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特許7604991情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G09B 5/14 20060101AFI20241217BHJP
   G06Q 50/20 20120101ALI20241217BHJP
   G16Y 10/55 20200101ALI20241217BHJP
   G16Y 20/40 20200101ALI20241217BHJP
   G16Y 40/20 20200101ALI20241217BHJP
   G16Y 40/30 20200101ALI20241217BHJP
【FI】
G09B5/14
G06Q50/20 300
G16Y10/55
G16Y20/40
G16Y40/20
G16Y40/30
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021055816
(22)【出願日】2021-03-29
(65)【公開番号】P2022152881
(43)【公開日】2022-10-12
【審査請求日】2024-01-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 直之
(72)【発明者】
【氏名】生駒 拓也
(72)【発明者】
【氏名】内田 昌希
【審査官】宇佐田 健二
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-085284(JP,A)
【文献】特開2020-197778(JP,A)
【文献】特開2015-166815(JP,A)
【文献】特開2007-025393(JP,A)
【文献】特開2015-018096(JP,A)
【文献】特開2012-194507(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 1/00- 9/56,17/00-19/26
G06Q 50/20
G16Y 10/00-40/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
学習者の学習状況を示す時系列の学習状況データと、前記学習状況データに対する指導者のコメントとを受け付ける受付部と、
所定期間ごとの時系列の学習状況データと前記学習状況データに対するコメントとを入力した場合に前記コメントの妥当性を推定するよう学習済みの第1学習モデルに、前記受付部が受け付けた学習状況データとコメントとを入力して、前記コメントの妥当性を推定した推定結果を出力する出力部と
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記第1学習モデルに、学習状況データと、前記学習状況データに対する複数のコメントとを入力して、各コメントの妥当性を推定した推定結果を出力し、
出力した推定結果に基づき、妥当でないコメントを修正すべきコメントとして出力する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記第1学習モデルは、前記学習者の性格を示す予め設定された性格タイプ毎に作成されている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記学習者の識別情報と、前記学習者の性格タイプとを対応付けて記憶する記憶部
を備える請求項1から3までのいずれかひとつに記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記コメントを選択可能な複数のコメントが登録されており、
前記受付部は、前記複数のコメントからコメントの選択を受け付ける
ことを特徴とする請求項1から4までのいずれかひとつに記載の情報処理装置。
【請求項6】
所定期間ごとの時系列の学習状況データを入力した場合に前記学習状況データに対する指導者のコメントを出力するよう学習済みの第2学習モデルに、前記受付部が受け付けた学習状況データを入力して、前記学習状況データに対するコメントを出力する第2出力部
を備える請求項1から5までのいずれかひとつに記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記第2学習モデルは、予め設定された前記学習者の性格タイプ毎に作成されている
ことを特徴とする請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
学習者の学習状況を示す時系列の学習状況データと、前記学習状況データに対する指導者のコメントとを受け付け、
所定期間ごとの時系列の学習状況データと前記学習状況データに対するコメントとを入力した場合に前記コメントの妥当性を推定するよう学習済みの第1学習モデルに、受け付けた学習状況データとコメントとを入力して、前記コメントの妥当性を推定した推定結果を出力する
処理をコンピュータが実行する情報処理方法。
【請求項9】
学習者の学習状況を示す時系列の学習状況データと、前記学習状況データに対する指導者のコメントとを受け付け、
所定期間ごとの時系列の学習状況データと前記学習状況データに対するコメントとを入力した場合に前記コメントの妥当性を推定するよう学習済みの第1学習モデルに、受け付けた学習状況データとコメントとを入力して、前記コメントの妥当性を推定した推定結果を出力する
処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、学習者に学習支援を行うためのシステムの開発が進められている。例えば特許文献1には、教師あるいは添削担当者が生徒の課題の解答状況を監視して、解答に対するコメントを行なえるコンピューターシステムによる集合教育方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-018096号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に係る発明は、指導者(例えば、教師または添削担当者)のコメントの妥当性のチェックを行うことができない。
【0005】
一つの側面では、指導者のコメントの妥当性のチェックを行うことが可能な情報処理装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一つの側面に係る情報処理装置は、学習者の学習状況を示す時系列の学習状況データと、前記学習状況データに対する指導者のコメントとを受け付ける受付部と、所定期間ごとの時系列の学習状況データと前記学習状況データに対するコメントとを入力した場合に前記コメントの妥当性を推定するよう学習済みの第1学習モデルに、前記受付部が受け付けた学習状況データとコメントとを入力して、前記コメントの妥当性を推定した推定結果を出力する出力部とを備える。
【発明の効果】
【0007】
一つの側面では、指導者のコメントの妥当性のチェックを行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】コメントチェックシステムの概要を示す説明図である。
図2】サーバの構成例を示すブロック図である。
図3】訓練データDBのレコードレイアウトの一例を示す説明図である。
図4】学習モデル管理DB及び学習者DBのレコードレイアウトの一例を示す説明図である。
図5】コメントDBのレコードレイアウトの一例を示す説明図である。
図6】学習者端末の構成例を示すブロック図である。
図7】指導者端末の構成例を示すブロック図である。
図8】妥当性推定モデルに関する説明図である。
図9】妥当性推定モデルの生成処理の手順を示すフローチャートである。
図10】コメントの妥当性の推定結果の表示画面の一例を示す説明図である。
図11】コメントの妥当性の推定処理を行う際の処理手順を示すフローチャートである。
図12】コメントの妥当性の推定処理を行う際の処理手順を示すフローチャートである。
図13】実施形態2のサーバの構成例を示すブロック図である。
図14】実施形態2の訓練データDBのレコードレイアウトの一例を示す説明図である。
図15】コメント推定モデルに関する説明図である。
図16】コメントの推定結果の表示画面の一例を示す説明図である。
図17】コメントの生成処理を行う際の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明をその実施形態を示す図面に基づいて詳述する。
【0010】
(実施形態1)
実施形態1は、学習者の学習状況を示す学習状況データと該学習状況データに対する指導者のコメントとに基づき、人工知能(AI:Artificial Intelligence)を用いて、指導者のコメントの妥当性を推定する形態に関する。図1は、コメントチェックシステムの概要を示す説明図である。本実施形態のシステムは、情報処理装置1、情報処理端末2及び情報処理端末3を含み、各装置はインターネット等のネットワークNを介して情報の送受信を行う。
【0011】
情報処理装置1は、種々の情報に対する処理、記憶及び送受信を行う情報処理装置である。情報処理装置1は、例えばサーバ装置、パーソナルコンピュータまたは汎用のタブレットPC(パソコン)等である。本実施形態において、情報処理装置1はサーバ装置であるものとし、以下では簡潔のためサーバ1と読み替える。
【0012】
情報処理端末2は、学習者の学習状況データの受付及び送信、並びに、指導者のコメント受信及び表示等を行う端末装置である。情報処理端末2は、例えばスマートフォン、携帯電話、アップルウォッチ(Apple Watch:登録商標)等のウェアラブルデバイス、タブレット、パーソナルコンピュータ端末等の情報処理機器である。以下では簡潔のため、情報処理端末2を学習者端末2と読み替える。
【0013】
情報処理端末3は、学習者の学習状況データに対する指導者のコメントの受付及び送信、並びに、コメントの妥当性の推定結果の受信及び表示等を行う端末装置である。情報処理端末3は、例えばスマートフォン、携帯電話、アップルウォッチ等のウェアラブルデバイス、タブレット、パーソナルコンピュータ端末等の情報処理機器である。以下では簡潔のため、情報処理端末3を指導者端末3と読み替える。
【0014】
本実施形態に係るサーバ1は、学習者の学習状況を示す時系列の学習状況データと、該学習状況データに対する指導者のコメントとを取得する。サーバ1は、所定期間ごとの時系列の学習状況データと該学習状況データに対するコメントとを入力した場合に該コメントの妥当性を推定するよう学習済みの学習モデルに、取得した学習状況データと指導者のコメントとを入力して、該コメントの妥当性を推定した推定結果を出力する。なお、学習モデルに関しては後述する。
【0015】
図2は、サーバ1の構成例を示すブロック図である。サーバ1は、制御部11、記憶部12、通信部13、入力部14、表示部15、読取部16及び大容量記憶部17を含む。各構成はバスBで接続されている。
【0016】
制御部11はCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等の演算処理装置を含み、記憶部12に記憶された制御プログラム1Pを読み出して実行することにより、サーバ1に係る種々の情報処理、制御処理等を行う。なお、制御プログラム1Pは、単一のコンピュータ上で、または1つのサイトにおいて配置されるか、もしくは複数のサイトにわたって分散され、通信ネットワークによって相互接続された複数のコンピュータ上で実行されるように展開することができる。なお、図2では制御部11を単一のプロセッサであるものとして説明するが、マルチプロセッサであっても良い。
【0017】
記憶部12はRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等のメモリ素子を含み、制御部11が処理を実行するために必要な制御プログラム1P又はデータ等を記憶している。また、記憶部12は、制御部11が演算処理を実行するために必要なデータ等を一時的に記憶する。通信部13は通信に関する処理を行うための通信モジュールであり、ネットワークNを介して、学習者端末2及び指導者端末3との間で情報の送受信を行う。
【0018】
入力部14は、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン等の入力デバイスであり、受け付けた操作情報を制御部11へ出力する。表示部15は、液晶ディスプレイ又は有機EL(electroluminescence)ディスプレイ等であり、制御部11の指示に従い各種情報を表示する。
【0019】
読取部16は、CD(Compact Disc)-ROM又はDVD(Digital Versatile Disc)-ROMを含む可搬型記憶媒体1aを読み取る。制御部11が読取部16を介して、制御プログラム1Pを可搬型記憶媒体1aより読み取り、大容量記憶部17に記憶しても良い。また、ネットワークN等を介して他のコンピュータから制御部11が制御プログラム1Pをダウンロードし、大容量記憶部17に記憶しても良い。さらにまた、半導体メモリ1bから、制御部11が制御プログラム1Pを読み込んでも良い。
【0020】
大容量記憶部17は、例えばHDD(Hard disk drive:ハードディスク)、SSD(Solid State Drive:ソリッドステートドライブ)等の記録媒体を備える。大容量記憶部17は、妥当性推定モデル(第1学習モデル)171、訓練データDB(database)172、学習モデル管理DB173、学習者DB174及びコメントDB175を含む。
【0021】
妥当性推定モデル171は、学習者の学習状況データと該学習状況データに対する指導者のコメントとに基づいて該コメントの妥当性を推定する推定器であり、機械学習により生成された学習済みの学習モデルである。訓練データDB172は、妥当性推定モデル171を構築(作成)するための訓練データを記憶している。学習モデル管理DB173は、学習済みの妥当性推定モデル171に関する情報を記憶している。学習者DB174は、学習者に関する情報を記憶している。コメントDB175は、指導者が使用可能なコメントを記憶している。
【0022】
なお、本実施形態において記憶部12及び大容量記憶部17は一体の記憶装置として構成されていても良い。また、大容量記憶部17は複数の記憶装置により構成されていても良い。更にまた、大容量記憶部17はサーバ1に接続された外部記憶装置であっても良い。
【0023】
サーバ1はコンピュータ単体で実行しても良いし、複数のコンピュータで分散して実行しても良いし、仮想マシンで分散して実行しても良い。
【0024】
図3は、訓練データDB172のレコードレイアウトの一例を示す説明図である。訓練データDB172は、訓練ID列、入力列、出力列及び性格タイプ列を含む。
【0025】
訓練ID列は、各訓練データを識別するために、一意に特定される訓練データのIDを記憶している。入力列は、学習状況列及びコメント列を含む。学習状況列は、学習者の学習状況を示す時系列の学習状況データを記憶している。学習状況データは、学習者の学習量、学力偏差値、点数、または、これらの組み合わせにより定量化される数値である。学習量は、例えば所定期間(例えば、一ヵ月)内の学習の課題数、または所定期間内の学習時間等である。例えば、課題数と学習時間とを組み合わせた学習量を利用した場合、10問の学習量に1時間の学習時間を設定し、学習状況データが10(10×1)となる。なお、学習状況データは、任意の算出式に基づいて定量化されても良い。
【0026】
コメント列は、学習状況データに対する指導者のコメントを記憶している。出力列は、コメントの妥当性を示す情報を記憶している。性格タイプ列は、学習者の性格タイプを記憶している。なお、性格タイプに関しては後述する。
【0027】
図4は、学習モデル管理DB173及び学習者DB174のレコードレイアウトの一例を示す説明図である。
学習モデル管理DB173は、モデルID列、学習モデル列、種類列及び生成日時列を含む。モデルID列は、各学習済みの学習モデルを識別するために、一意に特定される学習モデルのIDを記憶している。学習モデル列は、学習済みの学習モデルのファイルを記憶している。種類列は、学習モデルの種類を記憶している。種類列には、例えば学習者の性格タイプに基づいて生成された学習モデルの種類が記憶される。例えば、種類列には、「性格タイプAモデル」または「性格タイプBモデル」等が記憶されている。生成日時列は、学習モデルを生成した日時情報を記憶している。
【0028】
学習者DB174は、学習者ID列及び性格タイプ列を含む。学習者ID列は、各学習者を識別するために、一意に特定される学習者のIDを記憶している。性格タイプ列は、学習者の性格を示す性格タイプを記憶している。なお、性格タイプに関しては、例えば、各学習者に対して性格タイプの診断を実施することにより、各学習者の性格タイプを取得し、取得した性格タイプを学習者IDに対応付けて学習者DB174に登録する。
【0029】
なお、学習者に対する性格タイプの診断に関しては、例えば、エコグラムと呼ばれる性格診断手法により、「厳しさ度」、「優しさ度」、「冷静度」、「自由気まま度」、「従順度」といった性格特性のスコアを算出し、算出したスコアに基づいて、各学習者がどの性格特性に最も当てはまるかを診断しても良い。または、OKグラムと呼ばれる性格診断手法により、「他者否定性」、「他者肯定性」、「自己否定性」、「自己肯定性」といった性格特性のスコアが算出し、算出したスコアに基づいて、各学習者がどの性格特性に最も当てはまるかを診断しても良い。更にまた、例えば、予め各学習者に対していくつかの質問を行い、質問に対する回答に基づき得られた情報を分析して各学習者がどの性格特性を診断しても良い。例えば性格タイプは、「褒められて伸びるタイプ」及び「厳しくして伸びるタイプ」等を含む。
【0030】
図5は、コメントDB175のレコードレイアウトの一例を示す説明図である。コメントDB175は、コメントID列及びコメント列を含む。コメントID列は、各コメントを識別するために、一意に特定されるコメントのIDを記憶している。コメント列は、指導者のコメントの内容を記憶している。
【0031】
なお、上述した各DBの記憶形態は一例であり、データ間の関係が維持されていれば、他の記憶形態であっても良い。
【0032】
図6は、学習者端末2の構成例を示すブロック図である。学習者端末2は、制御部21、記憶部22、通信部23、入力部24及び表示部25を含む。各構成はバスBで接続されている。
【0033】
制御部21はCPU、MPU等の演算処理装置を含み、記憶部22に記憶された制御プログラム2Pを読み出して実行することにより、学習者端末2に係る種々の情報処理、制御処理等を行う。なお、図6では制御部21を単一のプロセッサであるものとして説明するが、マルチプロセッサであっても良い。記憶部22はRAM、ROM等のメモリ素子を含み、制御部21が処理を実行するために必要な制御プログラム2P又はデータ等を記憶している。また、記憶部22は、制御部21が演算処理を実行するために必要なデータ等を一時的に記憶する。
【0034】
通信部23は通信に関する処理を行うための通信モジュールであり、ネットワークNを介して、サーバ1と情報の送受信を行う。入力部24は、キーボード、マウスまたは表示部25と一体化したタッチパネルでも良い。表示部25は、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイ等であり、制御部21の指示に従い各種情報を表示する。
【0035】
図7は、指導者端末3の構成例を示すブロック図である。指導者端末3は、制御部31、記憶部32、通信部33、入力部34及び表示部35を含む。各構成はバスBで接続されている。
【0036】
制御部31はCPU、MPU等の演算処理装置を含み、記憶部32に記憶された制御プログラム3Pを読み出して実行することにより、指導者端末3に係る種々の情報処理、制御処理等を行う。なお、図7では制御部31を単一のプロセッサであるものとして説明するが、マルチプロセッサであっても良い。記憶部32はRAM、ROM等のメモリ素子を含み、制御部31が処理を実行するために必要な制御プログラム3P又はデータ等を記憶している。また、記憶部32は、制御部31が演算処理を実行するために必要なデータ等を一時的に記憶する。
【0037】
通信部33は通信に関する処理を行うための通信モジュールであり、ネットワークNを介して、サーバ1と情報の送受信を行う。入力部34は、キーボード、マウスまたは表示部35と一体化したタッチパネルでも良い。表示部35は、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイ等であり、制御部31の指示に従い各種情報を表示する。
【0038】
続いて、学習者の時系列の学習状況データと、該学習状況データに対する指導者のコメントとに基づき、該指導者のコメントの妥当性を推定する処理を説明する。本実施形態では、妥当性推定モデル171を用いてコメントの妥当性を推定した推定結果を出力する。
【0039】
図8は、妥当性推定モデル171に関する説明図である。本実施の形態においてサーバ1は、学習者の時系列の学習状況データ及び該学習状況データに対する指導者のコメントと、該コメントの妥当性との関係を学習する機械学習を行い、妥当性推定モデル171を生成(作成)する。
【0040】
例えば妥当性推定モデル171は、深層学習により生成されるニューラルネットワークであり、RNN(Recurrent Neural Network)の一種であるアテンションモデル(Attention Model)である。
【0041】
アテンションモデルに係る妥当性推定モデル171は、図8に示すように、Encoderとして機能するネットワークと、Decoderとして機能するネットワークとに分類される。ラベル<EOS(End of String)>は、学習または推定処理時にデータの終わりを表す予約語である。
【0042】
Encoderは、LSTM(Long-Short Term Memory)ブロックと呼ばれる複数のニューロンで構成される。Encoderでは、所定期間(例えば、一ヵ月または一週間)ごとの学習状況データ及び該学習状況データに対するコメントの入力を受け付け、LSTMブロックでの演算を行う。LSTMブロックでは、前のLSTMブロック(ニューロン)における演算結果、すなわち一つ前に出現する学習状況データ及びコメントに基づく演算結果を参照しながら演算を行う。これにより妥当性推定モデル171は、時系列順に基づいて学習状況データに対応するコメントの妥当性を推定する。
【0043】
指導者のコメントは、単一または複数であっても良い。単一のコメントは、例えば「もっと頑張って。」である。複数のコメントは、例えば「よくできたね。」及び「とても頑張ったね。」である。Encoderは、各時刻の入力データに対応付けられた隠れ状態ベクトル(hidden states)をAttentionレイヤーに渡す。
【0044】
Attentionレイヤーは、Encoderから渡された各時刻の隠れ状態ベクトルを受け取る。Attentionレイヤーは、Encoderから入力された各時刻の隠れ状態ベクトルのスコアを計算する。例えば、ソフトマックス(Softmax)関数を用いてスコアを計算しても良い。各隠れ状態ベクトルにソフトマックスを通したスコアを乗算することにより、高スコアの隠れ状態を増幅させ、低スコアの隠れ状態をかき消すことができる。
【0045】
Attentionレイヤーは、変換後の隠れ状態ベクトルをDecoderに渡す。Decoderは、LSTMブロックと呼ばれるニューロンで構成される。Decoderは、Attentionレイヤーから入力された各時刻の隠れ状態ベクトルを足し合わせ、Decoderの隠れ状態ベクトルと結合して変換し、Decoderの最終的な隠れ状態ベクトルを得る。Decoderは、最終的な隠れ状態ベクトルに基づき、該コメントの妥当性を推定した推定結果を出力する。Decoderから出力される推定結果は、例えば、妥当性を示す連続的な確率値(例えば「0」から「1」までの範囲の値)である。
【0046】
図示のように、Encoderでは時系列の学習状況データ(例えば、4月、5月及び6月の学習状況データ)及び該学習状況データに対するコメント(例えば、もっと頑張ってね)の入力を受け付け、中間層での演算を行う。具体的には、サーバ1は、コメントを複数の文節に区切る。文節は、文の構成要素で、文を実際の言葉として不自然にならない程度に区切ったとき得られる最小のひとまとまりのものである。例えば、コメントが「もっと頑張ってね」である場合、サーバ1は「もっと頑張ってね」から「もっと」、「頑張って」及び「ね」を含む三つの文節に区切る。サーバ1は、区切った各文節と時系列の学習状況データとを組み合わせる。例えば、「もっと」文節と4月の学習状況データとを組み合わせ、「頑張って」文節と5月の学習状況データとを組み合わせ、「ね」文節と6月の学習状況データとを組み合わせる。サーバ1は、文節と学習状況データとを組み合わせた複数のデータを順次に各LSTMブロックに入力する。図8では、月単位の学習状況データを説明したが、これに限らず、例えば、週単位の学習状況データであっても良い。
【0047】
Encoderは、各時刻の入力データに対応付けられた隠れ状態ベクトルをAttentionレイヤーに渡す。Attentionレイヤーは、各時刻の隠れ状態ベクトルの変換処理を行い、変換後の隠れ状態ベクトルをDecoderに渡す。Decoderは、Attentionレイヤーから入力された各時刻の隠れ状態ベクトルと、Decoderの隠れ状態ベクトルとを結合して変換し、該コメントの妥当性を推定した推定結果を出力する。
【0048】
なお、アテンションモデルは妥当性推定モデル171の一例であって、例えばサーバ1は、Seq2Seq(Sequence to Sequence)等の他のニューラルネットワークを妥当性推定モデル171として生成しても良い。また、妥当性推定モデル171はニューラルネットワークに限定されず、例えば決定木、ランダムフォレスト、SVM(Support Vector Machine)など、他の学習アルゴリズムに基づくモデルであっても良い。
【0049】
例えばサーバ1は、訓練データDB172に蓄積された訓練データを用いて、妥当性推定モデル171を生成する。訓練データは、学習者の時系列の学習状況データ及び該学習状況データに対するコメントと、該コメントの妥当性を示す情報とが対応付けられた組み合わせのデータである。訓練データは、学習者から収集された大量の学習状況データ及び学習状況データに対応する指導者のコメントに基づいて生成される。なお、訓練データは別途人手で作成されたデータであっても良い。
【0050】
サーバ1は、訓練用の時系列の学習状況データ及び指導者のコメントを入力データとして妥当性推定モデル171に入力し、出力層からコメントの妥当性を推定した推定結果(出力データ)を取得する。サーバ1は、訓練データに含まれる正解の出力データと、妥当性推定モデル171から出力された出力データとを比較し、両者が近似するように、中間層での演算に用いる重み等の各種パラメータを最適化する。
【0051】
これによりサーバ1は、妥当性推定モデル171を生成(構築)する。サーバ1は、生成した妥当性推定モデル171を学習モデル管理DB173に記憶する。本実施の形態においてサーバ1は、上記の妥当性推定モデル171を用いて学習者の学習状況データに対するコメントの妥当性の推定を行い、学習状況データ及び指導者のコメントに対し、該コメントの妥当性を推定した推定結果を出力する。
【0052】
図示のように、学習状況データに対応するコメントに対し、「妥当」の確率値が「0.90」であり、且つ、「不当」の確率値が「0.10」である推定結果が出力される。また、所定閾値を利用して推定結果を出力しても良い。例えばサーバ1は、「妥当」の確率値(0.90)が所定閾値(例えば、0.85)以上であると判定した場合、該コメントが妥当である推定結果を出力する。または、サーバ1は、「不当」の確率値(0.87)が所定閾値(例えば、0.85)以上であると判定した場合、該コメントが不当である推定結果を出力する。
【0053】
また、サーバ1は、指導者のコメントが複数のコメントを含む場合、妥当性推定モデル171を用いて、それぞれのコメントの妥当性を推定した推定結果を出力する。例えば、指導者のコメントが「よくできたね」及び「とても頑張ったね」を含む場合、サーバ1は、妥当性推定モデル171を用いて、「よくできたね」の妥当性の推定結果と、「とても頑張ったね」の妥当性の推定結果との両方を出力する。
【0054】
例えばサーバ1は、「よくできたね」コメントに対し、「妥当」の確率値が「0.90」であり、且つ、「不当」の確率値が「0.10」である推定結果を出力する。また、サーバ1は、「とても頑張ったね」に対し、「妥当」の確率値が「0.15」であり、且つ、「不当」の確率値が「0.85」である推定結果を出力する。この場合、サーバ1は、該指導者のコメントの推定結果に基づいて、不当である「とても頑張ったね」コメントを修正すべきコメントとして出力する。
【0055】
図9は、妥当性推定モデル171の生成処理の手順を示すフローチャートである。図9に基づき、機械学習を行って妥当性推定モデル171を生成する処理の内容について説明する。
【0056】
サーバ1の制御部11は、学習者の時系列の学習状況データ及び該学習状況データに対するコメントと、該コメントの妥当性を示す情報とが対応付けられた訓練データを大容量記憶部17の訓練データDB172から複数取得する(ステップS101)。制御部11は、取得した時系列の学習状況データ及び該学習状況データに対するコメントと、該コメントの妥当性を示す情報とに基づき、時系列の学習状況データ及び該学習状況データを入力として、該コメントの妥当性を推定した推定結果を出力とする妥当性推定モデル171を生成する(ステップS102)。
【0057】
例えば、妥当性推定モデル171はアテンションモデルに係るニューラルネットワークであり、学習状況データ及び該学習状況データに対するコメントを入力として、該コメントの妥当性を推定した推定結果を出力するニューラルネットワークである。制御部11は、時系列の学習状況データ及びコメントを妥当性推定モデル171に入力し、該コメントの妥当性を推定した推定結果を出力する。制御部11は、出力された妥当性の推定結果を、訓練データに含まれる妥当性を示す正解の情報と比較し、両者が近似するように中間層の各種パラメータを最適化して、妥当性推定モデル171を生成する。
【0058】
制御部11は、生成した妥当性推定モデル171を大容量記憶部17の学習モデル管理DB173に記憶し(ステップS103)、一連の処理を終了する。具体的には、制御部11は、生成した妥当性推定モデル171に対してモデルIDを割り振り、割り振ったモデルIDに対応付けて、妥当性推定モデル171のファイル及び生成日時を一つのレコードとして学習モデル管理DB173に記憶する。
【0059】
また、学習者の性格を示す予め設定された性格タイプ毎に妥当性推定モデル171を生成することができる。具体的には、サーバ1は、学習者の性格タイプごとに訓練データを訓練データDB172から取得する。例えば、性格タイプAの妥当性推定モデル171を生成する場合、サーバ1は、「性格タイプA」である性格タイプに対応する訓練データを訓練データDB172から複数抽出する。サーバ1は、抽出した訓練データを用いて性格タイプAの妥当性推定モデル171を生成する。
【0060】
続いて、生成した妥当性推定モデル171の使用方法を説明する。
【0061】
学習者端末2は、学習者の学習状況を示す時系列の学習状況データ(例えば、学習者の点数、学力偏差値または学習量)の入力を受け付ける。例えば学習者端末2は、学習者の三ヵ月(例えば、4月、5月及び6月)の学習量を受け付ける。なお、学習者が、例えば課題を提供するEラーニング(e-Learning)システムを利用した場合、学習者端末2は、Eラーニングシステムに記憶された該学習者の学習状況データを取得しても良い。学習者端末2は、取得した学習者の学習状況データをサーバ1に送信する。サーバ1は、学習者端末2から送信された学習者の時系列の学習状況データを受信し、受信した学習状況データを指導者端末3に送信する。なお、学習状況データは、学習者端末2から指導者端末3に直接送信されても良い。
【0062】
指導者端末3は、サーバ1から送信された学習者の学習状況データを受信し、受信した学習状況データに対応する指導者のコメントを取得する。例えば、指導者端末3は、予め登録された複数のコメントをコメントDB175から取得し、取得した複数のコメントを画面に表示する。指導者端末3は、画面に表示されている複数のコメントからコメントの選択を受け付けても良い。なお、指導者端末3は、指導者のコメントの入力を直接受け付けても良い。指導者端末3は、取得した指導者のコメントを学習状況データと共にサーバ1に送信する。
【0063】
サーバ1は、指導者端末3から送信された学習者の学習状況データと、該学習状況データに対応するコメントとに基づき、該コメントの妥当性を推定する。具体的には、サーバ1は、時系列の学習状況データと該学習状況データに対応するコメントとを妥当性推定モデル171に入力して、該コメントの妥当性を推定した推定結果を出力する。
【0064】
サーバ1は、出力した推定結果に基づき、コメントが妥当であると判定した場合、コメントの推定結果を指導者端末3に送信する。指導者端末3は、サーバ1から送信されたコメントの妥当性の推定結果を受信し、受信した推定結果を画面に表示する。サーバ1は、該コメントを学習者端末2に送信する。学習者端末2は、サーバ1から送信されたコメントを学習状況データと共に画面に表示する。
【0065】
また、妥当性推定モデル171を用いて、学習状況データに対する複数のコメントの妥当性を推定することができる。具体的には、サーバ1は、学習状況データと、該学習状況データに対する複数のコメントとを妥当性推定モデル171に入力し、各コメントの妥当性を推定した推定結果を出力する。サーバ1は、出力した妥当性の推定結果に基づき、妥当でないコメントを修正すべきコメントとして取得する。サーバ1は、妥当性の推定結果と修正すべきコメントとを指導者端末3に送信する。指導者端末3は、サーバ1から送信された妥当性の推定結果及び修正すべきコメントを受信し、受信した推定結果及び修正すべきコメントを画面に表示する。
【0066】
図10は、コメントの妥当性の推定結果の表示画面の一例を示す説明図である。該画面は、学習状況データ表示欄11a、コメント選択コンボボックス11b、選択ボタン11c、コメント表示欄11d、チェックボタン11e及びチェック結果表示欄11fを含む。
【0067】
学習状況データ表示欄11aは、学習者の学習状況データを表示する表示欄である。コメント選択コンボボックス11bは、学習状況データに対する指導者のコメントの選択を受け付けるコンボボックスである。なお、コンボボックスに限定せず、例えば、指導者のコメントの手入力を受け付けるテキストフィールドであっても良い。選択ボタン11cは、指導者のコメントの選択を受け付けるボタンである。コメント表示欄11dは、選択されたコメントを表示する表示欄である。チェックボタン11eは、コメントの妥当性のチェックを行うボタンである。チェック結果表示欄11fは、コメントの妥当性のチェック結果を表示する表示欄である。
【0068】
指導者端末3は、サーバ1から学習者の時系列の学習状況データを取得する。指導者端末3は、取得した学習状況データに基づいて、該時系列の学習状況データを示すグラフを生成する。なお、時系列の学習状況データを示すグラフはサーバ1側で生成されても良い。指導者端末3は、生成したグラフを学習状況データ表示欄11aに表示する。
【0069】
図示のように、学習状況データと期間との関係を示す縦棒グラフは、学習状況データ表示欄11aに表示される。縦棒グラフの横軸は、期間(例えば、4月~翌年の2月)を示す。縦棒グラフの縦軸は、学習状況データ(例えば、学習量または学習時間)を示す。なお、図10では縦棒グラフの形式としたが、これに限らず、その他のグラフ形式であっても良い。
【0070】
指導者端末3は、予め設定された指導者用の複数のコメントをサーバ1のコメントDB175から取得し、取得した複数のコメントをコメント選択コンボボックス11bに設定する。例えば指導者端末3は、予めコメントDB175に登録された「もっと頑張って。」、「よくできたね。」及び「とても頑張ったね。」を取得してコメント選択コンボボックス11bに設定する。指導者端末3は、選択ボタン11cのタッチ(クリック)操作を受け付けた場合、コメント選択コンボボックス11bにより選択されたコメントを取得する。指導者端末3は、選択された指導者のコメントをコメント表示欄11dに表示する。
【0071】
また、コメントを複数選択することもできる。例えば、指導者端末3は、コメント選択コンボボックス11bにより「よくできたね。」の選択を受け付けた場合、受け付けた「よくできたね。」をコメント表示欄11dに表示する。また、指導者端末3は、コメント選択コンボボックス11bにより「とても頑張ったね。」の選択を受け付けた場合、受け付けた「とても頑張ったね。」をコメント表示欄11dに「よくできたね。」の次の行に表示する。
【0072】
指導者端末3は、チェックボタン11eのタッチ操作を受け付けた場合、選択されたコメントを、学習者の学習状況データと共にサーバ1に送信する。サーバ1は、指導者端末3から送信された学習状況データと該学習状況データに対応するコメントとに基づき、妥当性推定モデル171を用いて該コメントの妥当性を推定(チェック)する。サーバ1は、該コメントの妥当性を推定した推定結果(チェック結果)を指導者端末3に送信する。
【0073】
指導者端末3は、サーバ1から送信されたコメントの推定結果を受信し、受信した推定結果をチェック結果表示欄11fに表示する。図示のように、選択された「よくできたね。」及び「とても頑張ったね。」コメントに対し、「よくできたね。」が妥当、且つ、「とても頑張ったね。」が妥当でない(不当とする)推定結果がチェック結果表示欄11fに表示される。妥当でないコメントの表示形式に関しては、例えば太字または斜体で表示されても良い。また、指導者端末3は、妥当でないコメントに対し、妥当でない旨を含むメッセージ(例えば、「学習者Aにとってはこのアドバイスは好ましくないです」)をチェック結果表示欄11fに出力しても良い。
【0074】
図11及び図12は、コメントの妥当性の推定処理を行う際の処理手順を示すフローチャートである。学習者端末2の制御部21は、学習者の学習状況を示す時系列の学習状況データを取得する(ステップS211)。例えば、制御部21は、時系列の学習状況データの入力を入力部24により受け付けても良い。または、学習者がEラーニングシステムを利用した場合、制御部21は、Eラーニングシステムに記憶された該学習者の学習状況データを通信部23により取得しても良い。制御部21は、学習者IDと、取得した学習者の学習状況データとを通信部23によりサーバ1に送信する(ステップS212)。
【0075】
サーバ1の制御部11は、通信部13を介して、学習者端末2から送信された学習者ID及び学習状況データを受信し(ステップS111)、受信した学習者ID及び学習状況データを指導者端末3に送信する(ステップS112)。指導者端末3の制御部31は、サーバ1から送信された学習者ID及び学習状況データを通信部33により受信し(ステップS311)、受信した学習者ID及び学習状況データを表示部35により表示する(ステップS312)。
【0076】
制御部31は、予め設定された指導者用の複数のコメントを大容量記憶部17のコメントDB175から取得する(ステップS313)。制御部31は、取得した複数のコメントを表示部35により表示する(ステップS314)。なお、制御部31は、指導者のコメントの入力を入力部34により直接受け付けても良い。制御部31は、表示されている複数のコメントから、該学習状況データに対応するコメントの選択を入力部34により受け付ける(ステップS315)。制御部31は、学習者ID、学習状況データ、及び選択されたコメントを通信部33によりサーバ1に送信する(ステップS316)。
【0077】
サーバ1の制御部11は、指導者端末3から送信された学習者ID、学習状況データ及びコメントを通信部13により受信する(ステップS113)。制御部11は、受信した学習者IDに基づいて、学習者の性格タイプを大容量記憶部17の学習者DB174から取得する(ステップS114)。制御部11は、取得した性格タイプに基づいて妥当性推定モデル171を特定する(ステップS115)。具体的には、制御部11は、取得した性格タイプに基づいて、該当する妥当性推定モデル171を大容量記憶部17の学習モデル管理DB173から取得して特定する。
【0078】
制御部11は、受信した学習状況データ及びコメントに基づき、特定した妥当性推定モデル171を用いて該コメントの妥当性を推定する(ステップS116)。具体的には、制御部11は、学習状況データとコメントとを妥当性推定モデル171に入力して、該コメントの妥当性を推定した推定結果を出力する。なお、制御部11は、学習状況データに対する複数のコメントを妥当性推定モデル171に入力した場合、各コメントの妥当性を推定した推定結果を出力する。
【0079】
制御部11は、出力した推定結果に基づき、コメントが妥当であるか否かを判定する(ステップS117)。なお、指導者のコメントが複数のコメントを含む場合、制御部11は、各コメントが妥当であるか否かを判定する。制御部11は、いずれかのコメントが妥当でないと判定した場合、指導者のコメントが妥当でないと判定する。
【0080】
制御部11は、コメントが妥当でないと判定した場合(ステップS117でNO)、コメントの推定結果及び修正すべきコメント(妥当でないコメント)を通信部13により指導者端末3に送信する(ステップS118)。指導者端末3の制御部31は、サーバ1から送信された推定結果及び修正すべきコメントを通信部33により受信し(ステップS317)、受信した推定結果及び修正すべきコメントを表示部35により表示する(ステップS318)。
【0081】
制御部11は、コメントが妥当であると判定した場合(ステップS117でYES)、通信部13を介して、コメントの推定結果を指導者端末3に送信し(ステップS119)、該コメントを学習者端末2に送信する(ステップS120)。
【0082】
指導者端末3の制御部31は、サーバ1から送信された推定結果を通信部33により受信し(ステップS319)、受信した推定結果を表示部35により表示する(ステップS320)。学習者端末2の制御部21は、サーバ1から送信されたコメントを通信部23により受信する(ステップS213)。制御部21は、学習状況データと受信したコメントとを表示部25により表示し(ステップS214)、処理を終了する。
【0083】
本実施形態によると、妥当性推定モデル171を用いて、学習者の学習状況データに対応する指導者のコメントの妥当性を推定することが可能となる。
【0084】
本実施形態によると、学習者の性格タイプ毎に妥当性推定モデル171を作成することにより、性格タイプ毎にコメントの妥当性を推定するため、学習者に対して適切なコメントを生成することが可能となる。
【0085】
(実施形態2)
実施形態2は、学習者の学習状況データに基づき、人工知能を用いて指導者のコメントを生成する形態に関する。なお、実施形態1と重複する内容については説明を省略する。
【0086】
図13は、実施形態2のサーバ1の構成例を示すブロック図である。図2と重複する内容については同一の符号を付して説明を省略する。大容量記憶部17には、コメント推定モデル(第2学習モデル)176が記憶されている。コメント推定モデル176は、学習者の学習状況データに基づいて指導者のコメントを推定する推定器であり、機械学習により生成された学習済みの学習モデルである。訓練データDB172は、コメント推定モデル176を構築するための訓練データを記憶している。学習モデル管理DB173は、学習済みのコメント推定モデル176に関する情報を記憶している。
【0087】
図14は、実施形態2の訓練データDB172のレコードレイアウトの一例を示す説明図である。なお、図3と重複する内容については説明を省略する。訓練データDB172は、訓練ID列、入力列、出力列及び性格タイプ列を含む。入力列は、学習者の時系列の学習状況データを記憶している。なお、学習状況データに関しては、実施形態1と同様であるため、説明を省略する。出力列は、学習状況データに対する指導者のコメントを記憶している。
【0088】
図15は、コメント推定モデル176に関する説明図である。本実施の形態においてサーバ1は、学習者の時系列の学習状況データと、該学習状況データに対応する指導者のコメントとの関係を学習する機械学習を行い、コメント推定モデル176を生成(作成)する。
【0089】
例えばコメント推定モデル176は、深層学習により生成されるニューラルネットワークであり、RNNの一種であるアテンションモデルである。
【0090】
アテンションモデルに係るコメント推定モデル176は、図8に示すように、Encoderとして機能するネットワークと、Decoderとして機能するネットワークとに分類される。ラベル<EOS>は、学習または推定処理時にデータの終わりを表す予約語である。
【0091】
Encoderは、LSTMブロックと呼ばれる複数のニューロンで構成される。Encoderでは時系列の学習状況データの入力を受け付け、LSTMブロックでの演算を行う。LSTMブロックでは、前のLSTMブロックにおける演算結果、すなわち一つ前に出現する学習状況データに基づく演算結果を参照しながら演算を行う。これによりコメント推定モデル176は、時系列順に基づいて学習状況データに対応するコメントを推定する。
【0092】
Encoderは、各時刻の入力データに対応付けられた隠れ状態ベクトル(hidden states)をAttentionレイヤーに渡す。Attentionレイヤーは、Encoderから渡された各時刻の隠れ状態ベクトルを受け取り、受け取った各時刻の隠れ状態ベクトルに対し変換処理を行う。なお、隠れ状態ベクトルの変換処理に関しては、図8と同様であるため、説明を省略する。
【0093】
Attentionレイヤーは、変換後の隠れ状態ベクトルをDecoderに渡す。Decoderは、LSTMブロックと呼ばれるニューロンで構成される。Decoderは、Attentionレイヤーから入力された各時刻の隠れ状態ベクトルを足し合わせ、Decoderの隠れ状態ベクトルと結合して変換し、Decoderの最終的な隠れ状態ベクトルを得る。Decoderは、最終的な隠れ状態ベクトルに基づき、該学習状況データに対応するコメントを推定した推定結果を出力する。
【0094】
図示のように、Encoderでは時系列の学習状況データ(例えば、4月、5月及び6月の学習状況データ)の入力を受け付け、中間層での演算を行う。Encoderは、各時刻の入力データに対応付けられた隠れ状態ベクトルをAttentionレイヤーに渡す。Attentionレイヤーは、各時刻の隠れ状態ベクトルの変換処理を行い、変換後の隠れ状態ベクトルをDecoderに渡す。Decoderは、Attentionレイヤーから入力された各時刻の隠れ状態ベクトルと、Decoderの隠れ状態ベクトルとを結合して変換し、該学習状況データに対応するコメント(例えば、「もっと頑張って。」)を出力する。
【0095】
なお、アテンションモデルはコメント推定モデル176の一例であって、例えばサーバ1は、Seq2Seq等の他のニューラルネットワークをコメント推定モデル176として生成しても良い。また、コメント推定モデル176はニューラルネットワークに限定されず、例えば決定木、ランダムフォレスト、SVMなど、他の学習アルゴリズムに基づくモデルであっても良い。
【0096】
例えばサーバ1は、訓練データDB172に蓄積された訓練データを用いて、コメント推定モデル176を生成する。訓練データは、学習者の時系列の学習状況データと、該学習状況データに対応するコメントとが対応付けられた組み合わせのデータである。訓練データは、学習者から収集された大量の学習状況データ及び学習状況データに対応する指導者のコメントに基づいて生成される。なお、訓練データは別途人手で作成されたデータであっても良い。
【0097】
サーバ1は、訓練用の時系列の学習状況データを入力データとしてコメント推定モデル176に入力し、出力層から該学習状況データに対応するコメントを推定した推定結果(出力データ)を取得する。サーバ1は、訓練データに含まれる正解の出力データと、コメント推定モデル176から出力された出力データとを比較し、両者が近似するように、中間層での演算に用いる重み等の各種パラメータを最適化する。
【0098】
これによりサーバ1は、コメント推定モデル176を生成する。サーバ1は、生成したコメント推定モデル176を学習モデル管理DB173に記憶する。本実施の形態においてサーバ1は、上記のコメント推定モデル176を用いて学習者の学習状況データに対するコメントの推定を行い、学習状況データに対し、該学習状況データに対応するコメントを推定した推定結果を出力する。
【0099】
また、学習者の性格タイプ毎にコメント推定モデル176を生成することができる。具体的には、サーバ1は、学習者の性格タイプごとに訓練データを訓練データDB172から取得する。例えば、性格タイプAのコメント推定モデル176を生成する場合、サーバ1は、「性格タイプA」である性格タイプに対応する訓練データを訓練データDB172から複数抽出する。サーバ1は、抽出した訓練データを用いて性格タイプAのコメント推定モデル176を生成する。
【0100】
図16は、コメントの推定結果の表示画面の一例を示す説明図である。該画面は、学習状況データ表示欄12a、生成ボタン12b及びコメント表示欄12cを含む。学習状況データ表示欄12aは、学習者の学習状況データを表示する表示欄である。生成ボタン12bは、コメントを生成(推定)するボタンである。コメント表示欄12cは、生成されたコメントを表示する表示欄である。
【0101】
指導者端末3は、サーバ1から学習者の時系列の学習状況データを取得する。指導者端末3は、取得した学習状況データに基づいて、該時系列の学習状況データを示すグラフを生成する。なお、時系列の学習状況データを示すグラフはサーバ1側で生成されても良い。指導者端末3は、生成したグラフを学習状況データ表示欄12aに表示する。なお、なお、グラフの表示に関しては、図10と同様であるため、説明を省略する。
【0102】
指導者端末3は、生成ボタン12bのタッチ操作を受け付けた場合、時系列の学習状況データをサーバ1に送信する。サーバ1は、指導者端末3から送信された時系列の学習状況データをコメント推定モデル176に入力して、該学習状況データに対応する指導者のコメントを出力する。サーバ1は、出力した指導者のコメントを指導者端末3に送信する。指導者端末3は、サーバ1から送信された指導者のコメントを受信してコメント表示欄12cに表示する。
【0103】
図17は、コメントの生成処理を行う際の処理手順を示すフローチャートである。サーバ1の制御部11は、学習者の時系列の学習状況データを取得する(ステップS131)。例えば、制御部11は、学習者の学習状況データを通信部13により学習者端末2から取得しても良い。または、学習者がEラーニングシステムを利用した場合、制御部11は、Eラーニングシステムに記憶された該学習者の学習状況データを取得しても良い。
【0104】
制御部11は、学習者IDと、取得した時系列の学習状況データとを通信部13により指導者端末3に送信する(ステップS132)。指導者端末3の制御部31は、サーバ1から送信された学習者ID及び学習状況データを通信部33により受信する(ステップS331)。制御部31は、受信した学習者ID及び学習状況データを表示部35により表示する(ステップS332)。
【0105】
制御部31は、受信した学習状況データに対応するコメントの生成操作を入力部34により受け付けた場合(ステップS333)、コメントの生成リクエストを通信部33によりサーバ1に送信する(ステップS334)。例えば、制御部31は、コメントを生成するためのボタンのタッチ操作を入力部34により受け付けた場合、コメントの生成リクエストを生成する。生成リクエストには、学習者ID及び時系列の学習状況データが含まれる。制御部31は、生成したコメントの生成リクエストを通信部33によりサーバ1に送信する。
【0106】
サーバ1の制御部11は、指導者端末3から送信されたコメントの生成リクエストを通信部13により受信する(ステップS133)。制御部11は、受信した生成リクエストに含まれた学習者IDに基づいて、学習者の性格タイプを大容量記憶部17の学習者DB174から取得する(ステップS134)。制御部11は、取得した性格タイプに基づいてコメント推定モデル176を特定する(ステップS135)。具体的には、制御部11は、取得した性格タイプに基づいて、該当するコメント推定モデル176を大容量記憶部17の学習モデル管理DB173から取得して特定する。
【0107】
制御部11は、特定したコメント推定モデル176に、受信した生成リクエストに含まれた時系列の学習状況データを入力して、該学習状況データに対応する指導者のコメントを生成(推定)する(ステップS136)。制御部11は、生成した指導者のコメントを通信部13により指導者端末3に送信する(ステップS137)。指導者端末3の制御部31は、サーバ1から送信された指導者のコメントを通信部33により受信する(ステップS335)。制御部31は、受信した指導者のコメントを表示部35により表示し(ステップS336)、処理を終了する。
【0108】
本実施形態によると、学習者の時系列の学習状況データに基づき、コメント推定モデル176を用いて、該学習状況データに対応する指導者のコメントを生成することが可能となる。
【0109】
本実施形態によると、学習者の性格タイプ毎にコメント推定モデル176を作成することにより、性格タイプ毎に指導者のコメントを推定するため、適切なコメントの作成に役立つことが可能となる。
【0110】
本実施形態によると、学習状況データに対する複数のコメントの中の修正すべきコメントを出力することにより、適切なコメントの作成に役立つことが可能となる。
【0111】
本実施形態によると、指導者のコメントを自動的に生成することにより、指導者の作業負担を大幅に減ることが可能となる。
【0112】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0113】
1 情報処理装置(サーバ)
11 制御部
12 記憶部
13 通信部
14 入力部
15 表示部
16 読取部
17 大容量記憶部
171 妥当性推定モデル(第1学習モデル)
172 訓練データDB
173 学習モデル管理DB
174 学習者DB
175 コメントDB
176 コメント推定モデル(第2学習モデル)
1a 可搬型記憶媒体
1b 半導体メモリ
1P 制御プログラム
2 情報処理端末(学習者端末)
21 制御部
22 記憶部
23 通信部
24 入力部
25 表示部
2P 制御プログラム
3 情報処理端末(指導者端末)
31 制御部
32 記憶部
33 通信部
34 入力部
35 表示部
3P 制御プログラム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17