(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/20 20060101AFI20241217BHJP
【FI】
G03G15/20 510
(21)【出願番号】P 2021032539
(22)【出願日】2021-03-02
【審査請求日】2024-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116034
【氏名又は名称】小川 啓輔
(74)【代理人】
【識別番号】100144624
【氏名又は名称】稲垣 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100195224
【氏名又は名称】松井 宏憲
(72)【発明者】
【氏名】加藤 貞治
【審査官】金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-069096(JP,A)
【文献】特開2009-151118(JP,A)
【文献】特開2019-152693(JP,A)
【文献】特開2020-095171(JP,A)
【文献】特開2014-106511(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 13/20
13/34
15/00
15/20
15/36
21/00-21/02
21/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを供給するシート供給部と、
前記シート供給部から供給されるシートにトナー像を転写するプロセス部と、
前記プロセス部から搬送されるシートにトナー像を定着する定着器であって、シートを加熱する加熱部と、前記加熱部との間でシートを挟む加圧部とを有する定着器と、
前記加熱部と前記加圧部のニップ圧を、第1ニップ圧と、前記第1ニップ圧よりも大きい第2ニップ圧とに変更可能なニップ圧変更機構と、
前記加熱部の温度を検出するための温度センサと、
制御部と、を備え、
前記制御部は、印刷指令を受信した場合において、
前記温度センサが検出した検出温度が所定の目標温度になるように前記加熱部の加熱を開始し、
前記検出温度が前記目標温度よりも低い回転開始温度以上である場合に、前記ニップ圧を前記第1ニップ圧にした状態で前記加熱部の回転を開始し、
前記検出温度が前記目標温度よりも低く、かつ、前記回転開始温度より高いニップ圧変更温度以上であるというニップ圧変更条件を満たしたことを条件として、前記ニップ圧変更機構により前記ニップ圧を前記第1ニップ圧から前記第2ニップ圧に変更し、
前記検出温度が前記目標温度よりも低く、かつ、前記ニップ圧変更温度よりも高いシート供給温度以上であるというシート供給条件を満たしたことを条件として、前記シート供給部によりシートの供給を開始
し、
前記制御部は、
前記第1ニップ圧でシートにトナー像を定着する第1印刷モードと、前記第2ニップ圧でシートにトナー像を定着する第2印刷モードとを実行可能であり、
前記第1印刷モードを実行する場合には、前記ニップ圧を前記第1ニップ圧から変更せず、
前記第2印刷モードを実行する場合に、前記ニップ圧変更条件を満たしたことを条件として、前記ニップ圧変更機構により前記ニップ圧を前記第1ニップ圧から前記第2ニップ圧に変更する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、
印刷指令を受信したときに前記検出温度が前記回転開始温度未満である場合、前記シート供給温度を第1シート供給温度とし、
印刷指令を受信したときに前記検出温度が前記回転開始温度以上である場合、前記シート供給温度を前記第1シート供給温度よりも低い第2シート供給温度とする
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記シート供給条件と、前記加熱部の回転を開始したタイミング以降の所定のタイミングからシート供給時間が経過したという第2のシート供給条件の両方を満たしたことを条件として、前記シート供給部によりシートの供給を開始する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、
印刷指令を受信したときに前記検出温度が前記回転開始温度未満である場合、前記シート供給時間を第1シート供給時間とし、
印刷指令を受信したときに前記検出温度が前記回転開始温度以上である場合、前記シート供給時間を前記第1シート供給時間よりも短い第2シート供給時間とする
ことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記ニップ圧変更条件と、前記加熱部の回転を開始したタイミングからニップ圧変更時間が経過したという第2のニップ圧変更条件の両方を満たした場合、前記ニップ圧変更機構により前記ニップ圧を前記第1ニップ圧から前記第2ニップ圧に変更することを特徴とする請求項3または請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記所定のタイミングは、前記加熱部の回転を開始したタイミングであり、
前記ニップ圧変更時間は、前記シート供給時間よりも短いことを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記所定のタイミングから前記シート供給時間よりも長い第3シート供給時間が経過した後に前記検出温度が前記シート供給温度以上となった場合は、前記検出温度が前記目標温度よりも低く、かつ、前記シート供給温度よりも高い第3シート供給温度以上となった場合に、前記シート供給部によりシートの供給を開始する
ことを特徴とする請求項3から請求項6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートにトナー像を定着する定着器を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置として、シートを供給するシート供給部と、シートを加熱する加熱部、および、加熱部との間でシートを挟持する加圧部を有する定着器と、加熱部の温度を検出するための温度検出部と、制御部とを備えるものが知られている(特許文献1)。この技術では、制御部は、加熱部の加熱を開始した後の所定タイミングから所定時間が経過する前に、加熱部の温度が供給開始温度に達した場合、所定時間経過時以後にシートの供給を開始する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、画像形成装置として、加熱部と加圧部のニップ圧を変更可能なニップ圧変更機構を備えるものがある。ニップ圧変更機構により加熱部と加圧部のニップ圧を大きくすると、加熱部の熱が加圧部に伝わりやすくなるので、加熱部によって加圧部を良好に加熱することができる。そして、供給されたシートが定着器に到達するまでに加熱部と加圧部の両方を定着に適した温度まで十分に加熱することができれば、シートへのトナー像の定着性を向上させることができる。
【0005】
そこで、本発明は、シートへのトナー像の定着性を向上させることができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記した目的を達成するための画像形成装置は、シートを供給するシート供給部と、シート供給部から供給されるシートにトナー像を転写するプロセス部と、プロセス部から搬送されるシートにトナー像を定着する定着器であって、シートを加熱する加熱部、および、加熱部との間でシートを挟む加圧部を有する定着器と、加熱部と加圧部のニップ圧を、第1ニップ圧と、第1ニップ圧よりも大きい第2ニップ圧とに変更可能なニップ圧変更機構と、加熱部の温度を検出するための温度センサと、制御部と、を備える。
制御部は、印刷指令を受信した場合において、温度センサが検出した検出温度が所定の目標温度になるように加熱部の加熱を開始し、検出温度が目標温度よりも低い回転開始温度以上である場合に、ニップ圧を第1ニップ圧にした状態で加熱部の回転を開始し、検出温度が目標温度よりも低く、かつ、回転開始温度より高いニップ圧変更温度以上であるというニップ圧変更条件を満たしたことを条件として、ニップ圧変更機構によりニップ圧を第1ニップ圧から第2ニップ圧に変更し、検出温度が目標温度よりも低く、かつ、ニップ圧変更温度よりも高いシート供給温度以上であるというシート供給条件を満たしたことを条件として、シート供給部によりシートの供給を開始する。
【0007】
このような構成によれば、加熱部と加圧部のニップ圧を大きくすることで、加熱部の熱が加圧部に伝わりやすくなり、加熱部によって加圧部を良好に加熱することができる。そして、このような加圧部の加熱をシートの供給を開始する前から始めることができる。これにより、その後、供給が開始されたシートが定着器に到達するまでに加熱部と加圧部の両方を定着に適した温度まで十分に加熱することができる。これにより、シートへのトナー像の定着性を向上させることができる。
【0008】
前記した画像形成装置において、制御部は、印刷指令を受信したときに検出温度が回転開始温度未満である場合、シート供給温度を第1シート供給温度とし、印刷指令を受信したときに検出温度が回転開始温度以上である場合、シート供給温度を第1シート供給温度よりも低い第2シート供給温度とする構成とすることができる。
【0009】
印刷指令を受信したときに検出温度が回転開始温度以上である場合には、加熱部と加圧部がある程度暖まっているため、比較的短い時間で加熱部と加圧部を定着に適した温度まで加熱することができる。そこで、この場合に、シート供給温度を低くすることで、印刷指令を受信してからシートの供給が開始されるまでの時間を短くすることができる。これにより、1枚目のシートの印刷が完了するまでの時間を短くすることができる。
【0010】
前記した画像形成装置において、制御部は、シート供給条件と、加熱部の回転を開始したタイミング以降の所定のタイミングからシート供給時間が経過したという第2のシート供給条件の両方を満たしたことを条件として、シート供給部によりシートの供給を開始する構成とすることができる。
【0011】
これによれば、シート供給時間が経過するまで待ってからシートの供給を開始することができる。これにより、加熱部の、温度センサが検出する部分の温度と、それ以外の部分の温度との差を小さくすることができるので、加熱部および加圧部を均一に加熱することができ、シートへのトナー像の定着性をより向上させることができる。
【0012】
前記した画像形成装置において、制御部は、印刷指令を受信したときに検出温度が回転開始温度未満である場合、シート供給時間を第1シート供給時間とし、印刷指令を受信したときに検出温度が回転開始温度以上である場合、シート供給時間を第1シート供給時間よりも短い第2シート供給時間とする構成とすることができる。
【0013】
印刷指令を受信したときに検出温度が回転開始温度以上である場合には、加熱部と加圧部がある程度暖まっているため、比較的短い時間で加熱部と加圧部を定着に適した温度まで加熱することができる。そこで、この場合に、シート供給時間を短くすることで、印刷指令を受信してからシートの供給が開始されるまでの時間を短くすることができる。これにより、1枚目のシートの印刷が完了するまでの時間を短くすることができる。
【0014】
前記した画像形成装置において、制御部は、ニップ圧変更条件と、加熱部の回転を開始したタイミングからニップ圧変更時間が経過したという第2のニップ圧変更条件の両方を満たした場合、ニップ圧変更機構によりニップ圧を第1ニップ圧から第2ニップ圧に変更する構成とすることができる。
【0015】
前記した画像形成装置において、所定のタイミングは、加熱部の回転を開始したタイミングであり、ニップ圧変更時間は、シート供給時間よりも短い構成とすることができる。
【0016】
前記した画像形成装置において、制御部は、所定のタイミングからシート供給時間よりも長い第3シート供給時間が経過した後に検出温度がシート供給温度以上となった場合は、検出温度が目標温度よりも低く、かつ、シート供給温度よりも高い第3シート供給温度以上となった場合に、シート供給部によりシートの供給を開始する構成とすることができる。
【0017】
所定タイミングから第3シート供給時間が経過した後に検出温度がシート供給温度に達した場合には、定着器の温度上昇の勾配が小さいため、検出温度がシート供給温度に達したタイミングでシートの供給を開始すると、シートが定着器に到達したときに加熱部と加圧部の温度が定着に適した温度に達していない可能性がある。そこで、この場合に、検出温度が第3シート供給温度に達するまで待ってシートの供給を開始することで、シートが定着器に到達したときには、加熱部と加圧部の温度を定着に適した温度まで上げることができる。これにより、シートへのトナー像の定着性を向上させることができる。
【0018】
前記した画像形成装置において、制御部は、第1ニップ圧でシートにトナー像を定着する第1印刷モードと、第2ニップ圧でシートにトナー像を定着する第2印刷モードとを実行可能であり、第1印刷モードを実行する場合には、ニップ圧を第1ニップ圧から変更せず、第2印刷モードを実行する場合に、ニップ圧変更条件を満たしたことを条件として、ニップ圧変更機構によりニップ圧を第1ニップ圧から第2ニップ圧に変更する構成とすることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、シートへのトナー像の定着性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】実施形態に係る画像形成装置を示す断面図である。
【
図4】ニップ圧が強ニップ圧であるときの、ニップ圧変更機構を示す図(a)と、ニップ部周りを示す図(b)である。
【
図5】ニップ圧が弱ニップ圧であるときの、ニップ圧変更機構を示す図(a)と、ニップ部周りを示す図(b)である。
【
図6】制御部と、制御部の制御対象との関係を示す図である。
【
図7】制御部のシートを供給する動作の一例を示すフローチャートである。
【
図8】制御部のニップ圧を変更する動作の一例を示すフローチャートである。
【
図9】印刷指令を受信したときの温度センサの検出温度が回転開始温度未満である場合における、制御部の動作の一例を示すタイミングチャートである。
【
図10】印刷指令を受信したときの温度センサの検出温度が回転開始温度以上である場合における、制御部の動作の一例を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に示すように、画像形成装置の一例としてのカラープリンタ1は、本体筐体2内に、シートSを供給するシート供給部20と、シート供給部20から供給されるシートSにトナー像を転写するプロセス部30と、プロセス部30から搬送されるシートSにトナー像を定着する定着器80と、画像が形成されたシートSを排出する排出部90と、制御部100とを備えている。
【0022】
本体筐体2の上部には、開口部2Aが形成されており、この開口部2Aは、本体筐体2に回動可能に支持されるアッパーカバー3で開閉される。アッパーカバー3の上面は、本体筐体2から排出されたシートSを蓄積する排出トレイ4となっている。アッパーカバー3の下面にはLEDユニット40を保持する複数のLED取付部材5が設けられている。
【0023】
シート供給部20は、本体筐体2内の下部に設けられ、本体筐体2に着脱可能な供給トレイ21と、供給トレイ21からシートSをプロセス部30へ搬送する供給機構22とを備えている。供給機構22は、ピックアップローラ23、分離ローラ24、分離パッド25、レジストレーションローラ26などを備えている。シート供給部20では、供給トレイ21内のシートSがピックアップローラ23によって送り出される。次いで、シートSは、分離ローラ24および分離パッド25によって、一枚ずつに分離される。その後、レジストレーションローラ26は、シートSの先端の位置を揃えた後、プロセス部30に向けてシートSを搬送する。
【0024】
プロセス部30は、4つのLEDユニット40と、4つのプロセスカートリッジ50と、転写ユニット70とを備えている。
LEDユニット40は、LED取付部材5に対して揺動可能に連結されており、本体筐体2に設けられる位置決め部材によって適宜位置決めされて支持されている。
【0025】
プロセスカートリッジ50は、アッパーカバー3とシート供給部20との間で前後方向に並んで配置されている。各プロセスカートリッジ50は、それぞれ、感光ドラム51、帯電器52、現像ローラ53、トナーを収容するトナー収容室54などを備えて構成されている。
【0026】
転写ユニット70は、シート供給部20と各プロセスカートリッジ50との間に設けられ、駆動ローラ71と、従動ローラ72と、搬送ベルト73と、転写ローラ74とを備えている。駆動ローラ71および従動ローラ72は、前後方向に離間して平行に配置され、その間に無端状の搬送ベルト73が張設されている。搬送ベルト73の外周面は、感光ドラム51に接触している。搬送ベルト73の内側には、転写ローラ74が、各感光ドラム51に対向して4つ配置されている。転写ローラ74は、感光ドラム51との間で搬送ベルト73を挟んでいる。シートSは、搬送ベルト73と感光ドラム51によって搬送される。
【0027】
定着器80は、シートSを加熱する加熱部81と、加熱部81との間でシートSを挟む加圧部82とを備えている。加圧部82は、加熱部81を押圧している。定着器80の構造については、後で詳述する。
【0028】
このように構成されるプロセス部30では、まず、感光ドラム51の表面が、帯電器52により一様に帯電された後、LEDユニット40で露光される。これにより、感光ドラム51上に画像データに基づく静電潜像が形成される。その後、静電潜像に現像ローラ53よりトナーが供給されることで、感光ドラム51上にトナー像が担持される。
【0029】
シート供給部20から搬送ベルト73上に供給されたシートSが感光ドラム51と搬送ベルト73の内側に配置される転写ローラ74との間を通過することで、感光ドラム51上に形成されたトナー像がシートS上に転写される。そして、シートSが加熱部81と加圧部82との間を通過することで、シートS上に転写されたトナー像がシートSに定着される。
【0030】
排出部90は、排出側搬送経路91と、複数の搬送ローラ92とを備えている。トナー像が定着されたシートSは、搬送ローラ92によって排出側搬送経路91を搬送され、本体筐体2の外部に排出されて排出トレイ4に蓄積される。
【0031】
図2に示すように、定着器80は、加熱部81と、加圧部82とを備えている。加熱部81は、ヒータ110と、回転可能なローラ120とを備えている。加圧部82は、加熱部81との間でニップ部NPを形成する部材である。加圧部82は、ベルト130と、ニップ形成部材Nと、ホルダ140と、ステイ200と、ベルトガイドGと、摺動シート150とを備えている。
【0032】
ヒータ110は、ハロゲンランプであり、通電によって発光するとともに発熱し、輻射熱によってローラ120を加熱する。ヒータ110は、ローラ120の回転軸線が延びる軸方向に沿ってローラ120の内側を通るように配置されている。
【0033】
ローラ120は、軸方向に長い筒状のローラであり、ヒータ110によって加熱される。ローラ120は、鉄合金製の素管121と、素管121の外周面を覆う弾性層122とを有している。弾性層122は、シリコンゴムなどのゴムからなる。ローラ120は、後述するサイドフレーム83(
図3参照)に回転可能に支持されており、本体筐体2内に設けられた定着モータM2(
図6参照)から駆動力が入力されることで
図2の反時計回りに回転駆動する。
【0034】
ベルト130は、ローラ120の軸方向に長い筒状の部材であり、可撓性を有している。ベルト130は、加熱部81、詳しくはローラ120との間でニップ部NPを形成している。ベルト130は、金属や樹脂などからなる基材と、基材の外周面を覆う離型層とを有している。ベルト130は、ローラ120が回転したときにローラ120またはシートSとの摩擦によって
図2の時計回りに従動回転する。ベルト130の内周面131には、グリスなどの潤滑剤が付けられている。ベルト130の内側には、ニップ形成部材N、ホルダ140、ステイ200、ベルトガイドGおよび摺動シート150が配置されている。
【0035】
ニップ形成部材Nは、ローラ120との間でベルト130を挟んでニップ部NPを形成する部材である。ニップ形成部材Nは、上流ニップ形成部材N1と、下流ニップ形成部材N2とを備えている。
【0036】
上流ニップ形成部材N1は、上流パッドP1と、上流固定板B1とを有している。上流パッドP1は、シリコンゴムなどのゴムからなる。上流パッドP1は、ローラ120との間でベルト130を挟んで上流ニップ部NP1を形成する。上流パッドP1は、上流固定板B1のローラ120側の面に固定されている。上流固定板B1は、金属などからなる。
【0037】
下流ニップ形成部材N2は、ニップ部NPにおけるベルト130の移動方向において、上流ニップ形成部材N1の下流側に配置されている。下流ニップ形成部材N2は、下流パッドP2と、下流固定板B2とを有している。下流パッドP2は、シリコンゴムなどのゴムからなる。下流パッドP2は、ローラ120との間でベルト130を挟んで下流ニップ部NP2を形成する。下流パッドP2は、下流固定板B2のローラ120側の面に固定されている。下流固定板B2は、金属などからなる。
【0038】
下流パッドP2は、ニップ部NPにおけるベルト130の移動方向において、上流パッドP1から離れている。このため、上流ニップ部NP1と下流ニップ部NP2との間には、加圧部82からの圧力が直接作用しない中間ニップ部NP3が存在する。この中間ニップ部NP3では、ベルト130はローラ120に接触するものの、ローラ120との間でベルト130を挟む部材が存在しないため、圧力はほとんど加わらない。従って、シートSは、ローラ120によって加熱されつつ、ほぼ加圧されることなく中間ニップ部NP3を通過する。ニップ部NPは、上流ニップ部NP1と、下流ニップ部NP2と、中間ニップ部NP3とを含む。
【0039】
ホルダ140は、ニップ形成部材Nを保持する部材である。ホルダ140は、耐熱性を有する樹脂などからなる。
【0040】
ステイ200は、ホルダ140に対してニップ形成部材Nと反対側に位置してホルダ140を支持する部材である。ステイ200は、第1ステイ210と、第1ステイ210に連結される第2ステイ220とを備えている。第1ステイ210は、ホルダ140を支持する部材である。第1ステイ210は、金属などからなる。
【0041】
ベルトガイドGは、ベルト130の内周面131をガイドする部材である。ベルトガイドGは、耐熱性を有する樹脂などからなる。ベルトガイドGは、上流ガイドG1と、下流ガイドG2とを有している。
【0042】
摺動シート150は、各パッドP1,P2とベルト130との摩擦抵抗を低減するためのシート状の部材である。摺動シート150は、ニップ部NPにおいて、ベルト130の内周面131と各パッドP1,P2との間で挟まれている。摺動シート150は、弾性変形可能な材料からなる。なお、摺動シート150の材料は、どのようなものであってもよいが、例えば、ポリイミドを含有した樹脂などを採用することができる。
【0043】
図3に示すように、定着器80は、フレームFLと、ニップ圧変更機構300とをさらに備えている。
【0044】
フレームFLは、加熱部81および加圧部82を支持するフレームであり、金属などからなる。フレームFLは、加熱部81および加圧部82に対してローラ120の軸方向の両側に配置されるサイドフレーム83およびブラケット84と、各サイドフレーム83を接続する接続フレーム85とを備えている。
【0045】
サイドフレーム83は、加熱部81および加圧部82を支持するフレームである。サイドフレーム83は、後述する第1バネ320の一端部と係合するバネ係合部83Aを有している。
【0046】
ブラケット84は、加圧部82を加熱部81に対して近接または離間する方向に移動可能に支持する部材であり、サイドフレーム83に固定されている。詳しくは、ブラケット84は、第1ステイ210の端部をホルダ140を介して移動可能に支持する第1長孔84Aを有している。第1長孔84Aは、加熱部81と加圧部82が向かい合う方向に長い長孔である。
【0047】
ニップ圧変更機構300は、ニップ部NPのニップ圧を変更する機構である。詳しくは、ニップ圧変更機構300は、加熱部81と加圧部82のニップ圧を、第1ニップ圧と、第1ニップ圧よりも大きい第2ニップ圧とに変更可能である。以下では、第1ニップ圧を「弱ニップ圧」といい、第2ニップ圧を「強ニップ圧」ということがある。
【0048】
図3および
図4(a)に示すように、ニップ圧変更機構300は、アーム310と、第1バネ320と、第2バネ330と、カム340とを備えている。アーム310、第1バネ320、第2バネ330およびカム340は、加熱部81および加圧部82に対してローラ120の軸方向の両側にそれぞれ設けられている。
【0049】
アーム310は、加圧部82を支持する部材である。アーム310は、サイドフレーム83に回動可能に支持されている。アーム310は、アーム本体311と、カムフォロア350とを有している。
【0050】
アーム本体311は、サイドフレーム83に回動可能に支持される一端部311Aと、第1バネ320が連結される他端部311Bと、加圧部82を支持する係合穴311Cとを有している。係合穴311Cは、一端部311Aと他端部311Bの間に配置され、第1ステイ210に取り付けられた緩衝部材BFと係合している。また、アーム本体311は、カム340に向けて延びるガイド突起312をさらに有している。
【0051】
カムフォロア350は、ガイド突起312に対して移動可能に取り付けられており、カム340に接触可能となっている。カムフォロア350は、樹脂などからなり、ガイド突起312に嵌合される筒状部351と、筒状部351の一端に設けられる接触部352と、筒状部351の他端に設けられるフランジ部353とを有している。カムフォロア350は、ガイド突起312によって、当該ガイド突起312の延びる方向に移動可能に支持されている。
【0052】
第1バネ320は、加圧部82に対して付勢力を付与するバネである。第1バネ320は、金属などからなる引張コイルバネであり、一端がサイドフレーム83のバネ係合部83Aに連結され、他端がアーム本体311の他端部311Bに連結されている。
【0053】
第2バネ330は、金属などからなる圧縮コイルバネであり、圧縮コイルバネで囲まれる空間内にガイド突起312が挿入された状態で、筒状部351とアーム本体311の間に配置されている。
【0054】
カム340は、
図4(a)に示す第1カム位置と、
図5(a)に示す第2カム位置との間で回動可能となるように、サイドフレーム83に支持されている。カム340は、樹脂などからなり、第1部位341と、第2部位342とを有している。第1部位341および第2部位342は、カム340の外周面上に位置している。
【0055】
図4(a)に示すように、第1部位341は、カム340が第1カム位置に位置するときに、カムフォロア350に最も近い部位である。カム340が第1カム位置に位置するときに、第1部位341は、カムフォロア350から離れている。第2部位342は、カム340が第2カム位置に位置するときに、カムフォロア350に接触する部位である。詳しくは、第2部位342は、カム340が第1カム位置から、
図5(a)に示すように、図示時計回りに約270度回動した際に、カムフォロア350の接触部352と接触する。
【0056】
図4(a),(b)に示すように、カム340が第1カム位置に位置するとき、加熱部81と加圧部82のニップ圧は、強ニップ圧となる。また、
図5(a),(b)に示すように、カム340が第2カム位置に位置するとき、加熱部81と加圧部82のニップ圧は、弱ニップ圧となる。
【0057】
ニップ圧変更機構300は、カム340が
図5(a)に示す第2カム位置から
図4(a)に示す第1カム位置に図示反時計回りに回動することで、ニップ圧を弱ニップ圧から強ニップ圧に変更する。また、ニップ圧変更機構300は、カム340が
図4(a)に示す第1カム位置から
図5(a)に示す第2カム位置に図示時計回りに回動することで、ニップ圧を強ニップ圧から弱ニップ圧に変更する。
【0058】
図6に示すように、カラープリンタ1は、現像モータM1と、定着モータM2と、プロセスモータM3と、メインモータM4と、現像クラッチC1と、切替機構SWと、ニップ圧変更クラッチC2と、温度センサSTとをさらに備えている。
【0059】
現像モータM1は、主に、各現像ローラ53を回転駆動するためのモータであり、正逆回転可能に構成されている。本実施形態では、印刷時における現像モータM1の回転方向を、正方向とする。現像モータM1と各現像ローラ53は、図示せぬギヤとクラッチを介して連結されている。現像モータM1は、現像クラッチC1と図示せぬギヤを介して切替機構SWに連結されている。現像モータM1は、ニップ圧変更クラッチC2と図示せぬギヤを介してニップ圧変更機構300のカム340に連結されている。
【0060】
定着モータM2は、加熱部81を回転駆動するためのモータである。詳しくは、定着モータM2は、ローラ120を回転駆動する。
プロセスモータM3は、プロセス部30を構成する部材に駆動力を与えるためのモータである。詳しくは、プロセスモータM3は、感光ドラム51などを回転駆動する。
メインモータM4は、シート供給部20を構成するローラに駆動力を与えるためのモータである。詳しくは、メインモータM4は、ピックアップローラ23、分離ローラ24、レジストレーションローラ26などを回転駆動する。
【0061】
現像クラッチC1は、例えば、電磁クラッチである。現像クラッチC1は、現像モータM1の駆動力が切替機構SWに伝達される第1伝達状態と、現像モータM1の駆動力が切替機構SWに伝達されない第1切断状態とに切替可能となっている。
【0062】
切替機構SWは、現像ローラ53の状態を、現像ローラ53が感光ドラム51に圧接した圧接状態と、現像ローラ53が感光ドラム51から離間した離間状態とに切り替えるための機構である。切替機構SWは、現像ローラ53の状態が離間状態であり、かつ、現像モータM1が正回転している場合に、現像クラッチC1が第1伝達状態になると、現像ローラ53の状態を離間状態から圧接状態に切り替える。また、切替機構SWは、現像ローラ53の状態が圧接状態であり、かつ、現像モータM1が正回転している場合に、現像クラッチC1が第1伝達状態になると、現像ローラ53の状態を圧接状態から離間状態に切り替える。
【0063】
ニップ圧変更クラッチC2は、例えば、電磁クラッチである。ニップ圧変更クラッチC2は、現像モータM1の駆動力がニップ圧変更機構300のカム340に伝達される第2伝達状態と、現像モータM1の駆動力がニップ圧変更機構300のカム340に伝達されない第2切断状態とに切替可能となっている。
【0064】
カム340は、第2カム位置(
図5(a)参照)に位置し、かつ、現像モータM1が正回転している場合に、ニップ圧変更クラッチC2が第2伝達状態になると、第2カム位置から
図4(a)に示す第1カム位置に向けて図示反時計回りに回動する。また、カム340は、第1カム位置に位置し、かつ、現像モータM1が逆回転している場合に、ニップ圧変更クラッチC2が第2伝達状態になると、第1カム位置から
図5(a)に示す第2カム位置に向けて図示時計回りに回動する。
【0065】
温度センサSTは、加熱部81の温度を検出するためのセンサである。温度センサSTとしては、例えば、サーミスタを採用することができる。本実施形態では、温度センサSTは、ローラ120の温度を検出するように設けられている。温度センサSTは、ローラ120に接触していてもよいし、ローラ120に対して非接触であってもよい。また、温度センサSTは、定着器80が備える温度センサであってもよいし、定着器80とは別に設けられた温度センサであってもよい。
【0066】
制御部100は、CPU、RAM、ROM、入出力回路などを備えており、外部のコンピュータなどから出力される印刷指令と、温度センサSTなどから出力されてくる情報と、ROMなどに記憶されたプログラムやデータに基づいて各種演算処理を行うことによって、制御を実行する。
【0067】
制御部100は、印刷指令を受信した場合、まず、加熱部81の加熱を開始し、次に、加熱部81の回転を開始する。その後、制御部100は、必要に応じてニップ圧変更機構300により加熱部81と加圧部82のニップ圧を弱ニップ圧から強ニップ圧に切り替え、その後、シート供給部20によりシートSの供給を開始する。なお、本実施形態では、ニップ圧は、制御部100(カラープリンタ1)が印刷指令の受信を待つ待機状態にあるときには、弱ニップ圧となっている。
【0068】
制御部100は、印刷指令を受信した場合において、温度センサSTが検出した検出温度Tが所定の目標温度TTになるように加熱部81の加熱を開始する。具体的には、制御部100は、印刷指令を受信した場合、ヒータ110への通電を開始することで、加熱部81の加熱を開始する。目標温度TTは、シートS上に転写されたトナー像をシートSに定着するために、例えば、シートSの厚さや搬送速度などに応じて設定される温度である。
【0069】
制御部100は、加熱部81の加熱を開始した後、検出温度Tが回転開始温度TR以上である場合に、加熱部81と加圧部82のニップ圧を弱ニップ圧にした状態で加熱部81の回転を開始する。具体的には、制御部100は、検出温度Tが回転開始温度TR以上である場合、定着モータM2の駆動を開始することで、加熱部81のローラ120の回転を開始する。回転開始温度TRは、目標温度TTよりも低い温度である。
【0070】
制御部100は、加熱部81の回転を開始した後、検出温度Tがシート供給温度TS以上であるというシート供給条件を満たしたことを条件として、シートSの供給を開始する。シート供給温度TSは、目標温度TTよりも低く、かつ、後述するニップ圧変更温度TNよりも高い温度である。
【0071】
本実施形態では、制御部100は、前述のシート供給条件と、加熱部81の回転を開始したタイミング以降の所定のタイミングからシート供給時間ZSが経過したという第2のシート供給条件の両方を満たしたことを条件として、シートSの供給を開始する。本実施形態において、所定のタイミングは、加熱部81の回転を開始したタイミングである。以下では、所定のタイミングを「回転開始タイミング」ということがある。
【0072】
印刷指令を受信した場合におけるシートSの供給について、より詳しく説明すると、本実施形態では、制御部100は、印刷指令を受信したときに検出温度Tが回転開始温度TR未満である場合、シート供給温度TSを第1シート供給温度TS1とし、シート供給時間ZSを第1シート供給時間ZS1とする。そして、制御部100は、検出温度Tが第1シート供給温度TS1以上であるというシート供給条件と、回転開始タイミングから第1シート供給時間ZS1が経過したという第2のシート供給条件の両方を満たしたことを条件として、シートSの供給を開始する。
【0073】
また、制御部100は、シート供給条件と第2のシート供給条件の両方を満たした場合であっても、回転開始タイミングから第1シート供給時間ZS1よりも長い第3シート供給時間ZS3が経過した後に検出温度Tが第1シート供給温度TS1以上となった場合は、検出温度Tが第1シート供給温度TS1よりも高い第3シート供給温度TS3以上となった場合に、シートSの供給を開始する。第3シート供給温度TS3は、第1シート供給温度TS1と同様に、目標温度TTよりも低い温度である。
【0074】
また、制御部100は、印刷指令を受信したときに検出温度Tが回転開始温度TR以上である場合、シート供給温度TSを第1シート供給温度TS1よりも低い第2シート供給温度TS2とし、シート供給時間ZSを第1シート供給時間ZS1よりも短い第2シート供給時間ZS2とする。そして、制御部100は、検出温度Tが第2シート供給温度TS2以上であるというシート供給条件と、回転開始タイミングから第2シート供給時間ZS2が経過したという第2のシート供給条件の両方を満たしたことを条件として、シートSの供給を開始する。
【0075】
制御部100は、第1印刷モードと、第2印刷モードとを実行可能である。第1印刷モードは、弱ニップ圧でシートSにトナー像を定着する印刷モードであり、第2印刷モードは、強ニップ圧でシートSにトナー像を定着する印刷モードである。制御部100は、ユーザにより第1厚さのシートSが指定された印刷指令を受信すると、第2印刷モードを実行する。また、制御部100は、ユーザにより第1厚さよりも厚い第2厚さのシートSが指定された印刷指令を受信すると、第1印刷モードを実行する。
【0076】
一例を具体的に説明すると、第2印刷モードは、普通紙に印刷を行う印刷モードであり、第1印刷モードは、封筒に印刷を行う印刷モードである。そして、制御部100は、ユーザにより普通紙が指定された印刷指令を受信すると第2印刷モードを実行し、ユーザにより封筒が指定された印刷指令を受信すると第1印刷モードを実行する。
【0077】
制御部100は、第1印刷モードを実行する場合には、加熱部81と加圧部82のニップ圧を、初期のニップ圧である弱ニップ圧から変更しない。すなわち、制御部100は、第1印刷モードを実行する場合には、加熱部81の加熱を開始し、加熱部81の回転を開始した後、ニップ圧を弱ニップ圧の状態にしたまま、シートSの供給を開始する。
【0078】
制御部100は、第2印刷モードを実行する場合には、加熱部81と加圧部82のニップ圧を弱ニップ圧から強ニップ圧に変更する。すなわち、制御部100は、第2印刷モードを実行する場合には、加熱部81の加熱を開始し、加熱部81の回転を開始した後、ニップ圧を弱ニップ圧から強ニップ圧に変更し、その後、シートSの供給を開始する。
【0079】
詳しくは、制御部100は、第2印刷モードを実行する場合、検出温度Tがニップ圧変更温度TN以上であるというニップ圧変更条件を満たしたことを条件として、ニップ圧を弱ニップ圧から強ニップ圧に変更する。ニップ圧変更温度TNは、目標温度TTよりも低く、かつ、回転開始温度TRより高い温度である。
【0080】
本実施形態では、制御部100は、前述のニップ圧変更条件と、加熱部81の回転を開始したタイミングからニップ圧変更時間ZNが経過したという第2のニップ圧変更条件の両方を満たした場合、ニップ圧を弱ニップ圧から強ニップ圧に変更する。ニップ圧変更時間ZNは、シート供給時間ZSよりも短い時間である。詳しくは、ニップ圧変更時間ZNは、第1シート供給時間ZS1よりも短い時間である。
【0081】
制御部100は、第2印刷モードでの印刷が終了した場合、ニップ圧変更機構300により加熱部81と加圧部82のニップ圧を強ニップ圧から弱ニップ圧に変更する。すなわち、制御部100は、第2印刷モードでの印刷が終了した場合、ニップ圧を、強ニップ圧から、印刷指令の受信を待つ待機状態にあるときのニップ圧である弱ニップ圧に戻す。
【0082】
ニップ圧を強ニップ圧から弱ニップ圧に変更する場合、まず、制御部100は、現像ローラ53の状態が圧接状態であり、かつ、現像モータM1が正回転している状態で、現像クラッチC1を第1伝達状態にして切替機構SWを駆動させ、切替機構SWにより現像ローラ53の状態を離間状態にする。その後、制御部100は、現像クラッチC1を第1切断状態にして切替機構SWを停止させる。
【0083】
次に、制御部100は、現像モータM1を一旦停止させ、その後、現像モータM1を逆回転させる。その後、制御部100は、ニップ圧変更クラッチC2を第2伝達状態にしてカム340を第1位置から第2位置に向けて回動させ、これによって、ニップ圧を強ニップ圧から弱ニップ圧に変更する。ニップ圧が弱ニップ圧になったら、制御部100は、ニップ圧変更クラッチC2を第2切断状態にする。
【0084】
次に、制御部100の動作の一例について、フローチャートを参照しながら説明する。
図7に示すように、印刷指令を受信すると、制御部100は、ヒータ110への通電を開始することで、加熱部81の加熱を開始する(S11)。
【0085】
次に、制御部100は、印刷指令を受信したときの検出温度Tが回転開始温度TR未満であるか否かを判定する(S21)。検出温度Tが回転開始温度TR未満である場合(S21,Yes)、制御部100は、検出温度Tが回転開始温度TR以上になったか否かを判定する(S22)。
【0086】
検出温度Tが回転開始温度TR以上になった場合(S22,Yes)、制御部100は、定着モータM2の駆動を開始することで、加熱部81(ローラ120)の回転を開始する(S23)。
【0087】
その後、制御部100は、加熱部81の回転を開始してからの経過時間Zが第1シート供給時間ZS1以上であるか否かを判定する(S31)。経過時間Zが第1シート供給時間ZS1以上である場合(S31,Yes)、制御部100は、検出温度Tが第1シート供給温度TS1以上であるか否かを判定する(S32)。
【0088】
検出温度Tが第1シート供給温度TS1以上である場合(S32,Yes)、制御部100は、加熱部81の回転を開始してからの経過時間Zが第3シート供給時間ZS3未満であるか否かを判定する(S33)。
【0089】
経過時間Zが第3シート供給時間ZS3未満である場合(S33,Yes)、制御部100は、シート供給部20のピックアップローラ23を回転させてシートSを1枚供給する(S37)。
【0090】
ステップS33において、経過時間Zが第3シート供給時間ZS3以上である場合(No)、制御部100は、検出温度Tが第3シート供給温度TS3以上であるか否かを判定する(S34)。検出温度Tが第3シート供給温度TS3以上である場合(S34,Yes)、制御部100は、ピックアップローラ23を回転させてシートSを1枚供給する(S37)。
【0091】
ステップS21において、印刷指令を受信したときの検出温度Tが回転開始温度TR以上である場合(No)、制御部100は、定着モータM2の駆動を開始することで、加熱部81(ローラ120)の回転を開始する(S24)。
【0092】
その後、制御部100は、加熱部81の回転を開始してからの経過時間Zが第2シート供給時間ZS2以上であるか否かを判定する(S35)。経過時間Zが第2シート供給時間ZS2以上である場合(S35,Yes)、制御部100は、検出温度Tが第2シート供給温度TS2以上であるか否かを判定する(S36)。
【0093】
検出温度Tが第2シート供給温度TS2以上である場合(S36,Yes)、制御部100は、ピックアップローラ23を回転させてシートSを1枚供給する(S37)。
【0094】
ステップS37の後、制御部100は、印刷が終了したか否かを判定する(S41)。印刷が終了していない場合(S41,No)、制御部100は、ステップS37に戻って、2枚目以降のシートSを所定タイミングで供給する。詳しくは、制御部100は、シートS同士の間隔が所定間隔となるように、例えば、前のシートSを供給してから所定時間経過後にピックアップローラ23を回転させて次のシートSを供給する。
【0095】
ステップS37において、印刷が終了した場合(Yes)、制御部100は、
図7に示すシート供給のフローチャートの処理を終了する。
【0096】
また、
図8に示すように、印刷指令を受信すると、制御部100は、第2印刷モードを実行するか否かを判定する(S51)。第1印刷モードを実行する場合(S51,No)、制御部100は、加熱部81と加圧部82のニップ圧を弱ニップ圧から変更することなく、
図8に示すニップ圧変更のフローチャートの処理を終了する。
【0097】
ステップS51において、第2印刷モードを実行する場合(Yes)、制御部100は、加熱部81が回転しているか否かを判定する(S52)。加熱部81が回転している場合(S52,Yes)、制御部100は、加熱部81の回転を開始してからの経過時間Zがニップ圧変更時間ZN以上であるか否かを判定する(S53)。
【0098】
経過時間Zがニップ圧変更時間ZN以上である場合(S53,Yes)、制御部100は、検出温度Tがニップ圧変更温度TN以上であるか否かを判定する(S54)。
【0099】
検出温度Tがニップ圧変更温度TN以上である場合(S54,Yes)、制御部100は、ニップ圧変更クラッチC2を第2伝達状態にしてカム340を第2位置から第1位置に向けて回動させ、加熱部81と加圧部82のニップ圧を弱ニップ圧から強ニップ圧に変更する(S55)。ニップ圧が強ニップ圧になったら、制御部100は、ニップ圧変更クラッチC2を第2切断状態にする。
【0100】
ステップS55の後、制御部100は、印刷が終了したか否かを判定する(S56)。そして、印刷が終了した場合(S56,Yes)、制御部100は、加熱部81と加圧部82のニップ圧を強ニップ圧から弱ニップ圧に変更し(S57)、
図8に示すニップ圧変更フローチャートの処理を終了する。
【0101】
次に、制御部100の動作の一例について、タイミングチャートを参照しながら説明する。
図9は、印刷指令を受信したときの検出温度Tが回転開始温度TR未満である場合を示している。この場合、制御部100は、加熱部81の加熱を開始した後、検出温度Tが回転開始温度TRに到達したときに加熱部81の回転を開始する(時刻t11)。
【0102】
図9に破線で示すように、回転開始タイミングから第1シート供給時間ZS1が経過する前(時刻t15よりも前)に、検出温度Tが第1シート供給温度TS1に到達した場合(時刻t14)、定着器80の温度上昇の勾配(以下、「温度勾配」という。)は、急勾配である。温度勾配は、例えば、電源電圧が高い場合などに急勾配となる。温度勾配が急勾配である場合、制御部100は、第1シート供給時間ZS1が経過するまで待って、第1シート供給時間ZS1が経過したとき(時刻t15)にシートSの供給を開始する。
【0103】
また、温度勾配が急勾配である場合、回転開始タイミングからニップ圧変更時間ZNが経過する前(時刻t12よりも前)に、検出温度Tがニップ圧変更温度TNに到達し、その後、ニップ圧変更時間ZNが経過する(時刻t12)。この場合、制御部100は、第1シート供給時間ZS1よりも短いニップ圧変更時間ZNが経過したとき(時刻t12)に、ニップ圧の切り替えを開始する。すなわち、制御部100は、シートSの供給を開始するよりも前にニップ圧の切り替えを開始する。
【0104】
図9に実線で示すように、回転開始タイミングから、第1シート供給時間ZS1が経過した後(時刻t15よりも後)であって、かつ、第3シート供給時間ZS3が経過する前(時刻t17よりも前)に、検出温度Tが第1シート供給温度TS1に到達した場合(時刻t16)、温度勾配は、急勾配よりも小さい中勾配である。温度勾配が中勾配である場合、制御部100は、検出温度Tが第1シート供給温度TS1に到達したとき(時刻t16)にシートSの供給を開始する。
【0105】
また、温度勾配が中勾配である場合も、制御部100は、検出温度Tがニップ圧変更温度TN以上であるというニップ圧変更条件と、回転開始タイミングからニップ圧変更時間ZNが経過したという第2のニップ圧変更条件の両方を満たしたとき(時刻t12)に、ニップ圧の切り替えを開始する。この場合も、制御部100は、シートSの供給を開始するよりも前にニップ圧の切り替えを開始する。
【0106】
図9に2点鎖線で示すように、回転開始タイミングから第3シート供給時間ZS3が経過した後(時刻t17よりも後)に、検出温度Tが第1シート供給温度TS1に到達した場合(時刻t18)、温度勾配は、中勾配よりも小さい緩勾配である。温度勾配は、例えば、電源電圧が低い場合などに緩勾配となる。温度勾配が緩勾配である場合、制御部100は、検出温度Tが第1シート供給温度TS1に到達したとしてもシートSの供給を開始せずに、検出温度Tが第1シート供給温度TS1よりも高い第3シート供給温度TS3に到達したとき(時刻t19)にシートSの供給を開始する。
【0107】
また、温度勾配が緩勾配である場合、回転開始タイミングからニップ圧変更時間ZNが経過した後(時刻t12よりも後)に検出温度Tがニップ圧変更温度TNに到達する(時刻t13)。この場合、制御部100は、検出温度Tが第1シート供給温度TS1よりも低いニップ圧変更温度TNに到達したとき(時刻t13)に、ニップ圧の切り替えを開始する。この場合も、制御部100は、シートSの供給を開始するよりも前にニップ圧の切り替えを開始する。
【0108】
図10は、印刷指令を受信したときの検出温度Tが回転開始温度TR以上である場合を示している。この場合、制御部100は、加熱部81の加熱を開始し、加熱部81の加熱を開始したタイミングと略同じタイミングで加熱部81の回転を開始する(時刻t21)。
【0109】
図10に破線で示すように、温度勾配が急勾配である場合、回転開始タイミングから第2シート供給時間ZS2が経過する前(時刻t24よりも前)に、検出温度Tが第2シート供給温度TS2に到達する(時刻t23)。この場合、制御部100は、第2シート供給時間ZS2が経過するまで待って、第2シート供給時間ZS2が経過したとき(時刻t24)にシートSの供給を開始する。
【0110】
また、
図10に実線で示す温度勾配が中勾配である場合、および、2点鎖線で示す温度勾配が緩勾配である場合、回転開始タイミングから、第2シート供給時間ZS2が経過した後(時刻t24よりも後)であって、かつ、第3シート供給時間ZS3が経過する前(時刻t27よりも前)に、検出温度Tが第2シート供給温度TS2に到達する。この場合、制御部100は、検出温度Tが第2シート供給温度TS2に到達したときにシートSの供給を開始する。具体的には、制御部100は、温度勾配が中勾配である場合、検出温度Tが第2シート供給温度TS2に到達した時刻t25にシートSの供給を開始し、温度勾配が緩勾配である場合、検出温度Tが第2シート供給温度TS2に到達した時刻t26にシートSの供給を開始する。
【0111】
また、制御部100は、温度勾配に関わらず、検出温度Tがニップ圧変更温度TN以上であるというニップ圧変更条件と、回転開始タイミングからニップ圧変更時間ZNが経過したという第2のニップ圧変更条件の両方を満たしたとき(時刻t22)に、ニップ圧の切り替えを開始する。この場合も、制御部100は、シートSの供給を開始するよりも前にニップ圧の切り替えを開始する。
【0112】
以上説明した本実施形態によれば、加熱部81と加圧部82のニップ圧を大きくすることで、加熱部81の熱が加圧部82に伝わりやすくなり、加熱部81によって加圧部82を良好に加熱することができる。そして、このような加圧部82の加熱を、シートSの供給を開始するよりも前にニップ圧の切り替えを開始してニップ圧を大きくしていくことで、シートSの供給を開始する前から始めることができる。これにより、その後、供給が開始されたシートSが定着器80に到達するまでに加熱部81と加圧部82の両方を定着に適した温度まで十分に加熱することができる。これにより、シートSへのトナー像の定着性を向上させることができる。
【0113】
また、検出温度Tがニップ圧変更温度TN以上であるというニップ圧変更条件を満たしたことを条件として、ニップ圧変更機構300により加熱部81と加圧部82のニップ圧を変更するので、定着器80の全体がある程度暖まり、各部の潤滑剤がある程度軟らかくなってからニップ圧変更機構300によりニップ圧を変更することができる。これにより、ニップ圧変更機構300をより小さな駆動力で滑らかに駆動させることができる。
【0114】
また、検出温度Tがシート供給温度TS以上であるというシート供給条件と、回転開始タイミングからシート供給時間ZSが経過したという第2のシート供給条件の両方を満たしたことを条件として、シートSの供給を開始するので、シート供給時間ZSが経過するまで待ってからシートSの供給を開始することができる。これにより、加熱部81の、温度センサSTが検出する部分の温度と、それ以外の部分の温度との差、すなわち、温度ムラを小さくすることができるので、加熱部81および加圧部82を均一に加熱することができ、シートSへのトナー像の定着性をより向上させることができる。
【0115】
また、印刷指令を受信したときに検出温度Tが回転開始温度TR以上である場合には、加熱部81と加圧部82がある程度暖まっているため、比較的短い時間で加熱部81と加圧部82を定着に適した温度まで加熱することができる。そこで、この場合に、シート供給温度TSを、第1シート供給温度TS1よりも低い第2シート供給温度TS2とすることで、印刷指令を受信してからシートSの供給が開始されるまでの時間を短くすることができる。これにより、1枚目のシートSの印刷が完了するまでの時間を短くすることができる。
【0116】
同様に、印刷指令を受信したときに検出温度Tが回転開始温度TR以上である場合に、シート供給時間ZSを、第1シート供給時間ZS1よりも短い第2シート供給時間ZS2とすることで、印刷指令を受信してからシートSの供給が開始されるまでの時間を短くすることができる。これにより、1枚目のシートSの印刷が完了するまでの時間を短くすることができる。
【0117】
また、回転開始タイミングから第3シート供給時間ZS3が経過した後に検出温度Tが第1シート供給温度TS1に達した場合には、温度勾配が小さい緩勾配であるため、検出温度Tが第1シート供給温度TS1に達したタイミングでシートSの供給を開始すると、シートSが定着器80に到達したときに加熱部81と加圧部82の温度が定着に適した温度に達していない可能性がある。そこで、この場合に、検出温度Tが第3シート供給温度TS3に達するまで待ってシートSの供給を開始することで、シートSが定着器80に到達したときには、加熱部81と加圧部82の温度を定着に適した温度まで上げることができる。これにより、シートSへのトナー像の定着性を向上させることができる。
【0118】
以上、実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく、以下に例示するように適宜変形して実施することができる。
【0119】
例えば、前記実施形態では、検出温度Tがニップ圧変更温度TN以上であるというニップ圧変更条件と、回転開始タイミングからニップ圧変更時間ZNが経過したという第2のニップ圧変更条件の両方を満たした場合に、加熱部81と加圧部82のニップ圧を弱ニップ圧から強ニップ圧に変更する構成であったが、これに限定されない。例えば、検出温度Tがニップ圧変更温度TN以上である場合に、ニップ圧を弱ニップ圧から強ニップ圧に変更する構成であってもよい。
【0120】
また、前記実施形態では、検出温度Tがシート供給温度TS以上であるというシート供給条件と、回転開始タイミングからシート供給時間ZSが経過したという第2のシート供給条件の両方を満たした場合に、シートSの供給を開始する構成であったが、これに限定されない。例えば、検出温度Tがシート供給温度TS以上である場合に、シートSの供給を開始する構成であってもよい。
【0121】
また、前記実施形態では、印刷指令を受信したときに検出温度Tが回転開始温度TR未満である場合、シート供給温度TSを第1シート供給温度TS1とし、印刷指令を受信したときに検出温度Tが回転開始温度TR以上である場合、シート供給温度TSを第2シート供給温度TS2としたが、これに限定されない。例えば、シート供給温度TSは、印刷指令を受信したときの検出温度Tに関わらず、同じであってもよい。
【0122】
また、前記実施形態では、印刷指令を受信したときに検出温度Tが回転開始温度TR未満である場合、シート供給時間ZSを第1シート供給時間ZS1とし、印刷指令を受信したときに検出温度Tが回転開始温度TR以上である場合、シート供給時間ZSを第2シート供給時間ZS2としたが、これに限定されない。例えば、シート供給時間ZSは、印刷指令を受信したときの検出温度Tに関わらず、同じであってもよい。
【0123】
また、前記実施形態では、第1印刷モードと第2印刷モードの2種類の印刷モードを実行可能であり、第2印刷モードを実行する場合に加熱部81と加圧部82のニップ圧を弱ニップ圧から強ニップ圧に変更する構成であったが、これに限定されない。例えば、3種類以上の印刷モードを実行可能であり、少なくとも1種類の印刷モードを実行する場合にニップ圧を弱ニップ圧から強ニップ圧に変更する構成であってもよい。また、1種類の印刷モードのみを実行可能であってもよい。また、印刷を実行する場合には必ずニップ圧を弱ニップ圧から強ニップ圧に変更する構成であってもよい。
【0124】
また、前記実施形態では、所定のタイミングとして、加熱部81の回転を開始したタイミング(回転開始タイミング)を例示したが、これに限定されない。所定のタイミングは、加熱部81の回転を開始したタイミングよりも後のタイミングであってもよい。例えば、所定のタイミングは、検出温度Tがニップ圧変更温度TNに到達したタイミングであってもよい。
【0125】
また、前記実施形態では、定着モータM2の駆動を開始することで、加熱部81の回転を開始したが、これに限定されない。例えば、モータにクラッチを介して定着器80を繋ぐ場合には、クラッチを伝達状態にすることで、加熱部81の回転を開始してもよい。また、モータにクラッチを介して定着器80を繋ぐ場合、定着器80を駆動させるモータは、前記実施形態の定着モータM2のような専用のモータでなくても構わない。
【0126】
また、ニップ圧変更機構の具体的な構成は、前記実施形態の構成に限定されない。例えば、前記実施形態では、ニップ圧変更機構300は、加熱部81と加圧部82のニップ圧を弱ニップ圧と強ニップ圧の2種類のニップ圧に変更可能な構成であったが、これに限定されず、ニップ圧を3種類以上のニップ圧に変更可能な構成であってもよい。
【0127】
一例として、ニップ圧変更機構は、ニップ圧を、第1ニップ圧と、第2弱ニップ圧と、第2強ニップ圧とに変更可能な構成であってもよい。第2弱ニップ圧および第2強ニップ圧は、いずれも、第1ニップ圧よりも大きい第2ニップ圧であり、第2強ニップ圧は、第2弱ニップ圧よりも大きい。そして、この場合、例えば、第1印刷モードを実行する場合に、ニップ圧を第1ニップ圧から第2弱ニップ圧に変更し、第2印刷モードを実行する場合に、ニップ圧を第1ニップ圧から第2強ニップ圧に変更する構成としてもよい。
【0128】
また、前記実施形態では、ニップ圧変更機構300は、第2バネ330およびカムフォロア350を備えていたが、これに限定されず、第2バネ330およびカムフォロア350を備えず、カム340が直接、アーム本体311に接触可能な構成であってもよい。また、前記実施形態では、ニップ圧変更機構300は、加圧部82を加熱部81に対して移動させる構成であったが、これに限定されず、加熱部81を加圧部82に対して移動させる構成であってもよい。
【0129】
また、定着器の具体的な構成は、前記実施形態の構成に限定されない。例えば、前記実施形態では、加熱部81のヒータ110として、輻射熱を利用するハロゲンランプを例示したが、これに限定されない。例えば、ヒータは、抵抗体の発熱を利用するセラミックヒータやカーボンヒータ、加熱部を誘導加熱するIHヒータなどであってもよい。また、ヒータは、ローラ120の内側ではなく、ローラ120の外側に配置されていてもよい。
【0130】
また、前記実施形態では、加熱部81は、ローラ120を備える、いわゆる加熱ローラであったが、これに限定されない。例えば、加熱部は、筒状のベルトや、ベルトの内側に配置され、加圧部との間でベルトを挟むニップ部材などを備える構成であってもよい。また、前記実施形態では、加圧部82は、ベルト130やニップ形成部材Nなどを備える構成であったが、これに限定されない。例えば、加圧部は、芯金と、芯金の周囲に形成された弾性層とを有する、いわゆる加圧ローラであってもよい。
【0131】
また、前記実施形態では、定着器80がニップ圧変更機構300を備える構成であったが、これに限定されない。例えば、ニップ圧変更機構は、定着器とは別に設けられていてもよい。また、ニップ圧変更機構は、一部が定着器に設けられ、残りの一部が定着器とは別に設けられていてもよい。
【0132】
また、シート供給部の具体的な構成は、前記実施形態の構成に限定されない。例えば、シート供給部は、本体筐体2に着脱可能な供給トレイではなく、いわゆる手差しトレイからシートを供給する構成であってもよい。
【0133】
また、プロセス部の具体的な構成は、前記実施形態の構成に限定されない。例えば、プロセス部は、LEDユニット40の代わりに、光ビームを出射することで感光ドラム51の表面を露光するスキャナユニットを備える構成であってもよい。また、プロセス部は、搬送ベルト73の代わりに、中間転写ベルトと2次転写ローラを備える構成であってもよい。また、プロセス部は、感光ドラム51の代わりに、感光体ベルトを備える構成であってもよい。
【0134】
また、前記実施形態では、画像形成装置として、カラープリンタ1を例示したが、これに限定されず、例えば、画像形成装置は、モノクロ画像のみを形成可能なモノクロプリンタであってもよい。また、画像形成装置は、プリンタに限定されず、例えば、複写機や複合機などであってもよい。
【0135】
また、前記した実施形態および変形例で説明した各要素は、任意に組み合わせて実施してもよい。
【符号の説明】
【0136】
1 カラープリンタ
20 シート供給部
30 プロセス部
80 定着器
81 加熱部
82 加圧部
100 制御部
300 ニップ圧変更機構
S シート
ST 温度センサ