(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】フットガードおよび装置
(51)【国際特許分類】
G07F 9/10 20060101AFI20241217BHJP
G07D 11/40 20190101ALI20241217BHJP
【FI】
G07F9/10 A
G07D11/40
(21)【出願番号】P 2021058139
(22)【出願日】2021-03-30
【審査請求日】2023-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129067
【氏名又は名称】町田 能章
(74)【代理人】
【識別番号】100183162
【氏名又は名称】大塚 義文
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】関 伸繁
【審査官】小島 哲次
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3035852(JP,U)
【文献】登録実用新案第3178604(JP,U)
【文献】特開2006-012102(JP,A)
【文献】特開2020-017161(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07F 5/00- 9/10
G07D 1/00- 3/16
G07D 9/00-13/00
G07F 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置の底面と床面との間に形成される空間に物体が侵入するのを防止するフットガードであって、
前記装置は、前面および
前記装置の前面端部より奥側の所定位置から奥行方向を前記装置の外装の壁部によって覆われる一対の側面を有しており、
前記装置の前面の下側の領域を閉塞する前面ガード部と、
前記装置の各々の前記側面の下側の領域を閉塞する一対の側面ガード部と、を備え、
前記一対の側面ガード部の一方または双方は、前記装置の奥行方向において閉塞する範囲
と閉塞しない範囲とを調整できる機能を有
し、前記閉塞しない範囲は前記側面の前記壁部によって覆われる部分に含まれる、
ことを特徴とするフットガード。
【請求項2】
前記側面ガード部は、
奥行方向の中途で分離できる構造を有し、
前記調整は、前記側面ガード部の奥側を分離し前記装置に取り付けないことにより行う、
ことを特徴とする請求項1に記載のフットガード。
【請求項3】
前記側面ガード部は、
上部の奥行方向全体にわたり前記装置に取り付けるための取付部を有する、
ことを特徴とする請求項2に記載のフットガード。
【請求項4】
前記取付部は、前記側面ガード部に固定された磁石で構成される、
ことを特徴とする請求項
3に記載のフットガード。
【請求項5】
前記磁石は、分離した前記側面ガード部のそれぞれが有する状態となる位置に固定される、
ことを特徴とする請求項4に記載のフットガード。
【請求項6】
前記分離は、前記側面ガード部の奥行方向の中途での切り離しであり、
前記側面ガード部は、切り離しを行うための連続孔を有する、
ことを特徴とする請求項5に記載のフットガード。
【請求項7】
前記連続孔は、側面ガード部の前記壁部に覆われる範囲に設けられる、
ことを特徴とする請求項6に記載のフットガード。
【請求項8】
請求項1ないし請求項6の何れか一項に記載のフットガードを装着し
、
装置の前面端部より奥側の所定位置から奥行方向の側面および装着した前記フットガードを覆う壁部を備えた外装を装着した装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フットガードおよび装置に関する。
【背景技術】
【0002】
金融機関や流通機関等には、例えば、現金自動預け払い機(ATM:Automated Teller Machine)や券売機などの自動取引装置が設置されている。自動取引装置等のような装置は、自立できるように脚部を備え、装置の底面と床面との空間を覆う部材(「フットガード」などとも呼ばれる)を設けるのが一般的である(例えば、特許文献1参照)。また、自動取引装置等の装置には、ブースと呼ばれる外装が取り付けられることもある。ブースは、設置される場所に応じた様々な機能(例えば、装飾機能、防犯機能、広告機能など)を提供するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ブース内の床には施工不良等によって突起が形成される場合があり、この突起によりフットガードを正しく設置できないという問題がある。つまり、突起によってフットガードが床に密着せず、フットガードと床との間に隙間が生じてしまう。この問題は、施工不良等によって発生する突起に限らず、例えば装置に接続するケーブル等によっても同様の問題が生じ得る。フットガードと床との間に隙間があると、利用者が落とした物(例えば、硬貨やカードなど)がこの隙間から装置の下に入り込んでしまうと取り出すのが難しくなる。その結果、物を落とした利用者は不満に感じることがあり、また、利用者自身では解決できない場合、装置の管理者が対応を行うことになるが非常に手間である。
【0005】
本発明は、前記問題に鑑みてなされたものであり、床との間に隙間が生じるのを抑制できるフットガードおよび装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明の一態様に係るフットガードは、装置の底面と床面との間に形成される空間に物体が侵入するのを防止するフットガードであって、前記装置は、前面および前記装置の前面端部より奥側の所定位置から奥行方向を前記装置の外装の壁部によって覆われる一対の側面を有しており、前記装置の前面の下側の領域を閉塞する前面ガード部と、前記装置の各々の前記側面の下側の領域を閉塞する一対の側面ガード部と、を備え、前記一対の側面ガード部の一方または双方は、前記装置の奥行方向において閉塞する範囲と閉塞しない範囲とを調整できる機能を有し、前記閉塞しない範囲は前記側面の前記壁部によって覆われる部分に含まれる、ことを特徴とする。
【0008】
また、本発明の一態様に係る装置は、上記したフットガードを装着し、装置の前面端部より奥側の所定位置から奥行方向の側面および装着した前記フットガードを覆う壁部を備えた外装を装着した装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、床との間に隙間が生じるのを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1A】本発明の第1実施形態に係る付属品装着済み装置の外観斜視図である。
【
図1B】本発明の第1実施形態に係る付属品装着済み装置の側面図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係るフットガードの斜視図である。
【
図4】本発明の第1実施形態に係るフットガードが備える閉塞範囲調整機能を説明するための図であり、(a)は第1側面ガード部および第2側面ガード部を取り付けた状態を示し、(b)は第1側面ガード部のみを取り付けた状態を示している。
【
図5】本発明の第1実施形態に係るフットガードの使用態様を説明するための図である。
【
図6】第1実施形態の変形例に係るフットガードを説明するための図である。
【
図7】本発明の第2実施形態に係るフットガードの斜視図である。
【
図8】本発明の第2実施形態に係るフットガードが備える閉塞範囲調整機能を説明するための図であり、(a)は側面ガード部を第3切離し部で切り離した状態を示し、(b)は側面ガード部を第2切離し部で切り離した状態を示し、(c)は側面ガード部を第1切離し部で切り離した状態を示している。
【
図9】本発明の第2実施形態に係るフットガードの使用態様を説明するための図である。
【
図10】変形例に係るフットガードを説明するための図である。
【
図11】比較例としてのフットガードの斜視図である。
【
図12】比較例としてのフットガードの使用態様を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。各図は、本発明を十分に理解できる程度に、概略的に示してあるに過ぎない。よって、本発明は、図示例のみに限定されるものではない。また、参照する図面において、本発明を構成する部材の寸法は、説明を明確にするために誇張して表現されている場合がある。なお、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
【0012】
[第1実施形態]
<第1実施形態に係る装置および付属品の説明>
図1Aおよび
図1Bを参照して、第1実施形態に係る装置2および付属品であるブース3やフットガード4の構成について説明する。以下では、装置自体と装置に付属品を装着したものとを区別するために、後者を「付属品装着済み装置」と呼ぶ場合がある。
図1Aは、付属品装着済み装置1の外観斜視図であり、
図1Bは、付属品装着済み装置の側面図である。付属品装着済み装置1の説明における「上下」、「前後」、「左右」は、
図1Aおよび
図1Bの矢印に従う。当該方向は、説明の便宜上定めるものであり、本発明を限定するものではない(他の実施形態についても同様)。
【0013】
図1Aおよび
図1Bに示すように、付属品装着済み装置1は、主に、装置2と、ブース3と、フットガード4とを備える。本実施形態では、装置2として現金自動預け払い機(ATM)を想定する。なお、現金自動預け払い機は、特許請求の範囲における「装置」の一例であり、特許請求の範囲における「装置」は、現金自動預け払い機に限定されない。本発明を適用する装置は、現金自動預け払い機以外の装置(例えば、キオスク端末や現金処理装置など)であってもよい。付属品装着済み装置1は、例えば金融機関の支店、コンビニエンスストア、スーパーマーケット、駅構内などに設置される。
【0014】
(装置の構成)
図1Aに示す装置2は、前面が開口した箱型の筐体21と、筐体21の前面下部に設置される前扉22と、筐体21の前面上部に設置され、顧客により操作される操作パネル23とを備える。また、
図1Bに示すように、装置2は、制御部24と、電源部25と、図示しない各種のユニット(例えば紙幣ユニット、硬貨ユニット、帳票ユニット、通帳ユニット、カードユニットなど)を筐体21内に収納する。電源部25は、装置2の後部下側に配置されており、電源部25は床などに設けられる商用電源に接続される。その為、特に電源部25の周辺には複数のケーブルが設けられており、結果としてブース3内の装置2と床との間には複数のケーブルが存在することになる。
【0015】
図1Aおよび
図1Bに示すように、筐体21は、各々が平坦な天井面21a、
右側面21b、
左側面21c、背面21dおよび底面21eを有する。筐体21は、例えば金属製である。なお、
図1Aおよび
図1Bに示す筐体21を含めた装置2の形状は例示であって、装置2の形状や構成は図示したものに限定されない。例えば、天井面21a、
右側面21b、
左側面21c、背面21dおよび底面21eは、凹凸や曲面を有するものであってよい。筐体21の底面21eには、各々の隅部の近傍に合計で四つの脚部26(
図1B参照)が設けられている(
図1Bでは右後方の脚部26のみ図示している)。装置2は、脚部26によって床面に自立して設置されており、底面21eと床面との間には空間(「装置下空間」と呼ぶ場合がある)が形成されている。
【0016】
図1Aに示すように、前扉22は、筐体21の前面下部を覆う部材である。前扉22は、装置2の前面を構成するものである。なお、装置2が前扉22を有しない場合、筐体21が装置2の前面を構成してよい。前扉22の左端部には回動機構が設けられており、前扉22は、上下方向を回動軸として回動可能である。図示しない紙幣ユニットおよび硬貨ユニットは、前扉22を開放した状態で後方に押し込む/前方に引き出すことによって着脱することができる。
【0017】
図1Aに示すように、操作パネル23は、筐体21の前面上部を覆う部材である。操作パネル23には、帳票入出口23aと、通帳入出口23bと、カード入出口23cと、硬貨入出金口23dと、紙幣入出金口23eと、操作部23fとが設けられている。
操作パネル23の上端部には回動機構が設けられており、操作パネル23は、左右方向を回動軸として回動可能である。作業員は、操作パネル23を開放した状態で、内部に収納される各種のユニットを点検、修理する。
【0018】
帳票入出口23aは、帳票の挿入や排出を行う開口部である。通帳入出口23bは、通帳の挿入や排出を行う開口部である。カード入出口23cは、キャッシュカードや振込カード等のカード媒体の挿入や排出を行う開口部である。硬貨入出金口23dは、硬貨の投入や排出を行う開口部であり、シャッタが設けられている。紙幣入出金口23eは、紙幣の投入や排出を行う開口部であり、シャッタが設けられている。操作部23fは、各種の画面を表示すると共に各種の指示や情報等の入力を受け付ける構成要素であり、例えばタッチパネル付きの液晶ディスプレイである。
【0019】
(ブースの構成)
図1Aに示すブース3は、設置される場所に応じた様々な機能(例えば、装飾機能、防犯機能、広告機能など)を提供するものである。ブース3は、装置2に取り付けられることで、装置2の天井面21a、
右側面21b、
左側面21cの前側以外の部分および背面21dの全部を覆うようになっている。言い換えれば、ブース3は、装置2の前面を露出した状態で当該装置2を収納可能である。装置2とブース3との間には隙間が形成されていてもよく、その場合にはクッション材などを隙間に設けて、異物が装置2とブース3との間に入らないようにするのがよい。なお、
図1Aおよび
図1Bに示すブース3の形状や構成は例示である。
【0020】
図1Aに示すブース3は、主に、天井部31aと、
右側壁部31bと、
左側壁部31cと、後壁部31dとを有する。ブース3を説明する場合に、装置2に対向する側を「内側」と称し、内側の裏側を「外側」と称する。ブース3の内側には、装置2が配置されるための空間が形成されている。
【0021】
天井部31aは、装置2の天井面21aを覆う部材であり、右側壁部31bは、装置2の右側面21bを覆う部材であり、左側壁部31cは、装置2の左側面21cを覆う部材であり、後壁部31dは、装置2の背面21dを覆う部材である。つまり、天井部31aは天井面21aに対応し、右側壁部31bは右側面21bに対応し、左側壁部31cは左側面21cに対応し、後壁部31dは背面21dに対応している。右側壁部31b、左側壁部31cおよび後壁部31dの下端は、床面に接触(到達)しており、ブース3と床面との間に隙間は形成されていない。
【0022】
図1Bに示すように、ブース3の天井部31aの前後方向(奥行方向)の長さP1は、装置2の天井面21aの前後方向(奥行方向)の長さQ1に比べて短くなっており、装置2の天井面21aの前部ならびに
右側面21bおよび
左側面21cの上側前部は露出している。天井部31aの前後方向(奥行方向)の長さP1は、例えば操作パネル23の回動動作および作業員による装置2のメンテナンス作業を邪魔しないものである。
また、
右側壁部31bおよび
左側壁部31cの下部の前後方向(奥行方向)の長さP2は、
右側面21bおよび
左側面21cの下部の前後方向(奥行方向)の長さQ2に比べて短くなっており、
右側壁部31bおよび
左側壁部31cの下側前部は露出している。
右側面21bおよび
左側面21cの前後方向(奥行方向)の長さP2は、例えば前扉22の回動動作および作業員による装置2のメンテナンス作業を邪魔しないものである。
【0023】
(第1実施形態に係るフットガードの構成)
図1Aに示すフットガード4は、装置2の底面21eと床面との間に形成される装置下空間を覆う部材であり、装置下空間への物の侵入を防ぐ役割を担うものである。装置下空間に侵入する物は、例えば装置2の利用者が落とした落下物であり、落下物は、例えば紙幣や硬貨等の現金、キャッシュカードや振込カード等のカード類、取引明細票(レシート)等の取り扱い媒体である。
【0024】
図1Aに示すように、フットガード4は、装置2の下部に取り付けられる。フットガード4は、装置2に取り付けられることで、前扉22の下側の領域ならびに、筐体21の
右側面21bおよび
左側面21cの下側の領域を閉塞するようになっている。フットガード4は、
右側面21bおよび
左側面21cの下側の領域の全てを閉塞する必要はなく、ブース3から露出している範囲を少なくとも閉塞するものである(
図1B参照)。以下、フットガード4の構成を詳細に説明する。
【0025】
図2および
図3を参照して、フットガード4の構成を説明する。
図2は、フットガード4の斜視図である。
図3は、
図2の拡大図であり、ネジ48を切断して示している。
フットガード4は、主に、ベース部41と、前面ガード部42と、一対の側面ガード部43(右側面ガード部43R、左側面ガード部43L)と、を備える。なお、右側面ガード部43Rと左側面ガード部43Lとは左右対称であり、基本的な構成は同様である。その為、右側面ガード部43Rと左側面ガード部43Lとを特に区別せずに説明する場合がある。
【0026】
ベース部41は、フットガード4の土台となる部材である。ベース部41は、左右方向に長尺な形状を呈しており、前面ガード部42および側面ガード部43をベース部41に固定するために用いる孔41a(
図3参照)、およびフットガード4を装置2に固定するために用いる孔41bが形成されている。なお、
図3は、ベース部41の右端部(前面ガード部42と右側面ガード部43Rとの連結部分)の拡大図である。
【0027】
前面ガード部42は、装置2の前面(本実施形態では、前扉22)の下側の領域を閉塞する部材である。つまり、前面ガード部42は、装置2の前方から装置下空間に物が侵入するのを防ぐ役割を担う。前面ガード部42は、左右方向に長尺な板状を呈している。前面ガード部42の形状や寸法は、装置2の前面の下側の領域を閉塞できるものであればよく、例えば前面ガード部42の横幅(左右方向の長さ)は装置2の横幅に一致する。前面ガード部42には、当該前面ガード部42をベース部41に固定するために用いるものであり、上下方向に長尺な長孔42aが形成されている。ここでは左右両端部付近および中央部に合計で三つの長孔42aが形成されているが、長孔42aの位置や数は特に限定されない。長孔42aは、ベース部41の孔41aと連通しており、前面ガード部42は、上下方向の位置を調整可能である。前面ガード部42の下端部と床との間に隙間が生じないように、前面ガード部42の位置は調整される。ネジ48を締結することによって、前面ガード部42がベース部41に固定され、ベース部41に対する前面ガード部42の位置が決定する。
【0028】
側面ガード部43は、装置2の各々の側面(右側面21b、左側面21c)の下側の領域を閉塞する部材である。つまり、側面ガード部43は、装置2の左右方向から装置下空間に物が侵入するのを防ぐ役割を担う。側面ガード部43の形状や寸法は、装置2の側面の下側の領域を閉塞できるものであればよい。側面ガード部43は、前後方向に長尺な板状を呈している。
【0029】
第1実施形態に係る側面ガード部43は、複数のピースで構成されることにより、装置2の前後方向(奥行方向)において閉塞する範囲を調整可能である。つまり、一部のピースを取り外して装置2に取り付けられるようになっている。
図2においては、側面ガード部43は、第1側面ガード部43aと第2側面ガード部43bとの二つのピースによって構成されており、装置2の前後方向(奥行方向)において閉塞する範囲を二段階で調整可能である。第1側面ガード部43aの前後方向(奥行方向)の長さL1(
図4参照)は、装置2の前後方向(奥行方向)の長さQ2(
図1B参照)よりも短い。複数のピースで構成される側面ガード部43は、「閉塞範囲調整機能」の一例である。
【0030】
例えば、第1側面ガード部43aおよび第2側面ガード部43bの両方を装置2に取り付けることも可能であり(
図4(a)に示す状態)、また、第1側面ガード部43aのみを装置2に取り付けることも可能である(
図4(b)に示す状態)。第1側面ガード部43aは、前面ガード部42から連続して配置され、第2側面ガード部43bは第1側面ガード部43aの後方に配置される。第1側面ガード部43aと第2側面ガード部43bとは当接して配置されるのがよく、第1側面ガード部43aの後端部の形状と第2側面ガード部43bの前端部の形状とは対応しているのが望ましい。第1側面ガード部43aの後端部と第2側面ガード部43bの前端部とが斜めに形成されていてもよい。
第1側面ガード部43aの前後方向(奥行方向)の長さをL1とし、第2側面ガード部43bの前後方向(奥行方向)の長さをL2とした場合、前者(
図4(a)に示す状態)では側面の下側の領域を閉塞する範囲が長さL(=L1+L2)となり、一方、後者(
図4(b)に示す状態)では側面の下側の領域を閉塞する範囲が長さL1となる。なお、
図1Aおよび
図1Bでは、第1側面ガード部43aのみを取り付けた状態を示している。
【0031】
第1側面ガード部43aおよび第2側面ガード部43bの上端部付近には、磁石を材料とする取付部44が取り付けられており、第1側面ガード部43aおよび第2側面ガード部43bを別々に装置2に取り付けることが可能である。なお、第1側面ガード部43aおよび第2側面ガード部43bを装置2に取り付ける方法は、ここで示した磁石を用いた手段に限定されない。また、第1側面ガード部43aと第2側面ガード部43bとは、図示しない連結手段によって連結可能であってもよい。
【0032】
図3に示すように、第1側面ガード部43aは、屈曲部43aaを有する。屈曲部43aaは、第1側面ガード部43aの前端部分に形成されており、前面ガード部42に重なるようになっている。屈曲部43aaには、第1側面ガード部43aをベース部41に固定するために用いるものであり、上下方向に長尺な長孔43abが形成されている。長孔43abは、ベース部41の孔41aと連通しており、第1側面ガード部43aは、上下方向の位置を調整可能である。第1側面ガード部43aの下端部と床との間に隙間が生じないように、第1側面ガード部43aの位置は調整される。ネジ48を締結することによって、第1側面ガード部43aがベース部41に固定され、ベース部41に対する第1側面ガード部43aの位置が決定する。また、長孔43abは、前面ガード部42の長孔42aと連通しており、ネジ48を締結することによって前面ガード部42と第1側面ガード部43aとは連結される。なお、ネジ48による固定を用いずに、取付部44のみによって第1側面ガード部43aを装置2に固定してもよい。
【0033】
<第1実施形態に係るフットガードの使用態様>
図5を参照して、フットガード4の使用態様を説明する。
図5では、ブース3の
右側壁部31bの一部を切り欠いてブース3内部の構成を示している(関連する他の図面についても同様)。
図5に示すように、第1実施形態に係るフットガード4を用いることで、ブース3内に位置するピース(ここでは、第2側面ガード部43b)を取り外した状態でフットガード4を取り付けることができる。これにより、ブース3内のピースを取り外した範囲には、側面ガード部43が設置されていない未設置領域J1が形成される。その為、仮にブース3内の床に施工不良等によって突起9が形成されていたとしても、フットガード4と突起9とが干渉することを回避できる。その結果、隙間が生じないように、側面ガード部43の下端部と床とを密着させることができる。
【0034】
なお、取り外したピースが設置される範囲は、ブース3によって覆われているので、フットガード4が設置されていなくとも当該範囲から物が装置下空間に侵入することはない。つまり、ブース3の側壁部(右側壁部31b、左側壁部31c)が、装置2の側面(右側面21b、左側面21c)の下側の領域を閉塞する役割を担う。フットガードとブースとが関連して物の侵入を防止する構造を「侵入防止構造K」と呼ぶことにし、第1実施形態におけるフットガード4とブース3とが関連した構造を「侵入防止構造K1」と表記する。
【0035】
以上のように、第1実施形態に係るフットガード4によれば、側面ガード部43が複数のピースで構成されることにより、装置2の前後方向(奥行方向)において閉塞する範囲を調整可能である。その為、ブース3内に位置するピースを取り外した状態でフットガード4を取り付けることができるので、ブース3内の床に形成される突起9などにフットガード4が干渉することを回避できる。その結果、フットガード4と床との間に隙間が生じるのを抑制できる。
【0036】
[第1実施形態の変形例]
図6を参照して、第1実施形態の変形例を説明する。
図6に示すフットガード104の側面ガード部143は、スライド構造を備えることにより、装置2の前後方向(奥行方向)において閉塞する範囲を調整可能である。つまり、一部のピースを装置2の前後方向(奥行方向)にスライドさせることで、一部のピースを他のピースに重ねた状態で装置2に取り付けられるようになっている。
図6においては、側面ガード部143は、第1側面ガード部143aと第2側面ガード部143bとの二つのピースによって構成されており、第1側面ガード部143aおよび第2側面ガード部143bはスライド構造145を備える。スライド構造145は、例えば溝と当該溝に嵌る突条の凸部との組合せである。フットガード104によれば、装置2の前後方向(奥行方向)において閉塞する範囲を調整可能である。これにより、ブース3内のピースをスライドした範囲には、側面ガード部143が設置されていない未設置領域J2が形成される。側面ガード部143が有するスライド構造145は、「閉塞範囲調整機能」の一例である。また、フットガード104とブース3とが関連して物の侵入を防止する構造を「侵入防止構造K2」と表記する。
【0037】
[第2実施形態]
第1実施形態では、側面ガード部43が複数のピースで構成され、一部のピースを取り外して設置することにより、ブース3内に側面ガード部43が設置されていない未設置領域J1を形成していた。第2実施形態では、側面ガード部243(
図7参照)に切離し用の加工を施し、側面ガード部243の一部を切り離して設置することによって未設置領域Jを形成する。
【0038】
(第2実施形態に係るフットガードの構成)
図7および
図8を参照して、第2実施形態に係るフットガード204の構成を説明する。
図7は、フットガード204の斜視図である。
図8は、フットガード204が備える閉塞範囲調整機能を説明するための図であり、(a)は側面ガード部243を第3切離し部で切り離した状態を示し、(b)は側面ガード部243を第2切離し部で切り離した状態を示し、(c)は側面ガード部243を第1切離し部で切り離した状態を示している。
【0039】
フットガード204は、主に、ベース部241と、前面ガード部242と、一対の側面ガード部243(右側面ガード部243R、左側面ガード部243L)と、を備える。なお、右側面ガード部243Rと左側面ガード部243Lとは左右対称であり、基本的な構成は同様である。ベース部241および前面ガード部242の構成は、第1実施形態と同様であるので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0040】
第2実施形態に係る側面ガード部243は、切離し用の加工が施されており、側面ガード部243の一部を切り離して設置することによって、装置2の前後方向(奥行方向)において閉塞する範囲を調整可能である。つまり、側面ガード部243の一部を切り離して装置2に取り付けられるようになっている。
図7においては、側面ガード部243には、第1切離し部243a、第2切離し部243b、第3切離し部243cが形成されている。各々の切離し部は、例えば、切離し用の切込みや孔などであってよく、本実施形態ではミシン目を想定している。第1切離し部243a、第2切離し部243b、第3切離し部243cは、例えば装置2の前後方向(奥行方向)において等間隔に設けられる。第1切離し部243a、第2切離し部243b、第3切離し部243cの何れかの位置で切り離すことで、装置2の前後方向(奥行方向)において閉塞する範囲を四段階で調整可能である。側面ガード部243に施された切離し用の加工(第1切離し部243a、第2切離し部243b、第3切離し部243c)は、「閉塞範囲調整機能」の一例である。
【0041】
例えば、側面ガード部243の前後方向(奥行方向)の長さをMとし、前端部から第1切離し部243a、第2切離し部243b、第3切離し部243cまでの長さをM1,M2,M3とした場合を想定する。第1切離し部243aで切離した状態(
図8(c)に示す状態)では側面の下側の領域を閉塞する範囲が長さM1となり、第2切離し部243bで切離した状態(
図8(b)に示す状態)では側面の下側の領域を閉塞する範囲が長さM2となり、第3切離し部243cで切離した状態(
図8(a)に示す状態)では側面の下側の領域を閉塞する範囲が長さM3となる。
【0042】
<第2実施形態に係るフットガードの使用態様>
図9を参照して、フットガード204の使用態様を説明する。
図9に示すように、第2実施形態に係るフットガード204を用いることで、ブース3内に位置する部分(ここでは、第2切離し部243b以降)を切り離した状態でフットガード204を取り付けることができる。これにより、ブース3内の切離した範囲には、側面ガード部243が設置されていない未設置領域J3が形成される。その為、仮にブース3内の床に施工不良等によって突起9が形成されていたとしても、フットガード204と突起9とが干渉することを回避できる。その結果、隙間が生じないように、側面ガード部243の下端部と床とを密着させることができる。第2実施形態におけるフットガード204とブース3とが関連して物の侵入を防止する構造を「侵入防止構造K3」と表記する。
【0043】
以上説明した第2実施形態に係るフットガード204によっても、第1実施形態と略同等の効果を奏することができる。
【0044】
[変形例]
以上、本発明の各実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を変えない範囲で実施することができる。実施形態の変形例は、例えば以下に示す通りである。
【0045】
第1実施形態では、フットガード4の側面ガード部43の一部のピースを取り外して設置することにより、ブース3内に側面ガード部43が設置されていない未設置領域J1を形成していた。しかしながら、側面ガード部43を軟性部材で形成し、ブース3内の床に施工不良等によって形成される突起9に対応する位置に作業員が現場で切込みを入れることによっても同様の効果を得ることができる(
図10参照)。
図10に示すフットガード304は、側面ガード部343が軟性部材で構成されており、簡単に切込み343aを形成することができる。軟性部材は、例えば、ビニール製の素材、天然ゴム、合成ゴム、シリコーンゴムなどである。フットガード304とブース3とが関連して物の侵入を防止する構造を「侵入防止構造K4」と表記する。
【0046】
また、各実施形態に記載の各構成要素の一部を組合せ/省略しても良い。また、上述した各実施形態や、各変形例の構成及び/又は機能の全部又は一部を組み合わせても良い。また、各実施形態及び各変形例の構成及び/又は機能のうち少なくとも一部を省略してもよい。または各実施形態及び各変形例の構成及び/又は機能のうち少なくとも一部を、他の実施形態及び他の変形例の構成及び/又は機能と置き換えてもよい。または、各実施形態及び各変形例の構成及び/又は機能のうち少なくとも一部を、他の実施形態及び他の変形例のうち少なくとも一つに、新たな構成及び/又は機能として追加してもよい。
【0047】
[比較例]
本発明の効果を説明するための比較例として、ブース3内に未設置領域Jを形成できないフットガード904を
図11に示す。比較例としてのフットガード904は、主に、ベース部941と、前面ガード部942と、一対の側面ガード部943(右側面ガード部943R、左側面ガード部943L)と、を備える。側面ガード部943は、一枚板の部材であり、側面ガード部943の前後方向(奥行方向)の長さをNは、装置2の前後方向(奥行方向)の長さQ2に一致している。
このフットガード904では、ブース3内に側面ガード部943が設置されていない未設置領域Jが形成されない(
図12参照)。その為、仮にブース3内の床に施工不良等によって突起9が形成されていた場合に、フットガード904と突起9とが干渉してしまう。その結果、側面ガード部943の下端部と床とを密着させることができずに隙間が生じてしまい、そこから物が装置下空間に侵入する。
【符号の説明】
【0048】
1 付属品装着済み装置
2 装置
3 ブース
4,104,204,304 フットガード
21 筐体
21a 天井面
21b 右側面
21c 左側面
21d 背面
21e 底面
22 前扉
23 操作パネル
24 制御部
25 電源部
26 脚部
31a 天井部
31b 右側壁部
31c 左側壁部
31d 後壁部
41,241 ベース部
42,242 前面ガード部
43,143,243,343 側面ガード部
43a,143a 第1側面ガード部
43b,143b 第2側面ガード部
44 取付部
145 スライド構造
J,J1,J2,J3 未設置領域
K,K1,K2,K3,K4 侵入防止構造