(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】後処理装置
(51)【国際特許分類】
B65H 31/32 20060101AFI20241217BHJP
B65H 37/00 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
B65H31/32
B65H37/00
(21)【出願番号】P 2021034806
(22)【出願日】2021-03-04
【審査請求日】2024-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】定國 渓
(72)【発明者】
【氏名】内堀 憲治
【審査官】畔津 圭介
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-090375(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 31/32
B65H 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出することで記録を行う記録部によって記録された媒体を排出する排出部と、
前記排出部によって排出された前記媒体を積載する処理トレイと、
前記処理トレイに設けられ、前記媒体の端部を整合する端部整合部と、
前記処理トレイに載せられた前記媒体の上面に接触し、該媒体を前記端部整合部へと搬送する搬送部と、
前記処理トレイに対する前記搬送部の相対位置を変更する位置変更部と、
前記位置変更部を制御する制御部と、
前記処理トレイ上の前記媒体に後処理を行う後処理部と、
を備え、
前記位置変更部は、前記媒体を搬送する搬送位置と、前記搬送位置よりも前記処理トレイから離れた待機位置と、に前記搬送部を移動可能であり、
前記制御部は、前記媒体に対して行われ
た処理に関する処理情報に基づいて前記待機位置を変更させ、
前記処理情報は、整合済みの第1媒体と、整合前の第2媒体のうち、
最も上にある前記第1媒体に対して行われ
た処理に関する情報
として、前記第1媒体の第1記録濃度を含
み、
前記第1記録濃度は、前記第1媒体の上面の上面記録濃度と、前記第1媒体の下面の下面記録濃度と、を含み、
前記制御部は、前記下面記録濃度と前記上面記録濃度との濃度差が濃度差閾値以上の場合に、前記待機位置と前記処理トレイとの間隔を大きくすることを特徴とする後処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記濃度差が前記濃度差閾値未満の場合であって、前記第1記録濃度が第1濃度閾値以上の場合に、前記第1記録濃度が前記第1濃度閾値より低い場合よりも、前記待機位置と前記処理トレイとの間隔を大きくすることを特徴とする請求項1に記載の後処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記濃度差が前記濃度差閾値以上の場合であって、前記下面記録濃度
が前記上面記録濃度よりも前記濃度差閾値以上高い場合に、
前記下面記録濃度が前記上面記録濃度よりも低い場合より、前記待機位置と前記処理トレイとの間隔を大きくすることを特徴とする請求項
1又は請求項2に記載の後処理装置。
【請求項4】
前記処理情報は、前記第2媒体の第2記録濃度を含み、
前記制御部は、前記第2記録濃度が第2濃度閾値以下である場合に、前記第1記録濃度に基づいて前記待機位置と前記処理トレイとの間隔を大きくすることを特徴とする請求項
3に記載の後処理装置。
【請求項5】
前記制御部は
、湿度が湿度閾値以上である場合に、前記待機位置と前記処理トレイとの間隔を大きくすることを特徴とする請求項
1~請求項
4のうち何れか一項に記載の後処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記記録部が前記第1媒体に記録してから経過した経過時間が時間閾値より短い場合に、前記待機位置と前記処理トレイとの間隔を大きくすることを特徴とする請求項
1~請求項
5のうち何れか一項に記載の後処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、後処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1のように、画像が形成された媒体の一例であるシートに後処理を施す後処理装置の一例であるシート処理装置がある。シート処理装置は、排出部の一例である排出ローラーと、排出されたシートが積み重ねられる処理トレイと、処理トレイ上でシートを搬送する搬送部の一例であるローレットベルトと、端部整合部の一例であるシート端規制部材と、を備える。
【0003】
ローレットベルトは、シートから離間する待機位置に位置してシートを受け入れ、シートに接触する搬送位置の一例である作動位置において回転することで受け入れたシートを搬送する。ローレットベルトは、シートを搬送してシート端規制部材に突き当てることで、シートを整合する。
【0004】
画像が形成されたシートは、カールすることがある。カールしたシートが待機位置に位置するローレットベルトに当たると、シートに形成された画像に傷が付いてしまう虞がある。そのため、シート処理装置は、排出ローラーが排出するシートのカール量に合わせて、ローレットベルトの待機位置を変更する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
媒体は、カールしたまま処理トレイに積載されることがある。処理トレイに積載された第1媒体の上に、排出部から排出された第2媒体を載せる場合、第1媒体のカールが第2媒体に影響することがある。すなわち、第1媒体がカールしている場合、第2媒体は、自身がカールしていなくても、第1媒体に沿うように変形して搬送部に当たり、画像に傷が付いてしまう虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する後処理装置は、液体を吐出することで記録を行う記録部によって記録された媒体を排出する排出部と、前記排出部によって排出された前記媒体を積載する処理トレイと、前記処理トレイに設けられ、前記媒体の端部を整合する端部整合部と、前記処理トレイに載せられた前記媒体の上面に接触し、該媒体を前記端部整合部へと搬送する搬送部と、前記処理トレイに対する前記搬送部の相対位置を変更する位置変更部と、前記位置変更部を制御する制御部と、前記処理トレイ上の前記媒体に後処理を行う後処理部と、を備え、前記位置変更部は、前記媒体を搬送する搬送位置と、前記搬送位置よりも前記処理トレイから離れた待機位置と、に前記搬送部を移動可能であり、前記制御部は、前記媒体に対して行われる処理に関する処理情報に基づいて前記待機位置を変更させ、前記処理情報は、整合済みの第1媒体と、整合前の第2媒体のうち、前記第1媒体に対して行われる処理に関する情報を含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】後処理装置を備える記録システムの第1実施形態を示す斜視図。
【
図3】第1実施形態の整合ルーチンを示すフローチャート。
【
図4】整合ルーチンで実行する記録面調整サブルーチンを示すフローチャート。
【
図5】整合ルーチンで実行する枚数調整サブルーチンを示すフローチャート。
【
図6】整合ルーチンで実行する湿度調整サブルーチンを示すフローチャート。
【
図7】整合ルーチンで実行する経過時間調整サブルーチンを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施形態)
[記録システム]
以下、後処理装置を備える記録システムの第1実施形態について図を参照して説明する。
【0010】
図面では、記録システム11が水平面上に置かれているものとして重力の方向をZ軸で示し、水平面に沿う方向をX軸とY軸で示す。X軸、Y軸、及びZ軸は、互いに直交する。以下の説明では、X軸と平行な方向を幅方向X、Y軸と平行な方向を搬送方向Y、Z軸と平行な方向を鉛直方向Zともいう。
【0011】
図1に示すように、記録システム11は、搬送方向Yに並んで設けられる記録装置12、中間装置13、後処理装置14、及び中折装置15を備える。記録装置12、中間装置13、後処理装置14、及び中折装置15は、互いに隣接して設けられる。
【0012】
記録装置12は、例えば、媒体17に液体の一例であるインクを吐出することによって、画像を記録するインクジェット式のプリンターである。画像は、媒体17に付着した液体により形成されるものである。画像は、写真、図柄、文字、記号、マーク、線、及び表などを含む。
【0013】
記録装置12は、記録装置12及び記録システム11を操作するための例えばタッチパネルなどの操作部18と、媒体17を積層状態で収容可能な媒体収容部19と、を備えてもよい。記録装置12は、複数の媒体収容部19を備えてもよい。
【0014】
記録装置12は、液体を吐出することで記録を行う記録部21を備える。記録部21は、媒体収容部19から1枚ずつ送り出された媒体17に記録を行う。本実施形態の記録部21は、媒体17の幅方向Xに亘って設けられるラインタイプである。記録部21は、媒体17の幅方向Xに移動しながら記録を行うシリアルタイプとして構成されてもよい。
【0015】
記録装置12は、媒体17に対して、片方の面にのみ記録を行う片面記録と、媒体17の両方の面に記録を行う両面記録と、を行うことができる。片面記録を行う場合、記録装置12は、媒体17の表面に記録を行ったあと、媒体17を中間装置13に送る。両面記録を行う場合、記録装置12は、媒体17の表面に記録を行ったあと、媒体17を反転させて記録部21に戻し、媒体17の裏面に記録を行う。記録装置12は、両面に記録した媒体17を中間装置13に送る。
【0016】
中間装置13は、片面もしくは両面に記録された媒体17を後処理装置14に送る。記録された媒体17に対し、半分に折る中折処理を行う場合、後処理装置14は、媒体17を中折装置15に送る。中折装置15は、媒体17に対し、媒体17の中央をステープルで綴じる中綴じ処理を行ってもよい。
【0017】
[後処理装置]
図2に示すように、後処理装置14は、記録部21によって記録された媒体17を排出する排出部の一例である第1排出部23と、第1排出部23によって排出された媒体17を積載する処理トレイ24と、を備える。後処理装置14は、処理トレイ24上に積載された媒体17を排出する第2排出部25と、第2排出部25によって排出された媒体17を積載する積載トレイ26と、を備えてもよい。
【0018】
第1排出部23と第2排出部25は、それぞれ一対のローラーにより構成してもよい。第1排出部23と第2排出部25は、媒体17を挟んだ状態で回転することにより媒体17を排出する。
【0019】
本実施形態では、処理トレイ24に載せられた整合済みの媒体17を第1媒体17a、第1排出部23が排出する整合前の媒体17を第2媒体17b、積載トレイ26に載せられた媒体17を第3媒体17cという。第1排出部23は、第2媒体17bを第1排出方向D1に排出する。第2排出部25は、第1媒体17aを第2排出方向D2に排出する。
【0020】
処理トレイ24は、第1排出方向D1において第1排出部23より下流であって、且つ少なくとも一部が第1排出部23より鉛直方向Zの下方に位置する。そのため、処理トレイ24は、第1排出部23により排出されて落下する第2媒体17bを受ける。第2媒体17bは、処理トレイ24上で整合されることで、第1媒体17aになる。すなわち、第1排出部23から排出される第2媒体17bは、処理トレイ24に積載されて整合されることで、第1媒体17aとみなされる。
【0021】
積載トレイ26は、第2排出方向D2において、第2排出部25より下流であって、且つ少なくとも一部が第2排出部25より鉛直方向Zの下方に位置する。そのため、積載トレイ26は、第2排出部25により排出されて落下する第1媒体17aを受ける。第1媒体17aは、積載トレイ26に積載されることで、第3媒体17cとみなされる。
【0022】
後処理装置14は、第2媒体17bを検出可能な検出部28と、第1排出部23より第1排出方向D1の下流に設けられるパドル29と、を備えてもよい。後処理装置14は、処理トレイ24に設けられる端部整合部30と、媒体17を端部整合部30へと搬送する搬送部31と、を備える。後処理装置14は、処理トレイ24に対する搬送部31の相対位置を変更する位置変更部32と、処理トレイ24上の媒体17に後処理を行う後処理部33と、を備える。
【0023】
パドル29は、処理トレイ24の上方に位置する。パドル29は、回転軸35と、少なくとも1つのブレード36と、を有する。本実施形態のパドル29は、3つのブレード36を有する。ブレード36は、例えば、弾性を有する板状の部材である。ブレード36は、回転軸35と一体で回転する。
【0024】
搬送部31は、例えばローレットベルトにより構成してもよい。ローレットベルトは、表面に凹凸が形成されたベルトであり、接触した相手との間の摩擦力が、表面が平坦なベルトに比べて高い。
【0025】
位置変更部32は、処理トレイ24と搬送部31のうち、少なくとも一方を移動させる。本実施形態の位置変更部32は、搬送部31を移動させる。位置変更部32は、
図2に二点鎖線で示す搬送位置TPと、
図2に実線で示す待機位置WPと、に搬送部31を移動可能である。
【0026】
搬送位置TPは、搬送部31が第2媒体17bを搬送する位置である。搬送位置TPに位置する搬送部31は、第2媒体17bに接触し、第1媒体17a及び第2媒体17bを処理トレイ24との間に挟む。処理トレイ24に第1媒体17aが載っていない場合、搬送部31は、第2媒体17bを処理トレイ24との間に挟む。
【0027】
搬送位置TPに位置する搬送部31は、
図2において反時計回り方向に回転することで、第2媒体17bを整合方向D3に搬送する。整合方向D3は、処理トレイ24が第1媒体17aを積載する面に平行な方向である。端部整合部30は、処理トレイ24において整合方向D3の下流端に位置する。搬送部31は、第2媒体17bを端部整合部30に突き当てて整合する。
【0028】
換言すると、端部整合部30は、搬送部31により搬送される第2媒体17bの端部を整合する。本実施形態の整合とは、整合方向D3における第2媒体17bの下流端を端部整合部30に添わせることである。処理トレイ24に第1媒体17aが載っている場合、第2媒体17bを整合することで、第1媒体17aの端部と第2媒体17bの端部とが揃う。第2媒体17bは、整合されることで第1媒体17aとみなされるため、処理トレイ24には、整合方向D3の下流端が揃った状態で複数の第1媒体17aが積み重ねられる。
【0029】
待機位置WPは、搬送位置TPよりも処理トレイ24から離れた位置である。待機位置WPは搬送位置TPより上方の位置である。待機位置WPに位置する搬送部31は、第1媒体17aから離れ、第1媒体17aの拘束を解除する。
【0030】
本実施形態の後処理装置14は、第1媒体17aに対してステープル処理を行う。ステープル処理は、複数枚の第1媒体17aをステープルで綴じる処理である。後処理装置14は、パンチ処理、シフト処理などを行ってもよい。パンチ処理は、1枚又は複数枚の第1媒体17aに穴をあける処理である。シフト処理は、第1媒体17aを部単位で積載トレイ26に排出すると共に、部ごとに位置をずらして排出する処理である。
【0031】
後処理装置14は、制御部38を備える。制御部38は、後処理装置14における各機構の駆動を統括的に制御し、後処理装置14で実行される各種動作を制御してもよい。制御部38は、α:コンピュータープログラムに従って各種処理を実行する1つ以上のプロセッサー、β:各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する、特定用途向け集積回路等の1つ以上の専用のハードウェア回路、或いはγ:それらの組み合わせ、を含む回路として構成し得る。プロセッサーは、CPU並びに、RAM及びROM等のメモリーを含み、メモリーは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。メモリーすなわちコンピューター可読媒体は、汎用または専用のコンピューターでアクセスできるあらゆる可読媒体を含む。
【0032】
制御部38は、位置変更部32を制御することで、待機位置WPを変更させる。具体的には、制御部38は、媒体17に対して行われる処理に関する処理情報に基づいて待機位置WPを変更させる。
【0033】
[処理情報]
処理情報は、整合済みの第1媒体17aと、整合前の第2媒体17bのうち、少なくとも第1媒体17aに対して行われる処理に関する情報を含む。
【0034】
処理情報は、記録部21が媒体17に対して行う記録処理における記録濃度を含んでもよい。記録濃度は、媒体17の面積に対する画像を記録する面積の割合である。言い換えると、媒体17に打ち込めるインクの最大ドット数に対して、実際に打ち込んだインクのドット数の割合である。処理情報は、各媒体17の上面及び下面の記録濃度を個別に含んでもよいし、記録濃度から算出した値を含んでもよい。
【0035】
処理情報は、第1媒体17aの第1記録濃度と、第2媒体17bの第2記録濃度と、を含んでもよい。第1記録濃度と第2記録濃度は、それぞれ上面と下面の記録濃度を含んでもよい。すなわち、第1記録濃度は、第1媒体17aの上面の上面記録濃度と、第1媒体17aの下面の下面記録濃度と、を含んでもよい。第2記録濃度は、第2媒体17bの上面の上面記録濃度と、第2媒体17bの下面の下面記録濃度と、を含んでもよい。
【0036】
本実施形態の第1排出部23は、片方の面にのみ記録された第2媒体17bを、記録された面を下にして排出する。したがって、片面記録された第1媒体17a及び第2媒体17bは、下面が記録された面になり、上面が記録されていない面になる。片面記録された第1媒体17a及び第2媒体17bの上面の上面記録濃度は0%である。
【0037】
処理情報は、処理トレイ24に積載される第1媒体17aの枚数を含んでもよい。本実施形態の後処理部33は、処理トレイ24に積載された処理枚数の第1媒体17aに対して後処理を行う。そのため、第1媒体17aの枚数は、第1媒体17aに対して行われる後処理に関する情報の一例である。
【0038】
処理情報は、記録部21が第1媒体17aに記録してから経過した経過時間を含んでもよい。すなわち、経過時間は、記録された媒体17が、後処理装置14まで搬送されると共に、第2媒体17bとして第1排出部23から排出され、整合されて第1媒体17aになる一連の処理に要する時間である。本実施形態の経過時間は、処理トレイ24に積載される複数の第1媒体17aのうち最も上に位置する第1媒体17aに記録してから経過した時間である。
【0039】
処理情報は、湿度に関する湿度情報を含んでもよい。例えば湿度情報は、飽和水蒸気量に対する空気中に含まれる水蒸気量の割合である。飽和水蒸気量は、気温に応じて変化する。そのため、処理情報は、後処理装置14が設置された環境の気温に関する気温情報を含んでもよい。気温が高い場合は、気温が低い場合より飽和水蒸気量が多い。湿度が高い場合は、湿度が低い場合より水蒸気量が多い。したがって、気温と湿度が高い場合は、気温と湿度が低い場合より空気中に含まれる水蒸気量が多い。
【0040】
後処理装置14は、気温と湿度の少なくとも一方を計測可能な図示しない計測器を備えてもよい。計測器は、後処理装置14とは別に設けてもよい。気温情報と湿度情報は、操作部18の操作により入力可能であってもよい。制御部38は、計測器、操作部18、及びサーバーなどの外部装置から気温情報と湿度情報を取得してもよい。
【0041】
[整合ルーチン]
図3に示すフローチャートを参照し、整合ルーチンについて説明する。この整合ルーチンは、後処理を伴う記録の命令が入力されたタイミングで実行される。整合ルーチンにおいて比較に用いる第2濃度閾値は、例えば実験結果などから予め設定されている。
【0042】
ステップS101において、制御部38は、処理情報を取得する。すなわち、制御部38は、処理情報に含まれる第1記録濃度、第2記録濃度、積載枚数、湿度、気温、及び経過時間を取得する。
【0043】
ステップS102において、制御部38は、待機位置WPの変更量をリセットしてゼロにする。ステップS103において、制御部38は、第2記録濃度と第2濃度閾値とを比較する。第2記録濃度は、第2媒体17bの上面記録濃度と、第2媒体17bの下面記録濃度と、を含む。ステップS103では、制御部38は、上面記録濃度と下面記録濃度のうち、大きい方の記録濃度を第2記録濃度として第2濃度閾値と比較する。
【0044】
ステップS103において、第2記録濃度が第2濃度閾値より大きい場合は、ステップS103がNOになり、制御部38は、処理をステップS104に移行する。ステップS104において、制御部38は、待機位置WPの変更量を最大値に設定し、処理をステップS109に移行する。
【0045】
ステップS103において、第2記録濃度が第2濃度閾値以下である場合は、ステップS103がYESになり、制御部38は、処理をステップS105に移行する。ステップS105において、制御部38は、
図4に示す記録面調整サブルーチンを実行する。ステップS106において、制御部38は、
図5に示す枚数調整サブルーチンを実行する。ステップS107において、制御部38は、
図6に示す湿度調整サブルーチンを実行する。ステップS108において、制御部38は、
図7に示す経過時間調整サブルーチンを実行する。
【0046】
ステップS109において、制御部38は、搬送部31を回転させて第2媒体17bを整合する。第2媒体17bは、整合されることにより第1媒体17aになる。
ステップS110において、制御部38は、処理トレイ24に積載された第1媒体17aの積載枚数が、後処理を行う単位の枚数である処理枚数になったか否かを判断する。積載枚数が処理枚数に足りない場合、ステップS110がNOになり、制御部38は、処理をステップS101に移行する。ステップS101において、制御部38は、処理情報を取得する。すなわち、制御部38は、先の第2媒体17bの上面記録濃度を、次の第1媒体17aの上面記録濃度として取得し直すと共に、先の第2媒体17bの下面記録濃度を、次の第1媒体17aの下面記録濃度として取得し直す。
【0047】
積載枚数が処理枚数になった場合、ステップS110がYESになり、制御部38は、処理をステップS111に移行する。ステップS111において、制御部38は、処理トレイ24上の複数の第1媒体17aに対して、後処理部33に後処理を行わせる。ステップS112において、制御部38は、後処理された複数の第1媒体17aを処理トレイ24から積載トレイ26に送り出す。これにより処理トレイ24に積載された第1媒体17aの積載枚数はゼロになる。
【0048】
ステップS113において、制御部38は、記録が終了したか否かを判断する。第1排出部23から排出されていない第2媒体17bがある場合に、ステップS113がNOになり、制御部38は、処理をステップS101に移行する。記録した全ての媒体17を積載トレイ26に送り出した場合は、ステップS113がYESになり、制御部38は、整合ルーチンを終了する。
【0049】
[記録面調整サブルーチン]
図4に示すフローチャートを参照し、記録面調整サブルーチンについて説明する。記録面調整サブルーチンにおいて比較に用いる第1濃度閾値及び濃度差閾値は、例えば実験結果などから予め設定されている。
【0050】
ステップS201において、制御部38は、処理トレイ24に積載された第1媒体17aのうち、最も上の第1媒体17aが片面記録されたものか、両面記録されたものかを判断する。片面記録である場合、ステップS201がYESになり、制御部38は、処理をステップS202に移行する。
【0051】
ステップS202において、制御部38は、第1記録濃度と第1濃度閾値とを比較する。具体的には、制御部38は、第1媒体17aの上面記録濃度と下面記録濃度のうち高い方を第1記録濃度として第1濃度閾値と比較する。片面記録の場合、上面記録濃度は0%のため、制御部38は、下面記録濃度と第1濃度閾値とを比較する。
【0052】
第1記録濃度が第1濃度閾値以上である場合、ステップS202がYESになり、制御部38は、処理をステップS203に移行する。ステップS203において、制御部38は、変更量に第1記録面調整値を加算する。第1記録濃度が第1濃度閾値未満である場合、ステップS202がNOになり、制御部38は、処理を終了する。
【0053】
ステップS201において、第1媒体17aが両面記録である場合、ステップS201がNOになり、制御部38は、処理をステップS204に移行する。ステップS204において制御部38は、第1媒体17aの上面記録濃度と下面記録濃度の差である濃度差と濃度差閾値とを比較する。
【0054】
濃度差が濃度差閾値未満である場合、ステップS204がNOになり、制御部38は、処理をステップS202に移行する。濃度差が濃度差閾値以上である場合、ステップS204がYESになり、制御部38は、処理をステップS205に移行する。ステップS205において、制御部38は、第1媒体17aの下面記録濃度及び上面記録濃度を比較する。
【0055】
下面記録濃度が上面記録濃度より高い場合、ステップS205がYESになり、制御部38は、処理をステップS206に移行する。ステップS206において、制御部38は、変更量に第2記録面調整値を加算し、処理を終了する。第2記録面調整値は、第1記録面調整値以下であってもよい。
【0056】
下面記録濃度が上面記録濃度以下の場合、ステップS205がNOになり、制御部38は、処理をステップS207に移行する。ステップS207において、制御部38は、変更量に第3記録面調整値を加算し、処理を終了する。第3記録面調整値は、第2記録面調整値以下であってもよい。
【0057】
[枚数調整サブルーチン]
図5に示すフローチャートを参照し、枚数調整サブルーチンについて説明する。枚数調整サブルーチンにおいて比較に用いる積載閾値、及び複数の枚数濃度閾値は、例えば実験結果などから予め設定されている。第1記録濃度は、第1媒体17aの上面記録濃度と下面記録濃度とのうち高い方の記録濃度である。
【0058】
ステップS301において、制御部38は、処理トレイ24に積載された第1媒体17aの積載枚数と積載閾値とを比較する。積載枚数が積載閾値以下の場合、ステップS301がYESになり、制御部38は、処理をステップS302に移行する。ステップS302において、制御部38は、第1記録濃度と第1枚数濃度閾値とを比較する。
【0059】
第1記録濃度が第1枚数濃度閾値より低い場合、ステップS302がNOになり、制御部38は、処理を終了する。第1記録濃度が第1枚数濃度閾値以上である場合、ステップS302がYESになり、制御部38は、処理をステップS303に移行する。ステップS303において、制御部38は、変更量に第1枚数調整値を加算する。
【0060】
ステップS304において、制御部38は、第1記録濃度と第2枚数濃度閾値とを比較する。第1記録濃度が第2枚数濃度閾値より低い場合、ステップS304がNOになり、制御部38は、処理を終了する。第1記録濃度が第2枚数濃度閾値以上である場合、ステップS304がYESになり、制御部38は、処理をステップS305に移行する。ステップS305において、制御部38は、変更量に第2枚数調整値を加算し、処理を終了する。
【0061】
ステップS301において、積載枚数が積載閾値より多い場合、ステップS301がNOになり、制御部38は、処理をステップS306に移行する。ステップS306において、制御部38は、第1記録濃度と第3枚数濃度閾値とを比較する。
【0062】
第1記録濃度が第3枚数濃度閾値より低い場合、ステップS306がNOになり、制御部38は、処理を終了する。第1記録濃度が第3枚数濃度閾値以上である場合、ステップS306がYESになり、制御部38は、処理をステップS307に移行する。ステップS307において、制御部38は、変更量に第3枚数調整値を加算する。
【0063】
ステップS308において、制御部38は、第1記録濃度と第4枚数濃度閾値とを比較する。第1記録濃度が第4枚数濃度閾値より低い場合、ステップS308がNOになり、制御部38は、処理を終了する。第1記録濃度が第4枚数濃度閾値以上である場合、ステップS308がYESになり、制御部38は、処理をステップS309に移行する。ステップS309において、制御部38は、変更量に第4枚数調整値を加算する。
【0064】
[湿度調整サブルーチン]
図6に示すフローチャートを参照し、湿度調整サブルーチンについて説明する。湿度調整サブルーチンにおいて比較に用いる気温閾値及び湿度閾値は、例えば実験結果などから予め設定されている。
【0065】
ステップS401において、制御部38は、気温と気温閾値とを比較する。気温が気温閾値以上の場合、ステップS401がYESになり、制御部38は、処理をステップS402に移行する。気温が気温閾値より低い場合、ステップS401がNOになり、制御部38は、処理をステップS405に移行する。
【0066】
制御部38は、ステップS402及びステップS405において同じ処理を行う。具体的には、制御部38は、湿度と湿度閾値とを比較する。
気温が気温閾値以上であって、且つ湿度が湿度閾値以上である場合、ステップS401とステップS402がYESになる。ステップS403において、制御部38は、変更量に第1湿度調整値を加算する。
【0067】
気温が気温閾値以上であって、且つ湿度が湿度閾値より低い場合、ステップS401がYESになり、ステップS402がNOになる。ステップS404において、制御部38は、変更量に第2湿度調整値を加算する。
【0068】
気温が気温閾値より低く、且つ湿度が湿度閾値以上である場合、ステップS401がNOになり、ステップS405がYESになる。ステップS406において、制御部38は、変更量に第3湿度調整値を加算する。気温が気温閾値より低く、且つ湿度が湿度閾値より低い場合、ステップS401とステップS405がNOになり、制御部38は、処理を終了する。
【0069】
[経過時間調整サブルーチン]
図7に示すフローチャートを参照し、経過時間調整サブルーチンについて説明する。経過時間調整サブルーチンにおいて比較に用いる時間閾値は、例えば実験結果などから予め設定されている。
【0070】
ステップS501において、制御部38は、経過時間と時間閾値とを比較する。経過時間が時間閾値以上である場合、ステップS501がYESになり、制御部38は、処理を終了する。経過時間が時間閾値より短い場合、ステップS501がNOになり、制御部38は、処理をステップS502に移行する。ステップS502において、制御部38は、変更量に時間調整値を加算する。
【0071】
[待機位置の調整]
図2に示すように、制御部38は、基準位置に対する変更量を調整することで待機位置WPを変更する。本実施形態において、搬送部31と処理トレイ24との間隔とは、鉛直方向Zにおける搬送部31の下端から処理トレイ24までの距離をいう。基準位置に位置する搬送部31と処理トレイ24との間隔は、例えば10mmである。変更量の最大値は、例えば70mmである。
【0072】
[第2媒体]
制御部38は、第1排出部23から排出される第2媒体17bの第2記録濃度が第2濃度閾値より大きい場合、変更量を最大値に設定する。第2媒体17bが片面記録の場合、記録された面である下面の下面記録濃度が第2記録濃度になる。第2媒体17bが両面記録の場合、上面記録濃度と下面記録濃度のうち、大きい方が第2記録濃度になる。第2濃度閾値は、予め設定されて制御部38が記憶している値であり、例えば70%である。
【0073】
【表1】
表1に示すように、第2記録濃度が70%より大きい場合、制御部38は、変更量を70mmに設定する。第2記録濃度が70%以下である場合、制御部38は、変更量を0mmに設置する。すなわち、制御部38は、第2記録濃度が第2濃度閾値以下である場合に、第2媒体17bの第2記録濃度ではなく、第1媒体17aの第1記録濃度に基づいて待機位置WPと処理トレイ24との間隔を大きくする。
【0074】
[第1媒体の記録面]
第1媒体17aが片面記録である場合、及び両面記録された第1媒体17aの上面記録濃度と下面記録濃度が濃度差閾値より小さい場合、制御部38は、第1記録濃度と第1濃度閾値とを比較する。
【0075】
第1媒体17aが片面記録の場合、記録された面である下面の下面記録濃度が第1記録濃度になる。第1媒体17aが両面記録の場合、上面記録濃度と下面記録濃度のうち、大きい方が第1記録濃度になる。第1濃度閾値及び濃度差閾値は、予め設定されて制御部38が記憶している値である。第1濃度差閾値は、例えば70%である。濃度差閾値は、例えば20%である。制御部38は、第1記録濃度が第1濃度閾値以上の場合に、第1記録濃度が第1濃度閾値より低い場合よりも、待機位置WPと処理トレイ24との間隔を大きくする。すなわち、制御部38は、第1記録濃度が第1濃度閾値以上の場合に、第1記録濃度が第1閾値より低い場合よりも、基準位置に対する待機位置WPの変更量を大きくする。
【0076】
【表2】
表2に示すように、第1記録濃度が70%以上の場合、制御部38は、変更量に第1記録面調整値である例えば3mmを加算する。第1記録濃度が70%未満の場合、制御部38は、変更量を0mmに設定する。
【0077】
第1媒体17aが両面記録され、且つ第1媒体17aの上面記録濃度と下面記録濃度が濃度差閾値以上である場合、制御部38は、第1媒体17aの上面記録濃度と下面記録濃度とを比較する。制御部38は、下面記録濃度が、上面記録濃度よりも濃度差閾値以上高い場合に、待機位置WPと処理トレイ24との間隔を大きくする。すなわち、制御部38は、下面記録濃度が上面記録濃度よりも濃度差閾値以上高い場合の変更量を、下面記録濃度が上面記録濃度より低い場合より大きくする。
【0078】
【表3】
表3に示すように、下面記録濃度が上面記録濃度より大きい場合、制御部38は、変更量に第2記録面調整値である2mmを加算する。下面記録濃度が上面記録濃度より小さい場合、制御部38は、変更量に第3記録面調整値である1mmを加算する。
【0079】
[第1媒体の枚数]
制御部38は、処理トレイ24に積載される第1媒体17aの積載枚数に基づいて変更量を調整する。制御部38は、予め設定された積載閾値、4つの枚数濃度閾値、4つの枚数調整値を記憶している。本実施形態の積載閾値は、例えば30枚である。4つの枚数調整値は、同じ値であってもよいし、異なる値であってもよい。本実施形態の4つの枚数調整値は、全て20mmである。
【0080】
本実施形態では、積載枚数に応じて第1記録濃度と比較する枚数濃度閾値を変更する。すなわち、積載枚数が積載閾値以下である場合、制御部38は、第1記録濃度と、第1枚数濃度閾値及び第2枚数濃度閾値と、を比較する。積載枚数が積載閾値より多い場合、制御部38は、第1記録濃度と、第3枚数濃度閾値及び第4枚数濃度閾値と、を比較する。
【0081】
第1枚数濃度閾値は、第2枚数濃度閾値より低い。第3枚数濃度閾値は、第1枚数濃度閾値より低い。第4枚数濃度閾値は、第1枚数濃度閾値より高く、第2枚数濃度閾値より低くてもよい。本実施形態では、第1枚数濃度閾値は30%であり、第2枚数濃度閾値は70%であり、第3枚数濃度閾値は20パーセントであり、第4枚数濃度閾値は60%である。
【0082】
【表4】
表4は、積載枚数が積載閾値以下の場合を示す。すなわち、積載枚数が1枚~30枚の場合である。
【0083】
第1記録濃度が70%以上の場合、制御部38は、変更量に第1枚数調整値である20mmと、第2枚数調整値である20mmと、を加算する。すなわち、制御部38は、変更量に40mmを加算する。
【0084】
第1記録濃度が30%以上であって且つ70%未満の場合、制御部38は、第1枚数調整値である20mmを加算する。第1記録濃度が30%未満の場合、制御部38は、変更量を0mmに設定する。
【0085】
【表5】
表5は、積載枚数が積載閾値より多い場合を示す。すなわち、積載枚数が31枚以上の場合である。
【0086】
第1記録濃度が60%以上の場合、制御部38は、変更量に第3枚数調整値である20mmと、第4枚数調整値である20mmと、を加算する。すなわち、制御部38は、変更量に40mmを加算する。
【0087】
第1記録濃度が20%以上であって且つ60%未満の場合、制御部38は、第3枚数調整値である20mmを加算する。第1記録濃度が20%未満の場合、制御部38は、変更量を0mmに設定する。
【0088】
[湿度と気温]
制御部38は、気温と湿度に基づいて変更量を調整する。制御部38は、予め設定された気温閾値、湿度閾値、及び複数の湿度調整値を記憶している。本実施形態の気温閾値は20℃、湿度閾値は45%である。制御部38は、湿度が湿度閾値以上である場合に、待機位置WPと処理トレイ24との間隔を大きくする。すなわち、制御部38は湿度が湿度閾値以上である場合に、湿度が湿度閾値未満である場合より、変更量を大きくする。
【0089】
【表6】
表6に示すように、気温が20℃以上、且つ湿度が45%以上の場合、制御部38は、変更量に第1湿度調整値である例えば3mmを加算する。気温が20℃以上、且つ湿度が45%未満の場合、制御部38は、変更量に第1湿度調整値より小さい第2温度調整値である例えば2mmを加算する。
【0090】
気温が20℃未満、且つ湿度が45%以上の場合、制御部38は、変更量に第2湿度調整値より小さい第3湿度調整値である例えば1mmを加算する。気温が20℃未満、且つ湿度が45%未満の場合、制御部38は、変更量を0mmに設定する。
【0091】
[経過時間]
制御部38は、第1媒体17aに記録してから経過した経過時間に基づいて変更量を調整する。制御部38は、予め設定された時間閾値、及び時間調整値を記憶している。本実施形態の時間閾値は1分である。制御部38は、経過時間が時間閾値より短い場合に、待機位置WPと処理トレイ24との間隔を大きくする。すなわち、制御部38は、経過時間が時間閾値より短い場合に、経過時間が時間閾値以上の場合より、変更量を大きくする。
【0092】
【表7】
表7に示すように、経過時間が1分以上の場合、制御部38は、変更量を0mmに設定する。経過時間が1分未満の場合、制御部38は、変更量に時間調整値である例えば1mmを加算する。
【0093】
[第1実施形態の作用]
図2に示すように、第1排出部23が第2媒体17bを排出する間、制御部38は、パドル29を
図2に示す停止姿勢で停止してもよい。このとき制御部38は、搬送部31を搬送位置TPに位置させてもよい。搬送位置TPに位置する搬送部31は、処理トレイ24との間に第1媒体17aを挟む。したがって、整合済みの第1媒体17aが乱れる虞を低減できる。
【0094】
停止姿勢のパドル29は、第1排出部23が第2媒体17bを排出する一対のローラーの間の位置より、ブレード36が上方に位置する。そのため、第1排出部23から排出される第2媒体17bは、ブレード36と処理トレイ24との間に入る。
【0095】
例えば制御部38は、検出部28が第2媒体17bを検出する状態から検出しない状態に変わった場合に、第2媒体17bが第1排出部23を通過したと判断してもよい。第2媒体17bの第1排出方向D1における後端が第1排出部23を通過すると、制御部38は、位置変更部32を制御し、搬送部31を待機位置WPに移動させる。このときの待機位置WPは、基準位置に対して算出した変更量だけ処理トレイ24から離れした位置である。
【0096】
例えば、第2媒体17bの第2記録濃度が第2濃度閾値未満、片面記録された第1媒体17aの第1記録濃度が第1濃度閾値以上、処理トレイ24に積載された積載枚数が積載閾値以下、気温が気温閾値以上、湿度が湿度閾値以上、経過時間が1分未満である場合、変更量は、47mmになる。すなわち、変更量は、第1記録面調整値である3mm、第1枚数調整値である20mm、第2枚数調整値である20mm、第1温度調整値である3mm、及び時間調整値である1mmを加算した値である。したがって、待機位置WPに位置する搬送部31は、処理トレイ24から10mm離れた基準位置からさらに47mm離れ、処理トレイ24から57mm離れた位置に位置する。
【0097】
制御部38は、搬送部31を待機位置WPに移動させると共に、パドル29を
図2において反時計回り方向に回転させる。回転するパドル29は、第2媒体17bを、待機位置WPに位置する搬送部31と、処理トレイ24との間に送り込む。
【0098】
続いて制御部38は、位置変更部32を制御し、搬送部31を搬送位置TPに移動させる。搬送位置TPに位置する搬送部31は、処理トレイ24に載せられた第2媒体17bの上面に接触する。
【0099】
制御部38は、搬送位置TPに位置する搬送部31を回転させることにより第2媒体17bを整合する。本実施形態では、整合前の媒体17を第2媒体17bといい、整合後の媒体17を第1媒体17aという。したがって、処理トレイ24には、整合された第1媒体17aが積載される。
【0100】
処理トレイ24に積載される第1媒体17aの枚数である積載枚数が、後処理を行う単位である処理枚数より少ない場合、制御部38は、第1排出部23が次の第2媒体17bを排出するまで待機する。
【0101】
積載枚数が、処理枚数になると、制御部38は、後処理装置14に後処理を行わせる。本実施形態の後処理部33は、処理トレイ24に積載されている複数の第1媒体17aをステープルで綴じる。制御部38は、第2排出部25を制御し、処理トレイ24上の第1媒体17aの束を積載トレイ26に排出させる。
【0102】
本実施形態の効果について説明する。
(1)処理トレイ24に積載された第1媒体17aのカールの大きさは、第1媒体17aに対する処理によって変化する。制御部38は、第1媒体17aに対して行われる処理に関する処理情報に基づいて搬送部31の待機位置WPを変更させる。すなわち、制御部38は、処理トレイ24に積載された整合済みの第1媒体17aのカールが、第1媒体17aに続いて整合される第2媒体17bに与える影響を考慮した待機位置WPで搬送部31を待機させることができる。したがって、媒体17が待機位置WPに位置する搬送部31に当たり、媒体17に記録された画像が傷付く虞を低減できる。
【0103】
(2)記録濃度が高い場合は、記録濃度が低い場合に比べて媒体17のカールが大きくなりやすい。その点、制御部38は、第1媒体17aの第1記録濃度が第1濃度閾値以上の場合には、第1記録濃度が第1濃度閾値より低い場合よりも、待機位置WPと処理トレイ24との間隔を大きくする。すなわち、待機位置WPを処理トレイ24から離すことで、第1媒体17aがカールしていても、第1媒体17aの上に排出される第2媒体17bが待機位置WPに位置する搬送部31に当たる虞を低減できる。
【0104】
(3)第1媒体17aは、上面記録濃度と下面記録濃度の差が大きい場合に、差が小さい場合に比べてカールが大きくなりやすい。カールの仕方は、上面記録濃度と下面記録濃度のどちらが高いかにより変わる。例えば、下面記録濃度が上面記録濃度より低い場合、第1媒体17aは、中央部が上がるようにカールしやすい。下面記録濃度が上面記録濃度より高い場合、第1媒体17aは、端部が上がるようにカールしやすい。中央部が上がるカールは、第1媒体17aの自重の関係で大きくなりにくいのに対し、端部が上がるカールは、中央部が上がるカールより大きくなりやすい。その点、制御部38は、下面記録濃度が上面記録濃度よりも濃度差閾値以上高い場合に、待機位置WPと処理トレイ24との間隔を大きくする。したがって、第1媒体17aのカールが大きくなりやすい場合でも、第1媒体17aの上に排出される第2媒体17bが待機位置WPに位置する搬送部31に当たる虞を低減できる。
【0105】
(4)記録濃度が低い場合は、カールが大きくなりにくい。しかし、第1媒体17aのカールが大きい場合は、第2媒体17bのカールが小さくても、第2媒体17bは搬送部31に当たる虞がある。その点、制御部38は、第2記録濃度が第2濃度閾値以下であっても、第1記録濃度に基づいて待機位置WPを変更させる。したがって、第2媒体17bが待機位置WPに位置する搬送部31に当たる虞を低減できる。
【0106】
(5)第1排出部23から排出された第2媒体17bは、処理トレイ24に積載される第1媒体17aの上に載る。そのため、第1媒体17aの枚数は、処理トレイ24に対する第2媒体17bの位置に影響する。制御部38は、第1媒体17aの枚数に基づいて待機位置WPを変更する。したがって、第1媒体17aの上に載せられる第2媒体17bの位置を考慮した待機位置WPで搬送部31を待機させることができる。
【0107】
(6)吸湿する媒体17の場合、空気中の水蒸気は、媒体17に吸収されることで、媒体17が膨潤し波打つ虞がある。媒体17が膨潤し波打つと、媒体17と搬送部31との距離が近くなる。媒体17は、湿度が高い場合に、湿度が低い場合よりも水蒸気を吸収しやすい。その点、処理情報は湿度情報を含む。制御部38は、湿度に基づいて待機位置WPを変更することができ、空気中の水蒸気の影響を考慮した待機位置WPで搬送部31を待機させることができる。
【0108】
(7)記録された媒体17は、時間の経過に伴って乾燥し、カールが収束することがある。制御部38は、記録部21が第1媒体17aに記録してからの経過時間に基づいて待機位置WPを変更する。すなわち、時間の経過を考慮した待機位置WPで搬送部31を待機させることができる。
【0109】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・処理情報は、媒体17の厚みに関する厚み情報を含んでもよい。厚み情報は、媒体17の厚みの程度を示す数値であってもよいし、媒体17の坪量であってもよい。制御部38は、制御部38は、媒体17の厚みが厚い場合には、厚みが薄い場合より積載閾値を小さくしてもよいし、枚数調整値を大きくしてもよい。
【0110】
・処理情報は、記録する画像の解像度に関する解像度情報を含んでもよい。解像度が高い場合は、解像度が低い場合に比べ、記録部21が吐出する液滴の大きさが小さく、且つ吐出数が多い。そのため、解像度が高い場合は、記録に要する記録時間が長くなり、記録時間に合わせて搬送時間を長くすることができる。したがって、制御部38は、解像度が低くて搬送時間が短い場合の待機位置WPの変更量を、解像度が高くて搬送時間が長い場合の待機位置WPの変更量より、大きくしてもよい。
【0111】
・処理情報は、空気中の水蒸気量に関する水蒸気量情報を含んでもよい。水蒸気量は、単位体積当たり水蒸気の量である。制御部38は、空気中の水蒸気量が水蒸気閾値以上の場合に、水蒸気量が水蒸気閾値より低い場合よりも、待機位置WPの変更量を大きくしてもよい。制御部38は、湿度から水蒸気量を算出してもよい。制御部38は、気温と湿度から水蒸気量を算出してもよい。水蒸気閾値は、湿度閾値と気温閾値とから算出される値であってもよい。
【0112】
・制御部38は、第1記録濃度、積載枚数、湿度、気温、及び経過時間のうち、少なくとも1つに基づいて位置変更部32を制御し、待機位置WPを変更させてもよい。
・制御部38は、複数の時間調整値を記憶していてもよい。例えば、制御部38は、経過時間が時間閾値以上の場合は、変更量に第1時間調整値を加算し、経過時間が時間閾値より短い場合には、変更量に第1時間調整値より大きい第2時間調整値を加算してもよい。制御部38は、複数の時間閾値を記憶し、変更量を多段階に変更してもよい。
【0113】
・制御部38は、湿度に基づいて変更量を調整する場合に、気温を考慮しなくてもよい。
・制御部38は、複数の湿度閾値を記憶していてもよい。制御部38は、複数の気温閾値を記憶していてもよい。
【0114】
・制御部38は、第2媒体17bの第2記録濃度に関係なく、第1媒体17aに対して行われる処理に関する情報に基づいて待機位置WPを変更してもよい。
・第2媒体17bの第2記録濃度は、第2媒体17bの上面記録濃度と、第2媒体17bの下面記録濃度と、の合計であってもよい。第2記録濃度は、第2媒体17bの上面記録濃度と第2媒体17bの下面記録濃度の平均であってもよいし、予め決められた一方であってもよい。
【0115】
・第1媒体17aの第1記録濃度は、第1媒体17aの上面記録濃度と、第1媒体17aの下面記録濃度と、の合計であってもよい。第1記録濃度は、第1媒体17aの上面記録濃度と第1媒体17aの下面記録濃度の平均であってもよいし、予め決められた一方であってもよい。
【0116】
・整合ルーチンにおいて比較に用いる第1記録濃度は、処理トレイ24に積載される複数の第1媒体17aの各第1記録濃度を平均したものであってもよい。
・制御部38は、第1媒体17aの下面記録濃度と上面記録濃度のどちらが高いかに関係なく待機位置WPを変更してもよい。制御部38は、上面記録濃度が下面記録濃度より高い場合に、上面記録濃度が下面記録濃度より低い場合より待機位置WPの変更量を大きくしてもよい。
【0117】
・第1記録濃度は、第1媒体17aの上面の上面記録濃度と、第1媒体17aの下面の下面記録濃度と、を含み、制御部38は、下面記録濃度と上面記録濃度との濃度差が濃度差閾値以上の場合に、待機位置WPと処理トレイ24との間隔を大きくしてもよい。
【0118】
・第1記録濃度は、第1媒体17aの上面の上面記録濃度と、第1媒体17aの下面の下面記録濃度と、を含み、制御部38は、上面記録濃度が、下面記録濃度よりも濃度差閾値以上高い場合に、待機位置WPと処理トレイ24との間隔を大きくしてもよい。
【0119】
・第1記録濃度を算出する際に、媒体17の記録領域を複数に分割し、そのうちの一部のみを用いてもよい。具体的には、第1媒体17aと搬送部31とが対向する領域の第1記録濃度を算出して用いてもよい。第1媒体17aと搬送部31とが対向する領域は、第1媒体17aと搬送部31とが対向する位置を含んだ周辺領域としてもよい。ここでの周辺領域とは、第1媒体17aと搬送部31とが対向する位置を含み、第1媒体17aの整合方向D3の下流端から第2排出方向D2に向けて所定距離広がる領域でも良い。そして、ここで算出した第1記録濃度に基づいて搬送部31の待機位置WPを変更してもよい。
【0120】
以下に、上述した実施形態及び変更例から把握される技術的思想及びその作用効果を記載する。
(A)後処理装置は、液体を吐出することで記録を行う記録部によって記録された媒体を排出する排出部と、前記排出部によって排出された前記媒体を積載する処理トレイと、前記処理トレイに設けられ、前記媒体の端部を整合する端部整合部と、前記処理トレイに載せられた前記媒体の上面に接触し、該媒体を前記端部整合部へと搬送する搬送部と、前記処理トレイに対する前記搬送部の相対位置を変更する位置変更部と、前記位置変更部を制御する制御部と、前記処理トレイ上の前記媒体に後処理を行う後処理部と、を備え、前記位置変更部は、前記媒体を搬送する搬送位置と、前記搬送位置よりも前記処理トレイから離れた待機位置と、に前記搬送部を移動可能であり、前記制御部は、前記媒体に対して行われる処理に関する処理情報に基づいて前記待機位置を変更させ、前記処理情報は、整合済みの第1媒体と、整合前の第2媒体のうち、前記第1媒体に対して行われる処理に関する情報を含む。
【0121】
処理トレイに積載された第1媒体のカールの大きさは、第1媒体に対する処理によって変化する。この構成によれば、制御部は、第1媒体に対して行われる処理に関する処理情報に基づいて搬送部の待機位置を変更させる。すなわち、制御部は、処理トレイに積載された整合済みの第1媒体のカールが、第1媒体に続いて整合される第2媒体に与える影響を考慮した待機位置で搬送部を待機させることができる。したがって、媒体が待機位置に位置する搬送部に当たり、媒体に記録された画像が傷付く虞を低減できる。
【0122】
(B)後処理装置において、前記処理情報は、前記第1媒体の第1記録濃度を含み、前記制御部は、前記第1記録濃度が第1濃度閾値以上の場合に、前記第1記録濃度が前記第1濃度閾値より低い場合よりも、前記待機位置と前記処理トレイとの間隔を大きくしてもよい。
【0123】
記録濃度が高い場合は、記録濃度が低い場合に比べて媒体のカールが大きくなりやすい。その点、この構成によれば、制御部は、第1媒体の第1記録濃度が第1濃度閾値以上の場合には、第1記録濃度が第1濃度閾値より低い場合よりも、待機位置と処理トレイとの間隔を大きくする。すなわち、待機位置を処理トレイから離すことで、第1媒体がカールしていても、第1媒体の上に排出される第2媒体が待機位置に位置する搬送部に当たる虞を低減できる。
【0124】
(C)後処理装置において、前記第1記録濃度は、前記第1媒体の上面の上面記録濃度と、前記第1媒体の下面の下面記録濃度と、を含み、前記制御部は、前記下面記録濃度と前記上面記録濃度との濃度差が濃度差閾値以上の場合に、前記待機位置と前記処理トレイとの間隔を大きくしてもよい。
【0125】
第1媒体は、上面記録濃度と下面記録濃度の差が大きい場合に、差が小さい場合に比べてカールが大きくなりやすい。この構成によれば、制御部は、下面記録濃度と上面記録濃度との濃度差が濃度差閾値以上高い場合に、待機位置と処理トレイとの間隔を大きくする。したがって、第1媒体のカールが大きくなりやすい場合でも、第1媒体の上に排出される第2媒体が待機位置に位置する搬送部に当たる虞を低減できる。
【0126】
(D)後処理装置において、前記制御部は、前記下面記録濃度が、前記上面記録濃度よりも濃度差閾値以上高い場合に、前記待機位置と前記処理トレイとの間隔を大きくしてもよい。
【0127】
カールの仕方は、上面記録濃度と下面記録濃度のどちらが高いかにより変わる。例えば、下面記録濃度が上面記録濃度より低い場合、第1媒体は、中央部が上がるようにカールしやすい。下面記録濃度が上面記録濃度より高い場合、第1媒体は、端部が上がるようにカールしやすい。中央部が上がるカールは、第1媒体の自重の関係で大きくなりにくいのに対し、端部が上がるカールは、中央部が上がるカールより大きくなりやすい。その点、この構成によれば、制御部は、下面記録濃度が上面記録濃度よりも濃度差閾値以上高い場合に、待機位置と処理トレイとの間隔を大きくする。したがって、第1媒体のカールが大きくなりやすい場合でも、第1媒体の上に排出される第2媒体が待機位置に位置する搬送部に当たる虞を低減できる。
【0128】
(E)後処理装置において、前記処理情報は、前記第2媒体の第2記録濃度を含み、前記制御部は、前記第2記録濃度が第2濃度閾値以下である場合に、前記第1記録濃度に基づいて前記待機位置と前記処理トレイとの間隔を大きくしてもよい。
【0129】
記録濃度が低い場合は、カールが大きくなりにくい。しかし、第1媒体のカールが大きい場合は、第2媒体のカールが小さくても、第2媒体は搬送部に当たる虞がある。その点、この構成によれば、制御部は、第2記録濃度が第2濃度閾値以下であっても、第1記録濃度に基づいて待機位置を変更させる。したがって、第2媒体が待機位置に位置する搬送部に当たる虞を低減できる。
【0130】
(F)後処理装置において、前記処理情報は、湿度に関する湿度情報を含み、前記制御部は、前記湿度が湿度閾値以上である場合に、前記待機位置と前記処理トレイとの間隔を大きくしてもよい。
【0131】
吸湿する媒体の場合、空気中の水蒸気は、媒体に吸収されることで、媒体が膨潤し波打つ虞がある。媒体が膨潤し波打つと、媒体と搬送部との距離が近くなる。媒体は、湿度が高い場合に、湿度が低い場合よりも水蒸気を吸収しやすい。その点、この構成によれば、処理情報は湿度情報を含む。制御部は、湿度に基づいて待機位置を変更することができ、空気中の水蒸気の影響を考慮した待機位置で搬送部を待機させることができる。
【0132】
(G)後処理装置において、前記処理情報は、前記記録部が前記第1媒体に記録してから経過した経過時間を含み、前記制御部は、前記経過時間が時間閾値より短い場合に、前記待機位置と前記処理トレイとの間隔を大きくしてもよい。
【0133】
記録された媒体は、時間の経過に伴って乾燥し、カールが収束することがある。この構成によれば、制御部は、記録部が第1媒体に記録してからの経過時間に基づいて待機位置を変更する。すなわち、時間の経過を考慮した待機位置で搬送部を待機させることができる。
【符号の説明】
【0134】
11…記録システム、12…記録装置、13…中間装置、14…後処理装置、15…中折装置、17…媒体、17a…第1媒体、17b…第2媒体、17c…第3媒体、18…操作部、19…媒体収容部、21…記録部、23…排出部の一例である第1排出部、24…処理トレイ、25…第2排出部、26…積載トレイ、28…検出部、29…パドル、30…端部整合部、31…搬送部、32…位置変更部、33…後処理部、35…回転軸、36…ブレード、38…制御部、D1…第1排出方向、D2…第2排出方向、D3…整合方向、TP…搬送位置、WP…待機位置、X…幅方向、Y…搬送方向、Z…鉛直方向。