指標と前記センサの出力とを、前記受信品質指標と前記センサの出力とに基づいて前記ウェアラブルデバイスが前記生体または前記装具に装着されているか否かを判定する装着判定手段に送信する処理とを実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の効果は、ウェアラブルデバイスが生体または生体に着用される装具に装着されているか否かを高い確度で判定できるウェアラブルデバイスを提供できることである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1の実施形態のウェアラブルデバイスを示すブロック図である。
図2】第2の実施形態のウェアラブルデバイスを示す平面図である。
図3】第2の実施形態のウェアラブルデバイスの変形例を示す平面図である。
図4】第2の実施形態のウェアラブルデバイスの装着状態を示す斜視図である。
図5】第2の実施形態のウェアラブルデバイスの装着状態を示す断面図である。
図6】第2の実施形態のウェアラブルデバイスを取り外す状態を示す断面図である。
図7】第2の実施形態のウェアラブルデバイスを取り外した状態を示す断面図である。
図8】第3の実施形態のウェアラブルデバイスの一例を示す平面図である。
図9】第3の実施形態のウェアラブルデバイスの装着状態を示す断面図である。
図10】第3の実施形態のウェアラブルデバイスの非装着状態を示す断面図である。
図11】第4の実施形態のウェアラブルデバイスの装着状態を示す側面図である。
図12】第4の実施形態のウェアラブルデバイスを取外す動作を示す側面図である。
図13】第4の実施形態のウェアラブルデバイスの非装着状態を示す側面図である。
図14】第4の実施形態のウェアラブルデバイスの変形例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を詳細に説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい限定がされているが、発明の範囲を以下に限定するものではない。なお各図面の同様の構成要素には同じ番号を付し、説明を省略する場合がある。
【0013】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態のウェアラブルデバイス10を示すブロック図である。ウェアラブルデバイス10は、基材1と、基材に実装されたGPS受信品質指標取得手段2と、センサ3と、送信手段4とを有する。
【0014】
基材1は、ウェアラブルデバイス10を、生体または生体に着用される装具20に装着するための部材である。GPS受信品質指標取得手段2は、GPS信号を受信し、GPS信号の受信品質指標を取得する。受信品質指標としては、例えば、CNR(Carrier-to-noise Ratio、搬送波対雑音比)や、SNR(Signal-to-Noise ratio、信号対雑音比)を用いることができる。CNRはキャリアの電力をC、受信雑音の電力をNとすると、CNR=C/Nで表される。SNRは信号の電力をS、受信雑音の電力をNとすると、SNR=S/Nで表される。CNR、SNRともに、大きいほど品質が良いことを表す。
【0015】
センサ3は、生体または生体に着用される装具20と、センサ3との位置関係に依存する信号を出力する。センサ3には、例えば、生体に近いと出力が小さくなる、あるいは出力が大きくなる、あるいは信号の対雑音比が変化するなど、生体との距離に応じて出力が変化するものを用いる。
【0016】
送信手段4は、受信品質指標とセンサ3の出力とを、受信品質指標とセンサ3の出力とに基づいて、ウェアラブルデバイス10が生体または生体に着用される装具20に装着されているか否かを判定する装着判定手段5に送信する。
【0017】
ウェアラブルデバイス10が、生体または生体に着用される装具20に装着されている場合には、生体がGPS信号の受信の妨げとなるため、受信品質指標が悪化する。反対に、ウェアラブルデバイス10が、生体または生体に着用される装具20に装着されていない場合には、GPS信号の受信状態が良くなるため、受信品質指標が改善する。このため、受信品質指標について、所定の閾値を設けて、受信品質指標が所定の閾値より良好であれば、ウェアラブルデバイス10は、生体に装着されていないと判定することができる。
【0018】
一方で、受信品質指標は、生体に装着される以外の要因、例えば建物の中に入る、地下に入るなどの要因でも悪化することがある。このため受信品質指標が悪化したことをもって、装着したと判定すると、誤判定する可能性がある。
【0019】
センサ3の出力は、生体または生体に着用される装具20と、センサ3との位置関係に依存して、出力が変化する。この出力について第2の閾値を設けて、出力を第2の閾値と比較することで、ウェアラブルデバイス10が、生体または生体に着用される装具20に装着されているか、取り外されているかを判定することができる。
【0020】
一方で、センサ3では、生体または生体に着用される装具20に装着されている場合と、取り外されている場合とで、出力が同じになる場合がある。この条件はセンサ3の種類によって異なるが、例えば、センサ3が温度センサの場合、外気温が生体の体温に近い場合や、ウェアラブルデバイス10が生体の体温に近い物体に接触している場合は、実際には非装着なのに装着と判定する可能性がある。
【0021】
そこで、本実施形態の装着判定手段5は、GPS信号の受信品質指標と、センサ3の出力の両方に基づいて、装着と非装着とを判定する。変動要因の異なる複数の指標に基づいて装着、非装着の判定を行うことで誤判定の確率を下げることができる。
【0022】
以上、説明したように、本実施形態では、GPS信号の受信品質指標とセンサの出力の両方に基づいて、ウェアラブルデバイスが、生体または生体に着用される装具に装着されているか否かを判定する。このため、特許文献1のようにセンサの出力だけで、装着されているか否かを判定する方法に比べて、確度の高い判定を行うことができる。
【0023】
(第2の実施形態)
第1の実施形態のウェアラブルデバイスを、生体に装着するために、ウェアラブルデバイスは様々な形態をとることができる。本実施形態では、基材にリストバンドを用いる具体例について説明する。
【0024】
図2は、リストバンド110を基材として、リストバンド110に、GPS信号受信部120、センサ130、データ送信部140を実装したウェアラブルデバイス100を示す平面図である。リストバンド110は第1の実施形態の基材1の一例であり、GPS信号受信部120はGPS受信品質指標取得手段2の一例、センサ130はセンサ3の一例、データ送信部140は送信手段4の一例である。また、装着判定サーバ200は装着判定手段5の一例である。リストバンド110の両端部にはそれぞれ面ファスナー111、面ファスナー112が配置されている。面ファスナー111と面ファスナー112は、リストバンド110を腕に巻いたときに、互いに接着してリストバンド110を腕に固定する。
【0025】
GPS信号受信部120は、GPS信号を受信し、GPS信号の受信品質指標を取得する。受信品質指標には、例えば、CNRやSNRを用いることができる。なお、説明を簡潔にするため、以降の説明ではCNRで代表させるものとする。GPS受信部120は、位置情報を算出する機能を備えていても良い。GPS信号受信部120は、例えば、上記の機能を備えた集積回路とすることができる。
【0026】
センサ130は、生体(ここでは腕)とセンサ130自身との位置関係に依存する信号を出力する。センサ130は、例えば、生体に近いと出力が小さくなる、あるいは出力が大きくなる、あるいは信号の対雑音比が変化するなど、生体との距離に応じて出力が変化するものを用いる。具体的なセンサの例については後述する。
【0027】
データ送信部140は、GPS信号受信部120が取得したCNRと、センサ130の出力とを、装着判定サーバ200に送信する。装着判定サーバ200は、プロセッサやメモリ等を有するコンピュータであり、CNRとセンサ130の出力とに基づいて、ウェアラブルデバイス100が生体または生体に着用される装具に装着されているか否かを判定する。装着判定サーバ200は、ウェアラブルデバイス100から位置情報を受信するか、ウェアラブルデバイス100からGPSデータを受信して、ウェアラブルデバイス100の位置を特定する機能を持っていても良い。
【0028】
また、図2の例では、装着判定サーバ200がウェアラブルデバイス100の外にあり、データ送信部140が、データを装着判定サーバ200に送信する例を示したが、装着判定機能をチップ化して、ウェアラブルデバイス100に実装しても良い。図3は、チップ化した装着判定部150をリストバンド110に実装した例を示すウェアラブルデバイス100aを示す平面図である。以上の説明から、明らかなように、装着判定機能が外部のサーバにあっても、ウェアラブルデバイス100に実装されたチップにあっても、装着判定システムとしての機能は同じである。このため、特に断らない限り、以降の説明ではチップ化した装着判定部を用いる説明で、両者を代表させるものとする。
【0029】
図4は、リストバンド型のウェアラブルデバイス100aを腕300に装着した例を示す斜視図である。また、図5は、ウェアラブルデバイス100aを腕300に装着した状態を示す断面図である。図5に示すように、センサ130のセンサ面130aが腕300に対向するように、リストバンド110を腕に巻き付けて、図示しない面ファスナー111と112を用いてウェアラブルデバイス100aを腕300に固定している。
【0030】
図6は、ウェアラブルデバイス100aを腕300から取り外す途中の状態を示す断面図である。この状態では、センサ130のセンサ面130aが腕300から離れている。
【0031】
図7は、ウェアラブルデバイス100aが腕300から完全に離れた状態を示す断面図である。
【0032】
センサ130には、図5のウェアラブルデバイス100aが腕300に装着された状態と、ウェアラブルデバイス100aが腕300から離れた図6の状態または図7の状態との間で出力が大きく変化するものを用いることができる。以下、具体例を用いて、ウェアラブルデバイス100aの装着判定動作について説明する。
【0033】
(具体例1)
具体例1のウェアラブルデバイス100aは、センサ130として照度センサを用いる。なお、ここでは照度センサと称するが、イメージセンサ、輝度センサなど、受光量に応じた信号を出力する光学センサ全般を指すものとする。センサ130として、照度センサを用いる場合は、図5に示すように、センサ130のセンサ面130aが腕300に対向するように装着する。なお、図5では、センサ面130aが腕300に密着しているように描かれているが、照度センサの場合はセンサ面130aと腕300の間に隙間があっても良い。
【0034】
このようにすると、ウェアラブルデバイス100aが腕に装着されている場合には、照度センサの受光面(センサ面130a)が腕300に対向し、その上をリストバンド110が覆った形になる。このため照度センサのセンサ面には外光(自然光)がほとんど入射せず、照度センサの出力は極めて小さくなる。また、腕300が受信の妨げとなるため、GPS信号受信部120が取得するCNRは小さくなる。
【0035】
一方、図6または図7の状態では、照度センサのセンサ面130aに光が入射し、出力が増大する。またGPS信号受信部120はGPS信号が受信しやすくなるため、CNRが増大する。
【0036】
以上のような動作から、センサ出力とCNRにそれぞれ閾値を設定して、例えば、センサ出力とCNRの両方が閾値未満である時を装着、センサ出力とCNRの両方が閾値以上の時に取り外し状態と判定することができる。
【0037】
(具体例2)
具体例2のウェアラブルデバイス100aは、センサ130として温度センサを用いる。この場合は、図5に示すように、センサ130の温度計測部が腕300に接触するように装着する。このようにすると、ウェアラブルデバイス100aが腕に装着されている場合には、温度センサの出力が体温に近く、GPS信号のCNRは小さくなる。一方ウェアラブルデバイス100aが取り外されている時には、温度センサの出力が通常の体温と違う範囲にある場合が多くなり、GPS信号のCNRが大きくなる。
【0038】
既述の通り温度センサの出力は、環境温度が生体の体温に近い場合は、非装着状態でも装着状態と同じ出力になる。また、CNRは、非装着状態であっても、GPS信号の受信しにくい環境では低下する場合がある。このため、温度センサの出力とCNRとを組み合わせて、装着、非装着を判定することで、それぞれを単独で用いた場合に発生する誤判定の発生確率を下げることができる。
【0039】
例えば、実際にはウェアラブルデバイス100aが非装着で、温度センサの出力が所定の範囲内で、CNRが閾値以上の場合、温度センサ単独では装着と誤判定されるが、CNRが閾値以上であるため、非装着であることを特定できる。また、実際にはウェアラブルデバイス100aが非装着で、温度センサの出力が所定の範囲外で、CNRが閾値未満である場合、CNR単独では装着と誤判定されるが、温度センサの出力が範囲外であるため、非装着であることを特定できる。ただし、誤判定を完全に防ぐことは出来ない。例えば、実際にはウェアラブルデバイス100aが非装着で、ウェアラブルデバイス100aが地下にあり、環境温度が体温に近い場合、温度センサの出力が所定の範囲内で、CNRが閾値未満であるため、装着と誤判定される。しかしながら、上記したように、温度センサ、CNRを組み合わせることで、それぞれを単独で使用した場合よりも誤判定の確率を下げることができる。
【0040】
(具体例3)
具体例3のウェアラブルデバイス100aは、センサ130として湿度センサを用いる。この場合は、図5に示すように、センサ130の湿度計測部が腕300に対向するように装着する。このようにすると、ウェアラブルデバイス100aが腕に装着されている場合には、湿度センサが出力する湿度が高く、GPS信号のCNRは小さくなる。一方ウェアラブルデバイス100aが取り外されている時には、湿度センサの出力が低くなる場合が多くなり、GPS信号のCNRが大きくなる。
【0041】
しかしながら、湿度の場合は、環境の湿度が100%となる場合もあるため、湿度センサ単独で装着、非装着を判定すると誤判定が発生しやすいが、補助的な位置づけとして利用することができる。例えば、CNRが閾値未満の場合に、湿度センサの出力が閾値以上であれば、装着している可能性が高いと判定できる。
【0042】
(具体例4)
具体例4のウェアラブルデバイス100aは、センサ130として加速度センサまたはジャイロセンサを用いる。この場合は、加速度センサ、ジャイロセンサは、腕側、外側どちらに向いていても良い。加速度センサまたはジャイロセンサを用いると、その出力から、腕の動作を推定することができる。推定した動作が生体の通常の動作に合致している場合には、ウェアラブルデバイス100aが装着されている可能性が高く、通常の動作からかけ離れている、あるいは静止している場合には、取り外されている可能性が高くなる。この情報と、GPS信号のCNRを組み合わせることにより、ウェアラブルデバイス100aの装着、非装着を確度良く判定することができる。
【0043】
(具体例5)
具体例6のウェアラブルデバイス100aは、センサ130として音センサを用いる。この場合は、図5に示すように、センサ130の音計測部が腕300に対向するように装着する。このようにすると、ウェアラブルデバイス100aが腕に装着されている場合には、音センサの出力が小さく、GPS信号のCNRは小さくなる。一方ウェアラブルデバイス100aが取り外されている時には、音センサの出力が大きくなる場合が多くなり、GPS信号のCNRが大きくなる。このため、音センサの出力とCNRとに基づいて、ウェアラブルデバイス100aの装着、非装着を確度良く判定することができる。
【0044】
以上説明したように、本実施形態によれば、リストバンド型のウェアラブルデバイスを用い、GPS信号のCNRと各種のセンサの出力とを組み合わせて、ウェアラブルデバイスの装着、非装着を確度良く判定することができる。
【0045】
(第3の実施形態)
本実施形態では、基材がパッチ型のウェアラブルデバイスについて説明する。図8は、基材411と粘着層412を有するパッチ410にGPS信号受信部420と、照度センサ430と、装着判定部450とを実装したウェアラブルデバイス400を示す平面図である。図8の例では、センサとして、照度センサ430を用いている。照度センサ430は基材411に設けられた透光部431の基材411側に配置されている。
【0046】
図9は、ウェアラブルデバイス400を生体310に装着した例を示す断面図である。ウェアラブルデバイス400は、照度センサ430の受光面430aが生体310に対向するように、粘着剤412によって、生体310に固定されている。この状態では、照度センサ430の受光面430aが生体310に対向し、周りを基材411で囲まれているため、受光面430aには、ほとんど光が入射しない。このため照度センサ430の出力が小さくなる。また、生体310がGPS信号の受信の妨げとなるため、GPS信号受信部420が出力するCNRが小さくなる。
【0047】
図10は、ウェアラブルデバイス400が生体310から取り外された状態を模式的に示す断面図である。照度センサ430の出力が大きく、GPS信号受信部420が出力するCNRが大きくなる。
【0048】
なお、上記ではセンサに照度センサを用いる例について説明したが、第2の実施形態と同様に、温度センサ、湿度センサ、加速度センサ、ジャイロセンサ、音センサを用いることも可能である。
【0049】
以上説明したように、本実施形態によれば、パッチ型のウェアラブルデバイスにおいても、ウェアラブルデバイスの生体への装着、非装着を確度よく判定することができる。
【0050】
(第4の実施形態)
本実施形態では、基材が靴のインソール(中敷き)であるインソール型のウェアラブルデバイスについて説明する。図11は、インソール510にGPS信号受信部520と、照度センサ530と、装着判定部550とを実装したウェアラブルデバイス500を示す側面図である。照度センサ530は靴320の底面に受光面が向くように配置されている。また照度センサの受光面の上方(靴320の底面側)は、透光部531となっている。透光部531は何もない開口部であっても良い。
【0051】
図11のように、ウェアラブルデバイス500が、靴320の底面に装着されている場合には、照度センサの受光面が靴320の底面に向いており、周りをインソール510に囲まれているため、受光面には外からの光がほとんど入射しない。このため、照度センサ530の出力が小さくなる。またGPS信号受信部520が出力するCNRは、ユーザが靴320を履いている場合は小さく、靴320を脱いでいる場合は大きくなる。
【0052】
図12は、ウェアラブルデバイス500を指330で、靴320の外に取り出す途中を示す側面図である。図12のように、ウェアラブルデバイス500が靴320の外に移動する時には、移動につれて、照度センサの受光面に入射する光が増えていく。このため、照度センサ530の出力は増加する。またユーザの足がGPS信号受信部520から離れているため、CNRは大きくなっている。
【0053】
図13は、ウェアラブルデバイス500が、靴320の外に完全に取り出された状態を模式的に示す側面図である。この場合は、照度センサ530の受光面には外光が入射しているため出力が大きくなる。また足がGPS信号受信部520から離れているため、GPS信号受信部520が出力するCNRが大きくなる。この現象に基づいて、ウェアラブルデバイス500が、生体が装着する装具としての靴320の底面に装着されているか、取り出されているかを確度よく判定することができる。
【0054】
上記の説明では、靴320が、生体(ユーザ)に装着されていない場合について説明したが、靴320の場合には、ユーザが靴320を履いている場合、脱いでいる場合がある。ユーザが靴320を履いている場合には、靴320を履いていない場合に比べて、GPS信号のCNRが著しく小さくなる。一方で、照度センサ530の出力はあまり変わらない。
【0055】
以上のような関係から、ウェアラブルデバイス500が靴320に装着され、ユーザが靴320を履いている状態と、ウェアラブルデバイス500が靴320に装着され、ユーザが靴320を脱いでいる状態とを確度よく識別することができる。また、ユーザが靴320を脱いでいる場合に、ウェアラブルデバイス500が靴320に装着されている場合と、ウェアラブルデバイス500が靴320から取り外された状態とを確度よく識別することができる。
【0056】
例えば、CNRが閾値未満で、照度センサ530の出力が閾値未満の場合は装着と判定される。また、CNRが閾値以上で、照度センサ530の出力が閾値未満の場合は、ユーザが靴320を脱いでいて、ウェアラブルデバイス500が靴320に装着されていると判定される。ユーザが靴320を脱いでいるシーンとしては、例えば、ユーザが土足禁止の室内にいる場合が、これは異常ではない。
【0057】
また、例えば、CNRが閾値以上で、照度センサ530の出力が閾値以上の場合は、ユーザが靴320を脱いでいて、ウェアラブルデバイス500が靴320から取り外されていると判定される。これに相当するシーンとしては、例えば、ユーザが自身の居場所を隠すために、ウェアラブルデバイス500を靴320から取り外していることが考えられる。これは、ユーザを見守る側の人からすれば異常行動である。見守る側の人は、この異常行動を検出して、必要な処置を取ることができる。
【0058】
なお、以上の説明では、センサに照度センサ530を用いる場合について説明したが、センサには、温度センサ、湿度センサなども用いることができる。これらのセンサは、生体(ユーザの足)からの情報を得るものである。このため、これらのセンサを用いる場合には、図14に示すウェアラブルデバイス501のように、センサ532が足の裏に対向するように、センサ532をインソール510に配置すると良い。
【0059】
以上説明したように、本実施形態によれば、インソール型のウェアラブルデバイスにおいて、ウェアラブルデバイスの生体への装着、非装着を確度よく判定することができる。また、ウェアラブルデバイスが靴に装着されているか、取り外されているかを確度よく判定することができる。
【0060】
上述した第1乃至第4の実施形態の処理を、コンピュータに実行させるプログラムおよび該プログラムを格納した記録媒体も本発明の範囲に含む。記録媒体としては、例えば、磁気ディスク、磁気テープ、光ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリ、などを用いることができる。
【0061】
以上、上述した実施形態を模範的な例として本発明を説明した。しかしながら、本発明は、上記実施形態には限定されない。即ち、本発明は、本発明のスコープ内において、当業者が理解し得る様々な態様を適用することができる。
【符号の説明】
【0062】
1 基材
2 GPS受信品質指標取得手段
3 センサ
4 送信手段
5 装着判定手段
10、100、400、500 ウェアラブルデバイス
110 リストバンド
120 GPS信号受信部
130 センサ
140 データ送信部
150 装着判定部
200 装着判定サーバ
300 腕
310 生体
320 靴
330 指
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14