(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】画像表示装置
(51)【国際特許分類】
G02B 27/02 20060101AFI20241217BHJP
H04N 5/64 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
H04N5/64 511A
H04N5/64 541J
(21)【出願番号】P 2021012680
(22)【出願日】2021-01-29
【審査請求日】2024-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100205350
【氏名又は名称】狩野 芳正
(74)【代理人】
【識別番号】100108419
【氏名又は名称】大石 治仁
(74)【代理人】
【識別番号】100109221
【氏名又は名称】福田 充広
(74)【代理人】
【識別番号】100181146
【氏名又は名称】山川 啓
(72)【発明者】
【氏名】鎌倉 和也
【審査官】近藤 幸浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-063322(JP,A)
【文献】国際公開第2015/083316(WO,A1)
【文献】特開2016-195313(JP,A)
【文献】特開2006-054618(JP,A)
【文献】特開2001-281593(JP,A)
【文献】特開2016-054468(JP,A)
【文献】国際公開第2019/225759(WO,A1)
【文献】特開2004-287190(JP,A)
【文献】特開2012-164846(JP,A)
【文献】特開2005-327850(JP,A)
【文献】特開平07-159720(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0159354(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/02
G02B 27/01
H04N 5/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像光の発光部を含む表示素子と、
前記表示素子からの画像光を射出する光学系と、
前記光学系を覆う樹脂製のカバー部材と、
前記カバー部材から前記表示素子にかけて貼り付けられて、前記表示素子の熱を前記カバー部材に伝導するシート型放熱部材と、
前記光学系を支持する金属製のフレームと、
前記表示素子と前記光学系と前記カバー部材と前記フレームとを覆う外装部材とを備え、
前記シート型放熱部材は、前記フレームから離隔されて、
前記表示素子は、前記カバー部材の開口を塞ぐように配置される、画像表示装置。
【請求項2】
前記表示素子は、前記画像光としての第1画像光を生じさせる第1表示素子と、前記画像光としての第2画像光を生じさせる第2表示素子とを含み、
前記シート型放熱部材は、前記第1表示素子の熱を伝導する第1シート型放熱部材と、
前記第2表示素子の熱を伝導する第2シート型放熱部材とを含む、請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記第1表示素子を含み、前記第1画像光による画像表示を行う第1表示部と、
前記第2表示素子を含み、前記第2画像光による画像表示を行う第2表示部と、
前記第1表示部と前記第2表示部とを相対的に固定する固定部材と、を備え、
前記固定部材は、前記第1表示部と前記第2表示部とを固定する前の位置合わせに際して
前記第1表示部用の第1光学系及び
前記第2表示部の第2光学系を2軸以上の回転方向に回転可能にする形状を有する、請求項2に記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記フレームは、前記表示素子の一部が挿入される凹部を有する、請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項5】
前記フレームの前記凹部に充填され、前記表示素子の熱を前記フレームに伝導するグリス状放熱部材を備える、請求項4に記載の画像表示装置。
【請求項6】
前記カバー部材は、前記光学系を内部に収容し、
前記カバー部材の外表面において、前記光学系に沿って設けられて前記カバー部材の熱を伝導するカバー部材用放熱部材を備える、請求項1~5のいずれか一項に記載の画像表示装置。
【請求項7】
前記シート型放熱部材は、グラファイトシートである、請求項1~6のいずれか一項に記載の画像表示装置。
【請求項8】
画像光の発光部を含む表示素子と、
前記表示素子からの画像光を射出する光学系と、
前記光学系を覆う樹脂製のカバー部材と、
前記光学系を支持するとともに前記表示素子の一部が挿入される凹部を有する金属製のフレームと、
前記フレームの前記凹部に充填され、前記表示素子の熱を前記フレームに伝導するグリス状放熱部材と、
前記フレームと前記光学系との間に
ある断熱部材と、
前記表示素子と前記光学系と前記カバー部材と前記フレームとを覆う外装部材とを備え、
前記表示素子は、前記カバー部材の開口を塞ぐように配置される、画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光部を有する表示素子等によって形成された虚像の観察を可能にする画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
虚像表示装置において、光学系を支持する金属製のフレーム部材と表示素子とを放熱シートで接続して放熱を行う構造を有するものが公知となっている(特許文献1)。さらに、特許文献1では、一態様として、表示素子で発生するノイズを低減するノイズ低減シートを設けることについても記載されている(特許文献1の
図21参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の装置では、表示素子で発生するノイズが放熱シートを介して拡がることを低減すべく、ノイズ低減シートを表示素子と放熱シートとの間に配置することについて開示されているものの、この場合、ノイズ低減シートにより表示素子から放熱シートへの熱伝導が抑制されることで、装置の構成によっては十分な放熱ができなくなる可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一側面における画像表示装置は、画像光を生じさせる発光部を含む表示素子と、表示素子からの画像光を射出する光学系と、光学系を覆う樹脂製のカバー部材と、カバー部材から表示素子にかけて貼り付けられて、表示素子の熱をカバー部材に伝導するシート型放熱部材と、前記光学系を支持する金属製のフレームと、を備え、前記シート型放熱部材は、前記フレームから離隔されている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1実施形態の画像表示装置の装着状態を説明する外観斜視図である。
【
図2】画像表示装置の平面図、正面図、側面図、及び底面図である。
【
図3】画像表示装置から外装部材を外した内部を示す正面図、側面図、斜視図等である。
【
図4】画像表示装置から外装部材を外した残りの部分の分解斜視図である。
【
図5】シート型放熱部材を取り付けた状態の画像表示装置を示す斜視図である。
【
図6】左右の表示部を組み合わせた光学ユニットの平面図及び底面図である。
【
図7】第1フレームと固定部材との接続を説明する斜視図と、固定部材と第1カバー部材との配置関係を説明する斜視図と、第1フレームと固定部材と第1カバー部材との配置関係を説明する斜視図である。
【
図8】上外装部材の底面図と下外装部材の平面図とを示す。
【
図9】画像表示装置の内部の光学系を説明する概念的な側断面図である。
【
図11】第2実施形態の画像表示装置を説明する概念的な側断面図である。
【
図12】画像表示装置における断熱の構造について説明するための概念図である。
【
図13】一変形例の画像表示装置を説明する概念的な側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
〔第1実施形態〕
以下、
図1~3等を参照して、本発明に係る画像表示装置の構造、動作等について説明する。
【0008】
図1は、画像表示装置200の装着状態を説明する図である。画像表示装置200は、ヘッドマウントディスプレイ(以下、HMDとも称する。)201であり、これを装着する観察者又は装着者USに虚像としての映像を認識させる。
図1等において、X、Y、及びZは、直交座標系であり、+X方向は、画像表示装置200又はHMD201を装着した観察者又は装着者USの両眼EYの並ぶ横方向に対応し、+Y方向は、装着者USにとっての両眼EYの並ぶ横方向に直交する上方向に相当し、+Z方向は、装着者USにとっての前方向又は正面方向に相当する。±Y方向は、鉛直軸又は鉛直方向に平行になっている。
【0009】
画像表示装置200は、装着者USの眼前を覆うように配置される本体200aと、本体200aを支持するテンプル状の一対の支持装置200bとを備える。本体200aは、機能的に見た場合、右眼用の第1表示装置100Aと、左眼用の第2表示装置100Bとを含む。第1表示装置100Aは、上部に配置される表示駆動部102と、メガネレンズ状で眼前を覆うコンバイナー103aとで構成される。第2表示装置100Bも同様に、上部に配置される表示駆動部102と、メガネレンズ状で眼前を覆うコンバイナー103bとで構成される。
【0010】
図2を参照して、画像表示装置200のうち本体200aの外観について説明する。
図2中で、領域AR1は、本体200aの平面図であり、領域AR2は、本体200aの正面図であり、領域AR3は、本体200aの側面図であり、領域AR4は、本体200aの底面図である。本体200aのうち、+Y側すなわち上側に配置される一対の表示駆動部102は、連結されて一体化されており、横方向に細長くしたドーム状の上外装部材107aと、平坦な板状の下外装部材107bとによって覆われている。第1コンバイナー103a及び第2コンバイナー103bは、前方すなわち+Z方向に突起した半球の上部をカットしたような形状を有し、下外装部材107bから下方に突き出すように配置されている。
【0011】
図3を参照して、
図2に示す本体200aから上外装部材107a及び下外装部材107bを取り外した内部構造の概要について説明する。
図3中で、領域BR1は、本体200aの上部を露出させた正面図であり、領域BR2は、本体200aの上部を露出させた側面図であり、領域BR3は、本体200aの上部を露出させた斜視図であり、領域BR4は、本体200aの内部光学系を露出させた斜視図である。右眼用の第1表示装置100Aは、第1表示部100aとして、第1表示素子11aと第1光学系12aと第1コンバイナー103aとを備える。第1光学系12aは、内カバーである樹脂製の第1カバー部材71aに覆われ、第1表示素子11aは、第1カバー部材71aの開口71oを塞ぐように配置され、矩形枠状の第1ホルダー72aを介して第1光学系12aの外枠に固定されている。なお、第1表示素子11aは、例えば自発光型の表示デバイスであり、画像光としての第1画像光を生じさせるべく、発光部を含む。第1光学系12aは、第1表示素子11aからの画像光(第1画像光)を射出する。さらに言い換えると、第1表示部100aは、第1表示素子11aを含み、第1画像光による画像表示を行う。
【0012】
図4に示すように、第1光学系12aは、板状の第1フレーム61aの上面に接着等によって固定され、第1コンバイナー103aは、その上端で第1フレーム61aの周囲のうち前半分に接着等によって固定されている。すなわち、第1光学系12a及び第1コンバイナー103aは、第1フレーム61aに支持されている。なお、第1フレーム61aは、半円板状の金属部材であり、例えばマグネシウム合金で形成される。
【0013】
図3に戻って、第2表示装置100Bは、第2表示部100bとして、第2表示素子11bと第2光学系12bと第2コンバイナー103bとを備える。第2光学系12bは、内カバーである樹脂製の第2カバー部材71bに覆われ、第2表示素子11bは、第2カバー部材71bの開口71oを塞ぐように配置され、矩形枠状の第2ホルダー72bを介して第2光学系12bの外枠に固定されている。左眼用の第2表示装置100Bは、右眼用の第1表示装置100Aと同一の構造及び機能を有する。つまり、第2表示素子11bは、第1表示素子11aと同様のものであり、第2光学系12bは、第1光学系12aと同様のものであり、第2コンバイナー103bは、第1コンバイナー103aと同様のものである。したがって、例えば、第2表示素子11bは、画像光としての第2画像光を生じさせるべく、発光部を含み、第2光学系12bは、第2表示素子11bからの第2画像光を射出する。第2表示部100bは、第2表示素子11bを含み、第2画像光による画像表示を行う。ただし、第1光学系12a、第1コンバイナー103a等に左右のX方向に関して非対称性を持たせた場合、第2光学系12b、第2コンバイナー103b等は、第1光学系12a、第1コンバイナー103a等を左右反転させたものとなる。
【0014】
図4に示すように、第2光学系12bは、板状の第2フレーム61bの上面に接着等によって固定され、第2コンバイナー103bは、その上端で第2フレーム61bの周囲のうち前半分に接着等によって固定されている。すなわち第2光学系12b及び第2コンバイナー103bは、第2フレーム61bに支持されている。なお、第2フレーム61bは、半円板状の金属部材であり、例えばマグネシウム合金で形成される。
【0015】
図3に戻って、第1表示装置100Aと第2表示装置100Bとは、内部において固定部材78を介して連結されている。固定部材78は、棒状の金属部材であり、例えばマグネシウム合金で形成される。固定部材78をマグネシウム合金で形成することにより、第1フレーム61aや第2フレーム61bを放熱によって冷却する効果を持たせることができる。固定部材78は、両端において、第1表示部100aと第2表示部100bとを相対的に固定している。固定部材78は、天秤の腕に相当する部材であり、一対の皿に相当する一対の表示部100a,100bを中央で支持している。固定部材78は、第1表示部100aと第2表示部100bとを固定する前の位置合わせに際して、第1光学系12a及び第2光学系12bを2軸以上の回転方向に回転可能にする形状を有する。
【0016】
ここで、本実施形態に係る画像表示装置200は、
図5として示す斜視図にあるように、第1表示素子11a及び第2表示素子11bにおいて、第1シート型放熱部材SDa及び第2シート型放熱部材SDbが取り付けられている。例えば、第1シート型放熱部材SDaは、樹脂製の第1カバー部材71aから第1表示素子11aにかけて貼り付けられて、第1表示素子11aの熱を第1カバー部材71aに伝導する熱伝導部材である。同様に、第2シート型放熱部材SDbは、第2表示素子11bの熱を樹脂製の第2カバー部材71bに伝導する熱伝導部材である。
【0017】
各シート型放熱部材SDa,SDbは、粘着面を有するグラファイトシートで構成される熱伝導テープであり、第1表示素子11a等に直接貼り付けられることで、熱伝導を行う。すなわち、上記態様では、シート型放熱部材SDa,SDbにより表示素子11a,11bで発生する熱をカバー部材71a,71bに伝導することで、十分な放熱を確保している。
【0018】
ここで、第1表示素子11a及び第2表示素子11bにおいては、発生するノイズが問題となる。具体的には、第1表示素子11a等を構成する有機ELパネルの回路基板等において微弱な電力等によって電磁波が発生し、これがノイズとなって他の部材に伝わり、影響を与えるといった事態が生じる可能性がある。かかる事態を回避又は抑制すべく、上記一例では、放熱先であるカバー部材71a,71bとして、導電性の低い樹脂製のものを採用している。すなわち、上記の場合、シート型放熱部材SDa,SDbによる熱伝導に際して導電性の低いものを介在させることで、第1表示素子11a及び第2表示素子11bで発生するノイズの伝導を回避又は抑制している。
【0019】
また、第1シート型放熱部材SDa及び第2シート型放熱部材SDbは、第1光学系12a及び第2光学系12bを支持する金属製のフレームである第1フレーム61a及び第2フレーム61bから離隔されている。これにより、第1表示素子11a等で発生するノイズが、第1シート型放熱部材SDa等を介して第1フレーム61a等に伝導することを回避している。
【0020】
また、第1シート型放熱部材SDaと第2シート型放熱部材SDbとは、重ならないように設けられている。すなわち、グラファイトシート同士が重ならないようにしている。これにより、一方のノイズが他方に伝達してしまうことを抑制している。
【0021】
さらに、図示の例では、第1カバー部材71a及び第2カバー部材71bにおいて、第1カバー部材用放熱部材CDa及び第2カバー部材用放熱部材CDbが取り付けられている。各カバー部材用放熱部材CDa,CDbは、粘着面を有するグラファイトシートで構成される熱伝導テープであり、第1カバー部材71a等に直接貼り付けられることで、熱伝導を行う熱伝導部材である。図示の一例では、カバー部材用放熱部材CDa,CDbは、カバー部材71a,71bの外表面に貼り付けられており、カバー部材71a,71bの内部に収容される第1光学系12a及び第2光学系12bに沿って設けられている。カバー部材用放熱部材CDa,CDbでの熱伝導により放熱することで、カバー部材71a,71bの内部における温度上昇を低減できる。すなわち、第1光学系12a及び第2光学系12bの温度変化に伴う像の歪み等の劣化を回避又は抑制できる。
【0022】
なお、ここにおいても、グラファイトシート同士が重ならないようにしている。すなわち、第1カバー部材用放熱部材CDaと第2カバー部材用放熱部材CDbとは、重ならないように設けられており、さらに、これらは、第1シート型放熱部材SDaや第2シート型放熱部材SDbにも重ならないように設けられている。
【0023】
図4、
図6及び
図7を参照して、固定部材78による第1表示部100a及び第2表示部100bの支持について説明する。
図6中で、領域CR1は、左右の表示部100a,100bを連結した光学ユニットOUの平面図であり、領域CR2は、光学ユニットOUの底面図である。
図7中で、領域DR1は、第1表示部100aと固定部材78との接続を説明する斜視図であり、領域DR2は、固定部材78と第1カバー部材71aとの配置関係を説明する斜視図であり、領域DR3は、第1表示部100aと固定部材78と第1カバー部材71aとの配置関係を説明する斜視図である。固定部材78の両端には、詳細は後述するが、ボールジョイントの構成要素に類似する球状の部材である固定部81a,82aが形成されている。これらの固定部81a,82aは、第1表示部100aと第2表示部100bとを位置合わせした後において、接着材等によって表示部100a,100b又はフレーム61a、61bの内側の端部に設けられた半球状の窪み部材である凹部81b,82bに接着され、回転が停止された状態とされる。固定部81aと凹部81bとを組み合わせた連結部材81は、第1バー部材71aの拡張部71cに覆われている。固定部82aと凹部82bとを組み合わせた連結部材82も、第2カバー部材71bの拡張部71cに覆われている。
【0024】
第1フレーム61aは、既述のように、半円板状の金属部材であり、例えばマグネシウム合金で形成される。第1フレーム61aをマグネシウム合金で形成することにより、表示素子11a等が発生する熱の放熱効率を高めることができる。第1フレーム61aの左右両端には、凹部81bが形成されているが、一方の凹部81bのみが固定部材78との接続に利用される。第1フレーム61aには、光学開口OAが形成され、光学開口OAを封止する板状光学素子28が配置されている。板状光学素子28は、第1光学系12aの一部である。第2フレーム61bは、既述のように、半円状の金属部材であり、例えばマグネシウム合金で形成される。第2フレーム61bをマグネシウム合金で形成することにより、表示素子11b等が発生する熱の放熱効率を高めることができる。第2フレーム61bの左右両端には、凹部82bが形成されているが、一方の凹部82bのみが固定部材78との接続に利用される。第2フレーム61bにも、光学開口OAが形成され、光学開口OAを封止する板状光学素子28が配置されている。
【0025】
図8を参照して、上外装部材107a及び下外装部材107bについて説明する。
図8中で、領域ER1は、上外装部材107aの内側を示す底面図であり、領域ER2は、下外装部材107bの内側を示す平面図である。上外装部材107aと下外装部材107bとは、樹脂製の材料で形成されている。上外装部材107aの外縁7aと、下外装部材107bの外縁7bとは同じ形状を有し、これらを突き合わせることで、
図3に示す第1光学系12a及び第2光学系12bを収納する空間を形成することができる。上外装部材107aと下外装部材107bとは、ネジ穴等である締結部7f,7gを利用して固定される。下外装部材107bは一対の開口OP1を有し、開口OP1内に点線で示すように第1フレーム61a及び第2フレーム61bを配置することができる。開口OP1と、フレーム61a,61bとの間には隙間GPが設けられており、開口OP1内でフレーム61a,61bがXZ面内やY方向に関して位置ずれすることを許容する。つまり、
図3等に示す第1表示部100a及び第2表示部100bは、相互に位置合わせされた状態のままで下外装部材107bに固定され、上外装部材107a及び下外装部材107b内に収納された状態でも、両表示部100a,100b間で位置決め完了時の配置関係が維持される。下外装部材107bには、ネジ止め孔7jが形成され、固定部材78のブリッジ78aに設けられた一対の締結部78z(
図6及び7参照)に対してネジ止めによって固定することができる。
【0026】
図3及び4を参照して、第1フレーム61a及び第2フレーム61bの上方には弾性シート75が配置されている。弾性シート75の外周部75aは、
図8に示す上外装部材107aの外縁7aと下外装部材107bの外縁7bとの間に挟まれて、外装部材107a,107b間において気密又は液密な封止を可能にする。弾性シート75には、一対の開口OP21,OP22が形成されている。一方の開口OP21のまわりの内周部75bは、第1フレーム61aの上面と第1カバー部材71aの下端部との間に挟まれて、第1フレーム61aと第1カバー部材71aとの間において気密又は液密な封止を可能にする。他方の開口OP22のまわりの内周部75cは、第2フレーム61bの上面と第2カバー部材71bの下端部との間に挟まれて、第2フレーム61bと第2カバー部材71bとの間において気密又は液密な封止を可能にする。
【0027】
図3を参照して、固定部材78の上方であって左右の表示部100a,100bの間には、矩形板状の回路基板91が配置されている。回路基板91は、第1表示素子11a及び第2表示素子11bの表示動作を制御する制御装置92を含む。制御装置92は、左右の表示素子11a,11bに対して表示画像に対応する駆動信号を出力し左右の表示素子11a,11bの表示動作を制御する。制御装置92は、例えばIF回路、信号処理回路等を備え、外部から受け取った画像データ又は画像信号に応じて、左右の表示素子11a,11bに2次元的な画像表示を行わせる。制御装置92は、図示を省略するが、第1表示装置100Aの動作と第2表示装置100Bの動作とを統括するメイン基板を含む。メイン基板は、例えば不図示の外部装置との間で通信し当該外部装置から受信した信号に対して信号変換を行うインターフェース機能や、第1表示装置100Aの表示動作と第2表示装置100Bの表示動作とを連携させる統合機能を有するものとすることができる。
【0028】
回路基板91は、基板支持部74によって固定部材78上に支持されている。基板支持部74上には、回路基板91が固定されている。基板支持部74は、固定部材78を上方、前方、及び後方から覆う樹脂製の部材であり、嵌合部51を用いたスナップ嵌めによって、回路基板91とともに固定部材78に対して着脱可能になっている。
【0029】
図9は、第1表示部100aの光学的構造を説明する側方断面図である。第1表示部100aは、第1表示素子11aと結像光学系20とを備える。結像光学系20は、導光光学装置とも呼ぶ。結像光学系20は、投射レンズ21と、プリズムミラー22と、板状光学素子28と、シースルーミラー23とを備える。結像光学系20のうち、投射レンズ21とプリズムミラー22と板状光学素子28とは、
図3等に示す第1光学系12aに対応し、シースルーミラー23は、第1コンバイナー103aに対応する。第1表示素子11a、投射レンズ21、及びプリズムミラー22は、不図示の枠体によって相互にアライメントされた状態で第1フレーム61aに固定され、第1カバー部材71aと第1フレーム61aとに挟まれた空間SP1内に収納されている。板状光学素子28は、第1フレーム61aの光学開口OAに形成された段差に嵌め込むように配置され、光学開口OAの周囲が気密な状態に保たれている。
【0030】
第1表示素子11aは、既述のように、発光部を有する自発光型の表示デバイスである。第1表示素子11aは、例えば有機EL(有機エレクトロルミネッセンス、Organic Electro-Luminescence)ディスプレイであり、2次元の表示面11dにカラーの静止画又は動画を形成する。第1表示素子11aは、XY面に対してX軸のまわりに回転して傾いたxy面に沿って配置されている。第1表示素子11aは、回路基板91に設けられた制御装置92に駆動されて表示動作を行う。第1表示素子11aは、有機ELディスプレイに限らず、マイクロLEDディスプレイ、又は無機EL、有機LED、レーザーアレイ、量子ドット発光型素子等を用いた表示デバイスに置き換えることができる。第1表示素子11aは、自発光型の画像光生成装置に限らず、LCDその他の光変調素子で構成され、当該光変調素子をバックライトのような光源(発光部)によって照明することによって画像を形成するものであってもよい。第1表示素子11aとして、LCDに代えて、LCOS(Liquid crystal on silicon, LCoSは登録商標)や、デジタル・マイクロミラー・デバイス等を用いることもできる。
【0031】
投射レンズ21は、第1表示素子11aから射出された画像光(第1画像光)MLを通過させ、プリズムミラー22に入射させる。投射レンズ21は、第1表示素子11aから射出された画像光MLを平行光束に近い状態に集光する。投射レンズ21は、第1レンズ21p及び第2レンズ21qを含む。プリズムミラー22は、内反射面22bを有し、投射レンズ21から射出された画像光MLを入射面22aから内部に入射させ、内反射面22bで全反射させ、射出面22cから外部に射出させる。この際、プリズムミラー22は、前方から入射する画像光MLを、入射方向を反転させた方向(プリズムミラー22から見た光源の方向)に対して傾斜した方向に折り返すように射出する。板状光学素子28は、プリズムミラー22からの画像光MLを屈折させつつ通過させ、シースルーミラー23は、プリズムミラー22から射出された画像光MLを瞳位置PPに向けて反射する。瞳位置PPは、表示面11d上の各点からの画像光MLが所定の発散状態又は平行状態で表示面11d上の各点の位置に対応する角度方向から重畳するように入射する位置となっている。
【0032】
シースルーミラー23は、凹の表面ミラーとして機能する湾曲した板状の光学部材であり、プリズムミラー22から板状光学素子28を介して入射した画像光MLを瞳位置PPに向けて反射する。シースルーミラー23は、眼EY又は瞳孔が配置される瞳位置PPを覆うとともに瞳位置PPに向かって凹形状を有し、外界に向かって凸形状を有する。シースルーミラー23は、板状体23bの表面又は裏面上にミラー膜23cを形成した構造を有するミラー板である。シースルーミラー23の反射面23aは、透過性を有する。瞳位置PPには、シースルーミラー23やその周囲の支持板41を通過した外界光OLも入射する。つまり、画像表示装置200を装着した装着者USは、外界像に重ねて、画像光MLによる虚像を観察することができる。
【0033】
以上において、投射レンズ21、プリズムミラー22、板状光学素子28、及びシースルーミラー23を構成する光学面は、自由曲面を含み、少なくも一部の光学面を非球面や球面に置き換えることもできる。
【0034】
結像光学系20は、シースルーミラー23が凹面鏡であること等に起因して、軸外し光学系OSとなっている。本実施形態の場合、投射レンズ21、プリズムミラー22、板状光学素子28、及びシースルーミラー23は、非軸対称に配置され、非軸対称な光学面を有する。この結像光学系20つまり軸外し光学系OSでは、紙面に対応する軸外し面(YZ面に平行な面)に沿って光軸AXが延びるように光軸AXの折り曲げが行われている。この結像光学系20では、YZ面に平行な軸外し面内で光軸AXの折り曲げを行うことで、かかる軸外し面に沿って光学要素21,22,23が配列されている。結像光学系20は、縦方向に延びる基準面である軸外し面(YZ面に平行な面)に沿って配置され反射面の前後で互いに傾斜する光軸部分AX1,AX2,AX3を含む。全体としての光軸AXは、表示素子11aの中心から射出される主光線の光路に沿って延び、アイポイントに相当するアイリングER又は瞳の中心を通る。光軸AXは、YZ面に平行な横断面で見た場合、複数の光軸部分AX1,AX2,AX3によって、Z字状の配置となっている。つまり、YZ面に平行な軸外し面において、投射レンズ21から内反射面22bまでの光路P1と、内反射面22bからシースルーミラー23までの光路P2と、シースルーミラー23から瞳位置PPまでの光路P3とが、Z字状に2段階で折り返される配置となっている。
【0035】
図10に示すように、第1表示素子11aの表示面11dに形成する表示像を予め台形歪のような歪を持たせた修正画像DA1とする。つまり、結像光学系20が軸外し光学系OSであることから、光学系自体で台形歪のようなディストーションを取りきることは容易でない。よって、第1表示素子11aに表示される画像を、投射レンズ21、プリズムミラー22、板状光学素子28、及びシースルーミラー23によって形成される歪を相殺する逆の歪を有するものとすることで、結像光学系20を経て瞳位置PPで観察される虚像の投影像IG1の画素配列を、元の表示像DA0に対応する格子パターンとすることができ輪郭を矩形とすることができる。つまり、第1表示素子11aは、投射レンズ21、プリズムミラー22、板状光学素子28、及びシースルーミラー23によって形成されるディストーションを補正する。結果的に、シースルーミラー23等で発生するディストーションを許容しつつ第1表示素子11aを含めた全体として収差を抑えることができる。これにより、プリズムミラー22等の光学要素の配置やサイズの自由度が高まり、第1表示部100aの小型化を達成しつつ、第1表示部100aの光学性能の確保を容易にすることができる。
【0036】
以上では、第1表示部100aについて説明したが、第2表示部100bは、第1表示部100aと同様の構造を有し、同様に画像光(第2画像光)を導いて虚像を形成するので、具体的な構造の説明を省略する。
【0037】
以上のように、本実施形態に係る画像表示装置200は、画像光MLの発光部を含む表示素子11a,11bと、表示素子11a,11bからの画像光MLを射出する光学系12a,12bと、光学系12a,12bを覆う樹脂製のカバー部材71a,71bと、カバー部材71a,71bから表示素子11a,11bにかけて貼り付けられて、表示素子11a,11bの熱をカバー部材71a,71bに伝導するシート型放熱部材SDa,SDbとを備える。この場合、画像表示装置200では、シート型放熱部材SDa,SDbにより表示素子11a,11bで発生する熱をカバー部材71a,71bに伝導することで、十分な放熱を確保している。この上で、放熱先であるカバー部材71a,71bとして樹脂製のものを採用していることで、表示素子11a,11bで発生するノイズの伝導を抑制している。言い換えると、画像表示装置200では、熱伝導に際して導電性の低いものを介在させることで、表示素子11a,11bで発生するノイズの伝導を抑制している。
【0038】
〔第2実施形態〕
以下、
図11等を参照して、第2実施形態に係る画像表示装置について説明する。なお、本実施形態に係る画像表示装置は、第1実施形態の画像表示装置を一部変更したものであり、放熱に関する構造を除いた他の構成については、同様であるので、全体構成について他の図と同符号としているものについては、詳細な図示や説明を省略し、必要に応じて、適宜他の図面を参照して説明した事項を援用するものとする。
【0039】
図11は、本実施形態の画像表示装置200を説明する概念的な側断面図であり、
図9に対応する図である。ここでは、画像表示装置200を構成する左右対称な第1表示部100a及び第2表示部100bのうち、第1表示部100aを代表として説明する。
【0040】
本実施形態では、図中において、一部拡大して示すように、第1光学系12aを支持する金属製のフレームである第1フレーム61aのうち、第1表示素子11aの近傍に、凹部REが設けられている。図示のように、凹部REは、平板状の第1フレーム61aにおいて形成された窪み状の部分であり、第1表示素子11aの一部が挿入されるようになっている。つまり、この凹部REは、例えば第1表示素子11aを組付け調整するに際しての調整代として機能する空間を形成している。
【0041】
本実施形態では、第1表示素子11aの組付け調整がなされた後、第1フレーム61aの凹部REにグリスを充填することで、グリス状放熱部材GDaが設けられている。グリス状放熱部材GDaは、第1表示素子11aから第1フレーム61aにかけて形成されており、第1表示素子11aで発生した熱を第1フレーム61aに伝導している。言い換えると、画像表示装置200は、第1フレーム61aの凹部REに充填され、第1表示素子11aの熱を第1フレーム61aに伝導する熱伝導部材としてのグリス状放熱部材GDaを、備えている。
【0042】
以上により、第1フレーム61aは、第1表示素子11aの熱を放熱する放熱体として機能する。すなわち、第1フレーム61aは、マグネシウム合金で形成されて第1表示素子11aに近接していることに加え、上記実施形態では、グリス状放熱部材GDaが充填されてこれらの間を繋ぐことで、表示素子11a等が発生する熱の放熱効率をより高めている。
【0043】
ここで、グリス状放熱部材GDaは、導電性の低い物質(絶縁体)で構成されており、上記熱伝導に際して、第1表示素子11aで発生するノイズの第1フレーム61aへの伝導を抑制している。
【0044】
さらに、上記構成の場合、
図12に概念的に示すように、弾性シート75が、放熱部材としての第1フレーム61aと第1光学系12aとの間に設けた断熱部材として機能する。すなわち、上記構成の場合、弾性シート75が、第1フレーム61aと第1光学系12aとの間に介在した状態となることで、グリス状放熱部材GDaを介して第1フレーム61aに伝えられた熱が、第1光学系12a、さらには、画像形成のための電子回路(図示略)等に向かってしまうことを、弾性シート75によって遮断あるいは抑制することが可能となっている。なお、以上のような効果をより発揮させるべく、弾性シート75の形状を種々変形させることも考えられる。
【0045】
以上では、第1表示部100aについて説明したが、第2表示部100bは、第1表示部100aと同様の構造を有するので、具体的な構造の説明を省略する。つまり、第2表示部100bにおいても、同様のグリス状放熱部材GDbを設けることが可能である。
【0046】
なお、上記実施形態では、
図5を参照して説明した第1実施形態におけるシート型放熱部材SDa等に代えて、グリス状放熱部材GDa等を採用する構成としているが、
図11に対応する
図13に例示するように、グリス状放熱部材GDaに加えて、シート型放熱部材SDaやカバー部材用放熱部材CDaを設ける構成とすることも可能である。
【0047】
以上のように、本実施形態に係る画像表示装置200は、画像光MLの発光部を含む表示素子11a,11bと、表示素子11a,11bからの画像光MLを射出する光学系12a,12bと、光学系12a,12bを支持するとともに表示素子11a,11bの一部が挿入される凹部REを有する金属製のフレーム61a,61bと、フレーム61a,61bの凹部REに充填され、表示素子11a,11bの熱をフレーム61a,61bに伝導するグリス状放熱部材GDa,GDbとを備える。この場合、画像表示装置200では、グリス状放熱部材GDa,GDbにより表示素子11a,11bの熱をフレーム61a,61bに伝導することで、十分な放熱を確保している。この上で、熱伝導媒体としてグリス状の部材を採用していることで、表示素子11a,11bで発生するノイズの伝導を抑制している。言い換えると、画像表示装置200では、熱伝導に際して導電性の低いものを介在させることで、表示素子11a,11bで発生するノイズの伝導を抑制している。
【0048】
〔変形例その他〕
以上各実施形態に即して本発明を説明したが、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0049】
第1表示部100aに組み込む結像光学系20は、図示のものに限らず、様々な構成とすることができる。具体的には、上記結像光学系20は、Y方向又は縦方向に非対称性を持たせた軸外し光学系OSであるとしたが、X方向又は横方向に非対称性を持たせた軸外し光学系とすることもできる。結像光学系20を構成する光学要素についても、
図9に示すものは単なる例示であり、レンズの枚数を増減させる、ミラーを追記する、導光部材を追加するといった変更が可能である。
【0050】
コンバイナー103a,103bの外界側には、コンバイナー103a,103bの透過光を制限することで調光を行う調光デバイスを取り付けることができる。調光デバイスは、例えば電動で透過率を調整する。調光デバイスとして、ミラー液晶、電子シェード等を用いることができる。調光デバイスは、外光照度に応じて透過率を調整するものであってもよい。
【0051】
コンバイナー103a,103bは、遮光性を有するミラーに置き換えることもできる。この場合、外界像の直接観察を前提としない非シースルー形の光学系となる。
【0052】
第1フレーム61a、第2フレーム61b、及び固定部材78は、金属材料で形成されたものに限らず、繊維強化プラスチック(FRP)で形成されたものであってもよい。
【0053】
連結部材81,82の構造については、ボールジョイント状のものに限らず、回転自由度を2軸以上に高めた様々な機構に置き換えることができる。
【0054】
以上では、画像表示装置200が頭部に装着されて使用されることを前提としたが、上記画像表示装置200は、頭部に装着せず双眼鏡のようにのぞき込むハンドヘルドディスプレイとしても用いることができる。つまり、本発明において、ヘッドマウントディスプレイには、ハンドヘルドディスプレイも含まれる。
【0055】
上記態様において、放熱部材SDa等が、左右の表示部100a,100bの間に配置され、表示動作を制御する回路基板91に対して、表示素子11a,11bで発生するノイズの伝導を抑制するように構成されてもよい。
【0056】
以上では、縦方向又はY方向について導光しているが、横方向又はX方向に導光する構成も可能である。
【0057】
なお、上記では、両眼用の画像表示装置200としているが、画像表示装置200については、右眼用又は左眼用の部分のうち一方を省略することができ、この場合、片眼型のヘッドマウントディスプレイとなる。
【0058】
また、上記態様において、表示素子11aに貼り付けられた第1シート型放熱部材SDaや、第1カバー部材71aに貼り付けられた第1カバー部材用放熱部材CDa等を、樹脂製の材料で構成される上外装部材107aや下外装部材107bに延ばして、上外装部材107aや下外装部材107bに熱を伝導させることも考えられる。
【0059】
また、
図5の一例では、第1シート型放熱部材SDa及び第2シート型放熱部材SDbを、第1表示素子11a及び第2表示素子11bから左右両方向(+X方向及びーX方向)に延ばして貼り付けているが、どちらか一方向に延ばす態様とすることも考えられる。なお、左右方向について延ばし、上方向(+Y方向)については開けておくことで、図示を省略している第1表示素子11a及び第2表示素子11bのFPC(flexible printed circuits)を、この方向に延ばして、第1シート型放熱部材SDa等からの干渉を回避しつつ設けることができる。
【0060】
また、上記では、カバー部材用放熱部材CDa,CDbは、シート型放熱部材SDa,SDbに重ならないとしているが、例えばノイズの発生を抑制できれば、第1シート型放熱部材SDaと第1カバー部材用放熱部材CDaとをつなげて、より熱の伝達の時間を早める(熱伝導の性能を高める)構成としてもよい。
【0061】
具体的な態様における第1の画像表示装置は、画像光の発光部を含む表示素子と、表示素子からの画像光を射出する光学系と、光学系を覆う樹脂製のカバー部材と、カバー部材から表示素子にかけて貼り付けられて、表示素子の熱をカバー部材に伝導するシート型放熱部材とを備える。
【0062】
上記画像表示装置では、シート型放熱部材により表示素子の熱をカバー部材に伝導することで、十分な放熱を確保している。この上で、放熱先であるカバー部材として樹脂製のものを採用している、すなわち熱伝導に際して導電性の低いものを介在させることで、表示素子で発生するノイズの伝導を抑制している。
【0063】
具体的な側面において、表示素子は、画像光としての第1画像光を生じさせる第1表示素子と、画像光としての第2画像光を生じさせる第2表示素子とを含み、シート型放熱部材は、第1表示素子の熱を伝導する第1シート型放熱部材と、第2表示素子の熱を伝導する第2シート型放熱部材とを含む。この場合、第1画像光と第2画像光とにより両眼視の画像形成が可能となる。
【0064】
具体的な側面において、第1表示素子を含み、第1画像光による画像表示を行う第1表示部と、第2表示素子を含み、第2画像光による画像表示を行う第2表示部と、第1表示部と第2表示部とを相対的に固定する固定部材とを備え、固定部材は、第1表示部と第2表示部とを固定する前の位置合わせに際して第1光学系及び第2光学系を2軸以上の回転方向に回転可能にする形状を有する。この場合、固定部材が第1光学系及び第2光学系を2軸以上の回転方向に回転可能にする形状を有するので、固定前においては、固定部材に対して第1表示部と第2表示部とを高い自由度で配置し位置合わせすることができる。なお、位置合わせ後は、固定部材に対して第1表示部や第2表示部を、接着材や締結具を用いて固着させることにより、これらの相対的な配置関係を安定して維持させることができる。
【0065】
具体的な側面において、光学系を支持する金属製のフレームを備え、シート型放熱部材は、フレームから離隔されている。この場合、表示素子で発生するノイズについて、シート型放熱部材を介したフレームへの伝導を回避できる。
【0066】
具体的な側面において、フレームは、表示素子の一部が挿入される凹部を有する。この場合、表示素子の位置調整が可能となる。
【0067】
具体的な側面において、フレームの凹部に充填され、表示素子の熱をフレームに伝導するグリス状放熱部材を備える。この場合、グリス状放熱部材による熱伝導が可能となる。
【0068】
具体的な側面において、カバー部材は、光学系を内部に収容し、カバー部材の外表面において、光学系に沿って設けられてカバー部材の熱を伝導するカバー部材用放熱部材を備える。この場合、カバー部材用放熱部材により、カバー部材の内部に収容された光学系の温度上昇を回避又は抑制して、像の歪み等を抑えられる。
【0069】
具体的な側面において、シート型放熱部材は、グラファイトシートである。この場合、高効率な熱伝導が可能となる。
【0070】
具体的な態様における第2の画像表示装置は、画像光の発光部を含む表示素子と、表示素子からの画像光を射出する光学系と、光学系を支持するとともに表示素子の一部が挿入される凹部を有する金属製のフレームと、フレームの凹部に充填され、表示素子の熱をフレームに伝導するグリス状放熱部材とを備える。
【0071】
上記画像表示装置では、グリス状放熱部材により表示素子の熱をフレームに伝導することで、十分な放熱を確保している。この上で、熱伝導媒体としてグリス状の部材を採用している、すなわち熱伝導に際して導電性の低いものを介在させることで、表示素子で発生するノイズの伝導を抑制している。
【0072】
具体的な側面において、フレームと光学系との間に断熱部材を有する。この場合、フレームに伝導した熱が、光学系に向かうことを、断熱部材によって遮断あるいは抑制することが可能となる。
【符号の説明】
【0073】
7a,7b…外縁、7f,7g…締結部、7j…孔、11a…第1表示素子(表示素子)、11b…第2表示素子(表示素子)、11d…表示面、12a…第1光学系(光学系)、12b…第2光学系(光学系)、20…結像光学系、21…投射レンズ、22…プリズムミラー、22a…入射面、22b…内反射面、22c…射出面、23…シースルーミラー、23a…反射面、23b…板状体、23c…ミラー膜、28…板状光学素子、41…支持板、51…嵌合部、61a…第1フレーム(フレーム)、61b…第2フレーム(フレーム)、71a…第1カバー部材(カバー部材)、71b…第2カバー部材(カバー部材)、71c…拡張部、71o…開口、74…基板支持部、75…弾性シート(断熱部材)、75a…外周部、75b,75c…内周部、78…固定部材、78a…ブリッジ、78z…締結部、81,82…連結部材、81a,82a…固定部、81b,82b…凹部、91…回路基板、92…制御装置、100a…第1表示部、100b…第2表示部、102…表示駆動部、103a,103b…コンバイナー、107a…上外装部材、107b…下外装部材、200…画像表示装置、200a…本体、200b…支持装置、AR1-AR4…領域、AX…光軸、AX1,AX2,AX3…光軸部分、BR1-BR4…領域、CDa…第1カバー部材用放熱部材(カバー部材用放熱部材)、CDb…第2カバー部材用放熱部材(カバー部材用放熱部材)、CR1,CR2…領域、DA0…表示像、DA1…修正画像、DR1-DR3…領域、ER…アイリング、ER1,ER2…領域、EY…眼、GDa,GDb…グリス状放熱部材、GP…隙間、IG1…投影像、ML…画像光、OA…光学開口、OL…外界光、OP1,OP21,OP22…開口、OS…光学系、OU…光学ユニット、P1-P3…光路、PP…瞳位置、RE…凹部、SDa…第1シート型放熱部材(シート型放熱部材)、SDb…第2シート型放熱部材(シート型放熱部材)、SP1…空間、US…装着者