(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】車載ドライブレコーダ装置
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20241217BHJP
G07C 5/00 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
G08G1/00 D
G07C5/00 Z
(21)【出願番号】P 2021080472
(22)【出願日】2021-05-11
【審査請求日】2024-02-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】梅津 誠
(72)【発明者】
【氏名】里見 洋平
【審査官】櫻田 正紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-021517(JP,A)
【文献】特開2016-134094(JP,A)
【文献】特開2022-162872(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
G07C 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両に搭載され該自車両の前方を撮像する撮像部と、
前記自車両の前方の所定距離以内を先行する先行車両が、前記自車両の進路変更に追従して進路変更する前記自車両への進路妨害行為を検出
してトリガを出力する進路妨害行為検出部と、
前記進路妨害行為が検出されてから所定時間以内に、前記先行車両が前記進路妨害行為を所定回数繰り返したことを検出する繰返検出部と、
該繰返検出部により前記進路妨害行為が前記所定回数繰り返されたことが検出されたときに、前記進路妨害行為検出部により
前記トリガが出力されてから前記先行車両が前記撮像部の画角から外れるまでに前記撮像部により撮像された撮像画像を上書き禁止にして記録部に記録させる記録制御部と、
を含むドライブレコーダ装置。
【請求項2】
前記進路妨害行為検出部は、前記撮像部により取得された撮像画像に基づいて検出された車線の境界を示す境界線と、前記自車両のウィンカ情報とにより前記自車両の進路変更を検出する請求項1に記載のドライブレコーダ装置。
【請求項3】
前記進路妨害行為検出部は、前記自車両の進路変更を検出してから所定時間以内に、前記先行車両の前記自車両の前方への移動、及び前記先行車両と前記自車両との距離が所定の閾値以下であることを検出した際に前記進路妨害行為を検出する請求項1及び請求項2に記載のドライブレコーダ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載ドライブレコーダ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、自車両と後続車両との車間距離に基づいて後続車両のあおり運転を検知し、後方の画像を記録する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載された技術においては、自車両前方で行われる進路妨害行為の全貌を記録することへの考慮が不足しており、改善の余地がある。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、進路妨害行為の検出精度を高めると共に、進路妨害行為の全貌を上書きされることなく記録することができる車載ドライブレコーダ装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の本発明に係る車載ドライブレコーダ装置は、自車両に搭載され該自車両の前方を撮像する撮像部と、前記自車両の前方の所定距離以内を先行する先行車両が、前記自車両の進路変更に追従して進路変更する前記自車両への進路妨害行為を検出してトリガを出力する進路妨害行為検出部と、前記進路妨害行為が検出されてから所定時間以内に、前記先行車両が前記進路妨害行為を所定回数繰り返したことを検出する繰返検出部と、該繰返検出部により前記進路妨害行為が前記所定回数繰り返されたことが検出されたときに、前記進路妨害行為検出部により前記トリガが出力されてから前記先行車両が前記撮像部の画角から外れるまでに前記撮像部により撮像された撮像画像を上書き禁止にして記録部に記録させる記録制御部と、を含む。
【0007】
請求項1に記載の本発明に係る車載ドライブレコーダ装置によれば、自車両の前方の所定距離以内を先行する先行車両が、自車両の進路変更に追従して進路変更する自車両への進路妨害行為を検出する進路妨害行為検出部と、進路妨害行為が検出されてから所定時間以内に、先行車両が進路妨害行為を所定回数繰り返したことを検出する繰返検出部と、を含んでいる。このように、先行車両によって繰り返し行われる進路妨害行為を検出することにより、自車両に対する攻撃意図を持った進路妨害行為を検出できるので、進路妨害行為の検出精度を高めることができる。
【0008】
また、請求項1に記載の本発明に係る車載ドライブレコーダ装置は、繰返検出部により進路妨害行為が所定回数繰り返されたことが検出されたときに、進路妨害行為検出部により進路妨害行為が初めて検出されてから先行車両が撮像部の画角から外れるまでに撮像部により撮像された撮像画像を上書き禁止にして記録部に記録させる記録制御部を含んでいる。そのため、撮像画像に進路妨害行為を行っている先行車両が含まれている場合には、当該撮像画像が上書き禁止にされて記録部に記録されるので、進路妨害行為の全貌を上書きされることなく記録することができる。なお、「進路妨害行為の全貌を記録する」とは、進路妨害行為が確認可能な動画像を記録することを意図しており、進路妨害行為を行っている先行車両全体が撮像画像内に存在していなくてもよい。
【0009】
請求項2に記載の本発明に係るドライブレコーダ装置は、前記進路妨害行為検出部は、前記撮像部により取得された撮像画像に基づいて検出された車線の境界を示す境界線と、前記自車両のウィンカ情報とにより前記自車両の進路変更を検出する。
【0010】
請求項2に記載の本発明に係る車載ドライブレコーダ装置によれば、自車両の進路変更を検出する際に、撮像画像に基づいて検出された車線の境界を示す境界線と、自車両のウィンカ情報とを使用するので、どちらか一方のみを使用して検出する場合と比較して自車両の進路変更の検出精度を高めることができる。
【0011】
請求項3に記載の本発明に係るドライブレコーダ装置は、前記進路妨害行為検出部が、前記自車両の進路変更を検出してから所定時間以内に、前記先行車両の前記自車両の前方への移動、及び前記先行車両と前記自車両との距離が所定の閾値以下であることを検出した際に前記進路妨害行為を検出する。
【0012】
請求項3に記載の本発明に係るドライブレコーダ装置によれば、自車両の進路変更を検出してから所定時間以内に、先行車両の自車両の前方への移動、及び先行車両と自車両との距離が所定の閾値以下であることを検出した際に進路妨害行為を検出する。そのため、自車両に合わせて進路変更する先行車両を進路妨害行為として検出することができる。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、本発明に係る車載ドライブレコーダ装置は、自車両に対する進路妨害行為の検出精度を高めると共に、進路妨害行為の全貌を記録することができる、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】一実施形態に係る車載ドライブレコーダ装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図2】一実施形態に係る制御装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図3】一実施形態に係る制御装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図4】前方カメラにより取得された撮像画像の一例を示す一例図である。
【
図5】一実施形態に係る制御装置による一連の制御の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1~
図5を用いて本発明の一実施形態に係る車載ドライブレコーダ装置10について説明する。なお、以下の説明において前後左右上下の方向を示して説明するときは、車両の前後左右上下の方向を示すものとする。
【0016】
図1は一実施形態に係る車載ドライブレコーダ装置10のハードウェア構成を示すブロック図である。
図1に示されるように、第1実施形態の車載ドライブレコーダ装置10は、車両(以下「自車両」と呼ぶ)に搭載されており、撮像部としての前方カメラ12、距離検出部14、記録部16、及び制御装置20を備えている。
【0017】
前方カメラ12は、自車両の前方を撮像するカメラであり、カラーCCD(Charge Coupled Device)カメラ等で構成されている。前方カメラ12は、自車両の前部の室内側又は室外側の車幅方向中央に設置されている。前方カメラ12は、制御装置20からの撮像信号に基づいて所定のフレームレートで自車両前方を撮像すると共に、撮像画像データを制御装置20と記録部16の後述する自動上書き領域16Aとに出力する。
【0018】
距離検出部14は、自車両と先行車両との間の車間距離を検出する。具体的には、距離検出部14は、図示しないミリ波レーダ装置を有する。ミリ波レーダ装置は、自車両の車体に固定され、自車両の前方に向かって送信波(電磁波)を出力し、先行車両によって反射された反射波を受信する。また、ミリ波レーダ装置は、送信波を送信してから反射波を受信するまでの時間に基づいて、自車両と先行車両との間の車間距離を検出する。距離検出部14は、検出した車間距離情報を制御装置20に出力する。
【0019】
記録部16は、フラッシュメモリ等の不揮発性のメモリであり、本実施形態においては、記録されるデータ量が容量を超えた場合に自動的にデータが上書きされて記録される自動上書き領域16Aと、自動上書きが禁止された自動上書き禁止領域16Bとを備えている。自動上書き領域16Aには、前方カメラ12で撮影された撮像画像、並びに距離検出部14によって検出された自車両と対象物の距離、並びに自車両の車速度及び操舵角等が記録される。自動上書き禁止領域16Bには、後述する繰返検出部220により、先行車両による進路妨害行為が繰り返し行われていると判定された際に、これらに関係する撮像画像が記録される。なお、進路妨害行為については後で詳細に説明する。
【0020】
図2は本実施形態に係る制御装置20のハードウェア構成を示すブロック図である。
図2に示されるように、制御装置20は、ECU(Electronic Control Unit)であり、CPU(Central Processing Unit)22、ROM(Read only Memory)24、RAM(Random Access Memory)26、ストレージ28、入出力I/F30を含んで構成されている。CPU22、ROM24、RAM26、ストレージ28及び入出力I/F30は、バス32を介して相互に通信可能に接続されている。
【0021】
CPU22は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU22は、ROM24又はストレージ28からプログラムを読み出し、RAM26を作業領域としてプログラムを実行する。CPU22は、ROM24又はストレージ28に記録されているプログラムに従って、後述する各構成の制御及び各種の演算処理を行う。
【0022】
ROM24は、各種プログラム及び各種データを格納する。RAM26は、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記録する。ストレージ28は、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)等の記録装置により構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラム、及び各種データを格納する。
【0023】
入出力I/F30は、制御装置20が前方カメラ12、距離検出部14、及び記録部16等と入出力するためのインタフェースである。
【0024】
図3は制御装置20の機能構成の例を示すブロック図である。
図3に示されるように、制御装置20は、進路妨害行為検出部210と、繰返検出部220と、記録制御部230と、を有する。各機能構成は、CPU22がROM24又はストレージ28に記録された実行プログラムを読み出し、これを実行することによって実現される。
【0025】
進路妨害行為検出部210は、自車両の前方の所定距離以内を先行する先行車両が、自車両の進路変更に追従して進路変更する自車両への進路妨害行為を検出する。具体的には、距離検出部14により検出された自車両と先行車との間の車間距離に基づいて、先行車が自車両の前方の所定距離以内を走行しているか否かを判定する。すなわち上記車間距離が予め定められた閾値以下であるか否かを判定する。本実施形態においては、一例として閾値は10mとする。
【0026】
また、進路妨害行為検出部210は、自車両に搭載されたウィンカの点灯が操作されたか否かを検出するウィンカ検出部(図示省略)を有し、ウィンカ検出部により、自車両が左右のどちらに進路変更を所望しているのかを検出する。
【0027】
また、進路妨害行為検出部210は、前方カメラ12により撮像された撮像画像に基づいて車線の境界を示す境界線を検出する。前方カメラ12により撮像された撮像画像を一例として以下説明する。
図4は前方カメラ12により撮像された撮像画像50の一例を示す一例図である。なお、
図4に示される撮像画像50内の道路は、左車線60Aと右車線60Bとを有する片側2車線の道路である。
【0028】
進路妨害行為検出部210は、前方カメラ12により時系列に撮像された複数の撮像画像50に対して、公知の画像解析方法を使用して、撮像画像50内の左車線60Aと、右車線60Bとの境界を示す境界線60Cの位置を検出する。本実施形態では一例として予め、撮像画像50内における境界線60Cの位置と、自車両が走行する車線すなわち左車線60A及び右車線60Bとの関係を導出しておく。そして、前方カメラ12により時系列に撮像された複数の撮像画像50内の境界線60Cの位置を検出することによって、自車両が進路変更(車線変更)を行ったか否かを検出する。なお、本実施形態においては、一例として、白線及び橙色線を境界線60Cとして検出する。
【0029】
進路妨害行為検出部210は、自車両のウィンカ検出部により自車両の進路変更を所望する方向が検出され、かつ、撮像画像50内において検出された境界線60Cの位置に基づいて自車両が所望する方向へ向けて境界線60Cを越えたことが検出された場合に、自車両の進路変更があったことを検出する。
【0030】
また、進路妨害行為検出部210は、前方カメラ12により時系列に撮像された複数の撮像画像50を公知の画像解析方法を使用して解析することにより、撮像画像50内に先行車両40が存在するか否かを判定する。先行車両40が存在する場合には、先行車両40が境界線60Cを越えたか否かを検出する。
【0031】
そして、進路妨害行為検出部210は、自車両の進路変更があったと検出されてから所定時間以内に、先行車両40が自車両の前方へ移動したこと、すなわち先行車両40が自車両と同じ車線に進路変更したことを検出し、かつ自車両と先行車両40との距離が所定の閾値以下であることを検出した際に自車両への進路妨害行為があったことを検出し、制御装置20にトリガを「1」として出力する。なお、本実施形態においては、一例として、上記所定時間は5secとし、上記所定の閾値は10mとする。また、上記所定時間は、自車両に搭載されたタイマ(図示省略)により測定される。
【0032】
繰返検出部220は、進路妨害行為検出部210により自車両への進路妨害行為が検出されてから所定時間以内に先行車両40が上記の進路妨害行為を所定回数繰り返したことを検出する。本実施形態では、一例として、所定時間は10sec、所定回数は4回とする。また、上記所定時間は、自車両に搭載されたタイマ(図示省略)により測定される。
【0033】
記録制御部230は、繰返検出部220により先行車両40が進路妨害行為を所定回数繰り返したことが検出されたときに、進路妨害行為検出部210により先行車両40による進路妨害行為が初めて検出されてから先行車両40が前方カメラ12の画角から外れるまでに前方カメラ12により撮像された撮像画像50を、上書き禁止として記録部16に記録させる。
【0034】
具体的には、記録制御部230は、繰返検出部220により先行車両40が進路妨害行為を所定回数繰り返したことが検出されたときに、制御装置20にトリガが「1」として出力された後に前方カメラ12により撮像された撮像画像50に対して「上書き不可」のフラグ付けを行う。
【0035】
さらに記録制御部230は、繰返検出部220により先行車両40が進路妨害行為を所定回数繰り返したことが検出されたときに、この先行車両40が前方カメラ12の画角から外れるまでの撮像画像に対して「上書き不可」のフラグ付けを行い、先行車両40が前方カメラ12の画角から外れてから一定時間経過した時点で「上書き不可」のフラグ付けを停止する。なお、ここで、画角から外れるまでの撮像画像は、撮像画像50内に先行車両40が存在する画像のことをいう。また、本実施形態において、上記一定時間は、一例として5secとし、一定時間は、自車両に搭載されたタイマ(図示省略)により測定される。
【0036】
記録制御部230は、「上書き不可」のフラグが付いた撮像画像50を記録部16の自動上書き禁止領域16Bに記録させ、「上書き不可」のフラグが付いていない撮像画像50を記録部16の自動上書き領域16Aに記録させる。
【0037】
次に、車載ドライブレコーダ装置10の作用について説明する。
【0038】
図5は制御装置20による制御を説明するためのフローチャートである。CPU22がROM24又はストレージ28からプログラムを読み出してRAM26に展開して実行することにより、CPU22による制御処理が行なわれる。
【0039】
先ず、進路妨害行為検出部210は、距離検出部14により検出された自車両と先行車との間の車間距離が予め定められた閾値以下であるか否かを判定する(ステップS11)。車間距離が予め定められた閾値以下でない場合(ステップS11;NO)、進路妨害行為検出部210は、車間距離が予め定められた閾値以下になるまでステップS11の処理を繰り返し行う。
【0040】
一方、ステップS11において、車間距離が予め定められた閾値以下である場合(ステップS11;YES)、進路妨害行為検出部210は、自車両の進路変更を検出したか否かを判定する(ステップS12)。具体的には、上述したように進路妨害行為検出部210は、自車両のウィンカ検出部により自車両の進路変更を所望する方向が検出され、かつ、撮像画像50内において検出された境界線60Cの位置に基づいて自車両が所望する方向へ向けて境界線60Cを越えたことが検出された場合に、自車両の進路変更があったと検出する。
【0041】
ステップS12において、自車両の進路変更が検出されなかった場合(ステップS12;NO)、進路妨害行為検出部210は、ステップS11に処理を移行して、ステップS11移行の処理を行う。
【0042】
一方、ステップS12において、自車両の進路変更が検出された場合(ステップS12;YES)、進路妨害行為検出部210は自車両への進路妨害行為を検出したか否かを判定する(ステップS13)。具体的には、上述したように進路妨害行為検出部210は、自車両の進路変更を検出してから所定時間以内に、先行車両40の自車両の前方へ移動を検出し、かつ自車両と先行車両40との間の距離が所定の閾値以下であることを検出した際に自車両への進路妨害行為があると検出する。
【0043】
ステップS13にて、自車両への進路妨害行為が検出された場合(ステップS13;YES)、進路妨害行為検出部210は、制御装置20にトリガを「1」として出力する(ステップS14)。
【0044】
なお、ステップS12において自車両の進路変更がないと検出された場合(ステップS12;NO)、及びステップS13において自車両への進路妨害行為がないと検出された場合(ステップS13;NO)、進路妨害行為検出部210は、ステップS11に処理を移行して、ステップS11移行の処理を行う。
【0045】
次に、ステップS15において、繰返検出部220は、進路妨害行為検出部210により自車両への進路妨害行為が検出されてから所定時間以内に先行車両40が上記の進路妨害行為を所定回数以上繰り返したか否かを検出する(ステップS15)。進路妨害行為が所定回数以上繰り返されていない場合(ステップS15;NO)、繰返検出部220は、ステップS12へ処理を移行して、さらに自車両への進路妨害行為を検出する、すなわちステップS12以降の処理を行う。
【0046】
ステップS15において、進路妨害行為が所定回数以上繰り返された場合(ステップS15;YES)、自車両への進路妨害行為が繰り返し行われているとして、記録制御部230は、制御装置20に1回目にトリガが「1」として出力されて以降、すなわち最初にトリガが「1」として出力されて以降に前方カメラ12により撮像された撮像画像50に対して「上書き不可」のフラグ付けを行う(ステップS16)。
【0047】
次に、記録制御部230は、自車両の前方に先行車両40がいなくなったか否かを判定する(ステップS17)。具体的には、先行車両40が前方カメラ12の画角から外れたか否か、すなわち、最初にトリガが「1」として出力されて以降に前方カメラ12により撮像された撮像画像50において、先行車両が存在していないことを検出する。
【0048】
ステップS17において、先行車両40がいると判定された場合(ステップS17;NO)、記録制御部230はステップS16に処理を移行して、ステップS16以降の処理を繰り返し行う。一方、ステップS17において、先行車両40なしと判定された場合(ステップS17;YES)、記録制御部230は、先行車両40が前方カメラ12の画角から外れてから一定時間が経過したか否かを判定する(ステップS18)。
【0049】
一定時間が経過していない場合(ステップS18;NO)、記録制御部230は一定時間が経過するまでステップS18の処理を繰り返し行う。一定時間が経過した場合(ステップS18;YES)、記録制御部230は、撮像画像50に対する「上書き不可」のフラグ付けを停止する(ステップS19)。
【0050】
そして、記録制御部230は、「上書き不可」のフラグが付いた撮像画像50を記録部16の自動上書き禁止領域16Bに記録させ、「上書き不可」のフラグが付いていない撮像画像50を記録部16の自動上書き領域16Aに記録させて(ステップS20)、CPU22は一連の制御処理を終了させる。このようにして、制御装置20による一連の処理が行われる。
【0051】
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。
【0052】
本実施形態に係る車載ドライブレコーダ装置10は、自車両の前方の所定距離以内を先行する先行車両40が、自車両の進路変更に追従して進路変更する自車両への進路妨害行為を検出する進路妨害行為検出部210と、進路妨害行為が検出されてから所定時間以内に、先行車両40が進路妨害行為を所定回数繰り返したことを検出する繰返検出部220と、を含んでいる。そのため、先行車両40によって繰り返し行われる進路妨害行為を検出することにより、自車両に対する攻撃意図を持った進路妨害行為を検出できるので、進路妨害行為の検出精度を高めることができる。
【0053】
また、本実施形態に係る車載ドライブレコーダ装置10は、繰返検出部220により進路妨害行為が所定回数繰り返されたことが検出されたときに、進路妨害行為検出部210により進路妨害行為が初めて検出されてから先行車両40が前方カメラ12の画角から外れるまでに前方カメラ12により撮像された撮像画像50を上書き禁止にして記録部16に記録させる記録制御部230を含んでいる。そのため、撮像画像50に進路妨害行為を行っている先行車両40が含まれている場合には、当該撮像画像50が上書き禁止にされて記録部16に記録されるので、進路妨害行為の全貌を上書きされることなく記録することができる。
【0054】
また、本実施形態に係る車載ドライブレコーダ装置10によれば、自車両の進路変更を検出する際に、撮像画像50に基づいて検出された車線の境界を示す境界線60Cと、自車両のウィンカ情報とを使用するので、どちらか一方のみを使用して検出する場合と比較して自車両の進路変更の検出精度を高めることができる。
【0055】
また、本実施形態に係る車載ドライブレコーダ装置10によれば、自車両の進路変更を検出してから所定時間以内に、先行車両40の自車両の前方への移動、及び先行車両40と自車両との距離が所定の閾値以下であることを検出した際に進路妨害行為を検出する。そのため、自車両に合わせて進路変更する先行車両40を進路妨害行為として検出することができる。
【0056】
また、本実施形態に係る車載ドライブレコーダ装置10によれば、先行車両40が前方カメラ12の画角から外れてから一定時間が経過するまで、記録制御部230による「上書き不可」のプラグ付けが行われる。そのため、進路妨害行為が繰り返された後の自車両前方の状況についても上書き禁止にして記録することができる。
【0057】
また、本記実施形態においては、距離検出部14は、ミリ波レーダ装置を有しているが、本発明はこれに限られない。先行車両40と自車両との間の車間距離が検出できれば何れの技術を使用してもよく、例えば、前方カメラ12がステレオカメラである場合、ステレオカメラの撮像した視差画像に基づいて、自車両と先行車両との距離を検出してもよい。
【0058】
また、本記実施形態では、前方カメラ12を構成するカメラは、カラーCCDで構成されているが、本発明はこれに限られない。例えばモノクロCCDであってもよいし、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)カメラ等他の種類のカメラで構成されていてもよい。
【0059】
また、本実施形態では、進路妨害行為検出部210は、先行車両40が自車両の前方の10m以内を走行しているか否かを判定しているが、本発明はこれに限られず、例えば8mとしてもよいし、12mとしてもよいし、値は適宜変更することができる。
【0060】
また、本実施形態では、進路妨害行為検出部210は、自車両の進路変更があったと検出されてから5sec以内に、先行車両40が自車両の前方へ移動したことを検出し、かつ自車両と先行車両40との距離が10m以下であることを検出した際に自車両への進路妨害行為があったことを検出しているが、本発明はこれに限られない。時間は例えば4secであっても、6secであってもよいし、距離は例えば8mであっても、12mであってもよいし、値は適宜変更することができる。
【0061】
また、本実施形態では、繰返検出部220は、進路妨害行為検出部210により自車両への進路妨害行為が検出されてから10sec以内に先行車両40が上記の進路妨害行為を4回繰り返したことを検出しているが、本発明はこれに限られない。例えば時間は9secであってもよいし、11secであってもよいし、回数は例えば3回であってもよいし、5回であってもよいし、値は適宜変更することができる。
【0062】
また、本実施形態では、記録制御部230は、先行車両40が前方カメラ12の画角から外れてから5sec経過した時点で「上書き不可」のフラグ付けを停止しているが、本発明はこれに限られず、4sec経過した時点であってもよいし、6sec経過した時点であってもよいし、値は適宜変更することができる。
【0063】
また、本記実施形態で
図2に示されるCPU22がソフトウェア(プログラム)を読み込んで実行した各処理を、CPU以外の各種のプロセッサが実行してもよい。この場合のプロセッサとしては、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なPLD(Programmable Logic Device)、及びASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が例示される。また、各処理を、これらの各種のプロセッサのうちの1つで実行してもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGA、及びCPUとFPGAとの組み合わせ等)で実行してもよい。また、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路である。
【0064】
また、本実施形態で説明した各プログラムは、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の記録媒体に記録された形態で提供されてもよい。また、プログラムは、ネットワークを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。
【0065】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、その主旨を逸脱しない範囲内において上記以外にも種々変形して実施することが可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0066】
10 車載ドライブレコーダ装置
12 前方カメラ(撮像部)
16 記録部
210 進路妨害行為検出部
220 繰返検出部
230 記録制御部
40 先行車
50 撮像画像
60C 境界線