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特許7604917管理システム、管理装置、及びコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】管理システム、管理装置、及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20241217BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
G06F3/12 335
G06F3/12 304
G06F3/12 310
G06F3/12 336
G06F3/12 387
G06F3/12 326
B41J29/38 204
B41J29/38 801
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021013369
(22)【出願日】2021-01-29
(65)【公開番号】P2022116939
(43)【公開日】2022-08-10
【審査請求日】2024-01-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】野川 英樹
【審査官】小林 義晴
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-077623(JP,A)
【文献】特開2003-280732(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/12
B41J 29/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の状態データであって、それぞれが、複数のデバイスのうちの、対応するデバイスの状態を説明する複数の状態データを、クラウドストレージに繰返し書き込むように構成される少なくとも一つの第一の通信装置と、
前記クラウドストレージにアクセス可能に構成された第二の通信装置と、
を備え、
前記第二の通信装置は、
ユーザインタフェースを通じて入力される切替指示に基づき、前記複数のデバイスのそれぞれを、表示対象と非表示対象との間で切り替えるように、前記表示対象又は前記非表示対象に設定することと、
前記複数のデバイスのうちの前記表示対象に設定された一つ以上のデバイスを列挙し、更には前記一つ以上のデバイスのそれぞれの状態を示すデバイスリストを表示装置に表示させることと、
を実行するように構成され、
前記少なくとも一つの第一の通信装置は、前記表示対象及び前記非表示対象の設定に依らず、前記複数のデバイスについての前記複数の状態データを前記クラウドストレージに繰返し書き込むように構成され、
前記第二の通信装置は
前記非表示対象に設定されたデバイスを含む前記複数のデバイスのそれぞれの状態データを、前記クラウドストレージから繰返し取得し、取得した前記状態データに基づいて、前記デバイスリストを、前記表示対象に設定された前記一つ以上のデバイスのそれぞれの最新の状態を示すように更新することを更に実行し、
前記ユーザインタフェースを通じて特定の指示が入力されたときには、前記デバイスリストとは別の、前記非表示対象に設定されたデバイスを列挙する画面であって、前記非表示対象に設定されたデバイスのそれぞれの状態を示す画面を前記表示装置に表示させ、前記画面を通じて、前記切替指示として、前記非表示対象に設定されたデバイスの前記表示対象への切替指示を受け付けるように構成される管理システム。
【請求項2】
前記第二の通信装置による前記状態データの前記クラウドストレージからの取得周期は、前記表示装置に表示される前記デバイスリストの更新間隔よりも長い請求項記載の管理システム。
【請求項3】
繰返し更新される複数の状態データであって、それぞれが、複数のデバイスのうちの、対応するデバイスの状態を説明する複数の状態データを記憶するクラウドストレージにアクセス可能な通信部と、
前記複数のデバイスに関する処理を実行するように構成される処理部と、
を備え、
前記処理部は、前記複数のデバイスに関する処理として、
ユーザインタフェースを通じて入力される切替指示に基づき、前記複数のデバイスのそれぞれを、表示対象と非表示対象との間で切り替えるように、前記表示対象又は前記非表示対象に設定することと、
前記非表示対象に設定されたデバイスを含む前記複数のデバイスのそれぞれの状態データを、前記通信部を介して前記クラウドストレージから繰返し取得することと、
繰返し取得される前記状態データに基づいて、前記複数のデバイスのうちの前記表示対象に設定された一つ以上のデバイスを列挙した前記一つ以上のデバイスのそれぞれの状態を示すデバイスリストを表示装置に表示させ、前記一つ以上のデバイスのそれぞれの最新の状態を示すように、前記デバイスリストを更新することと
前記ユーザインタフェースを通じて特定の指示が入力されたときには、前記デバイスリストとは別の、前記非表示対象に設定されたデバイスを列挙する画面であって、前記非表示対象に設定されたデバイスのそれぞれの状態を示す画面を前記表示装置に表示させ、前記画面を通じて、前記切替指示として、前記非表示対象に設定されたデバイスの前記表示対象への切替指示を受け付けることと、
を実行するように構成される管理装置。
【請求項4】
繰返し更新される複数の状態データであって、それぞれが、複数のデバイスのうちの、対応するデバイスの状態を説明する複数の状態データを記憶するクラウドストレージにアクセス可能な通信装置のコンピュータに、
ユーザインタフェースを通じて入力される切替指示に基づき、前記複数のデバイスのそれぞれを、表示対象と非表示対象との間で切り替えるように、前記表示対象又は前記非表示対象に設定することと、
前記非表示対象に設定されたデバイスを含む前記複数のデバイスのそれぞれの状態データを、前記クラウドストレージから繰返し取得することと、
繰返し取得される前記状態データに基づいて、前記複数のデバイスのうちの前記表示対象に設定された一つ以上のデバイスを列挙した前記一つ以上のデバイスのそれぞれの状態を示すデバイスリストを表示装置に表示させ、前記一つ以上のデバイスのそれぞれの最新の状態を示すように、前記デバイスリストを更新することと
前記ユーザインタフェースを通じて特定の指示が入力されたときには、前記デバイスリストとは別の、前記非表示対象に設定されたデバイスを列挙する画面であって、前記非表示対象に設定されたデバイスのそれぞれの状態を示す画面を前記表示装置に表示させ、前記画面を通じて、前記切替指示として、前記非表示対象に設定されたデバイスの前記表示対象への切替指示を受け付けることと、
を実行させるためのコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、管理システム及び管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置の情報を管理し、遠隔から画像形成装置の稼働状態などを監視するための技術が既に知られている。例えば、監視装置がネットワークを介して画像形成装置の情報を収集し、監視装置の画面で、又は、監視装置に接続されたクライアントPCの画面で収集した情報を表示するシステムが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-48567号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、広域ネットワークを介した端末装置間の通信は、各端末装置が属するローカルエリアネットワークのセキュリティのために、一般的にサーバ装置を介して行われる。同様に、遠隔で管理対象装置を管理装置が管理する場合にも、管理対象装置と管理装置との間にサーバ装置を配置することが考えられる。しかしながら、専用のサーバ装置を構築する手法では、管理に係るシステムの運用コストが高い。
【0005】
一方、専用のサーバ装置に代えて汎用的な中間装置を用いる場合には、専用のサーバ装置を用いることで実現可能な管理にかかる多様な機能を、中間装置において実現することができない。
【0006】
そこで、本開示の一側面によれば、複数のデバイスを汎用的な中間装置を介して管理装置で管理するシステムにおいて、デバイスの管理に有意義な技術を提供できることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一側面に係る管理システムは、少なくとも一つの第一の通信装置と、第二の通信装置とを備える。少なくとも一つの第一の通信装置は、複数の状態データをクラウドストレージに繰返し書き込むように構成される。複数の状態データのそれぞれは、複数のデバイスのうちの、対応するデバイスの状態を説明するデータとして構成される。第二の通信装置は、このクラウドストレージにアクセス可能に構成される。
【0008】
第二の通信装置は、ユーザインタフェースを通じて入力される切替指示に基づき、複数のデバイスのそれぞれを、表示対象と非表示対象との間で切り替えるように、表示対象又は非表示対象に設定することと、複数のデバイスのうちの表示対象に設定された一つ以上のデバイスを列挙し、更には一つ以上のデバイスのそれぞれの状態を示すデバイスリストを表示装置に表示させることと、を実行するように構成される。
【0009】
少なくとも一つの第一の通信装置は、表示対象及び非表示対象の設定に依らず、複数のデバイスについての複数の状態データをクラウドストレージに繰返し書き込むように構成される。
【0010】
第二の通信装置は、複数のデバイスのうちの、少なくとも表示対象に設定された一つ以上のデバイスのそれぞれの状態データを、クラウドストレージから繰返し取得し、取得した状態データに基づいて、デバイスリストを、一つ以上のデバイスのそれぞれの最新の状態を示すように更新することを更に実行するように構成される。
【0011】
この管理システムによれば、汎用的なクラウドストレージを用いながら、表示対象の一つ以上のデバイスのそれぞれの最新の状態を示すデバイスリストを表示装置に表示させることができる。従って、複数のデバイスの管理に有意義な情報を管理者に提供することができる。
【0012】
しかも、この管理システムによれば、デバイスリストにおける各デバイスの表示及び非表示を、ユーザインタフェースを介した指示に基づいて切り替えることができ、デバイスの非表示対象から表示対象への切替によっても、対応するデバイスの動作の切替なしに、第二の通信装置は、デバイスの状態データを取得することができる。
【0013】
このように、デバイスの表示/非表示と、デバイスからの状態データのアップロードとを独立させた構成によれば、第一の通信装置と第二の通信装置との間の複雑な連携を必要とせず、汎用的なクラウドストレージを用いて効率的に、状態表示を伴う各デバイスの表示/非表示の切替を実現することができる。
【0014】
従って、本開示の一側面によれば、複数のデバイスを汎用的なクラウドストレージを介して管理装置で管理するシステムにおいて、デバイスの管理に有意義な技術を提供することができる。
【0015】
本開示の一側面によれば、管理システムを実現するための管理装置が提供されてもよい。本開示の一側面に係る管理装置は、通信部と、処理部とを備える。通信部は、繰返し更新される複数の状態データを記憶するクラウドストレージにアクセス可能に構成される。複数の状態データのそれぞれは、複数のデバイスのうちの、対応するデバイスの状態を説明するデータとして構成される。
【0016】
処理部は、複数のデバイスに関する処理として、ユーザインタフェースを通じて入力される切替指示に基づき、複数のデバイスのそれぞれを、表示対象と非表示対象との間で切り替えるように、表示対象又は非表示対象に設定することを実行するように構成される。
【0017】
処理部は、非表示対象に設定されたデバイスを含む複数のデバイスのそれぞれの状態データを、通信部を介してクラウドストレージから繰返し取得することを更に実行するように構成される。
【0018】
処理部は、繰返し取得される状態データに基づいて、複数のデバイスのうちの表示対象に設定された一つ以上のデバイスを列挙した一つ以上のデバイスのそれぞれの状態を示すデバイスリストを表示装置に表示させ、一つ以上のデバイスのそれぞれの最新の状態を示すように、デバイスリストを更新することを更に実行するように構成される。
【0019】
この管理装置によれば、複数のデバイスを、クラウドストレージを介して管理する場面において、管理者に対し、複数のデバイスの管理に有意義な情報を提供することができる。
【0020】
本開示の一側面によれば、管理装置としての機能をコンピュータに実現させるためのコンピュータプログラムが提供されてもよい。
【0021】
本開示の一側面によれば、繰返し更新される複数の状態データを記憶するクラウドストレージにアクセス可能な通信装置のコンピュータに、ユーザインタフェースを通じて入力される切替指示に基づき、複数のデバイスのそれぞれを、表示対象と非表示対象との間で切り替えるように、表示対象又は非表示対象に設定することと、非表示対象に設定されたデバイスを含む複数のデバイスのそれぞれの状態データを、クラウドストレージから繰返し取得することと、繰返し取得される状態データに基づいて、複数のデバイスのうちの表示対象に設定された一つ以上のデバイスを列挙した一つ以上のデバイスのそれぞれの状態を示すデバイスリストを表示装置に表示させ、一つ以上のデバイスのそれぞれの最新の状態を示すように、デバイスリストを更新することと、を実行させるためのコンピュータプログラムが提供されてもよい。このコンピュータプログラムによれば、通信装置を、上述の管理装置として機能させて、管理システムの構築に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】管理システムの全体構成を表すブロック図である。
図2図2Aは、マスタの構成を表すブロック図であり、図2Bは、クライアントの構成を表すブロック図であり、図2Cは、第1種端末装置の構成を表すブロック図である。
図3図3Aは、第2種端末装置の構成を表すブロック図であり、図3Bは、クラウドサーバの構成を表すブロック図である。
図4】管理システムの動作に関する概略シーケンス図である。
図5図5Aは、スケジュールタスクテーブルの構成を表す図であり、図5Bは、インスタントタスクテーブルの構成を表す図である。
図6】デバイスリストを含むデバイス管理画面の例示的構成を表す図である。
図7】スケジュールタスクに関するマスタ及びクライアントの動作を説明したシーケンス図である。
図8】デバイス管理画面の表示に関係するマスタの機能を示す機能ブロック図である。
図9】マスタの制御部が繰返し実行する取得更新処理を表すフローチャートである。
図10】マスタの制御部が実行する表示制御処理を表すフローチャート(その1)である。
図11】マスタの制御部が実行する表示制御処理を表すフローチャート(その2)である。
図12】一部デバイス削除後のデバイス管理画面の例示的構成を表す図である。
図13】削除デバイス画面を含むデバイス管理画面の例示的構成を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本開示の例示的実施形態を、図面を参照しながら説明する。
[全体構成]
本開示の例示的実施形態に係る管理システム1は、マスタ2及びクライアント3の協働により、複数拠点に配置された端末装置4,5を、クラウドサーバ6を介して管理するように構成されたネットワークシステムである。
【0024】
図1に例示されるマスタ2は、第1拠点に設置された端末装置4とローカルエリアネットワークを介して通信可能に構成される。マスタ2は、さらに、広域ネットワークを介してクラウドサーバ6と通信可能に構成される。
【0025】
クライアント3は、第2拠点に設置された端末装置4とローカルエリアネットワークを介して通信可能に構成される。クライアント3は、さらに、広域ネットワークを介してクラウドサーバ6と通信可能に構成される。第3拠点に設置された端末装置5は、広域ネットワークを介してクラウドサーバ6と通信可能に構成される。
【0026】
ローカルエリアネットワークは、例えば、無線LAN及び有線LANのうち少なくとも一方を含んでいてもよい。広域ネットワークは、例えば、インターネットを含んでいてもよい。第3拠点には、ローカルエリアネットワークが構築されていてもよい。この場合、端末装置5は、第3拠点内のローカルエリアネットワークを介して広域ネットワークに接続されてもよい。
【0027】
端末装置4は、クラウドサーバ6によって提供されるクラウドサービスを利用する能力を有しない。換言すれば、各端末装置4は、クラウドサーバ6と通信を行う機能を有しない。以下では、この端末装置4のことを、特に第1種端末装置4と表現する。一方、端末装置5は、クラウドサーバ6によって提供されるクラウドサービスを利用する能力を有する端末装置である。換言すれば、端末装置5は、クラウドサーバ6と通信する機能を有する。以下では、この端末装置5のことを、特に第2種端末装置5と表現する。
【0028】
第2拠点に設置された第1種端末装置4は、クライアント3及びクラウドサーバ6を介して、マスタ2により管理される。第3拠点に設置された第2種端末装置5は、クライアント3を介さずクラウドサーバ6を介して、マスタ2により管理される。
【0029】
マスタ2によって管理される端末装置4,5は、例えば、企業などの一組織で管理される端末装置の一群であり得る。この場合、各拠点は、組織の活動拠点であり得る。一例によれば、マスタ2が存在する第1拠点は、組織の管理部門を有するオフィスであり得る。それ以外の第2拠点及び第3拠点は、第1拠点から離れた組織のブランチオフィスであり得る。
【0030】
端末装置4,5の例には、プリンタ、スキャナ、及び、それらの機能が統合されたディジタル複合機などが含まれる。マスタ2及びクライアント3は、例えば、パーソナルコンピュータに専用のコンピュータプログラムがインストールされて構成される。
【0031】
[装置構成]
図2Aに示すマスタ2は、制御部11と、通信部12と、表示部13と、入力部14と、記憶部15とを備える。制御部11は、CPU21と、メモリ22とを備える。プロセッサとしてのCPU21は、記憶部15に記憶されたコンピュータプログラムに従う処理を実行する。メモリ22は、上記処理の実行時に、ワークメモリとして使用される。
【0032】
記憶部15は、例えばソリッドステートドライブ(SSD)及びハードディスクドライブ(HDD)等のストレージを含み、各種のコンピュータプログラム及びデータを記憶する。記憶部15には、主管理プログラム15aが記憶される。主管理プログラム15aは、マスタ2により実現されるべき管理機能を、CPU21に実現させるためのコンピュータプログラムである。以下において説明される制御部11を主体とした処理は、CPU21がコンピュータプログラムに従って実行する処理により実現されると理解されてよい。
【0033】
通信部12は、当該マスタ2が存在する拠点のローカルエリアネットワークに接続され、更には、広域ネットワークに接続される。通信部12は、図示しないルータを介して広域ネットワークに接続されてもよい。表示部13は、マスタ2を操作するユーザ向けの各種画面を表示するように構成される。表示部13の例には、液晶ディスプレイが含まれる。各種画面の例には、管理対象の端末装置4,5のログ情報及びステータス情報を表示するための画面、及び、ユーザからの操作信号に従って端末装置4,5を遠隔操作するための画面が含まれる。
【0034】
入力部14は、例えばキーボード及びポインティングデバイス等の、マスタ2を操作するユーザからの操作信号を入力するための一つ以上の入力デバイスを備える。制御部11は、入力部14を通じて入力される操作信号に従って、動作する。
【0035】
図2Bに示すクライアント3は、制御部31と、通信部32と、表示部33と、入力部34と、記憶部35とを備える。制御部31は、CPU41及びメモリ42を備える。プロセッサとしてのCPU41は、記憶部35が記憶するコンピュータプログラムに従う処理を実行する。
【0036】
記憶部35には、副管理プログラム35aが記憶される。副管理プログラム35aは、クライアント3により実現されるべきマスタ2の管理機能に関連する機能を、CPU41に実現させるためのコンピュータプログラムである。以下において説明される制御部31を主体とした処理は、CPU41がコンピュータプログラムに従って実行する処理により実現されると理解されてよい。
【0037】
通信部32は、当該クライアント3が存在する拠点のローカルエリアネットワークに接続され、更には、広域ネットワークに接続される。通信部32は、図示しないルータを介して広域ネットワークに接続されてもよい。表示部33は、例えば液晶ディスプレイを含み、クライアント3を操作するユーザ向けの各種画面を表示するように構成される。入力部34は、クライアント3を操作するユーザからの操作信号を入力するための一つ以上の入力デバイスを備える。制御部31は、入力部34を通じて入力される操作信号に従って、動作する。
【0038】
図2Cに示す第1種端末装置4は、制御部51と、通信部52と、表示部53と、入力部54とを備える。第1種端末装置4がディジタル複合機であるとき、第1種端末装置4は更に、印刷部55と、読取部56とを備えることができる。第1種端末装置4は、印刷部55及び読取部56のうちのどちらか一方のみを備えていてもよい。
【0039】
制御部51は、CPU61と、メモリ62とを備える。メモリ62は、RAMの他、例えばフラッシュメモリ等の不揮発性メモリを備えることができ、不揮発性メモリに、コンピュータプログラム及び設定データ等を記憶することができる。
【0040】
プロセッサとしてのCPU61は、メモリ62に記憶されたコンピュータプログラムに従う処理を実行することにより、第1種端末装置全体を統括制御する。以下において説明される制御部51を主体とした処理は、CPU61がコンピュータプログラムに従って実行する処理により実現されると理解されてよい。
【0041】
通信部52は、当該第1種端末装置4が存在する拠点のローカルエリアネットワークに、そこに存在するマスタ2又はクライアント3と通信可能であるように接続される。表示部53は、例えば液晶ディスプレイを含み、第1種端末装置4を操作するユーザ向けの各種画面を表示するように構成される。入力部54は、ユーザからの操作信号を入力するために、例えば液晶ディスプレイ上のタッチパネル等の一つ以上の入力デバイスを備える。
【0042】
印刷部55は、制御部51に制御されて、シートに画像を印刷するように構成される。印刷部55の例には、インクジェットプリンタ及びレーザプリンタが含まれる。本実施形態によれば、色材の残量等のステータス情報や印刷枚数等のログ情報が、後述する方法で、第1種端末装置4からクライアント3及びクラウドサーバ6を通じてマスタ2に提供される。読取部56は、制御部51に制御されて、印刷物等の読取対象を読み取るように構成される。
【0043】
図3Aに示す第2種端末装置5は、制御部71と、通信部72と、表示部73と、入力部74とを備える。第2種端末装置5がディジタル複合機であるとき、第2種端末装置5は更に、印刷部75と、読取部76とを備えることができる。第2種端末装置5は、印刷部75及び読取部76のうちのどちらか一方のみを備えていてもよい。
【0044】
制御部71は、CPU81と、メモリ82とを備える。メモリ82は、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリを備えることができ、不揮発性メモリに、コンピュータプログラムや設定データ等を記憶することができる。
【0045】
プロセッサとしてのCPU81は、メモリ82に記憶されたコンピュータプログラムに従う処理を実行することにより、装置全体を統括制御する。メモリ82には、通信プログラム82aが記憶される。通信プログラム82aは、クラウドサーバ6によって提供されるクラウドサービスを利用するためのプログラムである。以下において説明される制御部71を主体とした処理は、CPU81がコンピュータプログラムに従って実行する処理により実現されると理解されてよい。
【0046】
通信部72は、クラウドサーバ6と通信可能であるように、広域ネットワークに接続される。第3拠点にローカルエリアネットワークが構築されている場合、通信部72は、そのローカルエリアネットワークを介して広域ネットワークに接続されてもよい。表示部73は、例えば液晶ディスプレイを含む。入力部74は、ユーザからの操作信号を入力するための一つ以上の入力デバイスを備える。
【0047】
印刷部75は、制御部71に制御されて、シートに画像を印刷するように構成される。本実施形態によれば、色材の残量等のステータス情報や印刷枚数等のログ情報が、後述する方法で、第2種端末装置5からクラウドサーバ6を通じてマスタ2に提供される。読取部76は、制御部71に制御されて、印刷物等の読取対象を読み取るように構成される。
【0048】
図3Bに示すクラウドサーバ6は、制御部91と、通信部92と、第1ストレージ93と、第2ストレージ94とを備える。制御部91は、CPU101と、メモリ102とを備える。
【0049】
プロセッサとしてのCPU101は、メモリ102が記憶するコンピュータプログラムに従う処理を実行する。CPU101が実行する処理には、当該クラウドサーバ6をクラウドストレージとして機能させるための処理が含まれる。以下において説明される制御部91を主体とした処理は、CPU101がコンピュータプログラムに従って実行する処理により実現されると理解されてよい。
【0050】
上記クラウドストレージは、テーブルストレージ及びオブジェクトストレージを含む。制御部91による上記処理の実行により、第1ストレージ93は、テーブルストレージとして機能し、第2ストレージ94は、オブジェクトストレージとして機能する。
【0051】
例示的な第1ストレージ93は、NoSQLデータストアとして機能し、スキーマレスのエンティティの一群を構成要素とするテーブルを格納可能に構成される。テーブルにおける各エンティティは、プロパティのセットで構成され、各プロパティは、キー及び値(すなわちバリュー)のペアで構成される。
【0052】
例示的な第2ストレージ94は、オブジェクトとして、任意のテキストファイル及びバイナルファイルを、HTTP/HTTPSプロトコルを用いて、外部から読込及び書込可能なオブジェクトストレージとして機能する。
【0053】
上述したテーブルストレージ及びオブジェクトストレージを提供するクラウドサービスとしては、マイクロソフト社のAzure(登録商標)が知られている。クラウドサーバ6は、このようなクラウドサービスと同様に動作し得る。
【0054】
[シーケンス概略]
続いて、管理に関する動作シーケンスを、図4を用いて概略的に説明する。準備段階では、マスタ2に主管理プログラム15aがインストールされる。主管理プログラム15aに従う処理が、マスタ2の制御部11により実行され、クラウドプロファイルが設定される(S01)。
【0055】
クライアント3及び第2種端末装置5においては、後述するように、クラウドサーバ6に対するポーリング動作及びクラウドサーバ6に保持される情報の更新動作が実行される。クラウドプロファイルの設定(S01)は、クラウドパラメータを設定することを含む。クラウドパラメータは、ポーリング動作の周期(以下、「ポーリング周期」と称する)及び情報の更新動作の周期(以下、「情報更新周期」と称する)を含む。クラウドプロファイルの設定(S01)は、さらに、クラウドサービスを利用するための共有アクセス署名(SAS:Shared Access Signature)を設定することを含む。
【0056】
クラウドプロファイルの設定は、例えば、マスタ2のユーザである主管理者の入力部14を通じた設定操作に従って行われる。SASは、第1ストレージ93及び第2ストレージ94のそれぞれ、すなわち、テーブルストレージ及びオブジェクトストレージのそれぞれに対して個別に設定される。
【0057】
続いて、設定されたクラウドプロファイルに従うクラウドパラメータが、マスタ2からクラウドサーバ6の第1ストレージ93にアップロードされ(S02)、第1ストレージ93に書き込まれる(S03)。ポーリング周期及び情報更新周期を含むクラウドパラメータは、テーブルのエンティティとして、第1ストレージ93に書き込まれる。
【0058】
更に、クラウドプロファイルの少なくとも一部が、クライアントプロファイル、即ちクライアント3での読込用データとして、マスタ2からエクスポートされる(S04)。クライアントプロファイルは、例えば、上述のクラウドパラメータを含んでいてもよい。
【0059】
エクスポートされたクライアントプロファイルは、クライアント3に提供される。クライアントプロファイルは、どのような方法でクライアント3に提供されてもよい。例えば、マスタ2からクライアント3へ、電子メールその他の方法でクライアントプロファイルが送信されてもよい。また例えば、主管理者により、クライアント3のユーザである副管理者にクライアントプロファイルが提供されてもよい。より具体的には、例えば、主管理者が、自身の所持する情報処理端末にクライアントプロファイルを格納し、そのクライアントプロファイルを、副管理者が所持する別の情報処理端末へ送信することにより、副管理者がその別の情報処理端末からクライアント3へクライアントプロファイルを転送できるようにしてもよい。主管理者は、自身の情報処理端末からクライアント3へクライアントプロファイルを送信してもよい。また例えば、主管理者は、クライアントプロファイルを所定のストレージに格納し、そのストレージを副管理者へ提供することにより、副管理者がそのストレージからクライアント3へクライアントプロファイルを転送できるようにしてもよい。
【0060】
副管理者は、クライアント3を操作して、クライアント3に副管理プログラム35aをインストールする(S06)。この際、副管理者の操作によりマスタ2から提供されたクライアントプロファイルがインポートされて、クライアントプロファイルに従うクラウドパラメータ及びSASがクライアント3に設定される(S05)。
【0061】
上記のインストール及び設定を経て、クライアント3は、クラウドサーバ6を利用可能に構成される。これにより、クライアント3は、クラウドサーバ6を介してマスタ2と情報伝達可能に構成される。具体的には、クライアント3は、マスタ2から第1種端末装置4へのタスクの実行指示及び第1種端末装置4からマスタ2へのログ情報及びステータス情報の伝達などの、マスタ2と第1種端末装置4との間の中継動作を、クラウドサーバ6を介して実行可能に構成される。
【0062】
一方、第2種端末装置5には、第2種端末装置5の管理者である装置管理者による入力操作により、SASが登録される(S07)。SASの登録された第2種端末装置5の制御部71は、通信プログラム82aに従う処理を実行する。通信プログラム82aに従う処理を実行している制御部71のことを、以下、「クラウドコネクタ」と称する。クラウドコネクタは、クラウドサーバ6の第1ストレージ93内の、マスタ2により書き込まれたクラウドパラメータを参照する(S08)。クラウドコネクタは、このクラウドパラメータを取得して自装置に設定する(S08)。
【0063】
上述のクラウドパラメータ及びSASの設定を含む、クライアント3及び第2種端末装置5(クラウドコネクタ)の初期設定(S05~S08)が完了すると、クライアント3及び第2種端末装置5では、設定された情報更新周期に従って、定期的に、クラウドサーバ6の第1ストレージ93内に格納された情報を更新するスケジュールタスクが実行される。
【0064】
スケジュールタスクは、デバイス情報を第1ストレージ93に登録することから始まる(S09,S10)。第1ストレージ93は、テーブルの一つとして、スケジュールタスクテーブルを備える。図5Aに示すように、スケジュールタスクテーブルは、第1キー、第2キー、リクエストパラメータ、レスポンスパラメータ、通知元、進捗状況、及びデバイスIDのプロパティを含むエンティティの一群から構成される。
【0065】
スケジュールタスクテーブルは、端末装置4,5のそれぞれについて、「ログ」「ステータス」「登録」に関する3つのエンティティを備え、エンティティ内の情報は、対応する第1種端末装置4を管理するクライアント3、又は対応する第2種端末装置5のクラウドコネクタによって更新される(S09,S10)。
【0066】
エンティティ内の「通知元」のプロパティは、エンティティの更新者を示し、エンティティがクライアント3により更新されるとき、「通知元」のプロパティは、値「クライアント」に更新され、エンティティがクラウドコネクタにより更新されるとき、「通知元」のプロパティは、値「デバイス」に更新される。
【0067】
「ログ」に関するエンティティは、第1キーの値「ログ」を有するログエンティティであり、第2キーの値として記載されるデバイスIDに対応する端末装置4,5の一つのログ情報を、レスポンスパラメータに記述する。デバイスIDは、端末装置4,5のそれぞれにユニークなIDである。
【0068】
ログ情報は、対応する端末装置がプリンタ又はディジタル複合機であるとき、対応する端末装置の総印刷枚数の情報を含み得る。ログ情報は、印刷履歴として、印刷ジョブ毎に、印刷指令元のユーザ及び印刷枚数の情報を含み得る。
【0069】
図5A下段に例示されるように、レスポンスパラメータは、例えばJSONデータを含むことができる。例えば、ログ情報は、対応するパラメータの管理情報ベース(MIB)で用いられるオブジェクト識別子(OID)と、その値とを関連付けるようにして、JSON形式で記述され得る。図5A下段における記載”x.x.x.x.x ・・・・・・・・・・・”,”y.y.y.y.y ・・・・・・・・・・”は、オブジェクト識別子の抽象表現に対応する。更新される前の初期状態のレスポンスパラメータは、オブジェクト識別子に初期値が関連付けられたリクエストパラメータとして存在し得る。図5A下段の例示によれば、OID”y.y.y.y.y ・・・・・・・・・・”に関連付けられた初期値”%MIB(y.y.y.y.y ・・・・・・・・・・)%”が、更新により、値”4”に書き換えられている。
【0070】
「ステータス」に関するエンティティは、第1キーの値「ステータス」を有するステータスエンティティであり、第2キーの値として記載されるデバイスIDに対応する端末装置4,5の一つのステータス情報を、レスポンスパラメータに記述する。ステータス情報は、対応する端末装置がプリンタ又はディジタル複合機であるとき、対応する端末装置の色材の残量情報や紙詰まり等のエラー情報を含み得る。ステータスエンティティにおいてもログエンティティと同様に、レスポンスパラメータは、JSON形式で記述され得る。
【0071】
「登録」に関するエンティティは、第1キーの値「登録」を有する登録エンティティであり、第2キーの値として記載されるデバイスIDに対応する端末装置4,5の一つのデバイス情報を、レスポンスパラメータに記述する。レスポンスパラメータには、デバイス情報として、デバイスの基本構成を説明する複数の項目値が記述される。
【0072】
スケジュールタスクテーブルにおいて、第2種端末装置5のクラウドコネクタのエンティティは、当該クラウドコネクタによって更新される(S09)。第1種端末装置4のエンティティは、第1種端末装置4と同一のローカルエリアネットワークに接続されたクライアント3によって更新される(S10)。すなわち、クライアント3によって、クライアント3配下の第1種端末装置4毎のエンティティが更新される。第1種端末装置4の登録エンティティには、第1種端末装置4を配下におくクライアント3の識別情報が、デバイス情報の一部として書き込まれる。
【0073】
クライアント3は、副管理プログラム35aに従う制御部31の処理によって、ローカルエリア内の各第1種端末装置4と通信し、各第1種端末装置4から、デバイス情報の更新に必要な情報を取得して、対応する第1種端末装置4の登録エンティティを更新することができる(S10)。
【0074】
クライアント3は、定期的に、配下の各第1種端末装置4とローカルエリア内で通信して、対応するログ情報及びステータス情報を取得し、クラウドサーバ6の第1ストレージ93内の各第1種端末装置4のログエンティティ及びステータスエンティティを更新することができる(S10)。
【0075】
第2種端末装置5のクラウドコネクタは、定期的にクラウドサーバ6にアクセスし、自己のログ情報及びステータス情報を更新するように第1ストレージ93における自己のログエンティティ及びステータスエンティティを更新することができる(S09)。
【0076】
マスタ2は、クライアント3としての機能を兼ね備える。即ち、マスタ2は、第1拠点の第1種端末装置4に対して、クライアント3として機能すると理解してよい。具体的には、マスタ2は、クライアント3と同様、クラウドサーバ6の第1ストレージ93内における、配下の第1種端末装置4それぞれの登録エンティティ、ログエンティティ及びステータスエンティティを更新することができる。
【0077】
マスタ2は、さらに、定期的にクラウドサーバ6にアクセスして、第1ストレージ93における端末装置4,5のそれぞれのログエンティティ、ステータスエンティティ、及び登録エンティティを参照し、これらの参照に基づき、各端末装置4,5のログ情報、ステータス情報、及び、デバイス情報を、記憶部15に記憶する処理を実行することができる(S11)。
【0078】
更に、マスタ2は、入力部14を通じたユーザからの操作信号に従って、表示部13の画面に、上記登録された端末装置4,5のリストを表示したり、端末装置4,5のログ情報及びステータス情報を表示したりすることができる(S11)。このように、管理システム1は、複数拠点で使用される端末装置4,5の状態を、マスタ2の設置された一拠点で遠隔から監視可能に構成される。
【0079】
この他、管理システム1によれば、スケジュールタスク以外の非定期のタスクであるインスタントタスクが、マスタ2からの要求に基づき、端末装置4,5により実行される。マスタ2は、第1ストレージ93に、インスタントタスクのエンティティを登録することにより、インスタントタスクの実行を、対応する端末装置4,5に要求する(S13)。例えば、端末装置4,5におけるファームウェアの更新が、インスタントタスクの一つとして実現される。
【0080】
マスタ2は、入力部14を通じたユーザからの操作信号に従って、マスタ2のユーザからインスタントタスクの実行要求操作を受け付け(S12)、該当エンティティを登録することができる(S13)。
【0081】
第1ストレージ93は、図5Bに示すインスタントタスクテーブルを備える。インスタントタスクテーブルは、スケジュールタスクテーブルと同様に、第1キー、第2キー、リクエストパラメータ、レスポンスパラメータ、通知元、進捗状況、及びデバイスIDのプロパティを含むエンティティの一群から構成される。
【0082】
インスタントタスクテーブルのエンティティ(以下、インスタントタスクエンティティという)は、第1キーの値として、「インスタントタスク」が記載されたエンティティである。インスタントタスクエンティティにおける、第2キーのプロパティは、トランザクションIDを値に有する。トランザクションIDは、同時期に発生するインスタントタスクのそれぞれに対してユニークなIDであり、同時期に発生する複数のインスタントタスクのそれぞれのエンティティを区別するために用いられる。
【0083】
インスタントタスクエンティティにおけるデバイスIDのプロパティには、インスタンスタスクの要求先である端末装置4,5のデバイスIDが値として記述される。クライアント3配下の複数の第1種端末装置4に対してインスタントタスクが要求されるとき、デバイスIDのプロパティには、複数の第1種端末装置4のそれぞれのデバイスIDが記述される。
【0084】
インスタントタスクエンティティにおけるリクエストパラメータは、インスタントタスクとして実行すべき処理の内容を説明するデータを値として含む。処理内容は、例えば、JSONデータとして記述される。
【0085】
マスタ2が実行を要求するインスタントタスクが端末装置4,5におけるファームウェアの更新である場合には、マスタ2は、ファームウェアの更新ファイルを、オブジェクトストレージとして機能する第2ストレージ94に格納する(S14)。この場合、リクエストパラメータには、ファームウェアの更新ファイルの格納先URLが記述される。
【0086】
第2種端末装置5のクラウドコネクタは、設定されたポーリング周期で、クラウドサーバ6の第1ストレージ93にアクセスし、インスタントタスクテーブル内に、自己で実行すべきインスタントタスクの新規エンティティが登録されているかを判別する(S15)。
【0087】
新規エンティティが登録されている場合、クラウドコネクタは、第1ストレージ93内の対応するインスタントタスクエンティティの進捗状況のプロパティの値を「要求」から「進行中」に更新することにより、インスタントタスクの要求の受取をマスタ2に伝達する(S15)。
【0088】
マスタ2は、状況確認として、第1ストレージ93におけるインスタントタスクエンティティを定期的に参照する(S18)。マスタ2は、定期参照により、進捗状況のプロパティの値が更新されたことに基づいて、インスタントタスクの要求が受け取られたことを確認することができる。
【0089】
第2種端末装置5のクラウドコネクタは、インスタントタスクの実行に際して、インスタントタスクエンティティのリクエストパラメータを参照する(S15)。クラウドコネクタは、参照したリクエストパラメータに基づき、インスタントタスクの実行に必要なデータファイルが第2ストレージ94内に存在する場合には、リクエストパラメータに記載された格納先URLに基づいて、第2ストレージ94からデータファイルをダウンロードし(S16)、インスタントタスクを実行する。
【0090】
第2種端末装置5のクラウドコネクタは、インスタントタスクが終了すると、進捗状況のプロパティの値を「進行中」から「完了」に変更し、レスポンスパラメータとして処理結果を書き込むように、第1ストレージ93内の対応するインスタントタスクエンティティを更新する(S17)。
【0091】
クライアント3も、第2種端末装置5のクラウドコネクタと同様に、設定されたポーリング周期で、クラウドサーバ6の第1ストレージ93にアクセスし、インスタントタスクテーブル内に、配下の第1種端末装置4に実行させるべきインスタントタスクの新規エンティティが登録されているか否かを判別する(S19)。以下、配下の第1種端末装置4のうちインスタントタスクテーブルにおいてインスタントタスクの実行対象に設定されている1つ以上の第1種端末装置4(つまりデバイスIDのプロパティにデバイスIDが記述されている1つ以上の第1種端末装置4)のそれぞれを、「インスタントタスク実行対象」と称する。
【0092】
新規エンティティが登録されている場合、クライアント3は、進捗状況のプロパティの値を「要求」から「進行中」に更新するように、第1ストレージ93内の対応するインスタントタスクエンティティを更新する(S19)。クライアント3は更に、リクエストパラメータの参照により、必要に応じて第2ストレージ94からインスタントタスクに実行に必要なデータファイルを取得する(S20)。
【0093】
その後、クライアント3は、ローカルエリアネットワークを通じて、インスタントタスク実行対象に、インスタントタスクの実行を指示する(S21)。この際、第2ストレージ94から取得した上記実行に必要なデータファイルを、各インスタントタスク実行対象に転送する(S21)。
【0094】
クライアント3は、全てのインスタントタスク実行対象においてインスタントタスクの実行が完了すると、進捗状況のプロパティの値を「進行中」から「完了」に変更し、レスポンスパラメータとして処理結果を書き込むように、第1ストレージ93内の対応するインスタントタスクエンティティを更新する(S22)。このエンティティの更新により、クライアント3は、クラウドサーバ6の第1ストレージ93を介して、マスタ2に、インスタントタスク実行対象におけるインスタントタスクの実行経過及び処理結果を通知する(S22)。
【0095】
マスタ2は、状況確認として、第1ストレージ93におけるインスタントタスクエンティティを参照し、進捗状況のプロパティの値が「完了」に更新されたことを知ることにより、インスタントタスクが完了したことを確認し、処理結果を記憶部15に書き込む(S23)。
【0096】
マスタ2は更に、処理結果を表示部13の画面に表示することができる。マスタ2は、登録したインスタントタスクが対象の端末装置4,5全てで完了したこと、換言すればそのインスタントタスクが不要になったことを確認すると(S24)、その不要になったインスタントタスクエンティティを、第1ストレージ93から削除し(S25)、インスタントタスクに供された第2ストレージ94内のデータファイル(例えばファームウェアの更新ファイル)を削除する(S26)。
【0097】
このように、管理システム1は、クラウドサーバ6の第1ストレージ93におけるインスタントタスクエンティティの登録及び更新により、更には第2ストレージ94を介したデータファイルの転送により、複数拠点で使用される端末装置4,5を、マスタ2の設置された一拠点で遠隔から制御可能に構成される。
【0098】
[デバイス管理画面の詳細説明]
続いて、スケジュールタスクにより端末装置4,5から提供される情報に基づいて表示されるデバイス管理画面G0の構成及び表示に関するマスタ2の処理動作の詳細を説明する。以下では、端末装置4,5が、プリンタ又は、プリンタ機能を有するディジタル複合機であることを前提に話を進める。
【0099】
デバイス管理画面G0は、図6に示すように第一領域R1と第二領域R2とを備える。第一領域R1は、主に、デバイスリストG1を表示する領域として使用される。デバイスリストG1は、管理システム1において登録された複数の端末装置4,5のリストである。ここでいうデバイスは、端末装置4,5のそれぞれに対応する。
【0100】
デバイス管理画面G0は、図示しないグループ選択画面を有していてもよく、デバイスリストG1には、管理システム1において登録された複数の端末装置4,5のうち、グループ選択画面にて選択されたグループに属する端末装置4,5が表示されてもよい。
【0101】
図6に示すデバイスリストG1は、端末装置4,5のそれぞれに関して、端末装置毎の行データを有するテーブル構造で表示される。各行データは、対応する端末装置のステータス、モデル名、トナー/インク量、及び、ノード名の情報を有する。ステータスは、対応する端末装置が、マスタ2等の外部からの指示に基づく処理を実行可能な状態であるか否かを示す。実行可能な状態であるときにはレディ(すなわちREADY)と表示される。対応する端末装置においてエラーが生じている場合には、ステータスとしてエラーを説明する文字列が表示される。
【0102】
モデル名は、対応する端末装置の製品モデル名を示し、ノード名は、対応する端末装置のノード名を示す。トナー/インク量は、端末装置4,5がプリンタ機能で使用する色材の残量を表す。端末装置4,5が、インクジェットプリンタとしての機能を有する場合の色材は、インクであり、レーザプリンタとしての機能を有する場合の色材は、トナーである。図6では、CMYKの各色の色材の残量が、トナー/インク量として棒グラフで示されている。
【0103】
一方、第二領域R2は、第一領域R1に表示される複数の端末装置4,5のうちのカーソルによって選択された一つの詳細情報を表示する領域として使用される。第二領域R2は更に、デバイスリストG1においてチェックボックスにより指定された一つ以上の端末装置に対する操作を行うためのグラフィカルユーザインタフェースを備える。図6によれば、第二領域R2は、指定された一つ以上の端末装置をデバイスリストG1から削除するための操作オブジェクトJ1、及び、指定された一つ以上の端末装置に対して実行を要求するインスタントタスクを作成するための操作オブジェクトJ2を備える。
【0104】
更に、デバイス管理画面G0は、第一領域R1において表示されるデバイスリストG1を削除デバイス画面G2(図13参照)に切り替えるための操作オブジェクトJ3を備える。削除デバイス画面G2は、非表示対象として、デバイスリストG1から削除された端末装置4,5を表示する画面である。詳細については後述する。
【0105】
デバイスリストG1において表示対象の端末装置毎に表示されるトナー/インク量は、クライアント3及びクラウドコネクタが、スケジュールタスクとして、クラウドサーバ6の第1ストレージ93における該当端末装置のステータス情報を更新することにより、第1ストレージ93に書き込まれる。マスタ2は、このステータス情報を参照することにより、デバイスリストG1の表示に必要なトナー/インク量の情報を収集する。
【0106】
図7には、スケジュールタスクに関するマスタ2及びクライアント3の動作がシーケンス図として示される。上述した通り、スケジュールタスクによるステータス情報の情報更新周期は、クライアント3において、副管理プログラム35aのインストール時に、クライアントプロファイルがインポートされることにより、設定される。
【0107】
マスタ2は、入力部14を通じたユーザからの情報更新周期の変更操作を受け付けることができ、上記変更操作により変更された情報更新周期に、クラウドサーバ6の第1ストレージ93に格納されるクラウドパラメータを更新することができる。クライアント3は、ポーリング動作により第1ストレージ93に格納されている更新後のクラウドパラメータを参照することにより、自装置における情報更新周期の設定値を更新することができる。
【0108】
クライアント3は、インストール時に設定された情報更新周期、あるいは、その後に変更された情報更新周期に従って、ローカルエリアネットワーク内の各第1種端末装置4の、トナー/インク量を含むステータス情報を、対応する第1種端末装置4から周期的に取得する。
【0109】
クライアント3は、このように周期的に繰返し取得されるステータス情報に基づき、上記情報更新周期で、クラウドサーバ6の第1ストレージ93に記憶された対応する第1種端末装置4のステータスエンティティを周期的に更新する。すなわち、クライアント3は、対応する第1種端末装置4のステータスエンティティにおけるトナー/インク量を含むステータス情報を、第1種端末装置4から取得した最新の情報に更新する。
【0110】
付言すると、上述のクラウドパラメータは、ローカルエリアネットワーク内のデバイス検索周期も含み、クライアント3には、上記ステータス情報についての情報更新周期と同様に、デバイス検索周期も設定される。クライアント3は、設定されたデバイス検索周期で、ローカルエリアネットワーク内の第1種端末装置4を検索して、検索により発見された第1種端末装置4と通信し、周期的にステータス情報を取得する。
【0111】
新規の第1種端末装置4が検索された場合には、登録エンティティがクライアント3から第1ストレージ93に書き込まれる。マスタ2は、第1ストレージ93に書き込まれた登録エンティティに基づいて、新規の第1種端末装置4をデバイスリストG1での表示対象に設定して登録するように、メモリ22に記憶する表示設定データ11Eを更新する。
【0112】
表示設定データ11Eは、管理システム1において登録されている端末装置4,5のそれぞれについて、対応する端末装置のデバイスIDに関連付けて、対応する端末装置がデバイスリストG1での表示対象及び非表示対象のいずれであるかを表す設定値を記憶する。表示設定データ11Eは、記憶部15に保存され、メモリ22に読み出されて、デバイス管理画面G0の表示制御に使用される。
【0113】
以下、管理システム1に登録された端末装置4,5のうち、表示対象に設定された端末装置のそれぞれを、表示対象デバイスと表現し、非表示対象に設定された端末装置のそれぞれを、非表示対象デバイスと表現する。
【0114】
マスタ2の制御部11は、主管理プログラム15aに従う処理の実行により、デバイス管理画面G0の表示に関連して、図8に示す情報取得部11A、及び、表示制御部11Cとして機能する。メモリ22には、表示制御部11Cによる表示部13を介したデバイス管理画面G0の表示に必要なデータを記憶するための内部テーブル11Dが作成される。
【0115】
情報取得部11Aは、予め定められた参照周期(換言すれば取得周期)で、定期的に図9に示す取得更新処理を実行する。取得更新処理において、情報取得部11Aは、第1ストレージ93のスケジュールタスクテーブルを参照して、テーブル情報を取得する。テーブル情報は、スケジュールタスクテーブルに登録されたエンティティの一群である(S110)。
【0116】
その後、情報取得部11Aは、取得したテーブル情報に基づいて、内部テーブル11Dを更新する(S120)。内部テーブル11Dは、クラウドサーバ6の第1ストレージ93が有するスケジュールタスクテーブルのコピーに対応する。情報取得部11Aは、取得したテーブル情報に基づき、クラウドサーバ6の第1ストレージ93が保持するスケジュールタスクテーブルと同じ情報を保持するように、内部テーブル11Dを更新する。
【0117】
この更新により、内部テーブル11Dには、クライアント3及びクラウドコネクタの動作により第1ストレージ93内で定期的に更新される、管理システム1に登録された端末装置4,5のそれぞれのログエンティティが有する最新のログ情報、ステータスエンティティが有する最新のステータス情報、並びに、登録エンティティが有する最新のデバイス情報が記憶される。
【0118】
情報取得部11Aは更に、テーブル情報に基づいて、新規の第1種端末装置4を、デバイスリストG1での表示対象に設定しつつ表示設定データ11Eに登録するように、表示設定データ11Eを更新する。
【0119】
また、表示制御部11Cは、図10及び図11に示す表示制御処理を実行することにより、表示部13におけるデバイス管理画面G0の表示を制御する。表示制御部11Cは、入力部14を通じてデバイス管理画面G0の表示指示が入力されると、表示制御処理を開始する。
【0120】
表示制御処理を開始すると、表示制御部11Cは、表示部13にデバイス管理画面G0を表示させ、デバイス管理画面G0の第一領域R1にデバイスリストG1を表示させる(S210)。デバイス管理画面G0の表示に先駆けて、マスタ2は、情報取得部11Aに取得更新処理の繰返し実行を開始させ、デバイスリストG1の表示に必要な内部テーブル11Dを生成させる。
【0121】
表示制御部11Cは、表示設定データ11Eに示される表示対象デバイス群のデバイスIDに基づき、内部テーブル11Dにおける各表示対象デバイスのステータス情報を参照し、表示対象デバイスとして設定された端末装置4,5を列挙したデバイスリストG1であって、各端末装置4,5の状態としてトナー/インク量を示したデバイスリストG1を第一領域R1に表示させる。
【0122】
その後、表示制御部11Cは、入力部14を通じたデバイス管理画面G0に対するユーザ操作がなされたかを判別する(S220)。操作がなされていないと判別すると(S220でNo)、表示制御部11Cは、内部テーブル11Dを参照し、内部テーブル11Dが有する各表示対象デバイスのステータス情報から、各表示対象デバイスの最新のトナー/インク量を含む最新の状態を判別し(S230)、判別した各表示対象デバイスの最新状態をデバイスリストG1に示すように、デバイスリストG1を含むデバイス管理画面G0を更新する(S235)。
【0123】
表示制御部11Cは、更新前のデバイスリストG1に登録されていなかった新規の端末装置4,5が表示対象デバイスとして表示設定データ11Eに登録されている場合、S235において、新規の表示対象デバイスをデバイスリストG1に追加表示するように、デバイス管理画面G0を更新する。
【0124】
表示制御部11Cは、上記構成のデバイス管理画面G0の更新を短い間隔で繰返し実行することにより、各表示対象デバイスの最新状態をデバイスリストG1に表示させる。
【0125】
この他、表示制御部11Cは、入力部14を通じてデバイス管理画面G0に対するユーザ操作がなされたと判別すると(S220でYes)、ユーザ操作に応じた処理を実行する(S240-S390)。
【0126】
具体的に、表示制御部11Cは、第一領域R1のデバイスリストG1からカーソル操作により一つの表示対象デバイスを選択する操作がなされると(S240でYes)、第二領域R2に上記選択された表示対象デバイスの詳細情報が表示されるように、第二領域R2を更新する(S245)。表示対象デバイスの詳細情報の例には、IPアドレスなどが含まれる。
【0127】
表示制御部11Cは、第二領域R2の図6に示す操作オブジェクトJ1の押下操作により、入力部14を通じて表示対象デバイスのデバイスリストG1からの削除操作がなされると(S250でYes)、第一領域R1のチェックボックスを用いてユーザから指定された一つ以上の表示対象デバイスを、非表示対象デバイスに設定し(S260)、これらの非表示対象デバイスを、デバイスリストG1から削除するように、デバイス管理画面G0を更新する(S265)。
【0128】
S260において、表示制御部11Cは、上記指定された一つ以上の表示対象デバイスを、非表示対象デバイスに設定するように、表示設定データ11Eを更新する。図12は、図6における表示対象デバイスの一部が非表示対象デバイスに切り替えられることにより、一部の端末装置4,5がデバイスリストG1から削除されたときのデバイス管理画面G0の例を示している。
【0129】
表示制御部11Cは、デバイス管理画面G0の図6に示す操作オブジェクトJ3の押下操作により、入力部14を通じて削除デバイス画面G2への切替操作がなされると(S270でYes)、図11に示すS300以降の処理を実行する。
【0130】
この他、表示制御部11Cは、入力部14を通じてデバイス管理画面G0の表示終了操作がなされると(S280でYes)、図10に示す表示制御処理を終了する。表示制御部11Cは、その他の操作がなされた場合(S280でNo)、操作に対応した処理を実行して(S290)、S220の処理に戻る。
【0131】
S220の処理に戻ると、表示制御部11Cは、次の操作がなされるまで、繰返しS230,S235の処理を実行して、デバイス管理画面G0を、デバイスリストG1において各表示対象デバイスの最新状態が表示されるように更新する。次の操作がなされると(S220でYes)、操作に応じた処理を実行する。
【0132】
表示制御部11Cは、削除デバイス画面G2への切替操作がなされてS300に移行すると、表示設定データ11Eに示される非表示対象デバイス群のデバイスIDに基づき、内部テーブル11Dが示す各非表示対象デバイスのステータス情報を参照して、各非表示対象デバイスの最新のトナー/インク量を含む最新の状態を判別する。
【0133】
表示制御部11Cは、判別した非表示対象デバイスの最新状態に基づき、第一領域R1にデバイスリストG1に代わる別の画面として、削除デバイス画面G2が表示されるようにデバイス管理画面G0を更新する(S310)。削除デバイス画面G2は、非表示対象デバイスを列挙した画面であって、各非表示対象デバイスの最新状態を示した画面である。
【0134】
第一領域R1に削除デバイス画面G2が表示されたデバイス管理画面G0は、図13に示される。この図13から理解できるように、削除デバイス画面G2は、非表示対象デバイスのそれぞれに関して、デバイスリストG1と同様に、対応する端末装置のステータス、モデル名、トナー/インク量、及び、ノード名の情報を表示するように構成される。
【0135】
削除デバイス画面G2が第一領域R1に表示されるときには、第二領域R2に、削除デバイスをデバイスリストG1に戻すための操作オブジェクトJ4が表示される。また、第二領域R2には、削除デバイスに対するインスタントタスクを作成するための操作オブジェクトJ5が表示される。更に第二領域R2には、削除デバイス画面G2でカーソル操作により選択された非表示対象デバイスの詳細情報が表示される。この他、デバイス管理画面G0には、第一領域R1において表示される削除デバイス画面G2をデバイスリストG1に切り替えるための操作オブジェクトJ6が表示される。
【0136】
第一領域R1に削除デバイス画面G2が表示されている状態においても、表示制御部11Cは、入力部14を通じたデバイス管理画面G0に対するユーザ操作がなされたかを判別する(S320)。
【0137】
デバイス管理画面G0に対する入力部14を通じた操作がなされていないとき(S320でNo)、表示制御部11Cは、内部テーブル11Dが示す各非表示対象デバイスのステータス情報を参照して、各非表示対象デバイスの最新のトナー/インク量を含む最新の状態を判別し(S330)、第一領域R1の削除デバイス画面G2が各非表示対象デバイスの最新状態を示すように、デバイス管理画面G0を更新する(S335)。表示制御部11Cは、操作がなされていないとき、S330,S335の処理を繰返し実行する。
【0138】
デバイス管理画面G0に対する入力部14を通じた操作がなされると(S320でYes)、表示制御部11Cは、操作に応じた処理を実行する。具体的に、表示制御部11Cは、操作オブジェクトJ4の押下操作により、入力部14を通じて非表示対象デバイスのデバイスリストG1への復元操作がなされると(S340でYes)、第一領域R1の削除デバイス画面G2のチェックボックスを用いてユーザから指定された一つ以上の非表示対象デバイスを、表示対象デバイスに設定変更する(S350)。
【0139】
S350において、表示制御部11Cは、上記指定された一つ以上の非表示対象デバイスを、表示対象デバイスに設定するように、表示設定データ11Eを更新する。更に、表示制御部11Cは、更新後の表示設定データ11Eを参照して、現在の表示対象デバイスの一群を特定し、内部テーブル11Dから各表示対象デバイスのステータス情報を参照して、各表示対象デバイスのトナー/インク量を含む最新の状態を判別する(S370)。
【0140】
クライアント3及び第2種端末装置5によるスケジュールタスクの繰返し実行により、端末装置4,5が表示対象デバイス及び非表示対象デバイスのいずれに設定されているかによらず、第1ストレージ93には、各端末装置4,5の最新のステータス情報が書き込まれ、これが内部テーブル11Dに反映される。
【0141】
従って、S370では、直前まで非表示対象デバイスに設定されていた表示対象デバイスについても、その他の表示対象デバイスと同様に、最新の状態が判別される。表示制御部11Cは、この状態の判別結果に基づいて、デバイス管理画面G0の第一領域R1に、削除デバイス画面G2に代えて、各表示対象デバイスの最新状態を示したデバイスリストG1が表示されるように、デバイス管理画面G0を更新する(S380)。その後、処理をS220に戻す。
【0142】
S380での処理により、復元操作の対象となった端末装置4,5は、例えば、図6に示すように、その最新のトナー/インク量を示す行データが、削除前の元の位置で表示されるように、デバイスリストG1に再表示される。例えば、デバイスリストG1は、図12に示す状態から図6に示される状態に戻される。
【0143】
この他、表示制御部11Cは、操作オブジェクトJ6の押下操作により、入力部14を通じてデバイスリストG1への切替操作がなされると(S360でYes)、S370に移行し、上述したように、各表示対象デバイスの最新の状態を判別し、更には、第一領域R1に、各表示対象デバイスの最新状態を示したデバイスリストG1が表示されるようにデバイス管理画面G0を更新する(S380)。その後、処理をS220に戻す。
【0144】
表示制御部11Cは、その他の操作がなされた場合(S360でNo)、操作に対応した処理を実行した後(S390)、S320の処理に戻る。
【0145】
以上に説明した本実施形態の管理システム1は、次の効果を奏する。本実施形態の管理システム1によれば、管理システム1に登録された管理対象装置としての各端末装置4,5のステータス情報が、専用のサーバではなく、汎用的なクラウドストレージを介して、マスタ2に提供される。
【0146】
各端末装置4,5の状態データに対応するステータス情報は、クライアント3及び第2種端末装置5により、定期的に繰返し第1ストレージ93に書き込まれる。マスタ2は、この第1ストレージ93内のステータス情報を参照して、表示対象に設定された端末装置4,5のステータス情報を含むデバイスリストG1を表示部13に表示させる。
【0147】
すなわち、マスタ2は、管理対象装置のうち、マスタ2のユーザである管理者から表示対象として指定された一つ以上の端末装置4,5のそれぞれの最新の状態がデバイスリストG1に表示されるように、デバイス管理画面G0を表示部13に表示させる。
【0148】
従って、この技術によれば、クラウドストレージを利用して管理対象装置を遠隔監視可能なシステムであって、管理対象装置の状態管理に有意義な情報を管理者に提供可能なシステムを構築することができる。
【0149】
本実施形態によれば特に、マスタ2の制御部11は、ユーザからの入力部14を通じた操作オブジェクトJ1,J4の押下操作に従って、管理システム1に登録された端末装置4,5のそれぞれを、表示対象デバイスと非表示対象デバイスとの間で切り替えるように、表示対象デバイス又は非表示対象デバイスに設定する。
【0150】
クライアント3及び第2種端末装置5(クラウドコネクタ)のそれぞれは、マスタ2による表示対象デバイスと非表示対象デバイスとの間の切替に依らず、換言すれば、管理システム1に登録された端末装置4,5のそれぞれが表示対象デバイスに設定されているか否かに依らず、スケジュールタスクにより、最新の端末装置4,5のステータス情報を繰返し定期的に、第1ストレージ93に書き込む。
【0151】
このように、本実施形態では、デバイスリストG1における端末装置4,5の表示/非表示と、ステータス情報のアップロードとが独立している。従って、本実施形態によれば、マスタ2とクライアント3又は第2種端末装置5との間の複雑な連携を必要とせず、マスタ2側で状態表示を含む各端末装置4,5の表示/非表示の切替を行うことができる。
【0152】
本実施形態によれば更に、マスタ2は、表示対象デバイスだけでなく、非表示対象デバイスを含めて、全ての端末装置4,5のステータス情報を、第1ストレージ93から繰返し取得し、内部テーブル11Dに保存する。従って、マスタ2は、ユーザからの指示に従って、非表示対象デバイスを表示対象デバイスに切り替えることを契機に、第1ストレージ93にアクセスしなくても、内部テーブル11Dに基づき、表示対象デバイスに切り替えられた端末装置4,5のステータス情報を迅速に表示できる。すなわち、マスタ2は、端末装置4,5の非表示対象デバイスから表示対象デバイスへの切替直後から、当該端末装置4,5のステータス情報をデバイスリストG1に表示可能である。
【0153】
第1ストレージ93に対する定期参照を通じて情報取得部11Aにより内部テーブル11Dが更新されるまで(図8参照)、非表示対象デバイスから表示対象デバイスに切り替えられた端末装置4,5のデバイスリストG1への表示を保留する場合には、マスタ2のユーザに不満が生じる可能性がある。なぜなら、定期参照の周期が画面の更新間隔よりも長く、ユーザには、上記保留が表示の遅れとして感じられるためである。
【0154】
非表示対象デバイスを表示対象デバイスに切り替えることを契機に、第1ストレージ93にアクセスして、表示対象デバイスのステータス情報を取得する手法であっても、これらのステータス情報をデバイスリストG1に反映させるには、多少の時間が必要である。
【0155】
従って、本実施形態のように、非表示/表示の設定によらず、バックグラウンドでは、各端末装置4,5のステータス情報を取得し、内部テーブル11Dに記録する管理システム1によっては、ユーザに対し応答性の優れたデバイス管理画面G0の表示を実現することができる。
【0156】
本開示が、上述の例示的実施形態に限定されるものではなく、種々の態様を採ることができることは言うまでもない。例えば、デバイス管理画面G0の構成が、図示されるものに限定されないことは言うまでもない。上述の実施形態では、ステータス情報として、各端末装置4,5のトナー/インク量を表示する例を説明したが、表示されるステータス情報は、例えば、シート残量などの、他の消耗品の残量情報を含むものであってもよい。
【0157】
この他、上記実施形態における1つの構成要素が有する機能は、複数の構成要素に分散して設けられてもよい。複数の構成要素が有する機能は、1つの構成要素に統合されてもよい。上記実施形態の構成の一部は、省略されてもよい。上記実施形態の構成の少なくとも一部は、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換されてもよい。特許請求の範囲に記載の文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
【符号の説明】
【0158】
1…管理システム、2…マスタ、3…クライアント、4,5…端末装置、6…クラウドサーバ、11,31,51,71,91…制御部、11A…情報取得部、11C…表示制御部、11D…内部テーブル、11E…表示設定データ、12,32,52,72,92…通信部、13,33,53,73…表示部、14,34,54,74…入力部、15,35…記憶部、15a…主管理プログラム、21,41,61,81,101…CPU、22,42,62,82,102…メモリ、35a…副管理プログラム、55,75…印刷部、56,76…読取部、82a…通信プログラム、93…第1ストレージ、94…第2ストレージ、G0…デバイス管理画面、G1…デバイスリスト、G2…削除デバイス画面、R1…第一領域、R2…第二領域、J1-J6…操作オブジェクト。
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