IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ スズキ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-内燃機関の吸気装置 図1
  • 特許-内燃機関の吸気装置 図2
  • 特許-内燃機関の吸気装置 図3
  • 特許-内燃機関の吸気装置 図4
  • 特許-内燃機関の吸気装置 図5
  • 特許-内燃機関の吸気装置 図6
  • 特許-内燃機関の吸気装置 図7
  • 特許-内燃機関の吸気装置 図8
  • 特許-内燃機関の吸気装置 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】内燃機関の吸気装置
(51)【国際特許分類】
   F02M 35/10 20060101AFI20241217BHJP
【FI】
F02M35/10 301T
F02M35/10 301P
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021055773
(22)【出願日】2021-03-29
(65)【公開番号】P2022152844
(43)【公開日】2022-10-12
【審査請求日】2024-01-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001520
【氏名又は名称】弁理士法人日誠国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】白川 幸一
(72)【発明者】
【氏名】辻 勇佑
【審査官】小関 峰夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-111981(JP,A)
【文献】特開2013-047506(JP,A)
【文献】特開2014-051932(JP,A)
【文献】特開2014-105604(JP,A)
【文献】特開2016-151200(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0032611(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01M 13/00
F02M 26/17
F02M 35/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サージタンクと、内燃機関の気筒の配列方向に並ぶように配列され、前記サージタンクに連絡される複数の分岐管とを有し、
前記サージタンクは、吸入空気を取り入れる空気取入口を有する上流側側壁と、吸入空気の流れる方向で前記上流側側壁に対向し、吸入空気を取り出す複数の空気取出口を有する下流側側壁と、前記上流側側壁の下端部と前記下流側側壁の下端部とを連絡する底壁と、前記上流側側壁の上端部と前記下流側側壁の上端部とを連絡する天井壁とを有し、
前記分岐管は、前記複数の空気取出口から吸入空気がそれぞれ導入されるように前記下流側側壁に連絡されており、
前記サージタンクは、所定の流体が流れる配管が接続される配管部を有し、
前記配管部は、前記空気取入口から前記複数の空気取出口に向かう吸入空気の流れる方向と対向するように前記下流側側壁の上部に形成される開口部を有し、前記開口部を通して前記サージタンクの内部に流体を導入する内燃機関の吸気装置であって、
前記サージタンクは、前記開口部を前記上流側側壁側から覆うカバー部材を有し、
前記カバー部材は、前記天井壁と前記開口部に対して前記気筒の配列方向の両側外方に位置する前記下流側側壁の部位に連結され、前記下流側側壁から前記上流側側壁側に膨出しており、
前記カバー部材の下端部は、前記開口部よりも下方に位置するとともに、前記カバー部材の下端部に連通部が設けられており、
前記連通部は、前記カバー部材と前記天井壁と前記下流側側壁とによって囲まれる前記カバー部材の内部空間と前記サージタンクの内部空間とを連通していることを特徴とする内燃機関の吸気装置。
【請求項2】
前記カバー部材は、前記下流側側壁から前記上流側側壁側に膨出する膨出方向の先端部から前記下流側側壁に向かうに従って前記気筒の配列方向の両側外方に傾斜する一対の傾斜部を有することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の吸気装置。
【請求項3】
前記カバー部材は、前記空気取入口と前記気筒の配列方向で離れるように設置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の内燃機関の吸気装置。
【請求項4】
前記カバー部材は、前記空気取入口と前記気筒の配列方向で重なるように設置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の内燃機関の吸気装置。
【請求項5】
前記複数の空気取出口のうち、吸入空気の流れる方向で前記空気取入口に対向する空気取出口と前記空気取入口とを前記吸入空気の流れる方向で結んだ仮想直線を第1の仮想直線とし、前記第1の仮想直線の延びる方向の中央部を前記気筒の配列方向に横切る仮想直線を第2の仮想直線とした場合に、
前記カバー部材の膨出方向の先端部は、前記第2の仮想直線よりも前記上流側側壁側に位置することを特徴とする請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の内燃機関の吸気装置。
【請求項6】
前記下流側側壁は、前記天井壁から下方に向かうに従って前記上流側側壁から離れるように傾斜しており、
前記複数の空気取出口は、前記下流側側壁の傾斜方向の下部に設けられていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の内燃機関の吸気装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の吸気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、EGR(Exhaust Gas Recirculation)ガスなどの排気ガスを、インテークマニホールドを介してエンジンに還流させるインテークマニホールドの還流排気ガス導入構造が知られている(特許文献1参照)
【0003】
このインテークマニホールドの還流排気ガス導入構造は、シリンダヘッドのEGR通路を流れる排気還流ガスをインテークマニホールドのサージタンクに導入する排気ガス導入パイプを有する。
【0004】
排気ガス導入パイプは、一端部がシリンダヘッドのEGR通路に挿入されており、EGRガスを吐出する吐出口を有する他端部がサージタンクの内部に挿入されている。
【0005】
これにより、EGR通路を流れるEGRガスは、排気ガス導入パイプに導入された後、吐出口からサージタンクの内部に直接導入される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2011-111981号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来のインテークマニホールドの還流排気ガス導入構造にあっては、EGRガスを吐出する吐出口を有する他端部がサージタンクの内部に挿入されているので、寒冷地や冬季などにおいて内燃機関を運転する場合に、冷たい空気がインテークマニホールドに吸入される際に、サージタンクを流れる冷たい空気に吐出口が晒されてしまう。このため、冷たい空気によって吐出口が凍結するおそれがある。
【0008】
本発明は、上記のような事情に着目してなされたものであり、サージタンクに所定の流体を導入する開口部がサージタンクを流れる吸入空気によって凍結されることを防止できる内燃機関の吸気装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、サージタンクと、内燃機関の気筒の配列方向に並ぶように配列され、前記サージタンクに連絡される複数の分岐管とを有し、前記サージタンクは、吸入空気を取り入れる空気取入口を有する上流側側壁と、吸入空気の流れる方向で前記上流側側壁に対向し、吸入空気を取り出す複数の空気取出口を有する下流側側壁と、前記上流側側壁の下端部と前記下流側側壁の下端部とを連絡する底壁と、前記上流側側壁の上端部と前記下流側側壁の上端部とを連絡する天井壁とを有し、前記分岐管は、前記複数の空気取出口から吸入空気がそれぞれ導入されるように前記下流側側壁に連絡されており、前記サージタンクは、所定の流体が流れる配管が接続される配管部を有し、前記配管部は、前記空気取入口から前記複数の空気取出口に向かう吸入空気の流れる方向と対向するように前記下流側側壁の上部に形成される開口部を有し、前記開口部を通して前記サージタンクの内部に流体を導入する内燃機関の吸気装置であって、前記サージタンクは、前記開口部を前記上流側側壁側から覆うカバー部材を有し、前記カバー部材は、前記天井壁と前記開口部に対して前記気筒の配列方向の両側外方に位置する前記下流側側壁の部位に連結され、前記下流側側壁から前記上流側側壁側に膨出しており、前記カバー部材の下端部は、前記開口部よりも下方に位置するとともに、前記カバー部材の下端部に連通部が設けられており、前記連通部は、前記カバー部材と前記天井壁と前記下流側側壁とによって囲まれる前記カバー部材の内部空間と前記サージタンクの内部空間とを連通していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
このように上記の本発明によれば、サージタンクに所定の流体を導入する開口部がサージタンクを流れる吸入空気によって凍結されることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の第1の実施例に係る吸気装置を備えた内燃機関の平面図である。
図2図2は、本発明の第1の実施例に係る内燃機関の吸気装置とブローバイガス配管の平面図である。
図3図3は、本発明の第1の実施例に係る内燃機関の吸気装置の正面図である。
図4図4は、図2のIV-IV方向矢視断面図である。
図5図5は、図2のV-V方向矢視断面図である。
図6図6は、図3のVI-VI方向矢視断面図である。
図7図7は、図2のVII-VII方向矢視断面図である。
図8図8は、本発明の第2の実施例に係る内燃機関の吸気装置を示す図であり、図3のVI-VI方向矢視断面に相当し、カバー部材と配管部の開口部の位置が第1の実施例と異なる例を示している。
図9図9は、本発明の第2の実施例に係る内燃機関の吸気装置を示す図であり、図2のVII-VII方向矢視断面に相当し、カバー部材と配管部の開口部の位置が第1の実施例と異なる例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一実施の形態に係る内燃機関の吸気装置は、サージタンクと、内燃機関の気筒の配列方向に並ぶように配列され、サージタンクに連絡される複数の分岐管とを有し、サージタンクは、吸入空気を取り入れる空気取入口を有する上流側側壁と、吸入空気の流れる方向で上流側側壁に対向し、吸入空気を取り出す複数の空気取出口を有する下流側側壁と、上流側側壁の下端部と下流側側壁の下端部とを連絡する底壁と、上流側側壁の上端部と下流側側壁の上端部とを連絡する天井壁とを有し、分岐管は、複数の空気取出口から吸入空気がそれぞれ導入されるように下流側側壁に連絡されており、サージタンクは、所定の流体が流れる配管が接続される配管部を有し、配管部は、空気取入口から複数の空気取出口に向かう吸入空気の流れる方向と対向するように下流側側壁の上部に形成される開口部を有し、開口部を通してサージタンクの内部に流体を導入する内燃機関の吸気装置であって、サージタンクは、開口部を上流側側壁側から覆うカバー部材を有し、カバー部材は、天井壁と開口部に対して気筒の配列方向の両側外方に位置する下流側側壁の部位に連結され、下流側側壁から上流側側壁側に膨出しており、カバー部材の下端部は、開口部よりも下方に位置するとともに、カバー部材の下端部に連通部が設けられており、連通部は、カバー部材と天井壁と下流側側壁とによって囲まれるカバー部材の内部空間とサージタンクの内部空間とを連通している。
【0013】
これにより、本発明の一実施の形態に係る内燃機関の吸気装置は、サージタンクに所定の流体を導入する開口部がサージタンクを流れる吸入空気によって凍結されることを防止できる。
【実施例1】
【0014】
以下、本発明の第1の実施例に係る内燃機関の吸気装置について、図面を用いて説明する。
【0015】
図1から図6は、本発明の第1の実施例に係る内燃機関の吸気装置を示す図である。
図1から図6において、上下前後左右方向は、車両に搭載された内燃機関を基準とし、車両の前後方向(直進方向)を前後方向、車両の左右方向(車両の幅方向)を左右方向、車両の上下方向(車両の高さ方向)を上下方向とする
【0016】
まず、構成を説明する。
図1において、車両に搭載された内燃機関としてのエンジン1は、シリンダブロック2を備えている。シリンダブロック2には前後方向に配列された3つの気筒2Aと、図示しないクランク軸とが設けられており、クランク軸は前後方向に延びている。本実施例のエンジン1は、FR(フロントエンジン・リヤドライブ)式の縦置きエンジンである。
【0017】
なお、エンジン1は、直列3気筒に限らず、例えばV型エンジン等であってもよいし、気筒数も3つに限定されるものではない。
【0018】
エンジン1は、図示しない車両のフロアパネルの下方に設置されている。本実施例のシリンダブロック2は、複数の気筒2Aの中心線が鉛直方向(上下方向)に対して傾斜するように設置されている。
【0019】
シリンダブロック2の斜め上側にはシリンダヘッド3が設けられている。シリンダヘッド3は、図示しない吸気ポート、排気ポート、吸気ポートを開閉する吸気バルブ、排気ポートを開閉する排気バルブ等を有する。なお、図4では1つの吸気ポート3Pのみを示している。
【0020】
吸気ポート3Pを含んだ複数の吸気ポートは、シリンダヘッド3の吸気側壁3aに開口しており、シリンダヘッド3は、吸気側壁3aが上方を向くように設置されている。
【0021】
シリンダヘッド3の斜め上側にはシリンダヘッドカバー4が設置されている。シリンダヘッドカバー4の内部にはエンジン1で発生するブローバイガスが導入される図示しないブローバイガス室が形成されている。
【0022】
ブローバイガスとは、各気筒2Aの壁面とピストンの間の隙間を通じて燃焼室からシリンダブロック2のクランクケース2Kに流入する不完全燃焼または未燃焼ガスのことである。
【0023】
シリンダブロック2にはクランクケース2Kの内部とシリンダヘッドカバー4のブローバイガス室とを連通する図示しないブローバイガス通路が形成されており、クランクケース2Kに溜まったブローバイガスは、ブローバイガス通路を通してブローバイガス室に流入する。
【0024】
シリンダブロック2の下方にはオイルパン5が設置されており、オイルパン5にはエンジン1の潤滑用のオイルが貯留されている。
【0025】
シリンダヘッドカバー4は、低位部4Aと低位部4Aから斜め上方に膨出する高位部4Bとを有する。
【0026】
高位部4Bの側壁4aにはブローバイガス取出口4bが形成されている。ブローバイガス取出口4bは、その中心線4sが気筒2Aの配列方向L1に向き、かつ、シリンダヘッドカバー4の低位部4Aの外周面4cと隣接する位置に開口されている。以下、気筒2Aの配列方向L1を気筒列方向L1という。
【0027】
エンジン1には吸気装置を構成する吸気マニホールド6が設けられている。吸気マニホールド6は、取付フランジ7を有し(図2参照)、取付フランジ7は、シリンダヘッド3の吸気側壁3aに取付けられている。
【0028】
吸気マニホールド6は、サージタンク8を有し、サージタンク8は、取付フランジ7と水平方向で対向するように設置されている(図4参照)。
【0029】
吸気マニホールド6は、複数の分岐管9A、9B、9Cを有する。分岐管9A、9B、9Cは、取付フランジと7とサージタンク8との間に設けられており、気筒列方向L1に並んで設置されている。分岐管9A、9B、9Cの配列方向は、気筒列方向L1と同一方向である。
【0030】
図3に示すように、分岐管9A、9B、9Cを気筒列方向L1の前方から見た場合に、分岐管9A、9B、9Cは、気筒列方向L1に並んで設置されている。図3において、分岐管9A、9Bは、分岐管9Cの後側に位置しているので前側からは見えない。
【0031】
図2図3に示すように、サージタンク8は、右側壁31と、左側壁32と、底壁33と、天井壁34と、前側壁35と、後側壁36とを有する。
【0032】
図5図6に示すように、右側壁31にはスロットルボディ連結部41が設けられており、スロットルボディ連結部41は、気筒列方向L1の中央部よりも前側壁35側に偏って設けられている。
【0033】
スロットルボディ連結部41は、スロットルボディ21に連結されている(図1参照)。スロットルボディ21には図示しないスロットルバルブが収容されており、スロットルバルブは、スロットルボディ21の内部の吸気通路の開度を調整することにより、吸入空気量を調整する。
【0034】
スロットルボディ21の上流側には図示しないエアクリーナが設けられており、エアクリーナによって浄化された吸入空気は、スロットルボディ21に供給される。
【0035】
右側壁31には空気取入口31aが形成されており、空気取入口31aは、気筒列方向L1で後側壁36よりも前側壁35側に偏って形成されている。
【0036】
スロットルボディ連結部41には吸気通路41aが形成されており、スロットルボディ21の吸気通路を流れる吸入空気は、エンジン1の吸入負圧によって吸気通路41aから空気取入口31aを通してサージタンク8に取り入れられる。
【0037】
左側壁32は、吸入空気の流れる方向L2で右側壁31に対向しており、左側壁32に対して下流側に設けられている。換言すれば、右側壁31は、左側壁32に対して上流側に設けられている。
【0038】
ここで、上流、下流とは、吸入空気が流れる方向に対して上流、下流を指す。また、吸入空気の流れる方向L2は、空気取入口31aからサージタンク8に取付けられた空気が下流側に向かう方向であり、気筒列方向L1と直交する方向(左右方向)である。
【0039】
図6図7に示すように、左側壁32に3つの空気取出口32a、32b、32cが形成されており、空気取出口32a、32b、32cは、気筒列方向L1に並んで設置されている。換言すれば、空気取出口32a、32b、32cは、気筒列方向L1に対向している。
【0040】
図6において、分岐管9A、9B、9Cと空気取出口32a、32b、32cを仮想直線で示す。本実施例の右側壁31は、上流側側壁を構成し、左側壁32は、下流側側壁を構成する。
【0041】
底壁33は、右側壁31の下端部と左側壁32の下端部とを連絡している。天井壁34は、右側壁31の上端部と左側壁32の上端部とを連絡している。
【0042】
前側壁35は、右側壁31の前端部と左側壁32の前端と底壁33と天井壁34の前端部とを連絡している。
【0043】
後側壁36は、右側壁31の後端部と左側壁32の後端部と底壁33の後端部と天井壁34の後端部とを連絡している。
【0044】
図5に示すように、左側壁32は、天井壁34から下方に向かうに従って右側壁31から離れるように傾斜している。すなわち、後側壁36は、天井壁34から左方に向かうに従って下方に傾斜している。
【0045】
空気取出口32a、32b、32cは、左側壁32の傾斜方向の下部に設けられている。図5では、空気取出口32bのみを図示しているが、空気取出口32a、32cは、左側壁32の傾斜方向の下部において空気取出口32bの前後方向に並んで設けられている。
【0046】
分岐管9A、9B、9Cは、左側壁32に連絡されており、それぞれ空気取出口32a、32b、32cから吸入空気を吸入する。すなわち、分岐管9A、9B、9Cの上流端は、左側壁32に連絡されている。
【0047】
分岐管9A、9B、9Cの下流端は、取付フランジ7に連絡されている。図7に示すように、分岐管9A、9B、9Cの内部には分岐通路9a、9b、9cが形成されており、分岐通路9a、9b、9cは、サージタンク8の内部空間8a(図5参照)と各吸気ポートとを連通している。
【0048】
図6に示すように、気筒列方向L1で空気取出口32b、32cは空気取入口31aと重なっており、空気取出口32aは、気筒列方向L1で空気取入口31aと離れている。
【0049】
図5に示すように、左側壁32には配管部42が取付けられており、配管部42は、左側壁32からシリンダヘッド3側に突出している(図1参照)。
【0050】
配管部42は、開口部42aを有し、開口部42aは、配管部42の下流端に設けられている。開口部42aは、左側壁32の上部に形成されており、吸入空気の流れる方向L2と対向している。
【0051】
図6に示すように、開口部42aは、空気取入口31aと気筒列方向L1で離れるように設置されている。開口部42aは、分岐管9Bと分岐管9Cの間、すなわち、分岐管9Bと分岐管9Cとを仕切る仕切壁9mの上方に設置されている(図7参照)。
【0052】
図1に示すように、ブローバイガス取出口4bと配管部42は、ブローバイガス配管10によって連絡されている。すなわち、ブローバイガス配管10は、シリンダヘッドカバー4とサージタンク8に接続されている。
【0053】
具体的には、図1に示すように、ブローバイガス取出口4bにはPCV(Positive Crankcase Ventilation)バルブ11が取付けられており、ブローバイガス配管10の上流端部は、PCVバルブ11に接続され、ブローバイガス配管10の下流端部は、配管部42に接続されている。
【0054】
PCVバルブ11は、一例として、シリンダヘッドカバー4のブローバイガス室とその下流側である吸気マニホールド6との差圧に応じて作動し、開弁時にブローバイガス室のブローバイガスをサージタンク8に導入する。
【0055】
ブローバイガス室のブローバイガスは、ブローバイガス配管10から開口部42aを通してサージタンク8の内部に導入される。そして、サージタンク8の内部に導入されたブローバイガスは、分岐管9A、9B、9Cから吸気ポートを通して気筒2Aの燃焼室に導入され、燃焼室で燃焼される。本実施例のブローバイガス配管10は、配管を構成し、ブローバイガスは、所定の流体を構成する。
【0056】
図1図2に示すように、ブローバイガス配管10は、上流管部10A、中間管部10Bおよび下流管部10Cを有する。
【0057】
上流管部10Aは、ブローバイガス取出口4bからシリンダヘッドカバー4の低位部4Aの外周面4cに沿って湾曲し、デリバリパイプ12とシリンダヘッド3の間を通って分岐管9B、9Cの上流端部の間まで延びている。
【0058】
ブローバイガス配管10は、プロテクタ13に覆われており、本実施例のブローバイガス配管10は、プロテクタ13を含む。以後、ブローバイガス配管10とプロテクタ13をブローバイガス配管10として説明する。
【0059】
中間管部10Bは、分岐管9B、9Cに両側が挟まれるようにして分岐管9B、9Cの間に設置されている。下流管部10Cは、中間管部10Bからサージタンク8に延びている。
【0060】
シリンダヘッドカバー4にはデリバリパイプ12が取付けられている。デリバリパイプ12は、図示しない燃料タンクに貯留される燃料を気筒2Aに設置される図示しないインジェクタに供給する。
【0061】
図5から図7に示すように、サージタンク8にはカバー部材43が設けられており、カバー部材43は、開口部42aを右側壁31側から覆っている。すなわち、カバー部材43は、開口部42aを上流側から覆っている。
【0062】
カバー部材43は、前壁部43A、後壁部43B、傾斜壁部43C、43Dおよび先端壁部43Eを有する。
【0063】
前壁部43Aは、上端部が天井壁34に連結されるとともに、左端部が開口部42aに対して前側壁35側の左側壁32の部位に連結されており、当該部位から右側壁31に向かって突出している。
【0064】
後壁部43Bは、上端部が天井壁34に連結されるとともに、左端部が開口部42aに対して後側壁36側の左側壁32の部位に連結されており、当該部位から右側壁31に向かって突出している。
【0065】
傾斜壁部43Cは、前壁部43Aの右端部から右側壁31に向かうに従って後側壁36側に傾斜しており、傾斜壁部43Dは、前壁部43Aの右端部から右側壁31に向かうに従って前側壁35側に傾斜している。
【0066】
換言すれば、傾斜壁部43C、43Dは、左側壁32から右側壁31側に突出する膨出方向の先端部を構成する先端壁部43Eから左側壁32に向かうに従って気筒列方向L1の両側外方に傾斜している。本実施例の傾斜壁部43C、43Dは、傾斜部を構成す
【0067】
先端壁部43Eは、傾斜壁部43C、43Dの傾斜方向の右端部に連絡され、気筒列方向L1と平行に延びている。
【0068】
このように、本実施例のカバー部材43は、天井壁34と開口部42aに対して気筒列方向L1の両側外方に位置する左側壁32の部位に連結され、左側壁32から右側壁31側に膨出しており、開口部42aを右側壁31側から覆っている。
【0069】
図5図7に示すように、カバー部材43の下端部には連通口44が設けられている。図5に示すように、連通口44は、カバー部材43と天井壁34と左側壁32とによって囲まれるカバー部材43の内部空間43aとサージタンク8の内部空間8aとを連通している。
【0070】
連通口44が設けられるカバー部材43の下端部は、空気取入口31aの下端部31mよりも上方で、空気取入口31aの上端部31nよりも下方に位置している。本実施例の連通口44は、連通部を構成する。
【0071】
図6に示すように、カバー部材43は、空気取入口31aと気筒列方向L1で離れるように設置されており、気筒列方向L1で空気取入口31aと重なっていない。
【0072】
空気取出口32a、32b、32cのうち、吸入空気の流れる方向L2で空気取入口31aに対向する空気取出口32b、32cと空気取入口31aとを吸入空気の流れる方向L2で結んだ仮想直線を第1の仮想直線L3とする。
【0073】
また、第1の仮想直線L3の延びる方向の中央部Cを気筒列方向L1に横切る仮想直線を第2の仮想直線L4とする。
【0074】
このように第1の仮想直線L3と第2の仮想直線L4を設定した場合、カバー部材43の先端壁部43Eは、第2の仮想直線L4よりも右側壁31側に位置している。
【0075】
図2に示すように、サージタンク8の天井壁34には配管部46、47が設けられている。図6に示すように、配管部46は、天井壁34に開口された開口部46aを有する。
【0076】
配管部46は、図示しない負圧配管を介して図示しないブレーキ用負圧ブースタに接続されており、エンジン1で発生する負圧は、サージタンク8から開口部46aおよび負圧配管を介してブレーキ用負圧ブースタに導かれる。ブレーキ負荷用ブースタは、図示しないブレーキペダルの操作力を負圧によって軽減(アシスト)する。
【0077】
配管部47は、左側壁32に開口された開口部47aを有する。配管部47は、図示しないパージ配管を介して図示しない燃料タンクに接続されており、燃料タンクからパージされた蒸発燃料は、パージ配管から開口部47aを介してサージタンク8に導入される。
【0078】
次に、本実施例のエンジン1の吸気装置の効果について説明する。
本実施例のエンジン1の吸気マニホールド6は、サージタンク8と、エンジン1の気筒列方向L1に並ぶように配列され、サージタンク8に連絡される複数の分岐管9A、9B、9Cとを有する。
【0079】
サージタンク8は、吸入空気を取り入れる空気取入口31aを有する右側壁31と、吸入空気の流れる方向L2で右側壁31に対向し、吸入空気を取り出す空気取出口32a、32b、32cを有する左側壁32と、右側壁31の下端部と左側壁32の下端部とを連絡する底壁33と、右側壁31の上端部と左側壁32の上端部とを連絡する天井壁34とを有する。
【0080】
分岐管9A、9B、9Cは、空気取出口32a、32b、32cから吸入空気がそれぞれ導入されるように左側壁32に連絡されており、サージタンク8は、ブローバイガスが流れるブローバイガス配管10が接続される配管部42を有する。
【0081】
配管部42は、空気取入口31aから空気取出口32a、32b、32cに向かう吸入空気の流れる方向L2と対向するように左側壁32の上部に形成される開口部42aを有し、サージタンク8の内部空間8aには開口部42aを通してブローバイガスが導入される。
【0082】
サージタンク8は、開口部42aを右側壁31側から覆うカバー部材43を有し、カバー部材43は、天井壁34と開口部42aに対して気筒列方向L1の両側外方に位置する左側壁32の部位に連結され、左側壁32から右側壁31側に膨出している。
【0083】
カバー部材43の下端部は、開口部42aよりも下方に位置しており、カバー部材43の下端部に連通口44が設けられている。連通口44は、カバー部材43と天井壁34と左側壁32とによって囲まれるカバー部材43の内部空間43aとサージタンク8の内部空間8aとを連通している。
【0084】
これにより、寒冷地や冬季などにおいてエンジン1を運転する場合に、空気取入口31aからサージタンク8の内部空間8aに取り入れられた冷たい吸入空気W(図5参照)をカバー部材43に衝突させ、開口部42aが冷たい吸入空気に晒されることを防止できる。この結果、開口部42aが凍結されることを抑制できる。
【0085】
また、空気取入口31aからサージタンク8の内部空間8aに取り入れられた吸入空気Wをカバー部材43に衝突させることにより、吸入空気Wを図6の吸入空気W1、W2に示すように気筒列方向L1に分散させ、分散した吸入空気W1、W2を空気取出口32aと空気取出口32bとに指向させることができる。
【0086】
これにより、空気取入口31aから取り入れられた吸入空気Wの多くが特定の分岐管に偏って吸入されることを防止でき、吸入空気Wの分配性能を向上できる。
【0087】
また、開口部42aがカバー部材43によって覆われることにより、開口部42aが、空気取入口31aからサージタンク8の内部空間8aに取り入れられた吸入空気Wの動圧の影響を受けないため、カバー部材43の内部空間43aの圧力を下げることができる。
【0088】
これに加えて、エンジン1の負圧によってサージタンク8の内部空間8aを流れる吸入空気Wは、連通口44の下方の圧力が上流側の圧力よりも低くなるので、サージタンク8の内部空間8aを流れる吸入空気Wによって吸い出し効果を促進できる。
【0089】
このため、カバー部材43の内部空間43aと連通口44を通して開口部42aからより多くのブローバイガスB(図5参照)をサージタンク8の内部空間8aに吸い込むことができ、ブローバイガスBの処理性能を向上できる。
【0090】
また、サージタンク8の内部空間8aを流れる吸入空気Wによって吸い出し効果を促進できるので、開口部46aから負圧配管を通してブレーキ用負圧ブースタに導かれる負圧を増大でき、ブレーキペダルの操作性を向上できる。
【0091】
これに加えて、パージ配管から開口部47aを通してサージタンク8の内部空間8aに導入される蒸発燃料の量を増大でき、蒸発燃料の処理性能を向上できる。
【0092】
また、本実施例のエンジン1の吸気装置によれば、カバー部材43は、左側壁32から右側壁31側に突出する膨出方向の先端部である先端壁部43Eから左側壁32に向かうに従って気筒列方向L1の両側外方に傾斜する傾斜壁部43C、43Dを有する。
【0093】
これにより、カバー部材43に衝突した吸入空気W1、W2を傾斜壁部43C、43Dに沿って気筒列方向L1に効果的に分散させることができ、吸入空気W1、W2を空気取出口32aと空気取出口32bとに指向させることができる。
【0094】
このため、空気取入口31aから取り入れられた吸入空気Wの多くが特定の分岐管に偏って吸入されることをより効果的に防止でき、吸入空気Wの分配性能をより効果的に向上できる。
【0095】
また、本実施例のエンジン1の吸気装置によれば、カバー部材43は、空気取入口31aと気筒列方向L1で離れるように設置されている。
【0096】
これにより、空気取入口31aからサージタンク8の内部空間8aに取り入れられた冷たい吸入空気Wがカバー部材43に集中して衝突することを防止でき、開口部42aが凍結することをより効果的に抑制できる。
【0097】
また、空気取入口31aからサージタンク8の内部空間8aに取り入れられた吸入空気Wをカバー部材43に衝突させることにより、吸入空気Wを吸入空気W1と吸入空気W2とに分散し、空気取出口32aと空気取出口32bとに指向させることができる。
【0098】
すなわち、空気取入口31aからサージタンク8の内部空間8aに取り入れられた吸入空気Wを、空気取入口31aに対して分岐管9Bよりも気筒列方向L1に離れた分岐管9Aに分配できる。
【0099】
これに加えて、分岐管9Cは、気筒列方向L1で空気取入口31aと重なっているので、空気取入口31aから内部空間8aに取り入れられた吸入空気Wを図6の吸入空気W3に示すように空気取出口32cに指向させることができる。
【0100】
この結果、空気取入口31aからサージタンク8の内部空間8aに取り入れられた吸入空気Wが特定の分岐管に偏ることをより効果的に防止でき、吸入空気Wの分配性能をより効果的に向上できる。
【0101】
このように、本実施例のエンジン1の吸気装置は、空気取入口31aとカバー部材43と空気取出口32a、32b、32cの位置関係により、空気取入口31aからサージタンク8の内部空間8aに取り入れられた吸入空気Wを、吸入空気W1、W2、W3に示すように分岐管9A、9B、9Cに効率よく分配することができ、吸入空気Wの分配性能をより効果的に向上できる。
【0102】
また、吸入空気Wの一部を吸入空気W1、W2で示すようにカバー部材43によって分岐管9A、9Bに分配することにより、分岐管9A、9Bに向かって流れる吸入空気W1、W2の吸い出し効果によって、カバー部材43の内部空間43aから連通口44を通して吸い込まれるブローバイガスBを分岐管9A、9Bに分配できる。
【0103】
これにより、ブローバイガスBの多くが特定の分岐管に偏って吸入されることを防止でき、ブローバイガスの処理性能を向上できる。
【0104】
また、本実施例のエンジン1の吸気装置によれば、吸入空気の流れる方向L2で空気取入口31aに対向する空気取出口32a、32bと空気取入口31aとを吸入空気の流れる方向L2で結んだ仮想直線を第1の仮想直線L3とし、第1の仮想直線L3の延びる方向の中央部Cを気筒列方向L1に横切る仮想直線を第2の仮想直線L4とした場合に、カバー部材43の先端壁部43Eは、第2の仮想直線L4よりも右側壁31側に位置している。
【0105】
これにより、空気取入口31aからサージタンク8の内部空間8aに取り入れられた吸入空気Wを第2の仮想直線L4よりも上流側でカバー部材43に衝突させることができ、早い段階で吸入空気を空気取出口32a、32bに分散できる。この結果、吸入空気Wの分配性能をより効果的に向上できる。
【0106】
また、本実施例のエンジン1の吸気装置によれば、左側壁32は、天井壁34から下方に向かうに従って右側壁31から離れるように傾斜しており、空気取出口32a、32b、32cは、左側壁32の傾斜方向の下部に設けられている。
【0107】
これにより、空気取入口31aから取り入れられた吸入空気Wを傾斜する左側壁32に沿って空気取出口32a、32b、32cを通して分岐管9A、9B、9Cに吸入でき、吸入空気Wの圧力損失による影響を少なくして、サージタンク8の内部空間8aで吸入空気Wを円滑に流すことができる。
【0108】
このため、冷たい空気がサージタンク8の内部空間8aに滞留することを防止でき、開口部42aが凍結することをより効果的に抑制することができる。
【0109】
また、サージタンク8の内部空間8aで空気を円滑に流すことができるので、吸入空気Wによってカバー部材43の内部空間43aからのブローバイガスBの吸い出し効果をより効果的に促進できる。
【実施例2】
【0110】
図8図9は、本発明の第2の実施例に係る内燃機関の吸気装置を示す図であり、第1の実施例と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0111】
図8において、左側壁32にはブローバイガス配管10が接続される配管部51が取付けられており、配管部51は、開口部51aを有する。開口部51aは、中央の空気取出口32bの右斜め上方に設置されており、気筒列方向L1で空気取入口31aと重なっている。すなわち、開口部51aは、気筒列方向L1の中央部に位置し、吸入空気の流れる方向L2で空気取入口31aと並んで設置されている。
【0112】
図8図9に示すように、サージタンク8にはカバー部材52が設けられている。カバー部材52は、気筒列方向L1の中央部に設置されており、開口部51aを右側壁31側から覆っている。カバー部材52は、前壁部52A、後壁部52B、傾斜壁部52C、52Dおよび先端壁部52Eを有する。
【0113】
前壁部52Aは、上端部が天井壁34に連結されるとともに、左端部が開口部51aに対して前側壁35側の左側壁32の部位に連結されており、当該部位から右側壁31に向かって突出している。
【0114】
後壁部52Bは、上端部が天井壁34に連結されるとともに、左端部が開口部51aに対して後側壁36側の左側壁32の部位に連結されており、当該部位から右側壁31に向かって突出している。
【0115】
傾斜壁部52Cは、前壁部52Aの右端部から右側壁31に向かうに従って後側壁36側に傾斜しており、傾斜壁部52Dは、前壁部52Aの右端部から右側壁31に向かうに従って前側壁35側に傾斜している。
【0116】
換言すれば、傾斜壁部52C、52Dは、左側壁32から右側壁31側に突出する膨出方向の先端部の先端壁部52Eから左側壁32に向かうに従って気筒列方向L1の両側外方に傾斜している。本実施例の傾斜壁部52C、52Dは、傾斜部を構成する。
【0117】
先端壁部52Eは、傾斜壁部52C、52Dの傾斜方向の右端部に連絡され、気筒列方向L1と平行に延びている。
【0118】
このように、本実施例のカバー部材52は、天井壁34と開口部51aに対して分岐管の配列方向の両側外方に位置する左側壁32の部位に連結され、左側壁32から右側壁31に膨出しており、開口部51aを右側壁31側から覆っている。
【0119】
カバー部材52の下端部には連通口53が設けられている。連通口53は、カバー部材52と天井壁34と左側壁32とによって囲まれるカバー部材52の内部空間52aとサージタンク8の内部空間8aとを連通している。本実施例の連通口53は、連通部を構成する。
【0120】
図8に示すように、カバー部材52は、空気取入口31aと気筒列方向L1で空気取入口31aと重なっている。すなわち、カバー部材52は、吸入空気の流れる方向L2で空気取入口31aと並んで設置されている。
【0121】
次に、本実施例のエンジン1の吸気装置の効果について説明する。
エンジン1を寒冷地や冬季などにおいて運転する場合に、空気取入口31aからサージタンク8の内部空間8aに取り入れられた冷たい吸入空気W(図8参照)をカバー部材52に衝突させ、開口部51aが冷たい吸入空気Wに晒されることを防止できる。この結果、開口部51aが凍結されることを抑制できる。
【0122】
また、空気取入口31aからサージタンク8の内部空間8aに取り入れられた吸入空気Wをカバー部材52に衝突させることにより、吸入空気Wを吸入空気W4、W5で示すように気筒列方向L1に分散させ、分散した吸入空気W4、W5を分岐管9Aと分岐管9Cとに指向させることができる。
【0123】
これにより、空気取入口31aから取り入れられた吸入空気Wの多くが特定の分岐管に偏って吸入されることを防止でき、吸入空気Wの分配性能を向上できる。
【0124】
また、サージタンク8の内部空間8aを流れる吸入空気Wによって吸い出し効果を促進できるので、開口部51aからカバー部材52の内部空間52aを通してより多くのブローバイガスをサージタンク8の内部空間8aに吸い込むことができ、ブローバイガスの処理性能を向上できる。
【0125】
また、サージタンク8の内部空間8aを流れる吸入空気Wによって吸い出し効果を促進できるので、開口部46aから負圧配管を通してブレーキ用負圧ブースタに導かれる負圧を増大でき、ブレーキペダルの操作性を向上できる。
【0126】
これに加えて、パージ配管から開口部47aを通してサージタンク8の内部空間8aに導入される蒸発燃料の量を増大でき、蒸発燃料の処理性能を向上できる。
【0127】
また、本実施例のエンジン1の吸気装置によれば、カバー部材52は、左側壁32から右側壁31側に突出する膨出方向の先端部、すなわち、先端壁部52Eから左側壁32に向かうに従って気筒列方向L1の両側外方に傾斜する傾斜壁部52C、52Dを有する。
【0128】
これにより、カバー部材52に衝突した吸入空気Wを、吸入空気W4、W5で示すように傾斜壁部52C、52Dに沿って気筒列方向L1に効果的に分散させることができ、吸入空気W4、W5を分岐管9Aと分岐管9Cとに効率よく指向させることができる。
【0129】
また、本実施例のエンジン1の吸気装置によれば、カバー部材52は、空気取入口31aと気筒列方向L1で重なるように設置されている。
【0130】
これにより、空気取入口31aからサージタンク8の内部空間8aに取り入れられた吸入空気Wをカバー部材52に確実に衝突させることができ、開口部51aが凍結することをより効果的に抑制できる。
【0131】
また、空気取入口31aからサージタンク8の内部空間8aに取り入れられた吸入空気Wをカバー部材52に直接的に衝突させることにより、吸入空気Wを吸入空気W4と吸入空気W5に分散して分岐管9Aと分岐管9Cとに指向させることができる。
【0132】
これに加えて、分岐管9Bは、気筒列方向L1で空気取入口31aと重なっているので、空気取入口31aから内部空間8aに取り入れられた吸入空気Wを、吸入空気W6で示すように分岐管9Bに指向させることができる。
【0133】
この結果、空気取入口31aからサージタンク8の内部空間8aに取り入れられた吸入空気Wが特定の分岐管に偏ることを防止でき、吸入空気Wの分配性能をより効果的に向上できる。
【0134】
このように、本実施例のエンジン1の吸気装置は、空気取入口31aとカバー部材52と空気取出口32a、32b、32cの位置関係により、空気取入口31aからサージタンク8の内部空間8aに取り入れられた吸入空気Wを吸入空気W4、W5、W6で示すように分岐管9A、9B、9Cに分配することができ、吸入空気Wの分配性能をより効果的に向上できる。
【0135】
本実施例のエンジン1は、3気筒エンジンであり、カバー部材52が気筒列方向L1の中央部に設置され、中央の分岐管9Bと吸入空気の流れる方向L2で重なっている。
【0136】
これにより、空気取入口31aからサージタンク8の内部空間8aに取り入れられた吸入空気Wを分岐管9Bに対して気筒列方向L1の両側に位置する分岐管9A、9Cに効率よく分配できる。
【0137】
また、吸入空気W4、W5をカバー部材52によって分岐管9A、9Cに分散させて分岐管9A、9Cに指向させるとともに、空気取入口31aから取り入られた吸入空気Wをカバー部材52の下方を通して分岐管9Bに指向させることにより、分岐管9A、9B、9Cに向かって流れる吸入空気W4、W5、W6を含んだ吸入空気Wの吸い出し効果を促進できる。
【0138】
これにより、カバー部材52の内部空間52aからサージタンク8の内部空間8aに吸い込まれるブローバイガスを分岐管9A、9B、9Cに効果的に分散できる。
【0139】
これにより、ブローバイガスの多くが特定の分岐管に偏って吸入されることを防止でき、ブローバイガスの処理性能を向上できる。
【0140】
また、本実施例のエンジン1の吸気装置によれば、吸入空気の流れる方向L2で空気取入口31aと対向する空気取出口32bと空気取入口31aとを吸入空気の流れる方向L2で結んだ仮想直線を第1の仮想直線L5とし、第1の仮想直線L5の延びる方向の中央部Cを気筒列方向L1に横切る仮想直線を第2の仮想直線L6とした場合に、カバー部材52の先端壁部52Eは、第2の仮想直線L6よりも右側壁31側に位置している。
【0141】
これにより、空気取入口31aからサージタンク8の内部空間8aに取り入れられた吸入空気を空気取出口32a、32b、32cよりも上流側でカバー部材52に衝突させることができ、早い段階で吸入空気を分岐管9A、9Cに分散するこができる。この結果、吸入空気Wの分配性能をより効果的に向上できる。
【0142】
また、本実施例のエンジン1の吸気装置によれば、左側壁32は、天井壁34から下方に向かうに従って右側壁31から離れるように傾斜しており、空気取出口32a、32b、32cは、左側壁32の傾斜方向の下部に設けられている。
【0143】
これにより、空気取入口31aから取り入れられた吸入空気Wを傾斜する左側壁32に沿って空気取出口32a、32b、32cを通して分岐管9A、9B、9Cに吸入でき、吸入空気Wの圧力損失の影響が少なくし、サージタンク8の内部空間8aで吸入空気Wを円滑に流すことができる。
【0144】
このため、冷たい空気がサージタンク8の内部空間8aに滞留することを防止でき、開口部51aが凍結することをより効果的に抑制することができる。また、空気の流れを円滑に流すことができるので、吸入空気Wによる吸い出し効果をより効果的に促進できる。
【0145】
この結果、開口部51aからカバー部材52の内部空間52aを通してサージタンク8の内部空間8aにより多くのブローバイガスを吸い込むことができる。
【0146】
なお、本実施例の配管は、ブローバイガス配管10から構成されているが、これに限らず、EGR配管などであってもよい。
【0147】
また、カバー部材43、52の形状は、左側壁32から右側壁31に向かって半円状に膨出する形状、台形に膨出する形状、または、三角形状に膨出する形状であってもよく、いずれの形状であっても、膨出方向の先端部から左側壁32に向かうに従って気筒列方向L1の両側外方に傾斜する傾斜壁部が形成されていることが望ましい。
【0148】
また、本実施例のカバー部材43、52の先端壁部43E、52Eの下側部分に、カバー部材43、52に衝突した吸入空気を空気取出口に向かって案内する傾斜部を形成してもよい。このようにすれば、空気取出口32a、32b、32cに吸入空気をより効果的に分配できる。
【0149】
本発明の実施例を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正および等価物が次の請求項に含まれることが意図されている。
【符号の説明】
【0150】
1...エンジン(内燃機関)、2A...気筒、6...吸気マニホールド(吸気装置)、8...サージタンク、8a...内部空間(サージタンクの内部空間)、9A,9B,9C...分岐管、10...ブローバイガス配管(配管)、31...右側壁(上流側側壁)、31a...空気取入口、32...左側壁(下流側側壁)、32a,32b,32c...空気取出口、33...底壁、34...天井壁、42...配管部、42a...開口部、43,52...カバー部材、43a,52a...内部空間(カバー部材の内部空間)、43C、43D、52C,52D...傾斜壁部(傾斜部)、43E、52E...先端壁部(カバー部材の膨出方向の先端部)、44,53...連通口(連通部)、C...第1の仮想直線の延びる方向の中央部、L1...気筒列方向(気筒の配列方向)、L2...吸入空気の流れる方向、L3,L5...第1の仮想直線、L4,L6...第2の仮想直線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9