(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】車両のスロープ操作装置およびドア操作装置
(51)【国際特許分類】
B60R 3/00 20060101AFI20241217BHJP
B60J 5/06 20060101ALI20241217BHJP
B60J 5/04 20060101ALI20241217BHJP
B60J 5/00 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
B60R3/00
B60J5/06 A
B60J5/04 C
B60J5/00 H
(21)【出願番号】P 2021052633
(22)【出願日】2021-03-26
【審査請求日】2023-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡留 宏将
(72)【発明者】
【氏名】大矢 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】石田 直也
(72)【発明者】
【氏名】伊達 智啓
【審査官】高島 壮基
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-035975(JP,A)
【文献】特開2007-032139(JP,A)
【文献】特開2021-008139(JP,A)
【文献】特開2018-024397(JP,A)
【文献】実開平06-067187(JP,U)
【文献】特開2007-023620(JP,A)
【文献】特開2010-216100(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 3/06
B60J 5/00
5/04
5/06
B60P 1/43
3/00
B60R 3/00- 3/04
B60W 30/00-60/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両乗降口の下側から車両外方に展開されるスロープが搭載された車両、のスロープ操作装置であって、
車室内または車両外面に設けられ、操作されることで前記スロープが展開または格納されるスロープ・ボタンと、
前記スロープ・ボタンによるスロープの展開指令または格納指令に従って前記スロープの展開格納を制御するスロープ制御部と、
前記車室内の乗務員席にいる乗務員から操作される乗務員ボタンと、
無効化スイッチと、
前記乗務員ボタンの操作による切替指令を受けて、前記無効化スイッチのオン・オフを切り替える無効化スイッチ制御部と、を備え、
前記スロープ制御部は、
前記無効化スイッチがオンの際には、前記スロープ・ボタンからの前記スロープの展開指令および格納指令を無効にし、前記無効化スイッチがオフの際には、それらの指令を有効に
し、
前記無効化スイッチ制御部は、
前記スロープの展開動作または格納動作が完了した際には、前記無効化スイッチをオフからオンに自動的に切り替える、
ことを特徴とする車両のスロープ操作装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両のスロープ操作装置において、
前記車両の走行を検知するセンサ
、をさらに備え、
前記無効化スイッチ制御部は、
前記センサにより前記車両の走行が検知されている間、前記乗務員ボタンからの前記無効化スイッチをオンからオフにする切替指令を無効にする、
ことを特徴とする車両のスロープ操作装置。
【請求項3】
車両のドア操作装置であって、
車室内または車両外面に設けられ、操作されることで車両のドアが開かれ、または、閉じられるドア・ボタンと、
前記ドア・ボタンによるドアの開指令または閉指令に従って前記ドアの開閉を制御するドア制御部と、
前記車室内の乗務員席にいる乗務員から操作される乗務員ボタンと、
無効化スイッチと、
前記乗務員ボタンの操作による切替指令を受けて、前記無効化スイッチのオン・オフを切り替える無効化スイッチ制御部と、を備え、
前記ドア制御部は、
前記無効化スイッチがオンの際には、前記ドア・ボタンからの前記ドアの開指令および閉指令を無効にし、前記無効化スイッチがオフの際には、それらの指令を有効に
し、
前記無効化スイッチ制御部は、
前記ドアの開動作または閉動作が完了した際には、前記無効化スイッチをオフからオンに自動的に切り替える、
ことを特徴とする車両のドア操作装置。
【請求項4】
請求項
3に記載の車両のドア操作装置において、
前記車両の走行を検知するセンサ
、をさらに備え、
前記無効化スイッチ制御部は、
前記センサにより前記車両の走行が検知されている間、前記乗務員ボタンからの前記無効化スイッチをオンからオフにする切替指令を無効にする、
ことを特徴とする車両のドア操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のスロープ操作装置およびドア操作装置に関し、特に、スロープの展開格納を操作する装置、および、ドアの開閉を操作する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、歩道や道路等から車椅子、ベビーカー、大型キャリーカート等が車両内へ容易に乗り入れできるように、電動スロープを搭載した車両がある。スロープは、車両乗降口の下側から歩道、道路等に展開される。スロープの展開格納は、車室内または車両外面に設けられたボタンを人が操作することで行われる。
【0003】
また、従来、電動ドアを搭載した車両がある。ドアの開閉も、車室内または車両外面に設けられたボタンを人が操作することで行われる。
【0004】
特許文献1には、リヤゲート(バックドア)に配設されて、操作されることでリヤゲートが電動で開かれるリヤゲートオープンスイッチを備える車両に関し、車速が所定速度を超えるとリヤゲートオープンスイッチの操作を無効にすると共に、車両が停止状態かつ乗員ドアの少なくとも1つが開状態になった場合に、リヤゲートオープンスイッチの操作無効を解除する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、電動スロープを搭載した車両において、車室内または車両外面に設けられたボタンの操作により、不用意にスロープの展開動作または格納動作が開始されてしまう虞がある。同様に、電動ドアを搭載した車両において、車室内または車両外面に設けられたボタンの操作により、不用意にドアの開動作または閉動作が開始されてしまう虞がある。車両において、不用意なスロープの展開格納、またはドアの開閉を防ぐことができるようにすることが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る車両のスロープ操作装置は、車両乗降口の下側から車両外方に展開されるスロープが搭載された車両、のスロープ操作装置であって、車室内または車両外面に設けられ、操作されることで前記スロープが展開または格納されるスロープ・ボタンと、前記車室内の乗務員席にいる乗務員から操作されることでオン・オフが切り替えられる無効化スイッチと、前記スロープ・ボタンによるスロープの展開指令または格納指令に従って前記スロープの展開格納を制御するスロープ制御部と、を備え、前記スロープ制御部は、前記無効化スイッチがオンの際には、前記スロープ・ボタンからの前記スロープの展開指令および格納指令を無効にし、前記無効化スイッチがオフの際には、それらの指令を有効にする、ことを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、無効化スイッチがオンの際には、スロープ・ボタンの操作によるスロープの展開指令または格納指令が無効とされるため、不用意なスロープの展開格納を防ぐことができる。
【0009】
本発明に係る車両のスロープ操作装置において、前記乗務員から操作される乗務員ボタンと、前記乗務員ボタンの操作による切替指令を受けて、前記無効化スイッチのオン・オフを切り替える無効化スイッチ制御部と、車両の走行を検知するセンサと、をさらに備え、前記無効化スイッチ制御部は、前記センサにより前記車両の走行が検知されている間、前記乗務員ボタンからの前記無効化スイッチをオンからオフにする切替指令を無効にする、としてもよい。
【0010】
この構成によれば、車両走行中に、不用意に無効化スイッチがオンからオフにされることを防ぐことができる。
【0011】
本発明に係る車両のスロープ操作装置において、前記乗務員から操作される乗務員ボタンと、前記乗務員ボタンの操作による切替指令を受けて、前記無効化スイッチのオン・オフを切り替える無効化スイッチ制御部と、をさらに備え、前記無効化スイッチ制御部は、前記スロープの展開動作または格納動作が完了した際には、前記無効化スイッチをオフからオンに自動的に切り替える、としてもよい。
【0012】
この構成によれば、スロープの展開動作または格納動作が完了した後に、乗務員が無効化スイッチを操作することなく、それをオンにすることができる。
【0013】
本発明に係る車両のドア操作装置は、車室内または車両外面に設けられ、操作されることで車両のドアが開かれ、または、閉じられるドア・ボタンと、前記車室内の乗務員席にいる乗務員から操作されることでオン・オフが切り替えられる無効化スイッチと、前記ドア・ボタンによるドアの開指令または閉指令に従って前記ドアの開閉を制御するドア制御部と、を備え、前記ドア制御部は、前記無効化スイッチがオンの際には、前記ドア・ボタンからの前記ドアの開指令および閉指令を無効にし、前記無効化スイッチがオフの際には、それらの指令を有効にする、ことを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、無効化スイッチがオンの際には、ドア・ボタンの操作によるドアの開指令または閉指令が無効とされるため、不用意なドアの開閉を防ぐことができる。
【0015】
本発明に係る車両のドア操作装置において、前記乗務員から操作される乗務員ボタンと、前記乗務員ボタンの操作による切替指令を受けて、前記無効化スイッチのオン・オフを切り替える無効化スイッチ制御部と、車両の走行を検知するセンサと、をさらに備え、前記無効化スイッチ制御部は、前記センサにより前記車両の走行が検知されている間、前記乗務員ボタンからの前記無効化スイッチをオンからオフにする切替指令を無効にする、としてもよい。
【0016】
この構成によれば、車両走行中に、不用意に無効化スイッチがオンからオフにされることを防ぐことができる。
【0017】
本発明に係る車両のドア操作装置において、前記乗務員から操作される乗務員ボタンと、前記乗務員ボタンの操作による切替指令を受けて、前記無効化スイッチのオン・オフを切り替える無効化スイッチ制御部と、をさらに備え、前記無効化スイッチ制御部は、前記ドアの開動作または閉動作が完了した際には、前記無効化スイッチをオフからオンに自動的に切り替える、としてもよい。
【0018】
この構成によれば、ドアの開動作または閉動作が完了した後に、乗務員が無効化スイッチを操作することなく、それをオンにすることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、車両における不用意なスロープの展開格納、またはドアの開閉を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図2】車両のドアが開いた状態を示す斜視図である。
【
図3】車両のドアが開くと共にスロープが展開した状態を示す斜視図である。
【
図5】車両の車室内にあるドア・ボタンおよびスロープ・ボタンを示す図である。
【
図7A】スロープ用乗務員ボタンの点灯状態を示す斜視図である。
【
図7B】スロープ用乗務員ボタンの消灯状態を示す斜視図である。
【
図8A】ドア用乗務員ボタンの点灯状態を示す斜視図である。
【
図8B】ドア用乗務員ボタンの消灯状態を示す斜視図である。
【
図10】スロープ用無効化スイッチの状態遷移図である。
【
図12】ドア用無効化スイッチの状態遷移図である。
【
図13】別のスロープ操作装置の機能ブロック図である。
【
図14】別のドア操作装置の機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の各実施形態を図面に従って説明する。以下で述べる構成は、説明のための例示であって、車両の仕様等に合わせて適宜変更が可能である。全ての図面において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。以下の説明において、特段の断りがない限り、前後左右上下等の方向および向きを表す語句は、車両に関する方向および向きを表す。各図において、矢印FRの向きが前方、矢印UPの向きが上方、矢印LHの向きが左方を表す。
【0022】
図1は、実施形態に係る車両10の斜視図であり、
図2は、車両10のドア42が開いた状態を示す斜視図であり、
図3は、車両10のドア42が開くと共にスロープ52が展開した状態を示す斜視図である。なお、
図2、3では車室内が簡略化して描かれている。
【0023】
車両10は、略直方体の電気自動車であって、自動運転可能な車両である。具体的には、車両10は、自動運転モード及び手動運転モードを含む複数の運転モードで運転することが可能となっている。
【0024】
車両10は、不特定多数の乗員が乗り合うバスとして利用される。ただし、車両10の利用形態は、適宜、変更可能である。例えば、車両10は、各種商品を陳列販売する小売店、飲食物を調理提供する飲食店等の店舗として用いられてもよい。また、車両10は、事務作業又は顧客との打ち合わせ等を行うためのオフィスとして用いられてもよい。また、車両10は、顧客又は荷物を輸送するタクシー、運送用車両等として用いられてもよい。車両10の利用シーンは、ビジネスに限らず、例えば、個人の移動手段として用いられてもよい。
【0025】
車両10は、車体下部の骨格を形成するベースフレーム17と、ベースフレーム17に取り付けられた車両駆動ユニット18と、ベースフレーム17の上側に設けられて、車室の床を形成する床下パネル20(
図2参照)と、車体上部の外郭を形成するボデー22とを備える。車体の一方側の側部には、乗降口24が形成されている。乗降口24は、前後方向の略中央にあり、車両走行時はドア42により閉じられている。また、車両10は、乗降口24の下側から車両外方に展開するスロープ52(
図3参照)を備える。スロープ52は、格納状態では、ベースフレーム17と床下パネル20の間の隙間に位置する。
【0026】
ドア42は、スライドドアであり、車体外面のドア・ボタン30、31又は車室内のドア・ボタン32(
図5参照)の操作により、前方側ドア42が前方に移動すると共に、後方側ドア42が後方に移動することで、乗降口24が開かれる。
【0027】
スロープ52は、
図3に示すように、例えば3つのスロープ板52A、52B、52Cを含む。車体外面のスロープ・ボタン36又は車室内のスロープ・ボタン37(
図5参照)の操作により、スロープ52が車両外方に展開する。具体的には、スロープ・ボタン36又は37が押下された際には、まず、スロープ板52Aが繰り出され、次にスロープ板52Bが、繰り出し済みのスロープ板52Aにガイドされながら繰り出され、さらにスロープ板52Cが、繰り出し済みのスロープ板52Bにガイドされながら繰り出される。そして、スロープ板52Cの先端が歩道、道路などに接すると、スロープ52の展開動作が完了する。
【0028】
図4は、車両10の車室内を示す斜視図であり、
図5は、車両10の車室内にあるドア・ボタン32およびスロープ・ボタン37を示す図であり、
図6は、車両10の車室内を示す別の斜視図である。
図4に示すように、車室内の中央部は、立って乗車する乗客のため、又は、乗客が座った車椅子を載置するためのフロアとなっている。また、車室内の側壁に沿って、乗客用の座席80が設けられている。
【0029】
車両には、自動運転制御、及び、車両に設けられた各機器(エアコン、ワイパなど)の操作を行う乗務員用の乗務員席82が設けられている。
図4では、乗務員席82の座部82aが下げられ座面82bが現れた状態が示されているが、座部82aは跳ね上げ可能となっている。乗務員席82は、車室内の左側面であってドア42の前側近傍に設けられている。
【0030】
乗務員席82の前側には、乗務員席82に座った乗務員が腕を置くための前後方向に伸長したアームレスト83が設けられている。アームレスト83は、車室内の左側端部に配置されており、着座可能状態における乗務員席82の座面82bよりも上側に設けられている。
【0031】
アームレスト83の前端部には、アームレスト83の上面から上側に立設したタッチパネル88(
図6参照)が設けられている。タッチパネル88は、後側(つまり乗務員席82側)を向いている。よって、乗務員は、乗務員席82に座り、腕をアームレスト83に置きながら、手でタッチパネル88を操作することが可能になっている。タッチパネル88によって、自動運転モード中における車速制御指示の入力、及び、車両に設けられた機器(ウィンカ、ホーン、ヘッドライト、エアコン、ワイパなど)に対する機器制御指示の入力が可能となっている。
【0032】
また、アームレスト83には、車両に対して、運転制御指示を入力するための機械式操作部を格納する格納部84が設けられている。格納部84は蓋85によって覆われており、格納部84に格納されている状態では機械式操作部は車室内に露出していない。アームレスト83の上面と蓋85とは、面一となっている。機械式操作部は、主に、車両の運転モードが手動運転モードである場合に格納部84から引き出される。機械式操作部は、例えば、下端を支点として前後左右方向に倒すことが可能な、上下方向に伸長するスティック状の部材である。機械式操作部を前後に倒すことで車両10を加減速させることが可能であり、機械式操作部を左右に倒すことで車両10を左右に旋回させることが可能となっている。
【0033】
アームレスト83の上面には、後で詳細に説明する、スロープ用乗務員ボタン60Aとドア用乗務員ボタン60Bが設けられている。
【0034】
また、車室内の前側左隅には、車両に関する情報が表示されるディスプレイ89(
図6参照)が設けられている。ディスプレイ89には、例えば、車両の車速、外気温、次に停止する停留所などの情報が表示される。タッチパネル88と同様に、ディスプレイ89も表示面が後側を向いており、これにより乗務員席82に座った乗務員から見ると、タッチパネル88とディスプレイ89とが並んで見えるようになっている。
【0035】
また、
図5に示すように、床下パネル20の下側であって乗降口24の手前側(車両右側)には、スロープ52を格納する格納部86が形成されている。スロープ52は、展開時には、格納部86から車両外方に展開され、格納時には、車両外方から格納部86内に戻るようになっている。
【0036】
次に、車両10のドア操作装置とスロープ操作装置について詳しく説明する。車両10は、3つのドア・ボタン30,31,32と、2つのスロープ・ボタン36,37を備える。
図1に示すように、ドア・ボタン30は、ドア42の外面に設けられており、ドア・ボタン31は、乗降口15よりも後側の車体側面に設けられている。また、
図5に示すように、ドア・ボタン32は、車室内に設けられており、ドア42の近傍であって乗務員席82の後側、かつ、乗務員席82の上側に設けられている。
【0037】
ドア・ボタン30,31,32は、人の指等により押されることでスイッチが閉じられ、または、開かれて、ボタン操作が検出される形式のボタン(押しボタン形式のボタンとも言う)である。ドア42が閉まっている際に、ドア・ボタン30,31,32のいずれか1つが押下されることで、ドア開指令がドア制御部(後述)に出され、それによりドア42が開くようになっている。また、ドア42が開いている際に、ドア・ボタン30,31,32のいずれか1つが押下されることで、ドア閉指令がドア制御部に出されて、それによりドア42が閉まるようになっている。
【0038】
また、
図1に示すように、スロープ・ボタン36は、乗降口15よりも後側の車体側面に設けられている。スロープ・ボタン37は、
図5に示すように、車室内に設けられており、ドア42の近傍であって乗務員席82の後側、かつ、乗務員席82の上側に設けられている。
【0039】
スロープ・ボタン36,37は、ドア・ボタン30,31,32と同様に、押しボタン形式のボタンである。スロープ52の格納状態において、スロープ・ボタン36,37のいずれか1つが押下されることで、スロープ展開指令がスロープ制御部(後述)に出され、それによりスロープ52が車両外方に展開するようになっている。また、スロープ52が展開した状態において、スロープ・ボタン36,37のいずれか1つが押下されることで、スロープ格納指令がスロープ制御部に出されて、それによりスロープ52が車両外方から車両内に格納されるようになっている。
【0040】
なお、本実施形態では、乗降口15よりも後側の車体側面にドア・ボタン31とスロープ・ボタン36を設けているが、乗降口15よりも前側の車体側面にそれらを設けてもよい。また、ドア・ボタン31とスロープ・ボタン36を1つに統一して、ドア・スロープ・ボタンとしてもよい。この場合、ドア42が閉状態、かつ、スロープ52が格納状態において、ドア・スロープ・ボタンが押下されることで、ドア開指令がドア制御部に出されると共にスロープ展開指令がスロープ制御部に出され、それによりドア42が開くと共にスロープ52が展開するようにする。また、ドア42が開状態、かつ、スロープ52が展開状態において、ドア・スロープ・ボタンが押下されることで、ドア閉指令がドア制御部に出されると共にスロープ格納指令がスロープ制御部に出され、それによりドア42が閉まると共にスロープ52が格納されるようにする。
【0041】
上記したように、アームレスト83(
図6参照)の上面には、スロープ用乗務員ボタン60Aとドア用乗務員ボタン60Bが設けられている。
図7A、7Bは、スロープ用乗務員ボタン60Aの斜視図であり、
図7Aはそのボタンの点灯状態を示し、
図7Bはそのボタンの消灯状態を示す。スロープ用乗務員ボタン60A(単に乗務員ボタン60Aとも言う)は、押しボタン形式のボタンである。乗務員ボタン60Aは、アームレスト83の上面に固定されたベース部63Aと、ベース部63Aに対して押し下げ可能なようにその内側に配置された操作部61Aとを備える。操作部61Aは、半透明または透明の部材であり、中央部分に「スロープ操作無効」という文字が印刷されており、内部にランプ62Aを備えている。ランプ62Aは、スロープ用無効化スイッチ(後述)がオン状態の際に、
図7Aのように点灯し、そのスイッチがオフ状態の際に、
図7Bのように消灯する。
【0042】
図8A、8Bは、ドア用乗務員ボタン60Bの斜視図であり、
図8Aはそのボタンの点灯状態を示し、
図8Bはそのボタンの消灯状態を示す。ドア用乗務員ボタン60B(単に乗務員ボタン60Bとも言う)は、スロープ用乗務員ボタン60Aと同様のボタンであり、押しボタン形式のボタンである。乗務員ボタン60Bも、アームレスト83の上面に固定されたベース部63Bと、ベース部63Bに対して押し下げ可能なようにその内側に配置された操作部61Bとを備える。操作部61Bは、半透明または透明の部材であり、中央部分に「ドア操作無効」という文字が印刷されており、内部にランプ62Bを備えている。ランプ62Bは、ドア用無効化スイッチ(後述)がオン状態の際に、
図8Aのように点灯し、そのスイッチがオフ状態の際に、
図8Bのように消灯する。
【0043】
図9は、スロープ操作装置14の機能ブロック図である。スロープ操作装置14は、スロープ・ボタン36,37と、スロープ制御部56と、スロープ装置50と、スロープ用無効化スイッチ66A(単に無効化スイッチ66Aとも言う)と、スロープ用無効化スイッチ制御部64A(単に無効化スイッチ制御部64Aとも言う)と、スロープ用乗務員ボタン60Aと、走行検知センサ70とを備える。
【0044】
スロープ制御部56は、CPUを有するプロセッサと、制御プログラム等を記憶したメモリとを含み、プロセッサは、メモリに記憶された制御プログラムに従って動作することで、スロープ装置50を制御する。なお、プロセッサは、CPUに代えて、またはそれとともにASIC(Application Specific Integrated Circuit)等を含んでもよい。
【0045】
スロープ装置50は、スロープ52と、スロープ52を展開及び格納させるアクチュエータであるスロープ展開格納機構51とを含む。
【0046】
無効化スイッチ66Aは、本実施形態ではリレースイッチである。無効化スイッチ制御部64Aは、CPUを有するプロセッサと、制御プログラム等を記憶したメモリとを含み、プロセッサは、メモリに記憶された制御プログラムに従って動作することで、無効化スイッチ66Aを制御する。なお、無効化スイッチ制御部64Aのプロセッサは、CPUに代えて、またはそれとともにASIC等を含んでもよい。なお、本実施形態では、スロープ制御部56と無効化スイッチ制御部64Aとが別体となっているが、それらは一体の制御部であってもよい。
【0047】
走行検知センサ70は、車両が停止状態と走行状態のどちらにあるのかを示す検知結果を出力する機器である。走行検知センサ70の検知結果は、無効化スイッチ制御部64Aに入力される。本実施形態では、走行検知センサ70は、車両の速度を検知する速度センサであり、無効化スイッチ制御部64Aは、速度センサの検知結果(車速)が0の場合には車両が停止状態であると判断し、その検知結果が0以外の場合には車両が走行状態であると判断する。
【0048】
なお、走行検知センサ70は、無効化スイッチ制御部64Aが車両の停止状態または走行状態を判断できる限りにおいて、様々な機器を採用することができる。例えば、走行検知センサ70は、車両のシフト装置のレンジ状態(Pレンジ、Dレンジ等)を検知するセンサであってもよく、その場合、無効化スイッチ制御部64Aは、例えば、シフト装置がPレンジ(駐車レンジ)状態の場合には車両が停止状態であると判断し、シフト装置がPレンジ以外の状態の場合には車両が走行状態であると判断する。また、例えば、走行検知センサ70は、車両の電動パーキングブレーキの状態を検知するセンサであってもよく、その場合、無効化スイッチ制御部64Aは、電動パーキングブレーキが作動状態である場合には車両が停止状態であると判断し、電動パーキングブレーキが解除状態の場合には車両が走行状態であると判断する。なお、走行検知センサ70は、シフト装置のレンジ状態、または、電動パーキングブレーキの作動・解除状態を認識するコントローラ等であってもよい。
【0049】
スロープ制御部56には、スロープ・ボタン36,37と、スロープ装置50のスロープ展開格納機構51と、無効化スイッチ66Aと、無効化スイッチ制御部64Aとが電気的に接続されている。無効化スイッチ制御部64Aには、無効化スイッチ66Aと、スロープ制御部56と、走行検知センサ70と、乗務員ボタン60Aとが電気的に接続されている。
【0050】
無効化スイッチ66Aは、無効化スイッチ制御部64Aを介して、乗務員ボタン60Aによりオン・オフが切り替えられる。無効化スイッチ制御部64Aは、無効化スイッチ66Aのオン状態において、乗務員ボタン60Aが押下された際には、無効化スイッチ66Aをオンからオフに切り替える。但し、以下で説明するように、車両走行時は、無効化スイッチ66Aのオンからオフへの切り替えが制限される。また、無効化スイッチ制御部64Aは、無効化スイッチ66Aのオフ状態において、乗務員ボタン60Aが押下された際には、無効化スイッチ66Aをオフからオンに切り替える。
【0051】
なお、無効化スイッチ制御部64Aは、無効化スイッチ66Aがオン状態の場合には、乗務員ボタン60Aのランプ62Aを点灯させ(
図7A参照)、無効化スイッチ66Aがオフ状態の場合には、乗務員ボタン60Aのランプ62Aを消灯させる(
図7B参照)。そのため、乗務員は、ランプ62Aの点灯時における乗務員ボタン60Aの押下が無効化スイッチ66Aをオンからオフにする切替指令であり、ランプ62Aの消灯時における乗務員ボタン60Aの押下が無効化スイッチ66Aをオフからオンにする切替指令であることを把握することができる。
【0052】
スロープ制御部56は、無効化スイッチ66Aがオフである場合には、スロープ・ボタン36,37の操作によるスロープの展開指令または格納指令を受け入れる。すなわち、スロープ制御部56は、スロープ52が格納状態の場合に、スロープ・ボタン36,37のいずれか1つが押下された際にはスロープ展開指令が出されたと判断し、スロープ展開格納機構51を制御してスロープ52を展開させる。また、スロープ制御部56は、スロープ52が展開状態の場合に、スロープ・ボタン36,37のいずれか1つが押下された際にはスロープ格納指令が出されたと判断し、スロープ展開格納機構51を制御してスロープ52を格納させる。
【0053】
一方、スロープ制御部56は、無効化スイッチ66Aがオンである場合には、スロープ・ボタン36,37の操作によるスロープの展開指令または格納指令を無効とする。すなわち、スロープ制御部56は、スロープ・ボタン36,37の操作を無視して、スロープ52の展開動作または格納動作を行わない。これにより、スロープ・ボタン36,37が乗客等により不用意に操作されて、スロープ52の展開動作または格納動作が不用意に開始されてしまう事態を回避することができる。
【0054】
図10は、無効化スイッチ66Aの状態遷移図である。無効化スイッチ制御部64Aは、無効化スイッチ66Aのオン状態において、走行検知センサ70(
図9参照)の検知結果から車両が停止状態であると判断し、かつ、乗務員ボタン60Aが押下された際(条件A)には、無効化スイッチ66Aをオン状態からオフ状態に切り換える。
【0055】
一方、無効化スイッチ制御部64Aは、無効化スイッチ66Aのオン状態において、走行検知センサ70の検知結果から車両が走行状態であると判断している間は、乗務員ボタン60Aが押下された場合であっても、無効化スイッチ66Aのオン状態を維持する。すなわち、乗務員ボタン60Aからの無効化スイッチ66Aをオンからオフにする切替指令を無効にする。これにより、車両走行中に、乗務員ボタン60Aが意図せず押下されて、無効化スイッチ66Aがオンからオフに切り替わってしまうことを防ぐことができる。
【0056】
また、無効化スイッチ制御部64Aは、無効化スイッチ66Aのオフ状態において、乗務員ボタン60Aが押下された際(条件B)には、無効化スイッチ66Aをオフ状態からオン状態に切り替える。
【0057】
また、無効化スイッチ制御部64Aは、無効化スイッチ66Aのオフ状態において、スロープ・ボタン36,37のいずれか1つが押下されてスロープ52の展開動作または格納動作が開始されて、その動作が完了した際(条件C)には、無効化スイッチ66Aをオフ状態からオン状態に切り替える。具体的には、無効化スイッチ制御部64Aは、スロープ制御部56からスロープ52の展開動作または格納動作の完了通知(
図9参照)を受け取った際に、無効化スイッチ66Aをオフ状態からオン状態に切り替える。このように、乗務員が乗務員ボタン60Aを操作することなく、無効化スイッチ66Aは、自動的にオフからオンに切り替わる。
【0058】
以上説明したスロープ操作装置14によれば、乗務員が無効化スイッチ66Aをオン状態にすることで、車両走行時に限らず、車両停止時においても、スロープ・ボタン36,37の操作により、不用意にスロープ52の展開動作または格納動作が開始されてしまう事態を回避することができる。例えば、車両10が停止した後、乗務員がスロープ52が展開される先に人、動物、物などが無いことを確認した上で、乗務員ボタン60Aにより無効化スイッチ66Aをオンからオフに切り替え、その後、乗客等によるスロープ・ボタン36,37の操作を有効にすることで、スロープ52の展開を安全に行うことができる。また、スロープ52の展開動作が完了した際には、無効化スイッチ66Aがオフからオンに自動的に切り替わる。スロープ52を車体内に格納する際には、例えば、乗務員が、スロープ52上に人、動物、物などが無いことを確認した上で、乗務員ボタン60Aにより無効化スイッチ66Aをオンからオフに切り替え、その後、乗客等によるスロープ・ボタン36,37の操作が有効になることで、スロープ52の格納も安全に行うことができる。
【0059】
次に、ドア操作装置12について説明する。
図11は、ドア操作装置12の機能ブロック図である。ドア操作装置12は、ドア・ボタン30,31,32と、ドア制御部46と、ドア装置40と、ドア用無効化スイッチ66B(単に無効化スイッチ66Bとも言う)と、ドア用無効化スイッチ制御部64B(単に無効化スイッチ制御部64Bとも言う)と、ドア用乗務員ボタン60Bと、走行検知センサ70とを備える。なお、無効化スイッチ66B、無効化スイッチ制御部64B、乗務員ボタン60Bは、それぞれ、上記したスロープ操作装置14における無効化スイッチ66A、無効化スイッチ制御部64A、乗務員ボタン60Aと同様の構成を有している。また、ドア操作装置12の走行検知センサ70は、スロープ操作装置14における走行検知センサと同じものである。よって、ドア操作装置12における無効化スイッチ66B、無効化スイッチ制御部64B、乗務員ボタン60B、走行検知センサ70については、説明を適宜、省略する。
【0060】
ドア制御部46は、CPUを有するプロセッサと、制御プログラム等を記憶したメモリとを含み、プロセッサは、メモリに記憶された制御プログラムに従って動作することで、ドア装置40を制御する。なお、ドア制御部46のプロセッサは、CPUに代えて、またはそれとともにASIC等を含んでもよい。また、本実施形態では、ドア制御部46と無効化スイッチ制御部64Bとが、別体となっているが、それらは一体の制御部であってもよい。
【0061】
ドア装置40は、ドア42(スライドドア)と、ドア42を開閉させるアクチュエータであるドア開閉機構41とを含む。
【0062】
ドア制御部46には、ドア・ボタン30,31,32と、ドア装置40のドア開閉機構41と、無効化スイッチ66Bと、無効化スイッチ制御部64Bとが電気的に接続されている。また、無効化スイッチ制御部64Bには、無効化スイッチ66Bと、ドア制御部46と、走行検知センサ70と、乗務員ボタン60Bとが電気的に接続されている。
【0063】
無効化スイッチ66Bは、無効化スイッチ制御部64Bを介して、乗務員ボタン60Bによりオン・オフが切り替えられる。無効化スイッチ制御部64Bは、無効化スイッチ66Bのオン状態において、乗務員ボタン60Bが押下された際には、無効化スイッチ66Bをオンからオフに切り替える。但し、以下で説明するように、車両走行時は、無効化スイッチ66Bのオンからオフへの切り替えが制限される。また、無効化スイッチ制御部64Bは、無効化スイッチ66Bのオフ状態において、乗務員ボタン60Bが押下された際には、無効化スイッチ66Bをオフからオンに切り替える。
【0064】
なお、無効化スイッチ制御部64Bは、無効化スイッチ66Bがオン状態の場合には、乗務員ボタン60Bのランプ62Bを点灯させ(
図8A参照)、無効化スイッチ66Bがオフ状態の場合には、乗務員ボタン60Bのランプ62Bを消灯させる(
図8B参照)。そのため、乗務員は、ランプ62Bの点灯時における乗務員ボタン60Bの押下が無効化スイッチ66Bをオンからオフにする切替指令であり、ランプ62Bの消灯時における乗務員ボタン60Bの押下が無効化スイッチ66Bをオフからオンにする切替指令であることを把握することができる。
【0065】
ドア制御部46は、無効化スイッチ66Bがオフである場合には、ドア・ボタン30,31,32の操作によるドアの開指令または閉指令を受け入れる。すなわち、ドア制御部46は、ドア42が閉状態の場合に、ドア・ボタン30,31,32のいずれか1つが押下された際にはドア開指令が出されたと判断し、ドア開閉機構41を制御してドア42を開かせる。また、ドア制御部46は、ドア42が開状態の場合に、ドア・ボタン30,31,32のいずれか1つが押下された際にはドア閉指令が出されたと判断し、ドア開閉機構41を制御してドア42を閉じさせる。
【0066】
一方、ドア制御部46は、無効化スイッチ66Bがオンである場合には、ドア・ボタン30,31,32の操作によるドアの開指令または閉指令を無効とする。すなわち、ドア制御部46は、ドア・ボタン30,31,32の操作を無視して、ドア42の開動作または閉動作を行わない。これにより、ドア・ボタン30,31,32が不用意に操作されて、ドア42の開動作または閉動作が不用意に開始されてしまう事態を回避することができる。
【0067】
図11は、無効化スイッチ66Bの状態遷移図である。無効化スイッチ制御部64Bは、無効化スイッチ66Bのオン状態において、走行検知センサ70(
図11参照)の検知結果により車両が停止状態であると判断し、かつ、乗務員ボタン60Bが押下された際(条件A’)には、無効化スイッチ66Bをオン状態からオフ状態に切り換える。
【0068】
一方、無効化スイッチ制御部64Bは、無効化スイッチ66Bのオン状態において、走行検知センサ70の検知結果により車両が走行状態であると判断している間は、乗務員ボタン60Bが押下された場合であっても、無効化スイッチ66Bのオン状態を維持する。すなわち、乗務員ボタン60Bからの無効化スイッチ66Bをオンからオフにする切替指令を無効にする。これにより、車両走行中に、乗務員ボタン60Bが意図せず押下されて、無効化スイッチ66Bがオンからオフに切り替わってしまうことを防ぐことができる。
【0069】
また、無効化スイッチ制御部64Bは、無効化スイッチ66Bのオフ状態において、乗務員ボタン60Bが押下された際(条件B’)には、無効化スイッチ66Bをオフ状態からオン状態に切り替える。
【0070】
また、無効化スイッチ制御部64Bは、無効化スイッチ66Bのオフ状態において、ドア・ボタン30,31,32のいずれか1つが押下されてドア42の開動作または閉動作が開始されて、その動作が完了した際(条件C’)には、無効化スイッチ66Bをオフ状態からオン状態に切り替える。具体的には、無効化スイッチ制御部64Bは、ドア制御部46からドア42の開動作または閉動作の完了通知(
図11参照)を受け取った際に、無効化スイッチ66Bをオフ状態からオン状態に切り替える。このように、乗務員が乗務員ボタン60Bを操作することなく、無効化スイッチ66Bが自動的にオフからオンに切り替わる。
【0071】
以上説明したドア操作装置12によれば、乗務員が無効化スイッチ66Bをオン状態にすることで、車両走行時に限らず、車両停止時においても、ドア・ボタン30,31,32の操作により、不用意にドア42の開動作または閉動作が開始されてしまう事態を回避することができる。例えば、車両10が停止した後、乗務員が、ドア42に寄り掛かっている人等がいないことを確認した上で、乗務員ボタン60Bにより無効化スイッチ66Bをオンからオフに切り替え、その後、乗客等によるドア・ボタン30,31,32の操作を有効にすることで、ドア42を安全に開くことができる。また、ドア42の開動作が完了した際には、無効化スイッチ66Bがオフからオンに自動的に切り替わる。ドア42を閉じる際には、例えば、乗務員が、ドア42付近に人、動物、物などが無いことを確認した上で、乗務員ボタン60Bにより無効化スイッチ66Bをオンからオフに切り替え、その後、乗客等によるドア・ボタン30,31,32の操作を有効にすることで、ドア42を安全に閉めることができる。
【0072】
なお、以上で説明したスロープ操作装置14とドア操作装置12における無効化スイッチ66A,66Bは、リレースイッチであったが、それらは、リレースイッチ以外のスイッチであってもよい。例えば、無効化スイッチ66A,66Bは、無効化スイッチ制御部64A,64Bの内部において、ソフトウェアでオン、オフの状態が管理される形態(例えば、プログラム上の変数を無効化スイッチとして、その変数の値1又は0(オン・オフの状態)をメモリに記憶しておく形態)であってもよい。また、例えば、無効化スイッチ66A,66Bは、無効化スイッチ制御部64A,64Bの内部において、ハードウェアでオン、オフの状態が管理される形態(例えば、フリップフロップを無効化スイッチとして、フリップフロップによりオン(1)、オフ(0)が管理される形態)であってもよい。
【0073】
次に、別の実施形態のスロープ操作装置およびドア操作装置について説明する。
図13は、別の実施形態のスロープ操作装置14aの機能ブロック図である。スロープ操作装置14aは、無効化スイッチ67Aとしてトグルスイッチを用い、それをアームレスト83(
図6参照)の上面に設けて、乗務員が直接、無効化スイッチ67A(トグルスイッチ)を切り替える形態である。すなわち、このスロープ操作装置14aは、乗務員が、指で無効化スイッチ67Aのオン・オフを切り替えることで、スロープ・ボタン36,37からのスロープの展開指令または格納指令の無効・有効を切り替える形態である。このスロープ操作装置14aによれば、以上で説明したスロープ操作装置14における無効化スイッチ制御部64A、乗務員ボタン60Aを省くことができるため、装置構成を簡素にすることができる。
【0074】
図14は、別の実施形態のドア操作装置12aの機能ブロック図である。このドア操作装置12aは、上記した別の実施形態のスロープ操作装置14aと同様の構成である。すなわち、ドア操作装置12aは、無効化スイッチ67Bとしてトグルスイッチを用い、それをアームレスト83の上面に設けて、乗務員が直接、無効化スイッチ67B(トグルスイッチ)を切り替える形態である。つまり、このドア操作装置12aは、乗務員が、指で無効化スイッチ67Bのオン・オフを切り替えることで、ドア・ボタン30,31,32からのドアの開指令または閉指令の無効・有効を切り替える形態である。このドア操作装置12aによれば、以上で説明したドア操作装置12における無効化スイッチ制御部64B、乗務員ボタン60Bを省くことができるため、装置構成を簡素にすることができる。
【0075】
なお、以上で説明した、別の実施形態のスロープ操作装置14aおよびドア操作装置12aでは、無効化スイッチ67A,67Bとしてトグルスイッチを用いたが、無効化スイッチ67A,67Bは、オフ状態とオン状態を維持できるスイッチであればトグルスイッチ以外でもよい。例えば、無効化スイッチ67A,67Bは、ロック式の押しボタン(ボタンを押すことで内部のロック機構によりボタンを押した状態(オン状態)が保持され、2回目のボタンの押し操作等によりロックが解除されるボタン)であってもよい。
【0076】
また、以上で説明した車両10は、乗合形式のバスであり、乗降口24の近くに乗務員席82があり、乗務員席82にいる乗務員からアクセス可能な位置に乗務員ボタン60A,60Bまたは無効化スイッチ67A,67Bが設けられていた。しかし、車両10は、フロントガラスの後方に運転席があり、ハンドル、アクセルペダル、ブレーキペダル等が備えられた乗用車、バス等であってもよい。この場合、運転席にいる運転者からアクセス可能な位置に乗務員ボタン60A,60Bまたは無効化スイッチ67A,67Bを設けるとよい。本明細書において、乗務員席とは運転席を含むものであり、乗務員とは運転者を含むものである。
【符号の説明】
【0077】
10 車両、12,12a ドア操作装置、14,14a スロープ操作装置、17 ベースフレーム、18 車両駆動ユニット、20 床下パネル、22 ボデー、24 乗降口(車両乗降口)、30,31,32 ドア・ボタン、36,37 スロープ・ボタン、40 ドア装置、41 ドア開閉機構、42 スライドドア(ドア)、46 ドア制御部、50 スロープ装置、51 スロープ展開格納機構、52 スロープ、52A,52B,52C スロープ板、56 スロープ制御部、60A スロープ用乗務員ボタン(乗務員ボタン)、60B ドア用乗務員ボタン(乗務員ボタン)、61A,61B 操作部、62A,62B ランプ、63A,63B ベース部、64A スロープ用無効化スイッチ制御部(無効化スイッチ制御部)、64B ドア用無効化スイッチ制御部(無効化スイッチ制御部)、66A スロープ用無効化スイッチ(無効化スイッチ)、66B ドア用無効化スイッチ(無効化スイッチ)、67A スロープ用無効化スイッチ(無効化スイッチ)、67B ドア用無効化スイッチ(無効化スイッチ)、70 走行検知センサ、80 座席、82 乗務員席、82a 座部、82b 座面、83 アームレスト、84 格納部、85 蓋、86 格納部、88 タッチパネル、89 ディスプレイ。