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  • 特許-機電一体装置 図1
  • 特許-機電一体装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】機電一体装置
(51)【国際特許分類】
   H02K 11/33 20160101AFI20241217BHJP
【FI】
H02K11/33
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021065997
(22)【出願日】2021-04-08
(65)【公開番号】P2022161294
(43)【公開日】2022-10-21
【審査請求日】2024-01-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】片山 正章
【審査官】三澤 哲也
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-072813(JP,A)
【文献】国際公開第2012/105353(WO,A1)
【文献】特開2012-170177(JP,A)
【文献】特開2012-065436(JP,A)
【文献】特開2007-210416(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102013222599(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 11/33
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1回転電機及び第2回転電機と、
前記第1回転電機及び前記第2回転電機を制御するパワーコントロールユニットと、
前記パワーコントロールユニットの一部の構成要素であるリアクトル並びに前記第1回転電機及び前記第2回転電機を収容する第1のケース部材と、
前記第1のケース部材の上部に設けられ、前記パワーコントロールユニットの前記リアクトル以外の残りの構成要素を収容する第2のケース部材と、
前記第1のケース部材と前記第2のケース部材との間に設けられた隔壁と、
前記隔壁の内部に設けられ、前記パワーコントロールユニットの各構成要素を冷却するための冷媒が流れる冷却路と、
を備え
前記リアクトルは、前記第1のケース部材内で、前記第1回転電機及び前記第2回転電機と、前記隔壁との間に形成されたスペースに位置させて、前記隔壁の前記第1のケース部材側の面に設置されており、
前記パワーコントロールユニットの前記残りの構成要素は前記隔壁の前記第2のケース部材側の面に設置されており、
前記冷媒は、前記隔壁において前記冷却路を形成する前記第1のケース部材側及び前記第2のケース部材側のそれぞれの壁部を介して、前記パワーコントロールユニットの各構成要素を冷却する、
ことを特徴とする機電一体装置。
【請求項2】
前記第1のケース部材内で前記第1回転電機及び前記第2回転電機を潤滑する潤滑油を有することを特徴とする請求項1に記載の機電一体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機電一体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、回転電機とパワーコントロールユニットとを一体化した機電一体装置において、パワーコントロールユニットの各構成要素を高さ方向に積層して配置する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-088939号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された構成では、パワーコントロールユニットの各構成要素の冷却を行うための冷却構造が複雑化するおそれがある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、パワーコントロールユニットの高さ方向の大型化を抑制しつつ、複雑な冷却構造を採用することなくパワーコントロールユニットの各構成要素の冷却性能を担保することができる機電一体装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る機電一体装置は、回転電機と、前記回転電機を制御するパワーコントロールユニットと、前記パワーコントロールユニットの一部の構成要素及び前記回転電機を収容する第1のケース部材と、前記第1のケース部材の上部に設けられ、前記パワーコントロールユニットの前記一部の構成要素以外の残りの構成要素を収容する第2のケース部材と、前記第1のケース部材と前記第2のケース部材との間に設けられた、壁部を介して前記パワーコントロールユニットの各構成要素を冷却するための冷媒が流れる冷却路と、を備えるものである。
【0007】
これにより、パワーコントロールユニットの一部の構成要素を、回転電機が収容される第1のケース部材内に収容するとともに、第1のケース部材と第2のケース部材との間に設けられた冷却路を流れる冷媒によって、パワーコントロールユニットの各構成要素を冷却することができる。よって、パワーコントロールユニットの高さ方向の大型化を抑制しつつ、パワーコントロールユニットの各構成要素の冷却性能を担保することができる。
【0008】
また、上記において、前記第1のケース部材内で前記回転電機を潤滑する潤滑油を有し、前記第1のケース部材内に収容される前記パワーコントロールユニットの一部の構成要素は、リアクトルとしてもよい。
【0009】
これにより、潤滑油に耐性のあるリアクトルを第1のケース部材内に収容することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る機電一体装置においては、パワーコントロールユニットの一部の構成要素を、回転電機が収容される第1のケース部材内に収容するとともに、第1のケース部材と第2のケース部材との間に設けられた冷却路を流れる冷媒によって、冷却路を形成する壁部を介してパワーコントロールユニットの各構成要素を冷却することができる。よって、本発明に係る機電一体装置は、パワーコントロールユニットの高さ方向の大型化を抑制しつつ、複雑な冷却構造を採用することなくパワーコントロールユニットの各構成要素の冷却性能を担保することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施形態に係る駆動ユニットの概略構成を示す図である。
図2図2は、実施形態に係る駆動ユニットの分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明に係る機電一体装置の実施形態について説明する。なお、本実施形態により本発明が限定されるものではない。なお、本実施形態においては、本発明に係る機電一体装置を、車両の駆動力源として回転電機を備えた駆動ユニットに適用した場合を例として説明する。また、駆動ユニットが搭載される車両の前後方向の前側を「Fr」、車両の左右方向の右側を「RH」、車両の高さ方向の上側を「UPR」として、図中に矢印を用いて各方向を適宜示す。
【0013】
図1は、実施形態に係る駆動ユニット1の概略構成を示した図である。図2は、実施形態に係る駆動ユニット1の分解図である。
【0014】
実施形態に係る駆動ユニット1は、第1回転電機MG1と第2回転電機MG2とPCU(Power Control Unit)10とが一体化されたユニット(機電一体装置)である。駆動ユニット1は、例えば、電動車両に搭載される。駆動ユニット1は、第1回転電機MG1と第2回転電機MG2とPCU10、バスバー16、及び、端子台17などを収容するケース20を備えている。
【0015】
第1回転電機MG1及び第2回転電機MG2は、それぞれ電力の供給を受けて動力を発生するモータ(電動機)としての機能と、動力の供給を受けて電力を発生するジェネレータ(発電機)としての機能を果たすことが可能とされている。ここで、第1回転電機MG1及び第2回転電機MG2は、ジェネレータとして機能する場合には、車両に搭載された内燃機関のトルクや車両の慣性力により発電を行い、バッテリを充電し、あるいはモータとして機能する他方の回転電機を駆動するための電力を供給する。一方、第1回転電機MG1及び第2回転電機MG2は、モータとして機能する場合には、バッテリに充電された電力、あるいはジェネレータとして機能する他方の回転電機により発電された電力の供給を受けて力行する。
【0016】
PCU10は、第1回転電機MG1及び第2回転電機MG2を制御する制御装置であって、制御基板11、DC-DCコンバータ12、フィルタコンデンサ13、複数の半導体素子などが設けられパワーモジュール14、及び、リアクトル15などを備えている。
【0017】
実施形態に係る駆動ユニット1では、PCU10の各構成要素のうち、制御基板11、DC-DCコンバータ12、フィルタコンデンサ13、及び、パワーモジュール14を、PCUアッセンブリー10Aとして一体化させて構成している。PCUアッセンブリー10Aでは、制御基板11の下方に、DC-DCコンバータ12、フィルタコンデンサ13、及び、パワーモジュール14が平面状に並べて配置されている。これにより、制御基板11、DC-DCコンバータ12、フィルタコンデンサ13、及び、パワーモジュール14を高さ方向に積層して、PCUアッセンブリー10Aを構成した場合よりも、PCUアッセンブリー10AひいてはPCU10の高さ方向の大型化を抑制することができる。
【0018】
ケース20は、第1のケース部材であるトランスアクスルケース21と、トランスアクスルケース21の上部に設けられた第2のケース部材であるPCUケース22と、が一体化されて構成されている。トランスアクスルケース21には、PCU10の一部の構成要素であるリアクトル15と、第1回転電機MG1及び第2回転電機MG2とが収容されている。PCUケース22には、PCU10のリアクトル以外の他の構成要素であるPCUアッセンブリー10Aが収容されている。また、PCUケース22の上側は開口しており、この開口を覆うようにPCUカバー23がPCUケース22に取り付けられている。トランスアクスルケース21内に設けられたリアクトル15と、PCUケース22内に設けられたPCUアッセンブリー10Aとは、ケース20内でケーブルやコネクタなどを介して電気的に接続されている。
【0019】
図1に示すように、ケース20は、トランスアクスルケース21側のトランスアクスル領域と、PCUケース22側のPCU領域とが、ケース20内において隔壁24によって仕切られている。トランスアクスルケース21とPCUケース22との間であって、隔壁24の内部には、車両に設けられた冷却回路の電動ポンプ(図示せず)を作動させることで、流入ノズル31から流入した液体状の冷媒が流れる冷却路30が設けられている。冷却路30を流れる冷媒は、隔壁41において冷却路30を形成するトランスアクスルケース21側及びPCUケース22側のそれぞれの壁部を介して、少なくともPCU10の各構成要素を冷却するためのものである。なお、冷却路30は、隔壁24の面方向で、少なくともPCU10の各構成要素を冷却可能な範囲に設けられている。そして、本実施形態においては、PCU10のDC-DCコンバータ12とフィルタコンデンサ13とパワーモジュール14とを隔壁24のPCUケース22側の面に設置しており、PCU10のリアクトル15を隔壁24のトランスアクスルケース21側の面に設置している。これにより、少なくともPCU10のDC-DCコンバータ12とフィルタコンデンサ13とパワーモジュール14とリアクトル15とが、隔壁24を介して冷却路30を流れる冷媒によって冷却される。冷却路30を流れてPCU10の各構成要素を冷却した後の冷媒は、流出ノズル32から外部に流出される。
【0020】
バスバー16は、第1回転電機MG1及び第2回転電機MG2と、PCU10とを、電気的に接続して、第1回転電機MG1及び第2回転電機MG2と、PCU10との間で電力のやり取りを行うための電力線であり、端子台17に支持されている。端子台17は、ケース20内において隔壁24に形成された貫通孔に嵌り込んで隔壁24に固定されている。なお、端子台17と隔壁24との間には、隙間が形成されないようにシールするシール部材を設けることが好ましい。ケース20内では、バスバー16が端子台17から上下方向にトラスアクスルケース側とPCUケース22側とに延びている。そして、トランスアクスルケース21内において第1回転電機MG1及び第2回転電機MG2のそれぞれの端子がバスバー16に接続され、PCUケース22内においてPCU10の端子がバスバー16に接続される。これにより、PCU10はバスバー16を介して第1回転電機MG1及び第2回転電機MG2と電気的に接続されている。
【0021】
実施形態に係る駆動ユニット1においては、PCU10の構成要素であるリアクトル15を、トランスアクスルケース21内で隔壁24に設置している。これにより、トランスアクスルケース21内に、第1回転電機MG1及び第2回転電機MG2を配置することで、第1回転電機MG1及び第2回転電機MG2と、隔壁24との間に形成されたデッドスペースを有効活用して、PCU10の高さ方向の大型化を抑制することができる。また、PCU10の各構成要素を隔壁24に設置して、隔壁24の内部に設けられた冷却路30を流れる冷媒によって、隔壁24において冷却路30を形成する壁部を介してPCU10の各構成要素を冷却することができるため、複雑な冷却構造を採用することなくPCU10の各構成要素の冷却性能を担保することができる。さらには、トランスアクスルケース21内で第1回転電機MG1及び第2回転電機MG2の回転駆動に伴って掻き上げられた潤滑油が、リアクトル15にかかることにより、前記潤滑油によってリアクトル15の冷却を行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0022】
1 駆動ユニット
10 PCU
10A PCUアッセンブリー
11 制御基板
12 DC-DCコンバータ
13 フィルタコンデンサ
14 パワーモジュール
15 リアクトル
16 バスバー
17 端子台
20 ケース
21 トランスアクスルケース
22 PCUケース
23 PCUカバー
24 隔壁
30 冷却路
31 流入ノズル
32 流出ノズル
MG1 第1回転電機
MG2 第2回転電機
図1
図2