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特許7604982クリーニング装置およびそれを備えた画像形成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】クリーニング装置およびそれを備えた画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/10 20060101AFI20241217BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
G03G21/10
G03G21/00 318
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021053188
(22)【出願日】2021-03-26
(65)【公開番号】P2022150543
(43)【公開日】2022-10-07
【審査請求日】2024-02-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】門田 雅樹
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 陽介
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼上 愛
(72)【発明者】
【氏名】林 延幸
【審査官】金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-140517(JP,A)
【文献】特開2017-173367(JP,A)
【文献】特開2008-058511(JP,A)
【文献】特開2010-156938(JP,A)
【文献】特開2008-107613(JP,A)
【文献】特開2017-194597(JP,A)
【文献】特開2012-103365(JP,A)
【文献】特開平04-172484(JP,A)
【文献】米国特許第06463254(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 13/14-13/16
15/14-15/16
21/00
21/04
21/10-21/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体の外周面と対向する開口部が形成され、前記像担持体の外周面から除去された廃トナーが前記開口部を通じて内部に投入されるハウジングと、
前記開口部から前記像担持体の外周面に向かって突出し、先端部が前記像担持体の外周面に当接するクリーニングブレードと、
前記ハウジングの底部に設けられ、前記開口部から投入された前記廃トナーを搬送するトナー搬送路と、
前記トナー搬送路の内部に回転可能に支持された回転軸と、前記回転軸の外周面に形成された螺旋羽根と、を有する搬送スクリューと、
水平方向に対して前記回転軸と前記クリーニングブレードとの間に設けられ、前記回転軸方向に延びる第1基部と、前記第1基部から前記搬送スクリューに向かって延びて、前記搬送スクリューの外周面の前記回転軸よりも下方の部分に当接する、前記回転軸方向に沿って並ぶ複数の第1接触片と、を有し、前記各第1接触片によって前記搬送スクリューを前記トナー搬送路の底部から離間する第1方向に押圧する第1フリッカーと、
前記回転軸方向に延びる第2基部と、前記第2基部から前記搬送スクリューに向かって延びて、前記搬送スクリューの外周面の前記回転軸よりも上方の部分に当接する、前記回転軸方向に沿って並ぶ複数の第2接触片と、を有し、前記各第2接触片によって前記第1方向と反対方向の第2方向に押圧する第2フリッカーと、
を備え、
前記第1基部は、
前記ハウジングの内壁に固定される固定部と、
前記固定部から上方に延びて、前記水平方向に前記クリーニングブレードと対向するブレード対向部と、
前記ブレード対向部の上端部に設けられた、前記開口部に向かって突出する、前記回転軸方向に沿って並ぶ複数の突出部と、
前記ブレード対向部の上端部から前記突出部の突出方向と反対方向に凹む、前記回転軸方向に沿って前記突出部と交互に並ぶ複数の廃トナー通過凹部と、
を有し、
前記第1接触片は、前記ブレード対向部の上端部に連接し、
前記ブレード対向部に補強部材が積層されており、
前記補強部材は、前記第1基部の、少なくとも前記各突出部に積層されていることを特徴とするクリーニング装置。
【請求項2】
前記第1フリッカーおよび前記補強部材は、ポリエチレンテレフタレート製のシートで形成されることを特徴とする請求項1に記載のクリーニング装置。
【請求項3】
前記補強部材の厚みは、前記ブレード対向部の厚みの0.8倍以上、かつ1.5倍以下であることを特徴とする請求項2に記載のクリーニング装置。
【請求項4】
前記第1接触片と、前記第2接触片とは、前記回転軸方向に沿って交互に並び、
前記廃トナー通過凹部の前記回転軸方向の幅は、前記第1接触片の幅よりも大きく、前記各廃トナー通過凹部と前記各第1接触片とは、前記回転軸と直交する方向に対向していることを特徴とする請求項に記載のクリーニング装置。
【請求項5】
前記補強部材は、前記ブレード対向部の、前記クリーニングブレードと対向する対向面上に積層されていることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載のクリーニング装置。
【請求項6】
前記像担持体上のトナーを記録媒体上に転写して画像を形成する画像形成部と、
請求項1からのいずれかに記載のクリーニング装置と、
を備える画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリーニング装置およびそれを備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的な電子写真方式を用いる画像形成装置(コピー機、プリンタ、FAX等)では、感光体ドラム等の像担持体上に形成された静電潜像を現像装置内のトナー(粉末状の現像剤)によって可視化し、そのトナー像を直接或いは中間転写体を介して記録媒体上に転写した後、定着処理を行う。このような画像形成装置には、像担持体や中間転写体表面の残留トナーを除去するためのクリーニング装置が搭載されている。
【0003】
このようなクリーニング装置は、ドラム表面の残留トナーを除去するクリーニングブレードと、除去した廃トナーを搬送するトナー搬送路が形成されたハウジングと、トナー搬送路内の廃トナーをハウジング外部に設けられた廃トナー回収容器へ搬送する搬送スクリューと、を備えている。ハウジングのドラム表面と重なる位置には開口部が形成されている。クリーニングブレードは、ハウジングの壁部に固定され、開口部に向かって突出している。クリーニングブレードの先端部は、ドラム表面に対して、押圧しながら接触している。像担持体が回転することで、クリーニングブレードの先端部によってドラム表面上の残留トナーが掻き落とされ、廃トナーとして開口部を通じて搬送路へ投入される。
【0004】
ところで、廃トナーは、機械的ストレスによって、その粒形や外添剤の付着具合が不揃いなものとなり、流動性が悪化するおそれがある。さらに、紙粉等の混入により、廃トナーの流動性がより悪化し、固化し易いものとなっている。また、近年のトナーの低融点化に伴い、高温環境化でトナーの流動性がさらに低下し易くなっている。このため、特に高温高湿環境において流動性の低下した廃トナーが、トナー搬送路内に設けられた搬送スクリューの周囲(例えば螺旋羽根の間)で固化し、いわゆるブロッキング状態となって、トナーの搬送が困難になるという問題点があった。
【0005】
そこで、廃トナーによるブロッキング状態を抑制する方法が種々提案されており、例えば、特許文献1には、フィルム状のフリッカーを搬送スクリューに当接させる構成を採用したクリーニング装置が開示されている。
【0006】
特許文献1のフリッカーは、搬送スクリューの軸方向の全域に亘って設けられている。フリッカーは、搬送スクリューに当接し、その当接箇所で搬送スクリューをトナー搬送路の底部に向かって押圧している。フリッカーは、搬送スクリューの回転に伴い、搬送スクリューの螺旋羽根に持ち上げられて弾性変形した状態と、復元力により搬送スクリューの回転軸に当接した状態とを繰り返し、往復することにより、回転軸の回転周期に合わせて弾性変形しながら揺動する。このように、フリッカーが搬送スクリューに当接した状態で搬送スクリューが回転することで、搬送スクリューに付着した廃トナーが、フリッカーによって掻き取られ、搬送スクリューに廃トナーが固着しにくくなっている。
【0007】
ところで、近年、画像形成装置の小型化に伴い、クリーニング装置においても、省スペース化の要請がある。このため、廃トナー搬送路周辺のスペースは比較的狭くなっており、特許文献1のフリッカーを採用する際には、フリッカーの長さを比較的短くする必要がある。すると、フリッカーの固定端部から搬送スクリューとの当接箇所までの長さが短くなり、搬送スクリューに対するフリッカーの押圧力が大きいものとなる。すると、フリッカーが摩耗しやすくなり、フリッカーの寿命が短くなってしまう。
【0008】
このような問題に対し、上記の押圧力を低下させるべくフリッカーの長さを長くするには、例えば、フリッカーを、ハウジングに固定される固定部から開口部に向かって延びて、中途の位置で下方に屈曲させて搬送スクリューの外周面に接触させるように構成することが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2008―158170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
このような屈曲箇所を有するフリッカーは、固定部から屈曲箇所までの間の部分がハウジングに対して固定されていない。このため、特に、フリッカーが螺旋羽根の最大外径となる部分に接触しているときには、この屈曲箇所が、搬送スクリューから遠ざかるように大きくたわんでしまう。搬送スクリューの回転に伴って接触片が揺動すると、上記の屈曲箇所も揺動してしまうため、搬送スクリューに対するフリッカーの押圧力が安定せず、搬送スクリュー表面上の廃トナーの掻き取り能力が低下し、廃トナー排出不良が生じるおそれがある。
【0011】
また、このようなフリッカーが、ハウジング内の収容スペースの都合により、水平方向に対して回転軸とクリーニングブレードとの間に配置されると、フリッカーの屈曲箇所がクリーニングブレードに近づくようにたわむ。フリッカーがクリーニングブレードに接触すると、像担持体表面に対するクリーニングブレードの押圧力が不安定になり、像担持体表面上の残留トナーを除去しきれず、記録媒体に残留トナーが転写されてしまうなどの画像形成不良につながるおそれもある。
【0012】
そこで、このような問題に鑑み、本発明は、画像形成不良を抑制しつつ、廃トナー排出不良を抑制可能なクリーニング装置、およびそれを備えた画像形成装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために本発明の第1の構成は、ハウジングと、クリーニングブレードと、トナー搬送路と、搬送スクリューと、第1フリッカーと、を備えるクリーニング装置である。ハウジングは、像担持体の外周面と対向する開口部が形成され、像担持体の外周面から除去された廃トナーが開口部を通じて内部に投入される。クリーニングブレードは、開口部から像担持体の外周面に向かって突出し、先端部が像担持体の外周面に当接する。トナー搬送路は、ハウジングの底部に設けられ、開口部から投入された廃トナーを搬送する。搬送スクリューは、トナー搬送路の内部に回転可能に支持された回転軸と、回転軸の外周面に形成された螺旋羽根と、を有する。第1フリッカーは、水平方向に対して回転軸とクリーニングブレードとの間に設けられ、回転軸方向に延びる第1基部と、第1基部から搬送スクリューに向かって延びて、搬送スクリューの外周面の回転軸よりも下方の部分に当接する、回転軸方向に沿って並ぶ複数の第1接触片と、を有し、各第1接触片によって搬送スクリューをトナー搬送路の底部から離間する第1方向に押圧する。第1基部は、ハウジングの内壁に固定される固定部と、固定部から上方に延びて、水平方向にクリーニングブレードと対向するブレード対向部と、を有する。第1接触片は、ブレード対向部の上端部に連接する。ブレード対向部に補強部材が積層されている。
【発明の効果】
【0014】
本発明の第1の構成によれば、ブレード対向部には補強部材が積層されており、いわば補強がされている。このため、ブレード対向部は変形しにくくなっており、搬送スクリューの回転に伴って第1接触片が揺動しても、第1接触片と連接するブレード対向部がたわみにくくなっている。これにより、搬送スクリューに対する第1接触片の押圧力の低下を抑制し、第1フリッカーの掻き取り能力の低下を抑制できる。従って、搬送スクリューに対するフリッカーの掻き取り能力の低下を抑制可能なクリーニング装置、およびそれを備えた画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明のクリーニング装置7a~7dが搭載された画像形成装置100の概略断面図
図2図1における画像形成部Pa付近の拡大図
図3図2における本発明の実施形態に係るクリーニング装置7a周辺の構成を示す側面断面図
図4図3における第1フリッカー34、および第2フリッカー31を、軸方向に直交する方向に切断した断面図
図5】実施形態のクリーニング装置7aの搬送スクリュー29の周辺を示す斜視図
図6】実施形態のクリーニング装置7aの搬送スクリュー29の周辺を、径方向(回転軸29aに対し垂直方向)に平面視した平面図
図7】実施形態の補強部材44の他の例を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら、本発明のクリーニング装置7a~7d、および画像形成装置100に係る第1実施形態について説明する。図1は、本発明のクリーニング装置7a~7dが搭載された画像形成装置100の概略断面図である。画像形成装置100本体内には4つの画像形成部Pa、Pb、PcおよびPdが、搬送方向上流側(図1では左側)から順に配設されている。これらの画像形成部Pa~Pdは、異なる4色(マゼンタ、シアン、イエローおよびブラック)の画像に対応して設けられており、それぞれ帯電、露光、現像および転写の各工程によりマゼンタ、シアン、イエローおよびブラックの画像を順次形成する。
【0017】
これらの画像形成部Pa~Pdには、各色の可視像(トナー像)を担持する感光体ドラム1a、1b、1cおよび1d(像担持体)が配設されている。さらに図1において反時計回り方向に回転する中間転写ベルト8が各画像形成部Pa~Pdに隣接して設けられている。これらの感光体ドラム1a~1d上に形成されたトナー像が、各感光体ドラム1a~1dに当接しながら移動する中間転写ベルト8上に順次転写された後、二次転写ユニット9において記録媒体の一例としての用紙S上に一度に転写される。さらに、定着部13において用紙S上に定着された後、画像形成装置100本体より排出される。感光体ドラム1a~1dを図1において時計回り方向に回転させながら、各感光体ドラム1a~1dに対する画像形成プロセスが実行される。
【0018】
トナー像が転写される用紙Sは、画像形成装置100内の下部に配置された用紙カセット16内に収容されており、給紙ローラー12aおよびレジストローラー対12bを介して二次転写ユニット9へと搬送される。
【0019】
次に、画像形成装置100における画像形成手順について説明する。ユーザーにより画像形成開始が入力されると、先ず、メインモーター(図示せず)により感光体ドラム1a~1dの回転が開始され、帯電装置2a~2dの帯電ローラー21(図2参照)によって感光体ドラム1a~1dの表面を一様に帯電させる。次いで露光装置5から出射されたビーム光(レーザー光)によって感光体ドラム1a~1dの表面を光照射し、各感光体ドラム1a~1d上に画像信号に応じた静電潜像を形成する。
【0020】
現像装置3a~3dには、それぞれマゼンタ、シアン、イエローおよびブラックの各色のトナーが所定量充填されている。なお、後述のトナー像の形成によって各現像装置3a~3d内に充填された二成分現像剤中のトナーの割合が規定値を下回った場合にはトナーコンテナ4a~4dから各現像装置3a~3dにトナーが補給される。この現像剤中のトナーは、現像装置3a~3dの現像ローラー25(図2参照)により感光体ドラム1a~1d上に供給され、静電的に付着する。これにより、露光装置5からの露光により形成された静電潜像に応じたトナー像が形成される。
【0021】
そして、一次転写ローラー6a~6dにより一次転写ローラー6a~6dと感光体ドラム1a~1dとの間に所定の転写電圧で電界が付与され、感光体ドラム1a~1d上のマゼンタ、シアン、イエローおよびブラックのトナー像が中間転写ベルト8上に一次転写される。これらの4色の画像は、所定のフルカラー画像形成のために予め定められた所定の位置関係をもって形成される。その後、引き続き行われる新たな静電潜像の形成に備え、感光体ドラム1a~1dの表面に残留したトナーがクリーニング装置7a~7dのクリーニングブレード28(図2参照)により除去される。
【0022】
ベルト駆動モーター(図示せず)による駆動ローラー10の回転に伴い中間転写ベルト8が反時計回り方向に回転を開始すると、用紙Sがレジストローラー対12bから所定のタイミングで中間転写ベルト8に隣接して設けられた二次転写ユニット9へ搬送され、フルカラー画像が転写される。トナー像が転写された用紙Sは定着部13へと搬送される。中間転写ベルト8の表面に残存したトナーはベルトクリーニングユニット19によって除去される。
【0023】
定着部13に搬送された用紙Sは、定着ローラー対13aにより加熱および加圧されてトナー像が用紙Sの表面に定着され、所定のフルカラー画像が形成される。フルカラー画像が形成された用紙Sは、複数方向に分岐した分岐部14によって搬送方向が振り分けられ、そのまま(或いは、両面搬送路18に送られて両面印字された後に)、排出ローラー対15によって排出トレイ17に排出される。
【0024】
図2は、図1における画像形成部Pa付近の拡大図である。図3は、図2における本発明の実施形態に係るクリーニング装置7a周辺の構成を示す側面断面図である。図4は、図3における第1フリッカー34、および第2フリッカー31を、軸方向に直交する方向に切断した断面図である。以下、感光体ドラム1a、帯電装置2a、クリーニング装置7aを含む画像形成部Paについて詳細に説明する。画像形成部Pb~Pdは、画像形成部Paと同様の構成であるため、共通する箇所には同一の符号を付して説明を省略する。
【0025】
図2に示すように、感光体ドラム1aの周囲には、ドラム回転方向(図2の時計回り方向)に沿って帯電装置2a、現像装置3a、クリーニング装置7aが配設され、中間転写ベルト8を挟んで一次転写ローラー6aが配置されている。また、感光体ドラム1aに対し中間転写ベルト8の回転方向上流側には中間転写ベルト8を挟んでテンションローラー11に対向するベルトクリーニングユニット19が配置されている。
【0026】
感光体ドラム1aは、アルミニウム製のドラム素管の外周面に感光層が積層されたものである。感光層としては、例えば有機光伝導体を利用した有機感光層(OPC)や、シランガス等の蒸着等により製膜されたアモルファスシリコン(a-Si)感光層等の無機感光層が用いられる。
【0027】
帯電装置2aは、感光体ドラム1aに接触してドラム表面に帯電バイアスを印加する帯電ローラー21と、帯電ローラー21をクリーニングするためのブラシローラー22とを有している。現像装置3aは、現像容器20内に攪拌搬送スクリュー23、供給搬送スクリュー24から成る2本の攪拌搬送部材と、現像ローラー25とを有し、現像ローラー25の表面に担持されたトナーを感光体ドラム1a表面に飛翔させて静電潜像をトナー像に現像する。
【0028】
図2図3に示すように、クリーニング装置7aは、ハウジング26と、ハウジング26の底部に形成されたトナー搬送路37と、ハウジング26内に収容される摺擦ローラー27、クリーニングブレード28、搬送スクリュー29、第1フリッカー34、および第2フリッカー31と、を備えている。ハウジング26は、水平方向に感光体ドラム1aと隣り合っており、感光体ドラム1aとの隣接箇所に開口部30が形成されている。トナー搬送路37は、開口部30から投入された廃トナーを収容する。
【0029】
摺擦ローラー27は、開口部30を介して感光体ドラム1aの表面(外周面)に当接しており、ハウジング26の前後方向(図3の紙面と垂直な方向)の側板(図示せず)に回転可能に軸支されている。摺擦ローラー27は、図示しない駆動手段により感光体ドラム1aとの当接面において同一方向(ウィズ方向)に回転駆動されることにより、感光体ドラム1aの表面の残留トナーを除去するとともに感光体ドラム1aの表面を摺擦して研磨する。摺擦ローラー27により除去された残留トナーは、廃トナーとして、開口部30を通じてハウジング26のトナー搬送路37内に投入される。
【0030】
摺擦ローラー27の線速は、感光体ドラム1aの線速よりも速く(例えば1.2倍に)制御されている。摺擦ローラー27としては、例えば金属シャフトの周囲にローラー体としてEPDMゴム製でアスカC硬度55°の発泡体層を形成した構造が挙げられる。ローラー体の材質としてはEPDMゴムに限定されず、他の材質のゴムや発泡ゴム体であっても良く、アスカC硬度が10~90°の範囲のものが好適に使用される。
【0031】
図3図4に示すように、ハウジング26を構成する複数の壁部のうち、トナー搬送路37の底面41の、水平方向に対して感光体ドラム1aに近い側の側端部から立ち上がるブレード固定壁部38がある。クリーニングブレード28は、このブレード固定壁部38に固定されている。クリーニングブレード28は、ブレード固定壁部38から開口部30に向かって突出している。
【0032】
クリーニングブレード28の先端部28aは、感光体ドラム1aの外周面に対して、押圧されながら接触している。感光体ドラム1aが回転することで、感光体ドラム1aの外周面上のトナーが、クリーニングブレード28の先端部28aによって掻き取られる。クリーニングブレード28の先端部28aは、感光体ドラム1aの回転方向(図3の時計回り方向)に対し、感光体ドラム1aと摺擦ローラー27との当接部よりも下流側に位置している。
【0033】
クリーニングブレード28としては、例えばJIS硬度が78°で厚み2mmのポリウレタンゴム製のブレードが用いられる。クリーニングブレード28の材質および硬度、寸法、感光体ドラム1aへの取り付け角度、食い込み量および圧接力等は、感光体ドラム1aの仕様に応じて適宜設定される。
【0034】
搬送スクリュー29は、トナー搬送路37内に設けられた回転軸29aと、回転軸29aの外周面に一体形成された螺旋状の螺旋羽根29bと、を有する。回転軸29aは、ハウジング26の前後方向(図3、および図4の紙面方向)の側板に回転可能に支持されている。トナー搬送路37に収容された廃トナーは、搬送スクリュー29の回転に伴って軸方向(回転軸29aに沿った方向)に搬送され、クリーニング装置7aの外部に排出される。
【0035】
図5は、実施形態のクリーニング装置7aの搬送スクリュー29の周辺を示す斜視図である。図6は、実施形態のクリーニング装置7aの搬送スクリュー29の周辺を、径方向(回転軸29aに対し垂直方向)に平面視した平面図である。
【0036】
図4図5図6に示すように、第1フリッカー34は、搬送スクリュー29の回転軸29aと平行に軸方向に延びる第1基部35と、第1基部35から搬送スクリュー29に向かって延びる複数の第1接触片36と、を備える。
【0037】
第1基部35は、水平方向に対して、回転軸29aとクリーニングブレード28との間に配置されている。第1基部35は、ハウジング26の内壁に沿って固定される固定部42と、固定部42から上方に延びるブレード対向部43と、ブレード対向部43の上端部に形成された複数の突出部39、および複数の廃トナー通過凹部40と、を有する。固定部42は、水平方向に対して回転軸29aとクリーニングブレード28、および開口部30との間に位置している。固定部42は、ブレード固定壁部38のトナー搬送路37側の面に積層され、下端部が、ハウジング26の下端部から下方に突出するフリッカー固定部48に接着剤等の固定手段により固定されている。なお、固定手段は接着剤に限らず、例えば、ブレード固定壁部38とフリッカー固定部48とで挟み込んで、ボルト等の締結部材によって固定するものでもよい。
【0038】
ブレード対向部43は、固定部42から開口部30に向かって上方に延びている(図3参照)。ブレード対向部43は、水平方向に対してクリーニングブレード28と対向している。複数の突出部39は、ブレード対向部43の上端から、軸方向に沿って一定の間隔毎に開口部30に向かって突出している。
【0039】
第1接触片36は、突出部39の上端部に連接し、突出部39の上端部から下方に屈曲して、搬送スクリュー29の外周面に向かって延びている。第1接触片36は、搬送スクリュー29の軸方向の全域にわたって設けられている(図6参照)。廃トナー通過凹部40は、ブレード対向部43の上端部から、下方に向かって凹んでいる(図4参照)。廃トナー通過凹部40は、隣り合う第1接触片36同士の間に形成されている(図5図6参照)。
【0040】
ここで、図4には、クリーニングブレード28の先端部28aを通る一対の搬送スクリュー29の接線(第1接線L1、第2接線L2)を示している。感光体ドラム1aから除去された廃トナーは、第1接線L1と第2接線L2との間の領域を通過する。廃トナー通過凹部40は、感光体ドラム1aから除去された廃トナーの通過経路に開口している。
【0041】
図4図5図6に示すように、第2フリッカー31は、搬送スクリュー29の回転軸29aと平行に軸方向に延びる第2基部32と、第2基部32から搬送スクリュー29に向かって延びる複数の第2接触片33と、を備える。第2基部32は、水平方向に対して回転軸29aを挟んでクリーニングブレード28と対向する位置において、ハウジング26の、回転軸29aよりも上方に位置する内壁に、接着剤等により固定されている。
【0042】
第1接触片36が並ぶ間隔P1と、第2接触片33が並ぶ間隔P2と、廃トナー通過凹部40が並ぶ間隔P3とは、略等しい(図6参照)。第1接触片36と、第2接触片33とは、軸方向に沿って、互いに重ならないように交互に並んでいる。第2接触片33と、廃トナー通過凹部40とは、回転軸29aと直交する方向(図6に示す上下方向)に対向している。
【0043】
第1接触片36の幅W1(第1基部35の延在方向の長さ)と第2接触片33の幅W2(第2基部32の延在方向の長さ)とは略等しい。第1接触片36の幅W1、および第2接触片33の幅W2は、螺旋羽根29bのピッチP4以下である。第2接触片33の幅W2の具体的な大きさは、例えば、ピッチP4の1/5以上、かつ1/2以下とすることが好ましい(図6参照)。廃トナー通過凹部40の軸方向の幅W3は、第2接触片33の幅W2よりも大きい。第1接触片36の厚みは、第2接触片33の厚みと略等しい。
【0044】
第1接触片36、および第2接触片33の材質としては、搬送スクリュー29の螺旋羽根29bに接触して揺動する弾性材料であれば特に制限はなく、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)製のシート(ルミラーシート(登録商標))、テフロン(登録商標)シート、カプトン(登録商標)等の各種の摩擦抵抗の少ない合成樹脂製シートを使用することができるが、コストや耐久性等の面からルミラーシートが好ましい。
【0045】
図4に示すように、第1接触片36は、回転軸29aよりもハウジング26の開口部30(図3参照)から遠い位置(回転軸29aよりもトナー搬送路37の底面41に近い位置)で、搬送スクリュー29の回転軸29aよりも下方の部分に接触している。第1接触片36は、搬送スクリュー29をトナー搬送路37の底面41から遠ざかる第1方向d1に沿って、斜め上方に押圧している。
【0046】
第2接触片33は、垂直方向に対して、回転軸29aよりもハウジング26の開口部30(図3参照)に近い位置(回転軸29aよりもトナー搬送路37の底面41から遠い位置)で、搬送スクリュー29の回転軸29aよりも上方の部分に接触している。第2接触片33は、この搬送スクリュー29との接触位置から第2方向d2(トナー搬送路37の底面41に近づく方向)に沿って、搬送スクリュー29を下方に押圧している。
【0047】
第1接触片36、および第2接触片33の先端部は自由端となっている。第1接触片36、および第2接触片33は、搬送スクリュー29の回転に伴い、螺旋羽根29bに接触し、持ち上げられて弾性変形した状態と、復元力により回転軸29aに当接した状態とを繰り返すように弾性変形しながら揺動する。
【0048】
第2接触片33が螺旋羽根29bに持ち上げられた状態で、第2接触片33の先端部は、廃トナー通過凹部40内に位置している(図4参照)。第2接触片33が復元力によって回転軸29aに接触しているときには、第2接触片33の先端部は、廃トナー通過凹部40の外側に位置している。上述のように第2接触片33が揺動する時に、第2接触片33は、第1フリッカー34に接触することなく、廃トナー通過凹部40内への出入りを繰り返す。
【0049】
図4図5図6に示すように、ブレード対向部43の、クリーニングブレード28と対向する面には、フィルム状の補強部材44が積層されている。補強部材44は、ブレード固定壁部38の上部に位置している。補強部材44は、ブレード対向部43のクリーニングブレード28と対向する面に接着剤等により接着され固定されている。
【0050】
補強部材44の材質としては、第1接触片36の弾性率以上の弾性率を有するものであれば特に制限はなく、第1接触片36と同様に、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)製のシート(ルミラーシート)、テフロンシート、カプトン等の各種の摩擦抵抗の少ない合成樹脂製シートを使用することができ、コストや耐久性等の面からルミラーシートが好ましい。また、補強部材44の厚みは、ブレード対向部43の厚みの0.8倍以上、かつ1.5倍以下である。
【0051】
補強部材44は、軸方向に沿って延びるベース部45と、ベース部45から上方に向かって突出する複数の突部46とを有している。ベース部45は第1フリッカー34のブレード対向部43に積層され、各突部46は第1フリッカー34の突出部39に積層されている。すなわち、各突部46は、軸方向に沿って第1接触片36と重なるように等間隔に並んでいる。各突部46の間には、垂直方向に凹んだ凹部47が形成されている。凹部47は、軸方向に対して第1フリッカー34の廃トナー通過凹部40と重なる。
【0052】
上述の通り、ブレード対向部43の、クリーニングブレード28と対向する面には、フィルム状の補強部材44が積層されており、ブレード対向部43はいわば補強されている。このため、ブレード対向部43は変形しにくくなっており、搬送スクリュー29の回転に伴って第1接触片36が揺動しても、第1接触片36と連接するブレード対向部43はたわみにくくなっている。したがって、搬送スクリュー29に対する第1接触片36の押圧力の低下を抑制し、第1フリッカー34の掻き取り能力の低下を抑制できる。また、ブレード対向部43がクリーニングブレード28に接触しにくくなり、画像形成不良が生じにくくなる。よって、画像形成不良を抑制しつつ、廃トナー排出不良を抑制可能なクリーニング装置7a~7d、およびそれを備えた画像形成装置100を提供することができる。
【0053】
また、補強部材44の突部46は、第1フリッカー34の突出部39に積層されている。このため、ブレード対向部43は、突出部39からベース部45にかけて補強されることになり、より変形しにくくなっている。したがって、より好適に第1フリッカー34の掻き取り能力の低下を抑制できる。
【0054】
また、上述の通り、搬送スクリュー29は、第1フリッカー34から斜め上方に向かう第1方向d1に押圧され、第2フリッカー31から下方に向かう第2方向に押圧されている。このため、第1フリッカー34の押圧力の上向きに作用する分力と第2フリッカーの下向きの押圧力がつり合い易く、搬送スクリュー29が変形しにくくなっている。すると、搬送スクリュー29がトナー搬送路37の底面41に接触しにくくなったり、搬送スクリュー29が開口部30に向かって(上方に向かって)変形してトナー搬送路37の底面41と搬送スクリュー29の外周面との隙間が広がりにくくなったりする。このため搬送スクリュー29の回転不良を抑制したり、搬送スクリュー29とトナー搬送路37の底面41との隙間が広がって、この隙間に廃トナーが滞留し固着するのを抑制したりでき、トナー排出不良を抑制することができる。
【0055】
また、第1フリッカー34、および第2フリッカー31は、上述の通り、第1接触片36と第2接触片33とが、それぞれ搬送スクリュー29の上方および下方から個別に接触している。そして、第1接触片36と第2接触片33とは、軸方向に重ならないように交互に並んでおり、互いに接触していない。このため、第1フリッカー34と、第2フリッカー31との間に廃トナーが滞留して固着してしまうことを抑制できる。
【0056】
また、上述の通り、ブレード対向部43には、複数の廃トナー通過凹部40が形成されている。そして、廃トナー通過凹部40は、感光体ドラム1aから除去された廃トナーの通過経路(第1接線L1と、第2接線L2との間の領域)に開口している。このため、感光体ドラム1aから除去された廃トナーが、廃トナー通過凹部40を通ってトナー搬送路37に到達しやすくなり、突出部39によってトナー搬送路37への廃トナーの投入が阻止されるのを抑制することができる。
【0057】
また、補強部材44に形成された複数の凹部47は、軸方向に廃トナー通過凹部40と重なるように配置されている。このため、感光体ドラム1aから除去された廃トナーが、補強部材44に阻害されずに廃トナー通過凹部40を通過しやすくなっている。
【0058】
また、上述の通り、各第2接触片33は、軸方向と直交する方向に、各廃トナー通過凹部40と対向しており、第2接触片33は、揺動すると、廃トナー通過凹部40への出入りを繰り返す。このため、第2フリッカー31が第1フリッカー34に接触しない範囲において、第2フリッカー31を第1フリッカー34により近づけて配置することが可能になり、トナー搬送路37内の省スペース化を図ることができる。
【0059】
その他、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば上記実施形態においては、クリーニング装置7a~7dの研磨システムとして摺擦ローラー27およびクリーニングブレード28を備えた構成についてのみ説明しているが、本発明の構成は、クリーニングブレード28のみを備えた構成や、摺擦ローラー27に代えて清掃機能のみを有するクリーニングローラーを備えた構成等、搬送スクリュー29を有する種々の構成のクリーニング装置に適用することができる。
【0060】
また、上記実施形態のクリーニング装置7a~7dは、第1フリッカー34と第2フリッカー31の二つのフリッカーを備える構成を採用したものであるが、第1フリッカー34のみを備える構成を採用することもできる。
【0061】
また、上記実施形態においては、補強部材44は、単体として形成され、一つのベース部45に複数の突部46が設けられているように図示されているが(図5参照)、これに限られない。例えば、図7(実施形態の補強部材44の他の例を示す斜視図)に示すように、複数の補強部材44をブレード対向部43とクリーニングブレード28の間に配置することができる。この場合、各補強部材44は、軸方向に沿って各突出部39と重なるように所定の間隔で配置される。
【0062】
また、補強部材44は、ブレード対向部43のクリーニングブレード28と対向する面に対して、板状の固定部材とボルト等の締結部材とによって挟み込んで固定する構成を採用することもできる。
【0063】
また、上記実施形態においては、補強部材44は、ブレード対向部43の、クリーニングブレード28との対向面に積層される構成としたが、ブレード対向部43を挟んで反対側の面(水平方向に対して搬送スクリュー29と対向する面)に積層することもできる。
【0064】
また、第2接触片33が並ぶ間隔P2は、第2接触片33が廃トナー通過凹部40と対向している限り、廃トナー通過凹部40が並ぶ間隔P3と異なる間隔であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、像担持体の表面から廃トナーを除去し、除去された廃トナーを搬送するクリーニング装置に利用可能である。本発明の利用により、トナーの固化を効果的に防止して安定したトナー搬送性能を維持可能なクリーニング装置およびそれを備えた画像形成装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0066】
1a~1d 感光体ドラム(像担持体)
7a~7d クリーニング装置
26 ハウジング
28 クリーニングブレード
28a 先端部
29 搬送スクリュー
29a 回転軸
29b 螺旋羽根
30 開口部
31 第2フリッカー
32 第2基部
33 第2接触片
34 第1フリッカー
35 第1基部
36 第1接触片
37 トナー搬送路
39 突出部
40 廃トナー通過凹部
42 固定部
43 ブレード対向部
44 補強部材
100 画像形成装置
Pa~Pd 画像形成部
S 用紙(記録媒体)
d1 第1方向
d2 第2方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7