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特許7604953ネットワーク機器、及びネットワークシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】ネットワーク機器、及びネットワークシステム
(51)【国際特許分類】
   H04L 41/00 20220101AFI20241217BHJP
【FI】
H04L41/00
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021036583
(22)【出願日】2021-03-08
(65)【公開番号】P2022136796
(43)【公開日】2022-09-21
【審査請求日】2024-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100155712
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 尚
(72)【発明者】
【氏名】水本 寛仁
【審査官】小林 義晴
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-181921(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0053520(US,A1)
【文献】特開2013-041509(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 41/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスタ装置と、前記マスタ装置により制御される複数のスレーブ装置が接続されるネットワークシステムに用いられる前記スレーブ装置であるネットワーク機器であって、
他の前記スレーブ装置との間でデータの送受信を行う通信部と、
異常を検出する異常検出部と、
異常報知を実行する異常報知部と、
当該ネットワーク機器と少なくとも1つの他の前記スレーブ装置とを含んだグループの構成リストを予め記憶する記憶部と、
当該ネットワーク機器の各部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記通信部を通じて、前記構成リストに登録された他の前記スレーブ装置に対して、異常の有無の問い合わせを行い、他の前記スレーブ装置から異常有りとの返信があった場合、または、前記異常検出部が異常を検出した場合に、前記異常報知部に異常報知を実行させるとともに、前記通信部を通じて、前記構成リストに登録された他の前記スレーブ装置に対して、異常報知を実行すべき旨の指示を送信し、
また前記制御部は、
前記問い合わせに対する返信しない他の前記スレーブ装置がある場合に、前記異常報知部に異常報知を実行させるとともに、前記通信部を通じて、前記構成リストに登録された他の前記スレーブ装置に対して、異常報知を実行すべき旨の指示を送信する、ネットワーク機器。
【請求項2】
前記異常報知部は、第1の発光素子を有し、前記異常報知は前記第1の発光素子の点灯により実行される、請求項1に記載のネットワーク機器。
【請求項3】
前記制御部は、
前記異常検出部が異常を検出した場合と、異常を検出していない場合とにおいて、前記第1の発光素子での発光状態、発光色、及び発光周期の少なくともいずれかを互いに異ならせる、請求項に記載のネットワーク機器。
【請求項4】
前記制御部は、
前記構成リストに登録された他の前記スレーブ装置のうち、
異常有りとの返信をした以外の前記スレーブ装置に対しては、前記指示として、当該スレーブ装置以外の前記スレーブ装置に異常が生じていることを示す、第1の異常報知を実行すべき旨の指示を送信する、請求項1から3のいずれか1項に記載のネットワーク機器。
【請求項5】
マスタ装置と、前記マスタ装置により制御される複数のスレーブ装置が接続されるネットワークシステムであって、
請求項1からのいずれか1項に記載のネットワーク機器が、前記スレーブ装置として少なくとも1つ接続されている、ネットワークシステム。
【請求項6】
マスタ装置と、前記マスタ装置により制御される複数のスレーブ装置が接続されるネットワークシステムであって、
請求項4に記載のネットワーク機器が、前記スレーブ装置として少なくとも1つ接続されており、
請求項4に記載の他の前記スレーブ装置として、
第2の発光素子を有し、
前記第1の異常報知を実行すべき旨の指示を受信した場合と、前記第1の異常報知を受信しない場合とにおいて、前記第2の発光素子の発光状態、発光色、及び発光周期の少なくともいずれかを互いに異ならせるように動作する前記スレーブ装置がさらに接続されている、ネットワークシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ネットワーク機器、及びこれを用いたネットワークシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ファクトリーオートメーション(Factory Automation:FA)の分野においては、作業の工程を分担する様々な種類の装置の制御が行われる。工場施設等一定の領域において作業に用いられる各種のコントローラ、リモートI/O、および製造装置を連携して動作させるために、これらの装置を接続する、フィールドネットワークとも呼ばれる産業用ネットワークが構築されている。
【0003】
一般的な産業用ネットワークでは、各種のスレーブ装置と、マスタ装置などから構成されるマスタスレーブ方式が採用される。スレーブ装置は、工場内に設置される設備の制御あるいはデータ収集を行う装置である。マスタ装置は、これらのスレーブ装置を集中管理する、例えば(PLC:Programmable Logic Controller)と呼ばれる装置である。
【0004】
従来のスレーブ装置として、信号灯を有しており、信号灯の点灯により当該スレーブ装置の動作の状態を製造担当者などのユーザーに報知する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-68239号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のような従来のスレーブ装置を有するネットワークシステムでは、異常がスレーブ装置に発生したときに、そのスレーブ装置に連携する他のスレーブ装置を判別することが難しかった。すなわち、従来のネットワークシステムでは、スレーブ装置に異常が生じたときに、その異常を生じたスレーブ装置の影響範囲を特定することが困難であるという問題点があった。
【0007】
本開示は上記の問題点を鑑みてなされたものであり、異常がスレーブ装置に生じたときでも、その異常を生じたスレーブ装置の影響範囲を容易に特定することができるネットワーク機器、及びネットワークシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、上述の課題を解決するために、以下の構成を採用する。
【0009】
本開示の一側面に係るネットワーク機器は、マスタ装置と、前記マスタ装置により制御される複数のスレーブ装置が接続されるネットワークシステムに用いられる前記スレーブ装置であるネットワーク機器であって、他の前記スレーブ装置との間でデータの送受信を行う通信部と、異常を検出する異常検出部と、異常報知を実行する異常報知部と、当該ネットワーク機器と少なくとも1つの他の前記スレーブ装置とを含んだグループの構成リストを予め記憶する記憶部と、当該ネットワーク機器の各部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記通信部を通じて、前記構成リストに登録された他の前記スレーブ装置に対して、異常の有無の問い合わせを行い、他の前記スレーブ装置から異常有りとの返信があった場合、または、前記異常検出部が異常を検出した場合に、前記異常報知部に異常報知を実行させるとともに、前記通信部を通じて、前記構成リストに登録された他の前記スレーブ装置に対して、異常報知を実行すべき旨の指示を送信する構成を備えている。
【0010】
上記構成によれば、異常がスレーブ装置に生じたときでも、その異常を生じたスレーブ装置の影響範囲を容易に特定することができるネットワーク機器を構成することが可能である。
【0011】
上記一側面に係るネットワーク機器において、前記制御部は、前記問い合わせに対する返信しない他の前記スレーブ装置がある場合に、前記異常報知部に異常報知を実行させるとともに、前記通信部を通じて、前記構成リストに登録された他の前記スレーブ装置に対して、異常報知を実行すべき旨の指示を送信する構成を備えていてもよい。
【0012】
上記構成によれば、上記構成リストに登録された他のスレーブ装置との間の通信を行うことができない場合でも、当該他のスレーブ装置に異常が生じたと判別して、その異常を生じたスレーブ装置の影響範囲を容易に特定することができる。
【0013】
上記一側面に係るネットワーク機器において、前記異常報知部は、第1の発光素子を有し、前記異常報知は前記第1の発光素子の点灯により実行される構成を備えていてもよい。
【0014】
上記構成によれば、異常を生じたスレーブ装置の影響範囲を視認することができ、当該影響範囲をより容易に特定することができる。
【0015】
上記一側面に係るネットワーク機器において、前記制御部は、前記構成リストに登録された他の前記スレーブ装置のうち、異常有りとの返信をした以外の前記スレーブ装置に対しては、前記指示として、当該スレーブ装置以外の前記スレーブ装置に異常が生じていることを示す、第1の異常報知を実行すべき旨の指示を送信する構成を備えていてもよい。
【0016】
上記構成によれば、異常を生じていないスレーブ装置が異常を生じたスレーブ装置と異なる異常報知を実行することとなり、上記構成リストに登録された他のスレーブ装置において、異常を生じたスレーブ装置をより簡単に判別することができる。
【0017】
上記一側面に係るネットワーク機器において、前記他のスレーブ装置は、第2の発光素子を有し、前記第1の異常報知を実行すべき旨の指示を受信した場合と、前記第1の異常報知を受信しない場合とにおいて、前記第2の発光素子の発光状態、発光色、及び発光周期の少なくともいずれかを互いに異ならせるように動作する構成を備えていてもよい。
【0018】
上記構成によれば、上記構成リストに登録された他のスレーブ装置において、第2の発光素子での発光状態、発光色、及び発光周期の少なくともいずれかに基づいて、当該他のスレーブ装置に異常が生じているか否かについて簡単に判別することができる。
【0019】
上記一側面に係るネットワーク機器において、前記制御部は、前記異常検出部が異常を検出した場合と、異常を検出していない場合とにおいて、前記第1の発光素子での発光状態、発光色、及び発光周期の少なくともいずれかを互いに異ならせる構成を備えていてもよい。
【0020】
上記構成によれば、ネットワーク機器において、第1の発光素子での発光状態、発光色、及び発光周期の少なくともいずれかに基づいて、当該ネットワーク機器に異常が生じているか否かについて簡単に判別することができる。
【0021】
また、本開示の一側面に係るネットワークシステムは、マスタ装置と、前記マスタ装置により制御される複数のスレーブ装置が接続されるネットワークシステムであって、上記いずれかのネットワーク機器が、前記スレーブ装置として少なくとも1つ接続されている構成を備えている。
【0022】
上記構成によれば、異常がスレーブ装置に生じたときでも、その異常を生じたスレーブ装置の影響範囲を容易に特定することができるネットワークシステムを構成することが可能である。
【発明の効果】
【0023】
本開示によれば、異常がスレーブ装置に生じたときでも、その異常を生じたスレーブ装置の影響範囲を容易に特定することができるネットワーク機器、及びネットワークシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本開示の実施形態1に係るネットワークシステムの構成例を説明する説明図である。
図2】本開示の実施形態1に係るネットワーク機器(スレーブ装置)を示す概略構成図である。
図3】上記ネットワークシステムでの制御グループの構成リストの設定動作を示すフローチャートである。
図4図1に示した情報処理装置側で設定が行われる、構成リストの具体例を示す図である。
図5】ネットワーク機器側に設定される、構成リストの具体例を示す図である。
図6】他のネットワーク機器側に設定される、構成リストの具体例を示す図である。
図7】上記ネットワーク機器の動作例を説明するフローチャートである。
図8】本開示の実施形態2に係るネットワーク機器の動作例を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一側面に係る実施の形態(以下、「本実施形態」とも表記する)が、図面に基づいて説明される。
【0026】
§1 適用例
まず、図1及び図2を用いて、本開示が適用される場面の一例について説明する。図1は、本開示の実施形態1に係るネットワークシステムの構成例を説明する説明図である。図2は、本開示の実施形態1に係るネットワーク機器(スレーブ装置)を示す概略構成図である。
【0027】
尚、以下の説明では、スレーブ装置である、本実施形態のネットワーク機器が、図2に示されるように、他のスレーブ装置と同一の構成である場合を例示して説明する。また、本実施形態のネットワークシステム100において、複数のスレーブ装置として、例えば、8つのスレーブ装置2A、2B、2C、2D、2E、2F、2G、2H(以下、”2”にて総称する)を接続した場合を例示して説明する。また、スレーブ装置が、本実施形態に係るネットワーク機器である場合には、ネットワーク機器2Nと表すことがある。
【0028】
本実施形態のネットワークシステム100は、マスタ装置1と、当該マスタ装置1に制御される複数のスレーブ装置2が接続されるネットワークシステムである。また、本実施形態のネットワーク機器2Nは、ネットワークシステム100に対して、1つの上記スレーブ装置2として接続される。本実施形態のネットワークシステム100では、少なくとも1つのネットワーク機器2Nがスレーブ装置2として接続される。
【0029】
また、本実施形態のネットワークシステム100は、情報処理装置3を備えている。ネットワークシステム100の管理者は、情報処理装置3を通じて、マスタ装置1及びスレーブ装置2の各種設定の実行、データの取得等を行うことが可能になっている。さらに、本実施形態のネットワークシステム100は、表示装置4を備えており、当該ネットワークシステム100での動作状況などを表示可能になっている。
【0030】
また、本実施形態のネットワーク機器2Nは、他のスレーブ装置2との間でデータの送受信を行う通信部21と、異常を検出する異常検出部22と、異常報知を実行する異常報知部23と、当該ネットワーク機器2Nと少なくとも1つの他のスレーブ装置2とを含んだ制御グループ(グループ)の構成リストを予め記憶する記憶部25と、当該ネットワーク機器2Nの各部(構成要素)を制御する制御部24とを備える。記憶部25には、上記情報処理装置3により、上述の制御グループの構成リストが予め設定される。
【0031】
制御部24は、通信部21を通じて、上記構成リストに登録された他のスレーブ装置2に対して、異常の有無の問い合わせを行う。そして、制御部24は、他のスレーブ装置2から異常有りとの返信があった場合、または、異常検出部22が異常を検出した場合に、異常報知部23に異常報知を実行させる。さらに、制御部24は、構成リストに登録された他のスレーブ装置2に対して、異常報知を実行すべき旨の指示を送信する。
【0032】
よって本実施形態によれば、異常がスレーブ装置2に生じたときでも、その異常を生じたスレーブ装置2の影響範囲を容易に特定することができるようになるネットワーク機器2N及びこれを用いたネットワークシステム100を構成することができる。
【0033】
§2 構成例
<ネットワークシステム>
図1の例では、本実施形態のネットワークシステム100は、マスタ装置1と、通信装置(通信ハブ)5A、5Bを介してマスタ装置1に接続される複数のスレーブ装置2と、通信装置5Aを介してマスタ装置1に接続される情報処理装置3及び表示装置4とを備える。また、本実施形態のネットワークシステム100では、例えば、ETHERNET/IP規格のネットワークシステムが用いられている(ETHERNET:登録商標)。また、本実施形態のネットワークシステム100では、例えば、通信ケーブルを使用して、マスタ装置1、スレーブ装置2、情報処理装置3、表示装置4、及び通信装置5A、5Bが図1に例示するように接続されており、通信ケーブルを介在させて通信を行うようになっている。
【0034】
マスタ装置1は、例えば、PLC(Programmable Logic Controller)を含んでいる。また、マスタ装置1は、情報処理装置3等から設定され得る所定のプログラムに従って、動作することにより、複数の各スレーブ装置2の制御を行うように構成されている。
【0035】
例えば、4つのスレーブ装置2A、2B、2C、2Dが通信装置5Bに対して順次接続され、4つのスレーブ装置2E、2F、2G、2Hが通信装置5Bに対して順次接続されている。また、スレーブ装置2では、情報処理装置3から設定される制御グループの構成リストに基づいて、例えば、図1に点線にて囲むように、2つの制御グループC1、C2にグループ分けされている。すなわち、制御グループC1には、6つのスレーブ装置2A、2B、2C、2D、2E、2Fが含まれ、制御グループC2には、2つのスレーブ装置2G、2Hが含まれている。
【0036】
さらに、各制御グループC1、C2では、少なくとも1つのスレーブ装置2が情報処理装置3からの上記構成リストを予め保持することによって、当該制御グループC1、C2でのネットワーク機器2Nを構成するようになっている。そして、各制御グループC1、C2では、そのネットワーク機器2Nにより、スレーブ装置2での異常の発生を監視するとともに、異常がスレーブ装置2に生じたときに、制御グループC1、C2単位に異常発生の表示を行うように構成されている(詳細は後述)。
【0037】
尚、制御グループに含めるスレーブ装置2は、例えば、本実施形態のネットワークシステム100が工場の製造設備に適用される場合、その製造設備に含まれる生産ライン単位や製造物の生産処理単位などの異常を生じたスレーブ装置2の影響範囲を考慮して決定すると好ましい。つまり、このような場合には、異常を発生したスレーブ装置2とそれに連携するスレーブ装置2とを早急に確認することができ、さらには当該異常に対する処置を迅速に行うことが可能となって製造物の生産効率が低下するのを容易に防ぐことができるようになる。
【0038】
情報処理装置3は、例えば、コンピュータ(PC)を用いて構成されており、ユーザーによって操作されることにより、マスタ装置1、スレーブ装置2、及び表示装置4の各部を制御する。また、情報処理装置3は、ユーザーの操作に応じて、例えば、制御グループC1に含まれたスレーブ装置2A、2Eに対して、制御グループC1の構成リストを予め設定して、これらのスレーブ装置2A、2Eを制御グループC1でのネットワーク機器2Nとする。このように、本実施形態のネットワークシステム100では、情報処理装置3が、ユーザーによって適宜操作されることにより、各制御グループC1、C2でのスレーブ装置2の構成やネットワーク機器2の設定を自在に変更することができる。
【0039】
表示装置4は、例えば、タッチパネル機能を有する、液晶パネルや有機ELパネル等を用いて構成されている。また、表示装置4は、例えば、HMI(Human Machine Interface)に基づいて動作することにより、所定の情報表示や指示などの入力操作を行うようになっている。
【0040】
<ネットワーク機器>
図2の例では、本実施形態のネットワーク機器2Nは、通信部21、異常検出部22、異常報知部23、制御部24、及び記憶部25を備える。また、本実施形態のネットワーク機器2Nは、記憶部25に予め記憶されている制御グループの構成リストに基づいて、当該制御グループの他のスレーブ装置2との間で通信を行うことにより、当該他のスレーブ装置2を監視する。
【0041】
通信部21は、ネットワークシステム100の他機との間で双方向の通信を行う機能ブロックである。つまり、ネットワーク機器2Nは、通信部21を通じて、上述の他機との間で、例えば、問い合わせやその問い合わせに対する返信などのデータを送受信する。
【0042】
異常検出部22は、ネットワーク機器2Nに生じた異常を検出する機能ブロックである。具体的には、この異常検出部22は、例えば、ネットワーク機器2N自身の動作の異常や、ネットワーク機器2Nが制御する機器の動作の異常を検出する。そして、異常検出部22は、異常を検出した場合には、その異常発生を制御部24に通知する。
【0043】
異常報知部23は、例えば、第1の発光素子としてのLED(Light Emitting Diode)23Lを有しており、制御部24からの動作指示に従って、当該異常報知部23のLED23Lを所定の異常パターンで点灯することにより、異常報知を行う。これにより、ユーザーは、上記制御グループでのスレーブ装置2(ネットワーク機器2Nを含む)に異常が生じたときでの影響範囲を視認することができる。尚、異常報知部23は、ユーザーに対して異常報知を行うことができるものであれば、何等、LED(発光素子)23Lに限定されない。具体的にいえば、例えば、スピーカーを有して、所定のビープ音またはサイレン音を発する音声出力部や、液晶パネル、有機ELパネル、またはマイクロLEDなどを備え、所定の画像を表示する画像表示部、またはこれらを適宜組み合わせたものにより、異常報知部23を構成することができる。
【0044】
尚、上記の説明では、LED23Lを点灯することにより、異常報知を行う場合について説明したが、異常報知部23での異常報知の方法はこれに限定されるものではなく、異常発生時に所定の異常パターンで点灯させるものであれば、何等限定されない。例えば、異常が生じていない(正常状態の)場合にLED23Lを点灯させ、異常が生じた場合に点滅させるなどの当該LED23Lの発光状態や発光周期を変更する構成でもよい。また、この異常報知の方法は、スレーブ装置2に設けられた後掲の第2の発光素子(LED)でも、同様である。
【0045】
記憶部25は、例えば、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ等の補助記憶装置であり、制御部24で実行される各種の処理プログラムを記憶する。また、記憶部25は、情報処理装置3から設定される制御グループの構成リストを予め記憶する。
【0046】
制御部24は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を含み、情報処理に応じて各構成要素の制御を行う機能ブロックである。また、制御部24は、記憶部25に予め設定された制御グループの各スレーブ装置2を監視する監視動作を行う。
【0047】
また、制御部24は、異常検出部22から異常が生じた旨の判別結果を受けた場合に、異常報知部23を点灯させるとともに、通信部21を通じて、記憶部25に記憶されている上記構成リストに含まれた他のスレーブ装置2に対して、異常報知を実行すべき旨の指示を送信する。これにより、当該他のスレーブ装置2では、その異常報知部が有する、例えば、第2の発光素子としてのLEDが点灯して、制御グループに含まれたスレーブ装置2(ネットワーク機器2Nを含む)に異常が生じたことが報知される。
【0048】
また、制御部24は、通信部21を通じて、上記構成リストに登録された他のスレーブ装置2に対して、異常の有無の問い合わせを行い、当該他のスレーブ装置2から異常有りとの返信があった場合に、異常報知部23を点灯させるとともに、通信部21を通じて、記憶部25に記憶されている上記構成リストに含まれた他のスレーブ装置2に対して、異常報知を実行すべき旨の指示を送信する。これにより、当該他のスレーブ装置2では、その異常報知部が有する、例えば、第2の発光素子としてのLEDが点灯して、制御グループに含まれたスレーブ装置2(ネットワーク機器2Nを含む)に異常が生じたことが報知される。
【0049】
さらに、制御部24は、通信部21を通じて、上記構成リストに登録された他のスレーブ装置2に対して、異常の有無の問い合わせを行った後に、当該問い合わせに対する返信しない他のスレーブ装置2がある場合に、異常報知部23を点灯させるとともに、通信部21を通じて、記憶部25に記憶されている上記構成リストに含まれた他のスレーブ装置2に対して、異常報知を実行すべき旨の指示を送信する。これにより、当該他のスレーブ装置2では、その異常報知部が有する、例えば、第2の発光素子としてのLEDが点灯して、制御グループに含まれたスレーブ装置2(ネットワーク機器2Nを含む)に異常が生じたことが報知される。
【0050】
このように、ネットワーク機器2Nが、上記他のスレーブ装置2との間の通信を行うことができない場合でも、ネットワーク機器2Nは、当該他のスレーブ装置2に異常が生じたと判別して、その異常を生じたスレーブ装置2の影響範囲を容易に特定することができる。言い換えれば、本実施形態のネットワーク機器2は、他のスレーブ装置2との間の通信ケーブルにおいて、その接続不良や断線、あるいはノイズなどに起因する通信障害、またはスレーブ装置2の交換などの場合での通信遮断が生じた場合でも、異常が生じたと判別して、制御グループのスレーブ装置2(ネットワーク機器2Nを含む)に異常が生じたことを報知することができる。
【0051】
§3 動作例
<設定動作>
まず、図3から図6も参照して、制御グループの構成リストの設定動作について説明する。図3は、上記ネットワークシステムでの制御グループの構成リストの設定動作を示すフローチャートである。図4は、図1に示した情報処理装置側で設定が行われる、構成リストの具体例を示す図である。図5は、ネットワーク機器側に設定される、構成リストの具体例を示す図である。図6は、他のネットワーク機器側に設定される、構成リストの具体例を示す図である。尚、以下の動作例の説明では、図1に示した制御グループC1のスレーブ装置2のうち、スレーブ装置2A、2Eに対して、構成リストLs1及びLs2をそれぞれ設定して、これらの各スレーブ装置2A、2Eをネットワーク機器2Nとする場合を例示して説明する。
【0052】
初めにステップS101で、情報処理装置3では、ユーザーの操作に基づいて、制御グループC1に含めるスレーブ装置2と、その制御グループC1でのネットワーク機器2Nとの選定が行われて、図4に示す構成リストLsが作成される。つまり、構成リストLsでは、図4に示すように、制御グループC1に含まれたスレーブ装置2A、2B、2C、2D、2E、2Fを特定するための情報(例えば、IPアドレス)と、ネットワーク機器2Nに選定されていることを示す情報とがテーブル形式で記載されている。
【0053】
次にステップS102で、情報処理装置3は、ネットワーク機器2Nに選定したスレーブ装置2A、2Eに対して、作成した構成リストLsを転送する。これにより、スレーブ装置2Aでは、図5に示す構成リストLs1がその記憶部25に記憶され、当該スレーブ装置2Aは、ネットワーク機器2Nとして構成されて、制御グループC1の他のスレーブ装置2B、2C、2D、2E、2Fは監視対象のスレーブ装置2とされる。また、この構成リストLs1では、制御グループC1に含まれたスレーブ装置2A、2B、2C、2D、2E、2Fを特定するための情報(例えば、IPアドレス)と、自機または監視対象の他機を示す情報とがテーブル形式で記載されている。
【0054】
同様に、スレーブ装置2Eでは、図6示す構成リストLs2がその記憶部25に記憶され、当該スレーブ装置2Eは、ネットワーク機器2Nとして構成されて、制御グループC1の他のスレーブ装置2A、2B、2C、2D、2Fは監視対象のスレーブ装置2とされる。また、この構成リストLs2では、制御グループC1に含まれたスレーブ装置2A、2B、2C、2D、2E、2Fを特定するための情報(例えば、IPアドレス)と、自機または監視対象の他機を示す情報とがテーブル形式で記載されている。
【0055】
このように、本実施形態では、制御グループC1において、2つ以上のネットワーク機器2Nを設定することにより、各ネットワーク機器2Nを他のネットワーク機器2Nの監視対象とすることができ、1つのネットワーク機器2Nに異常が生じて、そのネットワーク機器2Nによる制御グループでの異常報知を行えなくなった場合でも、他のネットワーク機器2Nにより、当該制御グループC1での異常報知を行うことができる。
【0056】
尚、上記の説明以外に、HMIの機能、つまり表示装置4のタッチパネル機能を用いて、構成リストLs1、Ls2をそれぞれスレーブ装置2A、2Eに設定する構成でもよい。
【0057】
<監視動作>
次に、図7も参照して、本実施形態のネットワーク機器2Nでの監視動作について具体的に説明する。図7は、上記ネットワーク機器の動作例を説明するフローチャートである。尚、以下の説明では、ネットワーク機器2Nとしてのスレーブ装置2Aでの動作を例示して説明する。
【0058】
初めにステップS1で、制御部24は、異常検出部22からの異常が生じた旨の判別結果の通知の有無に基づいて、異常検出部22が異常を検出したか否かについて判別する。異常が検出された場合(S1でYES)、ステップS3に進み、それ以外の場合(S1でNO)、ステップS2に進む(ステップS1)。
【0059】
ステップS2で、制御部24は、制御グループC1の他のネットワーク機器2N(つまり、スレーブ装置2E)から異常報知部23のLED23Lの動作指示を受信したか否かについて判別する。動作指示を受信していない場合(S2でNO)、ステップS6に進み、それ以外の場合(S2でYES)、ステップS3に進む(ステップS2)。
【0060】
ステップS3で、制御部24は、ネットワーク機器2Nの異常ステータスを異常状態に設定する。次にフローはステップS4に進む。なお、異常ステータスは、例えば、制御部24内に設けられた上記RAMの所定の設定領域(図示せず)に対して、異常状態または正常状態が書き込まれて保持されている。
【0061】
ステップS4で、制御部24は、ネットワーク機器2Nの発光ステータスを異常パターンに設定する。なお、発光ステータスは、異常ステータスと同様に、上記設定領域に対して、異常パターンまたは正常パターンが書き込まれて保持されている。つまり、発光ステータスは、異常ステータスと同様に、異常の有無を示す情報であり、異常パターンの発光ステータスは、異常有りの返信(信号)の一例である。
【0062】
続いてステップS5で、制御部24は、異常報知部23のLED23Lを異常パターンで点灯(動作)させる。次にフローはステップS6に進む。
【0063】
ステップS6で、制御部24は、記憶部25に構成リストLs1が記憶されているか否かについて判別する。構成リストLs1が記憶されていない場合(S6でNO)、制御部24は、監視対象のスレーブ装置2が設定されていないと判断して監視動作の処理を終了し、それ以外の場合(S6でYES)、ステップS7に進む(ステップS6)。
【0064】
なお、制御グループC1内のネットワーク機器2Nに選定されていない他のスレーブ装置2においても、ステップS1からS6に示した処理手順は同様に実行されるが、次に監視動作の処理は終了することとなる(S6でNO)。
【0065】
ステップS7で、制御部24は、通信部21を通じて、上記構成リストLs1に登録された他のスレーブ装置2からその異常ステータス及びそのLED(上記第2の発光素子)の発光ステータスを読み出す。すなわち、ネットワーク機器2Nの制御部24は、制御グループC1の他のスレーブ装置2(他のネットワーク機器2N(つまり、スレーブ装置2E)も含む))に対して、異常の有無の問い合わせを行う。
【0066】
続いて、ステップS8で、制御部24は、他のスレーブ装置2からその異常ステータス及びそのLEDの発光ステータスが読み出せたか否かについて判別する。つまり、ネットワーク機器2Nの制御部24は、制御グループC1の他のスレーブ装置2から上記問い合わせに対する返信があったか否かについて判別する。構成リストLs1に登録された全ての他のスレーブ装置2から異常ステータス及び発光ステータスを読み出せた場合(S8でYES)、ステップS9に進み、それ以外の場合(S8でNO)、ステップS11に進む(ステップS8)。
【0067】
ステップS9で、制御部24は、他のスレーブ装置2からの返信において、異常ステータスが異常状態であるとの返信があったか否かについて判別する。更に、制御部24は、上記RAMの設定領域に設定されている、自機の異常ステータスも読み出して、当該自機の異常ステータスが異常状態であるか否かについて判別する。構成リストLs1に登録された全ての他のスレーブ装置2及び自機の異常ステータスが異常状態でない場合(S9でNO)、ステップS10に進み、それ以外の場合(S9でYES)、ステップS11に進む(ステップS9)。
【0068】
ステップS10で、制御部24は、他のスレーブ装置2からの返信において、LEDの発光ステータスが異常パターンであるとの返信があったか否かについて判別する。更に、制御部24は、上記RAMの設定領域に設定されている、自機の発光ステータスも読み出して、当該自機の発光ステータスが異常パターンであるか否かについて判別する。構成リストLs1に登録された全ての他のスレーブ装置2及び自機の発光ステータスが異常パターンでない場合(S10でNO)、制御グループC1内の全てのスレーブ装置2(自機及び監視対象の他機)に異常が発生していないと判断して監視動作の処理を終了し、それ以外の場合(S10でYES)、ステップS11に進む(ステップS10)。
【0069】
上述のステップS7からS10の処理動作を行うことにより、制御部24は、問い合わせを行ったスレーブ装置2に異常が生じているか否かについて判別する。すなわち、制御部24は、ステップS10でNOが判別された場合、問い合わせ先のスレーブ装置2に異常が生じていないと判別し、ステップS8でNOが判別された場合、ステップS9でYESが判別された場合、またはステップS10でYESが判別された場合、問い合わせ先のスレーブ装置2に異常が生じていると判別(当該スレーブ装置2での異常を検出)する。
【0070】
尚、上記の説明では、ステップS8において、異常ステータスと発光ステータスとを読み出して異常を検出する場合について説明したが、本実施形態はこれに限定されるものではなく、異常ステータスと発光ステータスとの少なくとも一方を読み出して異常を検出するものであれば何等限定されない。
【0071】
ステップS11で、制御部24は、異常を検出したスレーブ装置2以外の制御グループC1の他のスレーブ装置2に対して、通信部21を通じて、異常報知を実行すべき旨の指示を送信する。すなわち、制御部24は、当該他のスレーブ装置2に対して、そのLED(上記第2の発光素子)を異常パターンで点灯(動作)させる動作指示を送信する。
【0072】
以上のように、本実施形態のネットワーク機器2N及びネットワークシステム100では、構成リストLs1に登録されたいずれかのスレーブ装置2に異常が生じた場合に、当該構成リストLs1に含まれた全てのスレーブ装置2において、異常パターンで点灯動作させる。この結果、本実施形態のネットワーク機器2N及びネットワークシステム100では、異常がスレーブ装置2に生じたときでも、その異常を生じたスレーブ装置2の影響範囲を容易に特定することができる。また、本実施形態のネットワーク機器2N及びネットワークシステム100では、ネットワーク機器2Nの記憶部25に制御グループC1の構成リストLs1を記憶させることにより、マスタ装置1でのプログラムの変更や表示装置4での表示内容の変更を行うことなく、上述の影響範囲(当該制御グループC1)を容易に特定することが可能となる。
【0073】
また、例えば、多数のスレーブ装置が使用されている工場内において、異常発生したスレーブ装置のみが異常報知を行う、上記従来例の場合では、管理者(ユーザー)がそのスレーブ装置やそのスレーブ装置が属する工程を発見することが困難であった。これに対して、本実施形態では、異常を生じたスレーブ装置2の影響範囲を容易に特定することができるので、スレーブ装置2に異常が生じたときに、ユーザーに対して、当該スレーブ装置2やそのスレーブ装置2が属する工程を早急に知らせることができ、その異常に対する処理もまた迅速に行わせて、工場の生産性が低下するのを防ぐことができる。
【0074】
また、本実施形態では、ネットワーク機器2N(スレーブ装置2)が制御グループ内での異常発生を監視するので、マスタ装置1の処理の一部をネットワーク機器2Nに代行させることができ、マスタ装置1の処理を分散させることができる。更に、本実施形態では、マスタ装置1の処理負担が増加することがなく、マスタ装置1の高性能化や高コスト化を行う必要がない。
【0075】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0076】
本実施形態と上記実施形態との主な相違点は、制御部24は、異常検出部22が異常を検出した場合と、異常を検出していない場合とにおいて、異常報知部23のLED(第1の発光素子)23Lでの発光状態、発光色、及び発光周期の少なくともいずれかを互いに異ならせる点である。
【0077】
本実施形態のネットワーク機器2Nは、例えば、異常報知部23のLED23Lは、例えば、緑色の光と赤色の光との異なる2色の光を発光する。また、このLED23Lは、制御部24からの第1の異常報知の指示に従って、緑色の点滅動作を行う。また、LED23Lは、制御部24からの第1の異常報知とは異なる第2の異常報知の指示に従って、赤色の点滅動作を行う。また、このLED23Lでは、制御グループC1内のいずれかのスレーブ装置2に異常が生じていない場合、例えば、その発光状態は、消灯状態とされる。
【0078】
制御部24は、上記問い合わせを行った場合に異常有りとの返信をした以外のスレーブ装置2に対しては、通信部21を通じて、当該スレーブ装置2以外のスレーブ装置2に異常が生じていることを示す、上記第1の異常報知を実行すべき旨の指示を送信する。これにより、その指示対象のスレーブ装置2では、その異常報知部のLED(第2の発光素子)が、緑色の点滅動作を行う。
【0079】
次に、図8も参照して、本実施形態のネットワーク機器2Nの動作について具体的に説明する。図8は、本開示の実施形態2に係るネットワーク機器の動作例を説明するフローチャートである。尚、以下の説明では、上記実施形態1と同様に、ネットワーク機器2Nとしてのスレーブ装置2Aでの動作を例示して説明する。
【0080】
ステップS21で、制御部24は、異常検出部22からの異常が生じた旨の判別結果の通知の有無に基づいて、異常検出部22が異常を検出したか否かについて判別する。異常が検出された場合(S21でYES)、ステップS25に進み、それ以外の場合(S21でNO)、ステップS22に進む(ステップS21)。
【0081】
次に、ステップS22で、制御部24は、制御グループC1の他のネットワーク機器2N(つまり、スレーブ装置2E)から異常報知部23のLED23Lの動作指示(第1の異常報知の指示)を受信したか否かについて判別する。動作指示を受信していない場合(S22でNO)、ステップS28に進み、それ以外の場合(S22でYES)、ステップS23に進む(ステップS22)。
【0082】
ステップS23で、制御部24は、ネットワーク機器2Nの発光ステータスを第1の動作状態(緑色の点滅動作状態)に設定する。
【0083】
ステップS24で、制御部24は、異常報知部23に対して、第1の異常報知の指示を行い、異常報知部23では、そのLED23Lが第1の動作状態で動作を行う。すなわち、LED23Lは、緑色の点滅動作を行う。
【0084】
ステップS25で、制御部24は、ネットワーク機器2Nの異常ステータスを異常状態に設定する。
【0085】
ステップS26で、制御部24は、ネットワーク機器2Nの発光ステータスを第2の動作状態(赤色の点滅動作状態)に設定する。
【0086】
ステップS27で、制御部24は、異常報知部23に対して、第2の異常報知の指示を行い、異常報知部23では、そのLED23Lが第2の動作状態で動作を行う。すなわち、LED23Lは、赤色の点滅動作を行う。
【0087】
ステップS28で、制御部24は、記憶部25に構成リストLs1が記憶されているか否かについて判別する。構成リストLs1が記憶されていない場合(S28でNO)、制御部24は、監視対象のスレーブ装置2が設定されていないと判断して監視動作の処理を終了し、それ以外の場合(S28でYES)、ステップS29に進む(ステップS28)。
【0088】
尚、制御グループC1内のネットワーク機器2Nに選定されていない他のスレーブ装置2においても、ステップS21~S28に示した処理手順は同様に実行されるが、次に監視動作の処理は終了することとなる(S28でNO)。このため、この他のスレーブ装置2において、異常が発生している場合には、当該他のスレーブ装置2において、異常ステータスが異常状態に設定されるとともに、発光ステータスが第2の動作状態に設定されて、その異常報知部のLEDは、赤色の点滅動作を行う。
【0089】
ステップS29で、制御部24は、通信部21を通じて、上記構成リストLs1に登録された他のスレーブ装置2から異常ステータス及びそのLED(上記第2の発光素子)の発光ステータスを読み出す。すなわち、ネットワーク機器2Nの制御部24は、制御グループC1の他のスレーブ装置2(他のネットワーク機器2N(つまり、スレーブ装置2E)も含む)に対して、異常の有無の問い合わせを行う。
【0090】
続いて、ステップS30で、制御部24は、他のスレーブ装置2から異常ステータス及びそのLEDの発光ステータスが読み出せたか否かについて判別する。すなわち、ネットワーク機器2Nの制御部24は、制御グループC1の他のスレーブ装置2から上記問い合わせに対する返信があったか否かについて判別する。構成リストLs1に登録された全ての他のスレーブ装置2から異常ステータス及び発光ステータスを読み出せた場合(S30でYES)、ステップS31に進み、それ以外の場合(S30でNO)、ステップS33に進む(ステップS30)。
【0091】
ステップS31で、制御部24は、他のスレーブ装置2からの返信において、異常ステータスが異常状態であるとの返信があったか否かについて判別する。更に、制御部24は、上記RAMの設定領域に設定されている、自機の異常ステータスも読み出して、当該自機の異常ステータスが異常状態であるか否かについて判別する。構成リストLs1に登録された全ての他のスレーブ装置2及び自機の異常ステータスが異常状態でない場合(S31でNO)、ステップS32に進み、それ以外の場合(S31でYES)、ステップS33に進む。
【0092】
ステップS32で、制御部24は、他のスレーブ装置2からの返信において、LEDの発光ステータスが第2の動作状態であるとの返信があったか否かについて判別する。更に、制御部24は、上記RAMの設定領域に設定されている、自機の発光ステータスも読み出して、当該自機の発光ステータスが第2の動作状態であるか否かについて判別する。構成リストLs1に登録された全ての他のスレーブ装置2及び自機の発光ステータスが第2の動作状態でない場合(S32でNO)、制御グループC1内の全てのスレーブ装置2(自機及び監視対象の他機)に異常が発生していないと判断して監視動作の処理を終了し、それ以外の場合(S32でYES)、ステップS33に進む。
【0093】
上述のステップS29~S32の処理動作を行うことにより、制御部24は、問い合わせを行ったスレーブ装置2に異常が生じているか否かについて判別する。すなわち、制御部24は、ステップS32でNOが判別された場合、問い合わせ先のスレーブ装置2に異常が生じていないと判別し、ステップS30でNOが判別された場合、ステップS31でYESが判別された場合、またはステップS32でYESが判別された場合、問い合わせ先のスレーブ装置2に異常が生じていると判別(当該スレーブ装置2での異常を検出)する。
【0094】
ステップS33で、制御部24は、異常を検出したスレーブ装置2以外の他のスレーブ装置2に対して、その異常報知部のLED(第2の発光素子)を第1の動作状態で動作させる動作指示を送信する。すなわち、この他のスレーブ装置2では、そのLEDが緑色の点滅動作を行う。この結果、異常を検出したスレーブ装置2では、その異常報知部のLEDは第2の動作状態で動作して赤色の点滅動作状態となり、制御グループC1の他のスレーブ装置2では、その異常報知部のLEDは第1の動作状態で動作して緑色の点滅動作状態となる。
【0095】
以上のように、本実施形態では、上記実施形態1と同様な効果を奏する。
【0096】
さらに、本実施形態のネットワーク機器2Nでは、構成リストに登録されたいずれかのスレーブ装置2に異常が生じた場合に、異常を生じていない全てのスレーブ装置2に第1の異常報知を行わせる。また、異常を生じたスレーブ装置2では、その異常報知部で第2の異常報知が行われている。この結果、本実施形態のネットワーク機器2N及びネットワークシステム100では、実施形態1と同様に、異常がスレーブ装置2に生じたときでも、その異常を生じたスレーブ装置2の影響範囲を容易に特定することができる。また、本実施形態のネットワーク機器2N及びネットワークシステム100では、第1の異常報知と第2の異常報知が互いに異なるので、制御グループのスレーブ装置2において、異常を生じているスレーブ装置2をより簡単に判別することができる。
【0097】
尚、上記の説明では、異常報知部23において、2色の発光色で発光可能なLED(第1の発光素子)23Lを用いた場合を例示して説明したが、本実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば、同一の発光色を発するLEDを用いるとともに、発光状態及び発光周期の少なくともいずれかを互いに異ならせる構成でもよい。
【0098】
また、上記の説明では、ネットワーク機器2Nとスレーブ装置2とを同一の構成にした場合について説明したが、本開示はこれに限定されるものではなく、これらネットワーク機器2Nとスレーブ装置2とを別個の構成としてもよい。但し、ネットワーク機器2Nとスレーブ装置2とを同一の構成にする場合の方が、制御グループでのネットワーク機器2Nの選定や変更を簡単に行える点で好ましい。
【0099】
〔ソフトウェアによる実現例〕
ネットワーク機器2Nの機能ブロック(特に、制御部24)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0100】
後者の場合、制御部24は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータを備えている。このコンピュータは、例えば1つ以上のプロセッサを備えていると共に、上記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を備えている。そして、上記コンピュータにおいて、上記プロセッサが上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本開示の目的が達成される。
【0101】
上記プロセッサとしては、例えばCPU(Central Processing Unit)を用いることができる。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM(Read Only Memory)等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などを更に備えていてもよい。
【0102】
また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0103】
本開示は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0104】
1 マスタ装置
2 スレーブ装置
2N ネットワーク機器
21 通信部
22 異常検出部
23 異常報知部
23L LED(発光素子)
24 制御部
25 記憶部
100 ネットワークシステム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8