(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】エジェクタ冷凍装置
(51)【国際特許分類】
F25B 1/00 20060101AFI20241217BHJP
F25B 27/02 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
F25B1/00 389A
F25B1/00 371B
F25B27/02 N
(21)【出願番号】P 2021049072
(22)【出願日】2021-03-23
【審査請求日】2024-02-14
(31)【優先権主張番号】P 2020131421
(32)【優先日】2020-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2021004706
(32)【優先日】2021-01-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松原 健
(72)【発明者】
【氏名】安嶋 賢哲
(72)【発明者】
【氏名】横山 康弘
(72)【発明者】
【氏名】大西 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】吉田 時空
(72)【発明者】
【氏名】森 泰二
【審査官】庭月野 恭
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-190587(JP,A)
【文献】特開2005-172314(JP,A)
【文献】特開2005-180911(JP,A)
【文献】特開2004-077097(JP,A)
【文献】特開2005-024192(JP,A)
【文献】特開2014-238175(JP,A)
【文献】特開2016-169886(JP,A)
【文献】特開2005-331206(JP,A)
【文献】米国特許第04173994(US,A)
【文献】米国特許第04321801(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 1/00-49/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液冷媒を昇圧するポンプと、熱源により冷媒を加熱し駆動流を発生させる蒸気生成器と、液冷媒を減圧する膨張弁と、前記膨張弁によって減圧された冷媒により被冷却媒体を冷却する蒸発器と、前記蒸気生成器からの冷媒の駆動流によって前記蒸発器により蒸発した冷媒を吸引するエジェクタと、前記エジェクタ内への吸引後に前記駆動流と混合した冷媒を液化冷却する凝縮器とを有するエジェクタ冷凍装置において、
前記蒸気生成器の冷媒入口側及び冷媒出口側にそれぞれ開閉制御弁を設け、
装置運転中に前記蒸気生成器の冷媒出口側の過熱度が予め設定された所定過熱度以下になった場合、前記ポンプを停止するとともに前記開閉制御弁を閉にする運転停止処理を行って装置を停止し、運転開始条件を満足する場合に、前記ポンプを駆動するとともに前記開閉制御弁を開にして装置を起動する制御部を備えることを特徴とするエジェクタ冷凍装置。
【請求項2】
液冷媒を昇圧するポンプと、熱源により冷媒を加熱し駆動流を発生させる蒸気生成器と、液冷媒を減圧する膨張弁と、前記膨張弁によって減圧された冷媒により被冷却媒体を冷却する蒸発器と、前記蒸気生成器からの冷媒の駆動流によって前記蒸発器により蒸発した冷媒を吸引するエジェクタと、前記エジェクタ内への吸引後に前記駆動流と混合した冷媒を液化冷却する凝縮器とを有するエジェクタ冷凍装置において、
前記蒸気生成器の冷媒入口側に
逆止弁を設け、
前記蒸気生成器の冷媒出口側に
開閉制御弁を設け、
装置運転中に前記蒸気生成器の冷媒出口側の過熱度が予め設定された所定過熱度以下になった場合、前記ポンプを停止するとともに前記開閉制御弁を閉にする運転停止処理を行って装置を停止し、運転開始条件を満足する場合に、前記ポンプを駆動するとともに前記開閉制御弁を開にして装置を起動する制御部を備えることを特徴とするエジェクタ冷凍装置。
【請求項3】
液冷媒を昇圧するポンプと、熱源により冷媒を加熱し駆動流を発生させる蒸気生成器と、液冷媒を減圧する膨張弁と、前記膨張弁によって減圧された冷媒により被冷却媒体を冷却する蒸発器と、前記蒸気生成器からの冷媒の駆動流によって前記蒸発器により蒸発した冷媒を吸引するエジェクタと、前記エジェクタ内への吸引後に前記駆動流と混合した冷媒を液化冷却する凝縮器とを有するエジェクタ冷凍装置において、
前記蒸気生成器の冷媒入口側及び冷媒出口側にそれぞれ逆止弁を設け、
装置運転中に前記蒸気生成器の冷媒出口側の過熱度が予め設定された所定過熱度以下になった場合、前記ポンプを停止する運転停止処理を行って装置を停止し、運転開始条件を満足する場合に、前記ポンプを駆動して装置を起動する制御部を備えることを特徴とするエジェクタ冷凍装置。
【請求項4】
前記蒸気生成器の冷媒出口側に設けられた逆止弁のクラッキング圧は、前記蒸気生成器の冷媒入口側に設けられた逆止弁のクラッキング圧よりも高いことを特徴とする請求項3に記載のエジェクタ冷凍装置。
【請求項5】
前記運転開始条件は、前記蒸気生成器の冷媒出口側の過熱度が所定過熱度を超えることであることを特徴とする請求項1~4のいずれか一つに記載のエジェクタ冷凍装置。
【請求項6】
前記蒸気生成器の冷媒出口側の冷媒温度を検出する冷媒温度センサと、
前記蒸気生成器の冷媒出口側の冷媒圧力を検出する冷媒圧力センサとを備え、
前記制御部は、前記冷媒温度センサが検出する冷媒温度と前記冷媒圧力センサが検出する冷媒圧力とを用いて前記過熱度を求めることを特徴とする請求項1~5のいずれか一つに記載のエジェクタ冷凍装置。
【請求項7】
前記蒸気生成器の冷媒出口側の冷媒温度を検出する冷媒温度センサと、
前記蒸気生成器の冷媒出口側の冷媒圧力を検出する冷媒圧力センサとを備え、
前記制御部は、運転開始条件の前記所定過熱度に替えて、前記冷媒温度センサが検出する冷媒温度の予め設定された冷媒温度設定値、又は、前記冷媒圧力センサが検出する冷媒圧力の予め設定された冷媒圧力設定値を用いることを特徴とする請求項
5に記載のエジェクタ冷凍装置。
【請求項8】
前記蒸気生成器に供給される熱源の熱源温度を検出する熱源温度センサを備え、
前記制御部は、運転開始条件の前記所定過熱度に替えて、前記熱源温度センサが検出する熱源温度の予め設定された熱源温度設定値を用いることを特徴とする請求項
5に記載のエジェクタ冷凍装置。
【請求項9】
前記制御部は、予め前記熱源の間欠運転周期を計測しておき、間欠運転開始時の所定時間前に前記ポンプを駆動し、前記運転開始条件を満足する場合に、前記ポンプを駆動して装置を起動し、一定時間経過しても前記運転開始条件を満足しない場合、前記ポンプの停止を含む運転停止処理を行うことを特徴とする請求項3又は4に記載のエジェクタ冷凍装置。
【請求項10】
前記蒸発器の冷媒出口側と前記エジェクタの冷媒吸引口との間に冷媒移動用開閉制御弁を設け、
前記制御部は、装置運転中に前記蒸気生成器の冷媒出口側の過熱度が予め設定された所定過熱度以下になった場合、前記膨張弁を閉にした後、前記ポンプを所定時間、駆動し続け、その後、前記冷媒移動用開閉制御弁を閉にし、前記ポンプを停止するとともに前記開閉制御弁を閉にする運転停止処理を行って装置を停止することを特徴とする請求項
1または2に記載のエジェクタ冷凍装置。
【請求項11】
前記蒸発器の冷媒出口側と前記エジェクタの冷媒吸引口との間に冷媒移動用逆止弁を設け、
前記制御部は、装置運転中に前記蒸気生成器の冷媒出口側の過熱度が予め設定された所定過熱度以下になった場合、前記膨張弁を閉にした後、前記ポンプを所定時間、駆動し続け、その後、前記ポンプを停止するとともに前記開閉制御弁を閉にする運転停止処理を行って装置を停止することを特徴とする請求項
1または2に記載のエジェクタ冷凍装置。
【請求項12】
前記蒸発器の冷媒出口側と前記エジェクタの冷媒吸引口との間に、冷媒移動用開閉制御弁を設けるとともに、前記ポンプの吸込み口と前記凝縮器の冷媒出口との間の差圧を検出する差圧検出部を設け、
前記制御部は、装置運転中に前記蒸気生成器の冷媒出口側の過熱度が予め設定された所定過熱度以下になった場合、前記膨張弁を閉にした後、前記差圧検出部が検出した差圧に対応するヘッド差が前記ポンプの必要吸込みヘッドより大きくなるまで前記ポンプを駆動し続け、前記ヘッド差が前記ポンプの必要吸込みヘッドより大きくなった場合、前記冷媒移動用開閉制御弁を閉にし、前記ポンプを停止するとともに前記開閉制御弁を閉にする運転停止処理を行って装置を停止することを特徴とする請求項
1または2に記載のエジェクタ冷凍装置。
【請求項13】
前記蒸発器の冷媒出口側と前記エジェクタの冷媒吸引口との間に冷媒移動用逆止弁を設けるとともに、前記ポンプの吸込み口と前記凝縮器の冷媒出口との間の差圧を検出する差圧検出部を設け、
前記制御部は、装置運転中に前記蒸気生成器の冷媒出口側の過熱度が予め設定された所定過熱度以下になった場合、前記膨張弁を閉にした後、前記差圧検出部が検出した差圧に対応するヘッド差が前記ポンプの必要吸込みヘッドより大きくなるまで前記ポンプを駆動し続け、前記ヘッド差が前記ポンプの必要吸込みヘッドより大きくなった場合、前記ポンプを停止するとともに前記開閉制御弁を閉にする運転停止処理を行って装置を停止することを特徴とする請求項
1または2に記載のエジェクタ冷凍装置。
【請求項14】
前記蒸発器の冷媒出口側と前記エジェクタの冷媒吸引口との間に、冷媒移動用開閉制御弁を設けるとともに、前記ポンプの吸込み口と前記凝縮器の冷媒出口との間の差圧を検出する差圧検出部を設け、
前記制御部は、装置運転中に前記蒸気生成器の冷媒出口側の過熱度が予め設定された所定過熱度以下になった場合、前記膨張弁を閉にした後、前記差圧検出部が検出した差圧に対応するヘッド差が前記ポンプの必要吸込みヘッドより大きくなるまで前記ポンプを駆動し続け、前記ヘッド差が前記ポンプの必要吸込みヘッドより大きくなった場合、前記冷媒移動用開閉制御弁を閉にし、前記ポンプを停止する運転停止処理を行って装置を停止することを特徴とする請求項3~9のいずれか一つに記載のエジェクタ冷凍装置。
【請求項15】
前記蒸発器の冷媒出口側と前記エジェクタの冷媒吸引口との間に冷媒移動用逆止弁を設けるとともに、前記ポンプの吸込み口と前記凝縮器の冷媒出口との間の差圧を検出する差圧検出部を設け、
前記制御部は、装置運転中に前記蒸気生成器の冷媒出口側の過熱度が予め設定された所定過熱度以下になった場合、前記膨張弁を閉にした後、前記差圧検出部が検出した差圧に対応するヘッド差が前記ポンプの必要吸込みヘッドより大きくなるまで前記ポンプを駆動し続け、前記ヘッド差が前記ポンプの必要吸込みヘッドより大きくなった場合、前記ポンプを停止する運転停止処理を行って装置を停止することを特徴とする請求項3~9のいずれか一つに記載のエジェクタ冷凍装置。
【請求項16】
前記凝縮器の下流側に設けられ前記凝縮器により凝縮された冷媒を貯留する貯留タンクと、
前記蒸発器の冷媒出口側と前記エジェクタの冷媒吸引口との間に設けられた第1開閉制御弁と、
前記エジェクタの吐出口と前記凝縮器の冷媒入口との間に設けられた第2開閉制御弁とを備え、
前記制御部は、装置運転中に前記蒸気生成器の冷媒出口側の過熱度が予め設定された所定過熱度以下になった場合、前記膨張弁を閉にした後、前記ポンプを所定時間、駆動し続け、その後、前記第1開閉制御弁を閉にし、さらに前記第2開閉制御弁を閉にして前記ポンプを停止するとともに前記開閉制御弁を閉にする運転停止処理を行って装置を停止することを特徴とする請求項
1または2に記載のエジェクタ冷凍装置。
【請求項17】
前記貯留タンクの液面を検知する液面検知センサを備え、
前記制御部は、装置運転中に前記蒸気生成器の冷媒出口側の過熱度が予め設定された所定過熱度以下になった場合、前記膨張弁を閉にした後、前記ポンプの位置から前記液面検知センサが検知する液面位置までのヘッド差が前記ポンプの必要吸込みヘッドより大きくなるまで前記ポンプを駆動し続け、その後、前記第1開閉制御弁を閉にし、さらに前記第2開閉制御弁を閉にして前記ポンプを停止するとともに前記開閉制御弁を閉にする運転停止処理を行って装置を停止することを特徴とする請求項16に記載のエジェクタ冷凍装置。
【請求項18】
前記凝縮器の下流側に設けられ前記凝縮器により凝縮された冷媒を貯留する貯留タンクと、
前記蒸発器の冷媒出口側と前記エジェクタの冷媒吸引口との間に設けられた第1開閉制御弁と、
前記エジェクタの吐出口と前記凝縮器の冷媒入口との間に設けられた第2開閉制御弁とを備え、
前記制御部は、装置運転中に前記蒸気生成器の冷媒出口側の過熱度が予め設定された所定過熱度以下になった場合、前記膨張弁を閉にした後、前記ポンプを所定時間、駆動し続け、その後、前記第1開閉制御弁を閉にし、さらに前記第2開閉制御弁を閉にし、前記ポンプを停止する運転停止処理を行って装置を停止することを特徴とする請求項3~9のいずれか一つに記載のエジェクタ冷凍装置。
【請求項19】
前記貯留タンクの液面を検知する液面検知センサを備え、
前記制御部は、装置運転中に前記蒸気生成器の冷媒出口側の過熱度が予め設定された所定過熱度以下になった場合、前記膨張弁を閉にした後、前記ポンプの位置から前記液面検知センサが検知する液面位置までのヘッド差が前記ポンプの必要吸込みヘッドより大きくなるまで前記ポンプを駆動し続け、その後、前記第1開閉制御弁を閉にし、さらに前記第2開閉制御弁を閉にし、前記ポンプを停止する運転停止処理を行って装置を停止することを特徴とする請求項18に記載のエジェクタ冷凍装置。
【請求項20】
前記凝縮器の下流側に設けられ前記凝縮器により凝縮された冷媒を貯留する貯留タンクと、
前記蒸発器の冷媒出口側と前記エジェクタの冷媒吸引口との間に設けられた第1開閉制御弁と、
前記エジェクタの吐出口と前記凝縮器の冷媒入口との間に設けられた第2開閉制御弁と、
前記膨張弁と前記蒸発器とを接続する管路と、前記凝縮器と前記貯留タンクとを接続する管路との間を接続する貯留タンク接続管路と、
前記貯留タンク接続管路に設けられた第3開閉制御弁とを備え、
前記制御部は、装置運転中に前記蒸気生成器の冷媒出口側の過熱度が予め設定された所定過熱度以下になった場合、前記膨張弁を閉にした後、前記第2開閉制御弁を閉にするとともに前記第3開閉制御弁を開にし、前記ポンプを所定時間、駆動し続け、その後、前記第1開閉制御弁を閉にするとともに前記第3開閉制御弁を閉にして前記ポンプを停止し、さらに前記開閉制御弁を閉にする運転停止処理を行って装置を停止することを特徴とする請求項
1または2に記載のエジェクタ冷凍装置。
【請求項21】
前記貯留タンクの液面を検知する液面検知センサを備え、
前記制御部は、装置運転中に前記蒸気生成器の冷媒出口側の過熱度が予め設定された所定過熱度以下になった場合、前記膨張弁を閉にした後、前記第2開閉制御弁を閉にするとともに前記第3開閉制御弁を開にし、前記ポンプの位置から前記液面検知センサが検知する液面位置までのヘッド差が前記ポンプの必要吸込みヘッドより大きくなるまで前記ポンプを駆動し続け、その後、前記第1開閉制御弁を閉にするとともに前記第3開閉制御弁を閉にして前記ポンプを停止し、さらに前記開閉制御弁を閉にする運転停止処理を行って装置を停止することを特徴とする請求項20に記載のエジェクタ冷凍装置。
【請求項22】
前記凝縮器の下流側に設けられ前記凝縮器により凝縮された冷媒を貯留する貯留タンクと、
前記蒸発器の冷媒出口側と前記エジェクタの冷媒吸引口との間に設けられた第1開閉制御弁と、
前記エジェクタの吐出口と前記凝縮器の冷媒入口との間に設けられた第2開閉制御弁と、
前記膨張弁と前記蒸発器とを接続する管路と、前記凝縮器と前記貯留タンクとを接続する管路との間を接続する貯留タンク接続管路と、
前記貯留タンク接続管路に設けられた第3開閉制御弁とを備え、
前記制御部は、装置運転中に前記蒸気生成器の冷媒出口側の過熱度が予め設定された所定過熱度以下になった場合、前記膨張弁を閉にした後、前記第2開閉制御弁を閉にするとともに前記第3開閉制御弁を開にし、前記ポンプを所定時間、駆動し続け、その後、前記第1開閉制御弁を閉にするとともに前記第3開閉制御弁を閉にし、前記ポンプを停止する運転停止処理を行って装置を停止することを特徴とする請求項3~9のいずれか一つに記載のエジェクタ冷凍装置。
【請求項23】
前記貯留タンクの液面を検知する液面検知センサを備え、
前記制御部は、装置運転中に前記蒸気生成器の冷媒出口側の過熱度が予め設定された所定過熱度以下になった場合、前記膨張弁を閉にした後、前記第2開閉制御弁を閉にするとともに前記第3開閉制御弁を開にし、前記ポンプの位置から前記液面検知センサが検知する液面位置までのヘッド差が前記ポンプの必要吸込みヘッドより大きくなるまで前記ポンプを駆動し続け、その後、前記第1開閉制御弁を閉にするとともに前記第3開閉制御弁を閉にし、前記ポンプを停止する運転停止処理を行って装置を停止することを特徴とする請求項22に記載のエジェクタ冷凍装置。
【請求項24】
前記凝縮器の下流側に設けられ前記凝縮器により凝縮された冷媒を貯留する貯留タンクと、
前記蒸発器の冷媒出口側と前記エジェクタの冷媒吸引口との間に設けられた第1開閉制御弁と、
前記エジェクタの吐出口と前記凝縮器の冷媒入口との間に設けられた第2開閉制御弁と、
前記膨張弁と前記蒸発器とを接続する管路と、前記第2開閉制御弁と前記凝縮器とを接続する管路との間を接続する凝縮器接続管路と、
前記凝縮器接続管路に設けられた第4開閉制御弁とを備え、
前記制御部は、装置運転中に前記蒸気生成器の冷媒出口側の過熱度が予め設定された所定過熱度以下になった場合、前記膨張弁を閉にした後、前記第2開閉制御弁を閉にするとともに前記第4開閉制御弁を開にし、前記ポンプを所定時間、駆動し続け、その後、前記第1開閉制御弁を閉にするとともに前記第4開閉制御弁を閉にして前記ポンプを停止し、さらに前記開閉制御弁を閉にする運転停止処理を行って装置を停止することを特徴とする請求項
1または2に記載のエジェクタ冷凍装置。
【請求項25】
前記貯留タンクの液面を検知する液面検知センサを備え、
前記制御部は、装置運転中に前記蒸気生成器の冷媒出口側の過熱度が予め設定された所定過熱度以下になった場合、前記膨張弁を閉にした後、前記第2開閉制御弁を閉にするとともに前記第4開閉制御弁を開にし、前記ポンプの位置から前記液面検知センサが検知する液面位置までのヘッド差が前記ポンプの必要吸込みヘッドより大きくなるまで前記ポンプを駆動し続け、その後、前記第1開閉制御弁を閉にするとともに前記第4開閉制御弁を閉にして前記ポンプを停止し、さらに前記開閉制御弁を閉にする運転停止処理を行って装置を停止することを特徴とする請求項24に記載のエジェクタ冷凍装置。
【請求項26】
前記凝縮器の下流側に設けられ前記凝縮器により凝縮された冷媒を貯留する貯留タンクと、
前記蒸発器の冷媒出口側と前記エジェクタの冷媒吸引口との間に設けられた第1開閉制御弁と、
前記エジェクタの吐出口と前記凝縮器の冷媒入口との間に設けられた第2開閉制御弁と、
前記膨張弁と前記蒸発器とを接続する管路と、前記第2開閉制御弁と前記凝縮器とを接続する管路との間を接続する凝縮器接続管路と、
前記凝縮器接続管路に設けられた第4開閉制御弁とを備え、
前記制御部は、装置運転中に前記蒸気生成器の冷媒出口側の過熱度が予め設定された所定過熱度以下になった場合、前記膨張弁を閉にした後、前記第2開閉制御弁を閉にするとともに前記第4開閉制御弁を開にし、前記ポンプを所定時間、駆動し続け、その後、前記第1開閉制御弁を閉にするとともに前記第4開閉制御弁を閉にし、前記ポンプを停止する運転停止処理を行って装置を停止することを特徴とする請求項3~9のいずれか一つに記載のエジェクタ冷凍装置。
【請求項27】
前記貯留タンクの液面を検知する液面検知センサを備え、
前記制御部は、装置運転中に前記蒸気生成器の冷媒出口側の過熱度が予め設定された所定過熱度以下になった場合、前記膨張弁を閉にした後、前記第2開閉制御弁を閉にするとともに前記第4開閉制御弁を開にし、前記ポンプの位置から前記液面検知センサが検知する液面位置までのヘッド差が前記ポンプの必要吸込みヘッドより大きくなるまで前記ポンプを駆動し続け、その後、前記第1開閉制御弁を閉にするとともに前記第4開閉制御弁を閉にし、前記ポンプを停止する運転停止処理を行って装置を停止することを特徴とする請求項26に記載のエジェクタ冷凍装置。
【請求項28】
前記ポンプは、前記貯留タンクの下端よりも下方に位置し、前記貯留タンクと前記ポンプとの間を接続する管路は、前記貯留タンクの冷媒出口から前記ポンプの吸込み口までの全域で前記ポンプの吸込み口に向けて傾斜していることを特徴とする請求項16~27のいずれか一つに記載のエジェクタ冷凍装置。
【請求項29】
前記凝縮器の冷媒出口又は前記凝縮器の下流側に配置される貯留タンクの冷媒出口は、前記蒸気生成器の冷媒出口よりも鉛直上方に配置されることを特徴とする請求項1~28のいずれか一つに記載のエジェクタ冷凍装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、簡易な構成で、装置起動時間を短縮できるとともに外部熱源のエネルギー利用効率の低下を防止することができるエジェクタ冷凍装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エジェクタ冷凍装置としては、例えば特許文献1に記載されたものが既に提供されている。このエジェクタ冷凍装置は、冷媒が循環される循環経路において冷媒加熱手段としての蒸気生成器と凝縮器との間にエジェクタが設けられ、蒸気生成器から吐出された冷媒が駆動流体としてエジェクタに供給される一方、エジェクタから吐出された冷媒が凝縮器に供給されるものである。循環経路において凝縮器からポンプまでの間に位置する部分には、分岐経路が設けられている。分岐経路は、膨張弁及び蒸発器を備え、蒸発器を通過した後の冷媒を吸引流体としてエジェクタに供給するものである。このエジェクタ冷凍装置では、蒸気生成器に排温水等の熱源を供給するとともに、蒸発器に被冷却水を供給すれば、蒸発器において冷却された冷水を得ることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、蒸気生成器に供給される熱源は、省エネルギー目的で工場内の蒸気利用装置や生産ラインなどの排熱などを利用する場合、装置の運転状況により、排熱の熱量が変動する。このような供給熱量が変動する場合、大きなバッファタンクを設ければ一定熱量の供給を確保することが可能になるが、装置が大型化してしまう。
【0005】
ここで、大きなバッファタンクを設けない場合、外部装置から供給される熱量が少なくなると、冷媒を循環するポンプを停止する。そして、ポンプは、蒸気生成器や凝縮器よりも下部に配置されるとともに、ポンプ吸い込み口におけるキャビテーションの発生を防止するために、装置の最下部に配置される。このため、ポンプが停止すると、蒸気生成器内の冷媒が逆流し、凝縮器における冷媒蒸気の凝縮による冷媒の吸引が生じるため、蒸気生成器内の液冷媒量が減少する。この結果、エジェクタ冷凍装置を再起動する場合、ポンプを運転して冷媒を蒸気生成器に供給するまでの時間がかかり、エジェクタ冷凍装置の起動が遅れてしまうとともに、外部の熱源のエネルギー利用効率が低下するという課題があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、簡易な構成で、装置起動時間を短縮できるとともに外部熱源のエネルギー利用効率の低下を防止することができるエジェクタ冷凍装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は、液冷媒を昇圧するポンプと、熱源により冷媒を加熱し駆動流を発生させる蒸気生成器と、液冷媒を減圧する膨張弁と、前記膨張弁によって減圧された冷媒により被冷却媒体を冷却する蒸発器と、前記蒸気生成器からの冷媒の駆動流によって前記蒸発器により蒸発した冷媒を吸引するエジェクタと、前記エジェクタ内への吸引後に前記駆動流と混合した冷媒を液化冷却する凝縮器とを有するエジェクタ冷凍装置において、前記蒸気生成器の冷媒入口側及び冷媒出口側にそれぞれ開閉制御弁を設け、装置運転中に前記蒸気生成器の冷媒出口側の過熱度が予め設定された所定過熱度以下になった場合、前記ポンプを停止するとともに前記開閉制御弁を閉にする運転停止処理を行って装置を停止し、運転開始条件を満足する場合に、前記ポンプを駆動するとともに前記開閉制御弁を開にして装置を起動する制御部を備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、液冷媒を昇圧するポンプと、熱源により冷媒を加熱し駆動流を発生させる蒸気生成器と、液冷媒を減圧する膨張弁と、前記膨張弁によって減圧された冷媒により被冷却媒体を冷却する蒸発器と、前記蒸気生成器からの冷媒の駆動流によって前記蒸発器により蒸発した冷媒を吸引するエジェクタと、前記エジェクタ内への吸引後に前記駆動流と混合した冷媒を液化冷却する凝縮器とを有するエジェクタ冷凍装置において、前記蒸気生成器の冷媒入口側に逆止弁を設け、前記蒸気生成器の冷媒出口側に開閉制御弁を設け、装置運転中に前記蒸気生成器の冷媒出口側の過熱度が予め設定された所定過熱度以下になった場合、前記ポンプを停止するとともに前記開閉制御弁を閉にする運転停止処理を行って装置を停止し、運転開始条件を満足する場合に、前記ポンプを駆動するとともに前記開閉制御弁を開にして装置を起動する制御部を備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、液冷媒を昇圧するポンプと、熱源により冷媒を加熱し駆動流を発生させる蒸気生成器と、液冷媒を減圧する膨張弁と、前記膨張弁によって減圧された冷媒により被冷却媒体を冷却する蒸発器と、前記蒸気生成器からの冷媒の駆動流によって前記蒸発器により蒸発した冷媒を吸引するエジェクタと、前記エジェクタ内への吸引後に前記駆動流と混合した冷媒を液化冷却する凝縮器とを有するエジェクタ冷凍装置において、前記蒸気生成器の冷媒入口側及び冷媒出口側にそれぞれ逆止弁を設け、装置運転中に前記蒸気生成器の冷媒出口側の過熱度が予め設定された所定過熱度以下になった場合、前記ポンプを停止する運転停止処理を行って装置を停止し、運転開始条件を満足する場合に、前記ポンプを駆動して装置を起動する制御部を備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、上記発明において、前記蒸気生成器の冷媒出口側に設けられた逆止弁のクラッキング圧は、前記蒸気生成器の冷媒入口側に設けられた逆止弁のクラッキング圧よりも高いことを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、上記発明において、前記運転開始条件は、前記蒸気生成器の冷媒出口側の過熱度が所定過熱度を超えることであることを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、上記発明において、前記蒸気生成器の冷媒出口側の冷媒温度を検出する冷媒温度センサと、前記蒸気生成器の冷媒出口側の冷媒圧力を検出する冷媒圧力センサとを備え、前記制御部は、前記冷媒温度センサが検出する冷媒温度と前記冷媒圧力センサが検出する冷媒圧力とを用いて前記過熱度を求めることを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、上記発明において、前記制御部は、運転開始条件の前記所定過熱度に替えて、前記冷媒温度センサが検出する冷媒温度の予め設定された冷媒温度設定値、又は、前記冷媒圧力センサが検出する冷媒圧力の予め設定された冷媒圧力設定値を用いることを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、上記発明において、前記蒸気生成器に供給される熱源の熱源温度を検出する熱源温度センサを備え、前記制御部は、運転開始条件の前記所定過熱度に替えて、前記熱源温度センサが検出する熱源温度の予め設定された熱源温度設定値を用いることを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、上記発明において、前記制御部は、予め前記熱源の間欠運転周期を計測しておき、間欠運転開始時の所定時間前に前記ポンプを駆動し、前記運転開始条件を満足する場合に、前記ポンプを駆動して装置を起動し、一定時間経過しても前記運転開始条件を満足しない場合、前記ポンプの停止を含む運転停止処理を行うことを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、上記発明において、前記蒸発器の冷媒出口側と前記エジェクタの冷媒吸引口との間に冷媒移動用開閉制御弁を設け、前記制御部は、装置運転中に前記蒸気生成器の冷媒出口側の過熱度が予め設定された所定過熱度以下になった場合、前記膨張弁を閉にした後、前記ポンプを所定時間、駆動し続け、その後、前記冷媒移動用開閉制御弁を閉にし、前記ポンプを停止するとともに前記開閉制御弁を閉にする運転停止処理を行って装置を停止することを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、上記発明において、前記蒸発器の冷媒出口側と前記エジェクタの冷媒吸引口との間に冷媒移動用逆止弁を設け、前記制御部は、装置運転中に前記蒸気生成器の冷媒出口側の過熱度が予め設定された所定過熱度以下になった場合、前記膨張弁を閉にした後、前記ポンプを所定時間、駆動し続け、その後、前記ポンプを停止するとともに前記開閉制御弁を閉にする運転停止処理を行って装置を停止することを特徴とする。
【0018】
また、本発明は、上記発明において、前記蒸発器の冷媒出口側と前記エジェクタの冷媒吸引口との間に、冷媒移動用開閉制御弁を設けるとともに、前記ポンプの吸込み口と前記凝縮器の冷媒出口との間の差圧を検出する差圧検出部を設け、前記制御部は、装置運転中に前記蒸気生成器の冷媒出口側の過熱度が予め設定された所定過熱度以下になった場合、前記膨張弁を閉にした後、前記差圧検出部が検出した差圧に対応するヘッド差が前記ポンプの必要吸込みヘッドより大きくなるまで前記ポンプを駆動し続け、前記ヘッド差が前記ポンプの必要吸込みヘッドより大きくなった場合、前記冷媒移動用開閉制御弁を閉にし、前記ポンプを停止するとともに前記開閉制御弁を閉にする運転停止処理を行って装置を停止することを特徴とする。
【0019】
また、本発明は、上記発明において、前記蒸発器の冷媒出口側と前記エジェクタの冷媒吸引口との間に冷媒移動用逆止弁を設けるとともに、前記ポンプの吸込み口と前記凝縮器の冷媒出口との間の差圧を検出する差圧検出部を設け、前記制御部は、装置運転中に前記蒸気生成器の冷媒出口側の過熱度が予め設定された所定過熱度以下になった場合、前記膨張弁を閉にした後、前記差圧検出部が検出した差圧に対応するヘッド差が前記ポンプの必要吸込みヘッドより大きくなるまで前記ポンプを駆動し続け、前記ヘッド差が前記ポンプの必要吸込みヘッドより大きくなった場合、前記ポンプを停止するとともに前記開閉制御弁を閉にする運転停止処理を行って装置を停止することを特徴とする。
【0020】
また、本発明は、上記発明において、前記蒸発器の冷媒出口側と前記エジェクタの冷媒吸引口との間に、冷媒移動用開閉制御弁を設けるとともに、前記ポンプの吸込み口と前記凝縮器の冷媒出口との間の差圧を検出する差圧検出部を設け、前記制御部は、装置運転中に前記蒸気生成器の冷媒出口側の過熱度が予め設定された所定過熱度以下になった場合、前記膨張弁を閉にした後、前記差圧検出部が検出した差圧に対応するヘッド差が前記ポンプの必要吸込みヘッドより大きくなるまで前記ポンプを駆動し続け、前記ヘッド差が前記ポンプの必要吸込みヘッドより大きくなった場合、前記冷媒移動用開閉制御弁を閉にし、前記ポンプを停止する運転停止処理を行って装置を停止することを特徴とする。
【0021】
また、本発明は、上記発明において、前記蒸発器の冷媒出口側と前記エジェクタの冷媒吸引口との間に冷媒移動用逆止弁を設けるとともに、前記ポンプの吸込み口と前記凝縮器の冷媒出口との間の差圧を検出する差圧検出部を設け、前記制御部は、装置運転中に前記蒸気生成器の冷媒出口側の過熱度が予め設定された所定過熱度以下になった場合、前記膨張弁を閉にした後、前記差圧検出部が検出した差圧に対応するヘッド差が前記ポンプの必要吸込みヘッドより大きくなるまで前記ポンプを駆動し続け、前記ヘッド差が前記ポンプの必要吸込みヘッドより大きくなった場合、前記ポンプを停止する運転停止処理を行って装置を停止することを特徴とする。
【0022】
また、本発明は、上記発明において、前記凝縮器の下流側に設けられ前記凝縮器により凝縮された冷媒を貯留する貯留タンクと、前記蒸発器の冷媒出口側と前記エジェクタの冷媒吸引口との間に設けられた第1開閉制御弁と、前記エジェクタの吐出口と前記凝縮器の冷媒入口との間に設けられた第2開閉制御弁とを備え、前記制御部は、装置運転中に前記蒸気生成器の冷媒出口側の過熱度が予め設定された所定過熱度以下になった場合、前記膨張弁を閉にした後、前記ポンプを所定時間、駆動し続け、その後、前記第1開閉制御弁を閉にし、さらに前記第2開閉制御弁を閉にして前記ポンプを停止するとともに前記開閉制御弁を閉にする運転停止処理を行って装置を停止することを特徴とする。
【0023】
また、本発明は、上記発明において、前記貯留タンクの液面を検知する液面検知センサを備え、前記制御部は、装置運転中に前記蒸気生成器の冷媒出口側の過熱度が予め設定された所定過熱度以下になった場合、前記膨張弁を閉にした後、前記ポンプの位置から前記液面検知センサが検知する液面位置までのヘッド差が前記ポンプの必要吸込みヘッドより大きくなるまで前記ポンプを駆動し続け、その後、前記第1開閉制御弁を閉にし、さらに前記第2開閉制御弁を閉にして前記ポンプを停止するとともに前記開閉制御弁を閉にする運転停止処理を行って装置を停止することを特徴とする。
【0024】
また、本発明は、上記発明において、前記凝縮器の下流側に設けられ前記凝縮器により凝縮された冷媒を貯留する貯留タンクと、前記蒸発器の冷媒出口側と前記エジェクタの冷媒吸引口との間に設けられた第1開閉制御弁と、前記エジェクタの吐出口と前記凝縮器の冷媒入口との間に設けられた第2開閉制御弁とを備え、前記制御部は、装置運転中に前記蒸気生成器の冷媒出口側の過熱度が予め設定された所定過熱度以下になった場合、前記膨張弁を閉にした後、前記ポンプを所定時間、駆動し続け、その後、前記第1開閉制御弁を閉にし、さらに前記第2開閉制御弁を閉にし、前記ポンプを停止する運転停止処理を行って装置を停止することを特徴とする。
【0025】
また、本発明は、上記発明において、前記貯留タンクの液面を検知する液面検知センサを備え、前記制御部は、装置運転中に前記蒸気生成器の冷媒出口側の過熱度が予め設定された所定過熱度以下になった場合、前記膨張弁を閉にした後、前記ポンプの位置から前記液面検知センサが検知する液面位置までのヘッド差が前記ポンプの必要吸込みヘッドより大きくなるまで前記ポンプを駆動し続け、その後、前記第1開閉制御弁を閉にし、さらに前記第2開閉制御弁を閉にし、前記ポンプを停止する運転停止処理を行って装置を停止することを特徴とする。
【0026】
また、本発明は、上記発明において、前記凝縮器の下流側に設けられ前記凝縮器により凝縮された冷媒を貯留する貯留タンクと、前記蒸発器の冷媒出口側と前記エジェクタの冷媒吸引口との間に設けられた第1開閉制御弁と、前記エジェクタの吐出口と前記凝縮器の冷媒入口との間に設けられた第2開閉制御弁と、前記膨張弁と前記蒸発器とを接続する管路と、前記凝縮器と前記貯留タンクとを接続する管路との間を接続する貯留タンク接続管路と、前記貯留タンク接続管路に設けられた第3開閉制御弁とを備え、前記制御部は、装置運転中に前記蒸気生成器の冷媒出口側の過熱度が予め設定された所定過熱度以下になった場合、前記膨張弁を閉にした後、前記第2開閉制御弁を閉にするとともに前記第3開閉制御弁を開にし、前記ポンプを所定時間、駆動し続け、その後、前記第1開閉制御弁を閉にするとともに前記第3開閉制御弁を閉にして前記ポンプを停止し、さらに前記開閉制御弁を閉にする運転停止処理を行って装置を停止することを特徴とする。
【0027】
また、本発明は、上記発明において、前記凝縮器の下流側に設けられ前記凝縮器により凝縮された冷媒を貯留する貯留タンクと、前記蒸発器の冷媒出口側と前記エジェクタの冷媒吸引口との間に設けられた第1開閉制御弁と、前記エジェクタの吐出口と前記凝縮器の冷媒入口との間に設けられた第2開閉制御弁と、前記膨張弁と前記蒸発器とを接続する管路と、前記凝縮器と前記貯留タンクとを接続する管路との間を接続する貯留タンク接続管路と、前記貯留タンク接続管路に設けられた第3開閉制御弁とを備え、前記制御部は、装置運転中に前記蒸気生成器の冷媒出口側の過熱度が予め設定された所定過熱度以下になった場合、前記膨張弁を閉にした後、前記第2開閉制御弁を閉にするとともに前記第3開閉制御弁を開にし、前記ポンプを所定時間、駆動し続け、その後、前記第1開閉制御弁を閉にするとともに前記第3開閉制御弁を閉にし、前記ポンプを停止する運転停止処理を行って装置を停止することを特徴とする。
【0028】
また、本発明は、上記発明において、前記貯留タンクの液面を検知する液面検知センサを備え、前記制御部は、装置運転中に前記蒸気生成器の冷媒出口側の過熱度が予め設定された所定過熱度以下になった場合、前記膨張弁を閉にした後、前記第2開閉制御弁を閉にするとともに前記第3開閉制御弁を開にし、前記ポンプの位置から前記液面検知センサが検知する液面位置までのヘッド差が前記ポンプの必要吸込みヘッドより大きくなるまで前記ポンプを駆動し続け、その後、前記第1開閉制御弁を閉にするとともに前記第3開閉制御弁を閉にし、前記ポンプを停止する運転停止処理を行って装置を停止することを特徴とする。
【0029】
また、本発明は、上記発明において、前記凝縮器の下流側に設けられ前記凝縮器により凝縮された冷媒を貯留する貯留タンクと、前記蒸発器の冷媒出口側と前記エジェクタの冷媒吸引口との間に設けられた第1開閉制御弁と、前記エジェクタの吐出口と前記凝縮器の冷媒入口との間に設けられた第2開閉制御弁と、前記膨張弁と前記蒸発器とを接続する管路と、前記第2開閉制御弁と前記凝縮器とを接続する管路との間を接続する凝縮器接続管路と、前記凝縮器接続管路に設けられた第4開閉制御弁とを備え、前記制御部は、装置運転中に前記蒸気生成器の冷媒出口側の過熱度が予め設定された所定過熱度以下になった場合、前記膨張弁を閉にした後、前記第2開閉制御弁を閉にするとともに前記第4開閉制御弁を開にし、前記ポンプを所定時間、駆動し続け、その後、前記第1開閉制御弁を閉にするとともに前記第4開閉制御弁を閉にして前記ポンプを停止し、さらに前記開閉制御弁を閉にする運転停止処理を行って装置を停止することを特徴とする。
【0030】
また、本発明は、上記発明において、前記貯留タンクの液面を検知する液面検知センサを備え、前記制御部は、装置運転中に前記蒸気生成器の冷媒出口側の過熱度が予め設定された所定過熱度以下になった場合、前記膨張弁を閉にした後、前記第2開閉制御弁を閉にするとともに前記第4開閉制御弁を開にし、前記ポンプの位置から前記液面検知センサが検知する液面位置までのヘッド差が前記ポンプの必要吸込みヘッドより大きくなるまで前記ポンプを駆動し続け、その後、前記第1開閉制御弁を閉にするとともに前記第4開閉制御弁を閉にして前記ポンプを停止し、さらに前記開閉制御弁を閉にする運転停止処理を行って装置を停止することを特徴とする。
【0031】
また、本発明は、上記発明において、前記凝縮器の下流側に設けられ前記凝縮器により凝縮された冷媒を貯留する貯留タンクと、前記蒸発器の冷媒出口側と前記エジェクタの冷媒吸引口との間に設けられた第1開閉制御弁と、前記エジェクタの吐出口と前記凝縮器の冷媒入口との間に設けられた第2開閉制御弁と、前記膨張弁と前記蒸発器とを接続する管路と、前記第2開閉制御弁と前記凝縮器とを接続する管路との間を接続する凝縮器接続管路と、前記凝縮器接続管路に設けられた第4開閉制御弁とを備え、前記制御部は、装置運転中に前記蒸気生成器の冷媒出口側の過熱度が予め設定された所定過熱度以下になった場合、前記膨張弁を閉にした後、前記第2開閉制御弁を閉にするとともに前記第4開閉制御弁を開にし、前記ポンプを所定時間、駆動し続け、その後、前記第1開閉制御弁を閉にするとともに前記第4開閉制御弁を閉にし、前記ポンプを停止する運転停止処理を行って装置を停止することを特徴とする。
【0032】
また、本発明は、上記発明において、前記貯留タンクの液面を検知する液面検知センサを備え、前記制御部は、装置運転中に前記蒸気生成器の冷媒出口側の過熱度が予め設定された所定過熱度以下になった場合、前記膨張弁を閉にした後、前記第2開閉制御弁を閉にするとともに前記第4開閉制御弁を開にし、前記ポンプの位置から前記液面検知センサが検知する液面位置までのヘッド差が前記ポンプの必要吸込みヘッドより大きくなるまで前記ポンプを駆動し続け、その後、前記第1開閉制御弁を閉にするとともに前記第4開閉制御弁を閉にし、前記ポンプを停止する運転停止処理を行って装置を停止することを特徴とする。
【0033】
また、本発明は、上記発明において、前記ポンプは、前記貯留タンクの下端よりも下方に位置し、前記貯留タンクと前記ポンプとの間を接続する管路は、前記貯留タンクの冷媒出口から前記ポンプの吸込み口までの全域で前記ポンプの吸込み口に向けて傾斜していることを特徴とする。
【0034】
また、本発明は、上記発明において、前記凝縮器の冷媒出口又は前記凝縮器の下流側に配置される貯留タンクの冷媒出口は、前記蒸気生成器の冷媒出口よりも鉛直上方に配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、簡易な構成で、装置起動時間を短縮できるとともに外部熱源のエネルギー利用効率の低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態であるエジェクタ冷凍装置の構成を示す回路図である。
【
図2】
図2は、
図1に示したエジェクタ冷凍装置の制御部による装置の停止起動制御処理手順を示すフローチャートである。
【
図3】
図3は、変形例1であるエジェクタ冷凍装置の構成を示す回路図である。
【
図4】
図4は、変形例1の制御部による装置の停止起動制御処理手順を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、変形例2であるエジェクタ冷凍装置の構成を示す回路図である。
【
図6】
図6は、変形例3の制御部による装置の停止起動制御処理手順を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、本発明の実施の形態2であるエジェクタ冷凍装置の構成を示す回路図である。
【
図8】
図8は、
図7に示したエジェクタ冷凍装置の制御部による運転停止処理手順を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、変形例4であるエジェクタ冷凍装置の構成を示す回路図である。
【
図10】
図10は、変形例5であるエジェクタ冷凍装置の構成を示す回路図である。
【
図11】
図11は、
図10に示したエジェクタ冷凍装置の制御部による運転停止処理手順を示すフローチャートである。
【
図12】
図12は、本発明の実施の形態3であるエジェクタ冷凍装置の構成を示す回路図である。
【
図13】
図13は、
図12に示したエジェクタ冷凍装置の制御部による運転停止処理手順を示すフローチャートである。
【
図14】
図14は、変形例6であるエジェクタ冷凍装置の構成を示す回路図である。
【
図15】
図15は、
図14に示したエジェクタ冷凍装置の制御部による運転停止処理手順を示すフローチャートである。
【
図16】
図16は、変形例7であるエジェクタ冷凍装置の構成を示す回路図である。
【
図17】
図17は、変形例8であるエジェクタ冷凍装置の構成を示す回路図である。
【
図18】
図18は、
図17に示したエジェクタ冷凍装置の制御部による運転停止処理手順を示すフローチャートである。
【
図19】
図19は、変形例9であるエジェクタ冷凍装置の構成を示す回路図である。
【
図20】
図20は、
図19に示したエジェクタ冷凍装置の制御部による運転停止処理手順を示すフローチャートである。
【
図21】
図21は、本発明の実施の形態4であるエジェクタ冷凍装置の構成を示す回路図である。
【
図22】
図22は、エジェクタ冷凍装置の運転停止時であって蒸気生成器の熱交換が不十分な場合における液相冷媒の状態を示す模式図である。
【
図23】
図23は、エジェクタ冷凍装置の運転開始時であって蒸気生成器の熱交換が不十分な場合における液相冷媒の状態を示す模式図である。
【
図24】
図24は、
図21に示したエジェクタ冷凍装置の制御部による運転制御処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、添付図面を参照してこの発明を実施するための形態について説明する。
【0038】
[実施の形態1]
図1は、本発明の実施の形態1であるエジェクタ冷凍装置11の構成を示す回路図である。ここで例示するエジェクタ冷凍装置11は、工場排水や使用済み冷却水等の排温水から排熱を回収して被冷却媒体を冷却するものであり、循環経路L1上に順次接続されたエジェクタ1、凝縮器2、ポンプ3、蒸気生成器4を有する。また、エジェクタ冷凍装置11には、分岐経路L2が設けてある。分岐経路L2は、循環経路L1の凝縮器2と蒸気生成器4との間においてポンプ3よりも上流となる部分から分岐し、循環経路L1を流通する冷媒の一部を吸引流体としてエジェクタ1に供給するものである。被冷却媒体としては、水や油、あるいはその他の冷媒を対象とすることができる。本実施の形態1では、特に、排温水から回収した排熱により、被冷却水から冷水を生成するエジェクタ冷凍装置を例示している。
【0039】
ポンプ3は、循環経路L1において冷媒の循環供給を行うものである。より詳細に説明すると、ポンプ3は、例えば液相の可変容量ポンプであり、冷媒を昇圧してエジェクタ1に供給するものである。本実施の形態1のポンプ3は、後述する制御部C1から与えられる駆動信号に従った回転数で駆動されるものである。蒸気生成器4は、蒸気生成器4に供給される排温水などの熱源との間で熱交換を行うことにより、ポンプ3から供給された冷媒を蒸発させるものである。エジェクタ1は、蒸気生成器4を通過した気相の冷媒である駆動流によって、蒸発器6から供給される気相の冷媒を吸引し、混合し、昇圧して下流に吐出するものである。凝縮器2は、エジェクタ1から吐出された気相の冷媒と、凝縮器2に供給される冷却水との間で熱交換し放熱を行うことにより、循環経路L1の冷媒を凝縮させるものである。
【0040】
分岐経路L2には、膨張弁5及び蒸発器6が設けてある。膨張弁5は、凝縮器2を通過して分岐供給された冷媒を膨張させて減圧するものである。蒸発器6は、膨張弁5を通過した後の液相または気液二相の冷媒と、蒸発器6に供給される被冷却水との間で熱交換を行うことにより、冷媒を蒸発させるものである。なお、膨張弁5としては電子膨張弁が好適であるが、用途や構成に応じて手動膨張弁、定圧膨張弁、温度膨張弁等のその他の形式の膨張弁を適宜選択しても良い。
【0041】
蒸気生成器4の冷媒入口側には、開閉制御弁20が設けられる。また、蒸気生成器4の冷媒出口側には、開閉制御弁21が設けられる。開閉制御弁20は、例えば電磁弁であり、ポンプ3の吐出口と蒸気生成器4の冷媒入口との間に設けられる。開閉制御弁21は、例えば電磁弁であり、蒸気生成器4の冷媒出口と、エジェクタ1との間に設けられる。
【0042】
蒸気生成器4と開閉制御弁21との間には、蒸気生成器4の出口側の冷媒温度T1を検出する冷媒温度センサ22、及び、冷媒圧力P1を検出する冷媒圧力センサ23が設けられる。また、蒸気生成器4に供給される熱源の熱源温度T2を検出する熱源温度センサ24を有する。
【0043】
制御部C1は、冷媒温度センサ22、冷媒圧力センサ23、熱源温度センサ24からそれぞれ取得した冷媒温度T1、冷媒圧力P1、熱源温度T2をもとに、ポンプ3及び膨張弁5などを制御する。
【0044】
制御部C1は、装置運転中に蒸気生成器4の冷媒出口側の過熱度が予め設定された所定過熱度以下になった場合、ポンプ3を停止するとともに開閉制御弁20,21を閉にして装置を停止する運転停止処理を行い、運転開始条件を満足する場合に、ポンプ3を駆動するとともに開閉制御弁20,21を開にして装置を起動する。運転開始条件は、蒸気生成器4の冷媒出口側の過熱度が所定過熱度を超えることである。なお、過熱度は、冷媒温度T1と冷媒圧力P1とを用いて求められる。過熱度は、ある圧力のもとで、そのガスの飽和温度より高いガスになっている場合の温度上昇の度合であり、所定過熱度は、例えば0(K)である。
【0045】
運転開始条件は、所定過熱度に限らず、冷媒温度センサ22が検出する冷媒温度T1の予め設定された冷媒温度設定値、冷媒圧力センサ23が検出する冷媒圧力の予め設定された冷媒圧力設定値、あるいは、熱源温度センサ24が検出する熱源温度T2の予め設定された熱源温度設定値を用いてもよい。運転開始条件は、エジェクタ冷凍装置11が運転可能な状態、具体的にはエジェクタ1が駆動可能な圧力状態に達するための条件である。なお、本実施の形態では、熱源の熱量が運転開始あるいは運転維持に必要な量であるか否かを、熱源温度T2をもとに判定するが、熱量は熱源温度T2のみならず、流量センサなどを用いて熱源の流量を求めて熱量が十分であるか否かを判定するようにしてもよい。
【0046】
本実施の形態1では、外部から供給される熱源の熱量が運転維持に十分でない場合、ポンプ3を停止するとともに、開閉制御弁20,21を閉にする運転停止処理の制御を行っている。したがって、蒸気生成器4内の冷媒が逆流せず、さらに、凝縮器2における冷媒蒸気の凝縮による冷媒の吸引が生じても、蒸気生成器4内の液冷媒量が減少しない。この結果、エジェクタ冷凍装置11を再起動する場合、ポンプ3を運転して冷媒を蒸気生成器4に供給する時間が短縮され、高速な再起動を行うことができるとともに、エジェクタ冷凍装置11の起動が遅れないため、外部の熱源のエネルギー利用効率が低下しない。
【0047】
<停止起動制御>
図2は、
図1に示したエジェクタ冷凍装置11の制御部C1による装置の停止起動制御処理手順を示すフローチャートである。まず、制御部C1は、自身のエジェクタ冷凍装置11が運転中であるか否かを判定する(ステップS110)。エジェクタ冷凍装置11が運転中である場合(ステップS110:Yes)、冷媒温度センサ22、冷媒圧力センサ23、熱源温度センサ24がそれぞれ計測した冷媒温度T1、冷媒圧力P1、熱源温度T2を取得する(ステップS120)。そして、制御部C1は、熱源が停止したか否かを判定する(ステップS130)。ここでは、熱源が停止したか否かは、熱源温度T2が熱源温度設定値以下になったか否かで判定する。熱源が停止していない場合(ステップS130:No)には、ステップS120に移行して、冷媒温度T1、冷媒圧力P1、熱源温度T2の計測を繰り返す。
【0048】
一方、熱源が停止している場合(ステップS130:Yes)には、過熱度を演算する(ステップS140)。この過熱度は、冷媒温度T1及び冷媒圧力P1を用いて演算する。そして、制御部C1は、過熱度が所定過熱度以下であるか否かを判定する(ステップS150)。過熱度が所定過熱度以下でない場合(ステップS150:No)は、ステップS120に移行する。
【0049】
過熱度が所定過熱度以下である場合(ステップS150:Yes)には、運転を維持できないので、装置の運転停止処理を行う(ステップS160)。この運転停止処理では、ポンプ3を停止するとともに開閉制御弁20,21を閉にする。その後、制御部C1は、エジェクタ冷凍装置11を停止して(ステップS180)、本処理を終了する。
【0050】
一方、エジェクタ冷凍装置11が運転中でない場合(ステップS110:No)、冷媒温度センサ22、冷媒圧力センサ23、熱源温度センサ24がそれぞれ計測した冷媒温度T1、冷媒圧力P1、熱源温度T2を取得する(ステップS190)。ただし、本実施の形態では、運転開始条件として過熱度を用いず、冷媒圧力設定値を用いているため、冷媒圧力P1のみを取得すればよい。
【0051】
その後、制御部C1は、冷媒圧力P1が冷媒圧力設定値を超えたか否かを判定する(ステップS200)。冷媒圧力P1が冷媒圧力設定値を超えない場合(ステップS200:No)には、ステップS190に移行して冷媒圧力P1を計測する。
【0052】
一方、冷媒圧力P1が冷媒圧力設定値を超える場合(ステップS200:Yes)、運転開始条件を満足するので、装置の運転開始処理を行う(ステップS210)。この運転開始処理では、ポンプ3を運転し、開閉制御弁20,21を開にする。その後、エジェクタ冷凍装置11を起動運転し(ステップS230)、本処理を終了する。なお、上記の処理は所定時間毎に繰り返し行う。
【0053】
<変形例1>
図3は、変形例1であるエジェクタ冷凍装置12の構成を示す回路図である。このエジェクタ冷凍装置12は、エジェクタ冷凍装置11の開閉制御弁20,21に替えて、逆止弁30,31を配置している。その他の構成は、実施の形態1と同じである。逆止弁30,31は、それぞれ循環経路L1の冷媒の流れ方向への流れを許容するとともに、逆方向への流れを防止する。
【0054】
ここで、逆止弁30は、ポンプ3の停止時に蒸気生成器4内の液冷媒の逆流を防止する。一方、逆止弁31は、ポンプ3の停止後に凝縮器2の冷媒が液化し、この液化に伴って蒸気生成器4から冷媒が気化して流出してしまうのを防止する必要がある。このため、逆止弁31のクラッキング圧は、蒸気生成器4の冷媒入口側に設けられた逆止弁30のクラッキング圧よりも高く設定し、冷媒の流出を極力抑えるようにしている。逆止弁31のクラッキング圧を高めるには、例えば、バネ等を用いて確保すればよい。
【0055】
本変形例1では、開閉制御弁20,21に替えて逆止弁30,31を用いているので、実施の形態1に比べて、コスト低減を図ることができるとともに、弁制御が不要になる。また、逆止弁30,31は、蒸気生成器4を密閉することがないので、リリーフ弁などを設ける必要がないため、構成が簡易なものとなる。
【0056】
図4は、変形例1の制御部C2による装置の停止起動制御処理手順を示すフローチャートである。なお、ステップS310~S350は、ステップS110~S150と同じである。
【0057】
制御部C2は、過熱度が所定過熱度以下である場合(ステップS350:Yes)には、運転を維持できないので、装置の運転停止処理を行う(ステップS360)。この運転停止処理では、ポンプ3を停止する。その後、エジェクタ冷凍装置12を停止し(ステップS370)、本処理を終了する。
【0058】
一方、エジェクタ冷凍装置12が運転中でない場合(ステップS310:No)、冷媒温度センサ22、冷媒圧力センサ23、熱源温度センサ24がそれぞれ計測した冷媒温度T1、冷媒圧力P1、熱源温度T2を取得する(ステップS380)。ただし、本変形例1では、運転開始条件として過熱度を用いず、熱源温度設定値を用いているため、熱源温度T2のみを取得すればよい。
【0059】
その後、制御部C2は、熱源温度T2が冷媒温度設定値を超えたか否かを判定する(ステップS390)。熱源温度T2が熱源温度設定値を超えない場合(ステップS390:No)には、ステップS380に移行して熱源温度T2を計測する。
【0060】
一方、熱源温度T2が熱源温度設定値を超える場合(ステップS390:Yes)、運転開始条件を満足するので、運転開始処理を行う(ステップS400)。この運転開始処理では、ポンプ3を運転する。その後、エジェクタ冷凍装置11を起動運転し(ステップS410)、本処理を終了する。なお、上記の処理は所定時間毎に繰り返し行う。
【0061】
<変形例2>
図5は、変形例2であるエジェクタ冷凍装置13の構成を示す回路図である。このエジェクタ冷凍装置13は、エジェクタ冷凍装置11の開閉制御弁20に替えて、逆止弁40を配置するとともに、開閉制御弁21に対応する開閉制御弁41を設けている。その他の構成は、実施の形態と同じである。また、制御部C3による停止開始制御処理手順では、
図2のステップS160,S220において、開閉制御弁41のみの弁制御を行う。この開閉制御弁41を設けることにより、ポンプ停止時における蒸気生成器4から冷媒が気化して流出するのを防止することができる。
【0062】
<変形例3>
本変形例3のエジェクタ冷凍装置13は、変形例2のエジェクタ冷凍装置12と同じであるが、制御部の制御処理が異なる。本変形例3では、予め熱源の間欠運転周期を計測しておき、間欠運転開始時の所定時間前にポンプ3を駆動する運転開始処理を行い、運転開始条件を満足する場合に、ポンプ3の駆動を維持したまま装置を起動し、一定時間経過しても運転開始条件を満足しない場合、ポンプを停止する運転停止処理を行うようにしている。
【0063】
図6は、変形例3の制御部C3による装置の停止起動制御処理手順を示すフローチャートである。なお、ステップS510~S570は、ステップS310~S370と同じである。まず、制御部C3は、前提として、熱源温度T2の連続的計測により、熱源の間欠運転周期を計測して求めておく。
【0064】
図6に示すように、制御部C3は、エジェクタ冷凍装置13が運転中でない場合(ステップS580:No)、熱源間欠運転周期をもとに、熱源の間欠運転周期の所定周期時間ΔT前であるか否かを判定する(ステップS580)。ここで、間欠運転開始を時点tsと予測すると、間欠運転開始前は、(ts-ΔT)の時点となる。
【0065】
熱源の間欠運転周期の所定周期時間ΔT前になっていない場合(ステップS580:No)には、ステップS510に移行する。一方、熱源の間欠運転周期の所定周期時間ΔT前になった場合(ステップS580:Yes)、運転開始を見込んで、運転開始処理を行う(ステップS590)。この運転開始処理では、ポンプ3を運転する。
【0066】
その後、制御部C3は、冷媒温度センサ22、冷媒圧力センサ23、熱源温度センサ24がそれぞれ計測した冷媒温度T1、冷媒圧力P1、熱源温度T2を取得する(ステップS600)。ただし、本変形例3では、運転開始条件として過熱度を用いず、熱源温度設定値を用いているため、熱源温度T2のみを取得すればよい。
【0067】
その後、制御部C3は、熱源温度T2が冷媒温度設定値を超えたか否かを判定する(ステップS610)。熱源温度T2が熱源温度設定値を超えている場合(ステップS610:Yes)には、ポンプ3の運転を維持したまま、エジェクタ冷凍装置12を起動して(ステップS620)、本処置を終了する。
【0068】
一方、熱源温度T2が熱源温度設定値を超えていない場合(ステップS610:No)には、さらに、ポンプ3の運転開始時から、一定時間経過したか否かを判定する(ステップS630)。一定時間を経過していない場合(ステップS630:No)には、ステップS600に移行し、一定時間を経過している場合(ステップS630:Yes)には、ポンプ3を停止する運転停止処理を行い(ステップS640)、本処理を終了する。なお、上記の処理は所定時間毎に繰り返し行う。
【0069】
本変形例3では、熱源の間欠運転周期を取得できる場合、間欠運転の運転開始時を予測して先にポンプ3を運転するようにしているので、運転開始時には蒸気生成器4内に冷媒が送り込まれているので、高速な再起動を行うことができるとともに、エジェクタ冷凍装置12の起動が遅れないため、外部の熱源のエネルギー利用効率が低下しない。
【0070】
[実施の形態2]
ところで、エジェクタ冷却装置は運転時に、蒸気生成器4、蒸発器6では吸熱により熱交換器内で液相から気相に、凝縮器2では気相から液相に連続的に相変化している。ここで、装置停止後に回路の構成部品、主に熱交換器のような熱容量が大きい部品に残留する熱により、回路内に温度差が生じ、最も低温となる蒸発器6に冷媒が多く凝縮、滞留することになる。具体的な装置停止時の各熱交換器の温度は、蒸気生成器4が60℃~80℃、蒸発器6が5℃~20℃、凝縮器2が15℃~30℃であり、蒸発器6の温度が最も低く、冷媒が凝縮、滞留しやすい。これにより、凝縮器2に保持しておくべき冷媒量が減少すると、ポンプ3の起動時に必要吸込みヘッドが不足し、ポンプ3の故障につながるキャビテーションが発生する。そこで、本実施の形態2では、装置停止時に、ポンプ3の必要吸込みヘッドを確保できるように、蒸発器6の冷媒を凝縮器2側に移動させ、ポンプ3の起動時におけるキャビテーションの発生を防止しようとするものである。
【0071】
図7は、本発明の実施の形態2であるエジェクタ冷凍装置51の構成を示す回路図である。エジェクタ冷凍装置51は、エジェクタ冷凍装置51の蒸発器6の冷媒出口側とエジェクタ1の冷媒吸引口との間の分岐経路L2上に、開閉制御弁である冷媒移動用開閉制御弁V1を設けている。
【0072】
制御部C51は、装置運転中に蒸気生成器4の冷媒出口側の過熱度が予め設定された所定過熱度以下になった場合、膨張弁5を閉にした後、ポンプ3を所定時間、駆動し続け、エジェクタ1の吸引作用により、蒸発器6の冷媒を凝縮器2側に移動し、その後、冷媒移動用開閉制御弁V1を閉(全閉)にし、移動した冷媒の逆流を防止してポンプ3を停止するとともに開閉制御弁20,21を閉にする運転停止処理を行って装置を停止する。このポンプ3の所定時間の駆動により、蒸発器6から凝縮器2への冷媒回収流路R1が形成され、蒸発器6の冷媒が凝縮器2側に移動する。
【0073】
ここで、ポンプ3の吸込み口と凝縮器2内の平均液面高さとのヘッド差(有効吸込みヘッドNPSHA)に相当する圧力がポンプ3の吸込み口に加わる。一般にポンプ3は、必要吸込みヘッドNPSHRよりも有効吸込みヘッドNPSHAが大きくなる条件で動かすことにより、キャビテーションを防止する。なお、必要吸込みヘッドNPSHRはポンプ3の吸込み能力に依存し、有効吸込みヘッドNPSHAは、ポンプ3に対する凝縮器2の高さ位置に依存する。したがって、所定時間は、ヘッド差が必要吸込みヘッドNPSHRよりも大きくなる冷媒量を凝縮器2に対して貯留する時間であり、予め実験等により求めて設定しておく。
【0074】
なお、冷媒移動用開閉制御弁V1の配置によって生じる吸引流の圧力損失は、直接冷却能力に影響するので、弁部の内径は分岐経路L2の配管径と同程度にして圧力損失を最小限にすることが好ましい。
【0075】
<運転停止処理>
図8は、
図7に示したエジェクタ冷凍装置51の制御部C51による運転停止処理手順を示すフローチャートである。なお、この運転停止処理は、
図2に示した運転停止処理(ステップS160)に対応するサブルーチンである。まず、制御部C51は、膨張弁5を閉(全閉)にする(ステップS710)。その後、膨張弁5を閉にした後、所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS720)。所定時間が経過しない場合(ステップS720:No)には、本判定処理を繰り返す。この所定時間を経過するまで、冷媒移動用開閉制御弁V1は開であり、エジェクタ1の吸引作用により、冷媒回収流路R1を介して蒸発器の6の冷媒が凝縮器2側に移動する。
【0076】
一方、所定時間が経過した場合(ステップS720:Yes)には、冷媒移動用開閉制御弁V1を閉にし(ステップS730)、ポンプ3を停止する(ステップS740)。その後、制御部C51は、開閉制御弁20,21を閉にして(ステップS750)、ステップS180にリターンする。
【0077】
<変形例4>
図9は、変形例4であるエジェクタ冷凍装置52の構成を示す回路図である。上記の実施の形態2では、開閉制御弁として機能する冷媒移動用開閉制御弁V1を設けていたが、本変形例4では、冷媒移動用開閉制御弁V1に替えて逆止弁として機能する冷媒移動用逆止弁VB1を設けている。この冷媒移動用逆止弁VB1は、分岐経路L2における蒸発器6側からエジェクタ1への冷媒の流れ方向への流れを許容するとともに、逆方向への流れを防止する。この冷媒移動用逆止弁VB1は、制御部C52による制御が不要となるため、制御が簡易なものとなる。
【0078】
すなわち、制御部C52は、装置運転中に蒸気生成器4の冷媒出口側の過熱度が予め設定された所定過熱度以下になった場合、膨張弁5を閉にした後、ポンプ3を所定時間、駆動し続け、その後、ポンプ3を停止するとともに開閉制御弁20,21を閉にする運転停止処理を行って装置を停止する。この運転停止処理は、実施の形態2と同様に、ステップ160の運転制御処理に対応するサブルーチンである。
【0079】
なお、装置運転時には冷媒移動用逆止弁VB1が流路抵抗になる可能性がある。したがって、エジェクタ1の昇圧量(=エジェクタ吐出圧力-エジェクタ吸引口圧力)に対して流路抵抗が十分小さくなるように設計する必要がある。
【0080】
<変形例5>
図10は、変形例5であるエジェクタ冷凍装置53の構成を示す回路図である。上記の実施の形態2及び変形例4では、運転停止処理として、膨張弁5を閉にした後、予め設定された所定時間、ポンプ3を駆動し続ける処理を行っていたが、本変形例5では、ポンプ3の吸込み口PT2と凝縮器の冷媒出口PT1との間の差圧ΔPを検出する差圧検出部として機能する差圧センサPDを設けている。
【0081】
そして、制御部C53は、所定時間に替えて、差圧センサPDが検出した差圧ΔPに対応するヘッド差hがポンプ3の必要吸込みヘッドNPSHRより大きくなるまでポンプ3を駆動し続ける。
【0082】
<運転停止処理>
図11は、
図10に示したエジェクタ冷凍装置53の制御部C53による運転停止処理手順を示すフローチャートである。なお、この運転停止処理は、
図2に示した運転停止処理(ステップS160)に対応するサブルーチンである。まず、制御部C53は、膨張弁5を閉(全閉)にする(ステップS810)。その後、差圧センサPDが検出した差圧ΔPから求めたヘッド差hは、必要吸込みヘッドNPSHRより大きいか否かを判定する(ステップS820)。
【0083】
ヘッド差hが必要吸込みヘッドNPSHRより大きい場合(ステップS820:Yes)には、凝縮器2の貯留した冷媒量が十分であり、冷媒移動用開閉制御弁V1を開から閉にし(ステップS830)、ポンプ3を停止する(ステップS840)。その後、制御部C53は、開閉制御弁20,21を閉にして(ステップS850)、ステップS180にリターンする。
【0084】
一方、ヘッド差hが必要吸込みヘッドNPSHRより大きくない場合(ステップS820:No)、一定時間を経過したか否かを判定する(ステップS860)。この一定時間は、例えば所定時間を超える時間であり、一定時間を経過した場合、装置が異常でない限り、凝縮器2に十分な冷媒量が貯留される時間である。
【0085】
一定時間を経過しない場合(ステップS860:No)、ステップS820に移行し、引き続きポンプ3を駆動し続け、ステップS820の判定処理を行う。一方、一定時間を経過した場合(ステップS860:Yes)には、装置が異常であることが考えられるため、装置外のアラーム装置に対してアラーム通知を行い(ステップS870)、ステップS180にリターンする。
【0086】
この差圧ΔPを用いた凝縮器2の冷媒量判定を行うことによって、ポンプ3のキャビテーションを確実に防止できるとともに、運転停止処理時におけるポンプ3に対する運転時間を適切な時間とすることができる。
【0087】
なお、実施の形態2、変形例4,5を変形例2,3に適用する場合、上記の運転停止処理は、ステップ360、ステップS560,S640に対応するサブルーチンとなる。
【0088】
また、凝縮器2の下流側に、凝縮器2により凝縮された冷媒を貯留する貯留タンクを設けるようにしてもよい。この場合、蒸発器6から移動する冷媒は、貯留タンクに貯留されることになる。
【0089】
[実施の形態3]
本実施の形態3は、実施の形態2と同様に、装置停止時に、冷媒を凝縮器2側に移動させ、ポンプ3の必要吸込みヘッドを確保して、ポンプ3の起動時におけるキャビテーションの発生を防止しようとするものである。
【0090】
図12は、本発明の実施の形態3であるエジェクタ冷凍装置61の構成を示す回路図である。エジェクタ冷凍装置61は、実施の形態1のエジェクタ冷凍装置11に対し、さらに貯留タンク7、第1開閉制御弁V11、第2開閉制御弁V12を設けている。貯留タンク7は、凝縮器2の下流側に設けられ、凝縮器により凝縮された冷媒を貯留する。第1開閉制御弁V11は、冷媒移動用開閉制御弁V1と同様に、蒸発器6の冷媒出口側とエジェクタ1の冷媒吸引口との間に設けられる。第2開閉制御弁V12は、エジェクタ1の吐出口と凝縮器2の冷媒入口との間に設けられる。
【0091】
制御部C61は、装置運転中に蒸気生成器4の冷媒出口側の過熱度が予め設定された所定過熱度以下になった場合、膨張弁5を閉(全閉)にした後、ポンプ3を所定時間、駆動し続け、その後、第1開閉制御弁V11を閉にし、さらに第2開閉制御弁V12を閉にしてポンプ3を停止するとともに開閉制御弁20,21を閉にする運転停止処理を行って装置を停止する。このポンプ3の所定時間の駆動により、循環経路L1が凝縮器2への冷媒回収流路R11として機能し、冷媒が凝縮器2を介して貯留タンク7に貯留される。
【0092】
この所定時間は、実施の形態2と同様に、ヘッド差が必要吸込みヘッドNPSHRよりも大きくなる冷媒量を貯留タンク7に対して貯留する時間である。この所定時間は、冷媒回収流路R11内の平均流速と冷媒回収流路R11の流路長から推定演算が可能であるが、実験によって求めてもよい。
【0093】
<運転停止処理>
図13は、
図12に示したエジェクタ冷凍装置61の制御部C61による運転停止処理手順を示すフローチャートである。なお、この運転停止処理は、
図2に示した運転停止処理(ステップS160)に対応するサブルーチンである。まず、制御部C61は、膨張弁5を閉(全閉)にする(ステップS910)。これにより、冷媒回収流路R11が形成される。
【0094】
その後、膨張弁5を閉にした後、所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS920)。所定時間が経過しない場合(ステップS920:No)には、本判定処理を繰り返す。この所定時間を経過するまで、第1開閉制御弁V11は開であるが、冷媒回収流路R11による冷媒移動により、冷媒が貯留タンク7に移動する。
【0095】
一方、所定時間が経過した場合(ステップS920:Yes)には、第1開閉制御弁V11を閉にし(ステップS930)、第2開閉制御弁V12を閉にし(ステップs940)、ポンプ3を停止する(ステップS950)。その後、制御部C61は、開閉制御弁20,21を閉にして(ステップS960)、ステップS180にリターンする。
【0096】
なお、本実施の形態3は、実施の形態2とは異なり、蒸気生成器4に熱源が供給されない場合、すなわち、エジェクタ1に駆動流が供給されない場合であっても、ポンプ3により冷媒回収流路R11上で貯留タンク7に冷媒を移動することができる。
【0097】
<変形例6>
図14は、変形例6であるエジェクタ冷凍装置62の構成を示す回路図である。上記の実施の形態3では、運転停止処理として、膨張弁5を閉にした後、予め設定された所定時間、ポンプ3を駆動し続ける処理を行っていたが、本変形例6では、貯留タンク7の液面を検知する液面検知センサShを設けている。
【0098】
そして、制御部C62は、所定時間に替えて、ポンプ3の位置から液面検知センサShが検知する液面位置までのヘッド差hがポンプ3の必要吸込みヘッドNPSHRより大きくなるまでポンプ3を駆動し続ける。
【0099】
<運転停止処理>
図15は、
図14に示したエジェクタ冷凍装置62の制御部C62による運転停止処理手順を示すフローチャートである。なお、この運転停止処理は、
図2に示した運転停止処理(ステップS160)に対応するサブルーチンである。まず、制御部C62は、膨張弁5を閉(全閉)にする(ステップS910)。その後、液面検知センサShの検出値をもとに、ポンプ3の位置から液面検知センサShが検知する液面位置までのヘッド差hがポンプ3の必要吸込みヘッドNPSHRより大きいか否かを判定する(ステップS920)。
【0100】
ヘッド差hが必要吸込みヘッドNPSHRより大きい場合(ステップS920:Yes)には、貯留タンク7に貯留した冷媒量が十分であり、第1開閉制御弁V11を開から閉にし(ステップS930)、第2開閉制御弁V12を閉にし(ステップS940)、ポンプ3を停止する(ステップS950)。その後、制御部C62は、開閉制御弁20,21を閉にして(ステップS960)、ステップS180にリターンする。第1開閉制御弁V11及び第2開閉制御弁V12を閉にするのは、凝縮器2の冷媒が蒸発器6側に逆流しないようにするためである。
【0101】
一方、ヘッド差hが必要吸込みヘッドNPSHRより大きくない場合(ステップS920:No)、一定時間を経過したか否かを判定する(ステップS970)。この一定時間は、例えば所定時間を超える時間であり、一定時間を経過した場合、装置が異常でない限り、貯留タンク7に十分な冷媒量が貯留される時間である。
【0102】
一定時間を経過しない場合(ステップS970:No)、ステップS820に移行し、引き続きポンプ3を駆動し続け、ステップS820の判定処理を行う。一方、一定時間を経過した場合(ステップS970:Yes)には、装置が異常であることが考えられるが、第1開閉制御弁V11を開から閉にし(ステップS980)、第2開閉制御弁V12を閉にし(ステップS990)、ポンプ3を停止する(ステップS1000)。その後、制御部C62は、開閉制御弁20,21を閉にして(ステップS1010)、装置外のアラーム装置に対してアラーム通知を行い(ステップS1020)、ステップS180にリターンする。
【0103】
この液面検知センサShを用いて貯留タンク7の液面位置を検知することによってヘッド差hを求めることができ、これにより、ポンプ3のキャビテーションを確実に防止できるとともに、運転停止処理時におけるポンプ3に対する運転時間を適切な時間とすることができる。
【0104】
なお、変形例5と同様にし、液面検知センサShに替えて、ポンプ3の吸込み口と貯留タンク7の冷媒出口との間の差圧ΔPを検出する差圧検出部として機能する差圧センサPDを設けてヘッド差hを求めるようにしてもよい。
【0105】
<変形例7>
図16は、変形例7であるエジェクタ冷凍装置63の構成を示す回路図である。本変形例7では、ポンプ3は、貯留タンク7の下端よりも下方に位置し、貯留タンク7とポンプ3との間を接続する管路L10が、貯留タンク7の冷媒出口からポンプ3の吸込み口までの全域で前記ポンプの吸込み口側に向けて傾斜させている。
【0106】
図16では、管路L10を略直線状に傾斜させている。これに限らず、管路L10上で水平に対する傾斜が0度、すなわち水平部分がなければよく、惰行しても管路L10が単調に下降していればよい。水平部分があるとこの位置に気泡が溜まってしまうからである。
【0107】
本変形例7では、貯留タンク7の冷媒出口からポンプ3の吸込み口までの全域で前記ポンプの吸込み口側に向けて傾斜させ、蒸発器6で凝縮しきれずにポンプ3の吸込み口に流入した気泡を貯留タンク7側に抜けるようにしているので、ポンプ3の起動時におけるキャビテーションを防止することができる。
【0108】
<変形例8>
図17は、変形例8であるエジェクタ冷凍装置64の構成を示す回路図である。エジェクタ冷凍装置64は、
図12に示したエジェクタ冷凍装置61に対し、膨張弁5と蒸発器6とを接続する管路と、凝縮器2と貯留タンク7とを接続する管路との間を接続する貯留タンク接続管路L11と、貯留タンク接続管路L11に設けられた第3開閉制御弁V13とをさらに設けている。
【0109】
そして、制御部C64は、装置運転中に蒸気生成器4の冷媒出口側の過熱度が予め設定された所定過熱度以下になった場合、膨張弁5を閉にした後、第2開閉制御弁V12を閉にするとともに第3開閉制御弁V13を開にし、ポンプ3を所定時間、駆動し続け、その後、第1開閉制御弁V11を閉にするとともに第3開閉制御弁V13を閉にしてポンプ3を停止し、さらに開閉制御弁20,21を閉にする運転停止処理を行って装置を停止する。このポンプ3の所定時間の駆動により、冷媒回収流路R12が形成され、冷媒が貯留タンク7に貯留される。
【0110】
なお、蒸発器6の下端が貯留タンク7の上端より上方とすると、第1開閉制御弁V11の開により、ポンプ3の運転がなくても重力により蒸発器6内の液冷媒を貯留タンク7に回収することが可能になる。
【0111】
<運転停止処理>
図18は、
図17に示したエジェクタ冷凍装置64の制御部C64による運転停止処理手順を示すフローチャートである。なお、この運転停止処理は、
図2に示した運転停止処理(ステップS160)に対応するサブルーチンである。まず、制御部C64は、膨張弁5を閉(全閉)にする(ステップS1110)。さらに、第2開閉制御弁V12を閉にするとともに第3開閉制御弁V13を開にする(ステップS1120)。なお、この状態で、第1開閉制御弁V11は、開となっている。この結果、第1開閉制御弁V11、蒸発器6、第3開閉制御弁V13を介して冷媒が貯留タンク7に回収される冷媒回収流路R12が形成される。
【0112】
その後、所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS1130)。所定時間が経過しない場合(ステップS1130:No)には、本判定処理を繰り返す。この所定時間を経過するまで、冷媒回収流路R12により冷媒が貯留タンク7に移動する。
【0113】
一方、所定時間が経過した場合(ステップS1130:Yes)には、第1開閉制御弁V11を閉にするとともに第3開閉制御弁V13を閉にし(ステップS1140)、ポンプ3を停止する(ステップS1150)。その後、制御部C64は、開閉制御弁20,21を閉にして(ステップS1160)、ステップS180にリターンする。
【0114】
<変形例9>
図19は、変形例9であるエジェクタ冷凍装置65の構成を示す回路図である。エジェクタ冷凍装置65は、
図12に示したエジェクタ冷凍装置61に対し、膨張弁5と蒸発器6とを接続する管路と、第2開閉制御弁V12と凝縮器2とを接続する管路との間を接続する凝縮器接続管路L12と、凝縮器接続管路L12に設けられた第4開閉制御弁V14とをさらに設けている。
【0115】
そして、制御部C65は、装置運転中に蒸気生成器4の冷媒出口側の過熱度が予め設定された所定過熱度以下になった場合、膨張弁5を閉にした後、第2開閉制御弁V12を閉にするとともに第4開閉制御弁を開にし、ポンプ3を所定時間、駆動し続け、その後、第1開閉制御弁V11を閉にするとともに第4開閉制御弁V14を閉にしてポンプ3を停止し、さらに開閉制御弁20,21を閉にする運転停止処理を行って装置を停止する。このポンプ3の所定時間の駆動により、冷媒回収流路R13が形成され、冷媒が凝縮器2を介して貯留タンク7に貯留される。
【0116】
本変形例9では、蒸発器6を通過した冷媒がエジェクタ1と凝縮器2との間の管路を介して凝縮器2に流入し、凝縮器2において冷媒の放熱を行うようにしている。これにより、冷水生成された冷水を利用する装置側の負荷が装置の運転停止等で小さくなった場合、蒸発器6を通過した冷媒温度が冷媒の凝縮温度よりも高くなる状態が発生する可能性があるが、この場合、凝縮器2で放熱されるため、運転停止処理時の冷媒回収運転時に高温の冷媒が貯留タンク7内に直接流入し、貯留タンク7内の液相冷媒が蒸発してしまうことを防止することができる。
【0117】
<運転停止処理>
図20は、
図19に示したエジェクタ冷凍装置65の制御部C65による運転停止処理手順を示すフローチャートである。なお、この運転停止処理は、
図2に示した運転停止処理(ステップS160)に対応するサブルーチンである。まず、制御部C65は、膨張弁5を閉(全閉)にする(ステップS1210)。さらに、第2開閉制御弁V12を閉にするとともに第4開閉制御弁V14を開にする(ステップS1220)。なお、この状態で、第1開閉制御弁V11は、開となっている。この結果、第1開閉制御弁V11、蒸発器6、第4開閉制御弁V14、凝縮器2を介して冷媒が貯留タンク7に回収される冷媒回収流路R13が形成される。
【0118】
その後、所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS1230)。所定時間が経過しない場合(ステップS1230:No)には、本判定処理を繰り返す。この所定時間を経過するまで、冷媒回収流路R13により冷媒が貯留タンク7に移動する。
【0119】
一方、所定時間が経過した場合(ステップS1230:Yes)には、第1開閉制御弁V11を閉にするとともに第4開閉制御弁V14を閉にし(ステップS1240)、ポンプ3を停止する(ステップS1250)。その後、制御部C65は、開閉制御弁20,21を閉にして(ステップS1260)、ステップS180にリターンする。
【0120】
なお、実施の形態3、変形例6~9を変形例2,3に適用する場合、上記の運転停止処理は、ステップ360、ステップS560,S640に対応するサブルーチンとなる。
【0121】
また、実施の形態2,3及びこれらに対する変形例は、実施の形態1における蒸気生成器4の開閉制御弁20,21などの弁機構及び弁制御を構成しなくても、単独で運転停止処理を行うことができる。これにより、ポンプ起動時のキャビテーション発生を抑えることができる。
【0122】
[実施の形態4]
図21は、本発明の実施の形態4であるエジェクタ冷凍装置71の構成を示す回路図である。本実施の形態4は、凝縮器2の冷媒出口PT1又は凝縮器2の下流側に配置される貯留タンク7の冷媒出口PT7を、蒸気生成器4の冷媒出口PT4よりも鉛直上方に配置してポンプ3の必要吸込みヘッドを確保し、ポンプ3の起動時におけるキャビテーションの発生を防止しようとするものである。
【0123】
図21では、ポンプ3の吸込み口PT2を基準として、貯留タンク7の冷媒出口PT7の高さhcoが、蒸気生成器4の冷媒出口PT4の高さhgoよりも上方となるように配置している。このとき、高さ(ヘッド差)hcoは、必要吸込みヘッドNPSHRよりも大きくなるように配置される。
【0124】
図22は、エジェクタ冷凍装置71の運転停止時であって蒸気生成器4の熱交換が不十分な場合における液相冷媒の状態を示す模式図である。
図22に示すように、運転停止時には、貯留タンク7内の液相冷媒の液面、膨張弁5の上部の液相冷媒の液面、及び、蒸気生成器4の上部の液相冷媒の液面の各高さは等しい。
【0125】
図23は、エジェクタ冷凍装置71の運転開始時であって蒸気生成器4の熱交換が不十分な場合における液相冷媒の状態を示す模式図である。
図23に示すように、運転開始時において、蒸気生成器4の熱交換が不十分な状態である場合、蒸気生成器4側の液相冷媒は、液相のままエジェクタ1側に吐出され、さらには、凝縮器2を介して貯留タンク7側に吐出して一巡する場合がある。液相冷媒が一巡しない場合であっても、配管内容積は、蒸気生成器容積よりも十分小さいため、貯留タンク7のヘッド差hcLの低下は小さく無視できる。
【0126】
上記の
図21は、エジェクタ冷凍装置71が蒸気生成器4の熱交換が十分な場合の定常運転状態における液相冷媒の状態を示している。蒸気生成器7では、十分な熱交換が行われ、冷媒が気相になってエジェクタ1側に吐出され、蒸気生成器7側のヘッド差は、低くなる。これにより、キャビテーション発生を防止できるとともに、ポンプ3の消費電力を低減することができる。
【0127】
なお、運転停止後、温度及び圧力が均一になる十分な時間が経過すると、再び、
図22に示した液相冷媒の状態に戻る。
【0128】
<運転制御処理>
図24は、
図21に示したエジェクタ冷凍装置71の制御部C71による運転制御処理手順を示すフローチャートである。まず、制御部C71は、冷却運転開始指示を受ける(ステップS1310)と、状態確認を行う(ステップS1320)。この状態確認は、異常検知などのセルフチェックである。その後、ポンプ3を起動する(ステップS1330)。なお、膨張弁5は運転停止時に閉じられ、このポンプ3の起動時、膨張弁5は閉止している。
【0129】
その後、蒸気生成器4の熱交換が十分であるか否かを確認するため、冷媒温度センサ22の冷媒温度T1と冷媒圧力センサ23の冷媒圧力P1とから算出される過熱度ΔTgを算出する(ステップS1340)。そして、過熱度ΔTgが所定過熱度ΔTgoよりも大きくなったか否かを判定する(ステップS1350)。過熱度ΔTgが所定過熱度ΔTgoよりも大きくない場合(ステップS1350:No)には、ステップS1340に戻り、過熱度ΔTgが所定過熱度ΔTgoよりも大きい場合(ステップS1350:Yes)には、膨張弁5の開度を最小開度Nminまで開く(ステップS1360)。
【0130】
その後、蒸発器6の冷水出口の配管に設置した冷水温度センサ70が検出する冷水温度TWを取得し、冷水温度TWから制御目標温度TOを減算した差分が所定温度差ΔTW以上であるか否かを判定する(ステップS1370)。差分が所定温度差ΔTW以上である場合(ステップS1370:Yes)には、膨張弁5の開度をnパルス分開き(ステップS1380)、ステップS1370に移行する。一方、差分が所定温度差ΔTW以上でない場合(ステップS1370:No)には、差分が所定温度差ΔTW未満であるか否かを判定する(ステップS1390)。差分が所定温度差ΔTW未満である場合(ステップS1390:Yes)には、膨張弁5の開度をnパルス分閉じ(ステップS1400)、ステップS1370に移行する。
【0131】
一方、差分が所定温度差ΔTW未満でない場合(ステップS1390:No)には、冷却運転停止指示を受けて(ステップS1410)、運転停止制御を行って(ステップS1420)、本処理を終了する。
【0132】
なお、実施の形態1~3における蒸気生成器4の開閉制御弁などの弁機構及び弁制御は省略している。また、これらの弁機構及び弁制御を構成しなくても、単独で運転を行うことができる。これにより、ポンプ起動時のキャビテーション発生を抑えることができるとともに、ポンプ3の消費電力を低減することができる。
【0133】
また、上記の実施の形態及び変形例で図示した各構成は機能概略的なものであり、必ずしも物理的に図示の構成をされていることを要しない。すなわち、各装置及び構成要素の分散・統合の形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を各種の使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【符号の説明】
【0134】
1 エジェクタ
2 凝縮器
3 ポンプ
4 蒸気生成器
5 膨張弁
6 蒸発器
7 貯留タンク
11~13,51~53,61~65,71 エジェクタ冷凍装置
20,21,41 開閉制御弁
22 冷媒温度センサ
23 冷媒圧力センサ
24 熱源温度センサ
30,31,40 逆止弁
70 冷水温度センサ
C1~C3,C51~C53,C61~C65,C71 制御部
h,hcL ヘッド差
L1 循環経路
L2 分岐経路
L10 管路
L11 貯留タンク接続管路
L12 凝縮器接続管路
Nmin 最小開度
P1 冷媒圧力
PD 差圧センサ
PT1,PT4,PT7 冷媒出口
PT2 吸込み口
R1,R11,R12,R13 冷媒回収流路
Sh 液面検知センサ
T1 冷媒温度
T2 熱源温度
TO 制御目標温度
TW 冷水温度
ts 時点
V1 冷媒移動用開閉制御弁
V11 第1開閉制御弁
V12 第2開閉制御弁
V13 第3開閉制御弁
V14 第4開閉制御弁
VB1 冷媒移動用逆止弁
ΔP 差圧
ΔT 所定周期時間
ΔTW 所定温度差
ΔTg 過熱度
ΔTgo 所定過熱度