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特許7604958払拭モジュール、吐出モジュール、液体吐出装置および払拭モジュールの払拭方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】払拭モジュール、吐出モジュール、液体吐出装置および払拭モジュールの払拭方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/165 20060101AFI20241217BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
B41J2/165 305
B41J2/165 303
B41J2/01 307
B41J2/01 451
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021038090
(22)【出願日】2021-03-10
(65)【公開番号】P2022138289
(43)【公開日】2022-09-26
【審査請求日】2024-01-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 聖也
(72)【発明者】
【氏名】宮下 栄志
(72)【発明者】
【氏名】下村 正樹
【審査官】大浜 登世子
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-077636(JP,A)
【文献】特開2019-171886(JP,A)
【文献】特開平11-254707(JP,A)
【文献】特開2004-291619(JP,A)
【文献】特開2011-068092(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0177142(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2007-0033799(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01 - 2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズル面に設けられるノズルから液体を吐出する液体吐出ヘッドの払拭を行う払拭部材
と、前記払拭部材を支持するとともに前記払拭による液体を受容可能な受容支持部と、前
記受容支持部を搭載して前記払拭を行う方向である払拭方向に沿って往復移動可能な移動
支持部と、を有する払拭部と、前記払拭部材を清掃する清掃部と、を備え、
前記清掃部は、清掃部材と、該清掃部材を案内する案内部と、を有し、
前記清掃部材は、
前記払拭部が前記払拭方向へ移動するにつれて、前記払拭部材に接触する先端側が基
端側よりも上昇するように構成され、
前記払拭部の前記払拭方向への移動に追従して前記案内部に案内されながら前記払拭
部材に付着した液体を掻き取るように構成されることを特徴とする払拭モジュール。
【請求項2】
前記清掃部材の基端側には、清掃により受容した液体を前記清掃部材の外に流すための
流路が設けられていることを特徴とする請求項に記載の払拭モジュール。
【請求項3】
前記案内部は、前記払拭部材を清掃する際の前記清掃部材の清掃経路と、前記払拭部材
を清掃した後の前記清掃部材の戻り経路と、を有し、
前記戻り経路は、前記清掃経路よりも高い位置を通ることを特徴とする請求項1または
請求項2に記載の払拭モジュール。
【請求項4】
ノズル面に設けられるノズルから液体を吐出する液体吐出ヘッドの払拭を行う払拭部材
と、前記払拭部材を支持するとともに前記払拭による液体を受容可能な受容支持部と、前
記受容支持部を搭載して前記払拭を行う方向である払拭方向に沿って往復移動可能な移動
支持部と、を有する払拭部と、前記払拭部材を清掃する清掃部と、を備え、
前記清掃部は、清掃部材と、該清掃部材を案内する案内部と、を有し、
前記案内部は、前記払拭部材を清掃する際の前記清掃部材の清掃経路と、前記払拭部材
を清掃した後の前記清掃部材の戻り経路と、を有し、
前記戻り経路は、前記清掃経路よりも高い位置を通り、
前記清掃部材は、前記払拭部の前記払拭方向への移動に追従して前記案内部に案内され
ながら前記払拭部材に付着した液体を掻き取るように構成されることを特徴とする払拭モ
ジュール。
【請求項5】
前記液体吐出ヘッドが液体を吐出する方向を吐出方向とした場合、前記清掃部材は、前
記案内部に案内されながら前記吐出方向とは反対方向に移動することで、前記払拭部材に
付着した液体を掻き取ることを特徴とする請求項1~請求項4に記載の払拭モジュール。
【請求項6】
前記案内部は、前記払拭部材と前記清掃部材とが接触しない位置に前記清掃部材を一時
的に保持可能な保持部を有することを特徴とする請求項1~請求項のうちいずれか一項
に記載の払拭モジュール。
【請求項7】
前記払拭部材は、前記ノズル面を払拭するノズル面払拭部材と、前記ノズル面と交差す
る前記液体吐出ヘッドの側面を払拭する側面払拭部材と、を含み、
前記液体吐出ヘッドを払拭する際、前記側面払拭部材は、前記払拭方向を前方としたと
き、前記ノズル面払拭部材よりも後方に配置されることを特徴とする請求項1~請求項6
のうちいずれか一項に記載の払拭モジュール。
【請求項8】
液体を吐出する液体吐出ヘッドと、
請求項1~請求項7のうちいずれか一項に記載の払拭モジュールと、を備えることを特
徴とする吐出モジュール。
【請求項9】
液体を吐出する液体吐出ヘッドと、
請求項1~請求項7のうちいずれか一項に記載の払拭モジュールと、
前記受容支持部に接続可能な接続部と、
前記接続部を減圧可能な減圧機構と、を備えることを特徴とする液体吐出装置。
【請求項10】
前記受容支持部は、液体を受容する受容部と、前記払拭部の移動によって前記接続部に
対して接離される排出部と、前記受容部と前記排出部とを連通する連通路と、を有し、
前記排出部は、前記受容部の最下部よりも高い位置に設けられ、
前記連通路は、少なくとも一部が、前記払拭方向とは反対方向へ向けて延びることを特
徴とする請求項9に記載の液体吐出装置。
【請求項11】
前記清掃部材が前記払拭部材の清掃を開始する際の前記払拭部の位置と、前記清掃部材
が前記払拭方向への移動から前記払拭方向と反対方向への移動に切り替わる際の前記払拭
部の位置と、の間にある検知位置に前記払拭部があることを検知する検知部を備えること
を特徴とする請求項9または請求項10に記載の液体吐出装置。
【請求項12】
前記液体吐出ヘッドは水平より傾いた状態で媒体に液体を吐出するように構成され、
前記払拭部は、傾いた状態の前記液体吐出ヘッドを払拭することを特徴とする請求項9
~請求項11のうちいずれか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項13】
ノズル面に設けられるノズルから液体を吐出する液体吐出ヘッドの払拭を行う払拭部材
と、前記払拭部材を支持するとともに前記払拭による液体を受容可能な受容支持部と、前
記受容支持部を搭載して前記払拭を行う方向である払拭方向に沿って往復移動可能な移動
支持部と、を有する払拭部と、前記払拭部材を清掃する清掃部と、を備え、
前記清掃部は、清掃部材と、該清掃部材を案内する案内部と、を有し、前記清掃部材は
、前記払拭部が前記払拭方向へ移動するにつれて、前記払拭部材に接触する先端側が基端
側よりも上昇するように構成される払拭モジュールの払拭方法であって、
前記清掃部材は、前記払拭部の前記払拭を行う方向である払拭方向への移動に追従して
前記案内部に案内されながら前記払拭部材に付着した液体を掻き取ることを特徴とする払
拭モジュールの払拭方法。
【請求項14】
ノズル面に設けられるノズルから液体を吐出する液体吐出ヘッドの払拭を行う払拭部材
と、前記払拭部材を支持するとともに前記払拭による液体を受容可能な受容支持部と、前
記受容支持部を搭載して前記払拭を行う方向である払拭方向に沿って往復移動可能な移動
支持部と、を有する払拭部と、前記払拭部材を清掃する清掃部と、を備え、
前記清掃部は、清掃部材と、該清掃部材を案内する案内部と、を有し、前記案内部は、
前記払拭部材を清掃する際の前記清掃部材の清掃経路と、前記払拭部材を清掃した後の前
記清掃部材の戻り経路と、を有し、前記戻り経路は、前記清掃経路よりも高い位置を通る
払拭モジュールの払拭方法であって、
前記清掃部材は、前記払拭部の前記払拭を行う方向である払拭方向への移動に追従して
前記案内部に案内されながら前記払拭部材に付着した液体を掻き取ることを特徴とする払
拭モジュールの払拭方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、払拭モジュール、吐出モジュール、液体吐出装置および払拭モジュールの払拭方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インクジェット式のプリンターが知られている。このタイプのプリンターには、ヘッドのノズル面をクリーニングするクリーニング機構を有するものが存在する。たとえば特許文献1のクリーニング機構は、ヘッドワイパーおよび回動式のワイパークリーナーを有している。ヘッドワイパーは、前方へ向けて移動しながらノズル面に対して摺動することにより、ノズル面に付着している付着物を拭き取る。ワイパークリーナーは、ヘッドワイパーがノズル面を前方へ通過した後、前方へ移動するヘッドワイパーに押されることによってヘッドワイパーの表面に対して摺動しながら所定の回動中心回りに回動することにより、ヘッドワイパーの表面に付着している付着物を掻き取る。付着物は、たとえばインクあるいは紙粉などである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-56889号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のクリーニング機構では、直線移動するヘッドワイパーに対してワイパークリーナーが回動しながら接触する。このため、ヘッドワイパーの清掃始めと清掃終わりとでヘッドワイパーとワイパークリーナーとの接触状態が変化することが懸念される。このことに起因して、ヘッドワイパーを均一に払拭することが困難となるおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する払拭モジュールは、ノズル面に設けられるノズルから液体を吐出する液体吐出ヘッドの払拭を行う払拭部材と、前記払拭部材を支持するとともに前記払拭による液体を受容可能な受容支持部と、前記受容支持部を搭載して前記払拭を行う方向である払拭方向に沿って往復移動可能な移動支持部と、を有する払拭部と、前記払拭部材を清掃する清掃部と、を備える。前記清掃部は、清掃部材と、該清掃部材を案内する案内部と、を有している。前記清掃部材は、前記払拭部の前記払拭方向への移動に追従して前記案内部に案内されながら前記払拭部材に付着した液体を掻き取るように構成される。
【0006】
上記課題を解決する吐出モジュールは、液体を吐出する液体吐出ヘッドと、上記の払拭モジュールと、を備える。
上記課題を解決する液体吐出装置は、液体を吐出する液体吐出ヘッドと、上記の払拭モジュールと、前記受容支持部に接続可能な接続部と、前記接続部を減圧可能な減圧機構と、を備える。
【0007】
上記課題を解決する払拭モジュールの払拭方法は、ノズル面に設けられるノズルから液体を吐出する液体吐出ヘッドの払拭を行う払拭部材と、前記払拭部材を支持するとともに前記払拭による液体を受容可能な受容支持部と、前記受容支持部を搭載して前記払拭を行う方向である払拭方向に沿って往復移動可能な移動支持部と、を有する払拭部と、前記払拭部材を清掃する清掃部と、を備え、前記清掃部は、清掃部材と、該清掃部材を案内する案内部と、を有する払拭モジュールの払拭方法である。前記清掃部材は、前記払拭部の前記払拭を行う方向である払拭方向への移動に追従して前記案内部に案内されながら前記払拭部材に付着した液体を掻き取る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】液体吐出装置の一実施の形態の概略構成を示すブロック図。
図2】一実施の形態の液体吐出ヘッドの下面図。
図3】一実施の形態の払拭部の斜視図。
図4】一実施の形態の受容支持部の斜視図。
図5】一実施の形態の払拭部および清掃部の斜視図。
図6】一実施の形態の払拭部および清掃部の斜視図。
図7】一実施の形態の払拭部および清掃部の斜視図。
図8】一実施の形態の第1の支持部材をその内側からみた正面図。
図9】一実施の形態の第1の支持部材をその内側からみた斜視図。
図10】一実施の形態のスライダーの斜視図。
図11】一実施の形態の払拭部および清掃部の斜視図。
図12】一実施の形態の払拭部および清掃部の斜視図。
図13】一実施の形態の制御装置の処理手順を示すフローチャート。
図14】一実施の形態の液体吐出装置を上方からみた概略図。
図15】一実施の形態の第1の支持部材をその内側からみた正面図。
図16】一実施の形態の払拭部がワイパーホームポジションに位置するときの清掃部の位置を示す断面図。
図17】一実施の形態の払拭部がクリーナー開始ポジションに位置するときの清掃部の位置を示す断面図。
図18】一実施の形態の払拭部がクリーナー終了ポジションに位置するときの清掃部の位置を示す断面図。
図19】一実施の形態の払拭部がクリーナー復帰制御ポジションに位置するときの清掃部の位置を示す断面図。
図20】他の実施の形態の液体吐出ヘッドの姿勢を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、液体吐出装置を具体化した一実施の形態を説明する。液体吐出装置は、たとえば印刷の対象である媒体に印刷用の液体である印刷液を吐出することによって印刷を行うインクジェット式のプリンターである。媒体は、たとえば紙あるいは布帛である。印刷液は、たとえばインクである。
【0010】
<液体吐出装置>
図1に示すように、液体吐出装置10は、吐出モジュール20、接続部30、減圧機構40、および制御部50を有している。これらの構成は、図示しない筐体の内部に設けられる。
【0011】
吐出モジュール20は、液体吐出ヘッド21、払拭モジュール22、ヘッドキャップ23、ヘッド駆動機構24およびキャップ駆動機構25を有している。
液体吐出ヘッド21は、印刷液を吐出する。液体吐出ヘッド21は、たとえばXYZ軸からなる直交座標系におけるX軸に沿った方向に延びるライン型のヘッドである。液体吐出ヘッド21は、そのノズル面21Aに設けられる複数のノズルから媒体に対して印刷液を吐出することにより、媒体の表面に画像を形成する。この画像には、文字および図形などが含まれる。ちなみに、媒体は図示しない搬送機構によりY軸に沿った方向に搬送される。
【0012】
液体吐出ヘッド21は、ヘッド駆動機構24の駆動を通じて、Z軸に沿った方向に移動することが可能である。液体吐出ヘッド21は、セット位置と退避位置との間を移動する。セット位置は、媒体に印刷を行うときの位置である。退避位置は、セット位置に対してZ軸に沿った上側にずれた位置であって、液体吐出ヘッド21のノズル面21Aの清掃が行われるときの位置である。
【0013】
ヘッドキャップ23は、キャップ駆動機構25の駆動を通じて、閉塞位置と退避位置との間を移動する。閉塞位置は、液体吐出ヘッド21のノズル面21Aを覆う位置である。退避位置は、液体吐出ヘッド21のノズル面21Aを開放する位置であって、印刷液の吐出を妨げない位置である。印刷が行われないとき、ヘッドキャップ23は閉塞位置に保持される。これにより、液体吐出ヘッド21のノズルの乾燥が抑制される。印刷が行われるとき、ヘッドキャップ23は閉塞位置から退避位置へ移動される。
【0014】
払拭モジュール22は、ワイパーユニットである。払拭モジュール22は、液体吐出ヘッド21のノズル面21Aの払拭を行う。払拭モジュール22は、払拭部51、清掃部52およびワイパー駆動機構53を有している。
【0015】
払拭部51は、ワイパー駆動機構53の駆動を通じて、X軸に沿った方向に往復移動することが可能である。払拭部51は、図1に実線で示すワイパーホームポジションP0と、図1に二点鎖線で示すワイパー開始ポジションP1との間を移動する。ワイパーホームポジションP0は、たとえば電源投入時の基準位置である。ワイパーホームポジションP0は、液体吐出ヘッド21の第1の端部よりもX軸に沿った外側の位置である。ワイパー開始ポジションP1は、ノズル面21Aの払拭を開始する位置である。ワイパー開始ポジションP1は、液体吐出ヘッド21の第2の端部よりもX軸に沿った外側の位置である。ちなみに、払拭部51は、ワイパーホームポジションP0を基準として、X軸に沿ってワイパー開始ポジションP1と反対方向へ移動することも可能である。
【0016】
払拭部51は、払拭部材71および排出部72Cを有している。払拭部材71は、払拭部51の移動に伴いノズル面21Aに対して摺動可能に設けられている。払拭部材71は、ワイパーである。払拭部材71は、ノズル面21Aに対して摺動することによりノズル面21Aに付着している印刷液を払拭する。払拭部材71により払拭される印刷液は、払拭部51に受容される。払拭部51に受容される印刷液は、排出部72Cを介して外部へ排出可能である。
【0017】
清掃部52は、クリーナユニットである。清掃部52は、払拭部51の払拭部材71に付着した印刷液を清掃する。清掃部52は、払拭部51の移動に伴いワイピング領域の外で一体的に移動可能である。清掃部52は、払拭部51の移動を利用して払拭部材71のクリーニングを行う。
【0018】
接続部30は、払拭部51と減圧機構40との間を接続可能に設けられる。払拭部51がワイパーホームポジションP0に位置するとき、払拭部51の排出部72Cは接続部30を介して減圧機構40に接続される。
【0019】
減圧機構40は、接続部30を減圧可能である。減圧機構40は、ポンプ61、ポンプ駆動機構62および廃液タンク63を有している。ポンプ駆動機構62は、たとえば払拭部51がワイパーホームポジションP0に位置している状態で駆動される。ポンプ駆動機構62を通じてポンプ61が駆動することによって、払拭部51に受容された印刷液は、排出部72Cおよび接続部30を介して吸引される。この吸引される印刷液は、廃液として廃液タンク63に排出される。
【0020】
制御部50は、ヘッド駆動機構24、キャップ駆動機構25、ワイパー駆動機構53およびポンプ駆動機構62の動作を制御する。
<液体吐出ヘッド>
図2に示すように、液体吐出ヘッド21は、支持部材を介して筐体の内部に支持される。液体吐出ヘッド21は、複数のヘッドユニットがX軸に沿った方向において連結されてなる。Z軸に沿った方向からみて、液体吐出ヘッド21のノズル面21Aには、多数のノズル21Bが設けられている。これらノズル21Bは、直線状の複数の列に配列されている。複数のノズル列はX軸に沿った方向に並んでいる。また、ノズル列は、X軸に沿った方向に対して鋭角に交わる方向に延びている。
【0021】
<払拭部>
つぎに、払拭部51について詳細に説明する。
図3に示すように、払拭部51は、払拭部材71、受容支持部72、および移動支持部73を有している。
【0022】
移動支持部73は、受容支持部72を支持する。移動支持部73は、取付け部73A、腕部73Bおよび当接部73Cを有している。取付け部73Aの形状は、Z軸に沿った方向の面、およびX軸に沿った方向の2つの面が開放された矩形の箱体状である。取付け部73Aは、3つの側壁を有している。第1の側壁と第2の側壁とは、Y軸に沿った方向において互いに対向している。第3の側壁は、Y軸に沿った方向へ延び、第1の側壁と第2の側壁とを互いに連結している。取付け部73Aの内部には、受容支持部72が取り付けられる。腕部73Bは、取付け部73Aの第1の側壁の外面に設けられている。腕部73Bは、Y軸に沿って第2の側壁と反対方向へ延びている。当接部73Cは、取付け部73Aの第2の側壁のY軸に沿った方向における上部に設けられている。当接部73Cの形状は、全体としては直方体状である。当接部73CのX軸に沿った方向の一側面には、複数の突部73Dが設けられている。
【0023】
図4に示すように、受容支持部72は、払拭部材71を支持する。受容支持部72の形状は、Z軸に沿った方向の面が開放された矩形の箱体状である。受容支持部72は、受容部72A、連通路72Bおよび排出部72Cを有している。これら受容部72A、連通路72Bおよび排出部72Cは、受容支持部72の内部が壁によって区画されることにより設けられている。受容部72A、連通路72Bおよび排出部72Cは、互いに連通している。
【0024】
連通路72Bは、受容支持部72のY軸に沿った方向における一側に寄った位置に設けられている。連通路72Bは、受容部72Aと排出部72Cとの間を連通する流路である。連通路72Bは、X軸に沿った方向に往復するかたちで蛇行している。X軸に沿った方向は、払拭部51の移動方向である。すなわち、連通路72Bは、受容部72A内の廃液がワイピング方向WDとは逆の方向へ向けて流れる部分を有する。ちなみに、ワイピング方向WDとは、払拭部51がX軸に沿ってワイパー開始ポジションP1からワイパーホームポジションP0へ向かう方向をいう。
【0025】
排出部72Cは、受容支持部72の側壁に設けられている。排出部72Cは、払拭部51がX軸に沿ってワイパー開始ポジションP1からワイパーホームポジションP0へ向かう側の側壁に開口している。排出部72Cは、受容部72Aの最下部、すなわち受容部72Aの内底面よりも高い位置に設けられている。
【0026】
払拭部材71は、受容支持部72の内部に設けられている。払拭部材71は、ノズル面払拭部材71Aおよび側面払拭部材71Bを含んでいる。ノズル面払拭部材71Aおよび側面払拭部材71Bは、ゴム製であって矩形の板状を有している。ノズル面払拭部材71Aおよび側面払拭部材71Bは、ワイパーベース71Cを介して受容部72Aの内部に着脱可能に設けられている。ワイパーベース71Cの外周の輪郭形状は、受容部72Aの内周の輪郭形状に対応している。ワイパーベース71Cは、受容部72Aの内底面の大部分を覆うように設けられている。
【0027】
ノズル面払拭部材71Aは、メインワイパーである。ノズル面払拭部材71Aは、ノズル面21Aを払拭するためのものである。ノズル面払拭部材71Aは、矩形の板状を有している。ノズル面払拭部材71Aは、2つの短辺がZ軸に沿う姿勢で受容部72Aの内底面に支持されている。ノズル面払拭部材71Aは、X軸に沿った方向に対して交わる方向に延びている。Z軸に沿った方向からみて、ノズル面払拭部材71AのX軸に沿った方向に対する傾斜の向きおよび傾斜の程度は、ノズル列のX軸に沿った方向に対する傾斜の向きおよび傾斜の程度と同じである。
【0028】
側面払拭部材71Bは、サブワイパーである。側面払拭部材71Bは、ノズル面21Aと交差する液体吐出ヘッド21の側面を払拭するためのものである。側面払拭部材71Bは、矩形の板状を有している。側面払拭部材71Bの長さは、ノズル面払拭部材71Aの長さよりも短い。側面払拭部材71Bは、2つの短辺がZ軸に沿う姿勢で受容部72Aの内底面に支持されている。側面払拭部材71Bの長辺は、Y軸に沿った方向に延びている。側面払拭部材71Bは、ノズル面払拭部材71Aの連通路72Bに近い側の端部の近傍に設けられている。側面払拭部材71Bは、ノズル面払拭部材71Aの連通路72Bに近い側の端部に対して、ワイピング方向WDと反対方向である後方に位置している。側面払拭部材71Bは、払拭部51がX軸に沿ってワイパー開始ポジションP1からワイパーホームポジションP0へ向けて移動するとき、ノズル面払拭部材71Aに追従する。側面払拭部材71Bは、ノズル面払拭部材71Aから外れた印刷液を捕捉することが可能である。
【0029】
<ワイパー駆動機構>
つぎに、ワイパー駆動機構53について詳細に説明する。
図5に示すように、ワイパー駆動機構53は、駆動プーリー53A、従動プーリー53B、および無端状のタイミングベルト53Cからなるベルト伝動機構を有している。駆動プーリー53Aおよび従動プーリー53Bは、筐体の内部に設けられる支持部によって回転可能に支持される。駆動プーリー53Aおよび従動プーリー53Bは、X軸に沿った方向において離隔している。この駆動プーリー53Aと従動プーリー53Bとの離隔距離は、払拭部51のワイパーホームポジションP0とワイパー開始ポジションP1との間の移動距離よりも長い距離に設定される。タイミングベルト53Cは、駆動プーリー53Aおよび従動プーリー53Bに巻き掛けられている。タイミングベルト53Cは、駆動プーリー53Aおよび従動プーリー53Bの回転により循環走行する。ちなみに、駆動プーリー53Aは図示しないモーターなどの駆動源の動作を通じて回転する。
【0030】
また、ワイパー駆動機構53は、ガイドレール53Dを有している。ガイドレール53Dは、X軸に沿った方向に延びる平板状である。ガイドレール53DのX軸に沿った方向の長さは、払拭部51のワイパーホームポジションP0とワイパー開始ポジションP1との間の移動距離よりも長い長さに設定される。ガイドレール53Dは、筐体の内部に固定されている。ガイドレール53Dとベルト伝動機構とは、Y軸に沿った方向において離隔している。
【0031】
ガイドレール53Dとベルト伝動機構との間には、移動支持部73が配置されている。移動支持部73の腕部73Bは、ガイドレール53Dにガイドローラー73Fを介して支持ざれている。腕部73Bは、ガイドローラー73Fを介してガイドレール53Dに案内される。当接部73Cは、連結部材73Eを介してタイミングベルト53CのZ軸に沿った下側に位置する部分に連結される。タイミングベルト53Cの走行に伴い移動支持部73はガイドレール53Dに案内されながらX軸に沿った方向へ移動する。
【0032】
<清掃部>
つぎに、清掃部52について詳細に説明する。
図6に示すように、清掃部52は、たとえばワイパーホームポジションP0に位置する払拭部51に対してZ軸に沿った上方に位置している。ただし、図6では移動支持部73を割愛して図示している。清掃部52は、払拭部材71を清掃するためのものである。
【0033】
図7に示すように、清掃部52は、清掃部材81および案内部82を有している。
案内部82は、清掃部材81の動作を案内する。案内部82は、第1の支持部材91、第2の支持部材92、レバー93およびスライダー94を有している。第1の支持部材91および第2の支持部材92は、直方体状の形状を有している。第1の支持部材91および第2の支持部材92は、図示しないフレームなどの固定部材を介して筐体の内部に固定される。第1の支持部材91および第2の支持部材92は、Y軸に沿った方向において互いに離隔している。第1の支持部材91および第2の支持部材92の長辺は、X軸に沿った方向に延びている。
【0034】
図8に示すように、第1の支持部材91は、ガイド溝91Aおよびカム溝91Bを有している。ガイド溝91Aおよびカム溝91Bは、X軸に沿った方向に並んでいる。ガイド溝91Aは、X軸に沿った方向において、ワイパー開始ポジションP1に位置する払拭部51に対してカム溝91Bよりも遠い側に位置している。すなわち、カム溝91Bは、X軸に沿った方向において、ワイパー開始ポジションP1に位置する払拭部51に対してガイド溝91Aよりも近い側に位置している。
【0035】
ガイド溝91Aは、第1の支持部材91を貫通している。ガイド溝91Aは、第1のガイド溝91A1および第2のガイド溝91A2を有している。第1のガイド溝91A1は、X軸に沿った方向に対して交わる方向に延びている。第2のガイド溝91A2は、第1のガイド溝91A1の上端からX軸に沿ってカム溝91Bから離れる方向へ向けて延びている。カム溝91Bから離れる方向は、払拭部51がワイパー開始ポジションP1からワイパーホームポジションP0へ向かう方向でもある。
【0036】
なお、第1の支持部材91には、ローラーガイド穴91Cが設けられている。第1の支持部材91の内側面とは、第1の支持部材91のY軸に沿った方向において互いに反対側に位置する2つの側面のうち第2の支持部材92に近い方の側面をいう。ローラーガイド穴91Cは、ガイド溝91Aの輪郭に沿って、かつガイド溝91Aの全周を囲むように設けられている。
【0037】
カム溝91Bは、第1の支持部材91の内側面に設けられている。カム溝91Bは、Y軸に沿った方向からみて直角三角形状を有している。カム溝91Bは、第1のカム溝91B1、第2のカム溝91B2、および第3のカム溝91B3を有している。
【0038】
第1のカム溝91B1は、X軸に沿った方向に延びている。第1のカム溝91B1は、Z軸に沿った方向において第2のガイド溝91A2よりも若干上方へずれた位置に設けられている。ここでの上方とは、Z軸に沿った方向において払拭部51から遠ざかる方向をいう。
【0039】
第2のカム溝91B2は、第1のカム溝91B1の第1の端部からZ軸に沿って下方へ向けて延びている。第1のカム溝91B1の第1の端部とは、第1のカム溝91B1のX軸に沿った方向において互いに反対側に位置する2つの端部のうちガイド溝91Aから遠い方の端部をいう。また、ここでの下方とは、Z軸に沿った方向において払拭部51に近づく方向をいう。
【0040】
第3のカム溝91B3は、第2のカム溝91B2における第1のカム溝91B1と反対側の端部と、第1のカム溝91B1における第2の端部付近との間を連結している。第1のカム溝91B1の第2の端部とは、第1のカム溝91B1のX軸に沿った方向において互いに反対側に位置する2つの端部のうちガイド溝91Aに近い方の端部をいう。第3のカム溝91B3は、X軸に沿った方向に対して交わる方向に延びている。第3のカム溝91B3は、直角三角形における斜辺に相当する部分である。
【0041】
図9に示すように、第1のカム溝91B1および第2のカム溝91B2の深さは、同じ深さに設定されている。第1のカム溝91B1および第2のカム溝91B2の内底面は、互いに連続する平面である。第3のカム溝91B3は、傾斜面91B4および平坦面91B5を有している。これら傾斜面91B4および平坦面91B5は、第3のカム溝91B3の内底面を構成する。
【0042】
傾斜面91B4は、第2のカム溝91B2から第1のカム溝91B1へ向かうにつれて第3のカム溝91B3の深さが浅くなるように傾斜している。第3のカム溝91B3の平坦面91B5に対応する部分の深さは、第1のカム溝91B1の深さよりも若干浅い深さに設定されている。傾斜面91B4と平坦面91B5との境界には、保持部91B6が設けられている。保持部91B6は、傾斜面91B4と平坦面91B5との段差の部分である。
【0043】
図7に示すように、第1の支持部材91は、レバー収容部91D、ストッパー凹部91Eおよびばね掛け用の突部91Fを有している。レバー収容部91Dおよびストッパー凹部91Eは、第1の支持部材91の外側面に設けられている。第1の支持部材91の外側面とは、第1の支持部材91のY軸に沿った方向において互いに反対側に位置する2つの側面のうち第2の支持部材92から遠い方の側面をいう。
【0044】
レバー収容部91Dは、定められた深さを有する凹部である。レバー収容部91Dは、X軸に沿った方向に延びている。レバー収容部91Dの第1の端部は、第1の支持部材91のX軸に沿った方向において互いに反対側に位置する2つの側面のうち、ワイパー開始ポジションP1に位置する払拭部51に対して遠い方の側面から突出している。レバー収容部91Dの第2の端部は外部に開放されている。
【0045】
ストッパー凹部91Eは、レバー収容部91DのZ軸に沿った上方に位置している。ストッパー凹部91Eは、X軸に沿った方向において少なくともローラーガイド穴91Cに対応する範囲に設けられている。ストッパー凹部91Eは、X軸に沿った方向において払拭部51のワイパー開始ポジションP1からワイパーホームポジションP0へ向けた移動方向と同じ方向へ開放されている。ストッパー凹部91Eの開放されていない内側面は、ストッパー面91E1として使用される。
【0046】
ばね掛け用の突部91Fは、レバー収容部91Dの内底面に設けられている。突部91Fは、レバー収容部91Dの第2の端部に寄った位置に設けられている。
図7に示すように、第2の支持部材92は、基本的には第1の支持部材91と同様の構成を有している。このため、第2の支持部材92の詳細な説明については割愛する。第2の支持部材92は、第1の支持部材91と同様に、ガイド溝92Aおよびカム溝92Bを有している。ガイド溝92Aおよびカム溝92Bは、第1の支持部材91のガイド溝91Aおよびカム溝91Bと同様の構成を有する。ただし、第2の支持部材92は、ローラーガイド穴91Cおよびレバー収容部91Dに相当する構成を有していない。
【0047】
図7に示すように、レバー93は、支持部93A、被押圧部93Bおよび連結部93Cを有している。
支持部93Aの形状は、中空の直方体状である。支持部93Aは、X軸に沿った方向に延びている。支持部93AのX軸に沿った方向の長さは、レバー収容部91DのX軸に沿った方向の長さよりも短い長さに設定されている。支持部93Aは、第1の支持部材91のレバー収容部91Dの内部に収容されている。ただし、支持部93Aのストッパー凹部91Eに対応する部分は、Y軸に沿った方向においてレバー収容部91Dから外方へはみ出している。支持部93Aは、X軸に沿った方向においてレバー収容部91Dの内壁面に対して相対的に摺動可能である。
【0048】
被押圧部93Bの形状は、直方体状である。被押圧部93Bは、支持部93Aの外側面に設けられている。被押圧部93Bは、X軸に沿った方向において支持部93Aの第1の端部に寄った位置に設けられている。支持部93Aの第1の端部とは、支持部93AのX軸に沿った方向において互いに反対側に位置する2つの端部のうち、ワイパー開始ポジションP1に位置する払拭部51に対して遠い方の端部をいう。
【0049】
連結部93Cは、支持部93Aのレバー収容部91Dから外方へはみ出している部分の上面に設けられている。連結部93Cは、長孔93Dを有している。長孔93Dは、Z軸に沿って延びている。長孔93DのZ軸に沿った方向の長さは、ローラーガイド穴91Cの内周面の最も上に位置する部分と最も下に位置する部分との間の距離Lと同じ程度の長さに設定される。
【0050】
なお、支持部93Aの内部には、ばね掛け用の突部93Eが設けられている。この突部93Eは、たとえば被押圧部93Bに対応する位置に設けられる。突部93Eには、引張コイルばね93Fの第1の端部が連結されている。第1の支持部材91の突部91Fには、引張コイルばね93Fの第2の端部が連結されている。したがって、レバー93は、引張コイルばね93Fの弾性力によって、払拭部51のワイパーホームポジションP0からワイパー開始ポジションP1へ向けた移動方向と同じ方向へ向けて常時付勢される。レバー93が払拭部51のワイパーホームポジションP0からワイパー開始ポジションP1へ向けた移動方向と同じ方向へ移動することは、連結部93Cがストッパー面91E1に当接することにより規制される。
【0051】
図10に示すように、スライダー94の形状は直方体状である。スライダー94の長辺はY軸に沿った方向に延びている。スライダー94のX軸に沿ったワイピング方向WDと反対側の側縁部には、矩形の切り欠き94Aが設けられている。また、スライダー94の4つの角部には、それぞれ円筒状の第1の軸支持部94B1、第2の軸支持部94B2、第3の軸支持部94B3および第4の軸支持部94B4が設けられている。第1の軸支持部94B1および第3の軸支持部94B3は、Y軸に沿って互いに反対方向へ延びている。第1の軸支持部94B1および第3の軸支持部94B3は、Y軸に沿って延びる同一の軸線上に位置している。第2の軸支持部94B2および第4の軸支持部94B4は、Y軸に沿って互いに反対方向へ延びている。第2の軸支持部94B2および第4の軸支持部94B4は、Y軸に沿って延びる同一の軸線上に位置している。
【0052】
スライダー94は、第1のスライダー軸94C1、第2のスライダー軸94C2、第3のスライダー軸94C3、および第4のスライダー軸94C4を有している。第2~第4のスライダー軸94C2~94C4は同一品である。第1のスライダー軸94C1はいわゆる駆動軸であって、そのY軸に沿った方向の長さは第2~第4のスライダー軸94C2~94C4のY軸に沿った方向の長さよりも長い。第2~第4のスライダー軸94C2~94C4のY軸に沿った方向の長さは、すべて同じ長さである。
【0053】
第1のスライダー軸94C1は、第1の軸支持部94B1に対して挿入された状態で固定されている。第1のスライダー軸94C1は、基端部および先端部を有している。基端部は、第1の軸支持部94B1に挿入される部分である。先端部は、第1の軸支持部94B1から外方へ突出している部分である。基端部の外径は、先端部の外径よりも大きい。先端部の外径は、第2~第4のスライダー軸94C2~94C4の外径と同じである。
【0054】
なお、第1のスライダー軸94C1の先端部には、第1のガイドローラー94E1および第2のガイドローラー94E2が装着される。第1のガイドローラー94E1および第2のガイドローラー94E2は、第1のスライダー軸94C1の先端部に対して回転可能である。第1のガイドローラー94E1は、第2のガイドローラー94E2よりもY軸に沿った方向において第1のスライダー軸94C1の基端部に近い。すなわち、第1のガイドローラー94E1は、第2のガイドローラー94E2と第1のスライダー軸94C1の基端部との間に位置している。第1のガイドローラー94E1の外径は、第1の支持部材91のローラーガイド穴91Cの幅と同程度である。ローラーガイド穴91Cの幅とは、ローラーガイド穴91Cの延びる方向に対して直交する方向の長さをいう。第2のガイドローラー94E2の外径は、連結部93Cの長孔93Dの幅と同程度である。長孔93Dの幅とは、長孔93Dの延びる方向に対して直交する方向の長さをいう。
【0055】
第2のスライダー軸94C2は、第2の軸支持部94B2に対して抜け止め状態で挿入されている。第2のスライダー軸94C2は、第2の軸支持部94B2に対してY軸に沿った方向に摺動可能である。第2のスライダー軸94C2の内端部と第2の軸支持部94B2の内底部との間には圧縮コイルばね94D2が介在されている。第2のスライダー軸94C2は、圧縮コイルばね94D2の弾性力によって第2の軸支持部94B2から突出する方向へ向けて常時付勢される。第2のスライダー軸94C2は、その先端が第2の軸支持部94B2から露出した状態に維持される。
【0056】
第3のスライダー軸94C3は、第3の軸支持部94B3に対して抜け止め状態で挿入されている。第3のスライダー軸94C3は、第3の軸支持部94B3に対してY軸に沿った方向に摺動可能である。第3のスライダー軸94C3の内端部と第3の軸支持部94B3の内底部との間には圧縮コイルばね94D3が介在されている。第3のスライダー軸94C3は、圧縮コイルばね94D3の弾性力によって第3の軸支持部94B3から突出する方向へ向けて常時付勢される。第3のスライダー軸94C3は、その先端が第3の軸支持部94B3から露出した状態に維持される。
【0057】
第4のスライダー軸94C4は、第3の軸支持部94B3に対して抜け止め状態で挿入されている。第4のスライダー軸94C4は、第3の軸支持部94B3に対してY軸に沿った方向に摺動可能である。第4のスライダー軸94C4の内端部と第4の軸支持部94B4の内底部との間には圧縮コイルばね94D4が介在されている。第4のスライダー軸94C4は、圧縮コイルばね94D4の弾性力によって第4の軸支持部94B4から突出する方向へ向けて常時付勢される。第4のスライダー軸94C4は、その先端が第4の軸支持部94B4から露出した状態に維持される。
【0058】
スライダー94の上面には、ばね掛け用の2つの突部94F1,94F2が設けられている。突部94F1は、第1の軸支持部94B1および第2の軸支持部94B2と同じ側の側部に設けられている。突部94F1は、Y軸に沿った方向において第1の軸支持部94B1および第2の軸支持部94B2と同じ方向へ突出している。突部94F2は、第3の軸支持部94B3および第4の軸支持部94B4と同じ側の側部に設けられている。突部94F2は、Y軸に沿った方向において第3の軸支持部94B3および第4の軸支持部94B4と同じ方向へ突出している。
【0059】
第1の支持部材91の内面の下部には、ばね掛け用の突部91Gが設けられている。突部94F1には第1の引張コイルばね94G1の第1の端部が連結されている。突部91Gには、第1の引張コイルばね94G1の第2の端部が連結されている。また、第2の支持部材92の内面の下部には、ばね掛け用の突部92Gが設けられている。突部94F2には第2の引張コイルばね94G2の第1の端部が連結されている。突部92Gには、第2の引張コイルばね94G2の第2の端部が連結されている。したがって、スライダー94は、第1の引張コイルばね94G1および第2の引張コイルばね94G2の弾性力によって、常時下方へ向けて付勢される。
【0060】
<清掃部材>
図10に示すように、清掃部材81は、スライダー94の下部に取り付けられている。
図11に示すように、清掃部材81は、底壁81A、第1の側壁81B、第2の側壁81Cおよび爪81Dを有している。
【0061】
底壁81Aは、Z軸に沿った方向からみて、直角三角形状である。底壁81Aの互いに直交する2つの辺のうち第1の辺はY軸に沿って延び、第2の辺はX軸に沿って延びている。底壁81Aの第3の辺である斜辺は、X軸に沿った方向に対して交わる方向に延びている。底壁81Aの斜辺のX軸に沿った方向に対する傾斜の程度は、液体吐出ヘッド21のノズル列のX軸に沿った方向に対する傾斜の程度と同じである。
【0062】
底壁81Aの上面には、固定部81Eおよび3つの支持部81F1,81F2,81F3が設けられている。固定部81Eは、Z軸に沿った方向からみて、底壁81Aの中央付近に設けられている。固定部81Eは円筒状である。3つの支持部81F1,81F2,81F3は、Z軸に沿った方向からみて、底壁81Aの3つの角部に設けられている。2つの支持部81F1,81F2は、底壁81Aにおける鋭角の2つの角部に設けられている。残る支持部81F3は、底壁81Aにおける直角の角部に設けられている。2つの支持部81F1,81F2は、段付きの円柱状である。支持部81F3は、段付きの四角柱状である。
【0063】
第1の側壁81Bは、底壁81Aの第1の辺に沿って設けられている。すなわち、第1の側壁81Bは、Y軸に沿って延びている。第2の側壁81Cは、底壁81Aの第2の辺に沿って設けられている。すなわち、第2の側壁81Cは、X軸に沿って延びている。第1の側壁81Bと第2の側壁81Cとは、底壁81Aの直角の角部に対応する位置で互いに連結されている。
【0064】
第1の側壁81Bは、流路81Gを有している。流路81Gは、第1の側壁81Bと第2の側壁81Cとが交わる角部に寄った位置、かつ第1の側壁81Bと底壁81Aとの境界付近に位置している。流路81Gは、Y軸に沿った方向に延びる矩形の孔であって、第1の側壁81Bを貫通している。
【0065】
爪81Dは底壁81Aの上面に設けられている。爪81Dは、底壁81Aの斜辺に沿って伸びている。すなわち、爪81DのX軸に沿った方向に対する傾斜の程度は、液体吐出ヘッド21におけるノズル列のX軸に沿った方向に対する傾斜の程度と同じである。爪81Dの先端の厚みは、爪81Dの基端の厚みよりも薄い。
【0066】
清掃部材81は、つぎのようにしてスライダー94に固定される。すなわち、底壁81AのZ軸に沿った下方から固定部81Eに図示しないボルトを挿入し、このボルトをスライダー94に締め付けることにより、清掃部材81はスライダー94の下部に固定される。3つの支持部81F1,81F2,81F3の先端は、それぞれスライダー94の下部に設けられる図示しない嵌合穴に嵌合された状態に維持される。
【0067】
<スライダーの支持構造>
スライダー94は、つぎのように支持される。
図12に示すように、第3のスライダー軸94C3は、第2の支持部材92のガイド溝92Aに挿入されている。第3のスライダー軸94C3は、ガイド溝92Aに案内される。第4のスライダー軸94C4は、第2の支持部材92のカム溝92Bに挿入されている。第4のスライダー軸94C4は、カム溝92Bに案内される。
【0068】
第1のスライダー軸94C1の先端部は、第1の支持部材91のガイド溝91Aを貫通して長孔93Dに挿入されている。第1のスライダー軸94C1は、ガイド溝91Aに案内される。第2のスライダー軸94C2は、第1の支持部材91のカム溝91Bに挿入されている。第2のスライダー軸94C2は、カム溝91Bに案内される。
【0069】
第1のスライダー軸94C1の先端部に装着された第2のガイドローラー94E2は、レバー93の長孔93Dの内部に位置している。第2のガイドローラー94E2は、長孔93Dに転動しながら案内される。図示は割愛するが、第1のガイドローラー94E1は、第1の支持部材91の内側面に設けられたローラーガイド穴91Cの内部に位置している。第1のガイドローラー94E1は、ローラーガイド穴91Cに転動しながら案内される。
【0070】
レバー93の被押圧部93Bは、移動支持部73における当接部73CのX軸に沿った移動軌跡上に位置している。当接部73Cは、レバー93の被押圧部93Bに対して複数の突部73Dを介して当接可能である。
【0071】
当接部73Cが被押圧部93Bに当接した状態で移動支持部73がさらにワイピング方向WDへ向けて移動しようとするとき、レバー93は引張コイルばね93Fの弾性力に抗してワイピング方向WDへ移動しようとする。このレバー93の移動に伴い、第1の軸支持部94B1は連結部93Cの長孔93Dに係合する第2のガイドローラー94E2を介してワイピング方向WDへ押圧される。これにより、第1の軸支持部94B1は、第1のガイドローラー94E1および第2のガイドローラー94E2を介してガイド溝91Aに案内されながらワイピング方向WDへ移動する。第1の軸支持部94B1は、スライダー94に固定されているため、第1の軸支持部94B1、スライダー94および清掃部材81は、移動支持部73の移動と同期して一体的にワイピング方向WDへ移動する。
【0072】
なお、図5に示すように、液体吐出装置10は検知部50Aを有している。検知部50Aは、筐体の内部に固定されている。検知部50Aは、払拭部51が定められた検知位置に位置することを検知する。
【0073】
<接続部>
図5に示すように、接続部30は、筐体の内部に固定される排出部材30Aの一部分である。接続部30は、円筒状である。接続部30は、X軸に沿った受容支持部72における排出部72Cの移動軌跡上に位置している。また、接続部30および排出部72Cは、X軸に沿って延びる同一の軸線上に位置している。接続部30は、排出部72Cに対して相対的に挿入可能である。
【0074】
排出部材30Aの内部には図示しない排出流路が設けられる。この排出流路はポンプ61を介して廃液タンク63に接続される。また、排出部材30Aには、吸収材収容部30Bが設けられている。吸収材収容部30Bは、清掃部材81のZ軸に沿った下方に位置している。吸収材収容部30Bは、Z軸に沿った上方へ開口する箱体状である。吸収材収容部30Bの内部には吸収材30Cが収容されている。吸収材30Cは、印刷液を吸収可能である。
【0075】
<制御装置の処理手順>
つぎに、ノズル面21Aの清掃を行う際の制御部50の処理手順を説明する。払拭部51はワイパーホームポジションP0に位置している。
【0076】
図13のフローチャートに示すように、液体吐出ヘッド21のノズル面21Aの清掃を行う際、制御部50は、まずヘッド駆動機構24を通じて液体吐出ヘッド21をセット位置から退避位置へ移動させる。これにより、ノズル面21Aと払拭部材71との干渉が回避される。
【0077】
<ステップS101>
つぎに、制御部50は、ワイパー駆動機構53を通じて払拭部51をワイパーホームポジションP0からクリーナー開始ポジションP2へ移動させる(ステップS101)。クリーナー開始ポジションP2は、清掃部52による払拭部材71の清掃を開始するときの払拭部51の位置である。払拭部51は、ワイピング方向WDと反対方向へ移動する。
【0078】
図14に示すように、クリーナー開始ポジションP2は、Z軸に沿った上方からみて、ワイパーホームポジションP0からワイピング方向WDと反対方向へ所定の距離だけ離れた位置である。また、クリーナー開始ポジションP2は、Z軸に沿った上方からみて、ノズル面21Aに重ならない位置でもある。ただし、図14では、払拭部51の位置は、Z軸に沿った上方からみて、ノズル面払拭部材71Aの最もワイピング方向WDに位置する端部の位置を示す。
【0079】
図15に示すように、払拭部51がワイパーホームポジションP0に位置しているとき、第2のスライダー軸94C2はカム溝91Bの第1の位置P11に位置している。第1の位置P11は、第2のスライダー軸94C2が段差である保持部91B6に保持される位置である。スライダー94は、引張コイルばね93Fの弾性力によってワイピング方向WDと反対方向へ移動しようとする。しかし、このスライダー94のワイピング方向WDと反対方向への移動は、第2のスライダー軸94C2が保持部91B6に保持されることにより規制される。また、スライダー94は、第1の引張コイルばね94G1および第2の引張コイルばね94G2の弾性力によって、下方へ向けて常時付勢される。このため、第2のスライダー軸94C2は、保持部91B6に押し付けられた状態に維持される。これにより、第2のスライダー軸94C2はカム溝91Bの第1の位置P11に保持される。また、図16に示すように、払拭部51がワイパーホームポジションP0に位置しているとき、第1のスライダー軸94C1は第2のガイド溝91A2に位置している。このため、清掃部材81は、払拭部材71に対してZ軸に沿った方向において離隔した状態に保たれる。
【0080】
したがって、払拭部51は単独でワイパーホームポジションP0からクリーナー開始ポジションP2へ向けて移動する。
<ステップS102>
図13のフローチャートに示すように、つぎに制御部50は、ワイパー駆動機構53を通じて払拭部51をクリーナー開始ポジションP2からクリーナー復帰制御ポジションP3へ移動させる(ステップS102)。払拭部51は、ワイピング方向WDへ移動する。
【0081】
図14に示すように、クリーナー復帰制御ポジションP3は、Z軸に沿った上方からみて、ワイパーホームポジションP0からワイピング方向WDへ所定の距離だけ離れた位置である。
【0082】
検知部50Aは、払拭部51がクリーナー復帰制御ポジションP3へ向かう途中、ワイパーホームポジションP0を通過したことを検知する。制御部50は、検知部50Aを通じて払拭部51のワイパーホームポジションP0が検知されるとき、払拭部51の位置をリセットする。
【0083】
ちなみに、検知部50Aは、清掃部材81が払拭部材71の清掃を開始する際の払拭部51の位置であるクリーナー開始ポジションP2と、清掃部材81の移動方向がワイピング方向WDからその反対方向へ切り替わる際の払拭部51の位置であるクリーナー復帰制御ポジションP3との間の検知位置に払拭部51が位置することを検知可能である。
【0084】
図15に示すように、払拭部51のクリーナー復帰制御ポジションP3へ向けた移動に伴い、第2のスライダー軸94C2はカム溝91Bにおける第3のカム溝91B3を第1のカム溝91B1へ向けて移動する。
【0085】
これは、移動支持部73の当接部73Cによってレバー93の被押圧部93Bがワイピング方向WDへ押圧されることによる。レバー93が押圧されることにより、スライダー94は、引張コイルばね93Fの弾性力に抗してワイピング方向WDへ移動する。これに伴い、第2のスライダー軸94C2は第1のカム溝91B1に進入し、今度は第1のカム溝91B1に案内されながらワイピング方向WDへ移動する。やがて、払拭部51がクリーナー復帰制御ポジションP3に至るタイミングでカム溝91Bの第4の位置P14に至る。第4の位置P14は、第1のカム溝91B1内の位置であって、第1のカム溝91B1と第3のカム溝91B3とが交わる位置よりも若干ワイピング方向WDへ寄った位置である。
【0086】
図19に示すように、払拭部51がクリーナー復帰制御ポジションP3に位置しているとき、第1のスライダー軸94C1は第2のガイド溝91A2における第1のガイド溝91A1と反対側の端部に位置している。このとき、第1のカム溝91B1と第2のガイド溝91A2とのZ軸に沿った方向における位置の違いに応じて、スライダー94および清掃部材81は傾斜する。第1のカム溝91B1は、第2のガイド溝91A2に対してZ軸に沿った上側にずれた位置に設けられている。このため、清掃部材81の先端側の部分は、清掃部材81の基端側の部分よりもZ軸に沿った上側に位置する。清掃部材81の先端側の部分とは、清掃部材81の払拭部材71に接触する爪81Dが設けられている側の部分をいう。清掃部材81の基端側の部分とは、X軸に沿った方向において爪81Dと反対側の部分であって、流路81Gが設けられた側の部分をいう。払拭部51がクリーナー復帰制御ポジションP3に位置しているとき、清掃部材81の爪81Dとノズル面払拭部材71Aとは、Z軸に沿った方向において互いに離隔している。
【0087】
<ステップS103>
図13のフローチャートに示すように、つぎに制御部50は、ワイパー駆動機構53を通じて払拭部51をクリーナー復帰制御ポジションP3からワイパーホームポジションP0へ移動させる(ステップS103)。払拭部51は、ワイピング方向WDと反対方向へ移動する。
【0088】
図15に示すように、第2のスライダー軸94C2は、第1のカム溝91B1に案内されながらワイピング方向WDと反対方向へ移動する。やがて、第2のスライダー軸94C2は、払拭部51がワイパーホームポジションP0に至るタイミングで、第1のカム溝91B1と第3のカム溝91B3との境界位置に至る。このとき、第2のスライダー軸94C2は、第3のカム溝91B3に進入することはない。第2のスライダー軸94C2は、第1のカム溝91B1の深さと、第3のカム溝91B3の平坦面91B5が設けられた部分の深さとの違いによる段差によって、第1のカム溝91B1と第3のカム溝91B3との境界位置に支持される。
【0089】
なお、先のステップS101~S103の処理は、払拭部材71により液体吐出ヘッド21を払拭する前段階のイニシャル処理である。
<ステップS104>
つぎに、制御部50は、ワイパー駆動機構53を通じて払拭部51をワイパーホームポジションP0からワイパー開始ポジションP1へ移動させる(ステップS104)。払拭部51は、ワイピング方向WDと反対方向へ移動する。
【0090】
図14に示すように、ワイパー開始ポジションP1は、Z軸に沿った上方からみて、液体吐出ヘッド21からワイピング方向WDと反対方向へ所定の距離だけ離れた位置である。また、ワイパー開始ポジションP1は、Z軸に沿った上方からみて、ノズル面21Aに重ならない位置でもある。すなわち、液体吐出ヘッド21は、Z軸に沿った上方からみて、ワイパー開始ポジションP1とワイパーホームポジションP0との間に位置する。
【0091】
スライダー94は、引張コイルばね93Fの弾性力によって、ワイピング方向WDと反対方向へ向けて常時付勢される。このため、スライダー94は、払拭部51のワイパー開始ポジションP1へ向けた移動に追従してワイピング方向WDと反対方向へ移動する。
【0092】
図15に示すように、第2のスライダー軸94C2は、払拭部51のワイパー開始ポジションP1へ向けた移動に伴い、第2のスライダー軸94C2は第1のカム溝91B1をワイピング方向WDと反対方向へ向けて移動する。やがて、第2のスライダー軸94C2は、カム溝91Bの第2の位置P12に至る。第2の位置P12は、カム溝91Bにおける第1のカム溝91B1と第2のカム溝91B2とが互いに交わる位置である。第2の位置P12に至った第2のスライダー軸94C2は、第1の引張コイルばね94G1および第2の引張コイルばね94G2の弾性力によって、第2のカム溝91B2に案内されながら下方へ移動し、やがて第3の位置P13に達する。第3の位置P13は、第2のカム溝91B2の下端であって、第2の位置P12とは反対側の端部である。第2のスライダー軸94C2の下方への移動に伴い、スライダー94および清掃部材81は一体的に下方へ移動する。
【0093】
図17に示すように、第2のスライダー軸94C2が第3の位置P13に保持されているとき、第1のスライダー軸94C1は第1のガイド溝91A1の下端に位置している。また、第2のスライダー軸94C2が第3の位置P13に保持されている場合、スライダー94は、払拭部51がワイパーホームポジションP0に保持されているときの位置よりも低い位置に保持されている。清掃部材81の爪81Dは、X軸に沿ったノズル面払拭部材71Aの移動軌跡上に位置する。すなわち、清掃部材81の爪81Dは、X軸に沿った方向においてノズル面払拭部材71Aの上部に接触可能である。
【0094】
この後、制御部50は、ヘッド駆動機構24を通じて液体吐出ヘッド21を退避位置からセット位置へ移動させる。これにより、払拭部材71により液体吐出ヘッド21を払拭可能となる。
【0095】
<ステップS105>
図13のフローチャートに示すように、つぎに制御部50は、ワイパー駆動機構53を通じて払拭部51をワイパー開始ポジションP1からワイパー終了ポジションP4へ移動させる(ステップ105)。払拭部51は、ワイピング方向WDへ移動する。
【0096】
図14に示すように、ワイパー終了ポジションP4は、ノズル面払拭部材71Aがノズル面21Aをワイピング方向WDへ通過した位置である。
払拭部51のワイパー終了ポジションP4へ向けた移動に伴い、ノズル面払拭部材71Aは、ノズル面21Aに対してX軸に沿って摺動することによりノズル面21Aに付着した印刷液を払拭する。また、側面払拭部材71Bは、ノズル面21AとZ軸に沿った方向において交差する液体吐出ヘッド21の側面を払拭する。側面払拭部材71Bは、ノズル面払拭部材71Aから外れた印刷液を捕捉する。
【0097】
制御部50は、払拭部51がワイパー終了ポジションP4に至った後、ヘッド駆動機構24を通じて液体吐出ヘッド21をセット位置から退避位置へ移動させる。
<ステップS106>
図13のフローチャートに示すように、つぎに制御部50は、ワイパー駆動機構53を通じて払拭部51をワイパー終了ポジションP4からクリーナー開始ポジションP2へ移動させる(ステップ106)。
【0098】
先のステップS104の処理の実行を通じて、払拭部51がクリーナー開始ポジションP2に達する前に、第2のスライダー軸94C2は、すでにカム溝91Bの第3の位置P13に保持されている。
【0099】
図17に示されるように、清掃部材81の爪81Dはノズル面払拭部材71AのX軸に沿った移動軌跡上に位置している。このため、払拭部51がクリーナー開始ポジションP2に達するタイミングで、ノズル面払拭部材71Aの先端は、ワイピング方向WDにおいて清掃部材81の爪81Dに弾性的に接触する。ノズル面払拭部材71Aの先端は、ワイピング方向WDと反対方向へ撓んだ状態に維持される。また、払拭部51がクリーナー開始ポジションP2に達するタイミングで、移動支持部73の当接部73Cは、ワイピング方向WDにおいて、レバー93の被押圧部93Bに対して複数の突部73Dを介して当接する。
【0100】
<ステップS107>
図13のフローチャートに示すように、つぎに制御部50は、ワイパー駆動機構53を通じて払拭部51をクリーナー開始ポジションP2からクリーナー終了ポジションP5へ移動させる(ステップ107)。
【0101】
払拭部51は、ワイピング方向WDへ移動する。払拭部51のクリーナー終了ポジションP5へ向けた移動に伴い、排出部72Cには接続部30が挿入される。
図14に示すように、クリーナー終了ポジションP5は、Z軸に沿った上方からみて、ワイパーホームポジションP0とクリーナー復帰制御ポジションP3との間の位置である。
【0102】
図15に示すように、払拭部51がクリーナー終了ポジションP5に位置しているとき、第2のスライダー軸94C2は、カム溝91Bの第5の位置P15に位置している。第5の位置P15は、第3のカム溝91B3の平坦面91B5における第1のカム溝91B1との境界近傍の位置である。
【0103】
また、図18に示すように、払拭部51がクリーナー終了ポジションP5に位置しているとき、第1のスライダー軸94C1は、第2のガイド溝91A2の内部に位置している。
【0104】
払拭部51のクリーナー終了ポジションP5へ向けた移動に伴い、レバー93の被押圧部93Bは、移動支持部73の当接部73Cによってワイピング方向WDへ向けて押圧される。これに伴い、スライダー94は、引張コイルばね93Fの弾性力に抗して、清掃部材81と一体的にワイピング方向WDへ向けて移動する。すなわち、スライダー94は、クリーナー開始ポジションP2からクリーナー終了ポジションP5へ向けて移動する払拭部51に追従して、清掃部材81と一体的にワイピング方向WDへ移動する。
【0105】
図15に示すように、払拭部51のクリーナー終了ポジションP5へ向けた移動に伴い、第2のスライダー軸94C2は第3のカム溝91B3を第1のカム溝91B1へ向けて移動する。第2のスライダー軸94C2は、第3のカム溝91B3の傾斜面91B4に案内されながら段差である保持部91B6へ向けて移動する。このとき、第2のスライダー軸94C2は、傾斜面91B4の傾斜に応じて、圧縮コイルばね94D2の弾性力に抗して第2の軸支持部94B2の内部に押し込まれる。やがて、第2のスライダー軸94C2は保持部91B6を乗り越える。すると、第2のスライダー軸94C2は、圧縮コイルばね94D2の弾性力によって第2の軸支持部94B2から突出する方向へ移動する。これにより、第2のスライダー軸94C2の先端は、第3のカム溝91B3の平坦面91B5に落ち込む。やがて、第2のスライダー軸94C2は、払拭部51がクリーナー終了ポジションP5に至るタイミングで、カム溝91Bの第5の位置P15に至る。
【0106】
この第2のスライダー軸94C2の移動に伴い、第1のスライダー軸94C1は第1のガイド溝91A1に案内されながら第2のガイド溝91A2へ向けて上昇する。第2のスライダー軸94C2は、傾斜面91B4に案内されながら保持部91B6へ向けて上昇する。これにより、スライダー94および清掃部材81は、第3のカム溝91B3および第1のガイド溝91A1に沿って一体的に上昇する。すなわち、液体吐出ヘッド21が印刷液を吐出する方向を吐出方向とした場合、清掃部材81は、案内部82に案内されながら吐出方向とは反対方向に移動する。この移動に伴い、清掃部材81の爪81Dは、ノズル面払拭部材71Aに付着した印刷液を掻き上げるようにして払拭する。ノズル面払拭部材71Aは、自己に付着した印刷液が爪81Dによって掻き取られることにより清掃される。第3のカム溝91B3は、払拭部材71を清掃する際の清掃部材81の清掃経路として使用される。
【0107】
第2のスライダー軸94C2が保持部91B6を乗り越えて平坦面91B5に落ち込むタイミングで、第1のスライダー軸94C1は第2のガイド溝91A2に至る。これ以降、第1のスライダー軸94C1と第2のスライダー軸94C2とのZ軸に沿った方向における位置の違いに応じて、スライダー94および清掃部材81は第1のスライダー軸94C1を中心として時計方向へ傾斜する。すなわち、清掃部材81は、払拭部51がクリーナー終了ポジションP5へ向けて移動するにつれて、払拭部材71に接触する先端側の部分が基端側の部分よりも上昇する。清掃部材81の爪81Dが設けられた先端側の部分は、Z軸に沿った方向においてノズル面払拭部材71Aから離れる方向へ移動する。
【0108】
清掃部材81の基端側の部分には、流路81Gが設けられている。ノズル面払拭部材71Aの清掃を通じて受容した印刷液は、流路81Gを介して清掃部材81の外へ排出することが可能である。清掃部材81の外へ排出される印刷液は、清掃部材81の下方に位置する吸収材30Cに落下する。この落下した印刷液は、吸収材30Cに吸収される。
【0109】
<ステップS108>
図13のフローチャートに示すように、最後に制御部50は、ワイパー駆動機構53を通じて払拭部51をクリーナー終了ポジションP5からワイパーホームポジションP0へ移動させる(ステップ108)。
【0110】
払拭部51は、ワイピング方向WDと反対方向へ移動する。スライダー94は、引張コイルばね93Fの弾性力によって、払拭部51に追従してワイピング方向WDと反対方向へ移動する。
【0111】
スライダー94は、第1の引張コイルばね94G1および第2の引張コイルばね94G2の弾性力によって、常時下方へ向けて付勢される。このため、払拭部51のワイパーホームポジションP0へ向けた移動に伴い、第2のスライダー軸94C2は、第3のカム溝91B3に案内されながら第5の位置P15から第1の位置P11へ移動する。第2のスライダー軸94C2は、段差である保持部91B6に保持される。
【0112】
払拭部51がワイパーホームポジションP0に保持されるとき、接続部30は排出部72Cに挿入された状態に維持される。このため、ポンプ61の駆動を通じて、受容部72Aに受容された廃液を廃液タンク63に排出することが可能である。
【0113】
以上で、液体吐出ヘッド21および払拭部材71の一連の清掃動作が完了となる。
再度、液体吐出ヘッド21および払拭部材71の清掃を行う際には、先のステップS101~ステップS108の処理が繰り返される。第1のカム溝91B1および第2のカム溝91B2は、払拭部材71の清掃を行った後の清掃部材81を清掃経路である第3のカム溝91B3へ戻すための戻り経路として使用される。戻り経路は、清掃経路よりも高い位置を通る。
【0114】
ちなみに、制御部50は、図13のフローチャートのステップに応じて、払拭部51の移動速度を異ならせるようにしてもよい。制御部50は、たとえば払拭部51に作用する負荷が小さいとき、第1の移動速度で払拭部51を移動させる。また、制御部50は、払拭性が重視されるとき、あるいは払拭部51に作用する負荷が大きく払拭部51の停止制度が必要とされるときには、第1の移動速度よりも遅い第2の移動速度で払拭部51を移動させる。
【0115】
払拭部51に作用する負荷が小さいときとは、たとえばステップS104の処理を実行するときである。払拭性が重視されるときとは、たとえばステップS105の処理を実行するときである。払拭部51に作用する負荷が大きく払拭部51の停止制度が必要とされるときとは、たとえばステップS101~ステップS103、ステップS107およびステップS108の処理を実行するときである。ステップS106の処理を実行するときには、第1の移動速度よりも遅く、かつ第2の移動速度より速い速度で払拭部51を移動させてもよい。
【0116】
<本実施の形態の効果>
したがって、本実施の形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)ノズル面払拭部材71Aの清掃を行う際、清掃部材81は払拭部51に追従してワイピング方向WDへ移動しながら上昇する。この清掃部材81の動作に伴い、爪81Dはノズル面払拭部材71Aに付着した印刷液を掻き上げるようにして払拭する。このため、清掃部材81の動作中、ノズル面払拭部材71Aと爪81Dとの当接状態が変化しにくい。すなわち、ノズル面払拭部材71Aに対する爪81Dの当接状態が一定に保たれる。当接状態には、ノズル面払拭部材71Aに対する爪81Dの当たりの強さなども含まれる。したがって、ノズル面払拭部材71Aに付着した印刷液を均一に払拭することができる。
【0117】
(2)ノズル面払拭部材71Aの清掃を行う際、清掃部材81は払拭部51に追従してワイピング方向WDへ移動しながら上昇する。清掃部材81の上昇に伴い、やがてノズル面払拭部材71Aと爪81Dとの当接状態が解除される。このため、清掃部材81の爪81Dに付着した廃液がノズル面払拭部材71Aに再付着することが抑制される。
【0118】
(3)清掃部材81は、払拭部51の駆動力を利用して動作する。清掃部材81を動作させる個別の駆動機構を設ける必要がない。このため、製品コストが抑えられる。
(4)ノズル面払拭部材71Aと爪81Dとの当接状態が解除された状態では、清掃部材81の爪81Dが設けられた先端側の部分は、清掃部材81の基端側の部分よりも上側に位置する。このため、爪81Dによって払拭した印刷液を清掃部材81の先端側から基端側へ導くことが可能である。
【0119】
(5)第2のスライダー軸94C2が保持部91B6に保持されることにより、ノズル面払拭部材71Aと清掃部材81の爪81Dとの当接状態が解除された状態でスライダー94の位置が保持される。このため、電源投入時の初期動作時など、清掃動作が不要とされる場合、払拭部51を単独で移動させることが可能となる。
【0120】
(6)払拭部51がクリーナー復帰制御ポジションP3へ移動することにより、第2のスライダー軸94C2は清掃経路への戻り経路である第1のカム溝91B1へ移動する。ここで、戻り経路は清掃経路よりも高い位置を通る。この後、払拭部51がワイピング方向WDと反対方向へ移動することにより、第2のスライダー軸94C2は復帰経路を経由して清掃経路である第3のカム溝91B3に進入可能となる位置に至る。これに伴い、清掃部材81は、その爪81Dとノズル面払拭部材71Aと爪81Dとが当接可能となる位置へ移動する。このため、清掃部材81が清掃経路へ戻る際に、払拭部51の移動の邪魔になるのを抑制できるとともに、ノズル面払拭部材71Aの清掃が必要とされるときにのみ、清掃部材81による清掃動作を行うことができる。
【0121】
(7)払拭部51がワイパーホームポジションP0に位置しているとき、接続部30は排出部72Cに接続された状態に維持される。このため、ポンプ61を駆動することによって廃液を排出することができる。また、廃液がより確実に廃液タンク63に導かれることにより、清掃部材81の周辺が廃液で汚染されることが抑制される。
【0122】
(8)払拭部材71によって払拭された廃液は、受容部72Aに受容される。排出部72Cは、受容部72Aの最下部である底壁よりも高い位置に設けられている。このため、受容部72Aには廃液が効率的に集められる。
【0123】
(9)また、受容部72Aと排出部72Cとは、狭小の連通路72Bを介して連通している。連通路72Bは、受容部72Aに受容された廃液がワイピング方向WDとは逆の方向へ向けて流れる部分を有する。このため、受容部72Aに蓄えられた廃液が払拭部51の減速時に誤って排出部72Cから垂れることを抑制できる。
【0124】
(10)ノズル面払拭部材71Aは、ワイピング方向WDに対して傾斜している。側面払拭部材71Bは、ワイピング方向WDを前方として、ノズル面払拭部材71Aの後端部の後方に位置している。このため、ノズル面払拭部材71Aによる払拭後、ノズル面21Aに残る印刷液を側面払拭部材71Bによって払拭することが可能である。したがって、ノズル面21Aを清潔な状態に保つことができる。
【0125】
(11)払拭部51は、ワイパーホームポジションP0、クリーナー復帰制御ポジションP3、ワイパー終了ポジションP4、クリーナー開始ポジションP2、およびクリーナー終了ポジションP5を順次移動し、その後、ワイパーホームポジションP0に戻る。この払拭部51の動作を利用して清掃部材81を動作させることが可能である。このため、清掃部材81を動作させる個別の駆動機構を設ける必要がない。
【0126】
(12)検知部50Aは、ワイパーホームポジションP0とクリーナー終了ポジションP5との間に位置する払拭部51を検知可能である。このため、たとえば初期動作時、清掃部材81を払拭部材71に対して離隔させた状態で払拭部51の初期動作を行うことが可能である。また、クリーナー終了ポジションP5およびクリーナー復帰制御ポジションP3は、案内部82との関係で払拭部51の位置精度が要求される。制御部50は、検知部50Aを通じて払拭部51の位置を把握することが可能である。このため、クリーナー終了ポジションP5およびクリーナー復帰制御ポジションP3の制御位置のばらつきを抑えることができる。
【0127】
(13)制御部50は、たとえば払拭部51に作用する負荷が小さいとき、第1の移動速度で払拭部51を移動させる。また、制御部50は、払拭性が重視されるとき、あるいは払拭部51に作用する負荷が大きく払拭部51の停止制度が必要とされるときには、第1の移動速度よりも遅い第2の移動速度で払拭部51を移動させる。このため、払拭部51の動作時間を短縮することが可能である。また、払拭部51の各位置への動作の信頼性を向上させることができる。
【0128】
<他の実施の形態>
なお、本実施の形態は、つぎのように変更して実施してもよい。また、各実施の形態および以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施してもよい。
【0129】
図20に示すように、液体吐出ヘッド21は水平面であるXY平面に対して傾いた状態で媒体に印刷液を吐出するように構成してもよい。払拭部51は、傾いた状態の液体吐出ヘッド21を払拭するように構成する。
【0130】
<技術的思想>
以下に、上述した実施の形態および変更例から把握される技術的思想およびその作用効果を記載する。
【0131】
(A)払拭モジュールは、ノズル面に設けられるノズルから液体を吐出する液体吐出ヘッドの払拭を行う払拭部材と、前記払拭部材を支持するとともに前記払拭による液体を受容可能な受容支持部と、前記受容支持部を搭載して前記払拭を行う方向である払拭方向に沿って往復移動可能な移動支持部と、を有する払拭部と、前記払拭部材を清掃する清掃部と、を備えている。前記清掃部は、清掃部材と、該清掃部材を案内する案内部と、を有している。前記清掃部材は、前記払拭部の前記払拭方向への移動に追従して前記案内部に案内されながら前記払拭部材に付着した液体を掻き取るように構成される。
【0132】
この構成によれば、払拭部材と清掃部材とが同じ方向に動きながら清掃を行うため、清掃中における接触状態の変化を抑制することができる。このため、払拭部材に付着した液体を均一に払拭することができる。
【0133】
(B)上記の払拭モジュールにおいて、前記液体吐出ヘッドが液体を吐出する方向を吐出方向とした場合、前記清掃部材は、前記案内部に案内されながら前記吐出方向とは反対方向に移動することで、前記払拭部材に付着した液体を掻き取るようにしてもよい。
【0134】
この構成によれば、払拭部材と清掃部材とが同じ方向に動きながら払拭部材の清掃を行うため、清掃中における接触状態の変化を抑制することができる。また、清掃部材が案内部に案内されながら吐出方向とは反対方向に移動することにより、清掃部材に付着した液体が払拭部材の再付着することが抑制される。
【0135】
(C)上記の払拭モジュールにおいて、前記清掃部材は、前記払拭部が前記払拭方向へ移動するにつれて、前記払拭部材に接触する先端側が基端側よりも上昇するように構成されてもよい。
【0136】
この構成によれば、清掃した際の液体が清掃部材の先端側から垂れてしまうことを抑制できる。
(D)上記の払拭モジュールにおいて、前記清掃部材の基端側には、清掃により受容した液体を前記清掃部材の外に流すための流路が設けられていてもよい。
【0137】
この構成によれば、清掃した際の液体を排出することができる。
(E)上記の払拭モジュールにおいて、前記案内部は、前記払拭部材と前記清掃部材とが接触しない位置に前記清掃部材を一時的に保持可能な保持部を有していてもよい。
【0138】
この構成によれば、清掃部材の動作が不要な場合には、払拭部を単独で移動させることができる。
(F)上記の払拭モジュールにおいて、前記案内部は、前記払拭部材を清掃する際の前記清掃部材の清掃経路と、前記払拭部材を清掃した後の前記清掃部材の戻り経路と、を有していてもよい。前記戻り経路は、前記清掃経路よりも高い位置を通るようにしてもよい。
【0139】
この構成によれば、清掃部材が戻る際に、払拭部の移動の邪魔になるのを抑制することができる。
(G)上記の払拭モジュールにおいて、前記払拭部材は、前記ノズル面を払拭するノズル面払拭部材と、前記ノズル面と交差する前記液体吐出ヘッドの側面を払拭する側面払拭部材と、を含んでいてもよい。前記液体吐出ヘッドを払拭する際、前記側面払拭部材は、前記払拭方向を前方としたとき、前記ノズル面払拭部材よりも後方に配置されるようにしてもよい。
【0140】
この構成によれば、ノズル面払拭部材による払拭後に、液体吐出ヘッドの側面に残る液体を側面払拭部材で払拭することができる。
(H)吐出モジュールは、液体を吐出する液体吐出ヘッドと、上記の払拭モジュールと、を備える。
【0141】
この構成によれば、上記の払拭モジュールと同様の効果を得ることができる。
(I)液体吐出装置は、液体を吐出する液体吐出ヘッドと、上記の払拭モジュールと、前記受容支持部に接続可能な接続部と、前記接続部を減圧可能な減圧機構と、を備える。
【0142】
この構成によれば、受容支持部で受容した液体を吸引排出することができる。
(J)上記の液体吐出装置において、前記受容支持部は、液体を受容する受容部と、前記払拭部の移動によって前記接続部に対して接離される排出部と、前記受容部と前記排出部とを連通する連通路と、を有していてもよい。前記排出部は、前記受容部の最下部よりも高い位置に設けられてもよい。前記連通路は、少なくとも一部が、前記払拭方向とは反対方向へ向けて延びるようにしてもよい。
【0143】
この構成によれば、受容支持部で受容した液体が、払拭方向へ移動する払拭部の減速時に排出部から垂れてしまうことを抑制できる。
(K)上記の液体吐出装置において、前記清掃部材が前記払拭部材の清掃を開始する際の前記払拭部の位置と、前記清掃部材が前記払拭方向への移動から前記払拭方向と反対方向への移動に切り替わる際の前記払拭部の位置と、の間にある検知位置に前記払拭部があることを検知する検知部を備えるようにいてもよい。
【0144】
この構成によれば、払拭部の位置を毎回初期化することができる。
(L)上記の液体吐出装置において、前記液体吐出ヘッドは水平より傾いた状態で媒体に液体を吐出するように構成されてもよい。前記払拭部は、傾いた状態の前記液体吐出ヘッドを払拭するようにしてもよい。
【0145】
この構成によれば、傾いた液体吐出ヘッドを備える液体吐出装置においても、上記の液体吐出装置と同様の効果が得られる。
(M)払拭モジュールの払拭方法は、ノズル面に設けられるノズルから液体を吐出する液体吐出ヘッドの払拭を行う払拭部材と、前記払拭部材を支持するとともに前記払拭による液体を受容可能な受容支持部と、前記受容支持部を搭載して前記払拭を行う方向である払拭方向に沿って往復移動可能な移動支持部と、を有する払拭部と、前記払拭部材を清掃する清掃部と、を備え、前記清掃部は、清掃部材と、該清掃部材を案内する案内部と、を有する払拭モジュールの払拭方法である。前記清掃部材は、前記払拭部の前記払拭を行う方向である払拭方向への移動に追従して前記案内部に案内されながら前記払拭部材に付着した液体を掻き取る。
【0146】
この構成によれば、上記の払拭モジュールと同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0147】
10…液体吐出装置、20…吐出モジュール、30…接続部、40…減圧機構、21A…ノズル面、21B…ノズル、21…液体吐出ヘッド、22…払拭モジュール、50A…検知部、51…払拭部、52…清掃部、71…払拭部材、71A…ノズル面払拭部材、71B…側面払拭部材、72…受容支持部、72A…受容部、72B…連通路、72C…排出部、73…移動支持部、81…清掃部材、82…案内部、81F…流路、91B1…第1のカム溝(戻り経路)、91B2…第2のカム溝(戻り経路)、91B3…第3のカム溝(清掃経路)、91B6…保持部。
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