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特許7604987半導体素子ユニット、半導体素子ユニット製造方法、半導体素子ユニット供給基板、半導体実装回路及び半導体実装回路製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】半導体素子ユニット、半導体素子ユニット製造方法、半導体素子ユニット供給基板、半導体実装回路及び半導体実装回路製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/38 20100101AFI20241217BHJP
   H01L 33/62 20100101ALI20241217BHJP
   H01L 31/02 20060101ALI20241217BHJP
   H01L 31/10 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
H01L33/38
H01L33/62
H01L31/02 B
H01L31/10 H
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021055531
(22)【出願日】2021-03-29
(65)【公開番号】P2022152676
(43)【公開日】2022-10-12
【審査請求日】2023-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174104
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 康一
(72)【発明者】
【氏名】篠▲原▼ 悠貴
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 貴人
(72)【発明者】
【氏名】谷川 兼一
(72)【発明者】
【氏名】古田 裕典
(72)【発明者】
【氏名】小酒 達
(72)【発明者】
【氏名】中井 佑亮
(72)【発明者】
【氏名】十文字 伸哉
(72)【発明者】
【氏名】松尾 元一郎
(72)【発明者】
【氏名】石川 琢磨
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 千優
(72)【発明者】
【氏名】川田 寛人
【審査官】百瀬 正之
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-028459(JP,A)
【文献】特開2010-165754(JP,A)
【文献】特開昭54-069981(JP,A)
【文献】特開昭64-009616(JP,A)
【文献】特開2019-091738(JP,A)
【文献】特開2013-074171(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0393069(US,A1)
【文献】特開2014-110285(JP,A)
【文献】特表2016-504770(JP,A)
【文献】特表2014-506015(JP,A)
【文献】特表2015-532541(JP,A)
【文献】特表2017-501577(JP,A)
【文献】特開2020-191432(JP,A)
【文献】特開2013-110233(JP,A)
【文献】特開2013-219374(JP,A)
【文献】特開2004-284831(JP,A)
【文献】特開2010-199176(JP,A)
【文献】国際公開第2021/039816(WO,A1)
【文献】特表2007-505484(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0253428(US,A1)
【文献】特開2019-096656(JP,A)
【文献】特開2016-195234(JP,A)
【文献】特開2011-233927(JP,A)
【文献】特開2007-294725(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00-33/64
H01L 21/28-21/288
H01L 21/44-21/445
H01L 29/40-29/51
H01L 31/02
H01L 31/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体素子と、平坦な第1電極実装面を有し、当該第1電極実装面と異なる部分において前記半導体素子との間で共晶結合を形成する第1電極とを具えた半導体素子ユニットと、
基板表面が平坦に形成された回路基板と、
前記回路基板に設けられ、前記基板表面に露出した第1パッド表面を前記半導体素子ユニットの前記第1電極実装面に当接させた第1回路接続パッドと、
前記回路基板に設けられ、前記基板表面に露出した第2パッド表面を有する第2回路接続パッドと、
前記回路基板上において、前記半導体素子の一部と前記第2回路接続パッドの一部とにまたがって形成された絶縁部と、
前記絶縁部に重ねて形成され、前記半導体素子における前記絶縁部に覆われていない部分と、前記第2回路接続パッドとを電気的に接続する配線部と
を具えることを特徴とする半導体実装回路。
【請求項2】
前記第1電極実装面は、表面粗さが10[nm]以下である
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体実装回路
【請求項3】
前記半導体素子は、発光素子又はセンサ素子である
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の半導体実装回路
【請求項4】
前記半導体素子において前記第1電極との接合面と異なる面に設けられた直上電極と
を具えることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の半導体実装回路
【請求項5】
半導体素子と、平坦な第1電極実装面を有し、当該第1電極実装面と異なる部分において前記半導体素子との間で共晶結合を形成する第1電極とを具えた半導体素子ユニットを回路基板の基板表面に転写し、当該回路基板に設けられ前記基板表面に露出した第1回路接続パッドの表面である第1パッド表面に前記第1電極実装面を当接させる転写ステップと、
前記回路基板上において、当該回路基板に設けられ前記基板表面に露出した第2回路接続パッドの表面である第2パッド表面の一部と前記半導体素子の一部とにまたがる範囲に第1絶縁部を形成する第1絶縁部形成ステップと、
前記半導体素子における前記第1絶縁部に覆われていない部分と、前記第2回路接続パッドにおける前記第1絶縁部に覆われていない部分とを電気的に接続する配線部を前記第1絶縁部に重ねて形成する配線部形成ステップと
を有することを特徴とする半導体実装回路製造方法。
【請求項6】
半導体素子と、
平坦な第1電極実装面を有し、当該第1電極実装面と異なる部分において前記半導体素子との間で共晶結合を形成する第1電極と、
前記半導体素子及び前記第1電極と当接しない位置に設けられ、平坦な第2電極実装面を有する第2電極と、
前記半導体素子の一部と前記第2電極の一部とにまたがって形成された第1絶縁部と、
前記第1絶縁部に重ねて形成され、前記半導体素子の当該第1絶縁部に覆われていない部分と、前記第2電極の当該第1絶縁部に覆われていない部分とを電気的に接続する配線部と、
少なくとも前記半導体素子、前記配線部、前記第1絶縁部及び前記第2電極を覆う第2絶縁部と
を具え、
前記第2電極実装面は、前記第1電極実装面と同一の平面であるユニット実装面上に位置する
ことを特徴とする半導体素子ユニット。
【請求項7】
前記第1絶縁部は、前記ユニット実装面上に位置する第1絶縁部実装面を有し、
前記第2絶縁部は、前記ユニット実装面上に位置する第2絶縁部実装面を有する
ことを特徴とする請求項に記載の半導体素子ユニット。
【請求項8】
前記ユニット実装面は、異なる材料同士が隣接する箇所における段差の大きさが、当該ユニット実装面と平行な前記第2絶縁部の外形における最も短い辺の長さの1/1000以下である
ことを特徴とする請求項に記載の半導体素子ユニット。
【請求項9】
前記ユニット実装面は、表面粗さが10[nm]以下である
ことを特徴とする請求項乃至の何れかに記載の半導体素子ユニット。
【請求項10】
前記第1絶縁部は、前記第1電極、前記第2電極及び前記半導体素子における前記ユニット実装面と平行で無い各側面を全て覆っている
ことを特徴とする請求項乃至の何れかに記載の半導体素子ユニット。
【請求項11】
前記半導体素子における前記第1電極との接合面と異なる面に設けられた直上電極と
を具え、
前記第1絶縁部は、前記直上電極の少なくとも一部と前記第2電極の一部とにまたがって形成され、
前記配線部は、前記第1絶縁部に重畳され、前記直上電極の当該第1絶縁部に覆われていない部分と、前記第2電極の当該第1絶縁部に覆われていない部分とを電気的に接続する
ことを特徴とする請求項乃至10の何れかに記載の半導体素子ユニット。
【請求項12】
少なくとも前記半導体素子を覆う蛍光部と
を具え、
前記第2絶縁部は、前記配線部、前記第1絶縁部及び前記第2電極及び前記蛍光部を覆う
ことを特徴とする請求項乃至11の何れかに記載の半導体素子ユニット。
【請求項13】
形成基板上に形成犠牲層を形成する犠牲層形成ステップと、
前記形成犠牲層上に第1電極を形成する第1電極形成ステップと、
前記形成犠牲層上に第2電極を形成する第2電極形成ステップと、
前記第1電極上に半導体素子を転写する半導体素子転写ステップと、
アニール処理により前記半導体素子及び前記第1電極を共晶結合させるアニール処理ステップと、
前記半導体素子の一部と前記第2電極の一部とにまたがって第1絶縁部を形成する第1絶縁部形成ステップと、
前記半導体素子の当該第1絶縁部に覆われていない部分と、前記第2電極の当該第1絶縁部に覆われていない部分とを電気的に接続する配線部を、前記第1絶縁部に重ねて形成する配線部形成ステップと、
少なくとも前記半導体素子、前記配線部、前記第1絶縁部及び前記第2電極を覆う第2絶縁部を形成する第2絶縁部形成ステップと
を有することを特徴とする半導体素子ユニット製造方法。
【請求項14】
請求項乃至請求項12の何れかに記載された1個以上の半導体素子ユニットと、
平坦な基板表面を有する基板と
を具え、
1個以上の前記半導体素子ユニットは、前記基板表面に当接した状態で前記基板に貼り付けられている
ことを特徴とする半導体素子ユニット供給基板。
【請求項15】
請求項乃至請求項12のいずれかに記載の半導体素子ユニットと、
基板表面が平坦に形成された回路基板と、
前記回路基板に設けられ、前記基板表面に露出した第1パッド表面を前記半導体素子ユニットの前記第1電極実装面に当接させた第1回路接続パッドと、
前記回路基板に設けられ、前記基板表面に露出した第2パッド表面を前記半導体素子ユニットの前記第2電極実装面に当接させた第2回路接続パッドと
を具えることを特徴とする半導体実装回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体素子ユニット、半導体素子ユニット製造方法、半導体素子ユニット供給基板、半導体実装回路及び半導体実装回路製造方法に関し、例えば半導体素子を回路基板に実装した半導体装置に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体素子を実装した半導体装置としては、半導体素子を小型化及び高集積化するべく、該半導体素子の下面と回路基板との間に電気的な接続を図る(すなわち導通をとる)ようにした、いわゆる垂直構造型の半導体装置が提案されている。
【0003】
例えば、半導体装置として、半導体素子のカソード面を下方(回路基板側)に向けると共に露出させ、該カソード面を駆動回路基板上に設けられた端子部分に貼り付けるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この半導体装置では、例えばアノード面を上方に露出させ、このアノード面と駆動回路との間で配線を行い、両者を電気的に接続させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-219374号公報(図3等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した半導体素子では、カソード面に電極を設け、この電極を駆動回路基板の端子部分に当接させることにより、半導体素子と駆動回路基板との間における電気的な接続を、確実且つ容易なものとすることが考えられる。またこの場合、電極の当接面と端子部分の当接面とを何れも極めて平滑に形成することにより、両者の間で電気的な接続(いわゆる導通)を良好に行うことも考えられる。
【0006】
ところで半導体素子では、該半導体素子を構成する材料と電極等を構成する材料とを当接させただけでは、両者の間でオーミック接触が形成されないため、良好に導通させることが難しい。そこで半導体装置では、例えば半導体素子に電極を取り付ける場合、両者を当接させた状態で高温(例えば約600[℃])の環境下に置く、いわゆるアニール処理を行うことが考えられる。このアニール処理が適切に行われた場合、半導体素子は、電極との間に共晶結合を形成し、いわゆるオーミック接触をした状態となるため、コンタクト性が高まり、該電極に対して良好に導通できる。
【0007】
しかし、仮に半導体素子に電極を当接させ、電極の当接面を露出させた状態でアニール処理を行った場合、熱の影響により当該当接面の平滑性が大幅に低下するため、駆動回路基板の端子部分との間における接触が悪化し、良好な導通を確保できなくなる可能性がある。また、仮に半導体素子と電極とを当接させ、さらに当該電極を駆動回路基板の端子部分と当接させた状態で、該半導体素子、該電極及び該駆動回路基板に対してアニール処理を行う場合、当接面の平滑性は維持できるものの、高温により該駆動回路基板を損傷させてしまう恐れがある。
【0008】
すなわち半導体素子は、電極に対してオーミック接触し、且つ当該電極の当接面を平坦とすることが容易では無い、という問題があった。
【0009】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、小型に構成しながら半導体と回路との良好な電気的接続を実現し得る半導体素子ユニット、半導体素子ユニット製造方法、半導体素子ユニット供給基板、半導体実装回路及び半導体実装回路製造方法を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
かかる課題を解決するため本発明の半導体実装回路においては、半導体素子と、平坦な第1電極実装面を有し、当該第1電極実装面と異なる部分において半導体素子との間で共晶結合を形成する第1電極とを具えた半導体素子ユニットと、基板表面が平坦に形成された回路基板と、回路基板に設けられ、基板表面に露出した第1パッド表面を半導体素子ユニットの第1電極実装面に当接させた第1回路接続パッドと、回路基板に設けられ、基板表面に露出した第2パッド表面を有する第2回路接続パッドと、回路基板上において、半導体素子の一部と第2回路接続パッドの一部とにまたがって形成された絶縁部と、絶縁部に重ねて形成され、半導体素子における絶縁部に覆われていない部分と、第2回路接続パッドとを電気的に接続する配線部とを設けるようにした。
【0014】
また本発明の半導体実装回路製造方法においては、半導体素子と、平坦な第1電極実装面を有し、当該第1電極実装面と異なる部分において半導体素子との間で共晶結合を形成する第1電極とを具えた半導体素子ユニットを回路基板の基板表面に転写し、当該回路基板に設けられ基板表面に露出した第1回路接続パッドの表面に第1電極実装面を当接させる転写ステップと、回路基板上において、当該回路基板に設けられ基板表面に露出した第2回路接続パッドの表面である第2パッド表面の一部と半導体素子の一部とにまたがる範囲に第1絶縁部を形成する第1絶縁部形成ステップと、半導体素子における第1絶縁部に覆われていない部分と、第2回路接続パッドにおける第1絶縁部に覆われていない部分とを電気的に接続する配線部を第1絶縁部に重ねて形成する配線部形成ステップとを有するようにした。
【0015】
さらに本発明の半導体素子ユニットにおいては、半導体素子と、平坦な第1電極実装面を有し、当該第1電極実装面と異なる部分において半導体素子との間で共晶結合を形成する第1電極と、半導体素子及び第1電極と当接しない位置に設けられ、平坦な第2電極実装面を有する第2電極と、半導体素子の一部と第2電極の一部とにまたがって形成された第1絶縁部と、第1絶縁部に重ねて形成され、半導体素子の当該第1絶縁部に覆われていない部分と、第2電極の当該第1絶縁部に覆われていない部分とを電気的に接続する配線部と、少なくとも半導体素子、配線部、第1絶縁部及び第2電極を覆う第2絶縁部とを設け、第2電極実装面は、第1電極実装面と同一の平面であるユニット実装面上に位置するようにした。
【0016】
さらに本発明の半導体素子ユニット製造方法においては、形成基板上に形成犠牲層を形成する形成犠牲層形成ステップと、形成犠牲層上に第1電極を形成する第1電極形成ステップと、形成犠牲層上に第2電極を形成する第2電極形成ステップと、第1電極上に半導体素子を転写する半導体素子転写ステップと、アニール処理により半導体素子及び第1電極を共晶結合させるアニール処理ステップと、半導体素子の一部と第2電極の一部とにまたがって第1絶縁部を形成する第1絶縁部形成ステップと、半導体素子の当該第1絶縁部に覆われていない部分と、第2電極の当該第1絶縁部に覆われていない部分とを電気的に接続する配線部を、第1絶縁部に重ねて形成する配線部形成ステップと、少なくとも半導体素子、配線部、第1絶縁部及び第2電極を覆う第2絶縁部を形成する第2絶縁部形成ステップとを有するようにした。
【0017】
さらに本発明の半導体素子ユニット供給基板においては、上述した1個以上の半導体素子ユニットと、平坦な基板表面を有する基板とを設け、1個以上の半導体素子ユニットは、基板表面に当接した状態で基板に貼り付けられているようにした。
【0018】
さらに本発明の半導体実装回路においては、上述した半導体素子ユニットと、基板表面が平坦に形成された回路基板と、回路基板に設けられ、基板表面に露出した第1パッド表面を半導体素子ユニットの第1電極実装面に当接させた第1回路接続パッドと、回路基板に設けられ、基板表面に露出した第2パッド表面を半導体素子ユニットの第2電極実装面に当接させた第2回路接続パッドとを設けるようにした。
【0019】
本発明は、半導体素子ユニットにおいて半導体素子と第1電極の間で共晶結合が形成されているため、当該半導体素子ユニットを回路基板に実装した後に改めてアニール処理を行う必要が無く、該回路基板上の駆動回路等を損傷させることが無い。また本発明は、第1電極実装面が平坦に形成されているため、回路基板の第1回路接続パッドが平坦であれば、当該回路基板の当該第1回路接続パッドに半導体素子ユニットを転写するだけで、分子間力により結合でき、且つ電気的に接続させることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、小型に構成しながら半導体と回路との良好な電気的接続を実現し得る半導体素子ユニット、半導体素子ユニット製造方法、半導体素子ユニット供給基板、半導体実装回路及び半導体実装回路製造方法を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】第1の実施の形態による半導体素子ユニットの構成を示す略線図である。
図2】第1の実施の形態による半導体素子ユニットの製造(1)を示す略線的断面である。
図3】第1の実施の形態による半導体素子ユニットの製造(2)を示す略線的断面である。
図4】供給基板の構成を示す略線図である。
図5】第1の実施の形態による半導体実装回路の構成を示す略線的断面図である。
図6】半導体実装回路の製造を示す略線的断面図である。
図7】LEDディスプレイ装置の構成を示す略線的斜視図である。
図8】第2の実施の形態による半導体素子ユニットの構成を示す略線図である。
図9】第2の実施の形態による半導体素子ユニットの製造(1)を示す略線的断面である。
図10】第2の実施の形態による半導体素子ユニットの製造(2)を示す略線的断面である。
図11】第2の実施の形態による半導体素子ユニットの製造(3)を示す略線的断面である。
図12】第2の実施の形態による半導体実装回路の構成を示す略線的断面図である。
図13】製造処理手順を示すフローチャートである。
図14】他の実施の形態による半導体素子ユニットの構成を示す略線図である。
図15】他の実施の形態による半導体素子ユニットの構成を示す略線図である。
図16】他の実施の形態による半導体素子ユニットの構成を示す略線図である。
図17】他の実施の形態による半導体素子ユニットの構成を示す略線図である。
図18】他の実施の形態による半導体素子ユニットの構成を示す略線図である。
図19】他の実施の形態による半導体素子ユニットの構成を示す略線図である。
図20】他の実施の形態による半導体素子ユニットの構成を示す略線図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
【0023】
[1.第1の実施の形態]
[1-1.半導体素子ユニットの構成]
図1(A)に模式的な外観図を示すと共に、図1(B)に模式的な断面図を示すように、第1の実施の形態による半導体素子ユニット1は、直方体状に構成された半導体素子2と、薄板状に構成された第1電極3とにより構成されている。以下では図1(A)において左から右へ向かう方向をX方向とし、上から下へ向かう方向をY方向とし、紙面の奥から手前へ向かう方向をZ方向とする。因みに図1(B)は、図1(A)におけるA1-A2断面図である。
【0024】
半導体素子2は、例えばp型又はn型のクラッド層及び活性層を有する発光素子である。この半導体素子2は、例えばZ方向側の面(すなわち上面)がアノードとなり、-Z方向側の面(すなわち下面)がカソードとなっている。また半導体素子2は、例えばX方向に沿った長さ及びY方向に沿った長さのうち短い方が200[μm]以下であり、またZ方向に沿った長さ(厚さ)が20[μm]以下である。
【0025】
第1電極3は、例えばTi、Pt及びAu等の導電性を有する金属材料、又はこれらの合金である。この第1電極3は、-Z方向側の表面である第1電極実装面3Bが極めて平坦に形成されており、その表面粗さ(ラフネス)が10[nm]以下となっている。また第1電極3は、扁平な直方体状に構成されており、半導体素子2と比較して、X方向及びY方向の長さが何れも長く、且つZ方向の長さが短くなっている。
【0026】
この半導体素子ユニット1は、半導体素子2における-Z方向側の面と、第1電極3におけるZ方向側の面とが接合されており、両者の接合部分において、共晶結合が形成されている。すなわち半導体素子ユニット1では、半導体素子2及び第1電極3の間で、共晶結合によりオーミック接続が実現されており、両者の間における抵抗率が、例えば1.0×10-2[Ω・cm]以下となっている。以下では、半導体素子ユニット1における-Z方向側の面、すなわち第1電極3の第1電極実装面3Bを、ユニット実装面1Bとも呼ぶ。
【0027】
[1-2.半導体素子ユニットの製造]
次に、半導体素子ユニット1の製造方法について、図2(A)-(D)並びに図3(A)-(C)を参照しながら説明する。因みに、図2及び図3は、何れもZ方向を上方向に向けた状態を表す模式的な断面図となっている。説明の都合上、ここでは、Z方向を上方向とも呼び、-Z方向を下方向とも呼ぶ。
【0028】
半導体素子ユニット1は、所定の製造装置100によって、半導体素子2を形成する前段の工程群と、該半導体素子2及び第1電極3を組み合わせる後段の工程群とが順次行われることにより、段階的に製造される。
【0029】
まず製造装置100は、前段の工程群において、一般的な半導体を製造する場合と類似した種々の製造プロセスに従い、半導体素子2を形成する。具体的に製造装置100では、図2(A)に示すように、所定の成長基板31の上側、すなわちZ方向側に成長犠牲層32を形成し、さらにその上側に半導体機能層33を形成する工程を行う。
【0030】
このうち最下層となる成長基板31は、例えばシリコンウェハである。この成長基板31における上側(Z方向側)の表面は、極めて平坦に形成されており、表面粗さが10[nm]以下となっている。成長犠牲層32は、例えばSi(シリコン)でなる比較的薄い層である。この成長犠牲層32は、後の工程において行われるウェットエッチングにより除去が可能な材料が選定されている。半導体機能層33は、半導体素子2と同一の材料により構成されている。
【0031】
次に製造装置100では、図2(B)に示すように、半導体機能層33のうち不要な部分を除去することにより、成長犠牲層32上に半導体素子2を形成する工程を行う。続いて製造装置100では、図2(C)に示すように、半導体素子2のZ方向側(上側)に、スタンプ101を貼り付ける工程を行う。このスタンプ101は、例えばジメチルポリシロキサン(Polydimethylsiloxane:PDMS)等の材料を所定形状に成形したものである。
【0032】
さらに製造装置100では、図2(D)に示すように、リン酸等の溶液を用いたエッチング処理により、成長犠牲層32を除去する工程を行う。これにより製造装置100では、半導体素子2がスタンプ101の下側に貼り付けられ、且つ成長基板31から分離された状態となる。因みに製造装置100は、スタンプ101を所定の保管場所へ移動させることにより、該スタンプ101と共に半導体素子2を当該保管場所に保管する。
【0033】
続いて製造装置100は、後段の工程群において、引き続き一般的な半導体を製造する場合と類似した種々の製造プロセスに従い、半導体素子2及び第1電極3を組み合わせた状態とする。具体的に製造装置100は、まず図3(A)に示すように、所定の形成基板41の上側、すなわちZ方向側に形成犠牲層42を形成する工程を行う。
【0034】
このうち下層側の形成基板41は、成長基板31(図2)と同様に、例えばシリコンウェハである。また形成基板41におけるZ方向側(上側)の表面は、やはり成長基板31の場合と同様、極めて平坦に形成されており、表面粗さが10[nm]以下となっている。因みに製造装置100は、先に使用した成長基板31をそのまま形成基板41として再利用しても良く、或いは成長基板31とは異なる形成基板41を別途用意しても良い。
【0035】
形成犠牲層42は、例えばAl(アルミナ)でなる比較的薄い層である。この形成犠牲層42は、成長犠牲層32の場合と同様、後の工程において行われるウェットエッチングにより除去が可能な材料が選定されている。また、形成犠牲層42におけるZ方向側(上側)の表面は、形成基板41の場合と同様、極めて平坦に形成されており、表面粗さが10[nm]以下となっている。
【0036】
次に製造装置100は、図3(B)に示すように、形成犠牲層42のZ方向側(上側)に薄膜状の第1電極3を形成する工程を行う。この第1電極3は、例えばAlやTi等のような金属材料により構成されている。また第1電極3は、前段の工程群により製造した半導体素子2と比較して、X方向及びY方向の長さが何れも長くなっており、且つZ方向の長さが短くなっている。さらに第1電極3における-Z方向側(下側)の面である第1電極実装面3Bは、形成基板41及び形成犠牲層42におけるZ方向側(上側)の表面の影響により、極めて平坦に形成されており、表面粗さが10[nm]以下となっている。
【0037】
続いて製造装置100では、図3(C)に示すように、第1電極3のZ方向側(上側)に、前段の工程群により製造した半導体素子2を転写する工程を行う。具体的に製造装置100は、例えば半導体素子2が貼り付けられたスタンプ101を所定の保管場所から第1電極3のZ方向側(上側)に移動させ、該スタンプ101を-Z方向側(下側)へ移動させることにより半導体素子2を第1電極3のZ方向側(上側)の面上に転写する。その後、製造装置100は、スタンプ101のみをZ方向側(上側)へ移動させて半導体素子2から引き離した後、保管場所に戻す。
【0038】
次に製造装置100は、図3(C)に示したように、第1電極3のZ方向側(上側)に半導体素子2を当接させ、且つ第1電極実装面3Bを形成犠牲層42の上面に当接させた状態のまま、これらを例えば約600[℃]の環境下に置くことにより、アニール処理の工程を行う。
【0039】
これにより、半導体素子2及び第1電極3は、互いが接合する部分に共晶結合を形成し、その結果として半導体素子ユニット1が完成する。このとき第1電極実装面3Bは、形成犠牲層42の上面に当接した状態であるため、アニール処理が行われた後も荒れること無く、極めて平坦な状態を維持している。
【0040】
説明の都合上、以下では、形成基板41及び形成犠牲層42の上に完成した半導体素子ユニット1が載置されている状態、すなわち第1電極実装面3Bを形成犠牲層42の上面に当接させた状態となっているものを、供給基板40又は半導体素子ユニット供給基板と呼ぶ。また以下では、形成基板41及び形成犠牲層42を単に基板とも呼び、当該基板の表面、すなわち形成犠牲層42におけるZ方向側の表面を基板表面とも呼ぶ。
【0041】
この供給基板40は、例えば半導体素子ユニット1の製造者と該半導体素子ユニット1を所定の回路基板に実装する実装者とが異なり、該製造者から該実装者へ該半導体素子ユニット1を供給する必要がある場合等に、当該半導体素子ユニット1を安定的に搬送し得る形態となっている。
【0042】
ところで図2及び図3では、説明の都合上、製造装置100が1個の半導体素子ユニット1を製造する様子、すなわち供給基板40に1個の半導体素子ユニット1が含まれる状態を表した。しかし、実際の製造装置100は、例えば図4(A)及び(B)に模式図を示すように、一般的な半導体の製造プロセスと同様に、形成基板41及び形成犠牲層42の上に複数の半導体素子ユニット1を格子状に配置した状態で、すなわち1枚の供給基板40に複数の半導体素子ユニット1が含まれる状態で、まとめて製造することができる。
【0043】
このように製造された供給基板40は、後述する半導体実装回路を製造する際に、形成基板41及び形成犠牲層42の上から各半導体素子ユニット1が順次移動されていく。具体的には、まず図3(D)に示すように、製造装置100により、スタンプ101を移動させ、その下面側に、半導体素子ユニット1における半導体素子2のZ方向側(上側)の面を貼り付けさせる工程を行う。
【0044】
続いて製造装置100は、図3(E)に示すように、リン酸等の溶液を用いたエッチング処理により、形成犠牲層42を除去する工程を行う。これにより製造装置100では、半導体素子ユニット1がスタンプ101の下側に貼り付けられ、且つ形成基板41から分離された状態となる。この状態で製造装置100は、スタンプ101を移動させることにより、半導体素子ユニット1を所望の位置へ移動させること、すなわち供給することができる。
【0045】
[1-3.半導体実装回路の構成及び製造]
次に、図5に示す半導体実装回路50について説明する。半導体実装回路50は、回路基板51上に半導体素子ユニット1が実装され、さらに第1絶縁部55及び配線部56が設けられた構成となっている。
【0046】
回路基板51は、基材部60、第1回路接続パッド61及び第2回路接続パッド62、並びに所定の内部配線材や駆動回路(図示せず)等を有している。基材部60は、例えばいわゆるガラスエポキシ樹脂、すなわちガラス繊維にエポキシ樹脂を含浸させて熱硬化させた構成であり、十分な強度や絶縁性等を備えている。
【0047】
第1回路接続パッド61は、導電性を有する材料でなり、Z方向側の表面(以下これを第1パッド表面61Aと呼ぶ)に例えばAlを露出させている。この第1回路接続パッド61は、回路基板51におけるZ方向側の面(以下これを基板表面51Aと呼ぶ)に第1パッド表面61Aを露出させており、また該回路基板51の内部において所定の配線材(図示せず)と電気的に接続されている。また第1回路接続パッド61におけるX方向及びY方向の長さは、半導体素子ユニット1(図1)の第1電極3におけるX方向及びY方向の長さよりも、それぞれ長くなっている。
【0048】
第2回路接続パッド62は、第1回路接続パッド61と同様に構成されており、Z方向側の表面(以下これを第2パッド表面62Aと呼ぶ)を基板表面51Aに露出させている。
【0049】
さらに回路基板51では、基板表面51Aが極めて平坦な平面状に形成されている。すなわち回路基板51では、基材部60の表面、第1パッド表面61A及び第2パッド表面62Aが何れも極めて平坦であり、且つそれぞれが互いに平行な平面となっており、さらにそれぞれのZ方向に関する距離(すなわち段差)も極めて小さくなっている。
【0050】
具体的に回路基板51では、基板表面51Aの表面粗さ、すなわち基材部60、第1パッド表面61A及び第2パッド表面62Aにおける表面粗さ(ラフネス)が何れも10[nm]以下となっている。また回路基板51では、基材部60の表面及び第1パッド表面61Aの間、並びに該基材部60の表面及び第2パッド表面62Aの間における、Z方向に関する距離(すなわち段差の高さ)が、半導体素子ユニット1(図1(A))におけるX方向に沿った辺の長さ及びY方向に沿った辺の長さのうち短い方と比較して、1/1000以下となっている。
【0051】
回路基板51の基板表面51A上には、第1パッド表面61AのZ方向側に、半導体素子ユニット1が載置されている。この半導体素子ユニット1は、Z方向から見た場合に第1回路接続パッド61の範囲内に収まるように配置されており、且つ第1電極実装面3Bを第1パッド表面61Aと対向する状態で当接させている。
【0052】
第1絶縁部55は、例えばポリイミド等の有機材料や、シリコン窒化膜等の無機材料によって構成され、絶縁性を有する薄膜となっている。この第1絶縁部55は、Y方向に関して、半導体素子2のZ方向側の面(すなわち上面)における-Y方向側の端部近傍から、第2パッド表面62AにおけるY方向側の端部近傍までの範囲を覆うように設けられている。
【0053】
配線部56は、例えばAu、Al、Cu、Ti及びPt等の金属や、ITO(酸化インジウムスズ)等の化合物のような、導電性を有する材料により構成されている。この配線材は、第1絶縁部55のZ方向側(すなわち上側)に重なるように設けられており、半導体素子2におけるZ方向側の面(すなわち上面)と第2パッド表面62Aにそれぞれ接触し、両者を電気的に接続している。
【0054】
すなわち半導体実装回路50は、半導体素子ユニット1の半導体素子2のうち、-Z方向側(すなわち下側)のカソードを第1回路接続パッド61と電気的に接続させると共に、Z方向側(すなわち上側)アノードを第2回路接続パッド62と電気的に接続させている。
【0055】
このため半導体実装回路50は、図示しない駆動回路から、第1回路接続パッド61及び第2回路接続パッド62の間に、所定の電圧を印加させると共に所定の電流を供給させることにより、発光素子である半導体素子2を発光させることができる。
【0056】
次に、半導体実装回路50の製造方法について、図6(A)-(D)を参照しながら説明する。因みに、図6(A)-(D)は、図2及び図3と同様、何れもZ方向を上方向に向けた状態を表す模式的な側面図若しくは断面図となっている。説明の都合上、Z方向を上方向とも呼び、-Z方向を下方向とも呼ぶ。
【0057】
半導体実装回路50は、製造装置100により、一般的な半導体を製造する場合と類似した種々の製造プロセスに従い、段階的に製造される。因みに、半導体実装回路50を製造する製造装置100は、半導体素子ユニット1を製造した製造装置100と同一のものでも良く、また異なるものでも良い。
【0058】
まず製造装置100は、図6(A)に示すように、回路基板51を製造し、基材部60の表面に第1パッド表面61A及び第2パッド表面62Aをそれぞれ露出させた状態とする。因みに製造装置100は、例えば化学機械研磨(Chemical Mechanical Polishing)等の処理を行うことにより、基板表面51Aが極めて平坦な、すなわち基材部60、第1パッド表面61A及び第2パッド表面62Aがいずれも極めて平坦であり、且つそれぞれの段差が極めて小さく抑えられた回路基板51を製造することができる。
【0059】
続いて製造装置100は、図6(B)に示すように、半導体素子ユニット1を回路基板51の第1回路接続パッド61上に転写する工程を行う。具体的に製造装置100は、半導体素子ユニット1が貼り付けられたスタンプ101(図3(E))を回路基板51における第1回路接続パッド61のZ方向側(すなわち上側)に移動させ、さらに-Z方向(下方向)へ移動させる。これにより半導体素子ユニット1は、第1電極実装面3Bを、第1パッド表面61Aと対向させ、且つ当接させた状態となる。
【0060】
次に製造装置100は、図6(C)に示すように、回路基板51上において、半導体素子2におけるZ方向側(上側)の表面の一部から第2パッド表面62Aの一部に渡る範囲に第1絶縁部55を形成する工程を行う。
【0061】
さらに製造装置100は、図6(D)に示すように、回路基板51上において、第1絶縁部55のZ方向側(上側)に重ねるようにして、配線部56を形成する工程を行う。これにより配線部56は、半導体素子2と第2回路接続パッド62とを電気的に接続する。かくして製造装置100は、半導体実装回路50(図5)を製造することができる。
【0062】
[1-4.LEDディスプレイ装置の構成]
ところで、上述した半導体素子ユニット1は、LED(Light Emitting Diode)素子とも呼ばれており、例えば図7に示すLEDディスプレイ装置70に複数が組み込まれることにより、上述した半導体実装回路50を複数形成するようになっている。
【0063】
LEDディスプレイ装置70は、LEDディスプレイ表示部71、フレーム72、放熱部材73、接続ケーブル74、接続端子部75及びディスプレイドライバ76等を有している。因みにLEDディスプレイ装置70は、マイクロLEDディスプレイとも呼ばれており、赤色、緑色及び青色でなる1組のLED素子を1つの画素と対応させたディスプレイデバイスとなっている。
【0064】
LEDディスプレイ表示部71は、平板状のディスプレイ回路基板71DにおけるZ方向側の表面に設定された表示領域内に、複数の半導体素子ユニット1(図1)が格子状に並ぶようにして実装された構成となっている。このディスプレイ回路基板71Dは、例えば回路基板51と同様のいわゆるガラスエポキシ基板であり、複数の回路基板51を格子状に整列させたような構成となっている。フレーム72は、例えば所定の鋼材等により長方形状の枠状に形成されており、LEDディスプレイ表示部71のZ方向側において、表示領域の外側を囲むように取り付けられている。
【0065】
放熱部材73は、例えばアルミニウムのように比較的高い熱伝導性を有する金属材料により、全体として扁平な直方体状に構成されている。この放熱部材73は、LEDディスプレイ表示部71の-Z方向側、すなわち画像等を表示する面の反対側において、該LEDディスプレイ表示部71に当接するように設置されている。接続ケーブル74は、接続端子部75を介して所定の制御装置(図示せず)と電気的に接続されることにより、当該制御装置から供給される画像信号を伝送してディスプレイドライバ76に供給する。
【0066】
駆動回路としてのディスプレイドライバ76は、接続ケーブル74及びLEDディスプレイ表示部71とそれぞれ電気的に接続されている。このディスプレイドライバ76は、例えば接続ケーブル74を介して供給される画像信号を基に赤色、緑色及び青色それぞれの駆動信号を生成し、これらの駆動信号に基づいた駆動電流をLEDディスプレイ表示部71に供給する。この結果、LEDディスプレイ装置70は、LEDディスプレイ表示部71の表示領域に、制御装置(図示せず)等から供給される画像信号に基づいた画像を表示することができる。
【0067】
[1-5.効果等]
以上の構成において、第1の実施の形態による半導体素子ユニット1は、半導体素子2の-Z方向側の面と第1電極3のZ方向側の面とを共晶結合させ、且つ該第1電極3の-Z方向側の面である第1電極実装面3Bを極めて平坦な状態に維持するようにした(図1)。
【0068】
具体的に、半導体素子ユニット1を製造する製造装置100は、形成基板41上に形成犠牲層42を形成した状態で、そのZ方向側(上側)に薄膜状の第1電極3を形成し(図3(B))、別途製造した半導体素子2(図2)を転写し(図3(C))、この状態でアニール処理を行う。このとき製造装置100は、第1電極実装面3Bを形成犠牲層42に当接させた状態のままアニール処理を行うため、該第1電極実装面3Bを荒れさせること無く極めて平坦な状態を維持したまま、第1電極3と半導体素子2とを共晶結合させることができる。
【0069】
また第1の実施の形態では、回路基板51の基板表面51Aを極めて平坦に形成し、且つ第1パッド表面61A及び第2パッド表面62Aとの段差も極めて小さく抑えるようにした(図5)。
【0070】
このため製造装置100は、回路基板51に半導体素子ユニット1を実装して半導体実装回路50を製造する際に、第1電極実装面3Bを第1パッド表面61Aに当接させるように転写するだけで、両者の間で分子間力を作用させることができる。これにより半導体実装回路50は、回路基板51の第1回路接続パッド61に対し、半導体素子ユニット1の第1電極3を物理的及び電気的に接続できる。
【0071】
すなわち半導体素子ユニット1は、第1電極実装面3Bを回路基板51の第1パッド表面61Aと当接させるだけで、該回路基板51の駆動回路(図示せず)と半導体素子2との間を、電気的に良好に接続させることができる。
【0072】
これを換言すれば、半導体素子ユニット1は、回路基板51上に実装された後にアニール処理を行う必要無く、半導体素子2と駆動回路とを電気的に良好に接続できるので、アニール処理の熱が該駆動回路に加えられて損傷することを原理的に回避できる。
【0073】
以上の構成によれば、第1の実施の形態による半導体素子ユニット1は、形成犠牲層42上に第1電極3及び半導体素子2を重ねて載置した状態でアニール処理を行うことにより、半導体素子2及び第1電極3を共晶結合させ、且つ第1電極実装面3Bを極めて平坦な状態に維持する。これにより半導体素子ユニット1は、基板表面51Aが極めて平坦に形成された回路基板51に実装される際、第1電極実装面3Bを第1パッド表面61Aに当接させるように転写されるだけで、両者の間で分子間力を作用させ、物理的及び電気的に接続させることができ、実装後にアニール処理を行わせる必要が無い。
【0074】
[2.第2の実施の形態]
[2-1.半導体素子ユニットの構成]
図1(A)及び(B)と対応する図8(A)及び(B)に示すように、第2の実施の形態による半導体素子ユニット201は、半導体素子202、第1電極203、第2電極204、第1絶縁部205、配線部206及び第2絶縁部207により構成されている。この半導体素子ユニット201は、第1の実施の形態における半導体実装回路50(図5)のうち回路基板51上に設けられた部分と類似した構成となっている。
【0075】
半導体素子202は、第1の実施の形態による半導体素子2と同様に構成されている。すなわち半導体素子202は、直方体状であり、例えば発光素子として構成されている。第1電極203は、第1の実施の形態による第1電極3と同様に構成されており、全体として扁平な直方体状であり、導電性を有する金属材料、又はこれらの合金でなる。また第1電極203は、第1の実施の形態と同様、半導体素子202の-Z方向側に当接しており、両者の接合部分に共晶結合が形成されている。さらに第1電極203における-Z方向側の表面である第1電極実装面203Bは、第1の実施の形態による第1電極実装面3Bと同様、極めて平坦に形成されており、その表面粗さが10[nm]以下となっている。
【0076】
第2電極204は、第1電極203と同様に、全体として扁平な直方体状に構成されており、例えばAu、Al、Cu、Ti及びPt等の導電性を有する金属材料、又はこれらの合金でなる。この第2電極204は、やはり第1電極203と同様、-Z方向側の表面である第2電極実装面204Bが極めて平坦に形成されており、その表面粗さが10[nm]以下となっている。
【0077】
第1絶縁部205は、第1の実施の形態における第1絶縁部55(図5)と同様、例えばポリイミド等の有機材料や、シリコン窒化膜等の無機材料によって構成され、絶縁性を有する薄膜となっている。この第1絶縁部205は、Y方向に関して、半導体素子202のZ方向側の面(すなわち上面)における-Y方向側の端部近傍から、第2電極204のZ方向側の面(すなわち上面)におけるY方向側の端部近傍までの範囲を覆うように設けられている。
【0078】
配線部206は、第1の実施の形態における配線部56(図5)と同様、例えばAu、Al、Cu、Ti及びPt等の金属や、ITO(酸化インジウムスズ)等の化合物のような、導電性を有する材料により構成されている。この配線材は、第1絶縁部205のZ方向側(すなわち上側)に重なるように設けられており、半導体素子202におけるZ方向側の面(すなわち上面)と第2電極204におけるZ方向側の面(すなわち上面)にそれぞれ接触し、両者を電気的に接続している。
【0079】
第2絶縁部207は、第1絶縁部205と同様、例えばポリイミド等の有機材料や、シリコン窒化膜等の無機材料によって構成され、絶縁性を有する薄膜となっている。この第2絶縁部207は、半導体素子202、第1電極203、第2電極204、第1絶縁部205及び配線部206をZ方向側から覆い、且つX方向及びY方向に関してその周囲を取り囲むような広い範囲に設けられている。換言すれば、第2絶縁部207は、半導体素子202、第1電極203、第2電極204、第1絶縁部205及び配線部206における-Z方向側(すなわち下側)以外の各方向を覆っている。
【0080】
以下では、第2電極204における-Z方向側の面を第2電極実装面204Bと呼び、第1絶縁部205における-Z方向側の面を第1絶縁部実装面205Bと呼ぶ。また以下では、半導体素子ユニット201における-Z方向側の面、すなわち第1電極実装面203B、第2電極実装面204B、第1絶縁部実装面205B、及び第2絶縁部207における-Z方向側の面をまとめたものを、ユニット実装面201Bとも呼ぶ。このユニット実装面201Bは、全体として極めて平坦に形成されており、その表面粗さが10[nm]以下となっている。
【0081】
また半導体素子ユニット201では、ユニット実装面201Bにおいて異なる材料同士が隣接する箇所、例えば第1電極203及び第1絶縁部205が隣接する箇所における、段差の大きさ(すなわちZ方向に沿った長さ)が、ユニット実装面201Bの外形を形成する各辺と比較して十分に小さい値となっている。具体的に半導体素子ユニット201では、当該段差の大きさが、X方向に沿った辺の長さLX及びY方向に沿った辺の長さLYのうち短い方である長さLXの1/1000以下となっている。
【0082】
[2-2.半導体素子ユニットの製造]
次に、半導体素子ユニット201の製造方法について、図2(A)-(D)、図3(A)-(E)並びに図6(A)-(D)と対応する図9(A)-(D)、図10(A)-(G)並びに図11(A)-(B)を参照しながら説明する。因みに、図9図10及び図11は、第1の実施の形態と同様に、何れもZ方向を上方向に向けた状態を表す模式的な側面図若しくは断面図となっている。説明の都合上、ここでは、Z方向を上方向とも呼び、-Z方向を下方向とも呼ぶ。
【0083】
半導体素子ユニット201は、第1の実施の形態と同様、所定の製造装置100によって、半導体素子202を形成する前段の工程群と、該半導体素子202を第1電極203等と組み合わせる後段の工程群とが順次行われることにより、段階的に製造される。
【0084】
まず製造装置100は、前段の工程群において、第1の実施の形態と同様、一般的な半導体を製造する場合と類似した種々の製造プロセスに従い、半導体素子202を形成する。具体的に製造装置100では、図2(A)と対応する図9(A)に示すように、所定の成長基板231の上側、すなわちZ方向側に成長犠牲層232を形成し、さらにその上側に半導体機能層233を形成する工程を行う。この成長基板231、成長犠牲層232及び半導体機能層233は、それぞれ第1の実施の形態における成長基板31、成長犠牲層32及び半導体機能層33と同様に構成されている。
【0085】
その後、製造装置100では、図2(B)-(D)とそれぞれ対応する図9(B)-(D)に示すように、不要な部分の除去やエッチング処理等の工程を順次経ることにより、スタンプ101の下側に半導体素子202を貼り付けた状態とする。
【0086】
次に製造装置100は、後段の工程群において、引き続き一般的な半導体を製造する場合と類似した種々の製造プロセスに従い、半導体素子202及び第1電極203等を組み合わせた状態とする。具体的に製造装置100は、まず図3(A)と対応する図10(A)に示すように、所定の形成基板241の上側、すなわちZ方向側に形成犠牲層242を形成する工程を行う。形成基板241及び形成犠牲層242は、第1の実施の形態における形成基板41及び形成犠牲層42と同様に構成されている。すなわち形成犠牲層242におけるZ方向側(上側)の表面は、極めて平坦に形成されており、表面粗さが10[nm]以下となっている。
【0087】
次に製造装置100は、図3(B)と対応する図10(B)に示すように、形成犠牲層42のZ方向側(上側)に薄膜状の第1電極203を形成する工程を行う。この第1電極3は、例えばTiやPt等のような金属材料により構成されている。このとき第1電極実装面203Bは、形成犠牲層242におけるZ方向側(上側)の表面の影響により、極めて平坦に形成されており、表面粗さが10[nm]以下となっている。
【0088】
さらに製造装置100は、図10(C)に示すように、形成犠牲層42のZ方向側(上側)に薄膜状の第2電極204を形成する工程を行う。第2電極204は、例えばAuGeNiのような合金の材料により構成されている。このとき第2電極実装面204Bは、第1電極実装面203Bと同様、形成犠牲層242におけるZ方向側(上側)の表面の影響により、極めて平坦に形成されており、表面粗さが10[nm]以下となっている。
【0089】
続いて製造装置100では、図3(C)と対応する図10(D)に示すように、第1電極203のZ方向側(上側)に、前段の工程群により製造した半導体素子202を転写する工程を行う。具体的に製造装置100は、例えば半導体素子202が貼り付けられたスタンプ101(図9(D))を第1電極203のZ方向側(上側)に移動させ、該スタンプ101を-Z方向側(下側)へ移動させることにより半導体素子202を第1電極203のZ方向側(上側)に転写する。
【0090】
次に製造装置100は、図10(D)に示したように、第1電極203のZ方向側(上側)に半導体素子202を当接させ、且つ第1電極実装面203B及び第2電極実装面204Bを形成犠牲層242の上面に当接させた状態のまま、これらを例えば約600[℃]の環境下に置くことにより、アニール処理の工程を行う。
【0091】
これにより、半導体素子202及び第1電極203は、互いが接合する部分に共晶結合を形成する。このとき第1電極実装面203B及び第2電極実装面204Bは、何れも形成犠牲層242の上面に当接した状態であるため、アニール処理が行われた後も荒れること無く、極めて平坦な状態を維持している。
【0092】
次に製造装置100は、図6(C)と対応する図10(E)に示すように、形成犠牲層242上において、半導体素子202におけるZ方向側(上側)の表面の一部から第2電極204におけるZ方向側(上側)の表面の一部に渡る範囲に、第1絶縁部205を形成する工程を行う。
【0093】
続いて製造装置100は、図6(D)と対応する図10(F)に示すように、形成犠牲層242上において、第1絶縁部205のZ方向側(上側)に重ねるようにして、配線部206を形成する工程を行う。これにより配線部206は、半導体素子202におけるZ方向側(上側)の面と第2電極204におけるZ方向側(上側)の面とを電気的に接続する。
【0094】
さらに製造装置100は、図10(G)に示すように、形成犠牲層242上において、半導体素子202、第1絶縁部205及び配線部206等のZ方向側(上側)に重ねるようにして、第2絶縁部207を形成する工程を行う。これにより第2絶縁部207は、半導体素子202、第1電極203、第2電極204、第1絶縁部205、配線部206のうち、Z方向側や、X方向側及びその反対側、並びにY方向側及びその反対側を全て覆うことになる。この結果、製造装置100は、半導体素子ユニット201を完成させることができる。
【0095】
説明の都合上、本実施の形態では、形成基板241及び形成犠牲層242の上に完成した半導体素子ユニット201が載置されている状態となっているものを、供給基板240又は半導体素子ユニット供給基板と呼ぶ。また本実施の形態では、形成基板241及び形成犠牲層242を単に基板とも呼び、当該基板の表面、すなわち形成犠牲層242におけるZ方向側の表面を基板表面とも呼ぶ。
【0096】
また製造装置100は、第1の実施の形態(図4)と同様に、形成基板241及び形成犠牲層242の上に複数の半導体素子ユニット201を配置した状態で、すなわち1枚の供給基板240に複数の半導体素子ユニット201が含まれる状態で、まとめて製造することができる。
【0097】
このように製造された供給基板240は、第1の実施の形態と同様、後述する半導体実装回路を製造する際に、形成基板241及び形成犠牲層242の上から各半導体素子ユニット201が順次移動されていく。具体的には、図3(D)と対応する図11(A)に示すように、製造装置100により、スタンプ101の下面に半導体素子ユニット201における第2絶縁部207のZ方向側(上側)の面を貼り付けさせる工程を行う。因みに、当該工程を行う製造装置100は、半導体素子ユニット201を製造した製造装置100と同一のものでも良く、また異なるものでも良い。
【0098】
続いて製造装置100は、図3(E)と対応する図11(E)に示すように、リン酸等の溶液を用いたエッチング処理により、形成犠牲層242を除去する工程を行う。これにより製造装置100は、半導体素子ユニット201をスタンプ101の下側に貼り付けさせ、且つ形成基板241から分離させた状態とする。この状態で製造装置100は、スタンプ101を移動させることにより、半導体素子ユニット201を所望の位置へ移動させること、すなわち供給することができる。
【0099】
[2-3.半導体実装回路の構成及び製造]
次に、図5と対応する図12に示す半導体実装回路250について説明する。半導体実装回路250は、回路基板251上に半導体素子ユニット201が実装された構成となっている。
【0100】
回路基板251は、第1の実施の形態による回路基板51(図5)と同様に構成されており、基材部60、第1回路接続パッド61及び第2回路接続パッド62とそれぞれ対応する基材部260、第1回路接続パッド261及び第2回路接続パッド262を有している。以下では、第1回路接続パッド261及び第2回路接続パッド262におけるZ方向側の表面を、それぞれ第1パッド表面261A及び第2パッド表面262Aと呼ぶ。
【0101】
また回路基板251は、第1の実施の形態と同様に、Z方向側の表面である基板表面251Aが極めて平坦な平面状に形成されている。すなわち回路基板251では、基材部260の表面、第1パッド表面261A及び第2パッド表面262Aが何れも極めて平坦であり、且つそれぞれが互いに平行な平面となっており、さらにそれぞれのZ方向に関する距離(すなわち段差)も極めて小さくなっている。
【0102】
この半導体実装回路250は、例えば製造装置100により、一般的な半導体を製造する場合と類似した種々の製造プロセスに従って製造される。因みに、この半導体実装回路250を製造する製造装置100は、半導体素子ユニット201を製造した製造装置100と同一のものでも良く、また異なるものでも良い。
【0103】
まず製造装置100は、図6(A)に示した場合と同様に、回路基板251を製造し、基材部260の表面に第1パッド表面261A及び第2パッド表面262Aをそれぞれ露出させた状態とする。因みに製造装置100は、第1の実施の形態と同様に、例えば化学機械研磨等の処理を行うことにより、基板表面251Aが極めて平坦な状態とする。
【0104】
具体的に回路基板251では、第1の実施の形態と同様、基板表面251Aの表面粗さ、すなわち基材部260、第1パッド表面261A及び第2パッド表面262Aにおける表面粗さ(ラフネス)が何れも10[nm]以下となっている。また回路基板251では、やはり第1の実施の形態と同様、基材部260の表面及び第1パッド表面261Aの間、並びに該基材部260の表面及び第2パッド表面262Aの間における、Z方向に関する距離(すなわち段差の高さ)が、極めて小さくなっている。具体的に、この段差の高さは、半導体素子ユニット201(図8(A))におけるX方向に沿った辺の長さ及びY方向に沿った辺の長さのうち短い方と比較して、1/1000以下となっている。
【0105】
続いて製造装置100は、図6(B)に示した場合と同様に、スタンプ101に貼り付けられた半導体素子ユニット201を回路基板251の基板表面251A上に転写する工程を行う。
【0106】
具体的に製造装置100は、まず1個の半導体素子ユニット201が貼り付けられたスタンプ101を、回路基板251において他の半導体素子ユニット201が未だに貼り付けられていない箇所のZ方向側に移動させる。このとき製造装置100は、スタンプ101のX方向及びY方向に関する位置調整を行い、半導体素子ユニット201における第1電極203の全範囲を第1パッド表面261Aと対向させ、且つ第2電極204の全範囲を第2パッド表面262Aと対向させるようにする。
【0107】
続いて製造装置100は、スタンプ101を-Z方向(下方向)へ移動させることにより、半導体素子ユニット201のユニット実装面201Bを回路基板51の基板表面51Aに当接させる。具体的に半導体素子ユニット201は、第1電極実装面203Bを第1パッド表面261Aに当接させ、第2電極実装面204Bを第2パッド表面262Aに当接させ、第1絶縁部実装面205B及び第2絶縁部実装面207Bを基材部260の表面に当接させる。
【0108】
さらに製造装置100は、スタンプ101から半導体素子ユニット201に対し、-Z方向(すなわち下方向)に向けて所定の圧力を加える(加圧する)。これにより半導体素子ユニット201は、ユニット実装面201Bと基板表面251Aとの間で分子間力を作用させ、回路基板251に対して分子間力により貼り付けられる。
【0109】
このとき第1電極実装面203Bは、第1パッド表面261Aと分子間力によって結合することにより、電気的に接続される。また第2電極実装面204Bは、第2パッド表面262Aと分子間力によって結合することにより、電気的に接続される。すなわち、第1電極203及び第2電極204は、第1回路接続パッド261及び第2回路接続パッド262とそれぞれ電気的に接続される。これにより半導体実装回路250では、回路基板251の駆動回路(図示せず)から、半導体素子ユニット201の半導体素子202に対して電流を供給でき、該半導体素子202を発光させることができる。
【0110】
また半導体実装回路250では、回路基板251に対して半導体素子ユニット201が分子間力によって結合されているものの、この分子間力よりも強い力が加えられると、この結合を解消し、該回路基板251から該半導体素子ユニット201を容易に引き剥がすことができる。
【0111】
例えば製造装置100は、半導体実装回路250に対し、図示しない剥離ヘッドを近接させて所定の溶剤を吐出することにより、半導体素子ユニット201の結合力を低下させる。続いて製造装置100は、スタンプ101を移動させて半導体素子ユニット201を吸着させ、さらに該スタンプ101を移動させることにより、回路基板251から該半導体素子ユニット201を引き剥がして取り除くことができる。このとき回路基板251は、ほとんど損傷することが無く、後に他の半導体素子ユニット201が転写されると、この半導体素子ユニット201との間で分子間力により結合することができる。
【0112】
ところで半導体実装回路250は、第1の実施の形態と同様、例えばLEDディスプレイ装置70(図7)の一部として製造されるようになっている。この場合、例えばLEDディスプレイ表示部71の一部であるディスプレイ回路基板71Dが、複数の回路基板251を格子状に整列させたような構成となっている。このディスプレイ回路基板71Dには、各回路基板251に相当する部分ごとに、第1回路接続パッド261及び第2回路接続パッド262がそれぞれ設けられており、また各半導体素子ユニット201を実装するべき箇所である実装箇所がそれぞれ設定されている。
【0113】
LEDディスプレイ装置70を製造する場合、製造装置100は、上述したディスプレイ回路基板71Dに対し、複数の半導体素子ユニット201を順次実装することになる。このLEDディスプレイ装置70では、1個の半導体素子ユニット201が1個の画素に相当することになる。このためディスプレイ回路基板71Dには、その解像度に応じて、例えば数百万個の半導体素子ユニット201が実装されることになる。
【0114】
しかしながら半導体素子ユニット201は、製造上の問題等により不良品が発生する可能性がある。そうすると、例えばLEDディスプレイ装置70に実装された半導体素子ユニット201の一部が不良品であった場合、当該LEDディスプレイ装置70は、一部の画素を正常に表示できない等の不具合を有することになり、出荷前の検査等において不良と判定され、出荷されずに廃棄される可能性がある。
【0115】
そこで製造装置100は、ディスプレイ回路基板71Dに実装した半導体素子ユニット201が正常に動作するか否かを検査し、不良であった場合には、当該半導体素子ユニット201を新たな半導体素子ユニット201と交換するようになっている。
【0116】
具体的に製造装置100は、ディスプレイ回路基板71Dに複数の半導体素子ユニット201を実装する場合、図13に示す製造処理手順RT1を行うようになっている。製造装置100は、この製造処理手順RT1を開始すると、最初のステップSP1に移り、ディスプレイ回路基板71D上の各実装箇所に対し、スタンプ101(図11)により各半導体素子ユニット201を順次転写させてから、次のステップSP2に移る。これによりディスプレイ回路基板71Dは、各実装箇所に対して半導体素子ユニット201が分子間力により結合し、各半導体素子ユニット201と電気的にも接続された状態となる。
【0117】
ステップSP2において製造装置100は、ディスプレイ回路基板71Dに設けられた駆動回路に対して所定の信号を供給することにより、各実装箇所の各半導体素子ユニット201をそれぞれ発光させ、次のステップSP3に移る。
【0118】
ステップSP3において製造装置100は、所定の撮像部により、各実装箇所における各半導体素子ユニット201の発光の状態を撮像し、さらに所定の画像処理を施すことにより検査画像を生成して、次のステップSP4に移る。因みに製造装置100は、撮像部における解像度等の制約により、ディスプレイ回路基板71Dにおける全ての実装箇所を1枚の検査画像に収めきれない場合、該ディスプレイ回路基板71Dを複数の領域に分割し、この領域ごとに検査画像を生成する。
【0119】
ステップSP4において製造装置100は、検査画像を基に、各実装箇所について、実装されている半導体素子ユニット201が正常に発光している正常箇所であるか、或いは正常に発光していない異常箇所であるかをそれぞれ判定し、次のステップSP5に移る。すなわち製造装置100は、検査画像を利用して、ディスプレイ回路基板71Dに実装された各半導体素子ユニット201における発光の状態を検査する。
【0120】
ステップSP5において製造装置100は、ディスプレイ回路基板71Dに異常箇所が1箇所以上あったか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、このことは、ディスプレイ回路基板71Dに実装された複数の半導体素子ユニット201のうち1個以上が正常に発光していないため、当該ディスプレイ回路基板71Dを使用しても正常なLEDディスプレイ装置70を製造できないことを表している。またこのことは、異常箇所であった実装箇所の半導体素子ユニット201を交換し、交換後の半導体素子ユニット201が正常に発光すれば、当該実装箇所を正常箇所に変更できることを表している。そこで製造装置100は、次のステップSP6に移る。
【0121】
ステップSP6において製造装置100は、図示しない剥離ヘッドから異常箇所に所定の溶剤を吐出し、該異常箇所の半導体素子ユニット201の結合力を低下させた上で、スタンプ101を用いて該半導体素子ユニット201を異常箇所から除去し、次のステップSP7に移る。因みに製造装置100は、異常箇所が複数あった場合、各異常箇所の半導体素子ユニット201を全て除去する。
【0122】
ステップSP7において製造装置100は、スタンプ101を用いて新たな半導体素子ユニット201を異常箇所に転写させることにより、ディスプレイ回路基板71Dに対して分子間力により結合させる。その後、製造装置100は再びステップSP2に戻り、一連の処理を繰り返すことにより、異常であった実装箇所が正常に動作するようになったか否かを判定する。
【0123】
一方、ステップSP5において否定結果が得られると、このことは、ディスプレイ回路基板71Dにおける全ての実装箇所において、実装された半導体素子ユニット201が正常に動作していること、すなわち全ての画素が正常に動作するLEDディスプレイ表示部71が完成したことを表している。このとき製造装置100は、次のステップSP8に移り、製造処理手順RT1を終了する。
【0124】
[2-4.効果等]
以上の構成において、第2の実施の形態による半導体素子ユニット201は、半導体素子202の-Z方向側の面と第1電極203のZ方向側の面とを共晶結合させ、配線部206により該半導体素子202と第2電極204とを接続すると共に、ユニット実装面201Bを極めて平坦に構成した(図8)。
【0125】
具体的に、半導体素子ユニット201を製造する製造装置100は、第1の実施の形態と同様に、形成基板241上に形成犠牲層242を形成した状態で、そのZ方向側(上側)に薄膜状の第1電極203及び第2電極204を形成する(図10(B)及び(C))。続いて製造装置100は、第1電極203のZ方向側に、別途製造した半導体素子202(図9)を転写し(図10(D))、この状態でアニール処理を行う。
【0126】
このとき製造装置100は、第1電極実装面203B及び第2電極実装面204Bを形成犠牲層242に当接させた状態のままアニール処理を行うため、該第1電極実装面203B及び第2電極実装面204Bを荒れさせること無く極めて平坦な状態を維持したまま、第1電極203と半導体素子202とを共晶結合させることができる。
【0127】
また製造装置100は、形成犠牲層242上で第1絶縁部205及び第2絶縁部207を形成する(図10(E)及び(G))。このため製造装置100は、第1絶縁部実装面205B及び第2絶縁部実装面207Bを、極めて平坦に形成でき、且つ第1電極実装面203B及び第2電極実装面204Bとの段差も極めて小さく抑えることができ、半導体素子ユニット201のユニット実装面201Bを全体的に極めて平坦に仕上げることができる。
【0128】
このように製造された半導体素子ユニット201は、ユニット実装面201Bを回路基板251(図12)の基板表面251Aに当接させるように転写されると、両者の間で分子間力を作用させ、十分な強度で結合することができる。また半導体素子ユニット201は、このとき第1電極203及び第2電極204を第1回路接続パッド261及び第2回路接続パッド262とそれぞれ電気的に接続させることができる。
【0129】
このため、例えば製造装置100によりLEDディスプレイ表示部71(図7)を製造する場合、ディスプレイ回路基板71Dに設けられた複数の実装箇所に対し、各半導体素子ユニット201を転写するだけで、物理的に接合させると共に、電気的に接続させること、すなわち実装することができる。
【0130】
これにより製造装置100は、実装された半導体素子ユニット201にそれぞれ電流を供給して正常に発光するか否かを確認することができ、正常に発光しない異常箇所があった場合、ディスプレイ回路基板71Dを殆ど損傷させること無く半導体素子ユニット201を容易に引き剥がして交換することができる。この結果、製造装置100は、LEDディスプレイ表示部71やLEDディスプレイ装置70における良品の割合、いわゆる歩留まりを格段に高めることができる。
【0131】
以上の構成によれば、第2の実施の形態による半導体素子ユニット201は、その製造時に、半導体素子202及び第1電極203を共晶結合させ、且つ第1電極実装面203B及び第2電極実装面204Bを含めたユニット実装面201Bを極めて平坦な状態に形成する。これにより半導体素子ユニット201は、半導体実装回路250の製造時に、回路基板251に転写されるだけで、ユニット実装面201Bと基板表面251Aとを分子間力により結合させることができ、この状態で発光状態の検査を行うことができ、異常箇所における交換作業を容易に行わせることができる。
【0132】
[3.他の実施の形態]
なお上述した第1の実施の形態においては、半導体素子ユニット1(図1)の半導体素子2に第1電極3のみを接合させる場合について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば図1と対応する図14に示す半導体素子ユニット301のように、半導体素子2におけるZ方向側の面、すなわち第1電極3との接合面と異なる面である上面に、直上電極311を設けても良い。この半導体素子ユニット301を製造する場合、製造装置100は、例えば図3(C)のように第1電極3の上側に半導体素子2を転写した後に、該半導体素子2のZ方向側(すなわち上側)に蒸着等の手法により直上電極311を形成し、その後にアニール処理を行う。これにより半導体素子ユニット301は、半導体素子2及び第1電極3の間に加えて、該半導体素子2及び直上電極311の間にも共晶結合を形成することができる。またこの場合、例えば直上電極311を光透過性の高い材料により構成し、いわゆる透明電極とすることにより、半導体素子2の発光により出射された光をZ方向へ効率良く透過させることができる。
【0133】
また上述した第1の実施の形態においては、半導体実装回路50(図5)において、X方向及びY方向に関して、第1電極3よりも、第1回路接続パッド61を大きく(長く)構成し、且つ第1電極実装面3Bを第1パッド表面61Aの範囲内で対向させる位置に実装する場合について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えばX方向及びY方向の少なくとも一方に関して、第1回路接続パッド61よりも第1電極3を大きく(長く)構成し、第1電極実装面3Bの一部を第1パッド表面61Aの範囲からはみ出すように対向させた位置に実装しても良い。この場合、回路基板51では、基板表面51Aが極力平坦であることが望ましく、具体的には、例えば基材部60におけるZ方向側の表面と、第1パッド表面61Aとの段差の大きさ、すなわちZ方向に関する間隔が、半導体素子ユニット1におけるX方向及びY方向に沿った長さの1/1000以下であることが望ましい。第2の実施の形態における第1電極203及び第2電極204についても同様である。
【0134】
さらに上述した実施の形態においては、図3(C)並びに図4(A)及び(B)に示したように、形成基板41及び形成犠牲層42の上に半導体素子ユニット1が載置されている状態を供給基板40とする場合について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば図3(E)に示したように、スタンプ101の下面に半導体素子ユニット1を貼り付けたものを供給基板としても良く、或いは当該スタンプ101から所定の基板上に半導体素子ユニット1を転写させたものを供給基板としても良い。さらにこの場合、例えば複数の形成基板41及び形成犠牲層42において、互いに異なる種類の半導体素子2を用いて異なる種類の半導体素子ユニット1をそれぞれ製造した後、複数種類の半導体素子ユニット1を1枚の基板上に混在させるように転写したものを供給基板としても良い。第2の実施の形態についても同様である。
【0135】
さらに上述した実施の形態においては、供給基板40に複数の半導体素子ユニット1を並べて製造する場合に、複数の第1電極3上に同一種類である複数の半導体素子2をそれぞれ転写する場合について述べた(図3(C)及び図4)。しかし本発明はこれに限らず、例えば複数の第1電極3上に、複数種類が混在した複数の半導体素子2をそれぞれ転写することにより、供給基板40を構成しても良い。また、上述した場合と同様に、スタンプ101の下面に各半導体素子ユニット1(すなわち複数種類の半導体素子2が混在するもの)を貼り付けたものを供給基板としても良く、さらには所定の基板上に各半導体素子ユニット1を転写させたものを供給基板としても良い。第2の実施の形態についても同様である。
【0136】
さらに上述した第1の実施の形態においては、LEDディスプレイ装置70(図7)を製造する際に、LEDディスプレイ表示部71のディスプレイ回路基板71Dに対し、1種類の半導体素子ユニット1を実装する場合について述べた。しかし本発明はこれに限らず、複数種類の半導体素子ユニット1を実装しても良い。具体的には、例えば赤色に発光する半導体素子2を用いた赤色の半導体素子ユニット1と、緑色に発光する半導体素子2を用いた緑色の半導体素子ユニット1と、青色に発光する半導体素子2を用いた青色の半導体素子ユニット1とが繰り返し並ぶように実装することにより、カラー表示を行い得るLEDディスプレイ表示部71を実現できる。第2の実施の形態についても同様である。
【0137】
さらに上述した第2の実施の形態においては、半導体素子ユニット201(図8)の半導体素子202に第1電極203のみを接合させる場合について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば図8と対応する図15に示す半導体素子ユニット401のように、半導体素子202におけるZ方向側の面、すなわち第1電極203に接合される面と反対側の上面に、直上電極411を設けても良い。この半導体素子ユニット401を製造する場合、製造装置100は、例えば図10(D)のように第1電極203の上側に半導体素子202を転写した後に、該半導体素子202のZ方向側(すなわち上側)に蒸着等の手法により直上電極411を形成し、その後にアニール処理を行う。これにより半導体素子ユニット401は、半導体素子202及び第1電極203の間に加えて、該半導体素子202及び直上電極411の間にも共晶結合を形成することができる。またこの場合、例えば直上電極411を光透過性の高い材料により構成し、いわゆる透明電極とすることにより、半導体素子202の発光により出射された光をZ方向へ効率良く透過させることができる。
【0138】
さらに上述した第2の実施の形態においては、半導体素子ユニット201(図8)の第1絶縁部205を、Y方向に関して半導体素子202におけるZ方向側(上側)の表面の一部から第2電極204におけるZ方向側(上側)の表面の一部に渡る範囲に設ける場合について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば図8と対応する図16に示す半導体素子ユニット501のように、Y方向に関してより広い範囲、例えば半導体素子202よりもY方向側から、第2電極204よりも-Y方向側までの範囲に、第1絶縁部505を設けても良い。この場合、半導体素子202におけるZ方向側の面の一部と、第2電極204におけるZ方向側の面の一部とを露出させておき、配線部206を両者と電気的に接続させ得るようにすれば良い。第1の実施の形態における半導体実装回路50(図5)の第1絶縁部55についても同様である。
【0139】
さらに上述した第2の実施の形態においては、半導体素子ユニット201(図8)における第1絶縁部205及び配線部206のZ方向側(上側)に、第2絶縁部207を直接重ねるように設ける場合について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば図8と対応する図17に示す半導体素子ユニット601のように、第1絶縁部205及び配線部206のZ方向側(上側)に、蛍光部612のような他の材料による膜や層を1つ以上設け、そのZ方向側(上側)に第2絶縁部207を設けても良い。この半導体素子ユニット401を製造する場合、製造装置100は、例えば図10(F)のように第1絶縁部205に重ねて配線部206を設けた後に、蛍光部612を重ねるようにして設け、その後に図10(G)のように第2絶縁部207を設ければ良い。なお蛍光部612は、少なくとも半導体素子202を覆っていれば良く、第1絶縁部205及び配線部206の一部を露出させていても良い。この半導体素子ユニット601は、半導体素子202を発光させる際に、出射された光の色を蛍光部612により他の色に変換することができる。第1の実施の形態における半導体実装回路50についても同様である。
【0140】
さらに上述した第2の実施の形態においては、半導体素子ユニット201に半導体素子202、第1電極203、第2電極204、第1絶縁部205及び配線部206を1個ずつ設ける場合について述べた。しかし本発明はこれに限らず、1個の半導体素子ユニットに複数の半導体素子202等を設けても良く、例えば図8(A)と対応する図18に示す半導体素子ユニット701のように、3個の半導体素子ユニット701R、701G及び701BをX方向に沿って並べたように構成しても良い。この場合、例えば半導体素子202Rを赤色の発光素子とし、半導体素子202Gを緑色の発光素子とし、半導体素子202Bを青色の発光素子とすることにより、半導体素子ユニット701を、カラーのディスプレイ装置における各画素の表示素子として使用することができる。または、例えば図18と対応する図19に示す半導体素子ユニット801のように、各色の半導体素子ユニット801R、801G及び801Bにおける第1電極203に代えて、各第1電極203をX方向に沿って互いに連結させたような構成の共通第1電極803を設けても良い。或いは、例えば図18及び図19と対応する図20に示す半導体素子ユニット901のように、各色の半導体素子ユニット901R、901G及び901Bにおける第2電極204に代えて、各第2電極204をX方向に沿って互いに連結させたような構成の共通第2電極904を設けても良い。
【0141】
さらに上述した第2の実施の形態においては、製造装置100により半導体素子ユニット201を製造する際に、形成犠牲層242上に第1電極203を形成した後に第2電極204を形成する場合について述べた(図10(B)及び(C))。しかし本発明はこれに限らず、例えば第2電極204を形成した後に第1電極203を形成しても良く、或いは第1電極203及び第2電極204を同一の材料とする場合に両者を同時に形成しても良い。若しくは、例えば第1電極203を形成し、その上側に半導体素子202を転写し、アニール処理を行った後に、第2電極204を形成しても良い。
【0142】
さらに上述した第2の実施の形態においては、製造処理手順RT1(図13)のステップSP5において否定結果が得られ、異常箇所が発見されなかった場合、LEDディスプレイ表示部71が完成したものとして当該製造処理手順RT1を終了する場合について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えばステップSP5において否定結果が得られた場合、製造装置100により、各実装箇所において各半導体素子ユニット201が分子間力により結合しているディスプレイ回路基板71Dに対し、所定の圧力及び所定の熱のうち少なくとも一方を加えるようにしても良い。これにより、第1電極203と第1回路接続パッド261との間、並びに第2電極204と第2回路接続パッド262との間において、それぞれ共晶結合させてオーミック接続を実現でき、両者の間における電気的な接続を安定させることができる。これを換言すれば、LEDディスプレイ表示部71では、両者が分子間力のみにより接合された状態を、電気的に接続されると共に容易な張り替えが可能な程度の比較的小さい力で固定された「仮固定」の状態とし、また共晶結合が形成された状態を、容易に剥離しない程度の比較的大きい力で強力に固定された「本固定」の状態とすることができる。
【0143】
さらに上述した第2の実施の形態においては、製造処理手順RT1(図13)のステップSP6において、異常箇所に所定の溶剤を吐出して分子間力による結合を弱めてから、半導体素子ユニット201をディスプレイ回路基板71Dから引き剥がす場合について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば他の手法によって分子間力による結合を弱めてから、若しくは分子間力による結合を弱めることなく、半導体素子ユニット201をディスプレイ回路基板71Dから引き剥がしても良い。
【0144】
さらに上述した第1の実施の形態においては、発光素子でなる半導体素子2を有する半導体素子ユニット1をガラスエポキシ基板でなるディスプレイ回路基板71Dに実装することにより、LEDディスプレイ装置70(図7)を構成する場合について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えばフレキシブル回路基板に複数の半導体素子ユニット1を実装してフレキシブルディスプレイを構成しても良い。また本発明は、発光素子以外の種々の素子、例えば各種物理量を検知するセンサ素子でなる半導体素子2を有する半導体素子ユニット1を、所定の回路基板上に実装しても良い。例えば、受光素子でなる半導体素子2を用いて半導体素子ユニット1を構成し、複数の該半導体素子ユニット1を所定の回路基板上に実装することにより光センサアレイを構成しても良い。また、例えば半導体素子2をpn接合フォトダイオードとし、この半導体素子2を有する半導体素子ユニット1を所定の回路基板上に複数並べて実装することにより、イメージセンサを構成しても良い。要は、種々の機能を有する素子でなる半導体素子2を用いて半導体素子ユニット1を構成し、該半導体素子ユニット1を複数実装することにより、種々の電子デバイスを構成することができる。第2の実施の形態についても同様である。
【0145】
さらに本発明は、上述した各実施の形態及び他の実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した各実施の形態と上述した他の実施の形態の一部又は全部を任意に組み合わせた実施の形態や、一部を抽出した実施の形態にもその適用範囲が及ぶものである。
【0146】
さらに上述した実施の形態においては、半導体素子としての半導体素子2と、第1電極としての第1電極3とによって半導体素子ユニットとしての半導体素子ユニット1を構成する場合について述べた。しかし本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる半導体素子と、第1電極とによって半導体素子ユニットを構成しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0147】
本発明は、例えば複数のLEDを配置してなるLEDディスプレイで利用できる。
【符号の説明】
【0148】
1、201……半導体素子ユニット、1B、201B……ユニット実装面、2、202……半導体素子、3、203……第1電極、3B、203B……第1電極実装面、31、231……成長基板、32、232……成長犠牲層、33、233……半導体機能層、40、240……供給基板、41、241……形成基板、42、242……形成犠牲層、50、250……半導体実装回路、51、251……回路基板、51A、251A……基板表面、55……第1絶縁部、56……配線部、60、260……基材部、61、261……第1回路接続パッド、61A、261A……第1パッド表面、62、262……第2回路接続パッド、62A、262A……第2パッド表面、70……LEDディスプレイ装置、71……LEDディスプレイ表示部、71D……ディスプレイ回路基板、204……第2電極、204B……第2電極実装面、205……第1絶縁部、205B……第1絶縁部実装面、206……配線部、207……第2絶縁部、207B……第2絶縁部実装面。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図10
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