(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】温度推定装置
(51)【国際特許分類】
H02P 21/14 20160101AFI20241217BHJP
B60L 3/00 20190101ALI20241217BHJP
H02P 29/66 20160101ALI20241217BHJP
H02P 25/024 20160101ALI20241217BHJP
【FI】
H02P21/14
B60L3/00 J
H02P29/66
H02P25/024
(21)【出願番号】P 2021089318
(22)【出願日】2021-05-27
【審査請求日】2023-08-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】草留 泰三
(72)【発明者】
【氏名】下河 元希
【審査官】三島木 英宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-175844(JP,A)
【文献】特開2014-150638(JP,A)
【文献】特開平08-331900(JP,A)
【文献】国際公開第2015/170747(WO,A1)
【文献】特開2018-85842(JP,A)
【文献】特開2014-42400(JP,A)
【文献】特開2008-245486(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 21/14
B60L 3/00
H02P 29/66
H02P 25/024
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁石温度を推定する温度推定装置であって、
前記磁石温度は、モータに設けられているロータが備える永久磁石の温度であり、
前記モータは、ステータコアと、前記ステータコアに巻回されている複数のステータコイルと、を備え、
前記温度推定装置は、前記ステータコイルの温度であるコイル温度
と、前記各ステータコイルに流れるコイル電流の実効値を積算期間にわたって積算した積算電流に基づき
算出された温度差と、を加算することで、前記磁石温度を推定する、温度推定装置。
【請求項2】
前記温度推定装置は、平均期間における前記コイル電流の実効値の平均値である平均電流に基づき前記磁石温度を推定する、請求項1に記載の温度推定装置。
【請求項3】
前記温度推定装置は、前記ロータの回転数に基づき前記磁石温度を推定する、請求項1又は請求項2に記載の温度推定装置。
【請求項4】
前記温度推定装置は、前記ステータコイルに流すd軸電流及びq軸電流に基づき前記磁石温度を推定する、請求項1~3のいずれか一項に記載の温度推定装置。
【請求項5】
前記温度推定装置は、前記d軸電流と前記q軸電流とに基づき前記永久磁石の鉄損を算出する鉄損算出部を備え、
前記鉄損算出部によって算出された前記鉄損に基づき前記磁石温度を推定する、請求項4に記載の温度推定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度推定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ロータが備える永久磁石の温度を推定する温度推定装置が知られている(例えば特許文献1)。特許文献1に記載の温度推定装置は、モータに設けられている。モータは、永久磁石を有するロータと、ステータコアと、ステータコアに巻回されているステータコイルと、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、永久磁石の温度は、不可逆減磁の発生する条件やロータのトルクの大きさなど、ロータの特性に影響を与える。そのため、正確なモータ制御や永久磁石の劣化の抑制のために、永久磁石の温度を正確に把握することが求められてきた。しかし、回転するロータに直接温度センサを設けることは困難である。そのため、モータが測定可能な種々のパラメータから永久磁石の温度を精度良く推定することが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する温度推定装置は、磁石温度を推定する温度推定装置であって、前記磁石温度は、モータに設けられているロータが備える永久磁石の温度であり、前記モータは、ステータコアと、前記ステータコアに巻回されている複数のステータコイルと、を備え、前記温度推定装置は、前記ステータコイルの温度であるコイル温度と、前記各ステータコイルに流れるコイル電流の実効値を積算期間にわたって積算した積算電流と、に基づき、前記磁石温度を推定する。
【0006】
これによれば、積算電流は、ステータコイルの銅損に対応する。磁石温度の推定に際し、ステータコイルの銅損の磁石温度への寄与を算入することにより、磁石温度Tmを精度良く推定することができる。
【0007】
上記温度推定装置は、平均期間における前記コイル電流の実効値の平均値である平均電流に基づき前記磁石温度を推定する、ものであってもよい。
これによれば、平均電流は、モータが至る定常状態に対応する。そのため、磁石温度の推定に際し、平均電流を考慮に入れることにより、定常状態でも磁石温度を精度よく推定することができる。
【0008】
上記温度推定装置は、前記ロータの回転数に基づき前記磁石温度を推定する、ものであってもよい。
これによれば、ロータの回転数は、ロータの風損や放熱と相関がある。そのため、ロータの回転数の影響を取り入れることで、磁石温度をより精度よく推定することができる。
【0009】
上記温度推定装置は、前記ステータコイルに流すd軸電流及びq軸電流に基づき前記磁石温度を推定する、ものであってもよい。
これによれば、d軸電流及びq軸電流は、永久磁石の鉄損の大きさと相関がある。そのため、磁石温度の推定に際し、ステータコイルから生じる回転磁界による永久磁石の発熱を考慮することができる。したがって、磁石温度をより精度良く推定することができる。
【0010】
上記温度推定装置は、前記d軸電流と前記q軸電流とに基づき前記永久磁石の鉄損を算出する鉄損算出部を備え、前記鉄損算出部によって算出された前記鉄損に基づき前記磁石温度を推定する、ものであってもよい。
【0011】
これによれば、d軸電流とq軸電流から予め鉄損を算出することにより、磁石温度の推定での温度推定装置の計算負荷を軽減することができる。したがって、磁石温度の推定の高速化を図ることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、永久磁石の温度を精度良く推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【発明を実施するための形態】
【0014】
<構成>
以下、温度推定装置の一実施形態について説明する。本実施形態の温度推定装置は、車両が備えるモータに適用される。
【0015】
図1に示すように、車両Veは、蓄電装置100と、スタートスイッチ110と、駆動装置10と、を備える。車両Veは、電力で駆動するもので、例えば電気自動車両やハイブリッド車両である。
【0016】
蓄電装置100は、直流電力を出力する電力源であり、例えば二次電池である。二次電池は、例えばリチウムイオン蓄電池や鉛蓄電池である。蓄電装置100は、車両Veを駆動させるための電力源となる。
【0017】
スタートスイッチ110は、車両Veの起動状態と停止状態とを切り替えるためのスイッチである。スタートスイッチ110は、例えば、車両Veの搭乗者により操作される。起動状態とは、車両Veの走行が可能な状態である。停止状態とは、車両Veの走行を行えない状態である。スタートスイッチ110は、イグニッションスイッチやシステム起動スイッチ等と呼称されることもある。起動状態はイグニッションオン、停止状態はイグニッションオフと呼称されることもある。
【0018】
駆動装置10は、車両Veを駆動する。駆動装置10は、回転軸Axと、動力伝達機構G1と、モータ20と、回転数測定部24と、コイル温度測定部25と、インバータ回路30と、電流測定部40と、制御回路50と、を備える。
【0019】
回転軸Axは、図示しない車軸に動力を伝えることにより、車両Veを駆動させる。
動力伝達機構G1は、回転軸Axと車軸とを接続する。動力伝達機構G1の具体的態様は任意であるが、例えばギア及びギアオイルを有するギアボックスである。動力伝達機構G1には、当該ギアボックスの温度を測定する温度センサが設けられていてもよい。
【0020】
モータ20は、蓄電装置100の電力を動力に変換する。モータ20は、ロータ21と、ステータコア22と、複数のステータコイル23と、を備える。
ロータ21は、回転軸Axと一体回転可能に構成されている。ロータ21は、永久磁石21aを備える。
【0021】
永久磁石21aは、例えばフェライト磁石である。なお、永久磁石21aとしては、任意の強磁性体を用いてもよい。例えば、永久磁石21aは、ネオジム磁石など希土類磁石、アルニコ磁石などの硬磁性体でも、ソフトフェライトなどの軟磁性体でもよい。永久磁石21aは、所定の状態を経由すると不可逆減磁を起こすことがある。所定の状態とは、永久磁石21aの温度Tmや永久磁石21aに印加される外部磁場などで表される。所定の状態は、永久磁石21aの材料に依存する。例えばフェライト磁石の場合、不可逆減磁が起きる外部磁場は、永久磁石21aの温度Tmが低くなるほど低くなる。ネオジム磁石の場合、不可逆減磁が起きる外部磁場は、永久磁石21aの温度が高くなるほど低くなる。以下、説明の便宜上、永久磁石21aの温度Tmを「磁石温度Tm」という。永久磁石21aの自発磁化は、同一の温度及び同一の外部磁場下であっても、不可逆減磁の前後で異なる。そのため、モータ20の劣化を抑制するためにも、永久磁石21aの不可逆減磁の発生を抑制することが好ましい。
【0022】
ステータコア22は、ロータ21の周囲に配置されている。詳細には、ステータコア22は、ロータ21に対向配置されている。ステータコア22とロータ21との間には、エアギャップが設けられている。
【0023】
ステータコイル23は、それぞれステータコア22に巻回されている。ステータコイル23は、3相コイルである。各ステータコイル23は、例えばY結線されている。ロータ21は、各ステータコイル23が所定のパターンで通電されることにより回転する。すなわち、本実施形態のモータ20は、3相モータである。なお、ステータコイル23の結線態様は、Y結線に限られず任意であり、例えばデルタ結線でもよい。
【0024】
3相のステータコイル23には、3相のコイル電流Iu,Iv,Iwが流れる。これにより、ステータコイル23は、永久磁石21aに外部磁場が印加される。外部磁場の大きさ及び向きは、コイル電流Iu,Iv,Iwの大きさ及び位相によって決まる。当該外部磁場が、永久磁石21aの不可逆減磁を誘起することがある。
【0025】
コイル電流Iu,Iv,Iwがステータコイル23に流れると、永久磁石21aの鉄損Pi等に起因する熱が永久磁石21aに生じる。これにより、永久磁石21aの温度Tmが上昇する。磁石温度Tmは、永久磁石21aの鉄損Piによって上昇し、永久磁石21aから周囲への放熱によって下降する。鉄損Piは、永久磁石21aのヒステリシス損失と渦電流損失とを含む。
【0026】
ステータコイル23とロータ21との間の熱抵抗によって、磁石温度Tmとコイル温度Tcoilとの間に温度差ΔTが生じうる。そのため、磁石温度Tmは、コイル温度Tcoilと温度差ΔTを用いて、Tm=Tcoil+ΔTと表すことができる。熱抵抗の要因としては、例えばロータ21とステータコイル23との間に設けられるエアギャップが挙げられる。
【0027】
回転数測定部24は、ロータ21の単位時間あたりの回転数N1を測定するセンサである。回転数測定部24の具体的態様は任意であり、電磁式のレゾルバでも、光学センサでもよい。以下では、説明の便宜上、単位時間あたりの回転数を単に「回転数」という。
【0028】
コイル温度測定部25は、各ステータコイル23の温度をそれぞれ測定する。コイル温度測定部25は、例えばサーミスタ、熱電対、放射温度計など任意の態様を採用できる。以下の説明では、説明の便宜上、各ステータコイル23の温度の代表値をコイル温度Tcoilという。コイル温度Tcoilは、例えば各ステータコイル23の温度の平均値、中央値、又は最大値である。コイル温度Tcoilは、ステータコイル23で生じる銅損Pcなどの寄与によって上昇し、周囲への放熱などの寄与によって下降する。
【0029】
インバータ回路30は、蓄電装置100からの直流電力を3相交流電力に変換する。インバータ回路30は、3相交流電力をモータ20に出力する。これにより、ステータコイル23に3相のコイル電流Iu,Iv,Iwが流れる。インバータ回路30は、例えばインバータ回路30に設けられているスイッチング素子を適切な位相関係でPWM(パルス幅変調:Pulse Width Modulation)制御し、出力を平滑化することで3相交流電力を出力してもよい。なお、インバータ回路30の具体的態様は任意であり、電流型であっても、電圧型であってもよい。また、制御方式もPWM制御に限られず、PFM(周波数変調:Pulse Frequency Modulation)制御であってもよい。
【0030】
電流測定部40は、3相のコイル電流Iu,Iv,Iwを測定するセンサである。電流測定部40の具体的態様は任意であるが、例えばシャント抵抗を用いたものでも、ホール素子を用いたものでもよい。
【0031】
制御回路50は、プロセッサと、記憶部と、を備える。プロセッサとしては、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、又はDSP(Digital Signal Processor)が用いられる。記憶部は、RAM(Random access memory)及びROM(Read Only Memory)を含む。記憶部は、処理をプロセッサに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。記憶部、即ち、コンピュータ可読媒体は、汎用または専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。制御回路50は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェア回路によって構成されていてもよい。処理回路である制御回路50は、コンピュータプログラムに従って動作する1つ以上のプロセッサ、ASICやFPGA等の1つ以上のハードウェア回路、或いは、それらの組み合わせを含み得る。
【0032】
制御回路50は、各測定部24,25,40の検出結果を取得できる。
制御回路50は、ロータ21の回転数N1を制御するモータ制御処理を行う。モータ制御処理において、制御回路50は、図示しないECU(Electronic Control Unit)から入力される目標回転数N1tに基づき、回転数N1が目標回転数N1tとなるd軸電流Idr及びq軸電流Iqrを算出する。d軸電流Idr及びq軸電流Iqrはそれぞれコイル電流Iu,Iv,Iwを出力するための指令値である。d軸電流Idr及びq軸電流Iqrは、ロータ21を基準とする2相回転座標系(d-q座標系)におけるコイル電流Iu,Iv,Iwに相当する。d軸電流Idrは、永久磁石21aの励磁に寄与し、q軸電流Iqrは、ロータ21のトルクの発生に寄与する。制御回路50は、d軸電流Idr及びq軸電流Iqrに基づき、3相のコイル電流Iu,Iv,Iwをモータ20に向けて出力する。したがって、d軸電流Idr及びq軸電流Iqrは、ステータコイル23に流す電流であるともいえる。なお、制御回路50は、コイル温度Tcoilが所定の温度、例えばステータコイル23の耐用温度を超える場合、コイル電流Iu,Iv,Iwが小さくなるようにインバータ回路30を制御する。これにより、ステータコイル23の銅損Pcを抑制し、ステータコイル23の発熱量を低減することができる。
【0033】
制御回路50は、モータ20への電力供給を開始する開始信号の取得を契機にモータ制御処理を開始する。また、モータ20への電力供給を停止する停止信号を契機にモータ制御処理を終了する。開始信号とは、例えばスタートスイッチ110の操作によって車両Veを停止状態から起動状態に切り替える信号である。停止信号とは、例えばスタートスイッチ110の操作によって車両Veを起動状態から停止状態に切り替える信号である。なお、開始信号及び停止信号はこれに限らず、任意の態様を採用することができる。例えば開始信号及び停止信号は、蓄電装置100とインバータ回路30との間のリレースイッチに設けられている場合、当該リレースイッチをON状態とする指令及びOFF状態とする指令であってもよい。これらの場合、モータ制御処理は、車両Veが起動状態の場合に行われるともいえる。
【0034】
<モータ制御処理>
次に、モータ制御処理の詳細について説明する。
図2に示すように、制御回路50は、ステップS1において、温度推定処理を実行し、磁石温度Tmを推定する。温度推定処理の詳細については後述する。
【0035】
次に、制御回路50は、ステップS2に進み、ステップS1で推定された磁石温度Tmに基づき、制限電流値Ixを決定する。制限電流値Ixは、磁石温度Tmの場合に永久磁石21aの不可逆減磁が起きるコイル電流Iu,Iv,Iwより小さい。本実施形態では、制限電流値Ixは、d軸電流Idrの最大値に対応する。なお、制限電流値Ixは、これに限らず、任意に設定可能である。例えば、制限電流値Ixは、d軸電流Idr及びq軸電流Iqrで表される電流ベクトルの大きさに対応していてもよい。
【0036】
次に、制御回路50は、ステップS3に進み、例えば図示しないECUから目標回転数N1tを取得する。目標回転数N1tは、回転数N1の目標値である。目標回転数N1tは、例えば車両Veのアクセル開度並びに走行速度、及び蓄電装置100からインバータ回路30への入力電圧に基づき算出される。
【0037】
次に、制御回路50は、ステップS4に進み、目標回転数N1tに基づきd軸電流Idr及びq軸電流Iqrを算出する。回転数N1が目標回転数N1tとなるd軸電流Idr及びq軸電流Iqrを算出することで、制御回路50は、回転数N1を制御することができる。なお、算出方法は任意であるが、例えば、制御回路50は、予め記憶された目標回転数N1tに対するd軸電流Idr及びq軸電流Iqrのマップを参照することで、目標回転数N1tに基づきd軸電流Idr及びq軸電流Iqrを算出することができる。
【0038】
次に、制御回路50は、ステップS5に進み、d軸電流Idrが制限電流値Ix以下であるか否かを判定する。ステップS5の判定結果が否定の場合、制御回路50は、ステップS6に進む。一方、ステップS5の判定結果が肯定の場合、制御回路50は、ステップS6を省略し、ステップS7に進む。
【0039】
ステップS6において、制御回路50は、d軸電流Idrを制限電流値Ixに変更し、ステップS7に進む。なお、ステップS6において、制御回路50は、d軸電流Idrを制限電流値Ix未満に変更してもよい。すなわち、ステップS6において、制御回路50は、d軸電流Idrを制限電流値Ix以下に変更すればよい。制御回路50は、ステップS5及びステップS6を実行することより、d軸電流Idrを制限電流値Ix以下に制限する。このとき、制御回路50は、変更後のd軸電流Idrに対応するように、q軸電流Iqrを変更してもよい。
【0040】
次に、制御回路50は、ステップS7に進み、d軸電流Idr及びq軸電流Iqrに基づき、インバータ回路30のスイッチング素子を制御することで、コイル電流Iu,Iv,Iwをモータ20に出力する。コイル電流Iu,Iv,Iwを決定する方法は任意であるが、例えば出力されるコイル電流Iu,Iv,Iwがd軸電流Idr及びq軸電流Iqrに対して2相3相変換を行った値を目標値となるようにインバータ回路30を制御すればよい。ロータ21は、コイル電流Iu,Iv,Iwに応じて回転する。したがって、制御回路50は、d軸電流Idr及びq軸電流Iqrに基づき、コイル電流Iu,Iv,Iwを制御することで、回転数N1を制御しているといえる。
【0041】
なお、ステップS6の処理によってd軸電流Idrが制限電流値Ixに変更されている場合、制御回路50は、ステップS7において、変更後のd軸電流Idr及びq軸電流Iqrに基づき、コイル電流Iu,Iv,Iwをモータ20に出力する。このとき、制御回路50は、回転数N1が目標回転数N1t未満の状態でロータ21が回転することを許容する。したがって、制御回路50は、制限電流値Ixに基づいて回転数N1を制限しているともいえる。
【0042】
次に、制御回路50は、ステップS8に進み、車両Veが停止状態か否かを判定する。ステップS8の判定結果が否定の場合、すなわち車両Veが起動状態の場合、制御回路50は、ステップS1に戻り、モータ制御処理を続行する。一方、ステップS8の判定結果が肯定の場合、制御回路50は、ステップS9に進み、車両Veが停止状態となった時刻を記憶する。その後、制御回路50は、モータ制御処理を終了する。
【0043】
<温度推定処理>
次に、温度推定処理の詳細について説明する。以下の説明では、温度推定処理を開始する前に車両Veが停止状態となった時刻を停止時刻t1と、温度推定処理を開始する前に車両Veが起動状態となった時刻を起動時刻t2と、後述するステップS11の処理が行われる時刻を推定時刻t3という。推定時刻t3は、温度推定処理の開始時刻であるともいえる。停止時刻t1から起動時刻t2までの停止期間Δt1では、車両Veは停止状態であり、起動時刻t2から推定時刻t3までの積算期間Δt2では、車両Veは起動状態であるものとする。なお、停止時刻t1としては、ステップS9の処理において記憶されている時刻を用いればよい。
【0044】
図3に示すように、ステップS11において、制御回路50は、推定パラメータを取得する。推定パラメータは、磁石温度Tmを推定するために用いられるパラメータである。本実施形態では、推定パラメータは、回転数N1、コイル温度Tcoil、コイル電流Iu,Iv,Iw、d軸電流Idr、q軸電流Iqr、停止期間Δt1、及び積算期間Δt2を含む。なお、停止期間Δt1及び積算期間Δt2は、各時刻t1,t2,t3から算出してもよい。制御回路50は、各測定部24,25,40や制御回路50の記憶部から推定パラメータを取得すればよい。
【0045】
次に、制御回路50は、ステップS12に進み、コイル温度Tcoil、停止期間Δt1に基づき、オフセット温度Toffsetを算出する。オフセット温度Toffsetは、起動時刻t2での磁石温度Tmの推定値である。オフセット温度Toffsetは、磁石温度Tmの初期温度であるともいえる。
【0046】
停止期間Δt1の間、磁石温度Tmに対する鉄損Piの寄与が小さくなり、放熱の寄与が大きくなる。その結果、磁石温度Tmは徐々に低下し、磁石温度Tmとコイル温度Tcoilとが一致する平衝状態に至る。なお、一致とは、2つの値が完全一致の場合のみならず、所定の範囲内であることを含む。所定の範囲とは例えば、測定誤差やゆらぎなどを考慮したものである。
【0047】
オフセット温度Toffsetの算出方法は任意であるが、例えば制御回路50は、コイル温度Tcoil及び停止期間Δt1に対するオフセット温度Toffsetの対応表を参照することでオフセット温度Toffsetを算出してよい。当該対応表は、試験や熱流体解析等で予め定めればよい。なお、ステップS12の処理は、起動時刻t2以後に行われる最初の温度推定処理でのみ実行されてもよい。言い換えれば、最初の温度推定処理より後に行われる温度推定処理において、ステップS12の処理は省略されてもよい。
【0048】
次に、制御回路50は、ステップS13に進み、d軸電流Idr及びq軸電流Iqrに基づき、鉄損Piを算出する。鉄損Piの算出方法は任意であるが、例えば電磁界解析によって算出可能な対応表から算出してもよいし、モータ20を表現する物理モデルから有限要素法等を用いて算出してもよい。本実施形態では、ステップS13を実行する制御回路50が鉄損算出部に対応する。
【0049】
次に、制御回路50は、ステップS14に進み、コイル電流Iu,Iv,Iwに基づき、積算電流Iint及び平均電流Iaveを算出する。積算電流Iintは、コイル電流Iu,Iv,Iwの実効値Ieffを積算期間Δt2にわたって積算した値である。以下、説明の便宜上、各コイル電流Iu,Iv,Iwの実効値Ieffはそれぞれ等しいものとして取り扱い、単に「実効値Ieff」という。ステータコイル23は抵抗成分を有する。そのため、ステータコイル23にコイル電流Iu,Iv,Iwが流れると、ステータコイル23は実効値Ieffに比例して電力を消費する。そのため、実効値Ieffを積算期間Δt2にわたって積算した積算電流Iintは、積算期間Δt2で発生する銅損Pcに対応する。
【0050】
平均電流Iaveは、平均期間Δt3における実効値Ieffの平均値である。平均電流Iaveは、例えば積算電流Iintを平均期間Δt3で除算することにより得られる。平均期間Δt3が0であるとき、平均電流Iaveは0である。本実施形態の平均期間Δt3は、積算期間Δt2と一致している。すなわち、平均電流Iaveは、積算期間Δt2における実効値Ieffの平均値である。この場合、推定時刻t3が起動時刻t2と一致するときに平均期間Δt3は0となる。
【0051】
次に制御回路50は、ステップS15に進み、回転数N1、鉄損Pi、及び積算電流Iintから温度差ΔTへの寄与を、それぞれ算出する。
鉄損Piから温度差ΔTへの寄与は、第1関数f1で表される。回転数N1から温度差ΔTへの寄与は、第2関数f2で表される。積算電流Iintから温度差ΔTへの寄与は、第3関数f3で表される。各関数f1~f3は、例えば、それぞれの引数の多項式で表される。特に、各関数f1~f3をそれぞれの引数の1次関数とすることで、制御回路50の計算負荷を軽減することができる。なお、本実施形態では、各関数f1~f3の定数係数は0である。
【0052】
第1関数f1は、鉄損Piによる永久磁石21aの発熱が磁石温度Tmに及ぼす影響を示す。第2関数f2は、風損による永久磁石21aの発熱及び熱伝達による永久磁石21aの冷却が磁石温度Tmに及ぼす影響を示す。第1関数f1及び第2関数f2は、実験等で予め定められたものを用いてもよいし、熱流体解析等の数値解析によって得られたものを用いても良い。第3関数f3は、ステータコイル23の銅損Pcによって生じる熱が磁石温度Tmに及ぼす影響を示す。
【0053】
ステータコイル23から永久磁石21aに伝わる熱は、積算電流Iintとの相関がある。積算電流Iintは、上述したように、銅損Pcと対応付けられる。銅損Pcは、コイル温度Tcoilを上昇させる因子である。ここで、積算期間Δt2にわたる銅損Pcのみを考慮すると、コイル温度Tcoilの上昇値は、時間経過に伴い増加し続ける。しかし、コイル温度Tcoilの温度が上昇するにつれてステータコイル23から周囲への放熱量が大きくなる。そのため、コイル温度Tcoilの時間変化率は小さくなり、やがて定常状態に至る。したがって、コイル温度測定部25が測定するコイル温度Tcoilの時間変化と銅損Pcに起因するコイル温度Tcoilの時間変化に乖離が生じる。このような乖離は、ステータコイル23の放熱の大きさを示す。ステータコイル23から放熱された熱の一部が、例えば空気を介した熱交換によって永久磁石21aに伝わる。これにより、磁石温度Tmが変化する。したがって、温度差ΔTを算出する際に積算電流Iintを用いることにより、ステータコイル23の銅損Pcが磁石温度Tmに与える影響を考慮することができる。なお、ステータコイル23と永久磁石21aとの熱交換を示す係数(例えば熱伝達係数)は、モータ20を含む系において熱流体解析や実験等により予め定められたものを用いればよい。
【0054】
次に、制御回路50は、ステップS16に進み、ステップS15で算出された各寄与に基づき、温度差ΔTを算出する。本実施形態において、起動時刻t2での温度差ΔTは、Toffset-Tcoilである。このとき、各関数f1~f3の引数は0となっている。そのため、温度差ΔTは、ΔT=Toffset-Tcoil+f1(Pi)+f2(N1)+f3(Iint)という関係式で表すことができる。なお、上記関係式において、括弧内の記号は各関数の引数を示す。
【0055】
次に、制御回路50は、ステップS17に進み、コイル温度Tcoil及び温度差ΔTに基づき、磁石温度Tmを推定する。詳細には、制御回路50は、ステップS11で取得したコイル温度Tcoil及びステップS16で算出した温度差ΔTをTm=Tcoil+ΔTに代入することで、磁石温度Tmを推定する。このように算出された磁石温度Tmが、上述したモータ制御処理に用いられる。本実施形態では、ステップS17の処理を実行する制御回路50が、温度推定装置に対応する。
【0056】
次に、制御回路50は、ステップS18に進み、定常磁石温度Tmsを算出する。定常磁石温度Tmsは、平均電流Iaveに対応する定常状態における磁石温度Tmである。
平均電流Iaveは、単位時間あたりのステータコイル23の銅損Pcに対応する。単位時間あたりのステータコイル23の銅損Pcとステータコイル23の放熱量とが釣り合う。そして、定常状態では、コイル温度Tcoil及び磁石温度Tmは、それぞれ定常状態に対応する値をとる。このような平均電流Iaveとモータ20の定常状態との相関を用いて、平均電流Iaveに対応する定常状態でのコイル温度Tcoil及び磁石温度Tmとを算出する。定常磁石温度Tmsの具体的な算出方法は任意であるが、予め実験等で定められたマップを参照してもよいし、定常磁石温度Tmsを平均電流Iaveの関数から算出してもよい。
【0057】
次に、制御回路50は、ステップS19に進み、磁石温度Tmが推定磁石温度Tms以下であるか否かを判定する。ステップS19における判定結果が否定の場合、制御回路50はステップS20に進み、磁石温度Tmを定常磁石温度Tmsに変更し、温度推定処理を終了する。一方、ステップS19における判定結果が肯定の場合、制御回路50はステップS20を省略し、温度推定処理を終了する。これにより、ステップS18で推定された磁石温度Tmが、平均電流Iaveに対応する定常磁石温度Tmsより大きくなるという不合理を解消することができる。したがって、制御回路50は、平均電流Iaveに基づき磁石温度Tmを推定しているといえる。
【0058】
制御回路50は、このように推定された磁石温度Tmを用いて、ステップS2~S9の処理を行う。なお、積算期間Δt2が推定期間Δt3より大きくなった場合、制御回路50は、上記温度推定処理を省略し、モータ制御処理を行ってもよい。推定期間Δt3は任意であるが、例えば磁石温度Tmが定常状態に至るまでの期間である。これにより、車両Veが起動状態直後の磁石温度Tmの温度変化が大きい期間において、磁石温度Tmを精度よく推定できるとともに、モータ制御処理の負担軽減を図ることができる。このような処理の省略は、特に磁石温度Tmが低いほど不可逆減磁が起きやすい場合、例えば永久磁石21aがフェライト磁石の場合、に有用である。
【0059】
<作用・効果>
以下、本実施形態の作用及び効果について説明する。
(1)温度推定装置としての制御回路50は、ステータコイル23の温度であるコイル温度Tcoilと、各ステータコイル23に流れるコイル電流Iu,Iv,Iwの実効値Ieffを積算期間Δt2にわたって積算した積算電流Iintと、に基づき、磁石温度Tmを推定するステップS15~S17の処理を実行する。
【0060】
これによれば、実効値Ieffを積算期間Δt2にわたって積算した積算電流Iintは、積算期間Δt2で発生する銅損Pcに対応する。銅損Pcは、コイル温度Tcoilを上昇させる因子である。ここで、積算期間Δt2にわたる銅損Pcのみを考慮すると、コイル温度Tcoilの上昇値は、時間経過に伴い増加し続ける。しかし、コイル温度Tcoilの温度が上昇するにつれてステータコイル23から周囲への放熱量が大きくなる。そのため、コイル温度Tcoilの時間変化率は小さくなり、やがて定常状態に至る。したがって、コイル温度測定部25が測定するコイル温度Tcoilの時間変化と銅損Pcに起因するコイル温度Tcoilの時間変化に乖離が生じる。
【0061】
このような乖離は、ステータコイル23の放熱の大きさを示す。ステータコイル23から放熱された熱の一部が、例えば空気を介して永久磁石21aに伝わる。これにより、磁石温度Tmが変化する。そのため、温度差ΔTを算出する際に積算電流Iintを用いることにより、ステータコイル23の銅損Pcが磁石温度Tmに与える影響を考慮することができる。したがって、磁石温度Tmを精度良く推定することができる。
【0062】
(2)制御回路50は、平均期間Δt3におけるコイル電流Iu,Iv,Iwの実効値Ieffの平均値である平均電流Iaveに基づき磁石温度Tmを推定するステップS19及びステップS20を実行する。
【0063】
これによれば、磁石温度Tmは定常状態において定常磁石温度Tmsに至るところ、推定される磁石温度Tmが平均電流Iaveに対応する定常磁石温度Tmsより大きくなることを抑制することができる。そのため、推定された磁石温度Tmと実際の磁石温度Tmとの乖離を抑制することができる。したがって、定常状態でも磁石温度Tmを精度よく推定することができる。
【0064】
(3)制御回路50は、ロータ21の回転数N1に基づき磁石温度Tmを推定するステップS15~S17の処理を実行する。
これによれば、風損及び空冷の影響を考慮することで、モータ20の駆動状態に即した磁石温度Tmの温度推定を行うことができる。
【0065】
(4)制御回路50は、ステータコイル23に流すd軸電流Idr及びq軸電流Iqrに基づき磁石温度Tmを推定するステップS13,S15,S17の処理を実行する。
これによれば、鉄損Piによる発熱を算入して、より高い精度で磁石温度Tmを推定することができる。
【0066】
(5)制御回路50は、d軸電流Idrとq軸電流Iqrとに基づき永久磁石21aの鉄損Piを算出するステップS13の処理を実行する。そして、制御回路50は、ステップS13で算出された鉄損Piに基づき磁石温度Tmを推定するステップS15,S16,S17の処理を実行する。
【0067】
これによれば、d軸電流Idr及びq軸電流Iqrを鉄損Piに変換することで、直接磁石温度Tmを推定する場合に比べて計算負荷が軽減される。したがって、磁石温度Tmの推定の高速化を図ることができる。
【0068】
<変形例>
実施形態は、以下のように変更して実施することができる。実施形態及び以下の変形例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0069】
○実施形態におけるモータ制御処理及び温度推定処理はあくまで例示であり、これに限られない。また、各処理を実行する制御回路50は、1つの装置として構成されていなくてもよく、協同する複数の装置により構成されていてもよい。
【0070】
○温度差ΔTの表し方は実施形態のものに限らない。例えば、各引数Pi,N1,Iintのうち2つ以上の引数を含む寄与を含めてもよい。
○温度推定処理において、制御回路50は、動力伝達機構G1の温度を磁石温度Tmの推定に用いてもよい。動力伝達機構G1は回転軸Axを介してロータ21(詳細には永久磁石21a)と接続されている。そのため、永久磁石21aの熱の一部は、回転軸Axを介して動力伝達機構G1に伝達される。例えば、温度差ΔTに対して動力伝達機構G1への熱伝達を示す補正項f5されていてもよい。補正項f5は、実験等で定められる動力伝達機構G1の温度の関数でもよい。
【0071】
○磁石温度Tmの推定に用いられるd軸電流Idr及びq軸電流Iqrは、コイル電流Iu,Iv,Iwを出力するために用いられる指令値でなくてもよい。例えば、磁石温度Tmの推定に用いられるd軸電流Idr及びq軸電流Iqrは、出力されたコイル電流Iu,Iv,Iwを3相2相変換することにより得られる出力値であってもよい。これにより、鉄損Piの算出精度が向上するため、より精度良く磁石温度Tmを推定することができる。
【0072】
○平均期間Δt3は、積算期間Δt2と一致していなくてもよい。例えば、平均期間Δt3は、推定時刻t3から一定期間だけさかのぼった期間でもよい。なお、所定の期間は任意に設定可能である。言い換えれば、平均電流Iaveは、実効値Ieffの積算期間Δt2全体にわたる全体平均ではなく、いわゆる移動平均であってもよい。これにより、平均電流Iaveの算出処理の負荷を軽減し、温度推定処理の高速化を図ることができる。
【0073】
○制御回路50は、d軸電流Idr及びq軸電流Iqrに基づき鉄損Piを算出するステップS13の処理を実行しなくてもよい。この場合、第1関数f1に代えて、d軸電流Idr及びq軸電流Iqrから直接、温度差ΔTを算出すればよい。このとき、例えばd軸電流Idr及びq軸電流Iqrの温度差ΔTへの寄与を表す関数f4を用いればよい。関数f4は、実験等によって求められたものであっても、数値解析等で得られたものであってもよい。
【0074】
○制御回路50は、ステップS17において、回転数N1に基づき磁石温度Tmを推定しなくてもよい。例えば、制御回路50は、ステップS16における温度差ΔTの算出において第2関数f2を考慮しなくてもよい。
【0075】
○制御回路50は、ステップS17において、d軸電流Idr及びq軸電流Iqrに基づき磁石温度Tmを推定しなくてもよい。例えば、制御回路50は、ステップS16における温度差ΔTの算出において関数f1又は関数f4を考慮しなくてもよい。
【0076】
○制御回路50は、平均電流Iaveに基づき磁石温度Tmを推定するステップS19及びステップS20の処理を実行しなくてもよい。磁石温度Tmの算出において、積算電流Iintが考慮されていればよい。この場合でも、定常状態に至る前の磁石温度Tmを精度良く推定することができる。
【0077】
○ステータコア22は、ロータ21の周囲に配置されていなくてもよい。例えば、ロータ21が、ステータコア22の周囲に配置されていてもよい。言い換えれば、モータ20は、いわゆるインナーロータ型のものに限らず、アウターロータ型のものでもよい。
【0078】
○モータ20は、車両Veの駆動に用いられるものに限られない。例えばモータ20は、圧縮機や送風機などに用いられるものでもよい。
【符号の説明】
【0079】
20…モータ、21…ロータ、21a…永久磁石、22…ステータコア、23…ステータコイル、50…制御回路、Iave…平均電流、Idr…d軸電流、Ieff…実効値、Iint…積算電流、Iqr…q軸電流、Iu,Iv,Iw…コイル電流、N1…回転数、Pi…鉄損、Tcoil…コイル温度、Tm…磁石温度、Δt2…積算期間、Δt3…平均期間。