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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】車両用制御装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 8/65 20180101AFI20241217BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
G06F8/65
B60R16/02 660U
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021017779
(22)【出願日】2021-02-05
(65)【公開番号】P2022120704
(43)【公開日】2022-08-18
【審査請求日】2023-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085361
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 治幸
(74)【代理人】
【識別番号】100147669
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 光治郎
(72)【発明者】
【氏名】奥田 弘一
(72)【発明者】
【氏名】田端 淳
(72)【発明者】
【氏名】山本 真史
(72)【発明者】
【氏名】牧野 有記
【審査官】円子 英紀
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/059033(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/180473(WO,A1)
【文献】特開2000-206840(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 8/65
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用制御装置であって、
サーバから更新用ソフトウェアを受信する受信部と、
ソフトウェアと、車両状態に基づいて変更される情報であって前記車両状態を反映する車両情報とを記憶する記憶部と、
前記更新用ソフトウェアを用いて前記ソフトウェアを更新する更新部と、を備え、
前記更新部は、前記ソフトウェアの更新の要否を判断するための判断情報と前記車両情報とに基づいて前記ソフトウェアの更新の要否を判断し、前記ソフトウェアの更新が必要と判断された場合に、前記更新用ソフトウェアを用いて前記ソフトウェアを更新するように構成されており、
前記車両情報は、学習制御によって学習される学習値、ダイアグコードのダイアグデータ、クルーズコントロールシステムの作動時間、部品間に形成されるガタの寸法、変速中における入力回転速度の吹きに関する情報、シフト操作ポジションを切り替えたときの車両挙動に関する情報、の少なくとも1つを含む
ことを特徴とする車両用制御装置。
【請求項2】
車両用制御装置であって、
サーバから更新用ソフトウェアを受信する受信部と、
ソフトウェアと、車両状態に基づいて変更される情報であって前記車両状態を反映する車両情報とを記憶する記憶部と、
前記更新用ソフトウェアを用いて前記ソフトウェアを更新する更新部と、を備え、
前記更新部は、前記ソフトウェアの更新の要否を判断するための判断情報と前記車両情報とに基づいて前記ソフトウェアの更新の要否を判断し、前記ソフトウェアの更新が必要と判断された場合に、前記更新用ソフトウェアを用いて前記ソフトウェアを更新するように構成されており、
前記更新部は、前記車両情報に基づいて前記ソフトウェアの更新の要否を判断する機能を備え、
前記更新部は、前記車両情報に基づいて前記ソフトウェアの更新を必要と判断した場合には、前記車両情報に関連する前記更新用ソフトウェアが前記サーバに保存されているか否かを、該サーバに問い合わせる機能を有する
ことを特徴とする車両用制御装置。
【請求項3】
前記判断情報には、前記ソフトウェアの更新の要否を判断するための変数に対する閾値が含まれ、
前記更新部は、前記車両情報として記憶されている前記変数の値が前記閾値よりも大きいか否かまたは小さいか否かに基づいて、前記ソフトウェアの更新の要否を判断する
ことを特徴とする請求項1または2の車両用制御装置。
【請求項4】
前記判断情報は、前記更新用ソフトウェアとともに前記サーバから送信される
ことを特徴とする請求項3の車両用制御装置。
【請求項5】
前記判断情報は、前記更新用ソフトウェアと別個に前記サーバから送信され、
前記更新部は、送信された前記判断情報と前記車両情報とに基づいて前記ソフトウェアの更新が必要と判断すると、前記サーバに前記更新用ソフトウェアを送信する要求を出力する
ことを特徴とする請求項3の車両用制御装置。
【請求項6】
前記更新用ソフトウェアが前記サーバに保存されていない場合には、前記車両情報が前記サーバ内に保存される
ことを特徴とする請求項の車両用制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載された制御装置のソフトウェアの更新に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載された制御装置のソフトウェアを更新する技術として、車両外部のサーバから更新用ソフトウェアを受信し、受信した更新用ソフトウェアを用いて車両用制御装置のソフトウェアを更新する技術が知られている。特許文献1のソフトウェア配布システムがそれである。特許文献1には、サーバが車両から車載ソフトウェアの不具合情報を取得すると、サーバ側で同じ不具合が発生していると推定される車両を特定し、特定された車両に対して車載ソフトウェアの不具合を修正する修正ファイルを配信することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-119236号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に示されるように、ソフトウェアの不具合を修正する修正ファイルといった更新用ソフトウェアのように、車両毎で更新の要否が異なる更新用ソフトウェアがあるが、サーバ側でその更新用ソフトウェアを用いて制御装置のソフトウェアの更新が必要な車両を特定するようにした場合、サーバの負荷増加を招くという問題があった。
【0005】
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、サーバから送信される更新用ソフトウェアを用いて制御装置のソフトウェアを更新する車両用制御装置であって、サーバの負荷増加を招くことなくソフトウェアの更新が可能になる車両用制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1発明の要旨とするところは、(a)車両用制御装置であって、(b)サーバから更新用ソフトウェアを受信する受信部と、(c)ソフトウェアと、車両状態に基づいて変更される情報であって前記車両状態を反映する車両情報とを記憶する記憶部と、(d)前記更新用ソフトウェアを用いて前記ソフトウェアを更新する更新部と、を備え、(e)前記更新部は、前記ソフトウェアの更新の要否を判断するための判断情報と前記車両情報とに基づいて前記ソフトウェアの更新の要否を判断し、前記ソフトウェアの更新が必要と判断された場合に、前記更新用ソフトウェアを用いて前記ソフトウェアを更新するように構成されており、(f)前記車両情報は、学習制御によって学習される学習値、ダイアグコードのダイアグデータ、クルーズコントロールシステムの作動時間、部品間に形成されるガタの寸法、変速中における入力回転速度の吹きに関する情報、シフト操作ポジションを切り替えたときの車両挙動に関する情報、の少なくとも1つを含むことを特徴とする。
【0007】
第2発明の要旨とするところは、(a)車両用制御装置であって、(b)サーバから更新用ソフトウェアを受信する受信部と、(c)ソフトウェアと、車両状態に基づいて変更される情報であって前記車両状態を反映する車両情報とを記憶する記憶部と、(d)前記更新用ソフトウェアを用いて前記ソフトウェアを更新する更新部と、を備え、(e)前記更新部は、前記ソフトウェアの更新の要否を判断するための判断情報と前記車両情報とに基づいて前記ソフトウェアの更新の要否を判断し、前記ソフトウェアの更新が必要と判断された場合に、前記更新用ソフトウェアを用いて前記ソフトウェアを更新するように構成されており、(f)前記更新部は、前記車両情報に基づいて前記ソフトウェアの更新の要否を判断する機能を備え、前記更新部は、前記車両情報に基づいて前記ソフトウェアの更新を必要と判断した場合には、前記車両情報に関連する前記更新用ソフトウェアが前記サーバに保存されているか否かを、そのサーバに問い合わせる機能を有することを特徴とする。
【0008】
第3発明の要旨とするところは、第1発明または第2発明において、前記判断情報には、前記ソフトウェアの更新の要否を判断するための変数に対する閾値が含まれ、前記更新部は、前記車両情報として記憶されている前記変数の値が前記閾値よりも大きいか否かまたは小さいか否かに基づいて、前記ソフトウェアの更新の要否を判断することを特徴とする。
【0009】
第4発明の要旨とするところは、第3発明において、前記判断情報は、前記更新用ソフトウェアとともに前記サーバから送信されることを特徴とする。
【0010】
第5発明の要旨とするところは、第3発明において、前記判断情報は、前記更新用ソフトウェアと別個に前記サーバから送信され、前記更新部は、送信された前記判断情報と前記車両情報とに基づいて前記ソフトウェアの更新が必要と判断すると、前記サーバに前記更新用ソフトウェアを送信する要求を出力することを特徴とする。
【0012】
発明の要旨とするところは、第発明において、前記更新用ソフトウェアが前記サーバに保存されていない場合には、前記車両情報が前記サーバ内に保存されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
第1発明によれば、ソフトウェアの更新の要否を判断するための判断情報と車両状態を反映する車両情報とに基づいてソフトウェアの更新の要否を判断し、ソフトウェアの更新が必要と判断された場合に、更新用ソフトウェアを用いてソフトウェアを更新することで、サーバの負荷の増加を抑制しつつ、必要なソフトウェアを更新することができる。また、不要なソフトウェアの更新を回避することができ、運転者の利便性の低下を防止することができる。
また、車両情報は、学習制御によって学習される学習値、ダイアグコードのダイアグデータ、クルーズコントロールシステムの作動時間、部品間に形成されるガタの寸法、変速中における入力回転速度の吹きに関する情報、シフト操作ポジションを切り替えたときの車両挙動に関する情報の、少なくとも1つを含むため、これらのうちの少なくとも1つの車両情報から、ソフトウェアの更新の要否を判断することができる。
【0014】
第2発明によれば、ソフトウェアの更新の要否を判断するための判断情報と車両状態を反映する車両情報とに基づいてソフトウェアの更新の要否を判断し、ソフトウェアの更新が必要と判断された場合に、更新用ソフトウェアを用いてソフトウェアを更新することで、サーバの負荷の増加を抑制しつつ、必要なソフトウェアを更新することができる。また、不要なソフトウェアの更新を回避することができ、運転者の利便性の低下を防止することができる。
また、車両情報に基づいてソフトウェアの更新の要否が車両で判断されることで、サーバでは、車両情報に関連する更新用ソフトウェアがサーバに保存されているか否かを判断するだけで済むため、サーバにかかる負荷の増加が抑制される。
【0015】
第3発明によれば、車両情報として記憶されている前記変数の値が、判断情報である閾値よりも大きいか否かまたは小さいか否に基づいて、ソフトウェアの更新の要否を判断することができる。
【0016】
第4発明によれば、判断情報が更新用ソフトウェアとともにサーバから送信されることで、判断情報および車両情報に基づいてソフトウェアの更新が必要と判断されると、速やかにソフトウェアの更新が可能になる。
【0017】
第5発明によれば、判断情報が更新用ソフトウェアと別個にサーバから送信され、判断情報と車両情報とに基づいてソフトウェアの更新が必要と判断された場合のみ、サーバに更新用ソフトウェアを送信する要求が出力されるため、不要な更新用ソフトウェアの送信を回避することができる。
【0019】
発明によれば、更新用ソフトウェアがサーバに保存されていない場合には、車両情報がサーバ内に保存されるため、開発者がサーバに保存された車両情報を参照することで、開発者が車両情報に対処できる更新用ソフトウェアを効率良く作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明が適用された車両の概略構成を説明する図である。
図2図1の車両の各種制御を実行するシステム構成の概要を説明する図である。
図3】外部サーバから送信される更新データのイメージ図である。
図4】学習値に基づいて更新の要否を判断するときに使用される、学習回数と閾値との関係を示す図である。
図5】有段変速部の1速ギヤ段から2速ギヤ段への変速中における入力回転速度の変化を示す図である。
図6】シフトレバーの操作ポジションが後進走行ポジションから前進走行ポジションに切り替えられたときの出力回転速度の挙動を示す図である。
図7】実施判断用データと更新用ソフトウェアとが別個に送信される場合のサーバと車両との間の情報のやり取りを示すイメージ図である。
図8】車両用制御装置の制御作動の要部、すなわち外部サーバから送信された更新用ソフトウェアを更新するか否かを車両側で判断することで、外部サーバにかかる負荷を小さくできる制御作動を説明するフローチャートである。
図9】学習値に基づいて更新の要否を判断するときに使用される、学習回数との閾値との関係を示す図である。
図10】車両用制御装置の制御作動の要部、すなわち車両側から新ソフトウェアの有無を外部サーバに問い合わせ、問い合わせた結果に応じて車両制御用ソフトウェアを更新することで、外部サーバにかかる負荷を小さくできる制御作動を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
【実施例
【0022】
図1は、本発明が適用される車両10の概略構成を説明する図である。車両10は、エンジン14と第1回転機MG1と第2回転機MG2とを備え、エンジン14および第2回転機MG2を走行用の駆動力源とするハイブリッド車両である。また、車両10は、エンジン14と駆動輪28との間の動力伝達経路上に、動力伝達装置12を備えている。動力伝達装置12は、非回転部材であるケース16内において共通の軸心上に直列に配設された、電気式無段変速部18および機械式有段変速部20等を備えている。電気式無段変速部18は、直接的に或いは図示しないダンパーなどを介して間接的にエンジン14に連結されている。機械式有段変速部20は、電気式無段変速部18の出力側に連結されている。また、動力伝達装置12は、機械式有段変速部20の出力回転部材である出力軸22に連結された差動歯車装置24、および、差動歯車装置24に連結された一対の車軸26等を備えている。
【0023】
動力伝達装置12において、エンジン14や第2回転機MG2から出力される動力は、機械式有段変速部20へ伝達され、その機械式有段変速部20から差動歯車装置24等を介して車両10が備える駆動輪28へ伝達される。以下、電気式無段変速部18を無段変速部18といい、機械式有段変速部20を有段変速部20という。また、動力は、特に区別しない場合にはトルクや力も同意である。また、無段変速部18や有段変速部20等は上記共通の軸心に対して略対称的に構成されており、図1ではその軸心の下半分が省略されている。
【0024】
エンジン14は、駆動トルクを発生することが可能な動力源として機能する機関であって、例えばガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の公知の内燃機関である。エンジン14は、車両10に備えられたスロットルアクチュエータや燃料噴射装置や点火装置等のエンジン制御装置50が制御されることによりエンジン14の出力トルクであるエンジントルクTeが制御される。
【0025】
第1回転機MG1および第2回転機MG2は、電動機(モータ)としての機能および発電機(ジェネレータ)としての機能を有する回転電気機械であって、所謂モータジェネレータである。第1回転機MG1および第2回転機MG2は、各々、車両10に備えられたインバータ52を介して、車両10に備えられた蓄電装置としてのバッテリ54に接続されており、後述する走行用制御装置90によってインバータ52が制御されることにより、第1回転機MG1および第2回転機MG2の各々の出力トルクであるMG1トルクTgおよびMG2トルクTmが制御される。
【0026】
無段変速部18は、第1回転機MG1と、エンジン14の動力を第1回転機MG1および無段変速部18の出力回転部材である中間伝達部材30に機械的に分割する動力分割機構としての差動機構32と、を備えている。中間伝達部材30には第2回転機MG2が動力伝達可能に連結されている。差動機構32は、シングルピニオン型の遊星歯車装置から構成されており、遊星歯車装置のキャリアCA0には連結軸34を介してエンジン14が動力伝達可能に連結され、サンギヤS0には第1回転機MG1が動力伝達可能に連結され、リングギヤR0には第2回転機MG2が動力伝達可能に連結されている。無段変速部18は、第1回転機MG1の運転状態が制御されることにより差動機構32の差動状態が制御される電気式無段変速機である。なお、連結軸34には、エンジン14の動力によって駆動される機械式オイルポンプ58が接続されている。
【0027】
有段変速部20は、無段変速部18と駆動輪28との間の動力伝達経路の一部を構成する機械式変速機構である。有段変速部20は、例えば第1遊星歯車装置36および第2遊星歯車装置38の複数組の遊星歯車装置と、ワンウェイクラッチF1を含む、クラッチC1、クラッチC2、ブレーキB1、ブレーキB2の複数の係合装置とを備え、複数のギヤ段(変速段)に変速可能な公知の遊星歯車式の自動変速機である。以下、クラッチC1、クラッチC2、ブレーキB1、およびブレーキB2については、特に区別しない場合は単に係合装置CBという。各係合装置CBに供給される係合油圧PRcbは、車両10に備えられた油圧制御回路56によって各々制御される。有段変速部20は、アクセル操作量(アクセル開度θacc)や車速V等に基づいて変速すべきギヤ段が判断されると、そのギヤ段毎に予め定められた係合装置CBの係合パターンとなるように各係合装置CBの係合状態が切り替えられる。なお、油圧制御回路56には、機械式オイルポンプ58から吐出される作動油、または、図示しない電動オイルポンプから吐出される作動油が供給される。
【0028】
図2は、図1の車両10の各種制御を実行するシステム構成の概要を説明する図である。車両10は、車両10の走行に関わる各種制御を主に実行する走行用制御装置90を備えている。走行用制御装置90は、例えばCPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を備えた所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、CPUはRAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより車両10の各種制御を行う。走行用制御装置90は、必要に応じて駆動力源制御用、有段変速制御用など複数個に分けて構成される。
【0029】
走行用制御装置90には、車両10に備えられた各種センサ等(例えばエンジン回転速度センサ60、出力回転速度センサ62、MG1回転速度センサ64、MG2回転速度センサ66、アクセル開度センサ68、スロットル弁開度センサ70、ブレーキペダルセンサ71、ステアリングセンサ72、ドライバ状態センサ73、Gセンサ74、ヨーレートセンサ76、バッテリセンサ78、油温センサ79、車両周辺情報センサ80、車両位置センサ81、外部ネットワーク通信用アンテナ82、ナビゲーションシステム83、運転支援設定スイッチ群84、シフトポジションセンサ85など)による検出値に基づく各種信号等(例えばエンジン回転速度Ne、車速Vに対応する出力回転速度No、第1回転機MG1の回転速度であるMG1回転速度Ng、AT入力回転速度Niと同値であるMG2回転速度Nm、運転者の加速操作の大きさを表す運転者のアクセル操作量であるアクセル開度θacc、電子スロットル弁の開度であるスロットル弁開度θth、ホイールブレーキを作動させる為のブレーキペダルが運転者によって操作されている状態を示す信号であるブレーキオン信号Bon、運転者によるブレーキペダルの踏込操作の大きさを表すブレーキ操作量Bra、車両10に備えられたステアリングホイールの操舵角θswおよび操舵方向Dsw、ステアリングホイールが運転者によって握られている状態を示す信号であるステアリングオン信号SWon、運転者の状態を示す信号であるドライバ状態信号Drv、車両10の前後加速度Gxおよび左右加速度Gy、車両10の鉛直軸まわりの回転角速度であるヨーレートRyaw、バッテリのバッテリ温度THbatやバッテリ充放電電流Ibatやバッテリ電圧Vbat、作動油の温度である作動油温THoil、車両周辺情報Iard、位置情報Ivp、通信信号Scom、ナビ情報Inavi、自動運転制御やクルーズ制御等の運転支援制御における運転者による設定を示す信号である運転支援設定信号Sset、車両10に備えられたシフトレバーの操作ポジションPOSshなど)が、それぞれ供給される。
【0030】
走行用制御装置90からは、車両10に備えられた各装置(例えばエンジン制御装置50、インバータ52、油圧制御回路56、外部ネットワーク通信用アンテナ82、ホイールブレーキ装置86、操舵装置88、情報周知装置89など)に各種指令信号(例えばエンジン14を制御する為のエンジン制御指令信号Se、第1回転機MG1および第2回転機MG2を各々制御する為の回転機制御指令信号Smg、係合装置CBの作動状態を制御する為の油圧制御指令信号Sat、通信信号Scom、ホイールブレーキによる制動トルクを制御する為のブレーキ制御指令信号Sbra、車輪(特には前輪)の操舵を制御する為の操舵制御指令信号Sste、運転者に警告や報知を行う為の情報周知制御指令信号Sinfなど)が、それぞれ出力される。
【0031】
走行用制御装置90は、車両10の走行に関連する各種制御を実現するために、さらに、AT変速制御手段すなわちAT変速制御部94、ハイブリッド制御手段すなわちハイブリッド制御部95、および運転制御手段すなわち運転制御部96を備えている。
【0032】
AT変速制御部94は、予め実験的に或いは設計的に求められて記憶された関係すなわち予め定められた関係である、不図示のATギヤ段変速マップを用いて有段変速部20の変速判断を行い、必要に応じて有段変速部20の変速制御を実行する。ATギヤ段変速マップは、例えば車速Vおよび要求駆動力Frdemを変数とする二次元座標上に、有段変速部20の変速が判断される為の変速線を有する所定の関係である。
【0033】
ハイブリッド制御部95は、エンジン14の作動を制御するエンジン制御手段すなわちエンジン制御部としての機能と、インバータ52を介して第1回転機MG1および第2回転機MG2の作動を制御する回転機制御手段すなわち回転機制御部としての機能を含んでおり、それら制御機能によりエンジン14、第1回転機MG1、および第2回転機MG2によるハイブリッド駆動制御等を実行する。ハイブリッド制御部95は、予め定められた関係である例えば駆動要求量マップにアクセル開度θaccおよび車速Vを適用することで駆動要求量としての駆動輪28における要求駆動力Frdem[N]を算出する。前記駆動要求量としては、要求駆動力Frdemの他に、駆動輪28における要求駆動トルクTrdem[Nm]、駆動輪28における要求駆動パワーPrdem[W]、出力軸22における要求AT出力トルク等を用いることもできる。
【0034】
また、ハイブリッド制御部95は、例えば無段変速部18を無段変速機として作動させる場合、エンジン最適燃費点等を考慮して、要求駆動パワーPrdemを実現するエンジンパワーPeが得られるエンジン回転速度NeとエンジントルクTeとなるように、エンジン14を制御すると共に第1回転機MG1の発電電力Wgを制御することで、無段変速部18の無段変速制御を実行して無段変速部18の変速比γ0を変化させる。
【0035】
また、ハイブリッド制御部95は、走行モードとして、モータ走行モード或いはハイブリッド走行モードを走行状態に応じて選択的に成立させる。例えば、ハイブリッド制御部95は、要求駆動パワーPrdemが予め定められた閾値よりも小さなモータ走行領域にある場合には、モータ走行モードを成立させる一方で、要求駆動パワーPrdemが予め定められた閾値以上となるハイブリッド走行領域にある場合には、ハイブリッド走行モードを成立させる。
【0036】
運転制御部96は、車両10の運転制御として、運転者の運転操作に基づいて走行する手動運転制御と、運転者の運転操作に因らず車両10の運転制御を自動的に行うことで走行する自動運転制御、例えば運転者により入力された目的地や地図情報などに基づいて自動的に目標走行状態を設定し、その目標走行状態に基づいて加減速と操舵とを自動的に行うことで走行する自動運転制御とを行うことができる。運転制御部96は、運転者によって運転支援設定スイッチ群84における自動運転選択スイッチが操作されて自動運転が選択されている場合には、自動運転モードを成立させて自動運転制御を実行する。また、運転制御部96は、運転支援制御システムとしてのクルーズコントロールシステムを作動させて、走行中における車速を一定に維持したり、先行車との車間距離を一定で保持したり、設定された車線を維持して走行したりする、クルーズ制御を実行することができる。
【0037】
車両10は、更に、送受信機100、第1ゲートウェイECU110、無線更新用制御装置120、第2ゲートウェイECU140、およびコネクタ150等を備えている。なお、走行用制御装置90、第1ゲートウェイECU110、無線更新用制御装置120、および第2ゲートウェイECU140を含んで、車両用制御装置180が構成される。
【0038】
送受信機100は、車両10とは別の外部装置である外部サーバ200と通信する機器である。送受信機100は、無線通信を介して外部サーバ200と接続されている。なお、外部サーバ200が、本発明のサーバに対応している。
【0039】
第1ゲートウェイECU110は、送受信機100と接続されている。第1ゲートウェイECU110は、外部サーバ200から無線通信を介して送信される複数種類の新ソフトウェア202を送受信機100を用いて受信するデータ受信部112と、受信した複数種類の新ソフトウェア202を無線更新用制御装置120に送信するデータ送信部114とを、機能的に備えている。なお、データ受信部112が、本発明の受信部に対応している。
【0040】
無線更新用制御装置120は、車両10において、複数種類の車両制御用ソフトウェア92の更新を統括する制御装置である。無線更新用制御装置120は、第1ゲートウェイECU110から送信された複数種類の新ソフトウェア202を用いて、第1記憶部98に記憶された複数種類の車両制御用ソフトウェア92の一部または全部を更新する(書き替える)。
【0041】
第1ゲートウェイECU110および無線更新用制御装置120は、各々、走行用制御装置90と同様のハード構成を備えて構成されており、例えば車両10とは別の外部装置である外部サーバ200から無線通信を介して新ソフトウェア202を受信し、受信した新ソフトウェア202を用いて、走行用制御装置90に備えられた書替可能なROM等の第1記憶部98に記憶された複数種類の車両制御用ソフトウェア92の更新(書替)処理を行う機能を有している。車両制御用ソフトウェア92は、走行用制御装置90による車両10の複数種類の制御に用いられるソフトウェアである。すなわち、走行用制御装置90は、第1記憶部98に記憶された車両10を制御するための車両制御用ソフトウェア92を、随時書替可能に構成されている。車両制御用ソフトウェア92は、例えば車両10の制御手順が定められた複数種類の車両制御用プログラム92P、および車両制御用プログラム92Pに従って車両10を制御するときに用いられる複数種類の制御用データ92Dを含んでいる。なお、第1記憶部98が、本発明のソフトウェアを記憶する記憶部に対応している。
【0042】
第2ゲートウェイECU140についても、走行用制御装置90と同様のハード構成を備えて構成されている。第2ゲートウェイECU140は、コネクタ150と接続されており、コネクタ150を介して接続される外部書替装置160を用いて、複数種類の車両制御用ソフトウェア92を書き替える為のものである。なお、車両10と外部書替装置160とは、コネクタ150を介して有線にて接続可能に構成されているが、無線にて接続可能に構成されても良い。
【0043】
コネクタ150は、車両10とは別の外部装置である外部書替装置160を接続する為のものである。コネクタ150は、公知の規格によって形状や電気信号が定められている。コネクタ150は、故障診断装置を接続するコネクタとして用いることも可能である。
【0044】
外部書替装置160は、車内通信網に直接的に接続され、走行用制御装置90などと同様に、車内通信網を流れるCAN(Controller Area Network)フレームを受信したり、車内通信網にCANフレームを送信したりすることができる。
【0045】
外部サーバ200は、車両10の外部のネットワークに接続されたシステムである。外部サーバ200は、配信される新ソフトウェア202を記憶している。外部サーバ200は、必要に応じて新ソフトウェア202を車両10に送信する。外部サーバ200は、複数種類の新ソフトウェア202を配信するソフト配信センターとして機能する。複数種類の新ソフトウェア202は、対応する車両制御用ソフトウェア92を更新(書替)対象とするソフトウェアである。複数種類の新ソフトウェア202は、例えば対応する車両制御用プログラム92Pを更新(書替)対象とする複数種類の新プログラム202P、および対応する制御用データ92Dを更新(書替)対象とする複数種類の新データ202Dを含んでいる。新プログラム202Pは、現在の車両制御用プログラム92Pを新プログラム202Pを用いて更新した(書き替えた)後の車両制御用プログラム92P、すなわち更新後プログラム92Prとなるものである。新データ202Dは、現在の制御用データ92Dを新データ202Dを用いて更新した後の制御用データ92D、すなわち更新後データ92Drとなるものである。
【0046】
無線更新用制御装置120は、複数種類の車両制御用ソフトウェア92の更新を実現するために、ソフト更新手段すなわちソフト更新部122および書替可能なROM等の第2記憶部124を備えている。なお、ソフト更新部122が、本発明の更新部に対応している。
【0047】
ソフト更新部122は、外部サーバ200から車両10に対して配信される新ソフトウェア202を無線通信を介して受信すると、その新ソフトウェア202を更新用ソフトウェア126Sとして第2記憶部124に記憶させる。更新用ソフトウェア126Sは、第2記憶部124に記憶された新プログラム202Pである更新用プログラム126Pおよび第2記憶部124に記憶された新データ202Dである更新用データ126Dを含んでいる。また、ソフト更新部122は、第2記憶部124に更新用ソフトウェア126Sが記憶されているか否かを判定し、更新用ソフトウェア126Sが第2記憶部124にあると判定した場合には、第2記憶部124に記憶された更新用ソフトウェア126Sを用いて、更新対象すなわち書替対象となる車両制御用ソフトウェア92を更新用ソフトウェア126Sに更新する。
【0048】
車両制御用ソフトウェア92は、車両制御用プログラム92Pおよび制御用データ92Dを含んでいる。車両制御用プログラム92Pは、例えばハイブリッド制御部95によるエンジン14の制御に用いられるエンジン制御用プログラムであるエンジン用プログラム92Peg、ハイブリッド制御部95による第1回転機MG1の制御に用いられる第1回転機制御用プログラムであるMG1用プログラム92Pm1、ハイブリッド制御部95による第2回転機MG2の制御に用いられる第2回転機制御用プログラムであるMG2用プログラム92Pm2、AT変速制御部94による有段変速部20の制御に用いられる自動変速機制御用プログラムであるAT用プログラム92Patなどを含んでいる。
【0049】
制御用データ92Dは、例えば、有段変速部20の変速が判断される為の複数種類の変速線SH、モータ走行モードとハイブリッド走行モードとの間の走行領域の境界が規定される走行領域切替線CHt、車両10の制御に用いられる制御値Sct、制御値Sctの学習制御による学習値としての補正値または補正量を制限する制限値GDなどを含んでいる。制御値Sctは、例えばエンジン制御指令信号Se、回転機制御指令信号Smg、油圧制御指令信号Sat、ブレーキ制御指令信号Sbra、操舵制御指令信号Ssteなどに基づく各種指令値である。また、制御値Sctは、例えば、AT変速制御部94による有段変速部20の変速制御の過渡中において作動状態が切り替えられる係合装置CBの係合油圧PRcbを変化させるように制御させる、油圧制御指令信号Satとしての係合油圧指令値を含む。ここで、係合油圧指令値は、有段変速部20の変速制御における変速ショックを抑制しつつ変速時間が適切になるように、学習制御によって随時補正される。制限値GDは、例えば前記学習制御による制御値Sctの変化が大きくなり過ぎないように制限する為の予め定められたガード値であり、異なる制御値Sct毎に予め定められている。
【0050】
ところで、外部サーバが車両から車両制御用ソフトウェアの不具合情報を取得すると、外部サーバ側で同じ不具合が発生していると推定される車両を特定し、特定された車両に対して車両制御用ソフトウェアの不具合を修正する修正ソフトウェア(すなわち更新用ソフトウェア)を配信することが提案されていた。上述した技術では、車両制御用ソフトウェアの不具合が発生していると推定される車両を外部サーバで特定する必要があり、外部サーバの負荷の増加を招くという問題が生じる。
【0051】
これに対して、ソフト更新部122は、更新用ソフトウェア126Sの更新の要否を判断するための判断情報と車両状態を反映する車両情報Iveとに基づいて、車両制御用ソフトウェア92の更新の要否を判断し、車両制御用ソフトウェア92の更新が必要と判断された場合に、更新用ソフトウェア126Sを用いて車両制御用ソフトウェア92を更新するように構成されている。ここで、上記車両状態を反映する車両情報Iveとは、車両状態に基づいて随時変更される情報であり、第2記憶部124に随時記憶される。なお、第2記憶部124が、本発明の車両状態を反映する車両情報を記憶する記憶部に対応する。
【0052】
前記車両情報Iveは、例えば、各種学習制御によって学習される学習値、ダイアグコードのダイアグデータ、クルーズコントロールシステムの作動時間Twrk、所定の部品間に形成されるガタの寸法Lgap、有段変速部20の変速中に発生するAT入力回転速度Niの吹きに関する情報、シフトレバーの操作ポジションPOSsh(シフト操作ポジション)を切り替えたときの車両挙動に関する情報など、を含んでいる。
【0053】
ソフト更新部122は、更新用ソフトウェア126Sが第2記憶部124に記憶されると、更新用ソフトウェア126Sとともに外部サーバ200から送信された実施判断用データ126Jを参照し、実施判断用データ126Jおよび車両情報Iveに基づいて、更新用ソフトウェア126Sを用いて車両制御用ソフトウェア92を更新するか否かを判断する。前記実施判断用データ126Jが、車両制御用ソフトウェア92の更新の要否を判断するための判断情報に対応する。図3は、外部サーバ200から送信される更新データのイメージ図である。図3に示すように、更新用ソフトウェア126Sに付随するようにして、実施判断用データ126Jが送信される。ソフト更新部122は、送付された実施判断用データ126Jを参照し、その実施判断用データ126Jおよび車両情報Iveから車両制御用ソフトウェア92を更新するか否かを判断する。更新用ソフトウェア126Sとともに実施判断用データ126Jが送信されることで、車両制御用ソフトウェア92の更新が必要と判断された場合には、速やかに車両制御用ソフトウェア92の更新が可能になる。
【0054】
実施判断用データ126Jには、車両制御用ソフトウェア92を更新するか否かを判断するための判断情報としてのパラメータ情報が含まれている。パラメータ情報には、車両制御用ソフトウェア92を更新するか否かを判断するための変数情報(変数VR)、および、その変数VRに対して設定される閾値αが含まれている。ソフト更新部122は、実施判断用データ126Jのパラメータ情報として規定されている変数VRの値が、当該変数VRに対応する閾値αよりも大きいか否かまたは小さいか否かに基づいて、車両制御用ソフトウェア92の更新の要否を判断する。
【0055】
実施判断用データ126Jのパラメータ情報として、例えば有段変速部20の変速中に学習される所定の係合装置CBの係合油圧PRcbの学習値PRlernが変数VRとして規定され、さらに更新の要否を判断するための学習値PRlernに対する閾値α1が規定される。このとき、ソフト更新部122は、車両情報Iveとして記憶されている所定の係合装置CBの係合油圧PRcbの学習値PRlernが、例えば閾値α1よりも大きいか否かに基づいて更新の要否を判断する。
【0056】
図4は、係合油圧PRcbの学習値PRlernに基づいて更新の要否を判断する場合における閾値α1の関係を示している。図4において横軸が学習回数を示し、縦軸が学習値PRlernを示している。なお、図4において破線で示す閾値βは、部品の交換の要否を判断する閾値を示している。一般に、閾値βは、更新の要否を判断するための閾値α1よりも大きい値をとる。図4では、閾値α1は、学習回数に比例して増加している。図4において、実線で示す閾値α1よりも大きい領域では、車両制御用ソフトウェア92の更新が必要と判断され、閾値α1以下の領域では、車両制御用ソフトウェア92が不要と判断される。
【0057】
従って、ソフト更新部122は、学習値PRlernが閾値α1以下の場合、車両制御用ソフトウェア92の更新を不要と判断する。また、ソフト更新部122は、学習値PRlernが閾値α1よりも大きい場合、車両制御用ソフトウェア92の更新を必要と判断する。なお、学習値PRlernが閾値βを超える領域は、車両制御用ソフトウェア92の更新では不具合が解消しない領域であり、学習値PRlernが閾値βよりも大きくなると部品の交換が必要と判断される。また、係合装置CBの係合油圧PRcbの学習に限定されず、例えばエンジン14の空燃比学習制御による学習値など、他の学習制御によって算出される学習値についても適宜実施判断用データ126Jとして適用される。
【0058】
また、実施判断用データ126Jのパラメータ情報として、例えば車両10において随時記憶されるダイアグコードのダイアグデータが変数VRとして規定され、さらに更新の要否を判断するためのダイアグデータに対する閾値α2が規定される。例えば、ダイアグデータから所定の動作が確認される毎にフラグが立てられ、フラグの立った回数NFが計数されるようになっている。このフラグの立った回数NFが実質的な変数VRとされる。ソフト更新部122は、例えば車両情報Iveとして記憶されるフラグの立った回数NFが閾値α2を超えるか否かに基づいて更新の要否を判断する。
【0059】
また、実施判断用データ126Jのパラメータ情報として、例えばクルーズコントロールシステムの作動時間Twrkが変数VRとして規定され、さらに更新の要否を判断するための作動時間Twrkに対する閾値α3が規定される。ソフト更新部122は、例えば車両情報Iveとして記憶されるクルーズコントロールシステムの作動時間Twrkが、閾値α3を超えるか否かに基づいて更新の要否を判断する。
【0060】
また、実施判断用データ126Jのパラメータ情報として、例えば所定の部品間に形成されるガタの寸法Lgapが変数VRとして規定され、さらに更新の要否を判断するためのガタの寸法Lgapに対する閾値α4が規定される。ソフト更新部122は、例えば車両情報Iveとして記憶されるガタの寸法Lgapが、閾値α4よりも大きいか否かに基づいて更新の要否を判断する。前記所定の部品のガタとして、例えば、係合装置CBの解放時において摩擦板とピストンとの間に形成される隙間(ガタ)などが規定される。ガタの寸法Lgapは、例えば車両集荷時に測定される寸法やセンサ等で随時検出される寸法が適用される。
【0061】
また、実施判断用データ126Jのパラメータ情報として、例えば有段変速部20の変速中に発生するAT入力回転速度Niの吹きに関する情報としての、吹きの発生回数NB、吹き量Mbu、吹きの時間Tbuなどが変数VRとして規定され、さらに更新の要否を判断するための各変数VR(吹きの発生回数NB、吹き量Mbu、吹きの時間Tbu)に対する各閾値(α51、α52、α53)が規定される。図5は、有段変速部20の1速ギヤ段から2速ギヤ段への変速中におけるAT入力回転速度Niの変化を示している。図5において横軸が時間T[s]を示し、縦軸がAT入力回転速度Niを示している。図5に示すように、t1時点においてイナーシャ相が開始されるとAT入力回転速度Niが低下し、t2時点においてAT入力回転速度Niが2速ギヤ段に変速後の回転速度に同期している。
【0062】
ここで、例えば有段変速部20の変速中に解放される解放側の係合装置CBの係合油圧PRcbの低下が早過ぎたりすると、イナーシャ相の開始後にAT入力回転速度Niが一時的に吹き上がる、AT入力回転速度Niの吹きが発生する。走行用制御装置90は、有段変速部20の変速中に吹きが発生する毎に吹きの発生回数NBを計数する。また、吹きが発生する毎に吹きの量Mbuや吹きの時間Tbuが算出される。吹きの量Mbuは、例えば、破線で示す1速ギヤ段の場合に推定される1速時推定回転速度Ni1とAT入力回転速度Niとの差分(|Ni-Ni1|)の最大値で算出される。また、吹きの時間Tbuは、例えば、破線で示す1速時推定回転速度Ni1とAT入力回転速度Niとの差分が予め設定されている所定値以上の時間で算出される。
【0063】
このとき、ソフト更新部122は、例えば車両情報Iveとして記憶される吹きの発生回数NBが閾値α51を超えたか否かに基づいて更新の要否を判断する。吹きの発生回数NBは、これまでの累計の発生回数、または、直近の変速を含む過去の規定回数の変速に対する発生回数などが適用される。または、ソフト更新部122は、例えば車両情報Iveとして記憶される吹きの量Mbuが閾値α52を超えたか否かに基づいて更新の要否を判断する。または、ソフト更新部122は、例えば車両情報Iveとして記憶される吹きの時間Tbuが閾値α53を超えたか否かに基づいて更新の要否を判断する。なお、更新の要否の判断は、吹きの発生回数NB、吹きの量Mbu、吹きの時間Tbuの何れか1つに基づくものであってもいいし、これらのうち2つの要件または全ての要件に基づいて判断されても構わない。
【0064】
また、実施判断用データ126Jのパラメータ情報として、例えばシフトレバーの操作ポジションPOSshの切替時における切替時間Tresがパラメータとして規定され、さらに更新の要否を判断するための切替時間Tresに対する閾値α6が規定される。図6は、シフトレバーの操作ポジションPOSshが後進走行ポジションRから前進走行ポジションDに切り替えられたときの出力回転速度Noの挙動を示している。図6において、横軸が時間T[s]を示し、縦軸がシフトレバーの操作ポジションPOSshおよび有段変速部20の出力回転速度Noを示している。図6に示すように、後進走行中にt1時点で操作ポジションPOSshが後進走行ポジションRから前進走行ポジションDに切り替えられると、t2時点において出力回転速度Noが負の値から正の値に切り替わり、t3時点において前進走行ポジションDへの切替が完了する。
【0065】
ここで、図6に示す、操作ポジションPOSshが切り替えられたt1時点から実際に出力回転速度Noの回転方向が切り替わるt2時点までの切替時間Tresがパラメータとして規定される。ソフト更新部122は、例えば車両情報Iveとして記憶される切替時間Tresが閾値α6を超えるか否かに基づいて更新の要否を判断する。また、シフトレバーの操作ポジションPOSshが切り替えられたときのパラメータは、出力回転速度Noの回転方向が切り替わるまでに要する切替時間Tresに限らず、前後加速度Gxや出力回転速度Noの変化率など、操作ポジションPOSshが切り替えられたときの車両挙動に関する情報であれば適宜適用することができる。また、操作ポジションPOSshが後進走行ポジションRから前進走行ポジションDへの切替に限定されず、例えば前進走行ポジションDから後進走行ポジションRへの切替など、他の操作ポジションPOSshへの切替についても適宜適用することができる。
【0066】
ここで、実施判断用データ126Jのパラメータ情報として記憶される各変数VRに対する各閾値αは、車両10の使用状態や使用環境等に応じて適宜変更することもできる。例えば、係合油圧PRcbの学習値PRlernや操作ポジションPOSshの切替時の切替時間Tresに対する閾値α1、α6が、作動油温THoilに応じて変更されてもよい。例えば、作動油温THoilに対する閾値α1および閾値α6の関係マップが予め記憶され、作動油温THoilを関係マップに適用することで閾値α1、α6の値が随時変更される。
【0067】
また、上記態様では、実施判断用データ126Jが、外部サーバ200から更新用ソフトウェア126Sとともに送信されるものであったが、外部サーバ200から実施判断用データ126Jのみ送信され、ソフト更新部122は、送信された実施判断用データ126Jと車両情報Iveとに基づいて、車両制御用ソフトウェア92の更新の要否を判断するものであっても構わない。
【0068】
図7は、実施判断用データ126Jのみ外部サーバ200から送信される場合の、外部サーバ200と車両10との間でのデータの授受を説明するイメージ図である。図7に示すように、実施判断用データ126Jが、更新用ソフトウェア126Sと別個に外部サーバ200から送信される。また、外部サーバ200側から実施判断用データ126Jが送信されると、ソフト更新部122は、送信された実施判断用データ126Jと車両情報Iveとに基づいて、車両制御用ソフトウェア92を更新するか否かを判断する。
【0069】
ソフト更新部122は、実施判断用データ126Jと車両情報Iveとに基づいて車両制御用ソフトウェア92の更新が必要と判断すると、車両10側から外部サーバ200に対して、実施判断用データ126Jに対応付けされた更新用ソフトウェア126Sを送信する要求(リクエスト)を出力する。この要求は、無線通信を介して外部サーバ200に送信される。これを受けて、外部サーバ200では、車両10側からの要求に応じて、要求された更新用ソフトウェア126Sが送信される。ソフト更新部122は、外部サーバ200からの更新用ソフトウェア126Sを受信すると、受信した更新用ソフトウェア126Sを用いて車両制御用ソフトウェア92を更新する。この結果、車両制御用ソフトウェア92の更新が必要と判断された場合のみ、外部サーバ200に更新用ソフトウェア126Sを送信する要求が出力されるため、不要な更新用ソフトウェア126Sの送信が回避される。
【0070】
上記のように、ソフト更新部122は、実施判断用データ126Jが外部サーバ200から送信されると、実施判断用データ126Jのパラメータ情報と車両情報Iveとに基づいて車両制御用ソフトウェア92の更新の要否を判断するため、外部サーバ200が各車両毎に更新の要否を判断する場合に比べて、外部サーバ200にかかる負荷が小さくなる。
【0071】
また、実施判断用データ126Jのパラメータ情報および車両情報Iveから車両制御用ソフトウェア92の更新が不要と判断された後、車両情報Iveが変化する情報が入力された場合には、ソフト更新部122は、更新用ソフトウェア126Sを用いて車両制御用ソフトウェア92を更新する。ここで、車両情報Iveが変化する情報とは、例えば、運転者が変更される情報、車両10を構成する所定の部位の部品が交換された情報などである。運転者が変更されると、車両10の使われ方(運転態様)が大きく変化する場合があるため、運転者の変更を起点として車両制御用ソフトウェア92が更新される。また、車両10の部品が交換されると、部品間のガタの寸法Lgap等が変化するため、部品の交換を起点として車両制御用ソフトウェア92が更新される。また、運転者が変更されたり、部品が交換されると、再度、実施判断用データ126Jの内容に基づいて更新の要否を判断するものであっても構わない。
【0072】
図8は、車両用制御装置180の制御作動の要部、すなわち外部サーバ200から送信された更新用ソフトウェア126Sを更新するか否かを車両10側で判断することで、外部サーバ200にかかる負荷を小さくできる制御作動を説明するフローチャートである。このフローチャートは、所定の時間間隔で随時実行される。
【0073】
先ず、ソフト更新部122の制御機能に対応するステップ(以下、ステップを省略)S10において、外部サーバ200から更新データが送信されることで、第2記憶部124に更新データが記憶されているか否かが判断される。S10の判定が否定される場合、本ルーチンが終了させられる。S10の判定が肯定される場合、ソフト更新部122の制御機能に対応するS20において、更新データに実施判断用データ126Jが含まれているか否かが判定される。実施判断用データ126Jが含まれていない場合には、S20の判定が否定されてS40に進む。実施判断用データ126Jが含まれている場合には、S20の判定が肯定されてS30に進む。ソフト更新部122の制御機能に対応するS30では、送信された実施判断用データ126Jのパラメータ情報および車両情報Iveから車両制御用ソフトウェア92の更新が必要な状態であるか否かが判定される。S30の判定が否定される場合、本ルーチンが終了させられる。S30の判定が肯定される場合、ソフト更新部122の制御機能に対応するS40において、更新用ソフトウェア126Sを用いて車両制御用ソフトウェア92が更新される。なお、実施判断用データ126Jのみ送信される場合には、その実施判断用データ126Jに対応付けされた更新用ソフトウェア126Sが外部サーバ200から送信された後、車両制御用ソフトウェア92が更新される。
【0074】
また、車両用制御装置180は、外部サーバ200から車両10側に実施判断用データ126Jが送信された場合に更新の要否を判断するだけでなく、車両情報Iveに基づいて車両制御用ソフトウェア92の更新の要否を判断することができる。ソフト更新部122は、車両情報Iveに基づいて車両制御用ソフトウェア92の更新が必要と判断した場合には、その車両情報Iveに関連する更新用ソフトウェア126Sが外部サーバ200に保存されているか否かを、外部サーバ200に問い合わせる。ソフト更新部122は、車両情報Iveとして記憶されている各変数VRの何れかが、それぞれに設定されている閾値αを外れたか否かに基づいて、車両制御用ソフトウェア92の更新の問い合わせが必要な状態であるか否かを判断する。
【0075】
ソフト更新部122は、上述した実施判断用データ126Jが送信された場合と同様に、例えば、学習値PRlernが閾値α1を超えたか否か、ダイアグデータに基づくフラグの立った回数NFが閾値α2を超えたか否か、クルーズコントロールシステムの作動時間Twrkが閾値α3を超えたか否か、ガタの寸法Lgapが閾値α4よりも大きいか否か、有段変速部20の変速中に発生する吹きの発生回数NBが閾値α51を超えたか否か、吹きの量Mbuが閾値α52を超えたか否か、吹きの時間Tbuが閾値α53を超えたか否か、シフトレバーの操作ポジションPOSshの切替時における切替時間Tresが閾値α6を超えたか否かなどに基づいて、車両情報Iveの何れかが閾値αから外れたか否かを判定する。上記各閾値αは、予め規定されて車両10側に記憶されている。なお、車両10側で予め記憶される各閾値αと、前記実施判断用データ126Jで規定される各閾値αとは基本的には同じであるが、全く同じである必要はなく、一方にのみ規定される変数VRに対する閾値αが存在したり、同じ変数VRに対応する閾値αであってもその値が異なっていても構わない。
【0076】
図9は、車両情報Iveとして記憶されている学習回数に対する学習値PRlernの閾値α1の関係を示している。図9において、横軸が学習回数を示し、縦軸が学習値PRlernの閾値α1を示している。図9において実線が閾値α1を示しており、学習値PRlernがα1以下の領域では外部サーバ200への更新の問い合わせが不要と判断され、学習値PRlernが閾値α1よりも大きくなると、学習値PRlernが閾値α1から外れ、外部サーバ200への更新の問い合わせが必要と判断される。ソフト更新部122は、例えば学習値PRlernが閾値α1よりも大きくなった場合には、学習値PRlernが閾値α1から外れることで車両制御用ソフトウェア92の更新が必要と判断する。このとき、ソフト更新部122は、閾値α1を外れた車両情報Iveに関連する更新用ソフトウェア126Sが、外部サーバ200に保存されているか否かを外部サーバ200に問い合わせる。
【0077】
このように、ソフト更新部122は、車両情報Iveの各変数VRの何れかが、各々に設定されている閾値αから外れることで、外部サーバ200への更新の問い合わせが必要と判断すると、判断に用いられた車両情報Iveすなわち閾値αから外れた車両情報Iveを外部サーバ200に送信し、この車両情報Iveに関連する更新情報の有無を外部サーバ200に問い合わせる。このとき、ソフト更新部122は、判断に用いられた車両情報Iveに加えて、車両10の識別情報や閾値αを外れた車両情報Iveに関連付けられるキーワード情報を外部サーバ200に送信することもできる。
【0078】
外部サーバ200は、送信された車両情報Iveに応じた新ソフトウェア202の更新情報の有無を判断し、新ソフトウェア202の更新情報があった場合には、その新ソフトウェア202を車両10に送信する。ここで、車両10側から車両情報Iveに関連付けられたキーワード情報が送信された場合には、外部サーバ200において、そのキーワード情報からそのキーワード情報に関連する新ソフトウェア202を検索することができる。また、外部サーバ200は、車両10の識別情報が送信されると、同じ車種や共通する装置を備える車両に対して同様の新ソフトウェア202を送信することもできる。この場合であっても、各車両に送付された新ソフトウェア202が実際に更新されるか否かが、各車両で判断されることで外部サーバ200にかかる負荷が低減される。
【0079】
一方で、車両情報Iveに応じた新ソフトウェア202の更新情報がなかった場合すなわち新ソフトウェア202が外部サーバ200に保存されていない場合には、送信された車両情報Iveが外部サーバ200内に保存される。なお、車両情報Iveには、車両情報Iveにおいて閾値αを外れた時点の前後の情報が含まれていても構わない。外部サーバ200に、各車両から閾値αを外れたときの車両情報Iveが蓄積され、さらにその車両情報Iveが開発者に通知されることで、開発者が新ソフトウェア202の必要性を判断し、新ソフトウェア202が効率良く作成される。
【0080】
図10は、車両用制御装置180の制御作動の要部、すなわち車両10側から新ソフトウェア202の有無を外部サーバ200に問い合わせ、問い合わせた結果に応じて車両制御用ソフトウェア92を更新することで、外部サーバ200にかかる負荷を小さくできる制御作動を説明するフローチャートである。このフローチャートは、所定の時間間隔で随時実行される。
【0081】
先ず、ソフト更新部122の制御機能に対応するS100において、車両情報Iveの何れかがそれぞれに設定されている閾値αを外れた状態であるか否かが判定される。S100の判定が否定される場合、本ルーチンが終了させられる。S100の判定が肯定される場合、ソフト更新部122の制御機能に対応するS110において、閾値αを外れた車両情報Iveが外部サーバ200に送信され、その車両情報Iveに関連する新ソフトウェア202の更新情報の有無が外部サーバ200に問い合わされる。外部サーバ200の制御機能に対応するS120では、送信された車両情報Iveやその車両情報Iveに関連するキーワード情報に基づいて、新ソフトウェア202の更新情報の有無が判断される。S120において、新ソフトウェア202の更新情報があった場合にはS120が肯定されてS130に進み、新ソフトウェア202の更新情報がない場合にはS120が否定されてS140に進む。ソフト更新部122の制御機能に対応するS130では、外部サーバ200から新ソフトウェア202が送信され、車両制御用ソフトウェア92が送信された新ソフトウェア202に更新される。S140では、外部サーバ200に送信された車両情報Iveが保存される。また、開発者に車両情報Iveが保存された旨が随時通知されることで、開発者によって車両情報Iveに応じた新ソフトウェア202が効率良く作成される。このように、車両情報Iveに基づいて車両制御用ソフトウェア92の更新の要否が車両10で判断されることで、外部サーバ200では、車両情報Iveに関連する更新用ソフトウェア126Sが外部サーバ200に保存されているか否かを判断するだけで済むため、外部サーバ200にかかる負荷の増加が抑制される。
【0082】
上述のように、本実施例によれば、車両制御用ソフトウェア92の更新の要否を判断するための判断情報としての実施判断用データ126Jと車両状態を反映する車両情報Iveとに基づいて車両制御用ソフトウェア92の更新の要否を判断し、車両制御用ソフトウェア92の更新が必要と判断された場合に、更新用ソフトウェア126Sを用いて車両制御用ソフトウェア92を更新することで、外部サーバ200の負荷の増加を抑制しつつ、必要な車両制御用ソフトウェア92を更新することができる。また、不要なソフトウェアの更新を回避することができ、運転者の利便性の低下を防止することができる。
【0083】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
【0084】
例えば、前述の実施例では、車両情報Iveとして、学習制御による学習値、ダイアグデータ、クルーズコントロールシステムの作動時間Twrk、部品間のガタの寸法Lgap、AT入力回転速度Niの吹きに関する情報、シフトレバーの操作ポジションPOSshを切り替えたときの車両挙動に関する情報から、車両制御用ソフトウェア92の更新の要否が判断されるものであったが、必ずしもこれら全てを含む必要はなく、これらのうちの少なくとも1つから更新の要否が判断されても構わない。また、車両情報Iveは上記に限定されず、車両情報Iveとしてさらに他の変数VRおよび閾値αが規定されていても構わない。
【0085】
また、前述の実施例では、車両情報Iveとして規定されている各変数VRが、それぞれの閾値に対して規定される閾値αよりも大きい場合に、更新が必要と判断されるものであったが、必ずしも閾値αよりも大きい場合に限定されず、閾値αよりも小さい場合に、更新が必要と判断されるものであっても構わない。例えば、指定の部品間に形成されるガタの寸法Lgapが閾値αよりも小さい場合に、更新が必要と判断されるなど、変数VRに応じて適宜変更することができる。
【0086】
また、前述の実施例では、車両10は、無段変速部18および有段変速部20が直列に接続された動力伝達装置12を備えて構成されるものであったが、本発明の車両の構造は必ずしもこれに限定されない。例えば、エンジンと回転機とが差動機構32等を介することなく直接接続され、エンジンおよび回転機と駆動輪との間に有段変速機が設けられるものであっても構わない。また、必ずしも有段変速機に限定されず、ベルト式の無段変速機などであっても構わない。
【0087】
また、前述の実施例では、車両10は、エンジン14および第2回転機MG2を駆動力源とするハイブリッド車両であったが、本発明は必ずしもハイブリッド車両に限定されない。例えば、エンジン14のみを駆動力源とする車両であってもよく、回転機のみを駆動力源とする電気自動車であっても構わない。すなわち、本発明は、車両の駆動力源や駆動形式等は特に限定されない。
【0088】
なお、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
【符号の説明】
【0089】
10:車両
92:車両制御用ソフトウェア(ソフトウェア)
98:第1記憶部(ソフトウェアを記憶する記憶部)
112:データ受信部(受信部)
122:ソフト更新部(更新部)
124:第2記憶部(車両状態を反映する車両情報を記憶する記憶部)
126S:更新用ソフトウェア
126J:実施判断用データ(ソフトウェアの更新の要否を判断するための判断情報)
180:車両用制御装置
200:外部サーバ(サーバ)
Ive:車両情報
VR(PRlern、NF、Twrk、Lgap、NB、Mbu、Tbu、Tres):変数
α(α1~α4、α51~α53、α6):閾値
図1
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