(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】露光装置及び画像形成装置並びに受光装置及び読取装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/447 20060101AFI20241217BHJP
B41J 2/45 20060101ALI20241217BHJP
G03G 15/04 20060101ALI20241217BHJP
H04N 1/036 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
B41J2/447 101A
B41J2/45
G03G15/04
H04N1/036
(21)【出願番号】P 2021008991
(22)【出願日】2021-01-22
【審査請求日】2023-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174104
【氏名又は名称】奥田 康一
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 徹哉
(72)【発明者】
【氏名】冬野 聡
【審査官】大関 朋子
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-119374(JP,A)
【文献】特開2003-039728(JP,A)
【文献】特開2016-192301(JP,A)
【文献】特開2020-185710(JP,A)
【文献】特開平08-088409(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/447
B41J 2/45
G03G 15/04
H04N 1/036
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、配線パターンが形成される第1の導電層と、前記第1の導電層を挟んで前記基材の反対側に配置される第1の表面層とを有し、複数の発光素子が設けられた基板と、
前記発光素子から発光される光を収束するレンズユニットと、
前記基板及び前記レンズユニットを保持するホルダと
を有し、
前記基板は、前記第1の表面層に塗布された接着剤によって前記ホルダに固定され、前記接着剤の塗布領域外に前記第1の導電層が形成されて
おり、前記接着剤が塗布された前記第1の表面層の前記塗布領域と前記基材との間において、前記第1の導電層が形成されない導電層非形成領域を有し、
前記ホルダは、
前記基板の長手方向に沿う内壁面に、前記基板の短手方向両端部の端面に向かって突出し、前記接着剤が塗布される突起部が形成され、
前記導電層非形成領域は、前記突起部と前記長手方向の位置が同じである
ことを特徴とする露光装置。
【請求項2】
基材と、配線パターンが形成される第1の導電層と、前記第1の導電層を挟んで前記基材の反対側に配置される第1の表面層とを有し、複数の発光素子が設けられた基板と、
前記発光素子から発光される光を収束するレンズユニットと、
前記基板及び前記レンズユニットを保持するホルダと
を有し、
前記基板は、前記第1の表面層に塗布された接着剤のみによって前記ホルダに固定され、前記接着剤の塗布領域外に前記第1の導電層が形成されており、前記接着剤が塗布された前記第1の表面層の前記塗布領域と前記基材との間において、前記第1の導電層が形成されない導電層非形成領域を有する
ことを特徴とする露光装置。
【請求項3】
請求項1
又は請求項
2の露光装置を
有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
基材と、配線パターンが形成される第1の導電層と、前記第1の導電層を挟んで前記基材の反対側に配置される第1の表面層とを有し、複数の受光素子が設けられた基板と、
前記受光素子に放射される光を収束するレンズユニットと、
前記基板及び前記レンズユニットを保持するホルダと
を有し、
前記基板は、前記第1の表面層に塗布された接着剤によって前記ホルダに固定され、前記接着剤の塗布領域外に前記第1の導電層が形成されて
おり、前記接着剤が塗布された前記第1の表面層の前記塗布領域と前記基材との間において、前記第1の導電層が形成されない導電層非形成領域を有し、
前記ホルダは、
前記基板の長手方向に沿う内壁面に、前記基板の短手方向両端部の端面に向かって突出し、前記接着剤が塗布される突起部が形成され、
前記導電層非形成領域は、前記突起部と前記長手方向の位置が同じである
ことを特徴とする受光装置。
【請求項5】
基材と、配線パターンが形成される第1の導電層と、前記第1の導電層を挟んで前記基材の反対側に配置される第1の表面層とを有し、複数の受光素子が設けられた基板と、
前記受光素子に放射される光を収束するレンズユニットと、
前記基板及び前記レンズユニットを保持するホルダと
を有し、
前記基板は、前記第1の表面層に塗布された接着剤のみによって前記ホルダに固定され、前記接着剤の塗布領域外に前記第1の導電層が形成されており、前記接着剤が塗布された前記第1の表面層の前記塗布領域と前記基材との間において、前記第1の導電層が形成されない導電層非形成領域を有する
ことを特徴とする受光装置。
【請求項6】
請求項4又は請求項5の受光装置を有することを特徴とする読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は露光装置及び画像形成装置並びに受光装置及び読取装置に関し、例えば電子写真式の画像形成装置に搭載される露光装置に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置としては、露光用の光を発光する露光装置から、感光体ドラムの表面に光を照射して感光体ドラムの表面に静電潜像を形成し、さらにその静電潜像にトナーを付着させてトナー画像を現像することにより、画像の印刷を行うものが広く普及している。この露光装置としては、例えば発光素子であるLED(Light Emitting Diode)から出射される光を利用するLEDヘッドがある。
【0003】
LEDヘッドは、例えば、複数のLEDが直線状に配置されたLEDアレイが実装された基板と、各LEDから出射される光をそれぞれ集光させる複数のレンズが整列されたレンズユニットと、基板及びレンズユニットを保持するホルダとを有するものがある。そして、基板に搭載されたLEDアレイから放射された光がレンズユニットを通過し収束され、そのレンズユニットの結像位置に配設された感光体ドラムの表面に露光することにより、静電潜像が形成される。そのようなLEDヘッドにおいては、基板がホルダに接着剤で直接接着されることにより、部品点数を削減するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような露光装置や受光装置等の光学装置においては、組み立てをより簡単にすることが望まれている。
【0006】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、組み立てをより簡単にし得る露光装置及び画像形成装置並びに受光装置及び読取装置を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を解決するため本発明の露光装置においては、基材と、配線パターンが形成される第1の導電層と、第1の導電層を挟んで基材の反対側に配置される第1の表面層とを有し、複数の発光素子が設けられた基板と、発光素子から発光される光を収束するレンズユニットと、基板及びレンズユニットを保持するホルダとを設け、基板は、第1の表面層に塗布された接着剤によってホルダに固定され、接着剤の塗布領域外に第1の導電層が形成されており、接着剤が塗布された第1の表面層の塗布領域と基材との間において、第1の導電層が形成されない導電層非形成領域を有し、ホルダは、基板の長手方向に沿う内壁面に、基板の短手方向両端部の端面に向かって突出し、接着剤が塗布される突起部が形成され、導電層非形成領域は、突起部と長手方向の位置が同じであるようにした。
【0008】
また本発明の画像形成装置においては、上述した露光装置を設けるようにした。
【0009】
さらに本発明の受光装置においては、基材と、配線パターンが形成される第1の導電層と、第1の導電層を挟んで基材の反対側に配置される第1の表面層とを有し、複数の受光素子が設けられた基板と、受光素子に放射される光を収束するレンズユニットと、 基板及びレンズユニットを保持するホルダとを設け、基板は、第1の表面層に塗布された接着剤によってホルダに固定され、接着剤の塗布領域外に第1の導電層が形成されており、接着剤が塗布された第1の表面層の塗布領域と基材との間において、第1の導電層が形成されない導電層非形成領域を有し、ホルダは、基板の長手方向に沿う内壁面に、基板の短手方向両端部の端面に向かって突出し、接着剤が塗布される突起部が形成され、導電層非形成領域は、突起部と長手方向の位置が同じであるようにした。
【0010】
さらに本発明の読取装置においては、上述した受光装置を設けるようにした。
【0011】
本発明は、製造工程での修復作業において基板がホルダから取り外される際に第1の導電層が傷つかないようにできると共に、製造工程において基板がホルダに接着される際に接着剤が塗布される場所を認識させやすくできる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、組み立てをより簡単にし得る露光装置及び画像形成装置並びに受光装置及び読取装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1の実施の形態によるカラープリンタの構成を示す左側面図である。
【
図2】LEDヘッドの構成(1)を示す斜視図である。
【
図3】LEDヘッドの構成(2)を示し、
図2におけるX-X矢視断面図である。
【
図4】LEDヘッドの構成(3)を示し、
図3におけるAの拡大図である。
【
図5】LEDヘッドの構成(4)を示す平面図である。
【
図8】第2の実施の形態によるスキャナの構成を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
【0015】
[1.第1の実施の形態]
[1-1.カラープリンタの構成]
図1に左側面図を示すように、カラープリンタ1は、カラー用電子写真式プリンタであり、例えばA3サイズやA4サイズ等の大きさでなる用紙に対し、所望のカラー画像を印刷する。カラープリンタ1は、略箱型に形成されたプリンタ筐体2の内部に種々の部品が配置されている。因みに以下では、
図1における右端部分をカラープリンタ1の正面とし、この正面と対峙して見た場合の上下方向、左右方向及び前後方向をそれぞれ定義した上で説明する。カラープリンタ1は、制御部(図示せず)により全体を統括制御する。この制御部は、図示しない通信処理部を介して、パーソナルコンピュータのような上位装置(図示せず)と無線又は有線により接続されている。制御部は、上位装置から印刷対象のカラー画像を表す画像データが与えられると共に該カラー画像の印刷が指示されると、用紙の表面に印刷画像を形成する印刷処理を実行する。
【0016】
プリンタ筐体2内の最下部には、用紙を収容する用紙収容カセット3が設けられている。ピックアップローラ5は、用紙収容カセット3の前端上側に位置しており、用紙収容カセット3内から用紙を引き出す。給紙ローラ6及び分離ローラ7は、ピックアップローラ5の前方において接触した状態で対に配設されており、例えば、用紙が複数同時に引き出された場合に、一枚ずつこの用紙をその下流に位置する搬送ローラ対8へ向けて搬送部4に順次繰り出す。搬送部4は、上流から下流へ向けて順に配置された搬送ローラ対8及び9を有している。搬送ローラ対8及び9は、給紙ローラ6及び分離ローラ7から繰り出された用紙を挟持して搬送すると共に、その際に用紙の斜行を修正し転写ベルト10へ向けて搬送方向に沿って搬送する。
【0017】
プリンタ筐体2内における用紙収容カセット3の上方には、該プリンタ筐体2内を前後に大きく横切る転写ベルト10が設けられている。転写ベルト10は、中心軸を左右方向に向け前後に1個ずつ配置されたローラを周回するように張架されている。転写ベルト10は、左右方向の幅が広く、且つ無端状のベルトとして形成されており、ローラの回転に伴って走行することにより、搬送ローラ対9から受け渡された用紙を上面に載せて後方向へ搬送する。
【0018】
一方、転写ベルト10の上側、すなわちプリンタ筐体2における中央よりも上寄りには、4個の画像形成ユニット12C、12M、12Y及び12K(以下、これらをまとめて画像形成ユニット12と呼ぶ)が後側から前側へ向かって順に配置されている。すなわち各色の画像形成ユニット12は、いわゆるタンデム方式で配置されている。この画像形成ユニット12C、12M、12Y及び12Kは、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)及びブラック(K)の各色にそれぞれ対応している。また画像形成ユニット12C、12M、12Y及び12Kは、互いに同様に構成されており、対応するトナーの色のみがそれぞれ相違する。画像形成ユニット12は、用紙の左右幅に対応するべく、左右方向に比較的長い略箱状に形成されている。
【0019】
またプリンタ筐体2内には、各画像形成ユニット12C、12M、12Y及び12Kとそれぞれ対応するように、LEDヘッド16C、16M、16Y及び16K(以下、これらをまとめてLEDヘッド16と呼ぶ)が設けられている。このLEDヘッド16は、左右方向に細長い直方体状に構成されると共に、その内部に複数のLEDが左右方向に沿って並ぶように配置されており、制御部から供給される画像データに応じた発光パターンで各LEDを発光させる。画像形成ユニット12は、プリンタ筐体2に装着された際、このLEDヘッド16と極めて近接するようになっており、該LEDヘッド16からの光により露光処理が行われる。
【0020】
また各画像形成ユニット12C、12M、12Y及び12Kは、それぞれ上方にトナーカートリッジ18C、18M、18Y及び18K(以下、これらをまとめてトナーカートリッジ18と呼ぶ)が接続されている。トナーカートリッジ18は、左右方向に長い中空の容器であり、粉末状でなる各色のトナーがそれぞれ収容されると共に、所定の撹拌機構が組み込まれている。各画像形成ユニット12の真下となる4箇所には、それぞれ転写ローラ13C、13M、13Y及び13K(以下、これらをまとめて転写ローラ13と呼ぶ)が設けられている。すなわち各画像形成ユニット12は、各転写ローラ13との間に転写ベルト10の上側部分を挟んでいる。因みに転写ローラ13は、帯電し得るように構成されている。
【0021】
カラープリンタ1は、トナーカートリッジ18からトナーを画像形成ユニット12へ供給させる。これと共にカラープリンタ1は、上位装置(図示せず)から供給された画像データに応じた発光パターンを形成するようにLEDヘッド16を発光させる。これに応じて各画像形成ユニット12は、トナーカートリッジ18から供給されるトナーを用い、LEDヘッド16の発光パターンに応じたトナー画像を形成し、このトナー画像を用紙にそれぞれ転写する。これにより、転写ベルト10によって搬送されている用紙上には、画像データに応じた4色のトナー画像が順次転写されていく。
【0022】
転写ベルト10の後方、すなわちプリンタ筐体2の後端近傍における上下の中央近傍には、定着器ユニット20が設けられている。定着器ユニット20は、搬送部4の上側に配置され、内部にヒータを有し表面を弾性体で形成された加熱ローラと、搬送部4の下側に配置され、上側の表面を加熱ローラに押し付けた加圧ローラとのローラ対からなり、転写ベルト10から送り出された用紙上のトナー画像に熱と圧力を印加してトナー画像を用紙に定着させる。その後、用紙は、排出ローラ対21によって搬送され、やがてプリンタ筐体2の上面に形成された排出トレイ2Tへ排出される。
【0023】
さらに、転写ベルト10の下側、すなわちプリンタ筐体2における中央よりも下寄りには、両面搬送ユニット22が設けられている。両面搬送ユニット22は、用紙の表裏を反転させてから該用紙を搬送ローラ対8へ再度搬送する。
【0024】
[1-2.LEDヘッドの構成]
次に、LEDヘッド16の構成について説明する。
図2及び
図3に示すように、LEDヘッド16は、全体として左右方向に細長い直方体状に形成されており、ホルダ51に各種部品が取り付けられた構成となっている。
【0025】
[1-3.ホルダの構成]
図3、
図4及び
図5に示すようにホルダ51は、例えば板金プレス加工にて所定の肉厚を有するように作製されており、全体として、左右方向に沿って形成された内部空間であるホルダ内部空間51ISを有する中空の四角柱から反照射方向側の側面を取り除いたような形状となっており、その横断面が英大文字の「U」のような形状となっている。またホルダ51は、左右方向に細長く上下方向に薄い板状の底部51Bを中心に構成されている。さらにホルダ51は、底部51Bにおける前後両辺から該底部51Bに対し直交するように上方へ向けて、左右方向に細長く前後方向に薄い板状の側部51Wがそれぞれ互いに平行になるように延設されており、上端部において開放するホルダ開口部51Aが形成されている。底部51Bにおける前後方向のほぼ中央には、左右方向に細長いスリット状のレンズアレイ孔部51Hが上下方向に貫通するように穿設されている。
【0026】
前後一対の側部51Wにおけるホルダ内部空間51IS側の面、すなわち、前側の側部51Wにおける後面と、後側の側部51Wにおける前面とには、上下方向及び左右方向に沿って延びる平面であるホルダ内壁面51WSが形成されている。また側部51Wは、ホルダ内壁面51WSからホルダ内部空間51ISに向かって、すなわち、それぞれ前側の側部51Wのホルダ内壁面51WSから後側へ、後側の側部51Wのホルダ内壁面51WSから前側へ向かって、突起部51Pが突出している。突起部51Pは、全体として円錐台形状であり、基板55における前後方向の端面と対向する箇所に形成されている。また前側の側部51Wにおける突起部51Pと、後側の側部51Wにおける突起部51Pとは、左右方向の位置が一致するように一対で配置されている。LEDヘッド16は、
図5に示す接着剤基板塗布領域60S1(後述する)と同じ左右方向に位置にのみ、ホルダ51において突起部51Pが形成されている。
【0027】
さらに突起部51Pは、ホルダ内壁面51WSの右端部から左端部までに亘って左右方向に沿って所定間隔を空けて前後それぞれの側部51Wに複数対設けられており、前後左右方向に所定の長さを有している。この突起部51Pは、金型によるホルダ51の製造工程において、側部51Wの前後方向の外側面側からホルダ内部空間51IS側へ向かって、側部51Wが打ち出されるように押し出されることにより形成される。具体的に突起部51Pは、
図5に示す突起部内側面51PS(後述する)の直径が導電層非形成領域70(後述する)の前後方向の長さよりも僅かに小さくなっており、前後方向の高さが、ホルダ内壁面51WSと基板55の前後方向の端面との間隔の3分の1程度となっている。
【0028】
突起部51Pにおけるホルダ内部空間51IS側には、上下方向及び左右方向に沿って延びる円形状の平面であり、接着剤60が塗布される土台となる突起部内側面51PSが形成されている。突起部内側面51PSは、基板55における、上面である電子部品配置面55Aよりも反照射方向側から、下面であるLEDアレイ配置面55Bよりも照射方向側までに亘って形成されている。また突起部内側面51PSは、基板55における前後方向の端面との間に僅かな隙間を空けるように形成されている。この突起部内側面51PSには、接着剤60が塗布されている。
【0029】
接着剤60は、UV(Ultraviolet)光(紫外光)が照射されことにより硬化する紫外線硬化型接着剤である。またこの接着剤60は、強い接着力を有する強接着性の紫外線硬化型接着剤である。接着剤60は、表面張力により四分の一球に近い形状となっている。また接着剤60は、基板55の電子部品配置面55Aとホルダ51のホルダ内壁面51WSとの接着強度が確保できるサイズと量とが塗布される。具体的に接着剤60は、左右方向の長さが、突起部内側面51PSの直径以下となっており、上下方向の長さが、突起部内側面51PSの直径の半分以下となっている。このため接着剤60は、突起部内側面51PSの領域内に収まり、突起部内側面51PSから上下左右方向にはみ出ていない状態となっている。さらに接着剤60は、前後方向の長さが、突起部内側面51PSと基板55の前後方向の端面との間隔よりも広く、具体的には、塗布時の接着剤60の底面の前後方向の距離の1/2以上が基板55の電子部品配置面55A上に形成されるようになっている。このように基板55は、接着剤60のみによってホルダ51に固定されている。
【0030】
またレンズアレイ孔部51H(
図3)には、レンズアレイ53が挿入されて取り付けられている。これにより、レンズアレイ53はホルダ51に支持されている。レンズアレイ53は、全体として左右方向に細長い直方体状に形成されており、左右方向に沿って多数の微小なレンズを並べるように保持している。このレンズは、後述するLEDアレイ56から放射される光を収束させるような光学特性を有している。レンズアレイ53は、該レンズアレイ53において光が入射される端面である上面と、LEDアレイ56の表面である下面との入射距離が、レンズアレイ53の特性上最適な値になるような位置となるように、ホルダ51に固着されている。
【0031】
ホルダ51の底部51Bとレンズアレイ53との間隙には、接着剤62がこの隙間を埋めるように充填されている。接着剤62は、接着剤60と同様に紫外線硬化型接着剤である。これによりLEDヘッド16は、ホルダ51にレンズアレイ53を固定すると共に、ホルダ51とレンズアレイ53との間隙を封止し、ホルダ51の底部51B及び前後の側部51W並びに基板55の下面により囲まれた空間をほぼ密閉して、この空間への光及び異物の侵入を防止している。
【0032】
またホルダ51には、レンズアレイ53の上方に、接着剤60に当接されるようにして長手方向を左右方向に沿わせた、
図4、
図5、
図6及び
図7に示す基板55が取り付けられている。基板55は、いわゆるガラスエポキシ基板でなり、左右方向に細長く上下方向に薄い板状に形成され、所定の配線パターンが形成された導電層64(後述する)が上下方向に複数積層された構成となっている。
【0033】
[1-4.基板の構成]
[1-4-1.基板全体の構成]
基板55の下面であるLEDアレイ配置面55Bには、前後方向のほぼ中央において、レンズアレイ53と対向するようにLEDアレイ56が基板55の長手方向に沿って実装されている。このLEDアレイ56は、下方へ向けて光を発光する発光点が左右方向に沿って所定の微小間隔毎に並ぶように、複数個のLEDチップが左右方向に沿って配置されることにより構成されている。基板55の上面、すなわちLEDアレイ配置面55Bの裏面である電子部品配置面55Aには、LEDヘッド16を駆動する各種電子部品(図示せず)が実装されている。この基板55は、前後方向の長さがホルダ51における側部51W同士の間隔よりも短くなっている。
【0034】
基板55の電子部品配置面55Aとホルダ51のホルダ内壁面51WSとには、接着剤60が塗布されている。以下では、基板55の電子部品配置面55Aにおいて接着剤60が塗布されている領域を接着剤基板塗布領域60S1とも呼ぶ。またホルダ51のホルダ内壁面51WSにおいて接着剤60が塗布されている領域を接着剤ホルダ塗布領域60S2とも呼ぶ。
【0035】
図4に示すように、基板55は、反照射方向から照射方向に向かって、銅箔等の導電層64が、導電層64a、64b、64c及び64dの順番で積層されている。以下では、導電層64a、64b、64c及び64dをまとめて導電層64とも呼ぶ。
【0036】
導電層64aと導電層64bとの間には、該導電層64a及び該導電層64bと当接するように、基材層66aが配置されている。導電層64bと導電層64cとの間には、該導電層64b及び該導電層64cと当接するように、基材層66bが配置されている。導電層64cと導電層64dとの間には、該導電層64c及び該導電層64dと当接するように、基材層66cが配置されている。以下では、基材層66a、66b及び66cをまとめて、基材層66とも呼ぶ。すなわち、隣り合う導電層64同士の間には、基材層66が配置されている。
【0037】
導電層64aの反照射方向側の表面には、レジスト層68aが塗布されている。このレジスト層68aにおける反照射方向側の表面が、電子部品配置面55Aとなっている。導電層64dの照射方向側の表面には、レジスト層68bが塗布されている。このレジスト層68bにおける照射方向側の表面が、LEDアレイ配置面55Bとなっている。以下では、レジスト層68a及び68bをまとめてレジスト層68とも呼ぶ。
【0038】
このように導電層64aは、例えば4層である複数の導電層64のうち、LEDアレイ56から最も離隔した位置に配置されている。
【0039】
[1-4-2.導電層非形成領域の構成]
図5に示すように、導電層64aにおける前後両側の端部には、導電層64aが形成されていない(すなわち銅箔が配置されていない)導電層非形成領域70が設けられている。導電層非形成領域70は、導電層64aにおける前後両端部から前後方向の内側に向かって略半円形状に凹むような形状となっている。具体的に導電層非形成領域70は、例えば半径が1.5[mm]となっている。この導電層非形成領域70における左右方向の長さは、突起部内側面51PSにおける左右方向の長さ以上となっている。
【0040】
この導電層非形成領域70は、接着剤60の塗布領域となっており、該導電層非形成領域70の内側には、接着剤60における接着剤基板塗布領域60S1が収まっている。また接着剤基板塗布領域60S1における左右方向の中央部と、導電層非形成領域70における左右方向の中央部との左右方向の位置は、略同一となっている。このため導電層非形成領域70は、接着剤60を中心とした半円形状となっている。
【0041】
また基板55の厚さ方向に沿って見た際、接着剤60の接着剤基板塗布領域60S1の外形と、導電層非形成領域70の形状とは、ほぼ相似形となっていると共に、導電層非形成領域70は接着剤基板塗布領域60S1よりも大きくなっている。このため、接着剤基板塗布領域60S1と、導電層非形成領域70と導電層64aの銅箔との境界との間には、導電層64aが形成されていない隙間が存在している。
【0042】
このように基板55は、導電層64aにおいて、接着剤60が塗布される箇所のみ銅箔が除去された導電層非形成領域70が形成されている。すなわち基板55は、レジスト層68aに塗布された接着剤60によってホルダ51に固定され、接着剤60の接着剤基板塗布領域60S1外に導電層64aが形成されている。すなわち導電層64aは、レジスト層68aに直交する方向である-Z方向から見た際に、接着剤60の塗布領域外、すなわち、接着剤60が塗布される領域である接着剤基板塗布領域60S1とオーバーラップしない位置に設けられている。これを換言すれば基板55は、接着剤60が塗布されたレジスト層68aの接着剤基板塗布領域60S1と基材層66aとの間において、導電層64aが形成されない導電層非形成領域70を有している。
【0043】
さらに、
図7に示すように、基板55において左右方向に複数個並ぶ導電層非形成領域70のうち、右端部に配置された導電層非形成領域70の右端部から、左端部に配置された導電層非形成領域70の左端部までの、左右方向に沿った長さ、すなわち、基板55の長手方向に関し導電層非形成領域70が配置される領域(すなわち接着剤60が塗布される領域)の長さを、導電層非形成領域配置領域長さL1とする。また基板55においてLEDアレイ56の右端部から左端部までの左右方向に沿った長さ、すなわち、基板55の長手方向に関しLEDアレイ56が占める領域の長さを、LEDアレイ全長L2とする。基板55においては、導電層非形成領域配置領域長さL1がLEDアレイ全長L2以上、すなわち、基板55の長手方向に関し、導電層非形成領域70が配置される領域の範囲内に、LEDアレイ56が占める領域が収まるように設計されている。換言すれば、LEDヘッド16は、基板55の長手方向に関し、導電層非形成領域70が配置される領域が、LEDアレイ56が占める領域を包含するようにした。
【0044】
[1-4-3.スルーホール及び導電層配線パターンの構成]
図6に示すように導電層64aは、全体として、平面視で略長方形状であると共に、スルーホール74や導電層配線パターン72等が形成されている。このため導電層64aは、全体として、短手方向の両端部における大部分が、基板55の長手方向に沿った直線状になっている。スルーホール74は、複数個が形成されており、その一部は、導電層非形成領域70に対し基板55の短手方向の内側に隣接するよう形成されている。このスルーホール74は、導電層64aと導電層64b、64c又は64dとを接続している。導電層配線パターン72は、複数本が形成されており、その一部は、導電層非形成領域70に対し基板55の短手方向の内側に隣接し導電層非形成領域70の形状に沿うよう配設されている。
【0045】
このようにLEDヘッド16は、導電層非形成領域70を避けるように該導電層非形成領域70における基板55の短手方向の内側に隣接するようにスルーホール74を配置すると共に、導電層64aにおける基板55の短手方向の端部を基板55の長手方向に沿って配設された導電層配線パターン72を、導電層非形成領域70を避けるように、基板55の短手方向に迂回させるようにした。このためLEDヘッド16は、基板55における短手方向の両端部において、導電層64aが形成されていない導電層非形成領域70を形成できる。
【0046】
[1-5.LEDヘッドの製造時における基板の取り外しについて]
ここで、LEDヘッド16の製造工程において、ホルダ51に固定された基板55に不良が発生し、該基板55が修復されるためにホルダ51から取り外される作業について説明する。まず、ホルダ内壁面51WS(
図5)と基板55の前後方向端面との隙間に例えば超音波カッターの刃が挿入され、接着剤60が左右方向に沿って切断される。これにより、基板55がホルダ51から取り外される。続いて、基板55の導電層非形成領域70から、基板55に残留した接着剤60とレジスト層68aとの接点に超音波カッターの刃が挿入され、接着剤60が基板55から除去される。
【0047】
[1-6.動作及び効果等]
以上の構成においてLEDヘッド16は、基板55を接着剤60によって直接ホルダ51に固定し、導電層64aにおいて接着剤基板塗布領域60S1を避けるように、銅箔が形成されていない導電層非形成領域70を設け、該導電層非形成領域70に接着剤60が塗布されるようにした。すなわちLEDヘッド16は、接着剤60の接着剤基板塗布領域60S1外に導電層64aを形成するようにした。
【0048】
このためLEDヘッド16は、該LEDヘッド16の製造工程での修復作業において作業者が基板55をホルダ51から取り外す際に、基板55に付着した接着剤60を除去するために超音波カッターの刃を接着剤60に当てたとき、仮に超音波カッターの刃が接着剤60以外の箇所に接触しても、超音波カッターの刃が導電層64aの銅箔部分ではなく、導電層非形成領域70に接触するようにできる。これによりLEDヘッド16は、基板55に付着した接着剤60を除去する際に超音波カッターの刃が接着剤60以外の箇所に接触したとしても、超音波カッターの刃で導電層64aの導電層配線パターン72やスルーホール74等を傷つけてしまうことを抑止できる。かくしてLEDヘッド16は、導電層64aが外部に露出して基板55が再利用不可になってしまうことを抑止できる。
【0049】
またLEDヘッド16は、LEDヘッド16の製造工程での修復作業において、接着剤60を基板55から取り除きやすくし、ホルダ51からの基板55の取り外し作業を作業者に対し容易に行わせることができる。このためLEDヘッド16は、修復作業を容易にし、製造効率及び生産性を向上できる。
【0050】
さらに、LEDヘッド16の製造工程において、作業者が接着剤60を基板55及びホルダ51に塗布するためにホルダ開口部51Aに正対して状態で反照射方向側から基板55を見た際、レジスト層68aを透過した基材層66と、レジスト層68aを透過した導電層64aとは、基材層66と導電層64aとが互いに異なる素材であるため、目視で異なる色となる。このためLEDヘッド16は、接着剤60を塗布する箇所を作業者に認識させやすくし、基板55へのホルダ51の取り付け作業を作業者に対し容易に行わせることができる。このためLEDヘッド16は、組み立て作業を容易にし、製造効率及び生産性を向上できる。
【0051】
さらにLEDヘッド16は、導電層非形成領域70における左右方向の長さを突起部内側面51PSにおける左右方向の長さ以上とし、導電層非形成領域70の大きさを接着剤基板塗布領域60S1よりも大きくすることにより、接着剤基板塗布領域60S1と、導電層64aとの間に、導電層64aが形成されていない隙間を形成するようにした。このためLEDヘッド16は、接着剤60が塗布された状態で基板55の長手方向の位置が微調整されたとしても、接着剤60の接着剤基板塗布領域60S1が導電層非形成領域70からはみ出て導電層64aの銅箔の領域に入り込まないようにできる。
【0052】
さらにLEDヘッド16は、接着剤60の接着剤基板塗布領域60S1の外形と、導電層非形成領域70の形状とを、ほぼ相似形とした。このためLEDヘッド16は、接着剤基板塗布領域60S1と導電層64aとの間において導電層64aが形成されていない隙間を、接着剤基板塗布領域60S1の左端部から右端部までの全体に亘ってほぼ一定にできる。これによりLED16は、接着剤基板塗布領域60S1と導電層64aとの間隔を保ち、超音波カッターの刃で導電層64aが傷つかないようにしつつ、導電層64aの領域を可能な限り広く確保することができる。
【0053】
ここで仮に、突起部51Pを形成せず、突起部内側面51PSではなく、ホルダ内壁面51WSと基板55のレジスト層68aとに接着剤60を塗布する場合、ホルダ内壁面51WSの前後方向の位置を右端部から左端部までに亘って一定に保つことは困難である。このため、レンズアレイ53に対するLEDアレイ56の前後方向の位置を右端部から左端部までに亘って一定に保つことが困難になる。
【0054】
これに対しLEDヘッド16は、平面形状のホルダ内壁面51WSからホルダ内部空間51ISに向かって、突起部51Pを突出させ、該突起部51Pにおけるホルダ内部空間51IS側に形成された平面形状の突起部内側面51PSと、基板55におけるレジスト層68aとに、接着剤60を塗布するようにした。
【0055】
このためLEDヘッド16は、ホルダ内壁面51WSの前後方向の位置を右端部から左端部までに亘って一定に保たなくとも、複数の突起部内側面51PSの前後方向の位置を一定に保つだけで、レンズアレイ53に対するLEDアレイ56の前後方向の位置を基板55の長手方向の一端から他端までに亘って一定に保つことができ、製造効率を向上できる。
【0056】
さらにLEDヘッド16は、平面形状のホルダ内壁面51WSと基板55の前後方向の端面との間に適切なクリアランスを確保することができるため、接着剤60における接着剤ホルダ塗布領域60S2近傍に対する左右両外側に広い空隙を設けることができる。このためLEDヘッド16は、基板55がホルダ51から取り外される際に超音波カッターの刃をホルダ内壁面51WSと基板55の前後方向の端面との間に入れやすくさせることができる。
【0057】
さらにLEDヘッド16は、LEDアレイ56が搭載されているLEDアレイ配置面55Bとは反対側の面である電子部品配置面55Aに接着剤60が塗布され、基板55における複数の導電層64のうち最も接着剤60に近接する導電層64aにのみ導電層非形成領域70を形成するようにした。すなわちLEDヘッド16は、導電層64aにのみ導電層非形成領域70を形成し、導電層64b、64c及び64dには導電層非形成領域70を作成しないようにした。これによりLEDヘッド16は、導電層64a以外の導電層64b、64c及び64dにおける回路パターンの自由度を保つことができる。
【0058】
さらにLEDヘッド16は、基板55において、導電層非形成領域配置領域長さL1をLEDアレイ全長L2以上とする、すなわち、長手方向に関し、接着剤60が塗布される領域が占める範囲が、LEDアレイ56が占める領域を包含するようにした。このためLEDヘッド16は、基板55のうねりや反り等の変形をLEDアレイ56が占める領域の一端から他端までに亘って抑え、レンズアレイ53とLEDアレイ56とのZ方向の間隔を長手方向の一端から他端までに亘って一定に保つことができる。
【0059】
以上の構成によればカラープリンタ1のLEDヘッド16は、基材としての基材層66と、配線パターンとしての導電層配線パターン72が形成される第1の導電層としての導電層64aと、導電層64aを挟んで基材層66aの反対側に配置される第1の表面層としてのレジスト層68aとを有し、複数の発光素子としてのLEDアレイ56が設けられた基板55と、LEDアレイ56から発光される光を収束するレンズユニットとしてのレンズアレイ53と、基板55及びレンズアレイ53を保持するホルダ51とを設け、基板55は、レジスト層68aに塗布された接着剤60によってホルダ51に固定され、接着剤60の塗布領域としての接着剤基板塗布領域60S1外に導電層64aが形成されているようにした。
【0060】
これによりLEDヘッド16は、製造工程での修復作業において基板55がホルダ51から取り外される際に導電層64aが傷つかないようにできると共に、製造工程において基板55がホルダ51に接着される際に接着剤60が塗布される場所を認識させやすくできる。
【0061】
[2.第2の実施の形態]
[2-1.スキャナの構成]
図8に側面図を示すようにスキャナ82は、原稿読取装置であり、例えばA3サイズやA4サイズ等の大きさでなる媒体としての原稿Mを読み取って電子データを生成する。読取装置としてのスキャナ82は、読取ヘッド83、ランプ84、原稿台85、レール86、駆動ベルト87及びモータ88等により構成されている。ランプ84は、照射した光が光源としての原稿Mの表面で反射して読取ヘッド83内に取り込まれるように配置されている。原稿台85は、可視光線を透過する素材で形成されており、原稿Mを載置する。レール86は、原稿台85の下方に配置されており、読取ヘッド83を移動可能に支持する。受光装置としての読取ヘッド83は、複数の滑車90により張架された駆動ベルト87にその一部が接続されており、モータ88で駆動された駆動ベルト87によりレール86上を移動可能に構成されている。この読取ヘッド83は、ランプ84により照射され原稿Mの表面で反射した光線を取り込み電子データに変換する。
【0062】
[2-2.読取ヘッドの構成]
読取ヘッド83は、全体として、LEDヘッド16のLEDアレイ56(
図3)に代えて検出器であるラインセンサ94を、感光体ドラム(
図1)に代えて被写体である原稿Mを配置したような構成となっている。この読取ヘッド83は、レンズユニット92、ミラー93及びラインセンサ94により構成されている。レンズユニット92は、第1の実施の形態によるレンズアレイ53(
図3)と同様に構成されている。ミラー93は、原稿Mで反射された光線の光路を折り曲げてレンズユニット92へ入射させる。ラインセンサ94は、複数の受光素子が所定の間隔で直線上に配置されており、レンズユニット92により形成された原稿画像の結像を電気信号に変換する。本実施の形態においては、ラインセンサ94は600[dpi]の解像度であるため、受光素子が1インチ当たり600個配置されている。すなわち受光素子が長手方向の間隔を0.0423[mm]として配列されている。
【0063】
かかる構成においてスキャナ82は、ランプ84を点灯させて原稿Mの表面に光を照射し、原稿Mの表面で反射した光線を読取ヘッド83内に取り込む。スキャナ82は、モータ88により駆動ベルト87を駆動させて読取ヘッド83及びランプ84を
図8における紙面の左右方向に移動させ、原稿Mの全面から反射した光線を読取ヘッド83に取り込む。
【0064】
このとき原稿Mで反射された光線は、原稿台85を透過し、ミラー93で光路が折り曲げられレンズユニット92に入射する。レンズユニット92により結像された原稿画像の結像はラインセンサ94上に形成され、ラインセンサ94は形成された原稿画像の結像を電気信号に変換して電子データを生成する。
【0065】
その他第2の実施の形態による読取ヘッド83を有するスキャナ82は、第1の実施の形態によるLEDヘッド16を有するカラープリンタ1とほぼ同様の作用効果を奏し得る。
【0066】
[3.他の実施の形態]
なお上述した第1の実施の形態においては、前後両端部から前後方向の内側に向かって半円形状に凹むような形状の導電層非形成領域70を基板55に形成する場合について述べた。本発明はこれに限らず、基板55の導電層非形成領域70の形状を、四角形状や三角形状等、種々の形状としても良い。第2の実施の形態においても同様である。
【0067】
また上述した第1の実施の形態においては、接着剤基板塗布領域60S1を導電層非形成領域70よりも小さくする場合について述べた。本発明はこれに限らず、接着剤基板塗布領域60S1を導電層非形成領域70と同じ大きさとしても良い。第2の実施の形態においても同様である。
【0068】
さらに上述した第1の実施の形態においては、基板55における長手方向に関し短手方向の両方向側である後側及び前側の端部に一対の導電層非形成領域70を形成し該導電層非形成領域70に接着剤60を塗布する場合について述べた。本発明はこれに限らず、基板55における長手方向に関し例えば千鳥配列で導電層非形成領域70を形成し該導電層非形成領域70に接着剤60を塗布する等、所定の長手方向の位置において後側又は前側の何れか一方に導電層非形成領域70を形成し該導電層非形成領域70に接着剤60を塗布しても良い。第2の実施の形態においても同様である。
【0069】
さらに上述した第1の実施の形態においては、突起部51Pを全体として円錐台形状とする場合について述べた。本発明はこれに限らず、レンズアレイ53に対するLEDアレイ56の前後方向の位置精度を保つことができるのであれば、突起部51Pを他の種々の形状としても良い。第2の実施の形態においても同様である。要は、基板55における前後方向の端面と対向する箇所に、左右方向に沿う平面が形成されていれば良い。
【0070】
さらに上述した第1の実施の形態においては、導電層非形成領域配置領域長さL1をLEDアレイ全長L2以上とする場合について述べた。本発明はこれに限らず、レンズアレイ53に対するLEDアレイ56の光軸方向の位置精度を保つことができれば、導電層非形成領域配置領域長さL1を、LEDアレイ全長L2の例えば90[%]以上としても良い。第2の実施の形態においても同様である。
【0071】
さらに上述した第1の実施の形態においては、接着剤60及び62を紫外線硬化型接着剤により構成する場合について述べた。本発明はこれに限らず、促進剤により硬化する接着剤、時間経過により硬化する接着剤、温度変化により硬化する接着剤や、それらの混合型の接着剤等、他の種々の部材により、接着剤60及び62を構成しても良い。第2の実施の形態においても同様である。
【0072】
さらに上述した第1の実施の形態においては、接着剤60及び62を同一の部材とする場合について述べた。本発明はこれに限らず、接着剤60及び62を互いに異なる部材としても良い。第2の実施の形態においても同様である。
【0073】
さらに上述した第1の実施の形態においては、タンデム方式のカラープリンタ1において、前後方向に沿って直列に配置された各色の画像形成ユニット12とそれぞれ対応する各色のLEDヘッド16に本発明を適用する場合について述べた。本発明はこれに限らず、例えば4サイクル方式等、他の種々の方式のカラープリンタに搭載されるLEDヘッドに適用しても良い。
【0074】
さらに上述した第1の実施の形態においては、カラー印刷を行うカラープリンタ1のプリンタ筐体2に対し、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの各色に対応した4個のLEDヘッド16を取り付ける場合について述べた。本発明はこれに限らず、例えばカラープリンタにおいて使用されるトナーの色数に応じて、プリンタ筐体2に対し3個以下や5個以上のLEDヘッド16を取り付けるようにしても良く、またモノクロ印刷を行うモノクロプリンタにおいて1個のLEDヘッド16を取り付けるようにしても良い。
【0075】
さらに上述した第1の実施の形態では、カラープリンタ1に本発明を適用したが、これに限らず、カラープリンタ1と同様にLEDヘッド16を有する装置であれば、ファクシミリ、MFP(MultiFunction Printer:複合機)、複写機等の装置に本発明を適用しても良い。
【0076】
さらに上述した第2の実施の形態においては、スキャナ82に本発明を適用する場合について述べた。本発明はこれに限らず、光学的信号を電気信号に変換するセンサ、スイッチや、それらを用いた入出力装置、生体認証装置、通信装置又は寸法測定器等にも本発明を適用しても良い。
【0077】
さらに本発明は、上述した各実施の形態及び他の実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した各実施の形態と上述した他の実施の形態の一部又は全部を任意に組み合わせた実施の形態や、一部を抽出した実施の形態にもその適用範囲が及ぶものである。
【0078】
さらに上述した第1の実施の形態においては、基板としての基板55と、レンズユニットとしてのレンズアレイ53と、ホルダとしてのホルダ51とによって、露光装置としてのLEDヘッド16を構成し、またこれを有する画像形成装置としてのカラープリンタ1を構成し、基板は、基材としての基材層66aと、第1の導電層としての導電層64aと、第1の表面層としてのレジスト層68aとを有する場合について述べた。本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる基板と、レンズユニットと、ホルダとによって、露光装置を構成し、またこれを有する画像形成装置を構成し、基板は、その他種々の構成でなる基材と、第1の導電層と、第1の表面層とを有しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、例えば電子写真式のプリンタに搭載するLEDヘッドで利用できる。
【符号の説明】
【0080】
1……カラープリンタ、2……プリンタ筐体、2T……排出トレイ、3……用紙収容カセット、4……搬送部、5……ピックアップローラ、6……給紙ローラ、7……分離ローラ、8、9……搬送ローラ対、10……転写ベルト、12……画像形成ユニット、16……LEDヘッド、18……トナーカートリッジ、20……定着器ユニット、21……排出ローラ対、22……両面搬送ユニット、51……ホルダ、51IS……ホルダ内部空間、51B……底部、51W……側部、51WS……ホルダ内壁面、51H……レンズアレイ孔部、51A……ホルダ開口部、51P……突起部、51PS……突起部内側面、53……レンズアレイ、55……基板、55A……電子部品配置面、55B……LEDアレイ配置面、56……LEDアレイ、60……接着剤、60S1……接着剤基板塗布領域、60S2……接着剤ホルダ塗布領域、62……接着剤、64……導電層、66……基材層、68……レジスト層、70……導電層非形成領域、72……導電層配線パターン、74……スルーホール、L1……導電層非形成領域配置領域長さ、L2……LEDアレイ全長、82……スキャナ、83……読取ヘッド、84……ランプ、85……原稿台、86……レール、87……駆動ベルト、88……モータ、90……滑車、92……レンズユニット、93……ミラー、94……ラインセンサ。