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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】センサ装置
(51)【国際特許分類】
   G08C 25/00 20060101AFI20241217BHJP
   B62D 5/04 20060101ALN20241217BHJP
【FI】
G08C25/00 E
B62D5/04
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021086888
(22)【出願日】2021-05-24
(65)【公開番号】P2022180012
(43)【公開日】2022-12-06
【審査請求日】2023-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110003214
【氏名又は名称】弁理士法人服部国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】乙川 友佑
(72)【発明者】
【氏名】滝 雅也
(72)【発明者】
【氏名】亀谷 尚志
【審査官】菅藤 政明
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-98223(JP,A)
【文献】特開2018-32308(JP,A)
【文献】特開2003-296851(JP,A)
【文献】特開2016-133962(JP,A)
【文献】特開2017-4369(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08C 25/00
B62D 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物理量の変化を検出するセンサ素子(211、212、221、222)、および、1回の要求信号に対し、前記センサ素子の検出値に応じた1つの応答信号を含む信号を送信するセンサ側通信回路(215、225)を有する複数のセンサ部(21、22、23、24)と、
前記要求信号を送信し、前記応答信号を受信する制御部側通信回路(16、17)、および、前記応答信号に応じた検出データを演算する演算処理部(18)を有する制御部(15)と、
前記センサ部を個別に前記制御部と接続する複数の通信経路(31、32)と、
を備え、
前記演算処理部は、複数の前記センサ部から並列に取得された前記応答信号を用い、前記検出データを演算し、
それぞれの前記センサ部は、k(kは2以上の整数)個の前記センサ素子を有し、前記応答信号として、1番目からk番目の前記センサ素子の検出値に応じた信号を所定の順番で送信し、
前記演算処理部は、
複数の前記センサ部から今回取得された前記応答信号に基づいて前記検出データを演算し、
(k-1)回前から今回までの前記検出データを用いて補正後検出データを演算するセンサ装置。
【請求項2】
物理量の変化を検出するセンサ素子(211、212、221、222)、および、1回の要求信号に対し、前記センサ素子の検出値に応じた1つの応答信号を含む信号を送信するセンサ側通信回路(215、225)を有する複数のセンサ部(21、22、23、24)と、
前記要求信号を送信し、前記応答信号を受信する制御部側通信回路(16、17)、および、前記応答信号に応じた検出データを演算する演算処理部(18)を有する制御部(15)と、
前記センサ部を個別に前記制御部と接続する複数の通信経路(31、32)と、
を備え、
前記演算処理部は、複数の前記センサ部から並列に取得された前記応答信号を用い、前記検出データを演算し、
それぞれの前記センサ部は、k(kは2以上の整数)個の前記センサ素子を有し、前記応答信号として、1番目からk番目の前記センサ素子の検出値に応じた信号を所定の順番で送信し、
同一の前記センサ部における(k-1)回前から今回までの前記応答信号を用いて演算されたデータをセンサ内検出データとすると、
前記演算処理部は、複数の前記センサ部に係る前記センサ内検出データの今回値を用いて前記検出データを演算するセンサ装置。
【請求項3】
前記演算処理部は、一部の前記センサ部に異常が生じた場合、正常である前記センサ部から送信される(k-1)回前から今回までの前記応答信号を用いて前記検出データを演算する請求項1または2に記載のセンサ装置。
【請求項4】
一部の前記センサ部に異常が生じた場合、
前記演算処理部は、
正常である前記センサ部から取得された複数の前記センサ素子に対応する前記応答信号を用いて前記検出データを演算し、
異常発生時の前記検出データの演算周期が正常時より長い場合、前記検出データの演算遅れを補正する補正処理を行う請求項1または2に記載のセンサ装置。
【請求項5】
一部の前記センサ部に異常が生じ、かつ、異常が生じた前記センサ部において正常な検出値を送信可能な前記センサ素子である異常系統正常素子が特定可能である場合、
前記演算処理部は、前記異常系統正常素子の検出値に応じた前記応答信号、および、正常である前記センサ部からの前記応答信号を用い、前記検出データを演算する請求項1または2に記載のセンサ装置。
【請求項6】
正常である前記センサ部は、異常発生前において前記異常系統正常素子と同時に送信される前記センサ素子の検出値に応じた応答信号の送信が継続されるように、信号送信パターンを変更する請求項に記載のセンサ装置。
【請求項7】
k=2であって、一部の前記センサ部に異常が生じた場合、正常である1つの前記センサ部から、それぞれの前記センサ素子に対応する前記応答信号が交互に送信され、
前記演算処理部は、正常である1つの前記センサ部から送信された直近4回の前記応答信号を用い、当該センサ部の異常を監視する請求項のいずれか一項に記載のセンサ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、センサとコントローラとの間で通信を行うセンサ装置が知られている。例えば特許文献1では、センサは、受信回路からの要求信号に応答して、応答信号を送信するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許出願公開第2013/0343472号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のように、送信経路が1つしかない、かつ、1回の要求信号に対する応答信号につき単一のセンサ素子の情報を送信するシステムでは、複数のセンサ素子からの情報を送信して演算に用いる場合、信号受信周期に比べ、複数素子からの情報を用いた演算周期が遅れる。
【0005】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、検出データを適切に演算可能なセンサ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のセンサ装置は、複数のセンサ部(21、22、23、24)と、制御部(15)と、複数の通信経路(31、32)と、を備える。センサ部は、物理量の変化を検出するセンサ素子(211、212、221、222)、および、1回の要求信号に対し、センサ素子の検出値に応じた1つの応答信号を含む信号を送信するセンサ側通信回路(215、225)を有する。
【0007】
演算処理部は、要求信号を送信し、応答信号を受信する制御部側通信回路(16、17)、および、応答信号に応じた検出データを演算する演算処理部(18)を有する。通信経路は、センサ部を個別に制御部と接続する。演算処理部は、複数のセンサ部から並列に取得された応答信号を用い、検出データを演算する。それぞれのセンサ部は、k(kは2以上の整数)個のセンサ素子を有し、応答信号として、1番目からk番目のセンサ素子の検出値に応じた信号を所定の順番で送信する。
第1の態様では、演算処理部は、複数のセンサ部から今回取得された応答信号に基づいて検出データを演算し、(k-1)回前から今回までの検出データを用いて補正後検出データを演算する。
第2の態様では、同一のセンサ部における(k-1)回前から今回までの応答信号を用いて演算されたデータをセンサ内検出データとすると、演算処理部は、複数のセンサ部に係るセンサ内検出データの今回値を用いて検出データを演算する。
これにより、検出データを適切に演算可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態によるステアリングシステムを示す概略構成図である。
図2】第1実施形態によるセンサ装置を示すブロック図である。
図3】第1実施形態によるトルクデータの演算を説明するタイムチャートである。
図4】第1実施形態によるセンサ素子の出力信号を説明する説明図である。
図5】第1実施形態によるトルクデータを説明する説明図である。
図6】第1実施形態による補正後トルクデータの演算を説明するタイムチャートである。
図7】第1実施形態による1つのセンサ素子に異常が生じた場合を示すタイムチャートである。
図8】第1実施形態による1つのセンサ部に異常が生じた場合のトルクデータを説明するタイムチャートである。
図9】第1実施形態によるトルク演算処理を説明するフローチャートである。
図10】第1実施形態による応答信号のフレームデータを示す説明図である。
図11】第1実施形態による応答信号のチェック用データを示す説明図である。
図12】第2実施形態による片系統異常時のトルクデータの演算を説明するタイムチャートである。
図13】(a)は第2実施形態による補正前のトルクデータを示す図であり、(b)は第2実施形態による補正後のトルクデータを示す図である。
図14】第3実施形態による片系統異常時のトルクデータの演算を説明するタイムチャートである。
図15】第4実施形態による片系統異常時のトルクデータの演算を説明するタイムチャートである。
図16】第5実施形態によるトルクデータの演算を説明するタイムチャートである。
図17】第6実施形態によるセンサ装置を示すブロック図である。
図18】参考例によるセンサ装置を示すブロック図である。
図19】参考例によるトルクデータの演算を説明するタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明によるセンサ装置を図面に基づいて説明する。以下、複数の実施形態において、実質的に同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0010】
(第1実施形態)
第1実施形態を図1図11に示す。図1に示すように、センサ装置1は、トルクセンサ20と、ECU10と、を備え、車両のステアリング操作を補助するための操舵装置としての電動パワーステアリング装置8に適用される。
【0011】
図1は、電動パワーステアリング装置8を備えるステアリングシステム90の全体構成を示すものである。ステアリングシステム90は、操舵部材であるステアリングホイール91、ステアリングシャフト92、ピニオンギア96、ラック軸97、車輪98、および、電動パワーステアリング装置8等を備える。
【0012】
ステアリングホイール91は、ステアリングシャフト92と接続される。ステアリングシャフト92には、操舵トルクを検出するトルクセンサ20が設けられる。トルクセンサ20は、ハーネス106およびコネクタ105を経由して、ECU10と接続されている。ハーネス106には、通信経路31、32が含まれる(図2参照)。ステアリングシャフト92の先端には、ピニオンギア96が設けられる。ピニオンギア96は、ラック軸97に噛み合っている。ラック軸97の両端には、タイロッド等を介して一対の車輪98が連結される。
【0013】
運転者がステアリングホイール91を回転させると、ステアリングホイール91に接続されたステアリングシャフト92が回転する。ステアリングシャフト92の回転運動は、ピニオンギア96によってラック軸97の直線運動に変換される。一対の車輪98は、ラック軸97の変位量に応じた角度に操舵される。
【0014】
電動パワーステアリング装置8は、ECU10、トルクセンサ20、モータ80、および、モータ80の回転を減速してラック軸97に伝える動力伝達部としての減速ギア89等を備える。本実施形態の電動パワーステアリング装置8は、所謂「ラックアシストタイプ」であるが、モータ80の回転をステアリングシャフト92に伝える所謂「コラムアシストタイプ」等としてもよい。
【0015】
モータ80は、例えば3相ブラシレスモータであって、操舵に要するトルクの一部または全部を出力するものである。モータ80は、図示しないバッテリから電力が供給されることで駆動され、減速ギア89を正逆回転させる。
【0016】
ECU10は、モータ80の軸方向の一方側に一体的に設けられている、いわゆる「機電一体型」であるが、モータ80と制御部15とが別途に設けられていてもよい。制御部15は、モータ80の出力軸とは反対側において、モータシャフトと略同軸に配置されている。機電一体型とすることで、搭載スペースに制約のある車両において、制御部15とモータ80とを効率的に配置することができる。
【0017】
ECU10は、マイコン等を主体として構成される制御部15(図2参照)を有し、内部にはいずれも図示しないCPU、ROM、RAM、I/O及び、これらの構成を接続するバスライン等を備えている。制御部15における各処理は、ROM等の実体的なメモリ装置(すなわち、読み出し可能非一時的有形記憶媒体)に予め記憶されたプログラムをCPUで実行することによるソフトウェア処理であってもよいし、専用の電子回路によるハードウェア処理であってもよい。
【0018】
図2に示すように、制御部15は、通信回路16、17、および、演算処理部18等を有する。第1通信回路16は、第1通信経路31を経由し、第1センサ部21と接続される。第1通信回路16は、第1センサ部21に要求信号を送信し、第1センサ部21から要求信号に応じた応答信号を受信する。
【0019】
第2通信回路17は、第2通信経路32を経由し、第2センサ部22と接続される。第2通信回路17は、第2センサ部22に要求信号を送信し、第2センサ部22から要求信号に応じた応答信号を受信する。以下適宜、第1通信回路16と第1センサ部21とで送受信される信号に添え字の「1」、第2通信回路17と第2センサ部22とで送受信される信号に添え字の「2」を付す。
【0020】
演算処理部18は、センサ部21、22から受信した応答信号に基づき、ステアリングシャフト92に加わるトルクに係るトルクデータを演算する。
【0021】
トルクセンサ20は、第1センサ部21および第2センサ部22を有する。以下適宜、第1センサ部21に係る構成を第1系統、第2センサ部22に係る構成を第2系統とする。第1センサ部21は、2つのセンサ素子211、212、および、通信回路215を有する。第2センサ部22は、2つのセンサ素子221、222、および、通信回路225を有する。以下適宜、第1センサ部21のセンサ素子211を「1A」、センサ素子212を「1B」、第2センサ部22のセンサ素子221を「2A」、センサ素子222を「2B」とする。
【0022】
センサ素子211、212、221、222は、ステアリングシャフト92に加わるトルクである操舵トルクを検出する。詳細には、ステアリングシャフト92に設けられる図示しないトーションバーの捻れ変位量に応じて変位するセンサマグネットの磁界の変化を検出するホール素子である。
【0023】
センサ装置1は、電動パワーステアリング装置8に適用されている。電動パワーステアリング装置8では、車両の「曲がる」機能を担っており、止まらないアシストを実現する安全性の高いシステムが求められる。安全性の高いシステムを実現すべく、トルクセンサ20において、複数のセンサ素子211、212、221、222を設けて冗長化している。
【0024】
ここで、参考例によるデータ通信を図18および図19に示す。図18に示すように、参考例に示すセンサ装置700は、制御部715と、トルクセンサ720と、を備える。制御部715は、通信回路16および演算処理部18を有する。トルクセンサ720は、センサ素子211、212、および、通信回路215を有する。
【0025】
センサ装置700は、通信経路731が1つであって、1回の要求信号に対し、1つのセンサ素子の情報を送信する。図19に示すように、センサ素子211、212の情報を交互に送信し、2つのセンサ素子211、212の情報からトルクデータを演算する場合、通信回路16の演算周期に比べ、トルク演算が遅れる。演算遅れによりリアルタイム性が低下すると、操舵感に影響する虞がある。
【0026】
本実施形態では、制御部15とトルクセンサ20とが、通信経路31、32で接続されている。そのため、第1センサ部21および第2センサ部22から同時にデータを取得することができるため、リアルタイム性を確保しつつ、複数の応答信号を用いたトルク演算を行うことができる。
【0027】
具体的には、図3に示すように、時刻x10において第1通信経路31から送信された要求信号に対し、第1センサ部21からセンサ素子1Aのデータが制御部15に送信される。また、時刻x10において第2通信経路32から送信された要求信号に対し、第2センサ部22からセンサ素子2Aのデータが制御部15に送信される。演算処理部18では、受信したセンサ素子1A、2Aのデータに基づき、トルク演算を行う。
【0028】
また、時刻x11において第1通信経路31から送信された要求信号に対し、第1センサ部21からセンサ素子1Bのデータが制御部15に送信される。また、時刻x11において第2通信経路32から送信された要求信号に対し、第2センサ部22からセンサ素子2Bのデータが制御部15に送信される。演算処理部18では、受信したセンサ素子1B、2Bのデータに基づき、トルク演算を行う。以下適宜、センサ素子1A、2Aに基づくトルク演算結果をトルクデータA、センサ素子1B、2Bに基づくトルク演算結果をトルクデータBとする。
【0029】
時刻x12では時刻x10と同様の処理を行い、時刻x13では時刻x11と同様の処理を行う、といった具合に、センサ素子1A、2Aのデータ受信およびこれを用いたトルクデータAの演算と、センサ素子1B、2Bのデータ受信およびこれを用いたトルクデータBの演算と、を交互に繰り返す。
【0030】
これにより、通信回路の演算周期とトルクデータの演算周期とが同じになるので、リアルタイム性を低下させることなく、複数のセンサ素子のデータを用いたトルク演算を行うことができる。また、複数のデータの比較により、例えば電圧固着等の異常を検出することができる。なお、センサ部21、22の異常とは、制御部15が正常な検出値を取得できない状態であって、センサ部21、22そのものの異常に限らず、通信経路31、32等の異常も含む。
【0031】
センサ素子1A、1B、2A、2Bの出力信号を図4に基づいて説明する。図4は、横軸をステアリングトルク、縦軸をセンサ素子211、212、221、222の検出電圧とする。検出可能範囲において、実線で示すように、センサ素子1A、2Bの検出電圧は、トルクが大きくなるほど小さくなる。また、検出可能範囲において、破線で示すように、センサ素子1B、2Aの検出電圧は、トルクが大きくなるほど大きくなる。図3等における応答信号を示すブロックについても同様の線種で記載している。
【0032】
本実施形態では、特性が同じであって、出力が逆であるセンサ素子1A、2Aの信号を同タイミングに取得し、センサ素子1B、2Bの信号を同タイミングで取得する。これにより、同じタイミングで取得する信号の増減特性が同じ場合と比較し、固着異常等の異常検出が容易になる。
【0033】
図5は、横軸をステアリングトルク、縦軸をトルクデータ演算値とする。図5に示すように、トルクデータA、Bを交互に用いる場合、出力特性のばらつき等により、出力誤差が生じる虞がある。そこで本実施形態では、図6に示すように、トルクデータの今回値と前回値とを平均することで、出力誤差を補正する。以下適宜、今回値と前回値とを平均したトルクデータを、補正後トルクデータとする。なお、図6のような補正を行わず、図3のトルクデータを用いて各種演算を行うようにしてもよい。図6では、共通時間軸を横軸とし、上段から、第1系統の要求信号、第1系統の応答信号、第2系統の要求信号、第2系統の応答信号、トルクデータ、および、補正後トルクデータを示している。他の実施形態に係るタイムチャートも同様とする。また、図3は補正後トルクデータが省略されている点を除き、同様である。
【0034】
図7は、1つのセンサ素子に異常が生じた場合を示している。図7では、梨地で示したセンサ素子1Bの応答信号に異常が生じた例である。異常発生から異常が検出される時刻xeまでの間において演算される補正後トルクデータは、正常であるトルクデータAと平均化されるため、トルク補正を行わない場合と比較し、異常の影響を緩和することができる。
【0035】
図8に示すように、第1センサ部21に異常が生じた場合、第2センサ部22から交互に送信されるセンサ素子2A、2Bのデータを用い、今回値と前回値との平均値を用いてトルクデータを演算する。これにより、一方のセンサ部に異常が生じた場合であっても、トルク演算周期が維持されるので、リアルタイム性を低下させることなく、複数のセンサ素子の検出値を用いたトルク演算を継続することができる。図8等では、異常が生じた第1センサ部21に係る応答信号を梨地で示した。
【0036】
本実施形態のトルク演算処理を図9のフローチャートに基づいて説明する。この処理は、制御部15において、所定の周期で実行される。以下、ステップS101等の「ステップ」を省略し、単に記号「S」と記す。また、今回値に添え字の(n)、前回値に添え字の(n-1)、2回前の値に添え字の(n-2)を付す。フローチャートの説明では、一例として、今回取得されるのがセンサ素子1A、2Aのデータであり、前回取得されたのがセンサ素子1B、2Bのデータであるものとして説明する。なお、今回取得されるのがセンサ素子1B、2Bの場合は、適宜1Aと1B、2Aと2Bとを読み替えればよい。
【0037】
S101では、制御部15は、センサ部21、22に要求信号を送信する。S102では、制御部15は、要求信号に応じて送信された応答信号をセンサ部21、22から受信する。
【0038】
S103では、演算処理部18は、取得された両系統の応答信号が正常か否か判断する。本実施形態では、同じタイミングで取得されるセンサ素子1A、2Aの検出電圧は、同じ特性で出力が逆となっており、いずれも正常である場合の和は所定値となるため、センサ素子1A、2Aの検出電圧を加算した値を異常判定値Xとする(式(1)参照)。式中では、第1センサ部21から検出した検出電圧をV1、第2センサ部22から検出した検出電圧をV2とする。
【0039】
X=V1(n)+V2(n) ・・・(1)
【0040】
演算処理部18は、異常判定値Xに基づき、両系統が正常か否か判断する。異常判定値Xが正常値Xtを含む所定範囲内である場合、異常判定値Xと正常値Xtとが一致するとみなし、両系統が正常であると判定する。両系統が正常であると判断された場合(S103:YES)、すなわち異常判定値Xと正常値Xtとが一致する場合、S104へ移行する。少なくとも一方の系統に異常が生じて得ると判断された場合(S103:NO)、すなわち異常判定値Xと正常値Xtとが一致しない場合、S106へ移行する。
【0041】
また、S103では、図10に示すように、応答信号にフレームデータを持たせることで、データの途絶を検出してもよい。さらにまた、図11に示すように、要求信号および応答信号の少なくとも一方にCRCやパリティチェック等のチェック用データを持たせることで、データ異常を検出するようにしてもよい。フレームデータやチェック用データに基づき、少なくとも一方の系統に異常が生じていると判定された場合は否定判断する。
【0042】
S104では、演算処理部18は、センサ素子1A、2Aの検出値に基づき、トルクデータの今回値T(n)を演算する(式(2)参照)。S105では、演算処理部18は、トルクデータの今回値T(n)および前回値T(n-1)(式(3)参照)を用い、補正後トルクデータTc(n)を演算する(式(4)参照)。式中等、T1は検出電圧V1のトルク換算値であり、T2は検出電圧V2のトルク換算値である。なお、トルク換算では、センサ素子1A、1B、2A、2Bの出力特定に応じた係数を乗じる。
【0043】
T(n)=(T1(n)+T2(n))/2 ・・・(2)
T(n-1)=(T1(n-1)+T2(n-1))/2 ・・・(3)
Tc(n)=(T(n)+T(n-1))/2 ・・・(4)
【0044】
少なくとも一方の系統に異常が生じていると判断された場合(S103:NO)に移行するS106では、第1系統に係る異常判定値Y1および第2系統に係る異常判定値Y2を演算し、異常判定値Y1、Y2に基づき、正常系統を特定可能か否か判断する(式(5)、(6)参照)。
【0045】
Y1={(T1(n)+T1(n-2))/2}-T1(n-1) ・・・(5)
Y2={(T2(n)+T2(n-2))/2}-T2(n-1) ・・・(6)
【0046】
トルク変化割合が一定であるとみなした場合、正常であれば、今回の要求信号および2回前の要求信号に応じたセンサ素子1Aの検出値に基づくトルク換算値の平均値と、前回の要求信号に応じたセンサ素子1Bの検出値に基づくトルク換算値とが理論上一致する。そこで、異常判定値Y1、Y2と判定閾値TH1とを比較し、異常判定値Y1、Y2が判定閾値TH1より小さい値となる系統を正常系統と特定する。正常系統が特定可能であると判断された場合(S106:YES)、S107へ移行する。以下、正常であると特定された系統を特定系統とする。正常系統が特定できないと判断された場合(S106:NO)、S109へ移行する。なお、正常系統特定後は、このステップを省略してもよい。
【0047】
S107では、演算処理部18は、S107にて正常であると特定された系統について、異常判定値Yp、Yqを演算し(式(7)、(8)参照)、異常判定値Yp、Yqに基づき、片系統での異常監視を行う。異常判定値Ypは、今回値と2回前の値の平均値と、前回値との差分である。異常判定値Yqは、前回値と3回前の値の平均値と、2回前の値との差分である。式(7)、(8)では、正常系統のトルク換算値をT#とする。第1系統が正常であれば、#=1とし、第2系統が正常であれば、#=2とする。
【0048】
Yp={(T#(n)+T#(n-2))/2}-T#(n-1) ・・・(7)
Yq={(T#(n-1)+T#(n-3))/2)}-T#(n-2)
・・・(8)
【0049】
例えば、第1系統に異常が生じており、第2系統が正常系統として特定されたとすると、異常判定値Yp、Yqの一方は、センサ素子2Aの2回分の値の平均値とセンサ素子2Bとに基づいて演算され、他方は、センサ素子2Bの2回分の値の平均値とセンサ素子2Aとに基づいて演算される。本実施形態では、異常判定値Yp、Yqがともに判定閾値TH2より小さい場合、特定系統が正常であると判定する。判定閾値TH2は、判定閾値TH1と等しくてもよいし、異なっていてもよい。なお、異常判定値Yqの演算を省略し、異常判定値Ypのみで判定を行うようにしてもよい。
【0050】
特定系統が正常であると判断された場合(S107:YES)、すなわち異常判定値Yp、Yqが判定閾値TH2より小さい場合、S108へ移行する。特定系統が正常ではないと判断された場合(S107:NO)、すなわち、異常判定値Yp、Yqの少なくとも一方が判定閾値TH2以上である場合、S109へ移行する。
【0051】
S108では、演算処理部18は、正常系統の検出値に基づき、トルクデータTe(n)を演算する(式(9)参照)。S109では、演算処理部18は、トルクデータの今回値T(n)を、異常発生時の設定値とする。
【0052】
Te(n)=(T#(n)+T#(n-1))/2 ・・・(9)
【0053】
以上説明したように、本実施形態のセンサ装置1は、複数のセンサ部21、22と、制御部15と、複数の通信経路31、32と、を備える。センサ部21、22は、物理量の変化を検出するセンサ素子211、212、221、222、および、1回の要求信号に対し、センサ素子211、212、221、222の検出値に応じた1つの応答信号を送信する通信回路215、225を有する。
【0054】
制御部15は、応答信号の送信を要求する要求信号を送信し、応答信号を受信する通信回路16、17、および、応答信号に応じたトルクデータを演算する演算処理部18を有する。複数の通信経路31、32は、センサ部21、22を個別に制御部15と接続する。
【0055】
演算処理部18は、複数のセンサ部21、22から同時に取得された応答信号を用い、トルクデータを演算する。ここで、「同時に取得された応答信号」とは、概ね同一のタイミングにて送信された要求信号に対して送信される応答信号を意味し、個体ばらつき等に起因する程度のタイミングのずれは許容されるものとする。これにより、複数のセンサ部21、22から同時に取得された応答信号に基づき、トルクデータを適切に演算することができる。
【0056】
センサ部21、22は、それぞれk(kは2以上の整数)個のセンサ素子を有する。センサ部21、22は、応答信号として、1番目からk番目のセンサ素子の検出値に応じた信号を所定の順番で送信する。本実施形態では、k=2であるので、2つのセンサ素子の検出値に応じた応答信号を交互に送信する。換言すると、k回の要求信号にて、全てのセンサ素子の検出値が1回ずつ送信されるように構成されている。
【0057】
演算処理部18は、複数のセンサ部21、22から今回取得された応答信号に基づいてトルクデータを演算し、(k-1)回前から今回までの検出データを用いて補正後検出データを演算する。
【0058】
これにより、複数のセンサ素子211、212、221、222の検出値を用いてトルクデータを演算することで、電圧固着等のセンサ素子の異常を検出することができる。また、1回の要求信号に対して1つの応答信号を送信する構成において、通信経路31、32をセンサ部21、22ごとに設け、複数のセンサ部21、22の応答信号を組み合わせてトルクデータを演算することで、更新周期を短縮可能であり、リアルタイム性を向上することができる。
【0059】
さらにまた、複数のセンサ部21、22から送信される応答信号を用いてトルクデータを演算することで、特性のばらつきによる誤差を低減することができる。また、一部のセンサ素子に異常が生じた場合、異常が検出されるまでの間のトルクデータにおいて、異常発生の影響を低減することができる。
【0060】
一部のセンサ部21に異常が生じた場合、演算処理部18は、正常であるセンサ部22から送信される(k-1)回前から今回までの応答信号を用いてトルクデータを演算する。これにより、一部のセンサ部21に異常が生じた場合であっても、正常であるセンサ部22の複数のセンサ素子221、222の検出値に基づいてトルクデータを演算可能である。また、演算周期を正常時と同等に維持できるため、リアルタイム性を確保することができる。
【0061】
k=2であって、一部のセンサ部21に異常が生じた場合、正常である1つのセンサ部22から、それぞれのセンサ素子221、222に対応する応答信号が交互に送信される。演算処理部18は、正常である1つのセンサ部22から送信された直近4回の応答信号を用い、当該センサ部22の異常を監視する。これにより、一部のセンサ部21に異常が生じた場合であっても、正常であるセンサ部22の異常監視を継続可能である。
【0062】
(第2実施形態)
第2実施形態を図12および図13に示す。第2実施形態~第4実施形態では、トルクセンサ20の一部に異常が生じた場合の処理が上記実施形態と異なっているので、この点を中心に説明する。第2実施形態~第4実施形態では、第1系統にて異常が生じており、第2系統が正常である場合を例とし、正常時のトルク演算は第1実施形態と同様とするが、後述の第5実施形態のようにしてもよい。
【0063】
本実施形態では異常系統である第1系統内での異常箇所が特定できないものとする。図12に示すように、正常である第2センサ部22のセンサ素子2A、2Bの検出値に基づき、センサ素子2Bに係る応答信号が取得されたタイミングにてトルクデータを演算する場合、例えば第1実施形態のように通信回路16、17の演算周期と同周期でトルクデータを更新する場合と比較し、トルクデータの更新周期が長くなる。
【0064】
図13(a)および図13(b)では、横軸を時間、縦軸をトルクデータとし、正常時および片系統制御時のトルク更新タイミングを黒丸、正常時のみ更新され、片系統制御時に更新されないトルク更新タイミングを白丸で示す。
【0065】
図13(a)に示すように、破線で示す片系統制御時の入力信号は、実線で示す正常時の入力信号に対して遅れが生じる場合がある。そこで本実施形態では、図13(b)に一点鎖線で示すように、片系統制御時に位相進み補償を追加する。これにより、演算遅れの影響を低減することができる。
【0066】
本実施形態では、一部のセンサ部21に異常が生じた場合、演算処理部18は、正常であるセンサ部22からから取得された複数のセンサ素子221、222に対応する応答信号を用いてトルクデータを演算する。演算処理部18は、異常発生時のトルクデータの演算周期が正常時より長い場合、演算遅れを補正する補正処理として位相進み補償を行う。演算遅れを補正する補正処理は、位相進み補償以外の演算処理であってもよい。これにより、一部のセンサ部21に異常が生じた場合の演算遅れの影響を低減することができる。また上記実施形態と同様の効果を奏する。
【0067】
(第3実施形態)
第3実施形態を図14に示す。第3実施形態および第4実施形態では、第1系統にて異常が生じており、異常箇所が特定可能な場合を例に説明する。ここでは、センサ素子1Bが異常であると特定されており、センサ素子1Aは正常であるものとする。
【0068】
図14に示すように、第1センサ部21は、第1センサ部21は、正常であるセンサ素子1Aの検出値に応じた応答信号を送信する。第2センサ部22は、正常時にセンサ素子1Aと同時に送信されるセンサ素子2Aの検出値に応じた応答信号を送信する。すなわち、第2センサ部22では、センサ素子2Bが正常であっても、センサ素子2A、2Bに応じた信号を交互に送信することに替えて、センサ素子2Aに応じた信号が送信されるように信号送信パターンを変更する。演算処理部18は、センサ素子1A、2Aを用いてトルク演算を継続する。
【0069】
一部のセンサ素子1Bに異常が生じた場合であっても、異なるセンサ部21、22の値を用いた演算を継続することで、一方のセンサ部に例えば電圧固着等の異常が生じた場合であっても、異常を検出することができる。また、トルク更新周期を正常時と同等とすることができる。さらにまた、同じセンサ素子1A、2Aを用いてトルク演算を行うことで、センサ素子特性のばらつきに起因するトルクデータのばらつきを防ぐことができる。
【0070】
本実施形態では、一部のセンサ部21に異常が生じ、かつ、異常が生じたセンサ部21において、正常な検出値を送信可能なセンサ素子である異常系統正常素子(本実施形態ではセンサ素子1A)が特定可能である場合、演算処理部18は、異常系統正常素子の検出値に応じた応答信号、および、正常であるセンサ部22からの応答信号を用い、トルクデータを演算する。これにより、一部のセンサ部21に異常が生じた場合であっても、異常監視を継続しつつ、トルク演算を継続可能である。また、演算周期を正常時と同等に維持できるため、リアルタイム性を確保することができる。
【0071】
正常であるセンサ部22は、異常発生前において、異常系統正常素子であるセンサ素子1Aと同時に送信されるセンサ素子2Aの検出値に応じた応答信号の送信が継続されるように、信号送信パターンを変更する。これにより、センサ素子2A、2Bのばらつきに起因するトルクデータのばらつきを防ぐことができる。また、上記実施形態と同様の効果を奏する。
【0072】
(第4実施形態)
第4実施形態を図15に示す。本実施形態では、第1センサ部21からは異常系統正常素子であるセンサ素子1Aの出力信号を送信し、第2センサ部22からは正常時と同様にセンサ素子2A、2Bの信号を交互に送信する。このように構成しても、異なるセンサ部の値を用いて演算を継続可能であるので、電圧固着等の異常を検出可能であるとともに、トルク更新周期を正常時と同等とすることができる。また上記実施形態と同様の効果を奏する。
【0073】
(第5実施形態)
第5実施形態を図16に示す。本実施形態では、演算処理部18は、第1センサ部21の今回値および前回値を用いて第1系統のセンサ内トルクデータTm1(n)を演算する(式(10)参照)。また、演算処理部18は、第2センサ部22の今回値および前回値を用いて第2系統のセンサ内トルクデータTm2(n)を演算する(式(11)参照)。そして、センサ内トルクデータTm1(n)、Tm2(n)を用いて、トルクデータT(n)を演算する(式(12)参照)。
【0074】
Tm1(n)=(T1(n)+T1(n-1))/2 ・・・(10)
Tm2(n)=(T2(n)+T2(n-1))/2 ・・・(11)
T(n)=(Tm1(n)+Tm2(n))/2 ・・・(12)
【0075】
本実施形態では、同一のセンサ部から取得された(k-1)回前から今回までの応答信号を用いて演算されたデータをセンサ内トルクデータTm1、Tm2とすると、演算処理部18は、複数のセンサ部21、22に係るセンサ内トルクデータTm1、Tm2の今回値を用いてトルクデータT(n)を演算する。なお、センサ内トルクデータTm1、Tm2は、センサ部21、22側にて演算した値を制御部15に送信するようにしてもよい。このように構成しても、上記実施形態と同様の効果を奏する。
【0076】
(第6実施形態)
第6実施形態では、第1センサ部21は、要求信号に対し、センサ素子1Aの検出値を応答信号として送信する。第2センサ部22は、要求信号に対し、センサ素子2Aの検出値を応答信号として送信する。応答信号の送信およびトルクデータ演算は、図14に示す如くである。
【0077】
なお、任意の頻度Fでセンサ素子1Bの検出値を応答信号として送信するように切り替えてもいい。センサ素子1Bへの切り替えを行わない場合は、頻度F=0と捉えればよい。また、異常監視の観点から、第1センサ部21からセンサ素子1Bの出力信号が送信されるタイミングと、第2センサ部22からセンサ素子2Bの出力信号が送信されるタイミングが揃っていることが好ましい。このように構成しても上記実施形態と同様の効果を奏する。
【0078】
(第7実施形態)
第7実施形態を図17に示す。図17に示すように、第1センサ部23は1つのセンサ素子211を有しており、第2センサ部24は1つのセンサ素子221を有している。第1センサ部23は、要求信号に対し、センサ素子1Aの検出値を応答信号として送信する。第2センサ部24は、要求信号に対し、センサ素子2Aの検出値を応答信号として送信する。応答信号の送信およびトルクデータ演算は、図14に示す如くである。これにより、構成を簡素化することができる。また上記実施形態と同様の効果を奏する。
【0079】
実施形態では、通信回路215、225が「センサ側通信回路」、通信回路16、17が「制御部側通信回路」、トルクデータが「検出データ」、センサ内トルクデータが「センサ内検出データ」に対応する。
【0080】
(他の実施形態)
上記実施形態では、センサ部は2つであって、それぞれ1または2のセンサ素子を有している。他の実施形態では、センサ部は3以上であってもよい。また、それぞれのセンサ部が3以上のセンサ素子を有していてもよい。
【0081】
上記実施形態では、センサ部は、操舵トルクを検出するトルクセンサに適用される。他の実施形態では、センサ部は、操舵トルク以外のトルクを検出するものであってもよいし、トルク以外の物理量を検出するものであってもよい。上記実施形態では、センサ装置は電動パワーステアリング装置に適用される。他の実施形態では、センサ装置を電動パワーステアリング装置以外の装置に適用してもよい。
【0082】
本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ以上の専用ハードウェア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウェア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。以上、本発明は、上記実施形態になんら限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。
【符号の説明】
【0083】
1・・・センサ装置
15・・・制御部
16、17・・・受信回路(制御部側通信回路)
18・・・演算処理部
20・・・トルクセンサ
21、22、23、24・・・センサ部
211、212、221、222・・・センサ素子
31、32・・・通信経路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
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