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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 43/50 20180101AFI20241217BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20241217BHJP
   F21V 11/14 20060101ALI20241217BHJP
   F21S 43/20 20180101ALI20241217BHJP
   F21W 104/00 20180101ALN20241217BHJP
【FI】
F21S43/50
F21S2/00 481
F21V11/14
F21S43/20
F21W104:00
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021040634
(22)【出願日】2021-03-12
(65)【公開番号】P2022140010
(43)【公開日】2022-09-26
【審査請求日】2024-02-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000000136
【氏名又は名称】市光工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145908
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 信雄
(74)【代理人】
【識別番号】100136711
【弁理士】
【氏名又は名称】益頭 正一
(72)【発明者】
【氏名】檀浦 宗一郎
(72)【発明者】
【氏名】林 秀幸
【審査官】河村 勝也
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-243794(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 43/00
F21S 2/00
F21V 11/14
F21W 104/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を透過する複数の第1光透過部と前記複数の第1光透過部間において光を不透過とする第1光不透過部とを有した第1板材と、
前記第1板材に積層され、光を透過する複数の第2光透過部と前記第2光透過部間において光を不透過とする第2光不透過部とを有した第2板材と、
前記第1板材の前記複数の第1光透過部及び前記第2板材の前記複数の第2光透過部を介して光を出射する光源と、を備えた車両用灯具であって、
前記複数の第2光透過部は、前記複数の第1光透過部よりも面積が大きくされ、ドット形状をなす複数のドット状光透過部と、前記ドット形状と異なる形状で形成された複数の異形光透過部と、を有する
ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記複数の第2光透過部は、前記複数の第1光透過部よりも面積が9倍以上大きくされている
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
光を不透過する複数の第1光不透過部と前記複数の第1光不透過部間において光を透過する第1光透過部とを有した第1板材と、
前記第1板材に積層され、光を不透過とする複数の第2光不透過部と前記第2光不透過部間において光を透過する第2光透過部とを有した第2板材と、
前記第1板材の前記第1光透過部及び前記第2板材の前記第2光透過部を介して光を出射する光源と、を備えた車両用灯具であって、
前記複数の第2光不透過部間の最短距離は、前記複数の第1光不透過部間の最短距離よりも長くされている
ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項4】
前記第2板材の複数の第2光不透過部間の最短距離は、前記第1板材の第1光不透過部間の最短距離よりも3倍以上長くされている
ことを特徴とする請求項3に記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記複数の第2光不透過部は、ドット形状をなす複数のドット状光不透過部と、前記ドット形状と異なる形状で形成された複数の異形光不透過部と、を有する
ことを特徴とする請求項3又は請求項4のいずれかに記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、板材に微小なドット状等の光透過部を形成し他の部分を光不透過部とした板材である半透過部と、特定の意匠形状をなす開口が形成された板材である意匠部とを積層し、これらの後方から光を照射可能とした装飾照明装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。この装飾照明装置では、例えば光源の点灯時に開口に応じた意匠形状をユーザに認識させることができる(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-6026号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、本件出願人は、上記のような装飾照明装置を車両用灯具に適用することを研究しており、特に、意匠部についても微小なドット状等の光透過部を形成することを検討している。これにより、2枚の板材が双方ともに微小なドット状等の光透過部を有することとなり、光源の非点灯時には灯室構成が視認され難くなり、意匠性の向上を図ることができるからである。
【0005】
しかし、このような車両用灯具は、微小な光透過部同士が干渉してモアレが発生してしまうことがあり、灯室構成が視認され難くなって意匠性の向上を図る反面、モアレによる意匠性の低下を招くものであった。
【0006】
本発明はこのような従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、モアレによる意匠性の低下を抑えることができる車両用灯具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一側面に係る車両用灯具は、光を透過する複数の第1光透過部と前記第1光透過部間において光を不透過とする第1光不透過部とを有した第1板材と、前記第1板材に積層され、光を透過する複数の第2光透過部と前記第2光透過部間において光を不透過とする第2光不透過部とを有した第2板材と、前記第1板材の前記複数の第1光透過部及び前記第2板材の前記複数の第2光透過部を介して光を出射する光源と、を備えた車両用灯具であって、前記複数の第2光透過部は、前記複数の第1光透過部よりも面積が大きくされ、ドット形状をなす複数のドット状光透過部と、前記ドット形状と異なる形状で形成された複数の異形光透過部と、を有する
【0008】
また、本発明に係る車両用灯具は、光を不透過する複数の第1光不透過部と前記第1光不透過部間において光を透過する第1光透過部とを有した第1板材と、前記第1板材に積層され、光を透過する複数の第2光不透過部と前記第2光不透過部間において光を透過する第2光透過部とを有した第2板材と、前記第1板材の前記第1光透過部及び前記第2板材の前記第2光透過部を介して光を出射する光源と、を備えた車両用灯具であって、前記複数の第2光不透過部間の最短距離は、前記複数の第1光不透過部間の最短距離よりも長くされている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、モアレによる意匠性の低下を抑えることができる車両用灯具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態に係る車両用灯具が適用される車両の正面図である。
図2図1に示した車両用灯具の1つを示す正面図である。
図3図2に示した車両用灯具のIII-III断面図である。
図4図3に示した第1板材の平面図であり、(a)は全体図を示し、(b)は一部拡大図を示している。
図5図3に示した第2板材の平面図であり、(a)は全体図を示し、(b)は第1の一部拡大図を示し、(c)は第2の一部拡大図を示している。
図6】本実施形態に係る車両用灯具の作用を説明するための平面図である。
図7】第2実施形態に係る第1板材の平面図であり、(a)は全体図を示し、(b)は一部拡大図を示している。
図8】第2実施形態に係る第2板材の平面図であり、(a)は全体図を示し、(b)は第1の一部拡大図を示し、(c)は第2の一部拡大図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を好適な実施形態に沿って説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、以下に示す実施形態においては、一部構成の図示や説明を省略している箇所があるが、省略された技術の詳細については、以下に説明する内容と矛盾が発生しない範囲内において、適宜公知又は周知の技術が適用されていることはいうまでもない。
【0012】
図1は、本実施形態に係る車両用灯具が適用される車両の正面図である。図1に示すように、本実施形態に係る車両用灯具1は、例えば車両Vの前方の前照灯間となるフロントグリルGに設けられている。本実施形態において車両用灯具1は、例えば正面視して括弧形状となっており左右に4つずつ互いに対となるように(対称となるように)配置されている。
【0013】
図2は、図1に示した車両用灯具1の1つを示す正面図であり、図3は、図2に示した車両用灯具1のIII-III断面図である。なお、図2においては、後述するケース(符号Ca参照)等の一部構成について図示を省略している。
【0014】
図2及び図3に示すように、車両用灯具1は、光源LSを搭載した基板PCBと、リフレクタRと、シールドSと、インナーレンズILと、第1板材10と、第2板材20と、アウターレンズOLと、ケースCaとを備えている。基板PCB、リフレクタR、シールドS、及びインナーレンズILはケースCa内に収納されている。
【0015】
図2及び図3に示すように、基板PCBはその法線方向が車両側方(やや上又は下に向いた斜め側方を含む)となるように配置されている。基板PCBに搭載される光源LSについても光軸が側方(特に車両内側方向)に向くように配置され、車両内側方向に光を出射する構成となっている。リフレクタRは、蒸着や塗装等によってアルミや銀系の反射面が形成されたものである。反射面は、光源LSからの光を車両前方に向けて反射するように、回転楕円面や自由曲面によって形成されている。
【0016】
シールドSは、リフレクタRによって反射された光をインナーレンズILに導くためのものである。このシールドSは、インナーレンズILの内側及び外側の双方に設けられている。また、シールドSは、インナーレンズIL側の面が例えば白色等によって形成されている。よって、シールドSは、リフレクタRによって反射された光をその内面で反射させながらインナーレンズILまで導くこととなる。なお、シールドSは白色等に限るものではなく、黒色等によって形成され、リフレクタRによって反射された光が外側に漏れ出ることを抑制するものであってもよい。
【0017】
インナーレンズILは、リフレクタRよりも車両前方側に設けられており、シールドSによって導かれた光を受光して拡散させる拡散板として機能するものである。このインナーレンズILは、例えば乳白色によって構成されている。
【0018】
第1板材10、第2板材20、及びアウターレンズOLは、互いに接した状態で積層されてインナーレンズILよりも車両前方側に設けられている。これら第1板材10、第2板材20、及びアウターレンズOLは、ケースCaの開放部分を塞ぐように配置されている。インナーレンズILによって拡散された光は、第2板材20、第1板材10、及びアウターレンズOLの順に通過して車両前方に出射される。
【0019】
第1板材10及び第2板材20は、後述するように光透過部と光不透過部とを有している。光源LSからインナーレンズILを介して第1板材10及び第2板材20に到達した光は、第1板材10及び第2板材20の光透過部を介してアウターレンズOLに到達する。アウターレンズOLは、例えば透明性樹脂によって構成され、第1板材10及び第2板材20の光透過部を通過した光を車両前方に出射するものである。
【0020】
図4は、図3に示した第1板材10の平面図であり、(a)は全体図を示し、(b)は一部拡大図を示している。図4(a)に示すように、第1板材10は平面視して括弧形状となっている。この第1板材10は、図4(b)に示すように、その全体が光を不透過とする不透過板材によって構成されており、この不透過板材に対して複数のドット形状の貫通孔(例えば1.0mm以下)が形成されたものとなっている。貫通孔が形成された部位が光透過部(第1光透過部)11となる。一方、貫通孔が形成されていない箇所(すなわち光透過部11の間)が光を不透過とする光不透過部(第1光不透過部)12となる。
【0021】
なお、光透過部11は貫通孔によって形成されるものに限らず、例えば貫通孔に光透過性の樹脂が充填されたものであってもよい。さらに、上記において第1板材10は、不透過板材に貫通孔を設けた構成となっているが、これに限らず、光を透過する透過板材に網目状に光を不透過とする不透過塗料等が印刷されたものであってもよい。
【0022】
図5は、図3に示した第2板材20の平面図であり、(a)は全体図を示し、(b)は第1の一部拡大図を示し、(c)は第2の一部拡大図を示している。図5(a)に示すように、第2板材20についても平面視して括弧形状となっている。特に、第2板材20の外形は第1板材10の外形と一致している。このような第2板材20は、第1板材10と同様に、その全体が光を不透過とする不透過板材によって構成されており、この不透過板材に対して複数の貫通孔が形成されたものとなっている。本実施形態において第2板材20は、ドット部20aと、ライン部20bと、大形部20cとの3つのエリアに分けられている。
【0023】
ドット部20aは、図5(b)に示すように、不透過板材に対してドット形状の複数の貫通孔が形成されたエリアである。貫通孔が形成された部位が光透過部(第2光透過部、ドット状光透過部)21aとなる。一方、貫通孔が形成されていない箇所(すなわち光透過部21aの間)が光を不透過とする光不透過部(第2光不透過部)22aとなる。
【0024】
ライン部20bは、図5(c)に示すように、不透過板材に対してライン形状(ドット形状と異なる形状の一例)の複数の貫通孔が形成されたエリアである。貫通孔が形成された部位が光透過部(第2光透過部、異形光透過部)21bとなる。一方、貫通孔が形成されていない箇所(すなわち光透過部21bの間)が光を不透過とする光不透過部(第2光不透過部)22bとなる。
【0025】
なお、光透過部21a,21bは貫通孔によって形成されるものに限らず、例えば貫通孔に光透過性の樹脂が充填されたものであってもよい。さらに、上記において第2板材20は、不透過板材に貫通孔を設けた構成となっているが、これに限らず、光を透過する透過板材に網目状等に光を不透過とする不透過塗料等が印刷されたものであってもよい。
【0026】
ここで、本実施形態において第2板材20の複数の光透過部21a,21bのそれぞれは、第1板材10の複数の光透過部11それぞれよりも面積が大きくされている。好ましくは、複数の光透過部21a,21bのそれぞれは、第1板材10の複数の光透過部11それぞれよりも面積が9倍以上大きくされている。
【0027】
また、第2板材20の複数の光透過部21a,21bのそれぞれは、第1板材10の複数の光透過部11それぞれよりも面積150倍未満、好ましくは50倍未満、より好ましくは20倍未満とされている。
【0028】
なお、ライン部20bの各光透過部21bの面積は、ドット部20aの各光透過部21aの面積よりも大きくされている。
【0029】
大形部20cは、複数のドット形状の光透過部21a及び複数のライン形状の光透過部21bよりも面積が大きくされた貫通孔が形成されたエリアである。貫通孔が形成された部位が光透過部(大形光透過部)21cとなる(図5(a)参照)。この光透過部21cは、第1板材10の複数の光透過部11それぞれよりも面積が150倍以上とされている。
【0030】
次に、本実施形態に係る車両用灯具1の作用を説明する。図6は、本実施形態に係る車両用灯具1の作用を説明するための平面図である。図6には板材A~Cが図示されており、板材Aと板材Bとには同一の大きさの貫通孔が形成されている。一方、板材Cには、板材A,Bの9倍の大きさの貫通孔が形成されている。
【0031】
貫通孔の面積が同じ板材A,Bを重ねた場合、図6に示すようにモアレが発生していることがわかる。これに対して、板材Aに対して9倍の大きさの貫通孔を有する板材Cを重ねた場合には、図6に示すようにモアレの発生が防止されている。
【0032】
よって、上記実施形態のように、第2板材20の光透過部21a,21bの面積を第1板材10の光透過部11の面積よりも大きくした場合には、板材Aと板材Bとを重ねた場合よりもモアレの発生を抑制することとなり、前者面積を後者面積よりも9倍以上大きくした場合には、モアレの発生を極端に抑えることとなる。
【0033】
また、図5(a)に示すように、第2板材20の光透過部21a,21bは、一方がドット形状であり他方がライン形状となり、形状が異なっている。このため、光源LSの点灯時において双方の光透過部21a,21bを通過する光の見え方に差が生じることとなり、これが濃淡差として表現される。
【0034】
加えて、第2板材20の大形部20cには、ドット形状の光透過部21aやライン形状の光透過部21bよりも面積が大きい光透過部21cが形成されているため、3段階の濃淡差を表現することもできる。
【0035】
また、第1板材10の光透過部11の面積にもよるが、第2板材20の光透過部21a,21bの面積は、第1板材10の光透過部11の面積の150倍未満、好ましくは50倍未満、より好ましくは20倍未満であるため、光源LSの非点灯時に外部から灯室内部を見え難くでき意匠性の低下を抑えることとなる。
【0036】
このようにして、本実施形態に係る車両用灯具1によれば、複数の光透過部21a,21bは複数の光透過部11よりも面積が大きくされているため、光透過部11,21a,21bとの面積が同じとなってモアレが発生し易くなってしまう事態を抑制することができ、モアレによる意匠性の低下を抑えることができる車両用灯具1を提供することができる。
【0037】
また、複数の光透過部21a,21bは複数の光透過部11よりも面積が9倍以上大きくされているため、光透過部11と光透過部21a,21bとの面積が大きく異なることとなり、モアレの発生を極端に抑えることができる。
【0038】
また、複数の光透過部21a,21bは、ドット形状をなす複数の光透過部21aと、ドット形状と異なるライン形状で形成された複数の光透過部21bとを有するため、両者の光透過部21a,21bで光が透過する形状パターンを異ならせて、両者間に濃淡差を表現することができる。従って、意匠性の向上を図ることができる。
【0039】
次に、第2実施形態に係る車両用灯具を説明する。第2実施形態に係る車両用灯具は第1実施形態のものと同様であるが、一部構成が異なっている。以下、第1実施形態との相違点を説明する。
【0040】
第2実施形態に係る車両用灯具1は、第1実施形態のものと異なる第1板材30と第2板材40とを備えている。
【0041】
図7は、第2実施形態に係る第1板材30の平面図であり、(a)は全体図を示し、(b)は一部拡大図を示している。図7(a)に示すように、第1板材30は平面視して括弧形状となっている。この第1板材30は、図7(b)に示すように、その全体が光を透過する透過板材によって構成されている。第1板材30は、この透過板材に対して光を不透過とする不透過塗料等が複数のドット形状となるように印刷されている。不透過塗料等が印刷された部位が光不透過部(第1光不透過部)31となる。一方、不透過塗料等が印刷されていない箇所(すなわち光不透過部31の間)が光を透過する光透過部(第1光透過部)32となる。
【0042】
なお、第1板材30は、光を透過する透過板材と光を不透過とする不透過板材とが接着等され、ドット形状の光不透過部31が残るように、不透過部材が部分的に削り取られて形成されてもよい。
【0043】
図8は、第2実施形態に係る第2板材40の平面図であり、(a)は全体図を示し、(b)は第1の一部拡大図を示し、(c)は第2の一部拡大図を示している。図8(a)に示すように、第2板材40についても平面視して括弧形状となっている。特に、第2板材40の外形は第1板材30の外形と一致している。このような第2板材40は、第1板材30と同様に、その全体が光を透過する透過板材によって構成されており、この透過板材に対して光を不透過とする不透過塗料等が印刷されている。第2実施形態において第2板材40は、ドット部40aと、ライン部40bと、大形部40cとの3つのエリアに分けられている。
【0044】
ドット部40aは、図8(b)に示すように、透過板材に対して光を不透過とする複数のドット形状が印刷されたエリアである。ドット形状の印刷部位が光不透過部(第2光不透過部、ドット状光不透過部)41aとなる。一方、ドット形状の印刷がされていない箇所(すなわち光不透過部41aの間)が光を透過する光透過部(第2光透過部)42aとなる。
【0045】
ライン部40bは、図8(c)に示すように、透過板材に対して光を不透過とする複数のライン形状(ドット形状と異なる形状の一例)が印刷されたエリアである。ライン形状の印刷部位が光不透過部(第2光不透過部、異形光不透過部)41bとなる。一方、ライン形状の印刷がされていない箇所(すなわち光不透過部41bの間)が光を透過する光透過部(第2光透過部)42bとなる。
【0046】
なお、第2板材40についても第1板材30と同様に、透過板材と不透過板材とが積層され、不透過部材が部分的に削り取られて形成されてもよい。
【0047】
ここで、本実施形態において第2板材40の複数の光不透過部41a,41bの間の最短距離L2,L3(図8(b)及び図8(c)参照)は、第1板材30の複数の光不透過部31の間の最短距離L1(図7(b)参照:例えば1mm以下)よりも長くされている。好ましくは、複数の光不透過部41a,41bの間の最短距離L2,L3それぞれは、第1板材10の複数の光不透過部31の間の最短距離L1それぞれよりも3倍以上長くされている。
【0048】
また、第2板材40の複数の光不透過部41a,41bの間の最短距離L2,L3それぞれは、第1板材10の複数の光透過部11の間の最短距離L1よりも150倍未満、好ましくは50倍未満、より好ましくは20倍未満とされている。
【0049】
なお、ライン部40bの光不透過部41bの間の最短距離L3は、ドット部40aの光不透過部41aの間の最短距離L2よりも大きくされている。
【0050】
大形部40c(図8(a)参照)は、大形の貫通孔が形成されたエリアである。貫通孔が形成された部位が光透過部(大形光透過部)41cとなる。この光透過部41cは、透過部41c内の最短距離L4が第1板材30の複数の光不透過部31の間の最短距離L1よりも150倍以上長くされている。
【0051】
次に、第2実施形態に係る車両用灯具1の作用を説明する。まず、第2板材40の光不透過部41a,41bの間の最短距離L2,L3を第1板材30の光不透過部31の間の最短距離L1よりも大きくした場合には、第1実施形態と同様に、モアレの発生を抑制することとなり、前者最短距離L2,L3を後者最短距離L1よりも3倍以上大きくした場合には、モアレの発生を極端に抑えることとなる。
【0052】
また、第2板材40の光不透過部41a,41bは、一方がドット形状であり他方がライン形状となり、形状が異なっている。このため、光源LSの点灯時において双方の光不透過部41a,41bの間の光透過部42a,42bを通過する光の見え方に差が生じることとなり、これが濃淡差として表現される。
【0053】
加えて、第2板材40の大形部40cには、光不透過部41a,41bの間の最短距離L2,L3よりも最短距離L4が長い光透過部41cが形成されているため、3段階の濃淡差を表現することもできる。
【0054】
また、第1板材30の光不透過部31の間の最短距離L1にもよるが、第2板材40の光不透過部41a,41bの間の最短距離L2,L3は、最短距離L1の150倍未満、好ましくは50倍未満、より好ましくは20倍未満であるため、光源LSの非点灯時に外部から灯室内部を見え難くでき意匠性の低下を抑えることとなる。
【0055】
このようにして、第2実施形態に係る車両用灯具1によれば、複数の光不透過部41a,41bの最短距離L2,L3は複数の光不透過部31の最短距離L1よりも長くされているため、両者の最短距離L1~L3が同じことに起因して両者の光不透過部31,41a,41bの間の最短距離L1~L3が近くなってモアレが発生し易くなってしまう事態を抑制することができ、モアレによる意匠性の低下を抑えることができる車両用灯具1を提供することができる。
【0056】
また、複数の光不透過部41a,41bの最短距離L2,L3は複数の光不透過部31の最短距離L1よりも3倍以上長くされているため、両者の最短距離L1~L3に大きな差を設けることで両者の光透過部32,42a,42bとの面積が大きく異ならせることとなり、モアレの発生を極端に抑えることができる。
【0057】
また、複数の光不透過部41a,41bは、ドット形状をなす複数の光不透過部41aと、ドット形状と異なるライン形状で形成された複数の光不透過部41bとを有するため、両者の光不透過部41a,41bを異ならせることで両者の光透過部42a,42bの形状も異ならせることとなり、光が透過する形状パターンを異ならせて両者間に濃淡差を表現することができる。従って、意匠性の向上を図ることができる。
【0058】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよいし、公知・周知技術を組み合わせてもよい。また、可能な範囲で実施形態同士の技術を組み合わせてもよい。
【0059】
また、上記第1実施形態においてドット形状の光透過部11,21aは規則的に配列されているが、特に規則的に配列されていなくともよい。また、第1実施形態においてライン形状の光透過部21bは、その長手方向が車両内側方向(括弧の内側方向)に統一されているが、これに限らず、統一されていなくともよい。
【0060】
また、第1板材10の複数の光透過部11それぞれが全て同じ面積となっているが、特にこれに限らず、面積は全て同じでなくともよい。この場合、複数の光透過部11の面積の平均値又は中央値を基準とし、最も面積が大きいものと小さいものとが基準値の50%以上150%以下等に収まっていればよい。第2板材20の複数の光透過部21aについても同様である。
【0061】
加えて、第2板材20の複数の光透過部21a,21bの面積が不統一である場合、その平均値又は中央値が、第1板材10の複数の光透過部11の面積よりも大きく、好ましくは9倍以上大きくなっていればよい。また、第1板材10の複数の光透過部11の面積が不統一である場合も同様に、第2板材20の複数の光透過部21a,21bの面積が、第1板材10の複数の光透過部11の面積の平均値又は中央値の面積よりも大きく、好ましくは9倍以上大きくなっていればよい。
【0062】
さらに、上記した内容は第2実施形態においても同様である。ドット形状の光不透過部31,41aは不規則に配置されていてもよく、ライン形状の光不透過部41bは、その長手方向が車両内側方向に統一されていなくともよい。複数の光不透過部31,41a,41bの間の最短距離は統一されていなくともよく、最短距離が統一されていない場合、最短距離は、基準値の50%以上150%以下等に収まっていればよい。また、最短距離が統一されていない場合には最短距離の平均値や中央値が採用され、これが(3倍以上に)長くされていればよい。
【0063】
加えて、本実施形態に係る車両用灯具1は、第1板材10と第2板材20とが接触状態で積層されているが、特にこれに限らず、間に他部材が介在した又は空隙が介在して離間状態で積層されていてもよい。
【0064】
さらに、図5に示す複数の光透過部21a,21bや図8に示す複数の光不透過部41a,41bについては、特定の意匠形状となるように配列することによって、視認者に特定の意匠を視認させることができる。例えば、複数の光透過部21aの集合によって概略矢印形状となるようにすることで、光源LSの点灯時に矢印形状を視認させることができる。
【0065】
また、本実施形態に係る車両用灯具1は、図3に示すように光源LS、リフレクタRと、シールドSと、インナーレンズIL等を備えているが、特にこれに限らず、意匠として発光する部分に均一に光を照射できれば、他の構成であってもよい。
【符号の説明】
【0066】
1 :車両用灯具
10 :第1板材
11 :光透過部(第1光透過部)
12 :光不透過部(第1光不透過部)
20 :第2板材
21a :光透過部(第2光透過部、ドット状光透過部)
21b :光透過部(第2光透過部、異形光透過部)
22a,22b :光不透過部(第2光不透過部)
30 :第1板材
31 :光不透過部(第1光不透過部)
32 :光透過部(第1光透過部)
40 :第2板材
41a :光不透過部(第2光不透過部、ドット状光不透過部)
41b :光不透過部(第2光不透過部、異形光不透過部)
42a,42b :光透過部(第2光透過部)
L1~L4 :最短距離
LS :光源
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8