(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】椅子
(51)【国際特許分類】
A47C 7/40 20060101AFI20241217BHJP
【FI】
A47C7/40
(21)【出願番号】P 2021056199
(22)【出願日】2021-03-29
【審査請求日】2024-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000001351
【氏名又は名称】コクヨ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085338
【氏名又は名称】赤澤 一博
(72)【発明者】
【氏名】林 友彦
(72)【発明者】
【氏名】北條 英
【審査官】丸山 裕樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-087102(JP,A)
【文献】特開2018-057643(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 7/00- 7/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持部材に対して回転可能に支持された調整レバーを備えてなる椅子であって、
前記調整レバーが、一端部に使用者により把持されて回転操作力が加えられる操作部を備えたものであり、
前記操作部が、外方に開放された略円筒状をなす操作部本体と、この操作部本体の端部に設けられ前記操作部本体の中心部に向かって延びる目印部とを備え
たものであり、
前記目印部が、前記操作部本体の内周面から当該操作部本体の中心部に向かって突設された突出部であり、
前記操作部本体は、先端部分の外周面が先端に向かうに連れて漸次相寄る方向に位置するように構成されたものであり、
前記先端部分の外周面には、前記突出部に対応する位置に当該突出部の厚み寸法と略同じ幅寸法に設定された目印用の凹み部が形成されているとともにそれ以外の位置に軸心に沿って指滑り防止用の複数の溝が設けられている椅子。
【請求項2】
前記突出部が、前記調整レバーの長手方向に沿って延びてなる起立壁状をなしている請求項
1記載の椅子。
【請求項3】
前記突出部が、前記操作部本体における外方を向く端縁よりも外側又は前記端縁と略合致する位置に、外方を向く目印用の端面を備えている請求項
1又は
2記載の椅子。
【請求項4】
前記突出部が、軸心に向かって漸次幅狭になる形状部分を備えている請求項1、2
又は3記載の椅子。
【請求項5】
前記調整レバーが、前記操作部と、この操作部に軸心を合致させて連設され前記操作部から離れるにつれて外径寸法が短くなる形状をなす中間連結部と、この中間連結部に軸心を合致させて連設され前記支持部材に対して軸支される部位が設けられたレバー基軸部とを備えたものである請求項1、2、3
又は4記載の椅子。
【請求項6】
前記操作部、前記中間連結部、及び、前記レバー基軸部が合成樹脂により一体に形成されている請求項
5記載の椅子。
【請求項7】
前記支持部材が、脚の上に取り付けられ背凭れを後傾動作可能に支持し得る支持基部である請求項1、2、3、4、5
又は6記載の椅子。
【請求項8】
前記支持基部に、後傾動作し得る背凭れの反力を生じさせる反力発生部が設けられており、
前記調整レバーが、前記反力発生部に対して係わり合う反力調整レバーである請求項
7記載の椅子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、支持基部等の支持部材に対して回転可能に支持され、調整機構を操作し得る調整レバーを備えてなる椅子が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
従来の調整レバーには、その先端部が回転軸の軸心に対して交差する外方向に片持ち的に延出したようなものが存在している。ところが、このような調整レバーは、片持ち的に延出した部分に対して被服や身の回り品などの物品が引っ掛かりやすいという問題点や片持ち的に延出した部分が外力を受けた場合に壊れやすいという問題点を有している。
【0004】
一方で、従来の調整レバーには、先端部を比較的シンプルな円柱状にしているものも存在する。ところが、このような調整レバーでは、現状の回転姿勢がどのような状態にあるかを、使用者が一見しても簡単には把握できないものとなっている。調整レバーの外観に頼ることができない使用者は、実際に着座したり背凭れに凭れたりして、調整レバーの回転姿勢を体感によって大雑把に把握していたというのが実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上のような事情に着目してなされたものであり、少なくとも、複雑化が抑制された略円筒状の外形を有しつつ、回転姿勢を指標するインジケーター機能を好適に発揮し得る調整レバーを有してなる椅子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明は次の構成をなしている。
【0008】
請求項1に記載の発明は、支持部材に対して回転可能に支持された調整レバーを備えてなる椅子であって、前記調整レバーが、一端部に使用者により把持されて回転操作力が加えられる操作部を備えたものであり、前記操作部が、外方に開放された略円筒状をなす操作部本体と、この操作部本体の端部に設けられ前記操作部本体の中心部に向かって延びる目印部とを備えたものであり、前記目印部が、前記操作部本体の内周面から当該操作部本体の中心部に向かって突設された突出部であり、前記操作部本体は、先端部分の外周面が先端に向かうに連れて漸次相寄る方向に位置するように構成されたものであり、前記先端部分の外周面には、前記突出部に対応する位置に当該突出部の厚み寸法と略同じ幅寸法に設定された目印用の凹み部が形成されているとともにそれ以外の位置に軸心に沿って指滑り防止用の複数の溝が設けられている椅子である。
【0010】
請求項2に記載の発明は、前記突出部が、前記調整レバーの長手方向に沿って延びてなる起立壁状をなしている請求項1記載の椅子である。
【0011】
請求項3に記載の発明は、前記突出部が、前記操作部本体における外方を向く端縁よりも外側又は前記端縁と略合致する位置に、外方を向く目印用の端面を備えている請求項1又は2記載の椅子である。
【0012】
請求項4に記載の発明は、前記突出部が、軸心に向かって漸次幅狭になる形状部分を備えている請求項1、2又は3記載の椅子である。
【0014】
請求項5に記載の発明は、前記調整レバーが、前記操作部と、この操作部に軸心を合致させて連設され前記操作部から離れるにつれて外径寸法が短くなる形状をなす中間連結部と、この中間連結部に軸心を合致させて連設され前記支持部材に対して軸支される部位が設けられたレバー基軸部とを備えたものである請求項1、2、3又は4記載の椅子である。
【0015】
請求項6に記載の発明は、前記操作部、前記中間連結部、及び、前記レバー基軸部が合成樹脂により一体に形成されている請求項5記載の椅子である。
【0016】
請求項7に記載の発明は、前記支持部材が、脚の上に取り付けられ背凭れを後傾動作可能に支持し得る支持基部である請求項1、2、3、4、5又は6記載の椅子である。
【0017】
請求項8に記載の発明は、前記支持基部に、後傾動作し得る背凭れの反力を生じさせる反力発生部が設けられており、前記調整レバーが、前記反力発生部に対して係わり合う反力調整レバーである請求項7記載の椅子である。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように本発明によれば、少なくとも、複雑化が抑制された略円筒状の外形を有しつつ、回転姿勢を指標するインジケーター機能を好適に発揮し得る調整レバーを有してなる椅子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図12】同実施形態における調整レバー(反力調整レバー)の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態を、
図1~29を参照して説明する。
【0021】
この実施形態は、本発明を、オフィス等において好適に使用される事務用の回転椅子(以下、単に「椅子」という。)に適用したものである。
【0022】
椅子は、脚Aと、脚Aに対して旋回可能に支持された支持部材である支持基部Bと、支持基部Bの上に配された座Cと、支持基部Bに対して図示しない背支持体を介して後傾動作可能に支持された背凭れEと、背凭れEに対して選択的に装着されるオプションである背凭れ面拡張部材F及びハンガーGを備えたものである。
【0023】
<<脚A>>
脚Aは、先端にキャスタa11を有し放射状に配置された複数本の脚羽根a1と、脚羽根a1の基端部に立設された脚支柱a2とを備えたものである。
【0024】
脚支柱a2は、上下方向に伸縮可能に構成されている。脚支柱a2は、図示しないガススプリングにより支持基部Bを上下位置変更可能に支持し得るものとなっている。
【0025】
<<支持基部B>>
支持基部Bは、合成樹脂により一体に形成された支持基部本体1を主体に構成されたものである。支持基部Bは、脚Aの上に取り付けられている。
【0026】
<支持基部本体1>
支持基部本体1は、下向面を有し脚支柱a2に取り付けられた基礎底部構造体11と、斜め後下方を向く下向面を有し基礎底部構造体11の前端部から斜め下前方に向かって延設された後傾姿勢をなす傾斜底壁12と、下向面を有し傾斜底壁12の前端部から前方に延設され前方に向かうに連れて漸次上方に位置するように傾斜した姿勢をなす前底壁13と、基礎底部構造体11、傾斜底壁12、及び、前底壁13の左右両端部からそれぞれ上方に延設された起立姿勢をなす左右の側壁14と、左右の側壁14の前端部間を繋ぐ起立姿勢をなす前壁15を備えている。
【0027】
支持基部本体1の内部には、後傾動作し得る背凭れEの反力を生じさせるための図示しない反力発生部が配設されている。反力発生部は、支持基部Bに枢支された反力調整レバーKと支持基部Bに枢支されるとともに背凭れEに連結された図示しない背支持体との間に介設されたものである。反力発生部は、ばね材を主体に構成されている。
【0028】
支持基部Bには、背凭れEの反力を調整するための調整レバーたる反力調整レバーKが回転可能に支持されている。
【0029】
<<反力調整レバーK>>
反力調整レバーKは、支持基部1に対して回転可能に支持されている。反力調整レバーKは、左右方向に長手をなすように支持基部1に枢支されている。反力調整レバーKは、使用者の手によって回転操作され、回転に伴わせて反力発生部を構成するばね材の圧縮度合いを調整し得るものである。
【0030】
反力調整レバーKは、一端部たる先端部に設けられ使用者により把持されて回転操作力が加えられる操作部k1と、操作部k1に軸心jsを合致させて連設され操作部k1から離れるにつれて外径寸法が短くなる形状をなす中間連結部k2と、中間連結部k2に軸心jsを合致させて連設され支持基部本体1に対して軸支される部位である被保持軸部分k31が設けられたレバー基軸部k3とを備えたものである。
【0031】
反力調整レバーKを構成する操作部k1、中間連結部k2、及び、レバー基軸部k3は合成樹脂により一体に形成されている。
【0032】
<操作部k1>
操作部k1は、外方に開放された略円筒状をなす操作部本体k11と、操作部本体k11の端部に設けられ操作部本体k11の中心部に向かって延びる目印部である突出部k12とを備えたものである。突出部k12は、操作部本体k11の内周面から当該操作部本体k11の中心部に向かって突設された単一のものである。
【0033】
[操作部本体k11]
操作部本体k11は、内部に略円柱状の空間部s1を形成し得るものである。操作部本体k11は、その先端部分k111の外周面が先端に向かうに連れて漸次相寄る方向に位置するように構成されている。また、操作部本体k11における先端部分k111の外周面には、軸心jsに沿って指滑り防止用の複数の溝k112が設けられている。
【0034】
突出部k12に対応する操作部本体k11の先端部分k111における外周面には、突出部k12の厚み寸法と略同じ幅寸法に設定された目印用の凹み部k114が形成されている。すなわち、凹み部k114は、突出部k12が突設された操作部本体k11における内周面の真裏側に位置する先端部分k111の外周面に設けられている。
【0035】
[突出部k12]
突出部k12は、操作部本体k11の内周面から軸心jsに向かって突設されている。突出部k12は、反力調整レバーKの長手方向に沿って延びてなる起立壁状をなしている。突出部k12は、軸心js方向から見た場合に、軸心jsに向かって漸次幅狭になる形状部分たる先端部k121を備えている。この実施形態では、漸次幅狭になる形状部分は突出部k12の先端部k121にのみ有している。より具体的に言えば、突出部k12の先端部k121は、側面視において半円弧状をなしている。
【0036】
突出部k12は、操作部本体k11における外方を向く端縁、すなわち、操作部本体k11の開口縁k113よりも外側に、外方を向く目印用の端面k122を備えている。
【0037】
<中間連結部k2>
中間連結部k2は、操作部k1を有する側からレバー基軸部k3を有する側に向かって漸次外径寸法が短くなる形状をなしている。すなわち、中間連結部k2は、操作部k1とレバー基軸部k3との間に介設された部分円錐状の形状をなしたものである。
【0038】
中間連結部k2の内部には、操作部本体k11の円柱状の空間部s1に連続する略円錐状の奥空間部s2を形成している。中間連結部k2における先端側部分の内周面すなわち操作部k1側の内周面には操作部本体k11に設けられた突出部k12が連設されている。
【0039】
<レバー基軸部k3>
レバー基軸部k3は、中間連結部k2に軸心jsを合致させて連設され支持基部Bに対して軸支される部位である被保持軸部分k31と、支持基部Bに設けられた図示しない回転範囲規制用の突起に係合し得る係合凸部k32と、支持基部Bの内部に配された図示しない反力発生部に対して係合し得るカム部分k33とを備えている。
【0040】
被保持軸部分k31は、レバー基軸部k3に複数配設されている。レバー基軸部k3に配された複数の被保持軸部分k31の内、基端の被保持軸部分k31の径が最も小さく、先端側(操作部k1側)の被保持軸部分k31が最も大きく設定されている。換言すれば、レバー基軸部k3は、基端から先端側に向かって径の大きさの異なる複数の被保持軸部分k31が配設されており、先端側の方が基端側の方よりも径が大きく設定されている。
【0041】
係合凸部k32は、レバー基軸部k3の左右二箇所に離間して配設されている。係合凸部k32は、支持基部Bに設けられた図示しない回転範囲規制用の突起に係合することにより、使用者の操作力を受ける反力調整レバーKの軸心js回りの回転可能範囲を規制し得るものとなっている。
【0042】
カム部分k31は、レバー基軸部k3の左右二箇所に離間して配設されている。
【0043】
<<座C>>
座Cは、座受c1と、座受c1上に前後位置を変更可能に設けられた座本体c2とを備えたものである。
【0044】
座受c1の下部には、図示しないガススプリングに作用し、脚支柱a2を上下方向に伸縮操作し得る操作片Lがフラップ動作可能に枢支されている。
【0045】
座本体c2は、座受c1に対して前後方向にスライド移動し得るように構成されている。
【0046】
<<背支持体>>
図示しない背支持体は、支持基部Bと背凭れEの間に介設されている。背支持体は、前後方向に延びてなり図示しない主軸を介して支持基部本体1に枢支された左右一対のアームと、左右一対のアームの後部間を結合する結合部材とを備えている。結合部材には、背凭れEを取り付けるためのねじが螺着されるナット部が設けられている。換言すれば、背支持体の後部には、背凭れEが取り付けられる背凭れ取付部が設けられている。
【0047】
背支持体には、背凭れEの後傾度合いを選択的に設定し得る後傾度合設定レバーHが回転可能に支持されている。
【0048】
背支持体は、合成樹脂により一体形成されたカバー体Iにより覆い隠されたものとなっている。
【0049】
<<背凭れE>>
背凭れEは、背支持体の背凭れ取付部に取り付けられた背フレームMと、背フレームMに張り設けられたメッシュ状の張り部材Pとを備えてなる。背凭れEは、メッシュ状の生地を主体にして構成された張り部材Pにより、着座者の背中を後方から受け止める背凭れ面pmが構成されたものとなっている。
【0050】
この実施形態の椅子は、背凭れEの上枠材3に対して、オプションである背凭れ面拡張部材FやハンガーGを選択的に取り付け可能に構成されている。
【0051】
<背フレームM>
背フレームMは、外側方に開口した張り部材取付溝mzを有した左右の側枠材2と、上方に開口した張り部材取付溝mzを有し左右の側枠材2の上部間を連結する上枠材3と、左右の側枠材2の下部間を連結する下枠材4と、下方に開口した張り部材取付溝mzを有し上枠材3との間に上の空洞saを形成するとともに下枠材4との間に下の空洞sbを形成した状態で左右の側枠材2同士を連結する中間連結枠材5とを有したものである。
【0052】
左右の側枠材2、上枠材3、及び、下枠材4は、合成樹脂により一体に成型されている。中間連結枠材5は、左右の側枠材2に対してねじにより取り付けられるものとなっている。
【0053】
背フレームMは、左右の側枠材2と上枠材3と中間連結枠材5とによって内部に上の空洞saを形成した上の枠状部w1と、左右の側枠材2と下枠材4と中間連結枠材5とによって内部に下の空洞sbを形成した下の枠状部w2とを備えている。
【0054】
この実施形態における背凭れEは、背フレームMに設けられた枠状部たる上の枠状部w1に対して背凭れ面pmを構成し得る張り部材Pが張設されたものとなっている。
【0055】
[左右の側枠材2]
左右の側枠材2は上下方向に延びてなるものである。左右の側枠材2の外側面には、当該側枠材の上端から中間連結枠材5の下縁に略対応する高さ位置まで連続する張り部材取付溝mzが形成されている。
【0056】
[上枠材3]
上枠材3は左右方向に延びてなるものである。上枠材3は、張り部材Pを取り付けるための上方に開放された張り部材取付溝mzが形成された外枠部分31と、外枠部分31の下に配された内枠部分32とを備えている。上枠材3には、詳しくは後述するように、オプションを取り付けるためのナット部材Jが保持され得るナット保持凹所ntが設けられている。
【0057】
外枠部分31は、上枠材3の上部分を構成するものである。外枠部分31の前面は、張り部材Pの背面に添接する部分すなわち張り部材Pの裏当てをする部分をなしている。
【0058】
内枠部分32は、上枠材3の下部分を構成するものである。内枠部分32は、外枠部分31よりも内側に位置している。すなわち、内枠部分32は、正面視において張り部材Pにより覆われる箇所に設けられている。
【0059】
内枠部分32は、外枠部分31の後部から下方に垂下するように設けられた垂下壁321と、垂下壁321の下端部から前方に延設された下端壁322と、下端壁322と外枠部分31との間、及び、下端壁322と垂下壁321との間を繋ぐ起立壁状をなす複数の連結壁323を備えている。
【0060】
垂下壁321の背面は、外枠部分31の背面と略面一をなしている。下端壁322は、外枠部分31に対して上下方向に離間して設けられている。連結壁323は、下端壁322と外枠部分31との連結強度を高めるためのものであり、左右方向に一定の間隔を空けて複数設けられている。
【0061】
内枠部分32には、上方に開放された上開放部kh1、下方に開放された下開放部kh2、及び、前方に開放された前開放部kh3が形成されてなりナット部材Jを保持し得るナット保持凹所ntが設けられている。ナット保持凹所ntは、内枠部分32の複数箇所に設けられている。
【0062】
ナット保持凹所ntは、内枠部分32の下端壁322に設けられている。ナット保持凹所ntは左右の起立壁状部nt1と、左右の起立壁状部nt1の後部間を繋ぐ後の起立壁状部nt2とを有したものである。ナット保持凹所ntは、底面視において前方に開放された略U字孔状をなしている。
【0063】
ナット保持凹所ntは、左右の起立壁状部nt1、及び、後の起立壁状部nt2によって、上方に開放された上開放部kh1、下方に開放された下開放部kh2、及び、前方に開放された前開放部kh3が形成されたものとなっている。
【0064】
また、ナット保持凹所ntは、左右の起立壁状部nt1の上端縁、及び、後の起立壁状部nt2の上端縁によって、上開放部kh1を形成し得る部分をなしているとともにナット部材Jの鍔部j2の下面と係合し得る部分である鍔部係合部分nt3をなしている。
【0065】
ナット保持凹所ntは、外枠部分31との間にナット部材Jの鍔部j2を収容し得る隙間skが形成されている。
【0066】
この実施形態では、内枠部分32には、左右方向に間隔を空けて四ケ所にナット保持凹所ntが設けられている。左右の両外側に位置する一対のナット保持凹所ntは背凭れ面pmを拡張するための背凭れ面拡張部材Fを取り付ける場合に使用されるものであり、左右の両内側に位置する一対のナット保持凹所ntは、被服を掛けるためのハンガーGを取り付ける場合に使用されるものとなっている。
【0067】
ナット保持凹所ntに保持されるナット部材Jは、金属製のものである。ナット部材Jは、ナット保持凹所ntにおける囲まれた空間内に収容され内周面にねじ溝j11が設けられたボス部j1と、ボス部j1の上に連設され下面が上開放部kh1を形成する部分たる鍔部係合部分nt3に係合し得る鍔部j2とを備えたものである。
【0068】
ナット部材Jは、略T字状の形態をなしている。すなわち、鍔部j2は、略円筒状をなすボス部j1の上端部から左右方向外側に長手をなすように延設されたものとなっている。
【0069】
なお、背凭れEに設けられたナット保持凹所ntにナット部材Jを保持させて、オプションである背凭れ面拡張部材F、及び、オプションであるハンガーGを取り付ける方法については、後で詳述するものとする。
【0070】
[下枠材4]
下枠材4は、左右の側枠材2の下部間を繋ぐとともに背支持体に連結する部分を有している。下枠材4には、背支持体に設けられた背凭れ取付部に外嵌して連結するための前方に開放された凹陥状の背支持体連結部41が設けられている。
【0071】
[中間連結枠材5]
中間連結枠材5は、左右方向に延びてなるものである。中間連結枠材5は、左右の側枠材2における側面視において前傾した部位間に架設されている。中間連結枠材5は、背フレームMを構成する他の枠材すなわち左右の側枠材2、上枠材3、及び、下枠材4とは別体をなしている。
【0072】
中間連結枠材5の左右両端部は、それぞれ左右の側枠材2に対してねじ止めされるようになっている。中間連結枠材5は、平面視において後方に向けて凸をなすように湾曲した形状をなしている。中間連結枠材5には、下方に開口した張り部材取付溝mzが形成されている。
【0073】
<張り部材P>
張り部材Pは、背凭れ面pmを形成し得るメッシュ状の生地を主体に構成されたものである。
【0074】
張り部材Pは、その周縁部が背フレームMにおける上の枠状部w1に設けられた張り部材取付溝mzに取り付けられるものとなっている。張り部材Pは、背フレームMにおける上の枠状部w1の前面側に張設されている。
【0075】
<<背凭れ面拡張部材F>>
背凭れ面拡張部材Fは、背凭れEによって形成された背凭れ面pmの上に、別途、使用者に当接し得る当接面たる拡張背凭れ面fmを設けるためのものである。この実施形態の背凭れ面拡張部材Fは、拡張背凭れ面fmに対して主に使用者の肩部が当接し得るため、「ショルダーサポート」と称される。
【0076】
背凭れ面拡張部材Fは、前面を使用者に当接し得る当接面である拡張背凭れ面fmとしたパッド体f1と、パッド体f1を支持し得るベース体f2とを備えたものである。
【0077】
背凭れ面拡張部材Fは、ベース体f2の下部とパッド体f1の下端部との間に、前方及び左右両側方に開放された上枠材配設凹部fuが形成されている。
【0078】
背凭れ面拡張部材Fには、上枠材配設凹部fuを臨む位置に、背凭れEにおける上枠材3の後側に位置し当該上枠材3の後部と係合することにより前方への移動を規制し得る移動規制部ksが設けられている。
【0079】
<パッド体f1>
パッド体f1は、ベース体f2に設けられたパッド体取付部f6に対して取り付けられるパッド体本体f3と、パッド体本体f3の前面部及び周縁部を被覆する前表皮材f4とを備えている。
【0080】
パッド体f1は、正面視において左右方向に長手をなした略矩形状をなしている。パッド体f1は、正面視において左右に略対称の形状をなしている。パッド体f1の左右両側部の端縁は正面視において外側方に向かって凸をなすように緩やかに湾曲したものとなっている。パッド体f1の前面である拡張背凭れ面fmは、張り部材Pにより構成された背凭れ面pmと略面一をなすように設定されている。
【0081】
パッド体f1における上下方向の寸法は、ベース体f2における上下方向の寸法よりも短くなっている。パッド体f1における上縁部の位置は、ベース体f2における上縁部の位置と略合致させてある。パッド体f1の正面視における側縁部の形状は、ベース体f2における同一高さ位置の側縁部の形状と略合致させてある。パッド体f1における下端縁は、上枠材3に対して略当接する位置に設定されている。
【0082】
[パッド体本体f3]
パッド体本体f3は、合成樹脂により形成された略起立板状をなすパッドベースf31と、パッドベースf31の前面に取り付けられた発泡ウレタン製のクッションf32とを備えたものである。
【0083】
パッドベースf31における背面側の上下方向中央部には、左右方向に離間させて一対の係合部たるフック係合部f311が設けられている。フック係合部f311は、上下方向に開放された係合孔f314を形成したものである。
【0084】
フック係合部f311は、後方に突設された左右の突出壁f312と、左右の突出壁f312の後部間を繋ぐ連結壁f313によって、上下方向に貫通した係合孔f314を形成している。フック係合部f311は、ベース体f2のパッド体取付部f6に突設された係合部たるフックf61が、係合孔f314内に挿入されることによりベース体f2に対して係合し得るものとなっている。
【0085】
パッドベースf31における背面側の下部には、左右及び中央部の三箇所に係合部たる左右の嵌合突起f315及び中央の嵌合突起f316が設けられている。各嵌合突起f315、f316は、後方に突設された略矢印形状のものである。各嵌合突起f315、f316は、ベース体f2のパッド体取付部f6に設けられた係合部たる突起嵌合部f62に係合し得るものとなっている。 なお、左右の嵌合突起f315の姿勢は、中央の嵌合突起f316の姿勢と異なった姿勢に設定されている。より具体的に言えば、左右の嵌合突起f315の姿勢は、中央の嵌合突起f316の姿勢に対して背面視において90度回転した姿勢に設定されている。
【0086】
[前表皮材f4]
前表皮材f4は、パッド体本体f3の前面部よりも大きな面積を有する生地により構成されている。前表皮材f4の端縁部分f4eは、パッド体本体f3とベース体f2との間に、外部から視認されないように収容され得るものとなっている。前表皮材f4は、張り部材Pの背凭れ面pmの上に設けられる拡張背凭れ面fmを構成し得るものである。
【0087】
<ベース体f2>
ベース体f2は、略起立板状をなすベース板状部f5と、ベース板状部f5の前面側に設けられパッド体f1が取り付けられるパッド体取付部f6と、パッド体取付部f6よりも下に設けられ上枠材3に対して止着具であるねじv1を用いて取り付けられる上枠材取付部f7と、ベース板状部f5の周縁部及び後面部を被覆する後表皮材f9とを備えたものである。
【0088】
ベース体f2を構成しているベース板状部f5、パッド体取付部f6、及び、上枠材取付部f7は、合成樹脂により一体に形成されている。
【0089】
なお、この実施形態における背凭れ面拡張部材Fは、背面視において、ベース体f2のベース板状部f5を被覆する後表皮材f9のみが視認され得るように構成されている。つまり、背凭れ面拡張部材Fは、背面視において後表皮材f9以外の部材が視認されないように構成されている。
【0090】
[ベース板状部f5]
ベース板状部f5は、背面視において左右方向に長手をなした略矩形状をなしている。ベース板状部f5の左右両側部の端縁は背面視おいて外側方に向かって凸をなすように緩やかに湾曲したものとなっている。ベース板状部f5の後面部は、後表皮材f9により覆われるようになっている。
【0091】
ベース板状部f5の前面側には、先端部がパッドベースf31の背面に当接し得る左右方向に延びた上の横リブf52と、先端部がパッドベースf31の背面に当接し得る上下方向に延びた複数の縦リブf53とを備えている。複数の縦リブf53は、左右方向に間隔を空けて配されている。ベース板状部f5における前面側の下部には先端部が背凭れEの上枠材3に当接し得る左右方向に延びた下の横リブf54が設けられている。
【0092】
この実施形態では、上枠材3の後に位置する部材、すなわち、下の横リブf54の先端部、及び、下の横リブf54の下に位置する縦リブf53の先端部を主体として、上枠材3の背面と係合することにより背凭れ面拡張部材Fの前方への移動を規制し得る移動規制部ksを構成している。
【0093】
[パッド体取付部f6]
パッド体取付部f6は、パッドベースf31のフック係合部f311に対応する位置に突設されたフックf61と、パッドベースf31の左右及び中央の嵌合突起f316に対応する位置に突設された突起嵌合部f62とを備えている。
【0094】
パッド体f1は、パッド体取付部f6に設けられたフックf61に対してフック係合部f311を係わり合わせた上で、左右及び中央の嵌合突起f315、f316をパッド体取付部f6に設けられた突起嵌合部f62に嵌合させることにより、ベース体f2に対して取り付けられるようになっている。
【0095】
[上枠材取付部f7]
上枠材取付部f7は、ベース板状部f5の下端部から前方に突出した部分を主体に構成されている。上枠材取付部f7は、左右方向に延びてなり上枠材3の取付台座面となる上向面f71を有している。
【0096】
上枠材取付部f7には、左右の二箇所に上下方向に貫通したねじ挿通孔h1が設けられている。背凭れ面拡張部材Fは、ねじ挿通孔h1に挿通されたねじv1を上枠材3におけるナット保持凹所ntに配設されたナット部材Jに螺着することにより、上枠材3に対して取り付けられるように構成されている。
【0097】
上枠材取付部f7は、ねじ挿通孔h1が形成された部分に対応する前部の上端部に、上枠材3に設けられたナット保持凹所ntの前開放部kh3に位置し得る凸壁部f72が設けられている。
【0098】
ベース体f2の下部、すなわち、上枠材取付部f7とベース板状部f5の間には、下方及び外側方に開放され、後表皮材f9の端縁部分f9eを収容し得る収容溝f8が形成されている。上枠材取付部f7における両側部の後端部には、ベース板状部f5の周縁部との間に収容溝f8を形成するための溝形成壁f73が立設されている。
【0099】
なお、溝形成壁f73の前面は、上枠材3の背面に当接し得るものであり、背凭れ面拡張部材Fの前方への移動を規制し得る移動規制部ksを兼ねたものとなっている。
【0100】
[後表皮材f9]
後表皮材f9は、ベース板状部f5の後面部よりも大きな面積を有する生地により構成されている。後表皮材f9の端縁部分f9eは、ベース板状部f5とパッド体f1との間に収容され得るとともにベース板状部f5における下部の周縁部と上枠材取付部f7との間に設けられた収容溝f8に収容され得るものとなっている。
【0101】
<<ハンガーG>>
ハンガーGは、使用者の被服等を掛け留めるためのものである。ハンガーGは、背フレームMの上枠材3に取り付けられている。
【0102】
ハンガーGは、被服等を掛けるための左右方向に延びたハンガー本体g1と、ハンガー本体g1の下面から下方に延びるとともに下部において前方に延びてなる左右一対のハンガー脚g2と、左右のハンガー脚g2の下端部間を繋ぐとともに上枠材3に取り付けられる上枠材取付部g7が設けられたベース部g3とを備えたものである。
【0103】
ベース部gは、上枠材取付部g7が設けられたベース部本体g4と、ベース部本体g4の後部に立設され上枠材3の背面に係合し得る移動規制部ksたる起立壁g5とを備えている。
【0104】
上枠材取付部g7は、左右方向に延びてなり上枠材3の取付台座面となる上向面g71を有している。
【0105】
上枠材取付部g7には、左右の二箇所に上下方向に貫通したねじ挿通孔h2が設けられている。ハンガーGは、ねじ挿通孔h2に挿通されたねじv2を上枠材3におけるナット保持凹所ntに配設されたナット部材Jに螺着することにより、上枠材3に対して取り付けられるように構成されている。
【0106】
上枠材取付部g7は、ねじ挿通孔h2が形成された部分に対応する前部の上端部に、上枠材3に設けられたナット保持凹所ntの前開放部kh3に位置し得る凸壁部g72が設けられている。
【0107】
<<オプション(背凭れ面拡張部材F)の取り付け方法>>
本実施形態の椅子は、背凭れEに対して、オプションを取り付け易い取付構造が適用されている。以下、背凭れEの上枠材3に対するオプションの取り付け方法について、背凭れ面拡張部材Fを具体例にして説明する。
【0108】
まず、上枠材3に設けられた前方に開放されたナット保持凹所ntに対してナット部材Jを保持させるようにする。背フレームMにおける上の枠状部w1の前面側には、あらかじめ張り部材Pが張り設けられている。
【0109】
作業者は、略T字状をなすナット部材Jを、上の枠状部w1に囲われた上側の空洞saを後側から前側に向かって通過させた後に、当該ナット部材Jを前方に開放されたナット保持凹所ntに保持させる作業を行う。
【0110】
ナット部材Jのボス部j1は、前開放部kh3を通じてナット保持凹所nt内に収容されるものとなっている。ナット部材Jの鍔部j2はナット保持凹所ntと外枠部分31との間の隙間skに収容されるものとなっている。ナット部材Jの鍔部j2は、ナット保持凹所ntにおける上開放部kh1を形成する部分である鍔部係合部分nt3に係わり合い、下方に移動できないことになる。つまり、ナット部材Jは、ボス部j1がナット保持凹所nt内に収容されるとともに鍔部j2が隙間skに配されることにより、上枠材3に対して仮配置されるものとなる。
【0111】
次いで、背凭れ面拡張部材Fを後方から前方に移動させて、上枠材配設凹部fuが上枠材3を囲む位置に配設する。
【0112】
その後、背凭れ面拡張部材Fの上枠材取付部f7に設けられたねじ挿通孔h1に下側から上側に向かってねじv1を挿通し、そのねじv1をナット部材Jのボス部j1に対して螺着する。ねじv1をナット部材Jに螺合させることにより、背凭れ面拡張部材Fの上枠材取付部f7と上枠材3の内枠部分32とが緊締されることになる。
【0113】
以上の取り付け方法により、背凭れEの上枠材3に対して背凭れ面拡張部材Fを取り付け得るものとなっている。
【0114】
上枠材3に設けられたナット保持凹所ntは前方及び上下方向に開放された形状をなしているため、作業者によってナット部材Jを装着し易い(仮配置しやすい)形状をなしている。作業者は、張り部材Pにより覆われて視認し難い状態のナット保持凹所ntを緻密に確認しなくても、背凭れEの背面側から上枠材3の内枠部分32を手探りするだけで、ナット部材Jを当該ナット保持凹所ntに対して適切に保持させることができるものとなっている。
【0115】
また、背凭れ面拡張部材Fには、前方への移動を規制し得る移動規制部ksが設けられている。このため、仮に、背凭れ面拡張部材Fが前方に押圧された場合であっても、ナット部材Jが、前側に開放されたナット保持凹所ntから前方に移動し得ないものとなっている。
【0116】
上述した実施形態であれば、複雑化が抑制された略円筒状の外形の操作部本体k11を有しつつ、突出部k12によって回転姿勢を指標するインジケーター機能を好適に発揮し得る反力調整レバーKを有してなる椅子を提供することができる。
【0117】
また、上述した実施形態であれば、上下及び前方に開放されたナット保持凹所ntにナット部材Jを保持させることができるので背凭れEに対して背凭れ面拡張部材F等のオプションを取り付け得る好適な構成を有した椅子を提供することができるものとなる。
【0118】
また、上述した実施形態であれば、背凭れEの上枠材3に背凭れ面拡張部材Fが取り付けられている。背凭れ面拡張部材Fは、背面視において、ベース板状部f5を被覆する後表皮材f9のみが視認され得るように構成されているため、後表皮材f9に基づいた背面視における好適な外観を発揮し得るものとなっている。
【0119】
以上説明したように、本実施形態に係る椅子は、支持部材である支持基部Bに対して回転可能に支持された調整レバーである反力調整レバーKを備えたものである。
【0120】
そして、反力調整レバーKが、一端部に使用者により把持されて回転操作力が加えられる操作部k1を備えている。操作部k1は、外方に開放された略円筒状をなす操作部本体k11と、操作部本体k11の内周面から当該操作部本体k11の中心部に向かって突設された突出部k12とを備えている。
【0121】
このため、複雑化が抑制された略円筒状の外形を有しつつ、回転姿勢を指標するインジケーター機能を好適に発揮し得る反力調整レバーKを有してなる椅子を提供することができるものとなる。
【0122】
つまり、操作部k1は、外方に開放された略円筒状をなす操作部本体k11を備えている。このため、操作部k1は、被服や身の回り品などの物品が引っ掛かり難いだけでなく外力を受けた場合であっても壊れにくい好適な構成を備えたものとなっている。
【0123】
しかも、操作部本体k11の内周面から操作部本体k11の中心部に向かって突出部k12が突設されているため、現状の回転姿勢がどのような状態にあるかを、使用者が視覚的に簡単に把握できるものとなっている。
【0124】
換言すれば、この実施形態の椅子に設けられた反力調整レバーKであれば、使用者は、実際に着座しつつ背凭れEに凭れるという行為をする前に、反力調整レバーKの突出部k12の位置を視認することによって、当該反力調整レバーKの回転姿勢を容易に把握することができるものとなっている。
【0125】
突出部k12が、反力調整レバーKの長手方向に沿って延びてなる起立壁状をなしている。
【0126】
このため、突出部k12は、操作部本体k11に対して壊れにくい態様で好適に設けられたものとなっている。
【0127】
突出部k12が、操作部本体k11における外方を向く端縁よりも外側の位置に、外方を向く目印用の端面k122を備えている。
【0128】
このため、突出部k12の端面k122は、使用者に対して視認し易いものとなっており、反力調整レバーKの回転姿勢を使用者に対して好適に把握させ得るものとなっている。
【0129】
突出部k12が、軸心js方向から見た場合に、軸心jsに向かって漸次幅狭になる形状部分を備えている。
【0130】
このため、突出部k12の形態が、反力調整レバーKの回転姿勢を指標するための違和感の無い好適な形態をなしたものとなっている。
【0131】
突出部k12に対応する操作部本体k11における外周面に、突出部k12の厚み寸法と略同じ幅寸法に設定された目印用の凹み部k114が形成されている。
【0132】
このため、突出部k12だけでなく、凹み部k114が使用者の注意を向ける位置として協働するものとなり、使用者に対して、反力調整レバーKの回転姿勢をより一層好適に指標し得るものとなっている。
【0133】
反力調整レバーKが、操作部k1と、操作部k1に軸心jsを合致させて連設され操作部k1から離れるにつれて外径寸法が短くなる形状をなす中間連結部k2と、中間連結部k2に軸心jsを合致させて連設され支持部材である支持基部Bに対して軸支される部位が設けられたレバー基軸部k3とを備えたものである。
【0134】
このため、反力調整レバーKは、使用者が操作部k1を軽快に回転操作し得る好適な構成をなしているとともに支持基部Bに対して回転可能に支持され得る好適な構成を備えたものとなっている。
【0135】
操作部k1、中間連結部k2、及び、レバー基軸部k3が合成樹脂により一体に形成されている。
【0136】
このため、操作部k1を好適に形成し得るとともに反力調整レバーKを構成する部品点数を好適に減少させ得るものとなっている。
【0137】
支持基部Bに、後傾動作し得る背凭れEの反力を生じさせる反力発生部が設けられており、反力調整レバーKが、反力発生部に対して係わり合うものである。
【0138】
このため、使用者によって操作されやすい反力調整レバーKに対して、回転姿勢を指標するインジケーター機能を付与したものとなっている。
【0139】
なお、本発明は、以上に詳述した実施形態に限られるものではない。
【0140】
調整レバーは、椅子を構成する支持部材に対して回転可能に支持されるものであれば、どのような用途に使用されるものであっても構わない。
【0141】
支持部材は、支持基部を構成するものに限られるものではなく、座や背支持体や背凭れ等、椅子を構成するものであればよい。
【0142】
突出部は、操作部本体の内周面から突設されたものであればよく、その形状は種々の形状を採り得るものである。
【0143】
突出部に設けられた外方を向く目印用の端面は、操作部本体の開口縁と略合致する位置に配されたものであってもよい。
【0144】
調整レバーは、操作部、中間連結部、及び、レバー基軸部が合成樹脂により一体に形成されていないものであってもよい。
【0145】
調整レバーは、操作部とそれ以外の部分とが別体に構成されているものであってもよい。
【0146】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0147】
B…支持基部(支持部材)
K…反力調整レバー(調整レバー)
k1…操作部
k11…操作部本体
k12…突出部